(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-14
(45)【発行日】2025-04-22
(54)【発明の名称】運転状況監視装置、運転状況監視システム、運転状況監視方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20250415BHJP
G07C 5/00 20060101ALI20250415BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20250415BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20250415BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20250415BHJP
G16Y 40/10 20200101ALI20250415BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G07C5/00 Z
G06T7/00 510A
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/10
(21)【出願番号】P 2023203970
(22)【出願日】2023-12-01
(62)【分割の表示】P 2022086003の分割
【原出願日】2018-01-25
【審査請求日】2023-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181135
【氏名又は名称】橋本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 和樹
(72)【発明者】
【氏名】塚原 英徳
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 奈々
(72)【発明者】
【氏名】尾形 一気
【審査官】稲垣 彰彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-59259(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/73114(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105938654(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 -21/36
23/00 -25/00
G06T 7/00 - 7/90
G06V 10/00 -20/90
30/418
40/00 -40/70
G08G 1/00 -99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたドライブレコーダから、当該車両を運転する運転者を撮影した画像を通信により取得する取得手段と、
管理者の入力
する情報を含む情報に基づいて、予め登録された運転者の中から、前記画像に表示される前記運転者の識別情報を特定する第1の特定処理を行う特定手段と、
特定された前記運転者に応じた報告データを生成する生成手段と、
を備える運転状況監視装置。
【請求項2】
前記生成手段は、特定された前記運転者の運転において発生した危険の種別および発生回数に基づいて、前記報告データを生成する、
請求項1に記載の運転状況監視装置。
【請求項3】
前記生成手段は、前記危険の種別および発生回数に基づいて算出した点数の情報と、当該点数に応じて集計したランキングの情報と、を含む前記報告データを生成する、
請求項2に記載の運転状況監視装置。
【請求項4】
前記生成手段は、予め記憶された生成条件であって前記報告データに含める情報の種別の条件を含む生成条件を前記運転者の識別情報に基づいて取得し、取得された前記生成条件に基づいて前記報告データを生成する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の運転状況監視装置。
【請求項5】
前記特定手段は、取得された前記画像に基づく認証処理により、予め登録された運転者の情報の中から前記運転者の識別情報を特定する第2の特定処理を行い、
前記第2の特定処理で識別情報が特定されなかった場合に、前記第1の特定処理を行う、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の運転状況監視装置。
【請求項6】
前記車両の運転状況を示す運転状況データと、特定された前記運転者の前記識別情報とを関連付けて記録する記録手段と、
記録された前記運転状況データを解析することにより、前記車両の運転において発生した危険の種別の情報を含む危険時運転データを生成する危険時運転データ生成手段と、をさらに備え、
前記生成手段は、生成された前記危険時運転データに基づいて前記報告データを生成する、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の運転状況監視装置。
【請求項7】
前記危険時運転データ生成手段は、予め記憶された解析条件であって解析に利用する情報の条件、解析に利用する情報の値が示す範囲の条件、解析手法の条件の少なくともいずれかを含む解析条件を前記運転者の識別情報に基づいて取得し、取得された前記解析条件に基づいて前記運転状況データを解析することにより前記危険時運転データを生成する、
請求項6に記載の運転状況監視装置。
【請求項8】
車両に搭載されたドライブレコーダと、運転状況監視装置とを有する運転状況監視システムであって、
前記運転状況監視装置は、
前記ドライブレコーダから、前記車両を運転する運転者を撮影した画像を通信により取得する取得手段と、
管理者の入力
する情報を含む情報に基づいて、予め登録された運転者の中から、前記画像に表示される前記運転者の識別情報を特定する第1の特定処理を行う特定手段と、
特定された前記運転者に応じた報告データを生成する生成手段と、を備える
運転状況監視システム。
【請求項9】
車両に搭載されたドライブレコーダから、当該車両を運転する運転者を撮影した画像を通信により取得し、
管理者の入力
する情報を含む情報に基づいて、予め登録された運転者の中から、前記画像に表示される前記運転者の識別情報を特定する第1の特定処理を行い、
特定された前記運転者に応じた報告データを生成する
ことを特徴とする運転状況監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転状況監視装置、運転状況監視システム、運転状況監視方法、ドライブレコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
運転者毎の燃費を算出するために撮影した運転者の顔画像に基づいて運転者を認識し、運転者毎の燃費情報を算出する技術が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような技術において、複数の車両をそれぞれ運転する各運転者の運転状況を精度よく管理する技術が求められている。
【0005】
そこでこの発明は、上述の課題を解決する運転状況監視装置、運転状況監視システム、運転状況監視方法、ドライブレコーダを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、運転状況監視装置は、車両に搭載されたドライブレコーダから、当該車両の運転者を撮影した画像を通信により取得する取得手段と、前記画像に基づいて、予め登録された運転者の情報の中から前記車両の運転者の識別情報を特定する第1の特定処理と、前記第1の特定処理で識別情報が特定されなかった場合に、管理者による入力に基づいて、予め登録された運転者の情報の中から前記車両の運転者の識別情報を特定する第2の特定処理と、を行う特定手段と、を備える。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、車両に搭載されたドライブレコーダと、運転状況監視装置とを有する運転状況監視システムは、前記運転状況監視装置が、前記ドライブレコーダから、前記車両の運転者を撮影した画像を通信により取得する取得手段と、前記画像に基づいて、予め登録された運転者の情報の中から前記車両の運転者の識別情報を特定する第1の特定処理と、前記第1の特定処理で識別情報が特定されなかった場合に、管理者による入力に基づいて、予め登録された運転者の情報の中から前記車両の運転者の識別情報を特定する第2の特定処理と、を行う特定手段と、を備える。
【0008】
本発明の第3の態様によれば、運転状況監視方法は、車両に搭載されたドライブレコーダから、当該車両の運転者を撮影した画像を通信により取得し、前記画像に基づいて、予め登録された運転者の情報の中から前記車両の運転者の識別情報を特定する第1の特定処理と、前記第1の特定処理で識別情報が特定されなかった場合に、管理者による入力に基づいて、予め登録された運転者の情報の中から前記車両の運転者の識別情報を特定する第2の特定処理と、を行う。
【0009】
本発明の第4の態様によれば、車両の内部を撮影する撮影手段と、前記撮影手段によって撮影された前記車両の運転者の画像を送信する送信手段と、を備えるドライブレコーダは、前記送信手段が、運転状況監視装置において、車両の運転者の画像に基づいて、予め登録された運転者の情報の中から前記車両の運転者の識別情報を特定する第1の特定処理と、前記第1の特定処理で識別情報が特定されなかった場合に、管理者による入力に基づいて、予め登録された運転者の情報の中から前記車両の運転者の識別情報を特定する第2の特定処理と、を行うために用いられる、前記車両の運転者の画像を送信する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の車両をそれぞれ運転する各運転者の運転状況を監視して運転者毎に運転状況センシング装置から取得したデータを管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態による運転状況監視システムを示す図である。
【
図2】本実施形態による運転状況監視装置のハードウェア構成図である。
【
図3】本実施形態による運転状況監視装置の機能ブロック図である。
【
図4】本実施形態によるドライブレコーダのハードウェア構成を示す図である。
【
図5】本実施形態によるドライブレコーダの制御装置の機能ブロック図である。
【
図6】本実施形態によるドライブレコーダの処理フローを示す第一の図である。
【
図7】本実施形態によるドライブレコーダの処理フローを示す第二の図である。
【
図8】本実施形態による運転状況監視装置の処理フローを示す図である。
【
図9】本実施形態による運転状況監視装置の最小構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態による運転状況監視装置を図面を参照して説明する。
図1は同実施形態による運転状況監視システムを示す図である。
図1で示すように運転状況監視システム100は運転状況監視装置1と、運転状況センシング装置の一態様であるドライブレコーダ2と含んで構成される。運転状況監視装置1とドライブレコーダ2とは無線通信ネットワークや有線通信ネットワークを介して接続される。ドライブレコーダ2は一例としては車両に設けられている。運転状況監視装置1は市中を走る複数の車両にそれぞれ設置されたドライブレコーダ2と通信接続する。
【0013】
図2は運転状況監視装置のハードウェア構成図である。
この図が示すように運転状況監視装置1はCPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、データベース104、通信モジュール105等の各ハードウェアを備えたコンピュータである。
【0014】
図3は運転状況監視装置の機能ブロック図である。
運転状況監視装置1は電源が投入されると起動し、予め記憶する運転状況監視プログラムを実行する。これにより運転状況監視装置1には、制御部11、センシングデータ取得部12、危険時運転データ生成部13、画像取得部14、運転者ID特定部15、記録部16、報告書類生成部17、警告情報生成部18、出力部19、の各機能が備わる。
【0015】
制御部11は運転状況監視装置1の各機能部を制御する。
センシングデータ取得部12は、通信接続された複数のドライブレコーダ2それぞれより、複数項目の運転状況を含む運転状況データと、運転時のイベント発生を通知するイベントデータとを取得する。
危険時運転データ生成部13は、運転者属性とイベントデータとに応じて複数項目から選択したいずれかの項目の運転状況の情報を含む危険時運転データを生成する。
【0016】
画像取得部14は、通信接続された複数のドライブレコーダ2それぞれより受信した運転者の認証用撮影画像データを取得する。画像取得部14はさらに、ドライブレコーダ2が撮影により生成した画像データのうち運転者属性に基づいて定められたアップロード画像データを、危険時運転データの生成に基づく取得タイミングにドライブレコーダ2から取得する。
運転者ID特定部15は、認証用撮影画像データ中の複数の画像に含まれる運転者に関する画像に基づいて運転者が予め記憶する運転者と一致するかの認証を行う。運転者ID特定部15は、当該認証が成功した場合に運転者のIDを特定する。
記録部16は、ドライブレコーダ2から送信された運転状況データと認証用撮影画像データとからなる情報を、特定した運転者IDに関連付けて記録する。
報告書類生成部17は、危険時運転データを少なくとも用いて運転者属性に応じた報告書類データを生成する。
警告情報生成部18は、危険時運転データの生成を契機に運転者属性に応じた警告情報を生成する。
出力部19は、報告書類データや警告データを出力する。
【0017】
図4はドライブレコーダのハードウェア構成を示す図である。
ドライブレコーダ2は、センサ21、通信装置22、カメラ23、制御装置24、記憶装置25などを含んで構成される。センサ21は加速度センサ211、音検知センサ212、GPSセンサ213などであってよい。なおこれらのセンサ21は、ドライブレコーダ2の外部の車両に設置されて、ドライブレコーダ2がそれらセンサ21のセンシングした情報を取得してもよい。
通信装置22は運転状況監視装置1と通信接続する。カメラ23は車両の外部や内部を撮影して動画像、静止画像を生成する。
制御装置24はドライブレコーダ2の各機能を制御する。記憶装置25は動画像、静止画像、センサ21でセンシングされた各種情報を記憶する。ドライブレコーダ2は基地局等を介して運転状況監視装置1と通信接続する。なおドライブレコーダ2の制御装置24は、CPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータである。
【0018】
図5はドライブレコーダに備わる制御装置の機能ブロック図である。
制御装置24はドライブレコーダが起動すると制御プログラムを実行する。これにより制御装置24には、車両情報取得部241、位置情報取得部242、加速度情報取得部243、イベント検知部244、アップロード画像生成部245、運転状況データ送信部246、イベントデータ送信部247、アップロード画像送信部248、認証用画像データ生成部249の各機能部が備わる。
【0019】
車両情報取得部241は、ドライブレコーダに挿入されたメモリに記録されている車両に関する情報(車両種別、車両ID)や、その他の車両の加速度、位置以外の車両に設けられたセンサよりセンシング情報を含む車両情報を取得する。車両情報取得部241の取得できる車両情報としては、例えばさらに、運転始動時刻、運転停止時刻、時刻に応じた車両速度、車内温度などの情報が含まれてよい。
位置情報取得部242は車両の時刻に応じた位置(緯度、経度)の情報をGPSセンサ213などから取得する。
加速度情報取得部243は車両の時刻に応じた加速度の情報を加速度センサ211から取得する。
イベント検知部244は加速度に基づいて車両に所望のイベントが発生したかを判定する。所望のイベントとは例えば危険なイベントであり、急加速、急減速などのイベントであってよい。より具体的にはイベント検知部244は、運転者属性に基づいて決定された条件(動作条件データ)に基づいて、イベントが発生したかを検知する。
アップロード画像生成部245はカメラ23の撮影により当該カメラ23から動画像、静止画像を取得し、通信装置22を介して送信するイベント時の動画像、イベント発生時の静止画像を含むアップロード画像データを生成する。アップロード画像生成部245は具体的には、運転者属性に基づいて決定された条件に基づいて、イベント時の動画像、イベント発生時の静止画像を生成する。
運転状況データ送信部246は、車両情報、位置情報、加速度情報、認証用画像データを含む運転状況データを運転状況監視装置1へ送信する。
イベントデータ送信部247はイベント検知部244によりイベントの発生が検知された場合にイベントデータを送信する。イベントデータにはイベントの種別を示す識別子が含まれてよい。
アップロード画像送信部248はアップロード画像生成部245の生成したイベント発生時の動画像や、イベント発生時の静止画像を示すアップロード画像データを運転状況監視装置1へ送信する。
認証用画像データ生成部249はドライブレコーダ2のカメラ23の撮影により当該カメラ23から動画像(撮影画像)を取得し、認証用画像データを生成する。認証用画像データは撮影画像の一態様である。本実施形態において認証用画像データは運転者の顔画像を含む画像データである。認証用画像データ生成部249は認証に用いられる際に認証精度が向上するように、撮影画像における顔画像を拡大するなど加工処理を施した認証用画像データを生成してもよい。認証用画像データには撮影画像に含まれるフレーム画像のうち時刻の経過に従って抽出された複数枚の画像が含まれることとする。一例としては認証用画像データには撮影画像における10枚のフレーム画像が含まれる。認証用画像データはドライブレコーダ2が動作している間に継続して取得する撮影画像に基づいて、所定の間隔で認証用撮影画像データを生成する。
【0020】
上述した動作条件データは、一例としては危険度識別子と加速度の条件と速度の条件と動作フラグとを紐づけた危険度レベルと、危険種別識別子と加速度方向と速度と動作フラグとを紐づけた危険運転種別との情報を含む。動作フラグが立っているか否かは運転者属性に応じて予め設定されている。このように動作条件データは加速度と速度とに基づいて危険度レベルと危険種別と規定したでデータである。動作フラグは運転者属性によって設定される。運転者属性は例えば運転者の所属する会社を示し、会社の担当者が会社に所属する運転者の動作フラグを設定し、これが動作条件データ内に保持される。
【0021】
図6はドライブレコーダの処理フローを示す第一の図である。
次に運転状況監視システムの処理フローについて順を追って説明する。
まずドライブレコーダ2における運転状況情報の送信処理について説明する。
車両の電気系統が起動するとドライブレコーダ2が動作を始動する(ステップS101)。ドライブレコーダ2のセンサ21それぞれは、ドライブレコーダ2の始動後に各種センシングを開始する(ステップS102)。またカメラ23は撮影を開始する(ステップS103)。そしてドライブレコーダ2の動作中、制御装置24の車両情報取得部241は車両情報を取得する(ステップS104)。車両情報取得部241は車両情報に含まれるセンシング情報については所定の時間間隔で繰り替えし取得してよい。また位置情報取得部242はGPSセンサ213から緯度経度を所定の時間間隔で取得する(ステップS105)。また加速度情報取得部243は、加速度センサ211から加速度を所定の時間間隔で取得する(ステップS106)。また認証用画像データ生成部249はカメラ23から取得した撮影画像に基づいて認証用画像データを所定の時間間隔で生成する。所定の時間間隔は例えば0.1秒毎などであってよい。認証用画像データ生成部249については1分毎などの他のセンシング情報と異なる長い時間間隔で生成されてもよい。運転状況データ送信部246は、車両情報、位置情報(緯度、経度)、加速度、認証用画像データを取得し、それらの情報と運転状況データの生成時刻とドライブレコーダ2のIDとを含む運転状況データを生成する(ステップS107)。運転状況データ送信部246は当該運転状況データの運転状況監視装置1への送信を通信装置22へ要求する。通信装置22は運転状況データを運転状況監視装置1へ送信する(ステップS108)。制御装置24は処理終了かを判定し(ステップS109)、処理終了までステップS102からの処理を繰り返す。
【0022】
図7はドライブレコーダの処理フローを示す第二の図である。
ドライブレコーダ2は運転状況情報の送信処理と並行してイベント検知処理を行う。まずドライブレコーダ2が始動すると、制御装置24のイベント検知部244は加速度情報取得部243から加速度情報を所定の時間間隔で取得する(ステップS201)。またイベント検知部244は車両情報取得部241から速度情報を所定の時間間隔で取得する(ステップS202)。イベント検知部244は車両の加速度と速度の時間変化に基づいて車両にイベントが発生したかを検知する(ステップS203)。イベントとは本実施形態においては危険な事象を示すイベントである。このイベントが発生したか否かの検知は運転者属性によって定められてよい。
【0023】
具体的にはイベント検知部244は上述した動作条件データを取得する。この動作条件データに含まれる危険度レベル情報は危険度に応じた加速度毎に動作フラグを保持する。また動作条件データに含まれる危険運転種別情報は危険運転の種別に応じた加速度方向条件と速度条件毎に動作フラグを保持する。イベント検知部244は動作フラグが「1」を示す危険度の加速度となり、かつ動作フラグが「1」を示す危険運転種別の加速度方向や速度の条件に一致する場合、イベント発生を検知する。イベント検知部244は動作フラグが「1」を示す危険度の加速度となったか、または動作フラグが「1」を示す危険運転種別の加速度方向や速度の条件に一致する場合の少なくとも一方において、イベント発生を検知するようにしてもよい。危険度レベル情報や危険運転種別情報に保持される動作フラグは運転者属性に応じて設定されるため、運転者属性に基づくイベント発生の検知を行うことができる。
【0024】
イベント検知部244はイベント発生を検知した場合、アップロード画像生成部245にアップロード画像データの生成を指示する。アップロード画像生成部245はドライブレコーダ2のカメラ23が撮影した撮影画像を取得している。アップロード画像生成部245はイベント発生の検知信号をイベント検知部244から入力すると、取得した撮影画像に基づいてアップロード画像データを生成する(ステップS204)。具体的にはアップロード画像生成部245は静止画像や所定の再生時間の動画像を生成する。静止画像の枚数、静止画像のイベント発生時刻を基準とした撮影時刻、動画像の再生時間、動画像のイベント発生時刻を基準とした動画開始タイミングを合わせる時刻などは運転者属性に応じて定められていてよい。アップロード画像生成部245は生成した静止画像や動画像と、生成時刻と、ドライブレコーダ2のIDとを含むアップロード画像データを一時的に記憶する(ステップS205)。アップロード画像生成部245は生成から1週間前等の所定期間経過したアップロード画像データは削除してもよい。
【0025】
イベント検知部244はイベント発生を検知した場合、イベントデータを生成する(ステップS206)。イベントデータにはイベント発生を検知した際の加速度と、速度と、イベント発生時刻と、ドライブレコーダ2のIDととが含まれてよい。イベントデータには、車両の位置情報(緯度、経度)や他のセンシング情報が含まれていてもよい。イベントデータ送信部247はイベントデータをイベント検知部244から取得する。イベントデータ送信部247は、イベントデータの運転状況監視装置1への送信を通信装置22へ指示する。通信装置22はイベントデータを運転状況監視装置1へ送信する(ステップS207)。制御装置24は処理終了かを判定し(ステップS208)、処理終了までステップS202からの処理を繰り返す。
【0026】
図8は運転状況監視装置の処理フローを示す図である。
運転状況監視装置1において、センシングデータ取得部12は車両の通信装置22の送信した運転状況データを、通信モジュール105を介して取得する(ステップS301)。またセンシングデータ取得部12は車両の通信装置22の送信したイベントデータを、通信モジュール105を介して取得する(ステップS302)。運転者ID特定部15は、運転状況データに含まれる認証用画像データを取得する。運転者ID特定部15は認証用画像データに含まれる画像から顔特徴情報を生成する。運転者ID特定部15は予めデータベース104に記録されている複数の運転者についての運転者IDと顔特徴情報との組み合わせの情報を順次取得する。運転者ID特定部15はデータベース104から取得した顔特徴情報と、認証用画像データに基づいて生成した顔特徴情報との一致度を算出する。当該一致度の算出手法として公知の算出手法を用いてよい。運転者ID特定部15は予め定められた閾値以上の一致度の算出に利用した顔特徴情報に紐づく運転者IDを、データベース104から取得した運転者IDの中から一つまたは複数特定する認証処理を行う。運転者ID特定部15は、一致度に基づいて運転者IDの特定ができたかどうかの認証処理を行う(ステップS303)。具体的には運転者ID特定部15は、特定した運転者IDが一つの場合には、その運転者IDの特定において算出した一致度が所定の閾値以上であれば、その運転者IDを特定し認証成功と判定する(ステップS304)。運転者ID特定部15は、特定した運転者IDが複数の場合にはその中から一つの運転者IDを特定し認証成功と判定する。具体的には、運転者ID特定部15は、各運転者IDの特定に用いた一致度の平均値を、運転者IDごとに算出する。運転者ID特定部15は一致度の平均値が最も高い運転者IDを、車両を運転する運転者の運転者IDと特定する。運転者ID特定部15は、ドライブレコーダ2から取得した運転状況データに対応する運転者IDを特定すると、運転者IDを記録部16に出力する。記録部16は運転者IDと運転状況データと、当該運転状況データに含まれるドライブレコーダ2のIDを紐づけてデータベース104に記録する(ステップS305)。
【0027】
危険時運転データ生成部13はイベントデータに基づいてドライブレコーダ2の備わる車両におけるイベント発生を検知する(ステップS306)。危険時運転データ生成部13はイベント発生を検知すると、イベント発生時刻を基準としたイベント発生時間における車両情報を解析する(ステップS307)。例えばイベント発生時間は、イベント発生時刻を基準とする前後1分間であってよい。危険時運転データ生成部13はイベント発生時刻を基準とする1分前と1分後の各時刻によって特定されるイベント発生時間を算出し、そのイベント発生時間における情報(車両情報、位置情報、加速度など)を受信した運転状況データの中から抽出する。危険時運転データ生成部13はイベントデータに含まれるドライブレコーダ2のIDを取得する。また危険時運転データ生成部13はドライブレコーダ2のIDに基づいて、ステップS305で記録された運転者IDをデータベース104から読み取る。危険時運転データ生成部13は、ドライブレコーダ2のIDや運転者IDに紐づいて予め記憶する解析条件を取得する。解析条件はドライブレコーダ2のIDや運転者IDによって特定されるため、例えばドライブレコーダ2を車両に搭載して使用している企業や運転者個人に応じた解析条件が得られる。ドライブレコーダ2のIDや運転者IDは運転者属性を示す情報の一態様である。
【0028】
危険時運転データ生成部13は解析条件に基づいてイベント発生時間に基づいて運転状況データから抽出した情報(以下、抽出情報)を解析し、その解析結果である危険時運転データを生成する(ステップS308)。解析条件は解析に利用する情報や、その情報の値が示す範囲等を示す情報や、解析手法などを示す情報が含まれる。危険時運転データ生成部13は抽出情報を解析条件が示す解析手法に基づいて解析した結果、重要なイベントであるか否かを判定する。一例としては、解析条件は上述した動作条件データで規定される条件であってよい。危険時運転データ生成部13は動作フラグが「1」となる加速度が抽出情報に含まれる場合、抽出情報から車両の速度をイベント発生時間における所定間隔の各時刻の速度を読み取る。危険時運転データ生成部13はそれら加速度と速度のイベント発生時間における遷移に基づいて、危険運転種別を特定する。危険時運転データ生成部13は特定した危険種別に対応する動作フラグが「1」を示す場合、危険種別の識別情報を含む危険時運転データを生成する。危険時運転データにはイベント発生時間における加速度や速度、その他の運転状況データから抽出した抽出情報等が含まれてよい。出力部19は生成された危険時運転データを取得する。出力部19はその危険時運転データをドライブレコーダ2のIDや運転者IDに紐づけてデータベース104等の記憶部に記録する(ステップS309)。
【0029】
また危険時運転データ生成部13は特定した危険種別に基づいて画像のアップロードの行うかを判定する(ステップS310)。画像のアップロード判定条件はドライブレコーダ2のIDや運転者ID等の運転者属性に基づいて定められており予め運転状況監視装置1が記憶してよい。危険時運転データ生成部13は特定した危険種別が、画像のアップロードを求められる危険種別である場合、画像取得部14にドライブレコーダ2のIDとイベント発生時間とを少なくとも含む画像取得要求を出力する。画像取得部14は画像取得要求を危険時運転データ生成部13から入力すると、通信モジュール105を介してドライブレコーダ2のIDに紐づいて予め特定されるドライブレコーダ2の通信アドレス宛に画像取得要求を送信する(ステップS311)。
【0030】
ドライブレコーダ2の制御装置24は画像取得要求を受信する。すると制御装置24のアップロード画像送信部248は、アップロード画像生成部245によって生成されたアップロード画像データのうち、画像取得要求から抽出したイベント発生時間に含まれる時刻に対応するアップロード画像データを一時的に記憶するアップロード画像データの中から特定する。アップロード画像送信部248は特定したアップロード画像データの送信を待機してバッファなどに一時的に格納する。アップロード画像送信部248は、一例として、車両の電気系統が再び起動し、運転状況監視装置1が再起動した際に、バッファに一時的に格納し送信を待機していたアップロード画像データを、通信装置22を介して運転状況監視装置1へ送信する。画像取得部14はドライブレコーダ2から送信されたアップロード画像データを取得する(ステップS312)。画像取得部14は既に生成されている危険時運転データに紐づけてアップロード画像データを記録する(ステップS313)。
【0031】
以上の処理により、運転状況監視装置1は、運転者属性に応じた危険時運転データとアップロード画像データを生成して記憶することができる。上述の処理によればアップロード画像データは運転者属性に応じて生成された撮影された動画像のうちの一部の静止画像や動画像のデータである。したがって、運転状況監視装置1に送信されるアップロード画像データのデータ量を削減することができる。またドライブレコーダ2は再起動時にアップロード画像データを運転状況監視装置1へ送信する。したがって容量の大きい可能性のあるアップロード画像データを車両が停止している可能性の高い時間帯であって、車両が停止していることにより通信品質が安定している可能性が高い時間帯に運転状況監視装置1へ送信することができる。
【0032】
上述のステップS303の処理において一致度やその平均値が所定の閾値以上となる運転者IDが得られない場合には、所定回数の認証処理を行ったかを判定する(ステップS321)。運転者ID特定部15は所定回数の認証処理を行っていない場合には、次の運転状況データに含まれる認証用画像データを用いてステップS303の認証処理を繰り返す。運転者ID特定部15は所定回数以上の認証処理を行った場合には、認証不成功と判定する(ステップS322)。運転者ID特定部15は認証不成功と判定した場合、仮IDを生成する(ステップS323)。運転者ID特定部15は仮IDを生成すると、運転者IDを記録部16に出力する。記録部16は仮IDと運転状況データと、当該運転状況データに含まれるドライブレコーダ2のIDを紐づけてデータベース104に記録する(ステップS324)。その後ステップS306に処理が遷移する。
【0033】
運転者ID特定部15は、ステップS323で生成した仮IDを所定のタイミングで管理者に通知する。例えば運転者ID特定部15は所定の時刻に管理者の端末画面に仮IDや、仮IDに紐づいてデータベース104に記録された運転状況データの記録先URLを含む画面情報を送信する。これにより管理者の端末に仮IDや記録先URLを含む画面情報が表示される。管理者は記録先URLに基づいて運転状況データにアクセスし、当該データに含まれる認証用画像データやアップロード画像データの画像を表示させる。管理者はその画像中の顔画像を元に、運転者の顔画像の特徴情報が既にデータベース104に記録された運転者かを判定する。管理者は運転者の顔画像の特徴情報が既にデータベース104に記録されている場合には、データベース104に記録されている当該仮IDを、特定した運転者の運転者IDに書き換える操作を行う。管理者は仮IDと運転者IDとを運転状況監視装置1に入力し、運転者ID特定部15が管理者の当該操作に基づいてデータベース104に記録されている当該仮IDを、当該仮IDと共に入力された運転者の運転者IDに書き換える処理を行うようにしてもよい。
【0034】
運転者の顔画像の特徴情報がデータベース104に記録されていない場合には、管理者は、認証用画像データやアップロード画像データの画像に表示される運転者を特定し、その運転者に運転者IDを発行する。管理者はデータベース104に記録されている当該仮IDを、新たに発行した運転者の運転者IDに書き換える操作を行う。管理者は仮IDと新たに発行した運転者IDとを運転状況監視装置1に入力し、運転者ID特定部15が管理者の当該操作に基づいてデータベース104に記録されている当該仮IDを、当該仮IDと共に入力された運転者の運転者IDに書き換える処理を行うようにしてもよい。
【0035】
上述の処理によれば、運転状況監視装置1は受信した認証用画像データに基づいて、運転者のIDを特定することができる。これにより運転者がドライブレコーダ2にメモリカードを挿入等して自信のID等の識別情報をドライブレコーダ2に認識させる積極的な操作を行うことなく、運転状況監視装置1はその運転者のIDを認識することができる。
そして、運転者の撮影画像に基づいて特定された運転者IDと運行状況データやアップロード画像データが紐づいてデータベース104に記録されることにより、実際の運転者とは異なる人物のIDがドライブレコーダ2に入力されるなどにより、誤ってまたは偽装して異なる人物のIDと運行状況データが紐づいてデータベース104に記録されるような不正を行わないよう管理することが出来る。
また運転者の撮影画像に基づく認証用画像データにおいて運転者IDの特定ができない場合にも、仮IDが発行され管理者に通知されるので、管理者により適切な運転者IDを運行状況データ等に紐づけて記録することができる。
そして、複数の車両をそれぞれ運転する各運転者の運転状況を監視して、運転者毎にドライブレコーダ2から取得したデータを精度よく管理することができる。
【0036】
運転状況監視装置1の警告情報生成部18は危険時運転データ生成部13によって特定された危険種別、運転状況データを送信したドライブレコーダ2のIDを少なくとも含む警告情報を生成する(ステップS314)。出力部19は警告情報生成部18の生成した警告情報を取得する。出力部19は、通信モジュール105を介してドライブレコーダ2のIDに紐づいて予め特定されるドライブレコーダ2の通信アドレス宛に警告情報を送信する(ステップS315)。ドライブレコーダ2は警告情報を受信する。ドライブレコーダ2は警告情報を受信すると、その警告情報に含まれる危険種別に応じた出力を行うようにしてもよい。例えばドライブレコーダ2は危険種別に応じた音や音声を発する。これによりユーザに対して危険種別に応じた警告を行うことができる。
【0037】
運転状況監視装置1の報告書類生成部17は、所定のタイミングで報告書類データを生成するかを判定し(ステップS316)、所定のタイミングに達した場合には運転者に応じた報告書類データを生成する(ステップS317)。報告書類データの生成タイミングは例えば一日一回、24時などの所定の時刻である。報告書類の生成の具体例は、例えば、報告書類生成部17がデータベース104等の記憶部に記録される一つの運転者IDに紐づくドライブレコーダ2のID危険時運転データとアップロード画像データを取得する。報告書類生成部17は運転者IDとドライブレコーダ2のIDの少なくとも一方に基づいて、予め記憶する報告書類生成条件を取得する。報告書類生成条件には、報告書類に掲載する情報の種別、報告書類の送信先等の情報が含まれる。報告書類生成部17は、報告書類生成条件に基づいて報告書類データを生成する。報告書類データには、例えば、車両情報に含まれる車両の始動からの時間を示すアイドリング時間、危険種別毎の発生回数に応じたレーダーチャート、危険種別やそれらの発生回数に基づいて報告書類生成部17の算出した点数、当該点数に応じて報告書類生成部17が集計した危険度ランキング、等が含まれる。出力部19は報告書類データが生成されると、その報告書類データを取得し、対応する運転者IDやドライブレコーダ2のIDに基づく送信先のアドレス宛に送信する(ステップS318)。運転状況監視装置1の制御部11は処理終了かを判定し(ステップS319)、処理終了までステップS302からの処理を繰り返す。
【0038】
以上の処理により運転状況監視装置1は運転者属性に応じた報告書類データを生成して、所望の送信先に送信することができる。
【0039】
図9は運転状況監視装置の最小構成を示す図である。
この図が示すように運転状況監視装置1は少なくとも、センシングデータ取得部12と、運転者ID特定部15と、記録部16とを備えればよい。センシングデータ取得部12は、通信接続された複数のドライブレコーダ2それぞれより、運転者の撮影画像と運転状況を示す運転状況データを取得する。
運転者ID特定部15は、撮影画像中の複数の画像に含まれる運転者に関する情報に基づいて運転者が予め記憶する運転者と一致するかの認証を行う。運転者ID特定部15は、当該認証が成功した場合に運転者IDを特定する。
記録部16は、ドライブレコーダ2から送信された運転状況データと、当該運転状況データに対応する撮影画像に基づいて特定した運転者IDとを関連付けて記録する。
【0040】
上述の運転状況監視装置1やドライブレコーダ2の制御装置24は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。
【0041】
上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0042】
1・・・運転状況監視装置
2・・・ドライブレコーダ
11・・・制御部
12・・・センシングデータ取得部
13・・・危険時運転データ生成部
14・・・画像取得部
15・・・運転者ID特定部
16・・・記録部
17・・・報告書類生成部
18・・・警告情報生成部
19・・・出力部
21・・・センサ
22・・・通信装置
23・・・カメラ
24・・・制御装置
25・・・記憶装置
211・・・加速度センサ
212・・・音検知センサ
213・・・GPSセンサ
241・・・車両情報取得部
242・・・位置情報取得部
243・・・加速度情報取得部
244・・・イベント検知部
245・・・アップロード画像生成部
246・・・運転状況データ送信部
247・・・イベントデータ送信部
248・・・アップロード画像送信部