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特許7666585商品デザイン生成支援装置、商品デザイン生成支援方法、及び、商品デザイン生成支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-14
(45)【発行日】2025-04-22
(54)【発明の名称】商品デザイン生成支援装置、商品デザイン生成支援方法、及び、商品デザイン生成支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20250415BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023510011
(86)(22)【出願日】2021-03-31
(86)【国際出願番号】 JP2021013813
(87)【国際公開番号】W WO2022208715
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100178216
【弁理士】
【氏名又は名称】浜野 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】下村 英恵
(72)【発明者】
【氏名】高本 亮
【審査官】原 忠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/138201(WO,A1)
【文献】特開2004-102734(JP,A)
【文献】特開2007-280048(JP,A)
【文献】特開2017-157110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存商品のデザインを表す既存商品画像を取得する取得手段と、
複数の新商品デザイン画像の中から、前記既存商品画像との相違性が最も大きい新商品のデザインの特徴を有する画像を特定する特定手段と、
前記新商品のデザインに関する特徴に基づいて、前記新商品のデザインに関するデザイン情報を出力する出力手段と、
を備える商品デザイン生成支援装置。
【請求項2】
前記デザイン情報は、前記新商品のデザインに関するロゴ、色彩、色調、形状、文字の大きさ、文字の位置、文字のフォント、前記新商品に関連する物の画像、当該画像の位置の少なくとも一つを含む、
請求項1に記載の商品デザイン生成支援装置。
【請求項3】
前記出力手段は、画像生成基準に基づいて、前記新商品のデザインを表すデザイン画像を出力する、
請求項1又は請求項2に記載の商品デザイン生成支援装置。
【請求項4】
前記画像生成基準は、前記既存商品のデザインに関する特徴量と、前記既存商品画像との関係を学習することにより生成される画像生成モデルである、
請求項3に記載の商品デザイン生成支援装置。
【請求項5】
前記画像生成基準は、前記新商品のデザインにおいて、使用される色、文字あるいは絵の表示位置又は大きさの、少なくとも一つに関する条件を含む、
請求項3または請求項4に記載の商品デザイン生成支援装置。
【請求項6】
前記既存商品画像に基づいて、前記既存商品のデザインに関する特徴を抽出する抽出手段をさらに備え、
前記特定手段は、前記既存商品のデザインに関する特徴に基づいて、前記新商品のデザインに関する特徴を特定する、
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の商品デザイン生成支援装置。
【請求項7】
前記取得手段は、複数の前記新商品のデザイン候補に関する複数の候補画像を取得し、
前記抽出手段は、複数の前記候補画像に基づいて、複数の前記新商品のデザイン候補に関する特徴をそれぞれ抽出し、
前記特定手段は、前記既存商品のデザインに関する特徴と、複数の前記新商品のデザイン候補に関する特徴とに基づいて、複数の前記新商品のデザイン候補から特定のデザインを特定し、
前記出力手段は、前記特定のデザインに関する前記デザイン情報を出力する
請求項6に記載の商品デザイン生成支援装置。
【請求項8】
前記抽出手段は、抽出した前記既存商品のデザインに関する特徴を数値化することによって、前記既存商品のデザインを、前記デザインの特徴を表す特徴ベクトル空間に配置し、
前記特定手段は、前記特徴ベクトル空間において、前記既存商品のデザインとの距離が条件を満たす位置を特定し、
前記出力手段は、前記特定手段によって特定された位置が示す、前記新商品のデザインに関する前記デザイン情報を出力する、
請求項6または請求項7に記載の商品デザイン生成支援装置。
【請求項9】
情報処理システムによって、
既存商品のデザインを表す既存商品画像を取得し、
複数の新商品デザイン画像の中から、前記既存商品画像との相違性が最も大きい新商品のデザインの特徴を有する画像を特定し、
前記新商品のデザインに関する特徴に基づいて、前記新商品のデザインに関するデザイン情報を出力する、
商品デザイン生成支援方法。
【請求項10】
既存商品のデザインを表す既存商品画像を取得する取得処理と、
複数の新商品デザイン画像の中から、前記既存商品画像との相違性が最も大きい新商品のデザインの特徴を有する画像を特定する特定処理と、
前記新商品のデザインに関する特徴に基づいて、前記新商品のデザインに関するデザイン情報を出力する出力処理と、
をコンピュータに実行させるための商品デザイン生成支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品デザイン生成支援装置、商品デザイン生成支援システム、商品デザイン生成支援方法、及び、商品デザイン生成支援プログラムが格納された記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
商品のデザインを含む商品の外観を表す画像データをデータベースに蓄積することにより、その外観が目的とする特徴を有する商品の検索を支援する技術が、様々なシステムにおいて使用されている。
【0003】
このような技術に関連する技術として、特許文献1には、商品画像データが蓄積されているデータベースを備える検索支援システムが開示されている。このシステムは、入力画像データに対して、入力画像データの画像についての特徴を示す画像特徴情報と同一又は類似した画像特徴情報の商品画像データを、当該データベースから取得する。このシステムは、日時に関する日時情報、場所に関する場所情報、状況に関する状況情報のうち少なくとも1つを含む検索条件を設定する。そしてこのシステムは、設定した検索条件をもとに、商品画像データの検索を行い、取得された商品画像データと共に、当該商品画像データに対応する商品と異なる他の商品に関する情報を出力する。
【0004】
また、特許文献2には、受け付けた検索条件を満たす商品の画像を、商品データベースから検索、特定、抽出する商品検索装置が開示されている。この装置は、抽出した商品の画像の各々に対応する特徴量に従って、特徴量の空間に、商品の画像を配置した商品一覧画像のデータを作成する。この装置は、商品の柄の特徴量が1次元の場合、各商品の画像を、1次元の特徴量の座標軸に沿って、各商品に対応する各特徴量の大小に従い、直線状に配列する。そしてこの装置は、特徴量が2次元の場合、各商品の画像を、この特徴量を構成する2つの座標軸の各々に沿って、各商品に対応する特徴量の大小に従い、マトリクス状に配列する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2011/078174号
【文献】特開2015-162198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、様々な商品が陳列された商品棚において、商品のデザインが競合する既存商品に対して相対的に顧客の目を引くことは、その商品が売れることの要因の一つになりうる。しかしながら、商品デザインはデザイナーにより人手で作られることが多い。そのため、デザイナーの知見や作業工数や作業時間等の制約から、上述のようなデザインを作成することが難しい場合がある。上述した特許文献1及び2は、このような技術について特に言及していない。
【0007】
本発明の主たる目的は、上述した課題を解決する商品デザイン生成支援装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る商品デザイン生成支援装置は、既存商品のデザインを表す既存商品画像を取得する取得手段と、前記既存商品画像に基づいて、前記既存商品のデザインとの相違性に関する条件を満たすような新商品のデザインの特徴を特定する特定手段と、前記新商品のデザインに関する特徴に基づいて、前記新商品のデザインに関するデザイン情報を出力する出力手段と、を備える。
【0009】
上記目的を達成する他の見地において、本発明の一態様に係る商品デザイン生成支援方法は、情報処理システムによって、既存商品のデザインを表す既存商品画像を取得し、前記既存商品画像に基づいて、前記既存商品のデザインとの相違性に関する条件を満たすような新商品のデザインの特徴を特定し、前記新商品のデザインに関する特徴に基づいて、前記新商品のデザインに関するデザイン情報を出力する。
【0010】
また、上記目的を達成する更なる見地において、本発明の一態様に係る商品デザイン生成支援プログラムは、既存商品のデザインを表す既存商品画像を取得する取得処理と、前記既存商品画像に基づいて、前記既存商品のデザインとの相違性に関する条件を満たすような新商品のデザインの特徴を特定する特定処理と、前記新商品のデザインに関する特徴に基づいて、前記新商品のデザインに関するデザイン情報を出力する出力処理と、をコンピュータに実行させる。
【0011】
更に、本発明は、係る商品デザイン生成支援プログラム(コンピュータプログラム)が格納された、コンピュータ読み取り可能な、不揮発性の記録媒体によっても実現可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、既存商品に対して相対的に目を引く商品のデザインの生成を支援する商品デザイン生成支援装置等が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施形態に係る商品デザイン生成支援装置10の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る抽出部12によって商品のデザインが配置された特徴ベクトル空間を例示する図である(新商品のデザイン候補が既に絞り込まれている場合)。
図3】本発明の第1の実施形態に係る商品デザイン生成支援装置10の動作(処理)を示すフローチャートである(新商品のデザイン候補が既に絞り込まれている場合)。
図4】本発明の第1の実施形態に係る抽出部12によって商品のデザインが配置された特徴ベクトル空間を例示する図である(新商品のデザイン候補が未作成の場合)。
図5】本発明の第1の実施形態に係る商品デザイン生成支援装置10の動作(処理)を示すフローチャートである(新商品のデザイン候補が未作成の場合)。
図6】本発明の第1の実施形態の変形例に係る商品デザイン生成支援システム10Aの構成を示すブロック図である。
図7】本発明の第2の実施形態に係る商品デザイン生成支援装置30の構成を示すブロック図である。
図8】本発明の各実施形態に係る商品デザイン生成支援装置を実現可能な情報処理装置900の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る商品デザイン生成支援装置10の構成を示すブロック図である。本実施形態に係る商品デザイン生成支援装置10は、例えば店舗の商品棚において、競合する既存商品(競合商品)に対して、相対的に顧客の目を引くような商品のデザインを生成することを支援するシステムである。商品デザイン生成支援装置10が対象とする商品のデザインは、例えば、飲料等の商品が入れられた缶あるいは瓶等の容器、あるいは食品等の商品が梱包された箱あるいは袋等のパッケージデザインである。商品デザイン生成支援装置10が対象とする商品のデザインは、あるいは例えば、クッキー等の菓子あるいは自動車等の商品自体のデザインでもよい。商品のデザインは、より具体的には、例えば、商品の形状、模様、色彩等であるが、これらに限定されない。
【0016】
商品デザイン生成支援装置10には、管理端末装置20が通信可能に接続されている。管理端末装置20は、商品デザイン生成支援装置10を使用するユーザが、商品デザイン生成支援装置10に対して情報を入力したり、商品デザイン生成支援装置10から出力された情報を確認したりする際に使用する、例えばパーソナルコンピュータ、その他の情報処理装置である。管理端末装置20は、商品デザイン生成支援装置10から出力された後述するデザイン情報103等を表示する表示画面200を備えている。
【0017】
商品デザイン生成支援装置10は、取得部11、抽出部12、特定部13、及び、出力部14を備えている。取得部11、抽出部12、特定部13、及び、出力部14は、順に、取得手段、抽出手段、特定手段、及び、出力手段の一例である。
【0018】
商品デザイン生成支援装置10が例えば新商品のデザインの生成を支援することに関して、大別して下記の2つの場合がある。
(1)新商品に関して既に複数のデザイン候補に絞り込まれており、それら複数のデザイン候補の中から、既存商品に対して相対的に最も顧客の目を引くデザイン候補を選択する場合。
(2)新商品に関してまだデザイン候補が未作成であり、既存商品に対して相対的に最も顧客の目を引くようなデザイン候補をこれから作成する場合。
【0019】
次に上述の2つの場合について、本実施形態に係る商品デザイン生成支援装置10の動作を順番に説明する。
【0020】
<(1)新商品に関して既に複数のデザイン候補がある場合>
取得部11は、ユーザにより入力された指示に応じて、例えば外部の装置から、既存商品画像101、及び、候補画像102を取得する。
【0021】
既存商品画像101は、1以上の競合する既存商品のデザインを表す情報である。より具体的には、例えば、既存商品画像101は、当該既存商品を撮像した画像である。尚、当該既存商品は、例えばユーザによって選択された、競合他社の売れ筋の商品であってもよい。
【0022】
候補画像102は、例えば新商品に関して既にデザイナー等によって作成済みである複数のデザイン候補(デザイン案)を表す情報である。より具体的には、例えば、候補画像102は、当該デザイン候補の画像である。
【0023】
抽出部12は、既存商品画像101が表すデザインの特徴、及び、候補画像102が表すデザイン候補の特徴を、ユーザ等により事前に与えられている抽出基準121に基づいて抽出する。
【0024】
例えば、デザイン画像及びデザイン候補画像の特徴は、デザイン画像又はデザイン候補画像が示す商品の形状、当該商品に描かれる文字の大きさ、文字のフォント、文字の位置、文字の色彩、文字の色調、当該商品に描かれる絵の種別(人、動物、物、景色、図形、等)、当該商品に描かれる絵の色彩や色調、などであるが、商品に描かれるものであれば上記に限定されない。
【0025】
抽出基準121は、抽出部12が既存の画像認識技術を用いて、既存商品画像101が表すデザインの上述した特徴、及び、候補画像102が表すデザイン候補の上述した特徴を抽出するための基準(ルール)を表す。
【0026】
抽出基準121は、例えば人手により作成された、特徴を抽出するための抽出ルールでもよい。
【0027】
また、抽出基準121は、様々な商品の画像の特徴量を抽出するように学習した特徴抽出モデルであってもよい。抽出部12は、上述した抽出ルール又は抽出モデルを用いることで、既存商品画像101又は候補画像102から、それぞれの画像に関する特徴量を抽出することができる。
【0028】
例えば、抽出部12は、上述した抽出ルール又は抽出モデルを用いることで、文字や絵の色調に関する特徴量を抽出する。色調に関する特徴量は、例えば、RGB(Red Green Blue)の階調(例えば8ビットの場合は256階調)等の有限の値として表される。
【0029】
例えば、抽出部12は、上述した抽出ルール又は抽出モデルを用いることで、商品の形状に関する特徴量を抽出する。商品の形状に関する特徴量は、例えば円形の場合は「10」、楕円形の場合は「11」、正方形の場合は「20」、長方形の場合は「21」というように、類似する形状同士で値が近くなるようにスコア化された有限の値として表される。
【0030】
例えば、抽出部12は、上述した抽出ルール又は抽出モデルを用いることで、既存商品画像101あるいは候補画像102における文字や絵の位置(画像における位置座標)に関する特徴を抽出する。この場合、絵は、例えば、商品に関連する物の画像であってもよい。より具体的には、例えば商品がオレンジジュースである場合、絵はオレンジの写真であってもよい。文字や絵の位置に関する特徴量は、例えば、商品における表示位置の座標等の有限の値として表される。
【0031】
例えば、抽出部12は、上述した抽出ルール又は抽出モデルを用いることで、既存商品画像101あるいは候補画像102において、文字や絵の大きさや文字や絵が当該画像を占める面積に関する特徴を抽出する。文字や絵の大きさや面積に関する特徴量は、それらの値を表す有限の値として表される。
【0032】
例えば、抽出部12は、上述した抽出ルール又は抽出モデルを用いることで、文字のフォントに関する特徴を抽出する。この場合、フォントが類似するほどそれらのフォントに関する特徴量が近い値となる。文字のフォントに関する特徴量は、フォントの種別を表す有限の値として表される。
【0033】
例えば、抽出部12は、既存商品画像101あるいは候補画像102において描かれる絵の種別に関する特徴を抽出する。この場合、絵の種別が類似するほどそれらの種別に関する特徴量が近い値となる。
【0034】
抽出部12は、上述の通りに特徴を数値化した既存商品のデザイン及び新商品のデザイン候補の個々を、その特徴を表す特徴ベクトル空間に配置する。尚、デザインの特徴量は、上述の通り有限の値として表されるので、特徴ベクトル空間は、各要素の特徴量が取り得る値により定義される有限の広さの(有限の領域を有する)空間であればよい。
【0035】
図2は、複数の新商品のデザイン候補に絞り込まれている場合において、抽出部12によって、既存商品のデザイン及び新商品のデザイン候補の個々が配置された特徴ベクトル空間を例示する図である。図2の特徴ベクトル空間は、例えば文字や絵の位置、大きさ、色調等のn個の要素の特徴を次元とするn次元の空間である。
【0036】
図2において、円により表されるノードA乃至Eは既存商品のデザインを表し、ノードX及びYは新商品のデザイン候補を表す。図2に例示するこれらのノードは、特徴点とも称する。この特徴ベクトル空間において、例えばノードAの座標は(A,A,・・・,A)であり、ノードXの座標は(X,X,・・・,X)である。尚、図2に例示する特徴ベクトル空間では、既存商品のデザインのノードの数はA乃至Eの5個、新商品のデザイン候補のノードの数はX及びYの2個であるが、既存商品のデザイン及び新商品のデザイン候補のノードの数は、前述した数に限定されず任意である。
【0037】
抽出部12は、また、後述する出力部14を介して、既存商品のデザイン及び新商品のデザイン候補を特徴ベクトル空間に配置した結果を、その特徴ベクトル空間の座標軸とともに、例えば図2に例示するような態様で、管理端末装置20の表示画面200に表示するようにしてもよい。即ち、抽出部12は、出力部14を介して、特徴ベクトル空間におけるノード間の距離をユーザが視覚的に認識可能に、ノードの位置関係を表示画面200に表示する。
【0038】
特定部13は、既存商品画像101に基づいて、既存商品のデザインとの相違性に関する条件を満たすような新商品のデザインの特徴を特定する。ここでの相違性とは、複数の既存商品デザイン画像(の特徴)と、新商品デザイン画像(の特徴)との差異のことである。本実施形態に係る特定部13は、既存デザイン画像との相違性が予め定められた基準よりも大きい新商品デザイン画像を特定する。また、本実施形態に係る特定部13は、複数の新商品デザイン画像がある場合、複数の新商品デザイン画像の中から、既存デザイン画像との相違性が最も大きい新商品デザイン画像を特定してもよい。
【0039】
例えば、特定部13は、既存商品画像101と候補画像102との間において、上述した特徴量の比率を求め、その比率が所定の閾値よりも大きい、あるいはその比率が最も大きくなるような候補画像102を特定する。より具体的には、特定部13は、例えば、文字や絵の大きさや文字や絵が当該画像を占める面積の比率を求め、その比率が所定の閾値よりも大きい、あるいはその比率が最も大きくなるような候補画像102を特定する。
【0040】
尚、特定部13は、相違性に関する条件の代わりに、類似性に関する条件を用いてもよい。特定部13は、既存デザイン画像との類似性が予め定められた基準よりも小さい新商品デザイン画像や、既存デザイン画像との類似性が最も小さい新商品デザイン画像を特定する。
【0041】
特定部13は、図2に例示する特徴ベクトル空間において、新商品のデザイン候補のノードX及びYの個々に関して、既存商品のデザインのノードA乃至Eの個々との距離を算出する。図2に例示する特徴ベクトル空間において、例えばノードXとノードAとを接続する線(エッジ)は、ノードXとノードAとの距離を表し、その値はDXAである。同様に、例えばノードYとノードAとの距離はDYAである。
【0042】
例えばデザインの色調に関しては、ある2つのノードの色が互いに補色の関係にある場合、それら2つのノードは、特徴ベクトル空間において、最も遠い位置関係にある。
【0043】
特定部13は、ノードXとノードA乃至Eとの距離の和を表す(DXA+DXB+DXC+DXD+DXE)、及び、ノードYとノードA乃至Eとの距離の和を表す(DYA+DYB+DYC+DYD+DYE)を算出する。但し、「+」は加算を示す演算子である。そして特定部13は、ノードXとノードA乃至Eとの距離の和と、ノードYとノードA乃至Eとの距離の和とを比較し、ノードX及びYのうち、ノードA乃至Eとの距離の和が長い方のノードを特定する。
【0044】
尚、特定部13は、ノードXあるいはYとノードA乃至Eとの距離の和を算出する際に、新商品との競合関係における各既存商品の重要性に応じて、距離に重み付けを行ってもよい。即ちこの場合、特定部13は、ノードXに関して、(axDXA+bxDXB+cxDXC+dxDXD+exDXE)を算出し、ノードYに関して、(axDYA+bxDYB+cxDYC+dxDYD+exDYE)を算出する。但し、「x」は乗算を示す演算子である。また係数a乃至eは、距離に対する重み付けを行う係数である。例えば、ノードAが示す既存商品が新商品との競合関係において重要性が高い(即ちノードAが示す既存商品との競合が激しい)場合、特定部13は、係数aとして大きな値がユーザ等により与えられる。あるいは例えば、ノードBが示す既存商品が新商品との競合関係において重要性が低い(即ちノードBが示す既存商品との競合が激しくない)場合、特定部13は、係数bとして小さな値がユーザ等により与えられる。
【0045】
また、特定部13は、新商品のデザイン候補のノードの数が多い場合、それらのノードのうち、既存商品のデザインの各ノードとの距離の和が条件を満たす複数のノードを特定してもよい。より具体的には、例えば特定部13は、新商品のデザイン候補のノードのうち、既存商品のデザインの各ノードとの距離の和に関して、最も長いノードから順番に所定の順位までのノードを特定するようにしてもよい。
【0046】
出力部14は、特定部13によって特定されたノードXあるいはノードYを表すデザイン情報103を、管理端末装置20に出力する。出力部14は、デザイン情報103として、ノードXあるいはノードYを識別可能な識別子を出力してもよいし、ノードXあるいはノードYの候補画像102を出力してもよい。管理端末装置20は、出力部14から出力されたデザイン情報103を、表示画面200に表示する。
【0047】
出力部14は、上述した通り、抽出部12による制御を受けて、既存商品のデザイン及び新商品のデザイン候補を特徴ベクトル空間に配置した結果を、その特徴ベクトル空間の座標軸とともに、例えば図2に例示するような態様で表示画面200に表示するための情報を、管理端末装置20に出力してもよい。管理端末装置20は、この際、特徴ベクトル空間における、既存商品のデザインの特徴あるいは新商品のデザインの特徴を示すノードを選択するユーザによる操作に応じて、選択されたノードに関するデザインを表す画像を表示画面200に表示するようにしてもよい。即ち、管理端末装置20は、例えば、ユーザが表示画面200に表示されているノードAを選択する入力操作を行った場合、ノードAが示す既存商品の既存商品画像101を、表示画面200に表示する。
【0048】
次に図3のフローチャートを参照して、本実施形態に係る商品デザイン生成支援装置10の、新商品のデザイン候補がある場合における動作(処理)について詳細に説明する。
【0049】
取得部11は、既存商品のデザインを表す既存商品画像101、及び、新商品のデザイン候補を表す候補画像102を取得する(ステップS101)。抽出部12は、既存商品画像101が表すデザインの特徴量、及び、候補画像102が表すデザイン候補の特徴量を、抽出基準121に基づいて抽出する(ステップS102)。
【0050】
抽出部12は、特徴量を抽出した既存商品のデザイン及び新商品のデザイン候補を、特徴ベクトル空間に配置する(ステップS103)。
【0051】
特定部13は、新商品のデザイン候補の個々について、既存商品のデザインの個々との特徴ベクトル空間における距離を算出する(ステップS104)。特定部13は、新商品の複数のデザイン候補のうち、既存商品のデザインの個々との距離の和が最も長いデザイン候補を特定する(ステップS105)。出力部14は、特定部13によって特定された新商品のデザイン候補に関するデザイン情報103を、管理端末装置20に出力する(ステップS106)。管理端末装置20は、デザイン情報103を表示画面200に表示し(ステップS107)、全体の処理は終了する。
【0052】
<(2)新商品に関してデザイン候補がない場合>
取得部11は、ユーザにより入力された指示に応じて、例えば外部の装置から、既存商品画像101を取得する。この場合、上述した(1)の場合とは異なり、候補画像102は存在しない。
【0053】
抽出部12は、上述した(1)の場合のときと同様に、既存商品画像101が表すデザインの特徴量を、抽出基準121に基づいて抽出する。
【0054】
抽出部12は、特徴量を抽出した既存商品のデザインを、特徴ベクトル空間に配置する。
【0055】
図4は、新商品のデザイン候補がまだ未作成の場合において、抽出部12によって、既存商品のデザインの個々が配置された特徴ベクトル空間を例示する図である。図4に例示する特徴ベクトル空間も、図2に例示する特徴ベクトル空間と同様に、例えば文字や絵の位置、大きさ、色調等のn個の要素の特徴を次元とするn次元の空間である。
【0056】
抽出部12は、既存商品に対して相対的に顧客の目を引くような新商品のデザインの解を表すノードXを、特徴ベクトル空間におけるいずれかの位置に配置する。
【0057】
特定部13は、図4に例示する特徴ベクトル空間において、ノードXの位置を変更しながら、ノードXと、既存商品のデザインのノードA乃至Eの個々との距離を算出する。特定部13による当該距離の算出手順は、(1)の場合において上述した通りである。
【0058】
特定部13は、ノードXとノードA乃至Eとの距離の和が最も長くなるような、広さ(領域)が有限である特徴ベクトル空間におけるノードXの位置を探索して特定する。特定部13は、あるいは、ノードXとノードA乃至Eとの距離の和が例えば閾値以上となるようなノードXが位置する領域を特定してもよい。
【0059】
特定部13は、また、特徴ベクトル空間における所定の領域を、ノードA乃至Eとの距離が基準を満たすノードXの位置を特定する際の探索対象から除外するようにしてもよい。探索対象から除外する領域は、例えば、顧客に対して好ましくない印象を与えるデザインの特徴を表す領域である。当該除外する領域は、より具体的には、例えば商品が食品である場合、その商品が美味しくないような印象を与える色調等を表す領域である。尚、顧客に対して好ましくない印象を与えるデザインの特徴は、商品のデザインが顧客に対して与える印象に関するこれまでの調査や研究の成果として得られていることとする。そして、特定部13は、当該除外する領域を例えばユーザ等によって与えられていることとする。特定部13は、また、顧客に対して好ましくない印象を与えるような商品画像の例を既存商品画像101として与えられることによって、特徴ベクトル空間において、当該商品画像の特徴を表す領域から離れた領域を探索するようにしてもよい。
【0060】
出力部14は、特定部13によって特定されたノードXの位置が示すパッケージデザインの特徴を表すデザイン情報103を、管理端末装置20の表示画面200に表示する。デザイン情報103は、例えば、新商品のデザインに関するロゴ、色調、文字の大きさ、文字の位置、文字のフォントの少なくとも一つを含む情報である。
【0061】
出力部14は、さらに、特定されたノードXの位置が示すデザインの特徴を表す値(特徴量)と事前に与えられている画像生成基準140とに基づいて、そのデザインを表す画像を生成してもよい。画像生成基準140は、画像を生成する際の条件を含んでもよい。画像生成基準140は、画像を生成する際の条件として、例えば、使用する色、文字あるいは絵の表示位置及び大きさの、少なくともいずれかに関する条件を含んでもよい。
【0062】
また、画像生成方法は、上述のようなルールベースによる方法に限定されない。例えば、画像生成基準140は、特徴ベクトル空間に配置された既存商品のデザインの特徴を表す特徴量と、当該既存商品のデザインの実際の画像との関係を学習した画像生成モデル(学習済モデル)であってもよい。当該画像生成モデルは、例えば、ある既存商品の画像の特徴ベクトル空間における座標が表す特徴量から生成した生成画像と、実際のその既存商品の画像とに基づいて、当該生成画像と実際のその既存商品の画像との差分(特徴ベクトル空間における距離)が小さくなるように学習することによって生成されてもよい。なお、画像生成モデルの生成方法は、上記の方法に限定されない。
【0063】
次に図5のフローチャートを参照して、本実施形態に係る商品デザイン生成支援装置10の、新商品のデザイン候補がない場合における動作(処理)について詳細に説明する。
【0064】
取得部11は、既存商品のデザインを表す既存商品画像101を取得する(ステップS201)。抽出部12は、既存商品画像101が表すデザインの特徴量を、抽出基準121に基づいて抽出する(ステップS202)。
【0065】
抽出部12は、特徴量を抽出した既存商品のデザインを、特徴ベクトル空間に配置する(ステップS203)。
【0066】
特定部13は、既存商品のデザインの個々との距離の和が最も長くなるような、特徴ベクトル空間における位置を探索する(ステップS204)。特定部13は、特徴ベクトル空間を探索することによって特定した位置が示すデザインの特徴を、デザイン情報103として管理端末装置20に出力する(ステップS205)。
【0067】
出力部14は、特定部13によって特定された位置が示すデザインを表す画像を、画像生成基準140に基づいて生成する(ステップS206)。出力部14は、生成したデザインを表す画像を、デザイン情報103として管理端末装置20に出力する(ステップS207)。管理端末装置20は、デザイン情報103を表示画面200に表示し(ステップS208)全体の処理は終了する。
【0068】
本実施形態に係る商品デザイン生成支援装置10は、既存商品に対して相対的に目を引く商品のデザインの生成を支援することができる。その理由は、商品デザイン生成支援装置10は、既存商品のデザインとの相違性に関する条件を満たすような新商品のデザインの特徴を特定し、特定した特徴に基づいて、新商品のデザインに関するデザイン情報を出力するからである。
【0069】
以下に、本実施形態に係る商品デザイン生成支援装置10によって実現される効果について、詳細に説明する。
【0070】
例えば様々な商品が陳列された商品棚において、商品のデザインが競合する既存商品に対して相対的に顧客の目を引くことは、その商品が売れることの要因の一つになりうる。しかしながら、商品デザインはデザイナーにより人手で作られることが多い。そのため、デザイナーの知見や作業工数や作業時間等の制約から、上述のようなデザインを作成することが難しい場合がある。
【0071】
このような課題に対して、本実施形態に係る商品デザイン生成支援装置10は、取得部11と特定部13と出力部14とを備え、例えば図1乃至図5を参照して上述した通り動作する。即ち、取得部11は、既存商品のデザインを表す既存商品画像101を取得する。特定部13は、既存商品画像101に基づいて、既存商品のデザインとの相違性に関する条件を満たすような新商品のデザインの特徴を特定する。そして、出力部14は、特定された新商品のデザインに関する特徴に基づいて、新商品のデザインに関するデザイン情報103を出力する。
【0072】
即ち、本実施形態に係る商品デザイン生成支援装置10は、既存商品のデザインとの相違性が大きい(類似性が小さい)新商品のデザインの特徴を特定するので、既存商品に対して相対的に目を引く商品のデザインの生成を支援することができる。
【0073】
また、本実施形態に係る商品デザイン生成支援装置10は、既存商品のデザインに関する特徴量と、既存商品のデザインの画像との関係を学習することにより生成される画像生成モデルを画像生成基準140として使用する。これにより、商品デザイン生成支援装置10は、既存商品に対して相対的に目を引く商品のデザインの画像を生成する精度を、次第に高めることができる。
【0074】
また、本実施形態に係る商品デザイン生成支援装置10は、抽出した既存商品のデザインに関する特徴量を抽出し、既存商品のデザインの特徴量を、デザインの特徴を表す特徴ベクトル空間に配置する。そして商品デザイン生成支援装置10は、既存商品のデザインに関する特徴及び新商品のデザインに関する特徴が配置された特徴ベクトル空間を表す画像を、出力する。当該画像は、例えばユーザが操作する管理端末装置20の表示画面200に表示される。商品デザイン生成支援装置10は、さらに、特徴ベクトル空間における、既存商品のデザインに関する特徴又は新商品のデザインに関する特徴を示す特徴点(ノード)を選択するユーザによる操作に応じて、選択された特徴点に関するデザインを表す画像を表示画面200に表示する。商品デザイン生成支援装置10は、このようなユーザインタフェースに関する機能を備えることによって、既存商品に対して相対的に目を引く商品のデザインを作成する作業におけるユーザの利便性を向上することができる。
【0075】
また、本実施形態に係る商品デザイン生成支援装置10は、特徴ベクトル空間における所定の領域(顧客に対して好ましくない印象を与えるデザインの特徴を表す領域)を、既存商品のデザインとの距離が基準を満たす位置を特定する際の探索対象から除外する。これにより、商品デザイン生成支援装置10は、既存商品のデザインとの距離が基準を満たす、特徴ベクトル空間における位置の探索を、効率的に行うことができる。
【0076】
また、本実施形態に係る商品デザイン生成支援装置10は、新商品との競合関係における既存商品の重要性に応じて、既存商品のデザインとの距離に対する重み付けを行う。これにより、商品デザイン生成支援装置10は、新商品の市場環境等をふまえた、より戦略的な商品のデザインの生成を支援することができる。
【0077】
また、新商品があるブランドラインに属する場合、上述した競合商品との相違性を大きくすることと、当該ブランドラインの方向性に沿うこととが両立するような、新商品のデザインを生成する必要がある。このような場合、特定部13は、新商品と競合関係にある第1の既存商品のデザインとの相違性が基準以上であり、かつ、新商品と同一のブランドラインに属する第2の既存商品のデザインとの相違性が基準以下であることを満たすような新商品のデザインの特徴を特定する。
【0078】
より具体的には、例えば、取得部11は、競合商品(第1の既存商品)及び同一ブランドラインの商品(第2の既存商品)のデザインを表す既存商品画像101を取得する。抽出部12は、競合商品のデザインを、図2あるいは図4に例示する特徴ベクトル空間におけるノードA乃至Eとして表す。抽出部12は、また、同一ブランドラインの商品のデザインを、特徴ベクトル空間におけるノードZ(図2図4には不図示)として表す。そして、特定部13は、特徴ベクトル空間において、ノードA乃至Eとの距離が第1の閾値以上であるとともに、ノードZとの距離が第2の閾値以下であることを満たすような、新商品を表すノードXの位置を特定する。
【0079】
あるいは例えば、特定部13は、当該ブランドラインのデザインの特徴を示すブランドガイドラインを与えられてもよい。当該ブランドガイドラインは、例えば、特徴ベクトル空間における所定の領域として与えられる。そして、特定部13は、当該ブランドラインに基づく制約条件を満たすように、ノードXの位置を特定する。特定部13は、例えば、当該ブランドガイドラインが表す、特徴ベクトル空間内の所定の領域において、ノードA乃至Eとの距離が閾値以上となるようなノードXの位置を特定する。
【0080】
また、上述した本実施形態に係る商品デザイン生成支援装置10によって実現される機能は、複数の情報処理装置によって構成されたシステムによって実現されてもよい。
【0081】
図6は、本実施形態の変形例に係る商品デザイン生成支援システム10Aの構成を示すブロック図である。商品デザイン生成支援システム10Aの機能は、上述した商品デザイン生成支援装置10と同等である。商品デザイン生成支援システム10Aは、それぞれが情報処理装置である、取得装置11A、抽出装置12A、特定装置13A、及び、出力装置14Aを備える。取得装置11A、抽出装置12A、特定装置13A、及び、出力装置14Aは、順に、上述した取得部11、抽出部12、特定部13、及び、出力部14と同等の機能を備える。取得装置11A、抽出装置12A、特定装置13A、及び、出力装置14Aは、互いに通信可能に接続されている。
【0082】
また、商品デザイン生成支援システム10Aの構成は、商品デザイン生成支援装置10の個々の構成要素に相当する情報処理装置を備える構成に限定されない。商品デザイン生成支援システム10Aは、例えば、商品デザイン生成支援装置10の複数の構成要素を1つの情報処理装置として備えてもよい。
【0083】
<第2の実施形態>
図7は、本発明の第2の実施形態に係る商品デザイン生成支援装置30の構成を示すブロック図である。商品デザイン生成支援装置30は、取得部31、特定部32、及び、出力部33を備えている。但し、取得部31、特定部32、及び、出力部33は、順に、取得手段、特定手段、及び、出力手段の一例である。
【0084】
取得部31は、既存商品のデザインを表す既存商品画像301を取得する。既存商品画像301は、例えば、第1の実施形態に係る既存商品画像101と同様な画像である。取得部31は、例えば、第1の実施形態に係る取得部11と同様に動作する。
【0085】
特定部32は、既存商品画像301に基づいて、当該既存商品のデザインとの相違性に関する条件を満たすような新商品のデザインの特徴を特定する。特定部32は、例えば、第1の実施形態に係る抽出部12及び特定部13と同様の特徴ベクトル空間を用いた処理を、既存商品画像301に対して行う。
【0086】
出力部33は、特定部32により特定された新商品のデザインに関する特徴に基づいて、新商品のデザインに関するデザイン情報302を出力する。デザイン情報302は、例えば、第1の実施形態に係るデザイン情報103と同様な情報である。出力部33は、例えば、第1の実施形態に係る出力部14と同様に動作する。
【0087】
本実施形態に係る商品デザイン生成支援装置30は、既存商品に対して相対的に目を引く商品のデザインの生成を支援することができる。その理由は、商品デザイン生成支援装置30は、既存商品のデザインとの相違性に関する条件を満たすような新商品のデザインの特徴を特定し、特定した特徴に基づいて、新商品のデザインに関するデザイン情報を出力するからである。
【0088】
<ハードウェア構成例>
上述した各実施形態において図1に示した商品デザイン生成支援装置10、あるいは、図7に示した商品デザイン生成支援装置30における各部は、専用のHW(HardWare)(電子回路)によって実現することができる。また、図1及び図7において、少なくとも、下記構成は、ソフトウェアプログラムの機能(処理)単位(ソフトウェアモジュール)と捉えることができる。
・取得部11及び31、
・抽出部12、
・特定部13及び32、
・出力部14及び33。
【0089】
但し、これらの図面に示した各部の区分けは、説明の便宜上の構成であり、実装に際しては、様々な構成が想定され得る。この場合のハードウェア環境の一例を、図7を参照して説明する。
【0090】
図8は、本発明の第1の実施形態に係る商品デザイン生成支援装置10あるいは第2の実施形態に係る商品デザイン生成支援装置30を実現可能な情報処理装置900(コンピュータシステム)の構成を例示的に説明する図である。即ち、図8は、図1及び図7に示した商品デザイン生成支援装置10及び30を実現可能な少なくとも1つのコンピュータ(情報処理装置)の構成であって、上述した実施形態における各機能を実現可能なハードウェア環境を表す。
【0091】
図8に示した情報処理装置900は、構成要素として下記を備えているが、下記のうちの一部の構成要素を備えない場合もある。
・CPU(Central_Processing_Unit)901、
・ROM(Read_Only_Memory)902、
・RAM(Random_Access_Memory)903、
・ハードディスク(記憶装置)904、
・外部装置との通信インタフェース905、
・バス906(通信線)、
・CD-ROM(Compact_Disc_Read_Only_Memory)等の記録媒体907に格納されたデータを読み書き可能なリーダライタ908、
・モニターやスピーカ、キーボード等の入出力インタフェース909。
【0092】
即ち、上記構成要素を備える情報処理装置900は、これらの構成がバス906を介して接続された一般的なコンピュータである。情報処理装置900は、CPU901を複数備える場合もあれば、マルチコアにより構成されたCPU901を備える場合もある。情報処理装置900は、CPU901に加えてGPU(Graphical_Processing_Unit)(不図示)を備えてもよい。
【0093】
そして、上述した実施形態を例に説明した本発明は、図8に示した情報処理装置900に対して、次の機能を実現可能なコンピュータプログラムを供給する。その機能とは、その実施形態の説明において参照したブロック構成図(図1及び図7)における上述した構成、或いはフローチャート(図3及び図5)の機能である。本発明は、その後、そのコンピュータプログラムを、当該ハードウェアのCPU901に読み出して解釈し実行することによって達成される。また、当該装置内に供給されたコンピュータプログラムは、読み書き可能な揮発性のメモリ(RAM903)、または、ROM902やハードディスク904等の不揮発性の記憶デバイスに格納すれば良い。
【0094】
また、前記の場合において、当該ハードウェア内へのコンピュータプログラムの供給方法は、現在では一般的な手順を採用することができる。その手順としては、例えば、CD-ROM等の各種記録媒体907を介して当該装置内にインストールする方法や、インターネット等の通信回線を介して外部よりダウンロードする方法等がある。そして、このような場合において、本発明は、係るコンピュータプログラムを構成するコード或いは、そのコードが格納された記録媒体907によって構成されると捉えることができる。
【0095】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【0096】
尚、上述した各実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。しかしながら、上述した各実施形態により例示的に説明した本発明は、以下には限られない。
【0097】
(付記1)
既存商品のデザインを表す既存商品画像を取得する取得手段と、
前記既存商品画像に基づいて、前記既存商品のデザインとの相違性に関する条件を満たすような新商品のデザインの特徴を特定する特定手段と、
前記新商品のデザインに関する特徴に基づいて、前記新商品のデザインに関するデザイン情報を出力する出力手段と、
を備える商品デザイン生成支援装置。
【0098】
(付記2)
前記デザイン情報は、前記新商品のデザインに関するロゴ、色彩、色調、形状、文字の大きさ、文字の位置、文字のフォント、前記新商品に関連する物の画像、当該画像の位置の少なくとも一つを含む、
付記1に記載の商品デザイン生成支援装置。
【0099】
(付記3)
前記出力手段は、画像生成基準に基づいて、前記新商品のデザインを表す画像を出力する、
付記1又は付記2に記載の商品デザイン生成支援装置。
【0100】
(付記4)
前記画像生成基準は、前記既存商品のデザインに関する特徴量と、前記既存商品のデザインの画像との関係を学習することにより生成される画像生成モデルである、
付記3に記載の商品デザイン生成支援装置。
【0101】
(付記5)
前記画像生成基準は、前記新商品のデザインにおいて、使用される色、文字あるいは絵の表示位置又は大きさの、少なくとも一つに関する条件を含む、
付記3または付記4に記載の商品デザイン生成支援装置。
【0102】
(付記6)
前記既存商品画像に基づいて、前記既存商品のデザインに関する特徴を抽出する抽出手段をさらに備え、
前記特定手段は、前記既存商品のデザインに関する特徴に基づいて、前記新商品のデザインに関する特徴を特定する、
付記1乃至付記5のいずれか一項に記載の商品デザイン生成支援装置。
【0103】
(付記7)
前記取得手段は、複数の前記新商品のデザイン候補に関する複数の候補画像を取得し、
前記抽出手段は、前記複数の候補画像に基づいて、前記複数の新商品のデザイン候補に関する特徴をそれぞれ抽出し、
前記特定手段は、前記既存商品のデザインに関する特徴と、前記複数の新商品のデザイン候補に関する特徴とに基づいて、前記複数の新商品のデザイン候補から特定のデザインを特定し、
前記出力手段は、前記特定のデザインに関するデザイン情報を出力する
付記6に記載の商品デザイン生成支援装置。
【0104】
(付記8)
前記抽出手段は、抽出した前記既存商品のデザインに関する特徴を数値化することによって、前記既存商品のデザインを、前記デザインの特徴を表す特徴ベクトル空間に配置し、
前記特定手段は、前記特徴ベクトル空間において、前記既存商品のデザインとの距離が条件を満たす位置を特定し、
前記出力手段は、前記特定手段によって特定された位置が示す、前記新商品のデザインに関するデザイン情報を出力する、
付記6または付記7に記載の商品デザイン生成支援装置。
【0105】
(付記9)
前記出力手段は、前記既存商品のデザインに関する特徴及び前記新商品のデザインに関する特徴を含む、前記特徴ベクトル空間を表す画像を出力する
付記8に記載の商品デザイン生成支援装置。
【0106】
(付記10)
前記出力手段は、前記特徴ベクトル空間における、前記既存商品のデザインに関する特徴又は前記新商品のデザインに関する特徴を示す特徴点を選択する操作に応じて、選択された前記特徴点に関するデザインを表す画像を出力する、
付記9に記載の商品デザイン生成支援装置。
【0107】
(付記11)
前記特定手段は、前記特徴ベクトル空間における所定の領域を、前記既存商品のデザインとの距離が基準を満たす位置を特定する際の探索対象から除外する、
付記8乃至付記10のいずれか一項に記載の商品デザイン生成支援装置。
【0108】
(付記12)
前記特定手段は、前記新商品との競合関係における前記既存商品の重要性に応じて、前記既存商品のデザインとの距離に対する重み付けを行う、
付記8乃至付記11のいずれか一項に記載の商品デザイン生成支援装置。
【0109】
(付記13)
前記新商品のデザインの特徴は、前記新商品と競合関係にある第1の既存商品のデザインの特徴との相違性が第一の条件(基準以上)を満たし、かつ、前記新商品と同一のブランドラインに属する第2の既存商品のデザインの特徴との相違性が第二の条件(基準以下)を満たす、
付記1乃至付記12のいずれか一項に記載の商品デザイン生成支援装置。
【0110】
(付記14)
前記取得手段は、前記第1及び第2の既存商品のデザインを表す前記既存商品画像を取得し、
前記特定手段は、前記第1及び第2の既存商品の前記既存商品画像に基づいて、前記新商品のデザインの特徴を特定する、
付記13に記載の商品デザイン生成支援装置。
【0111】
(付記15)
前記特定手段は、前記第2の既存商品の特徴に基づく制約条件を満たすように、前記新商品のデザインの特徴を特定する、
付記13に記載の商品デザイン生成支援装置。
【0112】
(付記16)
既存商品のデザインを表す既存商品画像を取得する取得手段と、
前記既存商品画像に基づいて、前記既存商品のデザインとの相違性に関する条件を満たすような新商品のデザインの特徴を特定する特定手段と、
前記新商品のデザインに関する特徴に基づいて、前記新商品のデザインに関するデザイン情報を出力する出力手段と、
を備える商品デザイン生成支援システム。
【0113】
(付記17)
情報処理システムによって、
既存商品のデザインを表す既存商品画像を取得し、
前記既存商品画像に基づいて、前記既存商品のデザインとの相違性に関する条件を満たすような新商品のデザインの特徴を特定し、
前記新商品のデザインに関する特徴に基づいて、前記新商品のデザインに関するデザイン情報を出力する、
商品デザイン生成支援方法。
【0114】
(付記18)
既存商品のデザインを表す既存商品画像を取得する取得処理と、
前記既存商品画像に基づいて、前記既存商品のデザインとの相違性に関する条件を満たすような新商品のデザインの特徴を特定する特定処理と、
前記新商品のデザインに関する特徴に基づいて、前記新商品のデザインに関するデザイン情報を出力する出力処理と、
をコンピュータに実行させるための商品デザイン生成支援プログラムが格納された記録媒体。
【符号の説明】
【0115】
10 商品デザイン生成支援装置
10A 商品デザイン生成支援システム
101 既存商品画像
102 候補画像
103 デザイン情報
11 取得部
11A 取得装置
12 抽出部
12A 抽出装置
121 抽出基準
13 特定部
13A 特定装置
14 出力部
14A 出力装置
140 画像生成基準
20 管理端末装置
200 表示画面
30 商品デザイン生成支援装置
301 既存商品画像
302 デザイン情報
31 取得部
32 特定部
33 出力部
900 情報処理装置
901 CPU
902 ROM
903 RAM
904 ハードディスク(記憶装置)
905 通信インタフェース
906 バス
907 記録媒体
908 リーダライタ
909 入出力インタフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8