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特許7666594車内監視装置、車内監視方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-14
(45)【発行日】2025-04-22
(54)【発明の名称】車内監視装置、車内監視方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/00 20060101AFI20250415BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20250415BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20250415BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20250415BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20250415BHJP
【FI】
G08B21/00 U
G08B21/02
G08B25/10 A
G08B25/04 K
G08B25/00 510M
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023525304
(86)(22)【出願日】2021-06-04
(86)【国際出願番号】 JP2021021327
(87)【国際公開番号】W WO2022254683
(87)【国際公開日】2022-12-08
【審査請求日】2023-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】川村 聡明
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 義博
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 優一
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-201108(JP,A)
【文献】特開2020-128124(JP,A)
【文献】国際公開第2020/065811(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 21/00
G08B 21/02
G08B 25/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の動力源がオフになった後、かつ、前記車両のドアが少なくとも一度開閉された後に、前記車両の室内を検出範囲としたセンサの検出結果を示すセンサデータを繰り返し取得する取得手段と、
前記取得手段が前記センサデータを取得するたびに、当該センサデータを用いて前記室内に存在している生体の検出処理を行う検出手段と、
前記室内に存在している生体が検出された場合、前記室内の環境の監視を行い、当該環境が第1基準を満たした場合に、予め登録されている端末に所定の通知を行う通知処理手段と、
を備え
前記検出手段は、前記室内に存在している生体が検出された後、前記車両のドアが開かれるまで、前記検出処理を停止する、
車内監視装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車内監視装置において、
前記センサは撮像装置を含む、車内監視装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車内監視装置において、
前記センサは、さらにミリ波センサ、赤外線センサ、温度センサ、及び振動センサの少なくとも一つを含む車内監視装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の車内監視装置において、
前記取得手段は、車両の動力源がオフになった後、かつ、前記車両のドアが少なくとも一度開閉された後であって、前記車両のドアの鍵が閉まった後または前記車両のドアの開閉が行われなくなってから所定時間経過した後に、前記センサデータを繰り返し取得する、車内監視装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の車内監視装置において、
前記環境は気温を含む、車内監視装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の車内監視装置において、
前記通知処理手段は、前記環境が前記第1基準を超えた場合に、さらに、前記車両に設けられている出力装置に所定の出力を行わせる車内監視装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の車内監視装置において、
前記生体は、人及び動物の少なくとも一方を含む、車内監視装置。
【請求項8】
請求項7に記載の車内監視装置において、
前記検出手段は、前記生体が人の場合、当該人の年齢を推定し、
前記通知処理手段は、前記年齢が第2基準を満たしたときに前記通知を行う車内監視装置。
【請求項9】
コンピュータが、
車両の動力源がオフになった後、かつ、前記車両のドアが少なくとも一度開閉された後に、前記車両の室内を検出範囲としたセンサの検出結果を示すセンサデータを繰り返し取得する取得処理と、
前記センサデータを取得するたびに、当該センサデータを用いて前記室内に存在している生体の検出を行う検出処理と、
前記室内に存在している生体が検出された場合、前記室内の環境の監視を行い、当該環境が第1基準を満たした場合に、予め登録されている端末に所定の通知を行う通知処理と、
を行い、
前記コンピュータが、前記室内に存在している生体が検出された後、前記車両のドアが開かれるまで、前記検出処理を停止する、
車内監視方法。
【請求項10】
コンピュータに、
車両の動力源がオフになった後、かつ、前記車両のドアが少なくとも一度開閉された後に、前記車両の室内を検出範囲としたセンサの検出結果を示すセンサデータを繰り返し取得する取得機能と、
前記取得機能が前記センサデータを取得するたびに、当該センサデータを用いて前記室内に存在している生体の検出処理を行う検出機能と、
前記室内に存在している生体が検出された場合、前記室内の環境の監視を行い、当該環境が第1基準を満たした場合に、予め登録されている端末に所定の通知を行う通知処理機能と、
を持たせ
前記検出機能は、前記室内に存在している生体が検出された後、前記車両のドアが開かれるまで、前記検出処理を停止する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車内監視装置、車内監視方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
停止している車両の内部の環境(例えば気温)は、人やペットなどの生体にとって過酷な状態になりやすい。このため、車両が停止した後、その車両の車内に生体が残っている場合、車内の環境を監視する必要がある。例えば特許文献1には、以下の人検出装置が記載されている。まず人検出装置は、車両が停止した後、車内の温度の変化率を用いて、車内の温度が危険温度に達するまでの時間を推測する。そして人検出装置は、その時間に到達する前に人感センサにより人が検出されたときに、人検出通報を車外に出力する。特許文献1において、人感センサとして、質量センサ、CCDカメラ、及び焦電型赤外線センサが例示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-63668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生体は動くため、センサで検出された後、車内にとどまっているにもかかわらず、センサに検出されない状態になることがある。本発明の目的の一例は、車内の生体がこのような状態になったとしても、車内の環境が基準を満たしたときには所定の情報を車外に出力することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、車両の動力源がオフになった後、かつ、前記車両のドアが少なくとも一度開閉された後に、前記車両の室内を検出範囲としたセンサの検出結果を示すセンサデータを繰り返し取得する取得手段と、
前記取得手段が前記センサデータを取得するたびに、当該センサデータを用いて前記室内に存在している生体の検出処理を行う検出手段と、
前記室内に存在している生体が検出された場合、前記室内の環境の監視を行い、当該環境が第1基準を満たした場合に、予め登録されている端末に所定の通知を行う通知処理手段と、
を備える車内監視装置が提供される。
【0006】
本発明の一態様によれば、コンピュータが、
車両の動力源がオフになった後、かつ、前記車両のドアが少なくとも一度開閉された後に、前記車両の室内を検出範囲としたセンサの検出結果を示すセンサデータを繰り返し取得する取得処理と、
前記センサデータを取得するたびに、当該センサデータを用いて前記室内に存在している生体の検出処理を行う検出処理と、
前記室内に存在している生体が検出された場合、前記室内の環境の監視を行い、当該環境が第1基準を満たした場合に、予め登録されている端末に所定の通知を行う通知処理と、
を行う車内監視方法が提供される。
【0007】
本発明の一態様によれば、車両の動力源がオフになった後、かつ、前記車両のドアが少なくとも一度開閉された後に、前記車両の室内を検出範囲としたセンサの検出結果を示すセンサデータを繰り返し取得する取得機能と、
前記取得機能が前記センサデータを取得するたびに、当該センサデータを用いて前記室内に存在している生体の検出処理を行う検出機能と、
前記室内に存在している生体が検出された場合、前記室内の環境の監視を行い、当該環境が第1基準を満たした場合に、予め登録されている端末に所定の通知を行う通知処理機能と、
を持たせるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車内の生体がセンサで検出された後、センサに検出されない状態になったとしても、車内の環境が基準を満たしたときには所定の情報は車外に出力される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
【0010】
図1】第1実施形態に係る車内監視装置の使用環境を説明するための図である。
図2】車内監視装置の機能構成の一例を示す図である。
図3】車載装置の機能構成の一例を示す図である。
図4】車内監視装置のハードウェア構成例を示す図である。
図5】車載装置が行う処理の一例を示す図である。
図6】車内監視装置が行う処理の一例を示す図である。
図7】第2実施形態に係る車内監視装置の使用環境を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る車内監視装置10の使用環境を説明するための図である。車内監視装置10は、車載装置20と共に使用される。車内監視装置10は、例えば車両30の外部に設置されたサーバである。
【0013】
車載装置20は、車両30が停止した後、かつ、車両30のドアが開いてから閉じられた後、車両30の室内を検出範囲としたセンサの検出結果を示すデータ(以下、センサデータと記載)を繰り返し車内監視装置10に送信する。センサデータの送信間隔は、例えば1秒以上1分以下であるが、この範囲に限定されない。
【0014】
車内監視装置10は、車載装置20からセンサデータを取得するたびに、このセンサデータを処理することにより、車両30の室内に生体、例えば子供や老人などの人やペットなどの動物が残っているか否かを判断する。そして車内監視装置10は、生体が残っていた場合、車両30の室内の環境が所定の条件を満たしたときに、そのことを示す情報(以下、アラーム情報と記載)を端末40に送信する。
【0015】
端末40は、たとえば車両30の利用者に使用される。より具体的には、端末40は、子供の親が使用する端末であってもよいし、老人の子供が使用する端末であってもよい。また端末40は、所定の団体によって管理されていてもよい。所定の団体は、例えば、警察や警察から委託された団体など、公的機関であってもよいし、警備会社などの民間機関であってもよい。
【0016】
車両30は、センサの少なくとも一部として、撮像装置32を有している。撮像装置32は、車両30の室内の画像を生成する。車載装置20は、この画像(以下、室内画像と記載)をセンサデータの一部として車内監視装置10に送信する。なお、車載装置20は、室内画像と共に、又は室内画像に変えて、室内画像の特徴量を示す特徴データを送信してもよい。以下、室内画像及び/または特徴データを、画像データと記載する。なお、車両30には複数の撮像装置32が設けられていてもよい。この場合、複数の撮像装置32は、互いに異なる場所に設置されており、撮像範囲の少なくとも一部が互いに異なる。
【0017】
また、車両30はセンサ34をさらに有している。センサ34は、車両30の室内の環境を示す情報(以下、環境情報と記載)を生成する。この環境の一例は気温である。そして車載装置20は、撮像装置32が生成した画像に加えて、センサ34が生成した情報をセンサデータの一部として車内監視装置10に送信する。
【0018】
またセンサ34は、例えばミリ波センサ、赤外線センサ、温度センサ、及び振動センサの少なくとも一つを含んでいてもよい。これらのセンサは、車両30の室内に存在する生体の有無を示す情報(以下、人検出データ)を生成する。車載装置20は、この人検出データもセンサデータの一部として車内監視装置10に送信する。
【0019】
また、車両30は出力装置36を有している。出力装置36は、例えばヘッドランプ、テールランプ、ブレーキランプ、音声出力装置(例えばクラクション)など、その出力が車両30の周囲に位置する人に認識可能になっている。出力装置36は、車両30の外部から視認可能なディスプレイであってもよい。車内監視装置10は、端末40にアラーム情報を送信するとき、必要に応じて、車載装置20を介して出力装置36に所定の出力を行わせる。なお出力装置36は、外部の端末(例えば端末40)に直接アラーム情報を送信してもよい。この場合、出力装置36は、例えば、電話、メール、及びSNSの少なくとも一つを用いる。
【0020】
なお、車載装置20は、撮像装置32、センサ34、及び出力装置36と直接通信してもよいし、車両30に設けられた制御装置を介して通信してもよい。また車載装置20は撮像装置32と一体になっていてもよい。
【0021】
図2は、車内監視装置10の機能構成の一例を示す図である。車内監視装置10は、取得部110、検出部120、及び通知処理部130を有している。
【0022】
取得部110は、車載装置20からセンサデータを取得する。このセンサデータは、上記したように、少なくとも画像データ及びセンサ34が生成した情報を含んでいる。
【0023】
検出部120は、取得部110が取得したセンサデータを用いて、車両30の室内に存在している生体の検出処理を行う。例えば検出部120は、機械学習によって生成されたモデルを用いてこの検出処理を行ってもよいし、生体の特徴量(例えば人の特徴量、犬の特徴量、及びねこの特徴量)を用いてこの検出処理を行ってもよい。
【0024】
検出部120は、生体の種類ごとに検出処理アルゴリズム(上記したモデルの場合もある)を変えてもよい。例えば検出部120は、生体が人の場合、顔検出のためのアルゴリズムを用いて生体の検出を行ってもよい。この場合、検出部120は、さらに人の年齢を推定してもよい。
【0025】
また検出部120は、画像データを用いた検出処理と、センサ34が生成した情報を用いた検出処理とを別々に行ってもよい。そして検出部120は、これらの一方が生体を検出した時に、車両30の室内に生体が存在していると判断してもよいし、これらの双方が生体を検出した時に、車両30の室内に生体が存在していると判断してもよい。
【0026】
通知処理部130は、検出部120によって車両30の室内に存在している生体が検出された場合、この室内の環境の監視を行う。この監視は、センサデータに含まれる環境情報を用いて行われる。そして通知処理部130は、車両30の室内の環境が第1基準を満たした場合に、端末40に所定の通知を行う。通知処理部130は、端末40に通知を行うための通知先情報(例えばメールアドレスやSNSのアカウント情報)を予め記憶している。
【0027】
ここで、通知処理部130は、複数の端末40の通知先情報を優先度とともに記憶していることもある。この場合、通知処理部130は、優先度が最も高い端末40に通知を行う。そして、通知した端末40から所定時間内に返信がない場合に、優先度が一つ下の端末40に通知を行う。通知処理部130は、通知した端末40から所定時間内に返信があるまで、この処理を繰り返す。
【0028】
図3は、車載装置20の機能構成の一例を示す図である。車載装置20は、第1通信部210及び第2通信部220を備えている。
【0029】
第1通信部210は、車両30内の装置と通信する。例えば第1通信部210は、撮像装置32から当該撮像装置32が生成した画像を取得するとともに、センサ34から当該センサ34の検出結果を示すデータを取得する。また第1通信部210は、出力装置36に所定の出力を行わせるための信号を出力する。この信号の出力先は、出力装置36であってもよいし、出力装置36の制御装置であってもよい。なお、第1通信部210と撮像装置32及びセンサ34は、例えば無線を用いて互いに通信するが、有線を用いて互いに通信してもよい。また、第1通信部210と出力装置36(又は出力装置36の制御装置)は、例えば有線を用いて互いに通信するが、無線を用いて互いに通信してもよい。
【0030】
また第1通信部210は、車両30の状態を示す情報を、車両30内の制御装置から取得する。例えば第1通信部210は、車両30の動力源が停止しているか否かを示す情報(例えばエンジンやモータがオンになっているかオフになっているかを示す情報)、並びに、車両30のドアが開いたこと及び閉じたことを示す情報を取得する。
【0031】
第2通信部220は、車内監視装置10と通信する。例えば第2通信部220は、センサデータを車内監視装置10に送信する。ここで第2通信部220は、必要に応じて、撮像装置32が生成した画像を処理して特徴データを生成してもよい。また第2通信部220は、必要に応じて、センサ34が生成したデータを処理して環境情報及び人検出データの少なくとも一つを生成してもよい。なお、これらのデータは、センサ34が生成したデータそのものであってもよい。
【0032】
また、第2通信部220は、車内監視装置10から、出力装置36に所定の出力を行わせるための情報を取得する。この情報は、第1通信部210を介して出力装置36(又は出力装置36の制御装置)に出力される。
【0033】
図4は、車内監視装置10のハードウェア構成例を示す図である。車内監視装置10は、バス1010、プロセッサ1020、メモリ1030、ストレージデバイス1040、入出力インタフェース1050、及びネットワークインタフェース1060を有する。
【0034】
バス1010は、プロセッサ1020、メモリ1030、ストレージデバイス1040、入出力インタフェース1050、及びネットワークインタフェース1060が、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。ただし、プロセッサ1020などを互いに接続する方法は、バス接続に限定されない。
【0035】
プロセッサ1020は、CPU(Central Processing Unit) やGPU(Graphics Processing Unit)などで実現されるプロセッサである。
【0036】
メモリ1030は、RAM(Random Access Memory)などで実現される主記憶装置である。
【0037】
ストレージデバイス1040は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、メモリカード、又はROM(Read Only Memory)などで実現される補助記憶装置である。ストレージデバイス1040は車内監視装置10の各機能(例えば取得部110、検出部120、及び通知処理部130)を実現するプログラムモジュールを記憶している。プロセッサ1020がこれら各プログラムモジュールをメモリ1030上に読み込んで実行することで、そのプログラムモジュールに対応する各機能が実現される。
【0038】
入出力インタフェース1050は、車内監視装置10と各種入出力機器とを接続するためのインタフェースである。
【0039】
ネットワークインタフェース1060は、車内監視装置10をネットワークに接続するためのインタフェースである。このネットワークは、例えばLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)である。ネットワークインタフェース1060がネットワークに接続する方法は、無線接続であってもよいし、有線接続であってもよい。車内監視装置10は、ネットワークインタフェース1060を介して車載装置20と通信する。
【0040】
なお、車載装置20のハードウェア構成も、図5に示した例と同様である。この場合、ストレージデバイス1040は、第1通信部210及び第2通信部220を実現するプログラムモジュールを記憶している。
【0041】
図5は、車載装置20が行う処理の一例を示す図である。第1通信部210は、車両30内の制御装置から、車両30の状態を示す情報を繰り返し取得している。第2通信部220は、第1通信部210が取得した情報を用いて、車両30の動力源が停止したこと、すなわち車両30が停止したことを検出する(ステップS110)と、車両30のドアが開かれてから閉じられたことを検知する(ステップS120)。ステップS120は、車両30の主な乗員(例えば運転者)が車両30から離れたことを意味する。すると第2通信部220は、第1通信部210を介して、撮像装置32に撮像を開始させるとともに、センサ34の動作を開始させる。そして第2通信部220は、センサデータを車内監視装置10に送信し始める(ステップS130)。
【0042】
なお、上記したように、センサデータは、少なくとも撮像装置32が生成した画像に基づいた画像データを含んでいる。また、センサ34がミリ波センサ、赤外線センサ、温度センサ、及び振動センサの少なくとも一つを含んでいる場合、センサデータはこれらが生成した情報も含んでいる。センサデータは、さらに環境情報、すなわち車両30の室内の環境(例えば気温)を示す情報を含んでいる。
【0043】
また、ステップS120からステップS130に移行する条件に、さらに、「車両30のドアの鍵が閉まったこと」、及び、「ドアの開閉が行われなくなってから所定時間経過した後」、の少なくとも一つが加えられてもよい。
【0044】
また、ステップS110からステップS130に進む条件として、「運転席の人が検知されなくなってから所定時間経過した後」が用いられてもよい。
【0045】
そして、車載装置20は、再びドアが開かれるまで、すなわち車両30に人が戻ってくるまで(ステップS140)、センサデータの送信を続ける(ステップS150)。言いかえると、車載装置20は、車両30から人が離れてから戻ってくるまでの間、センサデータの送信を続ける。
【0046】
なお、車載装置20は、車内監視装置10が車両30の室内に残っている生体を検知した後、環境情報のみを車内監視装置10に送信してもよい。このようにするためには、車内監視装置10が、生体を検知した後、そのことを示す情報を車載装置20に送信すればよい。
【0047】
図6は、車内監視装置10が行う処理の一例を示す図である。車内監視装置10は、車載装置20からセンサデータ及び環境情報を受信し始めると、本図に示す処理を行う。上記したように、車載装置20は、車両30から人が離れてから戻ってくるまでの間、センサデータの送信を続ける。このため、車内監視装置10は、車両30から人が離れてから戻ってくるまでの間、本図に示す処理を行うことになる。
【0048】
まず取得部110は、車載装置20からセンサデータを取得する。すると、検出部120は、センサデータのうち画像データを取得し(ステップS210)、この画像データを処理することにより、車両30の室内の生体の有無を判断する(ステップS220)。今回処理した画像データでは生体が検出されなかった場合(ステップS220:No)、検出部120は、次に取得部110が取得した画像データに対して同様の処理を行う(ステップS210,S220)。
【0049】
なお、ステップS210及びステップS220において、画像データと共に、センサ34が生成した人検出データが使用されてもよい。
【0050】
一方、検出部120が生体を検出した場合(ステップS220;Yes)、通知処理部130は、生体を検知した画像データと共に送信されてきた環境情報を取得し(ステップS230)、この環境情報を処理することにより、室内の環境が第1基準を満たすか否かを判断する(ステップS240)。第1基準は、例えば、室内の温度が第1基準値(例えば30℃以上40℃以下の値)を超えることであってもよいし、室内の温度が、第1基準値より低く設定された第2基準値(例えば0℃以上10℃以下の値)を下回ることであってもよい。
【0051】
通知処理部130は、室内の環境が第1基準を満たしていない場合(ステップS240:No)、次に取得部110が車載装置20から取得した環境情報に対して、同様の処理を行う(ステップS230,S240)。この際、検出部120は、車両30のドアが再び開かれるまで、生体の検出処理を停止してもよい。その理由は、例えば生体が撮像装置32の撮像範囲から外れたり、生体が毛布などの下に入り込んだりすることがあるためである。この場合、検出部120が継続して生体の検出処理を行うと、生体が室内にいるにもかかわらず生体が室内にいない、と誤った判断を行う可能性がある。
【0052】
一方、通知処理部130は、室内の環境が第1基準を満たした場合(ステップS240:Yes)、そのことを示す情報すなわちアラーム情報を端末40に送信する(ステップS250)。その後、通知処理部130は、端末40の利用者がアラーム情報を確認するまで(例えば端末40から所定の返信があるまで)、繰り返しアラーム情報を送信してもよい。そして車内監視装置10は、端末40から所定の返信があった場合、処理を終了してもよい。
【0053】
ここで通知処理部130は、複数の端末40の情報を記憶している場合、優先度が最も高い端末40に通知を行う。そして、通知した端末40から所定時間内に返信がない場合に、優先度が一つ下の端末40に通知を行う。通知処理部130は、通知した端末40から所定時間内に返信があるまで、この処理を繰り返す。
【0054】
また通知処理部130は、第1基準を満たす状態が所定時間継続した場合に、ステップS250に示した処理を行ってもよい。
【0055】
また検出部120は、生体が人の場合、ステップS220において、検出された人の年齢を推定してもよい。そして通知処理部130は、アラーム情報を送信するための条件として、さらに、「この年齢が第2基準を満たすこと」を加えてもよい。第2基準は、例えば10歳以下であること、70歳以上であること、又はこれら2つのいずれかを満たすこと、である。
【0056】
また通知処理部130は、ステップS250において、さらに、出力装置36に所定の出力を行わせるための情報を車載装置20に送信してもよい。この場合、車載装置20は、出力装置36に所定の出力を行わせる。このようにすると、車両30の周囲にいる人は、その車両30の中に生体が存在していることを認識できる。
【0057】
また検出部120は、室内の環境が第1基準を満たしたときの画像データを処理することにより、現在生体が撮像装置32に写っているか否かを判断してもよい。そして通知処理部130は、アラーム情報に、その判断結果を含めてもよい。このようにすると、端末40の使用者は、室内のうち生体がどこにいるかを推測しやすくなる。
【0058】
なお、図5に示した処理において、車載装置20は、動力源がオフになった後、かつ、ドアが少なくとも一度開閉された後に、センサデータを車内監視装置10に送信している。しかし車載装置20は、センサデータを常に車内監視装置10に送信していてもよい。この場合、車載装置20は、動力源がオン又はオフされたタイミングでそのことを示す情報を車内監視装置10に送信するとともに、ドアが開閉されたタイミングでそのことを示す情報を車内監視装置10に送信する。車内監視装置10は、これらの情報を用いて、車載装置20から取得したセンサデータのうち、動力源がオフになった後、かつ、ドアが少なくとも一度開閉された後のデータを選択し、図6に示した処理を行う。
【0059】
以上、本実施形態によれば、車内監視装置10は、まずセンサデータを用いて、車両30の室内に生体がいるか否かを判断する。そして車内監視装置10は、車両30の室内に生体がいた場合、環境情報を用いて、車両30の室内の環境が第1基準を満たすか否かの監視を行う。この監視の間、車内監視装置10は、センサデータを用いない。すなわち車内監視装置10は、一度生体を検知すると、その後にその生体が検知されなくなったとしても、室内の環境の監視を継続する。したがって車内監視装置10は、室内の生体が撮像装置32やセンサ34に検出されにくい状態になったとしても、車内の環境が第1基準を満たしたときには所定の情報を端末40に送信することができる。
【0060】
また、車内監視装置10は、車両30の動力源がオフになった後、かつ、ドアが少なくとも一度開閉された後にセンサデータを取得し、これらセンサデータを処理する。したがって、車内監視装置10と車載装置20の間の通信量は少なくなり、かつ、車内監視装置10の計算量も少なくなる。さらに、車内監視装置10は、生体を検出した後は生体の検出処理を停止する。このため、車内監視装置10の計算量はさらに少なくなる。
【0061】
(第2実施形態)
図7は、本実施形態に係る車内監視装置10の使用環境を説明するための図である。本図に示す例において、車内監視装置10は車両30の内部に設置されている。言い換えると、図1に示した車載装置20が車内監視装置10の機能を有している。このようにしても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0062】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0063】
また、上述の説明で用いた複数のフローチャートでは、複数の工程(処理)が順番に記載されているが、各実施形態で実行される工程の実行順序は、その記載の順番に制限されない。各実施形態では、図示される工程の順番を内容的に支障のない範囲で変更することができる。また、上述の各実施形態は、内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。
【0064】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下に限られない。
1.車両の動力源がオフになった後、かつ、前記車両のドアが少なくとも一度開閉された後に、前記車両の室内を検出範囲としたセンサの検出結果を示すセンサデータを繰り返し取得する取得手段と、
前記取得手段が前記センサデータを取得するたびに、当該センサデータを用いて前記室内に存在している生体の検出処理を行う検出手段と、
前記室内に存在している生体が検出された場合、前記室内の環境の監視を行い、当該環境が第1基準を満たした場合に、予め登録されている端末に所定の通知を行う通知処理手段と、
を備える車内監視装置。
2.上記1に記載の車内監視装置において、
前記センサは撮像装置を含む、車内監視装置。
3.上記2に記載の車内監視装置において、
前記センサは、さらにミリ波センサ、赤外線センサ、温度センサ、及び振動センサの少なくとも一つを含む車内監視装置。
4.上記1~3のいずれか一項に記載の車内監視装置において、
前記検出手段は、前記室内に存在している生体が検出された後、前記車両のドアが開かれるまで、前記検出処理を停止する、車内監視装置。
5.上記1~4のいずれか一項に記載の車内監視装置において、
前記環境は気温を含む、車内監視装置。
6.上記1~5のいずれか一項に記載の車内監視装置において、
前記通知処理手段は、前記環境が前記第1基準を超えた場合に、さらに、前記車両に設けられている出力装置に所定の出力を行わせる車内監視装置。
7.上記1~6のいずれか一項に記載の車内監視装置において、
前記生体は、人及び動物の少なくとも一方を含む、車内監視装置。
8.上記7に記載の車内監視装置において、
前記検出手段は、前記生体が人の場合、当該人の年齢を推定し、
前記通知処理手段は、前記年齢が第2基準を満たしたときに前記通知を行う車内監視装置。
9.コンピュータが、
車両の動力源がオフになった後、かつ、前記車両のドアが少なくとも一度開閉された後に、前記車両の室内を検出範囲としたセンサの検出結果を示すセンサデータを繰り返し取得する取得処理と、
前記センサデータを取得するたびに、当該センサデータを用いて前記室内に存在している生体の検出を行う検出処理と、
前記室内に存在している生体が検出された場合、前記室内の環境の監視を行い、当該環境が第1基準を満たした場合に、予め登録されている端末に所定の通知を行う通知処理と、
を行う車内監視方法。
10.上記9に記載の車内監視方法において、
前記センサは撮像装置を含む、車内監視方法。
11.上記10に記載の車内監視方法において、
前記センサは、さらにミリ波センサ、赤外線センサ、温度センサ、及び振動センサの少なくとも一つを含む車内監視方法。
12.上記9~11のいずれか一項に記載の車内監視方法において、
前記コンピュータは、前記室内に存在している生体が検出された後、前記車両のドアが開かれるまで、前記検出処理を停止する、車内監視方法。
13.上記9~12のいずれか一項に記載の車内監視方法において、
前記環境は気温を含む、車内監視方法。
14.上記9~13のいずれか一項に記載の車内監視方法において、
前記コンピュータは、前記通知処理において、前記環境が前記第1基準を超えた場合に、さらに、前記車両に設けられている出力装置に所定の出力を行わせる車内監視方法。
15.上記9~14のいずれか一項に記載の車内監視方法において、
前記生体は、人及び動物の少なくとも一方を含む、車内監視方法。
16.上記15に記載の車内監視方法において、
前記コンピュータは
前記検出処理において、前記生体が人の場合、当該人の年齢を推定し、
前記通知処理において、前記年齢が第2基準を満たしたときに前記通知を行う車内監視方法。
17.コンピュータに、
車両の動力源がオフになった後、かつ、前記車両のドアが少なくとも一度開閉された後に、前記車両の室内を検出範囲としたセンサの検出結果を示すセンサデータを繰り返し取得する取得機能と、
前記取得機能が前記センサデータを取得するたびに、当該センサデータを用いて前記室内に存在している生体の検出処理を行う検出機能と、
前記室内に存在している生体が検出された場合、前記室内の環境の監視を行い、当該環境が第1基準を満たした場合に、予め登録されている端末に所定の通知を行う通知処理機能と、
を持たせるプログラム。
18.上記17に記載のプログラムにおいて、
前記センサは撮像装置を含む、プログラム。
19.上記18に記載のプログラムにおいて、
前記センサは、さらにミリ波センサ、赤外線センサ、温度センサ、及び振動センサの少なくとも一つを含むプログラム。
20.上記17~19のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
前記検出機能は、前記室内に存在している生体が検出された後、前記車両のドアが開かれるまで、前記検出処理を停止する、プログラム。
21.上記17~20のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
前記環境は気温を含む、プログラム。
22.上記17~21のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
前記通知処理機能は、前記環境が前記第1基準を超えた場合に、さらに、前記車両に設けられている出力装置に所定の出力を行わせるプログラム。
23.上記17~22のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
前記生体は、人及び動物の少なくとも一方を含む、プログラム。
24.上記23に記載のプログラムにおいて、
前記検出機能は、前記生体が人の場合、当該人の年齢を推定し、
前記通知処理機能は、前記年齢が第2基準を満たしたときに前記通知を行うプログラム。
【符号の説明】
【0065】
10 車内監視装置
20 車載装置
30 車両
32 撮像装置
34 センサ
36 出力装置
40 端末
110 取得部
120 検出部
130 通知処理部
210 第1通信部
220 第2通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7