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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-14
(45)【発行日】2025-04-22
(54)【発明の名称】半導体モジュールおよび車両
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/473 20060101AFI20250415BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20250415BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20250415BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
H01L25/04 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024076093
(22)【出願日】2024-05-08
(62)【分割の表示】P 2020067089の分割
【原出願日】2020-04-02
(65)【公開番号】P2024100804
(43)【公開日】2024-07-26
【審査請求日】2024-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松澤 憲亮
(72)【発明者】
【氏名】小山 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】郷原 広道
【審査官】栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-049861(JP,A)
【文献】特開2018-073985(JP,A)
【文献】特開2010-171279(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0363036(US,A1)
【文献】国際公開第2015/178064(WO,A1)
【文献】特開2016-115833(JP,A)
【文献】特表2018-518061(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0189791(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/473
H01L 25/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置および冷却装置を備える半導体モジュールであって、
前記冷却装置は、
前記半導体装置が主面に配置される天板と、
前記天板に接続している側壁と、
前記側壁に接続しており、前記天板に対面する底板と、
前記天板、前記側壁および前記底板によって画定され、冷媒を流通させるための冷媒流通部と、
前記底板に形成され、前記冷媒流通部に冷媒を導入するための入口と、
前記底板に形成され、前記冷媒流通部から冷媒を導出するための出口と
を有し、
前記天板および前記底板は、前記半導体モジュールを外部の装置に締結する締結部材を挿入するための複数の貫通孔を有し、該貫通孔のそれぞれが、前記天板および前記底板を一方向に貫通し、
前記冷媒流通部の一部が、平面視において、隣接する前記貫通孔の中心を結ぶ線分よりも外側張り出し
前記側壁は、前記貫通孔を有する複数の肉厚部と、前記肉厚部の間に配置された肉薄部とを含み、
前記入口または前記出口の前記肉薄部側の縁は、前記入口または前記出口を挟んで隣接する2つの前記肉厚部の前記冷媒流通部側を結ぶ線分と、前記2つの肉厚部の前記貫通孔の中心を結ぶ線分との間に配置されている、半導体モジュール。
【請求項2】
前記肉薄部の厚みは、1mm以上3mm以下である、
請求項に記載の半導体モジュール。
【請求項3】
前記入口および前記出口のそれぞれの開口は、平面視において、丸長方形、長方形たは長円である、
請求項に記載の半導体モジュール。
【請求項4】
前記開口の長手方向は、平面視において、前記肉薄部の延伸方向と平行である、
請求項に記載の半導体モジュール。
【請求項5】
前記底板の下面において、前記入口および前記出口の周囲にシーリング材を支持するためのシール面が設けられている、
請求項1からのいずれか一項に記載の半導体モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体モジュールおよび車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷却フィンを含む冷却器を実装した、パワー半導体チップ等の複数の半導体素子を含む半導体モジュールが知られている(例えば、特許文献1-11参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2019-129208号公報
[特許文献2]WO2016/121159
[特許文献3]特開2020-027891号公報
[特許文献4]特開2019-204922号公報
[特許文献5]特許第6486579号
[特許文献6]特開2020-027891号公報
[特許文献7]WO2016/204257
[特許文献8]特開2017-183421号公報
[特許文献9]特開2017-098439号公報
[特許文献10]特開2016-100456号公報
[特許文献11]WO2016/042903
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の半導体モジュールは、外部の冷媒供給装置に実装する場合に、ネジなどの締結部材を用いて冷却器を冷媒供給装置に固定するが、締結部材の締結力により冷却器が座屈して、冷却器と冷媒供給装置との間に形成される冷媒流路のシール性に影響を与える場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、半導体装置および冷却装置を備える半導体モジュールを提供する。半導体装置は、半導体チップと、半導体チップが実装された回路基板とを有してもよい。冷却装置は、半導体装置の回路基板が主面に固定される天板を有してもよい。冷却装置は、天板に接続される側壁を有してもよい。冷却装置は、側壁に接続され、天板に対面する底板を有してもよい。冷却装置は、天板、側壁および底板によって画定され、冷媒を流通させるための冷媒流通部を有してもよい。冷却装置は、底板に形成され、冷媒流通部に冷媒を導入するための入口を有してもよい。冷却装置は、底板に形成され、冷媒流通部から冷媒を導出するための出口を有してもよい。冷却装置は、冷媒流通部に配置され、天板と底板との間を接続するように延在する複数のフィンを有してもよい。天板および底板は、半導体モジュールを外部の装置に締結する締結部材を挿入するための貫通孔であって、天板および底板をそれぞれが一方向に貫通する3つの貫通孔を含んでもよい。平面視において、入口および出口の少なくとも一方の開口の幾何学的な重心が、3つの貫通孔を頂点とする仮想的な三角形の内側に位置してもよい。
【0005】
3つの貫通孔のうちの2つの貫通孔は、開口の両側に位置してもよい。平面視において、2つの貫通孔のそれぞれの内部に位置する点を結ぶ線分の垂直二等分線は、開口を通ってもよい。
【0006】
平面視において、2つの貫通孔のそれぞれの幾何学的な重心を結ぶ線分の垂直二等分線は、開口の幾何学的な重心を通ってもよい。
【0007】
開口の外縁が3つの貫通孔を頂点とする仮想的な三角形の内側に位置してもよい。
【0008】
貫通孔は、第1貫通孔、第2貫通孔、第3貫通孔および第4貫通孔を含んでもよい。平面視において、第1貫通孔および第4貫通孔は入口の両側に位置してもよい。第2貫通孔および第3貫通孔は出口の両側に位置してもよい。平面視において、第1貫通孔および第4貫通孔を結ぶ線に直交する方向から見た場合に、第2貫通孔は第1貫通孔および第4貫通孔の間に位置してもよい。平面視において、入口の幾何学的な重心が、第1貫通孔、第4貫通孔および第2貫通孔を頂点とする仮想的な三角形の内側に位置してもよい。平面視において、出口の幾何学的な重心が、第2貫通孔、第3貫通孔および第4貫通孔を頂点とする仮想的な三角形の内側に位置してもよい。
【0009】
第1貫通孔および第4貫通孔を結ぶ直線に直交する方向から見た場合に、第2貫通孔の少なくとも一部は入口と重なってもよい。
【0010】
第1貫通孔および第4貫通孔を結ぶ直線に直交する方向から見た場合に、第2貫通孔の幾何学的な重心と入口の幾何学的な重心とが一致してもよい。
【0011】
第2貫通孔および第3貫通孔を結ぶ直線に直交する方向から見た場合に、第4貫通孔の少なくとも一部は出口と重なってもよい。
【0012】
第2貫通孔および第3貫通孔を結ぶ直線に直交する方向から見た場合に、第4貫通孔の幾何学的な重心と出口の幾何学的な重心とが一致してもよい。
【0013】
第1貫通孔および第4貫通孔を結ぶ線と、第3貫通孔および第2貫通孔を結ぶ線と、が平行であってもよい。第1貫通孔および第4貫通孔を結ぶ線と、第2貫通孔および第4貫通孔を結ぶ線と、が鋭角をなしてもよい。
【0014】
天板および底板は、平面視において矩形であってもよい。貫通孔は、第5貫通孔を更に含んでもよい。第1貫通孔および第4貫通孔を結ぶ直線に直交する方向から見た場合に、第2貫通孔の少なくとも一部は第4貫通孔と重なり、第5貫通孔の少なくとも一部は第3貫通孔と重なってもよい。
【0015】
貫通孔は、第6貫通孔を更に含んでもよい。第1貫通孔および第4貫通孔を結ぶ直線に直交する方向から見た場合に、第6貫通孔の少なくとも一部は第1貫通孔と重なってもよい。
【0016】
平面視において、第1貫通孔、第3貫通孔、第5貫通孔および第6貫通孔は、矩形の四隅に位置してもよい。
【0017】
底板の厚みは、天板における冷媒流通部に対面する部分の厚みよりも厚くてもよい。
【0018】
3つの貫通孔のうちの少なくとも1つの貫通孔は、天板、側壁および底板を一方向に貫通してもよい。
【0019】
側壁は、肉薄部と肉厚部とを含んでもよい。少なくとも1つの貫通孔は肉厚部に形成されていてもよい。
【0020】
冷却装置は、冷媒流通部の外側に位置し、天板および底板に接続される補強部を更に有してもよい。3つの貫通孔のうちの少なくとも1つの貫通孔は、天板、補強部および底板を一方向に貫通してもよい。
【0021】
半導体装置は、半導体チップを封止する樹脂構造体を更に有してもよい。樹脂構造体は、天板の主面に固定されてもよい。貫通孔は、少なくとも樹脂構造体、天板および底板を一方向に貫通してもよい。
【0022】
樹脂構造体は、締結部材がネジである場合にネジの頭が樹脂構造体の外方に突出しないよう頭を収容するための陥凹部を含んでもよい。
【0023】
本発明の第2の態様においては、第1の態様に係る半導体モジュールを備える車両を提供する。
【0024】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一つの実施形態に係る半導体モジュール100の一例を示す模式的な斜視図である。
図2】本発明の一つの実施形態に係る半導体モジュール100の一例を示す模式的な斜視図である。
図3】本発明の一つの実施形態に係る半導体モジュール100の冷却装置10の一例を示す模式的な斜視図である。
図4図1に示すI-I線で半導体モジュール100を仮想的に切断した模式的な断面図である。
図5図4に破線で示す領域[A]の部分拡大図である。
図6】本発明の一つの実施形態に係る半導体モジュール100における、側壁36および補強部25の配置および形状、冷却装置10の冷却領域95の配置、半導体装置70の金属層85の配置、フィン94の配置および形状、ならびに冷媒の流れ方向の一例を示す図である。
図7】本発明の一つの実施形態に係る半導体モジュール100の底板64の一例を示す模式的な底面図である。
図8】本発明の一つの実施形態に係る半導体モジュール100を冷媒供給ユニット130に実装する状態の一例を示す模式的な斜視図である。
図9】本発明の一つの実施形態に係る半導体モジュール100を冷媒供給ユニット130に実装した状態の一例を示す模式的な斜視図である。
図10】本発明の一つの実施形態に係る半導体モジュール100の底板64の変形例である底板67の一例を示す模式的な底面図である。
図11】本発明の一つの実施形態に係る半導体モジュール100の底板64の変形例である底板68の一例を示す模式的な底面図である。
図12】本発明の一つの実施形態に係る車両200の概要を示す図である。
図13】本発明の一つの実施形態に係る半導体モジュール100の主回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0027】
図1および図2は、本発明の一つの実施形態に係る半導体モジュール100の一例を示す模式的な斜視図であり、図3は、本発明の一つの実施形態に係る半導体モジュール100の冷却装置10の一例を示す模式的な斜視図である。また、図4は、図1に示すI-I線で半導体モジュール100を仮想的に切断した模式的な断面図であり、図5は、図4に破線で示す領域[A]の部分拡大図である。また、図6は、本発明の一つの実施形態に係る半導体モジュール100における、側壁36および補強部25の配置および形状、冷却装置10の冷却領域95の配置、半導体装置70の金属層85の配置、フィン94の配置および形状、ならびに冷媒の流れ方向の一例を示す図である。
【0028】
図1図4および図5では、単に説明を明確にするため、図2に示す樹脂構造体71の図示を省略している。また、図5では、天板20における冷媒流通部92に対面する部分のz軸方向の厚みをT1で示し、側壁36の肉厚部36-2のx軸方向の厚みをT2で示し、底板64のz軸方向の厚みをT3で示している。また、図6では、図1に示すU相ユニット70U、V相ユニット70VおよびW相ユニット70Wのそれぞれの金属層85を破線で示している。
【0029】
半導体モジュール100は、半導体装置70および冷却装置10を備える。本実施形態による半導体装置70は、冷却装置10に載置されている。本実施形態の説明では、半導体装置70が載置されている冷却装置10の面をxy面とし、xy面と垂直な軸をz軸とする。xyz軸は右手系をなす。本実施形態の説明では、z軸方向において冷却装置10から半導体装置70に向かう方向を上、逆の方向を下と称するが、上および下の方向は、重力方向に限定されない。また本実施形態の説明では、各部材の面のうち、上側の面を上面、下側の面を下面、上面および下面の間の面を側面と称する。本実施形態の説明において、平面視は、z軸正方向またはz軸負方向から半導体モジュール100を見た場合を意味する。
【0030】
半導体装置70は、半導体チップ78と、半導体チップ78が実装された回路基板76とを有する。本実施形態による半導体装置70は、3枚の回路基板76を含み、3枚の回路基板76は冷却装置10上でy軸方向に並べられている。各回路基板76には1つ又は複数の半導体チップ78が搭載されていてもよい。本実施形態では、各回路基板76には2つの半導体チップ78が搭載され、2つの半導体チップ78は回路基板76上でy軸方向に並べられている。また、本実施形態による半導体装置70は、半導体チップ78を封止する樹脂構造体71を更に有する。
【0031】
本実施形態の半導体モジュール100は、三相交流インバータを構成する装置として機能する。図1に示す通り、本実施形態の半導体装置70は、パワー半導体装置として、回路基板76および半導体チップ78―1および半導体チップ78-4を含むU相ユニット70Uと、回路基板76および半導体チップ78―2および半導体チップ78-5を含むV相ユニット70Vと、回路基板76および半導体チップ78―3および半導体チップ78-6を含むW相ユニット70Wとを有する。なお、U相ユニット70U、V相ユニット70VおよびW相ユニット70Wの各半導体チップ78は、半導体モジュール100が動作した場合に熱を生じる発熱源となる。
【0032】
半導体チップ78は縦型の半導体素子であり、上面電極および下面電極を有する。半導体チップ78は、一例として、シリコン等の半導体基板に形成された絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)、MOS電界効果トランジスタ(MOSFET)および還流ダイオード(FWD)等の素子を含む。半導体チップ78は、IGBTおよびFWDが一枚の半導体基板に形成された逆導通IGBT(RC-IGBT)であってもよい。RC-IGBTにおいてIGBTとFWDは逆並列に接続されてよい。
【0033】
半導体チップ78の下面電極は、回路基板76の上面に接続されている。本実施形態の半導体チップ78は、はんだ79によって回路基板76の上面に固定されている。半導体チップ78の上面電極はエミッタ、ソースあるいはアノード電極であってよく、下面電極はコレクタ、ドレインあるいはカソード電極であってよい。半導体チップ78における半導体基板は、炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)であってもよい。
【0034】
IGBTやMOSFETなどのスイッチング素子を含む半導体チップ78は制御電極を有する。半導体モジュール100は、半導体チップ78の制御電極に接続される制御端子を有してもよい。スイッチング素子は、制御端子を介し、外部の制御回路により制御され得る。
【0035】
図5に示す通り、回路基板76は、上面と下面を有する絶縁板81と、絶縁板81の上面に設けられた回路層83と、絶縁板81の下面に設けられた金属層85とを順に含む積層基板である。
【0036】
回路基板76は、上面および下面を有し、下面が冷却装置10の上面に配置される。本実施形態の回路基板76は、金属層85を介してはんだ79によって冷却装置10の上面に固定されている。また、本実施形態の回路基板76の上面には、一例として、2つの半導体チップ78が固定されている。
【0037】
回路基板76は、例えば、DCB(Direct Copper Bonding)基板やAMB(Active Metal Brazing)基板であってよい。本実施形態の絶縁板81は、セラミックを含む。絶縁板81は、アルミナ(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ケイ素(Si)等のセラミックス材料を用いて形成されてよい。本実施形態の絶縁板81は、平面視において矩形である。
【0038】
本願明細書において、矩形とは、四角形または長方形を意味してもよく、また、少なくとも1つの角部が、面取りされた形状や滑らかな形状であってもよい。例えば、矩形は、4つの角部のそれぞれが面取りされた、8角形、12角形、16角形などを含んでもよい。
【0039】
回路層83および金属層85は、銅あるいは銅合金などの導電材料を含む板材であってよい。本実施形態における回路層83および金属層85は、絶縁板81と同様に、平面視において矩形である。
【0040】
回路層83は、はんだやロウ等によって絶縁板81の上面側に固定されている。回路層83の上面には、半導体チップ78がはんだ等によって電気的、機械的に接続され、すなわち電気回路的に直接接続されている。なお、回路層83は、ワイヤー等により、他の導電部材と電気的に接続されてもよい。また、回路層83は、絶縁板81の上面に直接接合(DCB:Direct Copper Bonding)されてもよい。
【0041】
樹脂構造体71は、平面視において矩形であり、より具体的には、長辺および短辺を有する長方形である。図2に示す通り、本実施形態の樹脂構造体71は、半導体チップ78を封止する封止部74と、封止部74を囲う収容部72とを含む。封止部74は、例えばシリコーンゲルまたはエポキシ樹脂等の樹脂を含む絶縁部材である。本実施形態の封止部74は、半導体チップ78以外に、回路基板76およびその他の回路要素も封止する。
【0042】
収容部72は、例えば熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂等の絶縁材料で形成された枠体である。本実施形態の収容部72は、天板20の上面22において、回路基板76等が配置された領域を囲んで設けられる。換言すると、本実施形態の収容部72は、半導体チップ78、回路基板76およびその他の回路要素を収容し得る内部空間を有する。収容部72は、天板20の上面22に接着されてもよい。上述した封止部74は、一例として、収容部72の内部空間に上記の樹脂が充填され、硬化することによって形成される。なお、樹脂構造体71は、収容部72を含まずに、封止部74のみを含んでもよい。
【0043】
収容部72は、複数の導電性接続部73がインサート成形されている。複数の導電性接続部73はそれぞれ、一端を半導体装置70に電気的に接続され、他端を外部の装置に電気的に接続される。複数の導電性接続部73はそれぞれ、半導体装置70の入力端子および出力端子(N端子、P端子)のいずれかを構成する。
【0044】
また、本実施形態の樹脂構造体71は、冷却装置10における締結部材を挿入するための孔に対応する貫通孔77を少なくとも3つ含む。貫通孔77は、樹脂構造体71をz軸方向に貫通する。本実施形態の樹脂構造体71は、第1貫通孔77-1、第2貫通孔77-2、第3貫通孔77-3、第4貫通孔77-4、第5貫通孔77-5および第6貫通孔77-6を含む。平面視において、第1貫通孔77-1、第3貫通孔77-3、第5貫通孔77-5および第6貫通孔77-6は、樹脂構造体71の矩形の四隅に位置する。
【0045】
冷却装置10は、天板20と、側壁36と、底板64と、冷媒流通部92と、入口41と、出口42と、複数のフィン94とを有する。本実施形態では、天板20、側壁36および複数のフィン94をまとめて、ベースプレート40と称する場合がある。本実施形態の冷却装置10は、補強部25を更に有する。
【0046】
天板20は、xy平面に広がる主面を有する、板状の部材である。天板20は、主面に、半導体装置70の回路基板76が固定される。本実施形態の天板20は、主面に樹脂構造体71も固定される。本実施形態の天板20は、平面視において矩形であり、より具体的には、長辺および短辺を有する長方形である。本実施形態の天板20は、短辺がx軸に平行であり、長辺がy軸に平行である。なお、本願明細書において、長方形、正方形、四角形、菱形、多角形などと称する場合、これらの図形は、少なくとも1つの角部が、面取りされた形状や滑らかな形状であってもよい。
【0047】
天板20は、半導体モジュール100を外部の装置に締結する締結部材、例えばボルト、ボス、ネジなどを挿入するための貫通孔80を少なくとも3つ含む。貫通孔80は、天板20をz軸方向に貫通する。本実施形態の天板20は、第1貫通孔80-1、第2貫通孔80-2、第3貫通孔80-3、第4貫通孔80-4、第5貫通孔80-5および第6貫通孔80-6を含む。平面視において、第1貫通孔80-1、第3貫通孔80-3、第5貫通孔80-5および第6貫通孔80-6は、天板20の矩形の四隅に位置する。
【0048】
図3に示す通り、天板20は、xy面と平行な上面(おもて面)22および下面(裏面)24を有する。天板20は、一例として金属で形成され、より具体的な一例としてアルミニウムを含む金属で形成されている。天板20は、表面にニッケルなどのめっき層が形成されてもよい。
【0049】
本実施形態において、天板20の上面22には、半導体装置70の回路基板76がはんだ79によって直接固定される。より具体的には、天板20の主面には、回路基板76の金属層85がはんだ79で固着されている。天板20には、各半導体チップ78において発生した熱が伝達される。天板20、回路基板76および半導体チップ78は、z軸正方向に向かってこの順に配置される。天板20および回路基板76の間、ならびに、回路基板76および半導体チップ78の間は、熱的に接続されてよい。本実施形態では、それぞれの部材間がはんだ79で固定されており、各部材は当該はんだ79を介して熱的に接続される。また、本実施形態の天板20は、主面に、上記の収容部72が固着剤で固着されている。
【0050】
側壁36は、天板20に接続される。本実施形態の側壁36は、天板20と一体的に構成され、天板20からz軸負方向に延在する。側壁36は、冷却装置10の側面を構成する。側壁36は、一例として金属で形成され、より具体的な一例として、天板20と同様にアルミニウムを含む金属で形成されている。
【0051】
図6に示す通り、本実施形態の側壁36は、肉薄部36-1と肉厚部36-2とを含む。肉薄部36-1および肉厚部36-2は、天板20の主面に平行な断面における厚みが互いに異なる。肉薄部36-1は、略一定の厚みを有し、例えば1mm以上3mm以下であってもよい。肉厚部36-2は、肉薄部36-1よりも厚く、側壁36が連続する方向に沿って厚みが連続的に変化する。肉薄部36-1および肉厚部36-2は、側壁36が連続する方向に沿って連続的に交互に形成される。
【0052】
本実施形態の側壁36は、xy平面において、概して矩形の輪郭を有し、より具体的には、長辺および短辺を有する長方形の輪郭を有する。xy平面において、本実施形態の側壁36の輪郭は、天板20の輪郭よりも内側に位置する。なお、輪郭とは、物の外形を形作っている線を指してもよい。
【0053】
底板64は、側壁36に接続され、天板20に対面する。本実施形態の底板64は、板状の部材である。本実施形態の底板64は、平面視において矩形であり、より具体的には、長辺および短辺を有する長方形である。また、本実施形態の底板64は、短辺がx軸に平行であり、長辺がy軸方向に平行である。
【0054】
底板64は、天板20と同様に、半導体モジュール100を外部の装置に締結する締結部材、例えばボスを挿入するための貫通孔65を少なくとも3つ含む。貫通孔65は、底板64をz軸方向に貫通する。本実施形態の底板64は、第1貫通孔65-1、第2貫通孔65-2、第3貫通孔65-3、第4貫通孔65-4、第5貫通孔65-5および第6貫通孔65-6を含む。平面視において、第1貫通孔65-1、第3貫通孔65-3、第5貫通孔65-5および第6貫通孔65-6は、底板64の矩形の四隅に位置する。
【0055】
本実施形態では、図1から図6に示す通り、樹脂構造体71の第1貫通孔77-1と天板20の第1貫通孔80-1と底板64の第1貫通孔65-1とが同軸になるよう配置される。また、樹脂構造体71の第2貫通孔77-3と天板20の第2貫通孔80-2と底板64の第2貫通孔65-2とが同軸になるよう配置される。また、樹脂構造体71の第3貫通孔77-3と天板20の第3貫通孔80-3と底板64の第3貫通孔65-3とが同軸になるよう配置される。
【0056】
また、樹脂構造体71の第4貫通孔77-4と天板20の第4貫通孔80-4と底板64の第4貫通孔65-4とが同軸になるよう配置される。また、樹脂構造体71の第5貫通孔77-5と天板20の第5貫通孔80-5と底板64の第5貫通孔65-5とが同軸になるよう配置される。また、樹脂構造体71の第6貫通孔77-6と天板20の第6貫通孔80-6と底板64の第6貫通孔65-6とが同軸になるよう配置される。
【0057】
このように、樹脂構造体71の貫通孔77、天板20の貫通孔80および底板64の貫通孔65は、少なくとも樹脂構造体71、天板20および底板64を一方向に貫通する。また更に、互いに同軸に配置される天板20の貫通孔80および底板64の貫通孔65は、天板20、側壁36および底板64を一方向に貫通してもよい。本実施形態では、図3から図6に示す通り、天板20の第1貫通孔80-1から第5貫通孔80-5のそれぞれと、底板64の第1貫通孔65-1から第5貫通孔65-5のそれぞれとの組は、天板20、側壁36および底板64をz軸方向に貫通する。
【0058】
これら第1貫通孔80-1等および第1貫通孔65-1等の組は、側壁36の肉厚部36-2に形成されている。これにより、半導体モジュール100を大型化することなく冷媒流通部92を拡大して冷却効率を高めることができ、その一方で、半導体モジュール100を外部の装置とボルトなどで強固に締結する場合に印加され得る強い締結力に対する剛性を高めることができる。
【0059】
なお、天板20、側壁36および底板64を一方向に貫通する貫通孔80および貫通孔65の内面には、例えばここに螺合するネジのネジ山と相補的な形状を有するネジ溝が形成されていてもよく、全体的に滑らかな曲面であってもよく、滑らかな曲面のうち部分的にネジ溝が形成されていてもよい。
【0060】
図5に示した通り、天板20における冷媒流通部92に対面する部分のz軸方向の厚みT1は、xy平面における側壁36の肉厚部36-2の代表的な厚みT2、および、底板64のz軸方向の厚みT3に比べて薄い。天板20の厚みを薄くすることによって、天板20の上面22に配置される半導体装置70からの熱を、冷媒流通部92内を流れる冷媒へと効率的に移動させることができる。
【0061】
その一方で、天板20において貫通孔80が形成されている部分は、側壁36の肉厚部36-2がz軸負方向に延出しており、冷媒流通部92に対面する部分に比べて強度が高い。これにより、上述した締結力によって天板20が破損してしまうことを抑止できる。
【0062】
また、側壁36が連続する方向に沿って複数の肉厚部36-2を配置することにより、側壁36の強度を高めることができ、これによって、天板20が機械的または熱的な影響によって捩じれなどの変形を起こすことを抑止できる。これにより、半導体モジュール100は、半導体装置70を天板20に固定するはんだ79に大きな応力および塑性ひずみが発生することを抑止できる。
【0063】
また、底板64のz軸方向の厚みT3は、天板20における冷媒流通部92に対面する部分の厚みT1よりも厚い。これにより、冷却装置10の全体的な剛性を高めることができる。
【0064】
底板64は、側壁36のz軸負方向の下端に直接または間接に密着して配置されてもよい。間接に密着とは、側壁36の下端と底板64との間に設けられた、シール材、接着剤、ロウ材などの固着剤98を介して、側壁36の下端と底板64とが密着している状態を指す。本実施形態において、底板64は、固着剤98を介して側壁36の下端に密着して配置されている。底板64は、一例として金属で形成され、より具体的な一例として、ベースプレート40と同様にアルミニウムを含む金属で形成されている。
【0065】
なお、側壁36の下端と底板64とは、互いにロウ付けされることが好ましい。この場合、ロウ材は、ベースプレート40および底板64よりも融点の低い金属であることが好ましい。
【0066】
冷媒流通部92は、例えばLLCや水等の冷媒を流通させるための空間であって、天板20、側壁36および底板64によって画定される。換言すると、側壁36は、xy面において、冷媒流通部92を囲んで配置され、天板20および底板64は、z軸方向において、冷媒流通部92を挟んで互いに対面して配置される。よって、xy平面における冷媒流通部92の輪郭は、側壁36の内周によって画定される。そのため、冷媒流通部92は、平面視において概して矩形である。より具体的には、図6に示す通り、冷媒流通部92は概して、天板20の主面に平行な断面が長辺96および短辺93を有する矩形である。なお、本実施形態において、長辺96の方向はy軸方向であり、短辺93の方向はx軸方向である。
【0067】
冷媒流通部92は、天板20、側壁36および底板64によって密閉されていてもよく、この場合、側壁36の下端と底板64とが密着していてもよい。なお、密着は、冷媒流通部92の内部の冷媒が、当該密着部分から漏れ出ない状態を指す。
【0068】
入口41は、冷媒流通部92に冷媒を導入するための孔であり、底板64に形成されている。出口42は、冷媒流通部92から冷媒を導出するための孔であり、入口41と同様に、底板64に形成されている。入口41および出口42を、冷媒流通部92を画定する構成内で最も厚い底板64に形成することで、冷却装置10の強度を向上でき、且つ、冷却装置10の加工を容易化することができる。
【0069】
入口41および出口42は、x軸方向において、冷却装置10の一側と、一側の反対の他側にそれぞれ位置し、且つ、y軸方向において、冷却装置10の一側と、一側の反対の他側にそれぞれ位置する。すなわち、入口41および出口42は、xy平面において矩形を有する冷媒流通部92の対角線方向で、冷媒流通部92の対向する両端に位置する。
【0070】
複数のフィン94は、冷媒流通部92に配置され、天板20と底板64との間を接続するように延在する。上述した冷媒流通部92は、複数のフィン94が配置される冷却領域95を含む。なお、図3では、フィン94を図示する代わりに、冷却領域95をドットで示している。なお、以降の説明において、1または複数のフィン94を、単にフィン94と称する場合がある。
【0071】
冷却領域95は、平面視において矩形であってもよい。図6に示す通り、本実施形態の冷却領域95は、平面視において長方形であり、短辺がx軸に平行であり、長辺がy軸に平行である。
【0072】
本実施形態の冷却領域95において、冷媒流通部92の長辺96の方向に並ぶフィン94の数は、冷媒流通部92の短辺93の方向に並ぶフィン94の数よりも多い。冷却領域95には、フィン94が設けられた領域と、フィン94間の流路とが含まれる。なお、隣接するフィン94同士の間隔は、フィン94自体の幅よりも狭くてもよい。
【0073】
冷媒流通部92は更に、当該冷却領域95の一方側に隣接する第1のヘッダ30-1と、冷却領域95の当該一方側の反対側である他方側に隣接する第2のヘッダ30-2とを含む。換言すると、冷媒流通部92は、平面視において、冷却領域95を挟んで配置された第1のヘッダ30-1および第2のヘッダ30-2を含む。本実施形態において、第1のヘッダ30-1は冷却領域95のx軸方向の負側に隣接し、第2のヘッダ30-2は冷却領域95のx軸方向の正側に隣接する。これらのヘッダ30は、冷媒流通部92において、所定の高さ(z軸方向の長さ)以上の高さを有する空間を指す。所定の高さ以上の高さとは、天板20および底板64の間の距離であってよい。
【0074】
本実施形態の第1のヘッダ30-1は、上記の入口41に連通し、複数のフィン94が配置されない。同様に、本実施形態の第2のヘッダ30-2は、上記の出口42に連通し、複数のフィン94が配置されない。なお、第1のヘッダ30-1および第2のヘッダ30-2には、例えば冷媒の流れをガイドするためのブレードフィンや天板20を補強するためのピンフィンなどが配置されていてもよい。
【0075】
また、本実施形態において、第1のヘッダ30-1および第2のヘッダ30-2はそれぞれ、平面視において、x軸方向の長さよりもy軸方向の長さの方が長く、y軸方向に延在する。
【0076】
フィン94は、一例として金属で形成され、より具体的な一例として、天板20と同様にアルミニウムを含む金属で形成されている。
【0077】
フィン94は、z軸方向において対向する上端と下端とを有する。本実施形態のフィン94の上端は、天板20の下面24に熱的および機械的に接続される。本実施形態において、フィン94は、天板20と一体的に構成されており、換言すると、フィン94が天板20の下面24から一体的に突出している。本実施形態のフィン94は、天板20の下面24から冷媒流通部92に向かってz軸負方向に延伸している。
【0078】
本実施形態のフィン94の下端は、固着剤98によって底板64に固着されている。また、本実施形態のフィン94の延伸方向は、天板20および底板64のそれぞれの主面と略直交する。
【0079】
本実施形態において、複数のフィン94は、それぞれピンフィンである。また、本実施形態における複数のフィン94は、それぞれ、天板20の主面に平行な断面の形状が矩形である。これにより、フィンの当該断面形状が円形の場合に比べて、冷媒に接触するフィン94の表面積を大きくすることができ、放熱効率を高めることができる。
【0080】
また、複数のフィン94は、冷媒流通部92に冷媒が流れた場合に、冷却領域95における冷媒の主たる流れ方向に対して当該矩形の何れの辺も直交しないように、冷媒流通部92に配置されてもよい。本実施形態の例では、冷却領域95における冷媒の主たる流れ方向は、x軸方向である。本実施形態において、複数のフィン94は、当該矩形の何れの辺もx軸方向に直交しないように、冷媒流通部92に配置されている。より具体的には、本実施形態の複数のフィン94は、当該矩形の何れの辺もx軸方向に直交せず、且つ、1つの対角線がy軸方向に平行になり、他の1つの対角線がx軸方向に平行になるように、冷媒流通部92に配置されている。これに代えて、複数のフィン94は、当該矩形の何れの辺もx軸方向に直交せず、且つ、1つの対角線がy軸方向に対して傾斜して、他の1つの対角線がx軸方向に対して傾斜するように、冷媒流通部92に配置されてもよい。複数のフィンが、上記の主たる流れ方向に対して上記の矩形の何れかの辺が直交するように冷媒流通部92に配置されている場合に比べて、上述した何れの構成によっても、冷媒流通部92内を流れる冷媒の流速損失を小さくすることができ、放熱効率を高めることができる。
【0081】
また、本実施形態のフィン94は、xy平面の断面において、冷媒流通部92の長辺96の方向よりも短辺93の方向に長い菱形を有する。また、菱形の一対の対角線のうち、長辺96に平行な対角線の方が短辺93に平行な対角線よりも短い。フィン94は、菱形の断面のそれぞれの辺の長さが1.9mmから2.2mmであってもよい。菱形の断面のそれぞれの角部において、曲率半径が0.1mmから0.2mmの丸みを有してもよい。
【0082】
なお、複数のフィン94は、それぞれ、当該断面形状が多角形であってもよく、例えば正方形であってもよい。この場合、当該正方形の1つの対角線が、第1のヘッダ30-1から第2のヘッダ30-2に向かう方向に沿うように、冷媒流通部92に配置されてもよい。
【0083】
また、複数のフィン94は、冷媒流通部92のxy平面内において、所定のパターンを形成するように配列されていてもよい。本実施形態において、複数のフィン94は、図5に示すように千鳥配列されている。複数のフィン94は、冷媒流通部92のxy平面内において、正方配列されていてもよい。
【0084】
図6に示す通り、本実施形態のU相ユニット70U、V相ユニット70VおよびW相ユニット70Wの金属層85は何れも、平面視において、一部が冷却領域95と重なり、当該一部を除く他の部分が第1のヘッダ30-1および第2のヘッダ30-2と重なる。U相ユニット70U等の金属層85は、平面視において、一部が冷却領域95と重なり、当該一部を除く他の部分が第1のヘッダ30-1および第2のヘッダ30-2の一方と重なってもよく、全体的に冷却領域95と重なってもよい。
【0085】
図3および図6に示す通り、補強部25は、冷媒流通部92の外側に位置し、天板20および底板64に接続される。上述した第5貫通孔80-5および第5貫通孔65-5は、天板20、補強部25および底板64をz軸方向に貫通する。なお、補強部25は、側壁36と繋がっていてもよく、換言すると、側壁36の一部であってもよい。この場合、補強部25は、側壁36の一つの肉厚部36-2を構成する。
【0086】
図7は、本発明の一つの実施形態に係る半導体モジュール100の底板64の一例を示す模式的な底面図である。図7では、平面視における貫通孔65、入口41および出口42の幾何学的な重心を黒塗りの丸で示す。また、それぞれの幾何学的な重心の位置を説明するための線を破線で示す。また、特定の2つの破線がなす角をθで示す。なお、以降の説明において、半導体モジュール100の貫通孔のうち、底板64の貫通孔65のみを説明する場合があるが、底板64の貫通孔65と同軸に位置する天板20の貫通孔80および樹脂構造体71の貫通孔77についても同様として、重複する説明を省略する。
【0087】
平面視において、入口41および出口42の少なくとも一方の開口の幾何学的な重心は、3つの貫通孔65を頂点とする仮想的な三角形の内側に位置する。当該3つの貫通孔65のうちの2つの貫通孔65は、当該開口の両側に位置してもよい。また、平面視において、当該2つの貫通孔65のそれぞれの内部に位置する点を結ぶ線分の垂直二等分線は、当該開口を通ってもよい。より好ましくは、平面視において、当該2つの貫通孔65のそれぞれの幾何学的な重心を結ぶ線分の垂直二等分線は、当該開口の幾何学的な重心を通ってもよい。また、好ましくは、当該開口の外縁が当該3つの貫通孔65を頂点とする仮想的な三角形の内側に位置してもよい。
【0088】
本実施形態では、平面視において、第1貫通孔65-1および第4貫通孔65-4は入口41の両側に位置し、第2貫通孔65-2および第3貫通孔65-3は出口42の両側に位置する。また、平面視において、第1貫通孔65-1および第4貫通孔65-4を結ぶ線に直交する方向から見た場合に、第2貫通孔65-2は第1貫通孔65-1および第4貫通孔65-4の間に位置する。
【0089】
図7に示す通り、本実施形態では更に、平面視において、入口41の幾何学的な重心が、第1貫通孔65-1、第4貫通孔65-4および第2貫通孔65-2を頂点とする仮想的な三角形Aの内側に位置する。同様に、平面視において、出口42の幾何学的な重心が、第2貫通孔65-2、第3貫通孔65-3および第4貫通孔65-4を頂点とする仮想的な三角形Bの内側に位置する。
【0090】
本実施形態では更に、第1貫通孔65-1および第4貫通孔65-4を結ぶ直線に直交する方向から見た場合に、第2貫通孔65-2の少なくとも一部は入口41と重なっている。第1貫通孔65-1および第4貫通孔65-4を結ぶ直線に直交する方向から見た場合に、第2貫通孔65-2の幾何学的な重心と入口41の幾何学的な重心とが一致してもよい。また同様に、本実施形態では、第2貫通孔65-2および第3貫通孔65-3を結ぶ直線に直交する方向から見た場合に、第4貫通孔65-4の少なくとも一部は出口42と重なっている。第2貫通孔65-2および第3貫通孔65-3を結ぶ直線に直交する方向から見た場合に、第4貫通孔65-4の幾何学的な重心と出口42の幾何学的な重心とが一致してもよい。
【0091】
また、本実施形態において、入口41の外縁は、平面視において、第1貫通孔65-1、第4貫通孔65-4および第2貫通孔65-2を頂点とする仮想的な三角形の内側に位置する。また同様に、出口42の外縁は、平面視において、第3貫通孔65-3、第2貫通孔65-2および第4貫通孔65-4を頂点とする仮想的な三角形の内側に位置してよい。このような配置により、入口41および出口42を介する冷媒流路のシール性が向上され得る。
【0092】
また、図7に示すように、本実施形態において、第1貫通孔65-1および第4貫通孔65-4を結ぶ線と、第3貫通孔65-3および第2貫通孔65-2を結ぶ線と、が平行であることが好ましい。本実施形態においては更に、第1貫通孔65-1および第4貫通孔65-4を結ぶ線と、第2貫通孔65-2および第4貫通孔65-4を結ぶ線と、がなす角θが鋭角である、ことが好ましい。
【0093】
図8は、本発明の一つの実施形態に係る半導体モジュール100を冷媒供給ユニット130に実装する状態の一例を示す模式的な斜視図である。また、図9は、本発明の一つの実施形態に係る半導体モジュール100を冷媒供給ユニット130に実装した状態の一例を示す模式的な斜視図である。
【0094】
本実施形態において、底板64に形成されている入口41および出口42はそれぞれ、外部の冷媒供給ユニット130の導入口141および導出口142と連通し、冷却装置10と冷媒供給ユニット130との間に冷媒流路が形成される。導入口141および導出口142はそれぞれ、冷媒供給ユニット130内部に形成された導入管143および導出管144に連通する。導入口141および導出口142はそれぞれ冷媒供給ユニット130のフランジに形成されている。
【0095】
冷媒供給ユニット130は、導入管143および導入口141から入口41を通じて冷媒流通部92に冷媒を流入させ、冷媒流通部92内を流れた冷媒を出口42から導出口142および導出管144を通じて流出させる。従って、冷却装置10は、入口41を介して外部の冷媒供給ユニット130から冷媒を搬入され、冷媒は冷媒流通部92内部を循環した後に出口42を介して当該冷媒供給ユニット130へと搬出される。
【0096】
ここで、図9は、締結部材120によって半導体モジュール100が冷媒供給ユニット130に締結された状態を示す。締結部材120によって半導体モジュール100を冷媒供給ユニット130に締結する場合、上記の冷媒流路のシール性を高めるべく、締結部材120による強い締結力が樹脂構造体71の貫通孔77、天板20の貫通孔80および底板64の貫通孔65を通じて半導体モジュール100の冷却装置10に印加される。冷却装置10の入口41および出口42の周囲は、シーリング材、例えばゴム製のOリングを介して、冷媒供給ユニット130の導入口141および導出口142の周囲に押圧される。入口41および出口42のそれぞれの開口は、平面視において、丸長方形、長方形、円形または長円であってよい。底板64の下面において、入口41および出口42のそれぞれの開口の周囲にシーリング材を支持するためのシール面が設けられてよい。
【0097】
上記で説明した本実施形態の半導体モジュール100によれば、冷却装置10の天板20および底板64は、締結部材120を挿入するための貫通孔80および貫通孔65の組を少なくとも3つ含む。更に、半導体モジュール100によれば、平面視において、入口41および出口42の少なくとも一方の開口の幾何学的な重心が、当該3つの組の貫通孔80および貫通孔65を頂点とする仮想的な三角形の内側に位置する。当該構成を備える半導体モジュール100によれば、冷媒供給ユニット130のような外部の装置に実装した場合に、当該開口の周囲に配されるシーリング材を異なる3方向から均等に圧縮し、外部の装置との間に形成される冷媒流路で液漏れが生じることを効果的に防止することができる。
【0098】
なお、図2および図9に示すように、樹脂構造体71は、締結部材120がネジである場合にネジの頭を収容するための陥凹部75を含む。陥凹部75は、ネジが貫通孔77等に挿入されて半導体モジュール100が外部の装置に締結された状態で、当該ネジの頭が樹脂構造体71の外方に突出しないようにすることができる。
【0099】
また、本実施形態の半導体モジュール100では、冷却装置10に流す冷媒の主たる流れ方向(x軸正方向)を、複数の熱源の配列方向(y軸方向)に直交させる配置構成を備える。例えば、冷却装置10の天板20上で複数の半導体チップ78などの熱源がy軸方向に存在する場合、冷却装置10に流す冷媒の主たる流れ方向を熱源の配列方向(y軸方向)に平行にすると、各熱源を一様に冷却することができない。
【0100】
これに対して、本実施形態の半導体モジュール100によれば、冷媒流通部92は、天板20の主面に平行な(xy平面における)断面が長辺96および短辺93を有する矩形であり、冷媒が短辺93の方向(x軸方向)の一の側に連通する入口41から冷媒流通部92内に導入され、冷媒流通部92内を全体に亘って拡散し、短辺93の方向(x軸方向)の他の側に連通する出口42から導出される。冷媒は、回路基板76が載置される天板20の下面24およびフィン94に接触し、半導体装置70の各半導体チップ78を冷却する。換言すると、各半導体チップ78が発した熱は、天板20およびフィン94の近傍を通過する冷媒に移動する。
【0101】
よって、本実施形態の半導体モジュール100によれば、冷却装置10は、冷却装置10の上面でy軸方向に並べられた各半導体チップ78から生じる熱を、冷媒によって効率的に冷却できる。
【0102】
以上の実施形態において、ベースプレート40を成す天板20、側壁36およびフィン94は、一体的に構成されていてもよい。本実施形態においては、天板20、側壁36およびフィン94は一体的に形成されていてもよい。例えば、天板20、側壁36およびフィン94は、連続した一枚の板部材から一体的に形成してもよい。
【0103】
例えば、連続した一枚の板部材に対して、天板20、側壁36およびフィン94の形状に対応する金型を用いた打ち抜き加工を行うことによって、天板20、側壁36およびフィン94を一体的に形成してもよい。他の例として、インパクトプレスなどを用いる常温環境下での冷間鍛造や、高温環境下での温間鍛造、熱間鍛造、溶湯鍛造などの任意の鍛造法を用いた成型を行うことによって、あるいは鋳造による成型を行うことによって、天板20、側壁36およびフィン94を一体的に形成してもよい。本実施形態の半導体モジュール100は、天板20、側壁36およびフィン94を一体的に形成することにより、別個に形成されたものを互いに固着する形態に比べて部品点数を削減することができる。
【0104】
図10は、本発明の一つの実施形態に係る半導体モジュール100の底板64の変形例である底板67の一例を示す模式的な底面図である。また、図11は、本発明の一つの実施形態に係る半導体モジュール100の底板64の変形例である底板68の一例を示す模式的な底面図である。
【0105】
図10および図11では、それぞれ半導体モジュール100における底板67および底板68のみを図示し、半導体モジュール100における他の構成の図示を省略する。また、図10および図11では、図7と同様に、平面視における貫通孔65、入口41および出口42の幾何学的な重心を黒塗りの丸で示す。また、それぞれの幾何学的な重心の位置を説明するための線を破線で示す。
【0106】
また、図10および図11に示す変形例では、図1~9を用いて説明した実施形態における半導体モジュール100の構成と比較して、特定の構成の配置、数およびまたは寸法が異なるだけであり、機能および用途は同一である。よって、図10および図11に示す変形例の各構成は、図1~9を用いて説明した実施形態における各構成と同じ参照番号を用い、重複する説明を省略する。
【0107】
図10に示す変形例の底板67では、平面視において、第1貫通孔65-1および第4貫通孔65-4のそれぞれの幾何学的な重心を結ぶ線分の垂直二等分線は、入口41の幾何学的な重心を通る。また、本実施形態では、平面視において、第1貫通孔65-1および第4貫通孔65-4は入口41の両側に位置し、第2貫通孔65-2および第3貫通孔65-3は出口42の両側に位置する。また、平面視において、第1貫通孔65-1および第4貫通孔65-4を結ぶ線に直交する方向から見た場合に、第2貫通孔65-2は第1貫通孔65-1および第4貫通孔65-4の間に位置する。
【0108】
また、図10に示す通り、本実施形態では更に、平面視において、入口41の幾何学的な重心が、第1貫通孔65-1、第4貫通孔65-4および第2貫通孔65-2を頂点とする仮想的な三角形Aの内側に位置する。同様に、平面視において、出口42の幾何学的な重心が、第2貫通孔65-2、第3貫通孔65-3および第4貫通孔65-4を頂点とする仮想的な三角形Bの内側に位置する。
【0109】
本実施形態では更に、第1貫通孔65-1および第4貫通孔65-4を結ぶ直線に直交する方向から見た場合に、第2貫通孔65-2の少なくとも一部は第4貫通孔65-4と重なり、第5貫通孔65-5の少なくとも一部は第3貫通孔65-3と重なる。また、第1貫通孔65-1および第4貫通孔65-4を結ぶ直線に直交する方向から見た場合に、第6貫通孔65-6の少なくとも一部は第1貫通孔65-1と重なる。
【0110】
また、本実施形態において、入口41の外縁は、平面視において、第1貫通孔65-1、第4貫通孔65-4および第2貫通孔65-2を頂点とする仮想的な三角形の内側に位置する。また同様に、出口42の外縁は、平面視において、第3貫通孔65-3、第2貫通孔65-2および第4貫通孔65-4を頂点とする仮想的な三角形の内側に位置してよい。本変形例による半導体モジュール100によっても、上記と同様の効果を奏する。
【0111】
図11に示す変形例の底板68では、第5貫通孔65-5および第6貫通孔65-6を含まない点を除いては、図1図9を用いて説明した底板64の構成と同様である。本変形例による半導体モジュール100によっても、上記と同様の効果を奏する。
【0112】
図12は、本発明の一つの実施形態に係る車両200の概要を示す図である。車両200は、少なくとも一部の推進力を、電力を用いて発生する車両である。一例として車両200は、全ての推進力をモーター等の電力駆動機器で発生させる電気自動車、または、モーター等の電力駆動機器と、ガソリン等の燃料で駆動する内燃機関とを併用するハイブリッド車である。
【0113】
車両200は、モーター等の電力駆動機器を制御する制御装置210(外部装置)を備える。制御装置210には、半導体モジュール100が設けられている。半導体モジュール100は、電力駆動機器に供給する電力を制御してよい。
【0114】
図13は、本発明の複数の実施形態に係る半導体モジュール100の主回路図である。半導体モジュール100は、出力端子U、VおよびWを有する三相交流インバータ回路として機能し、車両のモーターを駆動する車載用ユニットの一部であってよい。
【0115】
半導体モジュール100において、半導体チップ78-1、78-2および78-3は上アームを、半導体チップ78-4、78-5および78-6は下アームを構成してよい。一組の半導体チップ78-1、78-4はレグ(U相)を構成してよい。一組の半導体チップ78-2、78-5、一組の半導体チップ78-3、78-6も同様にレグ(V相、W相)を構成してよい。半導体チップ78-4において、エミッタ電極が入力端子N1に、コレクタ電極が出力端子Uに、それぞれ電気的に接続してよい。半導体チップ78-1において、エミッタ電極が出力端子Uに、コレクタ電極が入力端子P1に、それぞれ電気的に接続してよい。同様に、半導体チップ78-5、78-6において、エミッタ電極がそれぞれ入力端子N2、N3に、コレクタ電極がそれぞれ出力端子V、Wに、電気的に接続してよい。さらに、半導体チップ78-2、78-3において、エミッタ電極がそれぞれ出力端子V、Wに、コレクタ電極がそれぞれ入力端子P2、P3に、電気的に接続してよい。
【0116】
各半導体チップ78-1から78-6は、対応する制御端子に入力される信号により交互にスイッチングされてよい。本実施形態において、各半導体チップ78はスイッチング時に発熱してよい。入力端子P1、P2、P3は外部電源の正極に、入力端子N1、N2、N3は外部電源の負極に、出力端子U、V、Wは負荷にそれぞれ接続してよい。入力端子P1、P2、P3は互いに電気的に接続されてよく、また、他の入力端子N1、N2、N3も互いに電気的に接続されてよい。
【0117】
半導体モジュール100において、複数の半導体チップ78-1から78-6は、それぞれRC‐IGBT(逆導通IGBT)半導体チップであってよい。また、半導体チップ78-1から78-6は、それぞれMOSFETやIGBTなどのトランジスタとダイオードとの組み合わせを含んでよい。
【0118】
以上の複数の実施形態の説明において、例えば「略直交」、「略同じ」、「略一致」、「略一定」、「略対称」、「略菱形」、「略矩形」などのように、「略」との言葉を一緒に用いて特定の状態を表現している場合があるが、これらは何れも、厳密に当該特定の状態であるものだけでなく、概ね当該特定の状態であるものを含む意図である。
【0119】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0120】
例えば、上記の実施形態においては、半導体モジュール100が3つの半導体装置70を備える構成として説明したが、これに代えて、1つ、2つ、又は、4つ以上の半導体装置70を備えてもよい。
【0121】
例えば、フィン94は、格子状に、好ましくは斜格子状あるいは菱形格子状に配置されてもよい。また例えば、入口41および出口42は、冷媒流通部92において、冷却領域95と隣接し、対角線上に設けられてもよい。また例えば、入口41および出口42の開口は、平面視において、長辺96の方向の長さが短辺93の方向の長さより大きくてもよい。
【0122】
例えば、上記の実施形態においては、ベースプレート40において、天板20、側壁36およびフィン94は一体的に形成されている構成として説明したが、これに代えて、天板20、側壁36およびフィン94は、それぞれ個別に形成された後に固着剤98などで互いに固着されてもよい。また、天板20および側壁36が一体的に形成されて、別個に形成されたフィン94が天板20に固着されてもよい。また、天板20およびフィン94が一体的に形成されて、別個に形成された側壁36が天板20に固着剤98などで固着されてもよい。また、側壁36および底板64が、例えば絞り加工によって一体的に形成されて、別個に形成された天板20が側壁36に固着剤98などで、例えばロウ付けによって固着されてもよい。この場合、側壁36は、xy平面を外方に向かって延在し、側壁36の当該延在面と天板20の下面24とが接続されてもよい。
【0123】
また、例えば、上記の実施形態においては、フィン94は、天板20と一体的に形成され、底板64に向かって延在する構成として説明したが、これに代えて、フィン94は、底板64と一体的に形成され、底板64から天板20に向かって延在してもよい。なお、この場合において、フィン94の先端と天板20との間が固着剤98などで固着されてもよい。
【0124】
また、例えば、上記の実施形態においては、フィン94は、天板20と底板64との間を、天板20の主面の法線方向に延在する、すなわち天板20および底板64に対して垂直に延在する構成として説明したが、これに代えて、フィン94は、天板20と底板64との間を、天板20の主面の法線方向に対して角度を有するように斜めに延在してもよい。また、フィン94のxy平面における断面の寸法は、z軸方向において一定であってもよく、変化してもよく、より具体的な一例として、先端に向かって先細りになるように、天板20および底板64の何れか一方から他方へと延在してもよい。
【0125】
また、例えば、上記の実施形態においては、複数のフィン94は、それぞれピンフィンとして説明したが、これに代えて、板状のブレードフィンであってもよく、例えば天板20の主面に平行な断面の形状が細長い長方形であってもよい。
【0126】
また、例えば、上記の実施形態の図面においては、平面視において、側壁36の内方側を折れ線として説明したが、折れ線に限られず、直線や曲線であってもよい。例えば、平面視において、側壁36等の内方側は、冷媒流通部92の側に弓状に膨らんだ曲線であってもよく、これと反対側に弓状に凹んだ曲線であってもよい。
【0127】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0128】
10 冷却装置、20 天板、22 上面、24 下面、25 補強部、30 ヘッダ、30-1 第1のヘッダ、30-2 第2のヘッダ、36 側壁、36-1 肉薄部、36-2 肉厚部、40 ベースプレート、41 入口、42 出口、64、67、68 底板、65 貫通孔、65-1 第1貫通孔、65-2 第2貫通孔、65-3 第3貫通孔、65-4 第4貫通孔、65-5 第5貫通孔、65-6 第6貫通孔、70 半導体装置、70U U相ユニット、70V V相ユニット、70W W相ユニット、71 樹脂構造体、73 導電性接続部、75 陥凹部、77 貫通孔、77-1 第1貫通孔、77-2 第2貫通孔、77-3 第3貫通孔、77-4 第4貫通孔、77-5 第5貫通孔、77-6 第6貫通孔、72 収容部、74 封止部、76 回路基板、78 半導体チップ、79 はんだ、80 貫通孔、80-1 第1貫通孔、80-2 第2貫通孔、80-3 第3貫通孔、80-4 第4貫通孔、80-5 第5貫通孔、80-6 第6貫通孔、81 絶縁板、83 回路層、85 金属層、92 冷媒流通部、93 短辺、96 長辺、94 フィン、95 冷却領域、98 固着剤、100 半導体モジュール、120 締結部材、130 冷媒供給ユニット、131 貫通孔、131-1 第1貫通孔、131-2 第2貫通孔、131-3 第3貫通孔、131-4 第4貫通孔、131-5 第5貫通孔、131-6 第6貫通孔、141 導入口、142 導出口、143 導入管、144 導出管、200 車両、210 制御装置
図1
図2
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図10
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