(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-14
(45)【発行日】2025-04-22
(54)【発明の名称】エレベータシステム
(51)【国際特許分類】
B66B 1/14 20060101AFI20250415BHJP
【FI】
B66B1/14 L
(21)【出願番号】P 2024106990
(22)【出願日】2024-07-02
【審査請求日】2024-07-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平野 仁
(72)【発明者】
【氏名】志賀 諭
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/059097(WO,A1)
【文献】特開2024-001614(JP,A)
【文献】国際公開第2020/188639(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0263627(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00-3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末を備え、前記携帯端末を利用して呼び登録を行うエレベータシステムにおいて、
かごの運転を制御する制御装置と、
乗場に設置され、電波を送信する乗場側ビーコン装置と、
前記かご内に設置され、電波を送信するかご側ビーコン装置と、を備え、
前記携帯端末は、
乗車階と移動方向を含む乗車情報を記憶した記憶部と、
前記乗場側ビーコン装置、及び前記かご側ビーコン装置が送信した電波を受信する電波受信部と、
前記電波受信部で受信した電波の電波強度を測定する電波強度測定部と、
前記電波強度測定部によって測定された前記乗場側ビーコン装置から受信した電波の電波強度が乗場側閾値を超える場合に、前記乗車情報に基づいて呼び要求を作成し、前記制御装置に送信する呼び制御部と、を具備し、
前記呼び制御部は、
前記呼び要求を送信した後、前記電波強度測定部によって測定された前記かご側ビーコン装置から受信した電波の電波強度がかご側閾値を超えない場合には、前記乗場側閾値を上げることを特徴とするエレベータシステム。
【請求項2】
前記呼び制御部は、
前記呼び要求を送信した後、前記電波受信部が前記乗場側ビーコン装置からの電波を受信しなくなるまでに、前記電波強度測定部によって測定された前記かご側ビーコン装置から受信した電波の電波強度が前記かご側閾値を超えない場合には、前記乗場側閾値を上げることを特徴とする請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項3】
前記呼び制御部は、
前記呼び要求を送信した後、前記電波受信部が前記かご側ビーコン装置から電波を受信後、該電波の受信をしなくなるまでに、前記電波強度測定部によって測定された前記かご側ビーコン装置から受信した電波の電波強度が前記かご側閾値を超えない場合には、前記乗場側閾値を上げることを特徴とする請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項4】
前記呼び制御部は、
前記呼び要求を送信した後、前記呼び要求によって、前記かごが前記乗車階に到着し、かごドアを開けた後、閉まるまでに、前記電波強度測定部によって測定された前記かご側ビーコン装置から受信した電波の電波強度が前記かご側閾値を超えない場合には、前記乗場側閾値を上げることを特徴とする請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項5】
前記呼び制御部は、
前記呼び要求を送信した後、一定期間の間に、前記電波強度測定部によって測定された前記かご側ビーコン装置から受信した電波の電波強度が前記かご側閾値を超えない場合には、前記乗場側閾値を上げることを特徴とする請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項6】
前記呼び制御部は、
前記呼び要求を送信せずに、前記電波強度測定部によって測定された前記かご側ビーコン装置から受信した電波の電波強度が前記かご側閾値を超えた場合には、前記乗場側閾値を下げることを特徴とする請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項7】
前記乗場側ビーコン装置、及び前記かご側ビーコン装置に対応して設定された基準閾値を有する基準閾値データベースと、前記携帯端末に対応して設定された補正閾値を有する補正閾値データベースと、サーバ装置とを有し、前記基準閾値データベースおよび前記補正閾値データベースは共に、前記サーバ装置に配置され、前記乗場側閾値は、前記基準閾値と前記補正閾値を加算したものであるとともに、前記呼び制御部は、前記補正閾値を上げる、又は、下げることを特徴とする請求項1又は6に記載のエレベータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、携帯端末からエレベータのかごの自動呼びを行うことができるエレベータシステム、及び、携帯端末、自動呼び登録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ビーコン装置から受信した電波強度が閾値を超える場合に電波を検出、超えない場合に非検出と判断する、自動呼び登録システムの携帯端末アプリケーションが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建物の構造やビーコン装置の設置条件によって、ビーコン装置から送信される電波の伝達特性は異なる。それにより、携帯端末で検知する電波強度も、建物によって異なることがある。また、利用者が持つ携帯端末の受信特性により検知される電波強度が異なることがある。そのため、特許文献1のシステムでは、乗場にいるのに、ビーコン装置からの電波強度が閾値を超えず乗場呼び登録をしない。あるいは、逆に、搭乗の意思がなく乗場から離れているのに乗場呼び登録がされてしまうという課題がある。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされた。建物の状況や、所持する携帯端末に応じて、閾値を変更可能とすることで、適切な自動呼び登録を行うエレベータシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のエレベータシステムは、かごの運転を制御する制御装置と、乗場に設置され、電波を送信する乗場側ビーコン装置と、かご内に設置され、電波を送信するかご側ビーコン装置とを、を備え、携帯端末は、乗車階と移動方向を含む乗車情報を記憶した記憶部と、乗場側ビーコン装置、及びかご側ビーコン装置が送信した電波を受信する電波受信部と、電波受信部で受信した電波の電波強度を測定する電波強度測定部と、電波強度測定部によって測定された乗場側ビーコン装置から受信した電波の電波強度が乗場側閾値を超える場合に、乗車情報に基づいて呼び要求を作成し、制御装置に送信する呼び制御部と、を具備し、呼び制御部は、呼び要求を送信した後、電波強度測定部によって測定されたかご側ビーコン装置から受信した電波の電波強度がかご側閾値を超えない場合には、乗場側閾値を上げることとした。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、無駄なかご呼びの発生や、必要なかご呼びの不発生を回避でき、最適な自動呼び運転を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1におけるエレベータシステムのエレベータの構成図である。
【
図2】実施の形態1におけるエレベータシステムシステムでのアプリケーションを用いて自動呼びの設定をする際の、画面遷移を示す図である。
【
図3】実施の形態1におけるエレベータシステムのエレベータの要部概念図である。
【
図4】実施の形態1におけるエレベータシステムの制御装置と携帯端末との詳細構成を示すブロック図である。
【
図5】実施の形態1におけるエレベータシステムの基準閾値DBに登録されているデータのフォーマットを示す図である。
【
図6】実施の形態1におけるエレベータシステムの補正閾値DBに登録されているデータのフォーマットを示す図である。
【
図7】実施の形態1におけるエレベータシステムの記憶部に記憶されている乗場呼びパターンのテーブルである。
【
図8】実施の形態1におけるエレベータシステム記憶部に記憶されているかご呼びパターンのテーブルである。
【
図9】実施の形態1におけるエレベータシステムの異常判定部で異常と判定する概念を説明するための概念図である。
【
図10】実施の形態1におけるエレベータシステムの自動呼び登録の動作フローチャートである。
【
図11】実施の形態1におけるエレベータシステムの携帯端末のハードウェア資源を示す図である。
【
図12】実施の形態1におけるエレベータシステムの携帯端末の他のハードウェア資源を示す図である。
【
図13】実施の形態2におけるエレベータシステムの自動呼び登録の動作フローチャートである。
【
図14】実施の形態3におけるエレベータシステムの自動呼び登録の動作フローチャートである。
【
図15】実施の形態4におけるエレベータシステムの制御装置と携帯端末とサーバ装置の詳細構成を示すブロック図である。
【
図16】実施の形態5におけるエレベータシステムの制御装置と携帯端末とサーバ装置の詳細構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照して詳細な説明を行う。重複する説明は、適宜簡略化或いは省略する。各図において、同一の符号は、同一の部分又は相当する部分を示す。
【0010】
実施の形態1.
図1は実施の形態1におけるエレベータシステムでのエレベータの構成図である。
【0011】
図1において、昇降路1が建築物の各階を貫いており、昇降路1の直上には、機械室2が配置されている。また、複数の乗場3が、昇降路1に対向するように、建築物の各階に設けられている。
【0012】
機械室2には、巻上機4が設置されており、主ロープ5が巻き掛けられている。
【0013】
かご6は主ロープ5の一側に支持され、釣合おもり7は主ロープ5の他側に支持されている。よって、巻上機4が駆動することで、かご6及び釣合おもり7は、昇降路1の内部を、相互に反対方向に上下動する。
【0014】
複数の乗場3の各々の出入口には、乗場ドア8が設置されている。かご6の出入口には、かごドア9が設置されている。また、かごドア9には、かご6の出入口を介してかご6へ出入りする物体を検出するための赤外線センサ10が設置されている。かご6の床面の直下には、かご6の床面にかかる荷重を検出するための秤装置11が設置されている。
【0015】
複数の乗場3の壁面には、それぞれ、乗場側ビーコン装置12が配置されている。
【0016】
機械室2には、エレベータを全体的に制御し得る制御装置13が設置されている。
【0017】
基地局14は、建築物とは離れた個所に位置している。携帯端末15は、人に所持される。なお、携帯端末15は、スマートフォンやタブレットなど、人が持ち歩き可能なものである。本システムでは、携帯端末15の所持者は、携帯端末15を利用してエレベータでの呼びを自動で登録することができる。携帯端末15を利用した呼び登録を行うためには、携帯端末15に、予め呼び登録システムアプリケーションがインストールされている必要がある。この登録システムアプリケーションは、例えば、エレベータの管理を行う保守会社のホームページからダウンロードすることができる。なお、以下の説明では、呼び登録システムアプリケーションを、単に、アプリケーションと称す。
また、かご6内には、かご側ビーコン装置16が配置されている。
【0018】
図2は、携帯端末15の所持者が、アプリケーションを用いて自動呼びの設定をする際の、画面遷移を示す図である。まず、所持者は、
図2(a)の画面にて、自動呼び登録を行う建物、例えば、「Aビル」を選択する。これにより、2つの乗場階を指定するための
図2(b)の画面が表示される。
【0019】
この画面にて、
図2(c)に示すように、例えば、所持者は、2つの乗場階として、「1」、「5」を入力し、「OK」の領域に触れる。これにより、1階の乗場におけるUP呼びと、5階へのかご呼び、及び、5階の乗場におけるDOWN呼びと、1階へのかご呼び、とを自動で要求する設定とすることができる。なお、1階の乗場におけるUP呼びとは、利用者が1階の乗場のパネルにおいて、UPボタンを押したのと同じである。また、5階へのかご呼びとは、利用者がかご内のパネルにおいて、降りる予定の5階のボタンを押したのと同じである。
【0020】
図3は実施の形態1におけるエレベータシステムのエレベータの要部の概念図である。
【0021】
図3に示すように、乗場側ビーコン装置12は、乗場3に向けて電波を送信する。携帯端末15は、この電波を受信する。そして、その受信した電波強度が閾値を超えた場合に、かごの呼び要求する情報を制御装置13に向けて電波で送信する。制御装置13は、この情報に基づいてかごの呼びを登録する。
【0022】
例えば、所持者が、
図2の設定をした携帯端末15を所持して、1階の乗場側ビーコン装置12に近づくと、1階の乗場UP呼びと5階のかご呼びとが、所持者が何の操作をしなくとも自動で登録される。また、5階において乗場側ビーコン装置12に近づくと、5階の乗場DOWN呼びと1階のかご呼びとが、所持者が何の操作をしなくとも自動で登録されることになる。
【0023】
なお、受信した電波強度が閾値を超えた場合とするのは、携帯端末15の所持者がエレベータに乗る意思がなく、乗場側ビーコン装置12から離れているにもかかわらず、携帯端末15が微弱な電波を受信してしまい、自動呼び登録することを防ぐためである。
【0024】
次に、この自動呼び登録に関し、詳細に説明する。
図4は、実施の形態1におけるエレベータシステムの制御装置13と携帯端末15との詳細構成を示すブロック図である。
【0025】
制御装置13は、外部通信部1301、呼び要求受信部1302、運行管理部1303、制御部1304、巻上機通信部1305を有している。
【0026】
外部通信部1301は、インターネット網17を介して外部の機器と通信する。呼び要求受信部1302は、外部通信部1301を介して呼び要求の情報を受信する。運行管理部1303は、呼び要求受信部1302で受信した呼び要求の情報、及び、乗場のパネルやかごのパネルでのボタン押し情報に基づき、かごの運行情報にそれら呼びを登録し、管理する。制御部1304は、かごの運行情報に基づいて、巻上機4の駆動を制御する駆動情報の生成や、乗場ドアの制御を行う。巻上機通信部1305は、巻上機4に駆動情報を送信する。これにより、巻上機4は駆動し、かご6を目的の乗場に移動させる。このようにして、制御装置13は、かご6の運転を制御する。
【0027】
携帯端末15は、電波受信部1501、電波強度測定部1502、呼び制御部1503、記憶部1504、外部通信部1505を有している。また、呼び制御部1503は、閾値計算部1506、基準閾値データベース(以下、「DB」)1507、補正閾値DB1508、乗場側電波強度比較部1509、かご側電波強度比較部1510、呼び要求作成部1511、呼び要求送信部1512、異常判定部1513、修正部1514を有している。
【0028】
電波受信部1501は、乗場側ビーコン装置12、かご側ビーコン装置16から送信された電波を受信する。
【0029】
電波強度測定部1502は、電波受信部1501で受信した電波の強度を測定する。なお、ビーコン装置に近づくほど、携帯端末15で受信する電波の強度は強くなる。
【0030】
閾値計算部1506は、基準閾値DB1507及び補正閾値DB1508を使用して閾値を設定する。具体的には下記の通りである。
【0031】
図5は、基準閾値DB1507に登録されているデータのフォーマットを示す図である。
基準閾値DB1507では、建物1507a、バンク1507b、階数1507c、基準閾値1507d,ビーコン情報1507eが関係つけられている。ビーコン情報1507eであるUUID、Major、Minorは、iBeacon(登録商標)で使用される識別子であり、ビーコン装置から送信される電波に含まれている。
なお、基準閾値DB1507は、ビーコン装置に対応しており、基準閾値1507dは、ビーコン装置の設置時に、規定した値である。この値は、アプリケーションにおいて、固定のものである。
【0032】
図6は、補正閾値DB1508に登録されているデータのフォーマットを示す図である。
補正閾値DB1508では、建物1508a、バンク1508b、階数1508c、補正閾値1508d,ビーコン情報1508eが関係つけられている。補正閾値DB1508は、各携帯端末に対応しており、補正閾値1508dは、変更可能なものである。
【0033】
閾値計算部1506は、受信した電波中のビーコン情報に基づいて、基準閾値DB1507、及び、補正閾値DB1508から、対応する基準閾値1507d、補正閾値1508dを抽出する。そして、これらを加算することで、閾値を設定する。なお、階数1507c、1508cには、乗場側ビーコン装置12の場合には、それが設置された階数、かご側ビーコン装置16の場合には「かご」の名称が登録されている。よって、ビーコン情報1507e、1508eに対応した階数1507c、1508cの情報から、乗場側ビーコン装置12からの電波か、かご側ビーコン装置16からの電波かを判断できる。そして、乗場側ビーコン装置12からの電波の場合には、閾値を乗場側電波強度比較部1509に送る。また、かご側ビーコン装置16からの電波の場合には、閾値をかご側電波強度比較部1510に送る。
【0034】
乗場側電波強度比較部1509は、閾値計算部1506で設定された閾値と、電波強度測定部1502で測定された電波強度とを比較する。また、かご側電波強度比較部1510は、閾値計算部1506で設定された閾値と、電波強度測定部1502で測定された電波強度とを比較する。
【0035】
呼び要求作成部1511は、乗場側電波強度比較部1509で、電波強度が閾値を超えた場合に、記憶部1504に記憶されたテーブルに基づいて、呼び要求の情報を作成する。
【0036】
図7は、記憶部1504に記憶されている乗場呼びパターンのテーブル15041である。乗場呼びパターンのテーブル15041では、ビーコン情報15041a、建物15041b、バンク15041c、乗車階15041d、移動方向15041eが関係つけられている。
【0037】
図8は、記憶部1504に記憶されているかご呼びパターンのテーブル15042である。かご呼びパターンのテーブル15042では、ビーコン情報15042a、建物15042b、バンク15042c、乗車階15042d、行先階15042eが関係つけられている。
なお、
図7のAビルに関する4つの関係情報、及び、
図8のAビルに関する4つの関係情報は、
図2に示した画面操作によって設定されたものである。
【0038】
呼び要求作成部1511は、テーブル15041から、受信したビーコン情報に合致する乗車階15041dの情報と移動方向15041eの情報を抽出し、乗場呼び要求の情報を作成する。
また、テーブル15042から、受信したビーコン情報に合致する乗車階15042dの情報と行先階15042eの情報を抽出し、かご呼び要求の情報を作成する。
【0039】
呼び要求送信部1512は、作成された乗場呼び要求の情報とかご呼び要求の情報とを、呼び要求の情報として送信する処理を行う。
【0040】
外部通信部1505は、インターネット網17を介して外部の機器と無線で通信する。
【0041】
異常判定部1513は、かご側電波強度比較部1510での比較結果が、異常であるか、正常であるかを判定する。
【0042】
修正部1514は、異常判定部1513の判定結果を受け、補正閾値DB1508の補正閾値1508dを修正する。
【0043】
図9は、異常判定部1513で異常と判定する概念を説明するための概念図である。
図9(a)に示すように、乗場には乗場側ビーコン装置12が設置され、電波を送信している。
図9(b)は、人の移動と、携帯端末15が受信する電波強度との関係を示す図である。
【0044】
通常、エレベータの乗場の壁面に乗場側ビーコン装置12を設置し、携帯端末15を所持した工事担当者が乗場ドア8に向かって動き、受信する電波強度を測定する。
図9(b)では点線で示したものである。この電波強度は、乗場ドア8に向かうに対応して大きくなるが、ある位置までくると安定する。よって、所持者が、この位置まで近づけば、かごに乗る意思があると推定できる範囲として、想定受信範囲を設定し、その位置での電波強度を基準閾値とする。この基準閾値は、
図9(b)では破線で示すものである。
【0045】
しかし、実際には、携帯端末の受信感度や、建物内の物の配置状況によって、携帯端末で受信する電波強度は異なる。例えば、所持者Bの携帯端末15は受信感度が低いため、かごに乗りたいと想定受信範囲に入っても、
図9(b)に示すように電波強度が基準閾値を超えない場合がある。これにより、呼び要求の情報が作成、送信されることはない。逆に、例えば、所持者Aの携帯端末15は受信感度が高いため、エレベータホールを通っただけで、想定受信範囲に入っていないのに、
図9(b)に示すように電波強度が基準閾値を超えてしまう場合がある。これにより、呼び要求の情報が作成、送信されてしまう。これらのような現象が、異常に相当する。
【0046】
次に、この携帯端末15での、自動呼び登録の動作について、
図10のフローチャートに基づいて説明する。
【0047】
まず、携帯端末15では、電波受信部1501が、乗場側ビーコン装置12から送信された電波を受信する(ステップS001)。
閾値計算部1506は、基準閾値DB1507及び補正閾値DB1508を使用して閾値(以下、「乗場側閾値」)を計算し、設定する(ステップS002)。
次に、乗場側電波強度比較部1509は、電波強度測定部1502で測定された、乗場側ビーコン装置12から受信している電波強度が乗場側閾値を超えたかを判定する(ステップS003)。
【0048】
ステップS003で、電波強度が乗場側閾値を超えたと判定された場合には、呼び要求作成部1511は、記憶部1504に記憶されたテーブルに基づいて、乗場呼び要求とかご呼び要求からなる呼び要求の情報を作成する(ステップS004)。
次に、呼び要求送信部1512は、作成された呼び要求の情報を、外部通信部1505を介して制御装置13に送信する(ステップS005)。
制御装置13では、呼び要求受信部1302が、外部通信部1301を介して呼び要求の情報を受信、運行管理部1303が、乗場呼びとかご呼びの要求を運行情報に登録する。その後、運行管理部1303は、呼び登録完了情報を、外部通信部1301を介して携帯端末15に送信し、携帯端末15で受信する(ステップS006)。
これにより、携帯端末15のアプリケーションは、携帯端末15の画面に呼び登録済みなどの情報が表示し、所持者は、呼び登録の完了を知ることができる。
【0049】
次に、電波受信部1501は、かご側ビーコン装置16から電波を受信したかを判定する(ステップS007)。かご6が乗車階に移動し、乗場ドア8、かごドア9が開くことで、電波受信部1501が、かご側ビーコン装置16から送信された電波を受信する。
【0050】
ステップS007で、電波を受信したと判定された場合には、閾値計算部1506は、基準閾値DB1507及び補正閾値DB1508を使用して閾値(以下、「かご側閾値」)を設定する(ステップS008)。
【0051】
次に、かご側電波強度比較部1510は、電波強度測定部1502で測定された、かご側ビーコン装置16から受信している電波強度がかご側閾値を超えたかを判定する(ステップS009)。
なお、電波強度がかご側閾値を超えるのは、所持者がかご6に搭乗した場合である。乗場にいる状態では、かご側ビーコン装置16からの電波は受信しても、かご側閾値を超えないように設定されている。
【0052】
ステップS009で、かご側閾値を超えたと判定された場合には処理を終了する。
【0053】
ステップS003で、電波強度が乗場側閾値を超えていないと判定された場合には、電波受信部1501は、かご側ビーコン装置16から電波が受信したかを判定する(ステップS010)。ステップS010で、受信してない場合には、ステップS003に戻る。
【0054】
ステップS010で、受信したと判定した場合には、閾値計算部1506は、基準閾値DB1507及び補正閾値DB1508を使用してかご側閾値を設定する(ステップS011)。
次に、かご側電波強度比較部1510は、電波強度測定部1502で測定された電波強度がかご側閾値を超えたかを判定する(ステップS012)。
【0055】
ステップS012で、電波強度がかご側閾値を超えたと判定される場合とは、呼び要求が作成、送信されていないにもかかわらず、携帯端末15の所持者がかご6に搭乗したことを意味している。例えば、同乗者がいて、その人が乗場呼びを登録し、かご6が移動してきた場合である。
【0056】
このことは、携帯端末15の所持者は、
図9の想定受信範囲内にいたにもかかわらず、携帯端末15で受信している乗場側ビーコン装置12からの電波強度が乗場側閾値を超えていないことを意味する。すなわち、乗場側閾値が、高すぎる場合である。
【0057】
よって、ステップS012で、電波強度がかご側閾値を超えたと判定される場合には、ステップS002で設定した乗場側閾値を下げる必要がある。異常判定部1513は、異常が発生したと判定し、修正部1514が、補正閾値DB1508の補正閾値1508dの値を下げるように修正する(ステップS013)。
【0058】
また、ステップS007で、かご側ビーコン装置16から電波を受信していないと判定された場合には、乗場側ビーコン装置12からの電波を受信しなくなったかを判定する(ステップS014)。携帯端末15では、乗場側ビーコン装置12からの電波を受信、その電波強度が乗場閾値を超えた後も、電波の受信を継続している。よって、その後に、電波の受信をしなくなるのは、例えば、
図9の所持者Aのように、乗場から離れた場所に移動したからである。すなわち、携帯端末15の所持者は、エレベータホールを通っただけで、
図9の想定受信範囲内に入っていないにもかかわらず、携帯端末15で受信した電波強度が乗場側閾値を超えた場合等が想定できる。これは、乗場側閾値が、低すぎる場合である。
【0059】
よって、ステップS014で、乗場側ビーコン装置12からの電波が受信しない、すなわち、受信不可と判定される場合には、ステップS002で設定した乗場側閾値を上げる必要がある。異常判定部1513は、異常が発生したと判定し、修正部1514が、補正閾値DB1508の補正閾値1508dの値を上げるように修正する(ステップS015)。
【0060】
ステップS014で、乗場側ビーコン装置12からの電波が受信不可と判定されない場合には、ステップS007に戻る。
【0061】
ステップS009で、電波強度がかご側閾値を超えてないと判定された場合には、かご側ビーコン装置16からの電波を受信しなくなったかを判定する(ステップS016)。 ステップS007で、かごドアが開き、かご側ビーコン装置16からの電波を携帯端末15で受信後も、電波の受信は継続する。その後、かごドアが閉まれば、かごドアによって電波が遮断され、乗場にある携帯端末15は、かご側ビーコン装置16からの電波の受信ができなくなる。
【0062】
ステップS016で、かご側ビーコン装置16からの電波の受信できない、すなわち、受信不可となる場合とは、かご6が乗車階に到着し、ドアが開いたのに、呼び要求した携帯端末15の所持者が、乗車しなかったことを意味している。すなわち、携帯端末15の所持者は、
図9の想定受信範囲内に入っていないにもかかわらず、携帯端末15で受信した電波強度が乗場側閾値を超えた場合と想定できる。これは、乗場側閾値が、低すぎる場合である。
【0063】
よって、ステップS016で、かご側ビーコン装置16からの電波が受信不可と判定された場合には、ステップS015と同様の処理となる。すなわち、異常判定部1513は、異常が発生したと判定し、修正部1514が、補正閾値DB1508の補正閾値1508dの値を上げるように修正する(ステップS017)。
【0064】
なお、一般的なエレベータであれば、かご6は金属で覆われた閉鎖空間である。よって、かご側ビーコン装置16から送信された電波が、建物の構造による影響で弱くなることはない。また、電波は、かご6の壁面で反射されてかご内を飛び回るため、携帯端末15の感度で電波強度が落ちることもあまりない。よって、携帯端末15の所持者がかご6に搭乗したが、かご側ビーコン装置16から受信した電波の強度が弱かったため、かご側閾値を超えなかったことは想定していない。
【0065】
図11は、携帯端末15のハードウェア資源を示す図である。携帯端末15は、ハードウェア資源として、プロセッサ1520、メモリ1521、無線の送受信回路1522とを備える。なお、プロセッサ1520、メモリ1521は複数であっても良い。
【0066】
実施の形態1において、記憶部1504、基準閾値DB1507、補正閾値DB1508の役割はメモリ1521が担う。また、メモリ1521には、
図10のフローチャートの処理を行うプログラムが記憶されている。そして、起動時に、このプログラムがプロセッサ1520にて動作し、各種の処理機能を果たす。また、電波受信部1501、外部通信部1505の機能は、送受信回路1522が担う。
【0067】
なお、プロセッサ1520は、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、或いはDSPともいわれる。メモリ1521として、半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、或いはDVDを採用しても良い。採用可能な半導体メモリには、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、及びEEPROM等が含まれる。
【0068】
このように、実施の形態1では、呼び要求をするか否かの判断をする電波強度の閾値を、携帯端末の相違や、周りの状況に応じて、適切な値に自動で調整できる。これにより、無駄なかご呼びの発生や、必要なかご呼びの不発生を回避でき、最適な自動呼び運転を実現することができる。
【0069】
なお、補正閾値を増減する数値は、固定値であっても、計算式に基づく数値であっても、AIによって算出された数値であっても良い。
【0070】
また、ステップS014、S016の処理では、乗場での一時的なかご閉めも考慮し、受信不可の期間を設定してもよい。例えば、0.5秒間受信不可となったか、とかである。
【0071】
また、携帯端末15のハードウェア資源としては、
図12に示す、ハードウェア資源でもよい。携帯端末15は、プロセッサ1520、メモリ1521、送受信回路1522及び専用ハードウェア1523を備える。そして、
図11にてプロセッサ1520が有する機能の一部を、専用ハードウェア1523が担っている。専用ハードウェア1523として、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、又はこれらの組み合わせを採用できる。
【0072】
実施の形態2.
図13は、実施の形態2における携帯端末15での、自動呼び登録の動作を示すフローチャートである。
図13では、呼び要求を作成、送信した後、かごドアが閉まるまでの間に、かご側ビーコン装置16から受信した電波強度がかご側閾値を超えない場合に異常と判断するようにしている。なお、
図13において、
図10と同じステップについては、同じ番号を付している。
【0073】
図13では、ステップS001からステップS006にて、呼び登録をする。
その後、ステップS007で、かご側ビーコン装置16から電波を受信したか判定し、
電波を受信していないと判定された場合には、乗車階にて、かごドア9の閉めが発生したかを判定する(ステップS101)。制御装置13の運行管理部1303は、ステップS005での呼び要求を運行情報に登録する。その後、かご6は乗車階に移動し、ドアを開き、閉じる。運行管理部1303は、閉じた時点で、携帯端末15にその情報を送るようになっている。よって、運行管理部1303から、その情報を受けた場合には、乗車階にて、かごドア9の閉めが発生したことになる。
【0074】
なお、ステップS101で、かごドア閉じと判定される場合とは、かご6が乗車階に到着し、ドアが開いたのに、呼び要求した携帯端末15の所持者が、乗車しなかったことを意味している。
すなわち、携帯端末15の所持者は、例えば、エレベータホールを通っただけで、
図9の想定受信範囲内に入っていないにもかかわらず、携帯端末15で受信した電波強度が乗場側閾値を超えた場合等が想定できる。これは、乗場側閾値が、低すぎる場合と判断できる。
【0075】
よって、ステップS101で、かごドアが閉まったと判定された場合には、ステップS002で設定した乗場側閾値が高くなるようにする必要がある。異常判定部1513は、異常が発生したと判定し、修正部1514が、補正閾値DB1508の補正閾値1508dの値を上げるように修正する(ステップS015)。
【0076】
ステップS101で、乗車階にてかごドア閉は発生していないと判定された場合には、ステップS007に戻る。
【0077】
ステップS009で、電波強度がかご側閾値を超えてないと判定された場合には、ステップS014と同様にかごドア閉じが発生したかを判定する(ステップS102)。
【0078】
ステップS102で、かごドア閉じと判定された場合とは、かご6が乗車階に到着し、ドアが開いたのに、呼び要求した携帯端末15の所持者が、乗車しなかったことを意味している。すなわち、携帯端末15の所持者は、
図9の想定受信範囲内に入っていないにもかかわらず、携帯端末15で受信した電波強度が乗場側閾値を超えた場合と想定できる。これは、乗場側閾値が、低すぎる場合と判断できる。
【0079】
よって、ステップS102で、かごドアが閉まったと判定された場合には、異常判定部1513は、異常が発生したと判定し、修正部1514が、補正閾値DB1508の補正閾値1508dの値を上げるように修正する(ステップS017)。
【0080】
このように、制御装置13からの情報で判断することで、例えば、乗場での一時的なかご閉めでかご側ビーコン装置16からの受信が不可となったが、その後再度かごドアが開いた場合でも、処理を確実に継続できる。
【0081】
実施の形態3.
図14は、実施の形態3における携帯端末15での、自動呼び登録の動作を示すフローチャートである。
図14では、呼び要求を作成、送信した後、一定の時間内に、かご側ビーコン装置16から受信した電波強度がかご側閾値を超えない場合に異常と判断するようにしている。なお、
図14において、
図10と同じステップについては、同じ番号を付している。
【0082】
図14では、ステップS001からステップS006にて、呼び登録をした後、携帯端末15のタイマーを起動して、経過時間の測定を開始する(ステップS201)。
その後、ステップS007で、かご側ビーコン装置16から電波を受信したか判定し、受信していない場合には、一定時間経過したかを判定する(ステップS202)。ここでの一定時間とは、呼び登録をした後、かご呼び要求をした携帯端末15の所持者がかごに搭乗することを想定して設定した時間である。
【0083】
ステップS202で一定時間経過したと判定される場合とは、乗車階に到着し、かご6のドアが開いたのに、呼び要求した携帯端末15の所持者が、乗車しなかったことを意味している。すなわち、携帯端末15の所持者は、
図9の想定受信範囲内に入っていないにもかかわらず、携帯端末15で受信した電波強度が乗場側閾値を超えた場合と想定できる。これは、乗場側閾値が、低すぎる場合と判断できる。
【0084】
よって、ステップS202で、一定時間経過したと判定される場合には、ステップS002で設定した乗場側閾値が高くなるようにする必要がある。異常判定部1513は、異常が発生したと判定し、修正部1514が、補正閾値DB1508の補正閾値1508dの値を上げるように修正する(ステップS015)。
【0085】
また、ステップS007で、かご側ビーコン装置16から電波を受信したと判定した場合には、ステップS008にてかご側閾値を設定する。そして、ステップS009で、電波強度がかご側閾値を超えてないと判定された場合には、ステップS202と同様に一定時間経過したかを判定する(ステップS203)
【0086】
ステップS203で、一定時間経過した場合とは、乗車階に到着し、かご6のドアが開いたのに、呼び要求した携帯端末15の所持者が、乗車しなかったことを意味している。すなわち、携帯端末15の所持者は、
図9の想定受信範囲内に入っていないにもかかわらず、携帯端末15で受信した電波強度が乗場側閾値を超えた場合と想定できる。これは、乗場側閾値が、低すぎる場合と判断できる。
【0087】
よって、ステップS203で、一定時間経過したと判定される場合には、ステップS015と同様の処理となる。すなわち、異常判定部1513は、異常が発生したと判定し、修正部1514が、補正閾値DB1508の補正閾値1508dの値を上げるように修正する(ステップS017)。
【0088】
このように、携帯端末15が有するタイマー機能を用いることで、異常発生の判定を簡素化することができる。
【0089】
実施の形態4.
図15は、実施の形態4におけるエレベータシステムの制御装置13、携帯端末15、サーバ装置18の詳細構成を示すブロック図である。
図15では、基準閾値DBを携帯端末15ではなく、外部のサーバ装置18に配置した点で、実施の形態1とは異なる。
図15において、サーバ装置18は、インターネット網17を介して外部の機器と通信する外部通信部1801と、制御部1802と、基準閾値DB1803を備える。
【0090】
この構成においては、閾値計算部1506は、閾値を計算する際、電波受信部1501で受信した電波の中のビーコン情報をつけて、閾値情報抽出依頼をサーバ装置18に送信する。サーバ装置18では、制御部1802が外部通信部1801を介して閾値情報抽出依頼を受け付ける。そして、ビーコン情報に対応した基準閾値を基準閾値DB1803から抽出し、外部通信部1801を介して送信する。
閾値計算部1506は、外部通信部1505を介して、送信された基準閾値を取得する。そして、ビーコン情報に対応した補正閾値DB1508から抽出した補正閾値と加算し、閾値を設定する。
【0091】
基準閾値DBは、ビーコン装置に対応し、システムで共通である。登録している基準閾値は、携帯端末によって変わるものではない。よって、共通のサーバ装置18に配置させることで、個々の携帯端末15の記憶容量を削減することができる。
【0092】
実施の形態5.
図16は、実施の形態5におけるエレベータシステムの制御装置13、携帯端末15、サーバ装置18を示すブロック図である。
図16では、基準閾値DB、補正閾値DBが共に、携帯端末15ではなく、外部のサーバ装置18に配置した点で、実施の形態1とは異なる。
図16において、サーバ装置18は、インターネット網17を介して外部の機器と通信する外部通信部1801と、制御部1802と、基準閾値DB1803と、補正閾値DB1804とを備える。
【0093】
なお、携帯端末15は、個々に、固有の端末識別子を有している。そして、補正閾値DB1804では、端末識別子が付加された形で、建物、バンク、階数、補正閾値,ビーコン情報が関係つけられている。
【0094】
この構成においては、閾値計算部1506は、ビーコン情報と、自分の端末識別子をつけて、閾値情報抽出依頼をサーバ装置18に送信する。サーバ装置18では、制御部1802が外部通信部1801を介して閾値情報抽出依頼を受け付ける。そして、ビーコン情報に対応した基準閾値を基準閾値DB1803から抽出する。また、ビーコン情報と端末識別子とに対応した補正閾値を補正閾値DB1804から抽出する。そして、基準閾値と補正閾値とを、外部通信部1801を介して送信する。
【0095】
閾値計算部1506は、外部通信部1505を介して、送信された基準閾値と補正閾値を取得し、加算して、閾値を設定する。
【0096】
また、修正部1514が、補正閾値DB1804の補正閾値を修正する場合には、ビーコン情報と、修正値と、端末識別子をつけた補正閾値修正依頼をサーバ装置18に送信する。サーバ装置18では、制御部1802が外部通信部1801を介して補正閾値修正依頼を受け付ける。そして、ビーコン情報と端末識別子とに対応した補正閾値DB1804の補正閾値を、受信した修正値に変更する。
【0097】
補正閾値DBは、個々の携帯端末に対応した情報ではあるが、それを、共通のサーバ装置18に配置させることで、個々の携帯端末15の記憶容量をさらに削減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
以上のように、この開示に係る技術は、自動呼び登録機能を備えたエレベータシステムに利用できる。
【符号の説明】
【0099】
1 昇降路、 2 機械室、 3 乗場、 4 巻上機、 5 主ロープ、
6 かご、 7 釣合おもり、 8 乗場ドア、 9 かごドア、
10 赤外線センサ、 11 秤装置、 12 乗場側ビーコン装置、
13 制御装置、 14 基地局、 15 携帯端末、16 かご側ビーコン装置、17 インターネット網、18 サーバ装置、1301 外部通信部、
1302 呼び要求受信部、1303 運行管理部、1304 制御部、
1305 巻上機通信部、1501 電波受信部、1502 電波強度測定部、
1503 呼び制御部、1504 記憶部、1505 外部通信部、
1506 閾値計算部、1507 基準閾値DB、1508 補正閾値DB、
1509 乗場側電波強度比較部、1510 かご側電波強度比較部、
1511 呼び要求作成部、1512呼び要求送信部 、1513 異常判定部、
1514 修正部、1520 プロセッサ、1521 メモリ、
1522 送受信回路、1523 専用ハードウェア、1801 外部通信部、
1802 制御部、1803 基準閾値DB、1804 補正閾値DB
【要約】 (修正有)
【課題】建物の状況や、所持する携帯端末に応じて、閾値を変更可能とすることで、適切な自動呼び登録を行うエレベータシステムを提供する。
【解決手段】電波強度測定部によって測定された乗場側ビーコン装置から受信した電波の電波強度が乗場側閾値を超える場合に、乗車情報に基づいて呼び要求を作成し、エレベータ制御装置に送信した後、電波強度測定部によって測定されたかご側ビーコン装置から受信した電波の電波強度がかご側閾値を超えない場合には、乗場側閾値を上げるようにした。
【選択図】
図4