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特許7666765数値制御装置、情報処理装置、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-14
(45)【発行日】2025-04-22
(54)【発明の名称】数値制御装置、情報処理装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/18 20060101AFI20250415BHJP
   B23Q 15/00 20060101ALI20250415BHJP
   B25J 19/06 20060101ALN20250415BHJP
【FI】
G05B19/18 X
B23Q15/00 B
B25J19/06
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2024563375
(86)(22)【出願日】2024-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2024012167
【審査請求日】2024-10-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【弁理士】
【氏名又は名称】伊達 研郎
(74)【代理人】
【識別番号】100184022
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 美保
(72)【発明者】
【氏名】的野 倫也
(72)【発明者】
【氏名】各務 勇気
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/048976(WO,A1)
【文献】国際公開第2023/127056(WO,A1)
【文献】特開2021-105825(JP,A)
【文献】国際公開第2015/011896(WO,A1)
【文献】特開2021-056835(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/18
B23Q 15/00
B25J 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象に対して基本機能および前記基本機能を拡張するための付加機能を実行する数値制御装置であって、
前記付加機能の動作特性に関連する付加機能データを取得する取得部と、
前記付加機能データに基づいて、前記付加機能の実行により悪影響が前記制御対象に及ぶか否かを判定する判定部と
を有し、
前記付加機能データは、前記基本機能を設定するための基本機能パラメータ、および、前記付加機能を設定するための付加機能パラメータを含み、
前記判定部は、前記基本機能パラメータと前記付加機能パラメータとを比較し、前記付加機能の設定に異常がある場合に、前記悪影響が前記制御対象に及ぶと判定する、
数値制御装置。
【請求項2】
制御対象に対して基本機能および前記基本機能を拡張するための付加機能を実行する数値制御装置であって、
前記付加機能の動作特性に関連する付加機能データを取得する取得部と、
前記付加機能データに基づいて、前記付加機能の実行により悪影響が前記制御対象に及ぶか否かを判定する判定部と
を有し、
前記付加機能データは、前記付加機能が実行された場合に前記数値制御装置にかかる負荷に関連する負荷データを含み、
前記判定部は、前記取得された前記負荷データが示す負荷の値と予め設定された閾値とを比較し、当該負荷の値が前記閾値を超える場合に、前記悪影響が前記制御対象に及ぶと 判定する、
数値制御装置。
【請求項3】
制御対象に対して基本機能および前記基本機能を拡張するための付加機能を実行する数値制御装置であって、
前記付加機能の動作特性に関連する付加機能データを取得する取得部と、
前記付加機能データに基づいて、前記付加機能の実行により悪影響が前記制御対象に及ぶか否かを判定する判定部と
を有し、
前記付加機能データは、前記付加機能を実行するために前記制御対象へ出力される指令値に関連する指令データを含み、
前記判定部は、指令データに含まれる指令値と前記制御対象に関連する所定の規格値とを比較し、当該指令値が前記規格値を満たさない場合に、前記悪影響が前記制御対象に及ぶと判定する、
数値制御装置。
【請求項4】
前記悪影響が前記制御対象に及ぶと判定された場合、当該判定結果を出力する出力部をさらに有する請求項1からのいずれか1つに記載の数値制御装置。
【請求項5】
前記悪影響が前記制御対象に及ぶと判定された場合、前記悪影響が前記制御対象に及ぶことを回避するように所定の処理を実行する回避部をさらに有する請求項1からのいずれか1つに記載の数値制御装置。
【請求項6】
制御対象に対して基本機能および前記基本機能を拡張するための付加機能を実行する数値制御装置とネットワークを介して接続可能な情報処理装置であって、
前記付加機能の動作特性に関連する付加機能データを取得する取得部と、
前記付加機能データに基づいて、前記付加機能の実行により悪影響が前記制御対象に及ぶか否かを判定する判定部と
を有し、
前記付加機能データは、前記基本機能を設定するための基本機能パラメータ、および、前記付加機能を設定するための付加機能パラメータを含み、
前記判定部は、前記基本機能パラメータと前記付加機能パラメータとを比較し、前記付加機能の設定に異常がある場合に、前記悪影響が前記制御対象に及ぶと判定する、
情報処理装置。
【請求項7】
制御対象に対して基本機能および前記基本機能を拡張するための付加機能を実行する数値制御装置とネットワークを介して接続可能な情報処理装置であって、
前記付加機能の動作特性に関連する付加機能データを取得する取得部と、
前記付加機能データに基づいて、前記付加機能の実行により悪影響が前記制御対象に及ぶか否かを判定する判定部と
を有し、
前記付加機能データは、前記付加機能が実行された場合に前記数値制御装置にかかる負荷に関連する負荷データを含み、
前記判定部は、前記取得された前記負荷データが示す負荷の値と予め設定された閾値とを比較し、当該負荷の値が前記閾値を超える場合に、前記悪影響が前記制御対象に及ぶと判定する、
情報処理装置。
【請求項8】
制御対象に対して基本機能および前記基本機能を拡張するための付加機能を実行する数値制御装置とネットワークを介して接続可能なコンピュータに、
前記付加機能の動作特性に関連する付加機能データを取得する取得機能と、
前記付加機能データに基づいて、前記付加機能の実行により悪影響が前記制御対象に及ぶか否かを判定する判定機能と
を実現させ、
前記付加機能データは、前記基本機能を設定するための基本機能パラメータ、および、前記付加機能を設定するための付加機能パラメータを含み、
前記判定機能は、前記基本機能パラメータと前記付加機能パラメータとを比較し、前記付加機能の設定に異常がある場合に、前記悪影響が前記制御対象に及ぶと判定する、
プログラム。
【請求項9】
制御対象に対して基本機能および前記基本機能を拡張するための付加機能を実行する数値制御装置とネットワークを介して接続可能なコンピュータに、
前記付加機能の動作特性に関連する付加機能データを取得する取得機能と、
前記付加機能データに基づいて、前記付加機能の実行により悪影響が前記制御対象に及ぶか否かを判定する判定機能と
を実現させ、
前記付加機能データは、前記付加機能が実行された場合に前記数値制御装置にかかる負荷に関連する負荷データを含み、
前記判定機能は、前記取得された前記負荷データが示す負荷の値と予め設定された閾値とを比較し、当該負荷の値が前記閾値を超える場合に、前記悪影響が前記制御対象に及ぶと判定する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、数値制御装置、情報処理装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
産業用ロボットといった機械は、機械メーカで作製され、制御対象となる機械の動作を制御する数値制御装置は、数値制御装置メーカで作製される。機械の機能拡張を行う場合には数値制御装置に対しても機能拡張の設定を行う必要があるので、機械メーカは、機械の機能拡張を行う場合には、数値制御装置メーカに対して機能拡張を依頼している。
【0003】
ところが、機械メーカとしては、数値制御装置メーカにおいて数値制御装置に対して予め設定される基本機能とは別に、数値制御装置に対して機械メーカが独自に設定する拡張機能である付加機能の設定を行いたい場合がある。また、機械メーカに限らず、機械メーカの顧客となる各種製造業のユーザ、および、機械メーカまたは各種製造業のユーザと協力関係にあるシステムインテグレータ(System Integrator:SIer)も独自に付加機能の設定を行いたい場合がある。付加機能の例としては、例えば、数値制御装置において実施される機械メーカ、または各種製造業のユーザ独自のデータ変換等が挙げられる。このとき、例えば、特許文献1では、基本機能の実行前に、独自の付加機能をコンパイルした実行オブジェクトである付加機能処理オブジェクトを数値制御装置の記憶部に展開することで付加機能の設定を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開2021/048976
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、数値制御装置メーカから数値制御装置が出荷された後において、どのように付加機能が追加されたかは出荷された数値制御装置の設定を行う者、例えば、機械メーカ、ユーザ、またはシステムインテグレータ等のみが知るところとなる。このため、特許文献1では、機械メーカ、ユーザ、またはシステムインテグレータ等が設定した付加機能について、基本機能に対する整合性、付加機能の実行により数値制御装置にかかる負荷、または付加機能の指令に基づく加速度等の出力が制御対象となる機械の規格値を満たすか等の動作特性に関する情報を、数値制御装置メーカが製作する数値制御装置側で把握できないため、付加機能が実行された場合に数値制御装置の動作に悪影響を及ぼすおそれがあっても対応することができない。
【0006】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、数値制御装置に対して独自に設定される付加機能について動作特性に関する情報を把握することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示に係る数値制御装置は、制御対象に対して基本機能および前記基本機能を拡張するための付加機能を実行する数値制御装置であって、付加機能の動作特性に関連する付加機能データを取得する取得部と、付加機能データに基づいて、付加機能の実行により悪影響が制御対象に及ぶか否かを判定する判定部と、を有する。付加機能データは、基本機能を設定するための基本機能パラメータ、および、付加機能を設定するための付加機能パラメータを含み、判定部は、前記基本機能パラメータと付加機能パラメータとを比較し、付加機能の設定に異常がある場合に、悪影響が制御対象に及ぶと判定する。

【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、数値制御装置に対して独自に設定される付加機能の動作特性に関する情報を把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1にかかる数値制御装置の構成例を示す図。
図2】実施の形態1にかかる数値制御装置の動作例を示す図。
図3】実施の形態1にかかる数値制御装置が実行するパラメータデータ処理の例を示す図。
図4】実施の形態1にかかる数値制御装置が実行する負荷データ処理の例を示す図。
図5】実施の形態1にかかる数値制御装置が実行する指令データ処理の例を示す図。
図6】実施の形態2にかかる情報処理装置の構成例を示す図。
図7】実施の形態2にかかる情報処理装置が実行するパラメータデータ処理の例を示す図。
図8】実施の形態2にかかる情報処理装置が実行する負荷データ処理の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら実施の形態1にかかる数値制御装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、これら実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる数値制御装置100の構成を示す図である。数値制御(Numerical Control:NC)装置100は、例えば、切削加工を行う工作機械を制御するコンピュータである。数値制御装置100は、図1に示される制御対象101を制御する。実施の形態1にかかる数値制御装置100は、例えば、数値制御装置100の稼働中に、数値制御装置に対して機械メーカが独自に設定する付加機能の動作特性に関する各種データのチェックを実施する場合の構成を示している。
【0012】
制御対象101は、例えば、切削加工を行う工作機械である。このとき、制御対象101は、工具と工作物との相対位置を変化させる直進軸または回転軸を有している。この直進軸または回転軸を駆動するアクチュエータは、サーボモータである。また、制御対象が工作機械の場合、制御対象101は、工具または工作物を回転させる主軸を有している。この主軸を回転させる主軸モータがアクチュエータである。
【0013】
制御対象101のアクチュエータにかかるアンプやコントローラが接続されている場合、数値制御装置100の出力はアクチュエータにかかるアンプやコントローラに対し出力される。この場合、数値制御装置100を上位のコントローラ、アクチュエータのアンプやサーボコントローラは下位のコントローラと呼べる。ただし、下位のコントローラはアクチュエータのアンプやコントローラに限らず、上位のコントローラである数値制御装置100に対して、下位の関係となるコントローラは下位のコントローラに当てはまる。
【0014】
図1において、数値制御装置100は、処理回路1、および記憶回路2を備えている。処理回路1は、例えば、制御対象101への指令を生成する。記憶回路2は、処理回路1で実行される処理に必要な各種情報を記憶している。
【0015】
処理回路1は、数値制御装置100の中枢として機能するプロセッサである。処理回路1は、例えば、記憶回路2に記憶されているプログラムを実行することで、実行したプログラムに対応する機能を実現する。なお、処理回路1は、記憶回路2で記憶されているデータの少なくとも一部を記憶する記憶領域を備えていても構わない。
【0016】
記憶回路2は、磁気的、若しくは光学的記録媒体、又は半導体メモリ等の、プロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を含む。また、記憶回路2は、CD-ROMドライブ、DVDドライブ、及びフラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であっても良い。なお、記憶回路2は、必ずしも単一の記憶装置により実現される必要は無い。例えば、記憶回路2は、複数の記憶装置により実現されても構わない。
【0017】
図1に示されるように、記憶回路2は、例えば、加工プログラム21、基本機能パラメータ22、付加機能パラメータ23、および共有データ24を記憶している。
【0018】
加工プログラム21は、例えば、ワークの加工に用いられるNCプログラムである。加工プログラムは1以上のブロックを含む。また、加工プログラムは、工具を移動させる指令である移動指令、および、主軸を回転させる指令である回転指令といった指令を含む。加工プログラム21は、工作機械を動作させる各種処理の手順または方法をコンピュータに実行させるものであるといえる。
【0019】
基本機能パラメータ22は、基本機能を実行するためのパラメータである。基本機能を実現する処理の例としては、例えば、加工プログラム21を読み出して解析し、解析結果に基づいて各種処理を実行することが挙げられる。基本機能パラメータ22には、例えば、基本機能を実行するための、制御パラメータ、サーボパラメータ、工具パラメータ、PLCのデバイス値を示す情報、および制御対象101となる機械を示す情報等が含まれている。
【0020】
付加機能パラメータ23は、付加機能を実行するためのパラメータである。付加機能を実現する処理の例としては、例えば、制御対象101が、直進3軸(X軸、Y軸、Z軸)または回転2軸(A軸とB軸、B軸とC軸、またはC軸とA軸)とは異なる特殊な構造を持つ工作機械である場合の座標変換処理が挙げられる。より具体的には、例えば、制御対象101がパラレルリンク構造で構成された主軸を持つ工作機械である場合、付加機能を実現する処理の例は、加工プログラム21がプログラミングされた座標系での動作をパラレルリンク機構の各軸の動作に変換する座標変換処理である。このとき、制御対象101は、パンタグラフ機構、クランクスライダ機構といったリンク機構を有する工作機械であってもよい。付加機能パラメータ23には、例えば、付加機能を実行するための、制御パラメータ、サーボパラメータ、工具パラメータ、PLCのデバイス値を示す情報、および制御対象101となる機械を示す情報等が含まれている。機械メーカは、所望の付加機能を実行するために、予め作成した付加機能パラメータ23を記憶回路2に記憶させる。機械メーカは、例えば、制御対象101の製造メーカである。このとき、付加機能パラメータ23は、機械メーカにより作成されるため、基本機能パラメータ22の内容と異なることがある。なお、付加機能パラメータ23をカスタマイズするのは、機械メーカに限られず、例えば、数値制御装置100が数値制御装置メーカから出荷された後に数値制御装置100の設定に携わるメーカであればどのようなメーカであってもよい。付加機能パラメータ23をカスタマイズするのは、例えば、機械メーカの顧客となる各種製造業のユーザ、および、機械メーカまたは各種製造業のユーザと協力関係にあるシステムインテグレータ等であってもよい。
【0021】
共有データ24は、基本機能および付加機能の各処理がそれぞれ実行される際に、一時的に使用されるデータである。
【0022】
実施の形態1に係る処理回路1は、本実施形態に係るプログラムを実行することにより各種機能を実現する。具体的には、処理回路1は、例えば、記憶回路2に記憶されるプログラムを実行することで、基本機能11、付加機能12、取得機能13、判定機能14、出力機能15、および回避機能16を実現する。取得機能13は、請求項における取得部の一例である。判定機能14は、請求項における判定部の一例である。出力機能15は、請求項における出力部の一例である。回避機能16は、請求項における回避部の一例である。
【0023】
基本機能11は、例えば、加工プログラムの解析、軸移動の制御等の数値制御装置の各種基本処理を実行するための機能である。基本機能11は、数値制御装置を製造する数値制御装置メーカで作成され、機械メーカのカスタマイズの対象ではなく、機械メーカがカスタマイズすることはできない。基本機能11において処理回路1は、例えば、加工プログラム21の解析結果から滑らかな動作を実現する補間処理、制御対象101への出力処理、ヒューマンインターフェースを実現する画面処理、外部機器との通信処理、およびラダープログラムを実行するPLC(Programmable Logic Controller)処理等を実行する。通信処理の対象となる外部機器は、例えば、SD(エスディー)カード、およびEthernet(登録商標)機器等である。
【0024】
付加機能12は、例えば、基本機能を拡張するための機能であり、機械メーカによりカスタマイズが可能な機能である。また、付加機能12は、加工プログラム21に規定されていない機能である。付加機能12において処理回路1は、例えば、制御対象101の機械構造に応じた座標変換処理を実行する。
【0025】
取得機能13は、例えば、付加機能の動作特性に関連する付加機能データを取得する機能である。付加機能データには、例えば、パラメータデータ、負荷データ、または指令データ等が含まれる。パラメータデータは、数値制御装置100で実行される各種機能の前提条件を設定するためのパラメータを含むデータであり、例えば、基本機能パラメータ22、および、付加機能パラメータ23を含む。負荷データは、例えば、付加機能12が実行された場合に数値制御装置100にかかる負荷に関連する情報、付加機能12の実行に要する時間等を含む。指令データは、例えば、付加機能12を実行するために制御対象101へ出力される指令値に関連する情報を含む。指令データは、例えば、基本機能11が付加機能12を呼び出して連携して付加機能12を実行するために各種指令として生成されたものだけでなく、各種指令が生成される過程で生成された情報も含む。
【0026】
取得機能13において処理回路1は、例えば、記憶回路2から基本機能パラメータ22、および、付加機能パラメータ23を取得する。また、取得機能13において処理回路1は、例えば、付加機能12の実行中に、数値制御装置100のメモリ使用率、CPU使用率を取得する。また、取得機能13において処理回路1は、例えば、付加機能12の実行に要する時間を計測する等して取得する。また、取得機能13において処理回路1は、例えば、数値制御装置100による制御処理開始の際に生成された指令データを取得する。
【0027】
判定機能14は、取得機能13の実行により取得された付加機能データに基づいて、付加機能12の実行により悪影響が制御対象101に及ぶか否かを判定する機能である。判定機能14において処理回路1は、例えば、取得された基本機能パラメータ22、および、付加機能パラメータ23に基づいて、付加機能12の設定に異常があるか否かにより、付加機能12の実行により悪影響が制御対象101に及ぶか否かを判定する。また、判定機能14において処理回路1は、例えば、取得された負荷データに基づいて、当該負荷データが示す負荷の値が予め設定された閾値を超えるか否かにより、付加機能12の実行により悪影響が制御対象101に及ぶか否かを判定する。なお、この予め設定された閾値は、処理回路1に予め保持されていてもよいし、予め記憶回路2に記憶しておき必要に応じて記憶回路2から処理回路1へ読み出されてもよい。また、判定機能14において処理回路1は、例えば、指令データに基づいて、指令データに含まれる指令値が制御対象101に関連する所定の規格値を満たさないか否かにより、付加機能12の実行により悪影響が制御対象101に及ぶか否かを判定する。
【0028】
出力機能15は、判定機能14の実行により付加機能12の実行により悪影響が制御対象101に及ぶと判定された場合、当該判定結果を出力する機能である。出力機能15において処理回路1は、付加機能12の設定に異常があり、付加機能12の実行により悪影響が制御対象101に及ぶと判定された場合、例えば、付加機能12の設定に異常がある旨を出力する。また、出力機能15において処理回路1は、負荷データが示す負荷の値が予め設定された閾値を超えており、付加機能12の実行により悪影響が制御対象101に及ぶと判定された場合、例えば、負荷データが示す負荷の値が予め設定された閾値を超えている旨を出力する。また、出力機能15において処理回路1は、指令データに含まれる指令値が制御対象101に関連する所定の規格値を満たさず、付加機能12の実行により悪影響が制御対象101に及ぶと判定された場合、例えば、指令データに含まれる指令値が制御対象101に関連する所定の規格値を満たさない旨を出力する。
【0029】
回避機能16は、判定機能14の実行により付加機能12の実行により悪影響が制御対象101に及ぶと判定された場合、悪影響が制御対象101に及ぶことを回避するように所定の処理を実行する機能である。回避機能16において処理回路1は、付加機能12の設定に異常があり、付加機能12の実行により悪影響が制御対象101に及ぶと判定された場合、例えば、付加機能12の設定と基本機能11の設定との整合性がとれるように、付加機能パラメータ23の設定を修正する。また、回避機能16において処理回路1は、負荷データが示す負荷の値が予め設定された閾値を超えており、付加機能12の実行により悪影響が制御対象101に及ぶと判定された場合、例えば、付加機能12が実行された場合の負荷が予め設定された閾値を超えないように、付加機能12の実行タイミングを変更する。また、回避機能16において処理回路1は、指令データに含まれる指令値が制御対象101に関連する所定の規格値を満たさず、付加機能12の実行により悪影響が制御対象101に及ぶと判定された場合、例えば、制御対象101に関連する所定の規格値を満たすように、指令データに含まれる指令値を補正する。
【0030】
以上のように構成された数値制御装置100による動作を、処理回路1の処理手順に従って説明する。図2は、実施形態に係る数値制御装置100の動作例を示す図である。図3は、実施形態に係る数値制御装置100が実行するパラメータデータ処理の例を示す図である。図4は、実施形態に係る数値制御装置100が実行する負荷データ処理の例を示す図である。図5は、実施形態に係る数値制御装置100が実行する指令データ処理の例を示す図である。以降では、図2から図5までのフローチャートを参照しながら説明する。なお、本動作例では、制御対象101への指令のうち、基本機能について規定されたプログラムを含む加工プログラム21が予め記憶回路2に記憶されているものとする。また、付加機能について規定されたプログラムは加工プログラム21に含まれているものとする。基本機能について規定されたプログラムと付加機能について規定されたプログラムとは別々に記憶されていてもよい。また、記憶回路2から取得される基本機能パラメータ22、および、付加機能パラメータ23には、例えば、機械構成を示すパラメータである軸の数を示す情報がそれぞれ含まれているものとする。さらに、基本機能パラメータ22に含まれる軸の数を示す情報は「3」であり、付加機能パラメータ23に含まれる軸の数を示す情報は「5」で異なっているものとする。
【0031】
図2において、数値制御装置100に電源が投入されると、数値制御装置100に電力が供給され、処理回路1および記憶回路2が起動する(ステップ1)。
【0032】
次に、処理回路1は、パラメータデータについて各種処理を実行する(ステップS2)。以後、このパラメータデータ処理の具体的フローについて、図3を参照しながら説明する。
【0033】
図3において、処理回路1は、取得機能13を実行し、記憶回路2から基本機能パラメータ22を取得する(ステップS21)。
【0034】
次に、処理回路1は、記憶回路2から付加機能パラメータ23を取得する(ステップS22)。なお、処理回路1は、付加機能12を介して付加機能パラメータ23を取得してもよい。
【0035】
処理回路1は、判定機能14を実行し、取得した基本機能パラメータ22と付加機能パラメータ23とを比較する(ステップS23)。処理回路1は、例えば、基本機能パラメータ22、および、付加機能パラメータ23にそれぞれ含まれている軸の数を示す情報を比較する。
【0036】
処理回路1は、比較結果より、付加機能の設定に異常があるか否か判定する(ステップS24)。処理回路1は、例えば、ステップS23の比較の結果、基本機能パラメータ22、および、付加機能パラメータ23に含まれている軸の数を示す情報が異なるか否かにより、付加機能の設定に異常があるか否かを判定する。
【0037】
処理回路1は、基本機能パラメータ22、および、付加機能パラメータ23に含まれている軸の数を示す情報が「3」および「5」で異なるため、付加機能の設定が基本機能の設定に対して整合性がなく、付加機能の設定に異常があり、付加機能12の実行により悪影響が制御対象101に及ぶと判定し(ステップS24のYes)、出力機能15を実行し、付加機能の設定が異常である旨を出力する(ステップS25)。出力方法は、例えば、数値制御装置100が備える所定の出力装置におけるメッセージの表示、音声の出力などである。処理回路1は、PLCのデバイス値を介して付加機能の設定が異常である旨を出力するようにしてもよい。付加機能の設定が異常である旨を出力することにより、例えば、ユーザが、付加機能12の設定と基本機能11の設定との整合性がとれるように付加機能パラメータ23の修正を行うことが可能となる。
【0038】
または、処理回路1は、回避機能16を実行し、付加機能12の設定と基本機能11の設定との整合性がとれるように、付加機能パラメータ23の設定を修正する(ステップS25)。これにより、例えば、付加機能12が実行された場合に、付加機能パラメータ23が基本機能パラメータ22に整合していないことが原因で、基本機能においてメモリの配列外アクセス等が発生し、数値制御装置100がダウンし、切削加工中に制御対象101が意図しない動きをしてしまうことを回避することができる。なお、処理回路1は、回避方法として、数値制御装置100の非常停止を実行するようにしてもよい。
【0039】
なお、処理回路1は、付加機能の設定が基本機能の設定に対して整合性がとれており、付加機能の設定が正常であり、付加機能12の実行により悪影響が制御対象101に及ばないと判定した場合(ステップS24のNo)、図2に示されるステップS3へ処理を進める。以後、図2に戻ってステップS3から説明する。
【0040】
図2において、処理回路1は、パラメータデータ処理を実行した後、制御対象101への指令内容が記載された加工プログラム21の読出しを実行する(ステップ3)。処理回路1は、例えば、記憶回路2から制御対象101への指令内容が記載された加工プログラム21を読み出して取得する。
【0041】
続いて、処理回路1は、基本機能11を実行し、ステップS3で読み出した加工プログラムを用いて、制御対象101への制御処理を開始する(ステップS4)。このとき、処理回路1は、ステップS3で取得した加工プログラムを解析し、解析結果として、指令データを生成する。そして、処理回路1は、指令データ、基本機能パラメータ22、および付加機能パラメータ23に基づいて、制御対象101に対する切削加工を実行する。
【0042】
次に、処理回路1は、加工プログラム21に沿った制御処理が完了したか否かを判定する(ステップS5)。
【0043】
処理回路1は、制御処理が完了していない場合(ステップS5のNo)、負荷データについて各種処理を実行する(ステップS6)。以後、この負荷データ処理の具体的フローについて、図4を参照しながら説明する。
【0044】
図4において、処理回路1は、取得機能13を実行し、付加機能12の実行中に、負荷データ、すなわち数値制御装置100の負荷に関する情報を取得する(ステップS61)。処理回路1は、例えば、付加機能12の実行中における処理回路1のメモリ使用率、CPU使用率等を取得する。
【0045】
処理回路1は、判定機能14を実行し、取得した数値制御装置100の負荷に関する情報が示す負荷の値と予め設定された閾値とを比較する(ステップS62)。処理回路1は、例えば、取得した数値制御装置100のメモリ使用率と予め設定されたメモリ使用率に関する閾値とを比較する。また、処理回路1は、例えば、取得した数値制御装置100のCPU使用率と予め設定されたCPU使用率に関する閾値とを比較する。
【0046】
処理回路1は、比較結果より、取得した負荷の値が予め設定された閾値を超えるか否か判定する(ステップS63)。処理回路1は、例えば、取得した数値制御装置100のメモリ使用率が予め設定されたメモリ使用率に関する閾値を超えるか否か判定する。また、処理回路1は、例えば、取得した数値制御装置100のCPU使用率が予め設定されたCPU使用率に関する閾値を超えるか否か判定する。
【0047】
処理回路1は、取得した負荷の値が予め設定された閾値を超えており、付加機能12の実行により悪影響が制御対象101に及ぶと判定した場合(ステップS63のYes)、当該負荷の値が予め設定された閾値を超えている旨を出力する(ステップS64)。処理回路1は、例えば、取得した数値制御装置100のメモリ使用率が予め設定されたメモリ使用率に関する閾値を超えている場合、出力機能15を実行し、当該メモリ使用率が予め設定されたメモリ使用率に関する閾値を超えている旨を出力する。また、処理回路1は、例えば、取得した数値制御装置100のCPU使用率が予め設定されたCPU使用率に関する閾値を超えている場合、当該CPU使用率が予め設定されたCPU使用率に関する閾値を超えている旨を出力する。これにより、例えば、ユーザは、付加機能12が実行された場合の負荷が予め設定された閾値を超えないように、付加機能12の実行タイミングを変更することができる。
【0048】
または、処理回路1は、回避機能16を実行し、例えば、付加機能12が実行された場合の負荷が予め設定された閾値を超えないように、付加機能12の実行タイミングを変更する。(ステップS64)。これにより、処理負荷が高いことにより、数値制御装置100で他に実行させたい機能が実行させたいタイミングで実行できず、制御対象101が意図しない減速をしたり、指令速度よりも遅く動いたりすることを回避できる。
【0049】
なお、処理回路1は、取得した負荷の値が予め設定された閾値以下であると判定した場合(ステップS24のNo)、図2に示されるステップS7へ処理を進める。以後、図2に戻ってステップS7から説明する。
【0050】
図2において、処理回路1は、負荷データ処理を実行した後、指令データについて各種処理を実行する(ステップ7)。以後、この指令データ処理の具体的フローについて、図5を参照しながら説明する。
【0051】
図5において、処理回路1は、例えば、基本機能11が付加機能12を呼び出して連携して各種処理を実行する際に生成された指令データを取得する(ステップS71)。
【0052】
処理回路1は、ステップS71で取得した指令データを参照し、例えば、制御対象101を動作させるための指令値を抽出する(ステップS72)。指令値の例としては、例えば、切削軸を移動させる際の加速度が挙げられる。なお、比較対象は加速度に限られず、位置、速度、電流値、またはPLC信号等であってもよい。
【0053】
続いて、処理回路1は、ステップS72で抽出された指令値と、指令値に対応する制御対象101の規格値とを比較する(ステップS73)。処理回路1は、例えば、ステップS72で抽出された加速度と加速度に対応する制御対象101の規格値とを比較する。このとき、本実施形態では、例えば、ステップS72で抽出された加速度「5m/s」、加速度に対応する制御対象101の規格値「3m/s」であるものとする。なお、この規格値は、処理回路1に予め保持されていてもよいし、予め記憶回路2に記憶しておき必要に応じて記憶回路2から処理回路1へ読み出されてもよい。
【0054】
処理回路1は、比較結果より、抽出した指令値が当該指令値に対応する制御対象101の規格値を満たさないか否か判定する(ステップS73)。処理回路1は、例えば、抽出した加速度が加速度に対応する制御対象101の規格値を満たさないか否か判定する。
【0055】
処理回路1は、抽出した指令値である加速度「5m/s」が当該加速度に対応する制御対象101の規格値「3m/s」を超えており、当該規格値を満たさないため、付加機能12の実行により悪影響が制御対象101に及ぶと判定し(ステップS74のYes)、当該指令値が規格値を満たさない旨を出力する(ステップS75)。これにより、例えば、ユーザは、例えば、抽出された指令値である加速度「5m/s」が制御対象101の規格値「3m/s」を満たすように、当該指令値である加速度を修正することができる。
【0056】
または、処理回路1は、回避機能16を実行し、例えば、抽出した指令値である加速度「5m/s」が制御対象101の規格値「3m/s」を満たすように、当該指令値である加速度を修正する。(ステップS75)。これにより、例えば、制御対象101が規格値である最大加速度を超えて問題となる動作を行うことを回避することができる。そして、ユーザが付加機能プログラムを間違えて作成していた場合でも、数値制御装置100は制御対象101が異常な速度で動作することを防ぐことができる。すなわち、ユーザが作製したプログラムに基づく指令値を修正してそのまま実行させないようにすることで、制御対象101の規格に沿った切削加工に軌道修正することが可能となる。
【0057】
なお、処理回路1は、抽出した指令値が当該指令値に対応する制御対象101の規格値を満たし、付加機能12の実行により悪影響が制御対象101に及ばないと判定した場合(ステップS74のNo)、当該指令値を含む指令を制御対象101へ送信する(ステップS76)。
【0058】
上記実施の形態1によれば、数値制御装置100が備える処理回路1は、制御対象101に対して基本機能11および基本機能11を拡張するための付加機能12を実行する。処理回路1は、取得機能13により、付加機能12の動作特性に関連する付加機能データを取得する。処理回路1は、判定機能14により、取得した付加機能データに基づいて、付加機能12の実行により悪影響が制御対象101に及ぶか否かを判定する。
【0059】
これにより、処理回路1は、例えば、付加機能12の実行中に、すなわち数値制御装置100の稼働中に、悪影響が制御対象101に及ぶか否か判断することが可能となる。
【0060】
したがって、本実施形態によれば、数値制御装置100に対して独自に設定された付加機能の動作特性に関する情報を把握することが可能となる。
【0061】
なお、上記実施の形態において、制御対象101は、切削加工を行う工作機械であるとしていたがこれに限られない。制御対象101は、切削加工を行う工作機械以外の装置であってもよい。制御対象101は、例えば、被加工物を加工する加工機と、加工機の動作を制御するサーボモータとを含んでいてもよい。制御対象101は、レーザ加工機、ウォータージェット加工機、放電加工機、金属積層造形(AM:Additive Manufacturing)加工機、または木工加工機などであってもよい。また、制御対象101は、工作機械ではなくロボットであってもよい。例えば、制御対象101は、ロボットと、ロボットの動作を制御するサーボモータと、を含んでいてもよい。制御対象101が産業用ロボットの場合、制御対象101は、1つ以上の関節軸と、関節軸の各関節角度を変化させるアクチュエータであるサーボモータとを有している。また、制御対象101が産業用ロボットである場合、産業用ロボットの種類は問わず、例えば、垂直多関節ロボット、水平多関節ロボット、パラレルリンクロボットなどであってもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、例えば、図5に示されるステップS72で抽出された加速度「5m/s」と加速度に対応する制御対象101の規格値「3m/s」とを比較し、規格値を超えるか否かにより、悪影響が制御対象101に及ぶか否か判定していたがこれに限定されない。例えば、規格値は上限と下限を含み、抽出された指令値がこの上限および下限の範囲に収まらないか否かにより、悪影響が制御対象101に及ぶか否か判定するようにしてもよい。
【0063】
実施の形態2.
図6は、実施の形態2にかかる情報処理装置100Aの構成例を示す図である。情報処理装置100Aは、例えば、図1に示される数値制御装置100とネットワークで接続可能である。実施の形態2にかかる情報処理装置100Aは、例えば、情報処理装置100Aが数値制御装置100とネットワークで接続されていない場合において、付加機能の動作特性に関する各種データのチェックを実施する場合の構成を示している。なお、情報処理装置100Aとネットワークで接続可能なのは、図1に示される数値制御装置100以外の他の数値制御装置であってもよい。また、情報処理装置100Aは、図1に示される数値制御装置100にネットワークで接続されているが、数値制御装置100が停止中、すなわち数値制御装置100が図1に示される制御対象101に対して切削加工を実施してない場合に、付加機能の動作特性に関する各種データのチェックを実施してもよい。
【0064】
図6において、情報処理装置100Aは、処理回路1A、記憶回路2A、入力インタフェース3、出力インタフェース4、および通信インタフェース5を備えている。処理回路1Aは、例えば、付加機能を実現するためのソースコードをコンパイルすることにより、付加機能を実行可能なオブジェクトを生成する。記憶回路2Aは、処理回路1Aで実行される処理に必要な各種情報を記憶している。
【0065】
処理回路1Aは、情報処理装置100Aの中枢として機能するプロセッサである。処理回路1Aは、例えば、記憶回路2Aに記憶されているプログラムを実行することで、実行したプログラムに対応する機能を実現する。なお、処理回路1Aは、記憶回路2Aで記憶されているデータの少なくとも一部を記憶する記憶領域を備えていても構わない。
【0066】
記憶回路2Aは、磁気的、若しくは光学的記録媒体、又は半導体メモリ等の、プロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を含む。また、記憶回路2Aは、CD-ROMドライブ、DVDドライブ、及びフラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であっても良い。なお、記憶回路2Aは、必ずしも単一の記憶装置により実現される必要は無い。例えば、記憶回路2Aは、複数の記憶装置により実現されても構わない。
【0067】
図6に示されるように、記憶回路2Aは、例えば、ソースコード21A、オブジェクト22A、基本機能パラメータ23A、および付加機能パラメータ24Aを記憶している。
【0068】
ソースコード21Aは、付加機能を実行するためのソースコードである。ソースコード21Aは、例えば、機械メーカにより作成されている。なお、ソースコード21Aは、情報処理装置100Aの記憶回路2Aに記憶されているがこの限りではない。ソースコード21Aは、例えば、情報処理装置100Aとは異なる所定の外部記憶装置に記憶されていてもよい。
【0069】
オブジェクト22Aは、付加機能を実現するためのオブジェクトである。オブジェクト22Aは、例えば、ソースコード21Aがコンパイルされることにより生成される。オブジェクト22Aは、例えば、図1に示される数値制御装置100に送信される。数値制御装置100に送信されたオブジェクト22Aは、数値制御装置100の処理回路1で実行されることで各種付加機能が実現される。なお、オブジェクト22Aは、付加機能を実現するためのオブジェクトであれば何でもよく、例えば、情報処理装置100Aとは異なる所定の外部記憶装置に記憶されている所定のソースコードがコンパイルされることにより生成されたものであってもよい。
【0070】
基本機能パラメータ23Aの内容は、例えば、図1に示される基本機能パラメータ22の内容と同様である。付加機能パラメータ24Aの内容は、例えば、図1に示される付加機能パラメータ23の内容と同様である。
【0071】
入力インタフェース3は、例えば、ユーザによる情報処理装置100Aへの各種入力を受け付ける。入力インタフェース3は、例えば、マウス、ボタン、キーボード、操作面へ触れることで指示が入力されるタッチパッド、およびタッチパネルなどにより実現される。入力インタフェース3は、処理回路1Aに接続され、ユーザから入力される各種入力を電気信号へ変換し、電気信号を処理回路1Aへ出力する。
【0072】
出力インタフェース4は、処理回路1Aに接続され、処理回路1Aから供給される信号を出力する。出力インタフェース4は、例えば、表示回路、印刷回路および音声デバイスなどにより実現される。表示回路には、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイおよびプラズマディスプレイなどが含まれる。また、表示回路には、表示対象を表すデータをビデオ信号に変換し、ビデオ信号を外部へ出力する処理回路が含まれてもよい。印刷回路は、例えば、プリンタなどを含む。また、印刷回路には、印刷対象を表すデータを外部へ出力する出力回路が含まれてもよい。音声デバイスは、例えば、スピーカなどを含む。また、音声デバイスには、音声信号を外部へ出力する出力回路が含まれてもよい。尚、出力インタフェース4は、入力インタフェース3と共にタッチパネル、或いはタッチスクリーンとして実現されてもよい。
【0073】
通信インタフェース5は、例えば、任意の汎用ネットワークと接続する。通信インタフェース5は、任意の汎用ネットワークを介して、例えば、図1に示される数値制御装置100とデータ通信を行う。なお、通信インタフェース5は、任意のネットワークを介して、図1に示される数値制御装置100以外の他の数値制御装置とデータ通信を行ってもよい。
【0074】
実施の形態2に係る処理回路1Aは、所定の汎用プログラムを実行することにより各種機能を実現する。具体的には、処理回路1Aは、例えば、記憶回路2Aに記憶される所定のプログラムを実行することで、システム制御機能11A、コンパイル機能12A、取得機能13A、判定機能14A、および出力機能15Aを実現する。
【0075】
システム制御機能11Aは、例えば、入出力、および外部機器との通信を制御する機能である。システム制御機能11Aにおいて処理回路1Aは、例えば、入力インタフェース3から入力される入力情報を受け付ける。また、処理回路1Aは、例えば、出力インタフェース4を介して所定の出力情報を出力する。また、処理回路1Aは、例えば、通信インタフェース5を介し、図1に示される数値制御装置100のような外部機器との間で各種データ通信を行う。
【0076】
コンパイル機能12Aは、付加機能を実行するための各種ソースコードをコンパイルして所定のオブジェクトを生成する機能である。コンパイル機能12Aにおいて処理回路1Aは、例えば、記憶回路2Aに記憶されたソースコード21Aをコンパイルしてオブジェクト22Aを生成し、記憶回路2Aに記憶する。
【0077】
取得機能13Aは、例えば、付加機能の動作特性に関連する付加機能データを取得する機能である。付加機能データには、例えば、パラメータデータ、または負荷データ等が含まれる。
【0078】
取得機能13Aにおいて処理回路1Aは、例えば、パラメータデータとして、記憶回路2Aから基本機能パラメータ23A、および、付加機能パラメータ24Aを取得する。なお、処理回路1Aは、通信インタフェース5を介して、図1に示される数値制御装置100から基本機能パラメータ23A、および/または、付加機能パラメータ24Aを取得してもよい。また、取得機能13Aにおいて処理回路1Aは、例えば、ソースコード21Aを参照し、負荷データとして、ソースコード21Aに含まれる行数を取得する。なお、処理回路1Aは、負荷データとして、ソースコード21Aに含まれる演算の数を取得してもよい。演算には、例えば、加算、減算、ビットシフトなどの演算が含まれる。
【0079】
判定機能14Aは、取得機能13Aの実行により取得された付加機能データに基づいて、図1に示される数値制御装置100の付加機能12の実行により悪影響が図1に示される制御対象101に及ぶか否かを判定する機能である。判定機能14Aにおいて処理回路1Aは、例えば、取得された基本機能パラメータ23A、および、付加機能パラメータ24Aに基づいて、図1に示される数値制御装置100の付加機能12の設定に異常があるか否かにより、付加機能12の実行により悪影響が図1に示される制御対象101に及ぶか否かを判定する。判定機能14Aにおいて処理回路1は、例えば、取得された負荷データに基づいて、当該負荷データが示す負荷の値が予め設定された閾値を超えるか否かにより、付加機能12の実行により悪影響が、例えば図1に示される制御対象101に及ぶか否かを判定する。予め設定された閾値は、例えば、ソースコードの行数に対する閾値である。なお、この予め設定された閾値は、処理回路1Aに予め保持されていてもよいし、予め記憶回路2Aに記憶しておき必要に応じて記憶回路2Aから処理回路1Aへ読み出されてもよい。
【0080】
出力機能15Aは、判定機能14Aの実行により付加機能12の実行により悪影響が制御対象101に及ぶと判定された場合、当該判定結果を出力する機能である。出力機能15Aにおいて処理回路1Aは、付加機能12の設定に異常があり、付加機能12の実行により悪影響が制御対象101に及ぶと判定された場合、例えば、出力インタフェース4を介して、付加機能12の設定に異常がある旨を出力する。出力機能15Aにおいて処理回路1Aは、負荷データが示す負荷の値が予め設定された閾値を超えており、付加機能12の実行により悪影響が制御対象101に及ぶと判定された場合、例えば、出力インタフェース4を介して、負荷データが示す負荷の値が予め設定された閾値を超えている旨を出力する。
【0081】
以上のように構成された情報処理装置100Aによる動作を、処理回路1Aの処理手順に従って説明する。実施の形態2では、実施の形態1とは異なり、オフラインで各機能が実行される。このため、パラメータデータ処理、および負荷データ処理はそれぞれ単独で実行される。図7は、実施形態に係る情報処理装置100Aが実行するパラメータデータ処理の例を示す図である。図8は、実施形態に係る情報処理装置100Aが実行する負荷データ処理の例を示す図である。なお、本動作例では、記憶回路2から取得される基本機能パラメータ23A、および、付加機能パラメータ24Aには、例えば、機械構成を示すパラメータである軸の数を示す情報がそれぞれ含まれているものとする。さらに、基本機能パラメータ23Aに含まれる軸の数を示す情報は「3」であり、付加機能パラメータ24Aに含まれる軸の数を示す情報は「3」で一致しており、付加機能の設定に異常はないものとする。また、記憶回路2Aに記憶されたソースコード21Aに含まれる行数は予め設定された行数に関する閾値を超えないものであるとする。
【0082】
図7において、処理回路1Aは、取得機能13Aを実行し、記憶回路2Aから基本機能パラメータ23Aを取得する(ステップS101)。
【0083】
次に、処理回路1Aは、記憶回路2Aから付加機能パラメータ24Aを取得する(ステップS102)。
【0084】
処理回路1Aは、判定機能14Aを実行し、取得した基本機能パラメータ23Aと付加機能パラメータ24Aとを比較する(ステップS103)。処理回路1Aは、例えば、基本機能パラメータ23A、および、付加機能パラメータ24Aにそれぞれ含まれている軸の数を示す情報を比較する。
【0085】
処理回路1Aは、比較結果より、付加機能の設定に異常があるか否か判定する(ステップS104)。処理回路1は、例えば、ステップS103の比較の結果、基本機能パラメータ23A、および、付加機能パラメータ24Aに含まれている軸の数を示す情報が異なるか否かにより、付加機能の設定に異常があるか否かを判定する。
【0086】
処理回路1Aは、基本機能パラメータ23A、および、付加機能パラメータ24Aに含まれている軸の数を示す情報が「3」および「3」で一致し、付加機能の設定が基本機能の設定に対して整合性がとれており、付加機能の設定に異常はなく、図1に示される付加機能12の実行により悪影響が制御対象101に及ばないと判定し(ステップS104のNo)、コンパイル機能12Aを実行し、例えば、記憶回路2Aに記憶されたソースコード21Aをコンパイルしてオブジェクト22Aを生成する(ステップS105)。
【0087】
処理回路1Aは、生成したオブジェクト22Aを、記憶回路2Aに記憶する(ステップS105)。これにより、事前のチェックにより常に整合性のとれたパラメータを前提としてプログラムを実行することが可能となる。
【0088】
なお、処理回路1Aは、付加機能の設定が基本機能の設定に対して整合性がとれておらず、付加機能の設定に異常があり、図1に示される付加機能12の実行により悪影響が制御対象101に及ぶと判定した場合(ステップS104のYes)、付加機能の設定が異常である旨を出力する(ステップS107)。出力方法は、例えば出力インタフェース4におけるメッセージの表示、音声の出力などである。処理回路1Aは、所定のPLCのデバイス値を介して付加機能の設定が異常である旨を出力するようにしてもよい。付加機能の設定が異常である旨を出力することにより、例えば、付加機能の実行前に、ユーザが付加機能パラメータ24Aの修正を行うことが可能となり、パラメータ不整合により図1に示される制御対象101へ悪影響が及ぶことを回避することが可能となる。
【0089】
図8において、処理回路1Aは、取得機能13Aを実行し、負荷データ、すなわち数値制御装置100の負荷に関する情報を取得する(ステップS201)。処理回路1Aは、例えば、記憶回路2Aに記憶されたソースコード21Aを参照し、ソースコード21Aに含まれる行数を取得する。
【0090】
処理回路1Aは、判定機能14Aを実行し、取得した負荷データが示す負荷の値と予め設定された閾値とを比較する(ステップS202)。処理回路1Aは、例えば、取得したソースコード21Aに含まれる行数と予め設定された行数に関する閾値とを比較する。
【0091】
処理回路1Aは、比較結果より、取得した負荷の値が予め設定された閾値を超えるか否か判定する(ステップS203)。処理回路1Aは、例えば、取得したソースコード21Aに含まれる行数が予め設定された行数に関する閾値を超えるか否か判定する。
【0092】
処理回路1Aは、取得したソースコード21Aに含まれる行数が予め設定された行数に関する閾値を超えず、図1に示される付加機能12の実行により悪影響が制御対象101に及ばないと判定し(ステップS203のNo)、コンパイル機能12Aを実行し、例えば、記憶回路2Aに記憶されたソースコード21Aをコンパイルしてオブジェクト22Aを生成する(ステップS204)。
【0093】
処理回路1Aは、生成したオブジェクト22Aを、記憶回路2Aに記憶する(ステップS205)。これにより、例えば、付加機能が数値制御装置で実行される前の事前のチェックにより常に過負荷とならない状態でプログラムを実行することが可能となる。
【0094】
なお、処理回路1Aは、取得した負荷の値が予め設定された閾値を超えており、図1に示される付加機能12の実行により悪影響が制御対象101に及ぶと判定した場合(ステップS203のYes)、当該負荷の値が予め設定された閾値を超えている旨を出力する(ステップS206)。処理回路1は、例えば、取得したソースコード21Aに含まれる行数が予め設定された行数に関する閾値を超えている場合、出力機能15を実行し、当該行数が予め設定された行数に関する閾値を超えている旨を出力する。出力方法は、例えば出力インタフェース4におけるメッセージの表示、音声の出力、所定のPLCデバイスを介したメッセージの表示、音声の出力などである。ソースコード21Aの行数が予め設定された行数に関する閾値を超えている旨を出力することにより、ユーザは、例えば、付加機能が数値制御装置で実行すると制御対象101に悪影響が及ぶことを、付加機能を実行するためのソースコード21Aのコンパイル処理が実行される前に知ることができ、必要な措置を講じることが可能となる。
【0095】
上記実施の形態2によれば、情報処理装置100Aが備える処理回路1Aは、制御対象101に対して基本機能11および基本機能11を拡張するための付加機能12を実行する図1に示される数値制御装置100とネットワークを介して接続可能である。処理回路1Aは、取得機能13Aにより、図1に示される数値制御装置100で実行される付加機能12の動作特性に関連する付加機能データを取得する。処理回路1Aは、判定機能14Aにより、取得した付加機能データに基づいて、付加機能12の実行により悪影響が制御対象101に及ぶか否かを判定する。
【0096】
これにより、処理回路1Aは、例えば、付加機能12の実行前に、すなわち図1に示される数値制御装置100の稼働前に、悪影響が制御対象101に及ぶか否か判断することが可能となる。
【0097】
したがって、本実施形態によれば、図1に示される数値制御装置100に対して独自に設定される付加機能の動作特性に関する情報を把握することが可能となる。
【0098】
本開示は、本開示の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本開示を説明するためのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。つまり、本開示の範囲は、実施形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内及びそれと同等の開示の意義の範囲内で施される様々な変形が、本開示の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本開示によれば、数値制御装置に対して独自に設定される付加機能の動作特性に関する情報を把握することが可能な情報処理装置および数値制御装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0100】
100 数値制御装置、100A 情報処理装置、101 制御対象、1,1A 処理回路、2、2A 記憶回路、3 入力インタフェース、4 出力インタフェース、5 通信インタフェース、11 基本機能、12 付加機能、13,13A 取得機能、14,14A 判定機能、15,15A 出力機能、16 回避機能、21 加工プログラム、22,23A 基本機能パラメータ、23,24A 付加機能パラメータ、24 共有データ、11A システム制御機能、12A コンパイル機能、21A ソースコード、22A オブジェクト。
【要約】
本開示に係る数値制御装置は、制御対象(101)に対して基本機能(11)および基本機能(11)を拡張するための付加機能(12)を実行する数値制御装置であって、付加機能(12)の動作特性に関連する付加機能データを取得する取得部(13)と、付加機能データに基づいて、付加機能(12)の実行により悪影響が前記制御対象に及ぶか否かを判定する判定部(14)と、を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8