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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-14
(45)【発行日】2025-04-22
(54)【発明の名称】電源システム、制御装置、制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/06 20060101AFI20250415BHJP
【FI】
H02J9/06 120
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2025016509
(22)【出願日】2025-02-04
【審査請求日】2025-02-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(72)【発明者】
【氏名】梅沢 一喜
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 貴之
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2023/157162(WO,A1)
【文献】特開2017-200409(JP,A)
【文献】特表2004-511868(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0033978(US,A1)
【文献】特開2021-65008(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0123662(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが電源から供給される電力を用いて交流を出力し、出力側で並列接続される複数の電力変換装置と、
前記複数の電力変換装置ごとに設けられ、対象の電力変換装置の出力側に電気的に接続されるトランスと、を備え、
前記複数の電力変換装置は、それぞれ、対象の電力変換装置の入力部及び出力部に対して並列接続され、対象の電力変換装置に入力される電力を用いて交流を出力する複数の電力変換部を含み、
前記複数の電力変換装置は、それぞれ、前記複数の電力変換部の容量に応じた出力電流のバランス制御を行うと共に、ドループ制御によって、前記複数の電力変換装置の容量に応じた出力電流のバランス制御を行い、前記複数の電力変換部の一部が停止した場合、対象の電力変換装置の出力側の前記トランスから出力される交流と、他の電力変換装置の出力側の前記トランスから出力される交流との位相が同期し、電圧レベルが同じになるように、前記複数の電力変換装置の容量に応じた出力電流のバランス制御を継続する、
電源システム。
【請求項2】
前記複数の電力変換装置は、それぞれ、前記複数の電力変換部の一部が停止した場合、対象の電力変換装置の出力側の前記トランスから出力される交流と、他の電力変換装置の出力側の前記トランスから出力される交流との位相が同期し、電圧レベルが同じになるように、前記複数の電力変換部のうちの稼働中の電力変換部の出力電圧及び位相を調整すると共に、前記複数の電力変換装置の容量に応じた出力電流のバランス制御を継続する、
請求項1に記載の電源システム。
【請求項3】
前記複数の電力変換装置は、それぞれ、前記複数の電力変換部の出力電流のバランス制御を行うと共に、前記複数の電力変換部の周波数垂下特性及び電圧垂下特性に基づく前記ドループ制御によって、前記複数の電力変換装置の容量に応じた出力電流のバランス制御を行い、前記複数の電力変換部の一部が停止した場合、前記複数の電力変換部の全台数、及び前記稼働中の電力変換部の台数と、対象の電力変換装置の出力電流の検出値とに基づき、対象の電力変換装置の出力側の前記トランスの位相及び電圧変動を取得し、取得した前記トランスの位相及び電圧変動に基づき、前記稼働中の電力変換部の出力電圧及び位相を変更すると共に、前記稼働中の電力変換部の前記周波数垂下特性及び前記電圧垂下特性を変更し、前記ドループ制御によって、前記複数の電力変換装置の容量に応じた出力電流のバランス制御を行う、
請求項2に記載の電源システム。
【請求項4】
前記複数の電力変換装置は、それぞれ、前記複数の電力変換部の一部が停止した場合、前記複数の電力変換部の全台数、及び前記稼働中の電力変換部の台数と、対象の電力変換装置の出力電流の検出値とに基づき、対象の電力変換装置の出力側の前記トランスの位相及び電圧変動を取得し、取得した前記トランスの位相及び電圧変動に基づき、前記トランスの位相特性及び電圧特性を用いて、前記稼働中の電力変換部の出力電圧及び位相を変更し、
前記トランスの前記電圧特性は、前記トランスの実際の電圧特性を線形近似することにより得られる、
請求項3に記載の電源システム。
【請求項5】
それぞれが電源から供給される電力を用いて交流を出力し、出力側で並列接続される複数の電力変換装置と、前記複数の電力変換装置ごとに設けられ、対象の電力変換装置の出力側に電気的に接続されるトランスと、を備え、前記複数の電力変換装置は、それぞれ、対象の電力変換装置の入力部及び出力部に対して並列接続され、対象の電力変換装置に入力される電力を用いて交流を出力する複数の電力変換部を含む、電源システムについて、一の前記電力変換装置を制御する制御装置であって、
前記複数の電力変換部の容量に応じた出力電流のバランス制御を行うと共に、ドループ制御によって、前記複数の電力変換装置の容量に応じた出力電流のバランス制御を行い、前記複数の電力変換部の一部が停止した場合、対象の前記電力変換装置の出力側の前記トランスから出力される交流と、他の電力変換装置の出力側の前記トランスから出力される交流との位相が同期し、電圧レベルが同じになるように、前記複数の電力変換装置の容量に応じた出力電流のバランス制御を継続する、
制御装置。
【請求項6】
それぞれが電源から供給される電力を用いて交流を出力し、出力側で並列接続される複数の電力変換装置と、前記複数の電力変換装置ごとに設けられ、対象の電力変換装置の出力側に電気的に接続されるトランスと、を備え、前記複数の電力変換装置は、それぞれ、対象の電力変換装置の入力部及び出力部に対して並列接続され、対象の電力変換装置に入力される電力を用いて交流を出力する複数の電力変換部を含む、電源システムについて、一の前記電力変換装置を制御する制御方法であって、
前記複数の電力変換部の容量に応じた出力電流のバランス制御を行うと共に、ドループ制御によって、前記複数の電力変換装置の容量に応じた出力電流のバランス制御を行い、前記複数の電力変換部の一部が停止した場合、対象の前記電力変換装置の出力側の前記トランスから出力される交流と、他の電力変換装置の出力側の前記トランスから出力される交流との位相が同期し、電圧レベルが同じになるように、前記複数の電力変換装置の容量に応じた出力電流のバランス制御を継続する、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、複数の電力変換装置を並列接続しそれぞれがトランスを介して電力を出力する電源システムが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第7523193号公報
【文献】特許第7408820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電力変換装置が複数の電力変換部の並列接続によって構成される場合がある(例えば、特許文献2)。この場合、電力変換装置の一部の電力変換部が異常等によって停止してしまっても、正常な残りの電力変換部によって電力変換装置からの電力の出力を継続できることが望ましい。
【0005】
そこで、上記課題に鑑み、複数の電力変換装置を並列接続しそれぞれがトランスを介して電力を出力する電源システムについて、電力変換装置に含まれる複数の電力変換部の一部が停止しても、正常な残りの電力変換部によって電力の出力を継続することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の一実施形態では、
それぞれが電源から供給される電力を用いて交流を出力し、出力側で並列接続される複数の電力変換装置と、
前記複数の電力変換装置ごとに設けられ、対象の電力変換装置の出力側に電気的に接続されるトランスと、を備え、
前記複数の電力変換装置は、それぞれ、対象の電力変換装置の入力部及び出力部に対して並列接続され、対象の電力変換装置に入力される電力を用いて交流を出力する複数の電力変換部を含み、
前記複数の電力変換装置は、それぞれ、前記複数の電力変換部の容量に応じた出力電流のバランス制御を行うと共に、ドループ制御によって、前記複数の電力変換装置の容量に応じた出力電流のバランス制御を行い、前記複数の電力変換部の一部が停止した場合、対象の電力変換装置の出力側の前記トランスから出力される交流と、他の電力変換装置の出力側の前記トランスから出力される交流との位相が同期し、電圧レベルが同じになるように、前記複数の電力変換装置の容量に応じた出力電流のバランス制御を継続する、
電源システムが提供される。
【0007】
また、本開示の他の実施形態では、
それぞれが電源から供給される電力を用いて交流を出力し、出力側で並列接続される複数の電力変換装置と、前記複数の電力変換装置ごとに設けられ、対象の電力変換装置の出力側に電気的に接続されるトランスと、を備え、前記複数の電力変換装置は、それぞれ、対象の電力変換装置の入力部及び出力部に対して並列接続され、対象の電力変換装置に入力される電力を用いて交流を出力する複数の電力変換部を含む、電源システムについて、一の前記電力変換装置を制御する制御装置であって、
前記複数の電力変換部の容量に応じた出力電流のバランス制御を行うと共に、ドループ制御によって、前記複数の電力変換装置の容量に応じた出力電流のバランス制御を行い、前記複数の電力変換部の一部が停止した場合、対象の前記電力変換装置の出力側の前記トランスから出力される交流と、他の電力変換装置の出力側の前記トランスから出力される交流との位相が同期し、電圧レベルが同じになるように、前記複数の電力変換装置の容量に応じた出力電流のバランス制御を継続する、
制御装置が提供される。
【0008】
また、本開示の更に他の実施形態では、
それぞれが電源から供給される電力を用いて交流を出力し、出力側で並列接続される複数の電力変換装置と、前記複数の電力変換装置ごとに設けられ、対象の電力変換装置の出力側に電気的に接続されるトランスと、を備え、前記複数の電力変換装置は、それぞれ、対象の電力変換装置の入力部及び出力部に対して並列接続され、対象の電力変換装置に入力される電力を用いて交流を出力する複数の電力変換部を含む、電源システムについて、一の前記電力変換装置を制御する制御方法であって、
前記複数の電力変換部の容量に応じた出力電流のバランス制御を行うと共に、ドループ制御によって、前記複数の電力変換装置の容量に応じた出力電流のバランス制御を行い、前記複数の電力変換部の一部が停止した場合、対象の前記電力変換装置の出力側の前記トランスから出力される交流と、他の電力変換装置の出力側の前記トランスから出力される交流との位相が同期し、電圧レベルが同じになるように、前記複数の電力変換装置の容量に応じた出力電流のバランス制御を継続する、
制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
上述の実施形態によれば、複数の電力変換装置を並列接続しそれぞれがトランスを介して電力を出力する電源システムについて、電力変換装置に含まれる複数の電力変換部の一部が停止しても、正常な残りの電力変換部によって電力の出力を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】電源システムの第1例の構成を示す図である。
図2】電源システムの第2例の構成を示す図である。
図3】電力変換装置の構成の一例を示す図である。
図4】制御部の制御処理の一例を示す制御ブロック図である。
図5】モジュール全台数及びモジュール給電台数と、モジュールゲイン及びトランスゲインとの関係の一例を示す図である。
図6】モジュール制御部の制御処理の一例を示す制御ブロック図である。
図7】電源システムの正常時の動作状態の一例を示す図である。
図8】電源システムの異常時の動作状態の一例を示す図である。
図9】トランスの特性の一例を示す図である。
図10】トランスの電圧特性の補正方法の一例を示す図である。
図11】トランスから出力される交流の位相同期制御の一例を説明する図である。
図12】比較例に係る電源システムの動作の一例を示す図である。
図13】実施形態に係る電源システムの動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
【0012】
[電源システムの構成]
図1図2を参照して、本実施形態に係る電源システムSYSの構成について説明する。
【0013】
図1は、電源システムSYSの第1例の構成を示す図である。図2は、電源システムSYSの第2例の構成を示す図である。
【0014】
尚、図2では、電源1の図示が省略されている。また、図2の電力変換モジュール9の構成は、図1の電力変換モジュール9と同じであるため、図2では、電力変換モジュール9の詳細な構成要素の図示が省略されている。
【0015】
図1図2に示すように、電源システムSYSは、電源1と、トランス2と、複数の電力変換装置10と、トランス12と、給電遮断器13と、負荷14とを含む。
【0016】
電源1は、電力変換装置10に電力を供給する。例えば、電源1は、商用電源等の交流電源である。
【0017】
トランス2は、並列接続される複数の電力変換装置10のそれぞれの入力側(即ち、電源1側)に電気的に接続される絶縁型の変圧器である。トランス2の1次側は、電源1と電気的にされると共に、他の電力変換装置10の入力側に設けられる、他のトランス2の1次側と電気的に接続され、トランス2の2次側は、電力変換装置10と電気的に接続され、電源1の電力は、トランス2を通じて、電力変換装置10に供給される。
【0018】
複数の電力変換装置10は、電源1及び負荷14のそれぞれに対して並列接続される。
【0019】
電源1及び負荷14に対して並列接続される電力変換装置10の台数は、任意である。例えば、図1に示すように、2台の電力変換装置10が電源1及び負荷14のそれぞれに対して並列接続される。また、例えば、図2に示すように、8台の電力変換装置10が電源1及び負荷14のそれぞれに対して並列接続される。図2の電源システムSYSは、船舶SPが接岸する埠頭20に設けられる陸上電力供給(陸電)システムである。また、3台~7台の電力変換装置10が電源1及び負荷14のそれぞれに対して並列接続されてもよいし、9台以上の電力変換装置10が電源及び負荷14のそれぞれに対して並列接続されてもよい。以下、2台の電力変換装置10が並列接続される場合を中心に説明を行う。
【0020】
例えば、複数の電力変換装置10は、全て同じ出力容量を有している。また、複数の電力変換装置10は、その一部又は全部が互いに異なる出力容量を有していてもよい。以下、複数の電力変換装置10は、全て同じ出力容量を有している場合を中心に説明を行う。
【0021】
尚、一の電力変換装置10と他の電力変換装置10とが互いに異なる電源から電力供給を受けてもよい。例えば、複数の電力変換装置10は、互いに異なる電源から電力供給を受けてもよい。
【0022】
複数の電力変換装置10は、互いに別の場所に設けられる場合がある。例えば、図2に示すように、複数の電力変換装置10は、埠頭20の互いに異なる建屋17(或いはコンテナ)の内部に設置される。そのため、電力変換装置10は、他の電力変換装置10の状態に関する情報(例えば、出力電流の検出値)を取得しながら、他の電力変換装置10との間の出力電流の均衡を図る電流バランス制御を行うのは難しい場合がある。特に、図2の埠頭20の場合、電力変換装置10が設置される建屋17(或いはコンテナ)同士の間の距離が数百メートルに及ぶことから、電力変換装置10は、他の電力変換装置10の状態に関する情報を取得しながら、他の電力変換装置10との間の出力電流のバランス制御を行うのは実質的に不可能である。そのため、本実施形態では、後述の如く、ドループ制御によって、それぞれの電力変換装置10が複数の電力変換装置10の出力電流のバランス制御を自律的に行う。
【0023】
複数の電力変換装置10は、互いに同じ構成を有するため、以下、一の電力変換装置10の構成を代表的に説明する。
【0024】
電力変換装置10は、複数の電力変換モジュール9を含む。
【0025】
複数の電力変換モジュール9は、電力変換装置10の入力部及び出力部のそれぞれに対して並列接続される。
【0026】
電力変換装置10の入力部及び出力部に対して並列接続される電力変換モジュール9の台数は、任意である。例えば、図1図2に示すように、2台の電力変換モジュール9が電力変換装置10の入力部及び出力部に対して並列接続される。また、3台以上の電力変換モジュール9が電力変換装置10の入力部及び出力部に対して並列接続されてもよい。以下、電力変換装置10の入力部及び出力部に対して並列接続される電力変換モジュール9の台数が2台である場合を中心に説明を行う。
【0027】
また、例えば、図1図2に示すように、電力変換装置10ごとの電力変換モジュール9の台数は、複数の電力変換装置10の全てにおいて、同じである。また、電力変換装置10ごとの電力変換モジュール9の台数は、複数の電力変換装置10のうちの一部または全部において、互いに異なっていてもよい。以下、電力変換装置10ごとの電力変換モジュール9の台数は、複数の電力変換装置10の全てにおいて、同じである場合を中心に説明を行う。
【0028】
例えば、複数の電力変換モジュール9は、全て同じ出力容量を有している。また、複数の電力変換モジュール9は、その一部又は全部が互いに異なる出力容量を有していてもよい。以下、複数の電力変換モジュール9は、全て同じ出力容量を有している前提で説明を行う。
【0029】
複数の電力変換モジュール9は、互いに同じ構成を有するため、以下、一の電力変換モジュール9の構成を代表的に説明する。
【0030】
電力変換モジュール9は、入力遮断器3と、入力フィルタ4と、AC/DC(Alternating Current to Direct Current)コンバータ5と、DC/AC(Direct Current to Alternating Current)コンバータ6と、出力フィルタ7と、出力遮断器8とを含む。
【0031】
入力遮断器3は、電力変換モジュール9の入力部の電力経路を開閉し、トランス2からの電流を遮断することができる。
【0032】
入力フィルタ4は、インダクタとコンデンサとを含むLCフィルタであり、トランス2から入力される交流における好ましくない成分を抑制する。例えば、入力フィルタ4は、トランス2から入力される交流における基本波の周波数よりも高い高周波成分を抑制する。
【0033】
AC/DCコンバータ5は、入力フィルタ4を通じて入力される交流を直流に変換する。AC/DCコンバータ5は、例えば、ダイオードブリッジ回路によって構成される。また、半導体スイッチ(「スイッチング素子」とも称する)を用いたブリッジ回路によって構成されてもよい。
【0034】
DC/ACコンバータ6は、AC/DCコンバータ5から出力される直流を所望の電圧及び周波数の交流に変換する。DC/ACコンバータ6は、例えば、半導体スイッチを用いたブリッジ回路により構成される。
【0035】
出力フィルタ7は、インダクタとコンデンサ72とを含むLCフィルタであり、DC/ACコンバータ6から出力される交流における好ましくない成分を抑制する。例えば、出力フィルタ7は、DC/ACコンバータ6から出力される交流における基本波の周波数よりも高い高周波成分を抑制する。
【0036】
出力遮断器8は、電力変換モジュール9の出力部の電力経路を開閉し、電力変換モジュール9の外部への電流を遮断する。
【0037】
出力フィルタ7を通過した交流は、電力変換モジュール9から出力され、他の電力変換モジュール9から出力される交流と合流し、合流した交流は、電力変換装置10から出力される。
【0038】
電流検出装置11は、電力変換装置10から出力される電流を検出する。電流検出装置11は、カレントトランス(CT:Current Transformer)である。
【0039】
トランス12は、並列接続される複数の電力変換装置10のそれぞれの出力側に電気的に接続される絶縁型の変圧器である。トランス12の1次側は、電力変換装置10と電気的に接続され、トランス12の2次側は、負荷14と電気的に接続されると共に、他の電力変換装置10の出力側に設けられる他のトランス12の2次側と電気的に接続される。
【0040】
給電遮断器13は、トランス12のそれぞれの出力側の電力経路に設けられる。給電遮断器13は、トランス12のそれぞれの出力側の電力経路を開閉し、トランス12を通じた電力変換装置10から負荷14への電流(即ち、給電)を遮断することができる。
【0041】
負荷14は、トランス12を介して複数の電力変換装置10から供給される交流によって稼働する交流負荷である。負荷14は、例えば、誘導電動機や同期電動機等の交流電動機である。
【0042】
例えば、図1に示すように、負荷14は、1つである。また、図2に示すように、負荷14は、複数であってもよい。図2の例では、船舶SPは、出力連結盤18或いは出力連結盤19を通じて、複数の電力変換装置10と電気的に接続され、複数の電力変換装置10から供給される電力によって、船舶SP内の負荷14が稼働する。
【0043】
尚、図2の例では、全ての電力変換装置10が稼働されなくてもよい。埠頭20に接岸している船舶SPの台数や船舶SPが必要な給電量によっては、全ての電力変換装置10を稼働させる必要がないからである。
【0044】
[電力変換装置の制御に関する構成]
図3を参照して、電力変換装置10の制御に関する構成について説明する。
【0045】
図3は、電力変換装置10の構成の一例を示す図である。
【0046】
図3に示すように、電力変換装置10は、制御部33と、モジュール制御部25とを含む。
【0047】
制御部33は、複数の電力変換モジュール9の出力容量に応じた出力電流のバランス制御を行う。また、制御部33は、ドループ制御によって、複数の電力変換装置10の出力容量に応じた出力電流のバランス制御を行う。
【0048】
制御部33の機能は、任意のハードウェアや任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により実現される。制御部33は、例えば、プロセッサと、メモリ装置と、補助記憶装置と、入出力用のインタフェース装置とを含むコンピュータを中心に実現される。また、制御部33は、論理回路等のハードウェアのみにより実現されてもよい。
【0049】
制御部33には、出力電流検出値29と、出力電圧検出値30と、モジュール全台数31と、モジュール給電中信号70とが入力される。
【0050】
出力電流検出値29は、電力変換装置10の出力電流の検出値である。出力電流検出値29は、電流検出器28から出力される。
【0051】
電流検出器28は、電流検出装置11(カレントトランス)の出力電流が入力され、電力変換装置10の出力電流の検出値を出力する。
【0052】
出力電圧検出値30は、電力変換装置10の出力電圧の検出値である。
【0053】
モジュール全台数31は、電力変換装置10に含まれる電力変換モジュール9の全台数である。本例では、モジュール全台数31は、"2"である。例えば、モジュール全台数31は、制御部33の外部のメモリ等から読み出されることにより、或いは、ユーザからの入力により、制御部33に入力される。また、モジュール全台数31は、制御部33の内部のメモリ等から読み出される形であってもよい。
【0054】
モジュール給電中信号70は、複数の電力変換モジュール9ごとのモジュール制御部25から入力される。モジュール給電中信号70は、モジュール制御部25による制御対象の電力変換モジュール9が電力変換装置10の出力側に電力を給電中であることを表す信号である。モジュール制御部25からモジュール給電中信号が入力されない場合、制御部33は、対象のモジュール制御部25に対応する電力変換モジュール9が停止中であると判断できる。
【0055】
制御部33は、上述の各種入力に基づき、電圧指令34、トランス位相35、及び周波数指令36を出力する。電圧指令34,トランス位相35、及び周波数指令36は、複数の電力変換モジュール9のそれぞれのモジュール制御部25に入力される。
【0056】
電圧指令34は、電力変換モジュール9の出力電圧の指令値である。
【0057】
トランス位相35は、電力変換装置10の出力側に設けられるトランス12の位相(具体的には、遅れ位相或いは進み位相)である。
【0058】
尚、トランス位相35は、後述の如く、複数の電力変換モジュール9の一部が停止した場合に必要な情報であるため、全てのモジュール制御部25からモジュール給電中信号70が入力されている場合、出力されなくてもよい。
【0059】
周波数指令36は、電力変換モジュール9の出力電流の周波数の指令値である。
【0060】
モジュール制御部25は、制御部33の制御下で、電力変換モジュール9の主回路を駆動制御する。電力変換モジュール9の主回路とは、入力遮断器3、入力フィルタ4,AC/DCコンバータ5、DC/ACコンバータ6、出力フィルタ7、及び出力遮断器8が配置される回路部を意味する。
【0061】
モジュール制御部25には、出力電流検出値22と、出力電圧検出値23と、分担電流指令26が入力される。
【0062】
出力電流検出値22は、電力変換モジュール9の出力電流の検出値である。出力電流検出値22は、電力変換モジュール9の出力部に設けられる電流検出装置15(例えば、カレントトランス)から入力される。
【0063】
出力電圧検出値23は、電力変換モジュール9の出力電圧の検出値である。
【0064】
分担電流指令26は、電力変換装置10の出力電流のうちの個々の電力変換モジュール9が分担すべき出力電流(分担電流)の指令値である。本例では、複数の電力変換モジュール9の出力容量が全て同じであることから、モジュール制御部25に入力される分担電流指令26は全て同じである。分担電流指令26は、分担電流検出器21から入力される。
【0065】
分担電流検出器21は、複数の電力変換モジュール9ごとに設けられる。電流検出装置11から出力され、電流検出器28を通過した電流は、略均等に分流され、それぞれの分担電流検出器21に入力される。これにより、分担電流検出器21は、分流された電流を検出することによって、分担電流指令26を出力することができる。
【0066】
また、モジュール制御部25には、上述の如く、制御部33から電圧指令34、トランス位相35、及び周波数指令36が入力される。
【0067】
モジュール制御部25は、上述の各種入力に基づき、PWM(Pulse Width Modulation)信号24を生成し、DC/ACコンバータ6に出力することにより、DC/ACコンバータ6から出力される交流(具体的には、正弦波)の電流、電圧、周波数、位相等を制御する。
【0068】
また、モジュール制御部25は、判定部68を含む。判定部68は、例えば、ハードウェアのみにより実現されてもよいし、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により実現されてもよい。
【0069】
判定部68は、電力変換モジュール9の故障の有無を判定する。電力変換モジュール9の故障とは、電力変換モジュール9を停止させるべき異常を意味する。電力変換モジュール9の故障には、主回路の故障だけでなく、モジュール制御部25の故障等の主回路以外の故障であって、電力変換モジュール9の制御に関わる構成要素の故障が含まれうる。例えば、判定部68は、制御部33からの指令と、電力変換モジュール9の実際の状態との乖離状態に基づき、電力変換モジュール9の故障の有無を判定する。また、判定部68は、既知の方法を任意に適用することによって、異なる方法で電力変換モジュール9の故障の有無を判定してもよい。
【0070】
判定部68は、電力変換モジュール9の故障なしと判定すると、制御部33にモジュール給電中信号70を出力する。一方、判定部68は、電力変換モジュール9の故障ありと判定すると、モジュール制御部25に分担電流指令26を入力する分担電流検出器21の一次側の信号線に設けられるスイッチ27をオンからオフに切り替える指令を出力する。これにより、分担電流検出器21の1次側に電流が入力されず、その結果、分担電流検出器21からモジュール制御部25に入力される分担電流指令26をゼロ(0)にすることができる。そのため、モジュール制御部25は、電力変換モジュール9の故障をトリガとする、ゼロの分担電流指令26に応じて、電力変換モジュール9を停止させることができる。
【0071】
[制御部の制御処理の具体例]
図4図5を参照して、制御部33の制御処理の具体例について説明する。
【0072】
図4は、制御部33の制御処理の一例を示す制御ブロック図である。図5は、モジュール全台数31及びモジュール給電台数32と、モジュールゲイン39及びトランスゲイン42との関係の一例を示す図である。
【0073】
図4に示すように、制御部33は、複数のモジュール制御部25からのモジュール給電中信号70について、加算処理71を行い、モジュール給電台数32を取得する。
【0074】
制御部33は、モジュール全台数31をモジュール給電台数32で除する(即ち、割る)除算処理38を行い、モジュールゲイン39を取得する(図5参照)。
【0075】
但し、モジュール給電中信号70が1つも入力されない場合、モジュール給電台数32は、ゼロ(0)となるが、ゼロ(0)で除算処理38が実行されることを避けるため、モジュール給電台数32には、下限リミッタ37が"1"に設定される。これにより、加算処理71の結果がゼロ(0)であっても、モジュール給電台数32は、"1"に補正される(図5参照)。
【0076】
制御部33は、出力電流検出値29とモジュールゲイン39との乗算処理40aの結果と、出力電圧検出値30とに基づき、有効電力演算処理48を行い、有効電力演算値54を取得する。
【0077】
制御部33は、有効電力演算値54と、周波数ドループ特性47とに基づき、電力変換モジュール9の出力電流の周波数補正量57を取得する。周波数ドループ特性47は、例えば、対象の電力変換装置10の電力変換モジュール9、及び他の電力変換装置10の電力変換モジュール9の出力電流の周波数垂下特性により構成される。
【0078】
制御部33は、出力周波数設定値53から周波数補正量57を減算する減算処理41bを行い、周波数指令36を取得し、モジュール制御部25に出力する。
【0079】
また、制御部33は、出力電流検出値29とモジュールゲイン39との乗算処理40cの結果と、出力電圧検出値30とに基づき、無効電力演算処理49を行い、無効電力演算値50を取得する。
【0080】
制御部33は、無効電力演算値50と、電圧ドループ特性46(即ち、電力変換モジュール9の出力電圧垂下特性)とに基づき、電圧補正量51を取得する。周波数ドループ特性47は、例えば、対象の電力変換装置10の電力変換モジュール9、及び他の電力変換装置10の電力変換モジュール9の出力電流の周波数垂下特性により構成される。
【0081】
また、制御部33は、モジュールゲイン39から"1"を減算する減算処理41aを行うことによって、トランスゲイン42を取得する。
【0082】
図5に示すように、トランスゲイン42は、電力変換装置10に含まれる電力変換モジュール9が全て稼働中である(即ち、モジュール全台数31とモジュール給電台数32とが同じである)場合、"0"である。一方、トランスゲイン42は、電力変換装置10に含まれる電力変換モジュール9の一部が停止している(即ち、モジュール全台数31よりモジュール給電台数32の方が少ない)場合、正の値を取る。
【0083】
図4に戻り、制御部33は、出力電流検出値29とトランスゲイン42とを乗算する乗算処理40bを行い、トランス負荷率43を取得する。
【0084】
制御部33は、トランス負荷率43と、トランス電圧特性45とに基づき、電圧補正量56を取得する。トランス電圧特性45は、対象の電力変換装置10の出力側に配置されるトランス12の出力電圧(即ち、2次側の電圧)とトランス負荷率43との関係を表す(後述の図9図10参照)。トランス電圧特性45は、例えば、トランス12の成績書の定格電流、相電圧、負荷損、短絡%インピーダンス等の情報から算定することができる。トランス電圧特性45は、例えば、データテーブルとして与えられる。また、トランス電圧特性45は、トランス負荷率を変数とする演算式として与えられてもよい。
【0085】
制御部33は、出力電圧設定値52から電圧補正量51及び電圧補正量56を減算する減算処理55を行い、電圧指令34を取得し、モジュール制御部25に出力する。
【0086】
また、制御部33は、トランス負荷率43と、トランス位相特性44とに基づき、トランス位相35を取得し、トランス位相35をモジュール制御部25に出力する。トランス位相特性44は、対象の電力変換装置10の出力側に配置されるトランス12の出力電流の周波数とトランス負荷率43との関係を表す(後述の図9参照)。
【0087】
[モジュール制御部の制御処理の具体例]
図6を参照して、モジュール制御部25の制御処理の具体例について説明する。
【0088】
図6は、モジュール制御部25の制御処理の一例を示す制御ブロック図である。
【0089】
図6に示すように、モジュール制御部25は、分担電流指令26とコンデンサ電流指令73との加算処理71を行い、その結果から出力電流検出値22を減算する減算処理41dを行い、横流58を取得する。コンデンサ電流指令73は、出力フィルタ7のコンデンサ72に流れる電流の指令値である。コンデンサ電流指令73は、例えば、コンデンサ72に流すべき電流値として予め規定されている。
【0090】
モジュール制御部25は、横流58と、後述の正弦波形65とに基づき、横流演算処理60を行い、横流58をゼロに近づけるための出力電圧及び出力周波数のそれぞれの補正量(電圧補正量61及び位相補正量62)を取得する。
【0091】
また、モジュール制御部25は、トランス位相35(θ)と、周波数指令36(ωt)と、位相補正量62(Δθs)とに基づき、正弦波生成処理64を行い、正弦波形65を取得する。正弦波形65は、sin(ωt+Δθs-θ)で表される。
【0092】
また、モジュール制御部25は、電圧指令34から出力電圧検出値23を減算する減算処理41cを行うと共に、減算処理41cにより得られる偏差から更に電圧補正量61を減算する減算処理41eを行う。
【0093】
モジュール制御部25は、減算処理41eにより得られる偏差に基づき、電圧調節器59を用いて、電圧振幅指令値63を取得する。電圧調節器59は、例えば、PI(Proportional Integral)補償器である。
【0094】
モジュール制御部25は、正弦波形65に電圧振幅指令値63を乗算する乗算処理40dを行い、出力制御波形66を取得する。
【0095】
モジュール制御部25は、出力制御波形66に基づき、PWM制御処理67を行い、PWM信号24を生成し、DC/ACコンバータ6に出力する。
【0096】
[電源システムの正常時の動作状態]
図7を参照して、電源システムSYSの正常時の動作状態について説明する。具体的には、複数の電力変換装置10のそれぞれに含まれる複数の電力変換モジュール9が全て正常に動作している場合の電源システムSYSの動作状態について説明する。
【0097】
図7は、電源システムSYSの正常時の動作状態の一例を示す図である。図7は、図7A,7Bを含む。
【0098】
尚、図7Bでは、2つの電力変換装置10について、図7Aの上側の電力変換装置10を「電力変換装置(1)」と称し、図7Aの下側の電力変換装置10を「電力変換装置(2)」と称する。
【0099】
以下、本例では、電力変換モジュール9の定格出力を基準とする負荷率を用いて説明を行う。
【0100】
図7Aに示すように、2つの電力変換装置10のそれぞれに含まれる2つの電力変換モジュール9が正常に稼働しているため、2つの電力変換装置10のそれぞれのモジュールゲインは、共に、"1"である。そのため、図7Bに示すように、2つの電力変換装置10の周波数ドループ特性47及び電圧ドループ特性46は、同じである。その結果、全て(4台)の電力変換モジュール9が同じ負荷率で稼働することにより、2つの電力変換装置10は、互いに、同一の出力電圧及び出力周波数の交流を出力する。
【0101】
また、図7Aに示すように、2つの電力変換装置10は、互いに、同じ位相の交流を出力する。
【0102】
本例では、複数(2台)の電力変換装置10に含まれる電力変換モジュール9が同じ負荷率(60%)で稼働している。
【0103】
負荷14には、電力変換モジュール9の4台分の電力が供給されることから、電源システムSYSは、最大負荷率400(=100×4)%に対して、負荷率240(=60×4)%で運転されている。
【0104】
また、2つの電力変換装置10のそれぞれに含まれる電力変換モジュール9が正常に稼働中であることから、それぞれの出力側に配置されるトランス12の負荷率も同じ負荷率60%となる。そのため、2つのトランス12での遅れ位相及び電圧変動(電圧降下)は同じとなり、その結果、2つのトランス12から出力される交流は、出力電圧及び位相が一致するように同期される。よって、電源システムSYSは、2つの電力変換装置10の安定した並列運転を実現することができる。
【0105】
[電源システムの異常時の動作状態]
図8図13を参照して、電源システムSYSの異常時の動作状態について説明する。具体的には、複数の電力変換装置10のそれぞれに含まれる複数の電力変換モジュール9の一部が故障停止している場合の電源システムの動作状態について説明する。
【0106】
図8は、電源システムSYSの異常時の動作状態を示す図である。図8は、図8A,8Bを含む。図9は、トランス12の特性の一例を示す図である。図9は、トランス12の位相特性を表す図9Aと、トランス12の電圧特性を表す図9Bとを含む。図10は、トランス12の電圧特性の補正方法の一例を示す図である。図11は、トランス12から出力される交流の位相同期制御の一例を説明する図である。図12は、比較例に係る電源システムの動作の一例を示す図である。図13は、実施形態に係る電源システムSYSの動作の一例を示す図である。
【0107】
尚、図8Bでは、2つの電力変換装置10について、図8Aの上側の電力変換装置10を「電力変換装置(1)」と称し、図8Aの下側の電力変換装置10を「電力変換装置(2)」と称する。また、以下の説明では、図8Aの上側の電力変換装置10及び下側の電力変換装置10のそれぞれを、単に、「上側の電力変換装置10」及び「下側の電力変換装置10」と称する場合がある。
【0108】
以下、本例では、電力変換モジュール9の定格出力を基準とする負荷率を用いて説明を行う。
【0109】
図8Aに示すように、本例では、上側の電力変換装置10は、2台の電力変換モジュール9が正常に稼働している一方、下側の電力変換装置10は、2台の電力変換モジュール9のうち1台のみが稼働し残りの1台は故障停止している。そのため、上側の電力変換装置10におけるモジュールゲイン39は、"1"である一方、下側の電力変換装置10におけるモジュールゲイン39は、"2"である。そのため、図8Bに示すように、上側の電力変換装置10の周波数ドループ特性47及び電圧ドループ特性46は、図7Bと同じである一方、下側の電力変換装置10の周波数ドループ特性47及び電圧ドループ特性46は、図7Bの状態から、出力電力(有効電力或いは無効電力)の増加に対する周波数或いは出力電圧の垂下の程度が大きくなる方向に変更される。その結果、上側の電力変換装置10の負荷率が増加する一方、下側の電力変換装置10の負荷率が減少するように動作点(周波数或いは電圧)が決定される。
【0110】
図8Aに示すように、本例では、上側の電力変換装置10の2台の電力変換モジュール9、及び下側の電力変換装置10の稼働中の1台の電力変換モジュール9は、それぞれ、同じ80%で稼働している。但し、2台の電力変換装置10を比較した場合、上側の電力変換装置10の負荷率は、160(=80×2)%であり、図7の場合より負荷率が40%増加している一方、下側の電力変換装置10の負荷率は、80%であり、図7の場合より負荷率が40%減少している。その結果、負荷14には、図7の場合と同様の負荷率240%に対応する交流が給電されている。
【0111】
図8Aに示すように、2台の電力変換装置10の負荷率が異なることから、2台の電力変換装置10のそれぞれの出力側に配置されるトランス12の負荷率も互いに異なる。本例では、上側の電力変換装置10に対応するトランス12は負荷率80%である一方、下側の電力変換装置10に対応するトランス12は負荷率40%である。そのため、2台のトランス12での遅れ位相及び電圧降下に差が生じる。よって、仮に、2台の電力変換装置10から出力される交流の出力電圧及び位相が同じである場合、2台のトランス12から出力される交流の電圧及び位相が一致しないことになり、安定点に整定するまでの過渡応答時に下側の電力変換装置10が過負荷になる可能性がある。
【0112】
これに対して、本例では、図8Aの下側の電力変換装置10から出力される交流には、上述の如く、トランス位相35に相当する遅れ位相(θ)、及び電圧補正量56(Vt)が予め補償される(図5図6参照)。これにより、図8Aに示すように、下側の電力変換装置10から出力される交流がトランス12と同様の特性を有する仮想的なトランス(以下、「仮想トランス」)12vを更に通過させるのと同様の効果をもたらすことができる。そのため、2台のトランス12から出力される交流の電圧及び位相の差異を低減し、下側の電力変換装置10の過負荷を抑制することができる。
【0113】
例えば、図9A,9Bに示すように、4台の電力変換モジュール9が正常に稼働している場合(図7参照)、2台のトランス12は、同じ負荷率(本例では、60%)であり、遅れ位相及び出力電圧も同じである(動作点901,911参照)。
【0114】
一方、図8Aの下側の電力変換装置10の1台の電力変換モジュール9が停止すると、下側の電力変換装置10に対応するトランス12の負荷率が40%に低下する一方、図8Aの上側の電力変換装置10に対応するトランス12の負荷率が80%に増加する。そのため、図9Aに示すように、下側の電力変換装置10に対応するトランス12の遅れ位相は低減される(動作点902参照)一方、上側の電力変換装置10に対応するトランス12の遅れ位相は増加する(動作点903参照)。同様に、図9Bに示すように、下側の電力変換装置10に対応するトランス12の電圧降下は減少する(動作点912参照)一方、上側の電力変換装置10に対応するトランス12の電圧降下は増加する(動作点913参照)。
【0115】
この場合、制御部33は、図9Aのトランス位相特性44を用いて、動作点902に対応するトランス位相35(本例では、1.28)を取得することができる。同様に、制御部33は、図9Bのトランス電圧特性45を用いて、動作点912に対応する電圧補正量56を取得することができる。そのため、制御部33は、下側の電力変換装置10から出力される交流について、トランス12と同様の特性を有する仮想トランス12vに対応する遅れ位相及び電圧降下を補償することができる。
【0116】
本例では、下側の電力変換装置10に対応するトランス12から出力される交流には、トランス12での遅れ位相(1.28度)に加えて、仮想トランス12vに対応する遅れ位相(1.28度)が加算される。そのため、下側の電力変換装置10に対応するトランス12から出力される交流の遅れ位相(1.28度+1.28度=2.56度)と、上側の電力変換装置10に対応するトランス12から出力される交流の遅れ位相(2.55度)とは略同じである。
【0117】
また、下側の電力変換装置10に対応するトランス12から出力される交流には、トランス12での電圧降下(0.26%)に加えて、仮想トランス12vに対応する電圧降下(0.26%)が加算される。そのため、下側の電力変換装置10に対応するトランス12から出力される交流の実質的な電圧降下量(0.26%+0.26%=0.52%)と、上側の電力変換装置10に対応するトランス12から出力される交流の電圧降下量(0.58%)との差はある程度低減される。
【0118】
図9Bに示すように、実際のトランス12の電圧特性は、線形ではなく、上に凸の曲線状である。そのため、下側の電力変換装置10に対応するトランス12から出力される交流の実質的な電圧降下量(0.52%)と、上側の電力変換装置10に対応するトランス12から出力される交流の電圧降下量(0.58%)との間に差が残ってしまう(0.06%)。
【0119】
そこで、図10に示すように、電圧補正量56を取得するために使用するトランス電圧特性45は、実際のトランス12の電圧特性を線形近似することによって得られてもよい(図中の破線参照)。これにより、実際のトランス12の電圧特性を使用する場合に比して、電圧補正量56を増加させることができる(動作点1001参照)。本例では、仮想トランス12vでの電圧降下を0.26%から0.30%に増加させ、その結果、下側の電力変換装置10に対応するトランス12から出力される交流の実質的な電圧降下量を0.52%から0.56%まで増加させることができる。よって、下側の電力変換装置10の過負荷を更に抑制することができる。
【0120】
図11は、上側の電力変換装置10に対応するトランス12の位相特性1101と、下側の電力変換装置10に対応するトランス12の位相特性1102と、仮想トランス12vの位相特性1103とを表している。
【0121】
図11に示すように、上側の電力変換装置10に対応するトランス12の位相特性1101と、下側の電力変換装置10に対応するトランス12の位相特性1102との間には大きな乖離がある。
【0122】
これに対して、仮想トランス12vの位相特性1103を、下側の電力変換装置10に対応するトランス12の位相特性1102に合成することによって、上側の電力変換装置10に対応するトランス12の位相特性1101と同等の位相特性を成立させることができる。
【0123】
例えば、図12に示すように、仮想トランス12vに対応する遅れ位相及び電圧降下を補償しない比較例では、下側の電力変換装置10の1台の電力変換モジュール9が稼働する状態から故障停止に移行する際に、過渡応答が発生し、その結果、下側の電力変換装置10の稼働中の電力変換モジュール9が過負荷になっている。
【0124】
これに対して、図13に示すように、仮想トランス12vに対応する遅れ位相及び電圧降下を補償することによって、下側の電力変換装置10の1台の電力変換モジュール9が稼働する状態から故障停止に移行する際の過渡応答を抑制することができる。その結果、下側の電力変換装置10の稼働中の電力変換モジュール9の過負荷を抑制することができる。
【0125】
[作用]
本実施形態に係る電源システム、制御装置、及び制御方法の作用について説明する。
【0126】
本実施形態の第1の態様では、複数の電力変換装置と、トランスと、を備え、前記複数の電力変換装置は、それぞれ、複数の電力変換部を含む、電源システムが提供される。前記複数の電力変換装置は、例えば、上述の複数の電力変換装置10である。前記トランスは、例えば、上述のトランス12である。前記複数の電力変換部は、例えば、上述の複数の電力変換モジュール9である。具体的には、前記複数の電力変換装置は、それぞれが電源から供給される電力を用いて交流を出力し、出力側で並列接続される。前記電源は、例えば、上述の電源1である。また、前記トランスは、前記複数の電力変換装置ごとに設けられ、対象の電力変換装置の出力側に電気的に接続される。また、前記複数の電力変換部は、対象の電力変換装置の入力部及び出力部に対して並列接続され、対象の電力変換装置に入力される電力を用いて交流を出力する。そして、前記複数の電力変換装置は、それぞれ、前記複数の電力変換部の容量に応じた出力電流のバランス制御を行うと共に、ドループ制御によって、前記複数の電力変換装置の容量に応じた出力電流のバランス制御を行い、前記複数の電力変換部の一部が停止した場合、対象の電力変換装置の出力側の前記トランスから出力される交流と、他の電力変換装置の出力側の前記トランスから出力される交流との位相が同期し、電圧レベルが同じになるように、前記複数の電力変換装置の容量に応じた出力電流のバランス制御を継続する。
【0127】
これにより、電源システムは、電力変換装置に含まれる複数の電力変換部の一部が停止しても、正常な残りの電力変換部によって電力の出力を継続することができる。具体的には、電源システムは、一部の電力変換部が停止した電力変換装置に対応するトランスから出力される交流と、他の電力変換装置に対応するトランスから出力される交流とを同期させ、過渡応答を抑制することができる。そのため、電源システムは、過渡応答によって、一部の電力変換部が停止した電力変換装置が過負荷になるような事態を抑制し、一部の電力変換部が停止した場合でも安定した並列運転を継続することができる。
【0128】
また、本実施形態の第2の態様では、上述の第1の態様を前提として、前記複数の電力変換装置は、それぞれ、前記複数の電力変換部の一部が停止した場合、対象の電力変換装置の出力側の前記トランスから出力される交流と、他の電力変換装置の出力側の前記トランスから出力される交流との位相が同期し、電圧レベルが同じになるように、前記複数の電力変換部のうちの稼働中の電力変換部の出力電圧及び位相を調整すると共に、前記複数の電力変換装置の容量に応じた出力電流のバランス制御を継続してもよい。
【0129】
これにより、電源システムは、一部の電力変換部が停止した電力変換装置に対応するトランスから出力される交流と、他の電力変換装置に対応するトランスから出力される交流とを同期させ、過渡応答を抑制することができる。
【0130】
また、本実施形態の第3の態様では、上述の第2の態様を前提として、前記複数の電力変換装置は、それぞれ、前記複数の電力変換部の出力電流のバランス制御を行うと共に、前記複数の電力変換部の周波数垂下特性及び電圧垂下特性に基づく前記ドループ制御によって、前記複数の電力変換装置の容量に応じた出力電流のバランス制御を行い、前記複数の電力変換部の一部が停止した場合、前記複数の電力変換部の全台数、及び前記稼働中の電力変換部の台数と、対象の電力変換装置の出力電流の検出値とに基づき、対象の電力変換装置の出力側の前記トランスの位相及び電圧変動を取得し、取得した前記トランスの位相及び電圧変動に基づき、前記稼働中の電力変換部の出力電圧及び位相を変更すると共に、前記稼働中の電力変換部の前記周波数垂下特性及び前記電圧垂下特性を変更し、前記ドループ制御によって、前記複数の電力変換装置の容量に応じた出力電流のバランス制御を行ってもよい。
【0131】
これにより、電源システムは、一部の電力変換部が停止した電力変換装置に対応するトランスから出力される交流と、他の電力変換装置に対応するトランスから出力される交流とを同期させつつ、複数の電力変換装置の出力電流のバランス制御を継続することができる。
【0132】
また、本実施形態の第4の態様では、上述の第3の態様を前提として、前記複数の電力変換装置は、それぞれ、前記複数の電力変換部の一部が停止した場合、前記複数の電力変換部の全台数、及び前記稼働中の電力変換部の台数と、対象の電力変換装置の出力電流の検出値とに基づき、対象の電力変換装置の出力側の前記トランスの位相及び電圧変動を取得し、取得した前記トランスの位相及び電圧変動に基づき、前記トランスの位相特性及び電圧特性を用いて、前記稼働中の電力変換部の出力電圧及び位相を変更してもよい。そして、前記トランスの前記電圧特性は、前記トランスの実際の電圧特性を線形近似することにより得られてもよい。
【0133】
これにより、電源システムは、一部の電力変換部が停止した電力変換装置に対応するトランスから出力される交流と、他の電力変換装置に対応するトランスから出力される交流とをより適切に同期させ、過渡応答をより適切に抑制することができる。
【0134】
また、本実施形態の第5の態様では、それぞれが電源から供給される電力を用いて交流を出力し、出力側で並列接続される複数の電力変換装置と、前記複数の電力変換装置ごとに設けられ、対象の電力変換装置の出力側に電気的に接続されるトランスと、を備え、前記複数の電力変換装置は、それぞれ、対象の電力変換装置の入力部及び出力部に対して並列接続され、対象の電力変換装置に入力される電力を用いて交流を出力する複数の電力変換部を含む、電源システムについて、一の前記電力変換装置を制御する制御装置が提供される。前記制御装置は、例えば、上述の制御部33である。具体的には、前記制御装置は、前記複数の電力変換部の容量に応じた出力電流のバランス制御を行うと共に、ドループ制御によって、前記複数の電力変換装置の容量に応じた出力電流のバランス制御を行い、前記複数の電力変換部の一部が停止した場合、対象の前記電力変換装置の出力側の前記トランスから出力される交流と、他の電力変換装置の出力側の前記トランスから出力される交流との位相が同期し、電圧レベルが同じになるように、前記複数の電力変換装置の容量に応じた出力電流のバランス制御を継続する。
【0135】
これにより、制御装置は、電力変換装置に含まれる複数の電力変換部の一部が停止しても、正常な残りの電力変換部によって電力の出力を継続することができる。具体的には、制御装置は、一部の電力変換部が停止した電力変換装置に対応するトランスから出力される交流と、他の電力変換装置に対応するトランスから出力される交流とを同期させ、過渡応答を抑制することができる。そのため、制御装置は、過渡応答によって、一部の電力変換部が停止した電力変換装置が過負荷になるような事態を抑制し、一部の電力変換部が停止した場合でも安定した並列運転を継続することができる。
【0136】
また、前記制御装置についても、上述の第5の態様を前提として、前記電源システムについての第2~第4の態様と同様の態様が実現され得る。
【0137】
これにより、上述の第2~第4の態様と同様の効果を奏する。
【0138】
また、本実施形態の第6の態様では、それぞれが電源から供給される電力を用いて交流を出力し、出力側で並列接続される複数の電力変換装置と、前記複数の電力変換装置ごとに設けられ、対象の電力変換装置の出力側に電気的に接続されるトランスと、を備え、前記複数の電力変換装置は、それぞれ、対象の電力変換装置の入力部及び出力部に対して並列接続され、対象の電力変換装置に入力される電力を用いて交流を出力する複数の電力変換部を含む、電源システムについて、一の前記電力変換装置を制御する制御方法が提供される。具体的には、前記制御方法では、前記複数の電力変換部の容量に応じた出力電流のバランス制御を行うと共に、ドループ制御によって、前記複数の電力変換装置の容量に応じた出力電流のバランス制御を行い、前記複数の電力変換部の一部が停止した場合、対象の前記電力変換装置の出力側の前記トランスから出力される交流と、他の電力変換装置の出力側の前記トランスから出力される交流との位相が同期し、電圧レベルが同じになるように、前記複数の電力変換装置の容量に応じた出力電流のバランス制御を継続する。
【0139】
これにより、電力変換装置に含まれる複数の電力変換部の一部が停止しても、本制御方法によって、正常な残りの電力変換部によって電力の出力を継続することができる。具体的には、本制御方法によれば、一部の電力変換部が停止した電力変換装置に対応するトランスから出力される交流と、他の電力変換装置に対応するトランスから出力される交流とを同期させ、過渡応答を抑制することができる。そのため、本制御方法によれば、過渡応答によって、一部の電力変換部が停止した電力変換装置が過負荷になるような事態を抑制し、一部の電力変換部が停止した場合でも安定した並列運転を継続することができる。
【0140】
また、前記制御方法についても、上述の第6の態様を前提として、前記電源システムについての第2~第4の態様と同様の態様が実現され得る。
【0141】
これにより、上述の第2~第4の態様と同様の効果を奏する。
【0142】
以上、実施形態について詳述したが、本開示はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0143】
1 電源
2 トランス
3 入力遮断器
4 入力フィルタ
5 AC/DCコンバータ
6 DC/ACコンバータ
7 出力フィルタ
8 出力遮断器
9 電力変換モジュール
10 電力変換装置
11 電流検出装置
12 トランス
12v 仮想トランス
13 給電遮断器
14 負荷
15 電流検出装置
21 分担電流検出器
22 出力電流検出値
23 出力電圧検出値
24 PWM信号
25 モジュール制御部
26 分担電流指令
27 スイッチ
28 電流検出器
29 出力電流検出値
30 出力電圧検出値
31 モジュール全台数
32 モジュール給電台数
33 制御部
34 電圧指令
35 トランス位相
36 周波数指令
37 下限リミッタ
38 除算処理
39 モジュールゲイン
40a 乗算処理
40b 乗算処理
40c 乗算処理
40d 乗算処理
41a 減算処理
41b 減算処理
41c 減算処理
41d 減算処理
41e 減算処理
42 トランスゲイン
43 トランス負荷率
44 トランス位相特性
45 トランス電圧特性
46 電圧ドループ特性
47 周波数ドループ特性
48 有効電力演算処理
49 無効電力演算処理
50 無効電力演算値
51 電圧補正量
52 出力電圧設定値
53 出力周波数設定値
54 有効電力演算値
55 減算処理
56 電圧補正量
57 周波数補正量
58 横流
59 電圧調節器
60 横流演算処理
61 電圧補正量
62 位相補正量
63 電圧振幅指令値
64 正弦波生成処理
65 正弦波形
66 出力制御波形
67 PWM制御処理
68 判定部
70 モジュール給電中信号
71 加算処理
72 コンデンサ
73 コンデンサ電流指令
SYS 電源システム
【要約】
【課題】複数の電力変換装置を並列接続しそれぞれがトランスを介して電力を出力する電源システムについて、電力変換装置に含まれる複数の電力変換部の一部が停止しても、正常な残りの電力変換部によって電力の出力を継続することが可能な技術を提供する。
【解決手段】本開示の一実施形態に係る電源システムSYSは、出力側で並列接続される複数の電力変換装置10と、複数の電力変換装置10のそれぞれの出力側に電気的に接続されるトランス12と、を備え、複数の電力変換装置10は、それぞれ、並列接続される複数の電力変換モジュール9を含み、複数の電力変換モジュール9の一部が停止した場合、対象の電力変換装置10の出力側のトランス12、及び他の電力変換装置10の出力側のトランス12のそれぞれから出力される交流の位相が同期し、電圧レベルが同じになるように、複数の電力変換装置10の容量に応じた出力電流のバランス制御を継続する。
【選択図】図1
図1
図2
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図11
図12
図13