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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-14
(45)【発行日】2025-04-22
(54)【発明の名称】不凝縮ガス還元システム
(51)【国際特許分類】
   F03G 4/00 20060101AFI20250415BHJP
【FI】
F03G4/00 541
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2025018146
(22)【出願日】2025-02-06
【審査請求日】2025-02-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(72)【発明者】
【氏名】岡野 ひろ乃
(72)【発明者】
【氏名】宇井 慎弥
【審査官】津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-177507(JP,A)
【文献】特開2016-98805(JP,A)
【文献】特開2018-17188(JP,A)
【文献】特開平4-321775(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03G 4/00
F24T 50/00
F01K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産井から湧き出る地熱流体を第1気体と第1液体とに分離する気液分離器と、前記第1気体により回転するタービンと、前記タービンを回転させた前記第1気体を冷却し、前記第1気体に含まれる蒸気を第2液体に凝縮する復水器と、を備える地熱発電所に用いられる不凝縮ガス還元システムであって、
還元井に送られる第3液体を加圧するポンプと、
前記第3液体により駆動され、前記第1気体に含まれ、前記復水器において凝縮されずに残る不凝縮ガスを誘引し、前記第3液体と前記不凝縮ガスとが混合した第4液体を吐出するエゼクタと、
を備え、
前記第1液体と前記第4液体とが混合され前記還元井に送られる、
不凝縮ガス還元システム。
【請求項2】
前記第3液体は、前記復水器に送られる冷却液の一部である、
請求項1に記載の不凝縮ガス還元システム。
【請求項3】
前記第3液体は、前記第1液体の一部である、
請求項1に記載の不凝縮ガス還元システム。
【請求項4】
前記地熱発電所は、前記第1液体を貯蔵する還元ピットを更に備え、
前記第3液体は、前記還元ピットに貯蔵された前記第1液体の一部である、
請求項1に記載の不凝縮ガス還元システム。
【請求項5】
前記第3液体は、前記第2液体を含む、
請求項1に記載の不凝縮ガス還元システム。
【請求項6】
前記第3液体は、前記第2液体を含む前記復水器に送られる冷却液の一部である、
請求項1に記載の不凝縮ガス還元システム。
【請求項7】
前記エゼクタは、地上に設置される、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の不凝縮ガス還元システム。
【請求項8】
前記エゼクタの下流に接続されるタンクと、
前記タンクに貯蔵される液体のレベルを計測するレベル計と、
制御装置と、を更に備え、
前記制御装置は、前記レベル計により計測したレベルに応じて、前記不凝縮ガスの前記第4液体における溶解判定を実行する、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の不凝縮ガス還元システム。
【請求項9】
前記制御装置は、前記不凝縮ガスが前記第4液体において溶解していないと判断した場合、前記エゼクタから前記タンクに溜まった前記不凝縮ガスを排出するように制御する、
請求項8に記載の不凝縮ガス還元システム。
【請求項10】
前記制御装置は、前記不凝縮ガスが前記第4液体において溶解していないと判断した場合、前記エゼクタと異なる別のエゼクタから前記タンクに溜まった前記不凝縮ガスを前記還元井に排出するように制御する、
請求項8に記載の不凝縮ガス還元システム。
【請求項11】
前記制御装置は、前記不凝縮ガスが前記第4液体において溶解していないと判断した場合、前記タンクに薬剤を注入するように制御する、
請求項8に記載の不凝縮ガス還元システム。
【請求項12】
前記第1液体の圧力を計測する第1圧力計と、
前記第3液体の圧力を計測する第2圧力計と、
前記復水器と前記エゼクタとの間の流路に設けられるバルブと、
制御装置と、を更に備え、
前記制御装置は、前記第1圧力計により測定した前記第1液体の圧力が、前記第2圧力計により測定した前記第3液体の圧力より高い場合、前記バルブを遮断する、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の不凝縮ガス還元システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、不凝縮ガス還元システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、蒸気タービンの下流側に設けた復水器にて発生する非凝縮性ガスを、熱水還元用還元井内に注入することにより、該還元熱水と共に地下還元する、地熱発電設備において発生する非凝縮性ガスの処分方法が開示されている。
【0003】
特許文献2には、還元水を還元井に搬送する還元水流路と、復水器からガスを抽出するガス抽出装置と、復水器から抽出されたガスを還元水流路に供給し、還元水に混入させるガス流路と、を備える地熱発電プラントが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-177507号公報
【文献】特開2018-017188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
地熱発電において二酸化炭素又は硫化水素等の不凝縮ガスが含まれると、タービン直下の復水器又は蒸発器の上部にガスが溜まり、真空度の低下及び熱交換効率の低下を引き起こす。真空度の低下及び熱交換効率の低下を防ぐために、不凝縮ガスを抽出機などで除去する。抽出した不凝縮ガスは、例えば、復水器又は蒸発器から冷却塔へ送られ空気と混ぜて大気放出されている。
【0006】
本開示は、メンテナンス性の高い地熱流体に含まれる不凝縮ガスを還元井に戻す不凝縮ガス還元システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、生産井から湧き出る地熱流体を第1気体と第1液体とに分離する気液分離器と、前記第1気体により回転するタービンと、前記タービンを回転させた前記第1気体を冷却し、前記第1気体に含まれる蒸気を第2液体に凝縮する復水器と、を備える地熱発電所に用いられる不凝縮ガス還元システムであって、還元井に送られる第3液体を加圧するポンプと、前記第3液体により駆動され、前記第1気体に含まれ、前記復水器において凝縮されずに残る不凝縮ガスを誘引し、前記第3液体と前記不凝縮ガスとが混合した第4液体を吐出するエゼクタと、を備え、前記第1液体と前記第4液体とが混合され前記還元井に送られる不凝縮ガス還元システムを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本開示は、メンテナンス性の高い地熱流体に含まれる不凝縮ガスを還元井に戻す不凝縮ガス還元システムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態に係る不凝縮ガス還元システムを備える地熱発電所の構成の概略を示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る不凝縮ガス還元システムが備えるエゼクタの構成の概略を示す図である。
図3図3は、第2実施形態に係る不凝縮ガス還元システムを備える地熱発電所の構成の概略を示す図である。
図4図4は、第3実施形態に係る不凝縮ガス還元システムを備える地熱発電所の構成の概略を示す図である。
図5図5は、本開示の実施形態に係る不凝縮ガス還元システムにおける不凝縮ガスの溶解判定について説明する図である。
図6図6は、本開示の実施形態に係る不凝縮ガス還元システムにおける不凝縮ガスの溶解判定について説明する図である。
図7図7は、本開示の実施形態に係る不凝縮ガス還元システムにおいて不凝縮ガスが溶解していない場合の処理の第1例について説明する図である。
図8図8は、本開示の実施形態に係る不凝縮ガス還元システムにおいて不凝縮ガスが溶解していない場合の処理の第2例について説明する図である。
図9図9は、本開示の実施形態に係る不凝縮ガス還元システムにおいて不凝縮ガスが溶解していない場合の処理の第3例について説明する図である。
図10図10は、第4実施形態に係る不凝縮ガス還元システムを備える地熱発電所の構成の概略を示す図である。
図11図11は、第5実施形態に係る不凝縮ガス還元システムを備える地熱発電所の構成の概略を示す図である。
図12図12は、第6実施形態に係る不凝縮ガス還元システムを備える地熱発電所の構成の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0011】
なお、各実施形態に係る明細書及び図面の記載に関して、実質的に同一の又は対応する機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する場合がある。また、理解を容易にするために、図面における各部の縮尺は、実際とは異なる場合がある。
【0012】
≪第1実施形態≫
第1実施形態に係る不凝縮ガス還元システムについて説明する。第1実施形態に係る不凝縮ガス還元システムは、地熱発電所に用いられる。第1実施形態に係る不凝縮ガス還元システムが用いられる地熱発電所は、生産井から湧き出る地熱流体を第1気体と第1液体とに分離する気液分離器と、第1気体により回転するタービンと、を備える。また、第1実施形態に係る不凝縮ガス還元システムが用いられる地熱発電所は、タービンを回転させた第1気体を冷却し、第1気体に含まれる蒸気を第2液体に凝縮する復水器を備える。第1実施形態に係る不凝縮ガス還元システムは、還元井に送られる第3液体を加圧するポンプと、エゼクタと、を備える。第1実施形態に係る不凝縮ガス還元システムにおけるエゼクタは、第3液体により駆動され、第1気体に含まれ、復水器において凝縮されずに残る不凝縮ガスを誘引し、第3液体と不凝縮ガスとが混合した第4液体を吐出する。そして、第1実施形態に係る不凝縮ガス還元システムにおいて、第1液体と第4液体とが混合され還元井に送られる。また、第1実施形態に係る不凝縮ガス還元システムにおいて、第3液体は、復水器に送られる冷却液の一部である。
【0013】
次に、図面を参照しながら、第1実施形態に係る不凝縮ガス還元システムについて、詳細を説明する。図1は、第1実施形態に係る不凝縮ガス還元システムの一例である不凝縮ガス還元システム50を備える地熱発電所1の構成の概略を示す図である。
【0014】
地熱発電所1は、気液分離器10と、発電部20と、復水器30と、冷却部40と、不凝縮ガス還元システム50と、制御部60と、を備える。地熱発電所1は、いわゆるフラッシュ式地熱発電方式の地熱発電所である。また、地熱発電所1は、バルブ81及びバルブ82と、ポンプ91と、を備える。
【0015】
[気液分離器10]
気液分離器10は、生産井PWLから噴出する地熱流体GFを、蒸気STと、熱水HWと、に分離する。生産井PWLから噴出する地熱流体GFは、バルブ81により、通流又は遮断される。気液分離器10から排出される蒸気STは、発電部20に送られる。気液分離器10から排出される熱水HWは、還元井RWLに排出される。後述する圧力計71は、熱水HWの圧力を計測する。
【0016】
ここで、蒸気STは、純粋な水蒸気ではなく、生産井PWLから排出されるガス、例えば、二酸化炭素、硫化水素等が含まれる。
【0017】
[発電部20]
発電部20は、蒸気STを用いて発電する。発電部20は、タービン21と、発電機22と、を備える。タービン21は、蒸気STにより回転される。より具体的には、タービン21は、蒸気STによる圧力と、復水器30において、蒸気STに含まれる水蒸気が凝縮することにより低下した圧力との圧力差によって回転する。発電機22は、タービン21に接続される。タービン21が回転すると、発電機22の回転軸が回転して発電する。発電機22が発電した電力は、外部に供給される。
【0018】
[復水器30]
復水器30は、冷却部40から供給される冷却液CW、より詳しくは冷却液CW1により、タービン21から排出された蒸気STを冷却する。復水器30は、いわゆる、表面接触式復水器である。復水器30は、冷却液CW1と蒸気STとの間で熱交換を行う。冷却液CW1と蒸気STとの間で熱交換を行うことにより、蒸気STは冷却される。蒸気STは、復水器30において冷却されることにより、凝縮して水(第2液体)となる。表面接触式復水器である復水器30において、例えば、冷却液CW1は熱交換器における配管の内部を流れることにより、冷却液CW1は蒸気STと直接接触しない。
【0019】
蒸気STに含まれる二酸化炭素や硫化水素等の不凝縮ガスNCGは、復水器30の上部に溜まる。不凝縮ガスNCGが溜まると、復水器30における圧力が上昇する。復水器30における圧力が上昇すると、タービン21の回転させるための駆動力が低下する。タービン21を回転させるための駆動力が低下すると、発電部20における発電効率が低下する。したがって、復水器30において溜まった不凝縮ガスNCGは、復水器30から排出させることが望ましい。
【0020】
地熱発電所1において、復水器30に溜まる不凝縮ガスNCGは、不凝縮ガス還元システム50により誘引されて、還元井RWLに排出される。
【0021】
[冷却部40]
冷却部40は、復水器30において蒸気STを冷却するために、冷却液CWを供給する。冷却部40は、例えば、冷却塔である。冷却部40において冷やされた冷却液CW1は、ポンプ91により、復水器30に送られる。復水器30において、蒸気STと熱交換して温度が上昇した冷却液CW2は、冷却部40に戻って冷却される。
【0022】
[不凝縮ガス還元システム50]
不凝縮ガス還元システム50は、復水器30から不凝縮ガスNCGを誘引して排出する。不凝縮ガス還元システム50は、エゼクタ54と、制御装置58と、圧力計71、圧力計72及び圧力計73と、バルブ83と、ポンプ92と、を備える。エゼクタ54は、冷却液CW、より詳しくは冷却液CW1の一部である冷却液CWaにより駆動される。冷却液CWaは、ポンプ92により圧送される。エゼクタ54は、不凝縮ガスNCGと冷却液CWaを混合した混合液MWを吐出する。
【0023】
エゼクタ54から吐出された混合液MWは、熱水HWと混合されて還元井RWLに送られる。還元井RWLに送られる混合液MW及び熱水HWは、バルブ82により、通流又は遮断される。
【0024】
エゼクタ54の構造について説明する。図2は、第1実施形態に係る不凝縮ガス還元システムの一例である不凝縮ガス還元システム50が備えるエゼクタ54の構成の概略を示す図である。
【0025】
エゼクタ54は、誘引部51と、駆動ノズル52と、拡管部53と、を備える。誘引部51は、誘引ポート51aを有する。誘引ポート51aから不凝縮ガスNCGが吸引される。また、誘引部51に、駆動ノズル52が挿入される。駆動ノズル52の駆動ポート52aに、ポンプ92により加圧された冷却液CWaが供給される。駆動ノズル52の先端から、高速の冷却液CWaが排出されることにより、冷却液CWaに混合しながら誘引部51に存在する不凝縮ガスNCGが排出される。不凝縮ガスNCGが排出されることにより、エゼクタ54は、不凝縮ガスNCGを吸引する。
【0026】
エゼクタ54は、不凝縮ガスNCGと冷却液CWaとを混合して、拡管部53を通って、混合液MWを吐出する。
【0027】
エゼクタ54において不凝縮ガスNCGと冷却液CWaとが混合され吐出された混合液MWは、熱水HWと混合されて、還元井RWLに送られる。
【0028】
エゼクタ54は、地上に設けられる。エゼクタ54が地上に設けられることにより、エゼクタ54のメンテナンスを容易にできる。
【0029】
制御装置58は、例えば、プロセッサ、メモリ等の記憶装置、補助記憶装置及び外部との入出力インターフェイス装置を含むコンピュータを中心に構成される。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等である。制御装置58は、例えば、プログラマブルロジックコントローラ(PLC:Programmable Logic Controller)でもよい。
【0030】
制御装置58は、発電中において、圧力計71における圧力P1が、圧力計73における圧力P2より高くなった場合、復水器30に熱水HWが流れないようにするために、バルブ83を閉じるように制御する。バルブ83は、復水器30とエゼクタ54との間の不凝縮ガスNCGが流れる流路に設けられる。なお、圧力計71における圧力P1は熱水HWの圧力、圧力計73における圧力P2はポンプ92の吐出圧である。
【0031】
また、制御装置58は、圧力計72を用いて、不凝縮ガスNCGの圧力を監視してもよい。
【0032】
[制御部60]
制御部60は、地熱発電所1の全体を制御する。制御部60は、例えば、プロセッサ、メモリ等の記憶装置、補助記憶装置及び外部との入出力インターフェイス装置を含むコンピュータを中心に構成される。プロセッサは、例えば、CPU、GPU又はMPU等である。制御部60は、例えば、プログラマブルロジックコントローラでもよい。
【0033】
制御部60は、ポンプ91を制御する。制御部60は、発電を行う場合、ポンプ91を起動するように制御する。また、制御部60は、発電を停止する場合、ポンプ91を停止するように制御する。
【0034】
地熱発電は火力発電に比べ、はるかに少ないものの、不凝縮ガスとして主に二酸化炭素を排出している。例えば、生産井から吐出する地熱流体に含まれる不凝縮ガスの90%は二酸化炭素である。海外において、例えば、ニュージーランドでは、既に地熱発電から排出される二酸化炭素に対して、炭素税の負担が発生する。日本においても、同様に、不凝縮ガスに含まれる二酸化炭素によって、地熱発電のコストが増える可能性がある。
【0035】
第1実施形態に係る不凝縮ガス還元システムによれば、不凝縮ガスを還元井に戻すことにより、地熱発電から大気に排出される二酸化炭素等の不凝縮ガスを削減できる。
【0036】
また、第1実施形態に係る不凝縮ガス還元システムによれば、冷却液により駆動して、不凝縮ガスを誘引するエゼクタを用いることより、例えば、不凝縮ガスに含まれる硫化水素の人体への毒性や周辺植物及び土壌の汚染といった自然環境への影響を少なくできる。
【0037】
なお、圧力計71が第1圧力計の一例、圧力計73が第2圧力計の一例、である。
【0038】
≪第2実施形態≫
第2実施形態に係る不凝縮ガス還元システムについて説明する。第2実施形態に係る不凝縮ガス還元システムは、第1実施形態に係る不凝縮ガス還元システムにおいて第3液体が復水器に送られる冷却液の一部であるのに換えて、第3液体が第1液体の一部である。
【0039】
次に、図面を参照しながら、第2実施形態に係る不凝縮ガス還元システムについて、詳細を説明する。図3は、第2実施形態に係る不凝縮ガス還元システムの一例である不凝縮ガス還元システム150を備える地熱発電所2の構成の概略を示す図である。
【0040】
地熱発電所2は、気液分離器10と、発電部20と、復水器30と、冷却部40と、不凝縮ガス還元システム150と、制御部160と、を備える。また、地熱発電所2は、バルブ81及びバルブ82と、ポンプ91と、を備える。制御部160は、制御部60と同様の機能を有する。
【0041】
地熱発電所2において、地熱発電所1と共通の構成については、地熱発電所1の説明を参照することとして、ここでは、詳細な説明は省略する。
【0042】
不凝縮ガス還元システム150は、気液分離器10から排出される熱水HWの一部である熱水HWaをポンプ92により加圧して、エゼクタ154に供給する。不凝縮ガス還元システム150は、エゼクタ154と、制御装置158と、圧力計71、圧力計72及び圧力計73と、バルブ83と、ポンプ92と、を備える。エゼクタ154は、エゼクタ54と同じ構成を有する。また、制御装置158は、制御装置58と同じ機能、構成を有する。
【0043】
エゼクタ154は、気液分離器10から排出される熱水HWの一部である熱水HWaにより駆動される。熱水HWaは、ポンプ92により圧送される。エゼクタ154は、不凝縮ガスNCGと熱水HWaを混合した混合液MWを吐出する。
【0044】
エゼクタ154は、不凝縮ガスNCGと熱水HWaとを混合して、混合液MWを吐出する。エゼクタ154において不凝縮ガスNCGと熱水HWaとが混合され吐出された混合液MWは、熱水HWと混合されて、還元井RWLに送られる。
【0045】
第2実施形態に係る不凝縮ガス還元システムによれば、第1実施形態に係る不凝縮ガス還元システムと同様に、不凝縮ガスを還元井に戻すことにより、地熱発電から大気に排出される二酸化炭素等の不凝縮ガスを削減できる。
【0046】
≪第3実施形態≫
第3実施形態に係る不凝縮ガス還元システムについて説明する。第3実施形態に係る不凝縮ガス還元システムを備える地熱発電所は、第1液体を貯蔵する還元ピットを更に備える。そして、第3実施形態に係る不凝縮ガス還元システムは、第1実施形態に係る不凝縮ガス還元システムにおいて、第3液体が復水器に送られる冷却液の一部であるのに換えて、還元ピットに貯蔵された第1液体の一部である。
【0047】
次に、図面を参照しながら、第3実施形態に係る不凝縮ガス還元システムについて、詳細を説明する。図4は、第3実施形態に係る不凝縮ガス還元システムの一例である不凝縮ガス還元システム250を備える地熱発電所3における構成の概略を示す図である。
【0048】
地熱発電所3は、気液分離器10と、発電部20と、復水器30と、冷却部40と、不凝縮ガス還元システム250と、制御部260と、を備える。また、地熱発電所3は、バルブ81及びバルブ82と、ポンプ91及びポンプ293と、還元ピット211と、を備える。制御部260は、制御部60と同様の機能を有する。
【0049】
地熱発電所3において、地熱発電所1と共通の構成については、地熱発電所1の説明を参照することとして、ここでは、詳細な説明は省略する。
【0050】
地熱発電所3は、気液分離器10から排出される熱水HWを貯蔵する還元ピット211を備える。還元ピット211において貯蔵された熱水HWは、ポンプ293によって、還元井RWLに送られる。また、還元ピット211に貯蔵されている熱水HWの一部である熱水HWbは、ポンプ92により加圧されて、エゼクタ254に供給される。還元ピット211は、タンク又はプールでもよい。
【0051】
不凝縮ガス還元システム250は、エゼクタ254と、制御装置258と、圧力計271、圧力計72及び圧力計73と、バルブ83と、ポンプ92と、を備える。不凝縮ガス還元システム250は、不凝縮ガス還元システム50における圧力計71に換えて、圧力計271により熱水HWの圧力P1を測定する。エゼクタ254は、エゼクタ54と同じ構成を有する。また、制御装置258は、制御装置58と同じ機能、構成を有する。不凝縮ガス還元システム250は、還元ピット211に貯蔵されている熱水HWの一部である熱水HWbをポンプ92で加圧して、エゼクタ254に供給する。
【0052】
エゼクタ254は、還元ピット211に貯蔵された熱水HWの一部である熱水HWbにより駆動される。熱水HWbは、ポンプ92により圧送される。エゼクタ254は、不凝縮ガスNCGと熱水HWbを混合した混合液MWを吐出する。
【0053】
エゼクタ254は、不凝縮ガスNCGと熱水HWbとを混合して、混合液MWを吐出する。エゼクタ254において不凝縮ガスNCGと熱水HWbとが混合され吐出された混合液MWは、熱水HWと混合されて、還元井RWLに送られる。
【0054】
第3実施形態に係る不凝縮ガス還元システムによれば、第1実施形態に係る不凝縮ガス還元システムと同様に、不凝縮ガスを還元井に戻すことにより、地熱発電から大気に排出される二酸化炭素等の不凝縮ガスを削減できる。
【0055】
≪本開示の実施形態に係る不凝縮ガス還元システムにおける不凝縮ガスの溶解判定≫
本開示の実施形態に係る不凝縮ガス還元システムにおいて、エゼクタにより吐出された混合液における不凝縮ガスの溶解判定について説明する。エゼクタから吐出される混合液において、不凝縮ガスは、第3液に完全に溶解されていることが望ましい。そこで、不凝縮ガスが第3液に溶解されているかどうかを判定する方法について説明する。
【0056】
図5及び図6のそれぞれは、本開示の実施形態に係る不凝縮ガス還元システムにおける不凝縮ガスの溶解判定について説明する図である。以下の説明では、エゼクタ54を用いて説明する。エゼクタ54に換えて、エゼクタ154又はエゼクタ254を用いても同様である。
【0057】
エゼクタ54の下流に、タンク355が設けられる。タンク355には、レベル計374が設置される。レベル計374は、タンク355に貯蔵される液体のレベルを計測する。計測した結果は、制御装置358に出力される。制御装置358は、不凝縮ガスNCGの溶解判定を実行する。
【0058】
図6(A)に示すように、混合液MWにおいて、不凝縮ガスNCGが完全に溶解していると、タンク355の内部は、混合液MWにより満たされる。一方、図6(B)に示すように、混合液MWにおいて、不凝縮ガスNCGが完全に溶解していないと、タンク上部に不凝縮ガスNCGが溜まる。したがって、不凝縮ガスNCGが溜まると、レベル計374により測定する高さが高さΔLだけ低くなる。したがって、レベル計374を用いて、タンク355における混合液MWのレベルを計測することにより、混合液MWにおいて、不凝縮ガスNCGの溶解判定ができる。
【0059】
ここで、不凝縮ガスNCGが溶解していない場合の処理について説明する。図7は、本開示の実施形態に係る不凝縮ガス還元システムにおいて不凝縮ガスが溶解していない場合の処理の第1例について説明する図である。制御装置458は、レベル計374におけるレベルの測定結果に基づいて、不凝縮ガスNCGが溶解していないと判断した場合、タンク355とエゼクタ54とを接続する配管に設けられるバルブ356を開く。バルブ356を開くことにより、エゼクタ54から不凝縮ガスNCGを吸引するようにする。
【0060】
また、別の例について説明する。図8は、本開示の実施形態に係る不凝縮ガス還元システムにおいて不凝縮ガスが溶解していない場合の処理の第2例について説明する図である。第2例では、更に追加のエゼクタ550を備える。そして、エゼクタ550に駆動流を供給するポンプ557を備える。タンク355に溜まった不凝縮ガスNCGは、エゼクタ54とは別のエゼクタ550から排出される。制御装置558は、レベル計374におけるレベルの測定結果に基づいて、不凝縮ガスNCGが溶解していないと判断した場合、バルブ556を開放し、ポンプ557を起動して、エゼクタ550を用いて、タンク355の不凝縮ガスNCGを吸引するようにする。エゼクタ550は、還元井RWLに不凝縮ガスNCGを混合した混合液MWを吐出する。
【0061】
さらに、別の例について説明する。図9は、本開示の実施形態に係る不凝縮ガス還元システムにおいて不凝縮ガスが溶解していない場合の処理の第3例について説明する図である。第3例では、薬剤を貯蔵するタンク656を備える。薬剤は、例えば、アルカリ剤である。制御装置658は、レベル計374におけるレベルの測定結果に基づいて、不凝縮ガスNCGが溶解していないと判断した場合、タンク355とタンク656との間のバルブ659を開いて、薬剤をタンク355に注入する。薬剤は、例えば、タンク355の上部から噴霧又は投入することにより行う。
【0062】
上述の例は、第1から第3実施形態に係る不凝縮ガス還元システムのそれぞれにおいて、適宜組み合わせてもよい。
【0063】
制御装置358、制御装置458、制御装置558及び制御装置658は、第1から第3実施形態に係る不凝縮ガス還元システムにおける制御装置の機能を有する。
【0064】
≪第4実施形態≫
第4実施形態に係る不凝縮ガス還元システムについて説明する。第4実施形態に係る不凝縮ガス還元システムは、第1実施形態に係る不凝縮ガス還元システムにおいて、複数のエゼクタを備える。
【0065】
次に、図面を参照しながら、第4実施形態に係る不凝縮ガス還元システムについて、詳細を説明する。図10は、第4実施形態に係る不凝縮ガス還元システムの一例である不凝縮ガス還元システム750を備える地熱発電所4における構成の概略を示す図である。
【0066】
地熱発電所4は、気液分離器10と、発電部20と、復水器30と、冷却部40と、不凝縮ガス還元システム750と、制御部760と、ポンプ91と、を備える。
【0067】
地熱発電所4において、地熱発電所1と共通の構成については、地熱発電所1の説明を参照することとして、ここでは、詳細な説明は省略する。
【0068】
不凝縮ガス還元システム750は、複数のエゼクタ54と、制御装置758と、圧力計71、圧力計72及び圧力計73と、バルブ83と、ポンプ92と、を備える。不凝縮ガス還元システム750は、複数のエゼクタ54を備えることにより、エゼクタ54を含むラインを複数並行して備える。不凝縮ガス還元システム750は、エゼクタ54を含むラインを複数並行して備えることにより、一部のラインを稼働させることにより、不凝縮ガス還元システム750全体を停止することなく、エゼクタ54のメンテナンスを実施できる。
【0069】
第4実施形態に係る不凝縮ガス還元システムによれば、第1実施形態に係る不凝縮ガス還元システムと同様に、不凝縮ガスを還元井に戻すことにより、地熱発電から大気に排出される二酸化炭素等の不凝縮ガスを削減できる。また、第4実施形態に係る不凝縮ガス還元システムによれば、複数のエゼクタを備えることにより、例えば、切り換えて操業することにより、メンテナンス性を高めることができる。
【0070】
なお、図10の例では、第1実施形態に係る不凝縮ガス還元システムの一例である不凝縮ガス還元システム50を備える地熱発電所1と同様の構成を有する地熱発電所4を例として用いて説明したが、第1実施形態に係る不凝縮ガス還元システムに限らない。第2実施形態又は第3実施形態に係る不凝縮ガス還元システムを備える地熱発電所において同様にエゼクタを含むラインを複数備えてもよい。また、第4実施形態に係る不凝縮ガス還元システムにおいて、上述の不凝縮ガスの溶解していない場合の処理を行うようにしてもよい。以下の実施形態についても同様である。
【0071】
≪第5実施形態≫
第5実施形態に係る不凝縮ガス還元システムについて説明する。第5実施形態に係る不凝縮ガス還元システムは、第1実施形態に係る不凝縮ガス還元システムにおいて第3液体が復水器に送られる冷却液の一部であるのに換えて、第3液体が第2液体を含む液体である。
【0072】
次に、図面を参照しながら、第5実施形態に係る不凝縮ガス還元システムについて、詳細を説明する。図11は、第5実施形態に係る不凝縮ガス還元システムの一例である不凝縮ガス還元システム850を備える地熱発電所5の構成の概略を示す図である。
【0073】
地熱発電所5は、気液分離器10と、発電部20と、復水器30と、冷却部40と、不凝縮ガス還元システム850と、制御部860と、を備える。また、地熱発電所5は、バルブ81及びバルブ82と、ポンプ91と、を備える。制御部860は、制御部60と同様の機能を有する。
【0074】
地熱発電所5において、地熱発電所1と共通の構成については、地熱発電所1の説明を参照することとして、ここでは、詳細な説明は省略する。
【0075】
不凝縮ガス還元システム850は、復水器30において蒸気STの凝縮液HWc(第2液体)をポンプ92により加圧して、エゼクタ854に供給する。不凝縮ガス還元システム850は、エゼクタ854と、制御装置858と、圧力計71、圧力計72及び圧力計73と、バルブ83と、ポンプ92と、を備える。エゼクタ854は、エゼクタ54と同じ構成を有する。また、制御装置858は、制御装置58と同じ機能、構成を有する。
【0076】
エゼクタ854は、復水器30において蒸気STの凝縮液HWcにより駆動される。凝縮液HWcは、ポンプ92により圧送される。エゼクタ854は、不凝縮ガスNCGと凝縮液HWcを混合した混合液MWを吐出する。
【0077】
エゼクタ854は、不凝縮ガスNCGと凝縮液HWcとを混合して、混合液MWを吐出する。エゼクタ854において不凝縮ガスNCGと凝縮液HWcとが混合され吐出された混合液MWは、熱水HWと混合されて、還元井RWLに送られる。
【0078】
第5実施形態に係る不凝縮ガス還元システムによれば、第1実施形態に係る不凝縮ガス還元システムと同様に、不凝縮ガスを還元井に戻すことにより、地熱発電から大気に排出される二酸化炭素等の不凝縮ガスを削減できる。
【0079】
≪第6実施形態≫
第6実施形態に係る不凝縮ガス還元システムについて説明する。第6実施形態に係る不凝縮ガス還元システムは、第1実施形態に係る不凝縮ガス還元システムにおいて第3液体が復水器に送られる冷却液の一部であるのに換えて、第3液体が第2液体を含み、復水器に送られる冷却液の一部である。
【0080】
次に、図面を参照しながら、第6実施形態に係る不凝縮ガス還元システムについて、詳細を説明する。図12は、第6実施形態に係る不凝縮ガス還元システムの一例である不凝縮ガス還元システム950を備える地熱発電所6の構成の概略を示す図である。
【0081】
地熱発電所6は、気液分離器10と、発電部20と、復水器930と、冷却部940と、不凝縮ガス還元システム950と、制御部960と、を備える。また、地熱発電所6は、バルブ81及びバルブ82と、ポンプ91及びポンプ932と、を備える。制御部960は、制御部60と同様の機能を有する。
【0082】
地熱発電所6において、地熱発電所1と共通の構成については、地熱発電所1の説明を参照することとして、ここでは、詳細な説明は省略する。
【0083】
[復水器930]
復水器930は、冷却部940から供給される冷却液CWA、より詳しくは冷却液CWA1により、タービン21から排出された蒸気STを冷却する。復水器930は、いわゆる、直接接触式復水器である。復水器930は、ノズル部931を備える。ノズル部931は、冷却液CWA1をミストとして噴霧するノズルを複数備える。なお、ノズル部931が備えるノズルは1つでもよい。復水器930は、冷却液CWA1を、蒸気STに噴霧して直接接触させることにより、蒸気STとの間で熱交換を行う。冷却液CWA1と蒸気STとの間で熱交換を行うことにより、蒸気STは冷却される。蒸気STは、復水器930において冷却されることにより、凝縮して水(第2液体)となる。直接接触式復水器である復水器930において、冷却液CWA1は蒸気STと直接接触する。冷却液CWA2は、蒸気STが凝縮した水(第2液体)を含む。
【0084】
[冷却部940]
冷却部940は、復水器930において蒸気STを冷却するために、冷却液CWAを供給する。冷却部940は、冷却塔である。ポンプ932は、復水器930において蒸気STを冷却して高温となっている冷却液CWA2を、冷却部940に送る。冷却部940は、冷却液CWA2を冷却する。冷却部940において冷やされた冷却液CWAは、ポンプ91により、復水器930に送られる。復水器930において、蒸気STと熱交換して温度が上昇した冷却液CWA2は、冷却部40に戻って冷却される。
【0085】
冷却部940は、強制通風式の湿式冷却塔である。冷却部940は、冷却液CWA2と空気を直接接触させる。そして、冷却部940は、冷却液CWA2と空気とを直接接触させたときの冷却液CWA2の蒸発潜熱及び顕熱移動により、冷却液CWA2を冷却する。冷却部940は、吸引式カウンターフロー型冷却塔である。
【0086】
冷却部940は、ファン941と、ノズル部942と、充填材943と、を備える。ファン941は、開口940hから内部に取り込んだ外気を排出する。ノズル部942は、復水器930から送られてくる冷却液CWA2をミストとして充填材943に噴霧するノズルを複数備える。なお、ノズル部942が備えるノズルは1つでもよい。
【0087】
充填材943の間を空気が通過することにより、ノズル部942から噴霧される冷却液CWA2が空気と熱交換する。
【0088】
冷却部940において冷却された冷却液CWAは、ポンプ91により復水器930に供給される。
【0089】
なお、上述の例では、冷却部940が吸引式カウンターフロー型冷却塔である例について説明したが、本実施形態に係る不凝縮ガス還元システムの冷却部は、吸引式カウンターフロー型冷却塔に限らない。例えば、本実施形態に係る不凝縮ガス還元システムの冷却部は、押込式カウンターフロー型冷却塔でもよいし、吸引式クロスフロー型冷却塔又は押込式クロスフロー型冷却塔でもよい。また、本実施形態に係る不凝縮ガス還元システムの冷却部は、自然通風式の冷却塔でもよい。
【0090】
[不凝縮ガス還元システム950]
不凝縮ガス還元システム950は、復水器930から不凝縮ガスNCGを誘引して排出する。不凝縮ガス還元システム950は、冷却液CWA、より詳しくは冷却液CWA1の一部である冷却液CWAaにより駆動される。冷却液CWAaは、ポンプ92により圧送される。エゼクタ954は、不凝縮ガスNCGと冷却液CWAaを混合した混合液MWを吐出する。不凝縮ガス還元システム950は、エゼクタ954と、制御装置958と、圧力計71、圧力計72及び圧力計73と、バルブ83と、ポンプ92と、を備える。エゼクタ954は、エゼクタ54と同じ構成を有する。また、制御装置958は、制御装置58と同じ機能、構成を有する。
【0091】
エゼクタ954は、冷却液CWA1の一部である冷却液CWAaにより駆動される。冷却液CWAaは、復水器930において蒸気STが凝縮した水(第2液)を含む。冷却液CWAaは、ポンプ92により圧送される。エゼクタ954は、不凝縮ガスNCGと冷却液CWAaを混合した混合液MWを吐出する。
【0092】
エゼクタ954は、不凝縮ガスNCGと冷却液CWAaとを混合して、混合液MWを吐出する。エゼクタ954において不凝縮ガスNCGと冷却液CWAaとが混合され吐出された混合液MWは、熱水HWと混合されて、還元井RWLに送られる。
【0093】
第6実施形態に係る不凝縮ガス還元システムによれば、第1実施形態に係る不凝縮ガス還元システムと同様に、不凝縮ガスを還元井に戻すことにより、地熱発電から大気に排出される二酸化炭素等の不凝縮ガスを削減できる。
【0094】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0095】
1、2、3、4、5、6 地熱発電所
10 気液分離器
20 発電部
21 タービン
22 発電機
30、930 復水器
40、940 冷却部
50、150、250、750、850、950 不凝縮ガス還元システム
51 誘引部
51a 誘引ポート
52 駆動ノズル
52a 駆動ポート
53 拡管部
54、154、254、550、854、954 エゼクタ
58、158、258、358、458、558、658、758、858、958 制御装置
60、160、260、760、860、960 制御部
71、72、73、271 圧力計
81、82、83、356、556、659 バルブ
91、92、293、557、932 ポンプ
211 還元ピット
355、656 タンク
374 レベル計
CW、CW1、CW2、CWa、CWA、CWA1、CWA2、CWAa 冷却液
GF 地熱流体
HW、HWa、HWb 熱水
HWc 凝縮液
MW 混合液
NCG 不凝縮ガス
PWL 生産井
RWL 還元井
ST 蒸気
【要約】
【課題】本開示は、メンテナンス性の高い地熱流体に含まれる不凝縮ガスを還元井に戻す不凝縮ガス還元システムを提供する。
【解決手段】生産井から湧き出る地熱流体を第1気体と第1液体とに分離する気液分離器と、前記第1気体により回転するタービンと、前記タービンを回転させた前記第1気体を冷却し、前記第1気体に含まれる蒸気を第2液体に凝縮する復水器と、を備える地熱発電所に用いられる不凝縮ガス還元システムであって、還元井に送られる第3液体を加圧するポンプと、前記第3液体により駆動され、前記第1気体に含まれ、前記復水器において凝縮されずに残る不凝縮ガスを誘引し、前記第3液体と前記不凝縮ガスとが混合した第4液体を吐出するエゼクタと、を備え、前記第1液体と前記第4液体とが混合され前記還元井に送られる不凝縮ガス還元システム。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12