(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-14
(45)【発行日】2025-04-22
(54)【発明の名称】カプセル自動販売機
(51)【国際特許分類】
G07F 11/00 20060101AFI20250415BHJP
G07F 11/36 20060101ALI20250415BHJP
G07F 11/58 20060101ALI20250415BHJP
【FI】
G07F11/00 Z
G07F11/36
G07F11/58 A
(21)【出願番号】P 2021037823
(22)【出願日】2021-01-18
【審査請求日】2024-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】505343952
【氏名又は名称】株式会社トイスピリッツ
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 厚
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-129145(JP,A)
【文献】登録実用新案第3057393(JP,U)
【文献】特開昭59-038892(JP,A)
【文献】特開平09-016832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 11/00-11/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
玩具等を収納する球体のカプセルの自動販売機であって、このカプセル自動販売機を、内部を目視可能とする透明ケースと、前記透明ケース内に格納されカプセルを透明ケース内で移動させカプセル自動販売機の取り出し口まで届けるカプセル搬送手段と、前記カプセル搬送手段に保持される複数のカプセルと、を具えて構成し、
前記カプセル搬送手段を、
カプセルが自重で転がる傾斜角を有し出発点から終着点へ進行するに従い中心部方向に近づく螺旋をなし複数のカプセルを保持する第一螺旋レールと、
前記第一螺旋レールの終着点にある一体のカプセルを捕捉し透明ケースの天井近傍の終着点まで移動させる上昇手段と、
前記上昇手段の終着点まで移動したカプセルを出発点で受け取りカプセルが自重で転がる傾斜角を有し出発点からカプセル取り出し口の終着点へ進行するに従い外側方向へと広がる螺旋をなす第二螺旋レールと、を具えて構成したことを特徴とするカプセル自動販売機。
【請求項2】
玩具等を収納する球体のカプセルの自動販
売機であって、このカプセル自動販売機を内部を目視可能とする透明ケースと、前記透明ケース内に格納されカプセルを透明ケース内で移動させカプセル自動販売機の取り出し口まで届けるカプセル搬送手段と、複数のカプセルを格納し前記カプセル搬送手段へ一体のカプセルを繰り出すカプセル搬出手段と、を具えて構成し、
前記カプセル搬送手段を、
前記カプセル搬出手段から一体のカプセルを出発点で受け取りカプセルが自重で転がる傾斜角を有し出発点から終着点へ進行するに従い中心部方向に近づく螺旋をなす第一螺旋レールと、
前記第一螺旋レールの終着点に至ったカプセルを捕捉し透明ケースの天井近傍の終着点まで移動させる上昇手段と、
前記上昇手段の終着点まで移動したカプセルを出発点で受け取りカプセルが自重で転がる傾斜角を有し出発点からカプセルを取り出し口の終着点へ進行するに従い外側方向へと広がる螺旋をなす第二螺旋レールと、を具えて構成したことを特徴とするカプセル自動販売機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、玩具等を格納する球体カプセルの自動販売機であって、詳しくは内部を目視可能とする透明ケース内でカプセルを時間をかけて移動させるカプセル搬送手段を具えてなり、移動するカプセルを鑑賞して楽しめるよう構成したカプセル自動販売機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現金を投入してレバー等を操作することで玩具等を格納するカプセルを購入可能とするカプセル自動販売機は、カプセル内に何が入れられているか不明であり購入者は何が出てくるかのという期待感を楽しむ事ができる。すなわち期待外れの商品で落胆したり期待以上の商品に喜んだりすることができ、商品を充分に吟味した上で購入判断する通常の買い物とは違った感覚を楽しむことができる。
【0003】
また期待外れの商品も購入金額に見合った価値のある商品が格納されているので損をしたとうい思いをさせないようカプセル提供者も考慮している。
今日においてカプセル自動販売機は、動物玩具、昆虫玩具、ミニチュア家具玩具等、カプセル自動販売機ごとに分類されている事が多く複数のカプセル自動販売機が並べられている事もある。
【0004】
ところで従来のカプセル自動販売機は格納されている複数のカプセルを覗き見る事は出来るもののカプセル自動販売機自体やカプセルには何らの動きは無く、購入操作も何ら楽しいものではない。(例えば特許文献1参照)
【0005】
こうした問題を解決するために購入した自己のカプセルを移動させ視覚的に楽しめるよう構成したカプセル自動販売機が提案されている。(下記特許文献2)
このカプセル自動販売機は、カプセルを上昇移動し、次いでそのカプセルを同じ内径をなし、傾斜する螺旋レールから転がり移動させるもので、購入者はカプセルが移動する様子を鑑賞して楽しめるよう構成されている。
【先行技術文献】
【0006】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら上記従来のカプセル自動販売機には次のような問題がある。
上記従来のカプセル自動販売機はカプセルの動きを鑑賞して楽しむ事ができるが、動きが少なく、カプセルがカプセル自動販売機から排出される時間も短く、購入者を充分に楽しませるものではない。
すなわち上記従来のカプセル自動販売機は螺旋レールの内径が同一であるので転がるカプセルの高さが変化するのみでカプセルの動きが単調なものとなってしまう。
またカプセルは常にカプセル自動販売機の上方で移動しているので、小柄な子供はカプセルを見上げるようにしか鑑賞出来ないという問題もある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係るカプセル自動販売機は、上記従来の問題を解決するためになされたものでカプセル自動販売機を、内部を目視可能とする透明ケースと、前記透明ケース内に格納されカプセルを透明ケース内で移動させカプセル自動販売機の取り出し口まで届けるカプセル搬送手段と、前記カプセル搬送手段に保持される複数のカプセルと、を具えて構成し、前記カプセル搬送手段を、カプセルが自重で転がる傾斜角を有し出発点から終着点へ進行するに従い中心部方向に近づく螺旋をなし複数のカプセルを保持する第一螺旋レールと、前記第一螺旋レールの終着点にある一体のカプセルを捕捉し透明ケースの天井近傍の終着点まで移動させる上昇手段と、前記上昇手段の終着点まで移動したカプセルを出発点で受け取りカプセルが自重で転がる傾斜角を有し出発点からカプセル取り出し口の終着点へ進行するに従い外側方向へと広がる螺旋をなす第二螺旋レールと、を具えて構成する。
【0010】
あるいはまた、カプセル自動販売機を、内部を目視可能とする透明ケースと、前記透明ケース内に格納されカプセルを透明ケース内で移動させカプセル自動販売機の取り出し口まで届けるカプセル搬送手段と、複数のカプセルを格納し前記カプセル搬送手段へ一体のカプセルを繰り出すカプセル搬出手段と、を具えて構成し、前記カプセル搬送手段を、前記カプセル搬出手段から一体のカプセルを出発点で受け取りカプセルが自重で転がる傾斜角を有し出発点から終着点へ進行するに従い中心部方向に近づく螺旋をなす第一螺旋レールと、前記第一螺旋レールの終着点に至ったカプセルを捕捉し透明ケースの天井近傍の終着点まで移動させる上昇手段と、前記上昇手段の終着点まで移動したカプセルを出発点で受け取りカプセルが自重で転がる傾斜角を有し出発点からカプセル取り出し口の終着点へ進行するに従い外側方向へと広がる螺旋をなす第二螺旋レールと、を具えて構成する。
【発明の効果】
【0011】
この発明に係るカプセル自動販売機は、第一螺旋レールと、上昇手段と、第二螺旋レールと、の三つの機構がカプセルを移動させるので移動距離と移動時間が長く、購入者を視覚的に楽しませることができ購入したカプセル内に何が格納されているかの期待感をより一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】 本発明の請求項1に記載のカプセル自動販売機を示す正面図である。
【
図2】 カプセル自動販売機の第一螺旋レールでのカプセル移動経路図である。
【
図3】 カプセル自動販売機の上昇手段でのカプセル移動経路図である。
【
図4】 カプセル自動販売機の上昇手段の構成例を示す外観斜視図である。
【
図5】 カプセル自動販売機の上昇手段のカプセル送り動作を示す側面図である。
【
図6】 カプセル自動販売機の上昇手段のカプセル保持動作を示す正面図である。
【
図7】 カプセル自動販売機の第二螺旋レールでのカプセル移動経路図である。
【
図8】 本発明の請求項2に記載のカプセル自動販売機を示す分解正面図である。
【
図9】 カプセル自動販売機の第二螺旋レールの他の構成例を示す上面図である。
【
図10】 第二螺旋レールに金属パイプを設けた例を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面にもとづいてこの発明に係るカプセル自動販売機の一実施例を説明する。
図1は本発明の請求項1に記載のカプセル自動販売機を示す正面図であり1は透明ケースで、この透明ケース1はカプセル自動販売機内を移動するカプセルを目視可能としている。
【0014】
また
図1に示す2は操作手段であり、この操作手段2は現金の投入口や開始レバー3等を具えていてカプセル購入者はこの操作手段2によりカプセル自動販売機を動かすことができる。
【0015】
そして8はカプセル搬送手段であり、このカプセル搬送手段8は第一螺旋レール5と、上昇手段6と、第二螺旋レール7と、により構成されている。
なお第一螺旋レール5は図に示すようにレール上に複数のカプセル9を保持しており、このカプセル9は透明ケース1に設けられたカプセル投入口10から第一螺旋レール5上へ送ることができ、カプセル提供者はカプセルの販売個数を確認し必要に応じてカプセルを補給可能である。
【0016】
第一螺旋レール5はカプセル9が自重で転がることが出来る傾斜角を有しており出発点から終着点に向かうに従い中心部方向に近づく螺旋をなしている。
またカプセル投入口10から入れられたカプセルは直線状のレールを通り第一螺旋レール5に至るよう構成されている。
従ってカプセル投入口10に入れられたカプセルは
図2に示す移動経路を転がりながら移動することになる。
図2において直線状のレールでの移動経路は破線で示す。
【0017】
第一螺旋レール5の終着点に至ったカプセルは上昇手段6に当たり停止し、複数投入されたカプセル9は
図1に示すように第一螺旋レール5の上で列をなして待機している。
操作手段2によりカプセル購入者がカプセル自動販売機に動くよう指示を与えると、上昇手段6が動き一体のカプセルを上昇移動する。すなわちそのカプセルの移動経路は
図3に示す直線移動となる。
【0018】
図4は上昇手段6の構成例を示す図で、上昇手段6は不図示のモーターにより上下方向に回転する環状ベルト11と、このベルト11に固定される板材12と、板材12に固着される一対の保持腕13と、を具えており保持腕13と板材12との間には形状を自由に変化させる可撓性ゴム14が設けられている。
そして一対の保持腕13の幅はカプセルの直径よりも狭くなっていて、一対の保持腕13の上方にカプセルを乗せるように捕捉することが出来る。
【0019】
上昇手段6の保持腕13は、第一螺旋レール5に並ぶ複数のカプセルの終着点に到達した一体のカプセルを持ち上昇し、第二螺旋レール7の出発点に達すると第二螺旋レール7に当接することで可撓性ゴム14の形状が変化し
図5に示すように保持腕13が傾斜し、カプセル9を転がし第二螺旋レール7の出発点へと送ることが出来る。
また上昇手段6は、この位置まで上昇した際に不図示の位置センサーに検知されて停止するとともに下降移動する。
【0020】
そして
図6に示すように次に第一螺旋レール5の終着点に位置するカプセル9へと向かい一対の保持腕13はカプセル9と当接してカプセル9に接しながら可撓性ゴム14の形状を変化させることで左右に広がり第一螺旋レール5の両側面に接した位置まで下降すると不図示の位置センサーに検知され停止する。
【0021】
以上説明したように上昇手段6は一体のカプセルを第一螺旋レール5の終着点から第二螺旋レール7の出発点へ運び、その動きをカプセル購入者は楽しむことができる。
そして一体のカプセルを取り上げることで列をなして待機していた複数のカプセルは第一螺旋レール5を一斉に移動することになるが、この複数のカプセルの移動も楽しむことができる。
【0022】
一方、第二螺旋レール7の出発点に置かれたカプセルは第二螺旋レール7を転がりながら移動することになるが、第二螺旋レール7はカプセルが自重で転がる傾斜角を有し、出発点からカプセル取り出し口4に至る終着点へ進行するに従い外方向へと広がる螺旋をなしている。
従って第二螺旋レール7に乗せられたカプセルは
図7に示す移動経路を転がりながら移動することになる。そしてカプセルは購入者の手元であるカプセル取り出し口4に至り一連のカプセルの移動は停止する。
なお、第二螺旋レール7と取り出し口4との間は直線状レールを移動することになりカプセルの移動経路は破線で示すようになる。
【0023】
以上説明したように、本件発明に係るカプセル自動販売機は従来のカプセル自動販売機よりも移動距離と移動時間が長い上に、変化に富んだ動きをなすので何が出てくるかの期待感を充分に楽しむことができる。
また小柄な子供であっても第一螺旋レール5を移動するカプセルは見下ろす姿勢で目視可能であり、上昇手段6と第二螺旋レール7で移動するカプセルは見上げる姿勢で目視出来るので頭を上下および左右に動かしてカプセルを目で追いかけることができ、カプセル自動販売機を充分に楽しむことができる。
【0024】
なお、この実施例では第一螺旋レール5と第二螺旋レール7の転がり回転方向を逆にするよう構成したが回転方向を同一にしても同様の効果が得られる。
【0025】
次に本発明の請求項2に記載のカプセル自動販売機の一実施例を説明する。なお上述のカプセル自動販売機と同一箇所には同一符号を付して重複説明は省略する。
図8はカプセル自動販売機の分解図であり、カプセル搬送手段8の第一螺旋レール5にカプセルは乗せられていない。
また第一螺旋レール5は後述のカプセル搬出手段11の内側に入り正面からは見えなくなるが透明ケース1を通しカプセル購入者には見下ろすように目視可能となっている。
【0026】
またカプセル搬出手段11は、現金の投入口や開始レバー3を具えた操作手段2そしてカプセル取り出し口4を具えているとともに内部には複数のカプセルを格納している。
このカプセル搬出手段11は、カプセル購入者の購入操作により一体のカプセルを第一螺旋レール5の出発点に投下するようになっている。なおその構造は従来のカプセル自動販売機と同一であるので説明は省略する。
【0027】
第一螺旋レール5の出発点に乗せられたカプセルは第一螺旋レール5を転がりながら
図2の実線に示すように中心部へと送られ上昇手段6へと至る。
そして上昇手段6は不図示の検知手段によりカプセルの存在を確認するとカプセルを
図3に示すように上昇させ第二螺旋レール7の出発点へと送る。
【0028】
第二螺旋レール7の出発点に至ったカプセルは
図7に示すように転がりながら下降しカプセル取り出し口4へと至り一連のカプセルの移動は終了する。
以上説明したように、このカプセル自動販売機もカプセルの移動を鑑賞して楽しむことが出来る。
【0029】
ところで、第二螺旋レール7を
図9のように構成しても良い。
図9は第二螺旋レール7の他の構成例を示す上面図であり、この第二螺旋レール7は直線状のレールを複数連結することで螺旋状に構成され、カプセルが転がり進行するに従って外側方向へ広がるように各直線レールが連結されている。
以上の構成からなるこの第二螺旋レール7にカプセルを転がすと、直線状のレールでカプセルは徐々に速度を上げながら転がるが、直線状レールの連結部で次の直線状レールと衝突し、カプセルは一旦停止するように速度を落とすことになる。そしてカプセルは次の直線レールを徐々に速度を上げながら転がることになる。
すなわちカプセルの転がり速度は早くなったり遅くなったりと変化するので、その動きは面白いものとなるとともに、移動時間を長くすることができる。
【0030】
一方、
図10に示すように各直線状レール間の連結部位に叩くと音が出る部材、例えば金属パイプを設置しておけばカプセルが金属パイプに当たる度に音が鳴るとともに金属パイプが揺れ動くので視覚的にも聴覚的にも楽しむことができる。
【符号の説明】
【0031】
1 透明ケース
2 操作手段
3 開始レバー
4 カプセル取り出し口
5 第一螺旋レール
6 上昇手段
7 第二螺旋レール
8 カプセル搬送手段
9 カプセル
10 カプセル投入口
11 カプセル搬出手段