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特許7666824メッセージ処理方法、装置及びシステム、デバイス並びに記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-14
(45)【発行日】2025-04-22
(54)【発明の名称】メッセージ処理方法、装置及びシステム、デバイス並びに記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H04L 7/00 20060101AFI20250415BHJP
   H04L 43/02 20220101ALI20250415BHJP
【FI】
H04L7/00 990
H04L43/02
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023514869
(86)(22)【出願日】2021-08-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-25
(86)【国際出願番号】 CN2021114588
(87)【国際公開番号】W WO2022048482
(87)【国際公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-04-24
(31)【優先権主張番号】202010924424.2
(32)【優先日】2020-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】リュ,ジンフェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,シンシン
【審査官】竹内 亨
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-065445(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0222520(US,A1)
【文献】特開2016-036060(JP,A)
【文献】IEEE Standard for a Precision Clock Synchronization Protocol for Networked Measurement and Control Systems,IEEE Instrumentation and Measurement Society IEEE Std 1588-2008,米国,2008年07月24日,Page 41-44, 76-122, 241-250
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 7/00-7/10
H04L 43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1対多ポート通信システムのためのメッセージ処理方法であって、該1対多ポート通信システムは少なくとも第1のネットワーク装置及び第2のネットワーク装置を含み、当該方法は、
第2のポートによって送信された第1のメッセージを、前記第1のネットワーク装置により第1のポートを介して受信することであって、該第1のポートは該第1のネットワーク装置のポートであり、該第2のポートは第2のネットワーク装置のポートであり、該第1のメッセージは遅延を測定するために用いられ、前記第1のメッセージはピア遅延要求メッセージである、ことと、
前記第1のポートのポート状態が非マスター状態であることに基づいて、前記第1のネットワーク装置により、第2のメッセージを送信しないことであって、該第2のメッセージはピア遅延応答メッセージ及びピア遅延follow_upメッセージを含む、ことと、
を含み
前記第1のポートのポート状態が非マスター状態であることは、前記第1のポートのポート状態がリスニング状態、pre_master状態、未調整状態、パッシブ状態又はスレーブ状態であることを含む、方法。
【請求項2】
前記第1のポートのポート状態が非マスター状態であることに基づいて、前記第1のネットワーク装置により、第2のメッセージを送信しないことは、
前記第1のポートのポート状態が非マスター状態であること及び第1の条件に基づいて、前記第1のネットワーク装置により、前記第2のメッセージを送信しないこと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の条件は、前記第1のメッセージにおけるクロックIDがマスターノードのクロックIDと一致しないことを含む、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の条件は、前記第1のメッセージにおける発信元メディアアクセス制御MACアドレスがマスターノードのMACアドレスと一致しないことを含む、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の条件は、前記第1のメッセージにおける発信元インターネットプロトコルIPアドレスが、マスターノードのIPアドレスと一致しないことを含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のメッセージは前記第2のポートのポート状態を伝達し、前記第1の条件は、前記第1のメッセージが伝達する前記第2のポートのポート状態が、リスニング状態、pre_master状態、未調整状態、パッシブ状態又はスレーブ状態であることを含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記方法はピア遅延メカニズムで実施される、請求項1乃至のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
メッセージ処理装置であって、当該装置は請求項1乃至のいずれか一項に記載のメッセージ処理方法を実施するように構成されている、装置。
【請求項9】
ネットワーク装置であって、
メモリ及びプロセッサ、
を含み、
前記メモリは少なくとも1つの命令を記憶し、該少なくとも1つの命令がロードされ前記プロセッサによって実行されると、当該ネットワーク装置が請求項1乃至のいずれか一項に記載のメッセージ処理方法を実施する、ネットワーク装置。
【請求項10】
第1のネットワーク装置及び第2のネットワーク装置を含むメッセージ処理システムであって、該第1のネットワーク装置は請求項1乃至のいずれか一項に記載のメッセージ処理方法を実施するように構成されている、メッセージ処理システム。
【請求項11】
少なくとも1つの命令を記憶するコンピュータ読み取り可能記憶媒体であって、該命令がロードされプロセッサによって実行された場合、請求項1乃至のいずれか一項に記載のメッセージ処理方が実施される、コンピュータ読み取り可能記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、その全体が参照により本願に組み込まれる、2020年9月4日に出願された「メッセージ処理方法、装置及びシステム、デバイス並びに記憶媒体」と題する中国特許出願第202010924424.2号に対する優先権を主張する。
【0002】
本願は、クロック技術の分野に関し、具体的にはメッセージ処理方法、装置及びシステム、デバイス並びに記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
より高精度な時刻同期要件を満たすために、米国電子電気学会(IEEE)1588プロトコル規格が登場した。IEEE1588プロトコル規格の正式名称は、ネットワーク化された測定及び制御システムのための精密クロック同期プロトコル規格(IEEE 1588 precision clock synchronization protocol)であり、略して精密時間プロトコル(precision time protocol、PTP)と呼ばれる。
【0004】
IEEE1588プロトコル規格の適用範囲はますます広くなっており、1588メッセージを用いることにより時刻同期を行うシナリオがより多くある。一対多ポート通信システムでは、1588メッセージを適用して時刻同期を行うことは、適用シナリオのうちの1つである。1対多ポートは、1つのマスターポートと複数のスレーブポートとを含み、各ポートは1つのネットワーク装置に対応する。
【0005】
1対多ポート通信システムにおいて1588メッセージ交換をどのようにサポートするかは、現在解決すべき喫緊の課題である。
【発明の概要】
【0006】
本願は、関連技術の課題を解決するためにメッセージ処理方法、装置及びシステム、デバイス並びに記憶媒体を提供する。技術的解決策を以下に示す。
【0007】
第1の態様によれば、メッセージ処理方法が提供される。少なくとも3つのネットワーク装置を含む通信システムでは、少なくとも3つのネットワーク装置のうちの1つのポート状態はマスター状態であり、他のネットワーク装置のポート状態は非マスター状態である。例えば、本方法は、通信システムの第1のネットワーク装置に適用される。第1のネットワーク装置は、第2のポートによって送信された第1のメッセージを、第1のポートを介して受信し、該第1のポートは該第1のネットワーク装置のポートであり、該第2のポートは通信システムの該第2のネットワーク装置のポートであり、該第1のメッセージは遅延を測定するために用いられる。第1のポートのポート状態が非マスター状態であることに基づいて、第1のネットワーク装置は、第2のメッセージで応答するのを停止し、第2のメッセージは応答メッセージ及びfollow_upメッセージを含む。
【0008】
例えば、第1のメッセージはピア遅延要求(pdelay_req)メッセージであり、第2のメッセージはピア遅延応答(pdelay_resp)メッセージ及びピア遅延応答follow_up(pdelay_resp_follow_up)メッセージを含む。現在の802.1ASプロトコルによれば、ノードが複数のpdelay_respメッセージ及び複数のpdelay_resp_follow_upメッセージを受信すると、ノードはローカルポートの1588機能を無効にする。しかしながら、本メッセージ処理方法では、第1のメッセージを受信する第1のポートが非マスター状態の場合、第1のネットワーク装置は、複数の第2のメッセージを受信することにより第2のポートの1588機能が無効になるのを防止するために第2のメッセージでの応答するのを停止する。
【0009】
可能な実施では、第1のネットワーク装置が第1のポートを介して第2のポートによって送信された第1のメッセージを受信した後、第1のネットワーク装置は、第1のポートのポート状態が非マスター状態であることに基づいて、第1のポートを介して第2のポートに第2のメッセージで応答する。
【0010】
第2のメッセージは第1のポートのポート状態を伝達するため、第2のネットワーク装置は第1のポートが非マスター状態であるかを判定することができるため、第2のネットワーク装置の第2のポートの1588機能が無効になるのを防止するために、第2のメッセージを処理しない。
【0011】
可能な実施では、第1のポートのポート状態が非マスター状態であることは、第1のポートのポート状態がリスニング状態、pre_master状態、未調整状態、パッシブ状態又はスレーブ状態であることを含む。リスニング状態、pre_master状態、未調整状態、パッシブ状態及びスレーブ状態等の複数のポート状態は全て非マスター状態として用いられるため、メッセージ処理方法がより包括的なシナリオに適用される。
【0012】
可能な実施では、第1のポートのポート状態が非マスター状態であることに基づいて、第1のネットワーク装置が第2のメッセージで応答するのを停止することは、第1のポートのポート状態が非マスター状態であること及び第1の条件に基づいて、第1のネットワーク装置は、第2のメッセージで応答するのを停止する。
【0013】
第1のポートのポート状態が非マスター状態であり、第1の条件が満たされる場合、第2のメッセージで応答することが停止されるため、第2のメッセージで応答することを停止するシナリオがより正確になる。
【0014】
可能な実施では、第1の条件は、第1のメッセージにおけるクロックIDがマスターノードのクロックIDと一致しないことを含む。マスターノードのクロックIDは、マスターノード、つまりマスター状態にあるポートによって送信されたアナウンスメッセージ、同期メッセージ又はfollow_upメッセージから取得される。第1のネットワーク装置がマスターノードの場合、第1のネットワーク装置のクロックIDはマスターノードのクロックIDである。
【0015】
第1のメッセージにおけるクロックIDがマスターノードのクロックIDと一致するかどうかは、第2のポートのポート状態が非マスター状態であるかどうかを反映できる。第1のメッセージにおけるクロックIDとマスターノードのクロックIDとの不一致が第1の条件として用いられるため、第1のポート及び第2のポートのポート状態が共に非マスター状態の場合は、第2のメッセージでの応答することが停止される。第1の条件は、第1のメッセージで追加情報を伝達することなく、効果的且つ便利に取得できる。
【0016】
可能な実施では、第1の条件は、第1のメッセージにおける発信元メディアアクセス制御(media access control、MAC)アドレスがマスターノードのMACアドレスと一致しないことを含む。
【0017】
第1のメッセージにおけるMACアドレスがマスターノードのMACアドレスと一致するかどうかは、第2のポートのポート状態が非マスター状態であるかどうかを反映できる。第1のメッセージにおけるMACアドレスとマスターノードのMACアドレスとの不一致が第1の条件として用いられるため、第1のポート及び第2のポートのポート状態が共に非マスター状態の場合は、第2のメッセージでの応答することが停止される。第1の条件は、第1のメッセージで追加情報を伝達することなく、効果的且つ便利に取得できる。
【0018】
可能な実施では、第1の条件は、第1のメッセージにおける発信元インターネットプロトコル(Internet protocol、IP)アドレスが、マスターノードのIPアドレスと一致しないことを含む。
【0019】
第1のメッセージにおけるIPアドレスがマスターノードのIPアドレスと一致するかどうかは、第2のポートのポート状態が非マスター状態であるかどうかを反映できる。第1のメッセージにおけるIPアドレスとマスターノードのIPアドレスとの不一致が第1の条件として用いられるため、第1のポート及び第2のポートのポート状態が共に非マスター状態の場合は、第2のメッセージでの応答することが停止される。第1の条件は、第1のメッセージで追加情報を伝達することなく、効果的且つ便利に取得できる。
【0020】
可能な実施では、第1のメッセージは第2のポートのポート状態を伝達し、第1の条件は、第1のメッセージが伝達する第2のポートのポート状態が、リスニング状態、pre_master状態、未調整状態、パッシブ状態又はスレーブ状態であることを含む。
【0021】
第1のメッセージは第2のポートのポート状態を伝達するため、第1ネットワーク装置は第1のメッセージに基づいて第1の条件を直接取得できる。
【0022】
第2の態様によれば、メッセージ処理方法が提供される。少なくとも3つのネットワーク装置を含む通信システムでは、少なくとも3つのネットワーク装置のうちの1つのポート状態がマスター状態であり、他のネットワーク装置のポート状態は非マスター状態である。本方法が通信システムの第2のネットワーク装置に適用される例では、第2のネットワーク装置は第2のポートを介して第1のポートに第1のメッセージを送信し、第2のポートは第2のネットワーク装置のポートであり、第1のポートは第1のネットワーク装置のポートであり、第1のメッセージは遅延の測定するために用いられ、第2のネットワーク装置は、第1のポートを介して応答された第2のメッセージを第2のポートを介して受信し、第2のネットワーク装置は、第1のポートのポート状態が非マスター状態であることに基づいて第2のメッセージを処理することを停止し、第2のメッセージは応答メッセージ及びfollow_upメッセージを含む。
【0023】
第2のメッセージを処理するのを停止することは、第2のメッセージを処理するのをスキップすることとも理解され得る。
【0024】
例えば、第1のメッセージはピpdelay_reqメッセージであり、第2のメッセージはpdelay_respメッセージ及びピアpdelay_resp_follow_upメッセージを含む。現在の802.1ASプロトコルによれば、ノードが複数のpdelay_respメッセージ及び複数のpdelay_resp_follow_upメッセージを受信すると、ノードはローカルポートの1588機能を無効にする。しかしながら、本メッセージ処理方法では、第2のメッセージを送信する第1のポートが非マスター状態の場合、第2のネットワーク装置は、第2のネットワーク装置の第2のポートの1588機能が無効になるのを防止するために第2のメッセージを処理することを停止する。
【0025】
可能な実施では、第2のメッセージにおけるクロックIDがマスターノードのクロックIDと一致しない場合、第1のポートのポート状態は非マスター状態である。
【0026】
第1のポートのポート状態が非マスター状態であるかどうかは、第2のメッセージで追加情報を伝達することなく、クロックIDを用いることにより取得される。ポート状態の判定方法は比較的効果的で且つ便利である。
【0027】
可能な実施では、第2のメッセージにおける発信元メディアアクセス制御MACアドレスがマスターノードのMACアドレスと一致しない場合、第1のポートのポート状態は非マスター状態である。
【0028】
第1のポートのポート状態が非マスター状態であるかどうかは、第2のメッセージで追加情報を伝達することなく、発信元MACアドレスを用いることにより取得される。ポート状態の判定方法は比較的効果的で且つ便利である。
【0029】
可能な実施では、第2のメッセージにおける発信元インターネットプロトコルIPアドレスがマスターノードのIPアドレスと一致しない場合、第1のポートのポート状態は非マスター状態である。
【0030】
第1のポートのポート状態が非マスター状態であるかどうかは、第2のメッセージで追加情報を伝達することなく、発信元IPアドレスを用いることにより取得される。ポート状態の判定方法は比較的効果的で且つ便利である。
【0031】
可能な実施では、第2のメッセージが第1のポートのポート状態を伝達し、第2のメッセージで伝達される第1のポートのポート状態がリスニング状態、pre_master状態、未調整状態、パッシブ状態又はスレーブ状態の場合、第1のポートのポート状態は非マスター状態である。
【0032】
第2のメッセージは第1のポートのポート状態を伝達するため、第2のネットワーク装置は第2のメッセージに基づいて第1のポートのポート状態を直接判定でき、ポート状態の判定方法はより直接的である。
【0033】
可能な実施では、第1のポートのポート状態が非マスター状態であることに基づいて、第2のネットワーク装置が第2のメッセージを処理するのを停止することは、第1のポートのポート状態が非マスター状態であること及び第2の条件に基づいて、第2のネットワーク装置は、第2のメッセージを処理するのを停止する。
【0034】
第1のポートのポート状態が非マスター状態であり、第2の条件が満たされる場合では、第2のメッセージを処理することが停止されるため、第2のメッセージを処理することを停止するシナリオがより正確になる。
【0035】
可能な実施では、第2の条件は、第2のポートのポート状態がリスニング状態、pre_master状態、未調整状態、パッシブ状態又はスレーブ状態であることを含む。
【0036】
第2のポートのポート状態がリスニング状態、pre_master状態、未調整状態、パッシブ状態又はスレーブ状態であることが第2の条件として用いられるため、メッセージ処理方法がより包括的なシナリオに適用される。
【0037】
可能な実施では、第1のメッセージは第2のポートのポート状態を伝達する。第1のメッセージは第2のポートのポート状態を伝達するため、第1のメッセージを受信した第1のネットワーク装置は、第1のメッセージに基づいて第2のポートのポート状態を直接判定できる。
【0038】
第3の態様によれば、メッセージ処理装置が提供され、当該装置は、
第2のポートによって送信された第1のメッセージを、第1のポートを介して受信するように構成された受信モジュールであって、該第1のポートは第1のネットワーク装置のポートであり、該第2のポートは第2のネットワーク装置のポートであり、該第1のメッセージは遅延を測定するために用いられる、受信モジュールと、
第1のポートのポート状態が非マスター状態であることに基づいて、第2のメッセージで応答するのを停止するか又は第1のポートを介して第2のポートに第2のメッセージで応答するように構成された処理モジュールであって、該第2のメッセージは第1のポートのポート状態を伝達し、該第2のメッセージは応答メッセージ及びfollow_upメッセージを含む、処理モジュールと、
を含む。
【0039】
可能な実施では、第1のポートのポート状態が非マスター状態であることは、第1のポートのポート状態がリスニング状態、pre_master状態、未調整状態、パッシブ状態又はスレーブ状態であることを含む。
【0040】
可能な実施では、処理モジュールは、第1のポートのポート状態が非マスター状態であること及び第1の条件に基づいて、第2のメッセージで応答するのを停止するように構成されている。
【0041】
可能な実施では、第1の条件は、第1のメッセージにおけるクロックIDがマスターノードのクロックIDと一致しないことを含む。
【0042】
可能な実施では、第1の条件は、第1のメッセージにおける発信元メディアアクセス制御MACアドレスがマスターノードのMACアドレスと一致しないことを含む。
【0043】
可能な実施では、第1の条件は、第1のメッセージにおける発信元インターネットプロトコルIPアドレスが、マスターノードのIPアドレスと一致しないことを含む。
【0044】
可能な実施では、第1のメッセージは第2のポートのポート状態を伝達し、第1の条件は、第1のメッセージが伝達する第2のポートのポート状態が、リスニング状態、pre_master状態、未調整状態、パッシブ状態又はスレーブ状態であることを含む。
【0045】
第4の態様によれば、メッセージ処理装置が提供され、当該装置は、
第2のポートを介して第1のメッセージを第1のポートに送信するように構成された送信モジュールであって、該第2のポートは第2のネットワーク装置のポートであり、該第1のポートは第1のネットワーク装置のポートであり、該第1のメッセージは遅延を測定するために用いられる、送信モジュールと、
第1のポートを介して応答される第2のメッセージを、第2のポートを介して受信するように構成された受信モジュールであって、該第2のメッセージは応答メッセージ及びfollow_upメッセージを含む、受信モジュールと、
第1のポートのポート状態が非マスター状態であることに基づいて、第2のメッセージを処理するのを停止するように構成された処理モジュールと、
を含む。
【0046】
可能な実施では、第2のメッセージにおけるクロックIDがマスターノードのクロックIDと一致しない場合、第1のポートのポート状態は非マスター状態である。
【0047】
可能な実施では、第2のメッセージにおける発信元メディアアクセス制御MACアドレスがマスターノードのMACアドレスと一致しない場合、第1のポートのポート状態は非マスター状態である。
【0048】
可能な実施では、第2のメッセージにおける発信元インターネットプロトコルIPアドレスがマスターノードのIPアドレスと一致しない場合、第1のポートのポート状態は非マスター状態である。
【0049】
可能な実施では、第2のメッセージ記第1のポートのポート状態を伝達し、第2のメッセージで伝達される第1のポートのポート状態がリスニング状態、pre_master状態、未調整状態、パッシブ状態又はスレーブ状態の場合、第1のポートのポート状態は非マスター状態である。
【0050】
可能な実施では、処理モジュールは、第1のポートのポート状態が非マスター状態であること及び第2の条件に基づいて、第2のメッセージを処理するのを停止するように構成されている。
【0051】
可能な実施では、第2の条件は、第2のポートのポート状態がリスニング状態、pre_master状態、未調整状態、パッシブ状態又はスレーブ状態であることを含む。
【0052】
可能な実施では、第1のメッセージは第2のポートのポート状態を伝達する。
【0053】
ネットワーク装置がさらに提供される。ネットワーク装置はメモリ及びプロセッサを含み、メモリは少なくとも1つの命令を記憶し、該少なくとも1つの命令がロードされプロセッサによって実行されると、当該ネットワーク装置が第1の態様又は第2の態様のいずれか1つに係るメッセージ処理方法を実施する。
【0054】
少なくとも1つの命令を記憶するコンピュータ読み取り可能記憶媒体がさらに提供され、該命令がロードされプロセッサによって実行された場合、上記の説明のいずれか1つに係るメッセージ処理方法が実施される。
【0055】
別の通信装置が提供される。当該装置は、トランシーバ、メモリ及びプロセッサを含む。トランシーバ、メモリ及びプロセッサは、内部接続パスを用いることにより互いに通信する。メモリは命令を記憶するように構成されている。プロセッサは、トランシーバを制御して信号を受信し、トランシーバを制御して信号を送信するためにメモリに記憶された命令を実行するように構成されている。加えて、プロセッサがメモリに記憶された命令を実行した場合、プロセッサは、第1の態様又は第1の態様の任意の可能な実施の方法を行うか又は第1の態様又は第1の態様の任意の可能な実施の方法を行うことができる。
【0056】
例示の実施形態では、1つ以上のプロセッサがあり、1つ以上のメモリがある。
【0057】
例示の実施形態では、メモリはプロセッサと統合されていてもいいし、メモリはプロセッサとは独立して配置されていてもよい。
【0058】
特定の実施プロセスでは、メモリは読み取り専用メモリ(read-only memory、ROM)等の非一時的(non-transitory)メモリであり得る。メモリ及びプロセッサは1つのチップに統合されていてもいいし、別々のチップに配置されていてもよい。メモリの種類と、メモリ及びプロセッサの配置方法は、本願のこの実施形態では限定されない。
【0059】
コンピュータプログラム(製品)が提供される。コンピュータプログラム(製品)はコンピュータプログラムコードを含む。コンピュータプログラムコードがコンピュータ上で実行された場合、コンピュータは上記の態様に係る方法を行うことができる。
【0060】
チップが提供される。チップはプロセッサを含み、チップが搭載されている通信装置が上記の態様の方法を行うようにメモリに記憶された命令をメモリから呼び出し、該命令を実行するように構成されている。
【0061】
別のチップが提供される。当該チップは入力インターフェイス、出力インターフェイス、プロセッサ及びメモリを含む。入力インターフェイス、出力インターフェイス、プロセッサ及びメモリは、内部接続チャネルを介して互いに接続されている。プロセッサはメモリ内のコードを実行するように構成されている。コードが実行された場合、プロセッサは上記の態様の方法を行うように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1図1は、本願の一実施形態に係るPTPメッセージヘッダの構造の概略図である。
図2図2は、本願の一実施形態に係るpdelay_reqメッセージの構造の概略図である。
図3図3は、本願の一実施形態に係るpdelay_respメッセージの構造の概略図である。
図4図4は、本願の一実施形態に係るpdelay_resp_follow_upメッセージの構造の概略図である。
図5図5は、本願の一実施形態に係る通信システムの構造の概略図である。
図6図6は、本願の一実施形態に係るメッセージ交換手順の概略図である。
図7図7は、本願の一実施形態に係るメッセージ処理方法の概略フローチャートである。
図8図8は、本願の一実施形態に係る1588メッセージのフォーマットの概略図である。
図9図9は、本願の一実施形態に係る別の1588メッセージのフォーマットの概略図である。
図10図10は、本願の一実施形態に係るメッセージ処理方法のフローチャートである。
図11図11は、本願の一実施形態に係るメッセージ処理装置の構造の概略図である。
図12図12は、本願の一実施形態に係るメッセージ処理装置の構造の概略図である。
図13図13は、本願の一実施形態に係るネットワーク装置の構造の概略図である。
図14図14は、本願の一実施形態に係るネットワーク装置の構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
本願の実施部分で用いられている用語は、本願の実施形態を説明するために用いられているにすぎず、本願を限定することを意図していない。
【0064】
ますます多くの通信システムが高精密な時刻同期要件を有するにつれて、IEEE1588プロトコルの適用範囲はますます広くなっている。IEEE1588規格は、精密時間プロトコル(precision time protocol、PTP)と呼ばれる。PTPプロトコルは、request_response(request_response)メカニズム及びピア遅延(peer delay)メカニズムの2つの伝送遅延測定メカニズムを定義する。IEEE1588v2では、ピア遅延メカニズム(peer-delay mechanism)には、ピア遅延要求(pdelay_req)メッセージ、ピア遅延応答(pdelay_resp)メッセージ及びピア遅延応答follow_up(pdelay_resp_follow_up)メッセージの3種類のPTPメッセージが含まれる。加えて、シグナリング(signaling)メッセージ及びアナウンス(announce)メッセージがさらに追加される。
【0065】
IEEE802.1AS-2020は、IEEE1588v2のプロファイル(Profile)であり、産業及び車載分野等の分野で主に用いられている。IEEE802.1AS-2020で定義されている様々なPTPメッセージはPTPメッセージヘッダを含む。例えば、PTPメッセージヘッダの構造を図1に示す。PTPメッセージヘッダは、メジャースタンダードオーガニゼショーンID(majorSdoID)フィールド、メッセージタイプ(message type)フィールド、マイナーPTPバージョン(minor version PTP)フィールド、PTPバージョン(version PTP)フィールド、メッセージ長(メッセージ長)フィールド、PTPドメインシーケンス番号(domain number)フィールド、マイナースタンダードオーガニゼショーンID(minorSdoID)フィールド、フラグ(flags)フィールド、修正フィールド(correction field)フィールド、メッセージタイプ固有(message type specific)フィールド、発信元ポートID(source port ID)フィールド、シーケンスID(sequence ID)フィールド、制御フィールド(control field)フィールド及びログメッセージ間隔(log message interval)フィールドを含む。PTPメッセージヘッダのフィールドを以下で説明する。
【0066】
メッセージタイプ(message type)の場合、異なる値は異なるPTPメッセージを表す。PTPバージョン(version PTP)の場合、PTPバージョンがPTPバージョン1の場合、バージョンPTPの値は1であり、バージョンPTPがPTPバージョン2の場合、バージョンPTPの値は2である。PTPドメインシーケンス番号(domain number)の場合、PTPドメイン番号(domain number)フィールドの値は、変数であるデフォルトのデータセットドメイン番号(defaultDS domain number)である。フラグ(flags)は様々なマークを運ぶ。修正フィールド(correction field)は、透明クロックの滞留時間、ポイントツーポイント透明クロックのリンク遅延、非対称補償等を送信する。発信元ポートID(source port identity)は送信ポートの関連属性である。シーケンスID(sequence ID)は同じ送信ポートの同じ種類の複数のメッセージを区別するために用いられる。コントロールフィールド(control field)の場合、コントロールフィールドの値はメッセージタイプフィールドの値によって決定される。つまり、コントロールフィールドの値はメッセージタイプによって変化する。ログメッセージ間隔(log message interval)は、メッセージを送信するための対数間隔を運び、ログメッセージ間隔の値は2の対数である。
【0067】
pdelay_reqメッセージの構造を図2に示し、ヘッダ(header)フィールド(詳細については、11.4.2を参照されたい)及び予約(reserved)フィールドを含む。pdelay_respメッセージの構造を図3に示し、ヘッダ(header)フィールド(詳細については、11.4.2を参照されたい)、要求受信タイムスタンプ(request receipt timestamp)フィールド、要求ポートID(requesting port identity)フィールドを含む。図4に示すように、pdelay_resp_follow_upメッセージは、ヘッダ(header)フィールド(詳細については、11.4.2を参照されたい)、応答起点タイムスタンプ(response origin timestamp)フィールド、要求ポートID(requesting port identity)フィールドを含む。
【0068】
IEEE1588プロトコル規格の適用範囲の拡大に伴い、1588メッセージを用いることによりクロック同期が行われるシナリオがますます増えている。1588メッセージは、1対1のポート通信システムだけでなく、1対多のポート通信システムにも適用できる。1対1のポートは、1つのマスターポート及び1つのスレーブポートを含み、1対多のポートは、1つのマスターポートと複数のスレーブポートを含む。ポート1対1のポートであっっても、1対多のポートであっても、各ポートは一つのネットワーク装置に対応する。本願の実施形態では、マスターポートに対応するネットワーク装置をマスター(master)ノードといい、スレーブポートに対応するネットワーク装置をスレーブ(slave)ノードという。
【0069】
10BASE-T1Sシナリオにおける1588メッセージを車載分野に適用する適用シナリオを一例として用いる。10BASE-T1Sは、複数のイーサネット装置を接続するために単一のシールドなしツイストペアバス線を用いる技術である。10Baseは10Mbpsの速度レベルを表し、T1は物理層が単一のツイストペア(シールドなし)であることを表し、Sは短距離(short range)を表す。10BASE-T1Sは、1対多ポート通信システムに適用され得る。
【0070】
例えば、図5に示す1対多ポート通信システムを一例として用いる。1つのマスターノードは4つのスレーブノードとそれぞれ通信し、4つのスレーブノードは、スレーブノード1、スレーブノード2、スレーブノード3及びスレーブノード4である。1対多ポート通信システムでは、10BASE-T1Sは1588機能を実施するためにIEEE802.1ASプロトコルを用いる。IEEE802.1ASプロトコルは、広義の精密クロック同期システムを定義する。タイムセンシティブネットワーキング(Time Sensitive Networking、TSN)規格クラスタの基礎として、IEEE802.1ASプロトコルは、TSNにおける他の規格のために基本的な時刻同期機能を提供する。TSNを理解する上で、IEEE802.1ASプロトコルを実施及びテストすることは重要である。
【0071】
図6は、以下のメッセージの交換プロセスを含む、現在の802.1ASプロトコルで定義されているマスターノードとスレーブノードとの間のメッセージ交換手順を示す。
【0072】
(1)マスター(master)ノードは、アナウンス(announce)メッセージ及び同期(sync)メッセージをスレーブ(slave)ノードに送信する。
【0073】
マスターノードが2ステップモードで動作するように構成されている場合、マスターノードはfollow_upメッセージをさらにスレーブノードに送信する。マスターノードが1ステップモードで動作するように構成されている場合、マスターノードはfollow_upメッセージをスレーブノードに送信する必要はない。
【0074】
(2)マスターノードとスレーブノードとの間でピア遅延(pdelay)メッセージが送信される。pdelayメッセージの送信はポート状態とは無関係である。
【0075】
例えば、マスターノードはピア遅延要求(pdelay_req)メッセージをスレーブノードに送信し、スレーブノードはピア遅延応答(pdelay_resp)メッセージ及びピア遅延応答follow_up(pdelay_resp_follow_up)メッセージでマスターノードに応答する。この場合、マスターノードはマスターノードとスレーブノードとの間のリンク遅延と、スレーブノードに対するマスターノードの周波数オフセットとを計算し得る。
【0076】
別の例として、スレーブノードはpdelay_reqメッセージもマスターノードに送信でき、マスターノードはpdelay_respメッセージ及びpdelay_resp_follow_upメッセージでスレーブノードに応答する。この場合、スレーブノードはマスターノードとスレーブノードとの間のリンク遅延と、マスターノードに対するスレーブノードの周波数オフセットとを計算し得る。
【0077】
一般的な1対1のイーサネットインターフェイスの場合、ポートのポート状態は切り替わる。例えば、マスターノードのポートはマスター(master)状態からスレーブ(slave)状態に切り替わり、スレーブノードのポートはスレーブ状態からマスター状態に切り替わる。したがって、一般的なイーサネットインターフェイスのシナリオでは、マスターノードは、マスターノードとスレーブノードとの間の遅延と、スレーブノードに対するマスターノードの周波数オフセットを計算するためにスレーブノードにpdelay_reqメッセージを送信する必要がある。切り替えが完了すると、時間をすばやくロックできる。
【0078】
802.1ASプロトコルで定義されているIEEE1588メッセージは、マルチキャストモードでカプセル化されている。10BASE-T1Sの場合、マスターノードがアナウンスメッセージ、同期メッセージ及びfollow_upメッセージを送信すると、複数のスレーブノードによりアナウンスメッセージ、同期メッセージ及びfollow_upメッセージを受信できる。しかしながら、マスターノードがpdelay_reqメッセージを送信すると、複数のスレーブノードはpdelay_reqメッセージを受信する。その後、各スレーブノードは、pdelay_respメッセージ及びpdelay_resp_follow_upメッセージでマスターノードに応答する。したがって、マスターノードは、複数のpdelay_reqメッセージ及び複数のpdelay_resp_follow_upメッセージを受信する。
【0079】
しかしながら、現在の802.1ASプロトコルによれば、ノードが複数のpdelay_respメッセージ及び複数のpdelay_resp_follow_upメッセージを受信すると、ノードはローカルポートの1588機能を無効にする。したがって、マスターノードはローカルポートの1588機能を無効にするため、他のスレーブノードはマスターノードから1588時間を取得できない。
【0080】
pdelay_reqメッセージを送信した後、スレーブノードは複数のpdelay_respメッセージ及び複数のpdelay_resp_follow_upメッセージも受信する。その結果、スレーブノードのローカルポートの1588機能が無効にされる。
【0081】
10BASE-T1Sでは、マスターノード及びスレーブノードのポート状態は固定されている。したがって、マスターノードは、pdelayメッセージを用いることによりマスターノードとスレーブノードと間の遅延と、スレーブノードに対するマスターノードの周波数オフセットとを計算する必要がない。したがって、マスターノードのpdelayメッセージ送信間隔は127に設定される(IEEE 802.1AS-2020プロトコルのセクション10.6.4.3.6を参照されたい)。このように、マスターノードはスレーブノードにpdelay_reqメッセージを送信せず、マスターノードは、処理すべき複数のpdelay_respメッセージ及び複数のpdelay_resp_follow_upメッセージを受信しない。マスターノードのポートの1588機能は無効にされない。しかしながら、スレーブノードがpdelay_reqメッセージを送信すると、複数のPdelay_respメッセージ及び複数のPdelay_resp_follow_upメッセージが受信されることになる。その結果、問題が存続する。
【0082】
例えば、複数のスレーブノードのうちのターゲットスレーブノードがpdelay_reqメッセージを送信した場合、マスターノード及び複数のスレーブノードのうちの他のスレーブノードの全てはpdelay_reqメッセージを受信する。pdelay_reqメッセージを受信したマスターノード及び各スレーブノードは、ターゲットスレーブノードに対してpdelay_respメッセージ及びpdelay_resp_follow_upメッセージで応答する。その結果、ターゲットスレーブノードは複数のpdelay_reqメッセージ及び複数のpdelay_resp_follow_upメッセージを受信する。現在の802.1ASプロトコルによれば、ノードが複数のpdelay_respメッセージ及び複数のpdelay_resp_follow_upメッセージを受信すると、ノードはローカルポートの1588機能を無効にする。したがって、現在の802.1ASプロトコルで定義されている1588機能によれば、10BASE-T1Sの1588機能を正常に用いることができない。
【0083】
これに鑑みて、10BASE-T1Sシナリオにおいてスレーブノードが正常に1588メッセージを送信することができるように、本願の一実施形態はメッセージ処理方法を提供する。本方法は少なくとも3つのネットワーク装置を含む通信システムに適用され、少なくとも3つのネットワーク装置のうちの1つのネットワーク装置のポートのポート状態はマスター状態であり、他のネットワーク装置のポートのポート状態は非マスター状態である。例えば、本願のこの実施形態では、本願のこの実施形態で提供されるメッセージ処理方法を説明するために、少なくとも3つのネットワーク装置のうちの第1のネットワーク装置と第2のネットワーク装置との間の相互作用プロセスを一例として用いる。図7を参照されたい。本方法は以下のいくつかのプロセスを含む。
【0084】
701:第2のネットワーク装置は、第2のポートを介して第1のメッセージを第1のポートに送信し、第2のポートは第2のネットワーク装置のポートであり、第1のポートは第1のネットワーク装置のポートであり、第1のメッセージは遅延の測定するために用いられる。
【0085】
第2のネットワーク装置及び第1のネットワーク装置は同じ通信システムに位置する。本願の実施形態では、第1のポート及び第2のポートのポート状態は限定されない。IEEE1588プロトコルでは以下のポート状態が含まれる。
【0086】
(1)初期化(initializing)状態:ポートは初期化状態にある。初期化が完了した後、ポート状態はリスニング(listening)状態に変化する。初期化状態にあるポートは1588メッセージを送信できない。
【0087】
(2)障害(faulty)状態:ポートに障害がある場合、ポートは障害状態に設定される。障害状態にあるポートは1588メッセージを送信できないが、受信した1588管理メッセージに応答できる。
【0088】
(3)無効(disabled)状態:無効状態にあるポートは1588メッセージを送信できない。無効なポートは、1588管理メッセージを除く受信した1588メッセージを廃棄する。
【0089】
(4)リスニング(listening):この状態にあるポートはメッセージを受信し、pdelay_reqメッセージ、pdelay_respメッセージ、pdelay_resp_follow_upメッセージ、シグナリング(signaling)メッセージ、及び管理(management)メッセージを送信できますが、他のメッセージを送信することはできない。
【0090】
(5)Pre_master(pre_master)状態:pre_master状態はマスター状態に同様であり、pdelay_reqメッセージ、pdelay_respメッセージ、pdelay_resp_follow_upメッセージ、シグナリングメッセージ及び管理メッセージのみを送信できる状態である。
【0091】
(6)マスター(master)状態:マスター状態にあるポートは、アナウンスメッセージ、同期メッセージ、follow_upメッセージ、pdelay_reqメッセージ、pdelay_respメッセージ、pdelay_resp_follow_upメッセージ、シグナリングメッセージ及び管理メッセージ等の送信する必要があるメッセージを送信できる。
【0092】
(7)パッシブ(passive)状態:パッシブ状態にあるポートは、pdelay_reqメッセージ、pdelay_respメッセージ、pdelay_resp_follow_upメッセージ、シグナリングメッセージ及び管理メッセージのみを送信できる。
【0093】
(8)未調整(uncalibrated)状態:未調整状態は遷移状態である。未調整状態は、マスタークロックソースが選択され、同期中であることを示す。未調整状態にあるポートは、pdelay_reqメッセージ、pdelay_respメッセージ、pdelay_resp_follow_upメッセージ、シグナリングメッセージ及び管理メッセージを送信できる。
【0094】
(9)スレーブ(slave)状態:スレーブ状態は、デバイスが同期されて安定した後の状態である。スレーブ状態にあるポートは、pdelay_reqメッセージ、pdelay_respメッセージ、pdelay_resp_follow_upメッセージ、シグナリングメッセージ及び管理メッセージを送信できる。
【0095】
第2のポートを介して、第2のネットワーク装置によって第1のポートに送信された第1のメッセージは遅延測定のために用いられる。例えば、第1のメッセージはpdelay_reqメッセージである。
【0096】
702:第1のネットワーク装置は、第2のポートによって送信された第1のメッセージを第1のポートを介して受信する。
【0097】
例示の実施形態では、第1のメッセージはpdelay_reqメッセージである。pdelay_reqメッセージを受信した後に、第1のネットワーク装置は、第2のネットワーク装置にpdelay_respメッセージ及びpdelay_resp_follow_upメッセージで応答する。しかしながら、第1のネットワーク装置及び第2のネットワーク装置は一対多のポート通信システムにあるため、現在の802.1ASプロトコルによれば、ネットワーク装置が複数のpdelay_respメッセージ及び複数のpdelay_resp_follow_upメッセージを受信した場合、ネットワーク装置はメッセージを受信するポートの1588機能を無効にする。この場合、第1のポートを介して第2のポートから送信された第1のメッセージを受信した後、、第1のネットワーク装置は第1のポートの状態に基づいて、pdelay_respメッセージ及びpdelay_resp_follow_upメッセージで応答するかどうかをさらに判断する。
【0098】
本願のこの実施形態では、第1のポートのポート状態がリスニング状態、pre_master状態、未調整状態、パッシブ状態又はスレーブ状態の場合、第1のポートのポート状態は非マスター状態である。
【0099】
例示の実施形態では、第1のポートのポート状態に基づいて、第2のメッセージで応答するかどうかを判断することに加えて、第1のネットワーク装置は、第2のポートのポート状態を考慮して、第1のポートのポート状態及び第1の条件に基づいて、第2のメッセージ、つまり、pdelay_respメッセージ及びpdelay_resp_follow_upメッセージで応答するかどうかを判断する必要がある。
【0100】
第1の条件は本願の実施形態に限定されず、限定されないが、以下の4つのケースのいずれか1つを含む。
【0101】
第1のケースでは、第1の条件は、第1のメッセージにおけるクロックIDがマスターノードのクロックIDと一致しないことを含む。
【0102】
10BASE-T1Sシナリオの各ネットワーク装置がpdelay_reqメッセージを受信すると、pdelay_reqメッセージはクロックIDを含む。第1のメッセージにおけるクロックIDがマスターノードのクロックIDと一致しない場合は、第1のメッセージを送信する第2のポートがマスター状態にないことを示す。例えば、pdelay_reqメッセージのメッセージヘッダの発信元ポートIDフィールドの最初の8バイトはクロックID(clock identity)である。pdelay_reqメッセージのメッセージヘッダーのクロックIDがマスタークロックのクロックIDと一致しない場合、第1のネットワーク装置は、第2のポートが非マスター状態であると判定する。つまり、第1の条件を取得する。pdelay_reqメッセージのメッセージヘッダのクロックIDがマスタークロックのクロックIDと一致する場合、第1のネットワーク装置は第2のポートがマスター状態であると判定する。
【0103】
マスターノードのクロックIDは、マスターノード、つまりマスター状態にあるポートによって送信されたアナウンスメッセージ、同期メッセージ又はfollow_upメッセージから取得されるか又はローカルノードがマスターノードの場合、ローカルノードのクロックIDはマスターノードのクロックIDである。
【0104】
第2のケースでは、第1の条件は、第1のメッセージにおける発信元メディアアクセスコントロール(media access control、MAC)アドレスがマスターノードのMACアドレスと一致しないことを含む。
【0105】
マスターノードのクロックIDを用いることにより第2のポートのポート状態を特定することに加えて、本願のこの実施形態で提供される方法は、マスターノードの発信元MACアドレスを用いることにより第2のポートのポート状態を特定することをさらにサポートする。例えば、1588メッセージ形式がイーサネットカプセル化を介して送信される場合、例えば、現在の車載規格で用いられている1588規格802.1ASがイーサネットカプセル化の場合、完全な1588メッセージ形式を図8に示す。1588メッセージは宛先MAC(destination MAC、DMAC)フィールド、発信元MAC(source MAC、SMAC)フィールド、イーサネットタイプ(Ethernet type)フィールド、PTPメッセージヘッダ(PTP message header)フィールド及びPTPメッセージペイロード(PTP message payload)フィールドを含む。
【0106】
第1のネットワーク装置は、第1のメッセージの発信元MACアドレスがマスターノードのMACアドレスと一致しているかどうかを比較することにより、第2のポートのポート状態が非マスター状態かどうかを判定する。例えば、第1のネットワーク装置は、第1のメッセージの発信元MACアドレスがマスターノードのMACアドレスと一致していないことを比較することによって第2のポートのポート状態が非マスター状態であると判定する。すなわち、第1の条件を取得する。第1のネットワーク装置は、第1のメッセージの発信元MACアドレスがマスターノードのMACアドレスと一致していることを比較することにより、第2のポートのポート状態はマスター状態であると判定する。
【0107】
マスターノードのMACアドレスは、マスターノード、すなわち、マスター状態にあるポートによって送信されたアナウンスメッセージ、同期メッセージ又はfollow_upメッセージから取得され得るか又はローカルノードがマスターノードの場合、ローカルノードのMACアドレスはマスターノードのMACアドレスである。
【0108】
第3のケースでは、第1の条件は、第1のメッセージにおける発信元インターネットプロトコルIPアドレスがマスターノードのIPアドレスと一致しないことを含む。
【0109】
本願のこの実施形態で提供される方法は、マスターノードの発信元IPアドレスを用いることにより第2のポートのポート状態を特定することをさらにサポートする。例えば、1588メッセージ形式がIPカプセル化を介して送信される場合、完全な1588メッセージ形式を図9に示す。1588メッセージは、DMACフィールド、SMACフィールド、イーサネットタイプ(Ethernet type)フィールド、IPヘッダ(IP header)フィールド、発信元IP(source internet protocol、SIP)フィールド、宛先IP(destination internet protocol、DIP)フィールド、発信元ポート番号(source port number、SPN)フィールド、宛先ポート番号(destination port number、DPN)フィールド、UDP長(UDP length)フィールド、UDPチェックサム(UDP checksum)フィールド、PTPメッセージヘッダ(PTP message header)フィールド及びPTPメッセージペイロード(PTP message payload)フィールドを含む。
【0110】
第1のネットワーク装置は、第1のメッセージにおける発信元IPアドレスがマスターノードのIPアドレスと一致しているかどうかを比較することにより、第2のポートのポート状態が非マスター状態であるかどうかを判定する。例えば、第1のネットワーク装置は、第1のメッセージの発信元IPアドレスがマスターノードのIPアドレスと一致していないことを比較することにより、第2のポートのポート状態は非マスター状態であると判定する。つまり、第1の条件を取得する。第1のネットワーク装置は、第1のメッセージの発信元IPアドレスがマスターノードのIPアドレスと一致していることを比較することにより、第2のポートのポート状態がマスター状態であると判定する。
【0111】
マスターノードのIPアドレスは、マスターノード、すなわち、マスター状態にあるポートによって送信されたアナウンスメッセージ、同期メッセージ又はfollow_upメッセージから取得され得るか又はローカルノードがマスターノードの場合、ローカルノードのIPアドレスはマスターノードのIPアドレスである。
【0112】
第4のケースでは、第1のメッセージは第2のポートのポート状態を伝達し、第1の条件は、第1のメッセージで伝達される第2のポートのポート状態がリスニング状態、pre_master状態、未調整状態、パッシブ状態又はスレーブ状態であることを含む。第1のメッセージが第2のポートのポート状態を伝達する方法については、下記の1003における第2のメッセージが第1のポートのポート状態を伝達する方法を参照されたい。
【0113】
例えば、第1のメッセージで伝達される第2のポートのポート状態がリスニング状態、pre_master状態、未調整状態、パッシブ状態又はスレーブ状態の場合、第1のネットワーク装置は第2のポートが非マスター状態であると判定し、第1の条件を取得する。第1のメッセージで伝達される第2のポートのポート状態がマスター状態の場合、第1のネットワーク装置は第2のポートがマスター状態であると判定する。
【0114】
703:第1のネットワーク装置は、第1のポートのポート状態が非マスター状態であることに基づいて、第2のメッセージで応答するのを停止する。
【0115】
第1のメッセージを受信した第1のポートのポート状態を判定することにより、第1のポートのポート状態が非マスター状態である場合、第1のネットワーク装置は第2のメッセージで応答するのを停止し、第2のネットワーク装置が複数の第2のメッセージを受信するのを防止する。例えば、第2のメッセージは、pdelay_respメッセージ及びpdelay_resp_follow_upメッセージを含む。つまり、ポート状態が非マスター状態のネットワーク装置は、pdelay_respメッセージ及びpdelay_resp_follow_upメッセージで応答せず、マスターポートを有するネットワーク装置のみが、pdelay_respメッセージ及びpdelay_resp_follow_upメッセージで応答する。したがって、pdelay_reqメッセージを送信するネットワーク装置は、複数のpdelay_respメッセージ及び複数のpdelay_resp_follow_upメッセージを受信せず、pdelay_reqメッセージを送信するネットワーク装置に障害が起きない。なお、本願のこの実施形態における10BASE-T1Sインターフェイスでは、ポート状態がマスター状態であるポートは1つだけである。
【0116】
本願のこの実施形態における例示の実施形態では、第1のネットワーク装置は、第1のポートのポート状態が非マスター状態であること及び第1の条件に基づいて、第2のメッセージで応答することを停止して、第2のネットワーク装置が複数の第2のメッセージを受信するのを防止する。つまり、pdelay_reqメッセージを送信するポートが非マスター状態であり、pdelay_reqメッセージを受信するポートが非マスター状態の場合、受信ポートのネットワーク装置は、pdelay_respメッセージ及びpdelay_resp_follow_upメッセージで応答しない。したがって、pdelay_reqメッセージを送信するネットワーク装置は、複数のpdelay_respメッセージ及び複数のpdelay_resp_follow_upメッセージを受信せず、pdelay_reqメッセージを送信するネットワーク装置に障害は起きない。
【0117】
したがって、本願のこの実施形態で提供されるメッセージ処理方法によれば、1588メッセージを10BASE-T1Sシナリオで正常に送信することができ、10BASE-T1Sが車載分野及び他の分野で用いられた場合に1588時刻同期が正常に得られることを確かにする。
【0118】
なお、第2のポートのポート状態が非マスター状態であり、第1のポートのポート状態がマスター状態の場合、第1のネットワーク装置は第1のポートを介して第2のポートにpdelay_respメッセージ及びpdelay_resp_follow_upメッセージで応答するため、第2のポートが位置する第2のネットワーク装置は正常に時刻同期を行うことができる。例示の実施形態では、第1のポートのポート状態がマスター状態の場合、第1のネットワーク装置の第1のポートは通常、第2のネットワーク装置の第2のポートにpdelay_respメッセージ及びpdelay_resp_follow_upメッセージで応答するが、ポート状態が非マスター状態のネットワーク装置のポートは、pdelay_reqメッセージを送信するネットワーク装置のポートが複数のpdelay_respメッセージ及び複数のpdelay_resp_follow_upメッセージを受信するのを防止するために、pdelay_respメッセージ及びpdelay_resp_follow_upメッセージで応答しない。
【0119】
IEEE1588v2プロトコルで定義されたポート状態によれば、ポートがマスター/スレーブ/未調整/Pre_master/リスニング/パッシブ状態にある場合、ポートはpdelay_reqメッセージを送信し、pdelay_respメッセージ及びpdelay_resp_follow_upメッセージで応答する必要がある。しかしながら、本願のこの実施形態で提供されている方法によれば、ポート状態がマスター状態であるポートのみがpdelay_respメッセージ及びpdelay_resp_follow_upメッセージで応答する必要がある。したがって、ポート状態がスレーブ/未調整/Pre_master/リスニング/パッシブ状態にある場合、ポートはpdelay_respメッセージ及びpdelay_resp_follow_upメッセージで応答する必要がないことが規定され得る。
【0120】
例示の実施形態では、第1のメッセージを受信する第1のポートのポート状態が非マスター状態の場合、第1のネットワーク装置が第2のメッセージで応答を停止する方法に加えて、本願のこの実施形態で提供される方法は、10BASE-T1Sシナリオで1588メッセージが通常送信される別の方法をさらにサポートする。図10を参照されたい。本願の一実施形態で提供されるメッセージ処理方式は、以下のいくつかの処理を含む。
【0121】
1001:第2のネットワーク装置は、第2のポートを介して第1のメッセージを第1のポートに送信し、該第2のポートは該第2のネットワーク装置のポートであり、該第1のポートは第1のネットワーク装置のポートであり、該第1のメッセージは遅延を測定するために用いられる。
【0122】
第2のネットワーク装置及び第1のネットワーク装置は同じ通信システムにある。通信システムは少なくとも3つのネットワーク装置を含み、少なくとも3つのネットワーク装置のうちの1つのポートのポート状態はマスター状態であり、他のネットワーク装置のポートのポート状態は非マスター状態である。例えば、本願のこの実施形態では、本願のこの実施形態で提供されるメッセージ処理方法を説明するために、少なくとも3つのネットワーク装置における第1のネットワーク装置と第2のネットワーク装置との間の相互作用プロセスを一例として用いる。第1のポート及び第2のポートのポート状態は本願の実施形態では限定されない。ポート状態については、上記701の関連説明を参照されたい。例えば、第1のメッセージは遅延を測定するために用いられ、例えば、pdelay_reqメッセージである。
【0123】
1002:第1のネットワーク装置は、第1のポートを介して、第2のポートによって送信される第1のメッセージを受信する。
【0124】
例えば、第1のメッセージはpdelay_reqメッセージである。pdelay_reqメッセージを受信した後、第1のネットワーク装置は第2のネットワーク装置に第2のメッセージで、例えばpdelay_respメッセージ及びpdelay_resp_follow_upメッセージで応答する。しかしながら、第1のネットワーク装置及び第2のネットワーク装置は一対多のポート通信システムにあるため、現在の802.1ASプロトコルでによれば、ネットワーク装置が複数のpdelay_respメッセージ及び複数のpdelay_resp_follow_upメッセージを受信した場合、ネットワーク装置は、複数のpdelay_respメッセージ及び複数のpdelay_resp_follow_upメッセージを受信するポートの1588機能を無効にする。したがって、第2のポートによって送信された第1のメッセージを第1のポートを介して受信した後、第1のネットワーク装置は第1のポートのポート状態を判定して、第1のポートのポート状態に基づいて、pdelay_respメッセージ及びpdelay_resp_follow_upメッセージで応答するかどうかを判定する必要がある。例示の実施形態では、第1のポートのポート状態に基づいて、第2のメッセージで応答するかどうかを判定することに加えて、第1のネットワーク装置は第1の条件をさらに考慮し、第1のポートのポート状態及び第1の条件に基づいて、pdelay_respメッセージ及びpdelay_resp_follow_upメッセージで応答するかどうかをさらに判定し得る。
【0125】
第1のネットワーク装置が第1のポートのポート状態及び第1の条件を判定する方法については、702の関連説明を参照されたい。詳細についてはここでは再度説明しない。
【0126】
1003:第1のネットワーク装置は、第1のポートのポート状態が非マスター状態であることに基づいて、第1のポートを介して第2のポートに第2のメッセージで応答し、第2のメッセージは応答メッセージ及びfollow_upメッセージを含む。
【0127】
例示の実施形態では、第1のポートのポート状態が非マスター状態であると判定した後に、第1のネットワーク装置は、pdelay_reqメッセージを送信するネットワーク装置が複数のpdelay_respメッセージ及び複数のpdelay_resp_follow_upメッセージを受信するのを防止するために、第2のメッセージで応答しなくてもよく、例えば、pdelay_respメッセージ及びpdelay_resp_follow_upメッセージで応答しなくてもよい。それ以外の場合、pdelay_reqメッセージを送信するネットワーク装置は、複数のpdelay_respメッセージ及び複数のpdelay_resp_follow_upメッセージを受信するポートの1588機能を無効にする。加えて、本願のこの実施形態で提供される方法は、第2のメッセージが正常に応答された場合に1588メッセージの機能の実施をさらにサポートする。しかしながら、pdelay_reqメッセージを送信するポートのネットワーク装置が複数のpdelay_respメッセージ及びpdelay_resp_follow_upメッセージを受信するためにポートが無効になることを防止するために、本願のこの実施形態で提供される方法では、第1のポートのポート状態が第2のメッセージで伝達される。このように、第2のネットワーク装置は、受信したpdelay_respメッセージ及び受信したpdelay_resp_follow_upメッセージを処理するかどうかを判定するために、第1のポートのポート状態を判定することができる。
【0128】
例示の実施形態では、第1のポートのポート状態を判定することに加えて、第1のネットワーク装置は、第1の条件が満たされているかどうかをさらに判定し得る。第1のポートのポート状態が非マスター状態であること及び第1の条件に基づいて、第1のネットワーク装置は、pdelay_reqメッセージを送信するネットワーク装置が複数のpdelay_respメッセージ及び複数のpdelay_resp_follow_upメッセージを受信するのを防止するために、第2のメッセージで応答しなくてもよく、例えばpdelay_respメッセージ及びpdelay_resp_follow_upメッセージで応答しなくてもよい。pdelay_reqメッセージを送信するネットワーク装置は、複数のpdelay_respメッセージ及び複数のpdelay_resp_follow_upメッセージを受信するポートの1588機能を無効にする。加えて、本願のこの実施形態で提供される方法は、第2のメッセージが正常に応答された場合に1588メッセージの機能の実施をさらにサポートする。しかしながら、pdelay_reqメッセージを送信し、ポートが非マスター状態にあるネットワーク装置が、複数のpdelay_respメッセージ及びpdelay_resp_follow_upメッセージを受信することによってポートが無効にされるのを防止するために、本願のこの実施形態で提供される方法では、第1のポートのポート状態が第2のメッセージで伝達される。このように、第2のネットワーク装置は、受信したpdelay_respメッセージ及び受信したpdelay_resp_follow_upメッセージを処理するかどうかを判定するために、第1のポートのポート状態を判定することができる。
【0129】
例えば、第1のメッセージは、第2のポートのポート状態も伝達し得る。第1のメッセージが第2のポートのポート状態を伝達し、第2のメッセージが第1のポートのポート状態を伝達する方法は、本願の実施形態では限定されない。例えば、前述の9つの状態の場合、ポートの状態は4ビットを用いることにより伝達され得る。例えば、図1に示すPTPメッセージのメッセージヘッダに基づいて、PTPメッセージヘッダのフラグフィールドは、下記の表1に示すようにIEEE802.1ASプロトコルで定義されている。0番目のバイト目のビット3/4/7と1番目のバイトのビット6/7は予約フィールドであり、本願のこの実施形態では、ポート状態を伝達するために4ビットが選択され得る。
【0130】
【表1】


【0131】
ポート状態を伝えるためにフラグフィールドから4ビットを選択する上記の方法に加えて、本願のこの実施形態で提供される方法は、pdelay_reqメッセージ、pdelay_respメッセージ及びpdelay_resp_follow_upメッセージに1バイトを追加する方法をさらにサポートするため、追加されたバイトの4ビットがポート状態を伝達するために用いられる。
【0132】
1004:第2のネットワーク装置は、第2のポートを介して、第1のポートを介して応答された第2のメッセージを受信し、第2のネットワーク装置は、第1のポートのポート状態が非マスター状態であることに基づいて、第2のメッセージを処理することを停止する。
【0133】
第2のポートを介して、第1のポートを介して応答された第2のメッセージを受信した後に、第2のネットワーク装置は、第1のポートを介して応答された第2のメッセージを処理するかどうかを判定するために、第1のポートのポート状態をさらに判定する必要がある。第1のポートのポート状態は非マスター状態であり、限定されないが以下の4つのケースを含む。
【0134】
ケース1:第2のメッセージが第1のポートのポート状態を伝達し、第2のメッセージで伝達される第1のポートのポート状態がリスニング状態、pre_master状態、未調整状態、パッシブ状態又はスレーブ状態の場合、第1のポートのポート状態は非マスター状態である。
【0135】
ケース1では、第2のメッセージが第1のポートのポート状態を伝達するため、第2のメッセージで伝達される第1のポートのポート状態に従って第1のポートのポート状態が非マスター状態であると判定した後に、第2のネットワーク装置は第2のメッセージを処理するのを停止する。このように、第2のネットワーク装置は、他のスレーブノードによって送信された第2のメッセージを処理せず、マスターノードを介して応答された第2のメッセージのみを処理することで、複数の第2のメッセージの処理することにより第2のネットワーク装置の第2のポートが無効になるのを防止する。
【0136】
第2のメッセージが第1のポートのポート状態を伝達しない場合、第1のポートを介して応答された第2のメッセージを第2のネットワーク装置が第2のポートを介して受信した後に、限定されないが以下の方法2~4のいずれかで第1のポートのポート状態を判定する方法がさらに含まれる。
【0137】
ケース2:第2のメッセージにおけるクロックIDがマスターノードのクロックIDと一致しない場合、第1のポートのポート状態は非マスター状態である。
【0138】
10BASE-T1Sシナリオにおける各ネットワーク装置がpdelay_respメッセージ及びpdelay_resp_follow_upメッセージを受信する場合、pdelay_respメッセージ及びpdelay_resp_follow_upメッセージはクロックIDを含む。第2のメッセージにおけるクロックIDがマスターノードのクロックIDと一致しない場合、第2のメッセージを送信する第1のポートのポート状態はマスター状態ではないことを示す。例えば、pdelay_respメッセージ及びpdelay_resp_follow_upメッセージのメッセージヘッダの発信元ポートIDフィールドの最初の8バイトは、クロックID(clock identity)である。pdelay_respメッセージ及びpdelay_resp_follow_upメッセージのメッセージヘッダのクロックIDがマスタークロックのクロックIDと一致しない場合、第2のネットワーク装置は、第1のポートが非マスター状態であると判定する。pdelay_respメッセージ及びpdelay_resp_follow_upメッセージのメッセージヘッダのクロックIDがマスタークロックのクロックIDと一致する場合、第2のネットワーク装置は第1のポートがマスター状態であると判定する。
【0139】
マスタークロックのクロックIDは、マスターノード、すなわち、マスター状態にあるポートによって送信されたアナウンスメッセージ、同期メッセージ又はfollow_upメッセージから取得され得るか又はローカルノードがマスターノードの場合、ローカルノードのクロックIDはマスターノードのクロックIDである。
【0140】
ケース3:第2のメッセージにおける発信元MACアドレスがマスターノードのMACアドレスと一致しない場合、第1のポートのポート状態は非マスター状態である。
【0141】
マスターノードのクロックIDを用いることにより第1のポートのポート状態を特定することに加えて、本願のこの実施形態で提供される方法は、マスターノードの発信元MACアドレスを用いることにより第1のポートのポート状態を特定することをさらにサポートする。例えば、1588メッセージ形式がイーサネットカプセル化を介して送信される場合、例えば、現在の車載規格で用いられている1588規格802.1ASがイーサネットカプセル化の場合、完全な1588メッセージ形式を図8に示す。1588メッセージは宛先MAC(destination MAC、DMAC)フィールド、発信元MAC(source MAC、SMAC)フィールド、イーサネットタイプ(Ethernet type)フィールド、PTPメッセージヘッダ(PTP message header)フィールド及びPTPメッセージペイロード(PTP message payload)フィールドを含む。
【0142】
第2のネットワーク装置は、第2のメッセージの発信元MACアドレスがマスターノードのMACアドレスと一致しているかどうかを比較することによって、第1のポートのポート状態が非マスター状態であるかどうか判定する。例えば、第2のネットワーク装置は、第2のメッセージの発信元MACアドレスがマスターノードのMACアドレスと一致していないことを比較することにより、第1のポートのポート状態は非マスター状態であると判定する。第2のネットワーク装置は、第2のメッセージの発信元MACアドレスがマスターノードのMACアドレスと一致していることを比較することにより、第1のポートのポート状態がマスター状態であると判定する。
【0143】
マスターノードのMACアドレスは、マスターノード、すなわち、マスター状態にあるポートによって送信されたアナウンスメッセージ、同期メッセージ又はfollow_upメッセージから取得され得るか又はローカルノードがマスターノードの場合、ローカルノードのMACアドレスはマスターノードのMACアドレスである。
【0144】
ケース4:第2のメッセージにおける発信元IPアドレスがマスターノードのIPアドレスと一致しない場合、第1のポートのポート状態は非マスター状態である。
【0145】
本願のこの実施形態で提供される方法は、マスターノードの発信元IPアドレスを用いることにより第1のポートのポート状態を特定することをさらにサポートする。例えば、1588メッセージ形式がIPカプセル化を介して送信される場合、完全な1588メッセージ形式を図9に示す。1588メッセージは、DMACフィールド、SMACフィールド、イーサネットタイプフィールド、IPヘッダ(IP header)フィールド、発信元IP(source internet protocol、SIP)フィールド、宛先IP(destination internet protocol、DIP)フィールド、発信元ポート番号(source port number、SPN)フィールド、宛先ポート番号(destination port number、DPN)フィールド、UDP長(UDP length)フィールド、UDPチェックサム(UDP checksum)フィールド、PTPメッセージヘッダ(PTP message header)フィールド及びPTPメッセージペイロード(PTP message payload)フィールドを含む。
【0146】
第2のネットワーク装置は、第2のメッセージの発信元IPアドレスがマスターノードのIPアドレスと一致しているかどうかを比較することにより、第1のポートのポート状態が非マスター状態であるかどうかを判定する。例えば、第2のネットワーク装置は、第2のメッセージの発信元IPアドレスがマスターノードのIPアドレスと一致しないことを比較することにより、第1のポートのポート状態は非マスター状態であると判定する。第2のネットワーク装置は、第2のメッセージの発信元IPアドレスがマスターノードのIPアドレスと一致していることを比較することにより、第1のポートのポート状態はマスター状態であると判定する。
【0147】
マスターノードのIPアドレスは、マスターノード、すなわち、マスター状態にあるポートによって送信されたアナウンスメッセージ、同期メッセージ又はfollow_upメッセージから取得され得るか又はローカルノードがマスターノードの場合、ローカルノードのIPアドレスはマスターノードのIPアドレスである。
【0148】
任意で、例示の実施形態では、第2のネットワーク装置は、第1のポートのポート状態が非マスター状態であること及び第2の条件に基づいて、第2のメッセージを処理することを停止する。
【0149】
例えば、第2の条件は、第2のポートのポート状態がリスニング状態、pre_master状態、未調整状態、パッシブ状態又はスレーブ状態であることを含む。第1のポートが非マスター状態であること及び第2の条件に基づいて、第1のポートを介して応答された第2のメッセージを第2のネットワーク装置が受信したとしても、第2のネットワーク装置は、複数の第2のメッセージを受信した場合に、ネットワーク装置がメッセージを受信する第2のポートの1588機能を無効にするのを防止するために、第2のメッセージを処理することを停止する。
【0150】
例えば、第2のポートが位置する第2のネットワーク装置が、pdelay_respメッセージ及びpdelay_resp_follow_upメッセージで伝達される第1のポートのポート状態が非マスター状態であることに基づいて又はpdelay_respメッセージ及びpdelay_resp_follow_upメッセージで伝達される発信元クロックID、発信元MACアドレス又は発信元IPアドレスに基づいて、第1のポートのポート状態が非マスター状態であると判定し、第2のポートのポート状態も非マスター状態の場合、第2のネットワーク装置はpdelay_respメッセージ及びpdelay_resp_follow_upメッセージを処理しなくてもよい。
【0151】
なお、ネットワーク装置(ポートがマスター状態又は非マスター状態にあるネットワーク装置)がpdelay_reqメッセージを送信しないが、別のネットワーク装置によって応答されたpdelay_respメッセージ及びpdelay_resp_follow_upメッセージを受信でき、pdelay_respメッセージ及びpdelay_resp_follow_upメッセージにおける要求ポートIDフィールドが、ネットワーク装置のメッセージを受信するポートのポートIDと異なる場合、ネットワーク装置は現在の802.1ASプロトコルに従ってメッセージを処理しなくてもよい。
【0152】
加えて、本願のこの実施形態で提供される方法は、1588メッセージが10BASE-T1Sシナリオで送信される例のみを用いて説明してきた。本願のこの実施形態で提供される方法は、10BASE-T1Sシナリオで1588メッセージを送信することのみに適用可能なわけではなく、起こり得る別の一対多ポート通信システムにも適用可能である。本願の実施形態では、本方法の適用シナリオは限定されない。
【0153】
上記では本願の実施形態におけるメッセージ処理方法を説明した。上記の方法に対応して、本願の実施形態はメッセージ処理装置をさらに提供する。図11は、本願の実施形態に係るメッセージ処理装置の構造の概略図である。本装置は第1のネットワーク装置に適用され、第1のネットワーク装置は図7又は図10のいずれかに示す第1のネットワーク装置である。図11に示す下記の複数のモジュールに基づいて、図11に示すメッセージ処理装置は、第1のネットワーク装置によって行われる全ての又は一部の動作を行うことができる。装置は、図示のモジュールよりも多くの追加モジュールを含み得るか又は図示のモジュールの一部が省略され得ることを理解すべきである。これは、本願の実施形態では限定されない。図11に示すように、本装置は、
第2のポートによって送信された第1のメッセージを、第1のポートを介して受信するように構成された受信モジュール1101であって、該第1のポートは第1のネットワーク装置のポートであり、該第2のポートは第2のネットワーク装置のポートであり、該第1のメッセージは遅延を測定するために用いられる、受信モジュール1101と、
第1のポートのポート状態が非マスター状態であることに基づいて、第2のメッセージで応答するのを停止するか又は第1のポートを介して第2のポートに第2のメッセージで応答するように構成された処理モジュール1102であって、該第2のメッセージは第1のポートのポート状態を伝達し、該第2のメッセージは応答メッセージ及びfollow_upメッセージを含む、処理モジュール1102と、
を含む。
【0154】
可能な実施では、第1のポートのポート状態が非マスター状態であることは、第1のポートのポート状態がリスニング状態、pre_master状態、未調整状態、パッシブ状態又はスレーブ状態であることを含む。
【0155】
可能な実施では、処理モジュール1102は、第1のポートのポート状態が非マスター状態であること及び第1の条件に基づいて、第2のメッセージで応答するのを停止するように構成されている
【0156】
可能な実施では、第1の条件は、第1のメッセージにおけるクロックIDがマスターノードのクロックIDと一致しないことを含む。
【0157】
可能な実施では、第1の条件は、第1のメッセージにおける発信元メディアアクセス制御MACアドレスがマスターノードのMACアドレスと一致しないことを含む。
【0158】
可能な実施では、第1の条件は、第1のメッセージにおける発信元インターネットプロトコルIPアドレスが、マスターノードのIPアドレスと一致しないことを含む。
【0159】
可能な実施では、第1のメッセージは第2のポートのポート状態を伝達し、第1の条件は、第1のメッセージが伝達する第2のポートのポート状態が、リスニング状態、pre_master状態、未調整状態、パッシブ状態又はスレーブ状態であることを含む。
【0160】
図12は、本願の実施形態に係るメッセージ処理装置の構造の概略図である。本装置は第2のネットワーク装置に適用され、第2のネットワーク装置は図7又は図10のいずれかに示す第2のネットワーク装置である。図12に示す下記の複数のモジュールに基づいて、図12に示すメッセージ処理装置は、第2のネットワーク装置によって行われる全ての又は一部の動作を行うことができる。装置は、図示のモジュールよりも多くの追加モジュールを含み得るか又は図示のモジュールの一部が省略され得ることを理解すべきである。これは、本願の実施形態では限定されない。図12に示すように、本装置は、
第2のポートを介して第1のメッセージを第1のポートに送信するように構成された送信モジュール1201であって、該第2のポートは第2のネットワーク装置のポートであり、該第1のポートは第1のネットワーク装置のポートであり、該第1のメッセージは遅延を測定するために用いられる、送信モジュール1201と、
第1のポートを介して応答される第2のメッセージを、第2のポートを介して受信するように構成された受信モジュール1202であって、該第2のメッセージは応答メッセージ及びfollow_upメッセージを含む、受信モジュール1202と、
第1のポートのポート状態が非マスター状態であることに基づいて、第2のメッセージを処理するのを停止するように構成された処理モジュール1203と、
を含む。
【0161】
可能な実施では、第2のメッセージにおけるクロックIDがマスターノードのクロックIDと一致しない場合、第1のポートのポート状態は非マスター状態である。
【0162】
可能な実施では、第2のメッセージにおける発信元メディアアクセス制御MACアドレスがマスターノードのMACアドレスと一致しない場合、第1のポートのポート状態は非マスター状態である。
【0163】
可能な実施では、第2のメッセージのソースインターネットプロトコルIPアドレスがマスターノードのIPアドレスと一致しない場合、第1のポートのポート状態は非マスター状態である。
【0164】
可能な実施では、第2のメッセージが第1のポートのポート状態を伝達し、前記第2のメッセージで伝達される前記第1のポートのポート状態がリスニング状態、pre_master状態、未調整状態、パッシブ状態又はスレーブ状態の場合、前記第1のポートのポート状態は非マスター状態である。
【0165】
可能な実施では、処理モジュールは、第1のポートのポート状態が非マスター状態であること及び第2の条件に基づいて、第2のメッセージを処理するのを停止するように構成されている。
【0166】
可能な実施では、第2の条件は、第2のポートのポート状態がリスニング状態、pre_master状態、未調整状態、パッシブ状態又はスレーブ状態であることを含む。
【0167】
可能な実施では、第1のメッセージは第2のポートのポート状態を伝達する。
【0168】
図11又は図12に示す装置が装置の機能を実施する場合、上記の機能モジュールへの分割は説明のための一例として用いているにすぎないことを理解すべきである。実際の適用では、上記の機能は要件に基づいて実施のために異なる機能モジュールに割り当てられ得る。つまり、装置の内部構造を異なる機能モジュールに分割して、上記の機能の全て又は一部が実施される。加えて、上記の実施形態で提供される装置及び方法の実施形態は同じ概念に関連する。具体的な装置の実施プロセスについては、方法の実施形態を参照されたい。詳細については、ここでは再度説明しない。
【0169】
図13を参照されたい。図13は、本願の例示の実施形態に係るネットワーク装置2000の構造の概略図である。図13に示すネットワーク装置2000は、図7又は図10に示すメッセージ処理方法に関する動作を行うように構成されている。ネットワーク装置2000は、例えばスイッチ又はルータであり、ネットワーク装置2000は一般的なバスアーキテクチャを用いることにより実施され得る。
【0170】
図13に示すように、ネットワーク装置2000は、少なくとも1つのプロセッサ2001、メモリ2003及び少なくとも1つの通信インターフェイス2004を含む。
【0171】
プロセッサ2001は、例えば、汎用中央処理装置(central processing unit、CPU)、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、ネットワークプロセッサ(network processor、NP)、グラフィックス処理装置(Graphics Processing Unit、GPU)、ニューラルネットワーク処理装置(neural-network processing unit、NPU)、データ処理装置(Data Processing Unit、DPU)、マイクロプロセッサ又は本願の解決策を実施するように構成された1つ以上の集積回路である。例えば、プロセッサ2001は、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(programmable logic device、PLD)又は別のプログラマブルロジックデバイス、トランジスタロジックデバイス、ハードウェアコンポーネント又はそれらの任意の組み合わせを含む。PLDは、例えば、複合プログラマブルロジックデバイス(complex programmable logic device、CPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array、FPGA)、汎用アレイロジック(generic array logic、GAL)又はそれらの任意の組み合わせである。プロセッサは、本発明の実施形態で開示された内容を参照して説明した様々な論理ブロック、モジュール及び回路を実施又は実行できる。あるいは、プロセッサは、コンピューティング機能を実装するプロセッサの組み合わせ、例えば、1つ以上のマイクロプロセッサの組み合わせ又はDSPとマイクロプロセッサとの組み合わせであり得る。
【0172】
任意で、ネットワーク装置2000はバスをさらに含む。バスはネットワーク装置2000のコンポーネント間で情報を送信するように構成されている。バスは、ペリフェラルコンポーネントインターコネクト(Peripheral Component Interconnect、略称PCI)バス、拡張業界標準(Extended Industry Standard Architecture、略称EISA)バス等であり得る。バスは、アドレスバス、データバス、コントロールバス等に分類され得る。わかりやすくするために、図13のバスを表すために1つの太線のみを用いているが、これはバスが1つだけであるか又はバスの1種類しかないことを意味するものではない。
【0173】
メモリ2003は、例えば、限定されないが、静的な情報及び命令を記憶可能な読み取り専用メモリ(read-only memory、ROM)若しくは他の種類の静的記憶装置、情報及び命令を記憶可能なランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)若しくは他の種類の動的記憶装置又は電気的に消去可能なプログラマブルリードオンリーメモリ(electrically erasable programmable read-only Memory、EEPROM)、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(compact disc read-only memory、CD-ROM)又は他のコンパクトディスク記憶装置、光ディスク記憶装置(コンパクトディスク、レーザーディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク、ブルーレイディスク等を含む)、磁気ディスク記憶媒体若しくは他の磁気記憶装置又は命令の形態又はデータ構造の想定されるプログラムコードを搬送及び記憶し、コンピュータによってアクセス可能な任意の他の媒体である。例えば、メモリ2003は独立して存在し、バスを用いることによりプロセッサ2001に接続されている。あるいは、メモリ2003はプロセッサ2001と統合され得る。
【0174】
通信インターフェイス2004は、他の装置又は通信ネットワークと通信するための、トランシーバ等の任意の装置である。通信ネットワークは、イーサネット、無線アクセスネットワーク(RAN)、無線ローカルエリアネットワーク(wireless local area network、WLAN)等である。通信インターフェイス2004は有線通信インターフェイスを含み得るか、代替的に無線通信インターフェイスを含み得る。具体的には、通信インターフェイス2004は、イーサネット(Ethernet)インターフェイス、ファストイーサネット(Fast Ethernet、FE)インターフェイス、ギガビットイーサネット(Gigabit Ethernet、GE)インターフェイス、非同期転送モード(Asynchronous Transfer Mode、ATM)インターフェイス、無線ローカルエリアネットワーク(wireless local area network、WLAN)インターフェイス、セルラーネットワーク通信インターフェイス又はこれらの組み合わせである。イーサネットインターフェイスは光インターフェイス、電気インターフェイス又はこれらの組み合わせである。本願のこの実施形態では、通信インターフェイス2004は、別の装置と通信するためにネットワーク装置2000によって用いられ得る。
【0175】
特定の実施の間、一実施形態では、プロセッサ2001は1つ以上のCPU、例えば、図13に示すCPU0及びCPU1を含み得る。各プロセッサはシングルコア(シングルCPU)プロセッサであっても、マルチコア(マルチCPU)プロセッサであってもよい。本明細書におけるプロセッサは、データ(例えば、コンピュータプログラム命令)を処理するように構成された1つ以上の装置、回路及び/又は処理コアであり得る。
【0176】
特定の実施の間、一実施形態では、ネットワーク装置2000は複数のプロセッサ、例えば、図13に示すプロセッサ2001及びプロセッサ2005を含み得る。各プロセッサは、シングルコアプロセッサ(シングルCPU)であっても、マルチコアプロセッサ(マルチCPU)であってもよい。本明細書におけるプロセッサは、データ(例えば、コンピュータプログラム命令)を処理するように構成された1つ以上の装置、回路及び/又は処理コアであり得る。
【0177】
特定の実施の間、一実施形態では、ネットワーク装置2000は出力装置及び入力装置をさらに含み得る。出力装置はプロセッサ2001と通信し、複数の方法で情報を表示し得る。例えば、出力装置は、液晶ディスプレイ(liquid crystal display、LCD)、発光ダイオード(light emitting diode、LED)表示装置、陰極線管(cathode ray tube、CRT)表示装置又はプロジェクタ(projector)であり得る。入力装置はプロセッサ2001と通信し、複数の方法でユーザによる入力を受信し得る。例えば、入力装置は、マウス、キーボード、タッチスクリーンデバイス又はセンシング装置であり得る。
【0178】
一部の実施形態では、メモリ2003は、本願の解決策を実行するためのプログラムコード2010を記憶するように構成され、プロセッサ2001は、メモリ2003に記憶されたプログラムコード2010を実行し得る。つまり、ネットワーク装置2000は、プロセッサ2001及びメモリ2003内のプログラムコード2010を用いることにより、方法の実施形態で提供されるメッセージ処理方法を実施できる。プログラムコード2010は1つ以上のソフトウェアモジュールを含み得る。任意で、プロセッサ2001は、本願の解決策を実行するためのプログラムコード又は命令も記憶し得る。
【0179】
特定の実施形態では、本願のこの実施形態におけるネットワーク装置2000は、上記の方法の実施形態における第1のネットワーク装置に対応し得る。ネットワーク装置2000内のプロセッサ2001はメモリ2003内の命令を読み取るため、図13に示すネットワーク装置2000は、第1のネットワーク装置によって行われる全ての又は一部の動作を行うことができる。
【0180】
具体的な実施形態では、本願の本実施形態におけるネットワーク装置2000は、上記の方法の実施形態における第2のネットワーク装置に対応し得る。ネットワーク装置2000内のプロセッサ2001はメモリ2003内の命令を読み取るため、図13に示すネットワーク装置2000は、第2のネットワーク装置によって行われる全ての又は一部の動作を行うことができる。
【0181】
ネットワーク装置2000は、図11及び図12に示す装置にさらに対応し得る。図11及び図12に示す装置内の各機能モジュールは、ネットワーク装置2000のソフトウェアを用いることにより実施される。つまり、図11及び図12に示す装置に含まれる機能モジュールは、ネットワーク装置2000のプロセッサ2001がメモリ2003に記憶されたプログラムコード2010を読み込んだ後に生成される。
【0182】
図7及び図10に示すメッセージ処理方法のステップは、ハードウェア集積論理回路又はネットワーク装置2000のプロセッサにおいて、ソフトウェアの形態の命令を用いることにより完了する。本願の実施形態を参照して開示した方法の各ステップはハードウェアプロセッサによって直接行われ得るか又はプロセッサ内のハードウェアとソフトウェアモジュールとの組み合わせを用いることにより行われ得る。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ、プログラマブル読み取り専用メモリ、電気的に消去可能なプログラマブルメモリ、レジスタ等の当技術分野の成熟した記憶媒体に位置し得る。記憶媒体はメモリ内に位置し、プロセッサはメモリ内の情報を読み取り、プロセッサ内のハードウェアと組み合わせて上記の方法のステップを完了する。繰り返しを避けるため、ここでは詳細については再度説明しない。
【0183】
図14を参照されたい。図14は、本願の別の例示の実施形態に係るネットワーク装置2100の構造の概略図である。図14に示すネットワーク装置2100は、図7及び図10に示すメッセージ処理方法の動作のうちの全て又は一部を行うように構成されている。ネットワーク装置2100は、例えばスイッチ又はルータであり、ネットワーク装置2100は、汎用バスアーキテクチャを用いることにより実施され得る。
【0184】
図14に示すように、ネットワーク装置2100は、主制御ボード2110及びインターフェイスボード2130を含む。
【0185】
主制御ボードは主処理装置(main processing unit、MPU)又はルートプロセッサカード(route processor card)とも呼ばれる。主制御ボード2110は、ルート計算、装置管理、装置メンテナン及びプロトコルベースの処理を含む、ネットワーク装置2100内のコンポーネントを制御及び管理するように構成されている。主制御ボード2110は中央処理装置2111及びメモリ2112を含む。
【0186】
インターフェイスボード2130は、ライン処理装置(line processing unit、LPU)、ラインカード(line card)又はサービスボードとも呼ばれる。インターフェイスボード2130は様々なサービスインターフェイスを提供し、データパケットを転送するように構成されている。サービスインターフェイスは、限定されないが、イーサネットインターフェイス、POS(Packet over SONET/SDH)インターフェイス等を含む。イーサネットインターフェイスは、例えば、フレキシブルイーサネットサービスインターフェイス(Flexible Ethernet Clients、FlexE Clients)である。インターフェイスボード2130は中央処理装置2131、ネットワークプロセッサ2132、転送エントリメモリ2134及び物理インターフェイスカード(physical interface card、PIC)2133を含む。
【0187】
インターフェイスボード2130上の中央処理装置2131は、インターフェイスボード2130を制御及び管理し、主制御ボード2110上の中央処理装置2111と通信するように構成されている。
【0188】
ネットワークプロセッサ2132はメッセージ転送処理を実施するように構成されている。ネットワークプロセッサ2132の一形態は転送チップであり得る。転送チップはネットワークプロセッサ(network processor、NP)であり得る。一部の実施形態では、転送チップは特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、ASIC)又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(field programable gate array、FPGA)を用いることにより実施され得る。具体的には、ネットワークプロセッサ2132は、転送エントリメモリ2134に記憶された転送テーブルに基づいて、受信したメッセージを転送するように構成されている。メッセージの宛先アドレスがネットワーク装置2100のアドレスの場合、ネットワークプロセッサ2132は、処理のためにCPU(例えば中央処理装置2131)にメッセージを送信する。メッセージの宛先アドレスがネットワーク装置2100のアドレスでない場合、ネットワークプロセッサ2132は、宛先アドレスに基づいて、転送テーブルの宛先アドレスに対応するネクストホップ及びアウトバウンドインターフェイスを検索し、宛先アドレスに対応するアウトバウンドインターフェイスにメッセージを転送する。アップリンクメッセージに対する処理は、メッセージ入力インターフェイスでの処理と、転送テーブル検索とを含み、ダウンリンクメッセージに対する処理は、転送テーブル検索等を含み得る。一部の実施形態では、中央処理装置は、転送チップの機能、例えば、インターフェイスボードが転送チップを必要としないように、汎用CPUに基づくソフトウェア転送も実施し得る。
【0189】
物理インターフェイスカード2133は、物理層相互接続機能を実施するように構成されている。元のトラフィックは物理インターフェイスカード2133からインターフェイスボード2130に入り、処理されたメッセージが物理インターフェイスカード2133から送信される。物理インターフェイスカード2133はサブカードとも呼ばれ、インターフェイスボード2130にインストールされてもよく、光電子信号をメッセージに変換し、メッセージの妥当性チェックを実行し、その後に処理のためにメッセージをネットワークプロセッサ2132に転送する役割を果たす。一部の実施形態では、中央処理装置2131は、代替的に、ネットワークプロセッサ2132の機能、例えば、汎用CPUに基づくソフトウェア転送の実施を行う。したがって、物理的なインターフェイスカード2133にはネットワークプロセッサ2132が必要ではない。
【0190】
任意で、ネットワーク装置2100は複数のインターフェイスボードを含む。例えば、ネットワーク装置2100はインターフェイスボード2140をさらに含み、インターフェイスボード2140は中央処理装置2141、ネットワークプロセッサ2142、転送エントリメモリ2144及び物理インターフェイスカード2143を含む。インターフェイスボード2140内のコンポーネントの機能及び実施は、インターフェイスボード2130のものと同じ又は同様であり、詳細についてはここでは再度説明しない。
【0191】
任意で、ネットワーク装置2100はスイッチングボード2120をさらに含む。スイッチングボード2120はスイッチファブリックユニット(switch fabric unit、SFU)と呼ばれることもある。ネットワーク装置が複数のインターフェイスボードを有する場合、スイッチングボード2120はインターフェイスボード間のデータ交換を完了するように構成されている。例えば、インターフェイスボード2130及びインターフェイスボード2140は、スイッチングボード2120を介して互いに通信し得る。
【0192】
主制御ボード2110はインターフェイスボードに結合されている。例えば、主制御ボード2110、インターフェイスボード2130、インターフェイスボード2140及びスイッチングボード2120は、インターワーキング用のシステムバスを用いることによりシステムバックボードに接続されている。可能な実施では、主制御ボード2110とインターフェイスボード2130と間及びメイン制御ボード2110とインターフェイスボード2140との間でプロセス間通信(inter-process communication、IPC)チャネルを確立し、主制御ボード2110とインターフェイスボード2130との間及び主制御ボード2110とインターフェイスボード2140との間の通信は、IPCチャネルを用いることにより行われる。
【0193】
論理的には、ネットワーク装置2100は制御プレーン及び転送プレーンを含む。制御プレーンは、主制御ボード2110及び中央処理装置2111を含む。転送プレーンは、転送のために用いられるコンポーネント、例えば、転送エントリメモリ2134、物理インターフェイスカード2133及びネットワークプロセッサ2132を含む。制御プレーンは、ルータ、転送テーブルを生成すること、シグナリング及びプロトコルメッセージを処理すること、ネットワーク装置の状態を設定及び維持すること等の機能を行う。制御プレーンは、生成された転送テーブルを転送プレーンに届ける。転送プレーンでは、ネットワークプロセッサ2132は、制御プレーンによって届けられた転送テーブルを検索し、テーブルに基づいて物理インターフェイスカード2133によって受信されたメッセージを転送する。制御プレーンによって届けられた転送テーブルは、転送エントリメモリ2134に記憶され得る。一部の実施形態では、制御プレーン及び転送プレーンは完全に分離されていてもよく、同じネットワーク装置上にない。
【0194】
なお、1つ以上の主制御ボードがあってもよい。複数の主制御ボードがある場合、主制御ボードはアクティブ主制御ボード及びスタンバイ主制御ボードを含み得る。1つ以上のインターフェイスボードがあってよい。より強力なデータ処理能力を有するネットワーク装置はより多くのインターフェイスボードを提供する。インターフェイスボード上に1つ以上の物理インターフェイスカードがあってもよい。スイッチングボードがなくても、1つ以上のスイッチングボードがあってもよい。複数のスイッチングボードがある場合、ロードバランシング及び冗長性バックアップが共に実施され得る。集中型転送アーキテクチャでは、ネットワーク装置はスイッチングボードを必要としない場合があり、インターフェイスボードはシステム全体でサービスデータを処理する機能を提供する。分散型転送アーキテクチャでは、ネットワーク装置は少なくとも1つのスイッチングボードを有し、スイッチングボードを用いることにより複数のインターフェイスボード間のデータ交換を実施して、大容量のデータ交換及び処理能力を提供する。したがって、分散型アーキテクチャにおけるネットワーク装置のデータアクセス及び処理機能は、集中型アーキテクチャのネットワーク装置よりも優れている。任意で、ネットワーク装置は代替的にカードが1つしかない形態であってもよい。具体的には、スイッチングボードがなく、インターフェイスボード及び主制御ボードの機能がカードに統合される。この場合、インターフェイスボード上の中央処理装置と、主制御ボード上の中央処理装置とが組み合わされてカード上で1つの中央処理装置を形成し、2つの中央処理装置を組み合わることにより得られる機能が行われ得る。この形態のネットワーク装置(例えば、ローエンドスイッチ又はルータ等のネットワーク装置)はデータ交換及び処理能力が弱い。用いられるべき特定のアーキテクチャは、特定のネットワーク展開シナリオに依存する。本明細書ではここは限定されない。
【0195】
特定の実施形態では、ネットワーク装置2100は、図11に示す第1のネットワーク装置に適用されるメッセージ処理装置に対応する。一部の実施形態では、図11に示すメッセージ処理装置の受信モジュール1101は、ネットワーク装置2100の物理インターフェイスカード2133と同等である。図11に示すメッセージ処理装置の処理モジュール1102は、ネットワーク装置2100の中央処理装置2111又はネットワークプロセッサ2132と同等である。
【0196】
一部の実施形態では、ネットワーク装置2100は、図12に示す第2のネットワーク装置に適用されるメッセージ処理装置にさらに対応する。一部の実施形態では、図12に示すメッセージ処理装置の送信モジュール1201及び受信モジュール1202は、ネットワーク装置2100の物理インターフェイスカード2133と同等である。図12に示すメッセージ処理装置の処理モジュール1203は、ネットワーク装置2100の中央処理装置2111又はネットワークプロセッサ2132と同等である。
【0197】
図13及び図14に示すネットワーク装置に基づいて、本願の一実施形態は通信システムをさらに提供する。通信システムは、第1のネットワーク装置及び第2のネットワーク装置を含む。任意で、第1のネットワーク装置は図13に示すネットワーク装置2000であるか又は図14に示すネットワーク装置2100であり、第2のネットワーク装置は、図13に示すネットワーク装置2000又は図14に示すネットワーク装置2100である。
【0198】
第1のネットワーク装置及び第2のネットワーク装置によって行われる方法については、図7及び図10に示す実施形態の関連説明を参照し、詳細についてはここでは再度説明しない。
【0199】
プロセッサは、中央処理装置(central processing unit、CPU)であってもよいし、他の汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array、FPGA)又は他のプログラマブルロジックデバイス、ディスクリートゲート又はトランジスタロジックデバイス、ディスクリートハードウェアコンポーネント等であり得ることを理解すべきである。汎用プロセッサはマイクロプロセッサ又は任意の従来のプロセッサ等であり得る。なお、プロセッサは、アドバンスト縮小命令セット計算機(advanced RISC machine、ARM)アーキテクチャをサポートするプロセッサであり得る。
【0200】
また、任意の実施形態では、メモリは、読み取り専用メモリ及びランダムアクセスメモリを含み、プロセッサのために命令及びデータを提供し得る。メモリは、不揮発性ランダムアクセスメモリをさらに含み得る。例えば、メモリは、デバイスタイプの情報をさらに記憶し得る。
【0201】
メモリは揮発性メモリ若しくは不揮発性メモリであり得るか又は揮発性メモリ及び不揮発性メモリの両方を含み得る。不揮発性メモリは、読み取り専用メモリ(read-only memory、ROM)、プログラム可能読み取り専用メモリ(programmable ROM、PROM)、消去可能なプログラム可能読み取り専用メモリ(erasable PROM、EPROM)、電気的に消去可能なプログラム可能読み取り専用メモリ(electrically EPROM、EEPROM)又はフラッシュメモリでであり得る。揮発性メモリは、外部キャッシュとして用いられるランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)であり得る。制限ではないが一例として、多くの形式のRAMが用いられ、例えば、静的ランダムアクセスメモリ(static RAM、SRAM)、動的ランダムアクセスメモリ(dynamic random access memory、DRAM)、同期動的ランダムアクセスメモリ(synchronous DRAM、SDRAM)、ダブルデータレート同期動的ランダムアクセスメモリ(double data rate SDRAM、DDR SDRAM)、拡張同期動的ランダムアクセスメモリ(enhanced SDRAM、ESDRAM)、同期リンク動的ランダムアクセスメモリ(synclink DRAM、SLDRAM)及び直接ランバスランダムアクセスメモリ(direct rambus RAM、DR RAM)がある。
【0202】
少なくとも1つの命令が記憶されるコンピュータ読み取り可能記憶媒体がさらに提供され、該命令がロードされ、プロセッサによって実行されることで、上記の説明のいずれか1つに係るメッセージ処理方法が実施される。
【0203】
本願はコンピュータプログラムを提供する。コンピュータプログラムがコンピュータによって実行された場合、プロセッサ又はコンピュータは、上記の方法の実施形態で対応するステップ及び/又は手順を行うことができる。
【0204】
チップが提供される。チップはプロセッサを含み、メモリに記憶された命令をメモリから呼び出し、その命令を実行するように構成されているため、チップが搭載される通信装置は上記の態様における方法を行う。
【0205】
別のチップが提供される。このチップは入力インターフェイス、出力インターフェイス、プロセッサ及びメモリを含む。入力インターフェイス、出力インターフェイス、プロセッサ及びメモリは、内部接続チャネルを介して互いに接続されている。プロセッサは、メモリ内のコードを実行するように構成されている。コードが実行されると、プロセッサは上記の態様の方法を行うように構成されている。
【0206】
上記の実施形態の全て又は一部は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア又はそれらの任意の組み合わせを用いることにより実施され得る。実施形態を実施するためにソフトウェアが用いられる場合、実施形態の全て又は一部はコンピュータプログラム製品の形態で実施され得る。コンピュータプログラム製品は1つ以上のコンピュータ命令を含む。コンピュータプログラム命令がロードされ、コンピュータ上で実行されると、本願に係る手順又は機能の全て又は一部が生成される。コンピュータは汎用コンピュータ、専用コンピュータ、コンピュータネットワーク又は他のプログラム可能な装置であり得る。コンピュータ命令は、コンピュータ読み取り可能記憶媒体に記憶され得るか又はコンピュータ読み取り可能記憶媒体から別のコンピュータ読み取り可能記憶媒体に送信され得る。例えば、コンピュータ命令はウェブサイト、コンピュータ、サーバ又はデータセンターから別のウェブサイト、コンピュータ、サーバ又はデータセンターに有線(例えば、同軸ケーブル、光ファイバ又はデジタル加入者線)又は無線(例えば、赤外線、ラジオ、マイクロ波)で送信され得る。コンピュータ読み取り可能記憶媒体は、コンピュータによってアクセス可能な任意の使用可能な媒体であり得るか又はデータ記憶装置、例えば、1つ以上の使用可能な媒体を統合したサーバ又はデータセンタであり得る。使用可能な媒体は、磁気媒体(例えば、フロッピーディスク、ハードディスク又は磁気テープ)、光媒体(例えば、DVD)、半導体媒体(例えば、ソリッドステートドライブ Solid-State Drive)等であり得る。
【0207】
本願の目的、技術的解決策及び有益な効果は、上記の特定の実施でさらに詳細に説明されている。上記の説明は、本願の特定の実施にすぎず、本願の保護範囲を限定することを意図したものではないことを理解すべきである。本願の技術的解決策に基づいて行われる変更、同等の置き換え又は改善は、本願の保護範囲に含まれるものとする。
【0208】
当業者は、本明細書で開示の実施形態で説明した方法ステップ及びモジュールを参照して、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア又はそれらの組み合わせを用いることにより実施を行うことができることを認識するであろう。ハードウェアとソフトウェアとの間の互換性を明確に説明するために、上記では通常、機能に基づいて各実施形態のステップ及び構成を説明してきた。機能がハードウェアによって又はソフトウェアによって行われるかは、技術解決策の特定の用途及び設計上の制約条件によって異なる。当業者は、各特定の用途のために説明した機能を実施するために異なる方法を用いり得るが、係る実施は本願の範囲を超えるものと考えるべきではない。
【0209】
当業者であれば、実施形態のステップの全て又は一部は、ハードウェア又は関連ハードウェアを指示するプログラムによって実施され得ることを理解するであろう。プログラムは、コンピュータ読み取り可能記憶媒体に記憶され得る。記憶媒体は、読み取り専用メモリ、磁気ディスク又は光ディスクを含み得る。
【0210】
実施形態を実施するためにソフトウェアが用いられる場合、実施形態の全て又は一部はコンピュータプログラム製品の形態で実施され得る。コンピュータプログラム製品は、1つ以上のコンピュータプログラム命令を含む。例えば、本願の実施形態における方法は、マシン実行可能命令の文脈で説明され得る。マシン実行可能命令は、例えば、ターゲットの実又は仮想プロセッサに含まれるデバイスで実行されるプログラムモジュールである。通常、プログラムモジュールは、ルーチン、プログラム、ライブラリ、オブジェクト、クラス、コンポーネント、データ構造等を含み、特定のタスクを実行するか又は特定の抽象データ構造を実施する。様々な実施形態では、プログラムモジュールの機能は説明したプログラムモジュール間で組み合され得るか又は分割され得る。プログラムモジュールのためのマシン実行可能命令は、ローカルで又は分散デバイス内で実行され得る。分散デバイスでは、プログラムモジュールはローカル記憶媒体及びリモート記憶媒体の両方に位置し得る。
【0211】
本願の実施形態の方法を実施するために用いられるコンピュータプログラムコードは、1つ以上のプログラミング言語で記述され得る。コンピュータプログラムコードは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ又は別のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサのために提供され得るため、コンピュータ又は別のプログラマブルデータ処理装置によってプログラムコードが実行される場合、フローチャート及び/又はブロック図で特定された機能/動作が実施される。プログラムコードの全てはコンピュータ上で、一部がコンピュータ上で、独立したソフトウェアパッケージとして、一部がコンピュータ上で、一部がリモートコンピュータ上で又は全てがリモートコンピュータ又はサーバ上で実行され得る。
【0212】
本願の実施形態の文脈では、コンピュータプログラムコード又は関連データは、デバイス、装置又はプロセッサが上記の様々な処理及び動作を行うことができるように、任意の適切なキャリアによって運ばれ得る。キャリアの例としては、信号、コンピュータ読み取り可能媒体等が挙げられる。
【0213】
信号の例としては、搬送波及び赤外線信号等の電気、光学、無線、音声又は他の形式の信伝播信号が挙げられる。
【0214】
コンピュータ読み取り可能媒体は、命令実行システム、装置又はデバイスのために用いられるか又は関連するプログラムを含むか又は記憶する任意の有形の媒体であり得る。機械読み取り可能媒体は、機械読み取り可能信号媒体又は機械読み取り可能記憶媒体であり得る。機械読み取り可能媒体は、限定されないが、電子、磁気、光学、電磁、赤外線又は半導体システム、装置又はデバイス又はそれらの適切な組み合わせを含み得る。機械読み取り可能記憶媒体のより詳細な例としては、1つ以上のワイヤとの電気接続、ポータブルコンピュータディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能なプログラム可能読み取り専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光記憶装置、磁気記憶装置又はそれらの任意の適切な組み合わせが挙げられる。
【0215】
便宜上及び説明を簡潔するために、上記のシステム、装置及びモジュールの詳細な作業プロセスについては、上記の方法の実施形態における対応するプロセスを参照することを当業者は明確に理解するであとう。詳細についてはここでは再度説明しない。
【0216】
本願で提供されるいくつかの実施形態では、開示のシステム、装置及び方法は他のやりかたで実施され得ることを理解すべきである。例えば、説明した装置の実施形態は一例にすぎない。例えば、モジュール分割は論理的な機能分割にすぎず、実際の実施の間に他の分割があってもよい。例えば、複数のモジュール又はコンポーネントが別のシステムに組み合わせられ得るか又は統合され得るか又は一部の機能を無視され得るか又は行われなくてもよい。加えて、表示又は議論した相互連結又は直接連結又は通信接続は、一部のインターフェイスを用いて実施され得る。装置又はモジュール間の間接連結又は通信接続は、電気接続、機械接続、又は他の形態の接続であり得る。
【0217】
別々の部品として説明したモジュールは物理的に分離されていてもいいし、されてなくてもよく、モジュールとして表示した部品は物理モジュールであってもいいし、なくてもよく、1つの位置に位置していてもいいし、複数のネットワークモジュールに分散していてもよい。モジュールの一部又は全ては、本願の実施形態における解決策の目的を実現するために、実際の要件に基づいて選択され得る。
【0218】
加えて、本願の実施形態における機能モジュールは、1つの処理モジュールに統合され得るか又は各モジュールが物理的に単独で存在し得るか又は2つ以上のモジュールが1つのモジュールに統合され得る。統合モジュールは、ハードウェアの形態で実施され得るか又はソフトウェア機能モジュールの形態で実施され得る。
【0219】
統合モジュールがソフトウェア機能モジュールの形態で実施され、独立した製品として販売又は使用される場合、統合モジュールはコンピュータ読み取り可能記憶媒体に記憶され得る。そのような理解に基づいて、本願の技術的解決策は本質的に又は従来の技術に貢献する部分又は技術的解決策の全て又は一部はソフトウェア製品の形態で実施され得る。コンピュータソフトウェア製品は記憶媒体に記憶され、(パーソナルコンピューター、サーバ又はネットワーク装置であり得る)コンピュータ装置が本願の実施形態で説明した方法のステップの全て又は一部を行うよう示すいくつかの命令を含む。上記の記憶媒体は、USBフラッシュドライブ、リムーバブルハードディスク、読み取り専用メモリ(read-only memory、ROM)、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)、磁気ディスク又は光ディスク等のプログラムコードを記憶可能な任意の媒体を含む。
【0220】
本願では、効果及び機能が基本的に同じである同じ又は同様のアイテムを区別するために、 「第1」、「第2」等の用語を用いる。「第1」、「第2」、「第n」の間には論理的な又は時系列的な依存関係はなく、数及び実行順序は限定されないことを理解すべきである。以下の説明では、「第1」、「第2」等の用語を用いて様々な要素を説明するが、これらの要素は用語によって限定されるべきではないことも理解すべきである。これらの用語は、ある要素と別の要素とを区別するために用いられているにすぎない。例えば、様々な例の範囲から逸脱することなく、第1の画像を第2の画像と呼んでもいいし、同様に、第2の画像を第1の画像と呼んでもよい。第1の画像及び第2の画像の両方は画像であり得るが、場合によっては別々の異なる画像であり得る。
【0221】
プロセスのシーケンス番号は、本願の実施形態における実行シーケンスを意味しないことをさらに理解すべきである。プロセスの実行シーケンスは、プロセスの機能及び内部ロジックに基づいて決定されるべきであり、本願の実施形態の実施プロセスに対する何らかの限定として解釈すべきである。
【0222】
本願において、「少なくとも1つ」という用語は1つ以上を意味し、「複数」という用語は2つ以上を意味する。例えば、複数の第2のメッセージは2つ以上の第2のメッセージを意味する。本明細書では、「システム」及び「ネットワーク」という用語は同義的に用いていることもある。
【0223】
本明細書の様々な例の説明で用いられている用語は、特定の例を説明することを意図しているにすぎず、限定をなすことを意図したものではないことを理解すべきである。様々な例及び添付された特許請求の範囲の説明で用いられている単数形の「1つの」(「a」及び「an」)及び"「the」という用語も、文脈で特段明記されていない限り、複数形を含むことを意図している。
【0224】
本明細書で用いられている「含む」(「含み」、「含むこと」、「含まれる」及び「含まれること」ともいう)という用語は、記載の特徴、整数、ステップ、動作、要素及び/又はコンポーネントの存在を特定し、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネント及び/又はそれらのコンポーネントの存在又は追加が除外されないことをさらに理解すべきである。
【0225】
「もし」という用語は、「場合」(「when」又は「upon」)、「決定する場合」又は「検出する場合」を意味すると解釈され得ることをさらに理解すべきである。同様に、文脈に応じて、「もし判定されると」又は「もし(記載の条件又はイベントが)検出されると」という表現は、「判定された場合」又は「判定されたときに」又は「(記載の条件又はイベントが)検出された場合」又は「(記載の条件又はイベントが)検出されたとき」又は「(記載の条件又はイベントが)検出された場合」を意味すると解釈され得る。
【0226】
Aに基づいてBを決定することは、Aのみに基づいてBを決定することを意味するものではなく、Bは代替的にA及び/又は他の情報に基づいて決定され得る。
【0227】
本明細書を通して言及する「一実施形態」、「実施形態」又は「可能な実施」は、実施形態又は実施に関連する特定の特徴、構造又は特性が、本願の少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味すると理解すべきである。したがって、本明細書を通じて登場する「一実施形態では」、「実施形態では」又は「可能な実施では」は、必ずしも同じ実施形態を意味するものではない。加えて、これらの特定の特徴、構造又は特性は、任意の適切な方法を用いることによって1つ以上の実施形態で組み合わせられ得る。
【0228】
上記の説明は本願の任意の実施形態にすぎず、本願を限定することを意図したものではない。本願の原則を逸脱することなく行われる変更、同等の置き換え又は改善は、本願の保護範囲内にあるものとする。
図1
図2
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図5
図6
図7
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図9
図10
図11
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