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特許7666843縫製装置のためのステッチ形成工具アセンブリ及びこのようなアセンブリを有する縫製装置
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  • 特許-縫製装置のためのステッチ形成工具アセンブリ及びこのようなアセンブリを有する縫製装置 図1
  • 特許-縫製装置のためのステッチ形成工具アセンブリ及びこのようなアセンブリを有する縫製装置 図2
  • 特許-縫製装置のためのステッチ形成工具アセンブリ及びこのようなアセンブリを有する縫製装置 図3
  • 特許-縫製装置のためのステッチ形成工具アセンブリ及びこのようなアセンブリを有する縫製装置 図4
  • 特許-縫製装置のためのステッチ形成工具アセンブリ及びこのようなアセンブリを有する縫製装置 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-14
(45)【発行日】2025-04-22
(54)【発明の名称】縫製装置のためのステッチ形成工具アセンブリ及びこのようなアセンブリを有する縫製装置
(51)【国際特許分類】
   D05B 57/32 20060101AFI20250415BHJP
【FI】
D05B57/32
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022537610
(86)(22)【出願日】2020-12-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2020084822
(87)【国際公開番号】W WO2021122086
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-10-27
(31)【優先権主張番号】102019219814.7
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518137944
【氏名又は名称】パフ インドゥストリージステーメ ウント マシーネン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】カレンバッハ ハーラルト
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー ベルトルト
(72)【発明者】
【氏名】ザムスターク シュテファン
【審査官】横山 綾子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-046894(JP,A)
【文献】特開昭55-107566(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D05B 57/02-57/34
D05B 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二重環縫い目(7)を作る縫製装置(1)のためのステッチ形成工具アセンブリ(6)であって、
縫うべき材料と垂直に針ステッチ方向(z)に上下に移動可能であって、針糸(10)を案内するように設計された縫い針(8)を有し、
ルーパー糸(18)を案内するように及び振動移動平面(xz)において振動移動するように設計されたルーパー(12)を有し、
前記振動移動平面(xz)は、
前記針ステッチ方向(z)によって張られ、及び
前記二重環縫い目(7)に沿って縫製方向(x)によって張られ、
前記ルーパー(12)の移動経路が、全体の二重環ステッチの間完全に前記振動移動平面(xz)内にあり、
前記縫い針(8)が設置されるとき、前記縫い針(8)の針先端(20)は前記振動移動平面(xz)と垂直に前記縫い針(8)の中央長手軸(19)から離されており、
前記縫い針(8)が前記針ステッチ方向(z)にのみ上下に移動するように設計されており、及び
前記ルーパー(12)がステッチ形成中に前記針先端(20)を通過するとき、前記中央長手軸(19)が前記針先端(20)と前記ルーパー(12)の間にある、
ステッチ形成工具アセンブリ(6)。
【請求項2】
請求項1に記載のステッチ形成工具アセンブリを有する縫製装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この特許出願は、独国特許出願DE102019219814.7の優先権を主張し、この内容は参照によりここに組み込まれる。
【0002】
本発明は、二重環縫い目(二重環ステッチシーム)を作る縫製装置のためのステッチ形成工具アセンブリに関する。さらに本発明は、このようなアセンブリを有する縫製装置に関する。
【背景技術】
【0003】
二重環縫いミシンが特許文献1から知られている。ミシンルーパー用の調節装置が特許文献2から知られている。特許文献3が、二重環縫いミシンにおいて糸ループを伸ばす装置を開示している。特許文献4がミシンにおけるルーパー除去装置を開示している。特許文献5が二重環縫いミシンを開示している。特許文献6が糸切刃を備えたミシンを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】DD111102 A1
【文献】DE2901582C2
【文献】DE104963 C
【文献】DE3935779C1
【文献】US6095069
【文献】DE667052 C
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、特にルーパー駆動部が単純化されるように、上述したタイプのステッチ形成工具アセンブリをさらに発展させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、本発明により請求項1に示される特徴を有するステッチ形成工具アセンブリによって達成される。
【0007】
本発明によれば、ルーパーがルーパーの振動移動平面と垂直に縫い針に対して回避移動を実行する二重環縫い縫製装置においてルーパーの移動経路を与えることが絶対に必要ではないことが判明した。特許文献1及び特許文献2は、このような楕円形の回避移動経路を与える、対応的に複雑な設計を有する従来技術のルーパー駆動部を示す。対応的に複雑な駆動部が本発明によればアセンブリにおいて省略できる。
【0008】
本発明に従うアセンブリでは、縫製方向はルーパーの振動移動平面内にあり、それはまたインラインシステムとも称される。ルーパーは振動移動平面と垂直な回避移動を実行しない。ステッチ形成工具アセンブリは、糸ループを広げるための及び対応的に糸ループへの糸通し(threading)を促進するためのスプレッダーフィンガーを必要としないように構成され得る。ここでは省略され得るこのようなスプレッダーフィンガーは、型Pfaff 5626の鎖縫いミシンから明らかな先使用によって知られている。
【0009】
縫い針の中央長手軸が、縫い針の針先端から離れている。この縫い針中央長手軸の針先端からの間隔によって、ルーパーに対する縫い針の方向付けが可能になる。それは、ステッチ形成シーケンスの間のこれらステッチ形成部品の障害のない相対運動を容易化する。
【0010】
本発明に従うアセンブリでは、針がまさに1つの方向にのみ、すなわち針ステッチ方向に、上下に移動するように、すなわちそれがルーパーに対する回避移動を実行しないように、針はまた設計され得る。
【0011】
これは特に請求項に従う設計に当てはまる。
【0012】
請求項に従う縫製装置は、ステッチ形成工具アセンブリに関連して既に上で説明したそれら利点を有する。縫製装置は、ミシン又は縫製オートマットを含んでもよく、それらのためにステッチ形成工具アセンブリが構成要素を形成する。縫製装置はまた、ステッチ形成工具アセンブリを有する縫製ヘッドを制御して/調整して複数の自由度で移動させることができるロボットを有してもよく、それで複雑な幾何学形状の縫製材料でさえ定義されたシームを、特に空間に三次元的に延在するシームを具備され得る。縫製装置はゆえに縫製ロボットであり得、その縫製ヘッドは並進又は回転の複数の自由度によって移動可能であり、又はミシンであり得る。
【0013】
本発明の実施形態を図面に関連して以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】二重環縫い目を作る示されたステッチ形成部品を備えた縫製ロボットの形態の縫製装置の非常に概略的な側面図を示す。
図2図1に比べてz軸周りに90°だけ回転した視界において、テストシームの創出の間に縫うべき材料の支持部と共にステッチ形成部品を示す。
図3図2における視野方向IIIから見た、縫い針及びルーパーの部分の概略的な平面図を示す。
図4図2に似たイラストレーションにおいて、テストシームの二重環ステッチの形成シーケンスの際のステッチ形成工具の互いに対するさらなる瞬間的な相対位置を示す。
図5図2に似たイラストレーションにおいて、テストシームの二重環ステッチの形成シーケンスの際のステッチ形成工具の互いに対するさらなる瞬間的な相対位置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、縫製ロボットとして設計された縫製装置1の非常に概略的な主構成部品を示す。縫製装置1はC形状のフレーム2を有し、フレームはアーム3、ベースプレート4、及びアーム3をベースプレート4に接続するスタンド5を有する。
【0016】
縫製装置1の1つの構成部品は、より詳細には示されない駆動部であり、それによりフレーム2は並進又は回転の複数の自由度で、例えば3,4,5又は6の自由度で移動可能である。このような駆動部は産業ロボットに関連して知られている。したがって、縫製装置1は縫製ロボットとして設計され得る。
【0017】
図1はさらに、位置関係の配置を簡単にするためにデカルトxyz座標系を示す。x軸は図1の描画平面に対して垂直であり、その外側に延びる。図1におけるy軸はアーム3及びベースプレート4の延伸と平行に右に延びる。図1におけるz軸はスタンド5の延伸と平行に上方に延びる。軸方向x、y、zはまた以下の図面に当てはまる。
【0018】
縫製装置1の一部は、二重環縫い目7を作るステッチ形成工具アセンブリ6であり、そのためにパターンが図2に及び図4,5にそれぞれ示されている。縫製方向はx方向に沿って、すなわちフレーム2のC形状によって定義されるyz平面と垂直に延びる。
【0019】
アセンブリ6は、針棒9によって保持される縫い針8を有する。針棒9とそれと共に縫い針8は針ステッチ方向に、図面に示されていない縫うべき材料と垂直なz軸に沿って上下に移動可能である。縫い針8は、上糸とも称される針糸10を案内するように設計されている。この目的のために、縫い針8は目11を有する。
【0020】
ステッチ形成アセンブリ6は、図2,4及び5に従う側面図においてフック形状の、従動のルーパーキャリア13によって支持されている。
【0021】
ルーパー12は屈曲した設計(オフセット設計)を有する。ルーパー先端15の領域において及びその反対側端部にて、ルーパー12の糸通しセクション14が、下糸とも称されるルーパー糸18のためのそれぞれの糸通過開口16,17を有する。ルーパー12は、ルーパー糸18を案内するように設計されている。より詳細に示されていないルーパーキャリア13の駆動部に基づいて、ルーパーはさらに、振動移動平面において振動移動するように設計されている。振動移動平面は、xz平面に一致し、すなわち、一方で針ステッチ方向によって、また他方で縫製方向xによって二重環縫い目7に沿って張られる。ルーパーの移動経路は、全二重環ステッチの間完全に振動移動平面xz内にあり、そのスナップショットが図2,4及び5に示されている。ゆえに、この振動移動平面xzと垂直に、ルーパーは回避移動を実行しない。
【0022】
したがって、縫製方向xはルーパー12の振動移動平面xz内にある。縫製装置1はしたがって、インラインシステムを表す。
【0023】
ステッチ形成アセンブリ6は、スプレッダーフィンガーを含まない。ここには存在しないこのようなスプレッダーフィンガーは、例えば、型Pfaff 5626の鎖縫いミシンから明らかな先使用によって知られている。
【0024】
図3は、ルーパー12の糸通しセクション14の断続的に描かれたセクションの及び縫い針8の概略平面図を示す。特に縫い針8の直径に関して、図3に従う描写は拡大されている。図3の視野方向は縫い針8の中央長手軸19に沿っている。さらに図3に示されているのは、図3の図示平面を通る、針先端20の突き刺し点である。このイラストレーションから、縫い針8の場合、中央長手軸19が針先端20から距離δyだけ離れていることが分かる。縫い針8はしたがって、針先端20の領域で回転対称ではなく、針先端20は、中央長手軸19に一致する針本体の対称軸に対して距離δyだけずれている。図3に示すように、縫い針8が取り付けられると、針先端20は中央長手軸19から距離δyだけ振動移動平面xzに対して垂直にずれる。ルーパー12の糸通しセクション14がステッチ形成の間に針先端20を通過するとき、やはり図3に示すように、中央長手軸19は針先端20とルーパー12の糸通しセクション14の間、すなわち針先端20とルーパー12の間に位置する。
【0025】
針先端20のこの偏心により、特に図2に示すように針先端20がルーパー糸18のループに挿入されるとき、縫い針8を糸通しセクション14を通過して案内することがより容易になる。
【0026】
糸通しセクション14は、非常に小さい距離を置いて縫い針8の先端セクションを越えて案内される。原則として、2つの構成部品8,12はまた互いに接触し得る。
【0027】
図2はさらに、縫うべき材料のための支持要素21と縫うべき材料のための押さえ金又は搬送フット22を示す。実際の縫い操作では、縫うべき材料は支持要素21とフット22の間で縫製方向xに移動される。
【0028】
図4は、縫い針8が下死点の領域に到達した二重環ステッチの形成シーケンスの時点を示す。図4に従う時点では、ルーパー先端15は図4における右死点の領域にあり、図4に従う投影において、それが目11の外側に案内された針糸10のセクション23の向こう側に達する程度に逸らされている(屈曲されている)。
【0029】
図5は、糸通しセクション14が、縫い針8の移動の逆転のために針糸セクション23においてその間形成された針糸ループに通されるステッチ形成シーケンスの時点を示す。ルーパー糸18も糸通しセクション14の糸通過開口16の領域で針糸セクション23のこのループを通って案内される。次のステッチ形成シーケンスの次の突き通し(図2参照)の間、縫い針は再び-x方向にこの針糸ループを越えてルーパー糸18を突き通し、ルーパー12の糸通しセクション14が引っ込んだ後で、ルーパー糸18と絡まった、針糸セクション23の以前に形成されたループが、図4から分かるように、糸通しセクション14から解放される。これは、なじみのある二重環ステッチ形成機構になる。したがって、形成されるシーム7は+x方向に延びる。
【0030】
アセンブリ6はまた、縫製装置のための変換キットとして準備され得る。
【符号の説明】
【0031】
1 縫製装置
6 ステッチ形成工具アセンブリ
7 二重環縫い目
8 縫い針
10 針糸
12 ルーパー
18 ルーパー糸
19 中央長手軸
20 針先端
x 縫製方向
z 針ステッチ方向
xz 振動移動平面
図1
図2
図3
図4
図5