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特許76668763D集積電気デバイス用の低応力誘電体層、平坦化方法、及び低温処理
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-14
(45)【発行日】2025-04-22
(54)【発明の名称】3D集積電気デバイス用の低応力誘電体層、平坦化方法、及び低温処理
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20250415BHJP
   H01L 25/065 20230101ALI20250415BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20250415BHJP
   H01L 23/15 20060101ALI20250415BHJP
   H01L 23/13 20060101ALI20250415BHJP
   H10F 30/00 20250101ALI20250415BHJP
【FI】
H01L25/08 H
H01L23/14 C
H01L23/12 C
H10F30/00
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023578902
(86)(22)【出願日】2022-04-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(86)【国際出願番号】 US2022026698
(87)【国際公開番号】W WO2023278003
(87)【国際公開日】2023-01-05
【審査請求日】2023-12-21
(31)【優先権主張番号】17/361,859
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
【住所又は居所原語表記】1100 Wilson Blvd Arlington, Virginia 22209 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ファルク,チャド
(72)【発明者】
【氏名】キルコイン,シーン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ファレル,スチュアート
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,エリック
(72)【発明者】
【氏名】クラーク,アンドリュー
【審査官】清水 稔
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105870097(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111554761(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101728403(CN,A)
【文献】特表2019-512890(JP,A)
【文献】米国特許第05401986(US,A)
【文献】米国特許第04783594(US,A)
【文献】山寺秀哉,薄膜の熱応力測定と制御,豊田中央研究所R&Dレビュー,日本,Vol.34 No.1,p.19-24,https://www.tytlabs.co.jp/en/japanese/review/rev341pdf/341_019yamadera.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/07
H01L 23/15
H01L 23/13
H10F 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気デバイスであって、
基板と、
前記基板によって支持された、1.0MPa・m 1/2 未満のK IC 破壊靱性を有する脆弱な材料と、
前記脆弱な材料の上に堆積された誘電体層であって、ビアホールを有する誘電体層と、
前記ビアホール内に配置された導電性の垂直インターコネクトと、を含み、
前記誘電体層によって前記脆弱な材料に与えられる任意の応力は、前記脆弱な材料の破壊応力よりも小さく、
前記導電性の垂直インターコネクトは、150℃以下の温度において他の対向するインターコネクトに拡散接合可能であり、
前記導電性の垂直インターコネクトは、前記誘電体層の熱膨張係数よりも高い熱膨張係数を有する、
電気デバイス。
【請求項2】
記誘電体層は、25℃~150℃の範囲の温度において堆積可能である、請求項1に記載の電気デバイス。
【請求項3】
記誘電体層は、当該電気デバイスの製造及び動作中に0.0MPa~3.5MPaの範囲の固有の二軸応力を有する、請求項1に記載の電気デバイス。
【請求項4】
記誘電体層は、前記垂直インターコネクトの軸方向範囲の大部分を囲む、請求項1に記載の電気デバイス。
【請求項5】
記誘電体層は窒化アルミニウム(AlN)である、請求項1に記載の電気デバイス。
【請求項6】
記誘電体層は窒化ケイ素(SiN)である、請求項1に記載の電気デバイス。
【請求項7】
前記垂直インターコネクトはインジウムで形成される、請求項1に記載の電気デバイス。
【請求項8】
前記脆弱な材料は、100℃~250℃の範囲の熱劣化温度を有する、請求項1乃至7のいずれかに記載の電気デバイス。
【請求項9】
前記脆弱な材料は、150℃の熱劣化温度を有するHg1-xCdTeである、請求項1乃至7のいずれかに記載の電気デバイス。
【請求項10】
前記脆弱な材料は、光伝導体層を構成する、請求項9に記載の電気デバイス。
【請求項11】
当該電気デバイスは光検出器である、請求項10に記載の電気デバイス。
【請求項12】
請求項11に記載の電気デバイスである第1の電気デバイスと、
読み出し集積回路である第2の電気デバイスと、を含み、
前記第1の電気デバイスは、前記第2の電気デバイスに接合され、電気的に集積されている、
3D集積電気デバイス。
【請求項13】
電気デバイスを製造する方法であって、
基板の少なくとも一部を覆う誘電体層を形成することと、
前記誘電体層内にビアホールを形成することと、
前記ビアホール内に導電性の垂直インターコネクトを形成することと、を含み、
前記誘電体層を前記形成するときに、前記電気デバイスは、100℃~200℃の範囲の熱劣化温度を有する温度センシティブ材料を含み、
前記誘電体層を前記形成することは、前記温度センシティブ材料の前記熱劣化温度以下の温度で行われる、
方法。
【請求項14】
前記温度センシティブ材料は、1.0MPa・m1/2未満のKIC破壊靱性を有する脆弱な材料であり、
前記誘電体層は、前記脆弱な材料の破壊応力よりも小さい応力を前記脆弱な材料に与える、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記導電性の垂直インターコネクトは、前記誘電体層の熱膨張係数よりも高い熱膨張係数を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記導電性の垂直インターコネクトは、150℃以下の温度において同じ材料の他の対向するインターコネクトに拡散接合可能である、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記温度センシティブ材料はHg1-xCdTeであり、
前記誘電体層は窒化アルミニウム(AlN)または窒化ケイ素(SiN)であり、
前記垂直インターコネクトはインジウムである、
請求項13乃至16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記誘電体層を前記形成することは、
誘電体材料を堆積させて前記電気デバイスの上面を平坦化して、前記温度センシティブ材料を有する光伝導性材料層における潜在的な全厚さばらつきを補償すること、
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記誘電体材料を前記堆積させることは、前記光伝導性材料層と電気的に連通した1つ以上の電気コンタクトパッドを覆う誘電体層を堆積させることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記誘電体材料は窒化アルミニウム(AlN)または窒化ケイ素(SiN)であり、
前記誘電体材料を前記堆積させることは150℃以下の温度で行われる、
請求項18または19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全般的に、半導体デバイスに関し、より詳細には、たとえば低温3D集積で使用するための、低応力誘電体層を備えた半導体デバイス、平坦化方法、及び/または低温処理条件に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路(IC)または他の半導体デバイスなどの電気デバイスは通常、シリコンウェハなどの基板内及び/または基板上に作製されて、その結果、IC領域が得られ、そのサイズと密度は一般的に、ICの複雑さが増すとともに増加する。最近のIC製造における1つの傾向は、ICを互いに垂直方向に積み重ねて垂直方向に相互接続することによって、ICの数及び/または異なるタイプのICを増加させることである。一般的に、垂直方向に積層されるICのそれぞれは、異なるサイズであり、異なるサイズのウェハーに由来し、異なる機能を有し、異なる材料で形成されるなどであり得る。
【0003】
ICを垂直方向に積み重ねて集積するアプローチを実現するための従来の方法には、直接接合またはハイブリッド接合プロセスによるものがある。一般的に、所望する数の個々のICを垂直に積層させた後に、積層した電気デバイスアセンブリに、対向するICの構造(複数可)間に拡散を引き起こす温度処理を施して、積層したICにわたる電気接続を備えた3D集積電気デバイス構造が得られる。
【発明の概要】
【0004】
たとえば光検出器などの一部の半導体デバイスに関する問題の1つは、このようなデバイスを利用する際に、温度の影響を受けやすい(temperature-sensitive;温度センシティブ)材料が必要となり得ることであり、その結果、これらのデバイスは、3D集積につながる処理条件及び3D集積中の処理条件の影響を受けやすくなるということである。一例としては、赤外線を検知するための光検出器は、Hg1-xCdTe(一般的に、「MCT」と称される)などの温度センシティブな光伝導体材料を利用する場合がある。材料の特性が悪影響を受けるMCTの熱劣化温度は、約150℃である。
【0005】
一部の電気デバイスに関する他の問題は、そのアーキテクチャ内に脆弱な材料、たとえば破壊靱性が低い材料が組み込まれている場合があり、脆弱な材料に張力が与えられると、損傷が引き起され、及び/または材料の適切な動作が妨げられることである。MCTは、比較的小さい量の引っ張り歪みを受けたときに、損傷(たとえば、欠陥、亀裂伝播、及び/または界面破壊)及び/または電気的遮断(たとえば、圧電応答)を受けやすい脆弱な材料の例である。
【0006】
このような電気デバイスの製造を容易にするために、低応力誘電体層を低温で適用して、電気デバイス内のMCTなどの材料の劣化を防止することは有用であろう。
【0007】
たとえば、低応力誘電体層を電気デバイスに約150℃未満の温度で適用して、MCTの劣化を防止してもよい。
【0008】
低応力誘電体層を、デバイス内の脆弱な材料(複数可)に与える応力が皆無かそれに近く、その劣化を防止するように構成してもよい。
【0009】
たとえば、低応力誘電体層が与える応力は、存在しても、脆弱な材料の降伏強度、極限引張強度、または破壊強度より小さくなり得る。たとえば、MCTのKIC破壊靱性は、ビッカース押し込み試験により約0.20MPa・m1/2であり得る。したがって、MCTを電気デバイス内で使用する場合、たとえば、低応力誘電体層がMCT層に与える引張応力は、存在しても、MCT引張強度より小さくなり得る。例示的な実施形態では、たとえば、低応力誘電体層は、たとえば0.0MPa~3.5MPaの範囲の固有の面内二軸応力を有し得る。
【0010】
光検出器などの電気デバイスの製造に関するさらに別の問題は、MCTなどの材料の堆積が、潜在的な全厚さばらつきが生じることがあり、それを取り除くためのさらなる処理ステップが必要となったり、他の電気デバイスとの3D集積がより難しくなったりし得ることである。
【0011】
したがって、電気デバイスの製造中に、誘電体の平坦化をもたらすように低応力誘電体層を堆積させて、デバイスの下層における潜在的な全厚さばらつきを補償してもよい。
【0012】
電気デバイスの3D集積を可能にするために、1つ以上の導電性の垂直インターコネクト構造を、低応力誘電体層の個々のビアホール内に形成し得る。MCTなどの温度センシティブ材料の劣化を避けるべく低温での3D集積を容易にするために、垂直インターコネクト(複数可)を、低温において他の対向するインターコネクトに拡散接合可能であるように構成してもよい。加えて、垂直インターコネクト(複数可)を、低応力誘電体層と協働してインターコネクト構造間のこのような拡散接合を可能にするように構成してもよい。
【0013】
一態様によれば、電気デバイスは、基板と、基板によって支持された低応力誘電体層であって、少なくとも1つのビアホールを有する低応力誘電体層と、ビアホール内に配置された導電性の垂直インターコネクトと、を含み、導電性の垂直インターコネクトは、150℃以下の温度において他の対向するインターコネクトに拡散接合可能であり、導電性の垂直インターコネクトは、低応力誘電体層の熱膨張係数よりも高い熱膨張係数を有する。
【0014】
別の一態様によれば、電気デバイスを製造する方法は、基板の少なくとも一部を覆う誘電体層を形成することと、誘電体層内にビアホールを形成することと、ビアホール内に導電性の垂直インターコネクトを形成することと、を含み、誘電体層を形成するときに、電気デバイスは、100℃~200℃の範囲の熱劣化温度を有する温度センシティブ材料を含み、誘電体層を形成することは、温度センシティブ材料の熱劣化温度よりも低い温度で行われる。
【0015】
別の一態様によれば、電気デバイスを製造する方法は、基板の少なくとも一部を覆う光伝導性材料層を堆積させることと、誘電体材料を堆積させて電気デバイスの上面を平坦化して、光伝導性材料層における潜在的な全厚さばらつきを補償することと、を含む。
【0016】
以下の説明及び添付図面では、本発明の特定の例示的な実施形態について詳細に述べる。しかし、これらの実施形態は、本発明の原理を使用してもよい種々の方法のうちのほんの少しを示すものである。本発明の他の目的、利点、及び新規特徴は、本発明の以下の詳細な説明を図面とともに考慮すると明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
添付図面は本発明の種々の態様を示す。
【0018】
図1A】実施形態による例示的な電気デバイスを製造する例示的な方法の少なくとも一部を示すフローチャートである。
図1B図1Aにおける本方法から続くフローチャートであり、電気デバイスを3D集積する例示的なステップも示す図である。
図2A】実施形態による例示的な電気デバイスを形成する例示的なプロセスステップを図示する概略断面図である。
図2B】実施形態による例示的な電気デバイスを形成する例示的なプロセスステップを図示する概略断面図である。
図2C】実施形態による例示的な電気デバイスを形成する例示的なプロセスステップを図示する概略断面図である。
図2D】実施形態による例示的な電気デバイスを形成する例示的なプロセスステップを図示する概略断面図である。
図2E】実施形態による例示的な電気デバイスを形成する例示的なプロセスステップを図示する概略断面図である。
図2F】実施形態による例示的な電気デバイスを形成する例示的なプロセスステップを図示する概略断面図である。
図2G】実施形態による例示的な電気デバイスを形成する例示的なプロセスステップを図示する概略断面図である。
図3A図2Gにおける例示的な電気デバイスを他の例示的な電気デバイスに3D集積する例示的なプロセスを図示する概略断面図である。
図3B図2Gにおける例示的な電気デバイスを他の例示的な電気デバイスに3D集積する例示的なプロセスを図示する概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示による原理及び態様は、集積回路(IC)デバイスなどの電気デバイス、より詳細には、垂直方向に集積された半導体集積回路(IC)デバイス(たとえば、特定用途向け集積回路(ASIC)、焦点面アレイ及びインテリジェントイメージセンサ、メモリチップ、モノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)、赤外線電気デバイス(たとえば、赤外線検出器)、アンテナ回路、ストリップライン、配電網など)に特に適用され、主にこのような文脈において以下に説明する。しかし、本開示による原理及び態様は、力のバランスを取り、それによってこのようなデバイスにおける湾曲量を制御するために、窒化アルミニウム引張層を設けることが望ましい、他の電気デバイスまたは電気回路全般に適用してもよいことが理解される。このような電気デバイスの非限定的な例は、受動無線周波数(RF)回路(たとえば、フィルタまたはアンテナアレイ)などの非半導体デバイス、またはダイオード、フォトセル、トランジスタ、センサなどの他の半導体デバイスを含み得る。例示的な電気デバイスを形成する例示的な方法はまた、能動電気デバイス及び受動電気デバイスの両方を垂直方向に集積することに適用でき得る。
【0020】
前述したように、一部の従来の電気デバイスに関する問題は、デバイス内の温度センシティブ材料が、昇温での処理条件の影響を受けやすい場合があることである。一部の従来の電気デバイスに関する他の問題は、そのアーキテクチャ内に脆弱な材料が組み込まれている場合があり、脆弱な材料に過剰な力が与えられると、損傷が引き起こされ、及び/または材料の適切な動作が妨げられることである。一部の従来の電気デバイスに関連するさらに他の問題は、デバイス内の一部の材料の堆積が、潜在的な全厚さばらつきが生じることがあり、それを取り除くためのさらなるプロセスステップが必要となったり、他の電気デバイスとの3D集積がより難しくなったりし得ることである。
【0021】
前述の問題の1つ以上を経験する電気デバイスの特定のタイプの1つは、デバイス光伝導体層としてMCT(Hg1-xCdTe)を用いる光検出器である。MCTは、温度センシティブ材料であり、熱劣化温度は約150℃である。MCTはまた、比較的小さい量の引っ張り歪みを受けたときに、損傷(たとえば、欠陥、亀裂伝播、及び/または界面破壊)及び/または電気的遮断(たとえば、圧電応答)を受けやすい脆弱な材料の例である。たとえば、MCTのKIC破壊靱性は、ビッカース押し込み試験により約0.20MPa・m1/2であり得る。加えて、堆積したMCTは、たとえば、3D集積に対する適合性を得るために製造中に考慮する必要があり得る潜在的な全厚さばらつきの影響を受けやすい。
【0022】
したがって、従来の電気デバイス設計に関する前述の問題のうちの1つ以上を解決し、より詳細には、MCTを利用する光検出器に関連する1つ以上の問題を解決する例示的な電気デバイスを本明細書に記載する。例示的な実施形態では、デバイスの絶縁誘電体層を約150℃未満の温度で堆積させて、MCTなどの温度センシティブ材料の劣化を防止する。その代わりにまたはそれに加えて、例示的な実施形態では、誘電体材料が、MCTなどのデバイス内の脆弱な材料(複数可)に与える応力が皆無かそれに近い低応力層をもたらすために適用される。その代わりにまたはそれに加えて、例示的な実施形態では、製造中に、誘電体の平坦化をもたらすように誘電体層を適用し、MCT光伝導体層などのデバイスの下層における潜在的な全厚さばらつきを補償する。
【0023】
本明細書に記載の例示的な電気デバイスは、たとえば、読み出し集積回路(ROIC)などの他の電気デバイスとの3D集積に特に好適であり得る。したがって、このような3D集積を可能にするために、例示的な電気デバイスは、例示的な誘電体層によって少なくとも部分的に囲まれた1つ以上の導電性の垂直インターコネクト構造を含む。例示的な実施形態では、MCTなどの温度センシティブ材料の劣化を避けるべく低温での3D集積を容易にするために、垂直インターコネクト(複数可)を、MCTの劣化温度よりも低い温度などの低温において他の対向インターコネクトに拡散接合可能であるように構成し得る。その代わりにまたはそれに加えて、例示的な実施形態では、垂直インターコネクト(複数可)は、低応力誘電体層と協働して、例示的な誘電体材料の熱膨張係数よりも大きいインターコネクト(複数可)の熱膨張係数をもたらすなどにより、インターコネクト構造間のこのような拡散接合を可能にするように構成される。
【0024】
図1Aは、実施形態に従った、光検出器半導体デバイスなどの例示的な電気デバイスを形成するための例示的な方法100を示している。図示したように、図1Aは概して、電気デバイスの基板を用意するステップ(ステップ112)と、基板を少なくとも部分的に覆う誘電体層を形成するステップ(ステップ114)とを含む。形成ステップ114は、以下のうちの1つ以上を含み得る。(i)電気デバイス内の1つ以上の温度センシティブ材料の劣化温度以下の温度などの低温で誘電体層を形成するステップ(ステップ114a)、(ii)低応力状態をもたらすように誘電体層を形成するステップ(ステップ114b)、たとえば、応力をまったく与えないか、または電気デバイス内の1つ以上の脆弱な材料の破壊応力(たとえば、極限引張強度、破壊強度、降伏強度)よりも小さい応力をもたらすステップ、及び/または(iii)電気デバイスの平坦化をもたらすように誘電体層を形成するステップ(ステップ114c)、たとえば、デバイスの誘電体層の下にある1つ以上の層における潜在的な全厚さばらつきを緩和または除去するステップ。
【0025】
図1Bは、実施形態による図1Aに示す方法100の続きである。図示したように、図1Bは概して、誘電体層のビアホール内に少なくとも1つの導電性の垂直インターコネクトを形成するステップ(ステップ116)を含む。形成ステップ116は、以下のうちの1つ以上を含み得る。(i)誘電体層の熱膨張係数よりも大きい熱膨張係数を有する垂直インターコネクト(複数可)を形成するステップ(ステップ116a)、(ii)低温で他の対向インターコネクトと拡散接合可能である垂直インターコネクト(複数可)を形成するステップ(ステップ116b)。図示したように、例示的な方法100は、電気デバイス(第1の電気デバイス)を、他の電気デバイス(第2の電気デバイス)と3D集積するために準備することを続け得る。また図2に示すように、第1の例示的な電気デバイスを製造する方法に続いて、例示的な実施形態により、第1及び第2の電気デバイスを互いに接合して3D集積電気デバイスを提供するステップ210を含む方法200を提供し得る。
【0026】
図2A~2Gは、方法100による例示的な電気デバイス10を形成するための例示的なプロセスステップを図示する概略断面図である。例示した実施形態では、半導体デバイス10は、概して、基板12と、基板12によって支持された光伝導体層14と、基板12の少なくとも一部(たとえば、主表面)を覆う例示的な低応力誘電体層16と、低応力誘電体層16の個々のビアホール内の1つ以上の導電性の垂直インターコネクト18とを含む光検出器10である。当然のことながら、光伝導体10の描写は例示的なものであり、本明細書で開示した原理及び態様により、任意の好適な形態の電気デバイスを用いてもよい。
【0027】
図2A図1Aのステップ112とを参照して、基板12を用意するステップは、特定の用途に対して要求され得る電気デバイス10に対する任意の好適な基板を用意することを含む。例示した実施形態では、誘電体層16とインターコネクト18とを支持する基板12は、その他の層を支持する下部基板層13及び光伝導体層14を含む。例示的な実施形態では、光伝導体層14は、テルル化カドミウム水銀(Hg1-xCdTe)(「MCT」とも称する)で形成される。下部基板層13は、たとえばシリコン基板などの、その他の層を支持するように構成された任意の好適な基板とし得る。
【0028】
誘電体層16より下の層(組み合わせて、本明細書では全般的に単に基板12と称する)は、電気デバイス及び製造方法のタイプに応じて追加の層(図示せず)を含んでいてもよい。たとえば、光伝導体層14(たとえば、MCT)と下部基板層13(たとえば、シリコン)との間に、1つ以上のバッファ層を設けてもよい。バッファ層は、カドミウム及びテルルを含んでいてもよく、上記のMCT光伝導体層14の界面接合を改善し得る。加えて、1つ以上のパッシベーション層を光伝導体層14の上に形成してもよい。パッシベーション層は、カドミウム及びテルルを含んでいてもよく、MCT光伝導体層14と、隣接した誘電体層16との間の界面接合を改善し得る。
【0029】
さらに図2Aを参照して、光伝導体層14を覆うキャップ層20を形成し得る。例示的な実施形態では、キャップ層20はCdTeで形成されるが、SiNまたは他の好適なパッシベーション層とすることができる。図示したように、少なくともキャップ層18を貫いて開口部21を形成して、下方の光伝導体層14を露出させる。その後、インプラント22を光伝導体層14内に形成する。インプラント22は、光伝導体層14とのpn接合を提供して、光電効果を可能にする。たとえば、光伝導体層14がn型材料である場合には、インプラント22をp型材料で形成して、pn接合を形成する。代替的に、光伝導体層14がp型半導体である場合には、インプラント22はn型インプラントとなる。したがって、例示的な光検出器10では、入射IR光子が、下部基板層13を(たとえば、ウィンドウを介して)通り抜けて、光伝導体層14内のpn接合と相互作用して光電流を生成することができ、該光電流がインターコネクト18を介して伝達される。
【0030】
図2Bを参照して、光伝導体層14内のpn接合部で生成された電子をインターコネクト18に移すために、電気コンタクトパッド24を開口部21内のインプラント22上方に形成する。コンタクトパッド24は、堆積及びパターニングを含む任意の好適な技法を使って形成され得る。図示したように、導電パッド24はキャップ層20の上面の上方に突出するように形成され得る。コンタクトパッド24は、導電性金属を含む任意の好適な導電性材料または材料の組み合わせによって形成され得る。例示的な実施形態では、コンタクトパッド24は、金属層24a(たとえば、アルミニウム)と、光伝導体層14との相互拡散を防止するために金属層24aの下にあるバリア層24b(たとえば、TiW)とを含み得る。
【0031】
図2C図1Aのステップ114とを参照して、例示的な誘電体層16が、基板12の少なくとも一部を覆うように形成される。誘電体層16は、用途に要求され得る任意の好適な技法を介して任意の好適な材料によって形成され得る。図示したように、誘電体層16は、少なくとも、キャップ層20の上方に突出する電気コンタクトパッド24を覆うように付与される。例示した実施形態では、誘電体層16は、光伝導体層14の横方向の範囲全体を覆い、光伝導体層14の周辺端部を囲む。より詳細には、誘電体層16は、電気デバイス10の周辺端部まで延び得る。誘電体層16は、電気絶縁、剛性/支持などの所望の機能を提供する任意の好適な厚さであってもよい。例示した実施形態では、たとえば、誘電体層の厚さは、2マイクロメートル(ミクロン)~4ミクロンの範囲であってもよい。
【0032】
前述し、図1Aのステップ114aに示したように、誘電体層16は、電気デバイス10内に含まれる任意の温度センシティブ材料の熱劣化温度よりも低い低温プロセスを用いてデバイス10上に形成され得る。たとえば、光伝導体層14内の温度センシティブなMCT材料の熱劣化温度は約150℃であり、したがって、誘電体層16は、約25℃~約150℃の範囲などの150℃よりも低い温度で形成される(たとえば、25℃、50℃、75℃、85℃、90℃、100℃、125℃、140℃、または150℃、記載値間のすべての範囲及び部分範囲を含む)。誘電体層を形成するための低温プロセスは、物理気相成長法(たとえば、PVD反応性スパッタリング)などの好適な堆積プロセスを含み得る。MCTの代わりにまたはそれに加えて、異なる熱劣化温度を有する他の温度センシティブ材料を、誘電体層16を形成する前にデバイス10内に含めてもよく、したがって、誘電体層16のプロセス温度は、任意のこのような温度センシティブ材料の最も低い劣化温度未満に留まることが好ましい。
【0033】
また前述し、図1Aのステップ114bに示したように、誘電体層16は、低応力層としてデバイス10上に形成され得る。詳細には、誘電体層16は、その処理パラメータを介して、層16の低い引張応力または圧縮応力などの低い固有応力を有する構造を提供するように適応させ得る。例示的な実施形態では、低応力層は、デバイス内の脆弱な材料(複数可)に与える応力が皆無かそれに近く、それに対する損傷を防止するように構成された固有の面内二軸応力(もし存在しても)を有する。たとえば、光伝導体層14のMCT材料は、約0.20MPa・m1/2ICの低い破壊靱性を有する脆弱な材料であり、したがって、特に張力を受けると損傷しやすい。したがって、デバイス10の製造または動作中のMCT材料への悪影響を軽減するために、誘電体層16は、MCT層の破壊応力値よりも小さい応力(力)を与える固有応力値を有するように構成され得る。
【0034】
MCTの代わりにまたはそれに加えて、他の脆弱な材料を製造または動作中にデバイス10内に含めてもよく、したがって、脆弱な材料(複数可)に応力(力)を与える誘電体層16の固有応力値は、任意のこのような材料の最も低い破壊応力値よりも低いことが好ましい。誘電体材料16の最大の面内二軸応力値を決定する1つの方法は、転位が滑って最低の歪みエネルギーに再構成する貫通転位滑り力を面内応力が超えるときを決定することである。一例として、また限定することなく、室温(25℃)で、60°混合バーガースベクトル上の(111)配向材料が、約0.5MPa(圧縮または引張)で生じるであろう。貫通転位が生じると、滑りによってベースにミスフィットラインが残り、活性領域にある場合はノイズが増加する可能性がある。同じ配向及び欠陥タイプでの貫通転位の形成が、7μm厚の材料に対して約3MPaで生じる。材料にすでに転位があった場合、面内応力が最低の応力エネルギー構成に緩和されると、次に転位が、さらなる3MPa面内応力の後に形成される。このような方法を一例として使用すると、当業者であれば、誘電体層16の最大の面内二軸応力は、3.5MPaを超えるべきではないと決定することができる。したがって、低応力誘電体層16は、たとえば、0.0MPa~3.5MPaの範囲内の固有の面内二軸応力を有し得る。
【0035】
さらに図2Cを参照し、また図1Aのステップ114cも参照して、誘電体層16は、誘電体層16の下にあるデバイスの部分における潜在的な全厚さばらつきを補償する平坦化を提供するように電気デバイス10に適用され得る。一般的に、このような平坦化には、電気デバイス10の表面の平坦性または平面性を増加させることが含まれる。たとえば、下部基板13(たとえば、シリコン基板)は比較的平坦または平面であり得るが、デバイス10が種々の製造ステップを経るにつれて、異なる材料、形状、及び深さの層が、異なる成長または堆積技術によって堆積されて、デバイス表面の平坦性または平面性の低下につながる。たとえば、MCTは、比較的柔らかい材料(たとえば、モース硬度が約4.0)である。したがって、例示的な実施形態では、誘電体層16を、その時点までのデバイス10における潜在的な全厚さばらつきを減らすかまたはなくす平坦化を提供するように形成する。このような平坦化を容易にするために、誘電体層16を、図2Cに示すステップで、その時点でのデバイス10内のすべての構造を覆う好適な厚さで適用することができ、こうして平坦化されたかまたは平らな誘電体層16の上面が提供され得る。
【0036】
前述した機能の(i)低応力、(ii)低い処理温度、及び(iii)高められた平坦化のそれぞれを達成する、誘電体層16用の材料の1つの例示的なタイプは、窒化アルミニウム(AlN、本明細書では単にAlNとも称する)である。同じ機能のそれぞれを達成する誘電体層16用の材料の他の例示的なタイプは、窒化ケイ素(SiN、本明細書では単にSiNとも称する)である。当業者であれば分かるように、AlNまたはSiNを形成するときの具体的な処理条件は、その微細構造、及び低い固有応力などの特徴的な特性に影響し得る。例示的な実施形態では、AlNまたはSiNは、低温(たとえば、150℃未満)スパッタリングプロセス(反応性スパッタリングなど)中に形成され、その微細構造における多結晶度が増加した材料を形成することができる。当然のことながら、電気デバイスにおける所望の特性及びデバイス10内の他の材料との協働に応じて、1つ以上の他の好適な技法によって形成される他の好適な誘電体材料(または材料の組み合わせ)を、誘電体層16において利用してもよい。
【0037】
図2Dを参照して、誘電体層16を形成した後に、コンタクトパッド24の位置に対応するように、1つ以上のビアホール26を誘電体層16内に形成する。ビアホール26の形成は、パターン形成及びエッチングなどの任意の好適な技法によって行われ得る。図示したように、ビアホール26の形成後、誘電体層16は依然として、コンタクトパッド24の上面の上方の高さにある。
【0038】
図2Eに、ベース層28の堆積を示す。例示した実施形態では、ベース層28は、誘電体層16のビアホールの上面及び個々の側面を覆い、電気コンタクトパッド24の個々の上面を覆う。ベース層28は、垂直インターコネクト18(図2Fに示し、以下に説明する)を形成する材料の電気化学メッキを容易にする好適な金属で形成され得る。例示した実施形態では、たとえば、ベース層28はスズ(Sn)で形成され、PVDプロセスによって堆積される。
【0039】
図2F図1Bのステップ116とを参照するに、垂直インターコネクト18を形成する材料が電気デバイス10に適用される。インターコネクト材料は、任意の好適な処理技術で形成された任意の好適な導電性材料で形成され得る。例示した実施形態では、インターコネクト材料は、デバイス10の上面を覆うように電気化学メッキプロセスを介して堆積される伝導層30として形成される。メッキプロセスによって、比較的低い温度で比較的短い時間に比較的厚い層が提供され得る。図示したように、伝導層30の厚さは、ビアホール26の残りの部分がインターコネクト材料によって充填され(30aに示す)、余分に積んだ領域30bがビアホール26の外側に形成されるようなものである。メッキは1つの好適な技法であり得るが、当然のことながら、インターコネクト18を形成する方法は、蒸着、スパッタリング、または化学気相プロセス(たとえば、電子ビーム、PVD、またはCVD)などの任意の好適な堆積プロセスとすることができる。このような代替的なプロセスでは、ベース層28(たとえば、スズ層)は必要でない場合がある。一般的に、伝導層30を形成するための処理ステップは、デバイス10内の任意の温度センシティブ材料の熱劣化温度よりも低い温度で行われ得る。
【0040】
前述し、図1Bのステップ116aに示したように、インターコネクト18を形成する材料は、誘電体層16の熱膨張係数(CTE)より大きい熱膨張係数を有し得る。これにより、完全に形成されたインターコネクト構造18(図2Gに示す)が、他の電気デバイス50(図3Aに示す)との3D集積を容易にすることが可能になり得る。これは、インターコネクト18と周囲の誘電体層16との間のCTE不一致に起因して、昇温接合ステップ中に、各デバイス10、50におけるインターコネクト18、52間の界面において圧縮応力を形成することによって行われる。
【0041】
また前述し、図1Bのステップ116bに示したように、電気デバイス10のインターコネクト18を形成する材料は、電気デバイス10内の温度センシティブ材料の熱劣化温度よりも低い温度で、第2のデバイス50の対向インターコネクト52と拡散接合可能であるとし得る。前述したように、光伝導体層14内の温度センシティブなMCT材料の熱劣化温度は約150℃であり、したがって、インターコネクト18、52は、約150℃以下の温度で拡散接合可能であるとし得る。MCTの代わりにまたはそれに加えて、異なる熱劣化温度を有する他の温度センシティブ材料をデバイス10内に含めてもよく、したがって、インターコネクト材料の拡散接合温度は、任意のこのような温度センシティブ材料の最も低い劣化温度とほぼ同じ温度またはそれより低くされ得る。
【0042】
図2Fにおける伝導層30として形成され、前述の機能の(i)導電性であること、(ii)CTEが誘電体層16のCTEよりも大きいこと、(ii)MCTなどの温度センシティブ材料の劣化温度よりも低い温度で拡散接合可能であることのそれぞれを満たすインターコネクト18用の材料の1つの例示的なタイプは、インジウム(In)である。しかし、所望の特性及びデバイス10内の他の材料との協働に応じて、他の好適な材料を用いてもよいことが理解される。
【0043】
図2G図1Bのステップ118とを参照するに、他の電気デバイスとの3D集積用に電気デバイスを準備するステップが示されている。このプロセスは、以前のステップでの伝導層の余分に積んだ部分30bを、該当する場合にはメッキベース層28の余分に積んだ部分とともに除去する化学機械研磨(CMP)を含み得る。図示したように、この結果、誘電体層16のビアホール内に導電性材料(たとえば、インジウム)が配置され、個々の垂直インターコネクト構造18が形成される。例示的な実施形態では、個々の垂直インターコネクト18は、その軸方向範囲の大部分、より詳細には全体が、誘電体層16によって囲まれている。また誘電体層16は、電気コンタクトパッド24の大部分も囲んでいる。またCMPプロセスにより、電気デバイス10の実質的に平坦な上面が得られ、個々のインターコネクト18の上面は誘電体層16の上面と同じ水平面上にあるが、CMPプロセスによってインターコネクト18の多少のディッシングが存在し得る。
【0044】
例示的な実施形態では、3D集積用に電気デバイス10を準備することは、誘電体層16の上面に接合層を適用することも含んでいてよい。例示した実施形態では、接合層は位置32に示す。接合層はコンフォーマル誘電体膜とし得る。接合層によって、第2の電気デバイス50の対向する接合層(位置54に示す)との界面接合が得られる。接合は、接合層間のファンデルワールス力による周囲室温接合を含んでいてもよく、これは、昇温での共有結合性フュージョン接合によってさらに促進され得る。接合層は、非金属材料、たとえば酸化物、より詳細には、酸化ケイ素(SiO)、たとえば、二酸化ケイ素(たとえば、溶融シリカまたはSiO)であってもよい。接合層は、方法100中の任意の好適なステップにおいて、物理気相成長法、反応性物理気相成長法、化学気相成長法、プラズマ化学気相成長法、スパッタリング、またはスピンオンガラスプロセスを含む堆積プロセスなどの任意の好適な技法によって形成され得る。
【0045】
図3Aと、図1Bの方法200とに、第1の電気デバイス10(たとえば、光検出器10)と第2の電気デバイス50との3D集積の開始を例示する。例示した実施形態では、第2の電気デバイス50は、読み出し集積回路(ROIC)であり、これは、たとえば、基板56、基板56によって支持された誘電体層58、及び第1の電気デバイス10におけるインターコネクト18に対応する1つ以上の導電性の垂直インターコネクト52を含め、第1の電気デバイス10と同じまたは類似のフィーチャのうちのいくつかを有し得る。基板56は、ROIC回路と、インターコネクト構造18、52を介して光検出器10から電子を受け取るための電気コンタクトとを含み得る。誘電体層58は、低温での形成、低応力(低い固有応力値)を有すること、及び/またはROIC50の処理中に平坦化を提供することを含めて、誘電体層16と同じであってもよい。加えて、インターコネクト52は、共に拡散接合するための適合性をもたらすためにインターコネクト18と同じであってもよい。したがって、インターコネクト52は、3D集積を容易にするために誘電体層58より大きなCTEを有することができ、インターコネクト52の材料は低温でも拡散接合可能であることができる。前述したように、接合層(位置54に示す)を第2の電気デバイス50に適用してもよく、これは、互いに適合性のある接合をもたらすために第1の電気デバイス10の接合層(位置32に示す)と同じであってもよい。
【0046】
さらに図3Aを参照して、3D集積プロセスは、第1の電気デバイス10(たとえば、光検出器)を第2の電気デバイス50(たとえば、ROIC)と接触させることを含んでおり、これは、標準周囲温度(すなわち、IUPAC標準によれば25℃)で行ってもよい。このステップの間に、接合層(たとえば、SiO)の露出した界面を互いに接触させてファンデルワールス結合を形成することによって、初期接合が生じ得る。このステップでは、それぞれのインターコネクト18及び52が、互いに位置合わせされ、互いに接触し得る。CMPプロセスによって、それぞれのインターコネクト18、52は、多少のディッシングを有する場合があり、したがって、インターコネクト18とインターコネクト52との間に小さいギャップ存在する場合がある。
【0047】
図3Bを参照し、図1Bのステップ210を参照するに、デバイス10、50を互いに昇温接合して3D集積電気デバイス70を形成することによる第1のデバイス10と第2のデバイス50との3D集積が示されている。前述したように、インターコネクト18、52のそれらそれぞれの周囲の誘電体層16、58に対するCTE不一致によって、昇温プロセス中に、インターコネクト18、52は、それらの周囲の誘電体層16、58よりも大きく膨張して、それぞれのインターコネクト18、52の界面(破線80で示す)において圧縮接触を行う。この圧縮接触は、ディッシングによって生じ得たインターコネクト18、52間のギャップを閉じることを可能にする。昇温プロセスでは、それぞれの接合層(たとえば、SiO)が共に共有結合し、インターコネクト18、52が共に融合して、一体化された接合層を貫いて延びるそれぞれの単一の一体化伝導性ポスト60になる。
【0048】
前述したように、インターコネクト18、52は好ましくは、デバイス10内の温度センシティブ材料(複数可)の熱劣化温度とほぼ等しいか、それよりも低い温度で拡散接合を可能にする材料で形成される。たとえば、MCTの熱劣化温度は約150℃であり、インジウムはそれ自体と約150℃で拡散接合可能である。たとえば、MCTを使用する例示的な実施形態では、インターコネクト構造18、52の拡散接合は、140℃から150℃未満までの範囲の温度で起こるが、AlN層がMCTのそのカプセル化によって堆積された後は、より昇温となり得る。しかし、熱劣化温度及び拡散接合温度には、温度センシティブ材料(たとえば、MCT)またはインターコネクト(たとえば、In)のいずれの機能にも大きく影響しない多少のオーバーラップがあり得ることが理解される。たとえば、昇温接合は、MCTを著しく劣化させることなく、約160℃の温度で行われ得る。
【0049】
例示的な電気デバイス10及び/または3D集積電気デバイス70の例示的な形成について上記で説明してきたが、当然のことながら、本明細書に記載の原理及び態様により代替的な構成も使用することができる。
【0050】
たとえば、脆弱な材料として主にMCTに言及しているが、当然のことながら、電気デバイス内の他の領域において他の脆弱な材料を使用してもよく、その場合、脆弱な材料(複数可)に与える応力が皆無かそれに近い低応力誘電体層16を設けることが望ましいとし得る。一般的に、低応力層の固有の面内二軸応力レベルは、約-10.0MPa~約+10.0MPaの範囲であり得る。低応力誘電体層に対する応力の許容レベルは、誘電体層が脆弱な材料(複数可)に与える応力(力)の量に関連し得る。したがって、本明細書で使用する場合、用語「低応力」は、脆弱な材料の破壊応力値よりも小さい応力(力)を与える応力値を示すことを意味する。一般的に、「脆弱な材料」は、KIC破壊靱性が1MPa・m1/2未満の材料である。「破壊応力値」は、本明細書で使用する場合、通常は材料の「強度」を言い、これには、材料の基礎をなす機能(たとえば、機械的及び/または電気的特性)がかなり劣化するかまたは機能しなくなる降伏強度、極限強度、破壊強度、破壊靱性などが含まれ得る。前述したように、誘電体材料16の固有応力値を決定する少なくとも1つの方法は、材料の面内応力が貫通転位滑り力を超えるときを決定することである。
【0051】
また、温度センシティブ材料として主にMCTに言及しているが、当然のことながら、電気デバイス内の他の領域において他の温度センシティブ材料を用いてもよく、その場合、低温で形成できる誘電体層16を設けることが望ましいとし得る。一般的に、誘電体層16の低温形成は、約75℃~約150℃、より詳細には90℃~125℃の範囲の温度、より詳細には約100℃で行い得る。誘電体層16を処理するための許容可能な温度は、温度センシティブ材料(複数可)の熱劣化温度に関連し得る。したがって、本明細書で使用する場合、用語「低温」は、温度センシティブ材料の熱劣化温度とほぼ等しいか、それよりも低い温度値を意味する。本明細書で使用する場合、用語「熱劣化温度」は、材料に対する熱の作用により、物理的、機械的、及び電気的特性などの特性の損失が生じる温度を意味する。熱劣化によるこのような特性の損失は、微細構造または組成の変化、時間依存性の変形及び結果としての損傷累積、環境攻撃及び昇温での環境との加速的な反応の効果などによって示され得る。たとえば、熱劣化温度には、物質が化学的に分解(化学結合が切断)して1つ以上の構成要素になる熱分解が起こる温度が含まれ得る。また熱分解温度には、そのような材料に対する融解温度、ガラス転移温度、共晶形成温度、沸騰/揮発温度などが含まれ得る。
【0052】
非限定的な例として、電気デバイス内で使用するいくつかの例示的な温度センシティブ材料及びその熱劣化温度には、以下が含まれる。共晶融解温度が183℃である鉛スズ(PbSn)、融解温度が約95℃であるビスマス鉛スズ(BiPbSn)、共晶融解温度が約138℃であるビスマススズ(BiSn)、融解温度が約118℃であるインジウムスズ(52%In:48%Sn)、融点が約155℃であるインジウム(In)、融点が約230℃であるスズ(Sn)、融点が約40℃であるルビジウム(Rb)、熱劣化温度が約180℃であるテルル化カドミウム(CdTe)またはテルル化カドミウム亜鉛(CdZnTe)、熱劣化温度が約150℃であるテルル化カドミウム水銀(Hg1-xCdTe)。したがって、本開示による温度センシティブ材料の熱劣化温度は50℃~250℃の範囲とし得る。前述したように、そのステップにおいて温度センシティブ材料を含む電気デバイスに対して行われる各処理ステップが、温度センシティブ材料の熱劣化温度とほぼ等しいか、それよりも低い値に保持される場合、有用であり得る。
【0053】
本明細書では、基板、基板によって支持された誘電体層、及び誘電体層を通って延びる導電性の垂直インターコネクトを含む例示的な電気デバイスについて説明している。誘電体層は、デバイス内の温度センシティブ材料の熱劣化温度よりも低い低温で形成され得る。誘電体層は、応力をまったく与えないか、またはデバイス内の脆弱な材料の破壊応力よりも小さい応力を与える低応力層とし得る。誘電体層は、処理ステップ中に、そのステップにおける電気デバイスを平坦化するように形成され得る。垂直インターコネクトは、デバイス内の温度センシティブ材料の熱劣化温度よりも低い低温で、他の対向インターコネクトと拡散接合可能とし得る。垂直インターコネクトは、3D集積を容易にするために誘電体層の熱膨張係数(CTE)より高いCTEを有し得る。
【0054】
より詳しい実施形態(複数可)によれば、電気デバイスは、光検出器であって、低応力で、低固定電荷であり、誘電体層を接合する前に堆積されるMCT層(またはその上のパッシベーション層)に十分に接着する低温誘電体層をもたらす光検出器である。そして、酸化物-酸化物接合を、ROIC接合層に適応させることができる。誘電体層は、低応力でありMCT及びSiO接合層の両方に効果的に接合するAlNまたはSiN誘電体であってもよい。電気デバイスのアーキテクチャは、平坦な表面トポロジーを有しており、光検出器アレイをROICに隣接して接合することができる。ROIC層内の金属貫通ビアインターコネクトが、複合構造を150℃未満の温度で加熱することによって光検出器と接合する。金属インターコネクトの熱膨張係数が周囲の誘電体と比べて高いため、金属は、対向する金属インターコネクト内まで延びて、シームレスな一体型の電気インターコネクト構造が形成される。
【0055】
当然のことながら、本明細書及び特許請求の範囲に開示されたすべての範囲及び比率の限界は、すべての値、記載値間の範囲及び部分範囲を含めて、任意の方法で組み合わせてもよい。用語「約」は、本明細書で使用する場合、記載値の±10%までのばらつき、たとえば、記載値の±10%、±9%、±8%、±7%、±6%、±5%、±4%、±3%、±2%、±1%、±0.01%、または±0.0%、によって規定される範囲内にある任意の値、ならびにこのような記載値に介在する値を指す。
【0056】
本明細書で使用する場合、「上部」、「下部」、「頂部」、「底部」、「左」、「右」、「水平」、「垂直」などの位置または方向の用語は、たとえば、図2Hに示すように、水平位置で見たときの例示的な電気デバイスを参照してのものである。これは、これらのデバイスを、製造されるとき、他の電気デバイス内に実装されるとき、パッケージされるときなどに種々の他の位置に配向できることを認識して行われる。
【0057】
本明細書で使用する場合、用語「上に配置される(disposed on)」、「上に配置される(disposed onto)」、「上に堆積される」、「の下にある」、「を覆う」などは、ある要素と他の要素との直接または間接的な接触を指し、一方で用語「上に直接(directly on)」または「上に直接(directly onto)」は、ある要素と他の要素との直接接触を指すが、要素間の間接的な接触は指さない。
【0058】
当然のことながら、特に記載のない限り、「a」、「an」、及び/または「the」への言及には、1つ以上が含まれていてもよく、単数形の項目への言及には複数形の項目が含まれていてもよい。語句「及び/または」は、そのように接合された要素の「いずれかまたは両方」、すなわち、ある場合には接続的に存在し、他の場合には離接的に存在する要素を意味すると理解すべきである。明らかにそれとは反対の指示がない限り、具体的に特定された要素と関連するか関連しないかにかかわらず、「及び/または」節によって具体的に特定される要素以外の他の要素が随意に存在し得る。したがって、非限定的な例として、「A及び/またはB」への言及は、「含む(comprising)」などのオープンエンド言語とともに使用される場合、一実施形態では、B抜きのA(随意にB以外の要素を含む)、別の実施形態では、A抜きのB(随意にA以外の要素を含む)、さらに他の実施形態では、A及びBの両方(随意に他の要素を含む)などを指すことができる。
【0059】
用語「または」は、上記で規定した「及び/または」と同じ意味であると理解すべきである。たとえば、リスト内の項目を分離するとき、「または」または「及び/または」は包含的であると、すなわち、ある数またはリストの要素のうちの、少なくとも1つを含むが、2つ以上も含み、随意にさらなる非リストの項目も含むものと解釈されるものとする。「のうちの1つのみ」または「のうちの正確に1つ」などの、明らかに反対の指示をする用語のみ、ある数またはリストの要素のうちの厳密に1つの要素を含むことを指し得る。全般的に、用語「または」は、本明細書で使用する場合、「いずれか」、「のうちの1つ」、「のうちの1つのみ」、または「のうちの厳密に1つ」などの排他性の用語が先行するとき、排他的な選択肢(すなわち「一方または他方であるが両方ではない」)を示すものとしてのみ解釈されるものとする。
【0060】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「運ぶ」、「有する」、「含む」、「伴う」、「保持する」、「で形成される」などの移行用語または語句は、オープンエンドであると、すなわち、特に明記しない限り、含むが限定されないことを意味すると理解すべきである。
【0061】
本発明を特定の好ましい実施形態または実施形態(複数)に関して図示し説明してきたが、本明細書及び添付図面を読んで理解すれば、同等な変更及び修正が当業者には想起されることが明らかである。詳細には、前述の要素(コンポーネント、アセンブリ、デバイス、組成物など)によって行われる種々の機能に関して、このような要素を説明するために使用される用語(「手段」への言及を含む)は、特に断りのない限り、本明細書で例示した本発明の例示的な実施形態または実施形態(複数)における機能を行う開示した構造と構造的に同等ではなくても、説明した要素の特定の機能を行う(すなわち、機能的に等価な)任意の要素に対応することが意図される。加えて、本発明の特定の特徴を、いくつかの例示した実施形態のうちの1つ以上に関してのみ上記で説明してきたが、このような特徴は、任意の所与または特定の用途に対して望ましい及び有利であり得るように、他の実施形態の1つ以上の他の特徴と組み合わせてもよい。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3A
図3B