IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ・ボーイング・カンパニーの特許一覧

<>
  • 特許-固定隔離器及びシステムを隔離する方法 図1
  • 特許-固定隔離器及びシステムを隔離する方法 図2
  • 特許-固定隔離器及びシステムを隔離する方法 図3
  • 特許-固定隔離器及びシステムを隔離する方法 図4
  • 特許-固定隔離器及びシステムを隔離する方法 図5
  • 特許-固定隔離器及びシステムを隔離する方法 図6
  • 特許-固定隔離器及びシステムを隔離する方法 図7
  • 特許-固定隔離器及びシステムを隔離する方法 図8
  • 特許-固定隔離器及びシステムを隔離する方法 図9
  • 特許-固定隔離器及びシステムを隔離する方法 図10
  • 特許-固定隔離器及びシステムを隔離する方法 図11
  • 特許-固定隔離器及びシステムを隔離する方法 図12
  • 特許-固定隔離器及びシステムを隔離する方法 図13
  • 特許-固定隔離器及びシステムを隔離する方法 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-14
(45)【発行日】2025-04-22
(54)【発明の名称】固定隔離器及びシステムを隔離する方法
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/02 20060101AFI20250415BHJP
   H02N 2/18 20060101ALI20250415BHJP
【FI】
F16F15/02 K
H02N2/18
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021001679
(22)【出願日】2021-01-07
(65)【公開番号】P2021113610
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2024-01-05
(31)【優先権主張番号】16/737,153
(32)【優先日】2020-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ポティエ, ジャレッド アール.
(72)【発明者】
【氏名】スミス, ニコラス サミュエル リー
(72)【発明者】
【氏名】マンガー, ケアリー ディー.
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-500330(JP,A)
【文献】特開2016-144249(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/00-15/36
H02N 2/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度の変化に応じて隙間嵌め状態と締り嵌め状態との間で遷移するように構成された1以上のジョイント(102)
前記1以上のジョイント(102)が前記隙間嵌め状態にあるときに、前記1以上のジョイント(102)を介した振動の伝達を減衰させるように構成された緩衝器(104)
前記1以上のジョイント(102)を加熱するように構成された加熱要素(116)、又は前記1以上のジョイント(102)を冷却するように構成された冷却要素(162)、及び
機械的な歪に応じて電力を生成するように構成された圧電発電機(118)を備え
前記圧電発電機(118)が、前記加熱要素(116)又は前記冷却要素(162)と電気的に通じており、
前記電力が、前記加熱要素(116)又は前記冷却要素(162)にエネルギーを与え、
前記圧電発電機(118)が、前記振動に応じて曲がるように構成された圧電カンチレバー(120)を備える、固定隔離器(100)。
【請求項2】
前記1以上のジョイント(102)の各ジョイント(102)が、
第1の熱膨張率(108)を有する第1の部分(106)、及び
前記第1の熱膨張率(108)とは異なる第2の熱膨張率(112)を有する第2の部分(110)を備える、請求項1に記載の固定隔離器(100)。
【請求項3】
前記第1の部分(106)と前記第2の部分(110)とは、遷移温度(114)未満で互いに対して固定され、
前記第1の部分(106)と前記第2の部分(110)とは、前記遷移温度(114)より上で互いに対して移動可能である、請求項2に記載の固定隔離器(100)。
【請求項4】
前記第1の部分(106)と前記第2の部分(110)とは、遷移温度(114)未満で互いに対して移動可能であり、
前記第1の部分(106)と前記第2の部分(110)とは、前記遷移温度(114)より上で互いに対して固定されている、請求項2に記載の固定隔離器(100)。
【請求項5】
構造システム(150)の第1の構造体(146)を前記構造システム(150)の第2の構造体(148)から隔離する方法(1000)であって、
固定隔離器(100)を使用して、前記第1の構造体(146)と前記第2の構造体(148)とを共に結合すること、
温度の第1の変化に応じて、前記固定隔離器(100)の1以上のジョイント(102)を、前記第1の構造体(146)と前記第2の構造体(148)とが互いに対して移動可能な隙間嵌め状態から、前記第1の構造体(146)と前記第2の構造体(148)とが互いに対して固定された締り嵌め状態へと遷移させること、
温度の第2の変化に応じて、前記1以上のジョイント(102)を、前記締り嵌め状態から前記隙間嵌め状態へと遷移させること、及び
前記1以上のジョイント(102)前記隙間嵌め状態では、前記固定隔離器(100)の緩衝器(104)を使用して、前記第1の構造体(146)と前記第2の構造体(148)との間での振動の伝達を減衰させることを含む、方法(1000)。
【請求項6】
前記温度を変化させるために、前記固定隔離器(100)を加熱することを更に含む、請求項に記載の方法(1000)。
【請求項7】
前記温度を変化させるために、前記固定隔離器(100)を冷却することを更に含む、請求項に記載の方法(1000)。
【請求項8】
前記1以上のジョイント(102)の各ジョイント(102)が、
第1の熱膨張率(108)を有する第1の部分(106)、及び
前記第1の熱膨張率(108)とは異なる第2の熱膨張率(112)を有する第2の部分(110)を備え、
前記方法(1000)が、前記第1の部分(106)を前記第2の部分(110)よりも膨張させるため、又は前記第2の部分(110)を前記第1の部分(106)よりも膨張させるため、前記1以上のジョイント(102)の各ジョイント(102)を遷移温度(114)より上に加熱することを更に含む、請求項又はに記載の方法(1000)。
【請求項9】
加熱要素(116)を使用して、前記1以上のジョイント(102)を加熱すること、又は冷却要素(162)を使用して、前記1以上のジョイント(102)を冷却することを更に含む、請求項5から8のいずれか一項に記載の方法(1000)。
【請求項10】
圧電発電機(118)を使用して、機械的な歪に応じて電力を生成すること、及び
前記電力を使用して、前記加熱要素(116)又は前記冷却要素(162)にエネルギーを与えることを更に含
前記圧電発電機(118)が、前記振動に応じて曲がるように構成された圧電カンチレバー(120)を備える、請求項に記載の方法(1000)。
【請求項11】
前記1以上のジョイント(102)の各ジョイント(102)が、
第1の熱膨張率(108)を有する第1の部分(106)、及び
前記第1の熱膨張率(108)とは異なる第2の熱膨張率(112)を有する第2の部分(110)を備え、
前記方法(1000)が、前記第1の部分(106)を前記第2の部分(110)よりも収縮させるため、又は前記第2の部分(110)を前記第1の部分(106)よりも収縮させるため、前記1以上のジョイント(102)の各ジョイント(102)を遷移温度(114)未満に冷却するステップを含む、請求項5又は7に記載の方法(1000)。
【請求項12】
温度の変化に応じて隙間嵌め状態と締り嵌め状態との間で遷移するように構成された1以上のジョイント(102)、及び
前記1以上のジョイント(102)が前記隙間嵌め状態にあるときに、前記1以上のジョイント(102)を介した振動の伝達を減衰させるように構成された緩衝器(104)を備え、
前記1以上のジョイント(102)の各ジョイント(102)が、第1の熱膨張率(108)を有する第1の部分(106)、及び前記第1の熱膨張率(108)とは異なる第2の熱膨張率(112)を有する第2の部分(110)を備え、
前記第1の部分(106)と前記第2の部分(110)とは、遷移温度(114)未満で互いに対して移動可能であり、
前記第1の部分(106)と前記第2の部分(110)とは、前記遷移温度(114)より上で互いに対して固定されている、固定隔離器(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広くは、1つの構造体をもう1つの構造体に連結する際の隔離器の使用に関し、特に、固定隔離器(locking isolator)、及び固定隔離器を使用して振動を選択的に減衰させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の装備は、衝撃及び振動に敏感である。そのような装備の機能は、比較的強い衝撃及び振動力によって妨害され得る。高エネルギー環境において、そのような装備を支持構造体から隔離することが望ましいだろう。しかし、低エネルギー環境では、そのような装備を支持構造体にしっかりと固定することが望ましいだろう。従来の衝撃及び振動吸収器は、支持構造体と装備との間で力を減衰させることができるだけで、装備を支持構造体に対して固定することができない。別個の固定デバイスを使用して、装備を支持構造体に選択的に固定することができる。しかし、これらの固定デバイスは、扱いにくく、故障し易い傾向があり得る。したがって、当業者は、衝撃及び振動の減衰の分野において研究開発の努力を継続しており、それゆえ、以上で特定された懸念に対処することが意図される装置や方法は有用であろう。
【発明の概要】
【0003】
以下の記載は、本開示に係る主題の実施例の非網羅的なリストである。これらの実施例は、特許請求される場合があり、又は特許請求されない場合がある。
【0004】
一実施例では、開示される固定隔離器が、1以上のジョイントを含む。1以上のジョイントは、温度の変化に応じて、隙間嵌め状態(clearance fit state)と締り嵌め状態(interference fit state)との間で遷移するように構成されている。固定隔離器は、緩衝器(dampener)を含む。緩衝器は、1以上のジョイントが隙間嵌め状態にあるときに、1以上のジョイントを介した振動の伝達を減衰させるように構成されている。
【0005】
別の一実施例では、開示される固定隔離器が、ベースと、ベースに結合されたリンケージと、ベースの反対側でリンケージに結合されたキャップとを含む。固定隔離器は、ベースとキャップとに結合された緩衝器を含む。リンケージは、温度の変化に応じて、キャップがベースに対して移動可能な固定されていない状態と、キャップがベースに対して固定された固定状態と、の間で遷移するように構成されている。緩衝器は、リンケージが固定されていない状態にあるときに、ベースとキャップとの間での振動の伝達を減衰させるように構成されている。
【0006】
一実施例では、第1の構造体を第2の構造体から隔離(isolate)する本開示の方法が、(1)固定隔離器を使用して、第1の構造体と第2の構造体とを共に結合するステップ、(2)温度の変化に応じて、固定隔離器の1以上のジョイントを、第1の構造体と第2の構造体とが互いに対して移動可能な隙間嵌め状態と、第1の構造体と第2の構造体とが互いに対して固定された締り嵌め状態と、の間で遷移させるステップ、及び(3)1以上のジョイントが隙間嵌め状態で、固定隔離器の緩衝器を使用して、第1の構造体と第2の構造体との間での振動の伝達を減衰させるステップを含む。
【0007】
本開示のシステム、装置、及び方法の他の実施例は、以下の詳細な説明、添付の図面、及び添付の特許請求の範囲により明確となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】固定隔離器の一実施例の概略的なブロック図である。
図2】固定隔離器の一実施例の概略的な斜視図である。
図3】固定隔離器を使用するシステムの一実施例の概略的な立面図である。
図4】固定隔離器の一実施例の概略的な立面断面図である。
図5】固定隔離器の一実施例の概略的な立面断面図である。
図6】固定隔離器の一実施例の概略的な立面断面図である。
図7】固定隔離器の一実施例の概略的な立面断面図である。
図8】固定隔離器の一実施例の概略的な立面断面図である。
図9】固定隔離器の一実施例の概略的な立面断面図である。
図10】固定隔離器の圧電発電機の一実施例の概略図である。
図11】固定隔離器の一実施例の概略的な立面断面図である。
図12】システムを隔離する方法の一実施例のフロー図である。
図13】航空機の製造及び保守方法のフロー図である。
図14】航空宇宙輸送体の一実施例の概略的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の詳細な説明は、添付の図面に言及している。添付の図面は、本開示によって説明される具体的な実施例を示している。種々の構造及び動作を有する他の実施例も、本開示の範囲から逸脱するわけではない。同様の参照番号は、異なる図面における同じ特徴、要素、又は構成要素を表わし得る。
【0010】
特許請求され得るが特許請求されないこともあり得る、本開示による主題の例示的且つ非網羅的な実施例が以下で提供される。本明細書で「実施例」に言及することは、当該実施例に関連して説明される1以上の特徴、構造、要素、構成要素、特性、及び/又は動作ステップが、本開示に係る主題の少なくとも1つの態様、実施形態、及び/又は実施態様に含まれることを意味する。故に、本開示全体にわたる「一実施例(an example)」、「別の一実施例(another example)」という表現、及び類似の文言は、同一の実施例を指していることもあるが、必ずそうだというわけではない。更に、何れか1つの実施例を特徴付ける主題は、それ以外の実施例の何れかを特徴付ける主題を含み得るが、必ずしもそうだというわけではない。更に、何れか1つの実施例を特徴付ける主題は、それ以外の実施例の何れかを特徴付ける主題と組み合わされ得るが、必ずしもそうだというわけではない。
【0011】
本開示は、特定の構造システムが、衝撃及び振動に敏感であるが動作中にしっかりと固定される必要もある機能装備を含むことを認識している。例えば、多くの航空宇宙輸送体は、通信アレイ、誘導システム、ビジョンシステム、スタートラッカーなどの、衝撃及び振動に敏感な装備を含む。宇宙船の発射又は航空機の離陸/着陸中などの、比較的強い衝撃及び振動力が生じる期間の最中では、システムが、支持構造体と装備との間での可撓性を提供し、ならびに、支持構造体から装備への衝撃及び振動の伝達を吸収することが有益である。装備の動作中などの比較的弱い衝撃及び振動力が生じる期間の最中では、装備が支持構造体にしっかりと固定されることが有益である。
【0012】
本開示は、構造システムの構造体を隔離するための従来の解決策が、構造体間の衝撃及び振動を吸収し又は減衰させる単純な隔離デバイスを含むことも認識している。しかし、これらの単純な隔離デバイスは、剛性が必要とされ又は所望される状況において構造体間の剛性を提供することができない。そのような状況では、クランプ又は同様な固定デバイスを使用して、所望の剛性を提供することができる。しかし、これらの固定デバイスは、典型的には複雑で重く、コンピュータによって制御され、動作のための外部電力を必要とする。これらの理由で、従来の隔離及び固定デバイスは、航空宇宙産業の様々な状況で不利であり得る。
【0013】
概して図1から図11を参照すると、例示として、本開示は固定隔離器100を対象とする。固定隔離器100の実施態様は、上述された従来の独立した振動隔離器と固定デバイスとの組み合わせを必要とすることなしに、特定の環境において構造体間で振動を選択的に隔離し、一方で、他の環境では構造体を共に固定する。
【0014】
図1を参照すると、1以上の実施例では、固定隔離器100が、温度の変化に応じて、隙間嵌め状態と締り嵌め状態との間で遷移するように構成された1以上のジョイント102を含む。
【0015】
本明細書で使用される際に、1以上のジョイント102について言及される「隙間嵌め」は、ジョイントの接触部分又は嵌合部分の間に空間又は隙間が存在する状態を指す。緩い適合は、確かなゆとりを有し、ジョイントの嵌合部分が互いに対して移動可能な緩い接合を提供する。言い換えると、隙間嵌め状態にあるときに、ジョイントは、ジョイントの嵌合部分の間での相対的な移動を可能にする。
【0016】
本明細書で使用される際に、1以上のジョイント102について言及される「締り嵌め」は、ジョイントの接触部分又は嵌合部分の間に締り嵌めが存在する状態を指す。締り嵌めは、ゆとりがなく、ジョイントの嵌合部分が互いに対して移動不可能なきつい接合を提供する。言い換えると、締り嵌め状態にあるときに、ジョイントは、ジョイントの嵌合部分の間での移動を抑止又は抑制する。
【0017】
本開示の目的のために、「温度の変化」という言い回しは、1以上のジョイント102を取り囲む周囲温度の変化、1以上のジョイント102自体の温度の変化、1以上のジョイント102の嵌合部分の一方又は両方の温度の変化、又はそれらの組み合わせの、何れの場合をも指し得る。
【0018】
1以上の実施例では、固定隔離器100の1以上のジョイント102が、複数のジョイント102を含む。複数のジョイント102は、共に結合されている。複数のジョイント102のそれぞれは、温度の変化に応じて、隙間嵌め状態と締り嵌め状態との間で遷移するように構成されている。一実施例では、1以上のジョイント102が、2つのジョイント102を含む。別の一実施例では、1以上のジョイント102が、3つのジョイント102を含む。他の実施例では、固定隔離器100が、任意の数(例えば4つ以上)のジョイント102を含む。
【0019】
1以上の実施例では、固定隔離器100が、リンケージ124を含む。1以上の実施例では、リンケージ124が、1以上のジョイント102を含む。1以上の実施例では、リンケージ124の1以上のジョイント102が、複数のジョイント102を含む。複数のジョイント102のそれぞれなどの1以上のジョイント102のそれぞれは、リンケージ124の関節リンクが接合されるポイントを形成する。1以上の実施例では、リンケージ124が、温度の変化に応じて、リンケージ124の関節リンクが互いに対して移動可能な固定されていない状態と、リンケージ124の関節リンクが互いに対して固定された固定状態と、の間で遷移するように構成されている。
【0020】
本開示の目的のために、リンケージ124に言及した「固定されていない状態」という用語は、複数のジョイント102のうちの少なくとも1つなどの1以上のジョイント102が隙間嵌め状態にある状態を指す。言い換えると、固定されていない状態では、リンケージ124が可撓性である。
【0021】
本開示の目的のために、リンケージ124に言及した「固定状態」という用語は、複数のジョイント102のそれぞれなどの1以上のジョイント102が締り嵌め状態にある状態を指す。言い換えると、固定状態では、リンケージ124が剛性を有する。
【0022】
1以上の実施例では、固定隔離器100が緩衝器104を含む。緩衝器104は、複数のジョイント102のうちの少なくとも1つなどの1以上のジョイント102が、隙間嵌め状態にあるときに、複数のジョイント102などの1以上のジョイント102を介した衝撃及び振動の伝達を減衰させるように構成されている。1以上の実施例では、緩衝器104が、複数のジョイント102などの1以上のジョイント102に結合されている。
【0023】
1以上の実施例では、緩衝器104が、リンケージ124が固定されていない状態にあるときに、リンケージ124を介した衝撃及び振動の伝達を減衰させるように構成されている。1以上の実施例では、緩衝器104が、リンケージ124に結合されている。
【0024】
図2は、固定隔離器100の実際の一実施態様を概略的に示している。1以上の実施例では、固定隔離器100が、ベース122及びキャップ126を含む。リンケージ124(図1)は、ベース122に結合されている。キャップ126は、ベース122の反対側でリンケージ124に結合されている。緩衝器104は、ベース122とキャップ126とに結合されている。緩衝器104は、リンケージ124が固定されていない状態にあるときに、ベース122とキャップ126との間での振動の伝達を減衰させるように構成されている。
【0025】
1以上の実施例では、リンケージ124(図1)が、温度の変化に応じて、キャップ126がベース122に対して移動可能な固定されていない状態と、キャップ126がベース122に対して固定された固定状態と、の間で遷移するように構成されている。構造システム150に加えられる衝撃及び振動力が比較的強い(例えば、大きい規模を有する)高エネルギー環境では、固定隔離器100が、固定されていない状態(例えば、1以上のジョイント102(図1)が隙間嵌め状態)にあるリンケージ124を使用して、キャップ126のベース122に対する移動を可能にし、緩衝器104を使用して、ベース122からキャップ126に伝達される衝撃及び振動を減衰させる。構造システム150に加えられる衝撃及び振動力が比較的弱い(例えば、小さい規模を有する)低エネルギー環境では、固定隔離器100が、固定された状態(例えば、1以上のジョイント102が締り嵌め状態)にあるリンケージ124を使用して、ベース122とキャップ126とを共にしっかりと固定する。
【0026】
1以上の実施例では、ベース122が、構造システム150(図3)の第1の構造体146(図3)に結合されるように構成され、キャップ126が、構造システム150の第2の構造体148(図3)に結合されるように構成されている。1以上の実施例では、固定隔離器100が、少なくとも1つの連結特徴152を含む。連結特徴152は、固定隔離器100が構造システム150の構造体に連結されることを可能にするように構成されている。一実施例では、ベース122が、少なくとも1つの連結特徴152を含み、少なくとも1つの連結特徴152を使用して、第1の構造体146に結合可能である。キャップ126は、少なくとも1つの連結特徴152を含み、少なくとも1つの連結特徴152を使用して、第2の構造体148に結合可能である。
【0027】
様々な実施例では、連結特徴152が、2つの部材が接合されることを可能にする任意の適切な構造体であり、又はそのような構造体の形態を採る。実施例として、連結特徴152には、機械的なファスナを挿入するための滑らかに開けられた開孔、螺合するファスナの連結のための螺合する開孔、接合面、溶接可能な面などが含まれ得る。ベース122に関連付けられた連結特徴152とキャップ126に関連付けられた連結特徴152とは、同じであっても又は異なっていてもよい。
【0028】
図3は、構造システム150の構造体を共に連結させるために使用される固定隔離器100の実際の一実施態様を概略的に示している。1以上の実施例では、構造システム150が、第1の構造体146と第2の構造体148とを含む。図3では、実施例として2つの固定隔離器100が示されているが、他の実施例では、任意の数の固定隔離器100を使用して、第1の構造体146と第2の構造体148とを共に結合することができる。他の実施例では、構造システム150が、任意の数の他の構造体を含んでよい。その場合、他の構造体は、固定隔離器100を使用して共に結合されても又はされなくてもよい。
【0029】
第2の構造体148は、固定隔離器100使用して、第1の構造体146に結合されている。示されている実施例では、第1の構造体146が、第2の構造体148を支持する。例えば、第1の構造体146は、支持構造体であり、第2の構造体148は、衝撃及び振動に対して敏感な装備の一部又は部品である。一実施例では、構造システム150が、宇宙船や航空機などの航空宇宙輸送体の一部分を形成する。第1の構造体146は、航空宇宙輸送体のフレームの構成要素であり、第2の構造体148は、航空宇宙輸送体のシステムの装備の一部又は部品である。
【0030】
緩衝器104は、第1の構造体146と第2の構造体148との間などで、構造システム150を通る振動を減衰させるように構成されている。1以上の実施例では、緩衝器104が、振動周波数の範囲又はスペクトル内の高周波振動を減衰させるように構成されている。
【0031】
したがって、構造システム150に加えられる衝撃及び振動力が比較的強い(たとえば、大きい規模を有する)高エネルギー環境では、固定隔離器100が、固定されていない状態(例えば、1以上のジョイント102が隙間嵌め状態)にあるリンケージ124を使用して、第2の構造体148の第1の構造体146に対する移動を可能にし、緩衝器104を使用して、第1の構造体146から第2の構造体148に伝達される衝撃及び振動を減衰させる。構造システム150に加えられる衝撃及び振動力が比較的弱い(例えば、小さい規模を有する)低エネルギー環境では、固定隔離器100が、固定された状態にある(例えば、1以上のジョイント102が締り嵌め状態にある)リンケージ124を使用して、第1の構造体146と第2の構造体148とを共にしっかりと固定する。
【0032】
図1を再び参照すると、1以上の実施例では、複数のジョイント102のそれぞれなどの1以上のジョイント102のそれぞれは、第1の部分106と第2の部分110とを含む。第1の部分106は、第1の熱膨張率(「CTE」)108を有する。第2の部分110は、第2の熱膨張率112を有する。第1の熱膨張率108と第2の熱膨張率112とは、異なっている。
【0033】
1以上の実施例では、1以上のジョイント102の第1の部分106と第2の部分110とに言及する熱膨張率が、線熱膨張率(linear coefficient of thermal expansion)を意味する。
【0034】
1以上の実施例では、第1の熱膨張率108と第2の熱膨張率112との差が、少なくとも近似的に5(10-6m/(mK)である。1以上の実施例では、第1の熱膨張率108と第2の熱膨張率112との差が、少なくとも近似的に8(10-6m/(mK)である。1以上の実施例では、第1の熱膨張率108と第2の熱膨張率112との差が、少なくとも近似的に14(10-6m/(mK)である。
【0035】
第1の部分106と第2の部分110の熱膨張率の差が大きくなると、より小さい温度の変化(例えば、より小さいΔT)に応じて又はより低い遷移温度で、1以上のジョイント102の隙間嵌め状態と締り嵌め状態との間での遷移(例えば、リンケージ124の固定されていない状態と固定状態との間での遷移)が可能になり得ることを理解されたい。同様に、第1の部分106と第2の部分110の熱膨張率の差が小さくなると、より大きい温度の変化(例えば、より大きいΔT)に応じて又はより高い遷移温度で、1以上のジョイント102の隙間嵌め状態と締り嵌め状態との間での遷移(例えば、リンケージ124の固定されていない状態と固定状態との間での遷移)が可能になり得る。
【0036】
1以上の実施例では、1以上のジョイント102の第1の部分106が、第1の熱膨張率108を有する第1の材料154から形成され、1以上のジョイント102の第2の部分110が、第2の熱膨張率112を有する第2の材料156から形成される。
【0037】
1以上の実施例では、1以上のジョイント102の第1の部分106と第2の部分110のうちの少なくとも一方が、金属材料から形成される。実施例として、第1の材料154と第2の材料156のうちの少なくとも一方は、真鍮(近似的に19(10-6m/(mK)のCTEを有する)、炭素鋼(近似的に11(10-6m/(mK)のCTEを有する)、及びタングステン(近似的に4.5(10-6m/(mK)のCTEを有する)から選択される。他の金属も、1以上のジョイント102の第1の部分106及び第2の部分110向けに考慮されている。
【0038】
1以上の実施例では、1以上のジョイント102の第1の部分106と第2の部分110のうちの少なくも一方が、金属合金から形成される。実施例として、第1の材料154と第2の材料156のうちの少なくとも一方は、インバール(近似的に1.2(10-6m/(mK)のCTEを有する)などのニッケルと鉄の合金、インコネル(近似的に11(10-6m/(mK)のCTEを有する)などのニッケルとクロムの合金、及びモネル(近似的に13.5(10-6m/(mK)のCTEを有する)などのニッケルと銅の合金から選択される。他の金属合金も、1以上のジョイント102の第1の部分106及び第2の部分110向けに考慮されている。
【0039】
1以上のジョイント102の第1の部分106と第2の部分110の配置は、例えば、1以上のジョイント102が、より低い温度で隙間嵌め状態にあり、より高い温度で締り嵌め状態にあるように構成されているか、或いは、1以上のジョイント102が、より高い温度で隙間嵌め状態にあり、より低い温度で締り嵌め状態にあるように構成されているかに応じる。1以上のジョイント102の第1の部分106と第2の部分110の材料の選択は、例えば、隙間嵌め状態と締り嵌め状態との間で1以上のジョイント102を遷移させるために必要な温度(本明細書では、遷移温度(「TT」)114と称される)、及び、遷移温度114で実現可能な熱膨張又は熱収縮の量に応じる。
【0040】
1以上の実施例では、1以上のジョイント102が、遷移温度114未満で締り嵌め状態にあり、遷移温度114より上で隙間嵌め状態にあるように構成されている。例えば、第1の部分106と第2の部分110は、遷移温度114未満で互いに対して固定され、遷移温度114より上で互いに対して移動可能である。したがって、これらの実施例では、リンケージ124が、遷移温度114未満で固定されていない状態にあり、遷移温度114より上で固定状態にあるように構成されている。
【0041】
1以上の実施例では、1以上のジョイント102が、遷移温度114未満で隙間嵌め状態にあり、遷移温度114より上で締り嵌め状態にあるように構成されている。例えば、第1の部分106と第2の部分110は、遷移温度114未満で互いに対して移動可能であり、遷移温度114より上で互いに対して固定されている。したがって、これらの実施例では、リンケージ124が、遷移温度未満114で固定状態にあり、遷移温度114より上で固定されていない状態にある。
【0042】
図4を参照すると、1以上の実施例では、リンケージ124が第1のリンク128を含む。第1のリンク128の第1の端部は、第1のジョイント130によってベース122に結合されている。第1の端部の反対側の第1のリンク128の第2の端部は、キャップ126に対して結合(例えば、固定)されている。第1のジョイント130は、1以上のジョイント102(図1)の一実施例である。
【0043】
これらの実施例では、第1のジョイント130の第1の部分106が、第1のリンク128の第1の端部によって形成され、第1のジョイント130の第2の部分110が、ベース122によって形成されている。これらの実施例では、第1のジョイント130が、第1のジョイント130が隙間嵌め状態にあるときに、第1のリンク128のベース122に対する移動、したがって、キャップ126のベース122に対する移動を可能にし、第1のジョイント130が締り嵌め状態にあるときに、第1のリンク128のベース122に対する移動、したがって、キャップ126のベース122に対する移動を制限する。
【0044】
図5を参照すると、1以上の実施例では、リンケージ124が第1のリンク128を含む。第1のリンク128の第1の端部は、ベース122に結合(例えば、固定)されている。第1のリンク128の第2の端部は、第1のジョイント130によってキャップ126に結合されている。第1のジョイント130は、1以上のジョイント102の一実施例である。
【0045】
これらの実施例では、第1のジョイント130の第1の部分106が、第1のリンク128の第2の端部によって形成され、第1のジョイント130の第2の部分110が、ベース122によって形成されている。これらの実施例では、第1のジョイント130が、第1のジョイント130が隙間嵌め状態にあるときに、キャップ126の第1のリンク128に対する移動、したがって、キャップ126のベース122に対する移動を可能にし、第1のジョイント130が締り嵌め状態にあるときに、キャップ126の第1のリンク128に対する移動、したがって、キャップ126のベース122に対する移動を制限する。
【0046】
図6を参照すると、1以上の実施例では、リンケージ124が、第1のリンク128と第2のリンク132とを含む。第1のリンク128の第1の端部は、1以上のジョイント102の第1のジョイント130によってベース122に結合されている。第2のリンク132の第1の端部は、ベース122とは反対側の1以上のジョイント102の第2のジョイント134によって、第1のリンク128の第2の端部に結合されている。第2のリンク132の第2の端部は、第1のリンク128とは反対側の1以上のジョイント102の第3のジョイント136によって、キャップ126に結合されている。第2のジョイント134は、1以上のジョイント102(図1)のうちの1つの一実施例である。第3のジョイント136は、1以上のジョイント102のうちの1つの一実施例である。
【0047】
これらの実施例では、第1のジョイント130の第1の部分106が、第1のリンク128の第1の端部によって形成され、第1のジョイント130の第2の部分110が、ベース122によって形成されている。第2のジョイント134の第1の部分106は、第1のリンク128の第2の端部によって形成され、第2のジョイント134の第2の部分110は、第2のリンク132の第1の端部によって形成されている。第3のジョイント136の第1の部分106は、第2のリンク132の第2の端部によって形成され、第3のジョイント136の第2の部分110は、キャップ126によって形成されている。
【0048】
これらの実施例では、第1のジョイント130が、第1のジョイント130が隙間嵌め状態にあるときに、第1のリンク128のベース122に対する移動、したがって、キャップ126のベース122に対する移動を可能にし、第1のジョイント130が締り嵌め状態にあるときに、第1のリンク128のベース122に対する移動、したがって、キャップ126のベース122に対する移動を制限する。第2のジョイント134は、第2のジョイント134が隙間嵌め状態にあるときに、第2のリンク132の第1のリンク128に対する移動、したがって、キャップ126のベース122に対する移動を可能にし、第2のジョイント134が締り嵌め状態にあるときに、第2のリンク132の第1のリンク128に対する移動、したがって、キャップ126のベース122に対する移動を制限する。第3のジョイント136は、第3のジョイント136が隙間嵌め状態にあるときに、キャップ126の第2のリンク132に対する移動、したがって、キャップ126のベース122に対する移動を可能にし、第3のジョイント136が締り嵌め状態にあるときに、キャップ126の第2のリンク132に対する移動、したがって、キャップ126のベース122に対する移動を制限する。
【0049】
図6は、リンケージ124が、2つのリンク(例えば、第1のリンク128と第2のリンク132)を有し、リンケージ124、ベース122、及びキャップ126を共に連結する3つのジョイント102(例えば、第1のジョイント130、第2のジョイント134、及び第3のジョイント136)を有する、固定隔離器100の一実施例を示しているが、他の実施例では、固定隔離器100が、他の構成のリンケージ124、任意の数のリンク、及び任意の数のジョイント102を含む。
【0050】
様々な実施例では、第1のジョイント130、第2のジョイント134、及び第3のジョイント136などの、1以上のジョイント102の各ジョイント102が、遷移温度114(図1)において隙間嵌め状態と締り嵌め状態との間で遷移するように構成されている。1以上の実施例では、複数のジョイント102のそれぞれなどの1以上のジョイント102の各ジョイント102に対する遷移温度114が同じである。
1以上の他の実施例では、複数のジョイント102のうちの少なくとも1つに対する遷移温度114が、複数のジョイント102のうちの少なくとも別の1つに対する遷移温度114とは異なる。1以上の他の実施例では、複数のジョイント102のそれぞれなどの1以上のジョイント102のうちの各ジョイント102に対する遷移温度114が異なる。したがって、ジョイント102の数、ジョイント102の種類、及びジョイント102の構成と配置に応じて、固定隔離器100は、1以上の異なる遷移温度114において、リンケージ124を介する移動の量及び/又は移動の種類を制御することができる。
【0051】
図6を未だ参照すると、1以上の実施例では、第1の遷移温度(「TT1」)138の上で、第1のジョイント130が、第1のリンク128がベース122に対して移動可能な隙間嵌め状態を有する。1以上の実施例では、第1の遷移温度(「TT1」)138の上で、第1のジョイント130が、第1のリンク128がベース122に対して固定された締り嵌め状態を有する。
【0052】
1以上の実施例では、第2の遷移温度(「TT2」)140の上で、第2のジョイント134が、第2のリンク132が第1のリンク128に対して移動可能な隙間嵌め状態を有する。1以上の実施例では、第2の遷移温度(「TT2」)140の上で、第2のジョイント134が、第2のリンク132が第1のリンク128に対して固定された締り嵌め状態を有する。
【0053】
1以上の実施例では、第3の遷移温度(「TT3」)142の上で、第3のジョイント136が、キャップ126が第2のリンク132に対して移動可能な隙間嵌め状態を有する。1以上の実施例では、第3の遷移温度(「TT3」)142の上で、第3のジョイント136が、キャップ126が第2のリンク132に対して固定された締り嵌め状態を有する。
【0054】
1以上の実施例では、第1の遷移温度138、第2の遷移温度140、及び第3の遷移温度142が同じである。1以上の実施例では、第1の遷移温度138、第2の遷移温度140、及び第3の遷移温度142のうちの少なくとも1つが、第1の遷移温度138、第2の遷移温度140、及び第3の遷移温度142のうちの少なくとも別の1つとは異なっている。1以上の実施例では、第1の遷移温度138、第2の遷移温度140、及び第3の遷移温度142のそれぞれが異なっている。
【0055】
図5及び図6を参照すると、1以上の実施例では、複数のジョイント102のうちの少なくとも1つなどの1以上のジョイント102のうちの少なくとも1つが、隙間嵌め状態にあるときに、直線的に移動するように構成されている。1以上の実施例では、図5の第1のジョイント130や図6の第2のジョイント134などの1以上のジョイント102のうちの少なくとも1つが、滑り軸受(slide bearing)、平軸受(plain bearing)、リニアスライディングジョイント(linear sliding joint)、直進ジョイント(prismatic joint)などを含むか、又はそれらの形態を採る。
【0056】
図4及び図6を参照すると、1以上の実施例では、複数のジョイント102のうちの少なくとも1つなどの1以上のジョイント102のうちの少なくとも1つが、隙間嵌め状態にあるときに、旋回又は回転移動するように構成されている。1以上の実施例では、図4及び図6の第1のジョイント130や図6の第3のジョイント136などの1以上のジョイント102のうちの少なくとも1つが、球面軸受(spherical bearing)、回転ジョイント(rotary joint)、ボールジョイント(ball joint)などを含むか、又はそれらの形態を採る。
【0057】
1以上の実施例では、固定隔離器100が、キャップ126とベース122との間での直線的な移動、したがって、第2の構造体148と第1の構造体146(図3)との間での直線的な移動を可能にするように構成されている。図5で示されているようなこれらの実施例では、1以上のジョイント102(例えば、第1のジョイント130)が、滑り軸受を含む。
【0058】
1以上の実施例では、固定隔離器100が、キャップ126とベース122との間での旋回又は回転移動、したがって、第2の構造体148と第1の構造体146(図3)との間での旋回又は回転移動を可能にするように構成されている。図4で示されているようなこれらの実施例では、1以上のジョイント102(例えば、第1のジョイント130)が、球面軸受を含む。
【0059】
1以上の実施例では、固定隔離器100が、キャップ126とベース122との間での直線的な移動と旋回又は回転移動との両方、したがって、第2の構造体148と第1の構造体146(図3)との間での直線的な移動と旋回又は回転移動との両方を可能にするように構成されている。図6で示されているようなこれらの実施例では、1以上のジョイント102のうちの少なくとも1つ(例えば、第1のジョイント130と第3のジョイント136)が、球面軸受を含み、1以上のジョイント102のうちの少なくとも1つ(例えば、第2のジョイント134)が、滑り軸受を含む。
【0060】
図4図6を参照すると、1以上の実施例では、緩衝器104が、エラストマー部材158(例えば、エラストマー材料から形成された)を含むか、又はその形態を採る。1以上の実施例では、エラストマー部材158などの緩衝器104が、リンケージ124の周りに配置され(例えば、それを取り囲み)、ベース122とキャップ126との間で延在する、ハウジング144(例えば、固定隔離器100の外側ハウジング)を形成する。
【0061】
1以上の実施例では、エラストマー部材158が、天然ゴムから形成されている。1以上の実施例では、エラストマー部材158が、合成ゴムから形成されている。1以上の実施例では、エラストマー部材158が、イソプレーン(isoprene)から形成されている。1以上の実施例では、エラストマー部材158が、シリコンから形成されている。1以上の実施例では、エラストマー部材158が、天然ゴム、合成ゴム、イソプレーン、シリコン、ポリイソプレン、ブタジエンスチレン(例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR))、ポリクロロプレン(例えば、ポリクロロプレンゴム)、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、ポリアクリル酸、及びポリウレタンのうちの少なくとも1つから形成されている。
【0062】
図7を参照すると、1以上の実施例では、緩衝器104が、バネ160を含むか又はバネ160の形態を採る。1以上の実施例では、バネ160などの緩衝器104が、リンケージ124の周りに配置され且つベース122とキャップ126との間で延在する、コイルバネである。航空宇宙産業などの特定の用途では、バネ160を、エラストマー部材158の代わりに緩衝器104として使用すると有益であり得る。というのも、バネ160は、脱気(outgassing)の影響を受けにくいからである
【0063】
他の実施例では、他の種類の衝撃及び振動吸収部材及び/又は材料が、緩衝器104として使用される。一実施例として、緩衝器104は、固定隔離器100の外側ハウジングを形成することなく、ベース122とキャップ126とに連結され且つベース122とキャップ126との間で延在する、少なくとも1つの衝撃及び振動吸収部材を含み得る。そのような実施例では、衝撃及び振動吸収部材が、膨張可能、圧縮可能、及び可撓性である。
【0064】
図8を参照すると、1以上の実施例では、固定隔離器100が加熱要素116を含む。加熱要素116は、温度の変化をもたらすように構成されている。例えば、加熱要素116は、複数のジョイント102のうちの少なくとも1つなどの1以上のジョイント102のうちの少なくとも1つの温度を、1以上のジョイント102の遷移温度114(図1)を超えるように増加させて、1以上のジョイント102を隙間嵌め状態と締り嵌め状態との間で遷移させるように構成されている。
【0065】
1以上の実施例では、加熱要素116が、リンケージ124と熱連通(thermal communication)している。1以上の実施例では、加熱要素116が、複数のジョイント102のうちの少なくとも1つ又はそれぞれなどの1以上のジョイント102と熱連通している。これらの実施例では、単一の加熱要素116を使用して、図8で示されている第1のジョイント130、第2のジョイント134、及び第3のジョイント136などの複数のジョイント102のそれぞれなどの1以上のジョイント102を加熱する。
【0066】
1以上の実施例では、固定隔離器100が、複数の加熱要素116を含む。これらの実施例では、複数の加熱要素116のそれぞれが、複数のジョイント102のうちの対応するものなどの1以上のジョイント102のうちの対応するジョイント102を加熱するように構成されている。例えば、独立した加熱要素116を使用して、図8で示されている第1のジョイント130、第2のジョイント134、及び第3のジョイント136などの複数のジョイント102のそれぞれなどの1以上のジョイント102の各ジョイント102を加熱する。
【0067】
1以上の実施例では、図8で示されているように、加熱要素116の第1のもの又は複数の加熱要素116が、第1のジョイント130を第1の遷移温度138より上に加熱して、第1のジョイント130を隙間嵌め状態から締り嵌め状態に遷移させるか、又は第1のジョイント130を締り嵌め状態から隙間嵌め状態に遷移させるように構成されている。加熱要素116の第2のもの又は複数の加熱要素116は、第2のジョイント134を第2の遷移温度140より上に加熱して、第1のジョイント130を隙間嵌め状態から締り嵌め状態に遷移させるか、又は第1のジョイント130を締り嵌め状態から隙間嵌め状態に遷移させるように構成されている。加熱要素116の第3のもの又は複数の加熱要素116は、第3のジョイント136を第3の遷移温度142より上に加熱して、第3のジョイント136を隙間嵌め状態から締り嵌め状態に遷移させるか、又は第3のジョイント136を締り嵌め状態から隙間嵌め状態に遷移させるように構成されている。
【0068】
1以上の実施例では、加熱要素116が、高抵抗加熱素子などの少なくとも1つのコイルヒータを含むか、又はその形態を採る。1以上の実施例では、加熱要素116(例えば、コイルヒータ)が、リンケージ124、1以上のジョイント102、ベース122、及び/又はキャップ126のうちの少なくとも1つの少なくとも一部分に結合され(例えば、それに巻きつけられ)る。1以上の実施例では、加熱要素116が、シリコーン又はセラミック絶縁層によって覆われたニクロム加熱要素を含む。
【0069】
1以上の実施例では、加熱要素116が、熱電ヒータを含むか又はその形態を採る。
他の実施例では、加熱要素116の用途向けに、様々な他の適切な種類のヒータ又は加熱デバイスが考慮される。
【0070】
図9を参照すると、1以上の実施例では、固定隔離器100が冷却要素162を含む。冷却要素162は、温度の変化をもたらすように構成されている。例えば、冷却要素162は、複数のジョイント102のうちの少なくとも1つなどの1以上のジョイント102のうちの少なくとも1つの温度を、1以上のジョイント102の遷移温度114(図1)未満に低減させて、1以上のジョイント102を隙間嵌め状態と締り嵌め状態との間で遷移させるように構成されている。
【0071】
1以上の実施例では、冷却要素162が、リンケージ124と熱連通している。1以上の実施例では、冷却要素162が、複数のジョイント102のうちの少なくとも1つ又はそれぞれなどの1以上のジョイント102と熱連通している。これらの実施例では、単一の冷却要素162を使用して、図8で示されている第1のジョイント130、第2のジョイント134、及び第3のジョイント136などの複数のジョイント102のそれぞれなどの1以上のジョイント102の各ジョイント102から熱を除去する(例えば、冷却する)。
【0072】
1以上の実施例では、固定隔離器100が、複数の冷却要素162を含む。これらの実施例では、複数の冷却要素162のそれぞれが、複数のジョイント102のうちの対応するものなどの1以上のジョイント102のうちの対応するジョイント102から熱を除去する(例えば、冷却する)ように構成されている。例えば、独立した冷却要素162を使用して、図9で示されている第1のジョイント130、第2のジョイント134、及び第3のジョイント136などの複数のジョイント102のそれぞれなどの1以上のジョイント102の各ジョイント102から熱を除去する。
【0073】
1以上の実施例では、図9で示されているように、冷却要素162の第1のもの又は複数の冷却要素162が、第1のジョイント130を第1の遷移温度138未満に冷却して、第1のジョイント130を隙間嵌め状態から締り嵌め状態に遷移させるか、又は第1のジョイント130を締り嵌め状態から隙間嵌め状態に遷移させるように構成されている。冷却要素162の第2のもの又は複数の冷却要素162は、第2のジョイント134を第2の遷移温度140未満に冷却して、第1のジョイント130を隙間嵌め状態から締り嵌め状態に遷移させるか、又は第1のジョイント130を締り嵌め状態から隙間嵌め状態に遷移させるように構成されている。冷却要素162の第3のもの又は複数の冷却要素162は、第3のジョイント136を第3の遷移温度142未満に冷却して、第3のジョイント136を隙間嵌め状態から締り嵌め状態に遷移させるか、又は第3のジョイント136を締り嵌め状態から隙間嵌め状態に遷移させるように構成されている。
【0074】
1以上の実施例では、冷却要素162が、ペルチェ素子(Peltier element)などの少なくとも1つの熱電素子を含むか、又はその形態を採る。1以上の実施例では、冷却要素162が、ヒートシンク(例えば、放射プレート、フィン付きヒートシンクなど)も含む。
【0075】
1以上の実施例では、固定隔離器100が、少なくとも1つの加熱要素116(図8)と少なくとも1つの冷却要素162との組み合わせを含む。これらの実施例では、加熱要素116が、複数のジョイント102のうちの少なくとも1つなどの1以上のジョイント102のうちの少なくとも1つを、遷移温度114(図1)より上に加熱するように構成され、冷却要素162は、複数のジョイント102のうちの少なくとも1つなどの1以上のジョイント102のうちの少なくとも1つを、遷移温度114未満に冷却するように構成されている。
【0076】
図1を参照すると、1以上の実施例では、加熱要素116及び/又は冷却要素162が、外部電源164によって電力供給される、1以上の実施例では、外部電源164が、構造システム150(例えば、航空宇宙輸送体)によって提供される電力の源であるか、又は任意の他の適切な外部源である。1以上の実施例では、外部電源164が、バッテリ174又は他の電力貯蔵セルである。
【0077】
1以上の実施例では、加熱要素116及び/又は冷却要素162が、内部電源166によって電力供給される。例えば、内部電源166は、固定隔離器100の一部分を形成する。1以上の実施例では、内部電源166が、振動に応じて電力を生成する(例えば、振動力を電気エネルギーに変換する)ように構成された適切な発電機を含む。
【0078】
図8及び図9を参照すると、1以上の実施例では、固定隔離器100が圧電発電機118を含む。圧電発電機118は、内部電源166(図1)の一実施例である。圧電発電機118は、機械的な歪に応じて電力を生成するように構成されている。
【0079】
図8で示されているように、1以上の実施例では、圧電発電機118が、加熱要素116と電気的に通じている。電力が、加熱要素116に電流を流す。図9で示されているように、1以上の実施例では、圧電発電機118が、冷却要素162と電気的に通じている。電力が、冷却要素162に電流を流す。
【0080】
1以上の実施例では、圧電発電機118が、複数の加熱要素116と電気的に通じている。電力が、複数の加熱要素116のそれぞれに電流を流す。1以上の実施例では、圧電発電機118が、複数の冷却要素162と電気的に通じている。電力が、複数の冷却要素162のそれぞれに電流を流す。
【0081】
図8図10を参照すると、1以上の実施例では、圧電発電機118が圧電カンチレバー120を含む。1以上の実施例では、圧電発電機118が、複数の圧電カンチレバー120(図8及び図9)を含む。複数の圧電カンチレバー120のそれぞれなどの圧電カンチレバー120は、振動に応じて曲がるように構成されている。
【0082】
図10で示されているように、1以上の実施例では、複数の圧電カンチレバー120(図8及び図9)のうちのそれぞれなどの圧電カンチレバー120が長さLを有する。1以上の実施例では、長さLが、振動のおおよその周波数又は振動のおおよその周波数の範囲において共振するように選択される。例えば、長さLは、圧電カンチレバー120を選択された又は所望の共振周波数又は共振周波数の範囲に合わせる(例えば、修正する又は選択的に調整する)ように長くされ又は短くされる。
【0083】
一実施例では、長さLが、近似的に40Hzと近似的に5,000Hzとの間で共振するように選択される。別の一実施例では、長さLが、近似的に60Hzと近似的に1,200Hzとの間で共振するように選択される。更に別の一実施例では、長さLが、近似的に100Hzと近似的に300Hzとの間で共振するように選択される。
【0084】
1以上の実施例では、圧電カンチレバー120が、圧電材料のストリップなどの少なくとも1つの圧電素子168を含む。1以上の実施例では、圧電カンチレバー120が、支持材料のストリップなどの少なくとも1つの支持要素170を含む。これらの実施例では、少なくとも1つの圧電素子168が、少なくとも1つの支持要素170に結合され、それによって支持される。1以上の実施例では、圧電カンチレバー120が、積層構造体であって、支持要素170の少なくとも1つの層に結合され且つそれによって支持される圧電素子168の少なくとも1つの層によって形成された積層構造体である。
【0085】
これらの実施例では、支持要素170の使用が、例えば、高エネルギーイベント中に圧電カンチレバー120に作用する衝撃及び振動力の大きさに応じる。例えば、圧電カンチレバー120が、衝撃及び振動力が比較的強い非常に高いエネルギー環境で使用されることが意図される場合に、支持要素170を使用して、圧電素子168に対する支持を提供する。
【0086】
1以上の実施例では、圧電カンチレバー120が、圧電素子168の複数の層によって形成された積層構造体である。圧電素子168の更なる層は、衝撃及び振動による圧電カンチレバー120の曲がりに応じて、圧電カンチレバー120内で引き起こされた機械的な歪に応じて、更なる電流を提供する。
【0087】
例示的な一実施態様では、複数の圧電カンチレバー120(図8及び図9)のそれぞれなどの圧電カンチレバー120の支持要素170が、アルミニウムから作製され、近似的に0.032インチ(0.81ミリメートル)の厚さを有する。この実施態様の一実施例では、圧電カンチレバー120の支持要素170などの圧電カンチレバー120の長さLが、近似的に0.5インチ(12.7ミリメートル)であり、近似的に4,064Hzで共振する。この実施態様の別の一実施例では、圧電カンチレバー120の支持要素170などの圧電カンチレバー120の長さLが、近似的に1.0インチ(25.4ミリメートル)であり、近似的に1,016Hzで共振する。この実施態様の別の一実施例では、圧電カンチレバー120の支持要素170などの圧電カンチレバー120の長さLが、近似的に2.0インチ(50.8ミリメートル)であり、近似的に254Hzで共振する。この実施態様の一実施例では、圧電カンチレバー120の支持要素170などの圧電カンチレバー120の長さLが、近似的に3.0インチ(76.2ミリメートル)であり、近似的に113Hzで共振する。この実施態様の別の一実施例では、圧電カンチレバー120の支持要素170などの圧電カンチレバー120の長さLが、近似的に4.0インチ(101.6ミリメートル)であり、近似的に64Hzで共振する。この実施態様の更に別の一実施例では、圧電カンチレバー120の支持要素170などの圧電カンチレバー120の長さLが、近似的に5.0インチ(127ミリメートル)であり、近似的に41Hzで共振する。
【0088】
1以上の実施例では、圧電カンチレバー120の支持要素170などの圧電カンチレバー120が、様々な厚さの何れか1つを有する。例えば、圧電カンチレバー120の支持要素170の厚さなどの圧電カンチレバー120の厚さは、圧電カンチレバー120の共振周波数を選択された若しくは所望の共振周波数に合わせる(例えば、修正する又は選択的に調整する)ために、又は圧電カンチレバー120の長さLを選択された若しくは所望の共振周波数に合わせるために、厚くされ又は薄くされ得る。
【0089】
1以上の実施例では、図10で示されているように、支持要素170と圧電素子168とが、同じ長さ(例えば、長さL)を有する。1以上の他の実施例では、支持要素170と圧電素子168とが、異なる長さを有する。例えば、支持要素170が、圧電カンチレバー120の長さLを形成し、圧電素子168は、支持要素170に取り付けられ、支持要素170の長さ未満の長さを有する。
【0090】
図11を参照すると、1以上の実施例では、圧電発電機118の様々な他の構成も考慮されている。1以上の実施例では、少なくとも1つの圧電素子168が緩衝器104に結合されている。これらの実施例では、衝撃及び振動による緩衝器104の変形が、圧電素子168の変形(例えば、圧縮、曲げなど)によって、圧電素子168内に機械的な歪が引き起こされることをもたらす。1以上の実施例では、少なくとも1つの圧電素子168が、ベース122とキャップ126との間に連結される。これらの実施例では、衝撃及び振動によるキャップ126のベース122に対する移動が、圧電素子168の変形(例えば、圧縮、曲げなど)によって、圧電素子168内に機械的な歪が引き起こされることをもたらす。(?)1以上の実施例では、圧電発電機118が、圧電カンチレバー120の形態を採ったり、緩衝器104に結合されたり、及び/又はベース122とキャップ126との間に結合されたりするなど、圧電素子168の種々の構成の組み合わせを含む。
【0091】
したがって、圧電発電機118などの内部電源166を利用する固定隔離器100の実施例では、1以上のジョイント102を加熱及び/又は冷却するために必要とされる電力が、固定隔離器100に作用する衝撃及び振動力に応じて、受動的に提供される。そのような受動的な発電は、コンピュータ制御又は外部電力に依存しないので、故障の可能性を有益に低減させる。
【0092】
再び図1を参照すると、1以上の実施例では、圧電発電機118などの内部電源166が、バッテリ174などの外部電源164に結合され、それと電気的に通じている。これらの実施例では、圧電発電機118によって生成される電気エネルギーが、加熱要素116及び/又は冷却要素162に電流を流すために直ちに使用されるのではなく、後の使用のためにバッテリ174に伝達され、貯蔵される。これらの実施例では、バッテリ174内に貯蔵される電気エネルギーが、所望の時間又は所望の期間などに、コントローラ172によって加熱要素116及び/又は冷却要素162に選択的に提供される。
【0093】
図12を参照すると、例示として、本開示は、第1の構造体を第2の構造体から隔離する方法1000も対象とする。例えば、方法1000は、構造システム150の第1の構造体146を、構造システム150の第2の構造体148から隔離することに関する。概して図1から図11を参照すると、1以上の実施例では、方法1000の実施態様が、本開示の固定隔離器100を使用して実行される。
【0094】
方法1000は、固定隔離器100を使用して、構造体を共に結合するステップ(ブロック1002)を含む。1以上の実施例では、構造体を共に結合するステップ(ブロック1002)が、固定隔離器100を使用して、構造システム150の第1の構造体146と構造システム150の第2の構造体148とを共に結合するステップを含む。
【0095】
1以上の実施例では、構造体を共に結合するステップ(ブロック1002)が、複数の固定隔離器100を使用して、構造システム150の第1の構造体146と構造システム150の第2の構造体148とを共に結合するステップを含む。
【0096】
方法1000は、温度の変化に応じて、固定隔離器100を隙間嵌め状態と締り嵌め状態との間で遷移させるステップ(ブロック1004)を更に含む。
【0097】
1以上の実施例では、固定隔離器100を隙間嵌め状態と締り嵌め状態との間で遷移させるステップ(ブロック1004)が、温度の変化に応じて、固定隔離器100の1以上のジョイント102を、第1の構造体146と第2の構造体148とが互いに対して移動可能な隙間嵌め状態と、第1の構造体146と第2の構造体148とが互いに対して固定された締り嵌め状態と、の間で遷移させるステップを含む。
【0098】
1以上の実施例では、固定隔離器100を隙間嵌め状態と締り嵌め状態との間で遷移させるステップ(ブロック1004)が、温度の変化に応じて、固定隔離器100の複数のジョイント102などの1以上のジョイント102を、第1の構造体146と第2の構造体148とが互いに対して移動可能な隙間嵌め状態と、第1の構造体146と第2の構造体148とが互いに対して固定された締り嵌め状態と、の間で遷移させるステップを含む。
【0099】
1以上の実施例では、固定隔離器100を隙間嵌め状態と締り嵌め状態との間で遷移させるステップ(ブロック1004)が、温度の変化に応じて、固定隔離器100のリンケージ124を、第1の構造体146と第2の構造体148とが互いに対して移動可能な固定されていない状態と、第1の構造体146と第2の構造体148とが互いに対して固定された固定状態と、の間で遷移させるステップを含む。
【0100】
1以上の実施例では、方法1000が、構造体を隔離するステップ(ブロック1006)を含む。1以上の実施例では、構造体を隔離するステップ(ぷロック1006)が、複数のジョイント102のうちの少なくとも1つなどの1以上のジョイント102を隙間嵌め状態に構成すること又はリンケージ124を固定されていない状態に構成することによって、第2の構造体148を第1の構造体146に対して移動させることを可能にすることによって、第2の構造体148を第1の構造体146から隔離するステップを含む。
【0101】
1以上の実施例では、方法1000が、構造体を固定するステップ(ブロック1008)を含む。1以上の実施例では、構造体を固定するステップ(ブロック1008)が、複数のジョイント102のそれぞれなどの1以上のジョイント102を締り嵌め状態に構成すること又はリンケージ124を固定状態に構成することによって、第1の構造体146と第2の構造体148とを共に固定するステップを含む。
【0102】
方法1000は、固定隔離器100を使用して、構造体間での振動の伝達を減衰させるステップ(ブロック1010)を更に含む。1以上の実施例では、振動の伝達を減衰させるステップ(ブロック1010)が、複数のジョイント102のうちの少なくとも1つ又はそれぞれなどの1以上のジョイント102が隙間嵌め状態で、固定隔離器100の緩衝器104を使用して、第1の構造体146と第2の構造体148との間での振動の伝達を減衰させるステップを含む。
【0103】
1以上の実施例では、振動の伝達を減衰させるステップ(ブロック1010)が、リンケージ124が固定されていない状態で、固定隔離器100の緩衝器104を使用して、第1の構造体146と第2の構造体148との間での振動の伝達を減衰させるステップを含む。
【0104】
1以上の実施例では、方法1000が、固定隔離器100を加熱するステップ(ブロック1012)を含む。これらの実施例では、固定隔離器100を加熱することが、1以上のジョイント102の遷移温度114より上へなどの、温度の変化をもたらす又は引き起こす。
【0105】
1以上の実施例では、固定隔離器100を加熱するステップ(ブロック1012)が、構造体システム150を第1の周囲温度から第2の周囲温度に移動させるステップであって、第2の周囲温度が、第1の周囲温度よりも高く、遷移温度114よりも高い、ステップを含む。
【0106】
1以上の実施例では、固定隔離器100を加熱するステップ(ブロック1012)が、複数のジョイント102のうちの少なくとも1つなどの1以上のジョイント102を、遷移温度114よりも高い温度に加熱するステップを含む。1以上の実施例では、固定隔離器100を加熱するステップ(ブロック1012)が、加熱要素116を使用して、複数のジョイント102のうちの少なくとも1つなどの1以上のジョイント102を加熱するステップを含む。
【0107】
1以上の実施例では、方法1000が、固定隔離器100を冷却するステップ(ブロック1014)を含む。これらの実施例では、固定隔離器100を冷却することが、1以上のジョイント102の遷移温度114未満へなどの、温度の変化をもたらす又は引き起こす。
【0108】
1以上の実施例では、固定隔離器100を冷却するステップ(ブロック1014)が、構造体システム150を第1の周囲温度から第2の周囲温度に移動させるステップであって、第2の周囲温度が、第1の周囲温度未満であり、遷移温度114未満である、ステップを含む。
【0109】
1以上の実施例では、固定隔離器100を冷却するステップ(ブロック1014)が、複数のジョイント102のうちの少なくとも1つなどの1以上のジョイント102を、遷移温度114未満の温度に冷却する(例えば、それらから熱を除去する)ステップを含む。1以上の実施例では、固定隔離器100を冷却するステップ(ブロック1014)が、冷却要素162を使用して、複数のジョイント102のうちの少なくとも1つなどの1以上のジョイント102を冷却するステップを含む。
【0110】
1以上の実施例では、複数のジョイント102のそれぞれなどの1以上のジョイント102のそれぞれが、第1の熱膨張率108を有する第1の部分106、及び第2の熱膨張率112を有する第2の部分110を含む。第1の熱膨張率108と第2の熱膨張率112とは、異なっている。
【0111】
1以上の実施例では、固定隔離器100を加熱するステップ(ブロック1012)が、複数のジョイント102のうちの少なくとも1つなどの1以上のジョイント102を遷移温度114より上に加熱して、第1の部分106を第2の部分110に対して膨張させるか、又は第2の部分110を第1の部分106に対して膨張させるステップを含む。
【0112】
1以上の実施例では、固定隔離器100を冷却するステップ(ブロック1014)が、複数のジョイント102のうちの少なくとも1つなどの1以上のジョイント102を遷移温度114未満に冷却して、第1の部分106を第2の部分110に対して収縮させるか、又は第2の部分110を第1の部分106に対して収縮させるステップを含む。
【0113】
1以上の実施例では、固定隔離器100を加熱するステップ(ブロック1012)が、圧電発電機118を使用して機械的な歪に応じて電力を生成するステップ、及び電力を使用して加熱要素116に電流を流すステップを含む。
【0114】
1以上の実施例では、固定隔離器100を冷却するステップ(ブロック1014)が、圧電発電機118を使用して機械的な歪に応じて電力を生成するステップ、及び電力を使用して冷却要素162に電流を流すステップを含む。
【0115】
1以上の実施例では、圧電発電機118が、複数の圧電カンチレバー120などの圧電カンチレバー120を含む。これらの実施例では、電力を生成するステップが、振動に応じて複数の圧電カンチレバー120のうちの少なくとも1つ又はそれぞれなどの圧電カンチレバー120を曲げるステップを含む。複数の圧電カンチレバー120のうちの1以上などの圧電カンチレバー120の曲げは、機械的な歪を生成する。
【0116】
1以上の実施例では、複数の圧電カンチレバー120のうちの1以上などの圧電カンチレバー120を曲げるステップが、振動の周波数の範囲において複数の圧電カンチレバー120のうちの少なくとも1つ又はそれぞれなどの圧電カンチレバー120を共振させるステップを含む。
【0117】
したがって、本開示の固定隔離器100及び方法1000は、支持構造体と、高エネルギーダイナミック環境における衝撃及び振動に敏感な装備の一部との間などの、特定の環境における構造物間の振動の選択的な隔離を提供する。本開示の固定隔離器100及び方法1000は、支持構造体と、低エネルギー又は実質的に静的な環境における装備の一部との間などの、特定の他の環境における構造体間の選択的な固定も提供する。
【0118】
本開示の固定隔離器100及び方法1000は、有利なことに、熱的な起動及び起動解除並びに/又は振動的な起動及び起動解除向けの数多くの調整オプションを可能にする。一実施例として、固定隔離器100を調整して、より低い振動レベル(例えば、より小さい規模)における剛性、及びより高い振動レベル(例えば、より大きい規模)における可撓性(衝撃及び振動の吸収を伴う)を提供することができる。別の一実施例として、固定隔離器100を調整して、より低い振動レベル(例えば、より小さい規模)における可撓性(衝撃及び振動の吸収を伴う)、及びより高い振動レベル(例えば、より大きい規模)における剛性を提供することができる。別の一実施例として、固定隔離器100を調整して、より低い温度における剛性、及びより高い温度における可撓性(衝撃及び振動の吸収を伴う)を提供することができる。別の一実施例として、固定隔離器100を調整して、より低い温度における可撓性(衝撃及び振動の吸収を伴う)、及びより高い温度における剛性を提供することができる。
【0119】
本開示の固定隔離器100及び方法1000の幾つかの実施態様では、隔離状態(isolated state)と固定状態との間での選択が受動的に実行される。言い換えると、1以上の実施態様では、本開示の固定隔離器100及び方法1000が、有利なことに、外部電力又は外部制御を必要としない。例えば、隔離状態と固定状態との間での選択は、環境の変化によって生じる。一実施例として、隔離状態と固定状態との間での選択は、周囲温度が閾値温度を超えるときなどの、周囲環境の温度の変化に応じて生じる。別の一実施例として、隔離状態と固定された状態との間での選択は、振動(例えば、振動の大きさ)が閾値振動レベル(例えば、振動の閾値規模)を超えるときなどの、振動の変化に応じて生じる。これらの実施例では、予め選択された閾値より上の振動の規模が、圧電発電機118を使用して十分な電力を生成して、加熱要素116又は冷却要素162をそれぞれ使用して1以上のジョイント102を加熱又は冷却し、隔離状態と固定状態との間での遷移が生じる
【0120】
本開示の固定隔離器100及び方法1000の幾つかの実施態様では、隔離状態と固定状態との間での選択が能動的に実行される。これらの実施例では、電気エネルギーが、所定の選択された時間において、バッテリ174などの外部電源164によって提供される。
【0121】
次に図13及び図14を参照すると、固定隔離器100及び方法1000の実施例が、図13のフロー図で示されるような航空宇宙輸送体の製造及び保守方法1100、及び図14で概略的に示されるような航空宇宙輸送体1200の文脈で使用され得る。
【0122】
図14を参照すると、航空宇宙輸送体1200は、航空機、宇宙船、人工衛星、ロケットなどの、地球の大気の範囲内及び外側で移動することができる様々な種類の輸送体のうちの何れか1つを含むが、それらに限定されるものではない。1以上の実施例では、航空宇宙輸送体1200が、下層のフレーム1202、内装1206、及び複数の高レベルシステム1204を含む。高レベルシステム1204の実施例は、推進システム1208、電気システム1210、液圧システム1212、環境システム1214、通信システム1216、誘導システム1218、及びビジョンシステム1220のうちの1以上を含む。他の実施例では、航空宇宙輸送体1200が、任意の数の他の種類のシステム1222を含んでよい。
【0123】
固定隔離器100の実施例及び方法1000の実施態様を使用して、衝撃及び振動力に敏感な、高レベルシステム1204のうちの1つに関連付けられた装備の一部又は部品を、フレーム1202に連結することができる。したがって、装備又は部品は、特定の環境内でしっかりと固定されてよく、他の環境で隔離されてよい。
【0124】
図13を参照すると、製造前の段階で、方法1100は、航空宇宙輸送体1200の仕様及び設計(ブロック1102)並びに材料の調達(ブロック1104)を含む。航空宇宙輸送体1200の製造段階では、航空宇宙輸送体1200の構成要素及びサブアセンブリの製造(ブロック1106)並びにシステムインテグレーション(ブロック1108)が行われる。その後、航空宇宙輸送体1200は、認可及び納品(ブロック1110)を経て、運航(ブロック1112)に供される。定期的な整備及び保守(ブロック1114)は、航空宇宙輸送体1200の1以上のシステムの修正、再構成、改修などを含む。
【0125】
図13で示されている方法1100のプロセスのそれぞれは、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータ(例えば顧客)によって実施若しくは実行されてよい。この明細書の解釈上、システムインテグレータは、任意の数の製造業者及び主要システム下請業者を含み得るがそれらに限定されず、第三者は、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含み得るがそれらに限定されず、且つ、オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などであってよい。
【0126】
図示され且つ本明細書で説明されている固定隔離器100及び方法1000の実施例は、図13によって示されているフロー図において示されている製造及び保守方法1100の複数の段階のうちの何れか1以上の最中に採用されてよい。一実施例では、本開示の固定隔離器100及び方法1000の実施態様が、構成要素及びサブアセンブリの製造(ブロック1106)並びに/又はシステムインテグレーション(ブロック1108)の一部分を形成し得る。例えば、本開示の固定隔離器100及び方法1000の実施態様を使用する、航空宇宙輸送体1200の組み立て並びに/又はその様々な装備及び構成要素の設置は、構成要素及びサブアセンブリの製造(ブロック1106)に対応し得、航空宇宙輸送体1200が運航(ブロック1112)している間に準備される構成要素又はサブアセンブリと同様なやり方で準備されてよい。更に、本開示の固定隔離器100及び方法1000の実施態様は、システムインテグレーション(ブロック1108)並びに認可及び納品(ブロック1110)の最中に利用されてもよい。同様に、本開示の固定隔離器100及び方法1000の実施態様は、例えば、非限定的に、航空宇宙輸送体1200が運航(ブロック1112)している間、並びに整備及び保守(ブロック1114)の最中に利用されてよい。
【0127】
航空宇宙(例えば、航空機又は宇宙船)の実施例が示されているが、本明細書で開示される実施例及び原理は、自動車産業、建設産業、電気産業、風力タービン産業、並びに他の設計及び製造業などにも適用される。したがって、航空機及び宇宙船に加えて、本明細書で開示される実施例及び原理は、他の輸送体(陸上輸送体、海洋輸送体、建設輸送体など)、機械類、及び独立構造体にも適用され得る。
【0128】
本明細書において、特定の機能を実施する「ように構成された(configured to)」システム、装置、デバイス、構造体、物品、要素、構成要素、又はハードウェアは、実際には、如何なる変更も伴わずにその特定の機能を実施することが可能であり、更なる改変の後にその特定の機能を実施する可能性があるにすぎないというものではない。言い換えると、特定の機能を実施する「ように構成/設定された」システム、装置、デバイス、構造体、物品、要素、構成要素、又はハードウェアは、その特定の機能を実施するという目的のために、特に選択、創出、実装、利用、プログラミング、且つ/又は設計される。本明細書において、「ように構成された(configured to)」という表現は、システム、装置、構造体、物品、要素、構成要素、又はハードウェアが更なる改変なしで特定の機能を実行することを可能にする、システム、装置、構造体、物品、要素、構成要素、又はハードウェアの既存の特性を示す。この開示のために、特定の機能を実施するように「構成された」と説明されているシステム、装置、デバイス、構造体、物品、要素、構成要素、又はハードウェアは、追加的又は代替的に、その機能を実施するように「適合された(adapted to)」且つ/又は「動作可能である(operative to)」と説明されてもよい。
【0129】
別様に提示されない限り、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、本明細書では単に符号として使用され、それらの用語が表すアイテムに順序的、位置的、又は序列的な要件を課すことを意図していない。更に、例えば、「第2」のアイテムが言及された場合、例えば、「第1」の若しくはより小さい数のアイテム、及び/又は、「第3」の若しくはより大きい数のアイテムが必要とされたり、除外されたりすることはない。
【0130】
この開示のために、「結合された(coupled)」、「結合(coupling)」、及び似たような用語や表現は、互いに(例えば、機械的、電気的、流体的、光学的、電磁気的に)接合、連結、締結、付着、接続、連通、又はさもなければ関連付けされた2つ以上の要素のことを指す。様々な実施例では、これらの要素は、直接的又は間接的に結合され得る。一実施例として、要素Aは、要素Bと直接的に結合されてよい。別の一実施例として、要素Aは、例えば別の要素Cを介して要素Bと間接的に結合されてよい。
【0131】
本明細書では、「約(about)」、及び「近似的に(approximately)」という用語が、所望の機能を依然として実行する又は所望の結果を達成する規定の条件に近似するが、厳密にそうではない条件を表す。例として、「約(about)」、及び「近似的に(approximately)」という用語は、許容可能な所定の許容誤差又は正確性の範囲内の条件を指す。例として、「約(about)」、及び「近似的に(approximately)」という用語は、規定の条件の10%以内の条件を指す。しかしながら、「約(about)」、及び「近似的に(approximately)」という用語は、厳密に規定の条件である条件を除外しない。
【0132】
上で言及された図1及び図14では、ブロックが、本明細書で開示される主題の実施例に関係する機能要素、特徴、及び/又は構成要素を表す。あるとすれば、様々な要素、特徴、及び/又は構成要素を接続する線は、それらの機械的、電気的、流体的、光学的、電磁的、並びに他の結合及び/又は組み合わせを表す。あるとすれば、破線で表されている要素、特徴、及び構成要素は、選択的に設けられてよく、又は本明細書で開示される主題の代替例を示している。あるとすれば、様々な要素、特徴、及び/又は構成要素を指定するブロックを接続する破線は、実線によって表されているものと機能及び目的において類似する結合を表す。しかし、破線によって表される結合は、選択的に設けられるか又は本明細書の主題の代替例に関連し得る。あるとすれば、環境要素は、点線で表される。様々な開示されている要素、特徴、及び/又は構成要素の間での全ての結合が、必ずしも表されていないことを理解されたい。そのため、図面に示されているもの以外の結合も存在し得る。
【0133】
上で言及された図1図11及び図14では、分かり易くするために仮想(想像上の)要素も示され得る。図1図11及び図14で示されている要素、特徴、及び/又は構成要素のうちの幾つかは、図1図11及び図14、他の図面、及び/又は付随する開示で記載され且つ示された他の特徴を含むことを必要とせずに、様々なやり方で組み合わせることができる(このような1以上の組み合わせが本明細書で明示されていなくても)ことを当業者は理解するであろう。同様に、提示された実施例に限定されない更なる特徴が、本明細書で示され説明された特徴の一部又は全部と組み合わされてよい。別途明示的に記載されない限り、上述の図1図11及び図14に記載された実施例の概略図は、例示的な実施例に関する構造的制限を示唆することを意図していない。むしろ、ある例示的な構造体が示されていても、適当な場合には、その構造体を改変し得ることを理解されたい。したがって、図示された構造体に対して、改変、追加、及び/又は省略を行うことができる。更に、当業者であれば、上で言及された図1図11及び図14に記載され示された全ての要素が、全ての実施例に含まれる必要はなく、本明細書で説明された全ての要素が、必ずしも各例示的な実施例に記載されないことを理解するであろう。
【0134】
上で言及された図12及び13では、ブロックが、動作、ステップ、及び/又はそれらの部分を表すことが可能であり、様々なブロックを接続する線は、動作又はその部分の如何なる特定の順序又は従属関係も暗示しない。破線で示されるブロックは、代替的な動作及び/又はその部分を示す。開示されている様々な動作間の全ての従属関係が必ずしも表わされている訳ではないことが理解されよう。本明細書に提示された本開示の方法の動作を説明する図12及び図13、並びに付随する開示は、必ずしも動作を実行するべき順序を決定付けていると解釈すべきではない。むしろ、ある例示的な順序が示されているが、動作の順序は、適切な場合、修正することができることを理解されたい。したがって、図示されている動作には改変、追加、及び/又は省略が行われてよく、特定の動作群は、異なる順序で実施されてもよく、又は同時に実施されてもよい。更に、当業者であれば、記載されている全ての動作を実行する必要はないことを理解されよう。
【0135】
更に、本明細書全体を通して、特徴や利点に対する言及、又は本明細書で使用される類似の表現は、本明細書に開示された実施例で実現され得る特徴及び利点の全てが、任意の単一の実施例に存在するべきであるとか、又はその中に存在していると示唆するわけではない。むしろ、特徴や利点に対して言及している表現は、ある実施例と関連して説明される特定の特徴、利点、又は特性が、少なくとも1つの実施例に含まれることを意味すると理解される。したがって、特徴、利点、及び本開示全体を通して使用される類似の表現に関する説明は、同一の実施例を指している場合があるが、必ずそうであるというわけではない。
【0136】
更に、本開示は、以下の条項による実施形態を含む。
条項1.
温度の変化に応じて隙間嵌め状態と締り嵌め状態との間で遷移するように構成された1以上のジョイント(102)、及び
前記1以上のジョイント(102)が前記隙間嵌め状態にあるときに、前記1以上のジョイント(102)を介した振動の伝達を減衰させるように構成された緩衝器(104)を備える、固定隔離器(100)。
条項2.
前記1以上のジョイント(102)の各ジョイント(102)が、
第1の熱膨張率(108)を有する第1の部分(106)、及び
前記第1の熱膨張率(108)とは異なる第2の熱膨張率(112)を有する第2の部分(110)を備える、条項1に記載の固定隔離器(100)。
条項3.
前記第1の部分(106)と前記第2の部分(110)とは、遷移温度(114)未満で互いに対して固定され、
前記第1の部分(106)と前記第2の部分(110)とは、前記遷移温度(114)より上で互いに対して移動可能である、条項2に記載の固定隔離器(100)。
条項4.
前記第1の部分(106)と前記第2の部分(110)とは、遷移温度(114)未満で互いに対して移動可能であり、
前記第1の部分(106)と前記第2の部分(110)とは、前記遷移温度(114)より上で互いに対して固定されている、条項2に記載の固定隔離器(100)。
条項5.
前記1以上のジョイント(102)は、前記隙間嵌め状態にあるときに直線的に移動するように構成されたジョイント(102)を含む、条項1から4に記載の固定隔離器(100)。
条項6.
前記直線的に移動するように構成されたジョイント(102)は、滑り軸受を含む、条項5に記載の固定隔離器(100)。
条項7.
前記1以上のジョイント(102)は、前記隙間嵌め状態にあるときに回転移動するように構成されたジョイント(102)を含む、条項1から6に記載の固定隔離器(100)。
条項8.
前記回転移動するように構成されたジョイント(102)は、球面軸受を含む、条項7に記載の固定隔離器(100)。
条項9.
前記1以上のジョイント(102)を加熱するように構成された加熱要素(116)を更に備える、条項1から8のいずれか一項に記載の固定隔離器(100)。
条項10.
機械的な歪に応じて電力を生成するように構成された圧電発電機(118)を更に備え、
前記圧電発電機(118)が、前記加熱要素(116)と電気的に通じており、
前記電力が、前記加熱要素(116)にエネルギーを与える、条項9に記載の固定隔離器(100)。
条項11.
前記圧電発電機(118)が、前記振動に応じて曲がるように構成された圧電カンチレバー(120)を備える、条項10に記載の固定隔離器(100)。
条項12.
前記圧電カンチレバー(120)が、前記振動の周波数の範囲において共振するように選択された長さLを有する、条項11に記載の固定隔離器(100)。
条項13.
ベース(122)、
前記ベース(122)に結合されたリンケージ(124)、
前記ベースの反対側で前記リンケージ(124)に結合されたキャップ(126)、及び
前記ベース(122)と前記キャップ(126)とに結合された緩衝器(104)を備え、
前記リンケージ(124)は、温度の変化に応じて、前記キャップ(126)が前記ベース(122)に対して移動可能な固定されていない状態と、前記キャップ(126)が前記ベース(122)に対して固定された固定状態と、の間で遷移するように構成され、
前記緩衝器(104)は、前記リンケージ(124)が前記固定されていない状態にあるときに、前記ベース(122)と前記キャップ(126)との間での振動の伝達を減衰させるように構成されている、固定隔離器(100)。
条項14.
前記リンケージ(124)が、温度の変化に応じて、隙間嵌め状態と締り嵌め状態との間で遷移するように構成された1以上のジョイント(102)を備える、条項13に記載の固定隔離器(100)。
条項15.
前記1以上のジョイント(102)の各ジョイント(102)が、
第1の熱膨張率(108)を有する第1の部分(106)、及び
前記第1の熱膨張率(108)とは異なる第2の熱膨張率(112)を有する第2の部分(110)を備える、条項14に記載の固定隔離器(100)。
条項16.
前記リンケージ(124)が、1以上のジョイント(102)を備え、前記リンケージ(124)が、
前記1以上のジョイント(102)の第1のジョイント(130)によって前記ベース(122)に結合された第1のリンク(128)、及び
前記ベース(122)とは反対側で、前記1以上のジョイント(102)の第2のジョイント(134)によって前記第1のリンク(128)に結合された第2のリンク(132)を更に備え、
前記キャップ(126)が、前記第1のリンク(128)とは反対側で、前記1以上のジョイント(102)の第3のジョイント(136)によって前記第2のリンク(132)に結合されている、条項13に記載の固定隔離器(100)。
条項17.
第1の遷移温度(138)の上で、前記第1のジョイント(130)が、前記第1のリンク(128)が前記ベース(122)に対して移動可能な隙間嵌め状態を有するか、又は前記第1のリンク(128)が前記ベース(122)に対して固定された締り嵌め状態を有し、
第2の遷移温度(140)の上で、前記第2のジョイント(134)が、前記第2のリンク(132)が前記第1のリンク(128)に対して移動可能な前記隙間嵌め状態を有するか、又は前記第2のリンク(132)が前記第1のリンク(128)に対して固定された前記締り嵌め状態を有し、
第3の遷移温度(142)の上で、前記第3のジョイント(136)が、前記キャップ(126)が前記第2のリンク(132)に対して移動可能な前記隙間嵌め状態を有するか、又は前記キャップ(126)が前記第2のリンク(132)に対して固定された前記締り嵌め状態を有する、条項16に記載の固定隔離器(100)。
条項18.
前記第1の遷移温度(138)、前記第2の遷移温度(140)、及び前記第3の遷移温度(142)が同じである、条項17に記載の固定隔離器(100)。
条項19.
前記第1の遷移温度(138)、前記第2の遷移温度(140)、及び前記第3の遷移温度(142)のうちの少なくとも1つが、前記第1の遷移温度(138)、前記第2の遷移温度(140)、及び前記第3の遷移温度(142)のうちの少なくとも別の1つとは異なる、条項17に記載の固定隔離器(100)。
条項20.
前記第1のジョイント(130)と前記第3のジョイント(136)とが、それぞれ、球面軸受を含み、
前記第2のジョイント(134)が滑り軸受を含む、条項17から19のいずれか一項に記載の固定隔離器(100)。
条項21.
温度の変化をもたらすように構成された加熱要素(116)を更に備える、条項13から20のいずれか一項に記載の固定隔離器(100)。
条項22.
前記加熱要素(116)が、前記リンケージ(124)と熱連通している、条項21に記載の固定隔離器(100)。
条項23.
前記加熱要素(116)が、前記リンケージ(124)、前記ベース(122)、及び前記キャップ(126)のうちの少なくとも1つに結合された、少なくとも1つのコイルヒータを含む、条項21又は条項22に記載の固定隔離器(100)。
条項24.
機械的な歪に応じて電力を生成するように構成された圧電発電機(118)を更に備え、
前記圧電発電機(118)が、前記加熱要素(116)と電気的に通じており、
前記電力が、前記加熱要素(116)にエネルギーを与える、条項21又は22に記載の固定隔離器(100)。
条項25.
前記圧電発電機(118)が、複数の圧電カンチレバー(120)を備え、前記複数の圧電カンチレバー(120)のそれぞれが、前記振動に応じて曲がるように構成されている、条項24に記載の固定隔離器(100)。
条項26.
前記複数の圧電カンチレバー(120)のそれぞれが、前記振動の周波数の範囲において共振するように選択された長さLを有する、条項25に記載の固定隔離器(100)。
条項27.
前記緩衝器(104)は、エラストマー部材(158)を含む、条項13から26のいずれか一項に記載の固定隔離器(100)。
条項28.
前記緩衝器(104)は、前記リンケージ(124)の周りでハウジング(144)を形成する、条項27に記載の固定隔離器(100)。
条項29.
前記緩衝器(104)がバネ(160)を含む、条項13から28のいずれか一項に記載の固定隔離器(100)。
条項30.
前記ベース(122)が、第1の構造体(146)に結合されるように構成され、
前記キャップ(126)が、第2の構造体(148)に結合されるように構成されている、条項13から29のいずれか一項に記載の固定隔離器(100)。
条項31.
構造システム(150)の第1の構造体(146)を前記構造システム(150)の第2の構造体(148)から隔離する方法(1000)であって、
固定隔離器(100)を使用して、前記第1の構造体(146)と前記第2の構造体(148)とを共に結合すること、
温度の変化に応じて、前記固定隔離器(100)の1以上のジョイント(102)を、前記第1の構造体(146)と前記第2の構造体(148)とが互いに対して移動可能な隙間嵌め状態と、前記第1の構造体(146)と前記第2の構造体(148)とが互いに対して固定された締り嵌め状態と、の間で遷移させること、及び
前記1以上のジョイント(102)が前記隙間嵌め状態で、前記固定隔離器(100)の緩衝器(104)を使用して、前記第1の構造体(146)と前記第2の構造体(148)との間での振動の伝達を減衰させることを含む、方法(1000)。
条項32.
前記温度を変化させるために、前記固定隔離器(100)を加熱することを更に含む、条項31に記載の方法(1000)。
条項33.
前記固定隔離器(100)を加熱することが、前記構造システム(150)を、第1の周囲温度から前記第1の周囲温度よりも高い第2の周囲温度に移動させることを含む、条項32に記載の方法(1000)。
条項34.
前記温度を変化させるために、前記固定隔離器(100)を冷却することを更に含む、条項31に記載の方法(1000)。
条項35.
前記固定隔離器(100)を冷却することが、前記構造システム(150)を、第1の周囲温度から前記第1の周囲温度未満の第2の周囲温度に移動させることを含む、条項34に記載の方法(1000)。
条項36.
前記1以上のジョイント(102)の各ジョイント(102)が、
第1の熱膨張率(108)を有する第1の部分(106)、及び
前記第1の熱膨張率(108)とは異なる第2の熱膨張率(112)を有する第2の部分(110)を備え、
前記方法(1000)が、前記第1の部分(106)を前記第2の部分(110)に対して膨張させるため、又は前記第2の部分(110)を前記第1の部分(106)に対して膨張させるため、前記1以上のジョイント(102)の各ジョイント(102)を遷移温度(114)より上に加熱することを更に含む、条項31又は32に記載の方法(1000)。
条項37.
加熱要素(116)を使用して、前記1以上のジョイント(102)を加熱することを更に含む、条項31、32、36のいずれか一項に記載の方法(1000)。
条項38.
圧電発電機(118)を使用して、機械的な歪に応じて電力を生成すること、及び
前記電力を使用して、前記加熱要素(116)にエネルギーを与えることを更に含む、条項37に記載の方法(1000)。
条項39.
前記圧電発電機(118)は、圧電カンチレバー(120)を備え、
前記電力を生成することは、前記振動に応じて前記圧電カンチレバー(120)を曲げることを含む、条項38に記載の方法(1000)。
条項40.
前記振動の周波数の範囲において前記圧電カンチレバー(120)を共振させることを更に含む、条項39に記載の方法(1000)。
【0137】
ある実施例の記載された特徴、利点、及び特性は、他の1つ以上の実施例において任意の適切な態様で組み合わされてもよい。当業者であれば、本明細書に記載された実施例は、特定の実施例の具体的な特徴又は利点のうちの1つ以上がなくても実施し得ることを認識するであろう。他の場合では、さらなる特徴及び利点は、特定の実施例において認識され得るが、全ての実施例に存在しない場合がある。更に、固定隔離器100及び方法1000の様々な実施例が示され且つ説明されてきたが、当業者であれば、本明細書を読むことで、修正例を想起することができるであろう。本出願は、かかる変形例を含み、且つ特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14