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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-14
(45)【発行日】2025-04-22
(54)【発明の名称】無人航空輸送体を使用した構造物の修理
(51)【国際特許分類】
   B64C 27/08 20230101AFI20250415BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20250415BHJP
   B64D 27/16 20060101ALI20250415BHJP
   B64U 10/14 20230101ALI20250415BHJP
   B64U 101/26 20230101ALN20250415BHJP
   B64U 101/64 20230101ALN20250415BHJP
【FI】
B64C27/08
B64C39/02
B64D27/16
B64U10/14
B64U101:26
B64U101:64
【請求項の数】 6
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021012814
(22)【出願日】2021-01-29
(65)【公開番号】P2021121531
(43)【公開日】2021-08-26
【審査請求日】2024-01-26
(31)【優先権主張番号】16/776,177
(32)【優先日】2020-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ジョージソン, ゲイリー イー.
(72)【発明者】
【氏名】ハーフェンリヒター, ジョーセフ エル.
(72)【発明者】
【氏名】トロイ, ジェームズ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】スワーズ, グレゴリー ジェイ.
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0009803(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0369057(US,A1)
【文献】特開2017-159852(JP,A)
【文献】特開昭59-110570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64B 1/00 - B64U 101/75
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人航空輸送体(2)と前記無人航空輸送体に結合されたマルチツールモジュール(60a、60b)とを備える装置であって、
前記無人航空輸送体は、本体フレーム(4)、前記本体フレームに取り付けられた複数のローターモータ(12)、及び前記複数のローターモータのそれぞれのローターモータに動作可能に結合された複数のローター(10)を備え、
前記マルチツールモジュールは、ベース(80)、前記ベースに対して回転軸の周りで回転可能なハブ(62)、前記ハブに結合されたそれぞれの第1の端部を有する複数のアーム(64a~64d、65)、前記複数のアームのそれぞれのアームのそれぞれの第2の端部に取り付けられた複数のツール(68、70、72、74)、及び前記ハブの回転を駆動するように動作可能に結合された第1のモータ(26a)を備え
前記ハブは、前記ベースに対して回転可能な内側円筒(78)と、前記内側円筒の最上部を覆う覆い頭部(76)と、を備え、
前記覆い頭部は、前記内側円筒の前記最上部に対して、前記内側円筒に沿って垂直方向に平行移動可能であり、
前記複数のアーム(64a~64d)は、前記覆い頭部に固定結合されている、装置。
【請求項2】
前記複数のアーム(65)は、前記覆い頭部に回転可能に結合されている、請求項に記載の装置。
【請求項3】
前記マルチツールモジュールは、
前記内側円筒に沿って垂直方向に平行移動可能な輪(81)、及び
複数のリンク(61)であって、各リンクが前記輪に回転可能に結合された一端と前記複数のアームのそれぞれのアームに回転可能に結合された他端とを有する、複数のリンクを更に備える、請求項に記載の装置。
【請求項4】
前記マルチツールモジュールは、複数のリニアアクチュエータ(67)を更に備え、各リニアアクチュエータは、前記複数のアームのそれぞれのアームに回転可能に結合された一端を有する、請求項又はに記載の装置。
【請求項5】
前記無人航空輸送体は、前記本体フレームに旋回可能に結合されたペイロード支持フレーム(8)を更に備え、
前記マルチツールモジュールは、前記ペイロード支持フレームに取り付けられ、
前記ペイロード支持フレームは、複数の表面取り付けデバイス(16)を備える、請求項1からのいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
無人航空輸送体(2)と前記無人航空輸送体に結合されたツール取り上げ・配置モジュール(22)とを備える装置であって、
前記無人航空輸送体は、本体フレーム(4)、前記本体フレームに取り付けられた複数のローターモータ(12)、及び前記複数のローターモータのそれぞれのローターモータに動作可能に結合された複数のローター(10)を備え、
前記ツール取り上げ・配置モジュールは、複数のツールステーション(88)を備えたプラットフォーム(84)、前記プラットフォームに取り付けられたツール取り上げ・配置ロボット(82)、及びそれぞれのツールステーションに配置された複数のツール(68、70、72、74)を備え、
前記ツール取り上げ・配置ロボットは、ベース(80)、前記ベースの周りで回転可能なハブ(62)、前記ハブに固定結合された第1の端部及び前記ハブから距離を置いた第2の端部を有するアーム(86)、並びに前記アームの前記第2の端部に取り付けられたツールホルダ(90)を備え、
前記ハブは、前記ベースに対して回転可能な内側円筒(78)、及び、前記内側円筒と縦に並んで回転可能であり、且つ前記内側円筒の最上部に対して、前記内側円筒に沿って垂直方向に平行移動可能な覆い頭部(76)を備え、
前記アームの前記第1の端部は、前記覆い頭部に固定結合され、前記覆い頭部から径方向外向きに延在する、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広くは、構造物の検査及び修理に関する。特に、本開示は、アクセスできない又はアクセスが限られた構造物の運航中の修理のための無人航空輸送体(UAV)の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
大きな構造物及び様々な種類の大きな物体の運航中の人間の手による修理は、時間がかかり、高価であり、個人が実行するのは難しい。修理がかなり困難である大きな構造物の例には、風力タービンブレード、航空機の胴体及び主翼、ロケット及び人工衛星、貯蔵タンク、橋、ダム、堤防、発電所、電力線又は電力網、水処理設備、精油所、化学処理工場、高層建築物、並びに電車やモノレールの支持構造に関連するインフラが含まれる。
【0003】
より具体的には、航空宇宙産業その他で採用される材料及び構造が、運航中の損傷に対する定期的な修理を必要とし得る。航空機の素早い検査及び修理は、ダウンタイムを低減させるために軍事及び民間の用途にとって重要である。例えば、複合材構造物の使用は、民間航空機にとってますます一般的になっている。複合材は、運航の過程で損傷を受け得る。そのような運航中の損傷の例には、雷撃、雹霰による衝撃損傷、滑走路のデブリ(物体損傷)、又は地上サポートビークルとの衝突が含まれる。
【0004】
構造物の検査によって、検査中に特定された構造的な異常に対処するためなどに、構造物が修理を受けるべきであると判断された事例では、構造物が迅速に運航に戻され得るような時機を得たやり方で修理が実行されるべきである。例えば、損傷が、出発の直前に空港のローディングゲート(loading gate)で発見されることがある。損傷の程度に応じて一時的又は恒久的であり得る修理が提供され得る。これれは、非構造的(水分が入らないように表面をシーリングすることなど)又は構造的(エリアの強度レベルをある程度まで回復させる)であり得る。ほとんどの運航中の航空機(複合材又は金属)への衝撃、層間剥離、スクラッチ(scratch)、亀裂、焼け、又は裂けの修理向けの現在のアプローチは、リフト又はスタンド、安全用ハーネスなどを用いた人的労働力を使用することである。マイナー又は一時的な修理にとって、これは、不必要な運航遅延、潜在的な安全条件への曝露、及び飛行機を飛行に戻すための費用をもたらす。修理を行うためのアクセス、労働、及び関連する時間の費用、並びに中断中の収入の損失は高価であり得る。修理機器が利用可能でないか又は修理が広範であり得る場合、飛行はキャンセルされ得る。航空機は、整備基地までフェリーで運ばれたり又は牽引されたりするために、地上に降ろされ、運航から外され得るので、それは、結果として航空機のオペレータにとって大きな経済的影響を与える。
【0005】
計画された構造的な保守点検の後で、又は損傷を生成したかもしれないイベント(例えば、雷撃、物理的な衝撃、鳥の衝突)の後で、大きな複合材構造物(例えば、航空機及び風力タービンブレード)を素早く修理して運航に戻すための自動的な装置が必要である。
【発明の概要】
【0006】
以下で幾らか詳細に説明される本開示の主題は、無人航空輸送体(UAV)を使用して修理動作を実行するための方法及び装置を対象とする。該方法は、保守人員が容易にアクセスできない大きな構造物又は物体(例えば、航空機又は風力タービンブレード)を素早く修理するためのツールをUAVに装備することによって可能になる。複数のツールが利用可能であり、ロボットによって選択され、修理現場に配置される。ツールは、指定された修理計画に従って順次にそれぞれの修理動作を実行するように設計されている。その計画は、以前に実行されたUAVによって可能な(UAV-enabled)検査の結果を考慮し得る。
【0007】
幾つかの実施形態によれば、該装置は、回転可能なハブから外向きに延在する角度方向に分散されたそれぞれの支持アームの遠位端に取り付けられた、種々の機能を実行するための複数のツールを有するマルチツールモジュールが装備されたUAVを含む。様々なツールが、順次、修理現場に適用され得る。修理手順が、特定のツールを使用するよう要求したときに、ハブが回転して、指定されたツールを修理現場に重なる角度位置まで運ぶ。一実施形態によれば、ツールは、修理現場に重なり且つ修理現場と接触するか又は修理現場に近接する位置まで回転される。別の一実施形態によれば、ツールは、先ず修理現場に重なる位置まで回転され、次いで、修理現場と接触するか又は修理現場に近接するように下げられる。
【0008】
他の実施形態によれば、該装置は、回転可能なツール取り上げ・配置ロボットアーム、及び回転可能なツール取り上げ・配置ロボットが届く範囲内のそれぞれのツールステーションに保存された複数のツールが装備された、UAVを含む。コントローラが、修理動作を実行するために、ツール取り上げ・配置ロボットに、第1の角度位置まで回転すること、ツールを取り上げること、次いで、ツールを運びながら第2の角度位置まで回転すること、ツールを修理現場と接触するか又は修理現場に近接するように配置すること、を実行させるように構成されている。代替的な一実施形態によれば、ツールは、地上のそれぞれのツールステーションに保存され、UAVには、UAVがツールを取り上げ、次いで、ツールを運びながら修理現場まで飛行することを可能にする、把持部又は挟持部(例えばコレット(collet))が装備されている。
【0009】
ツールが装備されたUAVを使用して構造物又は物体を修理するための方法及び装置の様々な実施形態が、本明細書で後に幾らか詳細に説明されるが、それらの実施形態の1以上は、以下の態様の1以上によって特徴付けられ得る。
【0010】
以下で詳細に開示される主題の一態様は、無人航空輸送体、及び無人航空輸送体に結合されたマルチツールモジュールを備える、装置である。(a)無人航空輸送体は、本体フレーム、本体フレームに取り付けられた複数のローターモータ、及び複数のローターモータのそれぞれのローターモータに動作可能に結合された複数のローターを備え、並びに(b)マルチツールモジュールは、回転軸の周りで回転可能なハブ、ハブに固定結合されたそれぞれの第1の端部を有する複数のアーム、複数のアームのそれぞれのアームのそれぞれの第2の端部に取り付けられた複数のツール、及びハブの回転を駆動するように動作可能に結合されたモータを備える。
【0011】
直前の段落で説明された装置の幾つかの実施形態によれば、マルチツールモジュールは、ベース、並びにベースに対して回転可能な内側円筒及び内側円筒の最上部を覆う覆い頭部を更に備える。一実施形態では、覆い頭部が、内側円筒の最上部に対して平行移動可能であり、複数のアームが覆い頭部に固定結合されている。他の実施形態では、複数のアームが、覆い頭部と回転可能に結合される。アームは、内側円筒に沿って平行移動するリンクされた輪(ring)によって、又はそれぞれのリニアアクチュエータによって、回転するように駆動され得る。
【0012】
以下で詳細に開示される主題の別の一態様は、無人航空輸送体、及び無人航空輸送体に結合されたツール取り上げ・配置モジュールを備える、装置である。(a)無人航空輸送体は、本体フレーム、本体フレームに取り付けられた複数のローターモータ、及び複数のローターモータのそれぞれのローターモータに動作可能に結合された複数のローターを備え、(b)ツール取り上げ・配置モジュールは、複数のツールステーションを備えたプラットフォーム、プラットフォームに取り付けられたツール取り上げ・配置ロボット、及びそれぞれのツールステーションに配置された複数のツールを備え、並びに(c)ツール取り上げ・配置ロボットは、ベース、ベースの周りで回転可能なハブ、ハブに固定結合された第1の端部とハブから距離を置いた第2の端部とを有するアーム、及びアームの第2の端部に取り付けられたツールホルダを備える。
【0013】
以下で詳細に開示される主題の更なる一態様は、無人航空輸送体、及び無人航空輸送体に結合されたコレットモジュールを備える、装置である。無人航空輸送体は、本体フレーム、本体フレームに取り付けられた複数のローターモータ、及び複数のローターモータのそれぞれのローターモータに動作可能に結合された複数のローターを備え、コレットモジュールは、挟持状態と非挟持状態との間で遷移するように構成されたコレットを備える。修理動作の実行中に、装置は、挟持状態のコレットによって挟持されている取り付けポストを備えるツールを更に備える。ツールは、除去修理ツール(subtractive repair tool)、追加修理ツール(additive repair tool)、洗浄ツール、及び乾燥ツールを含む、ツールの群から選択される。
【0014】
以下で詳細に開示される主題の更に別の一態様は、コレットを備える無人航空輸送体を使用して構造物を修理するための方法である。該方法は、(a)第1及び第2のツールであって、それぞれがそれぞれの取り付けポストを備える第1及び第2のツールを地上基地に保存すること、(b)無人航空輸送体を、コレットが第1のツールの取り付けポストに位置合わせされる、第1の位置に飛行させること、(c)コレットを閉じて、第1のツールの取り付けポストを挟持すること、(d)無人航空輸送体に従属する第1のツールを用いて修理されるべき構造物に向けて、無人航空輸送体を飛行させること、(e)無人航空輸送体を構造物の表面上に着陸させること、(f)無人航空輸送体が構造物の表面上に駐機している間に、第1のツールを使用して、構造物の表面上のエリアに対して第1の修理動作を実行すること、(g)無人航空輸送体を第1の位置に飛行させること、(h)コレットを開いて、第1のツールの取り付けポストを解放すること、(i)無人航空輸送体を、コレットが第2のツールの取り付けポストに位置合わせされる、第2の位置に飛行させること、(j)コレットを閉じて、第2のツールの取り付けポストを挟持すること、(k)無人航空輸送体に従属する第2のツールを有する無人航空輸送体を、構造物に向けて飛行させること、(l)無人航空輸送体を構造物の表面上に着陸させること、並びに(m)無人航空輸送体が構造物の表面上に駐機している間に、第2のツールを使用して、構造物の表面上のエリアに対して第2の修理動作を実行することを含む。
【0015】
ツールが装備されたUAVを使用して構造物又は物体を修理するための方法及び装置の他の態様が、以下で開示される。
【0016】
前述の特徴、機能、及び利点は、様々な実施形態において個別に実施することが可能であるか、又は更に別の実施形態において組み合わせることが可能である。先述の態様及び他の態様を示すために、図面を参照して、様々な実施形態が以下で説明される。このセクションで短く説明される図面の何れも、縮尺通りに描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A図1A及び図1Bは、幾つかの実施形態による、1以上のUAVを使用して大きな構造物又は物体の損傷を受けた部分を検査及び修理するための方法のステップを特定するフローチャートを形成する。
図1B図1A及び図1Bは、幾つかの実施形態による、1以上のUAVを使用して大きな構造物又は物体の損傷を受けた部分を検査及び修理するための方法のステップを特定するフローチャートを形成する。
図2】一実施形態による、ペイロードを運ぶUAVの側面ビュー(view)を表す図である。
図2A】航空機の胴体又は貯蔵タンクなどの丸い表面を有する構造物上に着陸した後の、図2で描かれているペイロードを運ぶUAVの側面ビューを表す図である。
図2B】航空機の主翼又は風力タービンブレードでなどの翼型本体上に着陸した後の、図2で描かれているペイロードを運ぶUAVの側面ビューを表す図である。
図3A図3Aから図3Dは、修理可能構造物の表面上にペイロードを輸送及び配置するプロセス中の連続的な段階にある、ペイロードを運ぶための旋回可能アームを有するUAVのそれぞれの3次元ビューを表す図である。
図3B図3Aから図3Dは、修理可能構造物の表面上にペイロードを輸送及び配置するプロセス中の連続的な段階にある、ペイロードを運ぶための旋回可能アームを有するUAVのそれぞれの3次元ビューを表す図である。
図3C図3Aから図3Dは、修理可能構造物の表面上にペイロードを輸送及び配置するプロセス中の連続的な段階にある、ペイロードを運ぶための旋回可能アームを有するUAVのそれぞれの3次元ビューを表す図である。
図3D図3Aから図3Dは、修理可能構造物の表面上にペイロードを輸送及び配置するプロセス中の連続的な段階にある、ペイロードを運ぶための旋回可能アームを有するUAVのそれぞれの3次元ビューを表す図である。
図4】一実施形態による、マルチツールモジュールの上面ビューを表す図である。当該モジュールは、図2若しくは図3Aで描かれている種類又は異なる設計を有する種類のUAVによって運ばれるペイロードであり得る。
図4A図4で描かれているマルチツールモジュールの幾つかの構成要素(ツールは省略されている)の側面ビューを表す図である。
図5】一実施形態による、取り上げ・配置ロボット及びツールステーションプラットフォームを有するツール取り上げ・配置モジュールの上面ビューを表す図である。当該モジュールは、図2若しくは図3Aで描かれている種類又は異なる設計を有する種類のUAVによって運ばれるペイロードであり得る。図5で描かれている状態では、取り上げ・配置ロボットが、他のツールがプラットフォーム上のそれぞれのツールステーションに残っている一方で、1つのツールを異常に向けて運んでいる。
図5A図5で描かれている種類のツール取り上げ・配置ロボットの側面ビューを表す図である。ツール係合アーム(頁から出る角度位置で示されている)は、360度回転可能であり、最も高い位置と最も低い位置との間で垂直に変位可能である。ツール係合アームは、最も高い位置で図5Aで示されており、垂直方向の変位が両矢印で示されている。
図5B】アームが、最も低い位置にあり且つツールステーションに配置されたツールと係合した状態の、ツール取り上げ・配置ロボットの側面ビューを表す図である。
図6A図6A及び図6Bは、図5A及び図5Bで描かれている種類のツール取り上げ・配置ロボットを有するUAVを使用して、構造物又は物体の損傷を受けた部分を検査及び修理するための方法のステップを特定するフローチャートのそれぞれの部分である。
図6B図6A及び図6Bは、図5A及び図5Bで描かれている種類のツールピックアップ・配置ロボットを有するUAVを使用して、構造物又は物体の損傷を受けた部分を検査及び修理するための方法のステップを特定するフローチャートのそれぞれの部分である。
図7】モータ駆動されるハブの制御を介して計画されたように順次個別に配備可能な複数のツールが装備されたUAVを使用して、構造物を検査及び修理するためのシステムの幾つかの構成要素を特定するブロック図である。
図8】ベースに対して回転可能な内側円筒、及び内側円筒に対して平行移動可能なツールを運ぶ覆い頭部を含む、一実施形態によるモータ駆動されるハブの幾つかの構成要素を特定するブロック図である。
図9】吸引カップを使用して構造物の表面上の安定した位置にUAVを保持するためのシステムの幾つかの構成要素を特定するブロック図である。
図10A図10A及び図10Bは、代替的な一実施形態による、後退可能なツールを運ぶアームを有するマルチツールモジュールの側面ビューを表す図である。当該モジュールは、図2若しくは図3Aで描かれている種類又は異なる設計を有する種類のUAVによって運ばれるペイロードであり得る。マルチツールモジュールは、2つの状態で示されている。ツールを運ぶアームが延伸した状態(図10A参照)と、ツールを運ぶアームが後退した状態(図10B参照)とである。
図10B図10A及び図10Bは、代替的な一実施形態による、後退可能なツールを運ぶアームを有するマルチツールモジュールの側面ビューを表す図である。当該モジュールは、図2若しくは図3Aで描かれている種類又は異なる設計を有する種類のUAVによって運ばれるペイロードであり得る。マルチツールモジュールは、2つの状態で示されている。ツールを運ぶアームが延伸した状態(図10A参照)と、ツールを運ぶアームが後退した状態(図10B参照)とである。
図11図11は、別の一実施形態による、後退可能なツールを運ぶアームを有するマルチツールモジュールの側面ビューを表す図である。ツールを運ぶアームは、延伸した状態で示されている。
図12】他のツールが地上のそれぞれのツールステーションに配置されている一方で、構造物の表面上の異常に向けて運ばれている、コレットモジュールによって保持されているツールの上面ビューを表す図である。コレットモジュールは、図2若しくは図3Aで描かれている種類又は異なる設計を有する種類のUAVによって運ばれるペイロードであり得る。
図12A図12で描かれているツールに係合したコレットモジュールの側面ビューを表す図である。
図13A図13A及び図13Bは、図12Aで描かれている種類のコレットモジュールを有するUAVを使用して、構造物又は物体の損傷を受けた部分を検査及び修理するための方法のステップを特定するフローチャートのそれぞれの部分である。
図13B図13A及び図13Bは、図12Aで描かれている種類のコレットモジュールを有するUAVを使用して、構造物又は物体の損傷を受けた部分を検査及び修理するための方法のステップを特定するフローチャートのそれぞれの部分である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下で図を参照する。異なる図中の類似の要素に同一の参照番号が付されている。
【0019】
例示の目的で、ツールが装備されたUAVを使用して構造物又は物体を検査及び修理するための方法及び装置が、次に詳細に説明されることになる。しかし、実際の実施態様の全ての特徴が本明細書に記載されているわけではない。当業者であれば、そのような実施形態の開発においては、それぞれの実施態様によって異なるシステム関連の制約の遵守、ビジネスに関連した制約の遵守などの、開発者の特定の目的を達成するためには、多数の実施態様に特化した判断を行う必要があることを理解されたい。更に、このような開発のための労力は複雑であり、時間がかかるものであるが、本開示の利点を有する当業者にとっては、取り組むべき所定の事柄であることを理解されたい。
【0020】
本明細書で使用される際に、「構造物」という用語は、航空機及び風力タービンに限定されない。本開示は、機械加工された鍛造物、鋳造物、パイプ、又は複合材パネル若しくは部品などの、種々の形状及びサイズの任意の数の部品又は構造物を検査及び修理するために使用され得る、システム及び方法に関する。更に、検査され修理される構造物は、更なる支持を構造物に提供するための下部構造などの様々な構成要素を含み得る。更に、検査され修理される構造物は、幾つかの材料のうちの何れか1つから作製され得る。例えば、検査され修理される構造物は、アルミニウムなどの金属材料、又はグラファイトエポキシなどの複合材料を含み得る。特に、検査され修理される構造物は、複合材料から作製された航空機の構成要素であってよい。
【0021】
以下で幾らか詳細に開示される実施形態によれば、UAVは、複数のローターを有する回転翼航空機の形態を採る。本明細書で開示される実施態様によれば、各ローターは、2つの相互に径方向において逆を向いているブレードを有する。しかし、代替的な実施態様では、3つ以上のローターブレードを有するUAVが使用されてよい。本明細書で使用される際に、「ローター」という用語は、ローターマスト、ローターマストの一端に取り付けられたローターハブ、及びローターハブから径方向外向きに延在する2つ以上のローターブレードを含む、回転デバイスを指す。本明細書で開示される実施形態では、ローターマストが、本明細書において「ローターモータ」と称される、駆動モータの出力軸に機械的に結合されている。ローターモータは、ローターの回転を駆動する。本明細書で使用される際に、「ローターシステム」という用語は、UAVの重量を支持するのに十分な空力的揚力及び前方飛行における空力的抗力に反作用するのに十分な推力を生成するための、少なくとも複数のローター及びローターの回転速度を制御するように構成されたコントローラを含む、構成要素の組み合わせを意味する。本明細書で開示されるUAVは、好適には、ローターのそれぞれの回転を調整するように構成された搭載型コンピュータと通信する、複数のローターモータコントローラの形態を採るコントローラを含む。コントローラは、ローターを制御して、UAVを飛行経路に沿ってUAVが検査及び修理されるべき構造物の表面上のエリアと近接又は接触する位置まで飛行させるように構成(例えば、プログラム)されている。(本明細書で使用される際に、「位置(location)」という用語は、3次元座標系での位置及び当該座標系に対する方向を含む。)
【0022】
本明細書で提案されるプロセスの様々な実施形態によれば、UAVは、航空機又は風力タービンなどの大きな構造物が、衝撃事象又は潜在的な損傷の発見の後に素早く運航に戻されることを可能にするやり方で、修理動作を実行するように構成されている。幾つかの実施形態によれば、UAVには、異常の存在を示し得る情報(例えば、画像、スキャン、及び三次元(3D)位置データ)を収集するための手段が装備されている。
【0023】
図1A及び図1Bは、1以上のUAVを使用して、運航されている大きな構造物又は物体の損傷を受けた部分を検査及び修理するための方法100のステップを特定するフローチャートを形成する。以下でより詳細に説明されることとなるように、UAVに搭載されたコンピュータは、取得されたデータが、特定の閾値より大きい(上の)損傷を示すか又は特定の閾値より小さい(未満の)損傷を示すかを判定するように構成され得る。本明細書で使用される際に、「そのまま使用される(use as is)」閾値は、修理を必要としない(例えば、示されている損傷が、「そのまま使用される」閾値より小さい又は未満である場合の)構造物と、潜在的に修理を必要とする(例えば、示されている損傷が、「そのまま使用される」閾値より大きい又は上である場合の)構造物と、の間の境界を画するように指定された閾値を意味する。本明細書で使用される際に、「遠隔修理」閾値は、UAVによって実行され得る修理を必要とする(例えば、示されている損傷が、「遠隔修理」閾値より小さい又は未満である場合の)構造物と、UAVによって実行されない修理を必要とする(示されている損傷が、「遠隔修理」閾値より大きい又は上である場合の)構造物と、の間の境界を画するように指定された閾値を意味する。
【0024】
図1Aを参照すると、方法100の開始102では、運航している構造物が、機能しているが、計画された運航検査向けにスケジューリングされた時間が到達された(ステップ104)か、又は運航している構造物に対する事件による潜在的な損傷が示されている若しくは推定される(ステップ106)かの何れかである。例えば、物体衝突イベントが、検出又は推測された。
【0025】
保守運営センターが、運航中の構造物の視覚検査を実行するために、カメラが装備されたUAVを派遣したときに、全体の検査及び修理プロセスが開始される(ステップ108)。派遣されたUAVは、推定される衝撃エリア(本明細書で以下「関心エリア」)の近傍に飛行し、カメラを使用して関心エリアの画像を取得し、次いで、取得された画像データを第1の「そのまま使用される」閾値と比較する(ステップ110)。視覚検査及び閾値との比較の結果、撮像されたエリアの位置、及び他のデータが、次いで、カメラが装備されたUAVに搭載された非一過性の有形なコンピュータ可読記憶媒体内に記録される(ステップ112)。カメラが装備されたUAVに搭載されたコンピュータは、次いで、画像データによって示されている損傷が第1の「そのまま使用される」閾値より上か否かの判定を行う(ステップ114)。代替例として、カメラが装備されたUAVにNDIセンサユニットが更にも装備されてはいない場合、カメラが装備されたUAVは、視覚検査及び閾値との比較の結果を表すデータ、撮像されたエリアの位置を表すデータ、及び他のデータを、評価のために保守運営センターに無線で送信する。
【0026】
一方で、ステップ114で、画像データによって示されている損傷が第1の「そのまま使用される」閾値より上でないとの判定が行われた場合、構造物はそのまま使用され(ステップ116)、運航に戻される(図1Bのステップ140)。他方で、ステップ114において、画像データによって示されている損傷が第1の「そのまま使用される」閾値より上であるとの判定が行われた場合、(カメラが装備されたUAVと同じUAV又は別のUAVであり得る)NDIセンサユニットが装備されたUAVは、NDIセンサユニットが構造物の表面上の潜在的に損傷を受けたエリア(本明細書で以下「潜在的な損傷エリア」)の測定範囲内にある位置まで飛行される。例えば、NDIセンサが装備されたUAVは、構造物の表面上に着陸し得、次いで、NDIセンサユニットを使用して、潜在的な損傷エリア内のNDIセンサデータを取得する(ステップ118)。NDIセンサが装備されたUAVに搭載されたコンピュータは、次いで、表面下の損傷を定量化するNDIセンサデータの解析を実行し、結果として得られた定量的なデータを様々な所定の閾値と比較する(ステップ120)。解析及び閾値との比較の結果、検知されたエリアの位置、及び他のデータが、次いで、NDIセンサが装備されたUAVに搭載された非一過性の有形なコンピュータ可読記憶媒体内に記録される(ステップ122)。NDIセンサが装備されたUAVに搭載されたコンピュータは、次いで、NDIセンサデータによって示されている損傷が第2の「そのまま使用される」閾値より上か否かの判定を行う(ステップ124)。代替例として、NDIセンサが装備されたUAVに修理ツールが更に装備されてはいない場合、NDIセンサが装備されたUAVは、解析及び閾値との比較の結果を表すデータ、検知されたエリアの位置を表すデータ、及び他のデータを、評価のために保守運営センターに無線で送信する。
【0027】
一方で、ステップ124で、NDIセンサデータによって示されている損傷が第2の「そのまま使用される」閾値より上でないとの判定が行われた場合、構造物はそのまま使用され(ステップ116)、運航に戻される(図1Bのステップ142)。他方で、ステップ124で、NDIセンサデータによって示されている損傷が第2の「そのまま使用される」閾値より上であるとの判定が行われた場合、NDIセンサが装備されたUAVに搭載されたコンピュータは、NDIセンサデータによって示されている損傷が「遠隔修理」閾値未満であるか否かの判定を行う(ステップ126)。代替例として、NDIセンサが装備されたUAVに修理ツールが更に装備されてはいない場合、保守運営センターが、ステップ126での判定を行うようにプログラムされたコンピュータを有する。
【0028】
ステップ126(図1Aで示されている)の結果に応じて、プロセスは、遠隔若しくはUAVによって可能な修理手順又は人間の介入を必要とする手動の修理手順の何れかに従って進み得る。それらの両方のステップは、図1Bで特定される。一方で、ステップ126で、NDIセンサデータによって示されている損傷が「遠隔修理」閾値より上でないとの判定が行われた場合、(カメラが装備されたUAVと同じUAV又は別のUAVであり得る)修理ツールが装備されたUAVは、修理ツールが修理されるべきエリア内の構造物と接触するように配置される位置まで飛行される。修理ツールが装備されたUAVが静止している間に、損傷エリアは、修理ツールを使用して修理される(図1Bのステップ128)。他方で、ステップ126で、NDIセンサデータによって示されている損傷が「遠隔修理」閾値より上であるとの判定が行われた場合、NDIセンサが装備されたUAVは、構造物が、損傷を受けた構造物のより徹底的な又は複雑な修理のために直接的な人間のアクセスを必要とすることを、保守運営センターに通知するメッセージを無線で送信する(ステップ134)。後者の場合、UAVによって可能な修理は行われない。
【0029】
未だ図1Bを参照すると、ステップ128でのUAVによって可能な修理の完了の後に、(上述のカメラが装備された若しくはNDIセンサが装備されたUAVと同じUAV又は別のUAVであり得る)カメラ又はNDIセンサユニットの何れかが装備されたUAVを使用して、修理された構造物が運航向けに大丈夫であることを検証する検査を実行する(ステップ130)。検査の結果は、検査しているUAVに搭載された非一過性の有形なコンピュータ可読媒体内に記憶され、UAVは、修理の完了を報告するメッセージを保守運営センターに無線で送信する。次いで、修理が有効であるか否かの判定が行われる(ステップ132)。一方で、修理が有効でない場合、修理手順はステップ128に戻る。他方で、修理が有効である場合、修理された構造物は運航に戻される(ステップ140)。
【0030】
逆に、UAVを含まない手段による修理(例えば、手動での修理)が推奨されることを示す通知が発された後で、保守運営センターは、適切に装備された技術者を派遣して、構造物上の損傷エリアの修理を行う(ステップ134)。ステップ134でのUAVを含まない手段による修理が完了した後で、構造物の修理された部分のNDI又は視覚検査が、これもまたUAVを含まない手段によって実行される(ステップ136)。次いで、修理が有効であるか否かの判定が行われる(ステップ138)。一方で、修理が有効でない場合、修理手順はステップ134に戻る。他方で、修理が有効である場合、修理された構造物は運航に戻される(ステップ140)。
【0031】
構造物の表面上の損傷エリアに対する修理(ステップ128)を実行するための装置の様々な実施形態が、以下で幾らか詳細に説明されることとなる。UAVによって運ばれるツール及びツール支持デバイスは、本明細書で「ペイロード」と称され得る。そのような修理ペイロードは、UAVの本体フレームに固定結合若しくは旋回可能に結合され得るか、又はUAV本体フレームに旋回可能に結合されたペイロード支持フレームに固定結合され得る。本明細書で開示される修理ペイロードの幾つかは、本明細書でモジュールと称される。本明細書で使用される際に、「モジュール」という用語は、UAVに取り付けられ得、その修理物(repair matter)を使用して修理機能を実行するように構成された電気的且つ機械的な構成要素のアセンブリを備える、独立して動作可能なユニットを指す。
【0032】
本明細書で開示されるUAVは、好適には、ローターのそれぞれの回転を調整するように構成された搭載型コンピュータシステムと通信する、複数のローターモータコントローラの形態を採るコントローラを含む。コントローラは、標的環境に対するUAVの位置を追跡する3D位置特定システムから受け取った飛行ガイダンスに従って、ローターを制御するように構成(例えば、プログラム)されている。UAVの標的目的地は、UAVの複数の間隔を空けられた(standoff)接触要素が、修理されるべき構造物(本明細書で以下「修理可能構造物」)の表面と接触する位置である。間隔を空けられた接触要素が、修理可能構造物の表面と接触すると、コントローラは、表面取り付けデバイス(例えば、真空吸着デバイス)を起動して、間隔を空けられた接触要素が表面に当接している状態で、UAVをその位置に静止させるように維持する。次いで、修理ツールは、順次配置及び起動されて、それぞれの修理動作を実行する。修理手順を完了したら、UAVは、表面取り付けデバイスを解放し、再びローターの一部による方向転換と速度変更を使用して、表面から離陸する。
【0033】
図2で描かれているUAV2は、遠隔のアクセスが制限された構造物の表面に対して修理機能を実行するための1以上のツールを含むペイロード6を運ぶ。以下で幾らか詳細に説明される幾つかの実施形態によれば、ペイロード6は、複数のツールを備えたマルチツールモジュールである。以下で幾らか詳細に説明される別の一実施形態によれば、ペイロード6は、単一のツールを保持するコレットを含むコレットモジュールである。
【0034】
図2で見られるように、UAV2は、本体フレーム4、本体フレーム4に取り付けられた複数のローターモータ12、及び複数のローターモータ12にそれぞれ動作可能に結合された複数のローター10を含む。更に、UAV2は、ジンバルピボット14によって本体フレーム4に旋回可能に結合されたペイロード支持フレーム8を含む。ペイロード支持フレーム8は、複数(少なくとも3つ)の間隔を空けられた支持部材18を含む。それぞれの間隔を空けられた接触下部16が、各間隔を空けられた支持部材18の遠位端に結合されている。提案される一実施態様では、間隔を空けられた接触下部16が、従順な(例えば弾性)材料から作製されている。間隔を空けられた支持部材18及び間隔を空けられた接触下部16は、ペイロード6を、修理されている表面に対して間隔を空けられた位置に維持する、スタンドオフシステムを形成する。
【0035】
図2で描かれている実施形態によれば、間隔を空けられた下部16は、それぞれのピボット20によって間隔を空けられた支持部材18の遠位端と旋回可能に結合されている。旋回可能な結合は、間隔を空けられた接触下部16が、下部が湾曲した表面上に平坦に横たわるように、それらの方向を調整することを可能にする。図2Aは、航空機の胴体の表面や貯蔵タンクの上面のような表面9を有する標的物体1上に着陸した後の、ペイロードを運ぶUAV2を示している。図2Bは、航空機の主翼や風力タービンブレードのような翼型本体11の表面9上に着陸した後の、同じUAV2を示している。両方のシナリオでは、各間隔を空けられた接触下部16が、当接するエリア内の湾曲した表面9に対して平坦に又は接線方向に平行に再方向付けされることが可能である。
【0036】
図3Aから図3Dは、修理可能構造物の表面9上にペイロード6を輸送及び配置するプロセス中の連続的な段階にある、ペイロード6を運ぶための旋回可能なアーム3(本明細書で以下「アーム3」)を有するUAV2のそれぞれの3次元ビューを表している図である。アーム3は、旋回支持フレーム4aによって支持されているピボット5によってUAV2の本体フレーム4に旋回可能に結合されている。旋回支持フレーム4aは、本体フレーム4に取り付けられるか、又は本体フレーム4と一体的に形成されている。ペイロード6は、結合機構15(図3Dで視認可能)によってアーム3の一端に結合されている。釣り合い重り7が、アーム3の他端に結合されている。ペイロード6と釣り合い重り7とは、それぞれの既知の重量を有する。アーム3を制御して、ペイロード6を表面9の一部分に位置合わせすることは、1以上のパラメータを考慮してアーム3を制御することを含む。具体的には、アーム3の角度位置を制御することが、アームの長さ、支点(ピボット5にある)、釣り合い重り、及びペイロードの重量に基づき得る。これらの要因に基づいてアーム3の角度位置を制御することは、ペイロード6をペイロード6によって接触されるべき表面9の一部分と位置合わせするときに、UAV2が実質的にピッチ又はロールすることを防止し得る。表面9に対するピボット5の位置(位置と方向)は、UAVが表面9の近傍でホバリングする際にUAVの位置を調整することによって、ペイロード6が表面9に着陸する(land on)まで調整され得る。UAV2の本体フレーム4に対するアーム3の角度位置もまた、飛行中に調整され得る。図3Bは、アーム3が概して水平に方向付けられている間に、表面9に向けて飛行しているUAV2を描いている。アーム3の角度を変更することは、旋回支持フレーム4aに取り付けられ且つギアトレイン(図3A図3Dで示されていない)によってアーム3に動作可能に結合されたモータ(図3A図3Dで示されていない)を使用して、又は一端が旋回支持フレーム4aに連結され且つ他端がピボット5から距離を置いたポイントにおいてアームに連結されたリニアアクチュエータ(図3A図3Dで示されていない)を使用して、実現され得る。図3Cは、ペイロード6が修理可能構造物の表面9に対して平坦に横たわっている段階を描いている。図3Dは、図3Cで描かれている状態にある間、ペイロード6がアーム3から結合解除された後で、UAV2が表面9から離れるように飛行している段階を描いている。結合解除されたペイロード6は、強磁性構造物向けの磁気ベースのデバイス(例えば、電気永久磁石)、及び/又は、非強磁性構造物向けの真空ベース、静電ベース、接着剤ベース、若しくは把持ベースのデバイスなどの、複数の表面取り付けデバイス(図3A図3Dで示されていない)によって加えられる取り付け力により、表面9に取り付けられたままであり得る。
【0037】
図2又は図3Aで描かれているペイロードを運ぶUAV2は、非限定的に、航空機、風力タービンブレード、貯蔵タンク、電力線、発電所、電力網、ダム、堤防、競技場、大きな建築物、橋、大きなアンテナ及び望遠鏡、水処理設備、精油所、化学処理工場、高層建築物、並びに電車やモノレールの支持構造に関連するインフラを含む、広い範囲の構造物を修理する用途においても等しくよく適応する。当該システムはまた、特に、製造施設及び倉庫などの大型建築物の内部で使用するのにもよく適している。人間が修理ツールを制御することによって修理されるのが困難、高価、又は非常に危険であり得る仮想的な任意の構造物は、本明細書で説明されるシステムを使用して潜在的に修理され得る。UAV2によって運ばれる修理ペイロードの様々な実施形態が、以下で幾らか詳細に説明されることになる。
【0038】
アクセスが制限される構造物又は標的物体のUAVによって可能な修理のための方法の一実施形態によれば、以下で幾らか詳細に開示されるマルチツールが装備されたUAVは、UAV2が損傷エリアの近傍にあるような位置で、構造物の表面上に着陸するように設計されている。次いで、第1の修理ツールが位置に移動され、起動されて、第1の修理動作を実行する。第1の修理動作が完了すると、第1の修理ツールは離れるように移動し、第2の修理ツールが位置に移動され、起動されて、第2の修理動作を実行する。このプロセスは、(N個の修理動作から構成されるスケジューリングされた手順の)N番目の動作が完了するまで継続し得る(但し、Nは3以上の整数である)。次いで、UAV2は表面から離昇し、ホームベースに戻る。
【0039】
図4は、一実施形態によるマルチツールモジュール60aの上面ビューを表している図である。当該マルチツールモジュール60aは、図2若しくは図3Aで描かれている種類又は異なる設計を有する種類のUAV2によって運ばれるペイロード6であり得る。マルチツールモジュール60aは、回転軸(本明細書で以下「ハブ回転軸」)の周りで回転可能なハブ62、及びハブ62の回転(図4で矢印によって示されている)を駆動するように動作可能に結合されたハブモータ(図4で示されていない)を含む。
【0040】
マルチツールモジュール60aは、ハブ回転軸に対して直角で径方向外向きに延在する複数の直線的なアーム64a~64dによってハブ62に連結された、複数のツールを更に含む。したがって、ツールは、ハブ62及びアーム64a~64dが回転されるときに、ハブ回転軸の周りで回転する。アーム64a~64dは、等しい角度間隔で分散され得る。図4で描かれている実施例では、マルチツールモジュール60aが、4つのアーム64a~64d(0、90、180、及び270度で配置されている)、及びそれぞれのアーム64a~64dの遠位端に取り付けられた4つのツールを含む。4つのツールは、アーム64aに取り付けられた研磨機又は他の除去修理ツール(本明細書で以下、除去修理ツール68)、アーム64bに取り付けられた追加修理ツール70、アーム64cに取り付けられた乾燥ツール72、及びアーム64dに取り付けられた洗浄ツール74を含む。本明細書で使用される際に、「除去修理ツール」という用語は、材料の本体から材料を除去するように構成されたツールを意味し、一方で、「追加修理ツール」という用語は、材料の本体に材料を追加するように構成されたツールを意味する。
【0041】
マルチツールモジュール60aは、覆い頭部76と一体的に形成され得るか又は覆い頭部76に取り付けられ得る、取り付けポイント66を更に含む。取り付けポイント66は、UAV2(図2参照)の飛行中にペイロード支持フレーム8に結合されており、マルチツールモジュール60aが、修理現場に送達され且つ取り付けられ又は接着された後で、UAV2から結合解除され得る。
【0042】
図4Aは、図4で描かれているマルチツールモジュール60aのハブ62(ツールは省略されている)の側面ビューを表している図である。ハブ62は、マルチツールモジュール60aのベース80に回転可能に取り付けられているように示されている。ハブ62は、回転軸(本明細書で以下「ハブ回転軸」)の周りでベース80に対して回転可能である。ハブ62は、ハブ62の回転(図4で矢印によって示されている)を駆動するように動作可能に結合された第1のハブモータ(図4及び図4Aでは見えないが、図7のハブモータ26を参照のこと)を含む。より具体的には、ハブ62が、ベース80に対して回転可能な内側円筒78、及び内側円筒78の最上部を覆う覆い頭部76を含む。覆い頭部76は、図4Aの両矢印で示されているように、内側円筒78の最上部分に対して上下に平行移動可能である。例えば、覆い頭部76は、覆い頭部76の円筒部分と内側円筒78の最上部との間で等しい角度間隔で配置され且つハブ回転軸と平行に配置された複数のリニアスライドによって、内側円筒78と摺動可能に結合され得る。ハブ62は、覆い頭部76の平行移動を駆動するように動作可能に結合された第2のハブモータ(図4及び図4Aでは見えないが、図7のハブモータ26を参照のこと)を更に含む。複数のアーム64a~64dは、覆い頭部76に固定結合されたそれぞれの第1の端部を有し、複数のツールが、複数のアーム64a~64dのそれぞれの遠位(第2の)端部に取り付けられている。
【0043】
覆い頭部76に取り付けられ且つ覆い頭部76から径方向外向きに延在するツールを運ぶアーム64a~64dは、修理の性質によって決定される計画された順序に従って持ち上げられ、回転され、修理エリア上の位置に下げられる。アーム64a~64dは、任意選択的に、覆い頭部76に対してバネ荷重式であり、覆い頭部76がツールが表面に接触する高さまで下げられると、下向きの圧力を印加し得る。アーム64a~64dの取り付け端部における垂直制御は独立していないので、使用されていないツールは、修理されていない位置で構造物のスキン(skin)に少なくとも接触し得る。ツールは各回転中に持ち上げられるので、引っ掻き(scratching)又は他の表面損傷が生じることはないだろう。これが、覆い頭部76の垂直作動の目的である。覆い頭部76の垂直移動の第1の目的が、ツールを表面上で引き摺ることを避けることなので、移動は小さい範囲のみで十分である。
【0044】
ハブモータ26は、コンピュータ制御の下で動作して、第1の選択されたツールを損傷エリアと垂直方向に位置合わせされた位置まで回転させ、次いで、第1の選択されたツールを損傷エリアに近接した位置まで下げることができる。(ハブ62に取り付けられた4つのツールのうちの何れか1つの回転又は平行移動中に、他の3つのツールも調和して回転又は垂直方向に平行移動することを理解されたい。)近接した位置にある間に、第1の選択されたツールは、次いで、第1の修理動作を実行するために起動され得る。第1の修理動作が完了したときに、ハブモータ26は、コンピュータ制御の下で動作し、全てのツールを持ち上げ、次いで、第1の選択されたツールを垂直方向に位置合わせされた位置から離れるように回転させ得る。第1の選択されたツールが、垂直方向に位置合わせされた位置から離れるように回転されている間に、第2の選択されたツールが、垂直方向に位置合わせされた位置に向けて回転される。次いで、第2の選択されたツールが、近接した位置に下げられ、第2の修理動作を実行するために起動される。修理手順は、覆い頭部76及びアーム64a~64dの同様な回転及び垂直方向の平行移動によって連続的に、更なるツールが損傷エリアに適用されることによって完了するまで、継続し得る。
【0045】
1つの典型的な修理動作によれば、第1の除去修理ツール68が、材料を損傷現場から除去するための位置に移動される。次いで、洗浄ツール74が、修理されるエリア上の又は修理されるエリアの周辺の任意の遊離した材料を取り払うように、圧縮されたガスのパルスを導くための位置に移動される。次に、追加修理ツール70が、修正材料(curable material)を損傷エリア上に付けるための位置に移動される。最後に、乾燥ツール72が、修正材料を硬化させるように熱を加える位置に移動される。提案される一実施態様では、除去修理ツール68が研磨機であり、追加修理ツール70が、噴霧器などの修理材料アプリケータである。例えば、除去修理ツール68は、表面を被覆材の追加向けに準備するために、構造物の損傷を受けた表面を研磨又は削るための研磨ヘッドを有する回転シャフト(図面では示されてない)を含み得る。回転シャフトは、回転ツールモータによって回転されるように駆動される。追加修理ツール70は、チューブを通して液体材料を吸い上げ、ノズルから出して、損傷エリア内の構造物の表面上に落とす、ポンプ(図面では示されていない)を含む。ポンプは、ポンプモータが起動されたときに、貯蔵容器から液体を吸い出して、開かれた電気制御弁を通して、チューブを通して、ノズルから出す。乾燥ツール72は、処理の前に表面を乾燥させるため、又は追加修理ツール70によって付けられた修正材料を硬化させるために使用される、熱源を含み得る。洗浄ツール74は、圧力が加えられる容器、電気機械制御弁、及び、修理中のエリア上又は修理中のエリアの周辺の任意の遊離した材料を取り払うように、圧縮されたガスのパルスを導くためのノズルを含み得る。一実施形態によれば、モータ駆動される各ツールは、共通のアンビリカルケーブル(図3A及び図3Bでは示されていない)から広がり出るそれぞれの電線を介して、UAV2に搭載されたバッテリから電力を受け取る。代替的な実施形態では、マルチツールモジュール60aが、2つ、4つ、又はそれより多いツールを含み得る。覆い頭部76の周りに配置される(arrayed)ツールの数に関わらず、ハブ回転軸に垂直な平面上のアームの突出は、等しい角度間隔で分散され得る。
【0046】
図5は、一実施形態による、取り上げ・配置モジュール22の上面ビューを表している図である。当該モジュールは、図2若しくは図3Aで描かれている種類又は異なる設計を有する種類のUAV2によって運ばれるペイロード6であり得る。ツール取り上げ・配置モジュール22は、ツール取り上げ・配置ロボット82、複数のツールステーション88を備えるプラットフォーム84、及びそれぞれのツールステーション88に配置された複数のツールを含む。複数のツールは、除去修理ツール68、追加修理ツール70、乾燥ツール72、及び洗浄ツール74(それらのツールは、上で幾らか詳細に説明された)を含み得る。図5で描かれている状態では、除去修理ツール68が、その割り当てられたツールステーション88から取り外されている。それによって、そのツールステーションが見えている。他のツール70、72、及び74に割り当てられたツールステーションは、未だステーションを占めているツールによって覆われており、図5では見えない。複数のツールステーション88は、ツール取り上げ・配置ロボット82の回転軸を中心とした円形円筒の基準フレーム内で、プラットフォーム84上で角度的に分散されたそれぞれの位置に配置されている。一実施形態によれば、ツール取り上げ・配置ロボット82は、ペイロード支持フレーム8の上側部分に取り付けられ、一方で、プラットフォーム84は、間隔を空けられた支持部材18(図2参照)に取り付けられる。
【0047】
ツール取り上げ・配置ロボット82は、ハブ62、ハブ回転軸の周りでハブ62の回転を駆動するためのハブモータ(ここで、図5では示されていない)、及びハブ62に固定結合された第1の端部とハブ62から距離を置いた第2の(遠位)端部とを有するツール係合アーム86(本明細書で以下「アーム86」)を含む。アーム86の第2の端部は、ツールの移動中にツールを保持するためのツールホルダ(図5では示されていない)を組み込んでいる。プラットフォーム84上の複数のツールステーション88に配置された(stationed)複数のツールは、少なくとも部分的に、ツール取り上げ・配置ロボット82のアーム86の長さの範囲内に配置されている。図5で描かれている状態では、ツール取り上げ・配置モジュール22が、除去修理ツール68を、修理されている構造物の表面上で見つかった異常99に向けて回転させる際に、除去修理ツール68が、ツールホルダによって保持されている。
【0048】
図5Aは、図5で描かれているツール取り上げ・配置ロボット82の側面ビューを表している図である。図4Aを参照しながら以前に説明されたように、ハブ62は、ベース80に対して回転可能な内側円筒78、及び内側円筒78に対して上下に平行移動可能な覆い頭部76を含む。アーム86は、頁から出るような角度位置に配置されている。したがって、図5では、アーム86の端面だけが視認可能である。アーム86の一端は、覆い頭部76に取り付けられ又は覆い頭部76と一体的に形成されている。それによって、アーム86は、覆い頭部76が回転し平行移動する際に、回転し平行移動する。アーム86は、360度回転可能であり得、最も高い位置と最も低い位置との間で垂直方向に変位可能であり得る。アーム86は、図5Aでは最も高い位置で示されており、垂直方向の変位が両矢印で示されている。
【0049】
図5Bは、アーム86が、最も低い位置で、プラットフォーム84上のツールステーションに載置された(seated)ツール24と係合した状態の、ツール取り上げ・配置ロボット82の側面ビューを表している図である。ツール24は、図5で描かれているツールのうちの何れか1つ又は何らかの他のツールであってよい。図5Bで描かれているツールの係合状態は、ツール取り上げ・配置ロボット82が、ツール24を、割り当てられたツールステーション88から取り上げ又は割り当てられたツールステーション88に降ろすときに生じ得る。
【0050】
図5Bで描かれている実施形態によれば、ツール取り上げ・配置ロボット82のアーム86は、電磁石又は電気永久磁石(本明細書で以下、集合的に「電磁石90」と称される)の形態を採るツールホルダを組み込んでいる。更に、ツール24は、アーム86がツール24と接触するように下げられたときに、電磁石90に磁気結合されるように配置された永久磁石92を含む。プラットフォーム84上の各ツール24は、永久磁石92を組み込んでいる。磁気結合力は、電磁石90に供給される電力を変更することによって制御され得る。
【0051】
電気永久磁石は、(永久磁石のように)静的な電力消費がゼロでありながら、電磁石のようにスイッチを入れたり切ったりできる固体デバイスである。電力は、状態をオンとオフとの何れかに切り替えるために短い瞬間だけ印加されることが必要である。それによって、有利なことに全体の電力使用が低い用途でより有用になる。電気永久磁石の使用はまた、電力が失われても結合が未だ有効であるという利点も有する。電気永久磁石のアプローチは電源を必要とするが、電気永久磁石は、磁場状態を切り替えるために短い瞬間だけ電力供給されることが必要であり得る。代替的な実施形態によれば、ツール取り上げ・配置ロボット82のツールホルダは、真空把持部又は機械的な挟持部であってよい。これらの場合、ツール24は、ツール取り上げ・配置ロボット82のツールホルダと相互作用するための専用手段を必要としない。一実施形態によれば、ツールは、ツール取り上げ・配置ロボット82を介して、UAV2に搭載されたバッテリパックから電力を受け取る。この構成は、ツールがより軽い重量を有することを可能にする。代替的な一実施形態によれば、ツールは、個別のバッテリパックが内蔵されていてもよい。
【0052】
図6A及び図6Bは、図5A及び図5Bで描かれている種類のツール取り上げ・配置ロボット82を有するUAVを使用して、構造物又は物体の損傷を受けた部分を検査及び修理するための方法200のステップを特定するフローチャートのそれぞれの部分である。図6Aを参照すると、方法200は、一実施形態によれば、構造物の表面に対して修理手順を実行するためのN個のツール(ここで、Nは2以上の正の整数である)を選択すること(ステップ202)、及び、次いで、地上基地においてUAVに結合されるプラットフォーム上のそれぞれのツールステーションに、選択されたN個のツールを配置すること(ステップ204)を含む。次いで、UAVは、地上基地から離陸し(ステップ206)、修理されるべき構造物(本明細書で「修理可能構造物」とも称される)に向けて飛行する(ステップ208)。その場合、UAVには、ツール取り上げ・配置ロボット、プラットフォーム、及びN個のツールが、ペイロードとして備え付けられている。UAVは、構造物の表面上に着陸する(ステップ210)。UAVが、構造物の表面上に駐機している間に、ツール取り上げ・配置ロボットのアームは、使用されるべき第1のツールのツールステーションに重なる位置に移動される(ステップ212)。次いで、アームは、第1のツールと接触するように下げられ(ステップ214)、ツールホルダが起動され(ステップ216)、それによって、第1のツールがアームに結合される。次いで、アームは持ち上げられ、回転され、下げられて、第1のツールをそのツールステーションから表面上の損傷現場に接触するか又は近接する位置まで移送する(ステップ218)。第1のツールを使用して、修理が必要な表面のエリアに対して第1の修理動作を実行する(ステップ220)。第1の修理動作が完了すると、アームは持ち上げられ、回転され、下げられて、第1のツールを損傷現場からそのツールステーションへ戻すように移送する(ステップ222)。次いで、ツール取り上げ・配置ロボットのアームは、使用されるべき次のツールのツールステーションに重なる位置に移動される(ステップ224)。アームは、次のツールと接触するように下げられ(ステップ226)、次いで、ツールホルダが起動され(ステップ228)、それによって、次のツールをアームに結合する。次いで、アームは持ち上げられ、回転され、下げられて、次のツールをそのツールステーションから損傷現場に接触するか又は近接する位置まで移送する(ステップ230)。次のツールを使用して、修理されているエリアに対して次の修理動作を実行する(ステップ232)。次の修理動作が完了すると、アームは持ち上げられ、回転され、下げられて、次のツールを損傷現場からそのツールステーションに戻すように移送する(ステップ234)。ロボットコントローラは、次いで、計画された修理手順の最後の動作が実行されたか否かを判定する(ステップ236)。ステップ236で、最後の修理動作が完了していないとの判定が行われた場合、プロセスはステップ224に戻る。ステップ236で、最後の修理動作が完了したとの判定が行われた場合、UAVは、修理された構造物から離陸し(ステップ238)、次いで、地上基地に飛行して戻る(ステップ240)。
【0053】
図7は、ハブ62の回転の制御を介して計画された順序で個別に配備可能な複数のツール24が装備されたUAV2を使用して構造物を検査及び修理するためのシステムの幾つかの構成要素を特定するブロック図である。図7で描かれている実施形態によれば、UAV2には、ビデオカメラ30及び非破壊検査センサユニット42(本明細書で以下「NDIセンサユニット42」)も装備されている。UAV2は、ローター10、ツール24の任意の回転可能な構成要素、及びハブ62の内側円筒78の回転を制御し、内側円筒78に対する覆い頭部76の平行移動を更に制御する、制御システム32を有する。制御システム32は、ビデオカメラ30、NDIセンサユニット42、及びツール24の他の電気的に動作可能な構成要素(ソレノイドなど)の動作も制御する。
【0054】
より具体的には、制御システム32が、複数のモータコントローラ34と通信可能に結合された、コンピュータシステム36を含む。モータコントローラ34は、ローターモータ12(ローター10の回転を駆動する)、ハブモータ26(内側円筒78の回転及び覆い頭部76の平行移動を駆動する)、及びツールモータ28(ツール24の回転又は他の動作を駆動する)の回転速度及び回転方向を制御するようにそれぞれ構成されている。これらのモータの動作が、コンピュータシステム36によって調整されて、修理動作を特定の計画された順序で実行する。提案される一実施態様では、モータコントローラ34が、電気モータの速度、方向、及び制動を変更するように構成された電気速度制御回路であり、モータはブラシレス電気モータである。そのような電気速度制御回路は、高周波数、高分解能、3相AC電力をモータに提供する。
【0055】
ビデオカメラ30が、タレット(turret)(図7で示されていない)に取り付けられた場合、制御システム32は、カメラタレットモータ(これもまた図7で示されていない)の回転速度及び回転方向を制御するためのモータコントローラも含む。そのようなカメラタレットは、UAV2の本体フレーム4に取り付けられたタレットベースと回転可能に結合され得る。これによって、ビデオカメラ30が、遠隔検査/修理作業の種々の段階中のそれぞれの画像を捕捉することが可能になる。画像は、保守運営センターに無線で送信され、それによって、保守人員がNDI及び修理動作中に構造物上の損傷エリアを観察することを可能にする。
【0056】
図7で部分的に描かれている実施形態では、ビデオカメラ30及びNDIセンサユニット42が、制御ステーション40によって送信される無線周波数コマンドに応じて、コンピュータシステム36によって制御される。それらの無線周波数コマンドは、地上のトランシーバ44によって送信され、UAV2に搭載されたトランシーバ38によって受信され、トランシーバ38によって適正なデジタル形式(digital format)に変換される。結果として得られるデジタルコマンドは、次いで、コンピュータシステム36に転送される。制御ステーション40は、UAV2及びUAV2に搭載されたNDIセンサユニット42の動作を制御するようにプログラミングによって構成された汎用コンピュータシステムを備え得る。例えば、UAV2の飛行は、制御ステーション40におけるコンピュータシステムのジョイスティック、キーボード、マウス、タッチパッド、若しくはタッチスクリーン、又は他のユーザインターフェースハードウェア(例えば、ゲームパッド若しくはペンダント)を使用して制御され得る。更に、制御ステーション40におけるコンピュータシステムは、検査動作中にUAV2から受信したデータを処理するようにプログラミングによって構成されている。特に、制御ステーション40のコンピュータシステムは、ビデオカメラ30によって取得された画像を表示するディスプレイモニタ(図7で示されていない)を制御するようにソフトウェアによって構成されたディスプレイプロセッサを備え得る。
【0057】
以前に説明されたように、非破壊評価の完了後に、UAVによって可能な修理が要求されるかどうかの判定(診断)が行われ得る。そのイベントでは、計画された修理に含まれる個別の動作を実行するように構成されたツールの集合体(ensemble)を装備したUAV2が、構造物又は物体の表面上の損傷現場に飛行される。UAVのオペレータは、UAV2を標的領域上に修理ツール24を配置するように誘導する。修理ツールが装備されたUAVは、強磁性構造物向けの磁気ベースのデバイス(例えば、電気永久磁石)、及び/又は、非強磁性構造物向けの真空ベース、静電ベース、接着剤ベース、若しくは把持ベースのデバイスなどの、表面取り付けデバイス(図7で示されていない)も有し得る。表面取り付けデバイスも、コンピュータシステム36の制御の下で動作する。コンピュータシステムは、UAV2とマルチツールモジュール60aとにそれぞれ取り付けられ、電気ケーブルを介して相互に通信可能に結合された、個別のコンピュータを含み得る。
【0058】
図8は、ベース80に対して回転可能な内側円筒78、及び内側円筒78に対して平行移動可能なツールを運ぶ覆い頭部76を含む一実施形態による、モータ駆動されるハブ62の幾つかの構成要素を特定するブロック図である。内側円筒78は、ベアリング79によってベース80と回転可能に結合される。覆い頭部76は、リニアスライド77によって内側円筒78と平行移動可能に結合される。更に、ハブ62は、リフト駆動モータ26及び回転駆動モータ26bを含む。内側円筒78は、回転ギアトレイン48によって回転駆動モータ26bと動作可能に結合される。覆い頭部76は、リフト機構46によってリフト駆動モータ26aと動作可能に結合される。リフト機構46は、ラック及びピニオンギア(rack and pinion gear)、送りネジ及びナット(lead screw and nut)、又は覆い頭部76を持ち上げるための他の機構を含み得る。それによって、連結されたツールが、ハブの回転中に修理されている構造物の表面とは接触せず、それによって、引っかくこと(scratch)がない。選択されたツールが、修理されるべき損傷エリアと垂直方向に位置合わせされたときに、リフト駆動モータ26aは逆にされ、リフト機構46がツールを修理されている表面と接触するように下げることをもたらす。
【0059】
図9は、真空吸着システムを使用して構造物の表面上の安定した位置にマルチツールモジュールを保持する(一時的に取り付ける)ためのシステムの幾つかの構成要素を特定するブロック図である。真空吸着システムは、複数の吸引カップ50、真空マニフォールドアセンブリ52、電気機械的な(例えば、ソレノイド作動式)制御弁54(本明細書で以下「制御弁54」)、及び真空ポンプ56を含む。真空ポンプ56は、制御弁54の第1の部分と流体連通し、真空マニフォールドアセンブリ52は、制御弁54の第2の部分と流体連通している。複数の吸引カップ50は、真空マニフォールドアセンブリ52と流体連通している。「マニフォールド」という用語は、本明細書で、そこを通して流体が分配又は収集され得るところの幾つかの出口を有するチャンバ又はダクトの意味で使用される。これらのマニフォールドは、吸引カップ50内のチャネルを、真空ポンプ56及び制御弁54を備える真空システムに連結する。代替的な実施形態によれば、各個別の吸引カップ50は、それぞれの真空モータ(図示せず)を有する。
【0060】
コンピュータシステム36(図7を参照しながら以前に説明された)は、真空ポンプ56を真空マニフォールドアセンブリ52に選択的に連結する制御弁54の状態を制御するように更に構成されている。真空マニフォールドアセンブリ52は、それぞれの吸引カップ50に流体連通した複数の真空マニフォールドを備える。コンピュータシステム36は、制御弁54を開かせる制御信号を送信するようにプログラムされ得る。弁が開いた状態では、コンピュータシステム36が、真空ポンプ56を起動するための制御信号も送信する。真空ポンプ56は、真空圧を真空マニフォールドアセンブリ52に印加する。それは、吸引カップ50が、修理可能構造物の表面に真空吸着することをもたらす。真空ポンプ56は、一定の真空圧を維持することが必要である。提案される一実施態様によれば、真空ポンプ56は、連続的には動作しない。代わりに、真空ポンプ56は、連続的に吸引カップ50下の真空圧をモニタし、真空圧が指定された閾値未満になったときに何時でも起動する。システムは、大気圧よりも約1から2psi低い圧力差を維持しようと試みる。
【0061】
図4及び図4Aを参照しながら上述された実施形態は、内側円筒78に沿って平行移動可能な覆い頭部76に固定結合されたカンチレバーアームの遠位端に取り付けられたツールを有する。代替的な実施形態によれば、覆い頭部76は、内側円筒78に固定結合され得、ツールを上げ下げすることを可能にするために、複数の回転可能なアームが覆い頭部76に旋回可能に結合され得る。
【0062】
図10A及び図10Bは、代替的な一実施形態による、回転可能なアーム65を有するマルチツールモジュール60bの側面ビューを表している図である。当該モジュールは、図2若しくは図3Aで描かれている種類又は異なる設計を有する種類のUAVによって運ばれるペイロードであり得る。マルチツールモジュールは、2つの状態で示されている。回転可能なアーム65が延伸した状態(図10A参照)と、回転可能なアーム65が後退した状態(図10B参照)とである。図10A及び図10Bで描かれている実施例では、2つだけの回転可能なアーム65が示されており、一方は除去修理ツール68を運び、他方は追加修理ツール70を運ぶ。しかし、マルチツールモジュール60bは、3つ以上の回転可能なアーム65を有し得る。
【0063】
マルチツールモジュール60bは、内側円筒78に沿って平行移動可能な中央輪(center ring)81を更に含む。中央輪81は、それぞれのリンク61によって回転可能なアーム65に連結されている。各リンク61は、中央輪81のそれぞれの取っ手(lug)63に旋回可能に結合された一端、及びそれぞれの回転可能なアーム65に旋回可能に結合された他端を有する。マルチツールモジュール60bは、起動されたときに、中央輪81を上向きに移動させる(その移動は図10Bで上向きの矢印によって示されている)、持ち上げ機構(内側円筒78の内側に配置され、図10A及び図10Bでは見えない)を更に含む。中央輪81が、図10Aで描かれている最も低い位置から図10Bで描かれているより高い位置へ上がるときに、持ち上げ機構によって生成される持ち上げ力が、リンク61によって回転可能なアーム65に伝達される。結果として生じる回転可能なアーム65の上向きの回転は、ツールを表面から離れるように持ち上げる。図10Bで見られるようにツールが持ち上げられている間に、内側円筒78は、選択されたツールが損傷エリアと垂直方向に適正に位置合わせされるまで回転され得る。次いで、ツールは、図10Aで見られる最も低い位置に戻されるように、中央輪81を下向きに平行移動することによって下げられ得る。
【0064】
全ての回転可能なアーム65が中央輪81に結合されているので、全てのアームは、中央輪81が移動するときに調和して移動する。他の実施形態によれば、回転可能なアーム65は、独立して上げ下げされ得る。図11は、それぞれのリニアアクチュエータ67によって独立して後退(上昇)され得る、回転可能なアーム65を有するマルチツールモジュール60cの側面ビューを表している図である。提案される一実施態様によれば、各リニアアクチュエータ67は、内側円筒78のそれぞれの取っ手63に旋回可能に結合された円筒、及びそれぞれの回転可能なアーム65に旋回可能に結合されたピストンロッド端部を有する。各回転可能なアーム65は、結合されたリニアアクチュエータ67が延伸したときに、上向きにスウィング(swing)する。
【0065】
更なる一実施形態によれば、UAV2には、複数のツールを同時に保持する代わりに複数の交換可能なツールのうちの単一のツールのみを保持するように設計されたコレットモジュールが設けられ得る。図12は、構造物の表面上の異常99に向けて運ばれている間に、コレットモジュール58によって保持されている除去修理ツール68(例えば、研磨ツール)の上面ビューを表している図である。他のツール70、72、及び74(以前に説明された)は、地上のそれぞれのツールステーションに配置されている。コレットモジュール58は、図2若しくは図3Aで描かれている種類又は異なる設計を有する種類のUAV2によって運ばれるペイロード6であり得る。図12Aは、図12で描かれている除去修理ツール68に係合しているコレットモジュール58の側面図である。
【0066】
図12で示されているように、コレットモジュール58は、ペイロード支持フレーム8に取り付けるためのコレット取り付けプレート98とコレット96とを含む。各ツールは、コレット96によって把持又は挟持され得る取り付けポスト94を有する。コレット96が開いている間に、UAV2は、ツールの取り付けポスト94に重なり且つ位置合わせされた位置まで飛行され得、次いで、UAV2は、開いたコレット96が取り付けポスト94を取り囲むまで下降する。次いで、コレット96は、取り付けポスト94の周りの環(collar)を形成し、ツールを保持するために挟持力をかけるように閉じられる。コレット96は、それぞれ一方向又は他方向へのモータ(図12及び図12Aで示されていない)の出力軸の回転に応じて開閉する。取り付けポスト94とコレット96とは、コレット96が取り付けポスト94を保持することを可能にする、相互に連動する溝と突起とを有し得る。
【0067】
図13A及び図13Bは、図12Aで描かれているコレット96有するUAV2を使用して、構造物又は物体の損傷を受けた部分を検査及び修理するための一実施形態による方法150のステップを特定するフローチャートのそれぞれの部分である。図13Aを参照すると、最初に第1及び第2のツールが、地上基地に保存される(ステップ152)。第1及び第2のツールのそれぞれは、それぞれの取り付けポスト94を備える。修理手順を実行するように任命されたUAVが、第1の位置まで飛行される。そこで、コレット96が、第1のツールの取り付けポスト94と位置合わせされる(ステップ154)。次いで、コレット96は、第1のツールの取り付けポスト94を挟持するように閉じられる(ステップ156)。次いで、UAVは、第1のツールをペイロード6として、地上基地から離陸する(ステップ158)。次いで、UAVは、修理可能構造物に向けて飛行し(ステップ160)、構造物の表面上に着陸する(ステップ162)。UAVが構造物の表面上に駐機している間に、第1のツールを使用して、修理が必要な表面上のエリアに対して第1の修理動作を実行する(ステップ164)。第1の修理動作が完了すると、UAVは、第1のツールを未だ運びながら、修理可能構造物から離陸し(ステップ166)、次いで、地上基地の第1の位置まで戻るように飛行する(ステップ168)。第1の位置にある間に、コレット96は、第1のツールの取り付けポスト94を解放するように開かれる(ステップ170)。
【0068】
次に、図13Bを参照すると、第1のツールをその保存スポットに戻した後で、UAVは第2の位置まで飛行する。そこで、コレット96は、第2のツールの取り付けポスト94に位置合わせされる(ステップ172)。コレット96は、次いで、第2のツールの取り付けポスト94を挟持するように閉じられる(ステップ174)。UAVは、次いで、地上基地から再び離陸し(ステップ176)、修理可能構造物に向けて飛行し(ステップ178)、前と同じ位置にある構造物の表面上に着陸する(ステップ180)。UAVが構造物の表面上に駐機している間に、第2のツールを使用して、第1の修理動作が実行されたのと同じエリアに対して第2の修理動作を実行する(ステップ182)。第2の修理動作が完了すると、UAVは、第2のツールをペイロード6として、修理可能構造物から離陸し(ステップ184)、次いで、地上基地の第2の位置まで戻るように飛行する(ステップ186)。第2の位置にある間に、コレット96は、第2のツールの取り付けポスト94を解放するように開かれる(ステップ188)。第2のツールをその貯蔵スポットに戻した後で、UAVは、その次の目的地に進む。
【0069】
幾つかの実施形態によれば、本明細書で提案されるUAVによって可能な修理システムは、輸送体と修理ツールとを位置特定するための非搭載型追跡システムも含む。そのシステムは、地上の前述した制御ステーション40と通信可能に結合され得る。より具体的には、非搭載型追跡システムが、標的物体に対するUAVのナビゲーション及び制御のための、及び、標的物体の基準フレーム内の検査又は修理ツールを正確に位置特定し、標的物体の3Dモデルを用いて位置データを相互に関係付けるための、三次元(3D)位置特定情報を提供するように構成されている。UAVベースの修理のための正確な位置特定追跡は、UAVが、修理モジュールを適正な位置に移動させ、その位置に関連付けられた3D座標データを記録することを可能にし得る。この3D情報は、修理を記録するために重要であり、ならびに以前に実行されたUAVによって可能な検査の結果を考慮することを可能にする。様々な技法のうちの何れか1つを使用して、活動の3D位置を記録するために必要な情報を提供することができる。
【0070】
一実施形態によれば、UAVは、予めプログラムされた飛行計画に従ってUAVをナビゲートすることを可能にする、搭載型追跡システムを含む。UAVによって遵守される予めプログラムされた飛行計画は、UAVが、標的物体の一部分の周りの飛行経路を辿ることを可能にする。システムは、UAVとの無線通信のための手段を有する非搭載型追跡システムを更に含む。非搭載型追跡システムは、コマンドを送信するか、又は残っている燃料や残っているバッテリ電力などのUAVの様々な動作性能パラメータをモニタするように構成されている。非搭載型追跡システムは、取得された位置特定データに基づいてUAVの飛行経路を変更するためのコマンドを生成するようにも使用され得る。
【0071】
一実施形態によれば、3D位置特定は、光学標的(optical target)をUAV2に配置し、次いで、UAV2の位置を計算するためにモーションキャプチャフィードバック制御を使用することによって実現され得る。モーションキャプチャシステムを使用する閉ループフィードバック制御は、米国特許第7,643,893号で開示されており、同特許の開示は、全体として参照により本願に援用される。一実施形態によれば、モーションキャプチャシステムは、修理ミッション中にUAV2の1以上の運動特性を測定するように構成されている。プロセッサが、モーションキャプチャシステムから測定された運動特性を受信し、測定された運動特性に基づいて制御信号を特定する。位置制御システムが、所望の運動状態を維持又は取得するために、制御信号を受信し、UAV2の少なくとも1つの運動特性を連続的に調整する。UAV2には、受動的逆反射マーカー(passive retro-reflective marker)の形態を採る光学標的が装備され得る。モーションキャプチャシステム、プロセッサ、及び位置制御システムは、完全な閉ループフィードバック制御システムを備える。
【0072】
代替的な一実施形態によれば、UAV2の位置特定追跡は、標的物体上又は標的物体の近くに取り付けられた局所的位置決めシステム(図面で示されていない)を使用して実施され得る。局所的位置決めシステムは、地上から制御され得、3つ以上の光学標的を有するUAV2の位置を追跡するために使用され得る。典型的な局所的位置決めシステムは、パンチルト機構、パンチルト機構に取り付けられたカメラ、及び標的への照準方向ベクトルに沿ってレーザー光線を発射するためのレーザー測距器(laser range meter)を備える。パンチルト機構は、パンユニット及びチルトユニットを備える。カメラは、レーザー測距器が取り付けられているハウジングを備える。カメラは、静止画像を取得するためのスチルカメラ(カラー及び/若しくは白黒)、カラー及び/若しくは白黒映像を取得するためのビデオカメラ、又は標的の赤外線静止画像若しくは赤外線映像を取得するための赤外線カメラを備え得る。局所的位置決めシステムは、標的物体の局所的な座標系における光学標的の座標を測定するように構成されたコンピュータシステムを更に備える。特に、このコンピュータシステムは、パンチルト機構の動作を制御して、カメラを垂直方位(パン)軸と水平迎角(チルト)軸との周りで選択された角度に回転方向に調整するようにプログラムされている。コンピュータシステムは、制御ステーション40への送信用に、カメラの動作を制御し、カメラから画像データを受け取るようにもプログラムされている。コンピュータシステムは、制御ステーション40への送信用に、レーザー測距器の動作を制御し、レーザー測距器から測距データを受け取るように更にプログラムされている。局所的位置決めシステムは、制御ステーションとの双方向無線電磁波通信を可能にするための無線トランシーバ及びアンテナを更に備え得る。局所的位置決めシステムは、好適には、米国特許第7,859,655号、第9,285,296号、及び第8,447,805号、並びに米国特許出願公開第2018/0120196号で説明される機能を有する。それらの開示は、全体が参照により本願に援用される。局所的位置決めシステムのビデオカメラによって取得された画像データは、米国特許第8,744,133号で開示される画像処理を受ける。
【0073】
代替的な3D位置特定アプローチは、UAVが配置する2つ以上の視認可能な標的(インクマークなど)を、修理エリアに隣接して配置することを含む。マークは、各連続的な修理動作中にUAVを修理に対して正確に再方向付けするために、UAVによって使用され得る。自動化されたビデオ位置特定機器を採用して、使用可能なマークを使用してUAVを修理エリアに再方向付けし得る。
【0074】
ツールが装備されたUAVを使用して構造物又は物体を修理するための方法が、様々な実施形態を参照しながら説明されてきたが、本明細書の教示の範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能であること、及びその要素を同等物に置換し得ることが当業者には理解されよう。加えて、その範囲から逸脱することなく、多数の修正を行って、本明細書の教示を特定の状況に適合させることができる。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に開示された特定の実施形態に限定されないことが意図されている。
【0075】
本明細書で使用される際に、「コンピュータシステム」という用語は、少なくとも1つのコンピュータ又はプロセッサを有するシステムと、ネットワーク又はバスを介して通信する複数のコンピュータ又はプロセッサを有し得るシステムを含むように、広く解釈されるべきである。前の一文で使われている用語「コンピュータ」及び「プロセッサ」は、共に処理装置(例えば中央処理装置)及び、処理装置が読み出すことができるプログラムを記憶するある形態のメモリ(即ちコンピュータ可読媒体)を有する装置を意味する。
【0076】
更に、本開示は以下の条項による実施形態を含む。
条項1.
無人航空輸送体(2)と前記無人航空輸送体に結合されたマルチツールモジュール(60a、60b)とを備える装置であって、
前記無人航空輸送体は、本体フレーム(4)、前記本体フレームに取り付けられた複数のローターモータ(12)、及び前記複数のローターモータのそれぞれのローターモータに動作可能に結合された複数のローター(10)を備え、
前記マルチツールモジュールは、回転軸の周りで回転可能なハブ(62)、前記ハブに結合されたそれぞれの第1の端部を有する複数のアーム(64a~64d、65)、前記複数のアームのそれぞれのアームのそれぞれの第2の端部に取り付けられた複数のツール(68、70、72、74)、及び前記ハブの回転を駆動するように動作可能に結合された第1のモータ(26a)を備える、装置。
条項2.
前記マルチツールモジュールは、ベース(80)を更に備え、
前記ハブは、前記ベースに対して回転可能な内側円筒(78)を備える、条項1に記載の装置。
条項3.
前記ハブは、前記内側円筒の最上部を覆う覆い頭部(76)を更に備える、条項2に記載の装置。
条項4.
前記覆い頭部は、前記内側円筒の前記最上部に対して平行移動可能であり、
前記複数のアーム(64a~64d)は、前記覆い頭部に固定結合されている、条項3に記載の装置。
条項5.
前記複数のアーム(65)は、前記覆い頭部に回転可能に結合されている、条項3又は4に記載の装置。
条項6.
前記マルチツールモジュールは、
前記内側円筒に沿って平行移動可能な輪(81)、及び
複数のリンク(61)であって、各リンクが前記輪に回転可能に結合された一端と前記複数のアームのそれぞれのアームに回転可能に結合された他端とを有する、複数のリンクを更に備える、条項5に記載の装置。
条項7.
前記マルチツールモジュールは、複数のリニアアクチュエータ(67)を更に備え、各リニアアクチュエータは、前記複数のアームのそれぞれのアームに回転可能に結合された一端を有する、条項5又は6に記載の装置。
条項8.
前記無人航空輸送体は、前記本体フレームに旋回可能に結合されたペイロード支持フレーム(8)を更に備え、
前記マルチツールモジュールは、前記ペイロード支持フレームに取り付けられ、
前記ペイロード支持フレームは、複数の表面取り付けデバイス(16)を備える、条項1から7のいずれか一項に記載の装置。
条項9.
前記複数のツールは、除去修理ツール(68)及び追加修理ツール(70)を含む、条項1から8のいずれか一項に記載の装置。
条項10.
無人航空輸送体(2)と前記無人航空輸送体に結合されたツール取り上げ・配置モジュール(22)とを備える装置であって、
前記無人航空輸送体は、本体フレーム(4)、前記本体フレームに取り付けられた複数のローターモータ(12)、及び前記複数のローターモータのそれぞれのローターモータに動作可能に結合された複数のローター(10)を備え、
前記ツール取り上げ・配置モジュールは、複数のツールステーション(88)を備えたプラットフォーム(84)、前記プラットフォームに取り付けられたツール取り上げ・配置ロボット(82)、及びそれぞれのツールステーションに配置された複数のツール(68、70、72、74)を備え、
前記ツール取り上げ・配置ロボットは、ベース(80)、前記ベースの周りで回転可能なハブ(62)、前記ハブに固定結合された第1の端部及び前記ハブから距離を置いた第2の端部を有するアーム(86)、並びに前記アームの前記第2の端部に取り付けられたツールホルダ(90)を備える、装置。
条項11.
前記ハブは、前記ベースに対して回転可能な内側円筒(78)、及び、前記内側円筒と縦に並んで回転可能であり、前記内側円筒に対して平行移動可能な覆い頭部(76)を備え、
前記アームの前記第1の端部は、前記覆い頭部に固定結合され、前記覆い頭部から径方向外向きに延在する、条項10に記載の装置。
条項12.
前記ツール取り上げ・配置ロボットは、
前記内側円筒の回転を駆動するように動作可能に結合された第1のモータ(26a)、及び
前記覆い頭部の平行移動を駆動するように動作可能に結合された第2のモータ(26b)を更に備える。
条項13.
前記複数のツールステーションは、前記ツール取り上げ・配置ロボットの回転軸を中心とした円形円筒の基準フレームの内で、角度的に分散されたそれぞれの位置に配置され、前記複数のツールステーションに配置された前記複数のツールは、少なくとも部分的に、前記ツール取り上げ・配置ロボットの前記アームの長さの範囲内に配置されている、条項11又は12に記載の装置。
条項14.
前記ツールホルダは、電磁石又は電気永久磁石(90)を備え、
前記複数のツールのそれぞれは、前記アームが前記ツールと接触したときに、それぞれの永久磁石(92)が前記電磁石又は前記電気永久磁石と磁気的に結合される位置で、前記ツール上に配置された前記永久磁石を備える、条項13に記載の装置。
条項15.
前記ツールホルダは、真空把持部を備える、条項10から14のいずれか一項に記載の装置。
条項16.
前記複数のツールは、除去修理ツール(68)及び追加修理ツール(70)を含む、条項10から15のいずれか一項に記載の装置。
条項17.
無人航空輸送体(2)と前記無人航空輸送体に結合されたコレットモジュール(58)とを備える装置であって、
前記無人航空輸送体は、本体フレーム(4)、前記本体フレームに取り付けられた複数のローターモータ(12)、及び前記複数のローターモータのそれぞれのローターモータに動作可能に結合された複数のローター(10)を備え、
前記コレットモジュールは、挟持状態と非挟持状態との間で遷移するように構成されたコレット(96)を備える、装置。
条項18.
挟持状態にある前記コレットによって挟持される取り付けポスト(94)を備えたツールを更に備え、前記ツールは、除去修理ツール(68)、追加修理ツール(70)、洗浄ツール(74)、及び乾燥ツール(72)を含むツールの群から選択される、条項17に記載の装置。
条項19.
コレットモジュール(58)が装備された無人航空輸送体(2)を使用して構造物を修理するための方法であって、
第1のツール(68、70、72、74)と第2のツール(68、70、72、74)とであって、それぞれがそれぞれの取り付けポスト(94)を備える第1のツールと第2のツールとを地上基地(40)に保存すること、
前記無人航空輸送体を、前記コレットモジュールのコレット(96)が前記第1のツールの前記取り付けポストに位置合わせされる、第1の位置に飛行させること、
前記コレットを閉じて、前記第1のツールの前記取り付けポストを挟持すること、
前記無人航空輸送体に従属する前記第1のツールを用いて修理されるべき構造物に向けて、前記無人航空輸送体を飛行させること、
前記無人航空輸送体を前記構造物の表面(9)上に着陸させること、
前記無人航空輸送体が前記構造物の前記表面上に駐機している間に、前記第1のツールを使用して、前記構造物の前記表面上のエリアに対して第1の修理動作を実行することを含む、方法。
条項20.
非搭載型追跡システムを使用して、前記構造物の基準フレーム内にある前記第1のツールの位置を特定することを更に含む、条項19又は21に記載の方法。
条項21.
前記無人航空輸送体を前記第1の位置に飛行させること、
前記コレットを開いて、前記第1のツールの前記取り付けポストを解放すること、
前記無人航空輸送体を、前記コレットが前記第2のツールの前記取り付けポストに位置合わせされる、第2の位置に飛行させること、
前記コレットを閉じて、前記第2のツールの前記取り付けポストを挟持すること、
前記無人航空輸送体に従属する前記第2のツールを有する前記無人航空輸送体を、前記構造物に向けて飛行させること、
前記無人航空輸送体を前記構造物の前記表面上に着陸させること、並びに
前記無人航空輸送体が前記構造物の前記表面上に駐機している間に、前記第2のツールを使用して、前記構造物の前記表面上の前記エリアに対して第2の修理動作を実行することを更に含む、条項19に記載の方法。
条項22.
前記無人航空輸送体は、非搭載型追跡システムから取得された位置及び方向データを使用して更新される所定の飛行経路を使用して移動するように動作可能である、条項21に記載の方法。
図1A
図1B
図2
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図4A
図5
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図12A
図13A
図13B