(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-14
(45)【発行日】2025-04-22
(54)【発明の名称】モニタ方法、モニタ、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20250415BHJP
G16H 10/00 20180101ALI20250415BHJP
【FI】
A61B5/00 L
G16H10/00
(21)【出願番号】P 2021025949
(22)【出願日】2021-02-22
【審査請求日】2023-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】宗島 理恵
(72)【発明者】
【氏名】萩原 弘子
【審査官】村田 泰利
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-205710(JP,A)
【文献】特表2012-519547(JP,A)
【文献】特開2011-078562(JP,A)
【文献】特開2020-185365(JP,A)
【文献】特開2011-098189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/01
G06Q 50/22
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体情報の異常を報知するバイタルアラーム、およびテクニカルアラームの少なくとも1つのアラームが発生していたアラーム発生時間または前記アラーム発生時間の割合を算出する算出段階と、
算出された前記アラーム発生時間または前記割合を出力する出力段階と、を有し、
前記算出段階は、前記アラームの所定の属性ごとに前記アラーム発生時間または前記割合を算出し、
前記出力段階は、前記アラーム発生時間または前記割合を、前記属性ごとに区別可能に出力し、
前記テクニカルアラームは、前記生体情報の測定機器の異常、センサの被検者への装着状態の異常、および前記生体情報の測定環境の異常を報知するアラームの少なくとも1つである、モニタ方法。
【請求項2】
前記バイタルアラームおよび前記テクニカルアラームの少なくとも1つを受信する受信段階をさらに有し、
前記算出段階は、受信された前記バイタルアラームおよび前記テクニカルアラームの少なくとも1つに基づいて、前記アラーム発生時間または前記割合を算出する、請求項1に記載のモニタ方法。
【請求項3】
前記出力段階は、前記アラーム発生時間または前記割合を、前記アラームの種類を区別可能に出力する、請求項1または2に記載のモニタ方法。
【請求項4】
前記算出段階は、連続する時間帯ごとに前記アラーム発生時間または前記割合を算出し、
前記出力段階は、前記時間帯ごとの前記アラーム発生時間または前記割合を出力する、請求項1~3のいずれか一項に記載のモニタ方法。
【請求項5】
前記所定の属性は、緊急度または重要度に応じて設定された、高優先度、中優先度、および低優先度、前記バイタルアラームまたは前記テクニカルアラームのパラメーター、ならびに、ケアスタッフの勤務帯別の少なくともいずれかである、請求項1~4のいずれか1項に記載のモニタ方法。
【請求項6】
生体情報の異常を報知するバイタルアラーム、およびテクニカルアラームの少なくとも1つのアラームが発生していたアラーム発生時間または前記アラーム発生時間の割合を算出する算出段階と、
算出された前記アラーム発生時間または前記割合を出力する出力段階と、を有し、
前記バイタルアラームおよび前記テクニカルアラームは、それぞれ前記生体情報の被検者を特定する特定情報と関連付けされており、
前記算出段階は、前記特定情報に基づいて、前記被検者が属するグループごとに、前記バイタルアラームおよび前記テクニカルアラームの少なくとも1つが発生していた前記アラーム発生時間の和、または前記和の割合を算出し、
前記出力段階は、指定されたグループについて算出された前記和または前記和の前記割合を出力
し、
前記テクニカルアラームは、前記生体情報の測定機器の異常、センサの被検者への装着状態の異常、および前記生体情報の測定環境の異常を報知するアラームの少なくとも1つである、モニタ方法。
【請求項7】
センサにより測定された生体情報の異常を報知するバイタルアラーム、およびテクニカルアラームの少なくとも1つのアラームが発生していたアラーム発生時間または前記アラーム発生時間の割合を算出する算出部と、
算出された前記アラーム発生時間または前記割合を出力する出力部と、を有し、
前記算出部は、前記アラームの所定の属性ごとに前記アラーム発生時間または前記割合を算出し、
前記出力部は、前記アラーム発生時間または前記割合を、前記属性ごとに区別可能に出力し、
前記テクニカルアラームは、前記生体情報の測定機器の異常、センサの被検者への装着状態の異常、および前記生体情報の測定環境の異常を報知するアラームの少なくとも1つであるモニタ。
【請求項8】
センサにより測定された生体情報の異常を報知するバイタルアラーム、および前記生体情報の測定に関する異常を報知するテクニカルアラームの少なくとも1つのアラームが発生していたアラーム発生時間または前記アラーム発生時間の割合を算出する算出手順と、
算出された前記アラーム発生時間または前記割合を出力する出力手順と、を有し、
前記算出手順は、前記アラームの所定の属性ごとに前記アラーム発生時間または前記割合を算出し、
前記出力手順は、前記アラーム発生時間または前記割合を、前記属性ごとに区別可能に出力し、
前記テクニカルアラームは、前記生体情報の測定機器の異常、センサの被検者への装着状態の異常、および前記生体情報の測定環境の異常を報知するアラームの少なくとも1つである、処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モニタ方法、モニタ、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
患者等の生体情報を表示する生体情報モニタにおいて、生体情報に異常が検出されたときに異常を報知するためのバイタルアラームや、生体情報を測定する機器やシステムの異常を報知するテクニカルアラームを出力する技術が知られている。
【0003】
このような技術に関連し、下記特許文献1には次の先行技術が開示されている。画面の第1の領域に生体情報波形を表示するとともに、第2の領域に生体ごとのバイタルアラームの発生履歴情報を時系列に配列して表示データ化したバイタルデータ、および生体ごとのテクニカルアラームの発生履歴情報を時系列に配列して表示データ化したテクニカルデータとを表示する。これにより、アラーム発生履歴の明確化が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、生体情報測定時にバイタルアラームやテクニカルアラームが報知されると、医療従事者は患者等の状態や生体情報を検知しているセンサ等の状態を確認するために、患者等のところへ出向いて対応する必要が生じる。上記先行技術は、アラーム発生に対応することによって生じた医療従事者の業務負荷を定量的に把握したいという希望に対応できていない。
【0006】
本発明は上述の問題を解決するためになされたものである。すなわち、生体情報測定時におけるアラーム発生により生じた医療従事者の業務負荷を定量的に把握可能なモニタ方法、モニタ、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記課題は、以下の手段によって解決される。
【0008】
(1)生体情報の異常を報知するバイタルアラーム、およびテクニカルアラームの少なくとも1つのアラームが発生していたアラーム発生時間または前記アラーム発生時間の割合を算出する算出段階と、算出された前記アラーム発生時間または前記割合を出力する出力段階と、を有するモニタ方法。
【0009】
(2)生体情報の異常を報知するバイタルアラーム、およびテクニカルアラームの少なくとも1つのアラームが発生していたアラーム発生時間または前記アラーム発生時間の割合を算出する算出部と、算出された前記アラーム発生時間または前記割合を出力する出力部と、を有するモニタ。
【0010】
(3)生体情報の異常を報知するバイタルアラーム、およびテクニカルアラームの少なくとも1つのアラームが発生していたアラーム発生時間または前記アラーム発生時間の割合を算出する算出手順と、算出された前記アラーム発生時間または前記割合を出力する出力手順と、をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の効果】
【0011】
生体情報の異常を報知するバイタルアラーム、およびテクニカルアラームの少なくとも1つのアラームが発生していた時間または当該時間の割合を算出して出力する。これにより、生体情報測定時におけるアラーム発生により生じた医療従事者の業務負荷を定量的に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】ベッドサイドモニタのハードウェア構成のブロック図である。
【
図3】送信機のハードウェア構成のブロック図である。
【
図4】集中型受信機のハードウェア構成のブロック図である。
【
図5】セントラルモニタのハードウェア構成のブロック図である。
【
図6】時間帯ごとのアラーム発生時間およびアラーム発生時間の割合等を示す図である。
【
図7】時間帯ごとのアラーム発生時間の割合のグラフを示す図である。
【
図8】時間帯ごとのアラーム発生時間およびアラーム発生時間の割合等を、アラームの種類ごとに区別可能に示す図である。
【
図9】時間帯ごとのアラーム発生時間の割合をアラームの種類ごとに区別可能に示すグラフを示す図である。
【
図10】1日ごとのアラーム発生時間およびアラーム発生時間の割合等を示す図である。
【
図11】1日ごとのアラーム発生時間の割合の棒グラフを示す図である。
【
図12】1日ごとのアラーム発生時間の割合の円グラフを示す図である。
【
図13】時間帯ごとのアラーム発生時間の割合をアラームの所定の属性ごとに示す図である。
【
図14】時間帯ごとのアラーム発生時間の割合をアラームの所定の属性ごとに区別可能に示す棒グラフを示す図である。
【
図15】時間帯ごとのアラーム発生時間およびアラーム非発生時間示す図である。
【
図16】時間帯ごとのアラーム発生時間およびアラームの非発生時間の棒グラフを示す図である。
【
図17】セントラルモニタの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るモニタ方法、モニタ、およびプログラムについて詳細に説明する。なお、図面において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
(医療用システム10)
図1は、医療用システム10の概略構成図である。医療用システム10は、セントラルモニタ100、ベッドサイドモニタ110、集中型受信機200、および送信機210を備える。ベッドサイドモニタ110および送信機210はそれぞれ1つまたは複数備えられ得る。ベッドサイドモニタ110および送信機210のいずれか一方のみが備えられてもよい。セントラルモニタ100はモニタを構成する。
【0015】
セントラルモニタ100とベッドサイドモニタ110は、有線または無線のネットワークにより相互に通信可能に接続される。ネットワークは、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等である。ネットワークの通信規格として、例えば、イーサネット(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、または5Gを利用し得る。
【0016】
同様に、セントラルモニタ100と集中型受信機200は、有線または無線のネットワークにより相互に通信可能に接続される。ネットワークは、例えばLAN、WAN等であり、ネットワークの通信規格として、例えば、イーサネット(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、または5Gを利用し得る。
【0017】
集中型受信機200と送信機210は、無線のネットワークにより相互に通信可能に接続される。ネットワークは、例えば無線LAN等であり、ネットワークの通信規格として、例えば、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、または5Gを利用し得る。
【0018】
(ベッドサイドモニタ110)
図2は、ベッドサイドモニタ110のハードウェア構成のブロック図である。ベッドサイドモニタ110は、制御部111、記憶部112、通信部113、センサ114、および表示部115を含む。これらの構成要素はバスにより相互に接続されている。なお、一部の構成要素は、無線通信によりバスに接続され得る。ベッドサイドモニタ110は、例えば、患者のベッドごと、または患者の部屋ごと等に設けられ得る。
【0019】
制御部111は、例えばCPU(Central Processing Unit)およびRAM(Random Access Memory)により構成され、ベッドサイドモニタ110の各構成要素を制御するとともに、各種演算を行う。
【0020】
制御部111は、センサ114により検出された生体情報をセントラルモニタ100へ通信部113により送信する。制御部111は、生体情報の異常を検出し、異常が検出されたときは、生体情報の異常を報知するためのバイタルアラームを、生体情報とともにセントラルモニタ100へ通信部113により送信する。生体情報には、例えば、心電図(ECG)、動脈血酸素飽和度(SpO2)、観血式血圧(IBP)、非観血式血圧(NIBP)、呼吸(RESP)、呼気および吸気の二酸化炭素(CO2)が含まれる。生体情報の異常は、生体情報について設定された上限値、下限値、または上下限値を超えたことにより検出され得る。
【0021】
制御部111は、測定機器やシステムなどの異常を検出し、異常が検出されたときは、当該異常を報知するテクニカルアラームをセントラルモニタ100へ通信部113により送信する。テクニカルアラームが報知する異常には、例えば、センサ114を構成する測定機器(デバイスや素子)を含む装置等の異常、患者に装着されたセンサ114が外れた等の装着状態の異常、および電波切れやノイズ混入等の測定環境の異常等が含まれる。具体的には、テクニカルアラームとして、例えば、「電極確認」、「電波切れ」、および「プローブ確認」が挙げられる。「電極確認」は、患者に装着された心電図電極から電極リードが外れる、身体から心電図電極が浮いている、および電極リードの断線等で発生するアラームである。「電波切れ」は、電波の受信状態が悪い、混信している、情報が受信できない等のアラームである。「プローブ確認」は、患者に装着されたSpO2プローブが身体から外れる、SpO2プローブが中継コードや測定機器から外れる、SpO2プローブの断線/ショート等で発生するアラームである。
【0022】
なお、バイタルアラームおよびテクニカルアラームは、異常が検出されている間、継続的にセントラルモニタ100へ送信され得る。
【0023】
制御部111は、生体情報の被検者(患者等)を特定する特定情報と関連付けて、特定情報とともに生体情報およびアラームをセントラルモニタ100へ送信し得る。特定情報には、例えば患者のベッド番号、患者のID、およびベッドサイドモニタ110のIPアドレス等が含まれる。送信される生体情報には、測定日時等の情報が付加され得る。
【0024】
記憶部112は、例えばSSD(Solid State Drive)により構成され、各種データを記憶する。
【0025】
通信部113は、ベッドサイドモニタ110とセントラルモニタ100とを通信可能に接続するためのインターフェースである。通信部113は、例えば入力端子、アンテナ、およびフロントエンド回路等により構成され得る。
【0026】
センサ114は、生体情報を検出するデバイスまたは素子である。センサ114には、例えば、心電図測定用電極、およびSpO2プローブ等が含まれる。
【0027】
表示部115は、生体情報、後述するアラーム発生時間、またはアラーム発生時間の割合を視覚により認識可能に表示(出力)する。表示部115は、例えば液晶ディスプレイ等により構成され得る。
【0028】
(送信機210)
図3は、送信機210のハードウェア構成のブロック図である。送信機210は、患者に携帯され、患者の生体情報を検出するとともに検出した生体信号を無線で集中型受信機200へ送信する装置である。送信機210は、制御部211、記憶部212、通信部213、およびセンサ214を含む。送信機210の制御部211、記憶部212、およびセンサ214の基本構成は、ベッドサイドモニタ110の対応する構成要素の基本構成と同様であるため、重複する説明を省略する。
【0029】
制御部211は、センサ214により検出された生体情報を通信部213により無線でセントラルモニタ100へ送信する。
【0030】
通信部213は、送信機210とセントラルモニタ100とを無線のネットワーク等で通信可能に接続するためのインターフェースである。通信部213は、例えば入力端子、アンテナ、およびフロントエンド回路等により構成され得る。送信機210とセントラルモニタ100とは、例えば無線LAN等のネットワークにより接続される。
【0031】
なお、送信機210は、生体情報を視覚により認識可能に表示する表示部(図示せず)をさらに備え得る。
【0032】
(集中型受信機200)
図4は、集中型受信機200のハードウェア構成のブロック図である。集中型受信機200は、制御部201、記憶部202、および通信部203を含む。これらの構成要素はバスにより相互に接続されている。集中型受信機200の制御部201、記憶部202、および通信部203の基本構成は、ベッドサイドモニタ110や送信機210の対応する構成要素の基本構成と同様であるため重複する説明は省略する。
【0033】
制御部201は、各送信機210から生体情報を通信部203により受信する。制御部201は、生体情報の異常を検出し、異常が検出されたときは、バイタルアラームを、生体情報とともにセントラルモニタ100へ通信部203により送信する。
【0034】
制御部201は、測定機器やシステムなどの異常を検出し、異常が検出されたときは、テクニカルアラームをセントラルモニタ100へ通信部203により送信する。
【0035】
バイタルアラームおよびテクニカルアラームは、異常が検出されている間、継続的にセントラルモニタ100へ送信され得る。
【0036】
制御部201は、上述した特定情報を送信機210から受信した場合は、特定情報と関連付けて、特定情報とともに生体情報およびアラームをセントラルモニタ100へ送信し得る。特定情報には、例えば患者のベッド番号、患者のID、および送信機210のIPアドレス等が含まれる。
【0037】
通信部203は、集中型受信機200と、セントラルモニタ100および送信機210とを通信可能に接続するためのインターフェースである。通信部203は、例えば入力端子、アンテナ、およびフロントエンド回路等により構成され得る。
【0038】
(セントラルモニタ100)
図5は、セントラルモニタ100のハードウェア構成のブロック図である。セントラルモニタ100は、制御部101、記憶部102、通信部103、および表示部104を含む。これらの構成要素はバスにより相互に接続されている。これらの構成要素の基本構成は、ベッドサイドモニタ110の対応する構成要素の基本構成と同様であるため重複する説明は省略する。
【0039】
制御部101は、各ベッドサイドモニタ110および各送信機210から、生体情報、バイタルアラーム、およびテクニカルアラームを通信部103により受信する。
【0040】
記憶部102は、生体情報、バイタルアラーム、およびテクニカルアラームを、受信した時間と対応付けて記憶する。生体情報、バイタルアラーム、およびテクニカルアラームは、特定情報と対応付けて記憶され得る。
【0041】
制御部101は、アラーム発生時間を算出する。アラーム発生時間は、バイタルアラームおよびテクニカルアラームの少なくとも1つのアラームが発生していた時間である。以下、バイタルアラームおよびテクニカルアラームを区別しない場合は、これらのアラームを単にアラームとも称する。上述したように、同じアラームは継続的に送信され得る。この場合、アラーム発生時間は、アラームを受信してから当該アラームが受信されなくなるまでの時間であり得る。制御部201は、アラーム発生時間の割合を算出する。アラーム発生時間の割合とは、所定時間に対する、当該所定時間に占めるアラーム発生時間の割合である。所定時間は、例えば、勤務帯、1時間、1日、1週間、1月、6月、または1年であり得る。
【0042】
制御部101は、アラーム発生時間、およびアラーム発生時間の割合の少なくとも1つを、連続する時間帯ごとに算出して出力し得る。なお、出力には、表示部104に表示する場合や、他の装置へ通信部103により送信する場合等が含まれる。
【0043】
制御部201は、アラーム発生時間、およびアラーム発生時間の割合の少なくとも1つを、アラームの種類(バイタルアラーム、テクニカルアラーム)ごとに区別可能に出力し得る。
【0044】
制御部201は、特定情報に基づいて、生体情報の被検者が属するグループごとに、アラーム発生時間(アラーム発生時間の総和)またはアラーム発生時間の割合を算出し、セントラルモニタ100のタッチパネル等の入力部(図示せず)においてユーザにより指定されたグループについて算出されたアラーム発生時間またはアラーム発生時間の割合を出力し得る。
【0045】
図6は、時間帯ごとのアラーム発生時間およびアラーム発生時間の割合等を示す図である。
図7は、時間帯ごとのアラーム発生時間の割合のグラフを示す図である。
【0046】
図6の例においては、時間帯ごとに、総モニタリング時間、総アラーム発生時間、アラーム発生時間の割合、およびアラーム非発生時間の割合の1月の集計期間の集計結果が示されている。モニタリングの対象である被検者の平均は13人である。集計の対象とした被検者は、所定のグループである同一病棟の患者である。総モニタリング時間は、各時間帯における生体信号のモニタリングを行った時間の総和であり、各ベッドの入退床時間に基づいて算出されている。総アラーム発生時間は、総モニタリング時間中のアラーム発生時間の総和である。アラーム発生時間の割合は、総モニタリング時間に対する総アラーム発生時間の割合(総アラーム発生時間/総モニタリング時間×100)である。総アラーム非発生時間は、総モニタリング時間中のアラーム発生時間以外の時間の総和である。アラーム非発生時間の割合は、総モニタリング時間に対する総アラーム非発生時間の割合(総アラーム非発生時間/総モニタリング時間×100)である。
【0047】
上述したように、集計の対象とされる所定のグループは、ユーザにより指定されたグループであり得る。生体情報の集計の対象とする被検者は、同じ勤務時間帯に属するケアスタッフが担当する患者等であってもよい。
【0048】
集計期間は、任意に設定でき、勤務帯、1時間、1日、1週間、6月、または1年であってもよい。また、モニタリング対象は任意であり、1人であってもよい。
【0049】
図7の例においては、時間帯ごとに、アラーム発生時間の割合が棒グラフにより示されている。
【0050】
図8は、時間帯ごとのアラーム発生時間およびアラーム発生時間の割合等を、アラームの種類ごとに区別可能に示す図である。
図9は、時間帯ごとのアラーム発生時間の割合をアラームの種類ごとに区別可能に示すグラフを示す図である。
【0051】
図8の例においては、バイタルアラームの発生時間の割合とテクニカルアラームの発生時間の割合が、それぞれ異なる行に表示されることで、これらの区別が可能に表示されている。すなわち、アラーム発生時間の割合が、アラームの種類ごとに区別可能に表示されている。
【0052】
図9の例においては、バイタルアラームの発生時間の割合とテクニカルアラームの発生時間の割合が、それぞれ異なる色または模様で区分けされた棒グラフとして表示されることで、これらの区別が可能に表示されている。
【0053】
図10は、1日ごとのアラーム発生時間およびアラーム発生時間の割合等を示す図である。
図11は、1日ごとのアラーム発生時間の割合の棒グラフを示す図である。
図12は、1日ごとのアラーム発生時間の割合の円グラフを示す図である。
【0054】
図10の例においては、1日(日付)ごとに、総アラーム発生時間、アラーム発生時間の割合、およびアラーム非発生時間の割合の1月の集計期間の集計結果が示されている。
図11の例においては、1日ごとに、アラーム発生時間の割合等が棒グラフにより示されている。
図12の例においては、1日ごとに、アラーム発生時間の割合等が円グラフにより示されている。
【0055】
なお、アラーム発生時間およびアラーム発生時間の割合は、折れ線グラフ等、他の形態で表示されてもよい。
【0056】
制御部101は、アラームの所定の属性ごとに、アラーム発生時間またはアラーム発生時間の割合を算出し、当該属性ごとに区別可能に出力してもよい。所定の属性は、例えば、緊急度や重要度に応じて設定された、高優先度、中優先度、および低優先度含まれる。所定の属性は、バイタルアラームまたはテクニカルアラームの詳細なパラメーター、またはケアスタッフ等の勤務帯別であってもよい。バイタルアラームの詳細なパラメーターには、例えば動脈血酸素飽和度の低下や血圧の低下が含まれる。テクニカルアラームの詳細なパラメーターには、例えば「電極確認」、「電波切れ」、および「プローブ確認」が含まれる。
【0057】
図13は、時間帯ごとのアラーム発生時間の割合をアラームの所定の属性ごとに示す図である。
図14は、時間帯ごとのアラーム発生時間の割合をアラームの所定の属性ごとに区別可能に示す棒グラフを示す図である。
【0058】
図13の例においては、連続する時間帯ごとに、アラーム発生時間の割合が、高優先度アラーム、中優先度アラーム、および低優先度アラームを区別可能に示されている。
図14の例においては、連続する時間帯ごとに、アラーム発生時間の割合が、高優先度、中優先度、および低優先度という属性がそれぞれ異なる色または模様で区分けされた棒グラフとして表示されることで、これらの区別が可能に表示されている。
【0059】
図15は、時間帯ごとのアラーム発生時間およびアラーム非発生時間示す図である。
図16は、時間帯ごとのアラーム発生時間およびアラームの非発生時間の棒グラフを示す図である。
【0060】
図15の例においては、時間帯ごとに、総アラーム発生時間(アラーム発生時間の総和)、および総アラーム非発生時間(アラーム非発生時間の総和)の1月の集計結果が示されている。
図16の例においては、時間帯ごとに総アラーム発生時間、および総アラーム非発生時間の1月の集計結果が棒グラフとして示されている。
【0061】
セントラルモニタ100の動作について説明する。
【0062】
図17は、セントラルモニタ100の動作を示すフローチャートである。本フローチャートは、セントラルモニタ100の制御部101により、プログラムに従い実行され得る。
【0063】
制御部101は、アラームを受信したかどうか判断する(S101)。制御部101は、アラームを受信していないと判断した場合は(S101:NO)、ステップS101を繰り返し実行する。
【0064】
制御部101は、アラームを受信したと判断した場合は(S101:YES)、アラームを受信していた時間を算出(計測)することにより、アラームの種類ごとに、各時間帯のアラーム発生時間およびアラーム発生時間の割合を算出する(S102)。
【0065】
制御部101は、各時間帯のアラーム発生時間およびアラーム発生時間の割合を、アラームの種類を区別可能に出力する(S103)。
【0066】
本実施形態は次の効果を奏する。
【0067】
生体情報の異常を報知するバイタルアラーム、および測定機器等の異常を報知するテクニカルアラームの少なくとも1つのアラームが発生していたアラーム発生時間またはアラーム発生時間の割合を算出して出力する。これにより、生体情報測定時におけるアラーム発生により生じた医療従事者の業務負荷を定量的に把握できる。
【0068】
さらに、バイタルアラームおよびテクニカルアラームの少なくとも1つを受信し、受信されたバイタルアラームおよびテクニカルアラームの少なくとも1つに基づいて、アラーム発生時間またはアラーム発生時間の割合を算出する。これにより、アラーム発生により生じた医療従事者の業務負荷を広範囲に把握できる。
【0069】
さらに、アラーム発生時間またはアラーム発生時間の割合を、アラームの種類を区別可能に出力する。これにより、アラームの種類ごとに医療従事者の業務負荷を定量的に把握できる。
【0070】
さらに、連続する時間帯ごとにアラーム発生時間またはアラーム発生時間の割合を算出し、時間帯ごとのアラーム発生時間またはアラーム発生時間の割合を出力する。これにより、時間帯ごとに医療従事者の業務負荷を定量的に把握できる。
【0071】
さらに、アラームの所定の属性ごとにアラーム発生時間またはアラーム発生時間の割合を算出し、アラーム発生時間またはアラーム発生時間の割合を、属性ごとに区別可能に出力する。これにより、より正確に医療従事者の業務負荷を把握できる。
【0072】
さらに、バイタルアラームおよびテクニカルアラームは、それぞれ生体情報の被検者を特定する特定情報と関連付けされており、特定情報に基づいて、被検者が属するグループごとに、バイタルアラームおよびテクニカルアラームの少なくとも1つが発生していたアラーム発生時間の和、または当該和の割合を算出し、指定されたグループについて算出されたアラーム発生時間の和、または当該和の割合を出力する。これにより、業務負荷を把握したいグループについて正確に業務負荷を把握できる。
【0073】
さらに、テクニカルアラームを、生体情報の測定機器の異常、センサの被検者への装着状態の異常、および生体情報の測定環境の異常を報知するアラームの少なくとも1つとする。これにより、アラームによる医療従事者等の業務負荷を簡単かつ効率的に把握できる。
【0074】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されない。
【0075】
例えば、上述した実施形態においてプログラムにより実現される機能の一部または全部を回路等のハードウェアにより実現してもよい。
【0076】
また、上述したフローチャートは、一部のステップを省略してもよく、他のステップが追加されてもよい。また各ステップの一部は同時に実行されてもよく、一つのステップが複数のステップに分割されて実行されてもよい。
【符号の説明】
【0077】
10 医療用システム、
100 セントラルモニタ、
101 制御部、
102 記憶部、
103 通信部、
104 表示部、
110 ベッドサイドモニタ、
200 集中型受信機、
210 送信機。