(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-14
(45)【発行日】2025-04-22
(54)【発明の名称】糸状粘着剤貼付装置及び糸状粘着剤貼付方法
(51)【国際特許分類】
B65H 37/02 20060101AFI20250415BHJP
B65B 51/02 20060101ALI20250415BHJP
B65B 51/06 20060101ALI20250415BHJP
B65H 51/00 20060101ALI20250415BHJP
B65H 57/12 20060101ALI20250415BHJP
B65H 57/26 20060101ALI20250415BHJP
C09J 5/00 20060101ALI20250415BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20250415BHJP
【FI】
B65H37/02
B65B51/02 B
B65B51/06 Z
B65H51/00
B65H57/12
B65H57/26
C09J5/00
C09J201/00
(21)【出願番号】P 2021053927
(22)【出願日】2021-03-26
【審査請求日】2024-01-11
(31)【優先権主張番号】P 2020064049
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼嶋 淳
(72)【発明者】
【氏名】樽野 友浩
(72)【発明者】
【氏名】森下 裕充
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-235685(JP,A)
【文献】特開平3-119083(JP,A)
【文献】実開昭47-11910(JP,U)
【文献】特開2004-58003(JP,A)
【文献】特開昭52-105090(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 37/02
B65B 51/02
B65B 51/06
B65H 51/00
B65H 57/12
B65H 57/26
C09J 5/00
C09J 201/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸状粘着剤を対象物に押し当てる押圧部を有するノズルと、
前記ノズルに取り付けられ、押圧方向に変位することによって、前記ノズルを変位させるノズル変位部と、
前記押圧方向における、前記ノズル変位部の変位に対する、前記ノズルの変位を吸収する吸収機構と、を備える、糸状粘着剤貼付装置。
【請求項2】
前記吸収機構は、前記ノズル変位部と前記ノズルとの間に取り付けられたバネ、ダンパー、及びエアシリンダーのいずれか一である
請求項1に記載の糸状粘着剤貼付装置。
【請求項3】
前記糸状粘着剤を所定経路に沿って前記対象物に貼り付けるよう前記ノズル変位部の移動を制御する移動制御部を備え、
前記移動制御部は、前記所定経路の開始点、前記所定経路に含まれる曲線の始点又は終点、及び、前記所定経路に含まれる角の頂点の少なくともいずれか一において、前記ノズル変位部を前記対象物に近接させる
請求項1又は2に記載の糸状粘着剤貼付装置。
【請求項4】
前記ノズルは、筒状の内部空間を画成する内壁面と、前記内壁面の一端において前記内部空間が外部に通ずる先端開口を有する先端と、を有し、
前記押圧部は、前記内部空間を通過して前記先端開口から前記外部に導出された前記糸状粘着剤を前記対象物に押し当て、
前記先端における前記先端開口を囲む周部のうち複数箇所が、前記押圧部として機能する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の糸状粘着剤貼付装置。
【請求項5】
当該糸状粘着剤貼付装置は、巻取体に巻かれた前記糸状粘着剤を繰り出しながら前記対象物に押し当てるものであり、
前記巻取体から繰り出される前記糸状粘着剤に対して、繰出方向に外力を加えるアシスト機構をさらに備え、
前記押圧部は、繰り出された前記糸状粘着剤を前記対象物に押し当てる
請求項1~4のいずれか一項に記載の糸状粘着剤貼付装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の糸状粘着剤貼付装置を用いて、前記糸状粘着剤を前記対象物に貼り付ける、糸状粘着剤貼付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸状粘着剤貼付装置及び糸状粘着剤貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粘着シートや粘着テープの如き粘着体が、金属、ガラス、木材、紙、ダンボール、プラスチック材料等の各種被着体の接着などに用いられている。例えば、ロール状の粘着テープのような巻回された形態の場合には、巻き戻しを容易にするため、粘着面が接触する背面に剥離処理を施した基材が用いられている。
【0003】
粘着テープの貼付装置として、ロール状粘着テープを収納するホルダーの先端から引き出した粘着テープを、先端における孔を包囲する周壁で、被着体に押し当てる粘着テープホルダーがある(特許文献1参照。)。この粘着テープホルダーは、先端を被着体に当てながら移動させることで、粘着テープを引き出しつつ被着体に貼り付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、粘着テープホルダーの先端を対象物に当てて線を引くかのように動かせば、粘着テープを貼り付けることができる。ここで、粘着テープに代えて、糸状の芯材に粘着剤を付着させた糸状粘着剤を用いようとすると、糸状粘着剤が適度に変形する程度に、粘着テープホルダーの先端を対象物に押し当てる(押圧する)必要がある。なぜなら、貼付初期の余長さえあれば自重程度の軽い押圧力で貼付可能な粘着テープと異なり、糸状粘着剤は、対象物に押圧されて変形することにより粘着力を発現するものであり、押圧力が弱すぎると貼り付かず、押圧力が強すぎると粘着剤が大きく変形してしまうからである。押圧力が強すぎると、糊のはみ出し(貼付幅精度の低下)又は糸状粘着剤の高さの不均一といった不具合が起こる。
【0006】
特許文献1においては、粘着テープを押圧して貼ることは考慮されず、さらには押圧力を変えて貼ることが考慮されていないため、特許文献1の粘着テープホルダーで糸状粘着剤を貼り付けようとすると、押圧力が過剰に上昇するおそれがある。押圧力の過剰な上昇は、対象物の被着面の高さが精度により変化したり、対象物の被着面が凹凸を有したりする場合に発生しやすく、粘着剤を大きく変形させ上記不具合を引き起こすおそれがある。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、糸状粘着剤の粘着力を適切に発現させて、任意の経路に精度よく貼付可能な糸状粘着剤貼付装置及び糸状粘着剤貼付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の糸状粘着剤貼付装置は、糸状粘着剤を対象物に押し当てる押圧部を有するノズルと、前記ノズルに取り付けられ、押圧方向に変位することによって、前記ノズルを変位させるノズル変位部と、前記押圧方向における、前記ノズル変位部の変位に対する、前記ノズルの変位を吸収する吸収機構と、を備える。
【0009】
本発明の糸状粘着剤貼付装置は、例えば、前記吸収機構が、前記ノズル変位部と前記ノズルとの間に取り付けられたバネ、ダンパー、及びエアシリンダーのいずれか一である。
【0010】
本発明の糸状粘着剤貼付装置は、例えば、前記糸状粘着剤を所定経路に沿って前記対象物に貼り付けるよう前記ノズル変位部の移動を制御する移動制御部を備え、前記移動制御部が、前記所定経路の開始点、前記所定経路に含まれる曲線の始点又は終点、及び、前記所定経路に含まれる角の頂点の少なくともいずれか一において、前記ノズル変位部を前記対象物に近接させる。
【0011】
本発明の糸状粘着剤貼付装置は、例えば、前記ノズルが、筒状の内部空間を画成する内壁面と、前記内壁面の一端において前記内部空間が外部に通ずる先端開口を有する先端と、を有し、前記押圧部が、前記内部空間を通過して前記先端開口から前記外部に導出された前記糸状粘着剤を前記対象物に押し当て、前記先端における前記先端開口を囲む周部のうち複数箇所が、前記押圧部として機能する。
【0012】
本発明の糸状粘着剤貼付装置は、例えば、巻取体に巻かれた前記糸状粘着剤を繰り出しながら前記対象物に押し当てるものであり、前記巻取体から繰り出される前記糸状粘着剤に対して、繰出方向に外力を加えるアシスト機構をさらに備え、前記押圧部が、繰り出された前記糸状粘着剤を前記対象物に押し当てる。
【0013】
本発明の糸状粘着剤貼付方法は、本発明の糸状粘着剤貼付装置を用いて、前記糸状粘着剤を前記対象物に貼り付ける。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、糸状粘着剤の粘着力を適切に発現させて、糸状粘着剤を任意の経路に精度よく貼り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明に係る糸状粘着剤貼付装置の第1実施形態の構成を概念的に示す図。
【
図2】
図2は、第1実施形態の糸状粘着剤貼付装置における糸状粘着剤の搬送経路の具体例を示す図(1)。
【
図3】
図3は、第1実施形態の糸状粘着剤貼付装置における糸状粘着剤の搬送経路の具体例を示す図(2)。
【
図4】
図4は、第1実施形態の糸状粘着剤貼付装置における糸状粘着剤の搬送経路の具体例を示す図(3)。
【
図5】
図5は、第1実施形態の糸状粘着剤貼付装置における糸状粘着剤の搬送経路の具体例を示す図(4)。
【
図6】
図6は、第1実施形態の糸状粘着剤貼付装置におけるノズル周辺を示す図。
【
図8】
図8は、糸状粘着剤を切断する際のノズル周辺を示す図。
【
図9】
図9は、ノズルの先端部分と糸状粘着剤の粘着剤面との動摩擦力を測定する方法を示す図。
【
図11】
図11は、糸状粘着剤貼付装置のノズルが移動する態様を示す概念図。
【
図18】
図18は、本発明に係る糸状粘着剤貼付装置の第2実施形態を示す斜視図。
【
図19】
図19は、先端開口の側から見た先端部の断面形状の例を示す図、(a)円形断面の先端部、(b)矩形状断面の先端部。
【
図20】
図20は、第3実施形態の糸状粘着剤貼付装置の内部構造を示す斜視図。
【
図21】
図21は、第4実施形態の糸状粘着剤貼付装置の主要部を正面視で示す模式図。
【
図22】
図22は、余長が短い場合の貼付始点作成の課題を説明するための図。
【
図23】
図23は、余長が短い場合の貼付始点作成におけるノズルの動きを説明するための図。
【
図24】
図24は、第5実施形態の糸状粘着剤貼付装置を示す斜視図。
【
図25】
図25は、第5実施形態の糸状粘着剤貼付装置において開閉フレームを開いた状態を示す正面図。
【
図26】
図26は、第5実施形態の糸状粘着剤貼付装置を用いた貼付動作終了時に糸状粘着剤を切断する様子を示す図。
【
図27】
図27は、第6実施形態の糸状粘着剤貼付装置を示す模式図。
【
図28】
図28は、糸状粘着剤貼付装置において使用される糸状粘着剤の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る糸状粘着剤貼付装置の好適な実施形態を、図面に基づいて詳述する。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、本発明に係る糸状粘着剤貼付装置の第1実施形態の構成を概念的に示す図であり、
図2~
図5は、第1実施形態の糸状粘着剤貼付装置における糸状粘着剤の搬送経路の具体例を示す図である。
図2及び
図4は糸状粘着剤貼付装置を背面側から視た図、
図3及び
図5は左側面側から見た図である。尚、
図2~
図8に示す矢印は、糸状粘着剤貼付装置の前後、左右、上下の各方向を示す。また、前後方向をX軸方向、左右方向(幅方向)をY軸方向、上下方向(高さ方向)をZ軸方向とも称する。
【0018】
糸状粘着剤貼付装置101は、糸状粘着剤2を対象物(被着体)に押し当てて貼り付けるものであり、
図1に示すように、供給部AUと、押圧機構BU(ノズル)と、搬送部CUと、位置決め部DUと、を主に備える。供給部AUは、ロール状に巻き取られた糸状粘着剤2を供給する。押圧機構BUは、供給された糸状粘着剤2を被着体に押し付ける。搬送部CUは、糸状粘着剤2を供給部AUから押圧機構BUまで搬送する。位置決め部DUは、対象物に対して押圧機構BUを相対的に位置決めする。
【0019】
(位置決め部DU)
糸状粘着剤貼付装置101は、位置決め部DUの一例を構成する一部として、基台に配置されたテーブルと、テーブル上においてX軸方向(前後方向)に沿ってスライド可能なステージと、を備える。ステージの上面には、対象物が載置され吸着等により装着される。ステージが、駆動手段によってX軸方向に移動されることで、対象物がX軸方向に移動される。また、糸状粘着剤貼付装置101は、例えば、テーブルの左右側に立設された一対の支柱と、一対の支柱の上方において、一対の支柱間にY軸方向(左右方向)に沿って架設された水平アームと、を備える。
【0020】
水平アームには、Y軸方向に沿ってスライド可能な水平移動ユニット105(
図5参照)が取り付けられる。水平移動ユニット105は、図示しない駆動手段によってY軸方向に移動される。水平移動ユニット105は、略直方体形状を有し、下方に設けられた図示しない昇降体が、Z軸方向(上下方向)にスライド可能に保持される。この昇降体には、取付プレート106を介してノズル107が取り付けられる。すなわち、水平移動ユニット105において、図示しない駆動手段によって、ノズル107がZ軸方向に移動される。ノズル107の詳細については後述する。
【0021】
糸状粘着剤貼付装置101は、ステージと水平移動ユニット105とによって、対象物に対してノズル107を、XY平面内で相対的に位置決めでき、かつ、水平移動ユニット105の昇降体を昇降することによって、ノズル107をZ軸方向に移動できる。すなわち、ステージ及び水平移動ユニット105は、位置決め部DUとして機能する。
【0022】
(供給部AU)
糸状粘着剤貼付装置101は、供給部AUの一例として、巻取体と、巻取体保持部と、を有する。巻取体は、リール、紙管、ボビンのように円筒形状を有し、その外周面において、糸状の芯材に粘着剤を付着させた糸状粘着剤2が巻き付けられている。巻取体は、金属、樹脂、易剥離材等により構成可能である。巻取体保持部は、糸状粘着剤2が巻かれた巻取体の両端近傍において、巻取体の前後方向の移動を規制し、かつ、糸状粘着剤2が搬送される(繰り出される)のに伴って巻取体が回転可能となるよう、巻取体を保持する。糸状粘着剤2は、糸状の芯材の表面が粘着剤層で被覆された粘着体である。糸状粘着剤2の詳細については後述する。
【0023】
糸状粘着剤貼付装置101は、巻取体と、巻取体保持部とによって、ロール状に巻き取られた糸状粘着剤2を供給することができる。すなわち、巻取体及び巻取体保持部は、供給部AUとして機能する。
【0024】
(搬送部CU)
糸状粘着剤貼付装置101は、搬送部CUの一例として、ローラー122と、各一対のローラー123、124、125、128と、を有し、供給部AU(巻取体)から繰り出された糸状粘着剤2をノズル107まで搬送する。ローラー122及び各一対のローラー123、124、125、128は、少なくとも、糸状粘着剤2に接触する外周面(回転面)が、非粘着面とされている。すなわち、各ローラーの少なくとも糸状粘着剤2に接触する外周面は、例えば、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、及びポリオレフィン樹脂の少なくともいずれか一で構成される。又は、各ローラーの少なくとも糸状粘着剤2に接触する外周面は、例えば、フッ素コート、シリコーンコート、長鎖アルキルコート、及びトシカル(登録商標)コートの少なくともいずれか一により非粘着処理される。尚、フッ素コートによる処理は、フッ素樹脂熱収縮チューブ、フッ素樹脂ファブリックシートによる処理を含む。又は、各ローラーの少なくとも糸状粘着剤2に接触する外周面は、基材に種々の非粘着処理がなされていてもよい。例えば、基材にブラスト加工により凹凸が付けられ、凹部に非粘着物質がコーティングされてもよいし、PEEK(ポリエーテル・エーテル・ケトン)コーティング、フッ素複合無電解ニッケルめっき(無電解ニッケルめっきの皮膜中にフッ素樹脂の微粒子を分散共析させる)、バイセラム(微細化したセラミック粒子を含有させたフッ素樹脂コーティング)、FRP(Fiber Reinforced Plastics:繊維強化プラスチック)ライニング、超高分子PE(ポリエステル)ライニング等により処理されていてもよい。
【0025】
ローラー122及び各一対のローラー123、124は、フレーム111の背面側に取り付けられる。フレーム111は、基台において、巻取体保持部121の左側及びテーブルの右側にそれぞれ立設された一対のフレーム間に、Y軸方向に沿って架設される。
【0026】
ローラー122は、フレーム111の左側端部近傍において下方に延在する矩形状の取付部111aに、鉛直面(YZ平面)内で回転可能に取り付けられる。ローラー122は、
図3に示すように、両端に鍔を有するボビン状であることが好ましい。巻取体から糸状粘着剤2を繰り出す際、ローラー122の胴体の幅方向に糸状粘着剤2が動くが、両端の鍔によって、糸状粘着剤2がローラー122から脱落しにくくなる。一対のローラー123は、フレーム111における、取付部111aの右側において、前後方向に延びる矩形状の取付部111bに、水平面(XY平面)内で回転可能に取り付けられる。取付部111b上において、一対のローラー123は、互いの間を糸状粘着剤2が一対のローラー123の回転面でガイドされて通過可能となる程度に、離間して前後に隣接配置される(
図3参照)。巻取体から上方に繰り出され、
図2に示すようにローラー122の左側及び上側の回転面(外周面)を通過した糸状粘着剤2は、
図3に示すように、一対のローラー123の間を通過して一対のローラー124に到達する。
【0027】
一対のローラー124は、フレーム111における、一対のローラー123の右側において、鉛直面内で回転可能に取り付けられる。一対のローラー124は、互いの間を糸状粘着剤2が一対のローラー124の回転面でガイドされて通過可能となる程度に、離間して左右に隣接配置される(
図2、
図3参照)。一対のローラー123間を通過した糸状粘着剤2は、
図3に示すように、左側のローラー124の下側回転面を経て右側のローラー124の上側回転面を通過して、一対のローラー125に到達する。一対のローラー123及び一対のローラー124によって、巻取体から繰り出された糸状粘着剤2の蛇行を防止できるが、これらは必ずしも必要なく、ローラー123、124を設けなくてもよい。
【0028】
一対のローラー125は、略Z軸方向に延在するオイルダンパー126の下方側に、鉛直面内で回転可能に取り付けられる。オイルダンパー126は、上側の端部が略矩形状のダンパー取付部に鉛直面内で回動可能に固定される。ダンパー取付部は、フレーム111のY軸方向略中央において下方側に突出する。一対のローラー125は、互いの間を糸状粘着剤2が一対のローラー125の回転面でガイドされて通過可能となる程度に、離間してオイルダンパーの延在方向に沿って隣接配置される(
図4参照)。一対のローラー124間を通過した糸状粘着剤2は、
図5に示すように、上側のローラー125の右側及び下側の回転面を通過して、下側のローラー125の上側及び左側の回転面を通過して、一対のローラー128に到達する。一対のローラー125にガイドされる糸状粘着剤2は、オイルダンパー126の下方が左右にゆっくり揺動することにより、たるみが防止される。尚、一対のローラー125及びオイルダンパー126は設けなくてもよい。巻取体が置かれる場所や位置決め部DUの移動スピードを変えることにより、糸状粘着剤2のたるみが発生せず、一対のローラー125及びオイルダンパー126によるたるみ防止機能が不要となるためである。
【0029】
一対のローラー128は、水平移動ユニット105の前面に配置された取付プレート106のローラー取付部106aに、鉛直面内で回転可能に取り付けられる。一対のローラー128は、互いの間を糸状粘着剤2が一対のローラー128の回転面でガイドされて通過可能となる程度に、離間して左右に隣接配置される。一対のローラー125間を通過した糸状粘着剤2は、
図6に示すように、一対のローラー128間を通過してノズル107に到達する。一対のローラー128は、取付プレート106に取り付けられたノズル107の直上に設けられるため、糸状粘着剤2は、ノズル107の位置にかかわらず、一対のローラー128でガイドされて、ノズル107の筒状内部空間107s(
図7参照)に真っ直ぐ進入する。尚、一対のローラー128は、上下に隣接配置されて、糸状粘着剤2をS字状に通過させてノズル107の位置へガイドしてもよいし、他の構成によって糸状粘着剤2をノズル107の位置にガイドしてもよい。
【0030】
糸状粘着剤貼付装置101は、ローラー122と、各一対のローラー123、124、125、128とによって、糸状粘着剤2を供給部AUから押圧機構BUまで搬送する。すなわち、ローラー122、及び各一対のローラー123、124、125、128は、搬送部CUとして機能する。尚、搬送部CUは、押圧機構BU以外の、例えば糸状粘着剤2をローラーで被着体に押し付ける押圧部に、糸状粘着剤2を搬送してもよい。
【0031】
(押圧機構BU)
図6~
図8を参照して、糸状粘着剤貼付装置101が備える押圧機構BUの一例について説明する。
図6~
図8は、糸状粘着剤貼付装置101のノズル107周辺を示す図である。
図6はノズル107周辺を正面上方から視た斜視図、
図7は、糸状粘着剤2に沿うYZ平面におけるノズル107の断面を含む図、
図8は糸状粘着剤2を切断する様子を示す図である。
【0032】
糸状粘着剤貼付装置101は、押圧機構BUの一例を構成する一部として、取付プレート106と、ノズル107と、を備える。取付プレート106は、水平移動ユニット105の前面側において、水平移動ユニット105に対してZ軸方向にスライド可能に取り付けられる。取付プレート106は、略U字状に形成された薄い金属平板であり、ローラー取付部106a、ノズル取付部106b(ノズル変位部)及び、Z方向に長い略矩形状の接続部を有する。ローラー取付部106aは、接続部の上方においてY軸方向に延在する略矩形状部分であり、前面側に、一対のローラー128が取り付けられる。ノズル取付部106bは、接続部の下方においてY方向に延在する略矩形状部分であり、前面側に、ノズル107、エアーチャック108、及びエアーハサミ109が取り付けられる。
【0033】
ノズル107は、立方体の下面に円錐の底面を接続した形状を有するアルミ等の部材である。ノズル107は、上下方向に延びる筒状内部空間107sを画成する内壁面107bと、内壁面107bの下方側端部において筒状内部空間107sが外部に通ずる先端開口107cを有する先端107dと、を有する。ノズル107は金属等の部材であるが、内壁面107b、先端107dを含むノズル107の表面には、滑り性向上処理が施されている。また、ノズル107は、内壁面107bの上方側端部において筒状内部空間107sが外部に通ずる挿入側開口107eを有する。内壁面107bは、筒状内部空間107sが、先端開口107cと同径の円筒が先端開口107cから上方に延び、次第に拡径する漏斗状となるように、形成されている。挿入側開口107eが先端開口107cよりも拡径した漏斗状とされている。尚、内壁面107bは、筒状内部空間を画成すればよく、例えば上部が漏斗状でなく同一径の円筒等を形成してもよい。
【0034】
また、ノズル107の筒状内部空間107sには、ノズル107の上端から下端(先端107d)の下方に至る中空円筒形状の、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene, PTFE)等の難接着性樹脂製チューブ107aが設けられていてもよい。又は滑り性を向上するための表面処理が施されていても良い。チューブ107aは、下側開口の直径が例えば約1mm程度に対して、糸状粘着剤2の直径は例えば0.45mmが好ましい。すなわち、チューブ107aの下側開口の断面積は、糸状粘着剤2の断面積の約4.9倍程度が好ましい。チューブ107aは、内壁面107bの下端よりもわずかに(例えば0.5~1mm程度)突出している。糸状粘着剤2がチューブ107a内に挿入されることで、糸状粘着剤2の滑り性(繰り出し性)がよくなる。また、挿入側開口107eが拡径しているため、ノズル107内への糸状粘着剤2の挿入が容易である。尚、ノズル107自体の材質をPTFE等の難接着性樹脂とすることで、ノズル107への糸状粘着剤2の粘着を防止できる。これにより、ノズル107から糸状粘着剤2をひっかかりなく、滑りよく繰り出せるため、チューブ107aは不要となる。また、ノズル107は、筒状の内部空間と、この内部空間が外部に通ずる先端開口を有する先端と、を有すればよく、形状は限定されない。また、ノズル107は、先端開口107c(又はチューブ107aの下側開口)の形状が、円形または五角形以上の多角形であることが好ましい。
【0035】
ノズル107は、チューブ107a(筒状内部空間107s)を通過してチューブ107aの下側開口(先端開口107c)から外部に導出された糸状粘着剤2を、対象物に押し当てる。より詳細には、ノズル107の先端開口107cを囲む周部であるチューブ107aの下側端部のうち全周又は任意の複数箇所が、糸状粘着剤2を対象物に押し当てる押圧部として機能する。このため、押圧部としてローラー等を用いることなく、ノズル107を任意の複数方向に移動させながら糸状粘着剤を貼り付けることができる。したがって、ローラーで粘着剤を押圧する場合における、ローラー幅内で粘着剤が移動するため貼り付け精度が悪い、張り付け経路によっては粘着剤がローラーから脱輪する、といった不具合を防止して、糸状粘着剤を精度よく貼り付けることができる。
【0036】
(ノズル107孔径と糸状粘着剤2の径との関係)
ノズル107の孔径(内側の直径(内径)、チューブ107aが設けられている場合にはチューブ107aの孔径)は、糸状粘着剤2が直径0.45mm(0.3MPa程度の圧縮で0.6mm幅)の場合、直径0.7~1mmが好ましい。ノズル107の孔径が0.7mmより小さいと、ノズル107内部に接触する糸状粘着剤2の面積が大きくなるため、糸状粘着剤2が被着体に貼り付かない。一方、ノズル107の孔径は1mmを超えて大きすぎると、ノズル107内部で糸状粘着剤2が動くため、貼付速度が上がらず、貼付精度が悪くなる。そこで、糸状粘着剤2の直径とノズル107の孔径との比率が、0.45:0.7~1であることが好ましい。
【0037】
また、ノズル107は、チューブ107aの下側開口(又は先端開口107c)が糸状粘着剤2の粘着剤面に接触して滑りながら、糸状粘着剤2を対象物に押し当てる。具体的には、ノズル107の先端107d(又はチューブ107aの先端、少なくとも粘着剤面に接触する部分)は、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、及びポリオレフィン樹脂の少なくともいずれか一で構成されていてもよい。又は、ノズル107の先端107d(又はチューブ107aの先端、少なくとも粘着剤面に接触する部分)は、フッ素コート、シリコーンコート、及び長鎖アルキルコートの少なくともいずれか一により処理される。又は、以下に示す各種滑り性向上処理がなされる。尚、フッ素コートによる処理は、フッ素樹脂熱収縮チューブ、フッ素樹脂ファブリックシートによる処理を含む。
ノズル107の先端部分は、基材に種々の滑り性向上処理がなされていてもよい。例えば、基材が、PEEK(ポリエーテル・エーテル・ケトン)コーティング、フッ素複合無電解ニッケルめっき(無電解ニッケルめっきの皮膜中にフッ素樹脂の微粒子を分散共析させる)、バイセラム(微細化したセラミック粒子を含有させたフッ素樹脂コーティング)、FRP(Fiber Reinforced Plastics:繊維強化プラスチック)ライニング、超高分子PE(ポリエステル)ライニング等により処理されていてもよい。これにより、糸状粘着剤2を対象物にスムーズに貼り付けることができる。
【0038】
糸状粘着剤2の粘着剤面に接触するノズル107が難接着性ではない場合には滑り性向上コート/処理された先端107dと、粘着剤面との動摩擦力が3N/mm以下であることが好ましい。ノズル107に難接着性の樹脂製チューブ107aが差し込まれている場合はチューブ107aの下側開口と、糸状粘着剤2の粘着剤面との動摩擦力が3N/mm以下であることが好ましい。ノズル107自体がPTFE等(シリコーン、オレフィン等)の難接着性樹脂製の場合、先端開口107cと、糸状粘着剤2の粘着剤面との動摩擦力が3N/mm以下であることが好ましい。
【0039】
このように、ノズル107の先端部分の形状(詳細は後述する)、材質/表面処理により、糸状粘着剤2の粘着剤面に接触するノズル107の先端部分が粘着剤面に対して低摩擦力となる。また、ノズル107の先端部分は凸凹が少なくなるような材質とされる/表面処理がされることから、その上を柔らかい糸状粘着剤2が滑る際、削れ等の発生を抑制できる。このため、スムーズに糸状粘着剤2を貼り付けることができる。尚、ノズル107の先端部分と糸状粘着剤2の粘着剤面との動摩擦力は、以下に示す方法により、測定することができる。
【0040】
図9に示すように、ノズル107を、筒状内部空間107sが水平方向に延在するように水平面上に載置し、挿入側開口107eから挿入した糸状粘着剤2を先端開口107cから引き出す。糸状粘着剤2を、筒状内部空間107sを通過した糸状粘着剤2と先端開口107cから引き出された糸状粘着剤2とのなす角が60度となるように、セットする。このようにセットすることで、確実にノズル107の先端部分に糸状粘着剤2が接触する。挿入側開口107e側において、糸状粘着剤2に10gのおもりでテンションを付与しておく。この状態で、先端開口107cから引き出した糸状粘着剤2を1mm/秒で鉛直方向上向きに引き上げ、応力(安定した時の値)を測定する。このとき、
図9の丸印で示す、ノズル先端に押し付けられた糸状粘着剤2の幅(太さ)が、例えば0.4mmである。このように糸状粘着剤2が動いているときの応力の値を、糸状粘着剤2の幅で割ったものを、動摩擦力とする。
【0041】
本実施形態におけるノズル107の先端部分は、糸状粘着剤2の粘着剤面との動摩擦力が3N/mm以下であることから、スムーズに糸状粘着剤2を貼り付けることができる。また、ノズル107の先端部分と糸状粘着剤2の粘着剤面との動摩擦力は、1N/mm以下であることが好ましい。尚、ノズルの先端部分と糸状粘着剤2の粘着剤面との動摩擦力は、ノズル先端に押し付けられた糸状粘着剤2の幅(太さ)が、0.4mmの場合に限らず、0.2~0.45mmの場合、又は他のサイズであっても同様に、3N/mm以下となる。
【0042】
さらに、ノズル107は、先端開口107c(又はチューブ107aの下側開口)の形状が、円形または五角形以上の多角形である場合には、貼付方向の転換を容易に行うことができる。
【0043】
図10は、ノズル107の先端107dの拡大断面図であり、前述のものと異なる形状のノズル107の例を示す。ノズル107は、フッ素等といった難接着性の樹脂製であってもよいし、金属製で表面に滑り性向上処理がなされたものであってもよい。
図10(a)は先端107dに角があるため、糸状粘着剤2が引っ掛かり、けずれたり切れたりする場合がある。
図10(b)は先端107dが丸い、すなわち、糸状粘着剤2を押圧する部分が曲面であるため、糸状粘着剤2が引っ掛からず、良好に貼り付けることができる。尚、
図10(b)に示すノズル107がフッ素等の樹脂製である場合には、このノズル107をステンレス鋼(SUS)のガイドに通して、ノズル107を保護してもよい。
【0044】
ノズル107は、上下方向に移動可能であり、かつ、ノズル107が取り付けられた土台の上下方向の変位に対するノズル107の変位を吸収する吸収機構を備えるように、構成される。以下、この構成の一例を示すが、ノズルの変位に関する構成は、以下のものに限定されない。ノズル107は、スライドレール133に沿って上下方向に移動可能なスライダー132に固定される。スライダー132は、略直方体状を有し、左右の側面の各一部が左右側にそれぞれ突出した膨出部132aを有する。
【0045】
スライドレール133は、ノズル取付部106bの前面に上下方向に沿って取り付けられる。スライドレール133の左右側には、それぞれ、上下方向に沿って、二本のボルト134と、二本のボルト134間に配置されたバネ136、137と、が設けられる。ボルト134は、横長のボルト挿通部131の左右側端部において上下方向に挿通される。ボルト挿通部131は、ノズル取付部106bの上辺及び下辺からそれぞれ前方に延びる。上側のボルト挿通部131の上下にはナット135a、135bが左右にそれぞれ配置されてボルト134に螺合される。下側のボルト挿通部131の上下にはナット135c、135dが左右にそれぞれ配置されてボルト134に螺合される。
【0046】
バネ136は、ナット135bと膨出部132aの上部との間に配置され、バネ137は、膨出部132aの下部とのナット135cとの間に配置される。バネ136の上側には、上側のボルト134の下端部が挿入され、バネ136の下側は膨出部132aに固定されて、バネ136の脱離が防止される。バネ137の上側は膨出部132aに固定され、バネ137の下側には下側のボルト134の上端部が挿入されて、バネ137の脱離が防止される。
【0047】
ノズル107がスライダー132に固定され、スライダー132の上下方向の変位に伴ってノズル107が変位する。詳細には、水平移動ユニット105の昇降体が昇降(変位)されるのに伴って、昇降体に固定されたノズル取付部106bが昇降(変位)する。ここで、ノズル取付部106bにスライド可能に取り付けられたスライダー132は、バネ136、137が上下に取り付けられて、ノズル107に負荷がかからない状態においては、スライドせず、ノズル取付部106bにおける位置が変化しない。一方、ノズル107が糸状粘着剤2を介して対象物に押圧されると、バネ136、137に押圧方向と逆方向の弾性力が生じる。すなわち、ノズル取付部106bの変位に対する、ノズル107の変位を、バネ136、137が吸収する。これにより、ノズル107が対象物に対して糸状粘着剤2を押し当てる力(押圧力)をコントロールして、押圧力が過剰に又は急激に上昇することを防止できる。よって、押圧力が強すぎることによる、糸状粘着剤2の大きな変形、すなわち、糊のはみ出し(貼付幅精度の低下)又は糸状粘着剤2の高さの不均一といった不具合を防止して、糸状粘着剤の粘着力を適切に発現させることができる。また、ノズル107に過度の荷重がかかることを防止して、装置を保護できる。
【0048】
このように、バネ136、137は、ノズル取付部106bの変位に対する、ノズル107の変位を吸収する吸収機構として機能して、押圧力を緩やかに変化させる。したがって、対象物の被着面の高さが精度により変化する場合や、対象物の被着面が平滑でなく凹凸を有する場合であっても、上記不具合を防止できる。また、貼付経路において糸状粘着剤2が重なる箇所においても、バネ136、137の機能によって、貼られた糸状粘着剤2を乗り越えてスムーズに糸状粘着剤2を貼り付けることができる。尚、バネ136、137に代えて、ノズル取付部106bとノズル107との間に、オイルダンパー又はエアシリンダーを取り付けて、吸収機構として機能させてもよい。上述した押圧機構BUは、一例に過ぎない。押圧機構BUは、ノズル107が上下方向に移動可能であり、かつ、ノズル107が取り付けられた土台の上下方向の変位に対するノズル107の変位を吸収する吸収機構を備えるように、他の構成を取り得る。
【0049】
ノズル取付部106bには、エアーチャック108及びエアーハサミ109が、ノズル107の左右側にそれぞれ取り付けられる(
図6、
図7参照)。エアーチャック108及びエアーハサミ109は、糸状粘着剤2の貼付が完了すると、駆動手段によって、
図6及び
図7に示す通常時の位置から、
図8に示す位置にそれぞれ移動される。エアーチャック108は、通常時の位置から斜め右下に移動され、ノズル107の直下において糸状粘着剤2をチャックする。エアーハサミ109は、通常時の位置から下方に移動された後、左方に移動されて、エアーチャック108の直下において、チャックされた糸状粘着剤2を切断する。エアーチャック108及びエアーハサミ109は、ノズル107と同様に取付プレート106を介して水平移動ユニット105の昇降体に取り付けられるため、ノズル107に対する位置関係を保持したまま、ノズル107とともに移動可能である。尚、エアーチャック108、エアーハサミ109は、それぞれ糸状粘着剤2を所定位置で保持、切断できればよく、形状、駆動方法等は限定されない。また、エアーハサミ109に代えて、ヒートカッター等の熱切断により、糸状粘着剤2を焼き切ってもよい。
【0050】
糸状粘着剤貼付装置101は、ノズル107、バネ136、137、水平移動ユニット105の昇降体、及び取付プレート106によって、供給部AUから供給された糸状粘着剤2を被着体に押し付ける。すなわち、ノズル107、バネ136、137、水平移動ユニット105の昇降体、及び取付プレート106は、押圧機構BUとして機能する。
【0051】
(糸状粘着剤貼付装置101の動作、糸状粘着剤貼付方法)
以上のように構成された糸状粘着剤貼付装置101を用いて、糸状粘着剤2を対象物に貼り付ける作業者は、まず、ステージ上に対象物を配置する。作業開始時において、巻取体からノズル107に供給された糸状粘着剤2は、ノズル107の先端107dから外部に導出され、作業者によって、対象物の所定位置に先端が押し付けられる。対象物に対するノズル107の相対位置は、図示しない制御装置(移動制御部)によって予め設定されたプログラムに従って移動制御される。プログラムには、ノズル107のXY平面における移動経路、移動速度、Z方向の移動量(押圧力の大きさ)等の指示が含まれる。プログラムに従って、ノズル107の移動が開始されると、糸状粘着剤2の対象物に対する粘着力によって、巻取体から糸状粘着剤2が繰り出される。繰り出された糸状粘着剤2の粘着剤面をノズル107が押して、粘着剤面を滑りながら、所定の経路に沿って糸状粘着剤2が対象物に押圧されて貼り付けられる(圧着される)。貼り付けが完了した後、エアーチャック108及びエアーハサミ109によって、糸状粘着剤2が所定位置で切断される。
【0052】
図11は、ノズル107が対象物上を移動する態様を示す概念図である。ノズル107が矢印L1で示すように直進する場合はもちろんのこと、矢印L2で示す曲線の曲がりが非常に大きい(急角度で曲がる)場合であっても、糸状粘着剤貼付装置101は、精度よく糸状粘着剤2を貼り付けることができる。糸状粘着剤貼付装置101は、ノズル107の先端107dにおける先端開口107cを囲む全周(周部の内任意の複数箇所)が、糸状粘着剤2を対象物に押し当てる押圧部として機能するので、移動方向を容易に変換できる。このため糸状粘着剤貼付装置101は、糸状粘着剤2を所定の貼付経路に沿って、精度よく貼り付けることができる。糸状粘着剤貼付装置101は、押圧部としてローラー等を用いないため、ローラーで粘着剤を押圧する場合における、ローラー幅内で粘着剤が移動するため貼り付け精度が悪い、貼付経路によっては粘着剤がローラーから脱輪する、といった不具合を防止できる。
【0053】
糸状粘着剤貼付装置101(移動制御部)は、糸状粘着剤2を所定経路に沿って対象物に貼り付ける際、所望箇所において、より強くノズル107を押し当てる、すなわち、ノズル取付部106bのZ軸方向下向きの変位量を増加(対象物に近接)させてもよい。ノズル取付部106bが瞬間的に降下された場合であっても、バネ136、137(吸収機構)によって、ノズル107は緩やかに降下するため、ノズル107が糸状粘着剤2を押圧する力を適切に上昇させて、所望箇所における糸状粘着剤2の粘着力を高めることができる。また、糸状粘着剤貼付装置101(移動制御部)は、所望箇所において、数秒間ノズル107を押しつつ、XY平面内での移動を止めて(対象物に対するノズル107の位置を固定して)もよい。ノズル107を押しつつノズル107の平面位置を移動させないことで、糸状粘着剤2の押圧時間を増やして、所望箇所における糸状粘着剤2の粘着力を高めることができる。糸状粘着剤2を巻取体120から繰り出しながら貼り付ける場合、所定経路の開始点(貼り付け初期)、所定経路に含まれる曲線の始点又は終点、所定経路に含まれる角の頂点等において、糸状粘着剤2が剥がれやすい。そこで、これらの箇所において、ノズル107を降下させたり、ノズル107を押しつつ数秒間止めることで、糸状粘着剤2の粘着力を高めて、剥がれを防止できる。
【0054】
(繰出アシスト機構)
図12~
図17を参照して、供給部AUに繰出アシスト機構を設ける例を説明する。繰出アシスト機構は、巻取体120から繰り出される糸状粘着剤2に対して、繰出方向に外力を加えるものである。繰出アシスト機構が繰出方向に外力を加えることにより、糸状粘着剤がセパレーターを有しない場合であっても、巻取体120に巻かれた糸状粘着剤2同士の自着力に抗して糸状粘着剤2を巻取体120からスムーズに繰り出すことができる。このため、糸状粘着剤2の張力を低減した状態で、糸状粘着剤2を対象物に押し当てることができる。したがって、対象物に押し当てられた糸状粘着剤2が、張力によってはがれる、切れる、再付着し絡まるといった不具合を防止して、糸状粘着剤2をスムーズに貼り付けることができる。
【0055】
図12~
図15に示す繰出アシスト機構150A、150B、150Ba、及び150Cは、糸状粘着剤2を巻取体120から押圧機構BUまで搬送する経路に設けられ、糸状粘着剤2を挟んで繰出方向に引っ張る引張力(矢印F1~F3)を、糸状粘着剤2に対して加える。
【0056】
図12に示す繰出アシスト機構150Aは、ローラー151(第一ローラー)、ローラー152(第二ローラー)と、バネ153(弾性体)と、バネ取付部154と、を有する。ローラー151は、図示しないモーターで駆動されて回転する繰出ローラーである。ローラー152は、ローラー151との間に糸状粘着剤2を挟み、ローラー151の回転に連動して回転されて、糸状粘着剤2を挟みつけて矢印F1の方向(回転方向)に引っ張り出す。ローラー151とバネ取付部154との間にはバネ153が取り付けられ、バネ取付部154が装置内に固定される。バネ153によって、ローラー151、152による引張力を調整できる。また、ローラー151の回転を制御することで、貼付距離(ノズル107の移動距離)に合わせて糸状粘着剤2を繰り出すことができる。尚、バネ153を設けず、ローラー151、152が左右方向(矢印F1の方向に交わる方向)に移動可能となるよう構成してもよい。
【0057】
図13に示す繰出アシスト機構150Bは、ローラー155(第三ローラー)、ローラー156(第四ローラー)、ローラー157(第五ローラー)を有する。ローラー155、156は、糸状粘着剤2を互いの間にチャック及びチャック解除可能である。ローラー157は、巻取体120とローラー155、156との間に配置され、巻取体120からローラー157を経てローラー155、156に至る経路を長くするように変位可能である。ローラー157がこの経路を長くするように変位することにより、糸状粘着剤2が巻取体120から矢印F2の方向に引っ張られて繰り出される。繰り出された糸状粘着剤2は、ローラー155、156にチャックされて押圧機構BU(ノズル107)に供給される。そして、ローラー155、156によるチャックが解除されると、押圧機構BUが糸状粘着剤2を対象物に押し当てる。ローラー155、156によるチャックが解除されている間に、ローラー157は元の位置に戻る。ローラー157の変位を制御することで、貼付距離(ノズル107の移動距離)に合わせて糸状粘着剤2を繰り出すことができる。また、糸状粘着剤2の貼付中に糸状粘着剤2が足りなくなった場合には、ローラー155、156により再度糸状粘着剤2をチャックしローラー157を変位させて、糸状粘着剤2を繰り出すことができる。
【0058】
図14に示す繰出アシスト機構150Baは、ローラー165、166、167、168と、アーム169と、を有する。ローラー165は、図示しないモーターで駆動されて回転する繰出ローラーである。ローラー166は、ローラー165との間に糸状粘着剤2を挟み、ローラー165の回転に連動して回転されて、糸状粘着剤2を挟みつけて矢印F2aの方向に引っ張り出す。ローラー167、168は、ローラー165、166と押圧機構BUとの間に設けられ、ローラー165、166によって引っ張り出された糸状粘着剤2を押圧機構BUへ案内する。アーム169は、一端にローラー167が取り付けられ、他端が糸状粘着剤貼付装置101の筐体に軸支され、ローラー167の位置を算出するためのポテンショメータが取り付けられる。ローラー167が
図14に示す位置から下方に移動する(ローラー165、166からローラー168に至る経路を長くするように変位する)と、糸状粘着剤2の搬送速度が下がる。このように、ローラー165、166によって糸状粘着剤2を繰り出し、ローラー167の変位により、繰り出された糸状粘着剤2の急激な速度変化を緩和できる。
【0059】
図15は、作業者が把持して使用する態様の糸状粘着剤貼付装置101Aにおいて、繰出アシスト機構150Cを設けた例を示す。糸状粘着剤貼付装置101と同様の機能を有する部材には同じ符号を付す。糸状粘着剤貼付装置101Aは、作業者が片手で把持できる大きさ・形状の筐体K1内に、供給部AU(巻取体120)と繰出アシスト機構150Cとを備え、筐体K1の先端にノズル107Aを有する。繰出アシスト機構150Cは、ローラー158(第一ローラー)、ローラー159(第二ローラー)と、バネ160(弾性体)と、バネ取付部161と、を有する。ローラー158は、その一部が筐体K1において切り欠かれた箇所から、筐体K1の外部に露出し、作業者の指Mで回転操作される。ローラー159は、ローラー158との間に糸状粘着剤2を挟み、ローラー158の回転に連動して回転されて、糸状粘着剤2を挟みつけて矢印F3の方向(回転方向)に引っ張り出す。ローラー159とバネ取付部161との間にはバネ160が取り付けられ、バネ取付部161が筐体K1の内壁に固定される。バネ160によって、糸状粘着剤2への圧縮力(つぶれの程度)を調整できる。
【0060】
繰出アシスト機構150Cによって引っ張られ繰り出された糸状粘着剤2は、低張力で、筐体K1先端のノズル107Aの筒状内部空間を通過して、筐体K1の外部に導出される。ノズル107Aは、ノズル107と同様の材質で構成され、先端開口が円形または五角形以上の多角形とされる。また、ノズル107Aは、筒状内部空間を通過して外部に導出された糸状粘着剤2を、先端開口を囲む周部のうち全周又は任意の複数箇所で、対象物に押し当てる。すなわち、筐体K1を把持した作業者は、指Mでローラー158を回転させながら、ノズル107Aを対象物に押し当てて、ペンのような筆記具を操作する感覚で、糸状粘着剤貼付装置101Aを使用して、糸状粘着剤2を任意の経路で対象物に貼り付けることができる。
【0061】
図16及び
図17に示す繰出アシスト機構150D及び150Eは、巻取体120を繰出方向に回転させて糸状粘着剤2を送り出す押出力を、糸状粘着剤2に対して加える。
【0062】
図16に示す繰出アシスト機構150Dは、サーフェスドライブSDと、巻取体保持棒162と、を有し、糸状粘着剤貼付装置101の巻取体保持部に代わって、巻取体120を保持する。サーフェスドライブSDは、巻取体120に巻かれた糸状粘着剤2又は巻取体120の外周面に接触して、巻取体120を回転可能に保持する。サーフェスドライブSDは、図示しないモーターによって回転駆動されることによって、矢印F4で示す繰出方向に、巻取体120を回転させる。巻取体保持棒162は、巻取体120の両端側に配置されて、サーフェスドライブSDに保持された巻取体120を回転可能、かつ、サーフェスドライブSDから脱落を防止するように、保持する。巻取体120を回転させて糸状粘着剤2に押出力を加える繰出アシスト機構150Dによって、糸状粘着剤2は低張力で押圧機構BUに供給される。
【0063】
図17は、作業者が把持して使用する態様の糸状粘着剤貼付装置101Bにおいて、繰出アシスト機構150Eを設けた例を示す。糸状粘着剤貼付装置101と同様の機能を有する部材には同じ符号を付す。糸状粘着剤貼付装置101Bは、作業者が片手で把持できる大きさ・形状の筐体K2内に、供給部AU(巻取体120)と繰出アシスト機構150Eとを備え、筐体K2の先端にノズル107Bを有する。繰出アシスト機構150Eは、歯車163と、ローラー164と、を有する。歯車163は、供給部AU(巻取体120)に取り付けられ、巻取体120とともに回転する。歯車163は、その一部が筐体K2において切り欠かれた箇所K21から、筐体K2の外部に露出し、作業者の指Mで回転操作される。歯車163が指Mで回転されることで、糸状粘着剤2に押出力が加えられる。
押し出された糸状粘着剤2は、ローラー164にガイドされてノズル107Bに到達し、低張力で、ノズル107Bの筒状内部空間を通過して、筐体K2の外部に導出される。ノズル107Bは、ノズル107Aと同様に構成される。ノズル107Bは、筒状内部空間を通過して外部に導出された糸状粘着剤2を、先端開口を囲む周部のうち全周又は任意の複数箇所で、対象物に押し当てる。このため、筐体K2を把持した作業者は、指Mで歯車163を回転させながら、ノズル107Bを対象物に押し当てて任意の経路を描くことができる。したがって作業者は、ペンのような筆記具を操作する感覚で、糸状粘着剤貼付装置101Bを使用して、糸状粘着剤2を任意の経路で(様々な形状に)対象物に貼り付けることができる。尚、
図17に示す繰出アシスト機構150Eに代えて、ノズル107Bの動き(ノズル107による糸状粘着剤2の押圧)をゴム製等のベルトで巻取体120の芯(回転軸)に伝えて、糸状粘着剤2の繰出をアシストしてもよい。また、巻取体120の芯を直接回転させて、糸状粘着剤2の繰出をアシストしてもよい。
【0064】
繰出アシスト機構150A、150B、150Ba、150C、150D、150Eと、押圧機構BU(ノズル107)、ノズル107A、107Bとの間における、糸状粘着剤2を搬送する経路には、糸状粘着剤2に張力を加えるローラー等の部材が存在しないことが好ましい。また、糸状粘着剤貼付装置101において、糸状粘着剤2を搬送する経路に張力検出器を設け、検出された張力値に応じて繰出アシスト機構150A、150B、150Dを制御して、一定の張力となるよう糸状粘着剤2を繰り出してもよい。また、上記実施形態では、ステージ上に載置された被着体に対して、糸状粘着剤2を貼り付ける例を示したが、例えば六軸の自由度を有する多関節ロボットアームにノズル107を取り付けることにより、曲面等の立体形状を有する被着体に糸状粘着剤2を貼り付けることができる。
【0065】
(第2実施形態)
図18は、本発明に係る糸状粘着剤貼付装置の第2実施形態を示す概略図である。
図18に示す様に、本実施形態の糸状粘着剤貼付装置100は、軸形状を呈する本体1と、その両端に取り外し可能に設けられた先端部4を備えている。また、本体1には、樹脂等により構成されたグリップ3が設けられている。
【0066】
作業者がグリップ3の部分において糸状粘着剤貼付装置100を把持し、先端部4を糸状粘着剤2の被着体である対象物に押し付け、一方向に移動させることにより、糸状粘着剤2が送り出し可能となっている。すなわち、作業者は軸形状の細長い本体1(のグリップ3)を把持しつつ、ペンの様な筆記具を操作する感覚で、糸状粘着剤貼付装置100を使用することができる。例えば作業者は、障害物の多い狭い場所等でも思い通りに糸状粘着剤貼付装置100を操作し、多様な作業を効率よく実施することが可能となる。
【0067】
本体1は、一軸方向に延びた軸形状を呈するとともに、その内部には、
図18に示す様に軸形状の内部空間Sが画定されている。本体1の一端(先端)には、テーパー形状を有する先端部4が取り外し可能に取り付けられている。先端部4の形状は、シャープペンシルの先のように、テーパー形状の先に筒状のパイプを有する形状であってもよい。先端部4の先端には、先端開口4aが形成されており、本体1の内部空間Sが先端開口4a(筒状内部空間)により外部に通じている。先端部4は、本体1よりも断面積が小さくなる位置P1(
図18)から先端開口4aまでの領域によって定義される。本体1の他端(後端)には、糸状粘着剤2を巻き取り可能な巻取体が内部に取り付けられる。
【0068】
本実施形態において、先端部4は先端に向かうほど断面が小さくなるテーパー形状を有することにより、狭い場所での作業性が向上する。また、先端部4がテーパー形状の先に筒状のパイプを有する場合、パイプが細くて長いほど、狭い場所での作業性が向上する。
図19は、先端開口4aの側から見た先端部4の断面の例を示す図であり、(a)は円形断面の先端部4、(b)は五角形状断面の先端部4をそれぞれ示す。円形または五角形以上の断面形状を有する先端開口4aの周部のうち複数箇所が押圧部として機能するので、貼付方向の転換を容易に行うことができる。先端部4の全体形状は特に限定されず、例として円錐形状、四角錐形状、万年筆のペン先形状(受け皿形状)等が挙げられる。先端部4の全体形状は、極端に細長いストロー型でも良い。
【0069】
図18に示す先端部4の長さは、3mm以上、好ましくは10mm以上であることが望ましい。
図19に示す先端部4の幅Wは、先端部4の最も断面積が小さい位置によって定義されるが、幅Wは先端部4の内径(直径)に相当するものでもある。先端部4の最小断面積は、糸状粘着剤2の断面積の1.2~9倍までの範囲にあることが好ましい。このため、例えば、糸状粘着剤2の断面が直径0.3mmの円形である場合、先端部4の幅Wの大きさは、約0.32~0.9mmまでの範囲に設定される。このような大きさであれば、作業性の向上が期待される。また、糸状粘着剤貼付装置100においては、糸状粘着剤2が、先端部4の先端開口4aにより余計な動きが規制される。このため、押圧部としてローラー等を用いることなく、作業者がグリップ3の部分において糸状粘着剤貼付装置100を把持し、先端部4を任意の複数方向に移動させながら糸状粘着剤2を貼り付けることができる。したがって、ローラーで粘着剤を押圧する場合における、ローラー幅内で粘着剤が移動するため貼り付け精度が悪い、張り付け経路によっては粘着剤がローラーから脱輪する、といった不具合を防止して、糸状粘着剤を精度よく貼り付けることができる。さらに、先端部4がテーパー形状の先に筒状のパイプを有する場合には、パイプが細くて長いほど、狭い場所での作業性が向上する。
【0070】
(第3実施形態)
図20は、第3実施形態の糸状粘着剤貼付装置100の内部構造を示す斜視図である。本実施形態においては、本体1の他端(後端)において、糸状粘着剤2を巻き取り可能な巻取体5が本体1の軸方向に垂直な方向を軸として回転可能に取り付けられる。糸状粘着剤2は内部空間Sを通過して先端開口4aから外へ出るので余計な動きが規制される。さらに、先端開口4aの周部のうち複数箇所が押圧部として機能するので、貼付方向の転換を容易に行うことができる。
【0071】
(第4実施形態)
図21は、第4実施形態の糸状粘着剤貼付装置200の主要部を正面視で示す模式図である。糸状粘着剤貼付装置200は、押圧機構BU及び搬送部CUの構成、並びに、切断時における糸状粘着剤2の余長低減のための構成が、第1実施形態の糸状粘着剤貼付装置101と異なる。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0072】
糸状粘着剤貼付装置200は、押圧機構BUと搬送部CUの主要部とが、略矩形状の取付プレート201の前面に取り付けられて、位置決め部DUによって位置決めされる。
【0073】
(糸状粘着剤貼付装置200の搬送部CU)
糸状粘着剤貼付装置200は、搬送部CUの一例として、ローラー122(
図5参照)と、ローラー202、203、204、移動部205、アーム206、ローラー207、208、209、移動部210、ローラー211、及び移動部212を有し、供給部AU(巻取体)から繰り出された糸状粘着剤2をノズル107まで搬送する。
【0074】
ローラー202、203、204、207、208、209、211は、前述したローラー122等と同様に構成され、取付プレート201に対して直接又は間接的に、鉛直面(YZ平面)内で回転可能に取り付けられる。ローラー202、203、204、207、208、209、211は、一例として、それぞれの回転する位置が、取付プレート201の前面側(
図21における紙面手前側)からの距離が略同一となるように配置される。
【0075】
ローラー202は、取付プレート201の左上隅に取り付けられ、糸状粘着剤2をローラー203、204に案内する。ローラー202の左側には、巻取体保持部121の左側に立設された前記フレームにおいて、ローラー122の右側に、搬送する糸状粘着剤2の張力に応じて上下動可能なローラー及びこのローラーの右側上方に設けられたローラー(いずれも図示せず)が配置されてもよい。これらのローラーにより、ローラー202に供給する糸状粘着剤2の張力を一定に調整できる。
【0076】
ローラー203は、取付プレート201において、ローラー202の右側やや下方に取り付けられる。ローラー203は、図示しないモーターで駆動されて回転する繰出ローラーである。
【0077】
ローラー204は、ローラー203の右上に配置され、取付プレート201に対して矢印D1の方向(右上及び左下方向)に移動(スライド)するエアシリンダー等の移動部205の、左下側端部に取り付けられる。ローラー204は、最も左下に位置したときに、ローラー203の回転に連動して回転されて、ローラー203との間に糸状粘着剤2を挟み付けて、矢印F5の方向に引っ張り出す。
【0078】
アーム206は、ローラー202、203及び移動部205の下方において左右方向に延びる棒状体である。アーム206は、右側端部にローラー207が取り付けられ、回転軸206aによって、左側端部近傍が取付プレート201に回転可能に軸支され、ローラー207の位置を算出するためのポテンショメータが回転軸206aに取り付けられる。アーム206は、例えば取付プレート201の背面側に設けられたモーター等の駆動部により矢印D2の方向(略上下方向)に回動される。すなわち、ローラー207は、アーム206の回動により、上下方向に移動可能とされる。
アーム206の左側端部には、アーム206の延在方向に沿って延び、外周面に螺旋状の突条が設けられたシャフト206bが突設される。シャフト206bには、1又は複数のおもり206cが取り付けられる。おもり206cは、略円盤状を有し、中心に設けられた貫通孔に、シャフト206bの突条と螺合する溝が形成される。シャフト206bにおけるおもり206cの位置をずらして、おもり206cと回転軸206a(アーム206の左側端部)との距離を変更することで、アーム206の動きやすさをコントロール可能である。
【0079】
ローラー208は、取付プレート201において、ローラー207の右上、かつローラー204の右側に取り付けられる。ローラー208は、ローラー203、204によって引っ張り出され、ローラー207を経由した糸状粘着剤2を、ローラー208の直下に設けられた押圧機構BU(ノズル107)へ案内する。
【0080】
ローラー207が下方に移動する(ローラー203、204からローラー208に至る経路を長くするように変位する)と、糸状粘着剤2の搬送速度が下がる。このように、ローラー203、204によって糸状粘着剤2を繰り出し、ローラー207の変位により、繰り出された糸状粘着剤2の急激な速度変化を緩和できる。すなわち、ローラー203、204、207、208及びアーム206は、
図14に示した繰出アシスト機構150Baとして機能する。
【0081】
(糸状粘着剤貼付装置200における余長低減)
ローラー208の右側、すなわち、ノズル107の上方には、取付プレート201に対して矢印D3の方向(左右方向)に移動する移動部210の左側端部に取り付けられたローラー209が配置される。ローラー209は、最も左に位置したときにローラー208との間に糸状粘着剤2をニップ可能となるように、ローラー203に隣接配置される。ノズル107の上流に設けられたローラー209は、糸状粘着剤2の貼付が終了しノズル107が上昇すると、ローラー208との間に糸状粘着剤2をニップ(チャック)する。この状態で、被着体Hに近接した位置で糸状粘着剤2を切断する。
【0082】
第1実施形態においては、エアーチャック108によって、ノズル107の下方(下流)で糸状粘着剤2をチャックしていたのに対し、本実施形態では、ノズル107の上流にローラー209を設け、糸状粘着剤2を搬送するローラー208との間で糸状粘着剤2をチャックする。この構成により、ノズル107下方におけるエアーチャック108用のスペースを削減できるため、切断時(終点)の余長を減らすことができる。
【0083】
ローラー211は、ローラー208、209及び移動部210の下方、すなわち、ノズル107の上方に配置され、取付プレート201に対して矢印D4の方向(左右方向)に移動する移動部212の左側端部に取り付けられる。ローラー211は、一例として、右側に位置するときには、糸状粘着剤2を通過させてノズル107内に案内し、糸状粘着剤2が切断されると、左側に移動することにより糸状粘着剤2を左方向に押して、糸状粘着剤2の切断された先端部(下端部)を上方に移動させる。糸状粘着剤2の切断後に、糸状粘着剤2の下端部を上昇させることにより、次回の糸状粘着剤2貼付開始時(始点)の余長を減らすことができる。ローラー211の右側を糸状粘着剤2が通過する場合には、ローラー211を右側に移動させて糸状粘着剤2を右方向に引いて、糸状粘着剤2の下端部を上方に移動可能である。
【0084】
糸状粘着剤2の余長低減については、ローラー203等を逆回転させて行うことも考えられるが、逆回転により糸状粘着剤2がローラー203等に巻き付く、巻取体にうまく巻けない、といった不具合が懸念される。この点、上述したように、ローラー208、209で糸状粘着剤2をニップして切断し、その後、ローラー211で糸状粘着剤2の下端部を上昇させることで、上記不具合なく、終点及び始点の余長を減らすことができる。
【0085】
尚、ローラー211の下方に、取付プレート201の前面に立設されたガイド棒(図示せず)が設けられてもよい。ガイド棒は、表面(外周面)が非粘着面とされ、糸状粘着剤2の左方向への変位を規制できる。
【0086】
(糸状粘着剤貼付装置200の押圧機構BU)
糸状粘着剤貼付装置200は、押圧機構BUの一例として、ノズル107、スライダー213、固定部214、及びバネ215を有し、搬送部CUに搬送された糸状粘着剤2を被着体Hに貼り付ける。押圧機構BUは、取付プレート201において、ローラー211及び移動部212の下方に設けられる。
【0087】
ノズル107は、スライダー213の前面に固定され、取付プレート201の下端から先端開口107cが突出可能とされる。スライダー213は、リニアガイド等により取付プレート201に対して上下方向に移動可能とされる。
【0088】
取付プレート201においてスライダー213の上方には固定部214が固定される。固定部214は、内部にシャフトが挿通されたバネ215を、スライダー213の上面との間に保持する。
【0089】
このように、本実施形態のノズル107は、第1実施形態と同様に、上下方向に移動可能であり、かつ、ノズル107が取り付けられた土台の上下方向の変位に対するノズル107の変位を吸収する吸収機構を備えるように、構成される。
【0090】
また、取付プレート201における押圧機構BUの右側には、エアーハサミ109(ニッパー)が配置される。エアーハサミ109は、駆動手段によって、通常時の位置から斜め左下に移動され、ノズル107の直下において糸状粘着剤2を切断する。このとき、上述したように、糸状粘着剤2がノズル107の上方で(ローラー208、209により)チャックされることから、エアーチャック108が不要となる。このため、ノズル先端107cと、被着体Hに貼り付けられた糸状粘着剤2との距離を低減して、切断時(終点)の余長を減らすことができる。
【0091】
(短い余長での貼付に関する工夫)
図22及び
図23を参照して、余長が短い場合の貼付始点作成におけるノズル107の動きを説明する。糸状粘着剤2の貼付開始時において、余長が短い場合、
図22(a)に示す矢印N1の方向に、ノズル107を垂直に降下させると、
図22(b)に示すように、糸状粘着剤2がノズル107の内部に潜り込み、始点が被着体Hに貼り付かない場合がある。そこで、
図23(a)に示す状態から、ノズル107を斜め方向(矢印N2の方向)に降下させると、
図23(b)に示すように、糸状粘着剤2がノズル107内に潜り込むことなく始点を作成できる。
【0092】
以上説明したように、糸状粘着剤貼付装置200は、繰出アシスト機構(ローラー203、204、207、208及びアーム206)及び余長低減のための構成(ノズル107の上流で糸状粘着剤2をチャックするローラー208、209、切断された糸状粘着剤2をノズル107の上流で押す/引くローラー211)を備える。この構成により、第1実施形態と同様の効果に加え、低テンションでの糸状粘着剤2搬送が可能となり、かつ、貼付開始時及び終了時の余長低減が可能となる。したがって、糸状粘着剤2の貼付を高速かつ無駄なく行うことができる。
【0093】
(第5実施形態)
図24は、第5実施形態の糸状粘着剤貼付装置200Aを示す斜視図であり、
図25は、第5実施形態の糸状粘着剤貼付装置200Aにおいて開閉フレーム235を開いた状態を示す正面図である。糸状粘着剤貼付装置200Aは、本体フレーム230、把持部231、及び、糸状粘着剤2を巻取可能な巻取体240が保持される開閉フレーム235を主に備える。
【0094】
本体フレーム230は、上下方向に延びる細長板材の下部が斜め方向に屈曲されて先細とされている。本体フレーム230の屈曲された箇所にはノズル107が固定され、先細とされた下端には押さえローラー232を有する。ノズル107は、
図25に示すように、本体フレーム230の軸線方向に沿って取り付けられる。また、ノズル107の先端開口107cの前側における先端開口107cよりもやや上方位置に、押さえローラー232が配置される。押さえローラー232は、垂直面内において回転可能に、本体フレーム230に取り付けられる。押さえローラー232の機能については後述する。
【0095】
本体フレーム230の略中央には、モーター233及びモーター233に駆動されるローラー234が取り付けられる。ローラー234は、垂直面内で回転可能に、開閉フレーム235に取り付けられ、ローラー234の回転に伴って回転するローラー236との間に糸状粘着剤2を挟んで、糸状粘着剤2を巻取体240から繰り出す。すなわち、ローラー234、236は、繰出アシスト機構として機能する。モーターには、モーター233の回転速度を調整、すなわち糸状粘着剤2の繰出速度を手動で調整するためのスピードボリューム(図示せず)が設けられる。
【0096】
本体フレーム230の中央よりやや下方には、略矩形板状の把持部231が後方に突出して設けられる。把持部231は作業者によって把持される。把持部231には、モーター233のオン/オフを切り替え、糸状粘着剤2の繰出を開始/停止させるためのスイッチ231Aが設けられる。スイッチ231Aは、一例として、作業者が把持部231を把持した状態で人差し指で操作しやすい位置に設けられ、押下されている間はモーター233をオンとし、押下解除された場合(すなわち、押下されない場合)にモーター233をオフとする。
【0097】
開閉フレーム235は、ローラー236を垂直面内で回転可能に保持するローラー保持部237と、巻取体240を鉛直面内で回転可能に保持する巻取体保持部238と、を有する。開閉フレーム235は、下端側の後方において本体フレーム230に軸支され、本体フレーム230に対して開閉可能とされる。
【0098】
作業者は、
図25に示す開状態において、巻取体240を巻取体保持部238にセットし、糸状粘着剤2をローラー236の回転面を経由してノズル107の内部に挿入する。そして、作業者は、巻取体240がセットされた開閉フレーム235を後方に回動させて閉じ、上端を本体フレーム230に係合させて、
図24に示す閉状態とする。
【0099】
作業者は、
図24に示すように把持部231を把持して、ノズル107の先端(先端開口107c)を被着体に近接させる。このとき、糸状粘着剤2の余長が短い場合、作業者は、
図23に示したように斜め方向にノズル107を降下させることで、糸状粘着剤2がノズル107内に潜り込むことなく、確実に始点を作製できる。
【0100】
作業者がスイッチ231Aを操作するとモーター233が回転し、モーター233の回転によりローラー234、236が糸状粘着剤2を巻取体240から繰り出す。作業者が被着体上でノズル107を任意の方向に移動させることで、巻取体240から繰り出された糸状粘着剤2を任意の経路で被着体に貼り付けられる。
【0101】
図26は、糸状粘着剤貼付装置200Aを用いた貼付動作終了時に糸状粘着剤2を切断する様子を示す。作業者は、貼付動作が終了すると、スイッチ231Aを操作(押下解除)してモーター233の回転を停止させる。そして作業者は、終点位置において、
図26に示すように、本体フレーム230を垂直方向に対して傾け、押さえローラー232で糸状粘着剤2を被着体に対して押しつける。押さえローラー232で糸状粘着剤2を押さえることにより、貼り付けた箇所(糸状粘着剤2の終点)が持ち上がって剥がれるのを防止できる。
【0102】
作業者は、上記のように終点を押さえローラー232で押さえた状態で、終点近傍の糸状粘着剤2をハサミ241で切断する。押さえローラー232はノズル107の近傍に設けられるので、作業者は、糸状粘着剤貼付装置200A(本体フレーム230)を把持したまま傾けるだけの簡単な操作により、糸状粘着剤2の終点の剥がれを防止できる。
【0103】
以上説明したように、本実施形態の糸状粘着剤貼付装置200Aによれば、狭い場所での作業性は第2実施形態の糸状粘着剤貼付装置100の方が優れるものの、第2実施形態と同様に、ノズル107の先端開口107cの周部のうち複数箇所が押圧部として機能するので、貼付方向の転換を容易に行うことができる。したがって、作業者が把持部231を把持しつつ、任意の方向に移動させながら糸状粘着剤2を貼り付けることができる。
【0104】
(第6実施形態)
図27は、第6実施形態の糸状粘着剤貼付装置200Bを示す模式図である。糸状粘着剤貼付装置200Bは、取付板250と、取付板250に設けられたローラー251、252、及びノズル107とを備え、糸状粘着剤2を巻取可能な巻取体260が、垂直面内で回転可能に取付板250に保持される。糸状粘着剤貼付装置200Bは、例えば取付板250が支持フレームにより卓上に固定配置されて使用される、据え置き型貼付装置である。
【0105】
取付板250の正面側において、巻取体260の側方(
図27における右側)には、ローラー251、252が配置される。ローラー251は、取付板250の背面側に設けられたモーターにより駆動される。ローラー252は、ローラー251との間に糸状粘着剤2を挟み、ローラー251の回転に伴って回転する。ローラー251、252の回転により、糸状粘着剤2が巻取体260から繰り出される。取付板250の下端におけるローラー251、252の下方(直下)には、ノズル107が固定される。
【0106】
作業者は、モーターを駆動させて糸状粘着剤2を繰り出し、ノズル107の先端開口107cに被着体Hを当てて、被着体Hを動かしながら、任意の経路で糸状粘着剤2を貼り付ける。貼付終了時には、モーター駆動を停止させ、糸状粘着剤2をハサミ等で切断する。
【0107】
このように、第6実施形態の糸状粘着剤貼付装置200Bによれば、作業者は、被着体Hを把持してノズル107の先端開口107cに当てながら被着体Hを動かすことで、平面又は立体形状を有する被着体Hに、任意の経路で糸状粘着剤2を貼り付けることができる。
【0108】
(糸状粘着剤2の詳細)
図28は、第1~第6実施形態の糸状粘着剤貼付装置100、101等において使用される糸状粘着剤2の模式図を示す。糸状粘着剤2は、線状の芯材2aと、芯材2aの長手方向の表面を被覆する粘着剤層2bからなる線状の粘着体によって構成される。
【0109】
糸状粘着剤2は、長尺状の粘着体であって線状を呈する。ここにいう線状とは、直線状、曲線状、折れ線状等の他にも、糸のように多様な方向、角度に曲げられうる状態(すなわち、糸状)をも包含する概念である。また、本明細書における粘着剤層は、線状のものも包含する。
【0110】
なお、本構成例の糸状粘着剤2の断面の形状は円形であるが、本実施形態はこれに限定されず、その断面の形状としては、円形の他にも、楕円形、四角形等の矩形等をとりうる。
【0111】
粘着剤層2bは粘着剤組成物により形成される粘着剤を含む。粘着剤としては、上記ゲル分率、及びゲル分率の変化量を満たすものであれば特に限定されず、公知の粘着剤を用いることが可能である。例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、フッ素系粘着剤、エポキシ系粘着剤などが挙げられる。中でも、接着性の点から、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤、又はポリエステル系粘着剤が好ましく、特にアクリル系粘着剤が好ましい。なお、粘着剤は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、本実施形態における粘着剤は、常温で粘着性を有し、粘着剤の表面と被着体の表面との接触時に生じる圧力によって、被着体をその表面に貼付できる感圧型粘着剤であることが好ましい。感圧型粘着剤であれば、加熱を要さず、熱に弱い被着体にも適用可能である。
【0112】
なお、粘着剤としては、溶剤型の粘着剤と水分散型の粘着剤のいずれのタイプも使用することができ、粘着剤組成物の乾燥(溶媒揮発)により架橋が進行し、乾燥後に架橋が速やかに完了するものが好ましい。粘着剤層の表面が互いに接触した後に新たな架橋を増加させないためである。ここで、高速塗工が可能であり、環境にやさしく、溶剤による基材や芯材への影響(膨潤、溶解)が少ない面から、水分散型粘着剤が好ましく、水分散型のアクリル系粘着剤がより好ましい。
【0113】
ここで、芯材を有する粘着体において、粘着剤層は芯材表面(長手方向の表面)の全部を被覆していてもよいが、芯材表面の少なくとも一部のみを被覆していてもよい。また、粘着剤層は典型的には連続的に形成されるが、かかる形態に限定されるものではなく、例えば点状、ストライプ状等の規則的あるいはランダムなパターンに形成されてもよい。なお、芯材の端面は粘着剤層によって被覆されていてもいなくともよい。例えば、粘着体が製造過程や使用時に切断されるような場合には、芯材の端面は粘着剤層によって被覆されないことがありうる。
【0114】
糸状粘着剤2に用いられる芯材としては、例えば、樹脂、ゴム、発泡体、無機繊維、これらの複合体等を用いることができる。樹脂の例としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル;塩化ビニル樹脂;酢酸ビニル樹脂;ポリイミド樹脂;ポリアミド樹脂;フッ素系樹脂等が挙げられる。ゴムの例としては、天然ゴム、ウレタンゴム等の合成ゴム等が挙げられる。発泡体の例としては、発泡ポリウレタン、発泡ポリクロロプレンゴム等が挙げられる。繊維の例としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、化学繊維(再生繊維、半合成繊維、合成繊維等)、天然繊維(植物繊維、動物繊維、その他)等があげられる。また、芯材の断面形状は特に限定されないが、通常、粘着体の断面形状に応じた断面形状を有する。
【0115】
また、糸状粘着剤2に用いられうる糸状の芯材の材質としては、レーヨン、キュプラ、アセテート、プロミックス、ナイロン、アラミド、ビニロン、ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリクラール、ポリ乳酸等の各種高分子材料、ガラス、炭素繊維、天然ゴムやポリウレタン等の合成ゴム等の各種ゴム、綿、ウール等の天然材料、金属等が使用できる。また、糸状の芯材の形態としては、例えば、モノフィラメントの他、マルチフィラメント、スパンヤーン、捲縮加工や嵩高加工等を施した一般的にテクスチャードヤーン、バルキーヤーン、ストレッチヤーンと称される加工糸、あるいはこれらを撚り合わせる等して組み合わせた糸が使用できる。また、断面形状も、円形だけでなく、四角形状等の矩形状の糸や、星型形状、楕円形状、中空等でありうる。
【0116】
なお、芯材には、必要に応じて、充填剤(無機充填剤、有機充填剤など)、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、着色剤(顔料、染料など)等の各種添加剤が配合されていてもよい。芯材の表面には、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、下塗り剤の塗布等の、公知または慣用の表面処理が施されていてもよい。
【0117】
芯材の断面のサイズは特に限定されず、目的に応じて適宜選択できるが、例えば円形の断面形状である場合、ハンドリング性(屈曲性、切れにくさ)の観点からは、その直径は好ましくは1μm~2000μmであり、より好ましくは10μm~1000μmである。
【0118】
粘着剤層の厚みは特に限定されないが、粘着性の観点からは、例えば1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。また、厚みムラ、乾燥性の観点からは、例えば200μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましい。さらに、積層することで用途に応じて厚くすることもできる。
【0119】
特に糸状粘着剤2は、粘着剤層2bを形成する粘着剤が常温で粘着性を有し、粘着剤の表面と被着体の表面との接触時に生じる圧力によって、被着体をその表面に貼付できる感圧型粘着体であることが好ましい。感圧型粘着体であれば、加熱を要さず、熱に弱い被着体にも適用可能である。
【0120】
上記のとおり、糸状粘着剤2の形状は特に限定はされないが、糸状粘着剤2の断面形状における短軸(断面の重心を通る軸の内最も短い軸)の長さに対する長軸(断面の重心を通る軸の内最も長い軸)の長さの割合(長軸/短軸)が大きいほど糸状粘着剤2は扁平な形状となる。一方、当該割合が小さいほど糸状粘着剤2の断面形状は円形に近づき、当該割合は断面の形状が円形である場合に最小値である1となる。最小値1の場合には、三角形、星形等のような特殊な形状も含まれる。
【0121】
糸状粘着剤2がセパレーターを有してもよい。糸状粘着剤2がセパレーターを有する場合は、糸状粘着剤2がノズル107等に到達する前においてセパレーターを粘着剤層から剥離して、粘着体を対象物に貼付する。糸状粘着剤2がセパレーターを有することで、粘着剤の自着力を下げることができるため、糸状粘着剤2の張力を低減した状態で、糸状粘着剤2を対象物に押し当てることができる。したがって、対象物に押し当てられた糸状粘着剤2が、張力によってはがれる、切れる、再付着し絡まるといった不具合を防止して、糸状粘着剤2をスムーズに貼り付けることができる。
【0122】
糸状粘着剤2の実施形態および使用方法は、おおよそ以下の4つのパターンに分類される。ここでの非粘着層は、粘着体の表面(長手方向の表面)を被覆する層であり、例えば延伸前の初期状態では粘着体を被覆するが、粘着体を延伸することで破断され、粘着体の粘着性が発現するようなものが含まれる。しかしながら、非粘着層の種類、素材などは特に限定されない。
【0123】
1)非粘着層がない粘着体をそのまま圧着
2)非粘着層がない粘着体+セパレーター(セパレーターは圧着前に剥離される)
3)非粘着層により被覆された粘着体
4)非粘着層により被覆された粘着体+セパレーター(セパレーターは圧着前に剥離される)
【0124】
さらに、本実施形態の糸状粘着剤2は、可曲性を有し、糸のように多様な方向、角度に曲げられうる糸状である。可曲性を有する粘着体、特に糸状である粘着体によれば、上記した効果に加えて、曲線や曲面、凹凸などの複雑な形状にも適用させやすいという利点を有する。
【0125】
例えば、曲線や曲面、凹凸などの複雑な形状の部分を有する被着体に粘着テープを貼り付けようとすると、かかる部分において粘着テープにしわや重なりが生じてしまい、はみ出しを抑えて綺麗に貼り付けることは困難であり、また、しわや重なりの生じた部分は粘着力が低下する要因ともなるおそれがある。また、しわや重なりを生じないようにしながら粘着テープを貼り付けるには、粘着テープを細かく切断しながら貼り付けることも考えられるが、作業性が大幅に悪化することとなる。一方、可曲性を有する粘着体、特に糸状である粘着体であれば、曲線や曲面、凹凸などの複雑な形状の部分に貼り付ける際にも、しわや重なりを生じることなく強固に貼り付けることができる。さらに、かかる粘着体は、貼り付けたい部分に、一度に、すなわち一工程で貼り付け可能であることから、作業性にも優れ、自動化ラインにも適用可能である。
【0126】
糸状の粘着体の具体的な用途の一例としては、例えば、電線や光ファイバー等のケーブル、LEDファイバーライト、FBG(Fiber Bragg Gratings、ファイバブラッググレーティング)等の光ファイバセンサ、糸、紐、ワイヤ等の各種線材(線状部材)や、細幅の部材を、所望の形態で固定する用途が挙げられる。たとえば、線材や細幅の部材を複雑な形状で他の部材に固定するような場合においても、糸状の粘着体であれば、線材や細幅の部材の有すべき複雑な形状にあわせて、はみ出しやしわ、重なりを抑えながら、優れた作業性で強固に固定することができる。なお、線材や細幅の部材を他の部材に固定する場合においては、他の部材の表面における線材や細幅の部材が固定されるべき形態にあわせて糸状の粘着体を予め貼り付けた後に、他の部材表面に貼付された粘着体にあわせて線材や細幅の部材を貼り合わせて固定することができる。あるいは、糸状の粘着体を線材や細幅の部材に貼り付けた後に、線材や細幅の部材を所望の形態で他の部材に固定してもよい。
【0127】
また、糸状の粘着体は、一の物品を他の物品の表面に仮固定(仮止め)するための、物品の仮固定(仮止め)用途にも好適に用いることができる。より具体的には、糸状の粘着体は、例えば、衣服、靴、鞄、帽子等の繊維製品や皮革製品等を製造する際の仮固定(仮止め)用途に、特に好適に用いられる。ただし、その用途はこれに限定されるものではなく、仮固定(仮止め)が所望される各種用途に好適に用いられる。
【0128】
例えば、一の物品を他の物品の表面に固定する際に、該一の物品を該他の物品の表面に糸状の粘着体を用いて予め仮固定させて位置決めした後に、両物品を熱圧着や縫製等の固定方法により固定(本固定)する。この場合において、糸状の粘着体であれば、両物品間に設けられる固定部を避けて仮固定することが容易である。例えば、繊維製品や皮革製品を縫製する場合において、糸状の粘着体により仮固定を行えば、縫製部分を避けて仮固定することが容易であり、粘着剤の針への付着を容易に防止できる。
【0129】
また、糸状の粘着体であれば、上述したように、両物品の形状が曲線や曲面、凹凸などの複雑な形状であっても、はみ出しやしわ、重なりを抑えながら良好に貼り付けでき、しかも一工程で貼り付け可能であり、作業性が良好である。
【0130】
また、例えば、繊維製品ないし皮革製品を構成する生地、布、皮革等といった変形しやすい部材であっても、糸状の粘着体による仮固定を行うことにより、引張による部材の変形が抑制ないし防止でき、固定(本固定)後の意匠性が良好となる。
【0131】
さらには、糸状の粘着体であれば、両物品の固定(本固定)後に、必要に応じて固定(本固定)された両物品間から糸状の粘着体を抜き取り除去することも容易である。このようにすれば、粘着剤のはみ出しが防止でき、残存する粘着剤の経時的な変色に由来する意匠性の劣化を良好に防止できる。
【0132】
また、糸状の粘着体であれば、粘着体を他の材質からなる糸と撚り合わせて組み合わせた糸としたり、他の材質からなる糸や布(不織布、シートを含む)と編み込んだりすることで、機能の複合化を図ることもできる。
【0133】
さらに、本実施形態の糸状粘着剤貼付装置及び糸状粘着剤貼付方法によって、セパレーター(仮支持体)に貼付した糸状粘着剤2を、被着体に転写することができる。以下に、その方法を説明する。
【0134】
まず、フィルム状等の仮支持体に、上述した本実施形態の糸状粘着剤貼付装置及び糸状粘着剤貼付方法によって、糸状粘着剤2を貼付する。被着体に所望の形状で貼付するために、仮支持体上には、所望の形状を反転した形状に、糸状粘着剤2を貼付(描画)する。
次に、仮支持体に貼付された糸状粘着剤2の粘着剤面を被着体に接触させて、仮支持体を介して糸状粘着剤2を被着体に、ローラーや指等により押圧し接着する。
その後、被着体に接着された糸状粘着剤2から仮支持体を剥離除去して、糸状粘着剤2を露出させる。このようにして、被着体に所望の形状で糸状粘着剤2を貼付する。
【0135】
糸状粘着剤を確実に転写するため、すなわち、糸状粘着剤が被着体からはがれて仮支持体に残ることを防ぐためには、被着体から仮支持体を剥離除去する際はピール剥離で剥離することが好ましく、この際の剥離角度は5°以上が好ましく、10°以上がより好ましく、20°以上がさらに好ましい。ピール剥離で剥離する際には、仮支持体を変形させながら剥離してもよく、被着体を変形させながら剥離してもよく、仮支持体及び被着体の両方を変形させながら剥離してもよい。仮支持体及び被着体の硬さ(変形しやすさ)に応じて適宜好適な剥離方法を選択すればよい。
【0136】
上述した通り、糸状粘着剤2を仮支持体上に所望の形状を反転した形状に成形(描画)してから転写することにより、被着体に糸状粘着剤2を所望の形状で貼付する。このようにすることにより、被着体への糸状粘着剤2の貼付を、貼付形状が複雑である場合であっても、容易に行うことができる。
このような特徴から、転写による糸状粘着剤の貼付方法は例えば、電線や光ファイバー等のケーブル、LEDファイバーライト、FBG(Fiber Bragg Gratings、ファイバブラッググレーティング)等の光ファイバセンサ、糸、紐、ワイヤ等の各種線材(線状部材)や、細幅の部材を、所望の形態で固定するための糸状粘着体の貼付方法として好適である。線材や細幅の部材を複雑な形状で他の部材に固定するような場合においても、転写による糸状粘着剤の貼付方法であれば、線材や細幅の部材の貼付される部材に、線材や細幅の部材の有すべき複雑な形状にあわせて、容易に糸状粘着剤を貼付することができる。
また、例えば、衣服、靴、鞄、帽子等の繊維製品や皮革製品等を縫製する際の仮固定(仮止め)用途に糸状粘着剤を用いれば、縫製部分を避けて仮固定することが容易であり、粘着剤の針への付着を容易に防止できる。縫製される物品が複雑な形状であったり変形しやすかったりすると、糸状粘着剤の貼付が容易ではない場合もあるが、このような場合であっても、上述した糸状粘着剤の転写を用いた貼付方法によれば、容易に糸状粘着剤を貼付することができる。
【0137】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【実施例】
【0138】
以下、実施例等を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0139】
<実施例>
(塗工液の調製)
冷却管、窒素導入管、温度計及び攪拌機を備えた反応容器に、イオン交換水40質量部を入れ、窒素ガスを導入しながら60℃で1時間以上攪拌して窒素置換を行った。この反応容器に、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]n水和物(重合開始剤)0.1質量部を加えた。系を60℃に保ちつつ、ここに下記のモノマーエマルションAを4時間かけて徐々に滴下して乳化重合反応を進行させた。
【0140】
モノマーエマルションAとしては、2-エチルヘキシルアクリレート98質量部、アクリル酸1.25質量部、メタクリル酸0.75質量部、ラウリルメルカプタン(連鎖移動剤)0.05質量部、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名「KBM-503」)0.02質量部及びポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム(乳化剤)2質量部を、イオン交換水30質量部に加えて乳化したものを使用した。
【0141】
モノマーエマルションAの滴下終了後、さらに3時間60℃に保持し、系を室温まで冷却した後、10%アンモニア水の添加によりpHを7に調整して、アクリル系重合体エマルション(水分散型アクリル系重合体)を得た。
【0142】
上記アクリル系重合体エマルションに含まれるアクリル系重合体100質量部当たり、固形分基準で24質量部の粘着付与樹脂エマルション(荒川化学工業株式会社製、商品名「E-865NT」)を加えた。さらに、イオン交換水を加えて固形分濃度を50質量%に調整して、塗工液を得た。
【0143】
(糸状粘着剤の製造)
芯材として、繊度:1155dtex、フィラメント数:336本のポリエステル繊維7本に、1m当たり70回の撚りをかけたマルチフィラメント糸を用意した。
【0144】
塗工液の剪断速度100(1/s)の条件における粘度が、0.4Pa・sであり、塗工液の剪断速度0.1(1/s)の条件における粘度が、47Pa・sとし、上記芯材に、繰り出し速度と同じ速度で回転している塗工ローラーを用いてディッピングを行って塗工した。その際、上記芯材に1.3mN/dtexのテンションをかけた。その後、100℃で4分間乾燥して、直径(短手方向の幅)が0.45mmの糸状粘着体を得た。
【0145】
(塗工液の粘度)
塗工液の粘度は、剪断速度を高速(粘度低下)から低速(粘度回復)に変化させたときの粘度を測定した。
【0146】
具体的には、1gの試料(塗工液)を測定プレート(MP35 Steel、18/8、センサーは、Rotor C35/1、Cone with D=35mm、1°Titan、プレート間のギャップは0.225mm)に仕込み、粘度・粘弾性測定装置(レオメーター 商品名「RS-600」、HAAKE社製)を使用して、まず、23℃の条件下で0.01(1/s)の剪断速度で10秒間、塗工液の溶液粘度(Pa・s)を測定した。その後、20秒かけて剪断速度を9000(1/s)(A)へ変更した後、20秒かけて剪断速度0.01(1/s)(B)へ戻し、その間の塗工液の溶液粘度(Pa・s)を測定した。
【0147】
上記剪断速度を9000(1/s)(A)に変更する際の、剪断速度が100(1/s)の時の塗工液の溶液粘度(Pa・s)の値を、剪断速度100(1/s)の溶液粘度(Pa・s)とした。また、上記剪断速度を0.01(1/s)(B)へ戻す際の、剪断速度が0.1(1/s)の時の塗工液の溶液粘度(Pa・s)の値を、剪断速度0.1(1/s)の溶液粘度(Pa・s)とした。
【0148】
(芯材のテンション)
芯材のテンションは、塗工時にデジタルフォースゲージ(AD-4932A)を用いて測定した。具体的には、芯材の繰り出し箇所から塗工ロールまでの間のテンションを、フォースゲージの端子にかかる応力を読み取ることにより測定した。
【0149】
(ノズル孔径を変化させた場合の評価結果)
上記のように製造した、直径が0.45mmの糸状粘着剤を用いて、ノズル孔径を1mm、2mmとした場合において、糸状粘着剤の貼付速度を1,10,20,50,100,150,200mm/secに変化させて直線形状/曲線形状(R=10mm、5mm、2mm、1mm)を描いた。実験結果は、下記の通りである。
【0150】
ノズル孔径1mmの場合において、直線形状を描いた場合は200mm/secを除く各貼付速度で、糸状粘着剤を精度よく貼り付けられた。曲線形状を描いた場合は20mm/sec以下(R=1mmの場合は10mm/sec以下)の貼付速度で、糸状粘着剤を貼り付けられた。
ノズル孔径2mmの場合において、直線形状を描いた場合は20mm/sec以下の各貼付速度で、糸状粘着剤を精度よく貼り付けられた。曲線形状を描いた場合はR=10mmの場合は10mm/sec未満の貼付速度で、糸状粘着剤を貼り付けられた。
以上の結果から、直径が0.45mmの糸状粘着剤の場合、ノズル孔径は0.7mmが好ましいことが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本発明の糸状粘着剤貼付装置及び糸状粘着剤貼付方法によれば、糸状粘着剤の粘着力を適切に発現させて、任意の経路に精度よく貼り付けることができる。このため、種々の分野での接着作業に適用可能である。
【符号の説明】
【0152】
1 本体
2 糸状粘着剤
3 グリップ
4 先端部
5、120 巻取体
100、101、101A、101B 糸状粘着剤貼付装置
105 水平移動ユニット
106 取付プレート
106a ローラー取付部
106b ノズル取付部
107 ノズル
107d 先端
136、137 バネ
150A~150E 繰出アシスト機構
AU 供給部
BU 押圧機構
CU 搬送部
DU 位置決め部