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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-14
(45)【発行日】2025-04-22
(54)【発明の名称】樹脂組成物及び成形体
(51)【国際特許分類】
   C08L 27/12 20060101AFI20250415BHJP
   C08L 33/10 20060101ALI20250415BHJP
【FI】
C08L27/12
C08L33/10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021128867
(22)【出願日】2021-08-05
(62)【分割の表示】P 2019512549の分割
【原出願日】2018-04-11
(65)【公開番号】P2021169635
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2021-08-05
【審判番号】
【審判請求日】2023-08-07
(31)【優先権主張番号】P 2017080963
(32)【優先日】2017-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】山口 修平
(72)【発明者】
【氏名】仲上 綾音
(72)【発明者】
【氏名】小森 政二
(72)【発明者】
【氏名】河野 英樹
【合議体】
【審判長】細井 龍史
【審判官】岡谷 祐哉
【審判官】小出 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-42066(JP,A)
【文献】国際公開第2011/142453(WO,A1)
【文献】特開平03-15005(JP,A)
【文献】国際公開第2015/72486(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
含フッ素重合体及びメタクリレート系樹脂を含み、
前記含フッ素重合体と前記メタクリレート系樹脂との質量比が45/55~75/25であり、前記含フッ素重合体は、ビニリデンフルオロライド単位及びテトラフルオロエチレン単位を含み、ビニリデンフルオロライド単位とテトラフルオロエチレン単位とのモル比が81/19~99/1であり、
引張速度100mm/minで測定したときの引張伸度が30%以上であり、
形状が、粉末状、フレーク状、又は、ペレット状であることを特徴とする成形用の複合材料。
【請求項2】
記モル比が85/15~96/4である請求項1記載の成形用の複合材料。
【請求項3】
前記含フッ素重合体は、メルトフローレートが0.1~100g/10分である請求項1又は2記載の成形用の複合材料。
【請求項4】
分光光度計で測定したときの波長550nmでの光線透過率が82.0%T以上である請求項1、2又は3記載の成形用の複合材料。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4記載の成形用の複合材料を含むことを特徴とする成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物及び成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
フッ化ビニリデン系樹脂は、メタクリレート系樹脂と相溶性を有していることから、フッ化ビニリデン系樹脂とメタクリレート系樹脂とをブレンドする技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、弗化ビニリデン系樹脂50~100重量部及びメタクリレート系樹脂0~50重量部に一般塩化ビニル樹脂用アクリル系加工助剤1~10重量部及びアクリル系高分子量滑剤0.5~3.0重量部を添加した弗化ビニリデン系樹脂の成形法が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、下記ポリマーXを5質量%以上65質量%以下、及び、下記ポリマーYを35質量%以上95質量%以下含有する、樹脂組成物が記載されている。
ポリマーX:フッ化ビニリデン系樹脂。
ポリマーY:ポリマーXと相溶なドメイン(y1)及びポリマーXと非相溶なドメイン(y2)を有するコポリマー。
【0005】
特許文献2は、また、ドメイン(y1)又はドメイン(y2)がマクロモノマー単位を含有し、上記マクロモノマー単位がメチルメタクリレート単位を含有することが好ましいことを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平2-102252号公報
【文献】国際公開第2015/146752号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、引張伸度が大きく、透明性に優れる樹脂組成物及び成形体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、特定の組成を有する含フッ素重合体を使用し、当該含フッ素重合体にメタクリレート系樹脂を配合することによって、引張伸度が大きく、透明性に優れる樹脂組成物及び成形体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、含フッ素重合体及びメタクリレート系樹脂からなり、上記含フッ素重合体と上記メタクリレート系樹脂との質量比が35/65~95/5であり、上記含フッ素重合体は、ビニリデンフルオロライド単位及びテトラフルオロエチレン単位を含み、ビニリデンフルオロライド単位とテトラフルオロエチレン単位とのモル比が81/19~99/1であることを特徴とする樹脂組成物である。
【0010】
本発明の樹脂組成物において、上記質量比が45/55~85/15であり、上記モル比が85/15~96/4であることが好ましい。
【0011】
本発明の樹脂組成物において、上記含フッ素重合体は、メルトフローレートが0.1~100g/10分であることが好ましい。
【0012】
本発明の樹脂組成物は、引張速度100mm/minで測定したときの引張伸度が30%以上であり、分光光度計で測定したときの波長550nmでの光線透過率が82.0%T以上であることが好ましい。
【0013】
本発明は、上述の樹脂組成物を含むことを特徴とする成形体でもある。
【発明の効果】
【0014】
本発明の樹脂組成物は、引張伸度が大きく、透明性に優れる。
【0015】
本発明の成形体は、引張伸度が大きく、透明性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具体的に説明する。
【0017】
本発明の樹脂組成物は、含フッ素重合体及びメタクリレート系樹脂からなり、上記含フッ素重合体と上記メタクリレート系樹脂との質量比(上記含フッ素重合体/上記メタクリレート系樹脂)が35/65~95/5であることを一つの特徴とする。
【0018】
上記質量比としては、45/55~85/15が好ましく、55/45~75/25がより好ましく、65/35~75/25がさらに好ましい。
【0019】
また、上記質量比としては、45/55~85/15も好ましく、55/45~75/25がより好ましく、65/35~75/25がさらに好ましい。上記含フッ素重合体の割合が多いと、引張伸度の高い材料となる。
【0020】
さらに、上記質量比としては、35/65~55/45も好ましく、35/65~45/55がより好ましい。上記メタクリレート系樹脂の割合が多いと、引張伸度はメタクリレート系樹脂より高く、かつ、引張応力とのバランスの取れた材料となる。
【0021】
本発明の樹脂組成物は、ビニリデンフルオロライド単位及びテトラフルオロエチレン単位を含み、ビニリデンフルオロライド単位とテトラフルオロエチレン単位とのモル比(ビニリデンフルオロライド単位/テトラフルオロエチレン単位)が81/19~99/1である上記含フッ素重合体からなることにも特徴がある。
【0022】
上記モル比としては、85/15~96/4が好ましく、88/12~95/5がより好ましく、91/9~94/6がさらに好ましい。
【0023】
本明細書において、各単量体単位の含有量は、NMR、元素分析を単量体の種類によって適宜組み合わせることにより算出できる。
【0024】
上記含フッ素重合体は、ビニリデンフルオロライド単位及びテトラフルオロエチレン単位の他に、ビニリデンフルオロライド及びテトラフルオロエチレンと共重合し得る単量体に基づく重合単位を含むものであってもよい。本発明の効果を達成するためには、ビニリデンフルオロライドとテトラフルオロエチレンとの共重合体で充分であるが、上記共重合体からなる樹脂組成物の優れた透明性、引張伸度を損なわない程度にビニリデンフルオロライド及びテトラフルオロエチレンと共重合しうる単量体をさらに共重合させることができる。
【0025】
上記含フッ素重合体は、ビニリデンフルオロライド単位及びテトラフルオロエチレン単位の合計が全重合単位100モル%に対して60~100モル%であり、ビニリデンフルオロライド及びテトラフルオロエチレンと共重合可能な単量体に基づく重合単位が0~40モル%であることが好ましい。より好ましくは、ビニリデンフルオロライド単位及びテトラフルオロエチレン単位の合計が全重合単位100モル%に対して80~100モル%であり、ビニリデンフルオロライド及びテトラフルオロエチレンと共重合可能な単量体に基づく重合単位が0~20モル%である。
【0026】
ビニリデンフルオロライド及びテトラフルオロエチレンと共重合可能な単量体としては、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、モノフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)等の含フッ素オレフィン類;含フッ素アクリレート;および官能基を有する含フッ素単量体が挙げられる。
【0027】
上記ビニリデンフルオロライド及びテトラフルオロエチレンと共重合し得る単量体としては、特開平6-172452号公報に記載されているような不飽和二塩基酸モノエステル、例えばマレイン酸モノメチルエステル、シトラコン酸モノメチルエステル、シトラコン酸モノエチルエステル、マレイン酸、無水マレイン酸やビニレンカーボネート等、また特開平7-201316号公報に記載されているような、-SOM、-OSOM、-COOM、-OPOM(Mはアルカリ金属を表す)やアミン系極性基である-NHR、-NR(R、R、Rはアルキル基を表す)、アミド基(-CO-NRR’(R及びR’は同一又は異なって、夫々水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基を表す。))、アミド結合(-CO-NR”-(R”は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいフェニル基を表す。))、カルボニル基等の親水性極性基を有する化合物が挙げられる。これら親水性極性基を有する化合物の中でも、アミド基及びカルボニル基を有する化合物が好ましく、アミド基を有する化合物が特に好ましい。
【0028】
アミド基を有する化合物において、該アミド基は、-CO-NRR’で表される基である。R及びR’は同一又は異なって、夫々水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基である。R及びR’がアルキル基である場合、鎖状でも、環状でも、分岐していてもよい。上記アルキル基の炭素数は1~30であることが好ましい。より好ましくは1~20である。上記置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数6~30のアリール基等が挙げられる。
【0029】
上記アミド基を有する化合物は、分子内に1個以上の重合性炭素-炭素二重結合と、1個以上のアミド基とを有するものであれば特に限定されないが、下記一般式(1):
【0030】
【化1】
【0031】
(式中、Xは、同一又は異なって、夫々水素原子、又は、置換基を有してもよいアルキル基を表す。Xは、水素原子、又は、置換基を有してもよいアルキル基を表す。Yは、単結合、又は、置換基を有してもよいアルキレン基を表す。R及びRは、同一又は異なって、夫々水素原子、又は、置換基を有してもよいアルキル基を表す。)で表される、分子内に重合性炭素-炭素二重結合とアミド基とを1個ずつ有する単量体であることが好ましい。上記一般式(1)中のXは、水素原子又はアルキル基である。上記一般式(1)中の2つのXは、同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。上記アルキル基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。また、上記アルキル基は鎖状でも、環状でも、分岐していてもよい。上記アルキル基としては、上記R及びR’について述べたものと同様のものを挙げることができる。
【0032】
上記Xとしては、水素原子、ハロゲン原子が好ましく、水素原子が特に好ましい。上記一般式(1)中のXは、水素原子又はアルキル基である。上記アルキル基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。また、上記アルキル基は鎖状でも、環状でも、分岐していてもよい。上記アルキル基としては、上記Xについて述べたものと同様のものを挙げることができる。上記Xとしては、中でも、水素原子、メチル基が好ましい。上記一般式(1)中のYは、単結合又はアルキレン基である。上記アルキレン基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。また、上記アルキレン基は鎖状でも、環状でも、分岐していてもよい。上記アルキレン基の炭素数は1~30であることが好ましい。より好ましくは1~25である。
【0033】
上記置換基としては、上記Xについて述べたものと同様のものを挙げることができる。上記一般式(1)中のR及びRは、水素原子又はアルキル基である。R及びRは、同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。上記アルキル基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。また、上記アルキル基は鎖状でも、環状でも、分岐していてもよい。上記アルキル基としては、上記Xについて述べたものと同様のものを挙げることができる。上記R及びRとしては、中でも、水素原子、ハロゲン原子が好ましく、水素原子が特に好ましい。
【0034】
上記アミド基を有する化合物としては、中でも、下記一般式(2):
【0035】
【化2】
【0036】
(式中、Xは、水素原子又はメチル基を表す。R及びRは、同一又は異なって、夫々水素原子、又は、置換基を有してもよいアルキル基を表す。)で表される(メタ)アクリルアミド類が好ましい。上記一般式(2)におけるR及びRの具体例は、上記一般式(1)におけるR及びRについて述べたものと同様である。
【0037】
上記(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド及びその誘導体を挙げることができる。具体的には、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-tert-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-フェニル(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、4-アクロイルモルホリン、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸等を挙げることができる。この中でも、特にN-tert-ブチル(メタ)アクリルアミドが好ましい。
【0038】
アミド結合を有する化合物において、該アミド結合は-CO-NR”-で表される結合であり、-CO-NR”-CO-で表される結合であってもよい。R”は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいフェニル基を表す。アルキル基及び置換基としてはアミド基を有する化合物におけるRとして挙げたアルキル基及び置換基と同じであってよい。上記アミド結合を有する化合物としては、N-ビニルアセトアミド、N-メチル-N-ビニルアセトアミド等のN-ビニルアセトアミド誘導体;マレイミド、N-ブチルマレイミド、N-フェニルマレイミド等のマレイミド誘導体が挙げられる。これらのなかでも、N-ビニルアセトアミドが好ましい。
【0039】
上記ビニリデンフルオロライド及びテトラフルオロエチレンと共重合し得る単量体としては、また、CH=CH-CH-Y、CH=C(CH)-CH-Y、CH=CH-CH-O-CO-CH(CHCOOR)-Y、CH=CH-CH-O-CH-CH(OH)-CH-Y、CH=C(CH)-CO-O-CH-CH-CH-Y、CH=CH-CO-O-CH-CH-Y、CH=CHCO-NH-C(CH-CH-Y(Yは親水性極性基、またRはアルキル基を表す)等も挙げることができる。さらに、CH=CH-CH-O-(CH-OH(3≦n≦8)も使用可能である。
【0040】
【化3】
【0041】
CH=CH-CH-O-(CH-CH-O)-H(1≦n≦14)、CH=CH-CH-O-(CH-CH(CH)-O)-H(1≦n≦14)等の水酸化アリルエーテルモノマーや、カルボキシル化及び/又は(CF-CF(3≦n≦8)で置換されるアリルエーテル及びエステルモノマー、例えばCH=CH-CH-O-CO-C-COOH、CH=CH-CH-O-CO-C10-COOH、CH=CH-CH-O-C-(CFCF、CH=CH-CH-CO-O-C-(CFCF、CH=C(CH)-CO-O-CH-CF等も同様に共重合可能な単量体として使用できる。
【0042】
ところで、以上のような極性基等を含む化合物以外でもビニリデンフルオロライドとテトラフルオロエチレンとの共重合体の結晶性を少し低下させることにより、樹脂組成物に透明性や柔軟性を与えることがこれまでの研究より類推できるようになった。これより、例えばエチレン、プロピレン等の不飽和炭化水素系モノマー(CH=CHR、Rは水素原子、アルキル基又はCl等のハロゲン)や、フッ素系モノマーである3フッ化塩化エチレン、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ヘキサフルオロイソブテン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、CF=CF-O-C2n+1(nは1以上の整数)、CH=CF-C2n+1(nは1以上の整数)、CH=CF-(CFCFH(nは1以上の整数)、さらにCF=CF-O-(CFCF(CF)O)-C2n+1(m、nは1以上の整数)も使用可能である。
そのほか式:
【0043】
【化4】
【0044】
(式中、Yは-CHOH、-COOH、カルボン酸塩、カルボキシエステル基又はエポキシ基、X及びXは同じか又は異なりいずれも水素原子又はフッ素原子、Rは炭素数1~40の2価の含フッ素アルキレン基又は炭素数1~40のエーテル結合を含有する2価の含フッ素アルキレン基を表す)で示される少なくとも1種の官能基を有する含フッ素エチレン性単量体も使用可能である。
【0045】
このように上記含フッ素重合体は、ビニリデンフルオライド単位及びテトラフルオロエチレン単位の他に、他の重合単位を含むものであってもよいが、ビニリデンフルオライド単位及びテトラフルオロエチレン単位のみからなることがより好ましい。
【0046】
上記含フッ素重合体は、融点が100~165℃であることが好ましい。より好ましくは、110~160℃であり、さらに好ましくは115~155℃である。
【0047】
上記融点は、示差走査熱量測定(DSC)装置を用い、10℃/分の速度で200℃まで昇温、50℃まで降温後、再び200℃まで昇温したときの融解熱曲線における極大値に対応する温度として求める。
【0048】
上記含フッ素重合体は、メルトフローレート(MFR)が0.1g/10分以上であることが好ましい。より好ましくは、1.0g/10分以上、さらに好ましくは5.0g/10分以上である。上記含フッ素重合体のMFRは、100g/10分以下であることが好ましい。より好ましくは、50g/10分以下、さらに好ましくは、30g/10分以下である。上記含フッ素重合体のMFRは、0.1~100g/10分であることが好ましい。より好ましくは、1.0~50g/10分であることが好ましい。さらに好ましくは、5.0~30g/10分である。これらの範囲より低い場合、成形性が極端に低下することがあり、これらの範囲より高い場合、溶融混練した際に透明性が発現しない、機械強度が著しく低下することがある。
【0049】
上記含フッ素重合体の上記MFRは、ASTM D 1238に準拠したメルトインデックステスターを用いて、230℃の温度下において荷重5kgにて測定したものである。
【0050】
上記メタクリレート系樹脂は、メタクリレート単位を含む樹脂である。上記メタクリレート系樹脂としては、メチルメタクリレートのホモ重合体、及び、メチルメタクリレートとその他の共単量体との共重合体からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
【0051】
上記共単量体としては、メチルアクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、i-プロピル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o-メチルスチレン、t-ブチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有単量体;酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル系単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン系単量体;ブタジエン、イソプレン等のジエン系単量体;マレイン酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸等の単量体の単位からなるポリマーが挙げられる。ここで、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」又は、「メタクリレート」を示す。
【0052】
上記メタクリレート系樹脂は、融点が検出されない樹脂であってよい。上記融点の有無は、示差走査熱量測定(DSC)装置を用い、10℃/分の速度で200℃まで昇温、50℃まで降温後、再び200℃まで昇温したときの融解熱曲線における極大値の有無により確認できる。
【0053】
上記メタクリレート系樹脂は、メルトフローレート(MFR)が0.1g/10分以上であることが好ましい。より好ましくは、0.5g/10分以上、さらに好ましくは、1g/10分以上である。上記メタクリレート系樹脂のMFRは、100g/10分以下であることが好ましい。より好ましくは、70g/10分以下、さらに好ましくは、50g/10分以下である。上記メタクリレート系樹脂のMFRは、0.1~100g/10分であることが好ましい。より好ましくは、0.5~70g/10分であり、さらに好ましくは、1.0~50g/10分である。これらの範囲より低い場合、成形性が極端に低下することがあり、これらの範囲より高い場合、溶融混練した際に透明性が発現しない、機械強度が著しく低下することがある。
【0054】
上記メタクリレート系樹脂の上記MFRは、ASTM D 1238に準拠したメルトインデックステスターを用いて、230℃の温度下において荷重5kgにて測定したものである。
【0055】
上記樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、充填剤、可塑剤、加工助剤、離型剤、顔料、難燃剤、滑剤、光安定剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、ブロッキング防止剤、抗菌剤、防カビ剤、ブルーイング剤、導電剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、発泡剤、香料、オイル、柔軟化剤、脱フッ化水素剤等のその他の成分を含むこともできる。
【0056】
上記樹脂組成物は、上記含フッ素重合体及び上記メタクリレート系樹脂を、合計で、95~100質量%含むことができ、97質量%以上含むことができ、99質量%以上含むことができる。上記含フッ素重合体及び上記メタクリレート系樹脂を100質量%含むとは、上記その他の成分を実質的に含まないことを意味する。
【0057】
上記樹脂組成物は、一部組成範囲において相溶系となるため、融点が検出されない樹脂組成物であってよい。また、融点が検出される場合は、100~165℃であることが好ましい。より好ましくは、110~160℃であり、さらに好ましくは、115~155℃である。上記融点は、示差走査熱量測定(DSC)装置を用い、10℃/分の速度で200℃まで昇温、50℃まで降温後、再び200℃まで昇温したときの融解熱曲線における極大値に対応する温度として求める。
【0058】
上記樹脂組成物は、MFRが0.1~100g/10分であることが好ましい。より好ましくは、0.5~70g/10分あり、さらに好ましくは、1.0~50g/10分である。上記MFRは、ASTM D 1238に準拠したメルトインデックステスターを用いて、230℃の温度下において荷重5kgにて測定したものである。
【0059】
上記樹脂組成物は、引張伸度が大きく、よく伸びる。上記樹脂組成物は、23℃での引張伸度が30%以上であってよい。より好ましくは、50%以上であってよい。さらに好ましくは、70%以上であってよい。上記引張伸度は、射出成型により上記樹脂組成物からダンベル片(ASTM タイプV型)を作製し、温度23℃、試験速度100mm/分で引張試験を実施することにより測定できる。
【0060】
上記樹脂組成物は、光線透過率が大きく、優れた透明性を有している。上記樹脂組成物は、波長550nmの光線の透過率が82.0%T以上であってよい。より好ましくは、84.0%T以上であってよい。さらに好ましくは、86.0%T以上であってよい。上記より透過率が低いと十分な透明性が得られないことがある。上記透過率は、圧縮成形により上記樹脂組成物から1mm厚のシートを作製し、分光光度計を用いて、上記シートに550nmの光線を照射することにより測定できる。
【0061】
上記樹脂組成物は、引張速度100mm/minで測定したときの引張伸度が30%以上であり、分光光度計で測定したときの波長550nmでの光線透過率が82.0%T以上であることが好ましい。このような大きい引張伸度と高い光線透過率とを兼ね備えた樹脂組成物は、従来知られていなかった。上記樹脂組成物は、引張速度100mm/minで測定したときの引張伸度が40%以上であり、分光光度計で測定したときの波長550nmでの光線透過率が83.0%T以上であることがより好ましい。上記樹脂組成物は、引張速度100mm/minで測定したときの引張伸度が50%以上であり、分光光度計で測定したときの波長550nmでの光線透過率が84.0%T以上であることがさらに好ましい。上記樹脂組成物は様々な光学用途に有用である。
【0062】
上記樹脂組成物の形状は、特に限定されないが、粉末状、フレーク状、ペレット状であってよく、製造が容易であり、取り扱い性に優れる観点からは、ペレット状が好ましい。
【0063】
上記樹脂組成物は、上記含フッ素重合体及び上記メタクリレート系樹脂を混合することにより調製できる。上記混合には、配合ミル、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー、加圧ニーダー、押出機等の混合機を用いることができ、容易に各樹脂を充分に混合できる観点からは、二軸押出機を用いることが好ましい。
【0064】
上記混合は、各樹脂を充分に混合できることから、各樹脂を溶融させた状態で実施することが好ましい。例えば、上記含フッ素重合体の融点及び上記メタクリレート系樹脂の融点又は軟化点の最も高い温度以上に加熱することによって、各樹脂を溶融させることができる。
【0065】
本発明は、上述の樹脂組成物を含むことを特徴とする成形体でもある。上記成形体は、上記樹脂組成物を成形することにより得られる。
【0066】
上記成形方法としては、圧縮成形、押出し成形、フィルム成形、チューブ成形、多層成形、ブロー成形、真空成形、トランスファー成形、射出成形、ロト成形、ロトライニング成形、紡糸成形、静電塗装等が挙げられる。
【実施例
【0067】
つぎに本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0068】
実施例の各数値は以下の方法により測定した。
【0069】
共重合体の組成
核磁気共鳴装置AC300(Bruker-Biospin社製)を用い、測定温度をポリマーの融点+20℃として19F-NMR測定を行い、各ピークの積分値およびモノマーの種類によっては元素分析を適宜組み合わせて求めた。
【0070】
比較例1
ビニリデンフルオロライド(VdF)とテトラフルオロエチレン(TFE)の共重合体(樹脂A:VdF/TFE=93mol%/7mol%、融点:143℃、MFR:30.5g/10分)10質量%と、ポリメチルメタクリレート(PMMA)(三菱レイヨン社製、商品名:アクリペット、型式:VH001、融点:検出されず、MFR:2.4g/10分)90質量%を80℃で予備乾燥、ドライブレンドした後、Φ25mm二軸押出機により、最高温度220℃で押出し、ペレット状の複合材料を得た。その後、圧縮成形により1mm厚のプレスシートを作製した。圧縮成形は予熱を200℃/10分、成形を220℃/5MPa/1分、冷却を水冷/5MPa/5分の条件でおこなった。さらに、射出成形によりダンベル片(ASTM タイプV型)を作製した。射出成形は樹脂温度を160~220℃、金型温度を30~40℃の条件でおこなった。
【0071】
比較例2
樹脂Aの配合量を30質量%、PMMAの配合量を70質量%に変更した以外は、比較例1と同様にしてペレット状の複合材料ならびにその成形体(プレスシート及びダンベル片)を得た。
【0072】
実施例1
樹脂Aの配合量を50質量%、PMMAの配合量を50質量%に変更した以外は、比較例1と同様にしてペレット状の複合材料ならびにその成形体を得た。
【0073】
実施例2
樹脂Aの配合量を60質量%、PMMAの配合量を40質量%に変更した以外は、比較例1と同様にしてペレット状の複合材料ならびにその成形体を得た。
【0074】
実施例3
樹脂Aの配合量を70質量%、PMMAの配合量を30質量%に変更した以外は、比較例1と同様にしてペレット状の複合材料ならびにその成形体を得た。
【0075】
実施例4
樹脂Aの配合量を80質量%、PMMAの配合量を20質量%に変更した以外は、比較例1と同様にしてペレット状の複合材料ならびにその成形体を得た。
【0076】
実施例5
VdFとTFEの共重合体(樹脂B:VdF/TFE=93mol%/7mol%、融点:141℃、MFR:5.8g/10分)70質量%と、PMMA30質量%を用いた以外は比較例1と同様にして、ペレット状の複合材料ならびにその成形体を得た。
【0077】
比較例3
VdFとTFEの共重合体(樹脂C:VdF/TFE=80mol%/20mol%)50質量%と、PMMA50質量%を用いた以外は比較例1と同様にして、ペレット状の複合材料ならびにその成形体を得た。
【0078】
比較例4
樹脂Cの配合量を70質量%、PMMAの配合量を30質量%に変更した以外は、比較例3と同様にしてペレット状の複合材料ならびにその成形体を得た。
【0079】
比較例5
VdFの重合体(PVdF:VdF/TFE=100mol%/0mol%)50質量%と、PMMA50質量%を用いた以外は比較例1と同様にして、ペレット状の複合材料ならびにその成形体を得た。
【0080】
比較例6
PVdFの配合量を70質量%、PMMAの配合量を30質量%に変更した以外は、比較例5と同様にしてペレット状の複合材料ならびにその成形体を得た。
【0081】
比較例7
PMMAを80℃で一晩予備乾燥させた後、圧縮成形により1mm厚のプレスシートを作製した。さらに、射出成形によりダンベル片を作製した。成形条件は比較例1と同様に成形をおこなった。
【0082】
比較例8
樹脂Aを80℃で一晩予備乾燥させた後、圧縮成形により1mm厚のプレスシートを作製した。さらに、射出成形によりダンベル片を作製した。成形条件は比較例1と同様に成形をおこなった。
【0083】
比較例9
樹脂Bを80℃で一晩予備乾燥させた後、圧縮成形により1mm厚のプレスシートを作製した。さらに、射出成形によりダンベル片を作製した。成形条件は比較例1と同様に成形をおこなった。
【0084】
比較例10
樹脂Cを80℃で一晩予備乾燥させた後、圧縮成形により1mm厚のプレスシートを作製した。さらに、射出成形によりダンベル片を作製した。成形条件は比較例1と同様に成形をおこなった。
【0085】
比較例11
PVdFを80℃で一晩予備乾燥させた後、圧縮成形により1mm厚のプレスシートを作製した。さらに、射出成形によりダンベル片を作製した。成形条件は比較例1と同様に成形をおこなった。
【0086】
成形体の評価方法
(引張試験)
射出成型により作製したダンベル片(ASTM タイプV型)を用いて、ASTM D638を参考にし、万能材料試験機(エー・アンド・デイ社製)により、温度23℃、試験速度100mm/分で引張応力および引張伸度を測定した。
【0087】
(光線透過率測定)
圧縮成形により作製したプレスシート(1mm厚)を用いて、分光光度計(日立ハイテクサイエンス社製)により光線透過率を測定した。光線透過率測定は測定波長550nm、ブランクは大気で実施した。
【0088】
(メルトフローレート測定)
二軸押出機により得られた樹脂組成物(ペレット)を用いて、メルトインデクステスター(東洋精機製作所社製)によりMFRを測定した。230℃温度下で荷重5kgにて測定した。
【0089】
(示差走査熱量測定)
二軸押出機により得られた樹脂組成物(ペレット)を用いて、示差走査熱量測定(DSC)装置により融点を測定した。10℃/分の速度で200℃まで昇温、50℃まで降温後、再び200℃まで昇温したときの融解熱曲線における極大値に対応する温度として求めた。
また、極大値に対応する温度が検出されなかった樹脂組成物については、表中(-)で示した。
【0090】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明の樹脂組成物は、伸びがよく、透明性に優れることから、ラミネート用フィルム、粘着テープ用フィルム、トンネルハウスやパイプハウス用の農業用フィルム、電気絶縁性フィルム、重包装用フィルム、太陽電池用フィルム、光学フィルム、液晶ディスプレイ用フィルム、意匠用フィルム、シュリンクフィルム、自動車用部材、家電用部材、医療用部材、建築部材、プラスチック光ファイバー、自動車ヘッドランプ、タッチパネル、フィルムセンサ等の広範囲な分野で好適に利用できる。
【0092】
本発明の成形体は、伸びがよく、透明性に優れることから、ラミネート用フィルム、粘着テープ用フィルム、トンネルハウスやパイプハウス用の農業用フィルム、電気絶縁性フィルム、重包装用フィルム、太陽電池用フィルム、光学フィルム、液晶ディスプレイ用フィルム、意匠用フィルム、シュリンクフィルム、自動車用部材、家電用部材、医療用部材、建築部材、プラスチック光ファイバー、自動車ヘッドランプ、タッチパネル、フィルムセンサ等として、好適に利用できる。