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特許7667044オーバーヘッドドアのローラブラケットの取付構造
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-14
(45)【発行日】2025-04-22
(54)【発明の名称】オーバーヘッドドアのローラブラケットの取付構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/02 20060101AFI20250415BHJP
   E05D 15/24 20060101ALI20250415BHJP
【FI】
E06B9/02 A
E05D15/24 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021149958
(22)【出願日】2021-09-15
(65)【公開番号】P2023042695
(43)【公開日】2023-03-28
【審査請求日】2024-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】安部 能貢
(72)【発明者】
【氏名】高村 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】宮田 裕文
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-32190(JP,U)
【文献】実開昭55-27391(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0003242(US,A1)
【文献】特開2015-17402(JP,A)
【文献】特開2020-122339(JP,A)
【文献】特開2012-158870(JP,A)
【文献】特開2020-56251(JP,A)
【文献】特開2017-214745(JP,A)
【文献】特開2001-311370(JP,A)
【文献】特開2004-270332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00- 7/36
E06B 9/02
E05D 15/00-15/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セクションの室内側面部の幅方向両端部位には、左右のローラブラケットが、それぞれ、複数本の止着部材によって固定されており、
各ローラブラケットにおいて、少なくとも一部の複数本の止着部材は、中空部を備えた下框ないし上框の室内側見付面に固定されており、
前記中空部には、前記室内側見付面の裏面に位置して、少なくとも1つのナットが溶接された裏板が設けてあり、
前記ローラブラケットを固定する止着部材の少なくとも1本はボルトであり、前記ボルトは、前記見付面を貫設して前記裏板に溶接された前記ナットに締結されている、
オーバーヘッドドアのローラブラケットの取付構造。
【請求項2】
前記ボルトは、前記セクションの幅方向端部から最も離れた位置にある止着部材を含む、
請求項1に記載のオーバーヘッドドアのローラブラケットの取付構造。
【請求項3】
前記ローラブラケットは、ローラ軸を支持する支持部と、前記セクションの室内側面部に固定される固定部と、を含む、
請求項1、2いずれか1項に記載のオーバーヘッドドアのローラブラケットの取付構造。
【請求項4】
前記ローラブラケットは、上下に隣接するセクションを連結するヒンジによって兼用されており、
前記ヒンジは、第1面部と左右の第1立ち上がり片を備えた第1板と、第2面部と左右の第2立ち上がり片を備えた第2板と、第1板と第2板を回動自在に連結する軸部と、からなり、
前記第1立ち上がり片と前記第2立ち上がり片のいずれか一方が、ローラブラケットの前記支持部を構成しており、
前記第1面部および/あるいは前記第2面部が、ローラブラケットの前記固定部を構成している、
請求項3に記載のオーバーヘッドドアのローラブラケットの取付構造。
【請求項5】
前記裏板は、前記中空部に組み込まれた補強材の部分である、
請求項1~4いずれか1項に記載のオーバーヘッドドアのローラブラケットの取付構造。
【請求項6】
セクションの下框あるいは/および上框の室内側面部には、セクションの幅方向に亘って中空状の補強部が突成されており、
前記補強部の幅方向の両端部は、前記框の幅方向両端部までは達しておらず、
前記室内側面部は、前記補強部を備えていない両側部位を備え、
前記両側部位には、前記ローラブラケットが取り付けてあり、
前記補強材は、少なくとも前記両側部位の内面に位置する室内側面部を備えており、前記室内側面部の裏面に前記ナットが溶接されている、
請求項5に記載のオーバーヘッドドアのローラブラケットの取付構造。
【請求項7】
前記補強材の前記室内側面部には、ポップナット用の孔部が形成されており、
前記ローラブラケットを固定する止着部材の少なくとも一部は、前記ポップナットに締結されるボルトである、
請求項6に記載のオーバーヘッドドアのローラブラケットの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーバーヘッドドアに係り、より詳しくは、オーバーヘッドドアのローラブラケットの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オーバーヘッドドアは、倉庫やガレージ等の建物の屋外と屋内とを連通する建物開口部に設置する建具として知られている。オーバーヘッドドアの扉体は、複数枚のセクションを連結することで形成されており、各セクションの幅方向両端部にはガイドローラが設けてあり、ガイドローラが左右のガイドレールに案内されて昇降することで建物開口部を開閉するようになっている。ガイドローラのローラ軸は、セクションの室内側部位の幅方向両端に固定したローラブラケットによって支持されている(特許文献1)。
【0003】
オーバーヘッドドアが全閉姿勢にある時には、各セクションの幅方向両端部のガイドローラがガイドレール内に位置しており、扉体に風圧が作用した場合には、セクションの変形に伴って、ガイドローラがガイドレールの内面に当接することで、風圧に対抗するようになっている。セクションに大きな風圧力が作用した時には、セクションの変形に伴い、ガイドローラがガイドレール内面に当接した状態でローラ軸が傾くように力が作用し、この力は、ローラブラケットとセクションの室内側面部の固定部位に作用することから、このブラケットの固定部位の力が弱いと、セクションの強度に影響を与え得ることになる。
【文献】特開2020-122339
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ローラブラケットの取付部位の強度を向上させることで、オーバーヘッドドアの扉体の耐風性能を向上させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が採用した技術手段は、
セクションの室内側面部の幅方向両端部位には、左右のローラブラケットが、それぞれ、複数本の止着部材によって固定されており、
各ローラブラケットにおいて、少なくとも一部の複数本の止着部材は、中空部を備えた下框ないし上框の室内側見付面に固定されており、
前記中空部には、前記室内側見付面の裏面に位置して、少なくとも1つのナットが溶接された裏板が設けてあり、
前記ローラブラケットを固定する止着部材の少なくとも1本はボルトであり、前記ボルトは、前記見付面を貫設して前記裏板に溶接された前記ナットに締結されている、
オーバーヘッドドアのローラブラケットの取付構造、である
1つの態様では、前記セクションの縦框(実施例では2本の縦框)の室内側見付部の上方部位、下方部位は、それぞれ、上框の室内側見付面、下框の室内側見付面に固定されており、前記少なくとも一部の複数本の止着部材は、前記縦框の室内側見付部から止着されている。
1つの態様では、残りの止着部材は、ポップナットに締結されるボルトである。
1つの態様では、前記ボルトは、前記セクションの幅方向端部から最も離れた位置にある止着部材を含む。
【0006】
1つの態様では、前記ローラブラケットは、ローラ軸を支持する支持部と、前記セクションの室内側面部に固定される固定部と、を含む。
1つの態様では、前記ローラブラケットは、上下に隣接するセクションを連結するヒンジによって兼用されており、
前記ヒンジは、第1面部と左右の第1立ち上がり片を備えた第1板と、第2面部と左右の第2立ち上がり片を備えた第2板と、第1板と第2板を回動自在に連結する軸部と、からなり、
前記第1立ち上がり片と前記第2立ち上がり片のいずれか一方が、ローラブラケットの前記支持部を構成しており、
前記第1面部および/あるいは前記第2面部が、ローラブラケットの前記固定部を構成している。
【0007】
1つの態様では、前記裏板は、前記中空部に組み込まれた補強材の部分である。
1つの態様では、セクションの下框あるいは/および上框の室内側面部には、セクションの幅方向に亘って中空状の補強部が突成されており、
前記補強部の幅方向の両端部は、前記框の幅方向両端部までは達しておらず、
前記室内側面部は、前記補強部を備えていない両側部位を備え、
前記両側部位には、前記ローラブラケットが取り付けてあり、
前記補強材は、少なくとも前記両側部位の内面に位置する室内側面部を備えており、前記室内側面部の裏面に前記ナットが溶接されている。

1つの態様では、前記補強材の前記室内側面部には、ポップナット用の孔部が形成されており、
前記ローラブラケットを固定する止着部材の少なくとも一部は、前記ポップナットに締結されるボルトである。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、ローラブラケットをセクションの室内側面部に取り付ける複数本の止着部材(ボルト)の少なくも一部(より大きい力が作用する部位、例えば、少なくとも、セクションの幅方向端部から最も遠い側に止着部材)を、裏板に溶接した溶接に締結するようにしたことで、止着部材を、例えば、ポップナットに締結する場合に比べて、ローラブラケットの締結部の強度を向上させることができる。
溶接ナットが設けられた裏板を、補強材によって兼用するものでは、部品点数を増加させることなく(特別な裏板を用意することなく)、溶接ナットを採用して、ローラブラケットの締結部の強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】全閉姿勢にあるオーバーヘッドドアを室内側から見た正面図である。
図2】全閉姿勢にあるオーバーヘッドドアの側面図である。
図3】全閉姿勢にあるオーバーヘッドドアの開口幅方向端部を示す部分拡大平面図である。
図4】本実施形態に係るオーバーヘッドドアの扉体を室内側から見た正面図である。
図5図4におけるトップセクションの幅方向端部位の部分拡大図である。
図6図4における中間セクションの幅方向端部の部分拡大図である。
図7】オーバーヘッドドアの扉体の側面図である。
図8】他の実施形態に係るオーバーヘッドドアの扉体を室内側から見た正面図である。
図9】さらに他の実施形態に係るオーバーヘッドドアの扉体を室内側から見た正面図である。
図10】本実施形態に係る中間セクションの正面図であり、上図は室外側から見た正面図、下図は室内側から見た正面図である。
図11図10下図の部分拡大図である。
図12】本実施形態に係る中間セクションの縦断面図である。
図13】本実施形態に係る中間セクションの部分縦断面図である。
図14】本実施形態に係る中間セクションの平面図である。
図15】本実施形態に係る中間セクションの部分拡大平面図である。
図16】本実施形態に係る中間セクションの部分拡大平面図である。
図17】本実施形態に係る中框を示す図である。
図18】本実施形態に係る下框を示す側面図である。
図19】本実施形態に係る下框を示す図であり、上図は平面図、下図は室内側から見た正面図である。
図20】上図は、本実施形態に係る下框の補強部にアタッチメントを装着した状態を示す側面図、下図は、本実施形態に係るアタッチメントの側面図である。
図21】本実施形態に係るアタッチメントを示す図である。
図22】他の実施形態に係る中間セクションの縦断面図である。
図23】他の実施形態に係る中間セクションの平面図である。
図24】他の実施形態に係る中間セクションの下框の部分拡大縦断面図である。
図25】本実施形態に係る中間セクションの下框に組み込まれる補強材を示す図である。
図26】ソリッドタイプの下框を例示する図である。
図27】本実施形態に係るトップセクションの正面図であり、上図は室外側から見た正面図、下図は室内側から見た正面図である。
図28】本実施形態に係るトップセクションの縦断面図である。
図29】本実施形態に係るトップセクションの部分拡大縦断面図である。
図30】本実施形態に係るトップセクションの平面図である。
図31】本実施形態に係るトップセクションの上框に組み込まれる補強材の第1実施形態を示す図である。
図32】他の実施形態に係るトップセクションの平面図である。
図33】他の実施形態に係るトップセクションの上框に組み込まれる補強材の第2実施形態を示す図である。
図34】上下に隣接する2枚のセクション(トップセクションと中間セクション)を室内側から見た正面図の部分図である。
図35図34の側面図である。
図36図34の縦断面図である。
図37図35の部分拡大図である。
図38図36の部分拡大図である。
図39】下図は、図34におけるトップセクションの幅方向端部の部分拡大図であり、上図は、該部分拡大図の上面図である。
図40図34における中間セクションの幅方向端部の部分拡大平面図である。
図41】補強部の幅方向両端の側縁の基端側の湾曲部分に要求される条件を説明する図である。
図42】トップローラブラケットの取付構造を説明する図である。
図43】ローラブラケットの取付構造を説明する図である。
図44】施錠機構を備えた中間セクションを室内側から見た正面図である。
図45】施錠機構のラッチとラッチ掛りを示す図であり、上図は平面図、下図は正面図である。
図46】施錠機構の操作部を示す図であり、左図は縦断面図、中央図は室内側から見た正面図、右図は室外側から見た正面図である。
図47】施錠機構を備えた中間セクションの幅方向端部を室内側から見た正面図である。
図48】施錠機構を備えた中間セクションの縦框を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[A]オーバーヘッドドアの全体構成
図1は、全閉姿勢にあるオーバーヘッドドアを室内側から見た正面図であり、図2はオーバーヘッドドアの側面図である。オーバーヘッドドアの扉体Dは、横長方形状の複数枚のセクション1を高さ方向にヒンジ16、16´で回動可能に連結することで構成されている。各セクション1の幅方向両端にはガイドローラ11が回転自在に設けてあり(図3参照)、扉体Dは、各セクション1の左右のガイドローラ11が左右のガイドレールGにそれぞれ案内されて上昇、下降することで建物開口部を開閉する。
【0011】
図10図12等に示すように、セクション1は、建物開口部の略全幅に亘って延びる横長方形状の本体10と、本体10の上端に位置して、セクション1の全幅に亘って水平状に延びる長尺状の上框2と、本体10の下端に位置して、セクション1の全幅に亘って水平状に延びる長尺状の下框3と、上框2及び下框3の幅方向両端部間を高さ方向に連結する左右の縦框4と、上框2と下框3の幅方向の中間の所定部位を高さ方向に連結する複数本の中框5と、から構成されている。本実施形態では、縦框4の内側に隣接して端部中框ないし内側縦框4´が設けてある。内側縦框4´、中框5は、部分的に本体10に連結されてもよい。
【0012】
本明細書において、セクション1には、トップセクション、中間セクション、ボトムセクションが含まれるが、トップセクションに着目して説明する場合には、「トップセクション1´」として、ボトムセクションに着目して説明する場合には、「ボトムセクション1´´」として、中間セクション1と識別して説明する場合がある点に留意されたい。セクション1(トップセクション、中間セクション、ボトムセクション)の下框3には、耐風圧向上のための補強部6が一体的に突成されている。トップセクション1´は、下框3に補強部6が一体形成されていることに加えて、上框2に補強部6´が一体的に突成されている点において、他のセクション1の形状と異なる。ボトムセクション1´´は、下端面にゴム製や樹脂製のボトム部材Bが装着されている点、ワイヤ15の下端が連結される連結部18を備えている点、ワイヤ切断時の緊急落下防止装置19が設けてある点等において、他のセクション1と異なるが、基本的な形状は、中間セクション1と同じである。
【0013】
扉体Dにおいて、上下に隣接するセクション1の室内側部位同士がヒンジ16、16´を介して連結されており、ヒンジ16、16´の回転軸を中心として、上下に隣接するセクション1が回動可能となっている。より具体的には、上下に隣接するセクション1の縦框4、内側縦框4´の室内側見付部42に跨るようにヒンジ16が設けられ(図4図6図8図9図34図35等)、上下に隣接するセクション1の下側のセクション1の中框5の室内側見付面である面部50と、上側のセクション1の下框3の室内側面部32に突設された補強部6の基端側の下側水平面63に跨るようにヒンジ16´が設けてある(図4図8図9図36図38参照)。
【0014】
扉体Dにおいて、上下に隣接するセクション1において、上側のセクション1の下端面と、下側のセクション1の上端面は、開口部全閉姿勢において互いに嵌り合うような形状となっている。本実施形態では、段部状の下端面と上端面が嵌り合うようになっているが(図7図35図38参照)、例えば、凹状の下端面と凸状の上端面が嵌り合うようになっていてもよい。
【0015】
図2に示すように、ガイドレールGは、開口部の高さ方向に延びる第1部位G1と、第1部位G1の上方から室内側に向かって後方に延びる湾曲状の第2部位G2と、第2部位G2の後方から天井CLに沿って後方に延びる第3部位G3と、からなる。第1部位G1は、下方から上方に向かって室内側へ緩やかに傾斜している。第3部位G3は、室内側に向かって上方に緩やかに傾斜している。
【0016】
開口部全閉状態では各セクション1はガイドレールGの第1部位G1に位置することで複数枚のセクション1がほぼ垂直姿勢となって開口部を閉鎖している。開口部全閉状態から、各セクション1がほぼ垂直姿勢から第3部位G3に位置するほぼ水平姿勢(緩やかな傾斜姿勢)まで引き上げられ(最下位のボトムセクション1´´は第2部位G2に位置する)、扉体が室内側空間の天井CLに沿って横方向に延びた姿勢となって、開口部全開状態となる。
【0017】
建物開口部の上方には、バランススプリング12を備えた回転軸13が配設されており、回転軸13の両端部に軸支したドラム14に一端をそれぞれ固定した巻き取りワイヤ15の他端を、ボトムセクション1´´の左右両端にそれぞれ接続して、バランススプリング12の巻き上げ方向の付勢力により全閉姿勢にある扉体を開放方向(上方)に付勢するように構成されている。
【0018】
本明細書において、「室外側」、「室内側」という文言は、ある要素が実際に室外、室内に面すること、位置することを意味することのみに用いられるものではなく、複数の部材の相対的な位置関係を規定するものとしても用いられる点に留意されたい。また、「上」、「下」という表現は、垂直姿勢にあるセクションに基づいてセクションの要素を規定するものである。以下に述べるセクションの構成は一例に過ぎないものであり、本発明の内容を限定するものではない。
【0019】
[B]オーバーヘッドドアのセクションの概要
オーバーヘッドドアの扉体Dを構成するセクション1の構成の詳細について、主として中間セクション1に基づいて説明する。本実施形態に係る中間セクション1に関連する図を主として図10図25に示すが、幾つかの異なる態様がある点に留意されたい。下框3の室内側に補強部6が突成された点は共通するが、補強部6の室内側の先端部分にアタッチメント7を装着する態様(図20図21)と、アタッチメント7を装着しない態様(図12図13)がある。さらに、下框3の中框5が幅方向に等間隔で配置されている態様(図4)と、中框5が幅方向中央部位に密に配置されている態様(図1図8図9)がある。また、これらの態様は、中間セクション1の下框3にのみ適用されるものではなく、トップセクション1´の下框3、ボトムセクション1´´の下框3にも適用され得る点に留意されたい。
【0020】
セクション1の本体10について説明する。図10図12に示すように、セクション1の本体10は、セクション1の略全幅に亘って延びる長尺状の板体であり、本体10の四周に位置して、上框2、下框3、左右の縦框4が設けられ、本体10の室内側部位に位置して、上框2と下框3を架け渡すうように、内側縦框4´、中框5が設けられる。
【0021】
本実施形態において、本体10は、側面視ないし断面視において、波状(凹凸状)に折り曲げ形成された板体である。本実施形態に係るセクション1の本体10はスチール製であり、鋼板を所定形状に折り曲げ形成することで構成されている。図11図12に示すように、セクション1の本体10は、室外側部位において、高さ方向に間隔を存して位置する上側垂直面部100、中央垂直面部101、下側垂直面部102と、上側垂直面部100と中央垂直面部101の間、中央垂直面部101と下側垂直面部102の間に位置して、室内側に突成された上下2つの台形状の凸部103と、からなり、凸部103の室内側の垂直面が、本体10の上側中間面部104、下側中間面部104となっている。本体10は室外側に位置する上側垂直面部100、中央垂直面部101、下側垂直面部102と、室内側に位置する上側中間面部104、下側中間面部104と、を備えている。図示の本体10の形状は例示であって、セクション1の本体10の構成は図示の形状に限定されない。
【0022】
本実施形態に係るセクション1において、上框2、下框3、左右の縦框4、内側縦框4´、中框5は、アルミ型材から形成されている。本実施形態に係る上框2、下框3は、中空状に形成されたホロータイプであるが、中空部を備えていないソリッドタイプ(図26参照)であってもよい。
【0023】
[C]オーバーヘッドドアのセクションの上框
セクション1の上框2について説明する。中間セクション1の上框2の構成とトップセクション1´の上框2の構成は、後者が補強部6´を備えている点を除き実質的に同じなので、ここでは、トップセクション1の上框2を参照しつつ、セクション1の上框2について説明する。
【0024】
図12、29に示すように、中間セクション1の上框2は、上面部20と、室外側見付面である室外側面部21と、室内側見付面である垂直状の室内側面部22と、水平状の下面部23と、を備えており、上框2の上面部20はセクション1の上面となっている。上面部20と、室外側面部21と、室内側面部22と、下面部23で囲まれた中空部が長尺状の上框2の全幅に亘って延びている。上面20は、室外側の水平面200と、水平面200よりも高い位置で水平に延びる室内側の水平面201と、室外側水平面200と室内側水平面201とを接続する中間垂直面202と、から段部状に形成されている。室外側面部21は、下側の垂直面210と、垂直面210の上側に一体形成された断面視「く」字状の凹面211と、からなる。
【0025】
上面20の室外側水平面200の先端は、室外側面部21の垂直面210よりも少し室外側に突出しており、上面20の室外側水平面200の先端には垂下片24が形成されている。本体10の上側垂直面部100の室外側の第1面は垂下片24の内面に当接し、上側垂直面部100の室内側の第2面は垂直面210の外面に当接した状態で、止着部材(例えば、リベット)で上框2に固定されている。
【0026】
[D]オーバーヘッドドアのセクションの下框
セクション1の下框3について説明する。図12図24に示すように、中間セクション1の下框3は、水平状の上面部30と、室外側見付面である室外側面部31と、室内側見付面である垂直状の室内側面部32と、下面部33と、を備えており、下框3の下面部33はセクション1の下面となっている。上面部30と、室外側面部31と、室内側面部32と、下面部33で囲まれた中空部が長尺状の下框3の全幅に亘って延びている。下面33は、室外側の水平面330と、水平面330よりも高い高さで水平に延びる室内側の水平面331と、室外側水平面330と室内側水平面331とを接続する中間垂直面332と、から段部状に形成されている。室外側面部31は、上側の垂直面310と、垂直面310の下側に一体形成された断面視「く」字状の凹面311と、からなる。
【0027】
下面33の室外側水平面330の先端は、室外側面部31の垂直面310よりも少し室外側に突出しており、下面33の室外側水平面330の先端には垂直状に立ち上がる立ち上がり片34が形成されている。本体10の下側垂直面部102の室外側の第1面は立ち上がり片34の内面に当接し、下側垂直面部102の室内側の第2面は垂直面310の外面に当接した状態で、止着部材(例えば、リベット)で下框3に固定されている。
【0028】
下框3の室内側面部32は上方に延びており、上面30の室内側端部から垂直に立ち上がる垂直片35が一体形成されており、垂直片35の上端には、室外側に延びる水平片36が一体形成されている。垂直片35と水平片36とから側面視L形状の立ち上がり片が形成されている。垂直片35と室内側面部32は面一の垂直面を形成している。水平片36は室外側に突出しており、室内側面部32を通る垂直面から突出していない。後述するように、中框5の下方部位は、止着部材(例えば、リベット)で立ち上がり片の垂直片35に固定されるようになっている。
【0029】
[E]オーバーヘッドドアのセクションの下框に突成した補強部
下框3に一体形成された補強部6について説明する。下框3の室内側面部32には、下框3の幅方向に亘って延びる中空状の補強部6が突成されている。本実施形態では、補強部6の基端は、下框3の室内側面部32の高さ方向略中央部位から突成している。補強部6は、室内側部位32から離間する方向に漸次高さ寸法が大きくなる部位を備えている。
【0030】
図18に示すように、補強部6の上面は、側面視において、室内側面部32から水平状に延びる上側水平面60と、上側水平面60の先端から室内側面部32から離間する方向に斜め上方に延びる上側傾斜面61と、上側傾斜面61の先端から水平に延びる先端上側面62と、からなる。補強部6の下面は、側面視において、室内側面部32から水平状に延びる下側水平面63と、下側水平面63の先端から室内側面部32から離間する方向に斜め下方に延びる下側傾斜面64と、下側傾斜面64の先端から水平に延びる先端下側面65と、からなる。先端上側面62の先端と先端下側面65の先端は、先端垂直面66によって接続されている。先端垂直面66の板厚は、他の部位の板厚に比べて肉厚である。
【0031】
上側傾斜面61の先端(先端上側面62の基端)と下側傾斜面64の先端(先端下側面65の基端)は、垂直辺67によって接続されている。上側傾斜面61の基端(上側水平面60の先端)と下側傾斜面64の基端(下側水平面63の先端)は、垂直辺68によって接続されている。上側水平面60と下側水平面63の中間部位は、2本の垂直辺69a、69bによって接続されている。
【0032】
補強部6は、高さ寸法が一定の基端側の第1部位6Aと、第1部位6Aの先端側に位置し、上側傾斜面61と下側傾斜面64を備え、第1部位6Aから離間する方向(室内側へ向かって)に高さ寸法が漸次大きくなる第2部位6Bと、を備えている。
【0033】
第1部位6Aは、室内側面部32から室内側に向かって水平に延びる上側水平面60と、室内側面部32から室内側に向かって水平に延びる下側水平面63と、上側水平面60と下側水平面63の間で、室内側面部32の部分、垂直辺69a、69b、垂直辺68によって仕切られることで形成された複数の中空部603、604、605と、からなる。
【0034】
第2部位6Bは、室内側に向かって斜め上方に延びる上側傾斜面61と、室内側に向かって斜め下方に延びる下側傾斜面64と、上側傾斜面61の先端から室内側に向かって水平に延びる先端上側面62と、下側傾斜面64の先端から室内側に向かって水平に延びる先端下側面65と、上側傾斜面61の先端と下側傾斜面64の先端を接続する垂直辺67と、先端上側面62と先端下側面65の先端を接続する先端垂直面66と、上側傾斜面61と下側傾斜面64と垂直辺67と垂直辺68で形成された側面視略三角形状ないし台形状の第1中空部606と、先端上側面62と先端下側面65と垂直辺67と先端垂直面66で形成された側面視縦長方形状の第2中空部607と、からなる、
【0035】
図19に示すように、本実施形態において、補強部6の先端部分の高さ寸法、すなわち、先端垂直面66の高さ寸法は、下框3の高さ寸法よりも大きい。補強部6の先端部位の上端の高さ位置、すなわち、先端上側面62の高さ位置は、下框3の上面部30よりも上方に位置している。補強部6の先端部位の下端の高さ位置、すなわち、先端下側面65の高さ位置は、下框3の下面部33(室内側の水平面331)よりも下方に位置している。下框3の室内側面部32の上端から上方に突成された立ち上がり片(垂直片35+水平片36)の上端は、先端上側面62の上方に位置しており、図示の態様では、立ち上がり片(垂直片35+水平片36)の高さ寸法の略中央部位と先端上側面62の高さ位置が同じである。
【0036】
図14図19図23等に示すように、本実施形態に係る補強部6の幅方向両端部は、下框3の両端部位までは達していない。すなわち、下框3の室内側面部32は、補強部6を備えていない両側部位320を備えている。本実施形態に係る補強部6は、下框3の室内側面部32と略同幅で一体成型された状態から両端部位を切り欠いて形成されており、補強部6の幅方向両端の側縁600及び側縁600の基端から水平状に延びる両側部位320の部分320´は切り欠き部である。切り欠き部である部分320´は、室内側面部32と面一となるように切り欠き形成されている。
【0037】
補強部6の側縁600は、平面視直線状に延びる第1部分601と、第1部分601の基端側に位置し、平面視湾曲状の第2部分602と、からなる。すなわち、切り欠き部において、補強部6の側縁600の基端側部位と室内側面部32の両側部位320の部分320´との隅部が平面視湾曲形状となっている。本実施形態では、補強部6の幅方向の両端部位には、補強部6の側縁600の第1部分601を被覆するようにカバーCが装着されている。
【0038】
本実施形態では、側縁600の第1部分601は、上側水平面60の側縁の先端側部分、上側傾斜面61の側縁、先端上側面62の側縁、下側水平面63の側縁の先端側部分、下側傾斜面64の側縁と、先端下側面65の側縁、先端垂直面66の側縁、垂直辺67の側縁、垂直辺68の側縁、垂直辺69a、69bの側縁からなる。側縁600の第2部分602は、上側水平面60の側縁の基端側部分、下側水平面63の側縁の基端側部分からなる。
【0039】
[F]オーバーヘッドドアのセクションの縦框
セクション1の縦框4について説明する。図11図15図34図48等に示すように、縦框4は、高さ方向に垂直に延びる長尺部材であり、見込面部40と、室外側見付部41と、室内側見付部42と、から断面視コ字形状を備えている。縦框4の見込面部40が、セクション1の幅方向両端面を形成している。室外側見付部41の上端部位は、上框2の室外側面部21(垂直面210)に固定されており、下端部位は、下框3の室外側面部31(垂直面310)に固定されている。室内側見付部42の上端部位は、上框2の室内側面部22に固定されており、下端部位は、下框3の室内側面部32に固定されている。上下に隣接するセクション1において、上側のセクション1の縦框4の室内側見付部42の下方部位と、下側のセクション1の縦框4の室内側見付部42の上方部位は、ヒンジ16によって連結されている。
【0040】
セクション1の内側縦框4´について説明する。図11図15図34等に示すように、内側縦框4´は、高さ方向に垂直に延びる長尺部材であり、室内側見付面である面部40´と、見込面である第1側面部41´と、第2側面部42´と、第1見付辺43´と、第2見付辺44´と、から断面視ハット形状を備えている。第1側面部41´、第2側面部42´、第1見付辺43´と、第2見付辺44´は、内側縦框4´の全高に比べて短く、第1側面部41´、第2側面部42´、第1見付辺43´と、第2見付辺44´の上端は、面部40´の上端よりも下方に位置しており、第1側面部41´、第2側面部42´、第1見付辺43´、第2見付辺44´の下端は、面部40´の下端よりも上方に位置しており、面部40´は、第1側面部41´、第2側面部42´、第1見付辺43´、第2見付辺44´の上端よりも上方に位置する上方部位と、第1側面部41´、第2側面部42´、第1見付辺43´と、第2見付辺44´の下端よりも下方に位置する下方部位と、を備えている。
【0041】
内側縦框4´は、面部40´の上方部位が上框2の室内側面部22に固定されており、面部40´の下方部位が下框3の室内側面部32に固定されている。第1側面部41´、第2側面部42´、第1見付辺43´、第2見付辺44´の上端は、上框2の下面部23に近接ないし当接しており、第1側面部41´、第2側面部42´、第1見付辺43´、第2見付辺44´の下端は、下框3の上面部30から垂直に立ち上がる垂直片35の上端の水平片36に近接ないし当接している。上下に隣接するセクション1において、上側のセクション1の内側縦框4´の面部40´室の下方部位と、下側のセクション1の内側縦框4´の面部40´の上方部位は、ヒンジ16によって連結されている。
【0042】
上下に隣接するセクション1は、セクション1の幅方向両端に並設された縦框4、内側縦框4´の室内側見付部42、室内側の面部40´に設けたヒンジ16によって回動可能に連結さている。ヒンジ16は、上側の第1板160と、下側の第2板161と、軸部162と、からなる。上側に位置するセクション1の縦框4、内側縦框4´の室内側見付部42、室内側の面部40´下端部位には、ヒンジ16の第1板160が固定されている。第1板160は、面部163と、面部163の左右両端の立ち上がり片164と、からなる。下側に位置するセクション1の縦框4、内側縦框4´の室内側見付部42、室内側の面部40´上端部位には、ヒンジ16の第2板161が固定されている。第2板161は、面部165と、面部165の左右両端の立ち上がり片166と、からなる。第1板160の立ち上がり片164の下方部位と第2板161の立ち上がり片166の上方部位が重なっており、この重なり部にヒンジ16の軸部162が設けてある。
【0043】
本実施形態において、ヒンジ16の第2板161の左右の立ち上がり片166の立ち上がり寸法は、第1板160の左右の立ち上がり寸法164よりも大きく、立ち上がり片166は、ガイドローラ11のローラ軸110を支持するローラブラケットを構成している。すなわち、各セクション1の室内側部位の幅方向端部において、幅方向に並設された4枚の立ち上がり片166によって、ガイドローラ11のローラ軸110が支持されている。本実施形態に係るローラブラケットの取付構造については、後述する。
【0044】
[G]オーバーヘッドドアのセクションの中框
セクション1の中框5について説明する。中框5は、セクション1において、上框2と下框3との間を架け渡すように固定されており、セクション1の幅方向に間隔を存して複数本設けられている。中框5は、セクション1を補強する役割、ヒンジ16´の装着部としての役割を有している。後述するように、複数本の中框5の一部にヒンジ16´が装着されない中框(5B)を含む場合がある点に留意されたい。
【0045】
図11図17図22図34等に示すように、中框5は、高さ方向に垂直に延びる長尺部材であり、室内側見付面である面部50と、見込面である第1側面部51と、第2側面部52と、第1見付辺53と、第2見付辺54と、から断面視ハット形状を備えており、内側縦框4´と略同じ断面形状を備えている。また、第1側面部51、第2側面部52は、面部50の幅方向両端から延出しており、面部50の幅方向両端部に中框5の全高に亘って延びる突起512、522が形成されている。縦框4、内側縦框4´がセクション1の全高に亘る高さ寸法を備えているのに対して、中框5の高さ寸法は、縦框4、内側縦框4´の高さ寸法よりも少し短い。図11図22に示すように、中框5の上端は、セクション1の上端(上框2の上面部20)に位置しているのに対して、中框5の下端は、セクション1の下框3の補強部6の上方に位置しており、セクション1の下端までは達していない。
【0046】
中框5の第1側面部51、第2側面部52、第1見付辺53と、第2見付辺54は、中框5の全高に比べて短く、第1側面部51の上端510(図22参照)、第2側面部52の上端(図示せず、上端510と同じ高さ位置にある)、第1見付辺53の上端530、第2見付辺54の上端540は、面部50の上端よりも下方に位置しており、第1側面部51の下端511(図22参照)、第2側面部52の下端(図示せず、下端511と同じ高さ位置にある)、第1見付辺53の下端531、第2見付辺54の下端541は、面部50の下端よりも上方に位置している。
【0047】
面部50は、第1側面部51の上端510(図22参照)、第2側面部52の上端、第1見付辺53の上端530、第2見付辺54の上端540よりも上方に位置する上方部位500と、第1側面部51の下端511、第2側面部52の下端(図示せず、下端511と同じ高さ位置にある)、第1見付辺53の下端531、第2見付辺54の下端541よりも下方に位置する下方部位501と、を備えている。図17に示すように、面部50の上方部位には、ヒンジ16´の第2板161´を止着部材(例えば、螺子とポップナット)で取り付けるための孔部502が形成されており、面部50の下方には、中框5の下端部位を下框3の立ち上がり片の垂直片35に止着部材(例えば、ブラインドリベット)で固定するための孔503が形成されている。なお、本明細書において、「螺子」には「ボルト」が含まれる。
【0048】
図22に示すように、中框5は、面部50の上方部位500が上框2の室内側面部22に当接しており、上方部位500が止着部材(例えば、螺子とポップナット)で上框2の室内側面部22に固定されており、面部50の下方部位501が下框3の立ち上がり片の垂直片35及び室内側面部32の上半部位に当接しており、下方部位501が止着部材(例えば、ブラインドリベット)で下框3の立ち上がり片の垂直片35に固定されている。本実施形態において、中框5の面部50の上方部位500及び下方部位501の幅方向端部に突起(いわばフランジ)512、522が一体形成されているので、面部のみから形成される上方部位500及び下方部位501の強度が向上されている。
【0049】
上下に隣接するセクション1は、セクション1の幅方向中間部位に設けた複数本の中框5の室内側の面部50と、セクション1の下框3に突設された補強部6の基端側の下側水平面63と、に設けたヒンジ16´によって回動可能に連結さている。ヒンジ16´は、上側の第1板160´と、下側の第2板161´と、軸部162´と、からなる。図38に示すように、上側に位置するセクション1の下框3の室内側面部32に突設された補強部6の基端側の下側水平面63には、ヒンジ16´の第1板160´が固定されており、下側に位置するセクション1の中框5の室内側の面部50の上端部位には、ヒンジ16´の第2板161´が固定されている。
【0050】
[H]オーバーヘッドドアのセクションの中框の配置構成
図4に示す態様では、4本の中框5が、各セクション1の幅方向に略等間隔で設けてある。これに対して、図1図8図9に示す態様では、複数枚のセクション1を高さ方向に連結してなるオーバーヘッドドアの扉体Dにおいて、各セクション1は、本体10、左右の縦框4、上框2、下框3と、上框2と下框3を架け渡すように設けた複数本の中框5と、を備えており、中框5は、各セクション1の幅方向両端側に比べて、幅方向中央側に密に配置されている。
【0051】
より具体的には、上記複数本の中框5は、セクション1の幅方向に等間隔で配置され、上下に隣接するセクション1を連結するためのヒンジ16が装着された複数本の第1中框5Aと、幅方向の中央部位に位置する複数本の第1中框5Aの間に配置され、ヒンジが装着されていない複数本の第2中框5Bと、からなる。
【0052】
図1に示す態様では、扉体Dを構成する各セクション1において、7本の第1中框5A、2本の第2中框5Bが配置されており、図8に示す態様では、扉体Dを構成する各セクション1において、5本の第1中框5A、2本の第2中框5Bが配置されている。図9に示す態様では、4本の第1中框5A、3本の第2中框5Bが配置されている。
【0053】
第1中框5Aの本数が奇数本の場合には、セクション1の幅方向中央部位に1本の第1中框5Aが配置されており、その両側に位置して第2中框5Bが配置されている。第1中框5Aの本数が偶数本の場合には、セクション1の幅方向中央部位に1本の第2中框5Bが配置されており、その両側に位置して2本の中央側の第1中框5Aが配置されており、中央側の各第1中框5Aに間隔を存して隣り合うように第2中框5Bが配置されている。
【0054】
[I]オーバーヘッドドアのセクションの下框に組み込まれる補強材
図23図25を参照しつつ、セクション1の下框3に組み込まれる補強材8について説明する。上述したように、本実施形態に係る下框3の室内側面部32は、補強部を備えていない両側部位320を備えている。下框3には、少なくとも両側部位320の内面に沿うように長尺状の補強材8が組み込まれている。本実施形態に係る補強材8は、下框3の内面形状に沿った断面形状を備えており、下框3の幅方向端部の開口から中空部に挿入して組み込まれる。本実施形態では、下框3の中空部には、下框3の幅方向左右端部に位置して、左右の両側部位320の内面に沿うように左右の補強材8が組み込まれている。
【0055】
図25に示すように、本実施形態に係る補強材8は、所定長を備えた長尺部材であり、上面部80と、室内側面部81と、下面部82と、上面部80の室外側の上側垂下片83と、下面部82の室外側の下側垂下片84と、下側垂下片84の下端から室外側に水平に延びる下側水平片85と、からなり、第1端86、第2端87を備えている。上側垂下片83と下側水平片85の間には長さ方向に延びる開口が形成されており、補強材8において、室内側面部81(室内側の見付部)に対応する部位は開口状となっている。本実施形態に係る補強材8はスチール製であり、鋼板を折り曲げ成形することで得られる。
【0056】
補強材8の上面部80には、長さ方向に間隔を存して複数のリベット用の孔800が形成されている。補強材8の室内側面部81には、第1端86側に寄った位置に、3つのポップナット用の孔810が形成されており、第1端86から最も離れた孔810に対して第1端86から離間した側には、ボルトの挿通孔811が形成されており、室内側面部81の裏面には、前記挿通孔811の裏面に位置してナット88が溶接により固定されている。
【0057】
図24に示すように、下框3の中空部に補強材8が組み込まれた状態において、補強材8の上面部80が、下框3の上面部30の内面に当接して止着部材(例えば、ブラインドリベット)で固定されており、補強材8の室内側面部81が、下框3の室内側面部32の内面に当接して止着部材(例えば、螺子)で固定されており、補強材8の下面部82が、下框3の下面部33の水平面331に近接(当接してもよい)しており、補強材8の上側垂下片83が、下框3の室外側面部31の垂直面310に近接(当接してもよい)しており、補強材8の下側垂下片84が、下框3の下面部33の垂直面332に近接(当接してもよい)しており、補強材8の下側水平片85が、下框3の下面部33の水平面330に近接(当接してもよい)している。
【0058】
補強材8の第1端86は、下框3の幅方向端縁に一致ないし近接しており、補強材8の第2端87は、少なくとも、補強部6の幅方向の側縁600より下框3の幅方向中央部位側に位置している。例えば、限定しない例として、補強材8の長さ寸法は、各両側部位320の幅寸法の1.5倍以上、例えば、約2倍である。本発明において、下框3の中空部に下框3の全幅に亘る補強材を組み込むことは排除されないが、セクション1の軽量化の観点からは、全幅に比べて短尺の補強材8を下框3の左右両端部位に組み込むことが有利である。
【0059】
本実施形態では、ホロータイプの下框3を示したが、下框3はソリッドタイプであってもよい。ソリッドタイプの下框3´を図26に示す。図26に示すように、下框3´の室内側面部32´には補強部6が突成されており、補強部6の幅方向両端部は下框3´の両端までは達していない。下框3´の内面の幅方向両端部には、内面(上面部30´、室内側面部32´及び下面部33´の内面)に沿うように補強材8´が設けてある。
【0060】
[J]オーバーヘッドドアのセクションの下框に突成した補強部の先端部に装着されるアタッチメント
図20図21図22図36図38に示すように、本実施形態に係るセクション1の下框3の補強部6の先端部分には、アタッチメント7が装着可能となっており、補強部6の先端部分にアタッチメント7を装着することで、補強部6の先端側が室内側面部32から離間するように延出可能となっている。
【0061】
図20図21に示すように、本実施形態に係るアタッチメント7は、前面部70と、上面部71と、下面部72と、から断面視略コ字形状を備えた長尺部材であって、上面部71は、前面部70に近い側の延長部710と、前面部70から遠い側の固定部711と、からなり、下面部72は、前面部70に近い側の延長部720と、前面部70から遠い側の固定部721と、からなる。アタッチメント7の上面部71の下面には、延長部710と固定部711の境界に位置して、補強部6の先端部分に当接する位置決め片73が突成されており、下面部72の上面には、延長部720と固定部721の境界に位置して、補強部6の先端部分に当接する位置決め片74が突成されている。
【0062】
アタッチメント7は、上面部71の固定部711が補強部6の先端部分の上面(水平状の先端上側面62)に、下面部72の固定部721が補強部6の先端部分の下面(水平状の先端下側面65)に、それぞれ当接した状態で、例えば、止着部材(例えば、リベット)によって、固定可能となっている。
【0063】
アタッチメント7が補強部6の先端部分に装着された状態において、上面部71の延長部710、下面部72の延長部720、前面部70は、補強部6の先端垂直面66よりも室内側に位置しており、補強部6の先端部分にアタッチメント7を装着することで、補強部6の先端側が室内側面部32から離間するように延出されている。例えば、異なる寸法を備えた延長部710、720からなるアタッチメント7を複数種類用意しておくことで、現場で要求される強度に合わせて、異なるアタッチメント7を選択して対応することができる。
【0064】
アタッチメント7において、アタッチメント7が補強部6に装着された状態において、最も室内側面部32から離隔した位置にある前面部70の板厚は、上面部71及び下面部72の板厚よりも大きくなっている。また、上面部71において、延長部710の板厚は固定部711の板厚よりも大きく、下面部72において、延長部720の板厚は固定部721の板厚よりも大きい。
【0065】
本実施形態に係るアタッチメント7の上面部71、下面部72には、位置決め片73、74が設けてあるので、断面視コ字状のアタッチメント7の開口に補強部6の先端部位を受け入れるように、上面部71、下面部72で補強部6の先端部の上面、下面を挟み込むようにして、アタッチメント7を被せて、上側の位置決め片73が補強部6の先端部分の上側部位(先端上側面62と先端垂直面66で形成される角部)に当接し、下側の位置決め片74が補強部6の先端部分の下側部位(先端下側面65と先端垂直面66で形成される角部)に当接させた状態で、アタッチメント7の位置決めができるので、セクション1の下框3の幅方向に延びる補強部6に対する長尺状のアタッチメント7の取付作業性が良い。
【0066】
本実施形態に係るアタッチメント7は、1つの態様を示すものであり、アタッチメント7の具体的な形状や構成は図示の態様に限定されない。例えば、断面視ハット型のアタッチメントの脚部を、補強部6の先端部位の垂直面(先端垂直面66)に止着部材(例えば、螺子)で固定することで、補強部6の先端側を室内側面部32から離間するように延出するものでもよい。
【0067】
[K]オーバーヘッドドアのトップセクション
主として中間セクション1に基づいて、セクション1の構成の詳細について説明したが、トップセクション1´、ボトムセクション1´´の基本的な構成は、中間セクション1と同じであり、中間セクション1の説明を援用することができる。
【0068】
図27図28にトップセクション1´の正面図及び縦断面図を示すが、トップセクション1´の本体10、上框2(補強部6´を除く)、下框3、縦框4、内側縦框4´、中框5(上端部位の構成を除く)、補強部6の構成は、実質的に、中間セクション1の本体10、上框2、下框3、縦框4、内側縦框4´、補強部6の構成と同じであり、中間セクション1の本体10、上框2、下框3、縦框4、内側縦框4´、補強部6についての記載を援用することができる。以下に、トップセクション1´に特有の構成について説明する。
【0069】
[L]オーバーヘッドドアのトップセクションの上框に突成した補強部
図27下図、図28に示すように、トップセクション1´の上框2の室内側面部22の上端部位には、上框2の幅方向に亘って延びる中空状の補強部6´が突成されている。図29に示すように、補強部6´は、室内側面部22の上端から室内側へ水平に延びる上側水平面60´と、上側水平面60´の下方に位置して、室内側面部22から室内側へ水平に延びる下側水平面61´と、を備えており、上側水平面60´の先端側は、下側水平面61´の先端を越えて延出する延出部となっている。上側水平面60´の延出部の先端から垂下する先端垂直面62´が形成されており、先端垂直面62´と平行して下側水平面61´の先端を通る垂直面63´が形成されており、垂直面63´の上端は、上側水平面60´と接続されており、先端垂直面62´と垂直面63´の下端は下端面64´によって接続されている。
【0070】
補強部6´は、上框2の室内側面部22から室内側に向かって水平状に延びる水平部6A´と、水平部6A´の端部から垂下する垂下部6B´とから、断面視L形状を備えている。補強部6´の水平部6A´は、上側水平面60´(延出部を除く)と、下側水平面61´と、から形成されており、垂下部6B´は、上側水平面60´の延出部と、先端垂直面62´と、垂直面63´と、下端面64´と、から形成されている。垂下部6B´の肉厚は、水平部6A´の肉厚よりも厚くなっている。
【0071】
図27下図、図30図32に示すように、本実施形態に係る補強部6´の幅方向両端部は、上框2の両端部位までは達していない。すなわち、上框2の室内側面部22は、補強部6´を備えていない両側部位220を備えている。本実施形態に係る補強部6´は、上框2の室内側面部22と略同幅で一体成型された状態から両端部位を切り欠いて形成されており、補強部6´の幅方向両端の側縁600´及び側縁600´の基端から水平状に延びる両側部位220の部分は切り欠き部である。切り欠き部である部分は、室内側面部22と面一となるように切り欠き形成されている。
【0072】
補強部6´の側縁600´は、平面視直線状に延びる第1部分601´と、第1部分601´の基端側に位置し、平面視湾曲状の第2部分602´と、からなる。すなわち、切り欠き部において、補強部6´の側縁600´の基端側部位と室内側面部22の両側部位220の部分との隅部が平面視湾曲形状となっている、本実施形態では、側縁600´の第1部分601´は、垂下部6B´及び水平部6A´の先端側部位からなり、側縁600´の第2部分602´は、水平部6A´の基端側部位からなる。本実施形態では、補強部6´の幅方向の両端部位には、補強部6´の側縁600´の第1部分601´を含む部位を被覆するようにカバーC´が装着されている。
【0073】
トップセクション1´の室内側部位の上端部位にはガイドローラ11が設けてある。トップセクション1´の縦框4、内側縦框4´の室内側見付部42、室内側の面部40´上端部位には、ガイドローラ11のローラ軸110を支持するローラブラケット17が固定されている。図5に示す態様では、ローラブラケット17の固定部としての面部170の下側にローラ軸110を支持する支持部171が位置し、図39に示す態様では、ローラブラケット17の面部170の上側にローラ軸110を支持する支持部171が位置している点に留意されたい。本実施形態に係るローラブラケット17の取付構造については、後述する。
【0074】
トップセクション1´の中框5の上端は、トップセクション1´の上面までは達しておらず、補強部6´の下側水平面61´の基端に当接ないし近接している。トップセクション1´の中框5の下方部位と下框3との連結構成については、中間セクション1の中框5の下方部位と下框3との連結構成についての説明を援用することができる。また、補強部6´に、補強部6´の先端側を延長するためのアタッチメントを装着可能としてもよい。この時、補強部6´のアタッチメントは、下框3の補強部6に装着されるアタッチメント7と異なる形状・寸法であることが当業者に理解される。
【0075】
[М]オーバーヘッドドアのトップセクションの上框に組み込んだ補強材
図29に示すように、トップセクション1´の上框2の中空部には補強材9が組み込まれている。上述したように、本実施形態に係る上框2の室内側面部22は、補強部を備えていない両側部位220を備えている。上框2には、少なくとも両側部位220の内面に沿うように長尺状の補強材9が組み込まれている。本実施形態に係る補強材9は、上框2の内面形状に沿った断面形状を備えており、上框2の幅方向端部の開口から中空部に挿入して組み込まれる。本実施形態では、上框2の中空部には、上框2の幅方向左右端部に位置して、左右の両側部位220の内面に沿うように左右の補強材9が組み込まれている。
【0076】
図29図31図33に示すように、本実施形態に係る補強材9は、所定長を備えた長尺部材であり、下面部90と、下面部90の室内側端部から立ち上がる室内側面部91と、室内側面部91の上端から室外側に水平に延びる上面部92と、下面部90の室外側端部から立ち上がる下側垂直片93と、上面部92の室外側端部から垂下する上側垂下片94と、からなり、第1端95、第2端96を備えている。下側垂直片93と上側垂下片94の間には長さ方向に延びる開口が形成されており、補強材9において、室内側面部91(室内側の見付部)に対応する部位は開口状となっている。本実施形態に係る補強材9はスチール製であり、鋼板を折り曲げ成形することで得られる。本実施形態では、長さ寸法の異なる2種類の補強材9が採用されており、長さ寸法が長い方の補強材9を補強材9A(図30図31)、長さ寸法が短い方の補強材9の補強材9B(図32図33)として識別する。
【0077】
図31に示すように、補強材9Aの下面部90には、長さ方向に間隔を存して複数のリベット用の孔900が形成されている。補強材9Aの室内側面部91には、第1端95側に寄った位置に、仮想三角形の頂点に位置する3つの孔からなる第1ブラケット固定用の第1孔セットが形成されている。第1孔セットは、図5に示す縦框4の室内側見付部42上の仮想菱形の頂点の上側の3本のボルトS、図39に示す縦框4の室内側見付部42上の仮想菱形の頂点の上側の3つの孔に対応している。第1孔セットは、ポップナット用切り欠き910、ポップナット用孔911、ボルトSの挿通孔912からなり、室内側面部91の裏面には、挿通孔912の裏面に位置してナット97が溶接で固定されている。第1孔セットに対して、第1端95から離間する側に隣接して、仮想三角形の頂点に位置する3つの孔からなる第2ブラケット固定用の第2孔セットが形成されている。第2孔セットは、図5に示す内側縦框4´の面部40´上の仮想菱形の頂点の上側の3本のボルトS、図39に示す内側縦框4´の面部40´上の仮想菱形の頂点の上側の3つの孔に対応している。第2孔セットは、ポップナット用孔911、2本のボルトSの挿通孔912からなり、室内側面部91の裏面には、挿通孔912の裏面に位置してナット97が溶接で固定されている。
【0078】
図33に示すように、補強材9Bの下面部90には、長さ方向に間隔を存して複数のリベット用の孔900が形成されている。補強材9Bの室内側面部91には、第1端95側に寄った位置に、仮想三角形の頂点に位置する3つの孔からなる第1ブラケット固定用の第1孔セットが形成されている。第1孔セットは、図5に示す縦框4の室内側見付部42上の仮想菱形の頂点の上側の3本のボルトS、図39に示す縦框4の室内側見付部42上の仮想菱形の頂点の上側の3つの孔に対応している。第1孔セットは、ポップナット用切り欠き910、2つのポップナット用孔911からなる。第1孔セットに対して、第1端95から離間する側に隣接して、仮想三角形の頂点に位置する3つの孔からなる第2ブラケット固定用の第2孔セットが形成されている。第2孔セットは、図5に示す内側縦框4´の面部40´上の仮想菱形の頂点の上側の3本のボルトS、図39に示す内側縦框4´の面部40´上の仮想菱形の頂点の上側の3つの孔に対応している。第2孔セットは、3つのポップナット用孔911からなる。
【0079】
図29に示すように、上框2の中空部に補強材9が組み込まれた状態において、補強材9の下面部90が、上框2の下面部23の内面に当接して止着部材(例えば、ブラインドリベットR)で固定されており、補強材9の室内側面部91が、上框2の室内側面部22の内面に当接して止着部材(例えば、ボルトS)で固定されており、補強材9の上面部92が、上框2の上面部20の水平面201に近接(当接してもよい)しており、補強材9の下側垂直片93が、上框2の室外側面部21の垂直面210に近接(当接してもよい)しており、補強材9の上側垂下片94が、上框2の上面部20の垂直面202に近接(当接してもよい)している。
【0080】
補強材9の一端95は、上框2の幅方向端縁に一致ないし近接しており、補強材9の他端96は、少なくとも、補強部6の幅方向の側縁600´より上框2の幅方向中央部位側に位置している。図30に示す態様では、補強材9Aの長さ寸法は、各両側部位220の幅寸法の約2倍である。図32に示す態様では、補強材9Bの他端96は、各両側部位220から幅方向中央部位側に少し延びた位置にある。本発明において、上框2の中空部に上框2の全幅に亘る補強材を組み込むことは排除されないが、セクション1の軽量化の観点からは、全幅に比べて短尺の補強材9を上框2の左右両端部位に組み込むことが有利である。
【0081】
[N]オーバーヘッドドアのセクションのローラブラケットの取付構造
ガイドローラ11のローラ軸110を支持するローラブラケット17は、セクション1の室内側面部において、幅方向両端部位の上方部位に止着部材(例えば、螺子)によって固定されている。図42図43に示すように、ローラブラケット17は、セクション1の室内側面部に固定される固定部としての面部170と、面部170に対して持ち出し状に位置するローラ軸110の支持部171と、を備えている。図42図43に示す態様では、セクション1の室内側面部の幅方向端部には、幅方向に隣接して2つのローラブラケット17が設けてあり、2つのローラブラケット17の支持部171によってローラ軸110が支持されている。
【0082】
図42に示す態様では、各ローラブラケットは、面部170をセクション1の室内側面部に当接させた状態で例示する3本のボルトSによって固定されている。図42上図に示す態様では、6本の全てのボルトSがポップナットに締結されることで、ローラブラケット17の面部170がセクション1の室内側面部に固定されている。
【0083】
図43に示す態様では、各ローラブラケットは、面部170をセクション1の室内側面部に当接させた状態で例示する2本のボルトSによって固定されている。図43上図に示す態様では、4本の全てのボルトSがポップナットに締結されることで、ローラブラケット17の面部170がセクション1の室内側面部に固定されている。セクション1に大きな風圧力が作用した時には、セクション1の変形に伴い、ガイドローラ11がガイドレールG内面に当接した状態でローラ軸110が傾くように力が作用し、この力は、ローラブラケット17とセクション1の室内側面部の固定部位に作用する。図42上図、図43上図に示す態様では、ローラブラケットの取付部の強度が、ポップナットの引き抜き強度に依存することになって、セクションの強度向上の妨げとなるおそれがある(ボルトSが抜ける方向に移動した概念図を右側に示す)。
【0084】
図42下図、図43下図に示す態様では、風圧が作用した時により大きい回転モーメントが作用し得る箇所に位置するポップナットをナット(88、97)に置き換えるようになっている。1つの態様では、裏面にナットが溶接された裏板を用意し、この裏板を、上框2、下框3の中空部から組み込んで、室内側面部22、室内側面部32の裏面に固定する。本実施形態では、溶接ナットを備えた裏板は、補強材8、9Aの室内側面部81、91である。以下により具体的に説明する。
【0085】
図42下図に示す態様では、セクション1の幅方向端部から遠い側のローラブラケット17の面部170をセクション1の室内側面部に固定する3本のボルトSのうちセクション1の幅方向端部から遠い側の2本のボルトS´がセクション1の室内側面部の裏面に設けたナット97に締結されることで、ローラブラケット17の面部170がセクション1の室内側面部に固定されている。セクション1の幅方向端部に近い側のローラブラケット17の面部170をセクション1の室内側面部に固定する3本のボルトSのうちセクション1の幅方向端部から遠い側の1本のボルトS´がセクション1の室内側面部の裏面に設けたナット97に締結されることで、ローラブラケット17の面部170がセクション1の室内側面部に固定されている。ナット97は、セクション1の中空部にセクション1の端部から、裏面にナット97が溶接された裏板(図示せず)を組み込むことでセクション1の室内側面部の裏面に設けられる。後述する実施形態では、裏板は、補強材9Aの室内側面部91である。
【0086】
図43下図に示す態様では、セクション1の幅方向端部から遠い側のローラブラケット17の面部170をセクション1の室内側面部に固定する2本のボルトSのうちセクション1の幅方向端部から遠い側の1本のボルトS´がセクション1の室内側面部の裏面に設けたナット88に締結されることで、ローラブラケット17の面部170がセクション1の室内側面部に固定されている。ナット88は、セクション1の中空部にセクション1の端部から、裏面にナット88が溶接された裏板(図示せず)を組み込むことでセクション1の室内側面部の裏面に設けられる。後述する実施形態では、裏板は、補強材8の室内側面部81である。
【0087】
本実施形態では、セクション1の室内側面部の幅方向両端部位には、縦框4の室内側見付部42、内側縦框4´の室内側の面部40´が位置しており、縦框4の室内側見付部42の上方部位、内側縦框4´の室内側の面部40´の上方部位は、セクション1の上框2の室内側面部22に固定されている。本実施形態に係るトップセクション1´のローラブラケット(トップローラブラケット)17の面部170は、縦框4の室内側見付部42及び上框2の室内側面部22、内側縦框4´の室内側の面部40´及び上框2の室内側面部22に、それぞれ4本のボルトSで固定される。
【0088】
図5に示すように、4本のボルトSは仮想菱形の頂点上に位置しており、上側の3本のボルトSが固定される部位には、上框2の室内側面部22が位置している。トップセクション1´の上框2の中空部には、幅方向両端部位に位置して補強材9が組み込まれており、上框2の室内側面部22の裏面には、補強材9の室内側面部91が位置している。すなわち、上側の3本のボルトSは、縦框4の室内側見付部42ないし内側縦框4´の室内側の面部40´、上框2の室内側面部22、補強材9の室内側面部91が重なり合った部位に固定される。4本のボルトSの下方の1本のボルトSはポップナットによって、縦框4の室内側見付部42、内側縦框4´の室内側の面部40´に締結される。
【0089】
図31に示すように、補強材9Aの室内側面部91には、第1端95側に寄った位置に、仮想三角形の頂点に位置する3つの孔からなる第1ブラケット固定用の第1孔セットが形成されている。第1孔セットは、ポップナット用切り欠き910、ポップナット用孔911、ボルトSの挿通孔912からなり、室内側面部91の裏面には、挿通孔912の裏面に位置してナット97が溶接で固定されている。上側の3本のボルトSのうちの1本のボルトS´(図5参照)は、ナット97に締結され、2本のボルトSはポップナットに締結される。
【0090】
第1孔セットに対して、第1端95から離間する側に隣接して、仮想三角形の頂点に位置する3つの孔からなる第2ブラケット固定用の第2孔セットが形成されている。
第2孔セットは、ポップナット用孔911、2本のボルトSの挿通孔912からなり、室内側面部91の裏面には、挿通孔912の裏面に位置してナット97が溶接で固定されている。上側の3本のボルトSのうちの2本のボルトS´(図5参照)は、ナット97に締結され、1本のボルトSはポップナットに締結される。
【0091】
図33に示すように、補強材9Bの室内側面部91には、第1端95側に寄った位置に、仮想三角形の頂点に位置する3つの孔からなる第1ブラケット固定用の第1孔セットが形成されている。第1孔セットに対して、第1端95から離間する側に隣接して、仮想三角形の頂点に位置する3つの孔からなる第2ブラケット固定用の第2孔セットが形成されている。第1孔セット、第2孔セットのそれぞれの3つの孔にはポップナットが設けられ、上側の3本のボルトSは、ポップナットに締結される(図39参照)。
【0092】
本実施形態において、中間セクションのローラブラケットは、ヒンジ16によって兼用されている。ヒンジ16の上側の第1板160の面部163、下側の第2板161の面部165が、ローラブラケットをセクション1の室内側面部に固定する固定部を形成し、第2板161の立ち上がり片166がローラ軸110の支持部が形成されている。
【0093】
図6に示すように、ヒンジ16の第1板160の面部163は、縦框4の室内側見付部42の下方部位、内側縦框4´の室内側の面部40´の下方部位に、それぞれ3本のボルトSで固定される。上側の1本のボルトSは、縦框4の室内側見付部42の下方部位、内側縦框4´の室内側の面部40´の下方部位にポップナットによって締結される。
【0094】
下側の2本のボルトSが固定される部位には、下框3の室内側面部32が位置している。セクション1の下框3の中空部には、幅方向両端部位に位置して補強材8が組み込まれており、下框3の室内側面部32の裏面には、補強材8の室内側面部81が位置している。すなわち、下側の2本のボルトSは、縦框4の室内側見付部42ないし内側縦框4´の室内側の面部40´、下框3の室内側面部32、補強材8の室内側面部81が重なり合った部位に固定される。図25に示すように、補強材8の室内側面部81には、第1端86側に寄った位置に、3つのポップナット用の孔810が形成されており、第1端86から最も離れた孔810に対して第1端86から離間した側には、ボルトS´の挿通孔811が形成されており、室内側面部81の裏面には、挿通孔811の裏面に位置してナット88が溶接により固定されている。
【0095】
ヒンジ16の第1板160を縦框4の室内側見付部42に固定する3本のボルトSのうちの下側の2本のボルトSは、補強材8の室内側面部81の裏面に設けたポップナットに締結される。ヒンジ16の第1板160を内側縦框4´の室内側の面部40´に固定する3本のボルトSのうちの下側の2本のボルトSのうちのセクション1の端部から遠い側のボルトS´(図6参照)は、補強材8の室内側面部81の裏面に設けたナット88に締結される。
【0096】
ヒンジ16の第2板161の面部165は、縦框4の室内側見付部42の上方部位、内側縦框4´の室内側の面部40´の上方部位に、それぞれ3本のボルトSで固定される。上側の2本のボルトSが固定される部位には、上框2の室内側面部22が位置している。すなわち、上側の2本のボルトSは、縦框4の室内側見付部42ないし内側縦框4´の室内側の面部40´、上框2の室内側面部22が重なり合った部位に固定される。本実施形態では、3本のボルトSは、縦框4の室内側見付部42の上方部位、内側縦框4´の室内側の面部40´の上方部位にポップナットによって締結される。
【0097】
本実施形態では、ローラブラケットを兼用するヒンジ16において、ローラブラケットの固定部である第1板160の面部163、下側の第2板161の面部165をセクション1の室内側面部に固定する12本のボルトSのうちのセクション1の端部から最も離れた側に位置する1本のボルトS´が、補強材8の室内側面部81の裏面に溶接したナット88に締結され、残りの11本のボルトSはポップナットに締結されている。
【0098】
[O]セクションの框に形成した補強部の側縁形状
本実施形態において、セクション1の下框3の室内側面部32に突成した補強部6、トップセクション1´の上框2の室内側面部22に突成した補強部6´は、共に、下框3ないし上框2の室内側面部と略同幅で一体成型された状態から両端部位を切り欠いて形成されており、補強部6、6´の幅方向両端部は下框3、上框2の両端部位までは達しておらず、下框3の室内側面部32、上框2の室内側面部22は、補強部6、6´を備えていない両側部位320、220を備えている。すなわち、補強部6、6´の幅方向両端の側縁600、600´及び側縁600、600´の基端から水平状に延びる両側部位320、220の部分320´(室内側面部32と面一に切り欠かれている)は切り欠き部である。切り欠き部において、補強部6、6´の側縁600、600´の基端側部位は、平面視湾曲面となって側縁600、600´と両側部位320、220との隅部が平面視湾曲形状となっている。本実施形態では、補強部6の側縁600と、補強部6´の側縁600´の平面視の形状は同じなので、以下、セクション1の下框3の室内側面部の両側部位320、及び、補強部6の側縁600について説明する。
【0099】
上下に隣接するセクション1が垂直姿勢にある時に、上側のセクション1の下框3の室内側面部32の下方にはガイドローラ11のローラ軸110が位置している(図37参照)。上下に隣接するセクション1は、ヒンジ16、16´によって回動可能に連結されており、上下に隣接するセクション1が垂直姿勢から屈曲すると、下側のローラ軸が上側の室内側面部32に近づくことになる(図41参照)。ここで、ローラ軸110は、平面視において、室内側面部32の両側部位320に離間対向して平行状に延びているが、扉体Dを構成するセクション1の高さ位置に応じて、室内側面部32の両側部位320とローラ軸110の距離が異なる点に留意されたい(ヒンジ16の第2板161の立ち上がり片166の突出寸法が、扉体Dにおけるヒンジ16の高さ位置によって異なる)。
【0100】
ガイドローラ11のローラ軸110の基端は、上側の室内側面部32に最も近づいた状態において、側縁600の第1部分601を通る垂直面よりは、セクション1の幅方向端部側に位置する必要がある。また、室内側面部32の両側部位320には、縦框4の室内側見付部42、内側縦框4´の面部40´の下方部位が固定され、さらに、内側縦框4´の面部40´には、ヒンジ16が固定される。よって、側縁600の湾曲状の第2部分602の基端(両側部位320のセクション1の端部から離間する側の端)は、内側縦框4´の第2側面部42´(平面視において、ヒンジ16の第2板161の立ち上がり片166のセクション1の端部から離間する側の立ち上がり片166)と略一致している(図40参照)。
【0101】
本実施形態では、側縁600において、補強部6の室内側面部32からの突出寸法d1(室内側面部32から先端垂直面66までの距離)の2割以上の部分が第2部分602となっている。本実施形態では、側縁600において、補強部6の第1部位6Aの幅方向両端の側縁の基端側部位が湾曲状の第2部分602となっており、第1部位6Aの室内側面部32からの突出寸法d2の半分以上の部分が第2部分602となっている。図41には、本発明として採用し得る側縁600の湾曲状の第2部分602を寸法に応じて複数の湾曲線で示している。具体的には、第2部分602として、R20、R25、R30、R35の円弧面(4分円)を示しており、本実施形態に係る湾曲状の第2部分602はR35の円弧面(4分円)である。
【0102】
[P]オーバーヘッドドアの扉体の施錠機構
中間セクション1のうちの1枚の中間セクション1には、施錠機構が設けてある。図44図48を参照しつつ、施錠機構について説明する。施錠機構は、中間セクション1の幅方向端部から突出可能なラッチ130と、ガイドレールGに位置するラッチ掛り131と、ラッチ130を施錠姿勢と解錠姿勢との間で移動させる操作部132とからなる。ラッチ130は、中間セクション1の室内側部位の幅方向両端部に回動可能に設けてあり、平面視において、中間セクション1の幅方向端部よりも内側に位置する解錠姿勢と、中間セクション1の幅方向端部から外側に突出する施錠姿勢と、の間で回動可能となっており、開口部全閉時に、ラッチ130を施錠姿勢とすることで、ラッチ130の上端がラッチ掛り131の下端に下方から近接するようになっている。
【0103】
施錠機構を備えた中間セクション1の幅方向中央に位置して中框5が配置されており、中框5の面部50には、操作部132が設けてある。操作部132と左右のラッチ130はワイヤ133によって連結されており、操作部132が第1姿勢にある時にラッチ130は施錠姿勢にあり、操作部132を第1姿勢から第2姿勢へ回動操作することに連動して、ワイヤ133を介してラッチ130が施錠姿勢から回動して解錠姿勢となる。
【0104】
本実施形態に係るラッチ130は、取付板134を介して、縦框4の室内側面部42にボルトで固定されている。施錠機構が取り付けられる中間セクション1において、取付板134が固定される縦框4の室内側面部42の裏面には、高さ方向に亘って、補強板420が、止着部材(例えば、ブラインドリベット)によって固定されている。補強板420の幅方向端部には折り曲げ片421が一体形成されている。図48に示すように、補強板420の裏面の所定箇所には、溶接ナット422が設けてある。本実施形態では、取付板134を固定するボルトに対応して4つの溶接ナット422が位置しており、室内側面部42の上方部位にはヒンジ16の第2板161の下側のボルトS´(図47参照)に対応して1つの溶接ナット422が位置しており、室内側面部42の下方部位にはヒンジ16の第1板161の上側のボルトS´(図47参照)に対応して1つの溶接ナット422が位置している。補強板420の上端、下端は、縦框4の室内側面部42の上端、下端までは達しておらず、補強板420の上端部位には、ヒンジ16の第2板161の上側の2本のボルトSに対応して2つの孔423が形成されており、補強板420の下端部位には、ヒンジ16の第1板160の下側の2本のボルトSに対応して2つの孔424が形成されている。
【0105】
[Q]本実施形態に係るオーバーヘッドドアの作用効果
[Q-1]下框の室内側面部に突成した補強部の形状
セクション1及び扉体Dの強度を向上させるべく、下框3の室内側面部32に補強部6を突成した。補強部6は、中空状のホロー構造であって、室内側面部32から室内側に離間するにしたがって高さ寸法が大きくなるような形状を備えている。この形状は、質量対強度比の観点で有利な形状であり、また、アルミ押出型材としての形状安定性が向上する。補強部6は、そのホロー構造によって重量の増加を低減しつつ、室内側の先端部位の断面積を大きくし、さらに先端部位(先端垂直面66)の肉厚を他の部分の肉厚よりも厚くすることで、材料使用量に対して効果的に強度確保が実現できる。さらに、補強部6の表面は傾斜面と水平面と垂直面からなり、隅部のような部位が無いので、ゴミや塵が溜ることがなく、清掃も容易であり、メンテナンス性も良好ある。補強部6の基端側部位(第1部位6A)をホロー構造(板状部とした場合には、成形上、厚くできない)とすることで、補強部6の基端側部位の強度を確保することができる。
【0106】
[Q-2]框に突設した補強部の側縁の基端側の湾曲形状
セクション1の下框3の室内側面部32には、補強部6が突設されているが、補強部6の幅方向両端部は、下框3の幅方向両端部までは達しておらず、ローラブラケット17の取付スペースが確保されている。この補強部6は、下框3の室内側面部32と略同幅で一体成型された状態から両端部位を切り欠いて形成されており、室内側面部32は、補強部6を備えていない両側部位320を有しており、補強部6の幅方向両端の側縁600及び側縁600の基端から水平状に延びる両側部位320の部分は切り欠き部であり、この切り欠き部に応力集中が発生し、セクション1の強度向上の妨げとなるおそれがあった。本実施形態では、切り欠き部において、補強部6の側縁600の基端側部位(第2部分602)と両側部位320の部分との隅部(応力が集中し易い部位、例えば、直角に切り欠いた場合には応力集中が大きい)を平面視湾曲形状とすることで、セクション1の強度を向上させた。また、湾曲部のRを大きくすることによる重量増加は限定的である。
【0107】
トップセクション1´の上框2の室内側面部22に突設した補強部6´も、下框3の室内側面部32に突設した補強部6と同様に、上框2の室内側面部22と略同幅で一体成型された状態から両端部位を切り欠いて形成されており、室内側面部22は、補強部6´を備えていない両側部位220を有しており、補強部6´の幅方向両端の側縁600´及び側縁600´の基端から水平状に延びる両側部位220の部分は切り欠き部である。本実施形態では、切り欠き部において、補強部6´の側縁600´の基端側部位(第2部分602´)と両側部位220の部分との隅部(応力が集中し易い部位、例えば、直角に切り欠いた場合には応力集中が大きい)を平面視湾曲形状とすることで、トップセクション1´の強度を向上させた。また、湾曲部のRを大きくすることによる重量増加は限定的である。
【0108】
[Q-3]下框の室内側面部に突成した補強部の先端部分に装着可能なアタッチメント
本実施形態では、オーバーヘッドドアのセクション1の耐風圧強度向上のため、製作可能な最大サイズにまで下框3の出寸法(補強部6)を大きくしたが、現場によっては、要求される強度を満足できないおそれがある。強度向上の目的で、補強部6を含む下框3の板厚を増やした場合、重量増加によって設計範囲が縮小し、また製品コストの面で問題が発生し得る。下框3の室内側面部32に突設した補強部6の先端部分に装着可能なアタッチメント7を用意し、アタッチメント7を先端部分に装着することで、補強部6の先端側が室内側面部32から離間するように延出可能とした。アタッチメント7を装着するやり方は、質量対強度比において、板厚を増やすやり方より優れているため、アタッチメント7を用いることで、重量増加を最小限にとどめたうえで、セクション1の強度向上が可能となる。異なる寸法や形状を備えたアタッチメント7を複数種類用意しておくことで、現場で要求される強度に合わせて、異なるアタッチメントを選択して対応することができ、セクション1の拡張性が向上する。
【0109】
アタッチメント7を、前面部70と、上面部71と、下面部72と、から断面視略コ字形状を備えた長尺部材とすることで、補強部6の先端部分に、当該先端部部を挟み込むようにアタッチメント7を容易に取付けることができ、さらに、アタッチメント7の上面部71の下面、下面部72の上面に位置決め片73、74を設けたことで、取付作業性が向上されている。また、断面視コ字形状のアタッチメント7は、下框3の寸法精度や撓り等に追従することができる。
【0110】
[Q-4]中框の下方部位と下框との連結構造
中框5の下方部位501を、中空状の下框3に固定するにあたり、例えば、ブランドリベットが用いられる。上述のように、本実施形態では、セクション1の強度向上のため、下框3の室内側面部32にセクションの幅方向に亘って中空状の補強部6が室内側に突成されており、この補強部6は、室内側に向かって斜め上方に延びる上側傾斜面61を備えており、室内側面部から離間する方向に漸次高さ寸法が大きくなっている。補強部6のこの形状は、質量対強度比の観点において有利な形状である。しかしながら、下框3の室内側面部32の高さは、補強部6の先端部位よりも低いため、通常設備を用いての室内側からの孔加工(リベット装着のため下框3の室内側面部32における孔加工)が困難である。
【0111】
本実施形態では、下框3の上面部30に、室内側面部32を上方に延出させて立ち上がり片(垂直辺35と水平片36からなる)を形成したことで、止着部材(例えば、ブランドリベット)の締結部位を、下框3の上面部32の上方に設定することが可能となり、立ち上がり片の垂直片35における孔加工を容易に行うことを可能とした。この孔加工は、室内側からのみならず、室外側から行うことが可能である。立ち上がり片を形成することは、下框3全体の高さ寸法を大きくする場合に比べて、重量の増加が限定的である。中框5の下方部位501は、上側が立ち上がり片の垂直片35に当接し、下側が下框3の室内側面部32に当接した状態で、上側(中框5の下端からより離れた位置)が締結部位となっているので、下側(中框5の下端により近い位置)で締結する場合に比べて、強度が向上される。本実施形態に係る立ち上がり片は、上端に水平片36が一体形成されており、中框5の左右の見込面部である第1側面部51、第2側面部52の下端は、水平片36に近接ないし当接しており、セクション1の変形時に、立ち上がり片の水平片36が中框5の第1側面部51、第2側面部52の下端に当接して支持するようになっている。
【0112】
[Q-5]セクションの下框の中空部に組み込んだ補強材、トップパネルの上框の中空部に組み込んだ補強材
セクション1の下框3の室内側面部32には、補強部6が突設されているが、補強部6の幅方向両端部は、下框3の幅方向両端部までは達しておらず、ローラブラケット17の取付スペースが確保されている。この補強部6は、下框3の室内側面部32と略同幅で一体成型された状態から両端部位を切り欠いて形成されており、室内側面部32は、補強部6を備えていない両側部位320を有しており、補強部6の幅方向両端の側縁600及び側縁600の基端から水平状に延びる両側部位320の部分は切り欠き部であり、この切り欠き部に応力集中が発生し、セクション1の強度向上の妨げとなるおそれがあった。
【0113】
下框3の中空部に、少なくとも、両側部位320の内面に亘って補強材8を組み込み、補強材8の長さを、補強材8の第2端87が両側部位320と補強部6の側縁600の隅部を越えて延びるような長さとすることで、セクション1の強度を向上させている。本実施形態では、下框3の中空部の長さ方向両端部にそれぞれ補強材8を組み込むことで、補強材8の追加に伴う重量増加を最小限に留めつつ、セクション1の強度向上を図っている。下框3の中空部に組み込まれた補強材8は、ホロータイプではなく、長さ方向に延びる開口を備えているので、補強材8は、風圧を受けた時の下框3の変形やねじれに追従して変形し易い形状となっており、補強材8で発生する被補強部材(下框3)への応力集中を抑えることができる。
【0114】
トップセクション1´の上框2の室内側面部22に突設した補強部6´も、下框3の室内側面部32に突設した補強部6と同様に、上框2の室内側面部22と略同幅で一体成型された状態から両端部位を切り欠いて形成されており、室内側面部22は、補強部6´を備えていない両側部位220を有しており、補強部6´の幅方向両端の側縁600´及び側縁600´の基端から水平状に延びる両側部位220の部分は切り欠き部であり、この切り欠き部に応力集中が発生し、トップセクション1´の強度向上の妨げとなるおそれがあった。
【0115】
上框2の中空部に、少なくとも、両側部位220の内面に亘って補強材9を組み込み、補強材9の長さを、補強材9の第2端96が両側部位220と補強部6´の側縁600´の隅部を越えて延びるような長さとすることで、トップセクション1´の強度を向上させている。本実施形態では、上框2の中空部の長さ方向両端部にそれぞれ補強材9を組み込むことで、補強材9の追加に伴う重量増加を最小限に留めつつ、トップセクション1´の強度向上を図っている。上框2の中空部に組み込まれた補強材9は、ホロータイプではなく、長さ方向に延びる開口を備えているので、補強材9は、上框2の変形に追従して変形し易い形状となっており、補強材9で発生する被補強部材(上框2)への応力集中を抑えることができる。
【0116】
[Q-6]溶接ナットを用いたローラブラケットの取付構造
オーバーヘッドドアのセクション1の幅方向両端部位に設けたガイドローラ11のローラ軸110を支持するローラブラケット17は、セクション1の室内側面部の上方部位や下方部位にボルトで固定されるが、セクション1の室内側面部の上方部位や下方部位は中空状の上框2や下框3に固定されているため、ローラブラケット17を固定するボルトはポップナットに締結するのが一般的である。セクション1に大きな風圧力が作用した時には、セクション1の変形に伴い、ガイドローラ11がガイドレールG内面に当接した状態でローラ軸110が傾くように力が作用し、この力は、ローラブラケット17とセクション1の室内側面部の固定部位に作用する。この時、ローラブラケットの取付部の強度が、ポップナットの引き抜き強度に依存することになるが、ポップナットの引き抜き強度は必ずしも十分で無い場合があり得る(図42上図右側、図43上図右側参照)。
【0117】
ポップナットの少なくも一部(より大きい力が作用する部位、例えば、少なくとも、セクション1の幅方向端部から最も遠い側に位置するポップナットを含む)を、裏板に溶接した溶接ナット88、97に置換することで、ローラブラケットの取付部の強度を向上させる(図42下図右側、図43下図右側参照)。溶接ナット88、97が設けられた裏板は、補強材8、補強材9Aの室内側面部81、91によって兼用することが可能であり、下框3、上框2の中空部に補強材8、補強材9Aを備えた態様においては、部品点数を増加させることなく(特別な裏板を用意することなく)、溶接ナット88、97を採用することができる。
【0118】
[Q-7]セクションの幅方向中央寄りに密に配置した中框
オーバーヘッドドアの扉体Dが高い風圧を受けた時には、各セクション1の幅方向中央部位が撓んだり、また、各セクション1の幅方向中央部位が上下に広がるような力が作用し、各セクション1を構成する部材(上框2、下框3、本体10等)が変形したり、締結部品が外れたりするおそれがある。
【0119】
本実施形態では、本体10、左右の縦框4、内側縦框4´、上框2、下框3と、上框3と下框3を架け渡すように設けた複数本の中框5と、を備えたセクション1において、中框5を、各セクション1の幅方向両端側に比べて、幅方向中央側(風圧を受けた時に撓みが大きい部位)に密に配置することで、セクション1の縦方向の開きを抑制し、各セクション1を構成する部材(上框2、下框3、本体10等)が変形したり、締結部品が外れたりするおそれを可及的に防止する。セクション1の本体10の材質やセクション1に要求される強度に応じて、適宜、必要な本数の中框5を組み込むことができ、中框5の追加に伴う重量増加を最小限に留めた上でセクションの強度向上が可能である。
【0120】
[Q-8]施錠装置を備えた中間セクションの縦框
施錠装置を備えた中間セクション1の縦框4の室内側見付部42の裏面に補強板420を設けることで、中間セクション1の強度を向上させることができる。補強板420の幅方向両端に折り曲げ片(リブ)421を一体形成したことで、補強板420の強度を向上させている。さらに、補強板420の裏面の所定箇所にナット422を溶接し、ラッチ130の取付板134を縦框4の室内側見付部42に固定するボルトをナット422に締結するようにした。ボルトを溶接ナット422に締結した時の締結部の強度は、ボルトをポップナットに締結した時の締結部の強度に比べて向上される。また、ヒンジ16を縦框4の室内側見付部42に固定する複数本のボルトが締結されるポップナットの1つを補強板420に設けた溶接ナット422に置換することで、ヒンジ16の締結部に作用する応力を分散させることができる。
【符号の説明】
【0121】
1 セクション
1´ トップセクション
2 上框
3 下框
4 縦框
4´ 内側縦框
5 中框
6 補強部
6´ 補強部
7 アタッチメント
8 補強材
9 補強材
9A 補強材
9B 補強材
10 本体
11 ガイドローラ
110 ローラ軸
16 ヒンジ
17 ローラブラケット


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