(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-14
(45)【発行日】2025-04-22
(54)【発明の名称】グラウト材投入方法及びグラウト材投入装置
(51)【国際特許分類】
B01F 35/71 20220101AFI20250415BHJP
B65D 88/26 20060101ALI20250415BHJP
B65B 69/00 20060101ALI20250415BHJP
B28C 7/06 20060101ALI20250415BHJP
【FI】
B01F35/71
B65D88/26 F
B65B69/00 101
B28C7/06
(21)【出願番号】P 2021183076
(22)【出願日】2021-11-10
【審査請求日】2024-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122781
【氏名又は名称】近藤 寛
(72)【発明者】
【氏名】六本木 日菜子
(72)【発明者】
【氏名】橋本 学
(72)【発明者】
【氏名】高橋 直樹
【審査官】瀧澤 佳世
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-096318(JP,A)
【文献】登録実用新案第3091990(JP,U)
【文献】特開2005-307639(JP,A)
【文献】特開2007-137458(JP,A)
【文献】実開昭62-031007(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 35/71
B65D 88/26
B65B 69/00
B28C 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミキサにグラウト材を投入するグラウト材投入方法であって、
前記グラウト材を収容する材料バッグを吊る吊材が回収包装体に挿通された状態で前記材料バッグを前記ミキサの材料投入部に吊り入れるバッグ導入工程と、
前記材料投入部内で前記材料バッグを破壊させて前記グラウト材を吐出させるバッグ破壊工程と、
前記材料バッグの残骸のうち少なくとも前記バッグ破壊工程で破壊された破壊部分を前記回収包装体に封入するとともに前記吊材で前記残骸を前記材料投入部から吊り上げて回収するバッグ回収工程と、を備え
、
前記バッグ導入工程では、
前記材料投入部における前記材料バッグの導入口の蓋として機能する蓋部材が当該蓋部材に形成され前記材料バッグよりも小さい挿通穴に前記吊材が挿通された状態で前記材料バッグに引っ掛かるように当該材料バッグの上に設置され、前記蓋部材とは別に設けられ筒状をなす前記回収包装体が中空部に前記吊材を挿通させた状態で筒軸方向に押し畳まれて前記材料バッグと前記蓋部材との間に設置され、前記材料バッグの前記破壊部分よりも上方の固定位置において前記回収包装体の上端部が前記吊材又は前記材料バッグの周囲に巻き付けるように固定されている状態で、前記材料バッグ、前記蓋部材及び前記回収包装体が前記吊材に吊られ、
前記材料バッグの前記材料投入部への吊り入れ時に前記蓋部材が前記材料バッグと一緒に下降して前記導入口に被せられ、
前記バッグ回収工程では、
前記蓋部材が前記導入口に被せられたままの状態において、前記残骸及び前記回収包装体が前記蓋部材の前記挿通穴を通じて前記吊材により吊り上げられ、筒軸方向に引き伸ばされながら前記挿通穴から引き出された前記回収包装体に前記残骸が内包されるように前記回収包装体が封止される、グラウト材投入方法。
【請求項2】
前記バッグ回収工程では、
前記回収包装体が封止された後、前記蓋部材が、前記吊材とは別に前記蓋部材に接続された蓋部材用吊材を介して前記残骸及び前記回収包装体に追従して前記導入口から吊り上げられ前記残骸及び前記回収包装体と一緒に回収される、請求項1に記載のグラウト材投入方法。
【請求項3】
ミキサにグラウト材を投入するグラウト材投入装置であって、
前記グラウト材を収容し前記ミキサの材料投入部に吊り入れられ前記材料投入部内で破壊されて前記グラウト材を吐出する材料バッグと、
前記材料バッグを吊る吊材が挿通された状態で設置され、破壊された前記材料バッグの残骸のうちの少なくとも破壊部分を封入する回収包装体と、
前記材料バッグの前記材料投入部への吊り入れ時に前記材料バッグと一緒に下降して前記材料投入部における前記材料バッグの導入口に被せられ当該導入口の蓋として機能する蓋部材と、を備え、
前記蓋部材は、
当該蓋部材に形成され前記材料バッグよりも小さい挿通穴に前記吊材が挿通された状態で前記材料バッグに引っ掛かるように当該材料バッグの上に設置され、
前記回収包装体は、
前記蓋部材とは別に設けられ筒状をなし中空部に前記吊材を挿通させた状態で筒軸方向に押し畳まれて前記材料バッグと前記蓋部材との間に設置され、
前記材料バッグの前記破壊部分よりも上方の固定位置において前記回収包装体の上端部が前記吊材又は前記材料バッグの周囲に巻き付けるように固定されている、
グラウト材投入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラウト材投入方法及びグラウト材投入装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、下記特許文献1に記載の材料混練装置が知られている。この装置はドライミックス材料を貯留する貯留用タンクを備え、貯留用タンクは上方に開口した材料受入口を有している。ドライミックス材料が収容された材料供給袋をクレーンで吊り、貯留用タンクの材料受入口の上方に材料供給袋を移動させ、材料供給袋の底部を開くことで貯留用タンク内にドライミックス材料が投入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の材料の投入方法においては、材料の投入時に粉塵が漏れたり、材料の投入後に空の材料供給袋をクレーンで引上げる際に、袋内に残った粉塵が周囲に飛散したりする場合があり、作業環境が悪化する可能性がある。本発明は、材料投入作業時に周囲に飛散する粉塵を抑制するグラウト材投入方法及びグラウト材投入装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のグラウト材投入方法は、ミキサにグラウト材を投入するグラウト材投入方法であって、グラウト材を収容する材料バッグを吊る吊材が回収包装体に挿通された状態で材料バッグをミキサの材料投入部に吊り入れるバッグ導入工程と、材料投入部内で材料バッグを破壊させてグラウト材を吐出させるバッグ破壊工程と、材料バッグの残骸のうち少なくともバッグ破壊工程で破壊された破壊部分を回収包装体に封入するとともに吊材で残骸を材料投入部から吊り上げて回収するバッグ回収工程と、を備える。
【0006】
バッグ導入工程では、材料投入部における材料バッグの導入口の蓋として機能する蓋部材が、当該蓋部材に形成された挿通穴に吊材が挿通された状態で材料バッグの上方に設置されており、材料バッグの材料投入部への吊り入れ時に蓋部材が導入口に被せられ、バッグ回収工程では、蓋部材が、吊材とは別に蓋部材に接続された蓋部材用吊材を介して残骸に追従して吊り上げられる、こととしてもよい。
【0007】
材料投入部には材料バッグの導入口を開閉可能な開閉蓋部が設けられており、バッグ導入工程では、開閉蓋部が開いた状態で材料投入部に材料バッグが吊り入れられ、その後、材料バッグから上方に延びる吊材を挿通させる状態で開閉蓋部が閉じられる、こととしてもよい。
【0008】
回収包装体は、中空部に吊材を挿通させる筒状をなしており、バッグ導入工程では、材料バッグの破壊部分よりも上方の固定位置において回収包装体の上端部が吊材又は材料バッグの周囲に巻き付けるように固定されており、バッグ回収工程では、回収包装体の下端部が残骸の下方で封止される、こととしてもよい。
【0009】
回収包装体は、中空部に吊材を挿通させる筒状をなしており、バッグ導入工程では、回収包装体は挿通穴を囲むように蓋部材に設置されており、バッグ回収工程では、回収包装体が蓋部材から引き出されて、材料バッグの破壊部分よりも上方の固定位置において回収包装体の上端部が吊材又は材料バッグの周囲に巻き付けるように固定され、回収包装体のうち固定位置よりも下方に位置する部分が材料バッグの残骸の下方で封止される、こととしてもよい。
【0010】
本発明のグラウト材投入装置は、ミキサにグラウト材を投入するグラウト材投入装置であって、グラウト材を収容しミキサの材料投入部に吊り入れられ材料投入部内で破壊されてグラウト材を吐出する材料バッグと、材料バッグを吊る吊材が挿通された状態で設置され、破壊された材料バッグの残骸のうちの少なくとも破壊部分を封入する回収包装体と、を備える。
【0011】
本発明のグラウト材投入装置は、材料投入部における材料バッグの導入口の蓋として機能する蓋部材を更に備え、蓋部材は、当該蓋部材に形成された挿通穴に吊材が挿通された状態で材料バッグの上方に設置されている、こととしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、材料投入作業時に周囲に飛散する粉塵を抑制するグラウト材投入方法及びグラウト材投入装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係るグラウト材投入方法及びグラウト材投入装置が適用される洋上風力発電機を示す正面図である。
【
図3】第1実施形態のグラウト材投入装置を示す斜視図である。
【
図4】(a)~(c)は、第1実施形態のグラウト材投入方法を示す模式図である。
【
図5】(a),(b)は、
図4に続いて第1実施形態のグラウト材投入方法を示す模式図である。
【
図6】第2実施形態のグラウト材投入装置を示す斜視図である。
【
図7】(a)~(d)は、第2実施形態のグラウト材投入方法を示す模式図である。
【
図8】第3実施形態のグラウト材投入装置を示す斜視図である。
【
図9】(a)~(c)は、第3実施形態のグラウト材投入方法を示す模式図である。
【
図10】(a),(b)は、
図9に続いて第3実施形態のグラウト材投入方法を示す模式図である。
【
図11】(a),(b)は、本発明のグラウト材投入方法及びグラウト材投入装置の変形例を示す図である。
【
図12】(a)~(c)は、本発明のグラウト材投入方法及びグラウト材投入装置の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明に係るグラウト材投入方法及びグラウト材投入装置の実施形態について詳細に説明する。本実施形態のグラウト材投入方法は、
図1に示される洋上風力発電機101の建造現場において実施される。
【0015】
洋上風力発電機101は、海底Bから海水面上に突出して鉛直に延びる脚部102と、脚部102の上端部に取付けられた発電機本体103と、を備えている。発電機本体103は、ナセル105と、ナセル105に取り付けられたブレード107と、を備える。脚部102は、海底Bに打設されたモノパイル111と、モノパイル111の上方に接続されたトランジションピース113と、トランジションピース113の更に上方に接続されたタワー115と、を備える。モノパイル111、トランジションピース113、及びタワー115の各本体部は、概ね円形断面をなし同軸で配置されている。
【0016】
モノパイル111の上端部は海水面下の高さに位置しテーパー形状をなしている。トランジションピース113の下端部はモノパイル111の上端部のテーパー形状に対応する円錐内側面を有している。トランジションピース113の下端部がモノパイル111の上端部に被せられるようにして、トランジションピース113がモノパイル111上に設置され、トランジションピース113の上部が海面上に突出している。
【0017】
洋上風力発電機101の施工時には、モノパイル111上でトランジションピース113の鉛直度が調整された上で、トランジションピース113の下端部とモノパイル111の上端部との隙間(グラウト充填箇所112)にグラウトが充填され、硬化したこのグラウトを介してモノパイル111とトランジションピース113とが接合される。タワー115は、例えばコンクリート製又は鋼製の鉛直柱であり、トランジションピース113の上端部にボルト接合される。上記のようなトランジションピース113を設置する方式により、モノパイル111の鉛直精度を補うようにトランジションピース113の鉛直度が確保され、ひいては洋上風力発電機101の鉛直度が確保される。
【0018】
上記のグラウト充填の作業時には、モノパイル111の近傍にSEP台船(図示せず)が据付けられ、SEP台船上の設備から上記グラウト充填箇所112にグラウトが送り込まれる。このグラウトとしては、高強度グラウトが使用される。この種のグラウトは、混練後24時間程度で強度を発現するものであるので、SEP台船上で使用直前に混練する必要がある。そこで、SEP台船上には、
図2に示すようなグラウト供給設備1が設けられている。
【0019】
図2に示されるように、グラウト供給設備1は、上記のグラウト充填箇所112に接続されたグラウト搬送管3と、グラウト搬送管3にグラウトを圧送するポンプ装置5と、ポンプ装置5のホッパ5aに混練されたグラウトを供給するミキサ7と、を備えている。ミキサ7は円筒状をなすミキサ本体部9を有し、ミキサ本体部9内には、粉末のグラウト材が投入される材料投入部11と、投入されたグラウト材に水を加えて混練する材料混練部13と、が設けられている。材料投入部11と材料混練部13は、ミキサ本体部9内に水平に設けられた金網15を境界として上下に仕切られている。材料投入部11には、後述する材料バッグ17を材料投入部11内に導入するためのバッグ導入口19が上方に向けて開口するように設けられている。また、材料投入部11の下部中央には材料バッグ17を破袋するための破袋金具21が上向きに突出するように設けられている。
【0020】
SEP台船上では、粉末のグラウト材が可撓性の袋状の材料バッグ17に収容された状態で準備されている。グラウト供給設備1においてグラウトが混練される際には、材料バッグ17がクレーン23に吊られた状態で移動される。そして、クレーン23の操作によって材料バッグ17がバッグ導入口19を通じて材料投入部11内に吊り入れられる。そうすると、材料バッグ17の底部が破袋金具21に突き破られて破壊され、材料バッグ17からグラウト材が吐出される。吐出されたグラウト材は、金網15を通過して材料混練部13に落下し、給水装置27から供給される水と混合され、材料混練部13の底部の回転撹拌羽根13aにより撹拌され混練される。混練されたグラウトは、材料混練部13から送出路13bを通じてポンプ装置5のホッパ5aに注入され、ポンプ装置5からは、グラウト搬送管3を通じてグラウト充填箇所112にグラウトが圧送される。
【0021】
上記のようなグラウト供給設備1では、材料投入部11内で材料バッグ17が破袋した後、材料投入部11の外部にグラウト材の粉塵が飛散する虞がある。また、グラウト材の投入後には、空になった材料バッグ17の残骸がクレーン23によって引上げられ移動されるので、残骸内に残ったグラウト材の粉塵が飛散する虞もある。このようなグラウト材の粉塵の飛散を抑制するために、次に説明するグラウト材投入方法が実施される。以下では、グラウト材投入方法及びこれに用いられるグラウト材投入装置の第1~第3実施形態について説明する。
【0022】
〔第1実施形態〕
本実施形態のグラウト材投入方法では、
図3に示されるグラウト材投入装置31が使用される。
図3に示されるように、グラウト材投入装置31は、上記材料バッグ17と、破袋後の材料バッグ17の残骸18を封入するための回収包装体33と、を備えている。回収包装体33は、可撓性の材料からなり、材料バッグ17の上方に位置している。回収包装体33の材料としては、例えば塩化ビニール、ポリエチレン等が採用される。回収包装体33は筒状をなし、材料バッグ17を吊っている吊ワイヤ37(吊材)が回収包装体33の筒内に挿通されている。そして、回収包装体33の上端が径方向に絞られて、結束バンド34により吊ワイヤ37の周囲に止め付けられている。回収包装体33の上下方向の長さは、後述するグラウト材投入方法において材料バッグ17の残骸18(
図4(c))を封入可能であるように調整されている。なお、ここでは回収包装体33の上端が吊ワイヤ37の周囲に止め付けられるが、回収包装体33の上端が材料バッグ17の上端部の周囲に止め付けられてもよい。
【0023】
更に、グラウト材投入装置31は、バッグ導入口19(
図2)を塞ぐ蓋として機能する蓋部材35を備えている。蓋部材35は、バッグ導入口19を塞ぐようにミキサ本体部9の上端に嵌まる円形をなしている。蓋部材35の中央には円形の挿通穴35aが形成されている。挿通穴35aは、蓋部材35の中央で上下方向に延びる円筒部35bの中空部として構成されている。蓋部材35は回収包装体33の上方に位置し、挿通穴35aには吊ワイヤ37が挿通されている。円筒部35bの上端は、蓋用スリング39(蓋部材用吊材)を介してクレーン23に接続されている。蓋用スリング39は、例えば吊ワイヤ37と同様の材料からなる索体である。蓋用スリング39の長さは、後述するグラウト材投入方法における蓋部材35の一連の動作を可能にするように調整されている。
【0024】
回収包装体33が吊ワイヤ37に止め付けられた部分を止付部33a(固定位置)と呼べば、止付部33aは材料バッグ17の上端よりも僅かに上方の位置に設けられる。すなわち、
図3には構造の理解を容易にすべく回収包装体33と材料バッグ17とが分離され図示されているが、実際には、一点鎖線で示されるように、材料バッグ17の上端は止付部33aの直ぐ下方に位置している。そして、
図4(a)に示されるように、回収包装体33は、筒軸方向に押し畳まれるようにして、材料バッグ17の上部に被さるように位置する。
【0025】
また、蓋部材35の挿通穴35aは材料バッグ17よりも小径であるので、挿通穴35aが材料バッグ17の上部に引っ掛かるような状態で、蓋部材35が材料バッグ17上に載置される。そして、蓋部材35と材料バッグ17との間に、押し畳まれた回収包装体33が挟まれた状態になる。この状態において、蓋用スリング39には弛みが生じるように、当該蓋用スリング39の長さが調整されている。
【0026】
このようなグラウト材投入装置31を用いたグラウト材投入方法について説明する。
(バッグ導入工程)
まず、
図4(a)に示されるように、材料バッグ17、回収包装体33及び蓋部材35を含む上述のグラウト材投入装置31がクレーン23に吊られて移動する。
図4(b)に示されるように、クレーン23の操作によって材料バッグ17がバッグ導入口19を通じて材料投入部11内に吊り入れられる。このとき、材料バッグ17上に載置されていた蓋部材35は、ミキサ本体部9の上端に嵌まってバッグ導入口19を塞ぐ。なお、蓋部材35がミキサ本体部9の上端に嵌まる動きは、バッグ導入口19の近傍に配置された作業者により手作業で案内されてもよい。
【0027】
(バッグ破壊工程)
材料投入部11内では、材料バッグ17の底部が破袋金具21に突き破られて破壊され、材料バッグ17からグラウト材が吐出される。吐出されたグラウト材は、金網15を通過して材料混練部13に落下する。このとき、グラウト材の吐出を促進するために、クレーン23の操作によって、材料バッグ17が材料投入部11内で上下に揺すられる。
【0028】
(バッグ回収工程)
材料バッグ17内のグラウト材がほぼ全部吐出された後、
図4(c)に示されるように、クレーン23の操作により、破袋された材料バッグ17の残骸18が蓋部材35の挿通穴35aを通じて引上げられる。このとき、蓋用スリング39は依然として弛んだ状態であるので、蓋部材35はバッグ導入口19を塞いだままである。またこのとき、回収包装体33の止付部33aが吊ワイヤ37に伴って挿通穴35aから引上げられるので、これに伴い、押し畳まれていた回収包装体33が筒軸方向に引き伸ばされながら挿通穴35aから引き出される。
【0029】
その後、
図5(a)に示されるように、回収包装体33及び材料バッグ17の残骸18の全体が挿通穴35aから引上げられたところで、残骸18を内包するように回収包装体33の下端部が絞られ結束バンド36により封止される。なお、上記のように、回収包装体33が筒軸方向へ引き伸ばされる動作や、回収包装体33を封止する処理は、作業者による手作業で行なわれてもよい。また、作業中に作業者が残骸18等の状態をよく確認できるように、回収包装体33は透明な部材であることが好ましい。その後、
図5(b)に示されるように更にクレーン23のフックが上昇すると、蓋用スリング39が張り、蓋部材35は回収包装体33及び残骸18に追従するように蓋用スリング39を介して吊り上げられる。その後、クレーン23の操作により、回収包装体33に封入された残骸18と蓋部材35とが一緒に移動され回収される。回収された回収包装体33及び残骸18は廃棄され、回収された蓋部材35は再び新たな材料バッグ17に設置され再利用される。
【0030】
以上のようなグラウト材投入装置31及びグラウト材投入方法による作用効果について説明する。材料投入部11内で材料バッグ17のグラウト材が吐出されるときには、グラウト材の粉塵が発生する。特に、前述のように材料バッグ17が材料投入部11内で上下に揺すられると粉塵は増加する。グラウト材投入装置31及びグラウト材投入方法では、材料投入部11内で材料バッグ17のグラウト材が吐出されるときに、バッグ導入口19は蓋部材35によって塞がれている(
図4(b))。従って、吐出されるグラウト材の粉塵がバッグ導入口19を通じて外部に飛散することが抑制される。また、このとき、回収包装体33が材料バッグ17と挿通穴35aとの間に位置しているので、挿通穴35aを通じた粉塵の外部への飛散も抑制される。
【0031】
また、材料バッグ17の残骸18が材料投入部11から移動され回収される際には、残骸18は回収包装体33内に封入されている(
図5(a)、
図5(b))。特に、材料バッグ17の残骸18の中でも、残ったグラウト材が漏れ出し易い破壊部分17aが回収包装体33内に封入される。従って、残骸18内に僅かに残るグラウト材の粉塵が移動回収中に外部に飛散することが抑制される。また、材料バッグ17の残骸18が材料投入部11内から引上げられる際にも、残骸18は回収包装体33に覆われている(
図4(c)、
図5(a))。従って、残骸18が引上げられる途中においても、粉塵が外部に飛散することが抑制される。以上のように粉塵の外部への飛散が抑制されることで、作業環境の悪化を抑制することができる。
【0032】
また、回収包装体33や蓋部材35は、材料バッグ17に伴って自動的に使用場所に移動し、また、蓋部材35は残骸18の回収時に自動的に吊り上げられ回収される。従って、回収包装体33や蓋部材35を使用することによってグラウト材投入作業のサイクルタイムが極端に長くなることは避けられる。また、上記のグラウト材投入作業の実行中に、次回の作業に用いる材料バッグ17に回収包装体33と蓋部材35とを取付けてグラウト材投入装置31の少なくとも一部を構築しておけば、グラウト材投入作業のサイクルタイムを短縮することができる。
【0033】
〔第2実施形態〕
本発明のグラウト材投入方法及びグラウト材投入装置の第2実施形態について説明する。本実施形態のグラウト材投入方法では、
図6に示されるグラウト材投入装置41が使用される。なお、本実施形態において、第1実施形態と同一又は同等の構成要素には図面上に同一の符号を付し重複する説明を省略する。
図6に示されるように、グラウト材投入装置41は、グラウト材投入装置31(
図3)に比較して、蓋部材35を省略したものである。そして蓋部材35に代えて、ミキサ本体部9の上端に、開閉可能な蓋部材45(開閉蓋部)が設けられている。蓋部材45は、ミキサ本体部9の上端にヒンジを介して取付けられた2つの半円状部材45bで構成され、閉じた状態における蓋部材45の中央には挿通穴45a(
図7)が形成される。
【0034】
このグラウト材投入装置41を用いたグラウト材投入方法は次の通りである。
(バッグ導入工程)
まず、
図7(a)に示されるように、材料バッグ17及び回収包装体33を含むグラウト材投入装置41がクレーン23に吊られて移動され、蓋部材45が開いた状態のバッグ導入口19を通じて材料バッグ17が材料投入部11内に吊り入れられ、
図7(b)に示されるように、吊ワイヤ37が挿通穴45aを挿通する状態で蓋部材45が閉じられる。なお、蓋部材45の開閉動作はバッグ導入口19の近傍に配置された作業者により手作業で行なわれてもよいし、遠隔操作等で行われてもよい。
【0035】
(バッグ破壊工程)
材料投入部11内では材料バッグ17の底部が破袋金具21によって破壊されグラウト材が吐出される。
(バッグ回収工程)
材料バッグ17内のグラウト材がほぼ全部吐出された後、
図7(c)に示されるように、クレーン23の操作により、材料バッグ17の残骸18が蓋部材45の挿通穴45aを通じて引上げられる。このとき、蓋部材45は閉じたままである。またこのとき、押し畳まれていた回収包装体33が筒軸方向に引き伸ばされながら挿通穴45aから引き出される。その後、
図7(d)に示されるように、回収包装体33及び残骸18の全体が挿通穴45aから引上げられたところで、残骸18を内包するように回収包装体33の下端部が絞られ結束バンド36により封止される。その後、クレーン23の操作により、回収包装体33に封入された残骸18が移動され回収される。回収された回収包装体33及び残骸18は廃棄される。
【0036】
以上のようなグラウト材投入装置41及びグラウト材投入方法によっても、第1実施形態のグラウト材投入装置31及びグラウト材投入方法と同様の作用効果を得ることができる。
【0037】
〔第3実施形態〕
本発明のグラウト材投入方法及びグラウト材投入装置の第3実施形態について説明する。本実施形態のグラウト材投入方法では、
図8に示されるグラウト材投入装置51が使用される。なお、本実施形態において、第1実施形態又は第2実施形態と同一又は同等の構成要素には図面上に同一の符号を付し重複する説明を省略する。
【0038】
図8に示されるように、グラウト材投入装置51は、グラウト材投入装置31(
図3)に比較して、回収包装体33が設置される態様が異なっている。すなわち、グラウト材投入装置51では、回収包装体33が蓋部材35に設置されている。より具体的には、回収包装体33及び蓋部材35には吊ワイヤ37が挿通され、回収包装体33は筒軸方向に押し畳んだ状態で蓋部材35の円筒部35bの周囲に巻き付けられている。そして、
図9(a)に示されるように、挿通穴35aが材料バッグ17の上部に引っ掛かるような状態で、蓋部材35が材料バッグ17上に載置される。またこのとき、蓋用スリング39は、円筒部35bの上端ではなく回収包装体33よりも下方の位置において円筒部35bの下部側面に弛んだ状態で接続されている。また、筒軸方向に引き伸ばした状態における回収包装体33の長さは、第1実施形態の回収包装体33よりも数倍長いものである。
【0039】
このグラウト材投入装置51を用いたグラウト材投入方法は次の通りである。
(バッグ導入工程)
まず、
図9(a)に示されるように、材料バッグ17、回収包装体33及び蓋部材35を含むグラウト材投入装置51がクレーン23に吊られて移動され、
図9(b)に示されるように、バッグ導入口19を通じて材料バッグ17が材料投入部11内に吊り入れられる。このとき、蓋部材35がミキサ本体部9の上端に嵌まってバッグ導入口19を塞ぐ。
【0040】
(バッグ破壊工程)
材料投入部11内では材料バッグ17の底部が破袋金具21によって破壊されグラウト材が吐出される。
(バッグ回収工程)
材料バッグ17内のグラウト材がほぼ全部吐出された後、
図9(c)に示されるように、クレーン23の操作により、材料バッグ17の残骸18が蓋部材35の挿通穴35aを通じて引上げられる。残骸18の上端が挿通穴35aから上方に出てきたところで、回収包装体33の上端部が円筒部35bから上方に引き出される。そして、回収包装体33の上端が径方向に絞られて、結束バンド34により残骸18よりも上方の位置で吊ワイヤ37の周囲に止め付けられる。その後、
図10(a)に示されるように更に残骸18が引上げられると、これに伴い、円筒部35bの回収包装体33が上方に伸び出してくる。そして、残骸18の全体が挿通穴35aから引上げられたところで、
図10(b)に示されるように、残骸18の下方の位置で当該残骸18を内包するように回収包装体33が絞られ結束バンド36により封止される。また、結束バンド36の下方の位置で回収包装体33が切断される。余った回収包装体33は再び押し畳まれ円筒部35bに設置される。なお、上記のように、回収包装体33が筒軸方向へ引き伸ばされ再び円筒部35bに設置される動作や、回収包装体33を封止する処理は、作業者による手作業で行なわれてもよい。
【0041】
その後、
図10(c)に示されるように更にクレーン23のフックが上昇すると、蓋用スリング39が張り、蓋部材35は回収包装体33及び残骸18に追従するように蓋用スリング39を介して吊り上げられる。その後、クレーン23の操作により、回収包装体33に封入された残骸18と蓋部材35とが一緒に移動され回収される。回収された回収包装体33及び残骸18は廃棄される。
【0042】
ここで回収された蓋部材35は、余った回収包装体33が円筒部35bに設置された状態であるので、次回のグラウト材投入作業にもそのまま再使用することができる。そして、前述の通り第1実施形態よりも数倍長い回収包装体33が採用されることで、その長さに応じて、回収包装体33を補充せずに蓋部材35を複数回繰返してグラウト材投入作業に使用することができる。
【0043】
以上のようなグラウト材投入装置51及びグラウト材投入方法によっても、第1実施形態のグラウト材投入装置31及びグラウト材投入方法と同様の作用効果を得ることができる。
【0044】
本発明は、上述した実施形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した様々な形態で実施することができる。また、上述した実施形態に記載されている技術的事項を利用して、下記の変形例を構成することも可能である。各実施形態等の構成を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0045】
例えば、回収包装体33は筒状をなすものには限定されず、
図11(a)に示されるように、回収包装体33は吊ワイヤ37が中央に挿通された平面状をなすものであってもよい。この場合も、回収包装体33の外縁部を絞って残骸18を内包するように結束バンド36で封入することができる。
【0046】
例えば、第1実施形態において蓋部材35が省略されてもよい。この場合にも回収包装体33の存在によりバッグ回収工程における粉塵の飛散を抑制することができる。また、第1実施形態において回収包装体33が省略されてもよい。この場合にも蓋部材35の存在によりバッグ破壊工程における粉塵の飛散を抑制することができる。
【0047】
例えば、第1実施形態において蓋部材35が省略される場合には、バッグ導入工程において、
図11(b)に示されるように、回収包装体33の下端部がミキサ本体部9の上端に被せられてバッグ導入口19が塞がれるようにしてもよい。
【0048】
また、第1~第3実施形態では、回収包装体33の上端は結束バンド34により吊ワイヤ37の周囲に止め付けられるが、回収包装体33の上端が止め付けられる箇所は、材料バッグ17の一部であってもよい。すなわち、
図12(a)に示されるように、厳密には、材料バッグ17は、グラウト材Gを実際に収容し材料投入部11内で破壊されグラウト材を吐出する破壊部分17aと、当該破壊部分17aよりも上方でグラウト材の吐出には関与しない上部17bと、に分けて考えることができる。そして、第1~第3実施形態においては、材料バッグ17のうちの上部17bの周囲に、回収包装体33の上端が結束バンド34により止め付けられてもよい。この構成によっても、材料バッグ17の残骸18のうち破壊部分17aを回収包装体33内に封入することができるので、バッグ回収工程における粉塵の飛散を抑制することができる。
【0049】
また、上記のように、材料バッグ17の上部17bに回収包装体33の上端が止め付けられる方式によれば、SEP台船上に準備されている複数の材料バッグ17に対して予め回収包装体33を取付けておくことができる。従って、材料バッグ17の玉掛け作業時に吊ワイヤ37に回収包装体33が止め付けられる方式に比較して、玉掛け作業が簡略化され、グラウト材投入作業のサイクルタイムを短縮することができる。
【0050】
また、第3実施形態では、グラウト材投入作業の複数回分の長さの回収包装体33が蓋部材35に設置されるが、
図12(b)に示されるように、この回収包装体33にはグラウト材投入作業の1回分ごとにミシン目33cが形成されていてもよい。これにより、バッグ回収工程における回収包装体33の切断の作業性が向上する。また、上記作業性を向上するための他の手段として、
図12(c)に示されるように、蓋部材35の円筒部35bの上端面に回収包装体33を切断するためのカッター部35cが設けられてもよい。これにより、回収包装体33の切断装置を別途準備する必要がない。また、更に他の手段として、当該切断処理では、作業者がカッター機能付きのハンディーシーラーを用いて回収包装体33を切断・封止するようにしてもよい。この場合、回収包装体33の切断と下端部の封止とを同時に行なうことができるので、結束バンド36を用いた回収包装体33の下端の封止処理も省略することができ、より作業性が向上する。
【符号の説明】
【0051】
7…ミキサ、11…材料投入部、17…材料バッグ、17a…破壊部分、18…残骸、19…バッグ導入口、31,41,51…グラウト材投入装置、33…回収包装体、33a…止付部(固定位置)、35…蓋部材、35a…挿通穴、37…吊ワイヤ(吊材)、39…蓋用スリング(蓋部材用吊材)、45…蓋部材(開閉蓋部)、G…グラウト材。