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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-14
(45)【発行日】2025-04-22
(54)【発明の名称】整流装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 37/02 20060101AFI20250415BHJP
【FI】
B62D37/02 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021183575
(22)【出願日】2021-11-10
(65)【公開番号】P2023071019
(43)【公開日】2023-05-22
【審査請求日】2024-05-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 一幸
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 優
(72)【発明者】
【氏名】工藤 信寛
(72)【発明者】
【氏名】海野 和也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 利弥
【審査官】近藤 利充
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-093785(JP,A)
【文献】特開2016-094073(JP,A)
【文献】特開2020-090278(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0298953(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0189668(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0355403(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
展開方向に回転されることで車両の前輪の前側に展開されて前記前輪への空気流を抑制すると共に、収納方向に回転されることで車体に収納される整流体と、
車体側と前記整流体側とを係合されて前記整流体を回転させることができると共に、当該車体側と前記整流体側との係合を解除されて前記整流体を回転させることができず、展開位置の前記整流体が外力を作用されて当該車体側と前記整流体側との係合が解除されることで前記整流体が収納方向に回転されると共に、収納位置の前記整流体が外力を作用されて当該車体側と前記整流体側とが係合された状態で前記整流体が収納方向に回転される回転機構と、
車体側と前記整流体側とを係合されて前記整流体の回転を制限可能にされると共に、当該車体側と前記整流体側との係合を解除されて前記整流体の回転を制限不能にされ、収納位置の前記整流体が外力を作用されて当該車体側と前記整流体側との係合が解除されること前記整流体が収納方向に回転されると共に、展開位置の前記整流体が外力を作用されて当該車体側と前記整流体側とが係合された状態で前記整流体が収納方向に回転される制限機構と、
を備える整流装置。
【請求項2】
前記整流体が展開位置に配置された際に前記回転機構が前記整流体の収納方向への回転を制限すると共に前記制限機構が前記整流体の展開方向への回転を制限する請求項1記載の整流装置。
【請求項3】
前記整流体が収納位置に配置された際に前記回転機構が前記整流体の展開方向への回転を制限すると共に前記制限機構が前記整流体の収納方向への回転を制限する請求項1又は請求項2記載の整流装置。
【請求項4】
展開位置の前記整流体が外力を作用されて収納方向に回転される際に前記制限機構が前記整流体の回転を許可する請求項1~請求項3の何れか1項記載の整流装置。
【請求項5】
収納位置の前記整流体が外力を作用されて収納方向に回転される際に前記回転機構が前記整流体の回転を許可する請求項1~請求項4の何れか1項記載の整流装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の前輪への空気流を抑制する整流装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の車両用整流装置では、整流部材側の第1カラー部材の凹部に駆動装置側の第2カラー部材の凸部(被押圧部)がスプリングの付勢力により挿入されており、整流部材に外力が作用されて、第1カラー部材が第2カラー部材に対し回転されることで、整流部材の回転が許容される。
【0003】
ここで、この車両用整流装置において、整流部材が外力を作用されて回転される(第1カラー部材が第2カラー部材に対し回転される)ためには、スプリングの付勢力に抗して第1カラー部材の凹部から第2カラー部材の凸部を離脱させるための荷重が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-93785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、整流体が外力を作用されて収納方向に回転されるための荷重が高くなることを抑制できる整流装置を得ることが目的にされる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様の整流装置は、展開方向に回転されることで車両の前輪の前側に展開されて前記前輪への空気流を抑制すると共に、収納方向に回転されることで車体に収納される整流体と、車体側と前記整流体側とを係合されて前記整流体を回転させることができると共に、当該車体側と前記整流体側との係合を解除されて前記整流体を回転させることができず、展開位置の前記整流体が外力を作用されて当該車体側と前記整流体側との係合が解除されることで前記整流体が収納方向に回転されると共に、収納位置の前記整流体が外力を作用されて当該車体側と前記整流体側とが係合された状態で前記整流体が収納方向に回転される回転機構と、車体側と前記整流体側とを係合されて前記整流体の回転を制限可能にされると共に、当該車体側と前記整流体側との係合を解除されて前記整流体の回転を制限不能にされ、収納位置の前記整流体が外力を作用されて当該車体側と前記整流体側との係合が解除されること前記整流体が収納方向に回転されると共に、展開位置の前記整流体が外力を作用されて当該車体側と前記整流体側とが係合された状態で前記整流体が収納方向に回転される制限機構と、を備える。
【0007】
本発明の第2態様の整流装置は、本発明の第1態様の整流装置において、前記整流体が展開位置に配置された際に前記回転機構が前記整流体の収納方向への回転を制限すると共に前記制限機構が前記整流体の展開方向への回転を制限する。
【0008】
本発明の第3態様の整流装置は、本発明の第1態様又は第2態様の整流装置において、前記整流体が収納位置に配置された際に前記回転機構が前記整流体の展開方向への回転を制限すると共に前記制限機構が前記整流体の収納方向への回転を制限する。
【0009】
本発明の第4態様の整流装置は、本発明の第1態様~第3態様の何れか1つの整流装置において、展開位置の前記整流体が外力を作用されて収納方向に回転される際に前記制限機構が前記整流体の回転を許可する。
【0010】
本発明の第5態様の整流装置は、本発明の第1態様~第4態様の何れか1つの整流装置において、収納位置の前記整流体が外力を作用されて収納方向に回転される際に前記回転機構が前記整流体の回転を許可する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1態様の整流装置では、整流体が展開方向に回転されることで、整流体が、車両の前輪の前側に展開されて、前輪への空気流を抑制する。さらに、整流体が収納方向に回転されることで、整流体が車体に収納される。
【0012】
また、回転機構が、車体側と整流体側とを係合されて、整流体を回転させることができると共に、車体側と整流体側との係合を解除されて、整流体を回転させることができない。さらに、制限機構が、車体側と整流体側とを係合されて、整流体の回転を制限可能にされると共に、車体側と整流体側との係合を解除されて、整流体の回転を制限不能にされる。
【0013】
ここで、展開位置の整流体が外力を作用されて、制限機構の車体側と整流体側とが係合された状態で回転機構の車体側と整流体側との係合が解除されることで、整流体が収納方向に回転される。このため、制限機構の車体側と整流体側との係合が解除されないことで、整流体が収納方向に回転されるための荷重が高くなることを抑制できる。
【0014】
さらに、収納位置の整流体が外力を作用されて、回転機構の車体側と整流体側とが係合された状態で制限機構の車体側と整流体側との係合が解除されることで、整流体が収納方向に回転される。このため、回転機構の車体側と整流体側との係合が解除されないことで、整流体が収納方向に回転されるための荷重が高くなることを抑制できる。
【0015】
本発明の第2態様の整流装置では、整流体が展開位置に配置された際に、回転機構が整流体の収納方向への回転を制限すると共に、制限機構が整流体の展開方向への回転を制限する。このため、整流体の展開方向及び収納方向への回転を制限できて、整流体のガタツキを抑制できる。
【0016】
本発明の第3態様の整流装置では、整流体が収納位置に配置された際に、回転機構が整流体の展開方向への回転を制限すると共に、制限機構が整流体の収納方向への回転を制限する。このため、整流体の展開方向及び収納方向への回転を制限できて、整流体のガタツキを抑制できる。
【0017】
本発明の第4態様の整流装置では、展開位置の整流体が外力を作用されて収納方向に回転される際に、制限機構が整流体の回転を許可する。このため、整流体が収納方向に回転されるための荷重が高くなることを効果的に抑制できる。
【0018】
本発明の第5態様の整流装置では、収納位置の整流体が外力を作用されて収納方向に回転される際に、回転機構が整流体の回転を許可する。このため、整流体が収納方向に回転されるための荷重が高くなることを効果的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態における車両の前部を示す車幅方向外方から見た側面図である。
図2】本発明の実施形態に係る整流装置を示す車幅方向内方かつ下方から見た分解斜視図である。
図3】(A)及び(B)は、本発明の実施形態に係る整流装置の主要部を示す断面図であり、(A)は、整流体が収納位置に配置される際を示し、(B)は、整流体が展開位置に配置される際を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1には、本発明の実施形態における車両12の前部が車幅方向外方(車両右方)から見た側面図で示されており、図2には、本実施形態に係る整流装置10が車幅方向内方かつ下方から見た分解斜視図にて示されている。なお、図面では、車両前方を矢印FRで示し、車幅方向外方(車両右方)を矢印OUTで示し、上方を矢印UPで示している。
【0021】
図1に示す如く、本実施形態に係る整流装置10は、車体12Aの前端部内に設置されて、車両12の前輪12Bの前側に配置されている。
【0022】
図2に示す如く、整流装置10には、樹脂製の整流体14(エアスパッツ)が設けられており、整流体14は、収納位置(図1の破線位置)に配置されている。整流体14の車両前側端部は、組付部としての略直方体形箱状の組付箱14Aにされており、組付箱14A内は、車幅方向内側に開放されている。整流体14の組付箱14Aより車両後側部分は、略直方体形箱状の整流部14Bにされており、整流部14Bは、車幅方向内側端部において組付箱14Aと一体にされると共に、内部が上側及び車両後側に開放されている。
【0023】
組付箱14A内には、組付部材としての樹脂製で略外形矩形筒状のアタッチメント16が嵌合されており、アタッチメント16は、周壁において組付箱14Aの底壁(車幅方向外側壁)に固定されている。アタッチメント16内は、略円柱状にされており、アタッチメント16内は、車幅方向両側に開放されている。アタッチメント16内には、円板状の仕切壁(図示省略)が一体形成されており、仕切壁は、アタッチメント16内を車幅方向外側部分と車幅方向内側部分とに仕切っている。
【0024】
アタッチメント16には、駆動装置18が組付けられており、駆動装置18は、車体12Aの前端部内に固定されている。
【0025】
駆動装置18には、制限機構20を構成する被制限部材(回転軸)としての金属製で略円柱状のスタンド22が設けられており、スタンド22の車幅方向外側端部は、同軸上に拡径されている。スタンド22の車幅方向外側端部は、アタッチメント16内に嵌合されると共に、アタッチメント16の仕切壁に固定されており、アタッチメント16及び整流体14は、スタンド22を中心軸として、スタンド22と一体に展開方向A及び収納方向Bに回転可能にされている。
【0026】
スタンド22の車幅方向外側端部には、被制限部としての断面台形状の制限凸部22A(図3(A)参照)が複数(本実施形態では4個)一体形成されており、複数の制限凸部22Aは、スタンド22の周方向に等間隔に配置されている。制限凸部22Aは、車幅方向内側に突出されており、制限凸部22Aは、スタンド22の周方向に沿って湾曲されている。制限凸部22Aの展開方向A側面は、スタンド22の周方向に垂直に配置されており、制限凸部22Aの収納方向B側面は、展開方向Aへ向かうに従い車幅方向内側へ向かう方向に傾斜されている。
【0027】
アタッチメント16の車幅方向内側には、制限機構20を構成する制限部材としての樹脂製で略直方体形箱状のケース24が設けられており、ケース24内は、車幅方向内側に開放されている。ケース24の底壁(車幅方向外側壁)の車両前側部分には、スタンド22が貫通かつ嵌合されており、スタンド22は、ケース24の底壁に回転可能に支持されると共に、車幅方向内側への移動がケース24の底壁によって規制されている。
【0028】
ケース24の底壁には、スタンド22の周囲において、制限部としての断面台形状の制限凹部24A(図3(A)参照)が複数(本実施形態では4個)形成されており、複数の制限凹部24Aは、スタンド22の周方向に等間隔に配置されている。制限凹部24Aは、車幅方向外側に開放されており、制限凹部24Aは、スタンド22の周方向に延伸されている。制限凹部24Aの展開方向A側端面は、スタンド22の周方向に垂直に配置されており、制限凹部24Aの収納方向B側端面は、展開方向Aへ向かうに従い車幅方向内側へ向かう方向に傾斜されている。制限凹部24Aには、スタンド22の制限凸部22Aが挿入(係合)されており、制限凸部22Aが制限凹部24Aの収納方向B側端面に当接されて、スタンド22の収納方向Bへの回転が制限されている。
【0029】
ケース24の車幅方向内側部内には、保持部材としての樹脂製のモータベース26が固定されている。モータベース26の車両前側部分には、略有底円筒状の収容筒26Aが形成されており、収容筒26A内は、車幅方向外側に開放されて、スタンド22が同軸上に収容されている。モータベース26の車両後側部分には、略有底楕円筒状の保持筒26Bが一体形成されており、保持筒26B内は、車幅方向内側に開放されている。
【0030】
ケース24及びモータベース26の車幅方向内側には、被覆部材としての樹脂製で略直方体形箱状のカバー28が設けられており、カバー28内は、車幅方向外側に開放されている。カバー28の車幅方向外側端部内には、ケース24の車幅方向内側端部が嵌合かつ固定されており、カバー28は、ケース24及びモータベース26の車幅方向内側を被覆している。
【0031】
ケース24及びカバー28は、車体12Aの前端部内に固定されており、これにより、駆動装置18が車体12Aの前端部内に固定されている。
【0032】
ケース24とカバー28との間の空間には、駆動装置としてのモータ30が設けられている。モータ30には、略楕円柱状の本体部30Aが設けられており、本体部30Aは、モータベース26の保持筒26B内に車幅方向内側から嵌入されて保持されている。本体部30Aからは、出力軸30Bが車幅方向外側に延出されており、出力軸30Bは、保持筒26Bの底壁(車幅方向外側壁)を貫通して、モータベース26の車幅方向外側に延出されている。また、モータ30が駆動されて、出力軸30Bが回転される。
【0033】
ケース24には、ギア機構32が設けられている。
【0034】
ギア機構32には、モータ30の車幅方向外側において、樹脂製の初段ウォーム34が設けられており、初段ウォーム34の車幅方向外側端部は、ケース24の底壁に回転自在に支持されている。初段ウォーム34には、車幅方向内側からモータ30の出力軸30Bが同軸上に挿入されており、出力軸30Bが回転されることで、初段ウォーム34が出力軸30Bと一体回転される。
【0035】
ギア機構32には、初段ウォーム34の上側において、金属製の出力ウォーム36が設けられており、出力ウォーム36は、ケース24の底壁とモータベース26との間に回転自在に支持されている。出力ウォーム36の下側には、樹脂製の初段ギア38(ウォームホイール)が同軸上に支持されており、初段ギア38は、出力ウォーム36と一体回転される。初段ギア38は、初段ウォーム34に噛合されており、初段ウォーム34が回転されることで、初段ギア38及び出力ウォーム36が一体回転される。
【0036】
ギア機構32には、出力ウォーム36の車両前側において、回転機構40を構成する回転部材としての金属製の出力ギア42(ウォームホイール)が設けられている。出力ギア42には、スタンド22が同軸上に貫通かつ嵌合されており、出力ギア42は、スタンド22に回転可能に支持されている。出力ギア42は、スタンド22に対し車幅方向(軸方向)に移動可能にされており、出力ギア42は、ケース24の底壁に車幅方向内側から当接されて、車幅方向外側への移動を規制されている。出力ギア42は、出力ウォーム36に噛合されて、回転を制限されており、出力ウォーム36が回転されて、出力ギア42が回転される。
【0037】
出力ギア42の車幅方向内側面には、円筒状の凹部42Aが同軸上に形成されており、凹部42Aは、車幅方向内側に開放されている。凹部42Aの車幅方向外側面には、回転部としての回転凹部42B(図3(A)参照)が複数(本実施形態では4個)形成されており、複数の回転凹部42Bは、出力ギア42の周方向に等間隔に配置されている。回転凹部42Bは、車幅方向内側に開放されており、回転凹部42Bは、出力ギア42の周方向に延伸されている。回転凹部42Bは、断面台形状にされており、回転凹部42Bの両端面は、それぞれ回転凹部42Bの出力ギア42周方向外側へ向かうに従い車幅方向内側へ向かう方向に傾斜されている。
【0038】
出力ギア42の車幅方向内側には、回転機構40を構成する被回転部材としての金属製で略円筒状のクラッチ44が設けられている。クラッチ44には、スタンド22が同軸上に貫通されており、クラッチ44は、スタンド22に一体回転可能に支持されると共に、スタンド22に対し車幅方向に移動可能にされて、出力ギア42の凹部42A内に嵌入されている。
【0039】
クラッチ44の車幅方向外側面には、被回転部としての回転凸部44A(図3(A)参照)が複数(本実施形態では4個)形成されており、複数の回転凸部44Aは、クラッチ44の周方向に等間隔に配置されている。回転凸部44Aは、車幅方向外側に突出されており、回転凸部44Aは、クラッチ44の周方向に沿って湾曲されている。回転凸部44Aは、断面台形状にされており、回転凸部44Aの両側面は、それぞれ回転凸部44Aのクラッチ44周方向内側へ向かうに従い車幅方向外側へ向かう方向に傾斜されている。回転凸部44Aは、出力ギア42の回転凹部42Bに挿入(係合)されており、回転凸部44Aが回転凹部42Bの展開方向A側端面に当接されて、クラッチ44の展開方向Aへの回転が制限されている。
【0040】
スタンド22は、クラッチ44より車幅方向内側において、付勢部材としての金属製の圧縮コイルスプリング46内に同軸上に挿入されている。スタンド22の車幅方向内側端部には、係合部材としての金属製で略円環板状のプッシュナット48が嵌合かつ固定されており、圧縮コイルスプリング46は、プッシュナット48とクラッチ44との間に掛渡されている。圧縮コイルスプリング46は、軸方向に圧縮されており、圧縮コイルスプリング46は、プッシュナット48及びスタンド22を車幅方向内側に付勢すると共に、クラッチ44を出力ギア42側(車幅方向外側)に付勢している。
【0041】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0042】
以上の構成の整流装置10では、駆動装置18において、モータ30が正駆動されて、出力軸30B、初段ウォーム34、初段ギア38及び出力ウォーム36が回転されることで、出力ギア42が展開方向Aに回転されて、出力ギア42の回転凹部42Bの収納方向B側端面がクラッチ44の回転凸部44Aに当接される。このため、出力ギア42と一体にクラッチ44、スタンド22及びアタッチメント16が展開方向Aに回転されて、整流体14が展開方向Aに回転される。さらに、スタンド22の制限凸部22Aがケース24の制限凹部24Aの展開方向A側端面に当接されて、スタンド22の展開方向Aへの回転が制限されることで(図3(B)参照)、整流体14の展開方向Aへの回転が制限されて、整流体14が展開位置(図1の2点鎖線位置)に配置される。このため、整流体14の整流部14Bが、車体12Aの下側において車両12の前輪12Bの車両前側に配置されて、前輪12Bへの車両12の走行風(空気流)を抑制する(走行風を前輪12Bの下側に流す)ことで、前輪12Bの車両前側における空気圧の増加が抑制されて、車両12の空気抵抗及び揚力が抑制される。
【0043】
一方、駆動装置18において、モータ30が逆駆動されて、出力軸30B、初段ウォーム34、初段ギア38及び出力ウォーム36が回転されることで、出力ギア42が収納方向Bに回転されて、出力ギア42の回転凹部42Bの展開方向A側端面がクラッチ44の回転凸部44Aに当接される。このため、出力ギア42と一体にクラッチ44、スタンド22及びアタッチメント16が収納方向Bに回転されて、整流体14が収納方向Bに回転される。さらに、スタンド22の制限凸部22Aがケース24の制限凹部24Aの収納方向B側端面に当接されて、スタンド22の収納方向Bへの回転が制限されることで(図3(A)参照)、整流体14の収納方向Bへの回転が制限されて、整流体14が収納位置(図1の破線位置)に配置される。
【0044】
また、整流体14が展開位置に配置される際に、整流体14の整流部14Bに車両12の走行面の凸部から上側への所定値以上の外力が作用されることで、圧縮コイルスプリング46の付勢力に抗してクラッチ44が車幅方向内側に移動されつつクラッチ44の回転凸部44Aが出力ギア42の回転凹部42Bから収納方向Bに離脱(係合解除)されると共に、スタンド22の制限凸部22Aがケース24の制限凹部24Aを収納方向Bに回転される(図3(B)の2点鎖線参照)。このため、整流体14、アタッチメント16、スタンド22及びクラッチ44が収納方向Bに回転されて、整流体14、アタッチメント16及び駆動装置18が保護される。
【0045】
その後、整流体14が展開方向Aに回転可能にされた際に、モータ30が逆駆動されることで、出力ギア42が収納方向Bに回転されて、出力ギア42の回転凹部42Bの収納方向B側端面にクラッチ44の回転凸部44Aが当接される。そして、モータ30が正駆動されることで、出力ギア42、クラッチ44及びスタンド22が展開方向Aに回転されて、整流体14が展開位置に回転(復帰)される。
【0046】
さらに、整流体14が収納位置に配置される際に、整流体14の整流部14Bに車両12の走行面の凸部から上側への所定値以上の外力が作用されることで、圧縮コイルスプリング46の付勢力に抗してスタンド22が車幅方向外側に移動されつつスタンド22の制限凸部22Aがケース24の制限凹部24Aから収納方向Bに離脱(係合解除)されると共に、クラッチ44の回転凸部44Aが出力ギア42の回転凹部42Bを収納方向Bに回転される(図3(A)の2点鎖線参照)。このため、整流体14、アタッチメント16、スタンド22及びクラッチ44が収納方向Bに回転されて、整流体14、アタッチメント16及び駆動装置18が保護される。
【0047】
その後、整流体14が展開方向Aに回転可能にされた際に、モータ30が正駆動されることで、出力ギア42が展開方向Aに回転される。このため、出力ギア42の回転凹部42Bの収納方向B側端面がクラッチ44の回転凸部44Aに当接されて、出力ギア42と一体にクラッチ44及びスタンド22が展開方向Aに回転されることで、整流体14が収納位置に回転(復帰)される。そして、モータ30が逆駆動されることで、出力ギア42が収納方向Bに回転されて、出力ギア42の回転凹部42Bの展開方向A側端面がクラッチ44の回転凸部44Aに当接される。
【0048】
ここで、展開位置の整流体14が外力を作用されて収納方向Bに回転される際には、スタンド22の制限凸部22Aがケース24の制限凹部24Aに挿入された状態で、クラッチ44の回転凸部44Aが出力ギア42の回転凹部42Bから離脱される(図3(B)の2点鎖線参照)。このため、制限凸部22Aが制限凹部24Aから離脱されないことで、整流体14が展開位置から収納方向Bに回転されるための荷重(圧縮コイルスプリング46の付勢力に抗する力)が高くなることを抑制できる。
【0049】
しかも、展開位置の整流体14が外力を作用されて収納方向Bに回転される際には、スタンド22の制限凸部22Aがケース24の制限凹部24Aを阻害されずに回転される(制限凸部22Aの回転を制限凹部24Aが許可する)。このため、整流体14が展開位置から収納方向Bに回転されるための荷重が高くなることを効果的に抑制できる。
【0050】
また、収納位置の整流体14が外力を作用されて収納方向Bに回転される際には、クラッチ44の回転凸部44Aが出力ギア42の回転凹部42Bに挿入された状態で、スタンド22の制限凸部22Aがケース24の制限凹部24Aから離脱される(図3(A)の2点鎖線参照)。このため、回転凸部44Aが回転凹部42Bから離脱されないことで、整流体14が収納位置から収納方向Bに回転されるための荷重(圧縮コイルスプリング46の付勢力に抗する力)が高くなることを抑制できる。
【0051】
しかも、収納位置の整流体14が外力を作用されて収納方向Bに回転される際には、クラッチ44の回転凸部44Aが出力ギア42の回転凹部42Bを阻害されずに回転される(回転凸部44Aの回転を回転凹部42Bが許可する)。このため、整流体14が収納位置から収納方向Bに回転されるための荷重が高くなることを効果的に抑制できる。
【0052】
また、整流体14が展開位置に配置された際(図3(B)参照)には、出力ギア42の回転凹部42Bの収納方向B側端面にクラッチ44の回転凸部44Aが当接されて、クラッチ44の収納方向Bへの回転が制限されることで、整流体14の収納方向Bへの回転が制限される。しかも、スタンド22の制限凸部22Aがケース24の制限凹部24Aの展開方向A側端面に当接されて、スタンド22の展開方向Aへの回転が制限されることで、整流体14の展開方向Aへの回転が制限される。このため、整流体14の展開位置から展開方向A及び収納方向Bへの回転を制限できて、整流体14のガタツキを抑制できる。
【0053】
さらに、整流体14が収納位置に配置された際(図3(A)参照)には、出力ギア42の回転凹部42Bの展開方向A側端面にクラッチ44の回転凸部44Aが当接されて、クラッチ44の展開方向Aへの回転が制限されることで、整流体14の展開方向Aへの回転が制限される。しかも、スタンド22の制限凸部22Aがケース24の制限凹部24Aの収納方向B側端面に当接されて、スタンド22の収納方向Bへの回転が制限されることで、整流体14の収納方向Bへの回転が制限される。このため、整流体14の収納位置から展開方向A及び収納方向Bへの回転を制限できて、整流体14のガタツキを抑制できる。
【0054】
なお、本実施形態では、スタンド22に制限凸部22Aが設けられると共に、ケース24に制限凹部24Aが設けられる。しかしながら、スタンド22に制限凹部24Aが設けられると共に、ケース24に制限凸部22Aが設けられてもよい。この場合、制限凸部22Aの収納方向B側面及び制限凹部24Aの収納方向B側端面がスタンド22の周方向に垂直に配置されてもよく、制限凸部22Aの展開方向A側面及び制限凹部24Aの展開方向A側端面が展開方向Aへ向かうに従い車幅方向内側へ向かう方向に傾斜されてもよい。
【0055】
また、本実施形態では、出力ギア42に回転凹部42Bが設けられると共に、クラッチ44に回転凸部44Aが設けられる。しかしながら、出力ギア42に回転凸部44Aが設けられると共に、クラッチ44に回転凹部42Bが設けられてもよい。
【符号の説明】
【0056】
10・・・整流装置、12・・・車両、12A・・・車体、12B・・・前輪、14・・・整流体、20・・・制限機構、40・・・回転機構
図1
図2
図3