(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-14
(45)【発行日】2025-04-22
(54)【発明の名称】コンピュータ、及び電力調整方法
(51)【国際特許分類】
H02J 3/12 20060101AFI20250415BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20250415BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20250415BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20250415BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20250415BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20250415BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20250415BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20250415BHJP
B60L 53/63 20190101ALI20250415BHJP
B60L 53/68 20190101ALI20250415BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20250415BHJP
G06Q 50/06 20240101ALI20250415BHJP
【FI】
H02J3/12
H02J3/32
H02J3/00 180
H02J13/00 311R
H02J7/00 B
H02J7/00 P
H02J7/34 B
H02J7/34 D
H02J7/34 J
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/63
B60L53/68
B60L58/12
G06Q50/06
(21)【出願番号】P 2021193207
(22)【出願日】2021-11-29
【審査請求日】2024-05-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神田 千秋
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-115704(JP,A)
【文献】特開2019-054565(JP,A)
【文献】特開2017-216797(JP,A)
【文献】特開2021-093831(JP,A)
【文献】特開2014-236602(JP,A)
【文献】国際公開第2012/017937(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0200332(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J3/00-5/00
H02J13/00
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
B60L1/00-3/12
B60L7/00-13/00
B60L15/00-58/40
G06Q50/06
G16Y10/00-40/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源の調整力として動作可能な複数のリソースを管理するコンピュータであって、
前記複数のリソースの各々は、前記外部電源からの電力を充電可能な蓄電装置を備え、
前記コンピュータは、調整力のための充電要求に対して、前記複数のリソースの中から、調整力として動作させるリソースを選ぶリソース選定を実行するように構成され、
前記コンピュータは、前記リソース選定に先立ち、前記複数のリソースの各々の充電可能時間を求めるように構成され、
前記コンピュータは、第1充電要求に対する前記リソース選定においては、充電可能時間が短いリソースを優先的に選び、第2充電要求に対する前記リソース選定においては、充電可能時間が長いリソースを優先的に選ぶように構成され、
前記第2充電要求において要求される調整期間は、前記第1充電要求において要求される調整期間よりも長い、コンピュータ。
【請求項2】
前記コンピュータは、電力市場で調整力の取引きを行ない、前記電力市場で需要増加の調整力を落札した場合に充電要求を発生させるように構成され、
前記電力市場ではコマ単位の調整力が取引きされ、
前記コンピュータは、所定コマ数以下の調整力のための充電要求を前記第1充電要求とみなし、前記所定コマ数を超える調整力のための充電要求を前記第2充電要求とみなすように構成される、請求項1に記載のコンピュータ。
【請求項3】
前記コンピュータは、前記外部電源の同時同量に関して需要不足のインバランスが生じた場合に充電要求を発生させるように構成され、
前記コンピュータは、前記インバランスを解消するための充電要求を前記第1充電要求とみなすように構成される、請求項1又は2に記載のコンピュータ。
【請求項4】
前記コンピュータは、前記複数のリソースの各々を、異なる充電可能時間の範囲が設定された複数の区分のうち当該リソースの充電可能時間に対応する区分に分類し、同一の区分に属するリソースについては充電可能時間が同一であるとみなすように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載のコンピュータ。
【請求項5】
前記コンピュータは、前記複数のリソースの各々の、前記蓄電装置のSOCと、前記蓄電装置の定格充電電力とを用いて、前記複数のリソースの各々の充電可能時間を算出するように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載のコンピュータ。
【請求項6】
前記複数のリソースは、充電設備を介して前記外部電源と電気的に接続可能な車両を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のコンピュータ。
【請求項7】
前記コンピュータは、前記リソース選定によって選ばれたリソースを、リモート制御により調整力として動作させるように構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載のコンピュータ。
【請求項8】
前記コンピュータは、充電要求に対する目標電力量を決定するように構成され、
前記コンピュータは、前記リソース選定において、選定されたリソースによって調整される電力量の合計が前記目標電力量に到達するようにリソースを選ぶように構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載のコンピュータ。
【請求項9】
外部電源の調整力として動作可能な複数のリソースを管理するコンピュータであって、
前記複数のリソースの各々は、前記外部電源へ電力を放電可能な蓄電装置を備え、
前記コンピュータは、調整力のための放電要求に対して、前記複数のリソースの中から、調整力として動作させるリソースを選ぶリソース選定を実行するように構成され、
前記コンピュータは、前記リソース選定に先立ち、前記複数のリソースの各々の放電可能時間を求めるように構成され、
前記コンピュータは、第1放電要求に対する前記リソース選定においては、放電可能時間が短いリソースを優先的に選び、第2放電要求に対する前記リソース選定においては、放電可能時間が長いリソースを優先的に選ぶように構成され、
前記第2放電要求において要求される調整期間は、前記第1放電要求において要求される調整期間よりも長い、コンピュータ。
【請求項10】
外部電源の調整力として動作可能な複数のリソースの各々の充電可能時間を求めることと、
前記調整力のための充電要求が、第1充電要求と、前記第1充電要求よりも長い調整期間での電力調整を要求する第2充電要求とのいずれであるかを判断することと、
前記充電要求が前記第1充電要求であると判断された場合に、当該充電要求に対するリソース選定において、充電可能時間が短いリソースを優先的に選ぶことと、
前記充電要求が前記第2充電要求であると判断された場合に、当該充電要求に対するリソース選定において、充電可能時間が長いリソースを優先的に選ぶことと、
前記充電要求に対するリソース選定において選ばれたリソースを、前記外部電源の調整力として動作させることと、
を含む、電力調整方法。
【請求項11】
外部電源の調整力として動作可能な複数のリソースの各々の放電可能時間を求めることと、
前記調整力のための放電要求が、第1放電要求と、前記第1放電要求よりも長い調整期間での電力調整を要求する第2放電要求とのいずれであるかを判断することと、
前記放電要求が前記第1放電要求であると判断された場合に、当該放電要求に対するリソース選定において、放電可能時間が短いリソースを優先的に選ぶことと、
前記放電要求が前記第2放電要求であると判断された場合に、当該放電要求に対するリソース選定において、放電可能時間が長いリソースを優先的に選ぶことと、
前記放電要求に対するリソース選定において選ばれたリソースを、前記外部電源の調整力として動作させることと、
を含む、電力調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンピュータ及び電力調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば特許第5562423号公報(特許文献1)には、電力需要者全体の電力需給の変動及び各電力需要者間の電力需給の不均衡を共に抑制して電力需給を平準化させるために必要な充放電指令を複数の電気自動車の各々のバッテリに設定し、設定した各充放電指令に基づいて、対応するバッテリを充放電制御する技術が開示されている。各バッテリの充放電負荷を均等化すべく、上記充放電指令は、使用可能容量が小のバッテリよりも使用可能容量が大のバッテリに対して、より大きな充放電量を配分するように設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、バッテリを含む電気自動車は、外部電源の調整力(たとえば、電力需給を平準化させる調整力)として動作し得る。特許文献1に開示される技術では、バッテリを含む電気自動車が、外部電源の調整力として動作可能なリソースに相当する。
【0005】
ところで、充電要求において要求される調整期間が長い場合には、1つのリソースだけでは要求に応えられないことがある。このような充電要求に対しては、まず、第1リソースが充電を行ない、第1リソースの充電可能時間(充電を継続できる限界時間)を超える前に、第2リソースによる充電を開始するとともに、第2リソースの充電開始タイミングに合わせて第1リソースによる充電を終了させることが考えられる。第1リソースに代わって第2リソースが充電を行なうことで、充電は継続される。このように、充電要求に応じて充電を行なうリソース(以下、「充電リソース」とも称する)を変更しながら充電を継続することで、長期間にわたって外部電源の調整力のための充電を行なうことが可能になる。ただし、こうした電力調整方法では、充電リソースを変更する回数(すなわち、電力調整におけるリソース交替の回数)が増えると、充電リソースを制御する部品(たとえば、充電リレー)が劣化しやすくなる。また、リソース交替時(すなわち、先のリソースによる充電が終わってから後のリソースによる充電が開始されるまでの間)に充電途切れ(すなわち、いずれのリソースによっても充電が行なわれない期間)が生じることがある。このため、充電要求に対しては、リソース交替の回数が少なくなるようにリソースが選定されることが望ましい。こうした課題は、外部電源の調整力のための充電(すなわち、充電要求に応じた充電)に特有のものではなく、外部電源の調整力のための放電(すなわち、放電要求に応じた放電)においても同様の課題が生じ得る。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1では、リソースごとの充放電量の配分については検討されているが、外部電源の調整力のための充電要求又は放電要求に対するリソースの選定については十分な検討がなされていない。
【0007】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、外部電源の調整力として動作させるリソースの選定において、リソース交替の回数が少なくなるようにリソースを選ぶことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の観点に係るコンピュータは、外部電源の調整力として動作可能な複数のリソースを管理するように構成される。複数のリソースの各々は、外部電源からの電力を充電可能な蓄電装置を備える。コンピュータは、調整力のための充電要求に対して、複数のリソースの中から、調整力として動作させるリソースを選ぶリソース選定を実行するように構成される。コンピュータは、リソース選定に先立ち、複数のリソースの各々の充電可能時間を求めるように構成される。コンピュータは、第1充電要求に対するリソース選定においては、充電可能時間が短いリソースを優先的に選び、第2充電要求に対するリソース選定においては、充電可能時間が長いリソースを優先的に選ぶように構成される。第2充電要求において要求される調整期間は、第1充電要求において要求される調整期間よりも長い。
【0009】
詳細は後述するが、上記構成によれば、外部電源の調整力として動作させるリソースの選定において、リソース交替の回数が少なくなるようにリソースを選ぶことが可能になる(たとえば、
図11及び
図12参照)。以下、上記コンピュータを、「管理コンピュータ」とも称する。
【0010】
なお、調整期間は、調整力の提供が要求される期間であり、一般に「提供期間」とも称される。また、調整期間の長さは、一般に「継続時間」とも称される。調整力は、外部電源の電力調整(周波数制御、需給バランス調整など)を行なう能力全般を意味し、予備力も含む。
【0011】
上記外部電源は、電力網(たとえば、マイクログリッド、又はインフラストラクチャとして整備された大規模な電力網)であってもよい。上記外部電源は、交流電力を供給してもよいし、直流電力を供給してもよい。
【0012】
管理コンピュータは、電力市場で調整力の取引きを行ない、電力市場で需要増加の調整力を落札した場合に充電要求を発生させるように構成されてもよい。電力市場ではコマ単位の調整力が取引きされてもよい。管理コンピュータは、所定コマ数以下の調整力のための充電要求を第1充電要求とみなし、所定コマ数を超える調整力のための充電要求を第2充電要求とみなすように構成されてもよい。
【0013】
上記構成によれば、電力市場で落札した調整力として動作させるリソースの選定において、リソース交替の回数が少なくなるようにリソースを選ぶことが可能になる。
【0014】
上記コマの長さは30分であってもよい。上記所定コマ数は1コマであってもよい。電力市場では、1日を30分単位に区切った48コマについて取引きが行なわれてもよい。電力市場で取引きされるコマの長さ(単位時間)は、国又は地域によって異なる。たとえば、コマの長さが5分である形態において、所定コマ数が4コマ以上10コマ以下の範囲から選ばれてもよい。
【0015】
管理コンピュータは、外部電源の同時同量に関して需要不足のインバランスが生じた場合に充電要求を発生させるように構成されてもよい。管理コンピュータは、インバランスを解消するための充電要求を第1充電要求とみなすように構成されてもよい。
【0016】
同時同量のインバランスの調整においては、細かい電力変動を早期に調整することが要求される傾向がある。このため、上記構成では、インバランスを解消するための充電要求を第1充電要求とみなす。これにより、リソース交替の回数を減らしやすくなる。
【0017】
なお、同時同量のインバランスは、たとえば、需給計画値と需給実績値との差分に相当する。需要予測が外れて、需要(消費電力)の実績値が計画値よりも大きくなった場合には、同時同量のインバランスが生じる。また、発電予測(たとえば、太陽光発電又は風力発電によって生成される電力の予測)が外れて、供給(発電電力)の実績値が計画値よりも大きくなった場合にも、同時同量のインバランスが生じる。
【0018】
管理コンピュータは、複数のリソースの各々を、異なる充電可能時間の範囲が設定された複数の区分のうち当該リソースの充電可能時間に対応する区分に分類するように構成されてもよい。管理コンピュータは、同一の区分に属するリソースについては充電可能時間が同一であるとみなすように構成されてもよい。
【0019】
上記構成によれば、リソースの選定が容易になる。管理コンピュータは、リソースに関する情報(たとえば、リソースの種類を示す情報)を用いて充電可能時間を推定し、推定された充電可能時間に基づいて上記複数の区分のいずれかにリソースを分類してもよい。区分の数は任意であり、2以上10未満であってもよいし、3以上5以下であってもよいし、10以上であってもよい。
【0020】
管理コンピュータは、複数のリソースの各々の、蓄電装置のSOC(State Of Charge)と、蓄電装置の定格充電電力とを用いて、複数のリソースの各々の充電可能時間を算出するように構成されてもよい。
【0021】
充電開始時のSOCが低いほど充電可能時間は長くなる傾向がある。SOCは、蓄電装置の満充電容量に対する蓄電残量の割合を示す情報である。また、定格充電電力が大きいほど充電可能時間は短くなる傾向がある。このため、上記構成によれば、各リソースの充電可能時間を正確に求めやすくなる。管理コンピュータは、リソースの満充電容量(満充電時の蓄電量)及び充電制限に関する情報をさらに用いて、複数のリソースの各々の充電可能時間を算出するように構成されてもよい。
【0022】
複数のリソースは、充電設備を介して外部電源と電気的に接続可能な車両を含んでもよい。車載バッテリを活用することで充電要求に対して十分な調整力を確保しやすくなる。
【0023】
管理コンピュータは、リソース選定によって選ばれたリソースを、リモート制御により調整力として動作させるように構成されてもよい。
【0024】
上記管理コンピュータは、遠隔操作でリソースの制御(蓄電装置の充電制御)を行なうことにより、容易かつ的確に蓄電装置を調整力として動作させることができる。
【0025】
管理コンピュータは、充電要求に対する目標電力量を決定するように構成されてもよい。管理コンピュータは、リソース選定において、選定されたリソースによって調整される電力量の合計が目標電力量に到達するようにリソースを選ぶように構成されてもよい。
【0026】
上記構成によれば、充電要求に対して十分な調整電力量(充電電力量)を確保しやすくなる。
【0027】
本開示の第2の観点に係るコンピュータは、外部電源の調整力として動作可能な複数のリソースを管理するように構成される。複数のリソースの各々は、外部電源へ電力を放電可能な蓄電装置を備える。コンピュータは、調整力のための放電要求に対して、複数のリソースの中から、調整力として動作させるリソースを選ぶリソース選定を実行するように構成される。コンピュータは、リソース選定に先立ち、複数のリソースの各々の放電可能時間を求めるように構成される。コンピュータは、第1放電要求に対するリソース選定においては、放電可能時間が短いリソースを優先的に選び、第2放電要求に対するリソース選定においては、放電可能時間が長いリソースを優先的に選ぶように構成される。第2放電要求において要求される調整期間は、第1放電要求において要求される調整期間よりも長い。
【0028】
上記コンピュータは、放電によって電力調整を行なうように構成される。詳細は後述するが、上記構成を有するコンピュータによれば、基本的には前述した充電による電力調整を行なうコンピュータに準ずる態様で、外部電源の調整力として動作させるリソースの選定において、リソース交替の回数が少なくなるようにリソースを選ぶことが可能になる(たとえば、
図13及び
図14参照)。
【0029】
本開示の第3の観点に係る電力調整方法は、外部電源の調整力として動作可能な複数のリソースの各々の充電可能時間を求めることと、調整力のための充電要求が、第1充電要求と、第1充電要求よりも長い調整期間での電力調整を要求する第2充電要求とのいずれであるかを判断することと、充電要求が第1充電要求であると判断された場合に、当該充電要求に対するリソース選定において、充電可能時間が短いリソースを優先的に選ぶことと、充電要求が第2充電要求であると判断された場合に、当該充電要求に対するリソース選定において、充電可能時間が長いリソースを優先的に選ぶことと、充電要求に対するリソース選定において選ばれたリソースを、外部電源の調整力として動作させることとを含む。
【0030】
上記電力調整方法によっても、前述した充電による電力調整を行なうコンピュータと同様、外部電源の調整力として動作させるリソースの選定において、リソース交替の回数が少なくなるようにリソースを選ぶことが可能になる。また、上記方法によれば、選ばれたリソースによって外部電源の電力調整を適切に行なうことが可能になる。
【0031】
本開示の第4の観点に係る電力調整方法は、外部電源の調整力として動作可能な複数のリソースの各々の放電可能時間を求めることと、調整力のための放電要求が、第1放電要求と、第1放電要求よりも長い調整期間での電力調整を要求する第2放電要求とのいずれであるかを判断することと、放電要求が第1放電要求であると判断された場合に、当該放電要求に対するリソース選定において、放電可能時間が短いリソースを優先的に選ぶことと、放電要求が第2放電要求であると判断された場合に、当該放電要求に対するリソース選定において、放電可能時間が長いリソースを優先的に選ぶことと、放電要求に対するリソース選定において選ばれたリソースを、外部電源の調整力として動作させることとを含む。
【0032】
上記電力調整方法によっても、前述した放電による電力調整を行なうコンピュータと同様、外部電源の調整力として動作させるリソースの選定において、リソース交替の回数が少なくなるようにリソースを選ぶことが可能になる。また、上記方法によれば、選ばれたリソースによって外部電源の電力調整を適切に行なうことが可能になる。
【発明の効果】
【0033】
本開示によれば、外部電源の調整力として動作させるリソースの選定において、リソース交替の回数が少なくなるようにリソースを選ぶことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本開示の実施の形態に係る電力管理システムの概略的な構成を示す図である。
【
図2】
図1に示した電力管理システムにおいて、外部電源の電力調整を行なうときの各リソースの状態を示す図である。
【
図3】本開示の実施の形態に係る管理コンピュータの詳細構成を示す図である。
【
図4】
図3に示した管理コンピュータによって実行されるリソース情報の取得に係る処理を示すフローチャートである。
【
図5】本開示の実施の形態に係る電力市場の概要を示す図である。
【
図6】
図3に示した管理コンピュータによって実行される市場取引に係る処理を示すフローチャートである。
【
図7】本開示の実施の形態に係る電力調整方法における、充電要求に対するリソース選定に係る処理を示すフローチャートである。
【
図8】本開示の実施の形態に係る電力調整方法における、放電要求に対するリソース選定に係る処理を示すフローチャートである。
【
図9】
図1に示したTSOのサーバによって実行される電力調整に係る処理を示すフローチャートである。
【
図10】
図3に示した管理コンピュータによって実行される、インバランスを解消するための調整力確保に係る処理を示すフローチャートである。
【
図11】第1のケースにおいて比較例1、比較例2、及び実施例に係る方法によってリソースを選定した結果を示す図である。
【
図12】第2のケースにおいて比較例1、比較例2、及び実施例に係る方法によってリソースを選定した結果を示す図である。
【
図13】第3のケースにおいて比較例3、比較例4、及び実施例に係る方法によってリソースを選定した結果を示す図である。
【
図14】第4のケースにおいて比較例3、比較例4、及び実施例に係る方法によってリソースを選定した結果を示す図である。
【
図15】
図7に示した処理の変形例を示すフローチャートである。
【
図16】第5及び第6のケースの各々において、
図15に示した変形例に係る方法により充電要求に対するリソース選定を行なった結果を示す図である。
【
図17】同一の期間において複数のリソースに同時に充電を行なわせる例を示す図である。
【
図18】
図8に示した処理の変形例を示すフローチャートである。
【
図19】第7及び第8のケースの各々において、
図18に示した変形例に係る方法により放電要求に対するリソース選定を行なった結果を示す図である。
【
図20】同一の期間において複数のリソースに同時に放電を行なわせる例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図中、同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0036】
図1は、本開示の実施の形態に係る電力管理システムの概略的な構成を示す図である。
図1を参照して、この実施の形態に係る電力管理システムは、リソース群500と、サーバ600と、サーバ700とを含む。
【0037】
サーバ600は、リソース群500を管理する。リソース群500には、蓄電装置を備えるリソースが複数含まれる。各リソースは、電力系統PGと電気的に接続可能に構成される。各リソースは、電力系統PGの電力調整を行なう調整力として機能する。この実施の形態では、リソース群500が、リソースとして、BEV(電気自動車)110、PHEV(プラグインハイブリッド車)120、及びESS(Energy Storage System)200を含む。
図1には、各リソース(BEV、PHEV、ESS)を1つずつ図示しているが、リソース群500に含まれる各リソースの数は、各々独立して任意であり、10個以上100個未満であってもよいし、100個以上であってもよい。
【0038】
BEV110、PHEV120、ESS200は、それぞれバッテリB11、バッテリB12、蓄電装置B2を備える。バッテリB11,B12及び蓄電装置B2の各々は、充放電可能に構成される蓄電装置である。これらの蓄電装置は、電力系統PGからの電力を充電可能に構成されるとともに、電力系統PGへ電力を放電可能に構成される。
【0039】
BEV110及びPHEV120の各々は、バッテリ(蓄電装置)に蓄えられた電力を用いて走行するように構成されるxEVである。xEVは、電力を動力源の全て又は一部として利用する車両である。具体的には、BEV110及びPHEV120の各々は、バッテリから図示しない電動モータに電力を供給して、電動モータによって生成される動力によって走行する。走行のための電動モータの数は任意であり、1つでも2つでも3つ以上でもよい。電動モータはインホイールモータであってもよい。バッテリB11及びB12の各々としては、公知の車両用蓄電装置(たとえば、液式二次電池、全固体二次電池、又は組電池)を採用できる。車両用二次電池の例としては、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池が挙げられる。
【0040】
BEV110が備える走行用のエネルギー貯蔵装置は、バッテリB11のみである。一方、PHEV120は、蓄電装置(バッテリB12)以外にも、走行用のエネルギー貯蔵装置を備える。PHEV120は、走行用の動力源H1を備える。動力源H1は、内燃機関と、内燃機関へ燃料を供給する燃料タンクとを含む。PHEV120は、電力を使用しなくても、内燃機関から出力される動力によって走行できる。燃料タンクは、走行用のエネルギー貯蔵装置に相当する。内燃機関の燃料は任意であり、ガソリンでも軽油でも水素でもよい。
【0041】
ESS200は、定置式のリソースである。ESS200は、建物(戸建住宅、集合住宅、商業施設、工場、病院、学校など)に設けられてもよい。ESS200は、建物に設置された電力負荷(たとえば、住宅における空調設備、床暖房設備、照明器具、調理器具、湯沸かし器など)に電力を供給するように構成されてもよい。ESS200は、建物の非常用電源として機能してもよい。ESS200は、建物に設置された発電設備(たとえば、太陽光発電設備又は風力発電設備のような再エネ発電設備)の余剰発電電力を蓄えるように構成されてもよい。なお、再エネは、再生可能エネルギー(RE:Renewable Energy)を意味する。蓄電装置B2としては、公知の定置用蓄電装置(たとえば、リチウムイオン電池、鉛蓄電池、ニッケル水素電池、レドックスフロー電池、又はNAS(ナトリウム硫黄)電池)を採用できる。
【0042】
電力系統PGは、送配電設備によって構築される電力網である。電力系統PGには、複数の発電所が接続されている。電力系統PGは、それらの発電所から電力の供給を受けている。この実施の形態では、電力会社が、電力系統PG(商用電源)を保守及び管理する。電力会社は、後述するTSO(系統運用者)に相当する。電力系統PGは、交流電力(たとえば、三相交流電力)を供給する。サーバ700は、たとえばTSOに帰属するコンピュータである。サーバ700は、後述する中給システム及び簡易指令システムを内蔵する。サーバ600とサーバ700とは相互に通信可能に構成される。
【0043】
図2は、電力系統PGの電力調整を行なうときのBEV110、PHEV120、及びESS200の各々の状態を示す図である。以下、区別しない場合は、BEV110及びPHEV120の各々を「xEV100」、バッテリB11及びB12の各々を「バッテリB1」と称する。
【0044】
図1とともに
図2を参照して、xEV100は、ECU(Electronic Control Unit)101と、充放電器102と、インレット103と、充放電リレー104とを備える。xEV100は、EVSE(Electric Vehicle Supply Equipment)310を介して電力系統PGと電気的に接続された状態で、電力系統PGの電力調整を行なう。EVSE310のプラグ(たとえば、EVSE310の本体とつながる充電ケーブルの先端に設けられたプラグ)がxEV100のインレット103に接続されることによって、xEV100と電力系統PGとが互いに電気的に接続される。以下、xEV100と電力系統PGとが互いに電気的に接続された状態を、「xEV接続状態」と称する。また、xEV100と電力系統PGとが互いに電気的に接続されていない状態を、「xEV非接続状態」と称する。走行中のxEV100はxEV非接続状態である。
【0045】
充放電器102は、インレット103とバッテリB1との間に位置し、ECU101によって制御される。充放電器102は、たとえばインバータを含む。また、充放電リレー104は、充放電器102とバッテリB1との間に位置する。充放電リレー104は、ECU101によって制御される。インレット103とバッテリB1との間で電力の授受が行なわれない状況(たとえば、xEV100の走行中)においては、充放電リレー104は開状態(遮断状態)になっている。一方、xEV接続状態においてインレット103とバッテリB1との間で電力の授受が行なわれる場合には、ECU101が充放電リレー104を閉状態(接続状態)にする。電力系統PGから供給される電力をxEV100が蓄える場合には、インレット103からバッテリB1に適切な電力が入力されるようにECU101が充放電器102を制御する。xEV100が電力系統PGに向けて電力を出力する場合には、バッテリB1からインレット103に適切な電力が出力されるようにECU101が充放電器102を制御する。
【0046】
xEV100は、xEV接続状態において、EVSE310を介してサーバ600と通信する。サーバ600とEVSE310とはインターネットを介して相互に通信してもよい。サーバ600は、EVSE310を介してxEV100に指令を送信することにより、充放電器102を制御することができる。サーバ600は、リモート制御により、電力系統PGの電力調整のための充電をバッテリB1に行なわせることができる。また、サーバ600は、リモート制御により、電力系統PGの電力調整のための放電をバッテリB1に行なわせることができる。
【0047】
なお、xEV100は、個人が所有する車両(POV)であってもよいし、MaaS(Mobility as a Service)車両であってもよい。MaaS車両は、MaaS事業者が管理する車両である。また、xEV100は、移動体通信網(テレマティクス)にアクセス可能な無線通信機(たとえば、DCM(Data Communication Module))を備え、EVSEを経由せずに移動体通信網を通じてサーバ600と無線通信するように構成されてもよい。xEV100は、サーバ600からの指令又は通知を上記無線通信機で受信してもよい。この実施の形態では、V2G機能(電力系統との間で双方方向に電力をやり取りする機能)を有するxEV100が、リソース(調整力)として用いられる。xEV100は、V2H(Vehicle to Home)機能をさらに有してもよい。
【0048】
上述したxEV100の構成は一例にすぎない。上記の例では、電力系統PGからEVSE310を経てxEV100に交流電力が供給され、充放電器102によって交流電力が直流電力に変換され、直流電力がバッテリB1に入力される。しかし、充放電器102の機能は、xEVではなくEVSEに搭載されてもよい。充電ケーブルのコネクタに充放電器が内蔵されてもよい。電力系統から供給される交流電力をEVSEが直流電力に変換して、EVSEからxEVへ直流電力が出力されてもよい。
【0049】
ESS200はPCS(Power Conditioning System)210をさらに備える。電力系統PGは、PCS210を介して、蓄電装置B2と接続されている。PCS210と電力系統PGとは、互いに電気的に接続されている。ESS200は、常時、電力系統PGと電気的に接続されている。PCS210はサーバ600と通信可能に構成される。サーバ600とPCS210とはインターネットを介して相互に通信してもよい。PCS210は、運転制御装置、保護装置、及び電力変換回路(いずれも図示せず)を備える。PCS210は、充放電リレー220を含む。PCS210は、充放電リレー220を制御することによって蓄電装置B2と電力系統PGとの電気的な接続/遮断を切り替えることができる。PCS210は、たとえばサーバ600からの要求に応じて、蓄電装置B2と電力系統PGとの電気的な接続/遮断を切り替える。PCS210においては、運転制御装置がサーバ600からの指令に従って電力変換回路を制御する。電力変換回路は、たとえばインバータを含む。サーバ600は、PCS210に充放電指令を送信することにより、蓄電装置B2の充放電を制御することができる。
【0050】
サーバ600は、リモート制御により、電力系統PGの電力調整のための充電又は放電を蓄電装置B2に行なわせることができる。具体的には、電力系統PGから供給される電力をESS200が蓄える場合には、電力系統PGからPCS210を経て蓄電装置B2に適切な電力が入力されるようにPCS210の電力変換回路が制御される。また、ESS200から電力系統PGへ電力を出力する場合には、蓄電装置B2からPCS210を経て電力系統PGに適切な電力が出力されるようにPCS210の電力変換回路が制御される。
【0051】
なお、xEV100(ECU101)及びESS200(PCS210)の各々はサーバ600だけでなくサーバ700とも通信可能に構成される。xEV100の充放電器102とESS200のPCS210との各々は、サーバ600ではなくサーバ700によってリモート制御されることもある。
【0052】
サーバ600は、電力系統PGが電力を供給する所定エリア内に設けられた複数のEVSE310及び複数のPCS210を管理するように構成される。複数のEVSE310は、不特定多数のユーザが使用可能な公共のEVSE310(たとえば、沿道又は公共施設に設置されたEVSE)と、特定のユーザのみが使用可能な非公共のEVSE310(たとえば、家庭用EVSE)とを含んでもよい。サーバ600は、たとえばアグリゲータに帰属するコンピュータである。アグリゲータは、複数の分散型エネルギーリソース(以下、「DER(Distributed Energy Resources)」とも称する)を束ねてエネルギーマネジメントサービスを提供する電気事業者である。xEV100及びESS200の各々は、DERとして機能し得る。サーバ600は、複数のDERを遠隔・統合制御することによって、これらのDERをVPP(仮想発電所)として機能させてもよい。VPPは、IoT(モノのインターネット)を利用した高度なエネルギーマネジメント技術により多数のDERを束ね、これらDERを遠隔・統合制御することによってあたかも1つの発電所のように機能させる仕組みである。サーバ600は、各DERに対してDR(デマンドレスポンス)を実施してもよい。この実施の形態に係る電力系統PG、サーバ600は、それぞれ本開示に係る「外部電源」、「コンピュータ」の一例に相当する。
【0053】
図3は、サーバ600の詳細構成を示す図である。
図3を参照して、サーバ600は、プロセッサ610と、記憶装置620と、通信装置630と、HMI(Human Machine Interface)640とを備える。プロセッサ610は、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。サーバ600が備えるプロセッサの数は任意であり、1つでも複数でもよい。記憶装置620は、各種情報を保存可能に構成される。記憶装置620には、プロセッサ610に実行されるプログラムのほか、プログラムで使用される情報(たとえば、マップ、数式、及び各種パラメータ)が記憶されている。通信装置630は、各種通信I/F(インターフェース)を含む。サーバ600は、通信装置630を通じて外部と通信するように構成される。HMI640は入力装置及び表示装置を含む。HMI640は、タッチパネルディスプレイを含んでもよい。HMI640は、音声入力を受け付けるスマートスピーカを含んでもよい。
【0054】
この実施の形態では、サーバ600が、以下に説明するリソース管理部611、選定部612、需給管理部613、取引部614、及び調整力算出部615を含む。これら各部は、たとえば、プロセッサ610と、プロセッサ610により実行されるプログラムとによって具現化される。ただしこれに限られず、上記各部は、専用のハードウェア(電子回路)によって具現化されてもよい。
【0055】
リソース管理部611は、リソース群500から各リソースの情報を取得するように構成される。たとえば、各リソースの状態が、各リソースからサーバ600に送信されてもよい。リソース管理部611は、各リソースから取得した情報に基づいて、記憶装置620に記憶されたリソース管理情報を更新してもよい。
【0056】
図4は、サーバ600によって実行されるリソース情報の取得に係る処理を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、リソースごとに実行される。以下、処理の対象となるリソースを、「対象リソース」と称する。サーバ600は、たとえば所定の周期で
図4に示す処理を繰り返し実行する。ただしこれに限られず、
図4に示す処理が実行される条件は、リソースごとに任意に設定できる。たとえば、xEVである対象リソースについては、xEV接続状態とxEV非接続状態とが切り替わるタイミングで、
図4に示す処理が実行されてもよい。以下では、フローチャート中の各ステップを、単に「S」と表記する。
【0057】
図1~
図3とともに
図4を参照して、S11では、サーバ600が、対象リソースに関する情報(以下、「リソース情報」と称する)を取得する。たとえば、対象リソースがESS200である場合には、サーバ600は、PCS210と通信を行ない、PCS210からリソース情報を取得する。対象リソースがxEV100である場合には、サーバ600は、ECU101と通信を行ない、ECU101からリソース情報を取得する。
【0058】
この実施の形態では、サーバ600が、S11において、対象リソースが備える蓄電装置のSOC(State Of Charge)、満充電容量(満充電状態の蓄電量)、定格充電電力、及び定格放電電力を取得する。SOCは、蓄電装置の蓄電残量を示し、たとえば満充電容量に対する現在の蓄電量の割合を0~100%で表わしたものである。定格充電電力は、蓄電装置のメーカによって示される蓄電装置の設計上の最大充電電力である。定格放電電力は、蓄電装置のメーカによって示される蓄電装置の設計上の最大放電電力である。
【0059】
サーバ600は、S11において、対象リソースの充電制限及び放電制限に関する情報をさらに取得する。充電制限の例としては、SOC充電制限及び入力制限が挙げられる。SOC充電制限は、蓄電装置のSOCが100%よりも低い上限値(以下、「SOC上限値」とも称する)を超えないように蓄電装置の充電を制限する処理である。SOC充電制限を受ける蓄電装置では、SOCの上限値が100%よりも低くなる。入力制限は、蓄電装置の充電電力又は充電電流が上限値(以下、「上限電力値」とも称する)を超えないように蓄電装置の充電を制限する処理である。入力制限を受ける蓄電装置では、最大充電電力が定格充電電力よりも低くなる。放電制限の例としては、SOC放電制限及び出力制限が挙げられる。SOC放電制限は、蓄電装置のSOCが0%よりも高い下限値(以下、「SOC下限値」とも称する)を下回らないように蓄電装置の放電を制限する処理である。SOC放電制限を受ける蓄電装置では、SOCの下限値が0%よりも高くなる。出力制限は、蓄電装置の放電電力又は放電電流が下限値(以下、「下限電力値」とも称する)を下回らないように蓄電装置の放電を制限する処理である。出力制限を受ける蓄電装置では、最大放電電力が定格放電電力よりも低くなる。この実施の形態では、サーバ600が、リソース情報として、対象リソースのSOC上限値、上限電力値、SOC下限値、及び下限電力値を取得する。これらの情報を出力しない対象リソースに関しては、充電制限及び放電制限が行なわれていないと判断する。
【0060】
対象リソースがxEV100である場合には、サーバ600は、上記のリソース情報に加えて、対象リソースの系統接続状態(xEV接続状態/xEV非接続状態)をさらに取得する。ただし、xEVの情報管理の仕方は、自動車メーカによって異なる。このため、サーバ600がxEV100から取得できるリソース情報の内容は、xEVごとに変わり得る。サーバ600が、バッテリB1の仕様に関する情報をxEV100から取得できない場合には、代わりにxEV100のパワートレインの種類を示す情報を取得し、パワートレインの種類からバッテリB1の仕様(たとえば、満充電容量、定格充電電力、及び定格放電電力)を推定してもよい。
【0061】
続くS12では、サーバ600が、上記S11で取得したリソース情報を用いて、記憶装置620に記憶されたリソース管理情報(
図3)を更新する。対象リソースがサーバ600に登録されていない場合には、対象リソースに識別情報(ID)が付与される。そして、対象リソースに関するデータが、IDと紐付けられて、
図3に示したリソース管理情報に追加される。
【0062】
図3に示すように、この実施の形態に係るリソース管理情報は、リソースごとに識別情報(ID)で区別されてサーバ600の記憶装置620に記憶されている。リソースのIDは、リソースごとに付与された固有の番号であってもよいし、リソースの通信アドレスであってもよい。
【0063】
リソース管理情報は、リソースタイプ(BEV/PHEV/ESS)と、前述した定格充電電力及び定格放電電力とを含む。リソースタイプ、定格充電電力、及び定格放電電力の各々は、予めサーバ600(記憶装置620)に登録されてもよい。あるいは、サーバ600は、前述した
図4のS11の処理により、リソースタイプ、定格充電電力、及び定格放電電力を、対象リソースから取得してもよい。
【0064】
リソース管理情報は、蓄電装置のSOC、満充電容量、並びに前述した充電制限及び放電制限に関する情報(たとえば、SOC上限値、上限電力値、SOC下限値、及び下限電力値)をさらに含む。また、リソース管理情報は、xEVに関する系統接続状態(xEV接続状態/xEV非接続状態)をさらに含む。
図3には示していないが、リソース管理情報は、リソースの位置(たとえば、経度及び緯度)をさらに含んでもよい。リソース管理情報は、蓄電装置の温度をさらに含んでもよい。リソース管理情報は、リソースの異常の有無をさらに含んでもよい。リソース管理情報は、xEVに関する走行計画をさらに含んでもよい。サーバ600は、これらの情報を、前述した
図4のS11の処理によって取得してもよい。
【0065】
リソース管理部611は、リソース群500に含まれる各リソースの充電可能時間及び放電可能時間を求めるように構成される。
【0066】
この実施の形態では、リソース管理部611が、SOCと、満充電容量と、定格充電電力と、充電制限の上限電力値及びSOC上限値とに基づいて、リソースの充電可能時間を求める。具体的には、リソース管理部611は、リソースが最大充電電力で蓄電装置の充電を行なったと仮定したときに、その充電を開始してから蓄電装置のSOCが上限値に達するまでの時間を、充電可能時間とする。リソースの最大充電電力(リソースが充電可能な電力の最大値)は、入力制限を受けていない蓄電装置では定格充電電力であり、入力制限を受けている蓄電装置では入力制限の上限電力値である。最大充電電力が低いほど充電可能時間は長くなる。SOCの上限値は、SOC充電制限を受けていない蓄電装置では100%であり、SOC充電制限を受けている蓄電装置ではSOC充電制限のSOC上限値である。SOCの上限値が低いほど充電可能時間は短くなる。この実施の形態では、リソース管理部611が、直近に測定された蓄電装置のSOCを充電開始時のSOCとみなす。ただし、リソース管理部611は、所定の情報(たとえば、xEVに関する系統接続状態及び走行計画)を用いて充電開始時のSOCを予測してもよい。充電開始時のSOCが低いほど充電可能時間は長くなる。
【0067】
この実施の形態では、リソース管理部611が、SOCと、満充電容量と、定格放電電力と、放電制限の下限電力値及びSOC下限値とに基づいて、リソースの放電可能時間を求める。具体的には、リソース管理部611は、リソースが最大放電電力で蓄電装置の放電を行なったと仮定したときに、その放電を開始してから蓄電装置のSOCが下限値に達するまでの時間を、放電可能時間とする。リソースの最大放電電力(リソースが放電可能な電力の最大値)は、出力制限を受けていない蓄電装置では定格放電電力であり、出力制限を受けている蓄電装置では出力制限の下限電力値である。最大放電電力が低いほど放電可能時間は長くなる。SOCの下限値は、SOC放電制限を受けていない蓄電装置では0%であり、SOC放電制限を受けている蓄電装置ではSOC放電制限のSOC下限値である。SOCの下限値が高いほど放電可能時間は短くなる。この実施の形態では、リソース管理部611が、直近に測定された蓄電装置のSOCを放電開始時のSOCとみなす。ただし、リソース管理部611は、所定の情報(たとえば、xEVに関する系統接続状態及び走行計画)を用いて放電開始時のSOCを予測してもよい。放電開始時のSOCが高いほど放電可能時間は長くなる。
【0068】
リソース管理部611は、選定部612によって選定されたリソースを制御するように構成される。リソース管理部611は、リモート制御により、選定部612によって選ばれたリソースを調整力として動作させるように構成される。リソース管理部611は、サーバ700からの指令に従ってリソースを制御してもよい。
【0069】
需給管理部613は、サーバ700から電力系統PGの需給情報を取得するように構成される。また、需給管理部613は、電力系統PGの実需給を監視する。電力系統PGの実需給は、リソースごとに設けられた電力量計で測定されてもよいし、託送計量器で測定されてもよい。リソースごとの電力量計は、スマートメータを含んでもよいし、EVSE310又はPCS210に内蔵された電力量計を含んでもよい。需給管理部613は、電力系統PGの同時同量に関して需要不足のインバランスが生じた場合に、インバランスを解消するための充電要求を発生させる。需給管理部613は、電力系統PGの同時同量に関して供給不足のインバランスが生じた場合に、インバランスを解消するための放電要求を発生させる。
【0070】
取引部614は、電力市場で取引きを行なうように構成される。取引部614は、電力市場で入札を実行し、入札結果を需給管理部613に連絡する。取引部614が電力市場で需要増加の調整力を落札した場合には、取引部614が充電要求を発生させる。取引部614が電力市場で供給増加の調整力を落札した場合には、取引部614が放電要求を発生させる。
【0071】
調整力算出部615は、上記充電要求に対する目標調整力(目標充電電力)及び目標電力量(目標充電電力量)を算出するように構成される。この実施の形態では、調整力算出部615が、上記充電要求において要求される電力量(kWh)に所定の余裕分(kWh)を足した値を、目標充電電力量として決定する。また、調整力算出部615は、充電要求の調整期間において要求される調整力(kW)に所定の余裕分(kW)を足した値を、目標充電電力として決定する。
【0072】
調整力算出部615は、上記放電要求に対する目標調整力(目標放電電力)及び目標電力量(目標放電電力量)を算出するように構成される。この実施の形態では、調整力算出部615が、上記放電要求において要求される電力量(kWh)に所定の余裕分(kWh)を足した値を、目標放電電力量として決定する。また、調整力算出部615は、放電要求の調整期間において要求される調整力(kW)に所定の余裕分(kW)を足した値を、目標放電電力として決定する。
【0073】
選定部612は、調整力のための充電要求又は放電要求に対して、リソース群500からのリソース選定を実行するように構成される。リソース選定は、リソース群500に含まれる複数のリソース(蓄電装置を含む)の中から、調整力として動作させるリソースを選ぶ処理である。選定部612は、選定したリソースを、リソース管理部611に連絡する。
【0074】
この実施の形態では、調整力のための充電要求が発生したときに、その充電要求が第1充電要求と第2充電要求とのいずれに該当するかを、需給管理部613が判断する。第2充電要求は、第1充電要求よりも長い調整期間での電力調整を要求する。すなわち、第2充電要求において要求される調整期間は、第1充電要求において要求される調整期間よりも長い。リソース管理部611は、発生した充電要求に対するリソース選定に先立ち、選定の候補となる各リソースの充電可能時間を求める。そして、選定部612は、第1充電要求に対するリソース選定においては、充電可能時間が短いリソースを優先的に選び、第2充電要求に対するリソース選定においては、充電可能時間が長いリソースを優先的に選ぶ。なお、充電要求に対するリソース選定の詳細については後述する(
図7参照)。
【0075】
この実施の形態では、調整力のための放電要求が発生したときに、その放電要求が第1放電要求と第2放電要求とのいずれに該当するかを、需給管理部613が判断する。第2放電要求は、第1放電要求よりも長い調整期間での電力調整を要求する。すなわち、第2放電要求において要求される調整期間は、第1放電要求において要求される調整期間よりも長い。リソース管理部611は、発生した放電要求に対するリソース選定に先立ち、選定の候補となる各リソースの放電可能時間を求める。そして、選定部612は、第1放電要求に対するリソース選定においては、放電可能時間が短いリソースを優先的に選び、第2放電要求に対するリソース選定においては、放電可能時間が長いリソースを優先的に選ぶ。なお、放電要求に対するリソース選定の詳細については後述する(
図8参照)。
【0076】
図5は、この実施の形態に係る電力市場の概要を示す図である。以下、
図5を用いて、この実施の形態に係る電力市場について説明する。ただし、以下に説明する電力市場は一例にすぎない。この実施の形態に係るコンピュータ(サーバ600)は、任意の電力市場に適用可能である。
【0077】
電力系統PGを使用するBG(バランシンググループ)は、同時同量を達成する責任を負う。BGは、BRP(Balance Responsible Party)に相当する。BGの例としては、小売電気事業者、発電事業者、アグリゲータが挙げられる。この実施の形態では、計画値同時同量制度が採用される。BGは、事前に所定の機関にコマごとの計画値を提出する。コマは、単位時間ごとに1日が分割されたフレームである。この実施の形態では、コマの長さ(単位時間)を30分とする。所定の機関は、電力広域的運営推進機関(OCCTO)であってもよい。同時同量のインバランス(計画値との不一致分)は、コマごとに評価される。インバランスを発生させたBGは、インバランス料金(ペナルティ)を支払う義務を負う。また、インバランスを頻発させるBGは、ライセンスを剥奪され得る。
【0078】
この実施の形態に係る電力市場は、スポット市場(前日市場)と時間前市場(当日市場)と需給調整市場と容量市場とを含む。スポット市場及び時間前市場は、JEPX(日本卸電力取引所)のような卸電力取引所によって開設及び運営される。各市場では、電力を商品とした取引きが行なわれる。各商品は、たとえば入札方式によって売買される。各市場では、コマ単位の商品が取引きされる。卸電力取引所では、1日を30分単位に区切った48コマについて取引きが行なわれる。
図5中の「GC」(ゲートクローズ)は、コマごとの市場閉場時刻を示している。また、GCは、計画値同時同量制度における計画値の変更期限に相当する。この実施の形態では、コマ開始時刻の1時間前がGCである。GC前においては、BGが市場を利用して、当該コマ(GCに対応するコマ)における計画値と実需給とのずれを調整できる。BGは、インバランスを解消するための調整力をDR(デマンドレスポンス)によって調達してもよい。
【0079】
需給調整市場は、電力系統PGの運用者(以下、「TSO(Transmission System Operator)」と表記する)が調整力を調達するための市場である。TSOは、一般送配電事業者であってもよい。調整力は、電力系統PGにフレキシビリティ(電力変動に応じて電力の生産又は消費を変更できる能力)を付与する。GC後においては、TSOが、需給調整市場を通じて調達した調整力を利用して需要及び供給を調整する。TSOは、市場で調達した調整力(リソース)を、GF(Governor Free)、LFC(Load Frequency Control)、又はEDC(Economic load Dispatch Control)によって制御する。これにより、電力系統PGの同時同量が達成される。
【0080】
需給調整市場で取引きされる調整力は、平常時の調整力と事故時の調整力とに大別される。そして、平常時の調整力は、予測誤差のための調整力と、時間内変動のための調整力とに、さらに分類される。予測誤差は、需要予測誤差と、再エネ予測誤差とを含む。予測誤差は、コマごとの計画値と実績値との平均誤差(30分平均誤差)である。時間内変動は、コマ内(30分未満)の変動である。
【0081】
BGは、需要を予測して、GC前に需要計画を提出する。しかし、GC後に予測誤差(電力需要の予測値と実績値との差)が生じ得る。需要予測誤差のための調整力は、GC後に生じる予測誤差を解消するための調整力である。また、再エネ予測誤差のための調整力は、GC時点で想定される再エネ予測誤差(再エネ出力の予測値と実績値との差)を解消するための調整力である。TSOは、主にLFC及びEDCを用いて、予測誤差のための調整力を制御する。
【0082】
電力需要及び再エネ出力の各々は、時々刻々と変化する。仮に予測値と実績値とが30分平均値で一致していたとしても、30分よりも短い時間では細かな変動が生じている。時間内変動のための調整力は、時間内変動(30分未満の変動)に対して需要と供給を一致させるように応動する調整力である。時間内変動のための調整力の制御に関して、TSOは、1分未満の変動にはGFで対応し、1分以上の変動にはLFC又はEDCで対応する。
【0083】
事故時の調整力は、予測不能なトラブル(たとえば、電源脱落)で生じた需要と供給との差を解消するための調整力である。TSOは、電源脱落に備えて、バックアップ電源を市場で調達する。バックアップ電源(事故時の調整力)の制御に関して、TSOは、脱落直後はGFで対応し、その後はLFC、EDCに順次切り替える。
【0084】
需要変動は、極短周期成分(サイクリック分)と、短周期成分(フリンジ分)と、長周期成分(サステンド分)とに細分化できる。
【0085】
需給調整市場では、サイクリック分のための調整力(一次調整力)と、フリンジ分のための調整力(二次調整力-1)とが取引きされる。一次調整力は、「FCR」(Frequency Containment Reserve:周波数制御予備力)に相当する。FCRに関して、応動時間は10秒以内、継続時間は5分である。二次調整力-1は、「S-FRR」(Synchronized Frequency Restoration Reserve:同期周波数回復予備力)に相当する。S-FRRに関して、応動時間は5分以内、継続時間は30分(1コマ)である。
【0086】
需給調整市場では、サステンド分のうち直前のコマとの差分に相当する部分のための調整力(二次調整力-2)と、サステンド分のうち直前のコマから継続する部分のための調整力(三次調整力-1)とが、さらに取引きされる。二次調整力-2は、「FRR」(Frequency Restoration Reserve:周波数回復予備力)に相当する。FRRに関して、応動時間は5分以内、継続時間は30分(1コマ)である。三次調整力-1は、「RR」(Replacement Reserve:代替予備力)に相当する。RRに関して、応動時間は15分以内、継続時間は3時間(6コマ)である。
【0087】
さらに、需給調整市場では、FIT(Feed-in Tariff)特例制度のための調整力(三次調整力-2)も取引きされる。FIT特例制度では、TSOが発電計画に対するインバランスの責任を負う。TSOは、コマの前々日に再エネ出力を予測して発電計画値を決定する。そして、TSOは、コマの前日に、再エネ予測誤差(前々日からの予測誤差)を解消するための三次調整力-2を調達する。三次調整力-2は、「RR-FIT」(Replacement Reserve for Feed-in Tariff)に相当する。RR-FITに関して、応動時間は45分以内、継続時間は3時間(6コマ)である。
【0088】
容量市場では、電源I’が取引きされる。電源I’は、主に10年に1回程度の厳気象(猛暑、厳寒など)に対応するための調整力(予備力)である。電源I’は、TSOの専用電源として、所定の期間において常時確保される。電源I’に関して、応動時間は3時間以内、継続時間は2~4時間(4~8コマ)である。
【0089】
需給調整市場で調整力を落札した者(落札者)は、基準値(kW)に対して落札量(ΔkW約定量)の範囲で電力を調整する。落札者は、GC(落札されたコマの開始時刻1時間前)までに基準値を需給調整市場システムに登録する。落札量は、プラス(上げ調整力)であってもよいし、マイナス(下げ調整力)であってもよい。落札者は、落札した1つ以上のコマ(提供期間)において、TSOからの指令に従い電力調整を行なう。提供期間において出力指令値が変更された場合、落札者は、商品要件の応動時間内に出力をその値に変化させる。提供期間において出力指令値が同じ値で継続する場合、落札者は、少なくとも商品要件の継続時間はその指令に従って出力を継続する。
【0090】
落札者は、電力調整に使用するリソース(たとえば、リストパターン)をTSOに通知する。TSOのサーバ700は、たとえば中央給電指令所のシステム(中給システム)又は簡易指令システムによって、落札者のリソースに対する指令を送信する。リソースは、専用線オンラインで中給システムと接続されてもよい。たとえば、サーバ700が上記指令によってリソース群500を制御する場合には、サーバ700は、サーバ600(アグリゲータ)を介してリソースを制御してもよいし、直接的にリソースを制御してもよい。落札者は、落札した全てのコマの終了後に、当該コマにおけるリソースの実績データをTSOへ送信する。TSOは、提供期間(落札された調整力の調整期間)において、ΔkW約定量の供出が可能な状態を落札者が維持していること(ΔkWの供出可否)と、ΔkW約定量の範囲内で指令に従って落札者が調整していること(応動実績)とを、コマ(30分)ごとに確認する。ΔkWの供出可否の評価(アセスメントI)と応動実績の評価(アセスメントII)との少なくとも一方において、取引対象のΔkWに定める要件の不適合が判明した場合には、落札者に所定のペナルティ料金が科される。
【0091】
アグリゲータは、サーバ600を用いて電子商取引を行なう。サーバ600は、電力市場で調整力の取引きを行なう。市場取引の会計はサーバ600で管理される。サーバ600は、電力市場で需要増加の調整力を落札した場合には、落札された調整力に対応する充電要求を発生させる。そして、サーバ600は、その充電要求に対して、リソース群500の中から、調整力として動作させるリソースを選ぶ。また、サーバ600は、電力市場で供給増加の調整力を落札した場合には、落札された調整力に対応する放電要求を発生させる。そして、サーバ600は、その放電要求に対して、リソース群500の中から、調整力として動作させるリソースを選ぶ。以下では、サーバ600が需給調整市場で入札を行なう例について説明する。
【0092】
図6は、サーバ600によって実行される市場取引に係る処理を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、所定の条件が成立すると、実行される。所定の条件は、所定の時刻に成立してもよいし、定期的に成立してもよい。サーバ600がユーザから入札指示を受けたときに、所定の条件が成立してもよい。サーバ600は、市場価格と、気象情報(気象予測情報を含む)と、リソース群500の需要履歴と、リソース群500に含まれる各リソースの状態との少なくとも1つに基づいて、入札に適したタイミングを決定し、入札に適したタイミングに
図6に示す処理を実行してもよい。
【0093】
図1~
図3とともに
図6を参照して、S21では、取引部614が、リソース群500のうち、調整力として利用可能なリソースを確認する。取引部614は、たとえば、異常が生じていないリソースを、利用可能なリソースとして認識する。取引部614は、xEVに関して、取引対象に対応するコマ(対象コマ)に走行予定が設定されているxEVを、利用可能なリソースから除外してもよい。
【0094】
続くS22では、取引部614が、S21で確認された利用可能な調整力(リソース)に基づいて、取引対象(入札する商品)を選択する。この実施の形態では、取引対象を調整力とする。続けて、取引部614は、S23において、選択された取引対象に対して入札を行なう。取引部614は、予め設定された条件で、商品の選択及び入札を行なってもよい。また、取引部614は、ユーザから指定された条件で、商品の選択及び入札を行なってもよい。また、取引部614は、AI(人工知能)を用いた機械学習により得た学習済みモデルを用いて、商品の選択及び入札を行なってもよい。
【0095】
続くS24では、取引部614が、入札した商品(調整力)が落札されたか否かを判断する。落札されなかった場合には(S24にてNO)、
図6に示す一連の処理が終了する。ただしこれに限られず、取引部614は、落札されなかった場合に、処理をS22に戻して、別の商品に入札を行なってもよい。
【0096】
落札された場合には(S24にてYES)、サーバ600において、落札された商品に対応する充電要求又は放電要求が発生する。続くS25では、充電要求と放電要求とのいずれが発生したかを需給管理部613が判断する。S25において「充電要求」と判断された場合には、S261において、充電要求に対するリソース選定に係る処理が実行される。
図7は、S261の詳細を示すフローチャートである。
【0097】
図1~
図3とともに
図7を参照して、S30Aでは、リソース管理部611が、前述した方法で利用可能な各リソースの充電可能時間を求める。続くS30Bでは、調整力算出部615が、落札された商品(調整力)のための充電要求に対する目標充電電力(kW)及び目標充電電力量(kWh)を算出する。続くS31では、落札された商品の調整期間(提供期間)が所定の閾値(以下、「Th1」と表記する)よりも長いか否かを、需給管理部613が判断する。Th1は任意に設定できるが、この実施の形態ではTh1を1コマ(30分)とする。たとえば、落札された商品が1コマのFCR又はS-FRRである場合には、S31においてNOと判断される。たとえば、落札された商品がRR、RR-FIT、又は電源I’である場合には、その継続時間は1時間以上(複数コマ)であるため、S31においてYESと判断される。
【0098】
調整期間の長さがTh1以下である場合には(S31にてNO)、処理がS32に進む。調整期間の長さがTh1以下であることは、落札によって生じた充電要求が第1充電要求であることを意味する。S32では、選定部612が、利用可能なリソースの中から、充電可能時間が短いリソースを優先的に選ぶ。選定前に、充電可能時間が短過ぎるリソース(たとえば、充電可能時間が所定時間を下回るリソース)を選定の候補から除外してもよい。
【0099】
調整期間がTh1よりも長い場合には(S31にてYES)、処理がS33に進む。調整期間がTh1よりも長いことは、落札によって生じた充電要求が第2充電要求であることを意味する。S33では、選定部612が、利用可能なリソースの中から、充電可能時間が長いリソースを優先的に選ぶ。
【0100】
上記S32及びS33のいずれかの処理が実行されると、S34において、選定されたリソースによって調整される電力量の合計が上記目標充電電力量(S30B)に到達したか否かが判断される。未達の場合には(S34にてNO)、処理がS31に戻る。S34においてYESと判断されるまでS32又はS33におけるリソース選定が繰り返される。S32及びS33のいずれにおいても、選定部612は、選定候補となる各リソースの最大充電電力に基づいて、充電要求の調整期間において上記目標充電電力(S30B)が確保されるようにリソースを選ぶ。また、選定部612は、選定されたリソースによって調整される電力量の合計が上記目標充電電力量(S30B)に近づくようにリソースを選ぶ。ただし、S32においては充電可能時間が短いリソースが優先的に選ばれ、S33においては充電可能時間が長いリソースが優先的に選ばれる。なお、選定部612は、リソースの最大充電電力及び充電可能時間を用いて、そのリソースによって調整可能な電力量を算出することができる。
【0101】
S34においてYESと判断されると、
図7に示す一連の処理が終了するとともに、処理が
図6のS27に進む。
【0102】
再び
図1~
図3とともに
図6を参照して、前述のS25において「放電要求」と判断された場合には、S262において、放電要求に対するリソース選定に係る処理が実行される。
図8は、S262の詳細を示すフローチャートである。
【0103】
図1~
図3とともに
図8を参照して、S40Aでは、リソース管理部611が、前述した方法で利用可能な各リソースの放電可能時間を求める。続くS40Bでは、調整力算出部615が、落札された商品(調整力)のための放電要求に対する目標放電電力(kW)及び目標放電電力量(kWh)を算出する。続くS41では、落札された商品の調整期間(提供期間)が所定の閾値(以下、「Th2」と表記する)よりも長いか否かを、需給管理部613が判断する。Th2は任意に設定できるが、この実施の形態ではTh2を1コマ(30分)とする。たとえば、落札された商品が1コマのFCR又はS-FRRである場合には、S41においてNOと判断される。たとえば、落札された商品がRR、RR-FIT、又は電源I’である場合には、その継続時間は1時間以上(複数コマ)であるため、S41においてYESと判断される。
【0104】
調整期間の長さがTh2以下である場合には(S41にてNO)、処理がS42に進む。調整期間の長さがTh2以下であることは、落札によって生じた放電要求が第1放電要求であることを意味する。S42では、選定部612が、利用可能なリソースの中から、放電可能時間が短いリソースを優先的に選ぶ。選定前に、放電可能時間が短過ぎるリソース(たとえば、放電可能時間が所定時間を下回るリソース)を選定の候補から除外してもよい。
【0105】
調整期間がTh2よりも長い場合には(S41にてYES)、処理がS43に進む。調整期間がTh2よりも長いことは、落札によって生じた放電要求が第2放電要求であることを意味する。S43では、選定部612が、利用可能なリソースの中から、放電可能時間が長いリソースを優先的に選ぶ。
【0106】
上記S42及びS43のいずれかの処理が実行されると、S44において、選定されたリソースによって調整される電力量の合計が上記目標放電電力量(S40B)に到達したか否かが判断される。未達の場合には(S44にてNO)、処理がS41に戻る。S44においてYESと判断されるまでS42又はS43におけるリソース選定が繰り返される。S42及びS43のいずれにおいても、選定部612は、選定候補となる各リソースの最大放電電力に基づいて、放電要求の調整期間において上記目標放電電力(S40B)が確保されるようにリソースを選ぶ。また、選定部612は、選定されたリソースによって調整される電力量の合計が上記目標放電電力量(S40B)に近づくようにリソースを選ぶ。ただし、S42においては放電可能時間が短いリソースが優先的に選ばれ、S43においては放電可能時間が長いリソースが優先的に選ばれる。なお、選定部612は、リソースの最大放電電力及び放電可能時間を用いて、そのリソースによって調整可能な電力量を算出することができる。落札された商品の調整期間の全部を1つのリソースで対応できない場合には、その調整期間が分割されて複数のリソースに割り当てられる。
【0107】
S44においてYESと判断されると、
図8に示す一連の処理が終了するとともに、処理が
図6のS27に進む。
【0108】
再び
図1~
図3とともに
図6を参照して、S27では、落札された商品を特定する情報(たとえば、商品ID)とともに、その商品に対して選定部612が選定したリソース(リストパターン)を、リソース管理部611がサーバ700に通知する。リソース管理部611は、選定されたリソースの通信アドレス、最大充電電力、充電可能時間、最大放電電力、及び放電可能時間を、サーバ700に通知してもよい。サーバ600は、S27の通知によって、入札時に指定したリソース(リストパターン)を差し替えてもよい。
【0109】
さらに、リソース管理部611は、S27において、選定部612が選定したリソースのユーザ端末に、当該リソースに割り当てられた期間(調整開始時刻及び調整終了時刻)を通知する。ユーザ端末は、リソースに搭載された端末(たとえば、ECU101又はPCS210)であってもよいし、ユーザによって携帯されるモバイル端末(たとえば、タブレット端末、スマートフォン、ウェアラブルデバイス、電子キー、又はサービスツール)であってもよい。S27の処理が実行されると、
図6に示す一連の処理は終了する。
【0110】
サーバ700は、需給調整市場で確保した調整力(落札された商品)を利用して、電力系統PGの電力調整を行なう。具体的には、サーバ700は、サーバ600からの通知(
図6のS27)に基づいて、その商品に対して選定されたリソースを制御する。
図9は、サーバ700(TSO)によって実行される電力調整に係る処理を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、落札された商品の調整開始時刻が到来すると、開始される。
【0111】
図1~
図3とともに
図9を参照して、S101では、サーバ700が、電力系統PGの需給状況に基づいて、ΔkW約定量の範囲内での電力調整を制御対象に要求する指令を生成し、生成された指令を制御対象へ送信する。具体的には、サーバ700は、電力系統PGの需給状況に応じた充電電力又は放電電力を示す指令を制御対象へ送信する。調整力が不要な状況においては、上記指令が、電力0kWを示す充電停止指令又は放電停止指令になることもある。この指令によって制御される制御対象は、サーバ600から通知された1つ以上のリソース(
図6のS27)である。制御対象は途中で変わるかもしれない。たとえば、落札された商品の調整期間が複数のリソースに分けて割り当てられた場合には調整期間の途中(詳しくは、先のリソースに割り当てられた期間の終了タイミング)で制御対象が交替することになる。先のリソースに代わって後のリソースが充電又は放電を行なうことで、充電又は放電は継続される。
【0112】
サーバ700は、リモート制御により制御対象を調整力(落札された商品)として動作させる。サーバ700は、上記指令に基づいて、制御対象の電力変換回路(たとえば、
図2に示した充放電器102又はPCS210)を制御する。制御対象の充電電力又は放電電力は、需給状況に応じた目標値に追従するように連続的に制御されてもよい。あるいは、上記指令に従うデューティ制御によって制御対象の充電電力又は放電電力が調整されてもよい。制御対象となるリソースは、割り当てられた期間において充放電リレー(たとえば、
図2に示した充放電リレー104又は220)を閉状態(接続状態)に維持する。そして、割り当てられた期間が終了すると、その充放電リレーが開状態(遮断状態)にされる。
【0113】
続くS102では、落札された商品の調整期間が終了したか否かを、サーバ700が判断する。調整期間内においては、S102においてNOと判断され、処理がS101に戻る。そして、S101の処理により、アグリゲータが提供する調整力(選定された1つ以上のリソース)によって電力系統PGの電力調整が行なわれる。その後、落札された商品の調整終了時刻が到来すると(S102にてYES)、
図9に示す一連の処理は終了する。
【0114】
上記の例では、サーバ700が直接的に各リソースを制御する。しかし、こうした例に限られず、サーバ700はサーバ600を介してリソースを制御してもよい。サーバ700がサーバ600に指令を送信し、サーバ600が、サーバ700からの指令に従ってリソースをリモート制御してもよい。
【0115】
アグリゲータは、サーバ600を用いて、電力系統PGの同時同量に関するインバランスを解消するための調整力を確保する。サーバ600は、電力系統PGの同時同量に関するインバランスが生じた場合に調整力要求を発生させる。そして、サーバ600は、その調整力要求に対して、リソース群500の中から、調整力として動作させるリソース(蓄電装置を含む)を選ぶ。
【0116】
図10は、サーバ600によって実行される、インバランスを解消するための調整力確保に係る処理を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、たとえばサーバ600に計画値が入力されると、開始される。
【0117】
図1~
図3とともに
図10を参照して、S51では、需給管理部613が、電力系統PGに関する同時同量を監視する。具体的には、需給管理部613は、S51において、電力系統PGの同時同量に関するインバランス(計画値と実需給との差分)が所定の許容範囲以内であるか否かを判断し、インバランスが許容範囲を超えた場合に(S51にてYES)、処理をS52に進める。S51においてYESと判断されたことは、電力系統PGの同時同量に関するインバランスが発生したことを意味する。発生したインバランスが需要不足のインバランスである場合には、需給管理部613は、そのインバランスを解消するために充電要求を発生させる。発生したインバランスが供給不足のインバランスである場合には、需給管理部613は、そのインバランスを解消するために放電要求を発生させる。
【0118】
S52では、充電要求と放電要求とのいずれが発生したかを需給管理部613が判断する。S52において「充電要求」と判断された場合には処理がS531に進み、S52において「放電要求」と判断された場合には処理がS532に進む。そして、S531及びS532のいずれかの処理が実行されると、処理がS54に進む。S531、S532、S54では、それぞれ
図6のS261、S262、S27に準ずる処理が実行される。すなわち、S531では、
図7に示した処理が実行される。インバランスの調整期間は30分(1コマ)であるため、
図7のS31ではNOと判断される。S532では、
図8に示した処理が実行される。インバランスの調整期間は30分(1コマ)であるため、
図8のS41ではNOと判断される。このように、インバランスを解消するための充電要求、放電要求は、それぞれ第1充電要求、第1放電要求とみなされる。S54の処理が実行されると、
図10に示す一連の処理が終了する。
【0119】
サーバ600は、上記のように確保した調整力を利用して、インバランスを解消する。サーバ600は、たとえば
図10に示した処理に続けて、たとえば
図9に示した処理に準ずる処理を実行する。これにより、
図10のS531又はS532の処理により選定されたリソースが、サーバ600によってリモート制御される。具体的には、インバランスの調整期間においては、リソース管理部611が、電力系統PGの実需給に基づいて、インバランスを解消するための指令(充電指令又は放電指令)を生成し、生成された指令を制御対象へ送信する。リソース管理部611は、上記リモート制御により、インバランスを解消するための調整力としてリソースを動作させる。調整期間における電力系統PGの実需給は、需給管理部613によって監視される。
【0120】
上記の例では、サーバ600が直接的に各リソースを制御する。しかし、こうした例に限られない。サーバ600が子アグリゲータ(リソースアグリゲータ)に帰属する形態では、サーバ600は、親アグリゲータ(アグリゲーションコーディネータ)からの指令に従ってリソースを制御してもよい。サーバ600は、親アグリゲータからの要求に応じて、充電要求又は放電要求を発生させてもよい。
【0121】
以下、
図11及び
図12を用いて、この実施の形態に係る電力調整方法における、充電要求に対するリソース選定について説明する。以下では、比較例1,2との対比により、この実施の形態に係る電力調整方法(以下、「実施例に係る方法」とも称する)について説明する。比較例1に係る方法では、充電要求の調整期間にかかわらず、充電可能時間が短いリソースから順に選ぶ。比較例2に係る方法では、充電要求の調整期間にかかわらず、充電可能時間が長いリソースから順に選ぶ。実施例に係る方法では、充電要求の調整期間によって選定方法を変える(
図7のS31~S33参照)。
【0122】
図11は、第1のケースにおいて比較例1、比較例2、及び実施例に係る方法によってリソースを選定した結果を示す図である。第1のケースでは、
図11中の表T1に示すリソースV1~V5が選定候補となるリソースであり、同じ日に2つの充電要求Rq11及びRq12が発生している。リソースV1、V2、V3、V4、V5の充電可能時間は、それぞれ15分、30分、45分、1時間、2時間である。充電要求Rq11の調整期間は30分(1コマ)、充電要求Rq12の調整期間は3時間(6コマ)である。各充電要求の調整期間以外においてリソースV1~V5は蓄電装置の充放電を行なわないものとする。
【0123】
図11を参照して、比較例1に係る方法では、リソース選定の優先順位が、高いほうからリソースV1、V2、V3、V4、V5の順になる。このため、充電要求Rq11の調整期間に対してはリソースV1、V2がこの順に割り当てられる。リソースV2は、充電要求Rq11の調整期間において15分充電を行ない、充電可能時間が15分になる。その後、充電要求Rq12の調整期間に対してはリソースV2、V3、V4、V5がこの順に割り当てられる。
【0124】
比較例2に係る方法では、リソース選定の優先順位が、高いほうからリソースV5、V4、V3、V2、V1の順になる。このため、充電要求Rq11の調整期間に対してはリソースV5のみが割り当てられる。リソースV5は、充電要求Rq11の調整期間において30分充電を行ない、充電可能時間が1時間30分になる。その後、充電要求Rq12の調整期間に対してはリソースV5、V4、V3がこの順に割り当てられる。
【0125】
実施例に係る方法では、第1充電要求に対するリソース選定においては、充電可能時間の短いリソースが優先的に選ばれ、第2充電要求に対するリソース選定においては、充電可能時間の長いリソースが優先的に選ばれる。充電要求Rq11は第1充電要求に該当し、充電要求Rq12は第2充電要求に該当する。このため、充電要求Rq11の調整期間に対してはリソースV1、V2がこの順に割り当てられる。リソースV2は、充電要求Rq11の調整期間において15分充電を行ない、充電可能時間が15分になる。その後、充電要求Rq12の調整期間に対してはリソースV5、V4がこの順に割り当てられる。
【0126】
図12は、第2のケースにおいて比較例1、比較例2、及び実施例に係る方法によってリソースを選定した結果を示す図である。第2のケースでは、
図12中の表T1(
図11中の表T1と同じ)に示すリソースV1~V5が選定候補となるリソースであり、同じ日に4つの充電要求Rq21~Rq24が発生している。充電要求Rq21~Rq23の各々の調整期間は30分(1コマ)、充電要求Rq24の調整期間は3時間(6コマ)である。各充電要求の調整期間以外においてリソースV1~V5は蓄電装置の充放電を行なわないものとする。
【0127】
図12を参照して、比較例1に係る方法では、充電要求Rq21の調整期間に対してはリソースV1、V2がこの順に割り当てられる。リソースV2は、充電要求Rq21の調整期間において15分充電を行ない、充電可能時間が15分になる。その後、充電要求Rq22の調整期間に対してはリソースV2、V3がこの順に割り当てられる。リソースV3は、充電要求Rq22の調整期間において15分充電を行ない、充電可能時間が30分になる。次の充電要求Rq23の調整期間に対してはリソースV3のみが割り当てられる。その後、充電要求Rq24の調整期間に対してはリソースV4、V5がこの順に割り当てられる。
【0128】
比較例2に係る方法では、充電要求Rq21~Rq23の各々の調整期間に対してはリソースV5のみが割り当てられる。リソースV5は、充電要求Rq21~Rq23の調整期間において合計1時間30分充電を行ない、充電可能時間が30分になる。このため、充電要求Rq24に対するリソース選定の優先順位は、高いほうからリソースV4、V3、V5、V2、V1の順になる(V5とV2とは逆でもよい)。充電要求Rq24の調整期間に対してはリソースV4、V3、V5、V2、V1がこの順に割り当てられる。
【0129】
実施例に係る方法では、第1充電要求に対するリソース選定においては、充電可能時間の短いリソースが優先的に選ばれ、第2充電要求に対するリソース選定においては、充電可能時間の長いリソースが優先的に選ばれる。充電要求Rq21~Rq23の各々は第1充電要求に該当し、充電要求Rq24は第2充電要求に該当する。充電要求Rq21の調整期間に対してはリソースV1、V2がこの順に割り当てられる。リソースV2は、充電要求Rq21の調整期間において15分充電を行ない、充電可能時間が15分になる。その後、充電要求Rq22の調整期間に対してはリソースV2、V3がこの順に割り当てられる。リソースV3は、充電要求Rq22の調整期間において15分充電を行ない、充電可能時間が30分になる。その後、充電要求Rq23の調整期間に対してはリソースV3のみが割り当てられる。そして、充電要求Rq24の調整期間に対してはリソースV5、V4がこの順に割り当てられる。
【0130】
図11及び
図12に示した比較例1、比較例2、及び実施例に係る方法について、リソース交替(詳しくは、調整期間の途中でのリソース交替)の回数を比較すると、実施例に係る方法におけるリソース交替の回数が最も少ない。具体的には、比較例1に係る方法におけるリソース交替の回数は、第1のケースで4回、第2のケースで3回である。比較例2に係る方法におけるリソース交替の回数は、第1のケースで2回、第2のケースで4回である。実施例に係る方法におけるリソース交替の回数は、第1のケースで2回、第2のケースで3回である。このように、実施例に係る方法によれば、電力系統PG(外部電源)の調整力として動作させるリソースの選定において、リソース交替の回数が少なくなるようにリソースを選ぶことが可能になる。
【0131】
以下、
図13及び
図14を用いて、この実施の形態に係る電力調整方法における、放電要求に対するリソース選定について説明する。以下では、比較例3,4との対比により、実施例に係る方法について説明する。比較例3に係る方法では、放電要求の調整期間にかかわらず、放電可能時間が短いリソースから順に選ぶ。比較例4に係る方法では、放電要求の調整期間にかかわらず、放電可能時間が長いリソースから順に選ぶ。実施例に係る方法では、放電要求の調整期間によって選定方法を変える(
図8のS41~S43参照)。
【0132】
図13は、第3のケースにおいて比較例3、比較例4、及び実施例に係る方法によってリソースを選定した結果を示す図である。第3のケースでは、
図13中の表T1(
図11中の表T1と同じ)に示すリソースV1~V5が選定候補となるリソースであり、同じ日に2つの放電要求Rq31及びRq32が発生している。リソースV1、V2、V3、V4、V5の放電可能時間は、それぞれ2時間、1時間、45分、30分、15分である。放電要求Rq31の調整期間は30分(1コマ)、放電要求Rq32の調整期間は3時間(6コマ)である。各放電要求の調整期間以外においてリソースV1~V5は蓄電装置の充放電を行なわないものとする。
【0133】
図13を参照して、比較例3に係る方法では、放電要求Rq31の調整期間に対してリソースV5、V4がこの順に割り当てられ、放電要求Rq32の調整期間に対してリソースV4、V3、V2、V1がこの順に割り当てられる。比較例4に係る方法では、放電要求Rq31の調整期間に対してリソースV1のみが割り当てられ、放電要求Rq32の調整期間に対してリソースV1、V2、V3がこの順に割り当てられる。
【0134】
実施例に係る方法では、第1放電要求に対するリソース選定においては、放電可能時間の短いリソースが優先的に選ばれ、第2放電要求に対するリソース選定においては、放電可能時間の長いリソースが優先的に選ばれる。放電要求Rq31は第1放電要求に該当し、放電要求Rq32は第2放電要求に該当する。このため、放電要求Rq31の調整期間に対してはリソースV5、V4がこの順に割り当てられ、放電要求Rq32の調整期間に対してはリソースV1、V2がこの順に割り当てられる。
【0135】
図14は、第4のケースにおいて比較例3、比較例4、及び実施例に係る方法によってリソースを選定した結果を示す図である。第4のケースでは、
図14中の表T1(
図11中の表T1と同じ)に示すリソースV1~V5が選定候補となるリソースであり、同じ日に4つの放電要求Rq41~Rq44が発生している。放電要求Rq41~Rq43の各々の調整期間は30分(1コマ)、放電要求Rq44の調整期間は3時間(6コマ)である。各放電要求の調整期間以外においてリソースV1~V5は蓄電装置の充放電を行なわないものとする。
【0136】
図14を参照して、比較例3に係る方法では、放電要求Rq41の調整期間に対してリソースV5、V4がこの順に割り当てられ、放電要求Rq42の調整期間に対してリソースV4、V3がこの順に割り当てられ、放電要求Rq43の調整期間に対してリソースV3のみが割り当てられ、放電要求Rq44の調整期間に対してリソースV2、V1がこの順に割り当てられる。
【0137】
比較例4に係る方法では、放電要求Rq41~Rq43の各々の調整期間に対してはリソースV1のみが割り当てられ、放電要求Rq44の調整期間に対してリソースV2、V3、V1、V4、V5がこの順に割り当てられる。
【0138】
実施例に係る方法では、第1放電要求に対するリソース選定においては、放電可能時間の短いリソースが優先的に選ばれ、第2放電要求に対するリソース選定においては、放電可能時間の長いリソースが優先的に選ばれる。放電要求Rq41~Rq43の各々は第1放電要求に該当し、放電要求Rq44は第2放電要求に該当する。放電要求Rq41の調整期間に対してはリソースV5、V4がこの順に割り当てられ、放電要求Rq42の調整期間に対してはリソースV4、V3がこの順に割り当てられ、放電要求Rq43の調整期間に対してはリソースV3のみが割り当てられ、放電要求Rq44の調整期間に対してはリソースV1、V2がこの順に割り当てられる。
【0139】
図13及び
図14に示した比較例3、比較例4、及び実施例に係る方法について、リソース交替(詳しくは、調整期間の途中でのリソース交替)の回数を比較すると、実施例に係る方法におけるリソース交替の回数が最も少ない。具体的には、比較例3に係る方法におけるリソース交替の回数は、第3のケースで4回、第4のケースで3回である。比較例4に係る方法におけるリソース交替の回数は、第3のケースで2回、第4のケースで4回である。実施例に係る方法におけるリソース交替の回数は、第3のケースで2回、第4のケースで3回である。このように、実施例に係る方法によれば、電力系統PG(外部電源)の調整力として動作させるリソースの選定において、リソース交替の回数が少なくなるようにリソースを選ぶことが可能になる。
【0140】
以上説明したように、この実施の形態に係る電力調整方法は、
図4及び
図6~
図10に示した処理を含む。
【0141】
図7に示した処理では、サーバ600が、S30Aにおいて、電力系統PG(外部電源)の調整力として動作可能な各リソースの充電可能時間を求める。S31では、調整力のための充電要求が第1充電要求と第2充電要求とのいずれであるかを、サーバ600が判断する。充電要求が第1充電要求であると判断された場合には(S31にてNO)、サーバ600が、S32において、当該充電要求に対するリソース選定において、充電可能時間が短いリソースを優先的に選ぶ。充電要求が第2充電要求であると判断された場合には(S31にてYES)、サーバ600が、S33において、当該充電要求に対するリソース選定において、充電可能時間が長いリソースを優先的に選ぶ。
【0142】
図8に示した処理では、サーバ600が、S40Aにおいて、電力系統PG(外部電源)の調整力として動作可能な各リソースの放電可能時間を求める。S41では、調整力のための放電要求が第1放電要求と第2放電要求とのいずれであるかを、サーバ600が判断する。放電要求が第1放電要求であると判断された場合には(S41にてNO)、サーバ600が、S42において、当該放電要求に対するリソース選定において、放電可能時間が短いリソースを優先的に選ぶ。放電要求が第2放電要求であると判断された場合には(S41にてYES)、サーバ600が、S43において、当該放電要求に対するリソース選定において、放電可能時間が長いリソースを優先的に選ぶ。
【0143】
図9に示した処理では、サーバ600又は700が、充電要求及び放電要求の各々に対するリソース選定において選ばれたリソースを、電力系統PG(外部電源)の調整力として動作させる。
【0144】
上記電力調整方法によれば、電力系統PGの調整力として動作させるリソースの選定において、リソース交替の回数が少なくなるようにリソースを選ぶことが可能になる。また、上記方法によれば、選ばれたリソースによって電力系統PGの電力調整を適切に行なうことが可能になる。
【0145】
サーバ600は、異なる充電可能時間の範囲が設定された複数の区分でリソースを分類してもよい。サーバ600は、リソース群500に含まれる各リソースを、当該リソースの充電可能時間に対応する区分に分類し、同一の区分に属する複数のリソースについては充電可能時間が同一であるとみなすように構成されてもよい。たとえば、サーバ600は、
図7に示した処理に代えて
図15に示す処理を実行してもよい。
図15は、
図7に示した処理の変形例を示すフローチャートである。
【0146】
図15に示す処理は、
図7に示した処理に対してS30Cが追加され、S32,S33(
図7)に代えてS32A,S33Aが採用されたこと以外は、
図7に示した処理と同じである。以下、主にS30C、S32A、及びS33Aについて説明する。
【0147】
図1~
図3とともに
図15を参照して、S30Bの処理後、選定部612は、S30Cにおいて、選定の候補となる各リソースを、
図15中の表T2に示す区分A~Cのいずれかに分類する。区分A、B、Cには、それぞれ「30分以上1時間未満」、「1時間以上1時間30分未満」、「1時間30分以上」という充電可能時間の範囲が設定されている。選定の候補となる各リソースは、当該リソースの充電可能時間に対応する区分に分類される。たとえば、充電可能時間が30分のリソースは区分Aに分類される。また、充電可能時間が2時間のリソースは区分Cに分類される。同一の区分に属する各リソースは充電可能時間が同一であるとみなされる。たとえば、区分Aに分類された各リソースは充電可能時間が30分であるとみなされ、区分Aに属するリソースに対しては30分を超える充電は行なわれない。30分は、区分Aに設定された充電可能時間の範囲の下限に相当する。同様に、区分B、Cに分類された各リソースは、それぞれ充電可能時間が1時間、1時間30分であるとみなされる。充電可能時間が30分未満のリソースは、区分A~Cのいずれにも該当しないため、選定の候補から除外される。この変形例では、区分の幅が、電力市場及びインバランスに係るコマの長さに合わせて、30分に設定されている。なお、この変形例では、区分の数を3つにしているが、区分の数は適宜変更可能である。
【0148】
S30Cにおけるリソース分類が完了すると、処理がS31に進む。そして、調整期間の長さがTh1以下である場合には(S31にてNO)、選定部612が、S32Aにおいて、選定候補の中から、区分A、B、Cの優先順位でリソースを選ぶ。すなわち、充電可能時間の短いリソースが優先的に選ばれる。他方、調整期間がTh1よりも長い場合には(S31にてYES)、選定部612が、S33Aにおいて、選定候補の中から、区分C、B、Aの優先順位でリソースを選ぶ。すなわち、充電可能時間の長いリソースが優先的に選ばれる。
【0149】
選定部612は、S32A又はS33Aの処理により、選定されたリソースによって調整される電力量の合計が目標充電電力量(S30B)に近づくようにリソースを選ぶ。到達の有無は、S34において判断される。そして、S34においてYESと判断されると、
図15に示す一連の処理が終了する。
【0150】
以下、
図16を用いて、上記変形例に係る電力調整方法における、充電要求に対するリソース選定について説明する。
【0151】
図16は、第5及び第6のケースの各々において、
図15に示した変形例に係る方法により充電要求に対するリソース選定を行なった結果を示す図である。第5及び第6のケースは、それぞれ基本的には前述した第1及び第2のケースと同じである。ただし、選定候補となるリソースを、
図16中の表T3に示す6つのリソースとする。リソースA1及びA2は区分Aに属し、リソースB1及びB2は区分Bに属し、リソースC1及びC2は区分Cに属する。
図16中の表T3に示す区分A~Cは、
図15中の表T2に示す区分A~Cと同じである。
図16中の充電要求Rq11、Rq12及びRq21~Rq24は、
図11及び
図12中の充電要求Rq11、Rq12及びRq21~Rq24と同じである。
【0152】
図16を参照して、上記変形例に係る方法(
図15参照)では、第1充電要求に対するリソース選定においては、区分A、B、Cの優先順位でリソースが選ばれ、第2充電要求に対するリソース選定においては、区分C、B、Aの優先順位でリソースが選ばれる。
【0153】
第5のケースでは、充電要求Rq11が第1充電要求に該当し、充電要求Rq12が第2充電要求に該当する。このため、充電要求Rq11の調整期間に対してはリソースA1のみが割り当てられる。その後、充電要求Rq12の調整期間に対してリソースC1及びC2が割り当てられる。
【0154】
第6のケースでは、充電要求Rq21~Rq23の各々が第1充電要求に該当し、充電要求Rq24が第2充電要求に該当する。このため、充電要求Rq21の調整期間に対してはリソースA1のみが割り当てられ、充電要求Rq22の調整期間に対してはリソースA2のみが割り当てられ、充電要求Rq23の調整期間に対してはリソースB1のみが割り当てられる。そして、充電要求Rq24の調整期間に対してはリソースC1及びC2が割り当てられる。
【0155】
上記変形例に係る方法におけるリソース交替(詳しくは、調整期間の途中でのリソース交替)の回数は、第5のケース及び第6のケースのいずれにおいても1回である。このように、上記変形例に係る方法によれば、リソース交替の回数を減らしやすくなる。
【0156】
サーバ600は、1つのリソースだけで必要な調整力(充電電力)を賄うことができない場合には、同一の期間に複数のリソースを割り当てて複数のリソースに同時に充電を行なわせることによって必要な調整力(充電電力)を確保してもよい。
図17は、同一の期間において複数のリソースに同時に充電を行なわせる例を示す図である。
図17中のリソースA1,A2,B1,B2,C1,C2は、基本的には
図16中の表T3に示すものと同じである。ただし、リソースC2の最大充電電力は必要調整力に満たないものとする。
【0157】
図17を参照して、この例では、充電要求Rq11の調整期間においてリソースA1及びA2に同時に充電を行なわせることで、必要調整力(目標充電電力)を確保している。また、充電要求Rq12の調整期間の後半においては、リソースC2の充電を継続しながら、リソースB1、B2に順次充電を行なわせている。リソースC2とともにリソースB1又はB2が充電を行なうことで、必要調整力(目標充電電力)が確保される。なお、リソースの充電可能時間は、必要調整力(目標充電電力)のうち当該リソースに割り当てられた調整力を用いて算出されてもよい。
【0158】
サーバ600は、
図8に示した処理に代えて
図18に示す処理を実行してもよい。
図18は、
図8に示した処理の変形例を示すフローチャートである。
【0159】
図18に示す処理は、
図8に示した処理に対してS40Cが追加され、S42,S43(
図8)に代えてS42A,S43Aが採用されたこと以外は、
図8に示した処理と同じである。以下、主にS40C、S42A、及びS43Aについて説明する。
【0160】
図1~
図3とともに
図18を参照して、S40Bの処理後、選定部612は、S40Cにおいて、選定の候補となる各リソースを、
図18中の表T4に示す区分D~Fのいずれかに分類する。区分D、E、Fには、それぞれ「30分以上1時間未満」、「1時間以上1時間30分未満」、「1時間30分以上」という放電可能時間の範囲が設定されている。選定の候補となる各リソースは、当該リソースの放電可能時間に対応する区分に分類される。同一の区分に属する各リソースは放電可能時間が同一であるとみなされる。区分D、E、Fに分類された各リソースは、それぞれ放電可能時間が30分、1時間、1時間30分であるとみなされる。放電可能時間が30分未満のリソースは、区分D~Fのいずれにも該当しないため、選定の候補から除外される。この変形例では、区分の幅が、電力市場及びインバランスに係るコマの長さに合わせて、30分に設定されている。なお、この変形例では、区分の数を3つにしているが、区分の数は適宜変更可能である。
【0161】
S40Cにおけるリソース分類が完了すると、処理がS41に進む。そして、調整期間の長さがTh2以下である場合には(S41にてNO)、選定部612が、S42Aにおいて、選定候補の中から、区分D、E、Fの優先順位でリソースを選ぶ。すなわち、放電可能時間の短いリソースが優先的に選ばれる。他方、調整期間がTh2よりも長い場合には(S41にてYES)、選定部612が、S43Aにおいて、選定候補の中から、区分F、E、Dの優先順位でリソースを選ぶ。すなわち、放電可能時間の長いリソースが優先的に選ばれる。
【0162】
選定部612は、S42A又はS43Aの処理により、選定されたリソースによって調整される電力量の合計が目標放電電力量(S40B)に近づくようにリソースを選ぶ。到達の有無は、S44において判断される。そして、S44においてYESと判断されると、
図18に示す一連の処理が終了する。
【0163】
以下、
図19を用いて、上記変形例に係る電力調整方法における、放電要求に対するリソース選定について説明する。
【0164】
図19は、第7及び第8のケースの各々において、
図18に示した変形例に係る方法により放電要求に対するリソース選定を行なった結果を示す図である。第7及び第8のケースは、それぞれ基本的には前述した第3及び第4のケースと同じである。ただし、選定候補となるリソースを、
図19中の表T5に示す6つのリソースとする。リソースD1及びD2は区分Dに属し、リソースE1及びE2は区分Eに属し、リソースF1及びF2は区分Fに属する。
図19中の表T5に示す区分D~Fは、
図18中の表T4に示す区分D~Fと同じである。
図19中の放電要求Rq31、Rq32及びRq41~Rq44は、
図13及び
図14中の放電要求Rq31、Rq32及びRq41~Rq44と同じである。
【0165】
図19を参照して、上記変形例に係る方法(
図18参照)では、第1放電要求に対するリソース選定においては、区分D、E、Fの優先順位でリソースが選ばれ、第2放電要求に対するリソース選定においては、区分F、E、Dの優先順位でリソースが選ばれる。
【0166】
第7のケースでは、放電要求Rq31が第1放電要求に該当し、放電要求Rq32が第2放電要求に該当する。このため、放電要求Rq31の調整期間に対してはリソースD1のみが割り当てられる。その後、放電要求Rq32の調整期間に対してリソースF1及びF2が割り当てられる。
【0167】
第8のケースでは、放電要求Rq41~Rq43の各々が第1放電要求に該当し、放電要求Rq44が第2放電要求に該当する。このため、放電要求Rq41の調整期間に対してはリソースD1のみが割り当てられ、放電要求Rq42の調整期間に対してはリソースD2のみが割り当てられ、放電要求Rq43の調整期間に対してはリソースE1のみが割り当てられる。そして、放電要求Rq44の調整期間に対してはリソースF1及びF2が割り当てられる。
【0168】
上記変形例に係る方法におけるリソース交替(詳しくは、調整期間の途中でのリソース交替)の回数は、第7のケース及び第8のケースのいずれにおいても1回である。このように、上記変形例に係る方法によれば、リソース交替の回数を減らしやすくなる。
【0169】
サーバ600は、1つのリソースだけで必要な調整力(放電電力)を賄うことができない場合には、同一の期間に複数のリソースを割り当てて複数のリソースに同時に放電を行なわせることによって必要な調整力(放電電力)を確保してもよい。
図20は、同一の期間において複数のリソースに同時に放電を行なわせる例を示す図である。
図20中のリソースD1,D2,E1,E2,F1,F2は、基本的には
図19中の表T5に示すものと同じである。ただし、リソースF2の最大放電電力は必要調整力に満たないものとする。
【0170】
図20を参照して、この例では、放電要求Rq31の調整期間においてリソースD1及びD2に同時に放電を行なわせることで、必要調整力(目標放電電力)を確保している。また、放電要求Rq32の調整期間の後半においては、リソースF2の放電を継続しながら、リソースE1、E2に順次放電を行なわせている。リソースF2とともにリソースE1又はE2が放電を行なうことで、必要調整力(目標放電電力)が確保される。なお、リソースの放電可能時間は、必要調整力(目標放電電力)のうち当該リソースに割り当てられた調整力を用いて算出されてもよい。
【0171】
上記実施の形態及び各変形例において、リソースによる電力調整がリモート制御で実行されることは必須ではない。選定されたリソースは、予めサーバから受け取った指令に基づくローカル制御で電力調整を実行してもよい。サーバ600は、落札された商品の調整期間において、選定されたリソースの異常の有無を監視し、リソースに異常が生じた場合に、正常な代替リソースをサーバ700に通知してもよい。
【0172】
電力管理システムの構成は、
図1に示した構成に限られない。サーバ700とサーバ600との間に他のサーバが設けられてもよい。サーバ600は、他のサーバを介してサーバ700と通信を行なってもよい。リソース群500とサーバ600との間に他のサーバが設けられてもよい。サーバ600は、他のサーバを介してリソース群500と通信を行なってもよい。上記実施の形態では、オンプレミスサーバ(サーバ600)が充電又は放電による電力調整をリソースに行なわせる。しかしこれに限られず、クラウドコンピューティングによってクラウド上にサーバ600の機能(特に、リソース管理に係る機能)が実装されてもよい。また、サーバ600の機能はモバイル端末に実装されてもよい。
【0173】
上記実施の形態では、リソース群500(管理対象)がxEV100及びESS200を含む。サーバ600は、電力系統PGに常時接続されているESS200を、電力系統PGの調整力として利用することができる。サーバ600は、EVSE310(充電設備)を介して電力系統PGと電気的に接続されたxEV100(車両)を、電力系統PGの調整力として利用することができる。しかしこれに限られず、リソース群500は、xEV100及びESS200の一方のみを含んでもよい。たとえば、サーバ600は、車両のみをリソースとして管理してもよい。
【0174】
電力系統PGは、電力会社が提供する大規模な交流グリッドに限られず、マイクログリッドであってもよいし、DC(直流)グリッドであってもよい。xEVの構成は、前述した構成(
図2参照)に限られない。xEVは、充放電器の代わりに充電器又は放電器を備えてもよい。サーバ600は、
図7に示した処理と
図8に示した処理とのいずれか一方のみを実行するように構成されてもよい。BEV,PHEV以外のxEV(FCEV、レンジエクステンダーEVなど)がリソースとして採用されてもよい。
【0175】
xEVはソーラーパネルを備えてもよい。xEVは非接触充電可能に構成されてもよい。xEVは、自動運転可能に構成されてもよいし、飛行機能を備えてもよい。xEVは、乗用車に限られず、バス又はトラックであってもよい。xEVは、無人で走行可能な車両(たとえば、ロボタクシー、無人搬送車(AGV)、又は農業機械)であってもよい。xEVは、無人又は1人乗りの小型BEV(たとえば、マイクロパレット)であってもよい。リソースは、xEV以外の移動体(鉄道車両、船、飛行機、ドローン、歩行ロボット、ロボットクリーナ等)であってもよい。
【0176】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0177】
100 xEV、101 ECU、102 充電器、103 インレット、104 充放電リレー、110 BEV、120 PHEV、200 ESS、210 PCS、220 充放電リレー、310 EVSE、500 リソース群、600,700 サーバ、610 プロセッサ、611 リソース管理部、612 選定部、613 需給管理部、614 取引部、615 調整力算出部、620 記憶装置、630 通信装置、HMI 640、B1,B11,B12 バッテリ、B2 蓄電装置、PG 電力系統。