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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-14
(45)【発行日】2025-04-22
(54)【発明の名称】車両制御装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20250415BHJP
   B60W 50/10 20120101ALI20250415BHJP
   B60W 40/06 20120101ALI20250415BHJP
【FI】
G08G1/00 X
B60W50/10
B60W40/06
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021211567
(22)【出願日】2021-12-24
(65)【公開番号】P2023095590
(43)【公開日】2023-07-06
【審査請求日】2024-05-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺下 拓貴
(72)【発明者】
【氏名】千葉 寛也
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-148968(JP,A)
【文献】特開2020-163901(JP,A)
【文献】特開2017-207907(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 1/16
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサおよびディスプレイを備え、
前記プロセッサは、
周辺車両の情報を取得し、
前記周辺車両の情報に基づいて、自車両の追従先の候補となる候補車両を検出し、
前記候補車両が、前記自車両が走行する車線からの車線変更禁止区間を走行していない場合にのみ、前記候補車両に追従して隊列走行に移行するか否かの確認画面を前記ディスプレイに表示させ
前記車線変更禁止区間を走行していた前記候補車両が、前記車線変更禁止区間から抜けた場合、その時点で前記確認画面を前記ディスプレイに表示させる
車両制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自車線に隣接する隣接車線が車線変更可能な車線であるか否かを表示部に表示させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6829739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば隊列走行の追従先の候補となる車両が、車線変更禁止区間を走行しているか否かに応じて、隊列走行の許可を求める表示を制御することができる技術が求められている。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、隊列走行の追従先の候補となる車両が、車線変更禁止区間を走行しているか否かに応じて、隊列走行の許可を求める表示を制御することができる車両制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る車両制御装置は、プロセッサおよびディスプレイを備え、前記プロセッサが、周辺車両の情報を取得し、前記周辺車両の情報に基づいて、自車両の追従先の候補となる候補車両を検出し、前記候補車両が、前記自車両が走行する車線からの車線変更禁止区間を走行していない場合にのみ、前記候補車両に追従して隊列走行に移行するか否かの確認画面を前記ディスプレイに表示させる。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、隊列走行の追従先の候補となる車両が、車線変更禁止区間を走行しているか否かに応じて、隊列走行の許可を求める表示を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る車両制御装置を実現する車両の構成を示すブロック図である。
図2図2は、実施形態に係る車両制御装置において、隊列走行における候補車両の検出方法を説明するための図である。
図3図3は、実施形態に係る車両制御装置において、隊列走行確認画面の一例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る車両制御装置において、検出した候補車両が車線変更禁止区間を走行している場合の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る車両制御装置が実行する車両制御方法の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施形態に係る車両制御装置について、図面を参照しながら説明する。なお、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
車両制御装置は、車両1(以下、「自車両」とも表記する)を制御して隊列走行をさせるためのものである。この車両制御装置は、例えば車両1の機能によって実現される。また、「隊列走行」とは、例えば燃費、電費を低減させる効果を得るために、先行する他の車両の後方に追従して走行を行うことを示している。
【0011】
車両1としては、例えばエンジン車、ハイブリッド車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)、プライグインハイブリッド車(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、燃料電池車(FCEV:Fuel Cell Electric Vehicle)、電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)等が挙げられる。また、車両1は、手動運転車両であってもよく、あるいは自動運転車両であってもよい。
【0012】
車両1は、図2に示すように、制御部11と、通信部12と、記憶部13と、センサ群14と、表示部15と、を備えている。
【0013】
制御部11は、具体的には、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等からなるマイクロコンピュータを主要構成部品とした電子制御装置(Electronic Control Unit:ECU)であり、各種プログラムを実行する。制御部11は、各種プログラムを実行することにより、車両1に搭載される各種構成要素の動作を統括的に制御する。また、制御部11は、各種プログラムの実行を通じて、周辺情報取得部111、候補車両検出部112および隊列走行移行部113として機能する。
【0014】
周辺情報取得部111は、自車両の周辺の車両に関する情報(以下、「周辺車両情報」という)を取得する。周辺情報取得部111が取得する周辺車両情報には、センサ群14を通じて検出する情報が含まれる。このセンサ群14によって検出する情報としては、例えば周辺車両の画像、周辺車両の位置情報、周辺車両の車速等が挙げられる。
【0015】
なお、周辺車両情報には、車車間通信によって取得する情報が含まれてもよい。この車車間通信によって取得する情報としては、例えば周辺車両の隊列走行のオンオフに関する情報、当該周辺車両の隊列走行の設定車速に関する情報、当該周辺車両の車速(現在の車速)に関する情報等が挙げられる。
【0016】
候補車両検出部112は、隊列走行を行う際の追従先の候補となる車両(以下、「候補車両」という)を検出する。候補車両検出部112は、例えば周辺車両情報に含まれる、自車両の前方の画像、自車両の前方の車両の位置情報等を解析することにより、例えば図2に示すように、自車両の前方を走行する候補車両100を検出する。
【0017】
隊列走行移行部113は、候補車両検出部112によって候補車両100が検出された場合に、所定条件下で自車両を隊列走行に移行させる。隊列走行移行部113は、例えば以下のような手順により、自車両を隊列走行に移行させる。
【0018】
候補車両検出部112によって候補車両100が検出された場合、隊列走行移行部113は、当該候補車両100が車線変更禁止区間を走行中であるか否かを判定する。なお、「車線変更禁止区間」とは、例えば図2に示すように、黄色い実線の区画線Lによって区画された区間、または標識等によって車線変更が禁止された区間のことを示している。
【0019】
候補車両100が車線変更禁止区間を走行中であるか否かは、候補車両100の検出の場合と同様に、センサ群14のセンサデータを用いて判定することができる。また、車線変更禁止区間は、例えば車両1に搭載されたナビゲーションシステムから予め情報を取得してもよく、センサ群14のセンサデータ(例えば区画線L、標識の画像)に基づいて検出してもよい。
【0020】
例えば図2に示すように、候補車両100が車線変更禁止区間を走行していない場合、隊列走行移行部113は、図3に示すように、候補車両100に追従するか否かの確認画面である隊列走行確認画面200を、表示部15に表示させる。この隊列走行確認画面200には、例えば同図に示すような隊列走行への移行の可否をユーザに問い合わせるメッセージと、承認ボタン201と、不承認ボタン202とが含まれる。
【0021】
そして、ユーザが隊列走行を承認した場合、すなわちユーザによって隊列走行確認画面200の承認ボタン201が押された場合、隊列走行移行部113は、自車両を隊列走行に移行させる。なお、ユーザが隊列走行への移行を承認する方法としては、隊列走行確認画面200を通じた方法以外に、例えば車室内に設けられた隊列走行の承認ボタンをユーザが押下する方法、車室内に設けられたマイクまたはタッチパネル等を通じて、ユーザが隊列走行への移行を指示する方法等を用いてもよい。
【0022】
一方、例えば図4に示すように、候補車両100が車線変更禁止区間を走行している場合、隊列走行移行部113は、隊列走行確認画面200を表示部15に表示させず、隊列走行への移行を行わない。このように、候補車両100が車線変更禁止区間を走行していない場合にのみ、隊列走行確認画面200を表示部15に表示させることにより、自車両が車線変更禁止区間で車線変更を行うリスクを減少させることができる。
【0023】
なお、隊列走行移行部113は、図4に示すように、車線変更禁止区間を走行していた候補車両100が、当該車線変更禁止区間から抜けた場合、その時点で隊列走行確認画面200を表示部15に表示させてもよい。このように、候補車両100が車線変更禁止区間から抜けたタイミングで隊列走行確認画面200を表示部15に表示させることにより、自車両をスムーズに隊列走行へと移行させることができる。
【0024】
通信部12は、例えばDCM(Data Communication Module)等から構成される。通信部12は、有線または無線のネットワークに接続し、周辺車両と通信を行うことにより、周辺車両情報を取得する。このネットワークは、例えばインターネット回線網、携帯電話回線網等から構成される。
【0025】
記憶部13は、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)およびリムーバブルメディア等の記録媒体から構成される。リムーバブルメディアとしては、例えばUSB(Universal Serial Bus)メモリ、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)のようなディスク記録媒体が挙げられる。記憶部13には、オペレーティングシステム(Operating System:OS)、各種プログラム、各種テーブル、各種データベース等が格納可能である。
【0026】
記憶部13には、例えば周辺車両から取得した周辺車両情報、センサ群14によって検出したセンサデータ等が、必要に応じて格納される。
【0027】
センサ群14は、隊列走行の候補車両100を検出するためのものである。このセンサ群14としては、例えばカメラ、ミリ波センサ、赤外線センサ、レーザセンサ、3D-LiDAR等が挙げられる。また、センサ群14には、自車両の位置を検出するGPSセンサ、加速度を検出する加速度センサ、車速を検出する車速センサ等が含まれてもよい。
【0028】
表示部15は、車両1のユーザ(例えばドライバ等)に所定の情報を出力するためのものである。この表示部15は、車室内において、ユーザが視認可能な位置に設けられている。また、表示部15は、カーナビゲーション装置、マルチインフォメーションディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ等により実現される。
【0029】
また、表示部15は、例えばユーザが所持する携帯情報端末(例えばスマートフォン、タブレット端末等)により実現されたもよい。また、また、表示部15は、情報の出力機能に加えて、ユーザからの指示を入力可能なマイク、タッチパネル等の入力機能を備えていてもよい。
【0030】
表示部15は、例えば候補車両検出部112によって検出された候補車両100に関する情報(例えば候補車両100の画像や位置に関する情報)、隊列走行移行部113によって生成された隊列走行確認画面200、等を表示する。
【0031】
(車両制御方法)
実施形態に係る車両制御装置が実行する車両制御方法の処理手順について、図5を参照しながら説明する。なお、以下で説明する処理は、予め定めた制御周期で実行される。
【0032】
まず、周辺情報取得部111は、通信部12およびセンサ群14を通じて、周辺車両情報を取得する(ステップS1)。続いて、候補車両検出部112は、周辺車両情報に基づいて、候補車両100を検出する(ステップS2)。
【0033】
続いて、隊列走行移行部113は、候補車両100が車線変更禁止区間を走行中であるか否かを判定する(ステップS3)。候補車両100が車線変更禁止区間を走行中ではない場合(ステップS3でNo)、隊列走行移行部113は、隊列走行確認画面200(図3参照)を表示部15に表示させる(ステップS4)。
【0034】
続いて、隊列走行移行部113は、ユーザが隊列走行を承認したか否かを判定する(ステップS5)。ステップS5では、例えば隊列走行確認画面200において、ユーザによって承認ボタン201が押された場合に肯定判定を行い、ユーザによって不承認ボタン202が押された場合に否定判定を行う。
【0035】
ユーザが隊列走行を承認したと判定した場合(ステップS5でYes)、隊列走行移行部113は、自車両を隊列走行に移行させ(ステップS6)、本処理を完了する。なお、ステップS3において、候補車両100が車線変更禁止区間を走行中であると場合(ステップS3でYes)、ステップS3の判定に戻る。また、ステップS5において、ユーザが隊列走行を承認していないと判定した場合(ステップS5でNo)、隊列走行移行部113は、本処理を完了する。
【0036】
以上説明した実施形態に係る車両制御装置によれば、隊列走行の追従先の候補となる候補車両100が、車線変更禁止区間を走行しているか否かに応じて、隊列走行の許可を求める表示を制御することができる。すなわち、車両制御装置によれば、候補車両100が車線変更禁止区間を走行していない場合にのみ、隊列走行確認画面200を表示部15に表示させることにより、自車両が車線変更禁止区間で車線変更を行うリスクが減少する。
【0037】
更なる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、以上のように表わし、かつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。従って、添付のクレームおよびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【0038】
また、実施形態に係る車両制御装置では、周辺車両情報に基づいて、隊列走行に移行するか否かに関する判定を行っていたが、AI(人工知能)を利用してこの判定を行ってもよい。この場合、周辺車両情報を入力パラメータとし、隊列走行に移行するか否かの判定結果を出力パラメータとして、機械学習により予測モデル(学習済モデル)を構築する。そして、図5のステップS3の判定において、当該予測モデルを用いて判定を行う。これにより、隊列走行に関する判定をより高精度に行うことができる。
【0039】
また、実施形態では、車両制御装置を車両1の機能によって実現する場合を想定して説明を行ったが、車両1と通信可能な別のサーバによって車両制御装置を実現してもよい。この場合、周辺情報取得部111、候補車両検出部112および隊列走行移行部113に対応する機能を、当該サーバに持たせ、車両制御を実施することができる。これにより、車両1側の演算負荷を低減させることができる。
【符号の説明】
【0040】
1 車両
11 制御部
111 周辺情報取得部
112 候補車両検出部
113 隊列走行移行部
12 通信部
13 記憶部
14 センサ群
15 表示部
100 候補車両
200 隊列走行確認画面
201 承認ボタン
202 不承認ボタン
L 区画線
図1
図2
図3
図4
図5