(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-14
(45)【発行日】2025-04-22
(54)【発明の名称】アスコルビン酸及び/又はその塩を含有する外用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/67 20060101AFI20250415BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20250415BHJP
A61K 8/64 20060101ALI20250415BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20250415BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20250415BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20250415BHJP
【FI】
A61K8/67
A61K8/44
A61K8/64
A61K8/34
A61K8/86
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2021528175
(86)(22)【出願日】2020-06-12
(86)【国際出願番号】 JP2020023206
(87)【国際公開番号】W WO2020262041
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-05-16
(31)【優先権主張番号】P 2019117544
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北岡 侑
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0319060(US,A1)
【文献】特開平06-336412(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0121693(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0268633(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110448471(CN,A)
【文献】特開平07-252114(JP,A)
【文献】特開2015-030689(JP,A)
【文献】特開2016-027035(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61K 31/00-31/327
A61K 31/33-33/44
A61P 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アスコルビン酸又はその塩;
(B)第一級アミン又は第二級アミンである
α-アミノ酸
(ただし、α-アミノ酸がシステインの場合を除く。)、アミノ酸残基数10以下のペプチド、及びそれらの塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上;
(C)1,3-プロパンジオール、プロピレングリコール、エトキシジグリコール、及びポリエチレングリコールからなる群より選ばれる1種又は2種以上;並びに
(D)水
を含有し、
前記(C)成分の含有量が、25質量%以上69.9質量%以下であり、
前記(A)成分の総含有量1質量部に対して
前記(C)成分の総含有量が0.5~25質量部である、外用組成物。(ただし、前記外用組成物が、以下(i)
から(iii)の場合を除く;
(i)鉄黒と不飽和脂肪酸と陰イオン系界面活性剤と水溶性有機溶剤と水とアスコルビン酸およびアルギニンとから少なくともなる液状化粧料;
(ii)4-アルキルレゾルシノ-ル及び/又はそれらの塩を含有する皮膚外用剤
;
(iii)鉄黒を含有する、液状化粧料。)
【請求項2】
(B)成分が、グリシン、セリン、スレオニン、アラニン、バリン
、メチオニン、シトルリン、アルギニン、リジン、ヒスチジン、オルニチン、アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン、4-ヒドロキシプロリン、N-メチルグリシン、N-アセチルセリン、N-アセチルシステイン、グルタチオン、テトラペプチド-5及びそれらの塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上である、請求項
1に記載の外用組成物。
【請求項3】
(A)成分の含有量が、1~50質量%である、請求項1
又は2に記載の外用組成物。
【請求項4】
(B)成分の含有量が、0.0001~1質量%である、請求項1~
3のいずれか一項に記載の外用組成物。
【請求項5】
(A)成分の総含有量1質量部に対して(D)成分が、0.01~20質量部である、請求項1~
4のいずれか一項に記載の外用組成物。
【請求項6】
さらに低級アルコール、ブチレングリコール又はそれらの組み合わせを含有する、請求項1~
5のいずれか一項に記載の外用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスコルビン酸及び/又はその塩を含有する外用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アスコルビン酸は、第一級アミン又は第二級アミンであるアミノ酸や低分子のペプチドと化学反応し、褐色物質(メラノイジン)を生成して着色することが知られている。この反応は、アミノカルボニル反応又はメイラード反応と呼ばれる。そのため、アスコルビン酸又はその塩と、第一級アミン又は第二級アミンであるアミノ酸や低分子ペプチドとの相性が悪いことが知られている。
【0003】
そこで外用組成物においては、アスコルビン酸とそのようなアミノ酸又は低分子ペプチドを組み合わせることを避けるか、アスコルビン酸に代えてメイラード反応を起こしにくいアスコルビン酸誘導体を使用するのが通常である。そのようなアスコルビン酸誘導体として、例えば特許文献1には、アスコルビン酸2-グルコシドが見出されたことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、アスコルビン酸又はその塩と、第一級アミン又は第二級アミンであるアミノ酸又は低分子ペプチドとを含有しながら、保存時の着色が抑えられた外用組成物を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討した結果、(A)アスコルビン酸又はその塩、(B)第一級アミン又は第二級アミンであるアミノ酸、アミノ酸残基数10以下のペプチド、及びこれらの塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上に、(C)1,3-プロパンジオール、プロピレングリコール、エトキシジグリコール、及びポリエチレングリコールからなる群より選ばれる1種又は2種以上、を加えることによって、(A)成分と(B)成分による経時的な着色が抑えられた外用組成物が得られることを見出し、本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の外用組成物を提供する。
項1.
(A)アスコルビン酸又はその塩;
(B)第一級アミン又は第二級アミンであるアミノ酸、アミノ酸残基数10以下のペプチド、及びそれらの塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上;
(C)1,3-プロパンジオール、プロピレングリコール、エトキシジグリコール、及びポリエチレングリコールからなる群より選ばれる1種又は2種以上;並びに
(D)水
を含有する、外用組成物。
項2.
(B)成分が、第一級アミン又は第二級アミンであるα-アミノ酸、アミノ酸残基数10以下のペプチド、及びそれらの塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上である、項1に記載の外用組成物。
項3.
(B)成分が、グリシン、セリン、スレオニン、アラニン、バリン、システイン、メチオニン、シトルリン、アルギニン、リジン、ヒスチジン、オルニチン、アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン、4-ヒドロキシプロリン、N-メチルグリシン、N-アセチルセリン、N-アセチルシステイン、グルタチオン、テトラペプチド-5及びそれらの塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上である、項1又は2に記載の外用組成物。
項4.
(A)成分の含有量が、1~50質量%である、項1~3のいずれか一項に記載の外用組成物。
項5.
(B)成分の含有量が、0.0001~1質量%である、項1~4のいずれか一項に記載の外用組成物。
項6.
(C)成分の含有量が、25質量%以上である、項1~5のいずれか一項に記載の外用組成物。
項7.
(A)成分の総含有量1質量部に対して(D)成分が、0.01~20質量部である、項1~6のいずれか一項に記載の外用組成物。
項8.
さらに低級アルコール、ブチレングリコール又はそれらの組み合わせを含有する、項1~7のいずれか一項に記載の外用組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明の外用組成物は、経時的な着色が抑えられ、安定性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において、含有量の単位「質量%」は、「g/100g」と同義である。
【0010】
本発明の外用組成物は、(A)アスコルビン酸又はその塩、(B)第一級アミン又は第二級アミンであるアミノ酸、アミノ酸残基数10以下のペプチド、及びこれらの塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上、(C)1,3-プロパンジオール、プロピレングリコール、エトキシジグリコール、及びポリエチレングリコールからなる群より選ばれる1種又は2種以上、並びに(D)水を含有する。
【0011】
[(A)アスコルビン酸又はその塩]
本発明において、医薬品、医薬部外品又は化粧品分野において皮膚外用剤の成分として市販されているアスコルビン酸を使用することができ、これらは通常L体のものを指す。
【0012】
アスコルビン酸の塩も使用できる。ここで、アスコルビン酸の塩とは、薬学上許容される塩である。限定はされないが、例えば、有機塩基との塩(例えば、トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、モノエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ピリジン塩などの第三級アミンとの塩、アルギニンなどの塩基性アンモニウム塩など)、無機塩基との塩(例えば、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩など)などが挙げられる。特に好ましいアスコルビン酸の塩は、ナトリウム塩、カリウム塩である。具体的には、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸マグネシウム、アスコルビン酸カルシウムなどが挙げられる。中でもアスコルビン酸の塩としては、アスコルビン酸ナトリウムが好ましい。
【0013】
本発明の(A)成分として、アスコルビン酸及びその塩からなる群より選ばれる、1種単独で、又は2種以上の化合物を組み合わせて使用できる。
【0014】
本発明の外用組成物の全量に対する(A)成分の総含有量は、他の成分とのバランスによって適宜設定される。外用組成物の全量に対して、(A)成分の総含有量は、特に限定されないが、美白、抗炎症、抗老化、抗酸化等の機能を付与する観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上である。
外用組成物の全量に対して、(A)成分の総含有量は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
外用組成物の全量に対して、(A)成分の総含有量は、好ましくは1~50質量%、より好ましくは3~40質量%、更に好ましくは5~30質量%である。
【0015】
[(B)第一級アミン又は第二級アミンであるアミノ酸、アミノ酸残基数10以下のペプチド、及びこれらの塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上]
本発明の(B)成分に用いられる、第一級アミン又は第二級アミンであるアミノ酸、及びアミノ酸残基数10以下のペプチドは、いずれも第一級アミノ基(-NH2)、第二級アミノ基(>NH)、又はこれら両方の基を含む。本発明には、アミノ酸、アミノ酸残基数10以下のペプチド、及びこれらの塩からなる群より選ばれる化合物を、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】
本発明の(B)成分に用いられるアミノ酸は、医薬品、医薬部外品又は化粧品分野において皮膚外用剤の成分として用いられるものであれば特に限定されない。アミノ酸としては、特に限定されず、α-アミノ酸、β-アミノ酸、γ-アミノ酸、δ-アミノ酸等、又はこれらの塩が挙げられ、中でもα-アミノ酸又はその塩が好ましい。
【0017】
本発明の(B)成分のα-アミノ酸としては、特に限定されないが、L体が好ましい。α-アミノ酸としては、例えば、グリシン、セリン、スレオニン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、シトルリン、アザセリン、シスタチオニン、ホモシステイン、S-アデノシルホモシステイン、S-アデノシルメチオニン、ε-N-アセチルリジン、プロリン、4-ヒドロキシプロリン、N-メチルグリシン、N-アセチルセリン、N-アセチルシステイン等の中性アミノ酸;アルギニン、リジン、ヒスチジン、オルニチン、ω-N-メチルアルギニン、ε-N,N,N-トリメチルリジン、5-ヒドロキシリジン、3-メチルヒスチジン等の塩基性アミノ酸及びその塩;アスパラギン酸、グルタミン酸、γ-カルボキシグルタミン酸、O-ホスホセリン等の酸性アミノ酸及びその塩が挙げられる。中でも、本発明の(B)成分に用いられるα-アミノ酸としては、水に対する溶解性の観点から、グリシン、セリン、スレオニン、アラニン、バリン、システイン、メチオニン、シトルリン、アルギニン、リジン、ヒスチジン、オルニチン、アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン、4-ヒドロキシプロリン、N-メチルグリシン、N-アセチルセリン、N-アセチルシステイン及びそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上が好ましく;グリシン、セリン、スレオニン、アラニン、バリン、システイン、メチオニン、アルギニン、リジン、ヒスチジン、4-ヒドロキシプロリン、N-メチルグリシン、N-アセチルセリン、N-アセチルシステイン及びそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上がより好ましく;グリシン、セリン、スレオニン、N-アセチルシステイン、アルギニン、リジン、4-ヒドロキシプロリン、N-アセチルシステイン及びそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上が更に好ましく;グリシン、セリン、アルギニン、N-アセチルシステイン及びそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上が特に好ましい。
【0018】
ペプチドとは、モノマーであるアミノ酸がアミド結合(ペプチド結合)によって縮合したポリマーである。本発明の(B)成分のペプチドはアミノ酸残基数(モノマー単位数)が10以下である。アミノ酸残基数は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、好ましくは8以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは4以下、特に好ましくは2又は3である。
【0019】
このようなペプチドとしては、化粧品、医薬部外品に配合される天然又は合成の公知のペプチドを使用することができる。本発明の(B)成分のペプチドとしては、特に限定されないが、具体的には、ジペプチド類(ジペプチド-4等);トリペプチド類(グルタチオン、トリペプチド-3等);テトラペプチド類;(テトラペプチド-5等);オリゴペプチド類(オリゴペプチド-6、デカペプチド-2等);マメ科植物タンパク加水分解物(加水分解ダイズタンパク);シルクタンパク分解物;真珠タンパク分解物;コラーゲン加水分解物(水溶性コラーゲン)、低分子コラーゲン、コラーゲンペプチド、加水分解コラーゲン、加水分解エラスチン、アテロコラーゲン、サクシニルアテロコラーゲン等のコラーゲン誘導体;化学修飾(アセチル化、パルミトイル化、ミリストイル化、ニコチノイル化、ウルソロイル化、アゼラオイル化、ビオチン化等)を含むペプチド、又はこれらの塩等が挙げられる。中でも(B)成分のペプチドとしては、グルタチオン、テトラペプチド-5及びそれらの塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上を少なくとも含有することがより好ましく、グルタチオン又はその塩が更に好ましい。
【0020】
本発明の外用組成物において、外用組成物の全量に対する(B)成分の総含有量は、好ましくは0.0001質量%以上、より好ましくは0.0005質量%以上、更に好ましくは0.001質量%以上である。
外用組成物の全量に対する(B)成分の総含有量は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは0.8質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下である。
本発明の外用組成物の全量に対する(B)成分の総含有量は、好ましくは0.0001~1質量%、より好ましくは0.0005~0.8質量%、更に好ましくは0.001~0.5質量%である。
【0021】
[(C)1,3-プロパンジオール、プロピレングリコール、エトキシジグリコール、及びポリエチレングリコールからなる群より選ばれる1種又は2種以上]
1,3-プロパンジオールは、CAS番号が504-63-2の化合物である。
プロピレングリコールは、1,2-プロパンジオールの別名であり、CAS番号が57-55-6の化合物である。
エトキシジグリコールは、ジエチレングリコールモノエチルエーテルとも呼ばれ、CAS番号が111-90-0の化合物である。
【0022】
本発明に用いられるポリエチレングリコール(PEG)は、好ましくは、重合度4以上のものであり、基剤などとして通常医薬品、医薬部外品、化粧品において用いられるものである。本発明では、比較的低分子のポリエチレングリコールが好ましく用いられる。限定はされないが、具体的には、平均分子量150~1000程度のポリエチレングリコールが好ましく、さらに、170~800程度のポリエチレングリコールがより好ましい。このようなポリエチレングリコールとしては、具体的には、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール500、ポリエチレングリコール600、ポリエチレングリコール700、ポリエチレングリコール800等が例示できる。これらには市販品が存在するので、それら市販品を入手して使用することもできる。市販品としては、具体的には、日油株式会社が販売する、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール600、三洋化成工業株式会社のポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール600などが例示される。
【0023】
ここで、平均分子量は、例えば、日本国における「医薬部外品原料規格2006」のポリエチレングリコールの項に記載の平均分子量試験に準じて、求めることができる。
【0024】
<平均分子量が190~210のポリエチレングリコールの平均分子量測定方法>
ポリエチレングリコール約0.8gを精密に量り、約200mLの耐圧共栓瓶に入れ、ピリジン約25mLを加え、加温して溶かし放冷する。別に無水フタル酸42gを取り、新たに蒸留したピリジン300mLを正確に量って入れた1Lの遮光した共栓瓶に加え、強く振り混ぜて溶かした後、16時間以上放置する。この液25mLを正確に量り、先の耐圧共栓瓶に加え密栓し、丈夫な布でこれを包み、あらかじめ98℃±2℃に加熱した水浴中に入れる。この際、瓶の中の液が水浴の液の中に浸るようにする。98℃±2℃で30分間加熱した後、室温になるまで放冷する。次に、0.5mol/L水酸化ナトリウム溶液50mLを正確に加え、この液につき、0.5mol/L水酸化ナトリウム溶液で滴定する。このときの指示薬はフェノールフタレイン・ピリジン溶液(1→100)を5滴用いる。ただし、滴定の終点は、液が15秒間持続する淡赤色を呈するときとする。同様の方法で空試験を行う。
得られた値を下記式にあてはめ、平均分子量を算出する。
平均分子量=[試料の量(g)×4000]/(a-b)
a:空試験における0.5mol/L水酸化ナトリウム溶液の消費量(mL)
b:試料の試験における0.5mol/L水酸化ナトリウム溶液の消費量(mL)
【0025】
なお、平均分子量が190~210以外のポリエチレングリコールの場合でも、秤取量は適宜変更し得るが、それ以外は平均分子量が190~210のポリエチレングリコールの試験法に準ずる。
【0026】
これらのポリエチレングリコールは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0027】
本発明の外用組成物において、外用組成物の全量に対する(C)成分の総含有量は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、好ましくは25質量%以上、より好ましくは27質量%以上、更に好ましくは28質量%以上、特に好ましくは30質量%以上である。
外用組成物の全量に対する(C)成分の総含有量は、(A)成分の含有量により適宜調整し得るが、好ましくは75質量%以下であり、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは65質量%以下である。
本発明の外用組成物の全量に対する(C)成分の総含有量は、好ましくは25~75質量%、より好ましくは27~70質量%、更に好ましくは28~65質量%である。
【0028】
本発明の外用組成物において、(A)成分に対する(C)成分の総含有量の比率は特に限定されないが、(A)成分の総含有量1質量部に対して、好ましくは0.5~75質量部、より好ましくは0.75~50質量部、更に好ましくは1~25質量部である。
【0029】
[(D)水]
本発明の外用組成物は、水を含む液状組成物である。水の含有量は、限定はされないが、外用組成物の全量に対して、0.1質量%以上であることが好ましく、更に好ましくは、1質量%以上、更により好ましくは、1質量%超過(例えば3質量%以上)である。1質量%超過とは、限定はされないが、例えば、1.01質量%以上や1.1質量%以上等の値であり得る。このような少量の水を含むことにより、アスコルビン酸又はその塩の析出を抑制し、安定性にも優れる外用組成物とすることができる。
また、水の含有量は、外用組成物の全量に対して、例えば50質量%以下であり、好ましくは、40質量%以下、より好ましくは、35質量%以下である。
【0030】
本発明の外用組成物の全量に対する(D)成分の総含有量は、好ましくは、0.1~50質量%、より好ましくは1質量%超過~40質量%、更に好ましくは3~35質量%である。
【0031】
本発明の外用組成物において、(A)成分に対する(D)成分の含有量の比率は特に限定されないが、(A)成分の総含有量1質量部に対して、好ましくは0.01~20質量部、より好ましくは、0.05~15質量部、更に好ましくは、0.2~10質量部である。
【0032】
[pH]
本発明の外用組成物は、(A)成分の安定性、皮膚や粘膜に対する低刺激性、及び皮膚使用感の良さという観点から、好ましくはpH1.5~4.5、より好ましくはpH2~4の酸性領域である。
【0033】
[低級アルコール]
本発明の外用組成物は、使用感の向上、安定性及び経皮吸収の促進の観点から、本発明の効果を妨げない限り、上記(A)~(D)成分の他に、低級アルコールを含んでいてもよい。本発明において用いられる低級アルコールとしては、医薬品、医薬部外品又は化粧品分野において皮膚外用剤の成分として用いられるものであれば特に限定されない。本明細書において、「低級アルコール」というときは、炭素数1~6(C1-C6)のアルコールを指す。本発明の外用組成物は、そのうち、特に、C1-C3のアルコールを好ましく用いることができる。このような例として、中でもエタノールが好ましいが、他にも、メタノール、n-プロパノール、イソプロパノール等も用いることができる。
【0034】
本発明の外用組成物において、外用組成物の全量に対する低級アルコールの総含有量は、含まれる場合、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、更により好ましくは1質量%以上、特に好ましくは3質量%以上である。エタノールの含有量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、更により好ましくは35質量%以下である。
【0035】
本発明の外用組成物に含まれる低級アルコールの総含有量は、外用組成物の全量に対して、好ましくは0.01~50質量%、より好ましくは0.1~45質量%、更に好ましくは0.5~40質量%、更により好ましくは1~35質量%、特に好ましくは3~35質量%である。
【0036】
[ブチレングリコール]
本発明の外用組成物は、使用感の向上、安定性及び経皮吸収の促進の観点から、本発明の効果を妨げない限り、上記(A)~(D)成分の他に、ブチレングリコール(1,3-ブチレングリコール又は1,3-ブタンジオールとも呼ばれる)を含んでいてもよい。
【0037】
本発明の外用組成物において、外用組成物の全量に対するブチレングリコールの含有量は、含まれる場合、使用感の向上、安定性及び経皮吸収の促進の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上である。
ブチレングリコールの含有量は、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
【0038】
本発明の外用組成物におけるブチレングリコールの含有量は、好ましくは0.01~40質量%、より好ましくは0.1~35質量%、更に好ましくは0.3~30質量%である。
【0039】
[pH調整剤]
本発明の外用組成物は、使用感の向上、安定性及び経皮吸収の促進の観点から、本発明の効果を妨げない限り、上記(A)~(D)成分の他に、pH調整剤を含んでいてもよい。
【0040】
本発明に用いられるpH調整剤としては、医薬品、医薬部外品又は化粧品分野において皮膚外用剤の成分として通常用いられる化合物を使用することができる。特に限定はされないが、アミンを有するpH調整剤(例えば、アミノエチルスルホン酸又はその塩、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、L-カルニチン、低分子ベタイン(より好ましくはトリメチルグリシン))、有機酸塩(例えば、乳酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、グルコン酸カルシウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウムなど)、無機酸塩(例えば、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、リン酸ナトリウム、硝酸カリウム、ホウ酸ナトリウム、好ましくはピロ亜硫酸ナトリウム)、3-O-エチルアスコルビン酸又はその塩などが例示される。
【0041】
本発明の外用組成物において、外用組成物の全量に対する、pH調整剤の総含有量は特に限定されないが、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上である。外用組成物の全量に対して、pH調整剤の総含有量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。外用組成物の全量に対して、アミンを有するpH調整剤の含有量は、好ましくは0.01質量%~10質量%、より好ましくは0.05質量%~5質量%である。
【0042】
本発明の外用組成物において、(A)成分に対するpH調整剤の含有量の比率は特に限定されないが、(A)成分の総含有量1質量部に対して、0.00001~20質量部が好ましく、0.0001~20質量部がより好ましく、0.0005~10質量部が更に好ましく、0.005~5質量部が更により好ましく、0.01~1質量部が特に好ましい。
【0043】
[その他の成分]
本発明の外用組成物には、上記(A)~(D)成分の他に、さらに、アスコルビン酸が有する各種の作用を増強又は補足する目的で、また他の有用な作用を付加するため、美白成分、抗炎症成分、抗菌成分、細胞賦活化成分、収斂成分、抗酸化成分、ニキビ改善成分、老化防止成分、コラーゲン等の生体成分合成促進成分、血行促進成分、保湿成分、老化防止成分等の各種成分を1種又は2種以上組み合わせて配合することができる。
【0044】
本発明の外用組成物は、上記(A)~(D)成分の他に、さらに界面活性剤、可溶化成分、油脂類、糖類又は経皮吸収促進成分を配合することもできる。特に界面活性剤、可溶化成分又は油脂類を配合することによって、水性溶媒中におけるアスコルビン酸の安定性、有効性、使用感をより向上させることができる。
【0045】
本発明の外用組成物には、外観安定性や粘度等の品質を損なわず、また本発明の効果を損なわない量的及び質的範囲内で、必要に応じて医薬品、医薬部外品又は化粧品分野において外用剤の成分として一般的に用いられる各種の成分、例えば、刺激軽減剤、増粘剤、防腐剤、紫外線防御剤、着色剤、分散剤、追加のpH調整剤、香料等を配合することができる。なお、これらの成分は1種単独で、又は2種以上を任意に配合することができる。
【0046】
本発明の外用組成物は、上記(A)~(D)成分に、必要に応じて上記各任意成分を配合混合し、さらに必要に応じてその他の溶媒や通常使用される外用剤の基剤等を配合し、必要に応じてpH調整することによって、ペースト状、ムース状、ジェル状、液状、乳液状、クリーム状、シート状(基材担持)、エアゾール状、スプレー状などの各種所望の形態に調製することができる。これらは当業界の通常の方法にて製造することができる。
【0047】
本発明の外用組成物は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、アスコルビン酸及び/又はその塩を可溶化した、透明ないし半透明の組成物であることが特に好ましい。
ここで、「可溶化」とは、以下のように定義されるものである。すなわち、例えば、紫外可視吸光度測定法により、分光光度計又は光電光度計UV-2450(島津製作所製)を用いて波長700nmの透過率として、透過率が、80~100%、好ましくは85~100%、より好ましくは90~100%の範囲にあるものをさす。ここで水の透過率を100%とする。透過度測定方法は、より詳細には、第16改正日本薬局方[B]一般試験法 2.物理的試験法 分光学的測定法 2.24紫外可視吸光度測定法に記載の方法に準ずる。
また、「透明ないし半透明」とは、透明性の指標であるL値が85以上、好ましくは90以上であるものを指す。L値は、CIELAB表色系で用いられる明度のパラメータであり、例えば分光測色計CM-5(コニカミノルタ株式会社製)などの分光測色計等を用いて測定することができる。
【0048】
[粘度]
本発明の外用組成物は、特に皮膚に適用するために用いられる外用組成物の使用の際に望まれる適度な粘性を備えた組成物として調製することができる。本発明の外用組成物の粘度は、特に限定はされないが、例えば、E型粘度計を用いて25℃で測定した場合の粘度が通常1~300mPa・s程度、好ましくは1~200mPa・s程度、より好ましくは1~100mPa・s程度、更に好ましくは、1~50mPa・s程度である。粘度測定方法は、より詳細には、第16改正日本薬局方[B]一般試験法 2.物理的試験法 その他の物理的試験法 2.53 粘度測定法 2.第2法 回転粘度計法 2.1.3 円すい‐平板形回転粘度計(コーンプレート型粘度計)に記載の方法に準ずる。
【0049】
[用途]
本発明の外用組成物は、特には、美白剤、抗炎症剤、抗老化剤として用いることができ、例えば、にきび予防や治療、抗酸化の作用を有しうる。さらに、皮膚への適用により、皮膚の透明感が高まり、潤いが保持され、キメが整い、ざらつきを抑える効果が発揮される場合がある。さらには、毛穴を目立たなくさせる、整肌保湿などの効果が発揮される場合がある他、しみの予防や治療に用いることもできる。
【0050】
本発明の外用組成物は、例えば、美容液、化粧水、日焼け止めクリーム、乳液、クリーム、ローション、オイル及びパックなどの基礎化粧料;ファンデーション、口紅、リップクリーム、マスカラ、アイシャドウ、アイライナー、眉墨及び美爪料等のメーキャップ化粧料;洗顔料やクレンジング、ボディ洗浄料などの洗浄料;腋臭防止剤、水虫治療剤、鎮痒剤、創傷治癒剤、清拭剤、清浄剤、消炎鎮痛剤、にきび治療剤、痔疾用剤、殺菌消毒剤、美白剤、紫外線防御剤などの、化粧品、外用医薬品又は外用医薬部外品の分野に属する各種の外用組成物とすることができる。皮膚への作用効果から、本発明は皮膚外用剤(外皮用の製剤)等の外皮に適用される製品に使用されることが好ましい。
【0051】
本発明の外用組成物は、用途などに応じて1日あたり1回から数回に分けて、公知あるいは慣用されている用法・用量にて使用することができる。
【0052】
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の組成物を開示する。
[1]
(A)アスコルビン酸又はその塩;
(B)第一級アミン又は第二級アミンであるアミノ酸、アミノ酸残基数10以下のペプチド、及びそれらの塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上;
(C)1,3-プロパンジオール、プロピレングリコール、エトキシジグリコール、及びポリエチレングリコールからなる群より選ばれる1種又は2種以上;並びに (D)水
を含有する、外用組成物。
[2]
(B)成分が、第一級アミン又は第二級アミンであるα-アミノ酸、アミノ酸残基数10以下のペプチド、及びそれらの塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上である、[1]に記載の外用組成物。
[3]
(B)成分が、グリシン、セリン、スレオニン、アラニン、バリン、システイン、メチオニン、シトルリン、アルギニン、リジン、ヒスチジン、オルニチン、アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン、4-ヒドロキシプロリン、N-メチルグリシン、N-アセチルセリン、N-アセチルシステイン、グルタチオン、テトラペプチド-5及びそれらの塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上である、[1]又は[2]に記載の外用組成物。
[4]
(A)成分の含有量が、1~50質量%である、[1]~[3]のいずれか1に記載の外用組成物。
[5]
(B)成分の含有量が、0.0001~1質量%である、[1]~[4]のいずれか1に記載の外用組成物。
[6]
(C)成分の含有量が、25質量%以上である、[1]~[5]のいずれか1に記載の外用組成物。
[7]
(D)成分の含有量が、0.1~50質量%である、[1]~[6]のいずれか1に記載の外用組成物。
[8]
(A)成分の総含有量1質量部に対して(C)成分が、0.5~75質量部である、[1]~[7]のいずれか1に記載の外用組成物。
[9]
(A)成分の総含有量1質量部に対して(D)成分が、0.01~20質量部である、[1]~[8]のいずれか1に記載の外用組成物。
[10]
pHが、1.5~4.5である、[1]~[9]のいずれか1に記載の外用組成物。
[11]
さらに低級アルコール、ブチレングリコール又はそれらの組み合わせを含有する、[1]~[10]のいずれか1に記載の外用組成物。
[12]
低級アルコールの含有量が、0.01~50質量%である、[11]に記載の外用組成物。
[13]
ブチレングリコールの含有量が、0.01~40質量%である、[11]又は[12]に記載の外用組成物。
[14]
さらに、アミンを有するpH調整剤、有機酸塩、無機酸塩並びに3-O-エチルアスコルビン酸及びその塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上のpH調整剤を含有する、[1]~[13]のいずれか1に記載の外用組成物。
[15]
前記pH調整剤の含有量が、0.01~10質量%である、[14]に記載の外用組成物。
[16]
(A)成分の総含有量1質量部に対して前記pH調整剤が、0.00001~20質量部である、[14]又は[15]に記載の外用組成物。
[17]
ペースト状、ムース状、ジェル状、液状、乳液状、クリーム状、シート状、エアゾール状、又はスプレー状である、[1]~[16]のいずれか1に記載の外用組成物。
[18]
(A)成分が可溶化しており、透明ないし半透明である、[1]~[17]のいずれか1に記載の外用組成物。
[19]
25℃で測定される粘度が、1~300mPa・sである、[1]~[18]のいずれか1に記載の外用組成物。
【0053】
また上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の方法を開示する。
[20]
(A)アスコルビン酸又はその塩;
(B)第一級アミン又は第二級アミンであるアミノ酸、アミノ酸残基数10以下のペプチド、及びこれらの塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上;及び
(D)水に、
(C)1,3-プロパンジオール、プロピレングリコール、エトキシジグリコール、及びポリエチレングリコールからなる群より選ばれる1種又は2種以上
を含有させることを含む、外用組成物における継時的な着色を抑制する方法。
【実施例】
【0054】
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、表における各成分量の単位は、質量%である。
【0055】
[アスコルビン酸着色抑制確認試験]
本発明の実施例及び比較例について外用組成物の50℃での保管後の着色の抑制の有無の評価を行った。具体的には各種処方表記載の処方に従って、各種成分の混合溶液にアスコルビン酸を添加し、60℃にて10分間、加温・混合して溶解し、外用組成物を調製した。調製した外用組成物を透明ガラス瓶に充填し、遮光下にて50℃で1週間保温した。
【0056】
その後、各外用組成物の着色を、分光測色計CM-5(コニカミノルタ株式会社製)を用いて評価した。分光測色計による測定は、試験液1mLをガラスセル(CM-A97、厚さ2mm)に入れ、25℃にてCIELAB表色系におけるb値を測定した。測定値は、精製水をブランクとして得られるb値を用いた。50℃1週間保温の前後での色差の変化量Δbは下記の計算式により算出した。
(色差の変化量(Δb))=
(保温後の試験液の測定値(保温後のb値))-(保温前の試験液の測定値(保温前のb値))
b値は透明感を示す指標として利用されている。Δb値が小さいほど、着色が少ないことを意味する。また、対照のΔbを1と標準化したときの各サンプルのΔb(Δbの比)は、次のように求められる。
(Δbの比)=(各サンプルのΔb値)/(対照のΔb値)
サンプルのΔbの比が0.75以下であれば、対照に比べて着色が少ないことが明らかに目視できることがわかった。従って、それぞれの表において、対照となる比較例に対する外用組成物のΔbの比が0.75以下かどうかによって、着色の有無を判断することができる。
【0057】
[試験例1]
25質量%のアスコルビン酸と、0.01質量%のL-セリンを含有する処方として、表1に示す組成の実施例及び比較例の外用組成物を常法に従って調製した。
【0058】
実施例及び比較例の組成物のアスコルビン酸着色抑制確認試験の結果を合わせて表1に示す。表中のΔbの比は、比較例1-1を対照としたときのΔbの比を表す。
【0059】
【0060】
実施例の組成物はいずれもΔbの比の値が0.75以下であることから、アスコルビン酸とL-セリンを含有していても、保温処理後に、比較例1-1と比べて顕著に着色が抑制されていた。なお、比較例1-2は、アスコルビン酸が完全に溶解せず、調製が不可能であった。
【0061】
[試験例2~8]
表2及び3に示す組成の実施例及び比較例の外用組成物を常法に従って調製した。
【0062】
実施例及び比較例の組成物のアスコルビン酸着色抑制確認試験の結果を表2及び3に示す。表中のΔbの比は、実施例2-1~3に対しては比較例2、実施例3-1~3に対しては比較例3、実施例4-1~3に対しては比較例4、実施例5に対しては比較例5、実施例6-1~2に対しては比較例6、実施例7-1~4に対しては比較例7、実施例8に対しては比較例8を、それぞれ対照としたときのΔbの比を表す。
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
実施例2-1~3及び実施例3-1~3のΔbの比がいずれも0.75以下であったことから、アスコルビン酸の濃度が少ない条件でも、比較例よりも顕著に着色が抑制されることが示された。また、実施例4-1~3、実施例5、実施例6-1~2、実施例7-1~4、及び実施例8のように、L-セリンの代わりにL-アルギニン、グリシン、N-アセチル-L-システイン、グルタチオン、又はテトラペプチド-5(β-Ala-His-Ser-His)のいずれかを含有している場合であっても、保温処理を経ても、比較例と比べて顕著に着色が抑制されていた。
【0067】
[製剤例]
以下の表5及び表6の処方例1~28に基づいて、本発明の外用組成物(美容液)を調製した。表5及び表6の配合量はいずれも質量%で表される。
【0068】
【0069】