(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-14
(45)【発行日】2025-04-22
(54)【発明の名称】吸収性物品の流体管理層
(51)【国際特許分類】
A61F 13/53 20060101AFI20250415BHJP
A61F 13/534 20060101ALI20250415BHJP
【FI】
A61F13/53 300
A61F13/534
(21)【出願番号】P 2021557089
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(86)【国際出願番号】 US2020025126
(87)【国際公開番号】W WO2020205474
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-09-22
【審判番号】
【審判請求日】2023-08-02
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100198029
【氏名又は名称】綿貫 力
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド、エイ.ビアンズ
(72)【発明者】
【氏名】ジャクリーン、ハリス
(72)【発明者】
【氏名】カルロス、ドミンゴ、ナランホマルティン
(72)【発明者】
【氏名】アレハンドロ、ナバロ
【合議体】
【審判長】川俣 洋史
【審判官】山本 一
【審判官】濱本 禎広
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0098889(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0343523(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
坪量法により測定した場合
に40グラム/平方メートル(gsm)
~120gsmの坪量を有する、一体化され、カード処理された不織布を含む流体管理層であって、
前記流体管理層は
、吸収性繊維と
、剛化繊維と
、弾性繊維と、を含み、材料組成分析法により測定した場合に、前記吸収性繊維
が20重量%
~75重量%を含み、前記剛化繊維
が1重量%
~50重量%の2成分繊維を含み、前記弾性繊維
が10重量%
~50重量%を含み、
前記吸収性繊維は、綿、レーヨン若しくは再生セルロース、又はこれらの任意の組み合わせを含み、
前記剛化繊維は、2成分繊維を含み、
前記弾性繊維は、ポリプロピレン又はポリエチレンテレフタレートを含む熱可塑性繊維であり、
前記流体管理層は、第1の面と第2の面とを有し、SEM法によりセルロース繊維の量を測定した場合に、前記第1の面又は
前記第2の面に、他方に対してより多くの
量の
セルロース繊維が存在
し、
前記流体管理層は、前記流体管理層上に印刷された視覚信号を含み、
前記流体管理層は、不透明度方法により測定した場合に、48.5~70パーセントの不透明度パーセントを示す、流体管理層。
【請求項2】
前記剛化繊維は、繊維デシテックス法により測定した場合に、4~1
2のdtexを含む、請求項1に記載の流体管理層。
【請求項3】
前記流体管理層は、不透明度方法により測定した場合に
、50パーセント
~65パーセン
トの不透明度パーセントを示す、請求項1~2のいずれか一項に記載の流体管理層。
【請求項4】
前記第1の面の吸収性繊維と前記第2の面の吸収性繊維との比が
、5:1
~1.5:1であ
る、請求項1~3のいずれか一項に記載の流体管理層。
【請求項5】
前記第1の面の前記吸収性繊維は、前記第2の面の前記吸収性繊維とは異なるデシテックスを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の流体管理層。
【請求項6】
前記吸収性繊維と前記剛化繊維の重量パーセント比が
、3:1
~1.2:
1である、請求項1~5のいずれか一項に記載の流体管理層。
【請求項7】
前記吸収性繊維と前記弾性繊維の重量パーセント比が
、3:1
~1.3:
1である、請求項1~6のいずれか一項に記載の流体管理層。
【請求項8】
引張試験方法によって測定した場合のMD引張強度が
、19N
~50
Nである、請求項1~7のいずれか一項に記載の流体管理層。
【請求項9】
引張試験方法によって測定した場合のCD引張強度が
、5N
~15
Nである、請求項1~8のいずれか一項に記載の流体管理層。
【請求項10】
前記流体管理層が、20重量%
~75重量
%の吸収性繊維を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の流体管理層。
【請求項11】
前記流体管理層が
、10重量%
~50重量
%の弾性繊維を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の流体管理層。
【請求項12】
前記流体管理層が
、1重量%
~50重量
%の剛化繊維を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の流体管理層。
【請求項13】
前記流体管理層の前記第1の面の
吸収性繊維が、前記流体管理層の前記第2の面の
吸収性繊維よりも大きいデシテックスを有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の流体管理層。
【請求項14】
前記吸収性繊維の線密度が
、1.0dtex
~4dte
xである、請求項1~13のいずれか一項に記載の流体管理層。
【請求項15】
前記剛化繊維の線密度が
、1.7dtex
~12dte
xである、請求項1~14のいずれか一項に記載の流体管理層。
【請求項16】
前記弾性繊維の線密度が
、4dtex
~12dte
xである、請求項1~15のいずれか一項に記載の流体管理層。
【請求項17】
前記流体管理層が、スパンレース不織布を含む、請求項1~
16のいずれか一項に記載の流体管理層。
【請求項18】
トップシートと、バックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収性コアと、前記トップシートと前記吸収性コアとの間に配置された、請求項1~
17のいずれか一項に記載の流体管理層と、を備え、前記第2の面に
前記第1の面より
も多くの
量のセルロース繊維が存在し、前記第1の面が前記第2の面よりも前記トップシートの近くに位置する、成人失禁用物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的には、改善された性能特性を有する、カード処理されたステープル繊維不織布を有する使い捨て吸収性物品用の吸収性層に関する。
【背景技術】
【0002】
婦人衛生製品、テープ式おむつ、パンツ型おむつ、及び失禁用製品などの使い捨て吸収性物品は、着用者の身体からの流体を吸収するように設計されている。そのような使い捨て吸収性物品の使用者は、いくつかの懸念事項を有する。最大の懸念事項の1つは、吸収性物品からの排泄された流体の漏れに関連するものである。生理用パッド、おむつ、生理用ナプキン、及び失禁用パッドなどの製品からの漏れは、重要な懸念事項である。
【0003】
漏れの懸念事項に対処するために、多くの製造業者は、それぞれの製品漏れ容量に関して消費者に安心感を与える試みを行っている。製造業者によっては、これを行うための方法の組み合わせを選択する場合がある。例えば、吸収性物品が保持できる液体の体積を示すために、広告を利用することができる。また、製造業者によっては、吸収性物品の着用者対向面から視認される視覚信号を与える試みを始めている。
【0004】
これらの視覚信号は、通常は消費者に対して隠されている場合がある吸収性物品の特徴を強調するために利用することができる。例えば、吸収性物品内の吸収性システムの完全な広がりは、肉眼で容易に識別できない場合がある。しかしながら、視覚信号を与えることで適切な吸収能力が存在していることを消費者に納得させることができる。
【0005】
吸収性物品の着用者対向面から視認される視覚信号を設けることは、問題となり得る。例えば、視覚信号が吸収性物品のトップシート上に与えられる場合、摩擦落ちの問題が大きな懸念事項となる。具体的には、インクが着用者の皮膚の上に染み出し、これが消費者による物品の印象に悪影響を及ぼす可能性があるばかりでなく、吸収性物品及びその製造業者の悪い風評につながり得る。
【0006】
衣類対向面の下の層上に視覚信号を設けることは、それ自体の課題も有し得る。例えば、インクが堆積されるウェブは、インクブロースルーに耐えるのに十分な実質のあるものでなければならない。インクブロースルーは、インクがウェブを通過してキャリアベルト上に「吹き付ける」場合に生じる。このインクがベルトを汚染し、後続の吸収性物品のための視覚信号の品質劣化につながり得る。更に、インクが堆積されるウェブは、視覚信号がオンライン視覚システムと適切に位置合わせされるように十分に充実していなければならない。具体的には、印刷されたウェブの多孔度が高すぎる場合、オンライン視覚システムがウェブ内の開放領域を欠陥として処理し、それにより誤検出を誘発する可能性がある。これは、製造時間の減速ばかりでなく、収益の大きな損失につながり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、オンライン視覚システムの誤検出を回避し、インクブロースルーの可能性を低減する視覚信号を有する吸収性物品の製造が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の吸収性物品は、トップシートと、バックシートと、トップシートとバックシートとの間に配置された吸収性コアと、を含む。トップシートと吸収性コアとの間には流体管理層が配置される。視覚信号が流体管理層上に印刷され、視覚信号はトップシートを通して視認される。
【0009】
流体管理層は、複数の繊維を含むカード処理ステープルファイバー不織布材料を含む。複数の繊維の組み合わせは、視覚的信号を検査する視覚的システムからの誤検出の可能性を低減し、インクブロースルーの可能性を低減する。1つの特定の実施では、流体管理層は、約40グラム/平方メートル(gsm)~約120gsmの坪量を有する一体化されたカード処理不織布を含み、流体管理層は、複数の吸収性繊維と、複数の剛化繊維と、複数の弾性繊維と、を含み、吸収性繊維が約20重量%~約75重量%を構成し、剛化繊維が約10重量%~約40重量%の2成分繊維を含み、弾性繊維が約20重量%~約40重量%を構成し、流体管理層が第1の面と第2の面とを有し、第1の面又は第2の面には、他方に対してより多くの数の吸収性繊維が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本明細書は、本発明としてみなされる主題を詳細に示しかつ明確に特許請求する特許請求の範囲をもって完結するが、本発明は、以下の説明文を添付の図面と併せて読むことで更に深い理解がなされるものと考えられる。一部の図は、より明確に他の要素を示す目的のために、選択された要素を省略することによって簡略化されている場合がある。一部の図中のそのような要素の省略は、対応する書面による説明の中で明確に叙述されている場合を除き、例示的な実施形態のいずれかの中の特定要素の有無を必ずしも示すものではない。いずれの図面も必ずしも一定の縮尺に従っていない。
【
図1A】本開示に従って構成された使い捨て吸収性物品の概略図である。
【
図1B】
図1Aに示される使い捨て吸収性物品の吸収性システムの概略図である。
【
図2】本開示の流体管理層を構成するために用いることができるプロセスの概略図である。
【
図3】本開示に従って構成された流体管理層の概略立面図である。
【
図4】本開示による、例示的な吸収性システムを示す平面図である。
【
図5】本開示による、例示的な吸収性システムを示す立面図である。
【
図6】本開示による、別の例示的な吸収性システムを示す立面図である。
【
図7】本開示による、吸収性システムの概略断面図である。
【
図8】吸収性物品の染みの大きさの写真による比較を並べた描写である。
【
図9】吸収性物品の染みの大きさの写真による比較を並べた描写である。
【
図10】合成繊維及びビスコース繊維を示すSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書で使用する場合、以下の用語は後に指定される意味を有するものとする。
【0012】
「吸収性物品」は、液体物を吸収かつ/又は収容する着用可能デバイスを指し、より詳細には、着用者の身体に対して、又は近接して配置されて、身体から排出される様々な排出物を吸収し、かつ収容するデバイスを指す。吸収性物品としては、おむつ、トレーニングパンツ、成人用失禁用下着(例えば、ライナー、パッド、及びブリーフ)、及び/又は婦人衛生製品を挙げることができる。
【0013】
「長手」方向は、物品の最大直線寸法、典型的には物品の長手方向軸に平行に延びる方向であり、長手方向の45°以内の方向が含まれる。本明細書で使用する場合、物品又はその構成要素の「長さ」は、一般に物品若しくはその部品の、最大直線寸法の大きさ/距離を指し、又は典型的にはその長手方向軸の大きさ/距離を指す。
【0014】
「横」又は「横断」方向は、長手方向に直交する、即ち、物品の大部分及び長手方向軸と同一平面内にある方向であり、横断方向は横軸と平行である。本明細書で使用する場合、物品又はその構成要素の「幅」は、その物品又はその構成要素の長手方向に直交する、即ち、物品又はその構成要素の長さに直交する寸法の大きさ/距離を指し、典型的には物品又は構成要素の横軸に平行な寸法の距離/大きさを指す。
【0015】
「Z方向」は、長手方向及び横断方向の両方に直交する。
【0016】
本明細書で使用する場合、「機械方向(Machine Direction)」又は「MD」は、不織布作製機、及び/又は吸収性物品製品製造装置を通るカード処理されたステープル繊維不織布の流動に平行な方向を意味する。
【0017】
本明細書で使用する場合、「機械横方向(Cross Machine Direction)」又は「CD」は、カード処理されたステープル繊維不織布作製機、及び/又は吸収性物品製品製造装置の幅に平行で、機械方向に垂直な方向を意味する。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「一体化された」とは、不織布材料の繊維が正及び/又は負のZ方向(不織布材料の厚さの方向)に撚り合わされ、交絡され、及び/または押し込まれ/引き出された不織布材料の繊維を記述して使用される。不織布ウェブの繊維を一体化するためのいくつかの例示的なプロセスとしては、スパンレース法及びニードルパンチ法が挙げられる。スパンレース法は、複数の高圧水ジェットを使用して繊維を交絡させる。ニードルパンチ法は、繊維を押し込み、かつ/又は引き出すことで繊維を不織布中の他の繊維と交絡させるために針を使用する。この一体化の方式では、流体管理層中の繊維を互いに保持するための接着剤又は結合剤を必要としない。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「カード処理」は、本明細書に記載される流体管理層の構造的特徴を記述して使用される。カード処理不織布は、「ステープル長繊維」としても知られる、特定の長さに切断された繊維を用いる。ステープル長繊維は、任意の好適な長さであってよい。例えば、ステープル長繊維は、最大120mmの長さを有してもよく、又は10mm程度の短い長さを有してもよい。しかしながら、特定の繊維群がステープル長繊維、例えばビスコース繊維である場合、カード処理不織布中のビスコース繊維のそれぞれの長さは概ね同じ、すなわち、ステープル長である。更なるステープル繊維長の繊維タイプ、例えばポリプロピレン繊維が含まれる場合、カード処理不織布中のポリプロピレン繊維のそれぞれの長さも概ね同じであることは、特記に値する。しかし、ビスコースのステープル長とポリプロピレンのステープル長とは異なっていてもよい。
【0020】
これに対して、スパンボンド法又はメルトブローン法などによる連続フィラメントは、ステープル長繊維を生じない。代わりに、これらのフィラメントは不定長であり、ステープル繊維長の繊維に関して記載されるような特定の長さに切断されない。
【0021】
本明細書に開示されるようなカード処理された一体化不織布は、様々な使い捨て吸収性物品に使用され得るが、おむつ、婦人衛生製品、並びに生理用ナプキン及び失禁用パッドなどの失禁用製品において特に有用である。本開示の流体管理層は、視覚信号がその上に印刷される場合に特に有効である。例示的な吸収性物品の概略断面図を
図1Aに示す。
【0022】
本発明者らは、流体管理層が視覚信号を含む場合、不織布材料の不透明度が視覚システムにおける誤検出を誘発する可能性に影響することを見出した。更に、本発明者らは、不透明度は、印刷プロセス中のインクブロースルーの量とも相関していることを見出した。インクブロースルーは、印刷プロセス中に不織布材料を通過するインクの量である。一般に、インクブロースルーは、良い出来事として見られない。むしろ、インクブロースルーは、ウェブ処理装置を汚染し、インクが望ましくない場合がある後続のウェブ上に微量のインクを残す可能性がある。本開示の一体化されたカード処理不織布の不透明度について以下で更に詳細に説明する。
【0023】
図1A及び1Bを参照すると、本開示に従う吸収性物品10は、トップシート20、バックシート50、及びトップシート20とバックシート50との間に配置された吸収性コア40とを備えている。流体管理層30が、トップシート20とバックシート50との間、特定の場合では、トップシート20と吸収性コア40との間に配置される。吸収性物品は、着用者対向面60と反対側の衣類対向面62とを有している。着用者対向面60は主としてトップシート20からなり、衣類対向面62は主としてバックシート50からなる。さらなる構成要素が、衣類対向面60及び/又は衣類対向面62のいずれかに含まれてもよい。例えば、吸収性物品が失禁パッドである場合、吸収性物品10の長手方向軸Lに概ね平行に延在する一対のバリアカフが着用者対向面60の一部を形成してもよい。同様に、締結接着剤がバックシート50上に存在し、吸収性物品の衣類対向面62の一部を形成してもよい。
【0024】
流体管理層30は、横断方向軸Tに概ね平行に延在し得る互いに反対側の端縁部32A及び32Bを含んでいる。また、流体管理層30は、長手方向軸Lに概ね平行に延在し得る側縁部31A及び32Bを含んでいる。同様に、吸収性コア40は、横断方向軸Tに概ね平行に延在し得る互いに半谷側の端縁部42A及び42Bを含んでいる。また、吸収性コア40は、長手方向軸Lに概ね平行に延在する側縁部41A及び41Bを含んでもよい。
【0025】
図に示されるように、流体管理層30の端縁部32A及び32Bのそれぞれは、吸収性コア40の長手方向外側に配置することができる。しかしながら、これは必ずしも必要ではない。例えば、端縁部32A及び/又は32Bは、吸収性コア40と同一の広がりを有してもよく、あるいは端縁部32A及び/又は32Bは、吸収性コア40の端縁部42A及び/又は42Bの長手方向内側に配置されてもよい。
【0026】
同様に、側縁部31A及び/又は31Bは、吸収性コア40の側縁部41A及び/又は41Bの横断方向外側に配置することができる。あるいは、側縁部31A及び/又は31Bは、吸収性コア40の側縁部41A及び/又は41Bと同一の広がりを有してもよい。
【0027】
前述したように、流体管理層30は、一体化され、カード処理された不織布材料である。本開示の流体管理層30を形成するのに好適なカーディング及び一体化プロセスの概略図を
図2に示す。図に示されるように、複数のカーディングマシン210、220、及び230はそれぞれ、カード処理不織布ウェブ(例えば、それぞれ214、224、及び234)をそれぞれ形成することができ、カード処理不織布ウェブは、キャリアベルト240に移送される。カード処理不織布ウェブ214、224、及び234のそれぞれは、それぞれウェブシュート212、222、232を介してキャリアベルト240に供給することができる。カード処理不織布214がキャリアベルト240上に堆積された後、カード処理不織布224が、キャリアベルト240上の第1のカード処理不織布214上に堆積される点も特記に値する。同様に、第3のカード処理不織布ウェブ234は、キャリアベルト240上の第2のカード処理不織布224及び第1のカード処理不織布214上に堆積される。続いて、第1、第2、及び第3のカード処理不織布ウェブ214、224、及び234のそれぞれは、針及び/又は高圧水流のいずれかを利用して第1、第2、及び第3のカード処理不織布ウェブの繊維を交絡する一体化処理250に供給される。カーディング処理及び一体化処理はいずれも、当該技術分野では周知のものである。
【0028】
図2の概略図に示される構成により、流体管理層の様々な構成を実現することができる点は特記に値する。しかしながら、本開示の流体管理層は、流体の迅速な捕捉を可能とするような十分な開放度を有することが重要である。更に、迅速な流体捕捉のために、本開示の流体管理層は、吸収性コアへの良好な流体分配を確実とする必要がある。本発明者らは、流体管理層が吸収性コアへの流体分配に関してより効率的であるほど、トップシートを通して視認可能な染み強度及び/又は染みのサイズが小さくなることを見出した。残念ながら、流体管理層の開放度もまた、視覚システムが開放領域を視覚信号の欠陥として見る可能性があるため、問題を生じる場合がある。このことを考慮し、カード処理ウェブ、すなわち214,224、及び/又は234は互いに異なるものとすることができる。例えば、カード処理ウェブのうちの1つが、他とは異なる繊維ブレンドを含んでもよい。具体的には、第1のカード処理ウェブが吸収性物品の着用者対向面に最も近くに位置するものと仮定した場合、第1のカード処理ウェブ214の繊維の選択を、このウェブにより大きな開放度が伴うようなものとすることができる。第2のカード処理ウェブ224も同様に構成することができる。これに対して、第3のカード処理ウェブ234は、開放領域を欠陥として「見る」視覚システムによる誤検出の可能性を低減するように構成されてもよい。第3のカード処理ウェブ234は、誤検出の低減と組み合わせて、又は独立して、液体汚物を下層の吸収性コアに効果的に分配するように構成することができる。2つのカードの繊維組成が異なる場合、不織布は不均質と呼ばれる。すべてのカードが同じ繊維ブレンドを有する場合、不織布は均質と呼ばれる。
【0029】
第1のカード処理ウェブ214と第2のカード処理ウェブ224とが同じ繊維ブレンドを含む場合、本開示の流体管理層は、3つの代わりに2つのカードによって処理することができる。しかしながら、このような処理は、第3のカード処理ウェブ234の坪量よりもはるかに高い坪量を有する第1のカード層214の製造を遅らせる可能性がある。
【0030】
ここで
図1A~
図3を参照すると、第1のカード処理不織布214、第2のカード処理不織布224(任意選択的に、前述のとおり)、及び第3のカード処理不織布234が一体化されている。それらが一体化されると、少なくとも相当の労力及び時間を伴わずに手作業で分離することはできない。各カード処理不織布ウェブは、流体管理層30全体に層を形成する。各層は、より大きい流体分配層30に一体化された場合であっても、z方向に沿って層の少なくとも一部にわたってその固有の特性を維持することができる。流体管理層30は、トリクル/低流動条件について競合するトップシート20を通じて流体を「引き込む」毛管吸引を与える。流体管理層30はまた、分配機能を提供することで吸収性コア40を効率的に利用することによって噴出を封じ込めることができるだけでなく、吸収性コア40が流体を受容できるようになるまでの中間的な貯蔵を与えることができる。
【0031】
流体管理層30は、第1の表面300Aと反対側の第2の表面300Bとを有している。流体分配層30は、第1の表面300Aと第2の表面300Bとの間にZ方向に沿った2層以上の層を含んでいる。流体分配層30は、最大120グラム/平方メートル(gsm)の坪量、又は最大100gsmの坪量、又は約30gsm~約120gsmの範囲の坪量、又は約40gsm~約100gsmの範囲内、又は約45gsm~約70gsmの範囲内、又は約50gsm~約55gsmの範囲内の坪量を有してもよく、これらの範囲及びこれらの範囲により定義される任意の範囲内の任意の値を含む。1つの特定の例では、流体管理層30は、約50gsm~約75gsmの坪量を有することができる。
【0032】
流体管理層30は、0.6ミリメートル(mm)~1.5mmのキャリパを有することができ、これらの範囲及びこれらの範囲により定義される任意の範囲内の任意の値を含む。
【0033】
繊維が一体化されているため、流体管理層30は、安定化のために接着剤もラテックス結合剤も必要としない。更に、流体分配層のカード処理されたステープル繊維不織布は、所望の性能特性を与える好適な繊維タイプの組み合わせから製造することができる。例えば、流体管理層30は、剛化繊維、吸収性繊維、及び弾性繊維の組み合わせを含むことができる。
【0034】
一体化の安定化効果を高めるため、捲縮繊維を用いることができる。以下で更に詳細に述べるように、本開示の流体管理層は、吸収性繊維、剛化繊維、及び弾性繊維を含むことができる。これらの繊維のうちの1つ以上のものを、一体化に先立って捲縮することができる。例えば、合成繊維が用いられる場合、これらの繊維は、噛合する歯によってこれらの繊維を機械的に捲縮することができる。また、吸収性繊維に関しては、これらの繊維は、機械的に捲縮するか、及び/又は吸収性繊維の形成時に形成される厚さの変化によって化学的に誘発される捲縮を有してもよい。
【0035】
流体管理層30は全体として、約20重量%~約75重量%、約25重量%~約60重量%、約30重量%~約50重量%の吸収性繊維を含むことができ、具体的には、これらの範囲及びこれらの範囲により定義される任意の範囲内の任意の値を含む。1つの特定の例では、流体管理層30は、約40重量%~約50重量%の吸収性繊維を含むことができる。
【0036】
同様に、流体管理層30は全体として、約10重量%~約50重量%、約13重量%~約40重量%、約20重量%~約35重量%、約25重量%~約30重量%の弾性繊維を含んでよく、具体的には、これらの範囲及びこれらの範囲により定義される任意の範囲内のすべての値を記載する。1つの特定の例では、流体管理層30は、約26重量%~約33重量%の弾性繊維を含むことができる。
【0037】
また、流体管理層30は、約1重量%~約50重量%、約10重量%~約40重量%、又は約20重量%~約30重量%の剛化繊維を含んでよく、具体的には、これらの範囲及びこれらの範囲により定義される任意の範囲内のすべての値を記載する。1つの特定の例では、流体管理層30は、約20重量%~約30重量%の剛化繊維を含むことができる。
【0038】
流体管理層が成人用失禁物品に用いられるか又は月経用物品に用いられるかによらず、流体管理層が、トップシートからの液体汚物を捕捉し、トップシートが濡れていると感じられないように液体をトップシートから十分に遠くまで液体を引き込む能力が極めて重要である。本発明者らは、これを実現するうえで、トップシートに隣接する吸収性繊維がトップシートからの液体の引き込みを促進する一方で、吸収性繊維が多すぎると濡れた感じのするトップシートにつながり得ることを見出した。したがって、トップシートに最も近い層内の吸収性繊維の量は、極めて重要である。すなわち、第1のカード処理不織布ウェブ214及び/又は第2のカード処理不織布ウェブ224内の吸収性繊維が多すぎると、濡れた感じのするトップシートにつながり得る(第1のカード処理不織布214及び第2のカード処理不織布224が、第3のカード処理不織布234よりもトップシートの近くに位置するものと仮定する)。
【0039】
更に、より高い重量パーセントの吸収性繊維は、より粘稠な流体汚物(例えば、月経液)に対しては有益であり得るが、より高い重量パーセントの吸収性繊維の導入はまた、流体管理層の弾力性及び剛性に悪影響も及ぼし得る。また、吸収性繊維の重量%が低すぎると、より「濡れた感じ」のするトップシートとなり得るが、これは消費者の心情的に製品のマイナスの印象をもたらし得る。
【0040】
更に、本発明者らは、流体管理層は、トップシートに隣接して、迅速な流体捕捉を可能にするような十分な空隙容積を含み得ることを見出した。上記に述べたように、そのトレードオフは、この有益な空隙容積が、視覚信号を検査する視覚システムの誤検出も誘発し得る点である。一般に、特定の坪量について、より大きな直径の繊維は、より小さい直径の繊維と比較して、隣接する繊維間に、より大きな空隙容積を与えることができる。そのため、トップシートに近い層内の繊維の繊維径も極めて重要である。すなわち、第1のカード処理不織布214及び/又は第2のカード処理不織布224内の繊維の直径が小さすぎる場合、これは、迅速な流体捕捉のために作製される形成される空隙容積に負の影響を及ぼし得る(第1のカード処理不織布214及び第2のカード処理不織布224が、第3のカード処理不織布234よりもトップシート20の近くに位置しているものと仮定する)。これはまた、濡れた感じのするトップシートにもつながり得る。
【0041】
本発明者らが視覚システムの誤検出に関連付けた不透明度指標に対処するための多くの可能な方法が存在する。上述のように、より大きい繊維は、より小さい繊維よりも多くの空隙体積を形成し得る。また、より小さい繊維は、より大きい繊維よりも高い不透明度を生じ得る。しかしながら、流体管理層内のこれらのより小さい繊維の配置は、流体管理層の性能を高めるか、又は流体管理層の性能に悪影響を及ぼす可能性がある。例えば、トップシートに隣接するより小さい繊維の配置は、第1の層及び/又は第2の層内の重量パーセントに応じて、流体管理層の空隙容積を大幅に減少させ得る。
【0042】
上記を考慮し、本発明者らは、流体管理層内の各層の繊維タイプを慎重に選択しただけでなく、各繊維タイプの直径も慎重に選択した。個々の層の繊維タイプについては、以下で更に詳細に説明される。流体管理層の層内の繊維タイプに関する以下の考察は、第1のカード処理不織布ウェブ214が第3のカード処理不織布ウェブ234よりもトップシートに近くに位置するものと仮定している点は特記に値する。
【0043】
第1のカード処理不織布214(又は第1の層214)は、吸収性繊維、剛化繊維、及び弾性繊維を含むことができる。十分な空隙容積を実現するため、また、液体汚物がトップシートから適時に確実に除去されるようにするためには、第1の層214は、約10パーセント~約50パーセントを含み得る。より好ましくは、約12重量%~約40重量%、又は最も好ましくは約15重量%~約30重量%の吸収性繊維を含み、具体的には、これらの範囲及びこれらの範囲により定義される任意の範囲内のすべての値を記載する。1つの特定の例では、第1の層214は、約15重量%~約25重量%の吸収性繊維を含むことができる。
【0044】
第1の層214は、約20重量%~約75重量%、より好ましくは約30重量%~約60重量%、又は最も好ましくは約40重量%~約50重量%の弾性繊維を更に含むことができ、具体的には、これらの範囲及びこれらの範囲により定義される任意の範囲内の任意の値を含む。1つの特定の実施例では、第1の層214は、約40重量%~約50重量%の弾性繊維を含むことができる。
【0045】
第1の層214は、約20重量%~約75重量%、より好ましくは約25重量%~約60重量%、又は最も好ましくは約30重量%~約45重量%の剛化繊維を更に含むことができ、これらの範囲及びこれらの範囲により定義される任意の範囲内の任意の値を含む。1つの特定の実施例では、第1の層214は、約30重量%~約45重量%の剛化繊維を含むことができる。
【0046】
第2のカード処理不織布224(又は第2の層224)は、第1の層214と同様に、又は少なくとも第1の層に関して指定した範囲内で構成することができる。第2の層224のそのような構成は、ある程度製造を容易にすると考えられる。また、第2の層224は、任意選択的である点を想起されたい。しかしながら、第2の層224は、第1の層214よりもトップシート20からより遠くに配置されるため、空隙容積を若干下方に調整することができる。したがって、より小さい直径の繊維を第2の層224に用いることで、上記に述べた誤検出視覚システムの問題を克服する助けとなり得る。
【0047】
第3のカード処理不織布234(又は第3の層234)に関して、この層の構成は変化し得る。第3の層234が流体管理層30の第2の表面300Bの一部分を形成する場合、第3の層234は、視覚システムにおける視覚信号検出に伴う誤検出の可能性を低減するように構成することができる。更に、第3の層234は、第1の層214及び/又は第2の層224の空隙容積内にある流体を捕捉及び分配するのに十分な能力を有し得る。視覚システムによる視覚信号検出に伴う誤検出の可能性を低減するため、本発明者らは、より小さい直径の繊維を第3の層234に用いることができることを見出した。また、所望の捕捉及び分布特性を適切に与えるために、吸収性繊維を用いることができる。いくつかの形態では、第3の層234は、約50重量%~約100重量%、より好ましくは約60重量%~約90重量%、又は最も好ましくは約70重量%~約80重量%の吸収性繊維を含むことができ、具体的には、これらの範囲及びこれらの範囲により定義される任意の範囲内のすべての値を記載する。1つの特定の実施例では、第3の層234は、100パーセントの吸収性繊維を含んでもよい。
【0048】
前述したように、本開示の流体管理層は、それらの対応する吸収性物品に、高い流体処理特性及び不透明度特性を与えることができる。キャリパ、弾力性、及び柔らかいクッションのような感触が目的である場合、剛化繊維の重量パーセントを、弾性繊維の重量パーセント以上とすることができる。吸収性繊維の重量パーセントは、弾性繊維及び/又は剛化繊維の重量パーセントよりも大きくすることができる。後者は、本開示の流体管理層が成人失禁用物品に用いられる場合に特に当てはまる。一般に、吸収性繊維のより高い重量パーセントは、迅速に流体汚物を吸収するのに有益であると考えられる。しかしながら、吸収性繊維がトップシートに近接している点を考慮すると、吸収性コアが吸収繊維を脱水することが有益である。吸収性繊維の割合がより大きい場合、通常、吸収性繊維を脱水するためにより大きなコアが必要とされる。これは一般的により高いコストにつながる。これを考慮し、本開示の流体管理層中の吸収性繊維と剛化繊維との重量パーセント比は、約3:1~約1.2:1、より好ましくは約2.5:1~約1.3:1、最も好ましくは約2:1~約1.4:1とすることができ、具体的には、これらの範囲及びこれらの範囲により定義される任意の範囲内のすべての値を記載する。同様に、本開示の流体管理層中の吸収性繊維と弾性繊維との重量パーセント比は、約3:1~約1.3:1、より好ましくは約2.75:1~約1.5:1、又は最も好ましくは約2.5:1~約1.6:1とすることができ、これらの範囲及びこれらの範囲により定義される任意の範囲内のすべての値を記載する。
【0049】
本開示の流体管理層は、不均質構造を含んでもよい。例えば、上記で述べたように、本開示の流体管理層は、流体管理層の一方の面に、反対側の面に対してより大きな割合のセルロースを含むことができる。したがって、第1の表面300Aは、セルロース繊維の定量化のためのSEM法に従って、反対側の第2の表面300Bよりも低い割合の吸収性繊維を含んでもよい。本開示の流体管理層は、第1の面と第2の面との(又はその逆)吸収性繊維の繊維比が、約5:1~約1.5:1、又はより好ましくは約4.5:1~約1.5:1、又は最も好ましくは約4:1~約1.5:1であってよい。
【0050】
第3の層234内の剛化繊維及び弾性繊維に関して、上記に述べたように、第3の層は、第1の層214及び第2の層224の空隙容積から流体を捕捉及び分配することができなければならない。したがって、剛化繊維又は弾性繊維のいずれかの量を慎重に検討する必要がある。前述したように、第3の層234では、剛化繊維及び弾性繊維も必要とされない(例えば0重量パーセント)。これを考慮し、第3の層は、0重量%~約30重量%、より好ましくは約0重量%~約25重量%、又は最も好ましくは約0重量%~約20重量%の剛化繊維及び/又は弾性繊維を含むことができ、これらの範囲及びこれらの範囲により定義される任意の範囲内のすべての値を記載する。
【0051】
引き続き
図1A~3を参照すると、吸収性繊維が用いられる場合、吸収性繊維の任意の好適な直径を用いることができる。好適な直径の目安は、線密度と関連付けることができる。第1の層214及び/又は第2の層224に関して、増加した空隙容積が望ましい場合があることから、より大きな線密度の値を用いることができる。例えば、第1の層214及び/又は第2の層224の吸収性繊維の線密度は、約1dtex~約4dtex、より好ましくは約1.0dtex~約3.7dtex、又は最も好ましくは約1.0dtex~約3.5dtexの範囲とすることができ、これらの範囲及びこれらの範囲により定義される任意の範囲内のすべての値を記載する。1つの特定の例では、吸収性繊維は、約1.7dtexのdtexを有することができる。
【0052】
しかしながら、第3の層234では、視覚信号の検出を助けるように線密度を減少させる必要がある場合がある。したがって、第3の層234の吸収性繊維の線密度は、約1dtex~約3dtex、より好ましくは約1.4dtex~約2.7dtex、又は最も好ましくは約1.7dtex~約2.0dtexとすることができ、具体的には、これらの範囲及びこれらの範囲により定義される任意の範囲内のすべての値を記載する。1つの特定の例では、第3の層234内の吸収性繊維は、約1.7のdtexを有することができる。
【0053】
様々な線密度を有する吸収性繊維を流体管理層内に有することが技術的に可能であるが、すべてのカーディング装置が層間/層間のそのような変動を扱うのに適してるわけではない。可能性としてありうる処理の問題を軽減するため、流体管理層の吸収性繊維は、すべての層全体にわたって同じ線密度を有してもよい。
【0054】
流体管理層の吸収性繊維は、任意の好適な形状を有し得る。いくつかの例としては、三葉形、「H」、「Y」、「X」、「T」、又は丸形が挙げられる。更に、吸収性繊維は、中実、中空、又は多重中空であってよい。本明細書に詳述されるカード処理されたステープル繊維不織布に用いるのに好適な多葉形吸収性繊維の他の例は、Wilkesらに付与された米国特許第6,333,108号、Wilkesらに付与された米国特許第5,634,914号、及びWilkesらに付与された米国特許第5,458,835号に開示されている。三葉形状は、ウィッキング性を向上させ、マスキング性を向上させることができる。好適な三葉形のレーヨンは、Kelheim Fibresから入手可能であり、Galaxyという商品名で販売されている。各層は、上述したように、異なる形状の吸収性繊維を含んでもよいが、すべてのカーディング装置が、層間/層間のそのような変動を扱うのに適しているわけではない。1つの特定の例では、流体管理層は、丸形の吸収性繊維を含む。
【0055】
任意の好適な吸収性繊維を用いることができる。いくつかの従来の吸収性繊維としては、綿、レーヨン、若しくは再生セルロース、又はこれらの組み合わせが挙げられる。1つの例では、流体管理層30は、ビスコースセルロース繊維を含むことができる。吸収性繊維は、ステープル長繊維を含んでもよい。吸収性繊維のステープル長は、約20mm~約100mm、又は約30mm~約50mm、又は約35mm~約45mmの範囲であってよく、具体的には、これらの範囲及びこれらの範囲により定義される任意の範囲内のすべての値を記載する。
【0056】
前述のように、吸収性繊維に加えて、流体管理層は、剛化繊維も含むことができる。剛化繊維を用いて、流体管理層に構造的一体性を与える助けとすることができる。剛化繊維は、機械方向及び機械横断方向に吸収性繊維の構造的一体性を高めるうえで役立ち、これにより、使い捨て吸収性物品に組み込むために流体管理層を処理する際のウェブの取り扱いを容易とし得る。それを考慮して、剛化繊維の構成材料、剛化繊維の重量%及び処理の熱は、慎重に選択されるべきである。熱剛化プロセスについては以下で述べる。
【0057】
任意の好適な剛化繊維を用いることができる。好適な剛化繊維のいくつかの例としては、ポリエチレン及びポリエチレンテレフタレート成分又はポリエチレンテレフタレート及びコポリエチレンテレフタレート成分を含む、2成分繊維が挙げられる。2成分繊維の構成成分は、コアシース配置、並列配置、偏心コアシース配置、三葉配置などで配置することができる。特定の一実施例では、剛化繊維は、ポリエチレンがシースである同心コアシース配置で配置されたポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート成分を有する2成分繊維を含み得る。別の例として、単成分繊維を用いることもでき、単成分の構成材料は、ポリプロピレン又はポリ乳酸(PLA)を含んでもよい。これらの成分、例えばポリプロピレン及びポリ乳酸は、2成分繊維に用いることもできる点は特記に値する。
【0058】
剛化繊維は、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、又は当該技術分野において既知の他の好適な非セルロース繊維であり得る。剛化繊維のステープル長は、約28mm~約100mmの範囲、又は約37mm~約50mmの範囲であり得る。いくつかのカード処理されたステープル繊維不織布は、約38mm~42mmのステープル長を有する。PET繊維は、任意の好適な構造又は形状を有し得る。例えば、PET繊維は、円形、又は螺旋形、波付きの楕円形、三葉形、波付きのリボン状、その他などの他の形状とすることができる。更に、PET繊維は、中実、中空又は多重中空とすることができる。カード処理されたステープル繊維不織布のいくつかの実施形態では、剛化繊維は、中空型/螺旋状PETから作製される繊維であり得る。任意に、剛化繊維は、螺旋捲縮又は平坦捲縮であり得る。剛化繊維は、約4~約12クリンプ/インチ(cpi)、又は約4~約8cpi、又は約5~約7cpi、又は約9~約10cpiの捲縮値を有し得る。剛化繊維の特定の非限定的な例は、Wellman, Inc. Irelandから、商標名H1311及びT5974で入手され得る。本明細書に詳述されるカード処理されたステープル繊維不織布に利用するのに好適な剛化繊維の他の例は、Schneiderらの米国特許第7,767,598号に開示されている。
【0059】
剛化繊維の他の好適な例としては、ポリエステル/共押出ポリエステル繊維が挙げられる。剛化繊維は、いわゆる2成分繊維であってもよく、個々の繊維は、異なる材料、通常は第1及び第2のポリマー材料から提供される。2つの材料は、化学的に異なり得る(したがって、繊維は化学的に不均質である)か、又は化学的に同一であるが、それらの物理的特性のみが異なり得る(したがって、繊維は化学的に均質である)。例えば、2つの材料の固有粘度は異なる場合があり、2成分繊維の捲縮挙動に影響を及ぼすことが見出されている。剛化繊維として好適である2成分繊維は、例えば国際公開第99/00098号に開示されているように、並列2成分繊維である。剛化繊維はまた、ポリエステル繊維との2成分繊維のブレンドであり得る。
【0060】
ポリプロピレン/ポリエチレン繊維組成物からなる二成分繊維の断面図を特に参照すると、軟化温度の高い材料は、繊維の中心部(即ち、コア)を提供することができる。コアは典型的に、二成分繊維が力を伝播する能力、及びある一定の硬度を有するか又は別の方法で構造体に弾性を提供する能力を担当する。繊維のコアの外塗り(即ち、鞘)は、より低い融点を有する可能性があり、この種の繊維を含む基材の熱接着を促進する目的に用いられる。一実施形態では、約50重量%の繊維材料がポリプロピレンであり約50重量%の繊維材料がポリエチレンである、ポリエチレンが外側にコーティングされたポリプロピレンコアが提供される。他の定量的分量も、勿論選択できる。例えば、二成分繊維は、ポリエチレンが約30重量%~約70重量%を占める組成を有することができ、ポリエチレンが約35重量%~約65重量%を占める組成を有することもできる。いくつかの実施形態では、二成分繊維は、ポリエチレンが約40重量%~約60重量%、又は約45重量%~約55重量%を占める組成を有することができる。
【0061】
別の好適な2成分剛化繊維は、螺旋捲縮される中心に中空の空間を有する円形断面の繊維である。断面積の10~15%が中空であることが好ましく、より好ましくは断面積の20~30%が中空である。理論に束縛されるものではないが、繊維の螺旋捲縮は、液体捕捉及び分配挙動に有益であると考えられる。螺旋捲縮は、そのような繊維によって形成される捕捉部材内の空隙空間を増加させると推定される。多くの場合、吸収性物品は、着用される際、着用者によって及ぼされる特定の圧力に曝され、捕捉部材内の空隙空間が減少する可能性がある。良好な透過性及び利用可能な十分な空隙空間を有することは、良好な液体分配及び移送に重要である。上記のような2成分螺旋捲縮繊維は、捕捉部材が圧力に曝されても十分な空隙容積を維持するのに好適であると更に考えられる。また、螺旋捲縮繊維は、所与の繊維デシテックス値に関して、良好な透過性を提供すると考えられ、中空型繊維の断面は、圧縮断面と比較して、繊維のより大きな外径を可能にする。繊維の外径は、そのような繊維によって形成される捕捉部材の透過性挙動を決定するように思われる。
【0062】
任意の好適な径の剛化繊維を第1の層214及び/又は第2の層224で用いることができる。剛化繊維の好適な線密度は、約1.7dtex~約12dtex、より好ましくは約4dtex~約10dtex、又は最も好ましくは約5dtex~約7dtexであってよく、具体的には、これらの範囲及びこれらの範囲により定義される任意の範囲内のすべての値を記載する。1つの特定の例では、失禁用物品の場合、剛化繊維は、5.5dtex~約5.8dtexのポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン繊維を含むことができる。
【0063】
第3の層234内の吸収性繊維と同様、第3の層234に含まれる剛化繊維は、第1及び/又は第2の層のものよりも低い線密度を有してもよい。第3の層234が剛化繊維を含む場合、線密度は、約0.9dtex~約6dtex、より好ましくは約1.3dtex~約3dtex、又は最も好ましくは約1.6dtex~約2.5dtexの範囲であってよく、具体的には、これらの範囲及びこれらの範囲により定義される任意の範囲内のすべての値を記載する。
【0064】
前述のように、流体管理層は、熱処理(熱剛化)されてもよい。この熱処理は、流体管理層30の剛化繊維間に結合点を形成することができる。そのため、剛化繊維の割合が高い場合には、より多くの結合点が形成され得る。結合点が多すぎる場合、はるかに剛性の高い流体管理層が与えられるが、これは快適性に負の影響を与え得る。したがって、剛化繊維の重量パーセントは、吸収性物品を設計する際に極めて重要である。
【0065】
熱剛化プロセスに関して、任意の好適な温度を利用することができる。また、好適な温度は、剛化繊維の構成成分の化学的性質によって、また、処理される流体管理層によって部分的に影響され得る。流体管理層は、132℃の温度で熱剛化することができる。流体管理層にわたって均一な剛性特性を与えるには、流体管理層のウェブに均一な加熱を与えるようにいずれかの加熱操作を設定する必要がある点も特記に値する。温度のわずかな変動であっても、流体管理層の引張強度に大きな影響を及ぼし得る。
【0066】
前述のように、本開示の流体管理層は、弾性繊維を更に含んでもよい。弾性繊維は、流体管理層がその透過性を維持する助けとなり得る。任意の好適な径の繊維を用いることができる。例えば、弾性繊維は、約4dtex~約12dtex、より好ましくは約6dtex~約11dtex、又は最も好ましくは約8dtex~約10dtexの線密度を有してよく、具体的には、これらの範囲及びこれらの範囲により定義される任意の範囲内のすべての値を記載する。1つの特定の例では、弾性繊維は、約6.7dtex~約10dtexの中空螺旋状ポリエチレンテレフタレート繊維の線密度を有することができる。
【0067】
より小さい繊維径が用いられる場合、流体管理層の弾性が低下することが予想される点は特記に値する。また、同じ重量%での径の減少に伴い、1グラム当たりの繊維数を多くすることで流体管理層の透過性の減少が補償されると考えられる。
【0068】
第3の層234内の吸収性繊維と同様、第3の層234に含まれる弾性繊維は、第1及び/又は第2の層のものよりも低い線密度を有してもよい。第3の層234が弾性繊維を含む場合、線密度は、約0.9dtex~約12dtex、より好ましくは約1.3dtex~約9dtex、又は最も好ましくは約1.6dtex~約6dtexの範囲であってよく、具体的には、これらの範囲及びこれらの範囲により定義される任意の範囲内のすべての値を記載する。
【0069】
弾性繊維は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート、又は当該技術分野では周知の他の好適な熱可塑性繊維などの任意の好適な熱可塑性繊維とすることができる。弾性繊維のステープル長は、約20mm~約100mm、又は約30mm~約50mm、又は約35mm~約45mmの範囲であってよい。熱可塑性繊維は、任意の好適な構造又は形状を有することができる。例えば、熱可塑性繊維は、円形であり得るか、又は螺旋形、波付きの楕円形、三葉形、波付きのリボン状、その他などの他の形状を有し得る。更に、PP繊維は、中実、中空型、又は多重中空型であり得る。弾性繊維は、中実かつ丸い形状であってよい。弾性繊維の他の好適な例としては、ポリエステル/共押出ポリエステル繊維が挙げられる。更に、弾性繊維の他の好適な例としては、ポリエチレン/ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン/ポリエチレンテレフタレートなどの2成分繊維が挙げられる。これらの2成分繊維は、鞘及びコアとして構成され得る。2成分繊維は、材料の坪量を増加させ、加えて細孔径分布の最適化を可能にするための、費用対効果が高い手段を提供し得る。
【0070】
剛化繊維及び弾性繊維を慎重に選択する必要がある点は特記に値する。例えば、剛化繊維及び弾性繊維の構成成分の化学的性質は同様であってもよいが、弾性繊維は、その構成材料の融点が剛化繊維の融点よりも高くなるように選択しなければならない。そうでない場合、熱処理中、弾性繊維が剛化繊維に結合し(またはその逆)、過度に剛性の構造が形成される可能性がある。
【0071】
複数の試料を作製し、それらの不透明度及びキャリパを評価するために試験した。不透明度は、特定の試料が、視覚信号を評価する視覚システムにおける誤検出の可能性を低減するかどうかに関して手がかりを与えると判定された。13個の異なる試料を不透明度について試験した。試料のそれぞれは、複数の層を含む、水流交絡され、カード処理されたステープル繊維不織布とした。
【0072】
試料の説明:
試料1:50gsmスパンレース:第1、第2、及び第3の層は均質であり、それぞれ、25パーセントの三葉形レーヨン(3.3dtex)、30パーセントのポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン2成分繊維(5.8dtex)、及び45パーセントの中空螺旋状のポリエチレンテレフタレート繊維(10dtex)を有する。試料1は、米国特許出願公開第2018/0098893号に更に詳細に記載されている。
【0073】
試料2:60gsmスパンレース:第1、第2、及び第3の層は均質であり、それぞれ、25パーセントの三葉形レーヨン(3.3dtex)、30パーセントのポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン2成分繊維(5.8dtex)、及び45パーセントの中空螺旋状のポリエチレンテレフタレート繊維(10dtex)を有する。試料2は、米国特許出願公開第2018/0098893号に更に詳細に記載されている。
【0074】
試料3:50gsmスパンレース:第1及び第2の層は均質であり、それぞれ、25パーセントの三葉形レーヨン(3.3dtex)、30パーセントのポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン2成分繊維(5.8dtex)、及び45パーセントの中空螺旋状のポリエチレンテレフタレート繊維(10dtex)を有する。第3の層は、100パーセントの三葉形レーヨン(3.3dtex)を有した。
【0075】
試料4:60gsmスパンレース:第1及び第2の層は均質であり、それぞれ、25パーセントの三葉形レーヨン(3.3dtex)、30パーセントのポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン2成分繊維(5.8dtex)、及び45パーセントの中空螺旋状のポリエチレンテレフタレート繊維(10dtex)を有する。第3の層は、100パーセントの三葉形レーヨン(3.3dtex)を有した。
【0076】
試料5:50gsmスパンレース:第1及び第2の層は均質であり、それぞれ、25パーセントの三葉形レーヨン(3.3dtex)、30パーセントのポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン2成分繊維(5.8dtex)、及び45パーセントの中空螺旋状のポリエチレンテレフタレート繊維(10dtex)を有する。第3の層は、100パーセントの丸形レーヨン(1.7dtex)を有した。
【0077】
試料6:60gsmスパンレース:第1及び第2の層は均質であり、それぞれ、25パーセントの三葉形レーヨン(3.3dtex)、30パーセントのポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン2成分繊維(5.8dtex)、及び45パーセントの中空螺旋状のポリエチレンテレフタレート繊維(10dtex)を有する。第3の層は、100パーセントの丸形レーヨン(1.7dtex)を有した。
【0078】
試料7:50gsmスパンレース:第1及び第2の層は均質であり、それぞれ、25パーセントの三葉形レーヨン(3.3dtex)、30パーセントのポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン2成分繊維(4.4dtex)、及び45パーセントの中空螺旋状のポリエチレンテレフタレート繊維(10dtex)を有する。第3の層は、100パーセントの丸形レーヨン(1.7dtex)を有した。
【0079】
試料8:60gsmスパンレース:第1及び第2の層は均質であり、それぞれ、25パーセントの三葉形レーヨン(3.3dtex)、30パーセントのポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン2成分繊維(4.4dtex)、及び45パーセントの中空螺旋状のポリエチレンテレフタレート繊維(10dtex)を有する。第3の層は、100パーセントの丸形レーヨン(1.7dtex)を有した。
【0080】
試料9:55gsmスパンレース:第1及び第2の層は均質であり、それぞれ、25パーセントの丸形ビスコースレーヨン(1.7dtex)、30パーセントのポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン2成分繊維(5.8dtex)、及び45パーセントの中空螺旋状のポリエチレンテレフタレート繊維(10dtex)を有する。第3の層は、100パーセントの丸形レーヨン(1.7dtex)を有した。
【0081】
試料10:110gsmスパンレース:第1及び第2の層は均質であり、それぞれ、20パーセントの丸形ビスコースレーヨン(1.7dtex)、40パーセントのポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン2成分繊維(5.8dtex)、及び40パーセントの中空螺旋状のポリエチレンテレフタレート繊維(10dtex)を有する。第3の層は、80パーセントのビスコースレーヨン(1.7dtex)及び20パーセントのポリエチレンテレフタレート中空螺旋状繊維(10dtex)を有した。
【0082】
試料11:75gsmスパンレース:第1及び第2の層は均質であり、それぞれ、20パーセントの丸形ビスコースレーヨン(1.7dtex)、40パーセントのポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン2成分繊維(5.8dtex)、及び40パーセントの中空螺旋状のポリエチレンテレフタレート繊維(10dtex)を有する。第3の層は、80パーセントのビスコースレーヨン(1.7dtex)及び20パーセントのポリエチレンテレフタレート中空螺旋状繊維(10dtex)を有した。
【0083】
試料12:45gsmスパンレース:この試料は2つのみの層を有する。第1の層は、20パーセントのビスコースレーヨン円形(1.7dtex)、40パーセントのポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン2成分繊維(5.8dtex)、及び40パーセントの中空螺旋状のポリエチレンテレフタレート繊維(10dtex)を有する。第2の層は、80パーセントのビスコースレーヨン(1.7dtex)及び20パーセントのポリエチレンテレフタレート中空螺旋状繊維(10dtex)を有した。
【0084】
試料13:50gsmスパンレース:この試料は2つのみの層を有する。第1の層は、20パーセントのビスコースレーヨン円形(1.7dtex)、40パーセントのポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン2成分繊維(5.8dtex)、及び40パーセントの中空螺旋状のポリエチレンテレフタレート繊維(10dtex)を有する。第2の層は、20パーセントの丸形ビスコースレーヨン(1.7dtex)、20パーセントのポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン2成分繊維(5.8dtex)、及び60パーセントのポリプロピレン繊維(1.3dtex)を有した。
【0085】
本発明者らは、視覚信号の視覚システム分析に伴う誤検出の可能性を低減するには、流体管理層は、少なくとも48.5パーセントの不透明度を有すればよいと判定した。表1は、上記の各試料の不透明度データを示す。
【0086】
【0087】
この場合もやはり、本発明者らは、少なくとも48.5パーセントの不透明度が、視覚信号を分析する視覚システム内の誤検出を防止するうえで有用であると判定した。表1に示すように、試料4~11及び13は、48.5パーセントを上回る平均不透明度の値を実現することができた。示されるように、本開示内の各試料は、48.5~約70パーセント、又はより好ましくは50パーセント~約65パーセント、又は最も好ましくは約55パーセント~約60パーセントの不透明度(%)を有することができる。
【0088】
本発明者らは、不透明度要件に加えて、ウェブの引張強度も重要な要因となり得ることも見出した。例えば、ウェブの引張強度がMD方向に約18ニュートン未満、及び/又はCD方向に約5ニュートン未満である場合に加工上の問題が生じ得る。例えば、ウェブ幅(CD方向)が80mm未満である場合、MD方向に18N超の引張強度及び/又はCD方向に5 Nを超える引張強度は、ウェブの取り扱いを容易にすることができる。ウェブの幅がより大きい場合、より低いMD及び/又はCD方向の引張強度は、加工中の確実なウェブの取り扱いを可能とするのに十分であり得る。より低いMD及び/又はCD方向の引張強度によって生じ得る問題の1つに、材料ロールの伸び出しがあり、ロールコアがロールの中心から外向きに伸び出す。これは、主要なウェブ取り扱い上の問題を引き起こし、費用及び時間の損失を生じる可能性がある。
【0089】
本開示に従って構成された流体管理層の引張強度(MD方向及びCD方向の両方)を表2に示す。また、従来の流体管理層のMD及びCD方向の引張強度も示す。これらの試料のキャリパも示される。なお、表2において、本開示に従って構成された試料は、試料9である。この従来の試料は75gsmであり、3つの均質な層を含んでいた。層のそれぞれは、35パーセントの三葉形ビスコースレーヨン(3.3dtex)、40パーセントポリプロピレン(6.7dtex)、及び25パーセントの中空螺旋状のポリエチレンテレフタレート(10dtex)を含んでいた。
【0090】
【0091】
したがって、本開示に従って構成された流体管理層では、MD方向の引張強度は、約19N~約50N、より好ましくは約20N~約40N、又は最も好ましくは約22N~約35Nであってよく、具体的にはこれらの範囲及びこれらの範囲により定義される任意の範囲内の任意の値を含む。同様に、CD方向の引張強度は、約5N~約15N、より好ましくは約6N~約12N、又は最も好ましくは約7N~約10Nであってよく、具体的にはこれらの範囲及びこれらの範囲により定義される任意の範囲内の任意の値を含む。
【0092】
更に本発明者らは、本開示の流体管理層は、月経用物品で使用される場合に、物品上の染みの大きさを低減することができ、かつ/又は物品上の染みの強度を低減することができることを期せずして見出した。これらの特性のそれぞれは、物品の着用者に多大な影響を有し得る。例えば、より強度の高い染み、例えば、赤味がより明るい染みほど、ユーザーは、液体が身体により近いと知覚する。同様に、染みが大きいほど、吸収性物品の容量に関するユーザーの懸念がより大きくなる。
【0093】
染みの大きさを測定するために、多数の試料を試験した。染みの大きさの評価のために撮影された写真において染みの強度を観察した。
【0094】
試料14:70gsmスパンレース:第1及び第2の層は均質であり、それぞれ、20パーセントの丸形ビスコースレーヨン(1.7dtex)、30パーセントのポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン2成分繊維(5.8dtex)、及び50パーセントのポリエチレンテレフタレート繊維(6.7dtex)を有する。第3の層は、80パーセントの丸形レーヨン(1.7dtex)及び20パーセントのポリエチレンテレフタレート(6.7dtex)を有した。
【0095】
試料15:55gsmスパンレース:3つの層にわたって均質なブレンドであって、それぞれが40パーセントのビスコースレーヨン(1.7dtex)、40パーセントのポリプロピレン/ポリエチレン(1.7dtex)、及び20パーセントのポリエチレンテレフタレート(4.4dtex)を有する。
【0096】
図8は、液体汚物が適用された婦人衛生パッドの写真1000を並べた比較を示す。婦人衛生パッドの試料810A、810B、及び810Cは、試料15の流体管理層を有するものとし、婦人衛生物品の試料820A、820B、及び820Cは、試料14の流体管理層を有するものとした。試料810A及び820Aのそれぞれは、フィルム/カード処理不織布積層体のトップシートと、163gsmの坪量を有するエアレイド吸収性コアとを有していた。試料810B及び820Bのそれぞれは、フィルム/スパンボンド不織布積層体のトップシートと、163gsmの坪量を有するエアレイド吸収性コアとを有していた。試料810C及び820Cのそれぞれは、フィルムトップシートと、163gsmの坪量を有するエアレイド吸収性コアとを有していた。
【0097】
示されるように、婦人衛生パッド820A、820B、及び/又は820Cは、染みの大きさの減少及び/又は染み強度の低下を示している。15°の傾斜での更なる試験は、同様の結果を示した。
【0098】
図9は、液体汚物が適用された婦人衛生パッドの写真1100を並べた比較を示す。各パッドは、液体汚物の適用中、15°の傾斜で配置した。婦人衛生パッドの試料910A、910B、及び910Cは、試料15の流体管理層を有するものとし、婦人衛生物品の試料920A、920B、及び920Cは、試料14の流体管理層を有するものとした。試料910A及び920Aのそれぞれは、フィルム/カード処理不織布積層体のトップシートと、163gsmの坪量を有するエアレイド吸収性コアとを有していた。試料910B及び920Bのそれぞれは、フィルム/スパンボンド不織布積層体のトップシートと、163gsmの坪量を有するエアレイド吸収性コアとを有していた。試料910C及び920Cのそれぞれは、フィルム/カード処理不織布のトップシートと、163gsmの坪量を有するエアレイド吸収性コアとを有していた。試料910C及び920Cのトップシートは、試料910A及び910Bのトップシートよりも大きい開放面積(孔による)を有していた(すなわち8パーセントと10パーセント)。本発明者らは、本開示に従って構成した更なる試料を作製した。
【0099】
試料16:75gsmスパンレース:第1及び第2の層は均質であり、それぞれ、20パーセントの丸形ビスコースレーヨン(1.7dtex)、30パーセントのポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン2成分繊維(5.8dtex)、及び50パーセントのポリエチレンテレフタレート繊維(6.7dtex)を有する。第3の層は、100パーセントの丸形ビスコースレーヨン(1.7dtex)を有した。
【0100】
試料14及び16は、試料15よりも高い坪量を有する。追加の坪量は、より嵩高かつクッション状の構造を与えるのに役立つ。これにより、消費者に柔軟性の効果を提供することができる。
【0101】
吸収性物品
再び
図1A及び1Bを参照すると、前述のように、本開示の使い捨て吸収性物品は、トップシート20及びバックシート50を含むことができる。それらの間には、流体管理層30及び吸収性コア40を挟み込むことができる。更なる層を、トップシート20とバックシート50との間に配置してもよい。
【0102】
トップシート20は、当該技術分野では周知のものなどの取り付け方法(図示せず)によって、バックシート50に接合することができる。トップシート20とバックシート50とは、物品の外周部において互いに直接接合されてもよく、それらを吸収性コア40、流体管理層30、及び/又はトップシート20とバックシート50との間に配置された更なる層に直接接合することによって、互いに間接的に接合されてもよい。この間接的又は直接接合は、当該技術分野において周知の取り付け方法によって実現することができる。
【0103】
トップシート20は、順応性で、柔らかな感触であり、着用者の皮膚に対して非刺激性であってもよい。好適なトップシート材料としては、着用者の身体に向かって方向付けられ、身体に接触して、流体がトップシートを通って着用者の皮膚に逆流することなく、身体の排泄物がそれを取って急速に浸透することを可能にする、透水性材料が挙げられる。トップシートは、トップシートを通る流体の迅速な移動を可能にできる一方、ローション組成物を、着用者の皮膚の外側部分又は内側部分上に移動又は移行させることもできる。
【0104】
好適なトップシート20は、織布材料及び不織布材料;有孔形成熱可塑性フィルム、有孔プラスチックフィルム、及び交絡繊維有孔フィルムを含む有孔フィルム材料;ハイドロフォーミングされた熱可塑性フィルム;多孔質発泡体;網状発泡体;網状熱可塑性フィルム;熱可塑性スクリム;又はこれらの組み合わせなどの様々な材料から作製されることができる。
【0105】
トップシートとして使用するのに好適な有孔フィルム材料としては、身体滲出物に対して非吸収性及び透過性であり、トップシートを通る流体の逆流を最小にするか又は排除する有孔のプラスチックフィルムが挙げられる。有孔及び非有孔形成フィルムを含む他の好適な形成フィルムの非限定例は、1975年12月30日にThompsonに発行された米国特許第3,929,135号、1982年4月13日にMullaneらに発行された、米国特許第4,324,246号、1982年8月3日にRadelらに発行された、米国特許第4,342,314号、1984年7月31日にAhrらに発行された、米国特許第4,463,045号、1991年4月9日にBairdに発行された、米国特許第5,006,394号、1986年9月2日にCurroらに発行された、米国特許第4,609,518号、及び1986年12月16日にCurroらに発行された、米国特許第4,629,643号においてより完全に記載されている。
【0106】
トップシートとして使用するのに好適な織布及び不織布材料の非限定例としては、天然繊維(例えば、100%オーガニックコットンを含む綿)、改質天然繊維、合成繊維、又はそれらの組み合わせから作製された繊維状材料が挙げられる。これらの繊維状材料は、親水性であっても疎水性であってもよいが、トップシートは疎水性であり又は疎水性になることが好ましい。親水性成分を含有するトップシートを作製する任意の既知の方法を用いて、任意選択としてトップシートの一部を親水性にすることができる。不織繊維トップシート20は、不織布ウェブを作製する任意の既知の手順により製造されてもよく、この非限定例としては、スパンボンディング、カーディング、ウェットレイド、エアレイド、メルトブローン、ニードルパンチング、機械交絡、熱機械交絡及び水流交絡が挙げられる。
【0107】
トップシート20は、有孔フィルムと不織布との組み合わせから形成することもできる。例えば、フィルムウェブと不織布ウェブとを、米国特許第9,700,463号に記載されるように組み合わせることができる。あるいは、フィルムは、不織布材料上に押出成形してもよく、これは、フィルム層と不織布材料との間の接触を強化すると考えられる。このような組み合わせの例示的なプロセスが、米国特許第9,849,602号及び同第9,700,463号に記載されている。
【0108】
バックシート50は、吸収性コア40の衣類対向面に隣接して配置することができ、当該技術分野において周知のものなどの取り付け方法(図示せず)によって吸収性コアの衣類対向面に接合することができる。例えば、バックシート50は、均一な連続層の接着剤、パターン層の接着剤、又は独立した線、螺旋若しくは点の配列の接着剤によって吸収性コア40に固定することができる。あるいは、取り付け方法は、熱接着、圧力接着、超音波接着、動的機械的接着、若しくは当該技術分野で既知の他の任意の好適な取り付け方法又はこれら取り付け方法の組み合わせの使用を含んでもよい。
【0109】
バックシート50は、液体(例えば、尿)に対して不透過性又は実質的に不透過性であってもよく、また、薄いプラスチックフィルムから製造されてもよいが、他の可撓性の液体不透過性材料を使用することもできる。本明細書で使用するとき、「可撓性」という用語は、順応性があり、人体の一般的な形状及び輪郭に容易に適合する材料を指す。バックシート207は、吸収性コア205中に吸収され収容された浸出物が、下着などの失禁用パッド10に接触する衣類を濡らすことを防ぐか、又は少なくとも抑制し得る。しかしながら、バックシート50は、蒸気を吸収性コア40から逃がすことができる(すなわち、通気性である)が、場合によりバックシート50は蒸気を逃がさない(すなわち、非通気性である)場合もある。したがって、バックシート50は、ポリエチレン又はポリプロピレンの熱可塑性フィルムなどのポリマーフィルムを含む場合がある。バックシート50に好適な材料は、例えば、約0.012mm(0.5mil)~約0.051mm(2.0mil)の厚さを有する熱可塑性フィルムである。当該技術分野において既知の任意の好適なバックシートが本発明と共に利用され得る。
【0110】
バックシート50は、その衣類の表面へと吸収性コア40を通過し得る任意の吸収された体液に対するバリアとして作用し、結果として下着又は他の衣類を汚す危険性を低減する。好ましい材料は、柔らかく滑らかで柔軟性のある、液体及び蒸気を通す材料であり、快適さのために柔らかさ及び共形性を提供し、低雑音であり、したがって動きによって望ましくない音が生じない。
【0111】
例示的なバックシートは、1999年3月23日発行の米国特許第5,885,265号(Osborn,III)、2002年10月8日発行の同6,462,251号(Cimini)、2003年9月23日発行の同6,623,464号(Bewick-Sonntag)、又は2003年12月16日発行の米国特許第6,664439号(Arndt)に記載されている。本明細書での使用に好適な二層又は多層バックシートとしては、米国特許第3,881,489号、同第4,341,216号、同第4,713,068号、同第4,818,600号、欧州特許第203821号、同第710471号、同第710472号、及び同第793952号に例示されているものが挙げられる。
【0112】
本明細書で使用する好適な通気性バックシートは、当技術分野で知られているすべての通気性のあるバックシートを含む。原則的に、2つのタイプの通気性バックシートがあり、通気性及び遮水性のある単層の通気性バックシートと、組み合わせると通気性と遮水性の両方を提供する少なくとも2つの層を有するバックシートとがある。本明細書で使用する好適な単層の通気性バックシートには、例えば英国特許第A2184389号、英国特許第A2184390号、英国特許第A2184391号、米国特許第4,591,523号、米国特許第3,989,867号、米国特許第3,156,242号、及び国際公開第97/24097号に記載されているものが含まれる。
【0113】
バックシートは、約20gsm~約50gsmの坪量を有する不織布ウェブであってもよい。一実施形態では、バックシートは、Fiberweb NeubergerからF102301001の名称で入手可能な4デニールポリプロピレン繊維の、比較的疎水性の23gsmスパンボンド不織布ウェブである。バックシートは、2002年8月20日に発行された米国特許第6,436,508号(Ciammaichella)に記載されるように、非水溶性の液体膨潤性材料でコーティングされていてもよい。
【0114】
バックシートは、衣類に面する側と、反対側の身体に面する側とを有する。バックシートの衣類に面する側は、非接着領域と接着領域とを含む。接着領域は、任意の従来の手段によって提供され得る。感圧性接着剤が、この目的に対して十分に機能することが一般に見出されてきた。
【0115】
本開示の吸収性コア40は、楕円形、ディスコ矩形(discorectangle)、矩形、非対称形状及び砂時計形を含むが、これらに限定されない任意の好適な形状を含み得る。例えば、本発明のいくつかの形態では、吸収性コア205は、輪郭ある形状、例えば中間区域が端部区域よりも狭い形状を含み得る。更に別の例としては、吸収性コアは、パッドの一方の端部区域により広い部分を有し、パッドのもう一方の端部のより狭い端部区域に向かって先細りになる、先細形状を含み得る。吸収性コア40は、MD及びCD方向に様々な剛度を有することができる。
【0116】
吸収性コア40の構成及び構造は変化してもよい(例えば、吸収性コア40は、変化するキャリパ領域、親水性勾配、超吸収性勾配又はより低い平均密度及びより低い平均坪量の捕捉ゾーンを有してもよい)。更に、吸収性コア40の寸法及び吸収能力も、様々な着用者に適応するように変更されてもよい。しかしながら、吸収性コア40の合計吸収能力は、使い捨て吸収性物品又は失禁用パッド10の設計負荷及び意図された用途に適合するべきである。
【0117】
本発明のいくつかの形態では、吸収性コア40は、第1及び第2の積層体の他に、複数の多機能層を含むことができる。例えば、吸収性コア40は、第1及び第2の積層体、並びに他の任意の層を包囲するのに有用なコアラップ(図示せず)を含むことができる。コアラップは、2つの不織布材料、基材、積層体、フィルム又はその他の材料によって形成され得る。一態様では、コアラップは、単一の材料、基材、積層体、又は少なくとも部分的にその周りが包まれたその他の材料のみを含み得る。
【0118】
本開示の吸収性コア40は、例えば、第1及び第2の積層体内にSAP又は他の吸収性材料を固定化するのを助けるために、1つ以上の接着剤を含むことができる。
【0119】
様々なコア設計による相対的に高い量のSAPを含む吸収性コアが、Goldmanらの米国特許第5,599,335号、Busamらの欧州特許第1,447,066号、Tanzerらの国際公開第95/11652号、Hundorfらの米国特許出願公開第2008/0312622(A1)号及びVan Malderenの国際公開第2012/052172号に開示されている。これらを使用して、超吸水性層を構成することができる。
【0120】
本開示のコアへの付加が想定される。特に、電流多積層体吸収性コアへの電位付加は、1986年9月9日にWeismanらに付与された「High-Density Absorbent Structures」という表題の米国特許第4,610,678号に記載されている。1987年6月16日にWeismanらに付与された「Absorbent Articles With Dual-Layered Cores」という表題の米国特許第4,673,402号、1989年12月19日にAngstadtに付与された「Absorbent Core Having A Dusting Layer」という表題の米国特許第4,888,231号及び1989年5月30日にAlemanyらに付与された「High Density Absorbent Members Having Lower Density and Lower Basis Weight Acquisition Zones」という表題の米国特許第4,834,735号に記載されている。吸収性コアは、1993年8月10日にAlemanyらに付与された「Absorbent Article With Elastic Waist Feature and Enhanced Absorbency」という表題の米国特許第5,234,423号及び米国特許第5,147,345号に詳説されるように、吸収剤貯蔵コア上に位置付けられた、化学的に剛性化された繊維の捕捉/分配コアを含有する二重コア系を模倣する追加の層を更に備えてもよい。これらは、本発明の吸収性コアの以下に記載される積層体のこれらの効果を打ち消さないか、又は競合しない程度に有用である。
【0121】
本開示の吸収性物品に使用することができる好適な吸収性コア40のいくつかの例が、米国特許出願公開第2018/0098893号及び同第2018/0098891号に記載されている。
【0122】
例示的な吸収性コアの構成を
図4~
図7に示す。
図4及び
図5は、本明細書に開示される流体管理層と組み合わせて用いることができる例示的な吸収性コアの1つの構成を示す。示されるように、吸収性コア40を見やすくするために、一次トップシート20及びバックシート50を取り除いたパッド10の平面図が示されている。
図5は、吸収性システム2005をより詳細に示す立面図を示す。
図4~7に示される形態では、吸収性コア40は、複数の層又は複数の吸収性コアを含むことができる。混乱を避けるため、
図4~
図7の吸収性コア40を吸収性システム400と称するものとする。
【0123】
引き続き
図4及び5を参照し、吸収性システム400は、第1の吸収性コア460及び第2の吸収性コア470を含むことができる。示されるように、第1の吸収性コア460は、第1の前縁部466と、第1の前縁部466の反対側の第1の後縁部467とを有している。同様に、第2の吸収性コア470は、第2の前縁部476と、第2の前縁部476の反対側の第2の後縁部477とを有している。
【0124】
第1の吸収性コア460は、第1の縁部361と第2の縁部363とを更に有している。同様に、第2の吸収性コア470は、第3の縁部371と第4の縁部373とを有している。示されるように、第1の吸収性コア460は第1の幅369を有し、第2の吸収性コア470は第2の幅379を有している。示されるように、第1の幅369は第2の幅379よりも広くすることができる。第1の吸収性コア460及び第2の吸収性コア470のそれぞれの幅については、以下に記載する。
【0125】
次に
図5を参照すると、第1の吸収性コア460は、上面460Aと、上面の反対側の下面460Bとを有している。同様に、第2の吸収性コア470は、上面470Aと下面470Bとを有している。更に、第1の吸収性コア460及び/又は第2の吸収性コア470は、複数の層、単一層、又は層の組み合わせを含む積層構造を含んでもよい。例えば、第1の吸収性コア460が積層構造を含んでもよく、第2の吸収性コア470が単一の層を含んでもよい(又はその逆)。このような形態については、以下で更に詳細に説明する。
【0126】
示されるように、第1の吸収性コア460は、吸収性システム400の長さに沿ってオフセットした形又は構成で、第2の吸収性コア470に接合することができる。本明細書で使用するとき、「オフセット」又は「オフセットした形」とは、対象とする層又は積層体が互い違いに配されており、各層又は各積層体が互いに重なる際にそれぞれの前縁部又は後縁部が、z方向に整列しないこと(すなわち、1つの層又は積層体の前縁部が、下又は上に隣接した層又は積層体の後縁部とその端が一致しない)を意味する。第1の吸収性コア460と第2の吸収性コア470とのこのオフセット接合形態は、吸収性システム400の中央部分205Cを形成する、2つの層が重なり合う接合領域を与える。その結果、吸収性コア40の中央部分205Cの両側は、吸収性システム400の前端部分205Fと後端部分205Rとによって画定される。換言すれば、前端部分205F及び後端部分205Rは、吸収性システム400の両端にそれぞれ配置されている。いくつかの形態で示されるように、第1の前端部466と第2の前縁部476との間の距離は、前端部205Fの長さを規定することができる。同様に、第2の後縁部477と第1の後縁部467との間の距離は、後端部分205Rの長さを規定することができる。第2の前縁部476は、吸収性コア40の前縁部であってよく、一方、第1の後縁部467は、吸収性システム400の後縁部であってよい。
【0127】
前述したように、第1の吸収性コア460及び/又は第2の吸収性コア470は、それら自体が複数のウェブ及び/又は層を含んでもよい。次ぎに
図4~6を参照すると、例えば、第1の吸収性コア460は、第1の分配層462上に配置された第1の超吸収性層461を含んでもよい(すなわち、第1の吸収性コア積層体760)。また、第2の吸収性コア470は、第2の分配層472上に配置された第2の超吸収性層471を含んでもよい(すなわち第2の吸収性コア積層体770)。いくつかの実施形態では、第1の分配層462は、コアの長さに沿ってオフセットした形又は構成で第2の分配層472と接合される。第1の分配層462と第2の分配層472とのこのオフセット接合形態は、吸収性システム400の中央部分405Cを形成する、2つの積層体が重なり合う接合領域を与える。その結果、吸収性システム400の中央部分405Cの両側は、コアの前端部分405Fと後端部分405Rとによって画定される。換言すれば、前端部分405F及び後端部分405Rは、吸収性システム400の両端にそれぞれ配置されている。示されるように、前端部分405Fは、第1の吸収性コア積層体760の第1の前縁部466から形成され、コア205の後端部分405Rは、第2の吸収性コア積層体770の第2の後縁部77によって形成されている。
【0128】
第1の吸収性コア積層体の第1の前縁部466と第2の吸収性コア積層体の第2の後縁部477とは、それぞれ互いに反対側に位置し、吸収性システム400の前端部分405F及び後端部分405Rをそれぞれ形成する(又はその逆)。他の形態では、第1の吸収性コア積層体の第1の後縁部467と第2の吸収性コア積層体の第2の前縁部476とが、互いに反対側に位置し、吸収性システム205の前端部分405F及び後端部分405Rをそれぞれ形成してもよい(又はその逆)。両方の場合において、第1の前縁部466及び第2の後縁部477は、第1及び第2の吸収性コアの入れ子式の切断によって得られる雄型接続の形態である。同様に、第1の後縁部467及び第2の前縁部476は、第1及び第2の積層体の入れ子式の切断によって得られる雌型接続の形態である。
【0129】
代替的な形態では、第1の吸収性コア積層体760を、第2の分配層472の代わりに超吸収性層471に接合してもよい。このような形態では、積層体同士は、第1の分配層462が第2の分配層472の代わりに第2の超吸収性層471と接合される点を除いて、同様にオフセットした形で互いに接合することができる。
【0130】
いくつかの形態では、コア205の中央部分205Cを形成する重なり合った範囲又は領域は、より大きい容量、より大きい空隙容積、又は吸収性コア205の前端部205F及び後端部205Fよりも大きい厚さのうちの少なくとも1つの特徴を有する。これらの形態は、そのようなパッドの女性使用者が一般的にパッドに接触し、流体を排出する中央部分において高められた漏れ保護を提供するために特に有用となり得る。
【0131】
再び
図4及び5を参照すると、前述のように、第1の吸収性コア460及び/又は第2の吸収性コア470は、積層構造を有してもよい。しかしながら、いくつかの形態では、第1の吸収性コア460及び第2の吸収性コア層470は、エアレイド構造を有してもよい。しかしながら、エアレイド構造の利用は、別々の分配層及び超吸収層の必要性をなくすことができる。他の例では、第1の吸収性コア層460又は第2の吸収性コア層470の少なくとも一方が、
図7に関して上述したような積層構造を含んでもよく、第1の吸収性コア層60又は第2の吸収性コア層70の他方がエアレイド構造を含んでもよい。好適なエアレイド吸収性コア構造は、米国特許第8,105,301号及び同第8,603,622号、並びに米国特許出願公開第2017/0348166号に開示されている。
【0132】
次に
図5及び
図6を参照すると、第1及び第2の吸収性コア460、470の第1及び第2の超吸収性層461、471は、超吸収性ポリマー又は吸収性ゲル化材料(absorbent gelling materials、AGM)を含む。超吸収性層461及び/又は471は、キャリアウェブ及び組成物を含んでもよい。このような形態では、超吸収性材をキャリアウェブ上に堆積させて超吸収性層を形成することができる。超吸収性層は、AGM粒子又はAGM繊維を含むことができる。一般に、それらのAGMは、それらの流体吸収性のためにのみ使用されている。そのような材料は、液体(例えば、尿、血液など)と接触してヒドロゲルを形成する。他の非常に好ましい種類のヒドロゲル形成、吸収性ゲル化材料は、加水分解されたポリ酸、特に中和されたポリアクリル酸に基づく。これらの好ましい超吸収性ポリマーは、一般に、重合性、不飽和の酸含有モノマーから調製された実質的に水不溶性の、わずかに架橋された、部分中和されたヒドロゲル形成ポリマー材料を含む。
【0133】
本開示の超吸収性層461及び/又は471又はその一部はエアフェルトを実質的に含まなくてもよく、したがってエアフェルトを含んでもよい混合層とは異なる。本明細書で使用するとき、「エアフェルトを実質的に含まない」とは、5%、3%、1%、又は更には0.5%未満のエアフェルトを意味する。いくつかの形態では、超吸収性層に測定可能なエアフェルトは含まれなくともよい。第1の超吸収性層の場合、好ましくは第1の分配層の上に不連続に配設される。第2の超吸収性層は、前述したように、第1の超吸収性層と組み合わせて又はそれとは独立して、第2の分配層上に不連続的に配置することができる。本明細書で使用するとき、「不連続に」又は「不連続パターンで」とは、超吸収性ポリマーが、切断された形状の領域のパターンで第1の分配層に適用されることを意味する。これらの超吸収性ポリマーの領域又は超吸収性ポリマーを含まない領域は、線状ストリップ、非線形ストリップ、円、矩形、三角形、ウェーブ、メッシュ、及びこれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。しかしながら、第2の超吸収性層のような第1の超吸収性層は、それぞれの分配層の上に連続したパターンで配設されていてもよい。本明細書で使用するとき、「連続パターン」又は「連続して」とは、材料が、超吸収性担体材料及び/又は隣接した分配層に途切れることなく配設及び/又は固定され、それによりむしろ分配層の全体が超吸収性ポリマーによって被覆される。
【0134】
第1及び第2の超吸収性層は、同じ超吸収性ポリマーを含むことができる。他の実施形態では、第1及び第2の超吸収性層は、互いに異なる超吸収性層を含み得る。これは、上述される異なる蒸着パターンに加えてもよい。
【0135】
0.2mm、0.3mm、0.4mm、又は0.5mm~1mm、1.2mm、1.4mm、1.8mm、又は2mmの厚さを有する超吸水性層が配設される。第1及び第2の超吸収性層は、それぞれの分配層に適用されるときと同じ又は異なる横断方向の幅を有し得る。例えば、第1及び第2の超吸収性層の横断方向の幅は、20mm、25mm、30mm、35mm、又は40mm~50mm、60mm、65mm、70mm、80mm、又は90mmであり得る。あるいは、第1及び第2の超吸収性層の幅が横断方向の幅で互いに異なる実施形態では、第1の超吸収性層は、第2の超吸収性層よりも小さい横断方向の幅を有し得る。特に、第1の超吸収性層は、第2の超吸収性層の約95%、90%、80%、70%、又は更には60%未満の横断方向の幅を有し得る。
【0136】
ある特定の実施形態では、第1及び第2の超吸収性層の一方若しくは両方は、超吸収性担体層及び/又はそれぞれ隣接する第1若しくは第2の分配層の横断方向の幅の約50%、60%、70%、80%、90%若しくは更には95%超に及ぶ。
【0137】
シャーシに含まれ得る任意選択の層のように、吸収性システムはまた、同様の任意選択の層を含み得る。任意選択の層の以下の説明及び特性は、キャリアウェブにおける使用にも好適である。理解を助けるため、用語「ウェブ」は、任意選択の層のウェブ及びキャリアウェブを包含するものとする。任意選択の層のウェブ及びキャリアウェブは、繊維状構造体、エアレイドウェブ、湿式ウェブ、高ロフト不織布、ニードルパンチウェブ、水流交絡ウェブ、繊維トウ、織物ウェブ、ニットウェブ、フロック加工されたウェブ、スパンボンドウェブ、層状のスパンボンド/メルトブローンウェブ、カード繊維ウェブ、セルロース繊維及びメルトブローン繊維のコフォームウェブ、ステープル繊維及びメルトブローン繊維のコフォームウェブ、並びにこれらの層状の組み合わせである層状ウェブからなる群から選択されるウェブであり得る。
【0138】
これらの任意選択の層及び/又はキャリアウェブは、クレープ状セルロース詰め綿、フラッフ化セルロース繊維、エアフェルト及びテキスタイル繊維などの材料を含み得る。ウェブの材料はまた、例えば、合成繊維、熱可塑性微粒子又は繊維、3成分繊維、及び、例えば、以下のポリマーの組み合わせ:ポリエチレン/ポリプロピレン、ポリエチルビニルアセテート/ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリエステル、ポリプロピレン/ポリエステル、コポリエステル/ポリエステルなどを有するシース/コア繊維などの2成分繊維などの繊維であり得る。任意選択の層は、上掲の材料及び/又は上掲の複数の材料(単独で又は組み合わせて)の任意の組み合わせであり得る。
【0139】
ウェブの材料は、シャーシ内のそれらの配置に応じて疎水性又は親水性であってもよい。これらの任意選択の層/ウェブの材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル及びそれらのブレンドなどのポリマーを含む構成繊維を含むことができる。繊維は、スパンボンド繊維であってもよい。繊維は、メルトブロー繊維であってもよい。繊維は、セルロース、レーヨン、綿、若しくは他の天然材料、又はポリマーと天然材料とのブレンドを含んでもよい。繊維はまた、ポリアクリレートなどの超吸収性材料又は好適な材料のいかなる組み合わせをも含み得る。繊維は、単成分、2成分、及び/又は2構成成分、非円形(例えば、毛管チャネル繊維)であってもよく、0.1~500マイクロメートルの範囲の主断面寸法(例えば、円形繊維の直径)を有してもよい。不織布前駆体ウェブの構成繊維は、化学(例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン)、(単及び2)成分、デニール(マイクロデニール及び20デニール超)、形状(すなわち、毛管及び円形)などの特徴の点で異なる、異なる繊維型の混合物でもあり得る。構成繊維は、約0.1デニール~約100デニールの範囲であってもよい。
【0140】
ウェブは、熱可塑性粒子又は繊維を含み得る。材料、具体的には熱可塑性繊維は、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン(例えば、PULPEX(商標))及びポリプロピレン、ポリエステル、コポリエステル、並びに前述のいずれかのコポリマーを含む、様々な熱可塑性ポリマーから製造することができる。
【0141】
所望の特性によって、好適な熱可塑性材料としては、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアクリル酸、ポリアミド、ポリスチレンなどから誘導された、界面活性剤で処理した熱可塑性繊維又はシリカで処理した熱可塑性繊維など、親水性にされた疎水性繊維が挙げられる。疎水性の熱可塑性繊維の表面は、例えば、繊維に界面活性剤をスプレーすることにより、繊維を界面活性剤に浸すことにより、又は熱可塑性繊維を製造する際にポリマーメルトの一部分として界面活性剤を含むことにより、非イオン性界面活性剤又はアニオン性界面活性剤などの界面活性剤で処理することによって親水性にすることができる。融解し再凝固すると、界面活性剤は熱可塑性繊維の表面に留まる傾向がある。好適な界面活性剤としては、ICI Americas,Inc.(Wilmington,Del)により製造されたBrij76などの非イオン性界面活性剤、及びGlyco Chemical,Inc.(Greenwich,Conn)により、Pegosperse(商標)で販売される様々な界面活性剤が挙げられる。非イオン性界面活性剤以外に、アニオン性界面活性剤を使用することもできる。これらの界面活性剤は、例えば、熱可塑性繊維1平方センチメートル当たり約0.2~約1gの濃度で熱可塑性繊維に適用されてもよい。
【0142】
好適な熱可塑性繊維は、単一のポリマーから製造してもよく(単成分繊維)、又は2種類以上のポリマーから製造してもよい(例えば、2成分繊維)。シースを含むポリマーは、コアを構成するポリマーとは異なる、典型的にはより低い温度で溶融することが多い。結果として、これらの2成分繊維は、シースポリマーの溶融に起因して熱的接合をもたらし、一方でコアポリマーの望ましい強度特性を保持する。
【0143】
本開示のウェブで使用するのに好適な2成分繊維としては、次のポリマーの組み合わせ:ポリエチレン/ポリプロピレン、ポリエチルビニルアセテート/ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリエステル、ポリプロピレン/ポリエステル、コポリエステル/ポリエステルなどを有するシース/コア繊維を挙げることができる。本明細書で使用するのに特に好適な複合熱可塑性繊維は、ポリプロピレン又はポリエステルのコアと、より低い温度で溶融するコポリエステル、ポリエチルビニルアセテート又はポリエチレンのシースと、を有するもの(例えば、DANAKLON(商標)、CELBOND(商標)又はCHISSO(商標)2成分繊維)である。これらの2成分繊維は、同心であっても偏心であってもよい。本明細書で使用するとき、「同心」及び「偏心」という用語は、シースが、2成分繊維の断面積を通じて、均一又は不均一な厚さを有するか否かを指す。偏心の2成分繊維は、より薄い繊維厚さでより高い圧縮強さを提供する上で望ましい場合がある。本明細書で使用するのに好適な2成分繊維は、非捲縮(すなわち、非屈曲)又は捲縮(すなわち、屈曲)のいずれかであってよい。2成分繊維は、主に二次元的、即ち「平面的」な捲縮を達成するために、典型的な紡織手段、例えば押込み加工ボックス(stuffer-box)法又はギアクリンプ法によって捲縮させてもよい。
【0144】
2成分繊維の長さは、繊維及びウェブ形成プロセスに所望される特定の特性に応じて様々であってよい。典型的には、エアレイドウェブにおいて、これらの熱可塑性繊維は、約2mm~約12mm長、例えば約2.5mm~約7.5mm長及び約3.0mm~約6.0mm長などの長さを有する。不織布繊維は、5mm長~75mm長、例えば、10mm長、15mm長、20mm長、25mm長、30mm長、35mm長、40mm長、45mm長、50mm長、55mm長、60mm長、65mm長又は70mm長などであり得る。これらの熱可塑性繊維の特性はまた、繊維の直径(キャリパ)を変化させることによっても調整することができる。これらの熱可塑性繊維の直径は、典型的に、デニール(9000メートル当たりのグラム)又はデシテックス(10,000メートル当たりのグラム)に関して定義される。エアレイド製造機械で使用されるとき、好適な2成分型熱可塑性繊維は、例えば約1.4~約10デシテックス、及び約1.7~約7デシテックスなどの、約1.0~約20デシテックスの範囲のデシテックスを有し得る。
【0145】
これら熱可塑性材料の、特に熱可塑性繊維の圧縮弾性率もまた重要であり得る。熱可塑性繊維の圧縮弾性率は、それらの長さ及び直径だけではなく、それらが作製されるポリマー又はポリマー類の組成及び特性、繊維の形状及び構成(例えば、同心であるか偏心であるか、捲縮しているか捲縮していないか)などの要因によっても影響される。これらの熱可塑性繊維の圧縮弾性率における違いを、特性、特に対応する熱結合された繊維性マトリックスの密度特性を変えるために使用することができる。
【0146】
ウェブはまた、典型的には結合材繊維としては機能しないが、繊維状ウェブの機械的特性を変化させる合成繊維を含んでもよい。合成繊維は、酢酸セルロース、ポリフッ化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル(オーロンなど)、ポリ酢酸ビニル、不溶性ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド(ナイロンなど)、ポリエステル、2成分繊維、3成分繊維、これらの混合物などを含む。これらには、例えば、ポリエステル繊維、例えばポリエチレンテレフタレート(例えば、DACRON(商標)及びKODEL(商標))、高融点捲縮ポリエステル繊維(例えば、Eastman Chemical Co.により作製されるKODEL(商標)431)親水性ナイロン(HYDROFIL(商標))などを挙げることができる。好適な繊維は、親水化させた疎水性繊維、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアクリル酸、ポリアミド、ポリスチレン、ポリウレタンなどから誘導された、界面活性剤処理又はシリカ処理された熱可塑性繊維などであってもよい。非接合熱可塑性繊維の場合、それらの長さは、これらの繊維に望ましい特定の特性に応じて変化し得る。典型的に、それらは、約0.3~7.5cm、例えば、約0.9~約1.5cmなどの長さを有する。好適な非接合熱可塑性繊維は、約1.5~約35デシテックス、例えば、約14~約20デシテックスなどの範囲のデシテックスを有することができる。
【0147】
第1及び第2の分配層は、着用者の皮膚から離れた体液をウィッキングして、放出後の継続的な着用の快適さを促進するために有用である。いくつかの形態では、支持ウェブは分配層を含んでもよい。いくつかの形態では、支持ウェブは、本明細書に記載されるキャリアウェブと同様に構成することができる。いくつかの形態では、第1及び第2の積層体の第1及び第2の分配層は、互いに対向するだけでなく、オフセットした形で接合されて、コアの一部を形成する。分配層は、1つ以上のセルロース及び交換された木材パルプを含む。これは、エアレイドの形態であってもよい。エアレイドは、化学的に又は熱的に接合することができる。特に、エアレイドは、多接合エアレイド(multi bonded airlaid、MBAL)であってもよい。この例では、分配層は、エアレイドをそれ自体に及び隣接する分配層、超吸収性層又は他の追加(任意選択)の層に少なくとも部分的に接合する繊維状熱可塑性接着剤材料を更に含んでもよい。シャーシの任意選択の層に好適な同じ材料が、分配層での使用に適していると想定されることに留意すべきである。第1及び第2の分配層の各々の秤量は、80gsm、80gsm、100gsm、110gsm、120gsm又は130gsm~140gsm、150gsm、160gsm、180gsm、200gsm、220gsm又は240gsmの範囲である。第1及び第2の積層体の分配層の各々について、好ましい秤量は135gsmである。
【0148】
ここで
図6及び
図7を参照すると、示されるように、吸収性システム400は、第1の吸収性コア積層体760が第1の超吸収性層461及び第1の分配層462を含むように構成することができる。超吸収性層461は、キャリア層860とその上に堆積された吸収性材料861とを含むことができる。図に示されるように、キャリア層860は、第1の面765と折り曲げられた面763とを有することができる。図に示されるように、キャリア層860は、第1の分配層462の周囲に折り曲げられることで、折り曲げられた面763においてL字ラップを形成することができる。キャリア層860の一部は、第1の分配層462と第2の吸収性コア積層体770との間に配置されてもよい。
【0149】
第2の吸収性積層体770も同様に構成することができる。例えば、第2の吸収性積層体770は、第2の超吸収性層471及び第2の分配層472を含むことができる。第2の超吸収性層471は、キャリア層870とその上に配置された吸収性材料871とを含むことができる。図に示されるように、キャリア層870は、第2の面775と反対側の折り曲げられた面773とを有することができる。キャリア層870は、第2の分配層472の周囲に折り曲げられることで、折り曲げられた面773においてL字ラップを形成することができる。キャリア層870の一部は、第2の分配層472の下側に隣接して配置されてもよい。
【0150】
やはり用いることができる吸収性システム400のいくつかの他の構成が存在する。例えば、第1の折り曲げられた面763が、第2の折り曲げられた面773と吸収性システム400の同じ側に配置されてもよい。そのような構成では、第2の分配層472を第1の分配層462と接合するか、又は第1の超吸収性層461を第2の超吸収性層471と接合することができる。別の構成では、第1の超吸収性層461が、第2の分配層(laye3r)472に接合されてもよい。
【0151】
流体管理層は、本開示の吸収性物品とともに様々な機能を果たすことができる。例えば、本明細書に記載される流体管理層は、トップシートと吸収性システムとの間に配置される二次トップシートとして利用することができる。本明細書に記載される流体管理層は、本明細書に記載される超吸収性層のキャリア層として利用することもできる。又は本開示の流体管理層は、上記の機能、例えば、第2のトップシートとキャリア層の組み合わせとして利用することもできる。
【0152】
更に、吸収性システムが1つの吸収性コアのみを含む構成が想到される。このような構成の吸収性コアは、本明細書に記載される超吸収性層及び分配層を含むことができる。また、このような構成では、キャリア層は、分配層の片側又は両側に折り曲げられ、それによって分配層の周囲にC字ラップを形成することができる。キャリア層の部分が、分配層の下側に配置されてもよい。
【0153】
吸収性コア10は、バリアカフを更に備えてもよい。他の好適なバリアカフのいくつかの例は、米国特許第4,695,278号、同第4,704,115号、同第4,795,454号、同第4,909,803号、米国特許出願公開第2009/0312730号に記載されている。更なる好適なバリアカフが、米国特許出願公開第2018/0098893号及び同第2018/0098891号に記載されている。
【0154】
試験方法
秤量
試験試料の坪量は、単一の材料層の単位面積(平方メートル単位)当たりの質量(グラム単位)であり、公定法WSP130.1に従って測定される。試験試料の塊を既知の面積に切断し、0.0001グラムの精度の分析天秤を用いて試料の質量を測定する。すべての測定は、23℃±2℃及び相対湿度50%±2%で維持された実験室で実施され、試験試料は、試験前に少なくとも2時間、この環境で調整される。
【0155】
測定は、原材料のロール若しくはシートから採取した試験試料、又は吸収性物品から切除した材料層から得られた試験試料について行う。材料層を吸収性物品から切除する際には、そのプロセスで試料層にいかなる汚染又は変形も付与しないように注意を払う。切除した層は、残留接着剤を含んではならない。接着剤がすべて確実に除去されるよう、材料自体に悪影響を及ぼすことなく接着剤を溶解する好適な溶媒中に層を浸漬する。このような溶媒の1つに、THF(任意の便宜のよい供給元から入手可能な一般用途のテトラヒドロフラン、CAS109-99-9)がある。溶媒浸漬後、材料層を材料の不要な延伸又は他の変形を防止するような形で完全に風乾させる。材料が乾燥した後、試験片を得る。試験片は、任意の固有の材質変動が考慮されるように、可能な限り大きくなければならない。
【0156】
NISTにトレーサブルな較正された鋼製金属定規又は同等物を使用して、単層試験片の寸法を測定する。試験片の面積を計算し、0.0001平方メートル単位で記録する。分析天秤を使用して試験片の質量を取得し、0.0001グラム単位で記録する。質量(グラム単位)を面積(平方メートル単位)で除算して坪量を計算し、0.01グラム/平方メートル(gsm)単位で記録する。同じ要領で、合計10個の複製試験片について試験を繰り返す。坪量の算術平均を計算し、0.01グラム/平方メートル単位で報告する。
【0157】
材料の組成分析
複数の繊維タイプの混合物を含む試験片の定量的化学組成をISO1833-1を用いて決定する。すべての測定は、23℃±2℃及び相対湿度50%±2%に維持された実験室内で実施する。
【0158】
分析は、原材料のロール若しくはシートから採取した試験試料、又は吸収性物品から切除した材料層から得られた試験試料について行う。材料層を吸収性物品から切除する際には、そのプロセスで試料層にいかなる汚染又は変形も付与しないように注意を払う。切除した層は、残留接着剤を含んではならない。接着剤がすべて確実に除去されるよう、材料自体に悪影響を及ぼすことなく接着剤を溶解する好適な溶媒中に層を浸漬する。このような溶媒の1つに、THF(任意の便宜のよい供給元から入手可能な一般用途のテトラヒドロフラン、CAS109-99-9)がある。溶媒浸漬後、材料層を材料の不要な延伸又は他の変形を防止するような形で完全に風乾させる。材料を乾燥させた後、試験片を得て、ISO1833-1に従って試験してその化学組成を定量的に決定する。
【0159】
繊維のデシテックス(Dtex)
織物ウェブ(例えば、織布、不織布、エアレイド)は、材料の個別の繊維から構成されている。繊維を、デシテックス単位で報告された線質量密度を単位として測定する。デシテックス値は、10000メートルの繊維中に存在するその繊維の質量をグラム単位で表したものである。材料ウェブ中の繊維のデシテックス値は、多くの場合、仕様の一部として製造業者によって報告されている。繊維のデシテックス値が既知でない場合、走査電子顕微鏡法(SEM)などの好適な顕微鏡法によって繊維の断面積を測定し、FT-IR(フーリエ変換赤外線)分光法及び/又はDSC(動的走査熱量測定)などの好適な方法を用いて繊維の組成を決定した後、組成物の密度についての文献の値を用いて10000メートルの繊維中に存在する繊維の質量をグラム単位で計算することによって計算することができる。すべての試験は、23℃±2.0℃の温度及び50%±2%の相対湿度に維持された室内で実施され、試料は、試験前に少なくとも2時間、同じ環境条件下で調整される。
【0160】
必要に応じて、対象とするウェブ材料の代表的な試料を吸収性物品から切除することができる。この場合、試料が伸張、歪み、又は汚染しないようにウェブ材料を切除する。
【0161】
SEM画像を得たら、以下のように分析して、繊維の断面積を決定する。ウェブ材料の試料の断面を分析するため、試験片を以下のように調製する。折り目又は皺を含まない約1.5cm(高さ)×2.5cm(長さ)の試験片をウェブから切断する。試料を液体窒素中で浸漬し、試験片の長さに沿って縁部をかみそり刃(VWR Single Edge Industrial Razor blade No.9、外科用炭素鋼)を用いて折り取る。試験片に金をスパッタコートし、次いで両面導電性テープ(Cu、electron microscopy sciencesより入手可能な3M)を使用してSEMマウントに接着する。測定される断面の斜め歪みを最小限にするため、試験片の向きを、断面が検出器に対してできるだけ垂直となるようにする。SEM画像を、試験片中に存在する繊維の断面が明確に示されるような十分な解像度で得る。繊維断面の形状は様々に異なり、繊維によっては複数の個別のフィラメントで構成されるものもある。それにかかわらず、繊維断面のそれぞれの面積は測定される(例えば、円形繊維では直径、楕円形繊維では長軸及び短軸、より複雑な形状では画像解析を用いて)。繊維断面が不均質な断面組成を示す場合、各認識可能な構成成分の面積を記録し、各構成成分についてdtexの寄与度を計算した後、合計する。例えば、繊維が2成分繊維である場合、コア及びシースについて断面積を別々に測定し、コア及びシースからのdtex寄与度をそれぞれ計算して、合計する。繊維が中空である場合には、繊維のdtexに大きく寄与しない空気からなる繊維の内側部分を断面積から除外する。全体として、少なくとも100回の断面積のこのような測定を試料中に存在する各繊維タイプに対して行い、それぞれについて平方マイクロメートル(μm2)の単位で表した断面積の算術平均akを0.1μm2単位で記録する。
【0162】
繊維の組成を、FTIR分光法などの一般的な特性評価法を用いて決定する。より複雑な繊維組成(ポリプロピレンコア/ポリエチレンシースの2成分繊維など)の場合には、繊維組成を完全に特徴付けるために一般的な方法(例えば、FTIR分光法とDSC)の組み合わせが必要とされる場合もある。ウェブ材料中に存在する各繊維タイプについて、このプロセスを繰り返す。
【0163】
ウェブ材料中の各繊維タイプのデシテックスdk値は、以下のように計算される。
dk=10000 m×αk×ρk×10-6
式中、dkの単位は(計算された長さ10000メートル当たりの)グラム数であり、akの単位はμm2であり、ρkの単位はグラム/立方センチメートル(g/cm3)である。デシテックスは、繊維タイプ(例えば、PP、PET、セルロース、PP/PET2成分)と共に0.1g単位(計算された長さ10000メートル当たり)で報告する。
【0164】
セルロース繊維の量を決定するためのSEM法
走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して材料の試験試料の第1の面及び第2の面の両方の画像を取得する。これらの画像から、試験試料の各面のセルロースフィラメントの量を画像分析を用いて決定する。すべての試験は、23℃±2.0℃の温度及び50%±2%の相対湿度に維持された室内で実施され、試料は、試験前に少なくとも2時間、同じ環境条件下で調整される。
【0165】
必要に応じて、吸収性物品から取り出すことによって試験試料を得る。試料を吸収性物品から切除するとき、プロセス中に試料層にいかなる汚染又は変形も付与しないように注意を払う。試験試料は、折り目又はしわを含まないエリアから取得される。合計6つの複製試験試料が取得される。各試験試料上の試験領域は、各側部で同じ面積が分析されることを可能にすることになるような方式でマークされる。試験領域の不均衡性をマークする1つの好適な方法は、非対称ノッチを使用することである。
【0166】
二次電子(Secondary Electron、SE)画像は、FEI Quanta 450(FEI Company、Hillsboro、ORから入手可能)、又は同等物などのSEMを使用して取得される。機器は、正確な距離スケールを確保するために、使用前に製造元の指示に従って較正される。試験試料の第1の面上の試験領域を、セルロース系フィラメントの代表的な数が計数目的のために明確に可視化されるように低倍率(例えば、200倍、約1mmの水平視野幅)で観測し、画像を取得する。同じ試験領域で、試験試料の第2の面の画像を第1の面で用いた同じ低倍率を用いて撮影する。
【0167】
試験試料の第1の面の低倍率画像をImage Pro Plus(Media Cybernetics、Rockville、MDから入手可能)又はこれに相当するものなどのコンピュータ上で実行される画像分析ソフトウェアで開く。画像内の小鋸歯状の外表面を有するフィラメント(例えば、ビスコースフィラメント)のすべてをマニュアルで計数し、その数をフィラメント
面1として記録する。例示的なビスコースフィラメント1010を
図10に示す。小鋸歯状の表面が、ビスコース繊維の明確な末端と共に示されている。1回を超えるフィラメントの計数を防止するために、各計数されたフィラメントを画像上で「マーク」する。同様に、小鋸歯状の表面を有するフィラメントの数を同じ試験領域の試験試料の第2の面の低倍率画像で計数し、その数をフィラメント
面2として記録する。フィラメント
面2をフィラメント
面1で割ることによってフィラメント比を計算し、1単位で記録する。
【0168】
同じ要領で、合計6つの複製試料についてすべての測定を繰り返す。全6つの複製について取得されたフィラメント比率の算術平均を計算し、1単位で報告する。
【0169】
不透明度
コントラスト比による不透明度の測定を、XYZ座標を使用して標準的なCIE色測定を行うことができる調節可能な開口を有する0°/45°分光光度計を使用して行う。好適な分光光度計の例は、Labscan XE(Hunter Associates Laboratory,Inc.、Reston、VAから入手可能、又は同等物)である。測定は、試験材料の単一層で行う。すべての試験は、23℃±2.0℃の温度及び50%±2%の相対湿度に維持された室内で実施され、試料は、試験前に少なくとも2時間、同じ環境条件下で調整される。
【0170】
必要に応じて、吸収性物品から切除することによって試験試料を得る。試料を吸収性物品から切除するとき、プロセス中に試料層にいかなる汚染又は変形も付与しないように注意を払う。試験試料は、折り目又は皺を含まない領域から得るが、分光光度計で使用される開口よりも大きくなければならない。試験試料のどちらの面が、使用中に着用者に面する(又は、着用者に面することを意図している)かに注意する。これは、試験中に開口部に面する面である。評価する材料の重複しない領域上で10回の測定を行うことができるように十分な量の試料材料を取得する。
【0171】
不透明度を測定するために、直径1.2インチの開口を有する、供給メーカーによって提供された標準白黒タイルを使用して供給メーカーの指示に従って機器を較正及び標準化する。分光光度計を、D65標準照明、10°の観測者、1.2インチの開口、1.0インチの視野域でCIE XYZ色空間を使用するように設定し、UVフィルタを公称に設定する。試験試料の着用者対向面を開口の上に配置し、開口部全体が試料によって覆われるようにする。標準白色タイルを試料の背面に直接接触させて配置し、読み取り値をとり、Y値をY背景白として0.01単位で記録する。試験試料の位置を動かさずに、標準白色タイルを取り外し、黒色標準タイルと交換する。読み取り値をとり、Y値をY背景黒として0.01単位で記録する。Y背景黒値をY背景白値で割ってから100を掛けることによって不透明度を計算する。不透明度を0.1パーセント単位で記録する。
【0172】
同じ要領で、試験試料材料の重なり合わない領域で合計10回の測定を繰り返す。全10回の測定から取得された不透明度の算術平均を計算し、0.1単位で報告する。
【0173】
引張試験
材料の引張特性を、測定した力がセルの限界の1%~99%以内となるロードセルを使用した定速の延伸引張試験機(好適な計器は、MTS Systems Corp.(Eden Prairie,MN)から入手可能な、Testworks4.0Softwareを使用したMTS Alliance、又は同等品である)で測定する。すべての試験は、23℃±3℃及び相対湿度50%±2%で調整された室内で実施され、試験試料は、試験前に少なくとも2時間にわたってこの環境下で調整される。
【0174】
試験試料を保持するため、同じ1組のグリップを、一方を下部固定具に取り付け、他方を引張試験機の上部固定具に取り付けた状態で使用する。グリップは、ロードセルの容量を最大化するために手動式又は空圧式でかつ軽量であり、また試験試料よりも幅広でなければならない。グリップは、引張試験機の引張軸に垂直な線に沿った単線の把持力が可能になるように構築される。頂部グリップ及び底部グリップは、水平方向及び垂直方向に整列されるような方式で装着される。
【0175】
必要に応じて、吸収性物品から切除することによって試験材料を得る。試験材料を吸収性物品から切除する際には、そのプロセスで試料層にいかなる汚染又は変形も付与しないように注意を払う。試験試料は、試験材料の折り目又は皺を含まない領域から取得する。試験は、試験材料の機械方向(MD)及び横断方向(CD)に実施し、各試験試料は以下のように調製する。MD試験試料の各寸法は、その長さが、ゲージ長51.0mm(吸収性物品の長手方向軸に平行)、幅25.4mm(吸収性物品の横断方向軸に平行)を可能とするようなものとする。CD試験試料の各寸法は、その長さが、ゲージ長51.0mm(吸収性物品の横断方向軸に平行)、幅25.4mm(吸収性物品の長手方向軸に平行)を可能とするようなものとする。試験試料を切断する際、材料が伸張又は歪まないようにする。MD及びCDの両方について5つの複製物を試験することができるように、十分な数の試験試料を調製する。
【0176】
引張試験機を定速伸長の一軸延伸のためにプログラムして、以下のように試験片を破断する。NISTに対してトレース可能な定規を使用して公称ゲージ長を51.0mm(L初期)に設定し、クロスヘッドをゼロにする。長辺が引張試験機の中心引張軸を中心として平行になるようにしてMD試験試料をグリップに挿入する。試験片が破断するまで254mm/分の速度でクロスヘッドを上昇させ、試験全体を通じて50Hzで力(N)及び伸長(mm)データを収集する。クロスヘッドを元の位置に戻す。力(N)対伸張(mm)のグラフを作成する。グラフから最大ピーク力(N)を読み取り、MDピーク力として0.1N単位で記録する。グラフから最大ピーク力における伸長(mm)を読み取り、Lピークとして0.1mm単位で記録する。ピーク時MD伸長率を[(Lピーク/L初期)*100]として計算し、0.1%単位で記録する。同じ要領で、CD試験試料について試験を繰り返し、CDピーク力を0.1N単位で、ピーク時CD伸長率を0.1%単位で報告する。
【0177】
同じ要領で、試験材料のMDから得られた合計5つの複製試験試料及びCDから得られた5つの複製試料について試験を繰り返す。MDピーク力及びCDピーク力の算術平均を計算し、それぞれを0.1N単位で報告する。ピーク時MD伸長率及びピーク時CD伸長率の算術平均を計算し、それぞれを0.1%単位で報告する。
【0178】
キャリパ
材料のキャリパ、又は厚さは、材料が載置される基準プラットフォームと、特定の時間にわたって材料上に特定の量の圧力を加える押さえとの間の距離として測定される。すべての測定は、23℃±2℃及び相対湿度50%±2%で維持された実験室で実施され、試験試料は、試験前に少なくとも2時間、この環境で調整される。
【0179】
キャリパは、0.50kPa±0.01kPaの定常圧力を試験試料にかけることができる押さえを備えた手動式マイクロメータで測定する。手動式マイクロメータは、0.001mmまでの正確な読み取り値を有する自重型器具である。好適な器具は、VWR Internationalから入手可能なMitutoyo Series 543 ID-C Digimatic、又は等価物である。押さえは、試験試料よりも小さい直径を有し、必要な圧力をかけることが可能な、平坦な接地した円形可動面である。好適な押さえは、56mmの直径を有するが、測定される試料の大きさに応じて、より小さい押さえ又はより大きい押さえを使用することができる。試験試料は、押さえの表面よりも大きく、かつ押さえの表面に平行な水平の平坦な基準プラットフォームによって支持される。システムは、製造元の指示に従って較正及び操作される。
【0180】
必要に応じて、吸収性物品から取り出すことによって試験試料を得る。試験試料を吸収性物品から切除するとき、プロセス中に試験試料層にいかなる汚染又は変形も付与しないように注意を払う。試験試料は、折り目又は皺を含まない領域から得られ、押さえよりも大きくなければならない。
【0181】
キャリパを測定するために、最初に、水平平坦な基準プラットフォームに対してマイクロメータをゼロにする。試験試料を、試験位置が押さえの下で中心にある状態で、プラットフォーム上に置く。全圧力が試験試料に加えられるまで、3.0mm±1.0mm/秒の下降速度で押さえを静かに下げる。5秒待った後、試験試料のキャリパを0.01mm単位で記録する。同様に、合計5つの複製試験試料について繰り返す。すべてのキャリパ測定値について算術平均を計算し、厚さとして0.01mm単位で報告する。
【0182】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0183】
あらゆる相互参照又は関連特許若しくは関連出願を含む、本明細書に引用されるすべての文献は、明確に除外ないしは別の方法で限定されない限り、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0184】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるすべてのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。