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特許7667178電気メータにおけるホットソケットの検出
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-14
(45)【発行日】2025-04-22
(54)【発明の名称】電気メータにおけるホットソケットの検出
(51)【国際特許分類】
   G01R 22/06 20060101AFI20250415BHJP
   G01R 31/66 20200101ALI20250415BHJP
【FI】
G01R22/06 130Z
G01R31/66
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022559736
(86)(22)【出願日】2021-03-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(86)【国際出願番号】 US2021024032
(87)【国際公開番号】W WO2021202217
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2024-03-22
(31)【優先権主張番号】16/836,629
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523325484
【氏名又は名称】ランディス・ギア・テクノロジー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LANDIS+GYR TECHNOLOGY, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100221556
【弁理士】
【氏名又は名称】金田 隆章
(72)【発明者】
【氏名】クラウス,マシュー イー
(72)【発明者】
【氏名】ブードロー,ジュニア,フランク ジェイ
【審査官】小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0120885(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0080970(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0377949(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0333290(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0116906(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 11/00-11/66
G01R 21/00-22/10
G01R 31/50-31/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次巻線、二次巻線、及び二次バイファイラ巻線を含む変流器と、
DC電圧信号を生成するように構成された電圧源と、
第1の検出抵抗器と、
処理回路と、を備え、
前記一次巻線は、電流コイルに対応し、
前記二次バイファイラ巻線は、直列に接続された第1のバイファイラ巻線と第2のバイファイラ巻線とを含み、
前記第1のバイファイラ巻線のスタートリード線は、前記第2のバイファイラ巻線のスタートリード線に接続され、
前記DC電圧信号は、前記第1のバイファイラ巻線のフィニッシュリード線に供給され、
前記第1の検出抵抗器は、前記第2のバイファイラ巻線のフィニッシュリード線とグランドとの間に接続され、
前記第1の検出抵抗器の温度係数は、前記第1のバイファイラ巻線及び前記第2のバイファイラ巻線の材料の抵抗率の温度係数より小さく、
前記処理回路は、
前記第1の検出抵抗器に加わる電圧に対応する入力を受信し、
前記第1の検出抵抗器に加わる前記電圧を使用して、前記電流コイルに関する温度を判定し、
前記温度が温度閾値を超えた場合、ホットソケット状態を検出する
ように構成された、
メータ。
【請求項2】
A/Dコンバータを更に備え、
前記A/Dコンバータの入力は、前記第1の検出抵抗器に接続され、前記A/Dコンバータの出力は、前記処理回路に接続され、前記第1の検出抵抗器に加わる前記電圧に対応する入力を供給する、
請求項1に記載のメータ。
【請求項3】
前記二次巻線とグランドとの間に接続された第2の検出抵抗器を更に備え、
前記処理回路は、
前記第2の検出抵抗器に加わる電圧に対応する入力を受信し、
前記第2の検出抵抗器に加わる電圧を使用して、前記電流コイルに関する電流を判定する
ように更に構成された、
請求項1に記載のメータ。
【請求項4】
前記第1の検出抵抗器の抵抗は、前記第1のバイファイラ巻線及び前記第2のバイファイラ巻線の抵抗より大きい、請求項1に記載のメータ。
【請求項5】
通信回路を更に備え、
前記処理回路は、前記ホットソケット状態を示すメッセージを前記通信回路を介して遠隔システムに伝達するように更に構成された、
請求項1に記載のメータ。
【請求項6】
電源への前記メータの接続を制御する供給スイッチを更に備え、
前記処理回路は、切断コマンドを含むメッセージを前記通信回路を介して受信したことに応答して、前記供給スイッチを制御して前記メータを前記電源から切断するように更に構成された、
請求項5に記載のメータ。
【請求項7】
前記電流コイルは第の電気に対応し、第2の電流コイルは第の電気に対応し、
前記メータは、
一次巻線、二次巻線、及び二次バイファイラ巻線を含む第2の変流器と、
第3の検出抵抗器と、を更に備え、
前記第2の変流器の一次巻線は、前記第2の電流コイルに対応し、
前記第2の変流器の二次バイファイラ巻線は、第1のバイファイラ巻線と第2のバイファイラ巻線とを含み、
前記第3の検出抵抗器は、前記第2の変流器の第2のバイファイラ巻線のフィニッシュリード線とグランドとの間に接続され、
前記処理回路は、
前記第3の検出抵抗器に加わる電圧に対応する入力を受信し、
前記第3の検出抵抗器に加わる前記電圧を使用して、前記第2の電流コイルに関する温度を判定し、
前記温度が前記温度閾値を超えた場合、前記ホットソケット状態を検出する
ように構成された、
請求項1に記載のメータ。
【請求項8】
一次巻線、二次巻線、及び二次バイファイラ巻線を含む変流器と、
DC電圧信号を生成するように構成された電圧源と、
第1の検出抵抗器と、
処理回路と、を備え、
前記一次巻線は、電流コイルに対応し、
前記二次バイファイラ巻線は、並列に接続された第1のバイファイラ巻線と第2のバイファイラ巻線とを含み、
前記第1のバイファイラ巻線のフィニッシュリード線は、前記第2のバイファイラ巻線のスタートリード線に接続され、
前記DC電圧信号は、前記第1のバイファイラ巻線の前記フィニッシュリード線と、前記第2のバイファイラ巻線の前記スタートリード線とに供給され、
前記第1の検出抵抗器は、前記第1のバイファイラ巻線のスタートリード線と、前記第2のバイファイラ巻線のフィニッシュリード線と、グランドと、の間に接続され、
前記第1の検出抵抗器の温度係数は、前記第1のバイファイラ巻線及び前記第2のバイファイラ巻線の材料の抵抗率の温度係数より小さく、
前記処理回路は、
前記第1の検出抵抗器に加わる電圧に対応する入力を受信し、
前記第1の検出抵抗器に加わる前記電圧を使用して、前記電流コイルに関する温度を判定し、
前記温度が温度閾値を超えた場合、ホットソケット状態を検出する
ように構成された、
メータ。
【請求項9】
A/Dコンバータを更に備え、
前記A/Dコンバータの入力は、前記第1の検出抵抗器に接続され、前記A/Dコンバータの出力は、前記処理回路に接続され、前記第1の検出抵抗器に加わる前記電圧に対応する入力を提供する、
請求項8に記載のメータ。
【請求項10】
前記二次巻線とグランドとの間に接続された第2の検出抵抗器を更に備え、
前記処理回路は、
前記第2の検出抵抗器に加わる電圧に対応する入力を受信し、
前記第2の検出抵抗器に加わる電圧を使用して、前記電流コイルに関する電流を判定する
ように更に構成された、
請求項8に記載のメータ。
【請求項11】
前記第1の検出抵抗器の抵抗は、前記第1のバイファイラ巻線及び前記第2のバイファイラ巻線の抵抗より大きい、請求項8に記載のメータ。
【請求項12】
通信回路を更に備え、
前記処理回路は、前記ホットソケット状態を示すメッセージを前記通信回路を介して遠隔システムに伝達するように更に構成された、
請求項8に記載のメータ。
【請求項13】
電源への前記メータの接続を制御する供給スイッチを更に備え、
前記処理回路は、切断コマンドを含むメッセージを前記通信回路を介して受信したことに応答して、前記供給スイッチを制御して前記メータを前記電源から切断するように更に構成された、
請求項12に記載のメータ。
【請求項14】
前記電流コイルは第の電気に対応し、第2の電流コイルは第の電気に対応し、
前記メータは、
一次巻線、二次巻線、及び二次バイファイラ巻線を含む第2の変流器と、
第3の検出抵抗器と、を更に備え、
前記第2の変流器の一次巻線は、前記第2の電流コイルに対応し、
前記第2の変流器の二次バイファイラ巻線は、第1のバイファイラ巻線と第2のバイファイラ巻線とを含み、
前記第3の検出抵抗器は、前記第2の変流器の第2のバイファイラ巻線のフィニッシュリード線とグランドとの間に接続され、
前記処理回路は、
前記第3の検出抵抗器に加わる電圧に対応する入力を受信し、
前記第3の検出抵抗器に加わる前記電圧を使用して、前記第2の電流コイルに関する温度を判定し、
前記温度が前記温度閾値を超えた場合、前記ホットソケット状態を検出する
ように構成された、
請求項8に記載のメータ。
【請求項15】
一次巻線、二次巻線、及び二次バイファイラ巻線を含む変流器と、
DC電圧信号を生成するように構成された電圧源と、
第1の検出抵抗器と、
前記第1の検出抵抗器と処理回路の入力との間に接続されたA/Dコンバータと、を備え、
前記一次巻線は、電流コイルに対応し、
前記二次バイファイラ巻線は、第1のバイファイラ巻線と第2のバイファイラ巻線とを含み、
前記第1のバイファイラ巻線のスタートリード線は、前記第2のバイファイラ巻線のスタートリード線に接続され、
前記DC電圧信号は、前記第1のバイファイラ巻線のフィニッシュリード線に供給され、
前記第1の検出抵抗器は、前記第2のバイファイラ巻線のフィニッシュリード線とグランドとの間に接続され、
前記第1の検出抵抗器の温度係数は、前記第1のバイファイラ巻線及び前記第2のバイファイラ巻線の材料の抵抗率の温度係数より小さく、
前記処理回路は、
前記第1の検出抵抗器に加わる電圧に対応する信号を前記A/Dコンバータから受信し、
前記A/Dコンバータからの前記信号を使用して、前記電流コイルに関する温度を判定し、
前記温度が温度閾値を超えた場合、ホットソケット状態を検出する
ように構成された、
メータ。
【請求項16】
前記二次巻線とグランドとの間に接続された第2の検出抵抗器を更に備え、
前記処理回路は、
前記第2の検出抵抗器に加わる電圧に対応する入力を受信し、
前記第2の検出抵抗器に加わる電圧を使用して、前記電流コイルに関する電流を判定する
ように更に構成された、
請求項15に記載のメータ。
【請求項17】
前記第1の検出抵抗器の抵抗は、前記第1のバイファイラ巻線及び前記第2のバイファイラ巻線の抵抗より大きい、請求項15に記載のメータ。
【請求項18】
通信回路を更に備え、
前記処理回路は、前記ホットソケット状態を示すメッセージを前記通信回路を介して遠隔システムに伝達するように更に構成された、
請求項15に記載のメータ。
【請求項19】
通信回路を更に備え、
前記処理回路は、前記ホットソケット状態を示すメッセージを前記通信回路を介して遠隔システムに伝達するように更に構成された、
請求項15に記載のメータ。
【請求項20】
電源への前記メータの接続を制御する供給スイッチを更に備え、
前記処理回路は、切断コマンドを含むメッセージを前記通信回路を介して受信したことに応答して、前記供給スイッチを制御して前記メータを前記電源から切断するように更に構成された、
請求項19に記載のメータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には電気メータに関し、特に、電気メータにおけるホットソケットを検出するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気メータは、ユーティリティ電力線と負荷との間のエネルギー又は電力消費を測定する。例えば、住宅顧客のための電気メータは、住宅の電気システムがユーティリティ配線に接続する地点で接続されることが多い。ユーティリティメータは、かなりの量の電流が流れる1以上の電気接点を含む。例えば、メータは、メータ内からの負荷電流及び負荷電圧の測定を可能にするために、電力線及び負荷に接続するブレードを有することがある。ブレードは、建物用のメータ取付装置のジョーによって受容される。
【0003】
メータを交換又は修理する場合、メータは、取付装置から引き出され、したがってブレードをジョーから取り出すことができる。ブレード及びジョーは、通常、機械的に堅牢であるが、それでも摩耗及び場合によっては腐食の影響を受ける。これは、特に、メータが何度も取り外され、又は交換された場合に発生する。ジョーの摩耗が著しい場合、又はジョーに腐食がある場合、ジョーとブレードとの接続部に些細とはいえない抵抗が発生する可能性があり、これは望ましくない。
【0004】
抵抗の増加、アーチング、又は他の条件によって、メータ取付装置のジョーとメータのブレードとの間の接続の信頼性が低下すると、「ホットソケット」状態が発生する可能性がある。ホットソケット状態が存在すると、メータの温度、特に、ブレードの温度が上昇する。
【0005】
さらに、メータは、負荷への電気供給の切断を可能にする1以上のスイッチを有することがある。例えば、多くのメータでは、スイッチの遠隔制御が可能である。このようなスイッチは、閉じられると負荷の全電流を運ぶので、必然的に実質的な接点を持たなければならない。このようなスイッチは、ある程度の頻度で使用されると劣化する可能性がある。スイッチの接点が劣化すると、スイッチの接点の抵抗が増加する。このような抵抗は、メータ内に、望ましくない更なる電力損失を生じさせる。
【0006】
抵抗を導入することは望ましくないため、発生する可能性があるそのような接続の劣化を経時的に検出するための方法が必要である。
【発明の概要】
【0007】
特定の態様及び特徴は、ホットソケットを検出するための技術を含む。一例では、メータは、一次巻線、二次巻線、及び二次バイファイラ巻線を含む変流器を含む。一次巻線は、電流コイルに対応し、二次バイファイラ巻線は、直列に接続された第1のバイファイラ巻線と第2のバイファイラ巻線とを含む。第1のバイファイラ巻線のスタートリード線は、第2のバイファイラ巻線のスタートリード線に接続される。メータは、直流(DC)電圧信号を生成するように構成された電圧源を更に含む。DC電圧信号は、第1のバイファイラ巻線のフィニッシュリード線に供給される。第1の検出抵抗器は、第2のバイファイラ巻線のフィニッシュリード線とグランドとの間に接続される。第1の検出抵抗器の温度係数は、第1のバイファイラ巻線及び第2のバイファイラ巻線の材料の抵抗率の温度係数より小さい。メータは、第1の検出抵抗器に加わる電圧に対応する入力を受信するように構成された処理回路を更に含む。処理回路は、第1の検出抵抗器に加わる電圧を使用して、電流コイルに関する温度を判定するように構成される。処理回路は、前記温度が温度閾値を超えた場合、ホットソケット状態を検出するように更に構成される。
【0008】
他の例では、メータは、変流器を含む。変流器は、一次巻線と、二次巻線と、二次バイファイラ巻線とを含む。一次巻線は、電流コイルに対応し、二次バイファイラ巻線は、並列に接続された第1のバイファイラ巻線と第2のバイファイラ巻線とを含む。第1のバイファイラ巻線のフィニッシュリード線は、第2のバイファイラ巻線のスタートリード線に接続される。メータは、DC電圧信号を生成するように構成された電圧源を更に含む。DC電圧信号は、第1のバイファイラ巻線のフィニッシュリード線と、第2のバイファイラ巻線のスタートリード線とに供給され、第1の検出抵抗器は、第1のバイファイラ巻線のスタートリード線と、第2のバイファイラ巻線のフィニッシュリード線と、グランドと、の間に接続される。第1の検出抵抗器の温度係数は、第1のバイファイラ巻線及び第2のバイファイラ巻線の材料の抵抗率の温度係数より小さい。メータは、第1の検出抵抗器に加わる電圧に対応する入力を受信するように構成された処理回路を更に含む。処理回路は、第1の検出抵抗器に加わる電圧を使用して、電流コイルに関する温度を判定するように構成される。処理回路は、前記温度が温度閾値を超えた場合、ホットソケット状態を検出するように更に構成される。
【0009】
更に他の例では、メータは、変流器を含む。変流器は、一次巻線と、二次巻線と、二次バイファイラ巻線とを含む。一次巻線は、電流コイルに対応する。二次バイファイラ巻線は、第1のバイファイラ巻線と第2のバイファイラ巻線とを含む。第1のバイファイラ巻線のスタートリード線は、第2のバイファイラ巻線のスタートリード線に接続される。メータは、DC電圧信号を生成するように構成された電圧源を更に含む。DC電圧信号は、第1のバイファイラ巻線のフィニッシュリード線に供給される。メータは、第2のバイファイラ巻線のフィニッシュリード線とグランドとの間に接続された第1の検出抵抗器を更に含む。第1の検出抵抗器の温度係数は、第1のバイファイラ巻線及び第2のバイファイラ巻線の材料の抵抗率の温度係数より小さい。メータは、第1の検出抵抗器と処理回路の入力との間に接続されたA/Dコンバータを更に含む。処理回路は、第1の検出抵抗器に加わる電圧に対応する信号をA/Dコンバータから受信し、A/Dコンバータからの信号を使用して、電流コイルに関する温度を判定し、前記温度が温度閾値を超えた場合、ホットソケット状態を検出する、ように構成される。
【0010】
これらの例示的な例は、本開示を制限又は規定するためではなく、それらの理解を助ける例を提供するために言及されている。更なる例及び更なる説明は、詳細な説明において提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示のこれらの及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の詳細な説明を添付の図面を参照しながら読むとより良く理解される。
【0012】
図1】本開示の一態様に係る、例示的な測定システムの模式的なブロック図である。
図2】本開示の一態様に係る、直列に接続された巻線を有するバイファイラ巻線を有する例示的な温度センサ回路の模式図である。
図3】本開示の一態様に係る、測定電圧と温度との関係を示すグラフである。
図4】本開示の一態様に係る、並列に接続された巻線を有するバイファイラ巻線を有する例示的な温度センサ回路の模式図である。
図5】本開示の一態様に係る、測定電圧と温度との関係を示すグラフである。
図6】本開示の一態様に係る、電流コイルの温度を導出するための処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の態様は、電気メータにおけるホットソケットの検出に関する。ホットソケットとは、電気メータの部品、例えば通電ブレード、又はソケットのジョーが摩耗又は損傷し、電気メータ内で潜在的に危険な温度上昇を引き起こす状態をいう。ホットソケットは、ジョー、ブレード又は電流コイルが経時的に劣化した場合に発生し得る。
【0014】
ホットソケットを検出するための以前の解決策は、メータに温度センサを追加すること、又は、追加の二次巻線を有する修正変流器を使用することを含む。追加の二次巻線は、電圧によってバイアスされ、変流器の透磁率を部分的に示す電流を形成させる。変流器の透磁率は温度に依存するので、そこから温度が導出される。しかし、この解決策では、巻線による正味の磁化を最小限に抑え、電流センサの精度を維持するために、バイアス電圧が断続的に印加されなければならない。この結果、温度測定の頻度が少なくなり、電流測定の精度に影響を与える可能性がある。
【0015】
対照的に、本開示の態様は、ブレード又は電流コイルに近接配置される変流器のコアの周りの補助的なバイファイラ巻線をバイアスすることによって、温度測定値を得る。バイファイラ巻線は、密接して間隔をあけた2本の平行巻線を含む。変流器は、電気メータ内にある変流器、例えば、電流コイルを通って流れる電流を測定するように構成された変流器であってもよい。
【0016】
バイファイラ巻線は、並列又は直列に相互接続され得る。例えば、直列構成では、第1の巻線のスタートリード線は第2の巻線のスタートリード線に接続され、第1の巻線のフィニッシュリード線は電圧源に接続され、第2の巻線のフィニッシュリード線は検出抵抗器に接続される。これに対して、並列構成では、バイファイラ巻線は、第1の巻線のスタートリード線と第2の巻線のフィニッシュリード線とが電圧源に接続され、第1の巻線のフィニッシュリード線と第2の巻線のフィニッシュリード線とが検出抵抗器に接続されるように構成される。
【0017】
本開示の技術的な利点は、温度センサを必要とすることなく、より頻繁な温度測定と、より正確な電流測定とを含むことである。例えば、二次巻線に直流(DC)電圧を印加することによって、以前の解決策は、検出抵抗器に流れる電流の測定値の飽和及び/又は歪みを引き起こし、それによって、そこから得られる温度測定値の精度を低下させ得る。更なる利点は、バイファイラ巻線の磁界が互いに打ち消し合うため、バイアス電圧を常に印加できることを含む。
【0018】
ここで図面を検討する。図1は、本開示の一態様に係る、例示的な測定システムの模式的なブロック図である。図1は、電力線50a~nと、負荷60と、メータ101と、電源104とを含む測定環境100を示す。図1に示した例では、電力線50a~nは、メータ101を介して、電源104から負荷60に電力を供給する。メータ101は、電圧電流測定、電流測定、及び温度測定を含む様々な計装を実行する。
【0019】
図1は、3つの電力線(各に対応する50a及び50bと、ニュートラル線50n)を示している。しかし、メータ101は、任意の数の相を有してもよい。例えば、メータ101は、標準的電気供給に関連する様々な他の標準電力線構成に接続するメータに適応してもよい。標準的電気供給は、多相電気供給及び単相住宅供給を含むがこれらに限定されない。
【0020】
電力線50a及び50bは、測定のためにメータ101に提供される。電力線50a、50bは、ジョー52a、52b、54a、54b、及び54nを有するメータ取付装置又はソケットに接続する。具体的には、電力線50a、50bは、ジョー52a、52bに電気的に結合され、ニュートラル線50nは、ジョー54nに電気的に結合される。ジョー54a54bは、負荷60の接続部60a及び60bに電気的に結合されている。ニュートラル線50nも負荷60に結合されている。ジョー52a、52b、54a、54b、及び54nは、メータブレードを受容するように構成されたばね荷重式の導電性レセプタクルであってもよい。
【0021】
メータ101は、供給スイッチ105、センサ回路110、計測回路112、電源113、通信回路121、及びディスプレイ130のうちの1以上を含む。センサ回路110は、電圧、電流、及び/又は温度を測定するように構成可能である。例えば、示されているように、センサ回路は、電圧センサ回路140、電流センサ回路160及び180、並びに、温度センサ回路170及び190を含む。センサ回路110によって生成される測定信号は、負荷に供給される電圧及び電流を代表するそれぞれの波形を有するアナログ信号である。測定信号は、計測回路112に渡される。
【0022】
供給スイッチ105は、電力線50a~nのメータ101への接続を有効又は無効にするように構成される。供給スイッチ105は、処理回路115によって制御可能なリレーである。処理回路115は、供給スイッチ105に、電力線50a~nの接続を有効又は無効にさせることができる。このようにして、電力供給者は、電力を遠隔で有効化又は無効化することができる。
【0023】
メータ101は、メータ101の内部に部分的に存在し得る電流コイル122及び124を更に含む。電流コイル122は、銅棒などの導電性金属の本体122aを含み、本体122aは、ブレード122b及び122cのいずれかの端部で終端する。メータ101がメータ取付装置に適切に設置されると、ブレード122bはジョー52aによって受容され、ブレード122cはジョー54aによって受容される。したがって、電力線50aから、ジョー52a、電流コイル122、ジョー54a、及び接続部60aを介して、負荷60に電気が流れ得る。ブレード122b、122cは、一般的にハウジングの外部にあり、電流コイル122の本体122aは、ハウジングの内部を通って延びる。
【0024】
同様に、電流コイル124は、ブレード124b及び124cのいずれかの端部で終端する、銅棒などの導電性金属の本体124aを含む。メータ101が適切に設置されると、ブレード124bはジョー52bによって受容され、ブレード124cはジョー54bによって受容される。したがって、電力線50bから、ジョー52b、電流コイル124、ジョー54b、及び接続部60bを介して、負荷60に電気が流れ得る。ブレード124b、124cは、一般的にハウジングの外部にあり、電流コイル124の本体124aはハウジングの内部を通って延びる。ニュートラル線50nは、ブレード125を介してメータ内に結合される。
【0025】
温度センサ回路170及び190は、ホットソケット状態を示す現象を識別するように構成される。このような現象は、メータ101の温度が閾値温度レベルを超える現象を含む。温度センサ回路170は、(第一相の電気を供給される)電流コイル122の温度を測定するように構成され、温度センサ回路190は、(第二相の電気を供給される)電流コイル124の温度を測定するように構成される。このように、多相システムでは、複数の温度センサ回路が採用されてもよく、例えば、1相につき1つの温度センサ回路が採用されてもよい。
【0026】
より具体的には、温度センサ回路170は、コア174に関する巻線172に接続されている。コア174は、電流センサ回路160に関して説明したのと同じコアであり、例えば、電流コイル122の電流を検出するように配置されているコアである。巻線172は、バイファイラ巻線、すなわちコア174の周りの2本の平行巻線である。更なる詳細については、図2及び図4に関して説明される。同様に、温度センサ回路190は、コア194に関する巻線192に接続されている。コア194は、電流センサ回路180に関して説明したコア184と同一であってもよく、例えば、電流コイル124の電流を検出するように配置されたコアである。巻線192は、バイファイラ巻線、すなわちコア194の周りの2本の巻線である。温度センサ回路170及び190の実施例は、図2及び図4に関して説明される。
【0027】
温度センサ回路170及び/又は190がホットソケット状態を検出した場合、メータ101は、メータ101への損傷を防止又は最小化し、かつ、負荷60への供給の中断を防止又は最小化するための緩和ステップを行うことができるように、遠隔デバイスに警告信号を送るように構成され得る。緩和ステップは、遠隔で供給スイッチ105に供給を切断させること含んでもよい。
【0028】
電流センサ回路160は、電流コイル122に流れる電流を検出するように動作可能である。電流センサ回路160は、コア164の周りに配置された巻線162を含む。コア164は、電流コイル122の電流を検出するように配置される変流器の一部であってもよい。電流センサ回路180は、電流コイル124に流れる電流を検出するように動作可能である。電流センサ回路180は、コア184の周りに配置された巻線182を含む。コア184は、電流コイル124の電流を検出するように配置される変流器の一部であってもよい。
【0029】
計測回路112は、アナログ-デジタル(A/D)コンバータ114と、処理回路115とを含む。処理回路115は、A/Dコンバータ114、メモリ120、及び/又は他のサポートデバイスを含む市販のチップパッケージの一部であってもよい。A/Dコンバータ114は、センサ回路110によって生成されるアナログ測定信号をサンプリングするように構成された任意の適切なアナログ-デジタル変換器であってよい。A/Dコンバータ114は、処理回路115に、生成したデジタル測定信号を供給するように動作可能に結合される。
【0030】
処理回路115は、メモリに記憶されたプログラム命令を実行して、本明細書に記載された様々な機能、及び他の計測機能を実行するように構成された処理装置を含む。処理回路115は、A/Dコンバータ114からデジタル測定信号を受信し、そこから電圧測定値、電流測定値、温度測定値、又はエネルギー消費データを生成するように動作可能に結合される。図6では、温度測定値を生成するために使用される処理の一例が説明される。処理回路115は、デジタル処理回路を含むことができる。デジタル処理回路は、デジタル化された測定信号を処理し、それによってエネルギー消費データ、電力消費データ、電圧データ、電流データ、又は温度データを生成する、処理回路115は、コントローラ及び/又はデジタル信号プロセッサの機能を含んでもよい。処理回路115は、詳細には示していないが、全般制御回路及び監視処理回路を適当に含むことができる。処理回路115は、図示しないシリアル入出力ポート、又は同じく図示しない通信回路で外部装置と情報を通信する。
【0031】
メモリ120は、様々なタイプの1以上の記憶装置を含む。メモリ120は、揮発性又は不揮発性のランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、又は他の読取り可能及び/又は書込み可能なメモリデバイスを含んでもよい。メモリ120は、本明細書に記載の動作を実行するために処理回路115によって使用される命令及び/又はパラメータを記憶し、エネルギー消費データを更に記憶してもよい。メモリ120は、非一時的なコンピュータ可読媒体を含むことができる。
【0032】
通信回路121は、処理回路115だけでなく、少なくとも1つの外部デバイスと情報を通信するように動作可能に結合される。この目的のために、通信回路121は、図示しない半透明又は透明な光ポートに配置された光トランシーバを含んでもよい。また、通信回路121は、電力線モデム、無線周波数(RF)トランシーバ、例えば、ページャ無線、又は広域通信網(WAN)、若しくは他の無線通信ネットワークで送信することができる他の無線デバイス、又はセルラー無線などの遠隔通信回路を含んでもよい。
【0033】
ディスプレイ130は、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、又はタッチスクリーンなどの、メータ100に関する情報を出力するのに適した任意のディスプレイである。例えば、情報は、メータ100の動作状態、例えば測定若しくはネットワークの状態、又は消費情報を含み得る。
【0034】
図2は、本開示の一態様に係る、直列に接続された巻線を有するバイファイラ巻線を有する例示的な温度センサ回路の模式図である。図2は、温度センサ回路201と、電流コイル202と、変換器210と、A/Dコンバータ114と、処理回路115と、DC電圧源250と、電流センサ回路260とを含むメータ環境200を示している。DC電圧源250は、メータの電源によって供給されてもよいし、メータ内の別の部品から供給されてもよい。温度センサ回路201は、温度センサ回路170又は190の実施例である。
【0035】
温度センサ回路201は、第1のバイファイラ巻線220と、第2のバイファイラ巻線230と、検出抵抗器240とを含む。第1のバイファイラ巻線220は、スタートリード線222とフィニッシュリード線224とを含む。第2のバイファイラ巻線230は、スタートリード線232とフィニッシュリード線234とを含む。第1のバイファイラ巻線220及び第2のバイファイラ巻線230は、長さが同一であり、スタートリード線222及びスタートリード線232が変流器の第1の端部にあり、フィニッシュリード線224及びフィニッシュリード線234が変流器の第2の端部にあるように変換器210のコアに巻回されている。
【0036】
変換器210は、一次巻線である電流コイル202の電流を検出するように配置されている。変換器210は、二次巻線である第1のバイファイラ巻線220及び第2のバイファイラ巻線230と、同じく二次巻線である電流センサ巻線270と、を含む。電流センサ巻線270は、電流センサ回路260によって、電流コイル202に流れる電流を検知するために使用される。電流センサ回路260は、検出抵抗器261を含む。
【0037】
描かれているように、第1のバイファイラ巻線220及び第2のバイファイラ巻線230は、直列構成である。スタートリード線222は、スタートリード線232に接続されている。フィニッシュリード線224は、DC電圧源250に接続されている。フィニッシュリード線234は、検出抵抗器240の第1端と、A/Dコンバータ114の入力とに接続されている。検出抵抗器240の第2端は、グランドに接続されている。
【0038】
代替的な構成(図示せず)では、フィニッシュリード線224は、フィニッシュリード線234に接続される。この構成では、スタートリード線222はDC電圧源250に接続され、スタートリード線232は検出抵抗器240の第1端に接続され、検出抵抗器240の第2端はグランドに接続されている。
【0039】
第1のバイファイラ巻線220は固有抵抗R1を有し、第2のバイファイラ巻線220は固有抵抗R2を有し、検出抵抗器は抵抗R3を有する。いくつかの例では、検出抵抗器の抵抗R3は、バイファイラ巻線の巻線群の固有抵抗より大きい。一例では、バイファイラ巻線のそれぞれの固有抵抗は100オームであり、検出抵抗器の抵抗は200オームであり、第1のバイファイラ巻線220の固有インピーダンスL1は50ヘンリーであり、第2のバイファイラ巻線の固有インピーダンスL2は50ヘンリーである。
【0040】
第1及び第2のバイファイラ巻線の抵抗率の温度係数(又は温度係数)が検出抵抗器の抵抗率の温度係数と異なるので、電流コイル(一次巻線)の温度が変化すると、検出抵抗器R3に加わる測定電圧は変化する。一例では、検出抵抗器の温度係数は、各バイファイラ巻線の温度係数よりも小さい。温度係数の例は、各バイファイラ巻線についての0.00393と、検出抵抗器についての0.0001とを含む。
【0041】
DC電圧源250によって電圧が印加されると、A/Dコンバータ114は、検出抵抗器240に加わる電圧を示す信号を受信する。一例では、DC電圧源は、第1のバイファイラ巻線のフィニッシュリード線に約3.3ボルトを供給する。A/Dコンバータは、信号をデジタル出力に変換する。処理回路115は、A/Dコンバータ114からデジタル出力信号を受信し、デジタル信号を使用して温度値を判定する。DC電圧源によって提供される電圧レベル及び検出抵抗器のサイズは、A/Dコンバータの規定に基づいて選択されてもよい。いくつかの実施例では、電流コイルが予想される通常の動作温度で動作しているときのA/Dコンバータへの入力がA/Dコンバータの範囲の中央になるように、電圧と抵抗を選択する。電流コイルの温度が変化すると、検出抵抗器における測定電圧は変化する。したがって、図3に示すように、測定された電圧は、温度を表す。
【0042】
図3は、本開示の一態様に係る、測定電圧と温度との関係を示すグラフである。図3は、プロット310を含むグラフ300を示す。プロット310は、検知された電圧302対温度301を示す。温度が上昇するにつれて、検知された電圧が減少することがわかる。
【0043】
図4は、本開示の一態様に係る、並列に接続された巻線を有するバイファイラ巻線を有する例示的な温度センサ回路の模式図である。図4は、温度センサ回路401と、電流コイル402と、変流器410と、A/Dコンバータ114と、処理回路115と、DC電圧源450と、電流センサ回路460とを含むメータ環境400を示している。DC電圧源450は、メータの電源によって供給されてもよいし、メータ内の別の部品から供給されてもよい。温度センサ回路401は、温度センサ回路170又は190の実施例である。
【0044】
温度センサ回路401は、第1のバイファイラ巻線420と、第2のバイファイラ巻線430と、検出抵抗器440とを含む。第1のバイファイラ巻線420は、スタートリード線422とフィニッシュリード線424とを含む。第2のバイファイラ巻線430は、スタートリード線432とフィニッシュリード線234とを含む。第1のバイファイラ巻線420及び第2のバイファイラ巻線430は、長さが同一であり、スタートリード線422及びスタートリード線432が変流器の第1の端部にあり、フィニッシュリード線424及びフィニッシュリード線434が変流器の第2の端部にあるように変流器410のコアに巻回されている。
【0045】
変流器410は、一次巻線である電流コイル402の電流を検出するように配置され、変流器410は、二次巻線である第1のバイファイラ巻線420及び第2のバイファイラ巻線430と、同じく二次巻線である電流センサ巻線470と、を含む。電流センサ巻線470は、電流センサ回路460によって、電流コイル402に流れる電流を検知するために使用される。電流センサ回路460は、検出抵抗器461を含む。
【0046】
第1のバイファイラ巻線420と第2のバイファイラ巻線430とは、並列に接続されている。スタートリード線422とフィニッシュリード線434とは互いに接続され、DC電圧源450に接続される。フィニッシュリード線424及びスタートリード線432は、検出抵抗器440に接続され、この抵抗器は次にグランドに接続される。フィニッシュリード線424及びスタートリード線432は、A/Dコンバータ114の入力にも接続されている。このようにして、第1のバイファイラ巻線420及び第2のバイファイラ巻線430は、反対であるが等しい磁場を生じさせるように方向付けられている。したがって、第1のバイファイラ巻線420に流れる電流によって生じる磁場は、第2のバイファイラ巻線430に流れる電流によって生じる磁場を打ち消し、その結果、コア上の正味の流束はゼロとなり、電流センサ回路460によって行われる電流測定の精度に対する影響は非常に小さくなる。
【0047】
第1のバイファイラ巻線420は固有抵抗R1を有し、第2のバイファイラ巻線420は固有抵抗R2を有し、検出抵抗器は抵抗R3を有する。いくつかの例では、検出抵抗器の抵抗R3は、バイファイラ巻線の巻線群の固有抵抗より大きい。一例では、バイファイラ巻線のそれぞれの固有抵抗は10,000オームであり、検出抵抗器の抵抗は5,000オームであり、第1のバイファイラ巻線420の固有インピーダンスL1は100ヘンリーであり、第2のバイファイラ巻線430の固有インピーダンスL2は100ヘンリーである。
【0048】
第1及び第2のバイファイラ巻線の抵抗率の温度係数(又は温度係数)が検出抵抗器の抵抗率の温度係数と異なるので、電流コイル(一次巻線)の温度が変化すると、検出抵抗器R3に加わる測定電圧は変化する。一例では、検出抵抗器の温度係数は、各バイファイラ巻線の温度係数よりも小さい。温度係数の例は、各バイファイラ巻線についての0.00393と、検出抵抗器についての0.001とを含む。
【0049】
DC電圧源450によって電圧が印加されると、A/Dコンバータ114は、検出抵抗器440に加わる電圧を示す信号を受信する。一例では、DC電圧源は、第1のバイファイラ巻線のスタートリード線に約3.3ボルトを供給する。A/Dコンバータは、信号をデジタル出力に変換する。処理回路115は、A/Dコンバータ114からデジタル出力信号を受信し、デジタル信号を使用して温度値を判定する。DC電圧源によって提供される電圧レベル及び検出抵抗器のサイズは、A/Dコンバータの規定に基づいて選択されてもよい。いくつかの実施例では、電流コイルが予想される通常の動作温度で動作しているときのA/Dコンバータへの入力がA/Dコンバータの範囲の中央になるように、電圧と抵抗を選択する。電流コイルの温度が変化すると、検出抵抗器における測定電圧は変化する。したがって、図5に示すように、測定された電圧は、温度を表す。
【0050】
図5は、本開示の一態様に係る、測定電圧と温度との関係を示すグラフである。図5は、プロット510を含むグラフ500を示す。プロット510は、検知された電圧502対温度501を示す。温度が上昇するにつれて、検知された電圧が減少することがわかる。
【0051】
図6は、本開示の一態様に係る、電流コイルの温度を導出するための処理の一例を示すフローチャートである。図6は、説明のために図2によって例示される回路に関して説明されるが、図4によって例示される回路で実行されてもよい。
【0052】
ブロック601において、処理600は、変流器の二次バイファイラ巻線に直流(DC)電圧信号を印加することを含む。図2を例として用いると、処理回路115は、DC電圧源250からのDC電圧を、第1のバイファイラ巻線220及び第2のバイファイラ巻線230に印加させる。メータ101に電力が供給されている限り、処理回路115は、DC電圧源250に電力を供給することができ、このDC電圧源は、次に、バイファイラ巻線に電力を供給する。
【0053】
ブロック602において、処理600は、バイファイラ巻線に接続される検出抵抗器に加わる電圧に対応する入力を受信することを含む。A/Dコンバータ114は、検出抵抗器240に加わる電圧を示す信号を受信する。
【0054】
ブロック603において、処理600は、検出抵抗器に加わる電圧を使用して温度を判定することを含む。処理回路115は、A/Dコンバータ114から、検出抵抗器に加わる電圧を表すデジタル化された電圧を受信し、デジタル化された電圧を温度に変換する。処理回路115は、(例えば、図3に描かれているような)電圧と温度との間の予め定義された比率又はスケールを使用することができる。
【0055】
ブロック604において、処理600は、温度が温度閾値を超えたと判定したことに応答し、ホットソケット状態を検出することを含む。温度が温度閾値より高い場合、処理回路115は、ホットソケット状態を識別することができる。これに応答して、処理回路115は、通信回路121にヘッドエンドシステムに向けてメッセージを送信させる、又は、供給スイッチ105を切断するなどの動作を実行することができる。
【0056】
本主題は、その特定の側面に関して詳細に説明されたが、当業者は、前述の理解を得た上で、そのような側面に対する変更、変形、及び均等物を容易に作り出せることが理解されるであろう。したがって、理解されるべきなのは、本開示が限定ではなく例示の目的で提示されており、当業者に容易に明らかになるような本主題に対する変更、変形、及び/又は追加を含むことを排除しないことである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6