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特許7667387売却予測装置、売却予測方法および売却予測プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-15
(45)【発行日】2025-04-23
(54)【発明の名称】売却予測装置、売却予測方法および売却予測プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20240101AFI20250416BHJP
【FI】
G06Q50/16
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022551451
(86)(22)【出願日】2020-09-23
(86)【国際出願番号】 JP2020035670
(87)【国際公開番号】W WO2022064545
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-02-21
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100178216
【弁理士】
【氏名又は名称】浜野 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】榊原 聡
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 悠介
(72)【発明者】
【氏名】川地 章夫
(72)【発明者】
【氏名】榛澤 祐哉
(72)【発明者】
【氏名】宋 暁宇
【審査官】久宗 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-016321(JP,A)
【文献】特開2020-119413(JP,A)
【文献】国際公開第2017/056368(WO,A1)
【文献】特開2019-179319(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0330231(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0324939(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
過去に取引が成立した住宅の売却に関する邸・顧客データ、売却実績データ及び物件査定データを用いた機械学習を実施して生成された住宅を売却する可能性のある顧客を予測する予測モデルに、対象となる売却実績のない邸・顧客データ及び物件査定データを入力して、売却実績のない顧客において住宅を売却する可能性のある顧客を予測する売却予測手段と、
予測された顧客を出力する出力手段と、を備え、
邸・顧客データは、顧客の属性として、顧客ID、性別、年齢、住所、職業、年収、家族構成、土地所有有無、購買履歴、顧客ランク、及び、ローン残債の少なくとも一つのデータを含むデータである、売却予測装置。
【請求項2】
過去に取引が成立した住宅の売却に関する邸・顧客データ、売却実績データ及び物件査定データを用いた機械学習を実施して前記予測モデルを生成する学習手段を更に備える、請求項1に記載の売却予測装置。
【請求項3】
前記学習手段が生成する前記予測モデルは、住宅を売却する可能性のある顧客を予測する複数の予測式と、内部ノードに条件式が割り当てられ、葉ノードに当該予測式が割り当てられている選択条件とによる木構造で構成される、請求項2に記載の売却予測装置。
【請求項4】
前記学習手段は、機械学習に用いられる前記邸・顧客データ、前記売却実績データ、又は、前記物件査定データを条件データとし、機械学習における学習アルゴリズムにより、前記予測モデルの候補から、前記予測式と前記予測式が成立する条件データを導出して前記予測モデルを生成する、請求項3に記載の売却予測装置。
【請求項5】
前記売却予測手段は、前記予測された顧客に用いられた前記予測モデルにおいて、売却する可能性のある顧客についての住宅を売却する可能性を示す顧客のスコアの算出に影響を与えた項目を予測要因として抽出する、請求項4に記載の売却予測装置。
【請求項6】
前記出力手段は、前記予測された顧客と、前記予測された顧客に関連する前記予測要因を含む顧客リストを出力する、請求項5に記載の売却予測装置。
【請求項7】
前記出力手段は、予測された顧客のうち、所定の条件を満たす顧客候補を出力する、請求項1から6のいずれか1つに記載の売却予測装置。
【請求項8】
過去に取引が成立した住宅の売却に関する邸・顧客データ、売却実績データ及び物件査定データを用いた機械学習を実施して生成された住宅を売却する可能性のある顧客を予測する予測モデルに、対象となる売却実績のない邸・顧客データ及び物件査定データを入力して、売却実績のない顧客において住宅を売却する可能性のある顧客を予測し、
予測された顧客を出力し、
邸・顧客データは、顧客の属性として、顧客ID、性別、年齢、住所、職業、年収、家族構成、土地所有有無、購買履歴、顧客ランク、及び、ローン残債の少なくとも一つのデータを含むデータである、売却予測方法。
【請求項9】
過去に取引が成立した住宅の売却に関する邸・顧客データ、売却実績データ及び物件査定データを用いた機械学習を実施して生成された住宅を売却する可能性のある顧客を予測する予測モデルに、対象となる売却実績のない邸・顧客データ及び物件査定データを入力して、売却実績のない顧客において住宅を売却する可能性のある顧客を予測し、
予測された顧客を出力することをコンピュータに実行させ、
邸・顧客データは、顧客の属性として、顧客ID、性別、年齢、住所、職業、年収、家族構成、土地所有有無、購買履歴、顧客ランク、及び、ローン残債の少なくとも一つのデータを含むデータである、売却予測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、住宅を売却する可能性のある顧客を予測する売却予測装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅メーカーの営業担当者は、住宅を売却する可能性のある顧客を知ることで、新規又は既存顧客との接触機会を創出し、種々の施策を実施して販売促進につなげることができる。しかし、住宅を売却するタイミングは顧客ごとに異なる。
【0003】
営業活動を支援するシステムとして、特許文献1は、不動産の売り出し価格の決定又は成約価格の調整の参考のために不動産取引の成約確率を予測する情報処理装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-16321号公報
【文献】米国公開特許US2014/0222741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の開示技術は、売却の意思を示す顧客のために不動産取引の成約確率を予測するものであり、住宅を売却する可能性のある顧客を予測するものではない。本開示の目的の1つは、住宅を売却する可能性のある顧客を予測する売却予測装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の観点である売却予測装置は、
邸・顧客データ、売却実績データ及び物件査定データに基づき生成された住宅を売却する可能性のある顧客を予測する予測モデルと、対象となる顧客の邸・顧客データ及び物件査定データとに基づいて、住宅を売却する可能性のある顧客を予測する売却予測手段と、
予測された顧客を出力する出力手段を備える。
【0007】
本開示の第2の観点である売却予測方法は、
邸・顧客データ、売却実績データ及び物件査定データに基づき生成された住宅を売却する可能性のある客を予測する予測モデルと、対象となる顧客の邸・顧客データ及び物件査定データとに基づいて、住宅を売却する可能性のある顧客を予測し、予測された顧客を出力する。
【0008】
本開示の第3の観点である売却予測プログラムは、
邸・顧客データ、売却実績データ及び物件査定データに基づき生成された住宅を売却する可能性のある顧客を予測する予測モデルと、対象となる顧客の邸・顧客データ及び物件査定データとに基づいて、住宅を売却する可能性のある顧客を予測し、予測された顧客を出力することをコンピュータに実行させる。
【0009】
売却予測プログラムは、コンピュータが読み書き可能な非一時的な記録媒体に格納されていても良い。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、住宅を売却する可能性のある顧客を予測する売却予測装置等を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態による売却予測装置とデータベースの構成の一例を示すブロック図である。
図2】邸・顧客データのデータ構造の一例を示す図である。
図3】売却実績データのデータ構造の一例を示す図である。
図4】物件査定データのデータ構造の一例を示す図である。
図5】予測モデルの一例を示す図である。
図6】予測モデルと条件分岐と影響度の一例を示す図である。
図7】第1の実施形態に係る売却予測装置の動作の一例を示すフロチャートである。
図8】第2の実施形態に係る売却予測装置の構成の一例を示すブロック図である。
図9】第2の実施形態に係る売却予測装置の動作の一例を示すフロチャートである。
図10】コンピュータのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施形態>
第1の実施形態による売却予測システムについて図面を用いて説明する。図1は、第1の実施形態による売却予測システムの構成の例を示すブロック図である。図1に示す、売却予測システムは、売却予測装置10、データベース20を備える。売却予測装置10の一例は、コンピュータである。データベース20の一例は、メモリまたはストレージである。
【0013】
売却予測装置10は、学習部11、売却予測部12、出力部13を備える。データベース20は、邸・顧客データ21、売却実績データ22、物件査定データ23、予測モデルデータ24を格納する。
【0014】
(データベース)
図2は、邸・顧客データ21の一例を示すデータ構造である。図2に示す邸・顧客データ21は、顧客情報、土地情報、建物情報を含む。邸・顧客データ21は、これらの情報に限られない。
【0015】
顧客情報は、顧客の属性を示す情報であり、例えば、顧客ID、性別、年齢、住所、職業、年収、家族構成、土地所有有無、購買履歴(物件)、顧客ランク、ローン残債などを項目とするデータを含む。なお、顧客情報は、上記の項目に限られず、SNS(Social Network Service)履歴等、顧客の売却行動に影響を与えうるその他の項目を含んでいてもよい。
【0016】
土地情報は、土地の属性を示す情報であり、例えば、所在地、面積、用途地域、地盤情報、周辺環境、建蔽率/容積率、方位、道路面、眺望/通気性などを項目とするデータを含む。周辺環境は、住宅周辺の生活に関連する施設の情報である。施設は、例えば、商業施設、医療施設、学校、公園などである。なお、土地情報は上記の項目に限られず、顧客の売却行動に影響を与えうるその他の項目を含んでいてもよい。
【0017】
建物情報は、建物の属性を示す情報であり、例えば、建築日(築年数)、建物構造、延床面積/建築面積、間取り、住宅性能情報、設備情報、庭/ガレージ情報、リフォーム情報、瑕疵(物理、法律、心理)を項目とするデータを含む。設備情報は、照明・コンセント・インターホンなどの電気設備と、冷暖房、換気扇などの空調設備と、キッチン、トイレ、浴室などの給排水設備に関する情報を含む。庭/ガレージ情報は、庭やガレージの有無、大きさに関する情報を含む。リフォーム情報には、建物の内装、外装の修繕、及び、バス、トイレ、キッチンなどの設備の修繕と、それら修繕金額、および、修繕実施日が含まれる。建物情報は、上記の項目に限られず、顧客の売却行動に影響を与えうるその他の項目を含んでいてもよい。
【0018】
図3は、売却実績データ22の一例を示すデータ構造である。図3に示す売却実績データ22は、売却情報、顧客情報、土地情報、建物情報を含む。売却情報は、過去に取引が成立した住宅の売却に関する情報である。売却情報は、例えば、商談ID、売出価格、売却価格、売出期間、引渡日、商談担当IDなどを項目とするデータを含む。なお、図3の売却実績データにおける顧客情報、土地情報、建物情報は、図2に示す顧客情報、土地情報、建物情報に用いる項目のデータであってもよい。
【0019】
図4は、物件査定データの一例を示すデータ構造である。図4に示す物件査定データ23は、査定情報、土地情報、建物情報を含む。査定情報は、物件の査定に関する情報である。査定情報は、例えば、査定ID、顧客ID、査定日、査定価格(土地代、建物代)、税金、査定担当IDなどを項目とするデータを含む。
【0020】
査定価格は、取引仲介業者によって、物件が売却できそうな価格として算出される。例えば、査定価格は、査定対象の物件(住宅)と似通った条件の物件の最新売却事例と比較して算定される。このため取引仲介業者ごとに査定価格は異なる。売主は、複数の査定価格を参考にして売出価格を決定する。なお、図4の物件査定データにおける土地情報、建物情報は、図2に示す土地情報、建物情報で用いる項目のデータであってもよい。
【0021】
予測モデルデータは、学習部11によって生成された複数の予測モデルを含む。予測モデルは、住宅売却に関するデータに基づき、機械学習アルゴリズムによって生成される。生成された予測モデルは、住宅を売却する可能性がある顧客を予測するモデルである。住宅売却に関するデータとは、例えば、売却実績データ、物件査定データである。
【0022】
(売却予測装置)
第1の実施形態の売却予測装置について図面を用いて説明する。図1において、売却予測装置10は、学習部11、売却予測部12、出力部13を備える。学習部11は、データベース20から邸・顧客データ21、売却実績データ22、物件査定データ23を取得する。学習部11は、取得した邸・顧客データ21、売却実績データ22、物件査定データ23を用いて機械学習を実施し、予測モデル、および、予測モデルに関連する各種パラメータを算出(生成)する。学習部11は、例えば、売却実績のある邸・顧客データ21と物件査定データ23を説明変数、売却実績データ22から売れたか否かを目的変数として学習を行い、予測モデルを生成する。学習部11は、生成された予測モデル、各種パラメータをデータベース20に登録し、予測モデルデータ24を更新する。
【0023】
例えば、学習部11は、FAB推論(Factorized Asymptotic Bayesian Inference)等を含む異種混合学習を用いて予測モデルを生成する。なお、異種混合学習の手法は、例えば特許文献2に開示されている。具体的には、学習部11は、回帰式である複数の予測式と、予測式の選択条件で構成される予測モデルを生成する。学習部11では、学習アルゴリズムにより、邸・顧客データ21、売却実績データ22、物件査定データ23から複数の規則性(予測式)とそれが成立する条件データ(邸・顧客データ、売却実績データ、物件査定データ)が導出される。
【0024】
図5は、予測モデルの一例を示す図である。図5に示す予測モデルは、分類分けされた複数の予測式(パターン1、2、3、4、5)と選択条件による木構造で表現される。木構造の内部ノードには条件式、葉ノードには、各予測式が割り当てられる。内部ノードには、例えば、「特定箇所の工事を実施済み?」のような特徴量を使用した条件式が1つ割り当てられる。なお、上記では、学習部11が、ホワイトボックス型の機械学習の一つである異種混合学習によって予測モデルを生成する例で説明したが、これに限られず、決定木学習、一般線形モデルを用いてもよい。例えば、学習部11は、他のホワイトボックス型の機械学習を用いて予測モデルを生成してもよい。あるいは、学習部11で生成される予測モデルは、ディープラーニング、ニューラルネットワーク等、その他公知の機械学習の手法を用いることができる。
【0025】
売却予測部12は、データベース20の予測モデルデータ24から予測モデルを取得し、対象となる顧客の邸・顧客データ21及び物件査定データ23の情報を、取得した予測モデルに入力して出力値を得る。例えば、上記の予測モデルの場合、売却予測部12は、分類分けされた各パターン(予測式)に従って各項目(築年数等)の影響の度合(パターンによって重みが異なる)を実際の値(築Y年等)へそれぞれ掛け合わせることでスコアを算出する。売却予測部12は、例えば、売却実績のない邸・顧客データと物件査定データを使って、住宅を売却する可能性のある顧客を予測する。なお、売却実績のある邸・顧客データと物件査定データを使って、住宅を売却する可能性のある顧客を予測してもよい。
【0026】
図6は、予測モデルと売却への影響度の一例を示す図である。図6に示す予測モデルでは「XX工事を実施」、「築年数」を用いて顧客をパターン6、7、8のいずれかに分類する(図6参照)。売却予測部21は、分類された各パターンにおいて、当該顧客の邸・顧客データ21に基づくパラメータを用いて顧客のスコアを算出する。例えば、分類されたパターンにおけるパラメータが、YY点検実施済み、保証工事経験、建築地の人口密度、顧客満足度である場合、売却予測部21、各パラメータの値を正規化処理(平均が0、分散が1になるように値を加工する)にて算出する。売却予測部21は、算出された値を合算して顧客のスコアとする。このとき、算出されたパラメータの値に重みをかけ、重み付き値を合算して顧客のスコアとしてもよい。なお、上記の算出手法は一例であり、より多くのパラメータを使用してスコアを算出してもよい。
【0027】
なお、売却予測の実行結果(予測した顧客リストの客が実際に物件を売却したか等)のデータを予測モデルにフィードバックしてもよい。
【0028】
売却予測部12は、スコアの高い顧客ほど、住宅を売却する可能性が高い顧客と捉え、スコアの高い顧客から降順に並べて、顧客リストを生成する。生成された顧客リストは出力部13に引き渡される。
【0029】
売却予測部12は、当該出力値に基づき、住宅を売却する可能性のある顧客を抽出する。売却予測部12は、顧客の抽出時に、当該顧客が抽出された理由、すなわち、当該顧客のスコアが高くなる要因(予測の根拠)であるパラメータを一緒に抽出することが好ましい。
【0030】
出力部13は、売却予測部12による予測の結果、売却との関連性において所定の条件を満たす顧客候補を出力する。所定の条件を満たす顧客とは、例えば、売却予測部12が算出するスコアが所定の値以上であることを指す。
【0031】
出力部13は、売却予測部12が生成した顧客の候補がリスト化された顧客リストを受け取ると、売却予測装置10の表示部(図示せず)に表示する、又は、営業担当者の端末(図示せず)に送信する。
【0032】
出力部13は、例えば、顧客リストを出力する。顧客リストの一例は、顧客順位、顧客ID、予測要因(算出根拠)についての情報を項目とするデータである。顧客順位は顧客をスコアの高い順に並べた順位である。売却予測要因は、スコアの算出にあたり、より大きな影響を与えたパラメータである。例えば、建物情報の築年数、リフォーム情報、間取り、さらに、顧客情報の年齢、家族構成などが大きな影響を与えたパラメータである場合、これらが各々の顧客(例えば、顧客ID等)に紐づけられる売却予測の要因として出力される。
【0033】
次に、第1の実施形態の売却予測装置10の動作について図面を用いて説明する。図7は、売却予測装置10の動作の一例を示すフロチャートである。売却予測装置10の学習部11は、データベース20から邸・顧客データ21、売却実績データ22と、物件査定データ23を取得する。学習部11は、邸・顧客データ21、売却実績データ22と物件査定データ23に基づき、住宅を売却する可能性のある顧客を予測する予測モデルを生成する(ステップS11)。学習部11は、生成した予測モデルをデータベース20の予測モデルデータ24に登録する。
【0034】
売却予測部12は、データベース20から邸・顧客データ21と、予測モデルを含む予測モデルデータ24を取得する。売却予測部12は、住宅を売却する可能性のある顧客を予測する予測モデルと、対象となる顧客の邸・顧客データとに基づいて、住宅を売却する可能性のある顧客を予測する(ステップS12)。売却予測部12は、住宅を売却する可能性がある顧客を出力部13に引き渡す。
【0035】
出力部13は、予測された顧客のうち、所定の条件を満たす顧客候補を出力する(ステップS13)。出力部13は、顧客の候補のリストを顧客リストとして出力してもよい。出力部13は、例えば、顧客リストを営業担当者の端末(図示)に送信する。営業担当者は、当該顧客リストに含まれる顧客を優先して営業活動することで、営業効率を上げることができる。
【0036】
(第1の実施形態の効果)
第1の実施形態によれば、学習部11が、邸・顧客データ、売却実績データ及び物件査定データに基づき、住宅を売却する可能性のある顧客を予測する予測モデルを生成し、売却予測部12が、生成された予測モデルと、対象となる顧客の邸・顧客データ及び物件査定データとに基づいて、住宅を売却する可能性のある顧客を予測する。出力部13は、予測された顧客のうち、所定の条件を満たす顧客候補を出力する。これにより、住宅を売却する可能性の高い顧客を予測することができる。
【0037】
<第2の実施形態>
本開示の第2の実施形態について図面を用いて説明する。第2の実施形態に係る売却予測装置30は、第1の実施形態に係る売却予測装置10の学習部11を除いた構成を備える。第2の実施形態の売却予測装置30は、第1の実施形態のデータベース20に格納された予測モデルデータ24を用いる。予測モデルデータ24は、第1の実施形態の学習部11によって生成された予測モデル等を含む。
図8は、第2の実施形態に係る売却予測装置の構成の一例を示すブロック図である。図8に示す売却予測装置30は、売却予測部32、出力部33を備える。売却予測部32、出力部33は、第1の実施形態の売却予測部12、出力部13と同様の機能を有する。
【0038】
売却予測部32は、邸・顧客データ、売却実績データ及び物件査定データに基づき生成された住宅を売却する可能性のある顧客を予測する予測モデルと、対象となる顧客の邸・顧客データと物件査定データに基づいて、住宅を売却する可能性のある顧客を予測する。ここで、売却実績データ、物件査定データ、邸・顧客データは、第1の実施形態に記載した売却実績データ22、物件査定データ23、邸・顧客データ21と同様のデータを用いる。
【0039】
出力部33は、住宅を売却すると予測された顧客を出力する。第1の実施形態の売却予測装置10において、出力部13は、予測された顧客のうち、所定の条件を満たす顧客候補を出力していた。第2の実施形態の売却予測装置30の出力部33は、出力部13における所定の条件による制約を除いている。
【0040】
図9は、第2の実施形態の売却予測装置30の動作の一例を示すフロチャートである。図9に示すように、第2の実施形態の売却予測装置30によれば、売却予測部32は、データベース20から予測モデルデータ24と、邸・顧客データ21および物件査定データ23を取得する。予測モデルデータ24には、邸・顧客データ21、売却実績データ22と物件査定データ23に基づき生成された住宅を売却する可能性のある顧客を予測する予測モデルが含まれる。売却予測部32は、邸・住宅データ21、物件査定データ23及び予測モデルに基づき、住宅を売却する可能性のある顧客を予測する(ステップS22)。出力部33は、予測された顧客を出力する(ステップS22)。
【0041】
第2の実施形態の売却予測装置30は、第1の実施形態の売却予測装置10と同様に、住宅を売却する可能性の高い顧客を予測することができる。
【0042】
(ハードウェア構成)
各実施形態において、図1、8に示す売却予測装置における各構成要素の一部又は全部は、例えば、図10に示すコンピュータ60とプログラムとの任意の組み合わせを用いて実現することも可能である。コンピュータ60は、一例として、以下のような構成を含む。
【0043】
・CPU61
・ROM62
・RAM63
・プログラム64および他のデータを格納する記憶装置65
・記録媒体66の読み書きを行うドライブ装置67
・通信インターフェース68
・データの入出力を行う入出力インターフェース69
本願の各実施形態における売却予測装置の各構成要素は、これらの機能を実現するプログラム64をCPU61が取得して実行することで実現される。売却予測装置の各構成要素の機能を実現するプログラム64は、例えば、予め記憶装置65やRAM63に格納されており、必要に応じてCPU61が読み出す。なお、プログラム64は、通信ネットワークを介してCPU61に供給されてもよいし、予め記録媒体66に格納されており、ドライブ装置67が当該プログラムを読み出してCPU61に供給してもよい。
【0044】
各装置の実現方法には、様々な変形例がある。例えば、売却予測装置は、構成要素毎にそれぞれ別個の情報処理装置とプログラムとの任意の組み合わせにより実現されてもよい。また、売却予測装置が備える複数の構成要素が、一つのコンピュータ60とプログラムとの任意の組み合わせにより実現されてもよい。
【0045】
また、売却予測装置の各構成要素の一部又は全部は、その他の汎用または専用の回路、プロセッサ等やこれらの組み合わせによって実現される。これらは、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。
【0046】
売却予測装置の各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組み合わせによって実現されてもよい。
【0047】
売却予測装置の各構成要素の一部又は全部が複数の情報処理装置や回路等により実現される場合には、複数の情報処理装置や回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、情報処理装置や回路等は、クライアントアンドサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。
【0048】
以上、本実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0049】
10 売却予測装置
11 学習部
12 売却予測部
13 出力部
20 データベース
21 邸・顧客データ
22 売却実績データ
23 物件査定データ
24 予測モデルデータ
30 売却予測装置
32 売却予測部
33 出力部
60 コンピュータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10