(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-15
(45)【発行日】2025-04-23
(54)【発明の名称】情報提供装置、情報提供方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G01B 15/06 20060101AFI20250416BHJP
G01B 15/00 20060101ALI20250416BHJP
G01S 13/90 20060101ALI20250416BHJP
【FI】
G01B15/06
G01B15/00 C
G01S13/90 127
(21)【出願番号】P 2023549175
(86)(22)【出願日】2021-09-21
(86)【国際出願番号】 JP2021034495
(87)【国際公開番号】W WO2023047441
(87)【国際公開日】2023-03-30
【審査請求日】2024-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100178216
【氏名又は名称】浜野 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】十文字 奈々
(72)【発明者】
【氏名】石井 孝和
(72)【発明者】
【氏名】平田 寛道
(72)【発明者】
【氏名】大野 翔平
【審査官】梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】特許第6806396(JP,B2)
【文献】特開2020-159981(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0114871(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第110208879(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第113281742(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第113251914(CN,A)
【文献】特開2015-108888(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112598881(CN,A)
【文献】国際公開第2021/084696(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 15/00 - 15/08
G01B 11/00 - 11/30
G01C 7/00 - 7/02
G01C 11/00 - 11/36
G01S 7/00 - 7/42
G01S 13/00 - 13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
SARによる観測データに基づき測定された、地表の変位量の測定データを取得し、また前記地表の変位量が測定された地点における地表の
気象データを取得する取得手段と、
前記地表の変位量の測定データと前記気象データとに基づいて、前記地表の変位量が測定された地点における
前記気象データを分類する分類手段と、
前記地表の変位量の測定データとリンクした、
前記気象データの分類を表すシンボルを少なくとも含む地表の特徴の分類を表すシンボルを、地図データとともに表示させる表示手段とを備えた
情報提供装置。
【請求項2】
前記取得手段は、前記地表の変位量の時系列データと、前記地表の変位量が測定された前記地点における気温の時系列データとの関連性の大きさを示す情報を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記取得手段は、前記地表の変位量の時系列の観測データと、前記地表の変位量が測定された前記地点における降水量の時系列データとの関連性の大きさを示す情報を取得する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記取得手段は、前記地表の変位量の測定データと、前記地表の変位量の予測データとの間の差分を示す情報を取得する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記表示手段は、
前記気象データを示すシンボルを、前記地図データとともに表示させる
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記気象データと対応する1つ以上の条件を利用者に選択させる条件選択手段をさらに備え、
前記表示手段は、選択された前記条件と対応する地表の特徴を示すシンボルを、前記地図データとともに表示させる
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の情報提供装置。
【請求項7】
前記表示手段は、前記地表の変位量の測定データと、前記地表の変位量の予測データとの間の差分の大きさを示す塗分けマップデータを表示させる
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の情報提供装置。
【請求項8】
前記表示手段は、前記シンボル及び前記地図データを表示する第1の画面と、前記塗分けマップ
データを表示する第2の画面とを切り替えるためのオプションボタンを表示させ、
前記オプションボタンに対する入力操作に基づいて、前記第1の画面と、前記第2の画面とを切り替える画面切替手段をさらに備えた
ことを特徴とする請求項7に記載の情報提供装置。
【請求項9】
SARによる観測データに基づき測定された、地表の変位量の測定データを取得し、また前記地表の変位量が測定された地点における地表の
気象データを取得し、
前記地表の変位量の測定データと前記気象データとに基づいて、前記地表の変位量が測定された地点における
前記気象データを分類し、
前記地表の変位量の測定データとリンクした、
前記気象データの分類を表すシンボルを少なくとも含む地表の特徴の分類を表すシンボルを、地図データとともに表示させる
情報提供方法。
【請求項10】
SARによる観測データに基づき測定された、地表の変位量の測定データを取得し、また前記地表の変位量が測定された地点における地表の
気象データを取得することと、
前記地表の変位量の測定データと前記気象データとに基づいて、前記地表の変位量が測定された地点における
前記気象データを分類することと、
前記地表の変位量の測定データとリンクした、
前記気象データの分類を表すシンボルを少なくとも含む地表の特徴の分類を表すシンボルを、地図データとともに表示させることと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供装置、情報提供方法、記録媒体、および観測システムに関し、例えば、SARによる観測データに基づく地図情報を提供する情報提供装置、情報提供方法、記録媒体、および観測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
合成開口レーダ(SAR;Synthetic Aperture Radar)は、航空機や人工衛星に搭載され、マイクロ波を使用して、地表からSARの搭載機までの距離を観測する。干渉SAR(InSAR;Interferometric SAR)と呼ばれる技術により、SARによる2回の観測データから、上下方向における地表の変位(隆起/沈下など)を、数センチレベルの精度で計測することができる(例えば、特許文献1)。また、昨今ではより多時期(約20回以上)の観測データからミリメートル精度の地表の変位を計測する技術も存在する(例えば、特許文献2)。ここでの地表とは、地面だけではなく、舗装や建造物などの人工物も含む。SARによる観測データは、国政および地質・地学の研究者に限られず、さまざまな産業において広く活用されている。例えば、SARにより観測された領域内における地表の変位量を色の要素(色相、明度)で表現(データビジュアライゼーション)した干渉SAR画像は、地盤沈下の状況を調査することや、地震に伴う地盤変動を監視することによく用いられる。そのほか、SARによる観測データは、インフラ建造物の施工や補修の計画のために利用される場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-215248号公報
【文献】米国特許第6583751号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
地表の変位には、気温、湿度、あるいは降水量などの自然要因によるものと、工事(施工)や交通などの人為的要因によって生じるものとが含まれる。関連する技術では、地表の変位量の測定データのみが提供されるため、SARによる観測データの利用者は、地表の変位が何らかの異常に基づくものなのか、そうではないのかを判別することが難しい。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、SARによる観測データの利用者に、地表の変位に関連する情報を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る情報提供装置は、SARによる観測データに基づき測定された、地表の変位量の測定データを取得し、また前記地表の変位量が測定された地点における地表の特徴を示す情報を取得する取得手段と、前記地表の特徴を示す情報に基づいて、前記地表の変位量が測定された地点における前記地表の特徴を分類する分類手段と、前記地表の変位量の測定データとリンクした、前記地表の特徴の分類を表すシンボルを、地図データとともに表示させる表示手段とを備えている。
【0007】
本発明の一態様に係る情報提供方法では、SARによる観測データに基づき測定された、地表の変位量の測定データを取得し、また前記地表の変位量が測定された地点における地表の特徴を示す情報を取得し、前記地表の特徴を示す情報に基づいて、前記地表の変位量が測定された地点における前記地表の特徴を分類し、前記地表の変位量の測定データとリンクした、前記地表の特徴の分類を表すシンボルを、地図データとともに表示させる。
【0008】
本発明の一態様に係る記録媒体には、SARによる観測データに基づき測定された、地表の変位量の測定データを取得し、また前記地表の変位量が測定された地点における地表の特徴を示す情報を取得することと、前記地表の特徴を示す情報に基づいて、前記地表の変位量が測定された地点における前記地表の特徴を分類することと、前記地表の変位量の測定データとリンクした、前記地表の特徴の分類を表すシンボルを、地図データとともに表示させることとをコンピュータに実行させるためのプログラムを記録されている。
【0009】
本発明の一態様に係わる観測システムは、情報提供装置と、SARによる観測データを保存するデータベースと、地表の変位量の測定データとリンクした、前記地表の特徴の分類を表すシンボルを、地図データとともに表示するディスプレイとを備えている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、SARによる観測データの利用者に、地表の変位に関連する情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態1~5のいずれかに係る情報提供装置を適用可能な観測システムの構成の一例を概略的に示す図である。
【
図2】実施形態1に係る情報提供装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】実施形態1に係る情報提供装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図4】実施形態2に係る情報提供装置がディスプレイに表示させる画面の一例を示す図である。
【
図5】実施形態2に係る情報提供装置がディスプレイに表示させる画面の他の例を示す図である。
【
図6】実施形態2に係る情報提供装置がディスプレイに表示させる画面のさらに他の例を示す図である。
【
図7】実施形態3に係る情報提供装置の構成を示すブロック図である。
【
図8】実施形態3に係る情報提供装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図9】実施形態3に係る情報提供装置がディスプレイに表示させる画面の一例を示す図である。
【
図10】実施形態3に係る情報提供装置がディスプレイに表示させる画面の他の例を示す図である。
【
図11】実施形態3に係る情報提供装置がディスプレイに表示させる画面のさらに他の例を示す図である。
【
図12】実施形態3の一変形例に係る情報提供装置がディスプレイに表示させる画面の一例を示す図である。
【
図13】実施形態4に係る情報提供装置の構成を示すブロック図である。
【
図14】実施形態4に係る情報提供装置がディスプレイに表示させる画面の一例を示す図である。
【
図15】実施形態4に係る情報提供装置がディスプレイに表示させる画面の他の例を示す図である。
【
図16】実施形態5に係る情報提供装置の構成を示すブロック図である。
【
図17】実施形態1~5のいずれかに係る情報提供装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を参照して、いくつかの実施形態について説明する。
【0013】
(観測システム1)
最初に、後述する実施形態1~5に係る情報提供装置10,20,30,40,50のいずれかを備えた観測システム1の構成の一例を説明する。
【0014】
図1は、観測システム1の構成の一例を概略的に示す図である。観測システム1には、以下で説明する実施形態1~5に係る情報提供装置10,20,30,40,50のいずれも適用可能である。
【0015】
図1に示すように、観測システム1は、情報提供装置10(20,30,40,50)、地理空間情報サーバ100、およびモニタ200を備えている。ここで、「情報提供装置10(20,30,40,50)」とは、実施形態1~5に係る情報提供装置10,20,30,40,50のいずれかを表す。
【0016】
地理空間情報サーバ100には、SAR搭載機(例えば、衛星、航空機)から受信したデータが保存されている。SAR搭載機は、上空を移動しつつ、マイクロ波(電波)を対象物に向けて照射し、その反射波の信号を解析することによって、対象物を観測する。ここでは、対象物は地表である。地表とは、地面だけではなく、舗装や建造物などの人工物も含む。
【0017】
SARによる観測データには、観測された領域において撮影されたSAR画像データ、地表の位置を特定する情報、および、SARから地表までの距離を示す情報が含まれる。さらに、SARによる観測データには、観測が実行された日時を示す情報が含まれる。
【0018】
情報提供装置10(20,30,40,50)は、地理空間情報サーバ100から、SARによる観測データを取得する。情報提供装置10(20,30,40,50)は、利用者に情報提供するための画面を、ディスプレイ200に表示させる。情報提供装置10(20,30,40,50)が、ディスプレイ200に表示させる画面のいくつかの具体例を、後述する実施形態1~5で説明する。
【0019】
〔実施形態1〕
図2から
図3を参照して、実施形態1について説明する。
【0020】
(情報提供装置10)
図2を参照して、本実施形態1に係る情報提供装置10の構成を説明する。
図2は、情報提供装置10の構成を示すブロック図である。
【0021】
図2に示すように、情報提供装置10は、測定部11、取得部12、分類部13、および表示部14を備えている。
【0022】
測定部11は、SARによる観測データに基づき地表の変位量を測定する。測定部11は、測定手段の一例である。
【0023】
一例では、測定部11は、干渉SARによって、地表の変位量を測定する。地表の変位量は、上下方向における地表の変位(すなわち、隆起または沈下)の大きさを表す。干渉SARとは、InSARとも呼ばれ、広範囲における地表の変位や変動を分析するための技術である。概略的には、同一の領域での2回以上の観測データがそれぞれ表す地表の位置の間のずれに基づいて、地表の変位量が測定される。
【0024】
測定部11は、地表の変位量の測定データを、SARによる観測データとともに、取得部12および表示部14へ出力する。
【0025】
取得部12は、地表の変位量が測定された地点における地表の特徴を示す情報を取得する。取得部12は、取得手段の一例である。
【0026】
取得部12は、地表の変位量の時系列データと、地表の変位量が測定された前記地点における気温の時系列データとの関連性の大きさを示す情報を取得してもよい。取得部12は、地表の変位量の時系列の観測データと、地表の変位量が測定された地点における降水量の時系列データとの関連性の大きさを示す情報を取得してもよい。取得部12は、地表の変位量の測定データと、地表の変位量の予測データとの間の差分を示す情報を取得してもよい。
【0027】
一例では、取得部12は、測定部11から、地表の変位量の測定データ、および、SARによる観測データを受信する。取得部12は、SARによる観測データから、観測された領域において撮影されたSAR画像データ、および、地表の位置を特定する情報を抽出する。取得部12は、これらの情報を用いて、地表の変位量が測定された地点の位置を特定する。
【0028】
また、取得部12は、外部の情報サーバあるいはデータベースなど(図示せず)を参照して、地表の変位量が測定された地点における地表の特徴を示す情報を収集する。例えば、地表の特徴とは、気温、湿度、および降水量などの気象データである。他の例では、地表の特徴とは、地盤の組成、地下水分量、および盛土造成地などの地質データである。さらに他の例では、地表の特徴とは、土地の利用、舗装、および交通量などの土地利用データである。
【0029】
加えて、地表の変位量の予測データが利用可能である場合、取得部12は、その観測データも取得してもよい。地表の変位量の予測データは、過去における地表の変位量の測定データから予測された、現在および未来における地表の変位量(非実測値)を表す。地表の変位量の予測データは、地表の変位量の測定データと対比するために利用される(実施形態2)。
【0030】
そして、取得部12は、地表の変位量が測定された地点における地表の特徴を示す情報を、分類部13へ出力する。
【0031】
分類部13は、地表の特徴を示す情報に基づいて、地表の特徴を分類する。分類部13は、分類手段の一例である。
【0032】
一例では、分類部13は、取得部12から、地表の変位量が測定された地点における地表の特徴を示す情報を受信する。分類部13は、地表の特徴を示す情報に基づいて、地表の特徴を分類する。例えば、分類部13は、地表の「最高(最低)気温」に基づいて、地表の特徴を分類する。また、分類部13は、地表の「平均降水量」に基づいて、地表の特徴を分類する。また、分類部13は、このようにして、分類部13は、いくつかの指標を用いて、地表の変位量が測定された地点における地表の特徴を分類する。
【0033】
分類部13は、地表の変位量が測定された地点における地表の特徴の分類を示す情報を、表示部14へ出力する。
【0034】
表示部14は、地表の変位量の測定データとリンクした、地表の特徴の分類を表すシンボルを、地図データとともに表示させる。表示部14は、表示手段の一例である。表示部14は、地表の特徴を示すシンボルを、地図データとともに表示させてもよい。表示部14は、地表の変位量の測定データと、地表の変位量の予測データとの間の差分の大きさを示す塗分けマップデータを表示させてもよい。
【0035】
一例では、表示部14は、測定部11から、地表の変位量の測定データ、および、SARによる観測データを受信する。
【0036】
表示部14は、地表の変位量の測定データに基づいて、地表の変位量を表すグラフを生成する。例えば、表示部14が生成するグラフは、地表の変位量の時系列を表すものであってよいし、地表の変位量と、地表の変位量が測定された地点の位置との関係を表すものであってもよい。
【0037】
また、表示部14は、分類部13から、地表の変位量が測定された地点における地表の特徴の分類を示す情報を受信する。
【0038】
表示部14は、SARにより観測された領域を表すSAR画像とともに、地表の変位量が測定された地点における地表の特徴の分類を示す情報を表示させる。例えば、SAR画像上に、地表の特徴の分類を示す記号もしくは符号や図形を重畳する。
【0039】
表示部14は、これらの情報を表示させるための画像データを生成して、ディスプレイ200(
図1)へ画像データを送信する。なお、表示部14がディスプレイ200に表示させる画像データのいくつかの具体例を、実施形態2において説明する。
【0040】
(情報提供装置10の動作)
図3を参照して、本実施形態1に係る情報提供装置10の動作の一例を説明する。
図3は、情報提供装置10の動作を示すフローチャートである。
【0041】
図3に示すように、まず、測定部11は、SARによる観測データに基づき地表の変位量を測定する(S1)。測定部11は、地表の変位量の測定データを、SARによる観測データとともに、取得部12および表示部14へ出力する。
【0042】
次に、取得部12は、地表の変位量が測定された地点における地表の特徴を示す情報を取得する(S2)。取得部12は、地表の変位量が測定された地点における地表の特徴を示す情報を、分類部13へ出力する。
【0043】
分類部13は、地表の特徴を示す情報に基づいて、地表の変位量が測定された地点における地表の特徴を分類する(S3)。分類部13は、地表の変位量が測定された地点における地表の特徴の分類を示す情報を、表示部14へ出力する。
【0044】
最後に、表示部14は、地表の変位量の測定データとリンクした、地表の特徴の分類を表すシンボルを、地図データとともに表示させる(S4)。
【0045】
以上で、本実施形態1に係る情報提供装置10の動作は終了する。
【0046】
(本実施形態の効果)
本実施形態の構成によれば、測定部11は、SARによる観測データに基づき地表の変位量を測定する。取得部12は、地表の変位量が測定された地点における地表の特徴を示す情報を取得する。分類部13は、地表の特徴を示す情報に基づいて、地表の変位量が測定された地点における地表の特徴を分類する。表示部14は、地表の変位量の測定データとリンクした、地表の特徴の分類を表すシンボルを、地図データとともに表示させる。SARによる観測データの利用者にとって、地表の特徴の分類を表すシンボルは、地表の変位量の測定データの意味を理解する助けとなる。これにより、SARによる観測データの利用者に、地表の変位に関連する情報を提供することができる。
【0047】
〔実施形態2〕
図4から
図6を参照して、実施形態2について説明する。本実施形態2では、情報提供装置20(
図2)がディスプレイ200(
図1)に表示させる画像データの具体例を説明する。本実施形態2に係る情報提供装置20の構成は、前記実施形態1に係る情報提供装置10の構成と同じである。したがって、本実施形態2では、前記実施形態1における情報提供装置10の構成に関する説明を引用して、情報提供装置20の構成に関する説明を省略する。
【0048】
(第1の例;地表の特徴を示すシンボルの表示)
図4は、本実施形態2に係る情報提供装置20がディスプレイ200(
図1)に表示させる画面の一例を示す図である。
【0049】
図4では、左側に、シンボルの説明が記載されている。右上側には、地図データ上にシンボルが配置されている。地図データ上におけるシンボルの位置は、地表の変位量が測定された地点を表す。
【0050】
本例では、6つのシンボルが示されている。それぞれのシンボルは、地表の特徴の分類と対応している。すなわち、「工事中」、「急激な変化」、「気温と関連あり」、「降水量と関連あり」、「盛土造成地」、「予測より大きい」が、それぞれ、地表の特徴の分類を表す。
【0051】
「工事中」とは、地表の変位量が測定された地点において、何らかの工事が行われている最中であることを意味する。「急激な変化」とは、地表の変位量が閾値よりも大きいことを意味する。閾値は、平均値の2倍など、任意の手法で決められてよい。「気温と関連あり」とは、地表の変位量の時間変化が、気温の時間変化と関連していることを意味する。ここでは、関連しているとは、時間変化のパターンが類似していること、例えば、相関値が一定値以上であることを表現している。
【0052】
また、「降水量と関連あり」とは、地表の変位量の時間変化が、降水量の時間変化と関連していることを意味する。「盛土造成地」とは、地表の変位量が測定された地点が、盛土造成地であることを意味する。「予測より大きい」とは、測定された地表の変位量が、予測された地表の変位量よりも大きいことを意味する。
【0053】
一変形例では、シンボルは、地表の特徴の分類ごとに、形状、模様、色彩、および大きさのうち少なくとも一つが異なっている。より一般的に言えば、シンボルは、地表の特徴の分類ごとに態様が相違する。あるいは、シンボルは、対応する地表の特徴の分類を抽象化または一般化したアイコンであってもよい。例えば、温度計の絵図によって表現されたアイコンは、「気温と関連あり」と対応する。このようなアイコンによる表現を利用することで、画像データを視認する利用者は、アイコンが表す地表の特徴の分類を一目で認識しやすいという利点がある。
【0054】
(第2の例;地表の変位量の時間変化等の表示)
図5は、本実施形態2に係る情報提供装置20がディスプレイ200(
図1)に表示させる画面の他の一例を示す図である。
【0055】
図5では、右下側に、地表のひび割れがある位置を示す情報、および、地表の変位量の時間変化を表すグラフが並べて表示されている。
【0056】
上述した第1の例において、
図4に示す地図データ上にあるいずれかのシンボルがクリックされたとき、
図5に示すように、そのシンボルが指し示す地点の地表に関する情報が、地図データの下に表示される。利用者は、地図データの下に表示された情報を確認することで、地表の変位の原因を探知したり、地表の変位がどれぐらい危険であるのかを判断したりすることができる。
【0057】
なお、ここでは、シンボルがクリックされる例を説明したが、選択のための入力操作の種類は限定されない。
【0058】
(第3の例;ライン上における地表の変位量の表示)
図6は、本実施形態2に係る情報提供装置20がディスプレイ200(
図1)に表示させる画面のさらに他の一例を示す図である。
【0059】
図6では、右下側に、ある一つのライン上における地表の変位量を表すグラフが表示されている。
図6に示す例では、第1年目から第4年目までの4年間における変位量を表すグラフが示されている。
図6に示すラインは、それぞれ、地表の変位量が測定された領域の間(例えば、B1~B9)を結ぶ。
【0060】
上述した第1の例において、
図4に示す地図データ上にあるいずれかのラインがクリックされたとき、
図6に示すように、そのライン上の地表の変位量を表すグラフが、地図データの下に表示される。また、グラフの上には、地表の特徴の分類を表すシンボルが示されている。利用者は、地図データの下に表示された情報を確認することで、地表の変位の原因を探知したり、地表の変位がどれぐらい危険であるのかを判断したりすることができる。
【0061】
本例の構成によれば、利用者は、複数の領域にまたがって、地表の変位量がどのように時間変化しているのかを、容易に知ることができる。
【0062】
(本実施形態の効果)
本実施形態の構成によれば、測定部11は、SARによる観測データに基づき地表の変位量を測定する。取得部12は、地表の変位量が測定された地点における地表の特徴を示す情報を取得する。分類部13は、地表の特徴を示す情報に基づいて、地表の変位量が測定された地点における地表の特徴を分類する。表示部14は、地表の変位量の測定データとリンクした、地表の特徴の分類を表すシンボルを、地図データとともに表示させる。SARによる観測データの利用者にとって、地表の特徴の分類を表すシンボルは、地表の変位量の測定データの意味を理解する助けとなる。これにより、SARによる観測データの利用者に、地表の変位に関連する情報を提供することができる。
【0063】
〔実施形態3〕
図7~
図12を参照して、実施形態3について説明する。本実施形態3では、どの地表の特徴の分類と対応するシンボルを表示させるのかを、利用者が選択可能にする構成を説明する。本実施形態3では、前記実施形態1~2と同じ構成に対して、同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0064】
(情報提供装置30)
図7を参照して、本実施形態3に係る情報提供装置30の構成を説明する。
図7は、情報提供装置30の構成を示すブロック図である。
【0065】
図7に示すように、情報提供装置30は、測定部11、取得部12、分類部13、および表示部14を備えている。また、情報提供装置30は、条件選択部35をさらに備えている。
【0066】
条件選択部35は、地表の特徴と対応する1つ以上の条件を利用者に選択させる。条件選択部35は、条件選択手段の一例である。
【0067】
一例では、条件選択部35は、分類部13から、地表の特徴の分類を示す情報を受信する。条件選択部35は、地表の特徴の分類と1対1で対応する1つ以上の条件を表示させるよう、表示部14に指示する。利用者が、情報提供装置30と接続された入力機器(図示せず)に対し、いずれか1つ、または複数の条件を選択する入力操作を行ったとき、条件選択部35は、利用者により選択された条件を表す情報を取得する。
【0068】
条件選択部35は、選択された条件を表す情報を、表示部14へ出力する。
【0069】
表示部14は、条件選択部35から、選択された条件を表す情報を受信する。表示部14は、選択された条件と対応する地表の特徴の分類と対応するシンボルを、地図データとともに表示させる。
【0070】
(情報提供装置30の動作)
図8を参照して、本実施形態3に係る情報提供装置30の動作の一例を説明する。
図8は、情報提供装置30の動作を示すフローチャートである。
【0071】
図8に示すように、まず、測定部11は、SARによる観測データに基づき地表の変位量を測定する(S301)。測定部11は、地表の変位量の測定データを、SARによる観測データとともに、取得部12および表示部14へ出力する。
【0072】
次に、取得部12は、地表の変位量が測定された地点における地表の特徴を示す情報を取得する(S302)。取得部12は、地表の変位量が測定された地点における地表の特徴を示す情報を、分類部13へ出力する。
【0073】
分類部13は、地表の特徴を示す情報に基づいて、地表の変位量が測定された地点における地表の特徴を分類する(S303)。分類部13は、地表の変位量が測定された地点における地表の特徴の分類を示す情報を、条件選択部35および表示部14へ出力する。
【0074】
条件選択部35は、地表の特徴と対応する1つ以上の条件を利用者に選択させる(S304)。
【0075】
その後、条件選択部35は、1つ以上の条件が選択されたかどうかを判定する(S305)。1つ以上の条件が選択されない限り(S305でNo)、フローはS304へ戻る。
【0076】
1つ以上の条件が選択された場合(S305でYes)、表示部14は、選択された条件と対応する地表の特徴の分類を表すシンボルを、地図データとともに表示させる(S306)。
【0077】
以上で、本実施形態3に係る情報提供装置30の動作は終了する。
【0078】
(第1の例;条件を選択する画面)
図9は、本実施形態3に係る情報提供装置30がディスプレイ200(
図1)に表示させる画面の一例を示す図である。
【0079】
図9では、左側に、条件の一覧が記載されている。右上側には、地図データ上にシンボルが配置されている。実際には、のちに、1つ以上の条件が選択されるまで、シンボルは表示されない。
【0080】
本例では、6つの条件が示されている。それぞれの条件は、地表の特徴の分類と対応している。すなわち、「工事中」、「急激な変化」、「気温と関連あり」、「降水量と関連あり」、「盛土造成地」、「予測より大きい」が、それぞれ、地表の特徴の分類の一例である。
【0081】
すなわち、それぞれの条件は、前記実施形態2において説明したシンボルと対応している。
【0082】
図9において、左側の上部に、「条件で絞る」と記載されている。これは、利用者に対し、条件を選択することを求める表示である。上述したように、条件選択部35は、地表の特徴の分類と1対1で対応する1つ以上の条件を表示させるよう、表示部14に指示する。このとき、表示部14は、
図9に示す画像データをディスプレイ200(
図1)に表示させる。
【0083】
(第2の例;工事エリアの選択)
図10は、本実施形態3に係る情報提供装置30がディスプレイ200(
図1)に表示させる画面の他の一例を示す図である。
【0084】
図10では、左側に記載された条件の一覧のうち、「工事エリア」が選択された状態である。「工事エリア」とは、利用者である建設業者又は不動産会社が、工事を実施している、または実施の予定がある領域を表す。右側に、工事エリアを示すサークルが、地図データ上に表示されている。
【0085】
上述した第1の例において、
図9に示すシンボルのうち、「工事エリア」のみがクリックされたとき、
図10に示すように、工事エリアを示すサークルが、地図データの下に表示される。利用者は、まず「工事エリア」を選択することで、シンボルが表示される領域を「工事エリア」内に限定することができる。
【0086】
なお、ここでは、シンボルがクリックされる例を説明したが、選択のための入力操作の種類は限定されない。
【0087】
(第3の例;他の条件の選択)
図11は、本実施形態3に係る情報提供装置30がディスプレイ200(
図1)に表示させる画面のさらに他の一例を示す図である。
【0088】
図11では、左側に記載された条件の一覧のうち、「工事エリア」に加えて、「急激な変化」が選択された状態である。前記実施形態2において、シンボルに関して説明したように、「急激な変化」とは、地表の変位量が閾値よりも大きいことを意味する。右側に、工事エリアを示すサークル内において、「急激な変化」と対応するシンボルが、地図データ上に表示されている。
【0089】
上述した第2の例において、
図10に示すシンボルのうち、「急激な変化」がクリックされたとき、
図11に示すように、工事エリア内のみに、「急激な変化」と対応するシンボルが表示される。言い換えれば、工事エリア外にある「急激な変化」と対応するシンボルは非表示される。これにより、利用者に対し、利用者が所望する情報(この例では、自社が関わる工事が実施または実施予定である領域内での「急激な変化」)のみを選択的に提供することができる。
【0090】
(変形例)
図12は、本実施形態3に係る情報提供装置30がディスプレイ200(
図1)に表示させる画面の一変形例を示す図である。
【0091】
本変形例では、地表の特徴の分類と対応するシンボルが、前記実施形態2と同様に、地表の特徴の分類ごとに異なる態様で表示される。
【0092】
加えて、本変形例では、地図データ上にあるいずれかのシンボルがクリックされたとき、そのシンボルが指し示す地点の地表に関する情報が、地図データの下に表示される。シンボルが指し示す地点の地表に関する情報について、前記実施形態2で説明したため、ここではその説明を省略する。
【0093】
なお、ここでは、シンボルがクリックされる例を説明したが、選択のための入力操作の種類は限定されない。
【0094】
他の変形例では、ある特定の地表の特徴の分類に関し、利用者が注意すべき事項がある場合、利用者にアラートを通知してもよい。例えば、アラートの条件は、一定期間内における地表の変位量が警告の基準値を超えることである。この場合、
図12に示す条件のうち、「急激な変化」についてのアラートが通知される。アラートを通知する手法は特に限定されないが、
図12に示すように、条件の記載の横に、「!」の記号を表示させてもよい。
【0095】
(本実施形態の効果)
本実施形態の構成によれば、測定部11は、SARによる観測データに基づき地表の変位量を測定する。取得部12は、地表の変位量が測定された地点における地表の特徴を示す情報を取得する。分類部13は、地表の特徴を示す情報に基づいて、地表の変位量が測定された地点における地表の特徴を分類する。表示部14は、地表の変位量の測定データとリンクした、地表の特徴の分類を表すシンボルを、地図データとともに表示させる。SARによる観測データの利用者にとって、地表の特徴の分類を表すシンボルは、地表の変位量の測定データの意味を理解する助けとなる。これにより、SARによる観測データの利用者に、地表の変位に関連する情報を提供することができる。
【0096】
さらに、本実施形態の構成によれば、条件選択部35は、地表の特徴と対応する1つ以上の条件を利用者に選択させる。表示部14は、選択された条件と対応する地表の特徴の分類を表すシンボルを、地図データとともに表示させる。これにより、利用者が所望する情報のみを選択的に提供することができる。
【0097】
〔実施形態4〕
図13~
図15を参照して、実施形態4について説明する。本実施形態4では、利用者が地表の特徴をより高度に分析できるようにするため、複数の異なる評価指標に基づく画面を利用者が切替可能にする構成を説明する。本実施形態4では、前記実施形態1~3と同じ構成に対して、同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0098】
(情報提供装置40)
図13を参照して、本実施形態4に係る情報提供装置40の構成を説明する。
図13は、情報提供装置40の構成を示すブロック図である。
【0099】
図13に示すように、情報提供装置40は、測定部11、取得部12、分類部13、および表示部14を備えている。また、情報提供装置40は、画面切替部45をさらに備えている。
【0100】
本実施形態4では、表示部14は、前記実施形態2,3と同様に、シンボル及び地図データを表示(
図4~
図6、
図9~
図12)させる。それに加えて、表示部14は、地表の変位量の測定データと、地表の変位量の予測データとの間の差分の大きさを示す塗分けマップデータを表示させる。塗分けマップの実例を後述する。
【0101】
また、表示部14は、シンボル及び地図データを表示する第1の画面と、塗分けマップを表示する第2の画面とを切り替えるためのオプションボタンを表示させる。
【0102】
画面切替部45は、オプションボタンに対する入力操作に基づいて、第1の画面と、第2の画面とを切り替える。すなわち、画面切替部45は、オプションボタンにおける選択の位置に応じて、第1の画面および第2の画面のうちいずれか一方に切り替える。
【0103】
(第1の画面の例)
図14は、シンボル及び地図データを表示する第1の画面の一例を示す。
図14に示す第1の画面は、左側の「期間」および「評価指標」を除いて、
図12に示す画面と同等である。
【0104】
図14において、表示する「期間」を選択するためのタブに加えて、「評価指標」を選択するためのオプションボタンが配置されている。「評価指標」とは、利用者が地表の特徴を評価するための指標である。ここでの「評価指標」には、「年間変位量」、「経年(累積)変位量」、および「予測との差分」が含まれる。
【0105】
「年間変位量」とは、特定(例えば直近)の1年間における地表の変位量を意味する。「経年(累積)変位量」とは、(タブから指定された)期間における地表の変位量の累積を意味する。「予測との差分」とは、地表の変位量の予測データと、地表の変位量の測定データとの間の差分を意味する。なお、地表の変位量の予測データは、過去における地表の変位量の測定データから予測された、現在および未来における地表の変位量(非実測値)を表す。
【0106】
「年間変位量」または「経年(累積)変位量」のオプションボタンが選択された場合に、表示部14は、
図14に示す第1の画面をディスプレイ200(
図1)に表示させる。
【0107】
(第2の画面の例)
図15は、地表の変位量の測定データと、地表の変位量の予測データとの間の差分の大きさを示す塗分けマップデータを表示する第2の画面の一例を示す。
【0108】
「予測との差分」のオプションボタンが選択された場合に、表示部14は、
図15に示す第2の画面をディスプレイ200(
図1)に表示させる。
【0109】
利用者の入力操作によって、「年間変位量」または「経年(累積)変位量」のオプションボタンから、「予測との差分」のオプションボタンへ選択が変更される。この場合、画面切替部45は、オプションボタンに対する入力操作に基づいて、第1の画面(
図14)から、第2の画面(
図15)へり替える。その逆の場合、画面切替部45は、オプションボタンに対する入力操作に基づいて、第2の画面(
図15)から、第1の画面(
図14)へり替える。
【0110】
表示部14は、画面切替部45から入力される画面の切り替え情報に基づいて、第1の画面(第2の画面)の表示を、第2の画面(第1の画面)の表示に変更する。
【0111】
(本実施形態の効果)
本実施形態の構成によれば、測定部11は、SARによる観測データに基づき地表の変位量を測定する。取得部12は、地表の変位量が測定された地点における地表の特徴を示す情報を取得する。分類部13は、地表の特徴を示す情報に基づいて、地表の変位量が測定された地点における地表の特徴を分類する。表示部14は、地表の変位量の測定データとリンクした、地表の特徴の分類を表すシンボルを、地図データとともに表示させる。SARによる観測データの利用者にとって、地表の特徴の分類を表すシンボルは、地表の変位量の測定データの意味を理解する助けとなる。これにより、SARによる観測データの利用者に、地表の変位に関連する情報を提供することができる。
【0112】
さらに、本実施形態の構成によれば、表示部14は、シンボル及び地図データを表示する第1の画面と、前記塗分けマップを表示する第2の画面とを切り替えるためのオプションボタンを表示させる。画面切替部45は、オプションボタンに対する入力操作に基づいて、第1の画面と、前記第2の画面とを切り替える。これにより、 利用者が所望する情報を選択的に提供することができる。
【0113】
〔実施形態5〕
図16を参照して、実施形態5について説明する。本実施形態5では、測定部11(
図2、
図7、
図13)が、情報提供装置50の構成要素に含まれない。情報提供装置50は、外部から、SARによる観測データに基づき測定された地表の変位量のデータを受信する。
【0114】
(情報提供装置50)
図16を参照して、本実施形態5に係る情報提供装置50の構成を説明する。
図16は、情報提供装置50の構成を示すブロック図である。
【0115】
図16に示すように、情報提供装置50は、取得部12、分類部13、および表示部14を備えている。
【0116】
取得部12は、SARによる観測データに基づき測定された地表の変位量のデータを取得する。取得部12は、取得手段の一例である。
【0117】
一例では、取得部12は、干渉SARによって測定された、地表の変位量のデータを取得する。地表の変位量は、上下方向における地表の変位(すなわち、隆起または沈下)の大きさを表す。干渉SARとは、InSARとも呼ばれ、広範囲における地表の変位や変動を分析するための技術である。概略的には、同一の領域での2回以上の観測データがそれぞれ表す地表の位置の間のずれに基づいて、地表の変位量が測定される。
【0118】
取得部12は、地表の変位量の測定データを、SARによる観測データとともに、表示部14へ出力する。
【0119】
取得部12は、地表の変位量が測定された地点における地表の特徴を示す情報を取得する。
【0120】
取得部12は、地表の変位量の時系列データと、地表の変位量が測定された前記地点における気温の時系列データとの関連性の大きさを示す情報を取得してもよい。取得部12は、地表の変位量の時系列の観測データと、地表の変位量が測定された地点における降水量の時系列データとの関連性の大きさを示す情報を取得してもよい。取得部12は、地表の変位量の測定データと、地表の変位量の予測データとの間の差分を示す情報を取得してもよい。
【0121】
一例では、取得部12は、SARによる観測データから、観測された領域において撮影されたSAR画像データ、および、地表の位置を特定する情報を抽出する。取得部12は、これらの情報を用いて、地表の変位量が測定された地点の位置を特定する。
【0122】
また、取得部12は、外部の情報サーバあるいはデータベースなど(図示せず)を参照して、地表の変位量が測定された地点における地表の特徴を示す情報を収集する。例えば、地表の特徴とは、気温、湿度、および降水量などの気象データである。他の例では、地表の特徴とは、地盤の組成、地下水分量、および盛土造成地などの地質データである。さらに他の例では、地表の特徴とは、土地の利用、舗装、および交通量などの土地利用データである。
【0123】
加えて、地表の変位量の予測データが利用可能である場合、取得部12は、その観測データも取得してもよい。地表の変位量の予測データは、過去における地表の変位量の測定データから予測された、現在および未来における地表の変位量(非実測値)を表す。地表の変位量の予測データは、地表の変位量の測定データと対比するために利用される(実施形態2)。
【0124】
そして、取得部12は、地表の変位量が測定された地点における地表の特徴を示す情報を、分類部13へ出力する。
【0125】
分類部13は、地表の特徴を示す情報に基づいて、地表の特徴を分類する。分類部13は、分類手段の一例である。
【0126】
一例では、分類部13は、取得部12から、地表の変位量が測定された地点における地表の特徴を示す情報を受信する。分類部13は、地表の特徴を示す情報に基づいて、地表の特徴を分類する。例えば、分類部13は、地表の「最高(最低)気温」に基づいて、地表の特徴を分類する。また、分類部13は、地表の「平均降水量」に基づいて、地表の特徴を分類する。また、分類部13は、このようにして、分類部13は、いくつかの指標を用いて、地表の変位量が測定された地点における地表の特徴を分類する。
【0127】
分類部13は、地表の変位量が測定された地点における地表の特徴の分類を示す情報を、表示部14へ出力する。
【0128】
表示部14は、地表の変位量の測定データとリンクした、地表の特徴の分類を表すシンボルを、地図データとともに表示させる。表示部14は、表示手段の一例である。表示部14は、地表の特徴を示すシンボルを、地図データとともに表示させてもよい。表示部14は、地表の変位量の測定データと、地表の変位量の予測データとの間の差分の大きさを示す塗分けマップデータを表示させてもよい。
【0129】
一例では、表示部14は、取得部12から、地表の変位量の測定データ、および、SARによる観測データを受信する。
【0130】
表示部14は、地表の変位量の測定データに基づいて、地表の変位量を表すグラフを生成する。例えば、表示部14が生成するグラフは、地表の変位量の時系列を表すものであってよいし、地表の変位量と、地表の変位量が測定された地点の位置との関係を表すものであってもよい。
【0131】
また、表示部14は、分類部13から、地表の変位量が測定された地点における地表の特徴の分類を示す情報を受信する。
【0132】
表示部14は、SARにより観測された領域を表すSAR画像とともに、地表の変位量が測定された地点における地表の特徴の分類を示す情報を表示させる。例えば、SAR画像上に、地表の特徴の分類を示す記号もしくは符号や図形を重畳する。
【0133】
表示部14は、これらの情報を表示させるための画像データを生成して、ディスプレイ200(
図1)へ画像データを送信する。
【0134】
(情報提供装置50の動作)
本実施形態5に係る情報提供装置50の概略的な動作は、前記実施形態1に係る情報提供装置10(
図2)の動作と同様である。ただし、情報提供装置50では、SARによる観測データに基づき地表の変位量を測定する代わりに、取得部12が、地表の変位量のデータを取得する。
【0135】
前記本実施形態1における情報提供装置10の動作の説明(
図3)を引用して、本実施形態5に係る情報提供装置50の動作の詳細な説明を省略する。
【0136】
(本実施形態の効果)
本実施形態の構成によれば、取得部12は、SARによる観測データに基づき地表の変位量のデータを取得する。取得部12は、地表の変位量が測定された地点における地表の特徴を示す情報を取得する。分類部13は、地表の特徴を示す情報に基づいて、地表の変位量が測定された地点における地表の特徴を分類する。表示部14は、地表の変位量の測定データとリンクした、地表の特徴の分類を表すシンボルを、地図データとともに表示させる。SARによる観測データの利用者にとって、地表の特徴の分類を表すシンボルは、地表の変位量の測定データの意味を理解する助けとなる。これにより、SARによる観測データの利用者に、地表の変位に関連する情報を提供することができる。
【0137】
(ハードウェア構成について)
前記実施形態1~5で説明した情報提供装置10,20,30,40,50の各構成要素は、機能単位のブロックを示している。これらの構成要素の一部又は全部は、例えば
図17に示すような情報処理装置900により実現される。
図17は、情報処理装置900のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0138】
図17に示すように、情報処理装置900は、一例として、以下のような構成を含む。
【0139】
・CPU(Central Processing Unit)901
・ROM(Read Only Memory)902
・RAM(Random Access Memory)903
・RAM903にロードされるプログラム904
・プログラム904を格納する記憶装置905
・記録媒体906の読み書きを行うドライブ装置907
・通信ネットワーク909と接続する通信インタフェース908
・データの入出力を行う入出力インタフェース910
・各構成要素を接続するバス911
前記実施形態1~5で説明した情報提供装置10,20,30,40,50の各構成要素は、これらの機能を実現するプログラム904をCPU901が読み込んで実行することで実現される。各構成要素の機能を実現するプログラム904は、例えば、予め記憶装置905やROM902に格納されており、必要に応じてCPU901がRAM903にロードして実行される。なお、プログラム904は、通信ネットワーク909を介してCPU901に供給されてもよいし、予め記録媒体906に格納されており、ドライブ装置907が当該プログラムを読み出してCPU901に供給してもよい。
【0140】
上記の構成によれば、前記実施形態1~5において説明した情報提供装置10,20,30,40,50が、ハードウェアとして実現される。したがって、前記実施形態1~5のいずれかにおいて説明した効果と同様の効果を奏することができる。
【0141】
(付記)
本発明の一態様は、以下の付記のようにも記載されるが、以下に限定されない。
【0142】
(付記1)
SARによる観測データに基づき測定された、地表の変位量の測定データを取得し、また前記地表の変位量が測定された地点における地表の特徴を示す情報を取得する取得手段と、
前記地表の特徴を示す情報に基づいて、前記地表の変位量が測定された地点における前記地表の特徴を分類する分類手段と、
前記地表の変位量の測定データとリンクした、前記地表の特徴の分類を表すシンボルを、地図データとともに表示させる表示手段とを備えた
情報提供装置。
【0143】
(付記2)
前記取得手段は、前記地表の変位量の時系列データと、前記地表の変位量が測定された前記地点における気温の時系列データとの関連性の大きさを示す情報を取得する
ことを特徴とする付記1に記載の情報提供装置。
【0144】
(付記3)
前記取得手段は、前記地表の変位量の時系列の観測データと、前記地表の変位量が測定された前記地点における降水量の時系列データとの関連性の大きさを示す情報を取得する
ことを特徴とする付記1または2に記載の情報提供装置。
【0145】
(付記4)
前記取得手段は、前記地表の変位量の測定データと、前記地表の変位量の予測データとの間の差分を示す情報を取得する
ことを特徴とする付記1から3のいずれか1項に記載の情報提供装置。
【0146】
(付記5)
前記表示手段は、前記地表の特徴を示すシンボルを、前記地図データとともに表示させる
ことを特徴とする付記1から4のいずれか1項に記載の情報提供装置。
(付記6)
前記地表の特徴と対応する1つ以上の条件を利用者に選択させる条件選択手段をさらに備え、
前記表示手段は、選択された前記条件と対応する地表の特徴を示すシンボルを、前記地図データとともに表示させる
ことを特徴とする付記1から5のいずれか1項に記載の情報提供装置。
【0147】
(付記7)
前記表示手段は、前記地表の変位量の測定データと、前記地表の変位量の予測データとの間の差分の大きさを示す塗分けマップデータを表示させる
ことを特徴とする付記1から6のいずれか1項に記載の情報提供装置。
【0148】
(付記8)
前記表示手段は、前記シンボル及び前記地図データを表示する第1の画面と、前記塗分けマップを表示する第2の画面とを切り替えるためのオプションボタンを表示させ、
前記オプションボタンに対する入力操作に基づいて、前記第1の画面と、前記第2の画面とを切り替える画面切替手段をさらに備えた
ことを特徴とする付記7に記載の情報提供装置。
【0149】
(付記9)
SARによる観測データに基づき地表の変位量を測定する測定手段をさらに備え、
前記取得手段は、前記測定手段から、前記地表の変位量の測定データを取得する
ことを特徴とする付記1から8のいずれか1項に記載の情報提供装置。
【0150】
(付記10)
SARによる観測データに基づき測定された、地表の変位量の測定データを取得し、また前記地表の変位量が測定された地点における地表の特徴を示す情報を取得し、
前記地表の特徴を示す情報に基づいて、前記地表の変位量が測定された地点における前記地表の特徴を分類し、
前記地表の変位量の測定データとリンクした、前記地表の特徴の分類を表すシンボルを、地図データとともに表示させる
情報提供方法。
【0151】
(付記11)
SARによる観測データに基づき測定された、地表の変位量の測定データを取得し、また前記地表の変位量が測定された地点における地表の特徴を示す情報を取得することと、
前記地表の特徴を示す情報に基づいて、前記地表の変位量が測定された地点における前記地表の特徴を分類することと、
前記地表の変位量の測定データとリンクした、前記地表の特徴の分類を表すシンボルを、地図データとともに表示させることと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【0152】
(付記12)
付記1から8のいずれか1項に記載の情報提供装置と、
SARによる観測データを保存するデータベースと、
地表の変位量の測定データとリンクした、前記地表の特徴の分類を表すシンボルを、地図データとともに表示するディスプレイと
を備えた観測システム。
【0153】
以上、実施形態(及び実施例)を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態(及び実施例)に限定されるものではない。上記実施形態(及び実施例)の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0154】
本発明は、例えば、地質および地理に関する研究のほか、土木建築業や不動産業が需要する地質および地理に関する情報を提供するために利用することができる。
【符号の説明】
【0155】
1 観測システム
10 情報提供装置
11 測定部
12 取得部
13 分類部
14 表示部
20 情報提供装置
30 情報提供装置
35 条件選択部
30 情報提供装置
45 画面切替部
50 情報提供装置
100 地理空間情報サーバ(データベース)
200 モニタ(ディスプレイ)