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特許7667514ヘキサフルオロプロペン三量体を含む組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-15
(45)【発行日】2025-04-23
(54)【発明の名称】ヘキサフルオロプロペン三量体を含む組成物
(51)【国際特許分類】
   C09K 5/10 20060101AFI20250416BHJP
【FI】
C09K5/10 E
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2024124383
(22)【出願日】2024-07-31
(65)【公開番号】P2025021465
(43)【公開日】2025-02-13
【審査請求日】2024-07-31
(31)【優先権主張番号】P 2023125027
(32)【優先日】2023-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023131645
(32)【優先日】2023-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023131650
(32)【優先日】2023-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023131651
(32)【優先日】2023-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023141588
(32)【優先日】2023-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2024068659
(32)【優先日】2024-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2024068660
(32)【優先日】2024-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2024068661
(32)【優先日】2024-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2024068663
(32)【優先日】2024-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2024068667
(32)【優先日】2024-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】真利 大地
(72)【発明者】
【氏名】白井 淳
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠希
(72)【発明者】
【氏名】井上 茉優
(72)【発明者】
【氏名】黒木 克親
【審査官】中野 孝一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-16429(JP,A)
【文献】特開平6-172231(JP,A)
【文献】特開平6-234672(JP,A)
【文献】特開昭56-29530(JP,A)
【文献】特表平2-501310(JP,A)
【文献】特表2020-514420(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K5/00-5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
18で表されるヘキサフルオロプロペン三量体と、(i)C2m及び/又はC(2n-2)〔式中、mは4以上12以下で6および9以外の整数である。nは4以上12以下の整数である。〕(ここに、C 2m 及び/又はC (2n-2) の含 有量は、C 18 で表されるヘキサフルオロプロペン三量体の合計量100質量部に対 して、0.0001~10質量部である)、(ii)水(ここに、かかる水の含有量は、前記C18で表されるヘキサフルオロプロペン三量体の合計量100質量部に対して、0.0001~0.1質量部である)、及び/又は(iii)フッ化物イオン(ここに、かかるフッ化物イオンの含有量は、C18で表されるヘキサフルオロプロペン三量体の合計量100質量部に対して、0.0000001~5質量部である)、とを含む、組成物。
【請求項2】
前記ヘキサフルオロプロペン三量体は、下記式(I)~(III)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項1に記載の組成物。
【化1】
【請求項14】
導電性物質をさらに含み、5μm以上の不溶物の含有量が10個/mL以下である、請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヘキサフルオロプロペン三量体を含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘキサフルオロプロペン(HFP)の三量体は、組成物等として使用されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/172919号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、安定性に優れた新規な混合物としてのヘキサフルオロプロペン三量体を含む組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の態様を包含する。
[項1]
18で表されるヘキサフルオロプロペン三量体と、(i)C2m及び/又はC(2n-2)〔式中、mは4以上12以下で9以外の整数である。nは4以上12以下の整数である。〕、(ii)水(ここに、かかる水の含有量は、前記C18で表されるヘキサフルオロプロペン三量体の合計量100質量部に対して、0.0001~0.1質量部である)、及び/又は(iii)フッ化物イオン(ここに、かかるフッ化物イオンの含有量は、C18で表されるヘキサフルオロプロペン三量体の合計量100質量部に対して、0.0000001~5質量部である)、とを含む、組成物。
[項2]
前記ヘキサフルオロプロペン三量体は、下記式(I)~(III)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも一種を含む、項1に記載の組成物。
[化1]
[項3]
式(I)で表される化合物は、ヘキサフルオロプロペン三量体全量に対して、85質量%以上である、項2に記載の組成物。
[項4]
式(I)で表される化合物は、ヘキサフルオロプロペン三量体全量に対して、85質量%未満である、項2に記載の組成物。
[項5]
式(I)で表される化合物は、ヘキサフルオロプロペン三量体全量に対して、50質量%以上85質量%未満である、項2に記載の組成物。
[項6]
18で表されるヘキサフルオロプロペン三量体と、(i)C2m及び/又はC(2n-2)〔式中、mは4以上12以下で9以外の整数である。nは4以上12以下の整数である。〕とを含む、項1に記載の組成物。
[項7]
mは6以上11以下で9以外の整数であり、nは6以上11以下の整数である、項1に記載の組成物。
[項8]
2m及び/又はC(2n-2)の含有量は、C18で表されるヘキサフルオロプロペン三量体の合計量100質量部に対して、0.0001~10質量部である、項1に記載の組成物。
[項9]
18で表されるヘキサフルオロプロペン三量体と、(ii)水とを含む、項1に記載の組成物。
[項10]
18で表されるヘキサフルオロプロペン三量体と、(iii)フッ化物イオンとを含む、項1に記載の組成物。
[項11]
1224で表されるヘキサフルオロプロペン四量体をさらに含み、前記ヘキサフルオロプロペン三量体の含有量は、前記ヘキサフルオロプロペン三量体及び前記ヘキサフルオロプロペン四量体の合計に対して、80質量%以上である、項1に記載の組成物。
[項12]
前記ヘキサフルオロプロペン三量体の含有量は、前記ヘキサフルオロプロペン三量体及び前記ヘキサフルオロプロペン四量体の合計に対して、90質量%以上99.99質量%以下である、項11に記載の組成物。
[項13]
前記ヘキサフルオロプロペン四量体は、1,1,1,2,5,6,6,6-オクタフルオロ-2,3,5-トリス(トリフルオロメチル)-4-(ペルフルオロプロピル-2-イル)-3-ヘキセンを含む、項11に記載の組成物。
[項14]
導電性物質をさらに含み、前記導電性物質の含有量が100質量ppm以下である、項1に記載の組成物。
[項15]
導電性物質をさらに含み、5μm以上の不溶物の含有量が10個/mL以下である、項1に記載の組成物。
【発明の効果】
【0006】
以上にしてなる本開示に係る組成物は、新規な混合物としての組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書において、「含有」は、「含む(comprise)」、「実質的にのみからなる(consist essentially of)」、及び「のみからなる(consist of)」のいずれも包含する概念である。また、本明細書において、数値範囲を「A~B」で示す場合、A以上B以下を意味する。
【0008】
(1.ヘキサフルオロプロペン三量体含有組成物)
本開示のヘキサフルオロプロペン(HFP)三量体含有組成物は、(i)C2m及び/又はC(2n-2)〔式中、mは4以上12以下で9以外の整数である。nは4以上12以下の整数である。〕、(ii)水(ここに、かかる水の含有量は、前記C18で表されるヘキサフルオロプロペン三量体の合計量100質量部に対して、0.0001~0.1質量部である)、及び/又は(iii)フッ化物イオン(ここに、かかるフッ化物イオンの含有量は、C18で表されるヘキサフルオロプロペン三量体の合計量100質量部に対して、0.0000001~5質量部である)とを含む。
【0009】
ヘキサフルオロプロペン三量体としては、C18で表される公知のものを広く採用することができ、特に限定はない。
【0010】
かかるヘキサフルオロプロペン三量体として、具体的には下記式(I)~(III)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも一種を含む三量体を例示することができる。
【0011】
【化2】
【0012】
本明細書において、上記式(I)で表される化合物は、特段の断りがない限りジアステレオマーのE体及びZ体の双方を含むものとする。
【0013】
本開示の組成物に含まれるヘキサフルオロプロペン三量体としては、上記式(I)~(III)で表される化合物のうち一種のみが含まれていてもよいし、これらの二種又は三種を含む混合物であってもよい。
【0014】
HFP三量体全量(つまり、式(I)、(II)及び(III)で表される化合物合計)中の、上記式(I)で表される化合物の配合率については、HFP三量体全量に対して1質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることがさらに好ましく、40質量%以上であることがさらにより好ましく、45質量%以上であることが特に好ましく、50質量%以上であることが特に好ましい。また、式(I)で表される化合物は、HFP三量体全量に対して85質量%以上であってもよい。この場合、HFP三量体混合物の粘度が低くなる。また、式(I)で表される化合物は、HFP三量体全量に対して99質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、85質量%以下(または未満)であることがさらに好ましく、80質量%以下であることがよりさらに好ましく、70質量%以下であることが特に好ましく、60質量%以下であることが最も好ましい。上記式(I)で表される化合物の配合率については、HFP三量体全量に対して、例えば10質量%以上90質量%以下、30質量%以上90質量%以下、10質量%以上85質量%以下、35質量%以上85質量%以下、10質量%以上85質量%未満、20質量%以上85質量%未満、30質量%以上85質量%未満、40質量%以上85質量%未満、50質量%以上85質量%未満、40質量%以上80質量%以下、55質量%以上80質量%以下、60質量%以上75質量%以下、又は65質量%以上70質量%以下、35質量%以上60質量%以下、50質量%以上60質量%以下、であり得、好ましくは30質量%以上90質量%以下、好ましくは40質量%以上85質量%未満、より好ましくは40質量%以上80質量%以下、さらに好ましくは45質量%以上70質量%以下、さらにより好ましくは50質量%以上60質量%以下であり得る。
【0015】
同様に、式(II)で表される化合物の配合率については、HFP三量体全量に対して1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが特に好ましい。また、式(II)で表される化合物は、HFP三量体全量に対して70質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがよりさらに好ましく、20質量%以下であることが特に好ましい。
【0016】
同様に、式(III)で表される化合物それぞれの配合率については、HFP三量体全量に対して1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが特に好ましい。また、式(III)で表される化合物は、HFP三量体全量100質量%中に70質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがよりさらに好ましく、20質量%以下であることが特に好ましい。
【0017】
本開示の組成物中、式(II)で表される化合物及び式(III)で表される化合物の質量比は、特に限定されないが、例えば、1:9~9:1、2:8~8:2、3:7~7:3、4:6~6:4、又は4.5:5.5~5.5:4.5であり得る。
【0018】
上記式(I)~(III)で表される化合物は、常法により製造すればよく、例えば、国際公開第2018/172919号明細書に記載された方法により得ることができ、もちろん、これに限定されない。また、HFPを原料として三量体化して得てもよいし、これに限定されるわけではなく、公知の方法を広く採用して得ればよい。
【0019】
本開示の組成物は、式(I)~(III)で表される化合物以外の、C18で表されるヘキサフルオロプロペン三量体を含んでいてもよい。
【0020】
本開示の組成物は、ヘキサフルオロプロペン二量体を含んでいてもよい。
【0021】
ヘキサフルオロプロペン二量体は、(E)-1,1,1,2,3,4,5,5,5-ノナフルオロ-4-(トリフルオロメチル)-2-ペンテン、(Z)-1,1,1,2,3,4,5,5,5-ノナフルオロ-4-(トリフルオロメチル)-2-ペンテン、又は1,1,3,4,4,5,5-ノナフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ペンテンを含み得る。
【0022】
一の態様において、本開示の組成物は、ヘキサフルオロプロペン四量体を含んでいてもよい。
【0023】
ヘキサフルオロプロペン四量体は、1,1,1,2,5,6,6,6-オクタフルオロ-2,3,5-トリス(トリフルオロメチル)-4-(ペルフルオロプロピル-2-イル)-3-ヘキセンを含み得る。
【0024】
本開示の組成物中、ヘキサフルオロプロペン三量体の含有量は、ヘキサフルオロプロペン三量体及びヘキサフルオロプロペン四量体の合計に対して、80質量%以上、好ましくは85質量%以上、より好ましくは90質量%以上、例えば95質量%以上、98質量%以上、99質量%以上、99.9質量%以上であり得る。
【0025】
本開示の組成物中、ヘキサフルオロプロペン三量体の含有量は、ヘキサフルオロプロペン三量体及びヘキサフルオロプロペン四量体の合計に対して、好ましくは99.999質量%以下、より好ましくは99.99質量%以下、例えば99.9質量%以下、99質量%以下、95質量%以下、90質量%以下、又は85質量%以下であり得る。
【0026】
本開示の組成物中、ヘキサフルオロプロペン三量体の含有量は、ヘキサフルオロプロペン三量体及びヘキサフルオロプロペン四量体の合計に対して、好ましくは80質量%以上99.999質量%以下、より好ましくは85質量%以上99.99質量%以下、例えば90質量%以上99.99質量%以下、95質量%以上99.99質量%以下、99質量%以上99.99質量%以下、又は99質量%以上99.9質量%以下であり得る。であり得る。
【0027】
ヘキサフルオロプロペン三量体とヘキサフルオロプロペン四量体との合計量は、組成物中、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらにより好ましくは95質量%以上、例えば98質量%以上、99質量%以上、又は99.9質量%以上であり得る。ヘキサフルオロプロペン三量体とヘキサフルオロプロペン四量体との合計量は、組成物中、実質的に100質量%であってもよい。換言すれば、本開示の組成物は、ヘキサフルオロプロペン三量体とヘキサフルオロプロペン四量体との混合物であり得る。
【0028】
(1-1.C2m及び/又はC(2n-2)
一の態様において、本開示の組成物は、C18で表されるヘキサフルオロプロペン(HFP)三量体と、C2m及び/又はC(2n-2)〔式中、mは4以上12以下で9以外の整数である。nは4以上12以下の整数である。〕とを含み得る。
【0029】
mは4以上の整数であり、5以上の整数であることが好ましく、6以上の整数であることがより好ましい。また、nは12以下の整数であり、11以下の整数であることが好ましく、10以下の整数であることがより好ましい。但し、mは9を含まない。さらに、mは8であることが特に好ましい。
【0030】
nは4以上の整数であり、5以上の整数であることが好ましく、6以上の整数であることがより好ましい。また、nは12以下の整数であり、11以下の整数であることが好ましく、10以下の整数であることがより好ましい。さらに、nは9であることが特に好ましい。
【0031】
2mは、鎖状化合物であっても、置換構造を有していてもよい環状化合物であってもよい。鎖状化合物は、いわゆるアルケンであってよく、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。
【0032】
(2n-2)は、鎖状化合物であっても、置換構造を有していてもよい環状化合物であってもよい。鎖状化合物は、いわゆるジエンであっても、アルキンであってもよく、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。
【0033】
本開示の組成物は、C2m及び/又はC(2n-2)が含まれることにより、HFP三量体の安定性が向上する。
【0034】
また、C2m及び/又はC(2n-2)の含有量は、本開示の組成物全体に対して、0.0001質量%以上であることが好ましい。
【0035】
一方、C2m及び/又はC(2n-2)の含有量は、本開示の組成物全体に対して、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。
【0036】
一の態様において、組成物中、C2m及び/又はC(2n-2)の含有量は、HFP三量体の合計100質量部に対して、0.0001質量部以上であることが好ましく、0.01質量部以上であることがより好ましく、0.1質量部以上であることがさらに好ましい。
【0037】
一方、組成物中、C2m及び/又はC(2n-2)の含有量は、HFP三量体の合計100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましく、1質量部以下であることがさらに好ましい。
【0038】
なお、C2m及び/又はC(2n-2)が複数種含まれる場合、上記含有量は、これらの合計量を意味する。
【0039】
2m及び/又はC(2n-2)の含有量を上記の範囲とすることにより、C18で表されるHFP三量体の分解を抑制することができ、ひいてはフッ化物イオンの増加及び酸性度の上昇を抑制することができる。
【0040】
(1-2.水)
一の態様において、本開示の組成物は、水を含み得る。水の含有量は、組成物中に1質量ppm以上であり得、5質量ppm以上であることが好ましい。水の含有量を一定以上、例えば1質量ppm以上とすることにより、組成物の安定性が低下による組成物の帯電を抑制することができる。また、水の含有量は、組成物中に1000質量ppm以下であり、500質量ppm以下であることが好ましく、100質量ppm以下であることがより好ましく、20質量ppm以下であることがよりさらに好ましい。水の含有量を一定以下、例えば1000質量ppm以下とすることにより、加熱時のC18で表されるHFP三量体の分解を抑制することができ、ひいてはフッ化物イオンの過度の増加及び酸性度の上昇を抑制することができる。
【0041】
一の態様において、水の含有量は、C18で表される化合物の合計100質量部に対して、0.0001質量部以上であることが好ましく、0.0005質量部以上であることがより好ましく、0.001質量部以上であることがさらに好ましい。
【0042】
一方、水の含有量は、水の含有量は、C18で表される化合物の合計100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましく、1質量部以下であることがさらに好ましい。
【0043】
本開示の組成物は、所定量の水を含むことにより、絶縁耐力が向上する。本開示の組成物の絶縁耐力は、好ましくは40kV以上、好ましくは50kV以上、さらに好ましくは60kV以上であり得る。
【0044】
(1-3.フッ化物イオン)
一の態様において、本開示の熱伝達流体用組成物は、フッ化物イオンを、当該組成物全体に対して、0.0000001質量%以上含んでもよい。フッ化物イオン量は、当該組成物全体に対して、0.000001質量%以上であることが好ましく、0.0001質量%以上であることがより好ましく、0.001質量%以上であることが更に好ましい。フッ化物イオン濃度を0.0000001質量%以上とすることにより、組成物の安定性が保持され、当該組成物が帯電するのを抑制することができる。
【0045】
また、本開示の組成物に含まれるフッ化物イオン量は、当該組成物全体に対して、5質量%以下であり、1質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましい。フッ化物イオンを5質量%以下とすることにより、加熱の際もC18で表される化合物の分解を抑制することができる。
【0046】
一の態様において、フッ化物イオン量は、C18で表される化合物の合計100質量部に対して、0.0000001質量部以上であることが好ましく、0.000001質量部以上であることがより好ましく、0.0001質量部以上であることがより好ましく、0.001質量部以上であることが更に好ましい。
【0047】
一方、水の含有量は、フッ化物イオン量は、C18で表される化合物の合計100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましく、1質量部以下であることがより好ましく、0.1質量部以下であることがさらに好ましい。
【0048】
フッ化物イオン量は、例えば試料に1倍量(重量)の蒸留水を加え、約20秒間振り混ぜて水層にFイオンを抽出する。次いで、水層をスポイトで2.5~3.0mL抜出し、その二倍量のTISAB溶液(トータルイオン強度調節バッファー溶液)と混合した液をサンプルとして、フッ素イオンメーターで測定することができる。
【0049】
フッ化物イオン源としては、公知のフッ化物イオン源を広く使用することができ、特に限定はない。具体的には、フッ化水素、フッ化ナトリウム、フッ化水素ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化水素カリウム、フッ化リチウム、フッ化セシウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化アルミニウム、フッ化亜鉛、フッ化銀、及びフッ化鉄のイオンを例示することができる。これらは一種のみが含まれていてもよいし、複数種が含まれていてもよい。好ましくは、フッ化物イオン源は、フッ化水素である。
【0050】
(1-4.その他成分)
本開示の組成物は、ヘキサフルオロプロペン三量体に加え、パーフルオロトリプロピルアミンを含んでいてもよい。ヘキサフルオロプロペン三量体及びパーフルオロトリプロピルアミンを含む組成物は、擬共沸液体であり得る。組成物が擬共沸液体であることにより、組成物が気化した場合であっても組成の変化が小さく、取り扱いが容易になる。
【0051】
ここに、擬共沸液体とは、擬共沸液体に含まれる各成分の気相と液相におけるモル分率の差が10%以内である液体を意味する。
【0052】
パーフルオロトリプロピルアミンは、トリス(ヘプタフルオロプロピル)アミン、又はN,N-ビス(ヘプタフルオロプロピル)(ヘプタフルオロプロピル)アミンとも呼ばれ、一般式:N(CFCFCF(CF(CF)CF3-a(aは0~3の整数)で表される。パーフルオロトリプロピルアミンは、上記一般式で表される化合物のうち一種のみを含んでもよいし、複数種を含んでもよい。N(CFCFCFが好ましいが、不純物としてN(CFCFCF(CF(CF)CF3-a(aは0~2の整数)を含んでいてもよい。具体的には、製品名「フロリナート(登録商標)」(3M社製)(FC-3283)等が挙げられる。
【0053】
本開示の組成物は、さらに、パーフルオロポリエーテル、及びメトキシトリデカフルオロヘプテン異性体混合物、パーフルオロトリブチルアミン等を含んでいてもよい。
【0054】
パーフルオロポリエーテルは、好ましくは、
一般式:RO-Rf-R’
で表され、
式中、
R及びR’は、同一又は異なって、-C2m+1で表される一価の基であり、ここでmは1~8の整数であり、かつ
Rfは、2~20個の反復単位を含む二価のフルオロポリオキシアルキレン基であり、前記反復単位は:
(i) -CFXO-、(式中、Xは、F又はCFである);
(ii) -CFCFXO-(式中、Xは、F又はCFである);
(iii) -CFXCFO-(式中、Xは、F又はCFである);
(iv) -CFCFCFO-;若しくは
(v) -CFCFCFCFO-
で表され、又は
Rfは、
(vi) -(CF-CFY-O-(式中、nは、0~3の整数であり、Yは、一般式-ORfZで表される一価の基であり、ここで、Rfは、-CFXO-、-CFCFXO-、-CFCFCFO-、又は-CFCFCFCFO-で表される、2~20個の反復単位を含む二価のフルオロポリオキシアルキレン基であり、ここで、各Xは、同一又は異なって、FまたはCFであり、Zは、一価のC1-5ペルフルオロアルキル基である)で表される二価の基である。
【0055】
パーフルオロポリエーテルは、具体的には、製品名GALDEN(登録商標)「HT135」、GALDEN(登録商標)「HT110」(いずれもソルベイ社製)等が挙げられる。
【0056】
メトキシトリデカフルオロヘプテン異性体混合物は、具体的には、メチル-パーフルオロヘプテンエーテル(MPHE)(C13OCH)を含む。具体的には、製品名「Opteon SF10」(ケマーズ社製)等が挙げられる。
【0057】
本開示の組成物がパーフルオロトリプロピルアミン、パーフルオロポリエーテル、及びメトキシトリデカフルオロヘプテン異性体混合物を含む場合は、これらとC18で表される化合物とは特性が似通っていることから、これらの含有割合にかかわらず、組成物全体の特性は基本的には不変である。よって、この場合は、本開示の組成物は、組成物全体に対して、C18で表される化合物を、40質量%~99.9質量%含むことが好ましく、60質量%~99.9質量%含むことがより好ましく、80質量%~99.9質量%含むことがさらに好ましい。
【0058】
(1-5.その他成分)
本発明の組成物は、組成物以外の成分と併用することができる。本開示の組成物は、上記した式(I)~(III)で表される化合物、並びにC2m及び/又はC(2n-2)、水及び/又はフッ化物イオン以外に、その効果及び目的を阻害しない範囲内で、組成物以外の、任意の添加物を含んでいてもよい。かかる任意の添加物として、安定剤等を例示できる。
【0059】
安定剤は、安定化効果を発揮することにより、いわゆる受酸剤又は酸化防止剤としての機能を発揮するものである。安定化効果としては、系内に発生するラジカルを補足することでHFP三量体の分解を防止する効果、系内に発生した酸を捕捉することで、酸によるさらなるHFP三量体の分解等を防止する受酸効果などが主要なものとして挙げられる。
【0060】
かかる安定剤としては、公知の安定剤を広く採用することが可能である。中でも、組成物による金属の腐食発生を効果的に抑制できることから、不飽和アルコール系安定剤、ニトロ系安定剤、アミン系安定剤、フェノール系安定剤及びエポキシ系安定剤からなる群より選ばれる1種以上の安定剤を使用することが好ましい。
【0061】
不飽和アルコール系安定剤としては、公知のものを広く採用することが可能である。例えば、3-ブテン-2-オール、2-ブテン-1-オール、4-プロペン-1-オール、1-プロペン-3-オール、2-メチル-3-ブテン-2-オール、3-メチル-3-ブテン-2-オール、3-メチル-2-ブテン-1-オール、2-ヘキセン-1-オール、2,4-ヘキサジエン-1-オール及びオレイルアルコールからなる群より選択される1種以上を使用することができる。
【0062】
ニトロ系安定剤としては、公知のものを広く採用することが可能である。脂肪族ニトロ化合物として、例えば、ニトロメタン、ニトロエタン、1-ニトロプロパン、2-ニトロプロパン等が挙げられる。芳香族ニトロ化合物として、例えば、ニトロベンゼン、o-、m-又はp-ジニトロベンゼン、o-、m-又はp-ニトロトルエン、ジメチルニトロベンゼン、m-ニトロアセトフェノン、o-、m-又はp-ニトロフェノール、o-ニトロアニソール、m-ニトロアニソール及びp-ニトロアニソールからなる群より選択される1種以上を使用することができる。
【0063】
アミン系安定剤としては、公知のものを広く採用することが可能である。例えば、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソブチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、ジアリルアミン、トリエチルアミン、N-メチルアニリン、ピリジン、モルホリン、N-メチルモルホリン、トリアリルアミン、アリルアミン、α-メチルベンジルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ジベンチルアミン、トリベンチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、アニリン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ベンジルアミン、ジベンジルアミン、ジフェニルアミン及びジエチルヒドロキシルアミンからなる群より選択される1種以上を使用することができる。
【0064】
フェノール系安定剤としては、公知のものを広く採用することが可能である。例えば、2,6-ジターシャリーブチル-4-メチルフェノール、3-クレゾール、フェノール、1,2-ベンゼンジオール、2-イソプロピル-5-メチルフェノール、及び2-メトキシフェノールからなる群より選択される1種以上を使用することができる。
【0065】
エポキシ系安定剤としては、公知のものを広く採用することが可能である。例えば、ブチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、ブチルグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、及び1,2-エポキシ-3-フェノキシプロパンからなる群より選択される1種以上を使用することができる。
【0066】
異なる安定化効果を有する安定剤を組み合わせて用いることで、様々な原因で起こりうるHFP三量体の分解をより効果的に防止するという理由から、上記したエポキシ系安定剤、並びに、不飽和アルコール系安定剤、ニトロ系安定剤、及びフェノール系安定剤からなる群より選択される1種以上からなることが好ましい。
【0067】
上記HFP三量体からの酸遊離を効果的に抑制し、液状組成物による金属の腐食を抑制するという観点から、本開示の組成物全体に対する安定剤の含有量は、0.0001質量%以上であることが好ましく、0.01質量%以上であることがより好ましい。一方、安定剤の過剰な添加による液状組成物の好ましくない物性変化を避けるという点を考慮すれば、本開示の組成物全体に対する安定剤の含有量は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
【0068】
(1-6.不純物)
【0069】
本開示の組成物は、導電性物質を含み得る。導電性物質の含有量は、100質量ppm以下であり、75質量ppm以下が好ましく、50質量ppm以下がより好ましく、10質量ppm以下が更に好ましい。なお、導電性物質がデバイスの隙間から侵入することにより回路のショートを引き起こす可能性があるのは、特に金属、金属イオンであるため、本開示における導電性物質の含有量は、必要に応じて「金属及び金属イオンの少なくとも一種」に着目して検討することもできる。
【0070】
別の態様において、本開示の組成物は、5μm以上の不溶物(導電性の有無を問わず、容器の樹脂片、空気中から混入した塵、ほこり等の固形分も含む)の含有量が、好ましくは10個/mL以下であり、より好ましくは5個/mL以下であり、更に好ましくは3個/mL以下である。
【0071】
(1-7.不純物が低減された組成物の製造方法)
本開示は、不純物が低減された組成物の製造方法を提供する。本開示の組成物の製造方法は、C18で表される化合物と導電性物質とを含有する組成物を精製処理し、前記組成物から前記導電性物質が低減された組成物を得る工程を有し、
(1)前記精製処理は、濾過フィルター、イオン交換樹脂、金属イオン除去フィルター、金属イオン除去剤、蒸留、精留、遠心分離、及び静電気吸着からなる群から選択される少なくとも一種を用いた処理である、
ことを特徴とする。なお、本開示において、精製における「低減」とは、前記組成物中の導電性物質の含有割合を減少させることを意味する。
【0072】
本開示者らの研究によると、C18で表される化合物を含有する組成物には、導電性物質(金属、金属イオン、カーボン、導電性高分子、超電導セラミックス等)が含まれている。これらの導電性物質は組成物の製造時にプロセスに起因して不可避的に混入するものだけでなく、製造後の使用時に事後的に混入するものも含まれる。これらの組成物を、デバイスへ又は前記デバイスから熱を伝達する用途に用いる場合には、導電性物質がデバイスの隙間から侵入することにより回路のショートを引き起こす可能性がある。また、組成物を繰り返し使用する際に、組成物を循環する配管の閉塞を引き起こす可能性がある。従来公知の組成物は導電性物質を含有する点で「C18で表される化合物と導電性物質とを含有する組成物」とも表記することができる。本開示の組成物の製造方法は、HFP三量体と導電性物質とを含有する組成物(以下、「精製前組成物」ともいう。)を特定の精製処理に供し、導電性物質が低減された組成物を得ることを特徴とする。
【0073】
(1-7-1)C18で表される化合物と導電性物質とを含有する組成物(精製前組成物)
精製前組成物は、C18で表される化合物と導電性物質とを含有し得る。
【0074】
(1-7-2)C18で表される化合物
18で表される化合物は、上記で説明したヘキサフルオロプロペン三量体である。
【0075】
(1-7-3)追加的に含有し得る化合物
本開示における組成物は、C18で表される化合物とは異なる追加的な化合物「追加成分」ともいう。)を含んでもよい。追加成分は、一種又は複数種であってもよく、追加成分としては、例えば、ヘキサフルオロプロペン二量体、ヘキサフルオロプロペン四量体等が挙げられる。
【0076】
ヘキサフルオロプロペン二量体は、(E)-1,1,1,2,3,4,5,5,5-ノナフルオロ-4-(トリフルオロメチル)-2-ペンテン、(Z)-1,1,1,2,3,4,5,5,5-ノナフルオロ-4-(トリフルオロメチル)-2-ペンテン、又は1,1,3,4,4,5,5-ノナフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ペンテンを含み得る。
【0077】
ヘキサフルオロプロペン四量体は、1,1,1,2,5,6,6,6-オクタフルオロ-2,3,5-トリス(トリフルオロメチル)-4-(ペルフルオロプロピル-2-イル)-3-ヘキセンを含み得る。
【0078】
本開示における組成物は、本開示のC18で表される化合物と追加成分とを含有する場合に、組成物全体に対して、本開示のC18で表される化合物を80質量%以上含むことが好ましく、85質量%以上含むことがより好ましく、90質量%以上含むことが更に好ましく、95質量%以上含むことが最も好ましい。本開示の製造方法では、C18で表される化合物と導電性物質とを含有する組成物(精製前組成物)の動粘度、凝固点、及び沸点の特性が、所定の精製処理(濾過フィルター、イオン交換樹脂、金属イオン除去フィルター、金属イオン除去剤、蒸留、精留、遠心分離、及び静電気吸着からなる群から選択される少なくとも一種を用いた処理)との関係で精製前組成物から導電性物質を除去する効率に影響するため、追加成分を含まないことが好ましいが、追加成分を含有する場合には、上記の通り組成物全体に対して、C18で表される化合物を80質量%以上含むことが好ましい。
【0079】
本開示のC18で表される化合物に加えて追加成分を含む場合、及び含まない場合の両方において、例えば、C18で表される化合物と導電性物質とを含有する組成物(精製前組成物)としては、前述した通りの本開示のC18で表される化合物のそれぞれの合成品又は市販品、及び/又は、それらを一定期間使用することで事後的に導電性物質が混在したものを幅広く採用することができる。
【0080】
(1-7-4)導電性物質
導電性物質としては、例えば、金属、金属イオン、金属酸化物、金属窒化物、カーボン、導電性高分子、及び超電導セラミックスからなる群から選択される少なくとも一種が例示できる。導電性物質を含有する組成物を、デバイスに用いる場合には、導電性物質がデバイスの隙間から侵入することにより回路のショートを引き起こす可能性がある。また、本開示の組成物を繰り返し使用する際に、C18で表される化合物を循環する配管の閉塞を引き起こす可能性がある。よって、C18で表される化合物の性能を高めるためには、これらの導電性物質の含有量を低減することが重要である。導電性物質の形状及び大きさは導電性物質の種類により異なるが、一般には0.001~10μm程度である。
【0081】
導電性物質としての、金属、金属イオン、金属酸化物、金属窒化物における金属種としては、例えば、Al、Ba、Be、Bi、Ca、Co、Cr、Cu、Fe、Ga、K、Li、Mg、Mn、Na、Ni、Pb、Sr、V、Zn等が挙げられる。
【0082】
導電性物質としての金属は、単体であっても、合金であってもよい。導電性物質としての金属は、典型的には微粒子の形態で含まれる。
【0083】
導電性物質としてのイオンは、各金属種が取り得る全てのイオン形態を含む。導電性物質としてのイオンは、いずれかの価数を有するイオンとして溶解した形態で存在してもよく、あるいは物質中にイオンとして存在した形態、例えば配位した形態で存在してもよい。
【0084】
導電性物質としての金属酸化物は、1種の金属種の酸化物であってもよく、複数種の金属の酸化物(すなわち、複合酸化物)であってもよい。
【0085】
導電性物質としての金属窒化物は1種の金属種の窒化物であってもよく、複数種の金属の窒化物(すなわち、複合窒化物)であってもよい。
【0086】
導電性物質としてのカーボンとしては、例えば、カーボンブラックが挙げられる。
【0087】
導電性物質としての導電性高分子としては、例えば、ポリアセチレン、ポリチオフェンが挙げられる。
【0088】
精製前組成物に含まれる導電性物質の含有量は限定的ではないが、例えば、150質量ppm以上(更には500質量ppm以上)であれば、本開示の製造方法において、導電性物質の含有量を効果的に低減することができる。なお、導電性物質の含有量は、誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)を用いて、実施例に記載のように測定することができる。
【0089】
また、精製前組成物は、導電性の有無を問わず、容器の樹脂片、空気中から混入した塵、ほこり等の固形分も含む不溶物を含み得るが、例えば5μm以上の不溶物の含有量が50個/mL以上(更には100個/mL以上)であれば、導電性物質の含有量を低減する本開示の精製処理において、同時に不溶物の含有量を効果的に低減することができる。なお、組成物に含まれる導電性物質の不溶物(微粒子)の数は、液中パーティクルカウンターを用いて、実施例に記載のように測定することができる。
【0090】
(1-7-5)精製前組成物の物性
精製前組成物はC18で表される化合物と導電性物質とを含有する組成物であり、本開示の製造方法において、濾過フィルター、イオン交換樹脂、金属イオン除去フィルター、金属イオン除去剤、蒸留、精留、遠心分離、及び静電気吸着からなる群から選択される少なくとも一種を用いた精製処理に供される。
【0091】
精製前組成物は、上記精製処理により導電性物質の含有量を低減するに際し、精製前組成物が低い動粘度を有すること、低い凝固点を有すること、高い沸点を有することが精製効率の観点から好ましい。C18で表される化合物を主成分(好ましくは80質量%以上)とすることにより、精製前組成物の低い動粘度、低い凝固点、及び高い沸点の物性は具備し易い。
【0092】
精製前組成物の-40℃での動粘度は、15cSt以下であることが好ましく、10cSt以下であることがより好ましく、7cSt以下であることが更に好ましい。動粘度が15cSt以下の低さであることにより、濾過性が向上するため、特に濾過フィルター、金属イオン除去フィルター等を用いた精製処理の効率を高めることができる。なお、本開示における-40℃での動粘度の測定方法は、実施例に記載の方法による。
【0093】
精製前組成物の凝固点は、-35℃以下であることが好ましく、-50℃以下であることがより好ましく、-70℃以下であることが更に好ましく、-100℃以下であることが最も好ましい。凝固点が-35℃以下の低さであることにより、低温での精製処理が可能であるため、蒸発等によるC18で表される化合物のロスを低減し、精製処理の効率を高めることができる。なお、本開示における凝固点の測定方法は、実施例に記載の方法による。
【0094】
精製前組成物の沸点は、90℃以上であることが好ましく、95℃以上であることがより好ましく、105℃以上であることが更に好ましい。沸点が90℃以上の高さであることにより、凝固点の低さと同様の理由により、蒸発等によるC18で表される化合物のロスを低減し、精製処理の効率を高めることができる。なお、なお、本開示における沸点の測定方法は、実施例に記載の方法による。
【0095】
(1-7-6)精製前組成物の精製処理
本開示の製造方法において、精製前組成物は、濾過フィルター、イオン交換樹脂、金属イオン除去フィルター、金属イオン除去剤、蒸留、精留、遠心分離、及び静電気吸着からなる群から選択される少なくとも一種を用いた精製処理に供される。
【0096】
これらの精製手段は常法に従って適用すればよいが、本開示の製造方法では、特に濾過フィルターを用いた精製処理が好ましい。濾過フィルターを用いる場合のフィルター孔径の上限、下限は限定的ではないが、例えば上限は、5μm以下、1μm以下、0.5μm以下、又は0.1μm以下に設定することができる。また、例えば下限は、1.0nm以上、0.5nm以上、0.2nm以上、又は0.1nm以上に設定することができる。
【0097】
上記イオン交換樹脂としては、陽イオン交換樹脂又は陰イオン交換樹脂のいずれであってもよい。陰イオン交換樹脂としては、例えば、官能基としてアミノ基及び/又は四級アンモニウム基を有するイオン交換樹脂を用いることができる。イオン交換樹脂は、好ましくは強塩基性陰イオン交換樹脂である。陰イオン交換樹脂の塩基性度は、ポリマー骨格及び/又は官能基の種類によって種々設定することができる。陰イオン交換樹脂は市販品を用いてもよく、例えば、三菱ケミカル社製の「ダイヤイオン(登録商標)SA」シリーズなど、ピュロライト社製の「A200」など、オルガノ社製の「アンバーライト(登録商標)」シリーズ等を用いることができる。陽イオン交換樹脂としては、例えば、官能基としてカルボン酸基及び/又はスルホン酸基を有するイオン交換樹脂を用いることができる。陽イオン交換樹脂の酸性度は、ポリマー骨格及び/又は官能基の種類によって種々設定することができる。陽イオン交換樹脂は市販品を用いてよく、例えば、三菱ケミカル社製の「ダイヤイオン(登録商標)SK」シリーズなど、ピュロライト社製の「C100」など、オルガノ社製の「アンバーライト(登録商標)」シリーズ等を用いることができる。
【0098】
金属イオン除去剤としては、キレート剤、活性炭等が挙げられる。キレート剤としては、例えば、CRB03、CRB05、CR20(いずれも三菱化学社製)、Si-Thiol、Si-Thiourea、Si-TMT、Si-DMT、Si-SCX-2、Si-Amine、Si-Trisamine、Si-Imidazole、Si-TBD、Si-PHI(いずれもSiliCycle社製)、MuromacXMS-5418(室町ケミカル社製)、IRC76-HG、IRC748、IRC747UPS(いずれもオルガノ社製)、S910(ピュロライト社製)、MPA(Reaxa QuadraPure社製)等を用いることができる。活性炭としては、例えば、大阪ガスケミカル社製の「白鷺(登録商標)」など、カルゴン・カーボン・ジャパン社製の「Filtrasorb(登録商標)CAL」、「ダイアホープ(登録商標)」、「ダイアソーブ(登録商標)」など、水ing社製の「エバダイヤ(登録商標)」シリーズなどが挙げられる。
【0099】
上記精製処理を経ることにより、導電性物質の含有量が低減された組成物(精製後組成物)が得られる。
【0100】
上記製造方法は、前記精製処理の工程を有するものであるが、それ以外に組成物に安定剤などの添加剤を配合する工程、その他の工程を有していてもよい。
【0101】
(2.組成物の使用)
本開示の組成物は、種々の用途に用いることができる。例えば、本開示の組成物は、熱伝達流体、合成溶媒等として用いることができる。
【0102】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【実施例
【0103】
以下、実施例に基づき、本発明の実施形態をより具体的に説明するが、本発明がこれらに限定されるものではない。
【0104】
(製造例1)
Chem Bar (1973), Vol. 106, pp2950-2959に記載された方法に基づき、HFP三量体を得た。得られたHFP三量体を蒸留により精製して、ヘキサフルオロプロペンの二量体および四量体等の不純物を除去した。さらに、精製したHFP三量体を蒸留により、式(I)、(II)及び(III)で表される化合物に分離した。分離したHFP三量体のそれぞれをシリカゲルを用いて脱水した。
【0105】
上記で得られた式(I)、(II)及び(III)で表される化合物を、式(I)、(II)及び(III)で表される化合物の割合が下記表に示す割合となるように混合して、三量体混合物1~4を得た。
【0106】
【表1】
【0107】
(製造例2)
Journal of the Chemical Society, Perkin Transactions 1: Organic and Bio-Organic Chemistry (1981), Vol. 4, pp1064-1067に記載された方法に基づき、C16を合成した。
【0108】
(製造例3)
16を、和光純薬社製試薬として購入した。
【0109】
(実施例1~43)
三量体混合物1~4と、添加剤としての製造例2のC16または製造例3のC16を、下記表の割合で混合して、実施例1~43の熱伝導流体用組成物を得た。
【0110】
(安定性試験)
得られた熱伝導流体用組成物をSUS製オートクレーブに入れ密閉し、下記表に示す条件で加熱、保持した。
【0111】
(フッ化物イオン濃度測定)
試料に1倍量(重量)の蒸留水を加え、約20秒間振り混ぜて水層にFイオンを抽出した。次いで、水層をスポイトで2.5~3.0mL抜出し、その二倍量のTISAB溶液(トータルイオン強度調節バッファー溶液:HORIBA社製)と混合した液をサンプルとして、フッ素イオンメーター(HORIBA社製)で測定した。なお、TISAB溶液で希釈していることから、測定値の3倍がフッ化物イオン濃度となる。結果を下記表に示す。
【0112】
【表2】
【0113】
【表3】
【0114】
上記の結果から、C16またはC16を含む実施例1~43は、高温で長期間保存した後もフッ素濃度の上昇が見られず、安定であることが確認された。
【0115】
<沸点、流動点及誘電率測定>
三量体混合物の沸点はDSC(示唆操作熱量測定)を用い、25℃から5℃/minで昇温した際の吸熱に由来するピークが観測された温度とした。流動点はDSCを用い、液体窒素で凝固点以下まで冷却したのち、5℃/minで昇温した際に吸熱に由来するピークが観測された温度とした。誘電率は温度25℃、湿度60%の環境下で静電容量法により周波数1kHzの値を測定した。
【0116】
<動粘度及び密度測定>
三量体混合物の動粘度及び密度を、Anton Paar社製動粘度計SVM3001を用いて測定した。
【0117】
<比熱測定>
三量体混合物の比熱は、DSCを用いて測定した。測定条件は下記の通りであった。
測定装置:Perkin-Elmer社製示差走査熱量計DSC8500
昇温速度:10℃/分
標準試料:サファイア(-Al2O3)
雰囲気:乾燥窒素気流中
試料容器:アルミニウム密閉容器
【0118】
<熱伝導率測定>
三量体混合物の熱伝導率は、非定常細線法により測定した。
【0119】
<相溶性>
三量体混合物の相溶性は、下記の3種の溶媒と各三量体混合物とを等量で混合させて評価した。
Galden HT135(Solvay社製)
SF-10(ケマーズ社製)
FC3283(3M社製)
【0120】
【表4】
【0121】
(実施例44~59)
三量体混合物1~4と水を、下記表に示す量で混合し、実施例44~59の組成物を得た。
【0122】
【表5】

【0123】
(安定性試験)
実施例44~59および比較例3~6の組成物を、SUS製オートクレーブに入れ密閉し、下記表に示す条件で加熱、保持した。
【0124】
(絶縁耐力測定)
所定の間隔に調整した球状電極間に液体試料を浸漬させ、一定速度で電圧を上昇させた際の絶縁破壊電圧として、絶縁耐力を測定した。詳細な測定条件は、以下の通りであった。
電極形状:球状(φ12.5mm)
電極間隔:2.5mm
昇圧速度:2kV/秒
測定雰囲気:空気中(22℃、57%RH)
【0125】
【表6】
【0126】
上記の結果から、所定量の水を含む実施例44~59は、高温で長期間保存した後もフッ素濃度の上昇が見られず、安定であることが確認された。また、実施例44~59は、絶縁耐力が高いことが確認された。
【0127】
(実施例60~83)
三量体混合物1~4に、無水フッ酸を添加して基準液を作成し、これを各三量体混合物で希釈して、フッ化物イオン濃度が下記表に示す濃度である実施例60~83の組成物を得た。
【0128】
(安定性試験)
試料を、SUS製オートクレーブに入れ密閉し、下記表に示す条件で加熱、保持した。
【0129】
(ヘキサフルオロプロペン三量体の純度の測定)
安定性試験前後における、ヘキサフルオロプロペン三量体の純度を、ガスクロマトグラフィーにより測定した。
【0130】
【表7】

【0131】
【表8】

【0132】
上記の結果から、所定量のフッ化物イオンを含む実施例60~83は、高温で長期間保存した後もヘキサフルオロプロペン三量体の純度が高く維持されていることが確認された。
【0133】
上記で得られた式(I)、(II)及び(III)で表される化合物を、式(I)、(II)及び(III)で表される化合物の割合が下記表に示す割合となるように混合して、三量体混合物5~6を得た。
【0134】
【表9】

【0135】
(ヘキサフルオロプロペン四量体の製造)
(製造例4)
Tetrahedron Lett. 1974, 24, 2129-2132に記載された方法に基づき、ヘキサフルオロプロペン四量体を得た。
【0136】
三量体混合物5または6と、製造例4で得られたヘキサフルオロプロペン四量体を混合することにより、本開示の組成物を得ることができる。
【0137】
<評価方法>
(沸点)
沸点を、DSCを用い、25℃から5℃/分で昇温した際の吸熱に由来するピークが観測された温度として測定した。
【0138】
(動粘度)
動粘度を、JIS K 2283に基づきウベローデ粘度計を用いて25℃の値を測定した。
【0139】
(誘電率)
誘電率を、温度25℃、湿度60%の環境下で静電容量法により周波数1kHzの値を測定した。
【0140】
(実施例84~85)
重量比で三量体混合物5:ヘキサフルオロプロペン四量体=91:9(実施例84)、三量体混合物6:ヘキサフルオロプロペン四量体=91:9(実施例85)で混合した。各物性を測定し、結果を表2に示す。
【0141】
【表10】

【0142】
<実施例86~87>
実施例86~87において精製工程に供する精製前組成物(HFP三量体と導電性物質とを含有する組成物1)を準備した。具体的には、SUS製オートクレーブにDMF750g及びフッ化セシウム7.2gを入れて密閉した。オートクレーブ内を真空脱気した後、オートクレーブ内の温度を70~110℃に維持しながらヘキサフルオロプロピレンを4.5時間かけて2268g加えた。得られた反応液から下層を分取し、超純水で洗浄し、HFP三量体を含む組成物(精製前組成物である組成物1)2219gを得た。GCFID及びGC-MS分析を実施し、面積百分率法によりHFP三量体が、組成物全量100質量%中に87質量%含まれており、本明細書に記載の式(I)、(II)、(III)で表される化合物が、HFP三量体全量100質量%中それぞれ順に、78質量%、9質量%、13質量%含まれていることを確認した。
【0143】
<実施例88>
実施例86~87と同様の操作を行い、式(I)、(II)、(III)で表される化合物を単離し、式(I)、(II)、(III)で表される化合物が、それぞれ順に、55質量%、15質量%、30質量%になるように混合し、組成物を2200g作成した。
【0144】
<実施例89>
実施例86~87と同様の操作を行い、式(I)、(II)、(III)で表される化合物を単離し、式(I)、(II)、(III)で表される化合物が、それぞれ順に、3質量%、33質量%、64質量%になるように混合し、組成物を2200g作成した。
【0145】
<実施例90>
実施例86~87と同様の操作を行い、式(I)、(II)、(III)で表される化合物を単離し、式(I)、(II)、(III)で表される化合物が、それぞれ順に、90質量%、5質量%、5質量%になるように混合し、組成物を2200g作成した。
【0146】
(精製前組成物中の金属及び金属イオン含有量測定)
精製前組成物中の導電性物質(本実施例では特に金属、金属イオンの含有量に着目した)の含有量は、誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)を使用した下記手順により求めた(精製後組成物においても同じである。)。各測定値は、下記表1のとおりであった。
(1)精製前組成物を2000g、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製のビーカーに注ぎ、ビーカーを250℃のホットプレートの上に置き、揮発成分を揮発させた。
(2)濃度が70%の超微量精密分析用硝酸(和光純薬工業製)を超純水で希釈し濃度が約4質量%の硝酸を得た後、これを約50mL、PTFE製のビーカーに入れた。
(3)PTFE製のビーカーを150℃のホットプレートの上に1時間置いて、ビーカーに残った金属を溶解させた。
(4)硝酸に溶けた金属イオン量を、ICP-MSを用いて測定した。硝酸中の金属イオン量、硝酸の量、揮発させた溶液の量を用いて、溶液中の金属及び金属イオンの含有量を算出した。
(5)以上の測定に関わる作業は全てクラス10000のクリーンルーム内において興研株式会社製テーブルコーチを設置し、作業環境をクラス1相当の環境として実施した。
【0147】
(精製前組成物の不溶物(微粒子)数の測定)
精製前組成物における粒径5.0μm以上の粒子数と、粒径1.0μm以上5.0μm未満の粒子数と、粒径0.5μm以上1.0μm未満の粒子数と、粒径0.3μm以上0.5μm未満の粒子数について、液中パーティクルカウンター(RION社製「KL-22」)を用いて、温度23℃にて測定した(精製後組成物においても同じである。)。測定に関わる作業は全てクラス10000のクリーンルーム内において興研株式会社製テーブルコーチを設置し、作業環境をクラス1相当の環境として実施した。
【0148】
(精製前組成物の沸点、凝固点及動粘度測定)
沸点はDSCを用い、25℃から5℃/minで昇温した際の吸熱に由来するピークが観測された温度とした。凝固点はDSCを用い、液体窒素で-150℃以下(固体となることが確認できた温度)まで冷却したのち、5℃/minで昇温した際に吸熱に由来するピークが観測された温度とした。動粘度はJIS K 2283に基づきウベローデ粘度計を用いて測定した。各測定値は、下記表1のとおりであった。
【0149】
(精製処理)
濾過装置として、1つのフィルターを1つの容器に詰めてなるユニットをフィルター毎に準備し、それらのユニットの必要数が直列接続された多段濾過装置を準備した。
【0150】
精製前組成物を加圧容器に入れて-5℃以下に冷却し、高純度アルゴン雰囲気下、前記濾過装置を用いて、0.02MPaまで加圧濾過して精製後組成物を得た。その際、前記濾過装置の各ユニットに詰められたフィルターとして、
・フィルターA(日本ポール社製「イオンクリーンSL」、濾過面積:0.58m2)、
・フィルターB(日本ポール社製「ウルツプリーツ・P-ナイロン」、孔径:0.15μm、濾過面積:1.2m2)、及び
・フィルターC(日本ポール社製「ウルツプリーツ・P-ナイロン」、孔径:40nm、濾過面積:1.2m2)をそれぞれ、表1記載の通りに使用した。結果を表1に示す。
【0151】
表1の結果からは、精製前組成物を所定の精製処理に供することにより、導電性物質(特に金属及び金属イオン)の含有量を低減することができることが分かった。
【0152】
【表11】
【0153】
【表12】