(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-15
(45)【発行日】2025-04-23
(54)【発明の名称】シールドコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6476 20110101AFI20250416BHJP
H01R 24/44 20110101ALI20250416BHJP
【FI】
H01R13/6476
H01R24/44
(21)【出願番号】P 2022031430
(22)【出願日】2022-03-02
【審査請求日】2024-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺田 周平
【審査官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111430958(CN,A)
【文献】中国実用新案第209747854(CN,U)
【文献】特開2005-317267(JP,A)
【文献】中国実用新案第217009805(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/6476
H01R 24/38-24/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接続される第1コネクタと第2コネクタとを備え、
前記第1コネクタは、第1内導体と、前記第1内導体を包囲する第1誘電体と、前記第1誘電体を包囲する第1外導体とを有し、
前記第2コネクタは、前記第1内導体に接続される第2内導体と、前記第2内導体を包囲する第2誘電体と、前記第2誘電体を包囲した状態で前記第1外導体に接続される第2外導体とを有し、
前記第1内導体と前記第1外導体の径方向の間隔は、前記第2内導体と前記第2外導体の径方向の間隔よりも狭く、
前記第1誘電体には、前記第1誘電体の周面を凹ませた形状のインピーダンス整合用の第1空気室が形成され、
前記第2誘電体には、前記第2誘電体の周面を凹ませた形状のインピーダンス整合用の第2空気室が形成され、
前記第1空気室の容積は、前記第2空気室の容積よりも
大きく、
前記第1空気室は、前記第1誘電体の内周面に開口し、
前記第1内導体は、後方から前記第1誘電体内に挿入されるようになっており、
前記第1内導体には、第1係止部が形成され、
前記第1内導体は、前記第1空気室の開口縁部の第1抜止部に前記第1係止部を係止させることによって、抜止めされているシールドコネクタ。
【請求項2】
前記第1係止部は、前記第1内導体を前記第1誘電体に挿入する過程で径方向へ弾性変形し、
前記第1内導体が前記第1誘電体に対して正規位置まで挿入されたときに、前記第1係止部が、弾性復帰して前記第1抜止部に係止する請求項1に記載のシールドコネクタ。
【請求項3】
前記第1係止部は、
前記第1内導体の外周面から斜め後方へ延出した第1テーパ部と、
前記第1テーパ部の後端から前記第1内導体の軸線と平行に片持ち状に延出した第1ストレート部とを有している請求項1又は請求項2に記載のシールドコネクタ。
【請求項4】
前記第1ストレート部の後端面が前記第1抜止部に対して面当たり状態で当接することによって、前記第1内導体が抜止めされている請求項3に記載のシールドコネクタ。
【請求項5】
互いに接続される第1コネクタと第2コネクタとを備え、
前記第1コネクタは、第1内導体と、前記第1内導体を包囲する第1誘電体と、前記第1誘電体を包囲する第1外導体とを有し、
前記第2コネクタは、前記第1内導体に接続される第2内導体と、前記第2内導体を包囲する第2誘電体と、前記第2誘電体を包囲した状態で前記第1外導体に接続される第2外導体とを有し、
前記第1内導体と前記第1外導体の径方向の間隔は、前記第2内導体と前記第2外導体の径方向の間隔よりも狭く、
前記第1誘電体には、前記第1誘電体の周面を凹ませた形状のインピーダンス整合用の第1空気室が形成され、
前記第2誘電体には、前記第2誘電体の周面を凹ませた形状のインピーダンス整合用の第2空気室が形成され、
前記第1空気室の容積は、前記第2空気室の容積よりも大きく、
前記第1内導体の前端部には、前記第1誘電体内に収容された状態で前記第2内導体に接続される第1接続部が形成されており、
前記第1空気室の前端は、前記第1誘電体の前端面に開口せず、前記第1誘電体の周面のみに開口した形状であるシールドコネクタ。
【請求項6】
互いに接続される第1コネクタと第2コネクタとを備え、
前記第1コネクタは、第1内導体と、前記第1内導体を包囲する第1誘電体と、前記第1誘電体を包囲する第1外導体とを有し、
前記第2コネクタは、前記第1内導体に接続される第2内導体と、前記第2内導体を包囲する第2誘電体と、前記第2誘電体を包囲した状態で前記第1外導体に接続される第2外導体とを有し、
前記第1内導体と前記第1外導体の径方向の間隔は、前記第2内導体と前記第2外導体の径方向の間隔よりも狭く、
前記第1誘電体には、前記第1誘電体の周面を凹ませた形状のインピーダンス整合用の第1空気室が形成され、
前記第2誘電体には、前記第2誘電体の周面を凹ませた形状のインピーダンス整合用の第2空気室が形成され、
前記第1空気室の容積は、前記第2空気室の容積よりも大きく、
前記第1誘電体の前端面には、前記第2内導体を前記第1誘電体内に誘い込むためのテーパ状の誘導面が形成され、
前記第1空気室の前端は、前記第1誘電体の前端面に開口せず、前記第1誘電体の周面のみに開口した形状であるシールドコネクタ。
【請求項7】
互いに接続される第1コネクタと第2コネクタとを備え、
前記第1コネクタは、第1内導体と、前記第1内導体を包囲する第1誘電体と、前記第1誘電体を包囲する第1外導体とを有し、
前記第2コネクタは、前記第1内導体に接続される第2内導体と、前記第2内導体を包囲する第2誘電体と、前記第2誘電体を包囲した状態で前記第1外導体に接続される第2外導体とを有し、
前記第1内導体と前記第1外導体の径方向の間隔は、前記第2内導体と前記第2外導体の径方向の間隔よりも狭く、
前記第1誘電体には、前記第1誘電体の周面を凹ませた形状のインピーダンス整合用の第1空気室が形成され、
前記第2誘電体には、前記第2誘電体の周面を凹ませた形状のインピーダンス整合用の第2空気室が形成され、
前記第1空気室の容積は、前記第2空気室の容積よりも大きく、
前記第2空気室は、前記第2誘電体の内周面に開口し、
前記第2内導体は、後方から前記第2誘電体内に挿入されるようになっており、
前記第2内導体には、第2係止部が形成され、
前記第2内導体は、前記第2空気室の開口縁部の第2抜止部に前記第2係止部を係止させることによって、抜止めされているシールドコネクタ。
【請求項8】
前記第2係止部は、前記第2内導体を前記第2誘電体に挿入する過程で径方向へ弾性変形し、
前記第2内導体が前記第2誘電体に対して正規位置まで挿入されたときに、前記第2係止部が、弾性復帰して前記第2抜止部に係止する請求項7に記載のシールドコネクタ。
【請求項9】
前記第2係止部は、
前記第2内導体の外周面から斜め後方へ延出した第2テーパ部と、
前記第2テーパ部の後端から前記第2内導体の軸線と平行に片持ち状に延出した第2ストレート部とを有している請求項7又は請求項8に記載のシールドコネクタ。
【請求項10】
前記第2ストレート部の後端面が前記第2抜止部に対して面当たり状態で当接することによって、前記第2内導体が抜止めされている請求項9に記載のシールドコネクタ。
【請求項11】
前記第1空気室の周方向における幅寸法が前記第1内導体の外径よりも大きい請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のシールドコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シールドコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、内導体端子を誘電体で包囲し、誘電体を外導体端子で包囲した構造の同軸コネクタが開示されている。雌側の外導体端子と雄側の外導体端子との接続部分では、雌側の外導体端子が雄側の外導体端子を包囲するように配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の同軸コネクタを高速通信用の回路に適用しようとする場合、インピーダンスの整合を図ることが重要である。しかし、内導体端子、誘電体、及び外導体端子は、各種の機能部位が形成されていて形状が複雑であるため、インピーダンスを整合させることは困難である。
【0005】
本開示のシールドコネクタは、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、インピーダンスの整合性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のシールドコネクタは、
互いに接続される第1コネクタと第2コネクタとを備え、
前記第1コネクタは、第1内導体と、前記第1内導体を包囲する第1誘電体と、前記第1誘電体を包囲する第1外導体とを有し、
前記第2コネクタは、前記第1内導体に接続される第2内導体と、前記第2内導体を包囲する第2誘電体と、前記第2誘電体を包囲した状態で前記第1外導体に接続される第2外導体とを有し、
前記第1内導体と前記第1外導体の径方向の間隔は、前記第2内導体と前記第2外導体の径方向の間隔よりも狭く、
前記第1誘電体には、前記第1誘電体の周面を凹ませた形状のインピーダンス整合用の第1空気室が形成され、
前記第2誘電体には、前記第2誘電体の周面を凹ませた形状のインピーダンス整合用の第2空気室が形成され、
前記第1空気室の容積は、前記第2空気室の容積よりも大きい。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、インピーダンスの整合性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施例1のシールドコネクタにおいて第1コネクタと第2コネクタを離脱した状態をあらわす斜視図である。
【
図2】
図2は、第1コネクタの分解状態をあらわす斜視図である。
【
図4】
図4は、第1内導体の抜止構造をあらわす部分拡大断面図である。
【
図5】
図5は、第1コネクタにおいて第1内導体と第1誘電体をあらわす部分拡大外観図である。
【
図6】
図6は、第2コネクタの分解状態をあらわす斜視図である。
【
図8】
図8は、第2内導体の抜止構造をあらわす部分拡大断面図である。
【
図9】
図9は、第1コネクタと第2コネクタの接続構造をあらわす部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
本開示のシールドコネクタは、
(1)互いに接続される第1コネクタと第2コネクタとを備え、前記第1コネクタは、第1内導体と、前記第1内導体を包囲する第1誘電体と、前記第1誘電体を包囲する第1外導体とを有し、前記第2コネクタは、前記第1内導体に接続される第2内導体と、前記第2内導体を包囲する第2誘電体と、前記第2誘電体を包囲した状態で前記第1外導体に接続される第2外導体とを有し、前記第1内導体と前記第1外導体の径方向の間隔は、前記第2内導体と前記第2外導体の径方向の間隔よりも狭く、前記第1誘電体には、前記第1誘電体の周面を凹ませた形状のインピーダンス整合用の第1空気室が形成され、前記第2誘電体には、前記第2誘電体の周面を凹ませた形状のインピーダンス整合用の第2空気室が形成され、前記第1空気室の容積は、前記第2空気室の容積よりも大きい。
【0010】
第1コネクタ及び第2コネクタにおける特性インピーダンスは、内導体と外導体の径方向の間隔が狭いほど小さくなる。誘電体(内導体と外導体との間)に形成した空気室の容積が大きいほど、特性インピーダンスも大きくなる。本開示のシールドコネクタは、第1内導体と第1外導体の径方向の間隔が、第2内導体と第2外導体の径方向の間隔よりも狭いという点に鑑み、第1内導体と第1外導体との間に形成した第1空気室の容積を、第2内導体と第2外導体との間に形成した第2空気室の容積よりも大きく設定した。この構成により、第1コネクタと第2コネクタとの間におけるインピーダンスの整合性を高めることができる。
【0011】
(2)前記第1空気室は、前記第1誘電体の内周面に開口し、前記第1内導体は、後方から前記第1誘電体内に挿入されるようになっており、前記第1内導体には、第1係止部が形成され、前記第1内導体は、前記第1空気室の開口縁部の第1抜止部に前記第1係止部を係止させることによって、抜止めされていることが好ましい。この構成によれば、第1空気室が、インピーダンスの整合性を高める機能と、第1内導体を抜止めする機能とを兼ね備えているので、第1誘電体の形状の簡素化を図ることができる。
【0012】
(3)(2)において、前記第1係止部は、前記第1内導体を前記第1誘電体に挿入する過程で径方向へ弾性変形し、前記第1内導体が前記第1誘電体に対して正規位置まで挿入されたときに、前記第1係止部が、弾性復帰して前記第1抜止部に係止することが好ましい。この構成によれば、第1内導体を第1誘電体に挿入する過程で、挿入抵抗を低減させることができる。第1内導体が正規位置まで挿入されたときに、第1係止部の弾性復帰動作に起因するクリック感を感得することができる。
【0013】
(4)(2)又は(3)において、前記第1係止部は、前記第1内導体の外周面から斜め後方へ延出した第1テーパ部と、前記第1テーパ部の後端から前記第1内導体の軸線と平行に片持ち状に延出した第1ストレート部とを有していることが好ましい。この構成によれば、第1係止部の径方向への突出寸法が小さく抑えられるので、第1内導体における外径寸法の変動が小さくなり、インピーダンスの整合性が高められる。
【0014】
(5)(4)において、前記第1ストレート部の後端面が前記第1抜止部に対して面当たり状態で当接することによって、前記第1内導体が抜止めされていることが好ましい。この構成によれば、金属製の第1ストレート部が、合成樹脂製の第1抜止部に対して面当たり状態で当接するので、第1係止部が第1抜止部に食い込み難く、第1係止部と第1抜止部による抜止め機能の信頼性に優れている。
【0015】
(6)前記第1空気室の周方向における幅寸法が前記第1内導体の外径よりも大きいことが好ましい。この構成によれば、第1空気室の容積を充分に大きく確保することができる。
【0016】
(7)前記第1内導体の前端部には、前記第1誘電体内に収容された状態で前記第2内導体に接続される第1接続部が形成されており、前記第1空気室の前端は、前記第1誘電体の前端面に開口せず、前記第1誘電体の周面のみに開口した形状であることが好ましい。この構成によれば、第1内導体が斜めに姿勢を傾けようとしたときに、その傾きは、第1誘電体の内周面に当接することによって抑制される。第1空気室は第1誘電体の前端面に開口していないので、第1誘電体は高い剛性を有している。これにより、第1内導体の姿勢の傾きは、第1誘電体の剛性によって確実に抑制することができる。
【0017】
(8)前記第1誘電体の前端面には、前記第2内導体を前記第1誘電体内に誘い込むためのテーパ状の誘導面が形成され、前記第1空気室の前端は、前記第1誘電体の前端面に開口せず、前記第1誘電体の周面のみに開口した形状であることが好ましい。この構成によれば、第1誘電体を、切れ目無く、全周に亘って連続した形状にすることができるので、誘導面による誘い込み機能の信頼性に優れている。
【0018】
(9)前記第2空気室は、前記第2誘電体の内周面に開口し、前記第2内導体は、後方から前記第2誘電体内に挿入されるようになっており、前記第2内導体には、第2係止部が形成され、前記第2内導体は、前記第2空気室の開口縁部の第2抜止部に前記第2係止部を係止させることによって、抜止めされていることが好ましい。この構成によれば、第2空気室が、インピーダンスの整合性を高める機能と、第2内導体を抜止めする機能とを兼ね備えているので、第2誘電体の形状の簡素化を図ることができる。
【0019】
(10)(9)において、前記第2係止部は、前記第2内導体を前記第2誘電体に挿入する過程で径方向へ弾性変形し、前記第2内導体が前記第2誘電体に対して正規の挿入位置に到達したときに、前記第2係止部が弾性復帰して、前記第2抜止部に係止することが好ましい。この構成によれば、第2内導体を第2誘電体に挿入する過程で、挿入抵抗を低減させることができる。第2内導体が正規位置まで挿入されたときに、第2係止部の弾性復帰動作に起因するクリック感を感得することができる。
【0020】
(11)(9)又は(10)において、前記第2係止部は、前記第2内導体の外周面から斜め後方へ延出した第2テーパ部と、前記第2テーパ部の後端から前記第2内導体の軸線と平行に片持ち状に延出した第2ストレート部とを有していることが好ましい。この構成によれば、第2係止部の径方向への突出寸法が小さく抑えられるので、第2内導体における外径寸法の変動が小さくなり、インピーダンスの整合性が高められる。
【0021】
(12)(11)において、前記第2ストレート部の後端面が前記第2抜止部に対して面当たり状態で当接することによって、前記第2内導体が抜止めされていることが好ましい。この構成によれば、金属製の第2ストレート部が、合成樹脂製の第2抜止部に対して面当たり状態で当接するので、第2係止部が第2抜止部に食い込み難く、第2係止部と第2抜止部による抜止め機能の信頼性に優れている。
【0022】
[本開示の実施形態の詳細]
[実施例1]
本開示を具体化した実施例1のシールドコネクタを、
図1~
図9を参照して説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。本実施例1のシールドコネクタは、互いに嵌合・離脱が可能な第1コネクタ10と第2コネクタ50とを備えている(
図1参照)。
【0023】
第1コネクタ10の前後方向については、
図1~5,9におけるFx方向を前方と定義する。第2コネクタ50の前後方向については、
図6~9におけるMx方向を前方と定義する。第1コネクタ10と第2コネクタ50の前後方向は正反対の方向である。第1コネクタ10及び第2コネクタ50の軸線方向と、前後方向を同義で用いる。
【0024】
<第1コネクタ10>
第1コネクタ10は、第1シールドケーブル40の前端部に固着されたシールド機能を有する部材である。
図2,3に示すように、第1シールドケーブル40は、1本の第1芯線41を第1絶縁被覆42で包囲し、第1絶縁被覆42を編組線等からなる第1シールド層43で包囲し、第1シールド層43を第1シース44で包囲した同軸ケーブルである。第1コネクタ10は、全体として前後方向に細長い円柱形をなす。
図2,3に示すように、第1コネクタ10は、1つの第1内導体11と、第1内導体11を包囲する1つの第1誘電体21と、第1誘電体21を包囲する第1外導体32とを同心状に組み付けて構成されている。
【0025】
図2に示すように、第1内導体11は、円筒形をなす第1本体部12と、第1接続部13と、第1圧着部14とを有する単一部品である。第1本体部12には、第1本体部12の外周面から径方向外方へ突出した第1スタビライザ15が形成されている。第1接続部13は、第1本体部12の前端から前方へ片持ち状に延出しており、全体として前方に向かって先細りとなる形状である。
図3に示すように、第1接続部13は、径方向に分割された一対の接続用バネ片16を有する。第1圧着部14は、第1本体部12の後端から後方へ片持ち状に延出したオープンバレル状の部位である。第1圧着部14は、第1シールドケーブル40の第1芯線41に対して導通可能に圧着されている。
【0026】
第1本体部12には、第1本体部12の中心軸を中心として点対称な形状をなす一対の第1係止部17が形成されている。第1係止部17は、第1本体部12の外周面よりも径方向外方に配置され、全体として後方へ片持ち状に延出した形状である。
図4,5に示すように、第1係止部17は、第1テーパ部18と第1ストレート部19とを有する。第1テーパ部18は、第1本体部12の外周面からに斜め後方へ延出した部位である。第1ストレート部19は、第1テーパ部18の後端から第1内導体11の軸線と平行に後方へ延出した部位である。第1ストレート部19の突出端面は、第1内導体11の軸線と直交する平面からなる第1係止面20としての機能を有する。第1係止部17は、第1係止部17の前端部を支点として径方向へ弾性変位することが可能である。
【0027】
第1誘電体21は、合成樹脂材料からなり、前後方向に細長い円柱形をなす。
図2に示すように、第1誘電体21は、第1大径部22と、第1大径部22よりも小径の第1小径部23とを有する単一部品である。第1小径部23は第1大径部22の前端から前方へ同心状に突出している。第1大径部22の前後方向の寸法は、第1小径部23の前後方向の寸法よりも大きい。第1誘電体21の外周面には、第1大径部22と第1小径部23の外径の寸法差によって、第1小径部23を包囲する撓み許容空間24が形成されている。
【0028】
図3,4に示すように、第1誘電体21の内部には、第1誘電体21の前後両端面に開口した第1収容室25が形成されている。
図9に示すように、第1誘電体21の前端部には、第2内導体51の第2接続部53を第1収容室25に挿入させるための挿入孔26が形成されている。第1誘電体21の前端面には、第2接続部53を挿入孔26に誘い込むためのテーパ状の誘導面27が、挿入孔26の全周に亘って形成されている。第1大径部22には、第1収容室25の内周面を凹ませた形状の第1回り止め部(図示省略)が形成されている。
【0029】
図3,4,9に示すように、第1小径部23には、一対の第1切欠部28が形成されている。一対の第1切欠部28は、第1誘電体21(第1小径部23)の中心軸を中心として点対称な形状である。第1切欠部28の内部空間は、インピーダンス整合を高めるための第1空気室29として機能する。第1切欠部28は、第1収容室25の内周面と外周面とに開口し、第1小径部23を径方向に貫通している。第1小径部23の外周面及び内周面における第1切欠部28の開口形状は、長辺を第1小径部23の軸線方向に向けた長方形である。第1小径部23を径方向に見たときの、第1切欠部28の周方向の幅寸法は、第1内導体11の第1本体部12の直径寸法よりも僅かに大きい寸法である。第1切欠部28(第1空気室29)の周方向における幅寸法は第1内導体11の第1本体部12の外径よりも大きいので、第1空気室29の容積を充分に大きく確保することができる。
【0030】
第1切欠部28の前端は、第1誘電体21(第1小径部23)の前端よりも後方に位置する。第1切欠部28は、第1誘電体21の前端面には開口していない。第1切欠部28の後端は、前後方向において第1小径部23の後端(第1大径部22の前端)と同じ位置にある。第1誘電体21の内周面における第1切欠部28の開口縁部の後端部は、第1抜止部30として機能する。第1抜止部30は、第1誘電体21の軸線と直角な平面からなる。
【0031】
第1収容室25内には、第1誘電体21の後方から第1内導体11が同心状に挿入されている。第1内導体11の挿入過程では、第1係止部17が第1収容室25の内周面と干渉することによって弾性変形する。第1内導体11が正規の挿入位置に到達すると、第1係止部17が径方向外方へ弾性復帰し、第1係止部17の第1係止面20が、第1抜止部30に対して前方から面当たり状態で係止する。この係止作用によって、第1内導体11が第1誘電体21に対して後方への移動を規制された抜止め状態に保持されている。第1係止部17は、第1切欠部28内に収容されている。第1スタビライザ15が第1回り止め部(図示省略)に嵌合することによって、第1内導体11が第1誘電体21に対して回転規制された位置決め状態に保持されている。第1切欠部28の前端は、第1接続部13の前端よりも後方に位置する。
【0032】
図2,3に示すように、第1外導体32は、円筒形をなす第1後側外導体33と、全体として円筒形をなす第1前側外導体34とを合体して構成されている。第1後側外導体33は、第1シールドケーブル40の前端部を包囲し、第1シールド層43に対して導通可能に固着されている。第1前側外導体34の後端部は、第1後側外導体33に対して導通可能に固着されている。第1前側外導体34は、第1内導体11の全体及び第1誘電体21の全体を同心状に包囲する。
【0033】
第1前側外導体34は、円筒形の大径筒部35と、大径筒部35よりも小径の小径筒部36とを有する。小径筒部36は、全体として円筒形をなし、大径筒部35の前端から前方へ同心状に延出している。小径筒部36には、周方向に間隔を空けた複数(3つ)の弾性接触片37が形成されている。大径筒部35は、第1誘電体21の第1大径部22を包囲する。小径筒部36は、第1小径部23を包囲する。弾性接触片37は、撓み許容空間24内に収容されている。弾性接触片37は、撓み許容空間24内において、径方向へ弾性変位することが可能である。
【0034】
<第2コネクタ50>
第2コネクタ50は、第2シールドケーブル80の前端部に固着されたシールド機能を有する部材である。
図6,7に示すように、第2シールドケーブル80は、1本の第2芯線81を第2絶縁被覆82で包囲し、第2絶縁被覆82を編組線等からなる第2シールド層83で包囲し、第2シールド層83を第2シース84で包囲した同軸ケーブルである。第2コネクタ50は、全体として前後方向に細長い円柱形をなす。
図6に示すように、第2コネクタ50は、1つの第2内導体51と、第2内導体51を包囲する1つの第2誘電体61と、第2誘電体61を包囲する第2外導体72とを同心状に組み付けて構成されている。
【0035】
図6,7に示すように、第2内導体51は、円筒形をなす第2本体部52と、第2接続部53と、第2圧着部54とを有する単一部品である。第2本体部52の外径は、第1内導体11の第1本体部12の外径と同じ寸法である。第2本体部52には、第2本体部52の外周面から径方向外方へ突出した第2スタビライザ55が形成されている。第2接続部53は、第2本体部52の前端から前方へ片持ち状に延出しており、第2本体部52よりも小径の細長い形状である。第2圧着部54は、第2本体部52の後端から後方へ片持ち状に延出したオープンバレル状の部位である。第2圧着部54は、第2シールドケーブル80の第2芯線81に対して導通可能に圧着されている。
【0036】
第2本体部52には、第2本体部52の中心軸を中心として点対称な形状をなす一対の第2係止部57が形成されている。第2係止部57は、第2本体部52の外周面よりも径方向外方に配置され、全体として後方へ片持ち状に延出した形状である。
図8に示すように、第2係止部57は、第2テーパ部58と第2ストレート部59とを有する。第2テーパ部58は、第2本体部52の外周面からに斜め後方へ延出した部位である。第2ストレート部59は、第2テーパ部58の後端から第2内導体51の軸線と平行に後方へ延出した部位である。第2ストレート部59の突出端面は、第2内導体51の軸線と直交する平面からなる第2係止面60としての機能を有する。第2係止部57は、
第2係止部57の前端部を支点として径方向へ弾性変位することが可能である。
【0037】
第2誘電体61は、合成樹脂材料からなり、前後方向に細長い円柱形をなす。
図6,7に示すように、第2誘電体61は、第2大径部62と、第2大径部62よりも小径の第2小径部63とを有する単一部品である。第2小径部63は第2大径部62の前端から前方へ同心状に突出している。第2大径部62の前後方向の寸法は、第2小径部63の前後方向の寸法よりも大きい。第2誘電体61の内部には、第2誘電体61の前後両端面に開口した第2収容室65が形成されている。第2誘電体61の前端部には、第2接続部53を第2誘電体61の前方へ突出させるための開口部66が形成されている。第2大径部62には、第2収容室65の内周面を凹ませた形状の第2回り止め部(図示省略)が形成されている。
【0038】
図6,8,9に示すように、第2大径部62には、一対の第2切欠部68が形成されている。一対の
第2切欠部68は、第2誘電体61(第2大径部62)の中心軸を中心として点対称な形状である。第2切欠部68の内部空間は、インピーダンス整合を高めるための第2空気室69として機能する。第2切欠部68は、第2収容室65の内周面と外周面とに開口し、第2大径部62を径方向に貫通している。第2大径部62の外周面及び内周面における第2切欠部68の開口形状は、長辺を第2大径部62の軸線方向に向けた長方形である。第2大径部62を径方向に見たときの、第2切欠部68の周方向の幅寸法は、第2内導体51の第2本体部52の直径寸法よりも小さい寸法である。
【0039】
第2切欠部68の前端は、第2誘電体61(第2大径部62)の前端よりも後方に位置する。第2切欠部68は、第2誘電体61の前端面には開口していない。第2切欠部68の前端は、前後方向において第2大径部62の前端(第2小径部63の後端)よりも後方に位置する。第2誘電体61の内周面における第2切欠部68の開口縁部の後端部は、第2抜止部70として機能する。第2抜止部70は、第2誘電体61の軸線と直角な平面からなる。
【0040】
第2収容室65内には、第2誘電体61の後方から第2内導体51が同心状に挿入されている。第2内導体51の挿入過程では、第2係止部57が第2収容室65の内周面と干渉することによって弾性変形する。第2内導体51が正規の挿入位置に到達すると、第2係止部57が径方向外方へ弾性復帰し、第2係止部57の第2係止面60が、第2抜止部70に対して前方から面当たり状態で係止する。この係止作用によって、第2内導体51が第2誘電体61に対して後方への移動を規制された抜止め状態に保持されている。第2係止部57は、第2切欠部68内に収容されている。第2スタビライザ55が第2回り止め部(図示省略)に嵌合することによって、第2内導体51が第2誘電体61に対して回転規制された位置決め状態に保持されている。
【0041】
図6,7に示すように、第2外導体72は、円筒形をなす第2後側外導体73と、円筒形をなす第2前側外導体74とを合体して構成されている。第2後側外導体73は、第2シールドケーブル80の前端部を包囲し、第2シールド層83に対して導通可能に固着されている。第2前側外導体74の後端部は、第2後側外導体73に対して導通可能に固着されている。第2前側外導体74は、第2内導体51の全体及び第2誘電体61の全体を同心状に包囲する。
【0042】
<実施例1の作用及び効果>
第1コネクタ10と第2コネクタ50は、双方の前端部同士を突き合わせるようにして嵌合される。両コネクタ10,50が嵌合した状態では、
図9に示すように、第1内導体11の一対の接続用バネ片16の間に、第2内導体51の第2接続部53が割り込むように進入し、第1内導体11と第2内導体51が導通可能に接続される。第1前側外導体34の弾性接触片37が第2前側外導体74の内周面に対して弾性的に接触し、第1外導体32と第2外導体72が導通可能に接続される。
【0043】
第2前側外導体74の外径は、第1前側外導体34の大径筒部35の外径と同じ寸法であり、小径筒部36の外径よりも大きい。第2前側外導体74の内径は、大径筒部35の内径と同じ寸法であり、小径筒部36の内径よりも大きい。第1内導体11の第1本体部12と第1外導体32の小径筒部36との間の径方向の間隔は、第2内導体51の第2本体部52と第2前側外導体74との間の径方向の間隔よりも狭い。第1本体部12の外径と第2本体部52の外径は同じ寸法である。第1誘電体21のうち第1本体部12を包囲する第1小径部23の径方向の厚さ寸法は、第2誘電体61のうち第2本体部52を包囲する第2大径部62の径方向の厚さ寸法よりも小さい。そのため、第1コネクタ10のうち第1小径部23及び小径筒部36の形成領域におけるインピーダンスが、第2コネクタ50のうち第2本体部52の形成領域におけるインピーダンスよりも小さくなることが懸念される。
【0044】
この対策として、本実施例1では、合成樹脂製の第1小径部23に第1切欠部28を形成し、合成樹脂製の第2大径部62に第2切欠部68を形成した。第1切欠部28の周方向の幅寸法を第2切欠部68の周方向の幅寸法よりも大きく設定し、第1切欠部28の軸線方向の長さ寸法を第2切欠部68の軸線方向の長さ寸法よりも大きく設定した。これにより、第1小径部23の厚さが第2大径部62の厚さより薄くても、第1切欠部28内に構成される第1空気室29の容積を、第2切欠部68内に構成される第2空気室69の容積よりも大きく設定した。空気の特性インピーダンスは、合成樹脂の特性インピーダンスよりも大きいので、第1コネクタ10のうち第1小径部23及び小径筒部36の形成領域におけるインピーダンスと、第2コネクタ50のうち第2本体部52の形成領域におけるインピーダンスとの整合性を高めることが実現された。
【0045】
本実施例1のシールドコネクタは、互いに接続される第1コネクタ10と第2コネクタ50とを備えている。第1コネクタ10は、第1内導体11と、第1内導体11を包囲する第1誘電体21と、第1誘電体21を包囲する第1外導体32とを有する。第2コネクタ50は、第1内導体11に接続される第2内導体51と、第2内導体51を包囲する第2誘電体61と、第2誘電体61を包囲した状態で第1外導体32に接続される第2外導体72とを有する。
【0046】
第1内導体11の第1本体部12と、第1外導体32の小径筒部36との間の径方向の間隔は、第2内導体51の第2本体部52と、第2外導体72の第2前側外導体74との間の径方向の間隔よりも狭い。そのため、第1コネクタ10のうち小径筒部36が形成されている領域の特性インピーダンスは、第2コネクタ50のうち第2本体部52が形成されている領域の特性インピーダンスよりも小さい。このインピーダンスの不整合を緩和する手段として、本実施例1のシールドコネクタは、第1誘電体21の第1小径部23にインピーダンス整合用の第1空気室29を形成し、第2誘電体61にインピーダンス整合用の第2空気室69を形成した。第1空気室29は、第1小径部23の内周面と外周面を凹ませた形状であり、第1小径部23を径方向に貫通した空間である。第2空気室69は、第2大径部62の内周面と外周面を凹ませた形状であり、第2大径部62を径方向に貫通した空間である。
【0047】
第1空気室29は、第1内導体11の第1本体部12と第1前側外導体34の小径筒部36との間に配置されている。第2空気室69は、第2内導体51の第2本体部52と第2外導体72の第2前側外導体74との間に配置されている。そして、第1空気室29の容積を第2空気室69の容積よりも大きく設定した。この構成により、第1コネクタ10と第2コネクタ50との間におけるインピーダンスの整合性を高めることができる。
【0048】
第1空気室29(第1切欠部28)は、第1誘電体21の内周面に開口している。第1空気室29の開口縁部には第1抜止部30が形成されている。第1内導体11は、後方から第1誘電体21内に挿入されるようになっている。第1内導体11には、第1係止部17が形成されている。第1内導体11は、第1抜止部30に第1係止部17を係止させることによって、抜止めされている。第1空気室29が、インピーダンスの整合性を高める機能と、第1内導体11を抜止めする機能とを兼ね備えているので、第1誘電体21の形状の簡素化を図ることができる。
【0049】
第2空気室69(第1切欠部28)は、第2誘電体61の内周面に開口している。第2空気室69の開口縁部には第2抜止部70が形成されている。第2内導体51は、後方から第2誘電体61内に挿入されるようになっている。第2内導体51には、第2係止部57が形成されている。第2内導体51は、第2抜止部70に第2係止部57を係止させることによって、抜止めされている。第2空気室69が、インピーダンスの整合性を高める機能と、第2内導体51を抜止めする機能とを兼ね備えているので、第2誘電体61の形状の簡素化を図ることができる。
【0050】
第1係止部17は、第1内導体11を第1誘電体21に挿入する過程で径方向へ弾性変形する。第1内導体11が第1誘電体21に対して正規位置まで挿入されたときに、第1係止部17は、弾性復帰して第1抜止部30に係止する。この構成によれば、第1内導体11を第1誘電体21に挿入する過程で、挿入抵抗を低減させることができる。第1内導体11が正規位置まで挿入されたときに、第1係止部17の弾性復帰動作に起因するクリック感を感得することができる。
【0051】
第1係止部17は、第1内導体11の外周面から斜め後方へ延出した第1テーパ部18と、第1テーパ部18の後端から前記第1内導体11の軸線と平行に片持ち状に延出した第1ストレート部19とを有している。この構成によれば、第1係止部17の径方向への突出寸法が小さく抑えられるので、第1内導体11における外径寸法の変動が小さくなり、インピーダンスの整合性が高められる。
【0052】
第1ストレート部19の後端面(第1係止面20)が第1抜止部30に対して面当たり状態で当接することによって、第1内導体11が抜止めされている。この構成によれば、金属製の第1ストレート部19が、合成樹脂製の第1抜止部30に対して面当たり状態で当接するので、第1係止部17が第1抜止部30に食い込み難く、第1係止部17と第1抜止部30による抜止め機能の信頼性に優れている。
【0053】
第2係止部57は、第2内導体51を第2誘電体61に挿入する過程で径方向へ弾性変形する。第2内導体51が第2誘電体61に対して正規位置まで挿入されたときに、第2係止部57は、弾性復帰して第2抜止部70に係止する。この構成によれば、第2内導体51を第2誘電体61に挿入する過程で、挿入抵抗を低減させることができる。第2内導体51が正規位置まで挿入されたときに、第2係止部57の弾性復帰動作に起因するクリック感を感得することができる。
【0054】
第2係止部57は、第2内導体51の外周面から斜め後方へ延出した第2テーパ部58と、第2テーパ部58の後端から第1内導体11の軸線と平行に片持ち状に延出した第2ストレート部59とを有している。この構成によれば、第2係止部57の径方向への突出寸法が小さく抑えられるので、第2内導体51における外径寸法の変動が小さくなり、インピーダンスの整合性が高められる。
【0055】
第2ストレート部59の後端面(第2係止面60)が第2抜止部70に対して面当たり状態で当接することによって、第2内導体51が抜止めされている。この構成によれば、金属製の第2ストレート部59が、合成樹脂製の第2抜止部70に対して面当たり状態で当接するので、第2係止部57が第2抜止部70に食い込み難く、第2係止部57と第2抜止部70による抜止め機能の信頼性に優れている。
【0056】
第1空気室29(第1切欠部28)の前端は、第1誘電体21の前端面に開口しておらず、第1誘電体21の周面(内周面と外周面)のみに開口した形状である。第1誘電体21の前端面には、第2内導体51の第2接続部53を第1誘電体21内に誘い込むためのテーパ状の誘導面27が形成されている。第1空気室29の前端は、第1誘電体21の前端面に開口していないので、第1誘電体21を、切れ目無く、全周に亘って連続した形状にすることができる。したがって、誘導面27による誘い込み機能の信頼性に優れている。
【0057】
第1内導体11の前端部には第1接続部13が形成されている。第1接続部13は、第1誘電体21内に収容された状態で、第2内導体51の第2接続部53に接続される。この構成によれば、第1内導体11が斜めに姿勢を傾けようとしたときに、その傾きは、第1誘電体21の内周面に当接することによって抑制される。第1空気室29は第1誘電体21の前端面に開口していないので、第1誘電体21は高い剛性を有している。これにより、第1内導体11の姿勢の傾きは、第1誘電体21の剛性によって確実に抑制することができる。
【0058】
[他の実施例]
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示される。本発明には、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれ、下記の実施形態も含まれる。
第1内導体が、タブを有する雄形の内導体であり、第2内導体が、タブを挿入させる雌形の内導体であってもよい。
第1抜止部は、第1空気室の開口縁部以外の部位に形成してもよい。
第1係止部は、弾性変形しない形態のものであってもよい。
第1係止部は、第1ストレート部を有せず、全長に亘って斜め後方へ延出した形状であってもよい。
第1空気室は、第1誘電体の内周面のみに開口した空間でもよく、第1誘電体の外周面のみに開口した空間でもよい。
第1空気室の周方向における幅寸法は、第1内導体の外径より小さくてもよく、第1内導体の外径と同じ寸法でもよい。
第1空気室は、第1誘電体の前端面に開口した形状であってもよい。
第2抜止部は、第2空気室の開口縁部以外の部位に形成してもよい。
第2係止部は、弾性変形しない形態のものであってもよい。
第2係止部は、第2ストレート部を有せず、全長に亘って斜め後方へ延出した形状であってもよい。
第2空気室は、第2誘電体の内周面のみに開口した空間でもよく、第2誘電体の外周面のみに開口した空間でもよい。
【符号の説明】
【0059】
10…第1コネクタ
11…第1内導体
12…第1本体部
13…第1接続部
14…第1圧着部
15…第1スタビライザ
16…接続用バネ片
17…第1係止部
18…第1テーパ部
19…第1ストレート部
20…第1係止面
21…第1誘電体
22…第1大径部
23…第1小径部
24…撓み許容空間
25…第1収容室
26…挿入孔
27…誘導面
28…第1切欠部
29…第1空気室
30…第1抜止部
32…第1外導体
33…第1後側外導体
34…第1前側外導体
35…大径筒部
36…小径筒部
37…弾性接触片
40…第1シールドケーブル
41…第1芯線
42…第1絶縁被覆
43…第1シールド層
44…第1シース
50…第2コネクタ
51…第2内導体
52…第2本体部
53…第2接続部
54…第2圧着部
55…第2スタビライザ
57…第2係止部
58…第2テーパ部
59…第2ストレート部
60…第2係止面
61…第2誘電体
62…第2大径部
63…第2小径部
65…第2収容室
66…開口部
68…第2切欠部
69…第2空気室
70…第2抜止部
72…第2外導体
73…第2後側外導体
74…第2前側外導体
80…第2シールドケーブル
81…第2芯線
82…第2絶縁被覆
83…第2シールド層
84…第2シース