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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-15
(45)【発行日】2025-04-23
(54)【発明の名称】処理装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 67/10 20220101AFI20250416BHJP
【FI】
H04L67/10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021070617
(22)【出願日】2021-04-19
(65)【公開番号】P2022165300
(43)【公開日】2022-10-31
【審査請求日】2024-04-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000106690
【氏名又は名称】サン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 潤登
(72)【発明者】
【氏名】坂本 友敬
【審査官】宮島 郁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-216764(JP,A)
【文献】特開2016-163242(JP,A)
【文献】特開2010-220036(JP,A)
【文献】特開2013-172179(JP,A)
【文献】特開2017-188767(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0261481(US,A1)
【文献】特開2020-198494(JP,A)
【文献】特開2003-115093(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0249590(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L12/00-13/18,41/00-69/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端末から前記第1端末に関連する第1関連データを取得する取得部と、
取得済みの前記第1関連データを格納する格納部と、
前記第1端末と異なる第2端末から送信される特定リクエストの送信先に前記第1端末が指定されている場合に、格納済みの前記第1関連データを用いて、前記特定リクエストに対して応答可能であるか否かを判断する制御部と、
応答可能であると判断される場合に、前記第1端末に代わって、格納済みの前記第1関連データを用いて、前記特定リクエストに従った処理を実行する実行部を備える、処理装置。
【請求項2】
前記第1関連データは、変動するデータを含み、
前記取得部は、前記第2端末から前記第1関連データの更新に関する更新リクエストが受信される場合に、前記第1端末から前記第1関連データを取得し、
前記格納部は、前記第1端末から新たに新規第1関連データが取得される場合に、取得済みの前記新規第1関連データを格納する、請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記第1関連データは、変動するデータを含み、
前記取得部は、前記第1端末から繰り返し前記第1関連データを取得し、
前記格納部は、前記第1端末から新たに新規第1関連データが取得される場合に、前記新規第1関連データを格納する、請求項1から2のいずれか一項に記載の処理装置。
【請求項4】
前記取得部は、前記第1端末が属する第1通信ネットワークを介して、前記第1関連データを取得し、
前記実行部は、前記第2端末が属する第2通信ネットワークであって、前記第1端末が属していない前記第2通信ネットワークを介して取得される前記特定リクエストに従った処理を実行する、請求項1から3のいずれか一項に記載の処理装置。
【請求項5】
前記第2通信ネットワークは、前記第1端末が対応していない通信規格に従って通信を実行するネットワークである、請求項4に記載の処理装置。
【請求項6】
前記取得部は、さらに、前記第1端末と異なる第3端末から、前記第3端末に関連する第2関連データを取得し、
前記格納部は、前記第1関連データを前記第1端末の識別情報と組み合わせて格納し、前記第2関連データを前記第3端末の識別情報を組み合わせて格納し、
前記実行部は、さらに、前記第2端末から送信される前記特定リクエストの送信先に前記第3端末が指定されている場合に、前記第3端末に代わって、格納済みの前記第2関連データを用いて、前記特定リクエストに従った処理を実行する、請求項1から5のいずれか一項に記載の処理装置。
【請求項7】
前記実行部は、応答可能でないと判断される場合に、前記特定リクエストを前記第1端末に送信する、請求項1から6のいずれか一項に記載の処理装置。
【請求項8】
前記第1通信ネットワークは、メッシュネットワーク及びスター型ネットワークのうちの一方の通信ネットワークであり、
前記第2通信ネットワークは、メッシュネットワーク及びスター型ネットワークのうちの前記第1通信ネットワークと異なる通信ネットワークである、請求項4又は5に記載の処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、通信端末と通信を実行する処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、メッシュネットワークに属していないリソース制限デバイスが、メッシュネットワークに属するノードとの間の通信を実行する際に、メッシュネットワークブリッジデバイスを介して通信を実行する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2018-538718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
直接的に通信することができない第1端末と第2端末が通信を実行する場合において通信を中継する処理装置が利用される構成では、第1端末と第2端末のうちの一方の端末からリクエストが送信されると、処理装置が一方の端末からリクエストを受信して、第1端末と第2端末のうちの他方の端末にリクエストを送信する。リクエストを受信した他方の端末は、リクエストに従った処理を実行して、リクエストに対する応答を送信する。処理装置は、他方の端末から応答を受信すると、一方の端末に応答を送信する。
【0005】
この構成では、処理装置が第1端末と第2端末との通信を中継する。このため、リクエストを送信してからリクエストに対する応答を受信するまでの期間が長くなり得る。
【0006】
本明細書では、処理装置が通信を中継せずに、一方の端末から送信されるリクエストに対する処理を実行することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示される技術は、処理装置に関する。処理装置は、第1端末から前記第1端末に関連する第1関連データを取得する取得部と、取得済みの前記第1関連データを格納する格納部と、前記第1端末と異なる第2端末から送信される特定リクエストの送信先に前記第1端末が指定されている場合に、前記第1端末に代わって、格納済みの前記第1関連データを用いて、前記特定リクエストに従った処理を実行する実行部を備える。
【0008】
上記の構成では、処理装置は、リクエストに従った処理のための第1関連データを取得し、格納する。これにより、処理装置は、第2端末から第1端末に送信されるリクエストを受信する場合に、処理装置は、第1端末に替わって処理を実行することができる。これにより、処理装置は、通信を中継せずに、第2端末から送信されるリクエストに対する処理を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施例の通信システムの概要図を示す。
図2】第1実施例の通信端末の概要図を示す。
図3】第1実施例のデータ保持処理のフローチャートを示す。
図4】第1実施例のデータ保持処理後の通信端末の概要図を示す。
図5】第1実施例の代替応答処理のシーケンス図を示す。
図6】第2実施例のデータ保持処理のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書が開示する処理装置の技術要素を、以下に列記する。なお、以下の各技術要素は、それぞれ独立して有用なものである。
【0011】
前記関連データは、変動するデータを含んでいてもよい。前記取得部は、前記第2端末から前記第1関連データの更新に関する更新リクエストが受信される場合に、前記第1端末から前記第1関連データを取得し、前記格納部は、前記第1端末から新たに新規第1関連データが取得される場合に、取得済みの前記新規第1関連データを格納してもよい。この構成によれば、第2端末からの更新リクエストに応じて、処理装置に格納される第1関連データを更新することができる。このため、第2端末は、第1関連データを更新すべき際(例えば、第2端末がリクエストを送信するタイミング)に、第1関連データを適宜新たなデータに更新させることができる。
【0012】
前記関連データは、変動するデータを含んでいてもよい。前記所得部は、前記第1端末から繰り返し前記第1関連データを取得し、前記格納部は、前記第1端末から新たに新規第1関連データが取得される場合に、前記新規第1関連データを格納してもよい。この構成によれば、処理装置は、変動する第1関連データを繰り返し更新することができる。このため、第1関連データを適宜新たなデータに更新することができる。
【0013】
前記取得部は、前記第1端末が属する第1通信ネットワークを介して、前記第1関連データを取得し、前記実行部は、前記第2端末が属する第2通信ネットワークであって、前記第1端末が属していない前記第2通信ネットワークを介して取得される前記リクエストに従った処理を実行してもよい。この構成によれば、第2端末がリクエストに従った処理を実行させるために、第1端末と第2端末とを、同一の通信ネットワークに参加させずに済む。
【0014】
前記第2ネットワークは、前記第1端末が対応していない通信規格に従って通信を実行するネットワークであってもよい。この構成によれば、第1端末が第2通信ネットワークに参加することができない場合であっても、第2端末は、第1端末に対するリクエストに従った処理を実行させることができる。
【0015】
前記取得部は、さらに、前記第1端末と異なる第3端末から、前記第3端末に関連する第2関連データを取得し、前記格納部は、前記第1関連データを前記第1端末の識別情報と組み合わせて格納し、前記第2関連データを前記第3端末の識別情報を組み合わせて格納し、前記実行部は、さらに、前記第2端末から送信される前記特定リクエストの送信先に前記第3端末が指定されている場合に、前記第3端末に代わって、格納済みの前記第2関連データを用いて、前記特定リクエストに従った処理を実行してもよい。この構成によれば、処理装置は、複数の端末のそれぞれに代わって、リクエストに対する処理を実行することができる。
【0016】
(第1実施例)
(通信ネットワークの構成)
図1に示すように、本実施例の通信システム2は、複数の通信ネットワーク10、20、30を含む。通信ネットワーク10、20、30のそれぞれでは、近距離無線通信方式であるBluetooth(登録商標)に従った通信を実行可能である。通信ネットワーク10は、BluetoothのVersion 5.0以降のバージョンのBluetoothに従った通信が可能である。なお、以下では「BluetoothのVersion 5.0以降のバージョンのBluetooth」を単に「Bluetooth5.0」と呼ぶ。一方、通信ネットワーク20、30は、BluetoothのVersion 4.2以前のバージョンのBluetoothに従った通信が可能である。なお、以下では、「BluetoothのVersion 4.2以前のバージョンのBluetooth」を単に「Bluetooth4.0」と呼ぶ)。なお、通信ネットワーク10、20、30のそれぞれに属する通信端末では、BLE(Bluetooth Low Energy)に従った通信が実行される。
【0017】
通信ネットワーク10には、Bluetooth5.0に従って通信可能な通信端末10a、10b、100、200が属する。一方、通信ネットワーク20には、Bluetooth4.0に従って通信可能な通信端末20a、20b、100が属する。通信ネットワーク30には、Bluetooth4.0に従って通信可能な通信端末30b、30a、200が属する。通信ネットワーク10に属しない通信端末20a、20b、30b、30aは、Bluetooth5.0に従った通信を実行可能でない。通信ネットワーク20、30に属しない通信端末10a、10bは、Bluetooth4.0に従った通信を実行可能である。なお、通信ネットワーク10に属しない通信端末は、Bluetooth5.0に従った通信を実行可能であってもよい。
【0018】
通信ネットワーク10は、通信ネットワーク10に属する通信端末10a、10b、100、200によって、メッシュネットワークが形成されている。このため、通信ネットワーク10に属する通信端末10a、10b、100、200は、相互に直接的にBluetoothに従った通信を実行可能である。通信ネットワーク20は、通信ネットワーク20に属する通信端末100を中心としたスター型ネットワークが形成されている。通信ネットワーク20に属する通信端末20a、20bのそれぞれは、通信端末100と直接的にBluetoothに従った通信を実行可能である。一方、通信端末20a、20bは、相互に直接的にBluetoothに従った通信を実行することができない。通信ネットワーク30は、通信ネットワーク30に属する通信端末200を中心としたスター型ネットワークが形成されている。通信ネットワーク30に属する通信端末30a、30bのそれぞれは、通信端末200と直接的にBluetoothに従った通信を実行可能である。一方、通信端末30a、30bは、相互に直接的にBluetoothに従った通信を実行することができない。
【0019】
(通信端末の構成)
図2に示すように、通信端末10aは、通信インターフェイス12と、センサ部14と、制御部16と、格納部18と、を備える。以下、「インターフェイス」を「I/F」と呼ぶ。通信I/F12と、センサ部14と、制御部16と、格納部18と、は、図示省略した配線によって通信可能に接続されている。
【0020】
通信I/F12は、通信端末10aが通信ネットワーク10を介した無線通信を実行するための通信I/Fである。通信I/F12は、Bluetooth5.0に従った通信に利用される。センサ部14は、例えば、通信端末10a周辺の温度、気圧等を計測するセンサの少なくとも1つのセンサを含んでいる。
【0021】
制御部16は、CPU、メモリ等で構成される。制御部16は、格納部18に格納されているコンピュータプログラムに従って、通信端末10aが実行する処理を制御する。格納部18は、ROM、RAM等によって構成される格納領域を備える。格納部18には、制御部16が処理を実行するためのコンピュータプログラムが予め格納されている。格納部18は、制御部16の指示に従って、通信端末10aが処理を実行している間に生成されるデータを格納する。
【0022】
格納部18は、は、GATT(Generic Attribute Profileの略)データベース19を格納している。GATTデータベース19には、BLEに従った通信において通信可能な様々なデータが格納可能である。例えば、GATTデータベースは、センサ部14で検出される検出値を格納可能である。
【0023】
通信端末10b、100、200は、通信端末10aと同様の構成を有する。なお、通信端末100は、通信I/F12、センサ部14、制御部16及び格納部18に対応する通信I/F102と、センサ部104と、制御部106と、格納部108と、を備える。通信端末200は、通信I/F12、センサ部14、制御部16及び格納部18に対応する通信I/F202と、センサ部204と、制御部206と、格納部208と、を備える。
【0024】
通信端末20a、30aは、通信端末10aと同様の構成を有する。通信端末20aは、通信I/F12、センサ部14、制御部16及び格納部18に対応する通信I/F22と、センサ部24と、制御部26と、格納部28と、を備える。通信端末30aは、通信I/F12、センサ部14、制御部16及び格納部18に対応する通信I/F32と、センサ部34と、制御部36と、格納部38と、を備える。ただし、通信I/F22、32は、通信I/F12と異なり、Bluetooth4.0に従った通信に利用される一方、Bluetooth5.0に従った通信に利用することができない。通信端末20b、30bは、通信端末20a、30aと同様の構成を有する。
【0025】
通信端末100は、通信ネットワーク10、20の両方に属している。通信端末100は、通信ネットワーク20に属する他の通信端末20a、20bと、Bluetooth4.0に従った通信によって通信可能であり、通信ネットワーク10に属する他の通信端末10a、10b、200と、Bluetooth5.0に従った通信によって通信可能である。通信端末200は、通信ネットワーク10、30の両方に属している。通信端末200は、通信ネットワーク30に属する他の通信端末30a、30bと、Bluetooth4.0に従った通信によって通信可能であり、通信ネットワーク10に属する他の通信端末10a、10b、100と、Bluetooth5.0に従った通信によって通信可能である。
【0026】
(データ保持処理)
データ保持処理は、通信端末100が、通信端末100に通信可能に接続されている通信端末20a、20b、30a、30b、200のそれぞれから、GATTデータベースを取得して、GATTデータベース内のデータを更新する処理である。変形例では、通信端末100は、通信端末100に通信可能に接続されている通信端末20a、20b、30a、30b、200のうちの少なくとも1個の通信端末からGATTデータベースを取得し、更新してもよい。
【0027】
データ保持処理は、通信端末100に通信端末が通信可能に接続されると開始される。以下では、通信端末100に、通信端末10aが接続される場合のデータ保持処理を説明するが、通信端末100に、通信端末10b、20a、20b、200が接続される場合のデータ保持処理も同様である。図3に示すように、データ保持処理では、制御部106は、通信端末10aからGATTデータベース19を取得する(S10)。具体的には、制御部106は、Bluetooth5.0に従った通信を実行することによって、通信端末10aに、通信端末10aのGATTデータベース19を送信させるためのリクエストを送信する。通信端末10aの制御部16は、受信済みのリクエストに従って、GATTデータベース19を、通信端末10aの識別情報T10aと組み合わせて通信端末100に送信する。制御部106は、受信済みのGATTデータベース19を、GATTデータベース19と組み合わせて受信される識別情報T10aと組み合わせて、格納部108に格納する。
【0028】
S12では、制御部106は、通信端末10aに対して、通信端末10aのGATTデータベース19に格納されているデータを取得するための問い合わせを実行するタイミングに到来したか否かを判断する。具体的には、制御部106は、タイマを有する。制御部106は、S10のGATTデータベース19の取得、又は、直前の問い合わせ(S14参照)が実行されると、タイマをスタートさせる。制御部106は、タイマの計測期間が予め決められたタイミングに到来すると(S12でYES)、S14に進む。
【0029】
S14では、制御部106は、通信端末10aに、GATTデータベース19に格納されているデータを取得するための問い合わせを送信する。次いで、制御部106は、通信端末10aからデータを取得するか否かを判断する(S16)。通信端末100と通信端末10aとの接続が確立されている状態では、制御部16は、問い合わせを受信すると、GATTデータベース19に含まれるデータのうち、既に通信端末100に送信したデータから更新されているデータ、及び、未だ通信端末100に送信されていないデータを含む更新データを特定して、更新データを、通信端末100に送信する。一方、制御部16は、更新データが特定されない場合、データが無いことを示す回答を、通信端末100に送信する。なお、通信端末100と通信端末10aとの接続が切断されている場合、制御部106は、通信端末10aからデータを取得できない。変形例では、制御部16は、問い合わせが受信されると、最新のGATTデータベース19を通信端末100に送信してもよい。
【0030】
制御部106は、通信端末10aから送信済みの更新データが取得される場合(S16でYES)、S18において、格納部108に格納されているGATTデータベース19に、S16で取得された更新データに対応する既存のデータがある場合、既存データをS16で取得された更新データに更新する。また、格納部108に格納されているGATTデータベース19に、S16で取得された更新データに対応する既存のデータが無い場合、制御部106は、更新データを新たなデータとして記録する。S12に戻る。一方、制御部106は、通信端末10aから更新データが取得されない場合(S16でNO)、通信端末10aからデータが無いことを示す回答を取得したか否かを判断する(S20)。データが無いことを示す回答が取得される場合(S20でYES)、S12に戻る。一方、データが無いことを示す回答が取得されない場合(S20でNO)、即ち、通信端末100と通信端末10aとの接続が切断されていない場合等によって、通信端末10aから問い合わせに対する回答が受信されない場合、データ保持処理を終了する。
【0031】
データ保持処理によって、通信端末100は、通信端末10aのGATTデータベース19を格納することができる。また、通信端末100は、通信端末10aから、繰り返し更新データを取得することによって、格納部108に格納されているGATTデータベース19を更新することができる。これにより、通信端末100は、格納部18に格納されているGATTデータベース19に含まれるデータを更新しつつ、保持することができる。図4に示すように、通信端末100と接続が確立されている通信端末10a、10b、20a、20b、200と通信を実行してデータ保持処理を実行すると、通信端末100の格納部108に、通信端末10a、10b、20a、20b、200のGATTデータベース19、19b、29・・・が、識別情報T10a、T10b、T20a・・・と組み合わせて格納される。
【0032】
なお、変形例では、通信端末100は、通信端末10aに対して、Notifyを含むリクエストを送信することによって、通信端末10aのGATTデータベース19が更新される毎に、繰り返し通信端末10aから更新済みのデータを取得してもよい。
【0033】
(代理応答処理)
通信端末100は、データ保持処理によってGATTデータベースを取得した通信端末に代理して、他の通信端末からのリクエストの内容に従った処理を実行することが可能である。本実施例では、図5を参照して、通信端末100が通信端末10aからGATTデータベース19を取得した後、通信端末20aから通信端末10aに対して送信されるリクエストに対して、通信端末100が、通信端末10aに代理して処理を実行する代理応答処理を説明する。
【0034】
代理応答処理では、通信端末20aの制御部26は、通信I/F22を介して、通信端末20aの周辺にビーコン信号を発信する(S30)。ビーコン信号には、ビーコン信号の発信元である通信端末20aの識別情報T20aが含まれている。
【0035】
通信端末100の制御部106は、通信I/F102を介して、ビーコン信号が取得されると、ビーコン信号に含まれる識別情報T20aに基づいて、通信端末20aとBluetoothに従った通信を実行するための接続を確立するための接続要求を、通信端末20aに送信する(S32)。これにより、通信端末100と通信端末20aとの接続が確立する(S34)。なお、すでに、通信端末100と通信端末20aとの間の接続が確立されている場合、S30~S34の処理は省略される。次いで、S36では、制御部26は、S34で確立されている接続を利用して、Bluetoothに従ったRead、Write等のリクエストを送信する。制御部26は、リクエストの送信先を表す通信端末10aの識別情報T10aを含むリクエストを送信する。
【0036】
通信端末100の制御部106は、リクエストを受信すると、リクエストの送信先の通信端末10aを特定する(S37)。次いで、制御部106は、格納済みのGATTデータベースを用いてリクエストに対して応答可能であるか否かを判断する(S38)。具体的には、制御部106は、リクエストに含まれる送信先の識別情報T10aで識別される通信端末10aのGATTデータベース19が、格納部108に格納されているか否かを判断する。GATTデータベース19が格納部108に格納されていない場合(S38でNO)、S50に進む。一方、GATTデータベース19が格納部108に格納されている場合(S38でYES)、制御部106は、通信端末10aに代わって、リクエストを受信したことを示す応答を、通信端末20aに送信する(S39)。
【0037】
S40では、制御部106は、受信済みのリクエストに従った処理を実行する。例えば、リクエストにReadが含まれている場合、制御部106は、リクエストにおいて指定されている情報を、格納部108内のGATTデータベース19から読み出す。例えば、リクエストにWriteが含まれている場合、制御部106は、リクエストにおいて指定されている情報を、格納部108内のGATTデータベース19に書き込む。この場合、制御部106は、予め決められたタイミングで、通信端末10aに格納されているGATTデータベース19に、同様の書き込みが実行されるように、通信端末10aにリクエストを送信する。
【0038】
S40の処理が終了すると、制御部106は、リクエストに従って実行された処理の結果を、リクエストに対する応答として、リクエストの送信元である通信端末20aに送信する。(S42)。例えば、制御部106は、リクエストに含まれるReadに従ってGATTデータベース19から読み出されるデータを、通信端末20aに送信して、代理応答処理を終了する。これにより、通信端末20aが通信ネットワーク10に属していなくても、通信ネットワーク20に属する通信端末100が、通信端末10aに代わって、通信端末20aから送信されるリクエストに従った処理を実行する。通信端末20aは、Bluetooth5.0に従った通信を実行することができなくても、Bluetooth5.0の通信ネットワーク10に属する通信端末10aに対するリクエストに従った処理を実行させることができる。同様に、通信端末20aは、Bluetooth5.0に従った通信を実行することができなくても、Bluetooth5.0の通信ネットワーク10に属する通信端末10b、200に対するリクエストに従った処理を実行させることができる。
【0039】
S50では、制御部106は、S36で受信済みのリクエストを、リクエストの送信先の通信端末10aに送信する。なお、通信端末100と通信端末10aとの間の接続が確立されていない場合、制御部106と制御部16とは、S50に先立って、S30~S34と同様の処理を実行して、通信端末100と通信端末10aとの間の接続を確立させる。
【0040】
制御部16は、リクエストの送信元の通信端末20aの識別情報T20aを含む応答を生成して、S39と同様に、リクエストを受信したことを示す応答を通信端末100に送信する(S51)。通信端末100の制御部106は、応答を受信すると、応答の送信先として指定されている識別情報T20aで識別される通信端末20aに、応答を送信する(S52)。
【0041】
通信端末10aの制御部16は、S51で応答を送信すると、S40と同様に、S50で受信済みのリクエストに従った処理を実行する(S53)。次いで、S54では、制御部16は、S42と同様に、リクエストに対する応答として、リクエストに従って実行された処理の結果を、リクエストの送信元である通信端末20aの識別情報T20aを送信先に指定して送信する。通信端末100の制御部106は、応答が受信されると、S52と同様に、応答の送信先として指定されている識別情報T20aで識別される通信端末20aに、応答を送信して(S56)処理を終了する。
【0042】
S50~S56の処理では、通信端末100は、接続が確立されておらず、直接的に通信を実行することができない通信端末10a、20aとの間の通信を中継する。これにより、通信端末20aは、通信ネットワーク10に属さずに、通信端末10aと通信を実行することができる。通信端末20aは、Bluetooth5.0に従った通信を実行することができなくても、Bluetooth5.0の通信ネットワーク10に属する通信端末10aと通信を実行することができる。
【0043】
通信端末100は、GATTデータベースが格納されているか否かを判断することによって代理応答可能であるか否かを判断し、代理応答可能である場合にはリクエストに従った処理を実行して(S40)応答する(S42)。一方、通信端末100は、代理応答可能でない場合(S38でNO)には、リクエストの送信先に指定されている通信端末にリクエストを送信することによって、リクエストの送信先の通信端末に、リクエストに従った処理を実行させる。これにより、通信端末20aは、通信端末100が代理応答可能であるか否かに関わらず、リクエストに従った処理を実行させることができる。
【0044】
通信端末200は、通信端末100と同様に、データ保持処理及び代理応答処理を実行することができる。これにより、通信ネットワーク10に属していない通信端末30a、30bは、通信ネットワーク10に属する通信端末10a、10b、100が送信先に指定されているリクエストに従った処理を実行させることができる。
【0045】
変形例では、通信端末20aは、通信端末30a、30bのGATTデータベースを格納する通信端末200に、通信端末30a、30bを代理して、リクエストに従った処理を実行させてもよい。この場合、通信端末100は、通信端末20aと通信端末200との間の通信を中継してもよい。
【0046】
(対応関係)
通信端末10aが「第1端末」の一例であり、通信端末20aが「第2端末」の一例であり、通信端末100が「処理装置」の一例である。GATTデータベースが「第1関連データ」の一例である。通信ネットワーク10が「第1通信ネットワーク」の一例であり、通信ネットワーク20が「第2通信ネットワーク」の一例である。
【0047】
(第2実施例)
第1実施例と異なる点を説明する。本実施例は、通信端末100の制御部106が実行するデータ保持処理の内容が異なる。なお、本実施例のデータ保持処理は、通信端末100の格納部108に、通信端末100に直接的に通信可能に接続されている通信端末10a、10b、20a、20b、200のGATTデータベースが格納されていると開始される。即ち、制御部106によって、すでに、図3のS10の処理は実行済みである。
【0048】
データ保持処理は、格納部108にGATTデータベースが格納されると開始される。なお、複数のGATTデータベースが格納される場合、通信端末100は、複数のGATTデータベースのそれぞれについて、当該GATTデータベースの送信元に通信端末に対するデータ保持処理を実行する。制御部106は、通信端末100に直接的に通信可能に接続されている通信端末10a、10b、20a、20b、200から、GATTデータベースの更新リクエストが受信されることを監視している。通信端末10a、10b、20a、20b、200の制御部16、26、206は、予め設定されたタイミングで、GATTデータベースの更新リクエストを送信することができる。通信端末10a、10b、20a、20b、200の制御部16、26、206は、利用者の指示によって、更新リクエストを送信してもよい。制御部16、26、206は、通信端末10a、10b、20a、20b、200のうち、いずれの通信端末10a、10b、20a、20b、200のGATTデータベースを更新すべきであるかを特定するために、更新すべき通信端末の識別情報を含む更新リクエストを作成して、通信端末100に送信する。
【0049】
制御部106は、更新リクエストが受信されると(S72でYES)、更新リクエストに含まれる識別情報で識別される通信端末に、S14と同様に、GATTデータベースに格納されているデータを取得するための問い合わせを送信する。この結果、制御部106は、図3のS16、S18、S20のそれぞれの処理と同様のS76、S78、S80のそれぞれの処理を実行する。なお、S78の処理が終了すると、S72に戻る。S80でYESの場合、S72に戻る。S80でNOの場合、データ保持処理を終了する。
【0050】
この構成では、例えば、通信端末20aが通信端末10aにリクエストに従った処理を実行させるべき場合に、通信端末20aは、通信端末10aを送信先に指定したリクエストを送信する前に、通信端末100に、GATTデータベース19内のデータの更新を実行させることができる。これにより、通信端末20aは、通信端末100に、最新のGATTデータベース19を利用して、リクエストに従った処理を実行させることができる。
【0051】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0052】
(1)通信ネットワーク10は、Bluetooth4.0、Zigbee、SubGHz通信等、Bluetooth5.0以外の通信方式に従った通信を実行可能な通信ネットワークであってもよい。通信ネットワーク20、30も同様に、例えば、Bluetooth5.0等のBluetooth4.0以外の通信方式に従った通信を実行可能な通信ネットワークであってもよい。また、通信ネットワーク10、20、30の通信方式は、互いに同一であってもよいし、互いに相違していてもよい。
【0053】
(2)通信端末10a等は、携帯端末、タブレット端末、PC、センサ装置等、どのような端末であってもよい。
【0054】
(3)通信端末100に格納される「関連データ」は、GATTデータベース以外のデータベースであってもよいし、GATTデータベース内の一部のデータであってもよい。また、「関連データ」は、通信ネットワークの通信方式に対応するデータベースあるいはデータであってもよい。
【0055】
(4)上記の各実施例では、通信端末100は、データ保持処理を実行することによって、通信端末20a、20bのそれぞれから、GATTデータベースを取得し、保持していてもよい。この場合、図5の代理応答処理と同様の処理を実行することによって、通信端末100は、通信端末10aから通信端末20aに対して送信されるリクエストに対して、通信端末100が、通信端末20aに代理して処理を実行してもよい。
【0056】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0057】
2:通信システム
10、20、30:通信ネットワーク
10a、10b、20a、20b、30a、30b、100、200:通信端末
12:通信インターフェイス
14:センサ部
16:制御部
18:格納部
19:GATTデータベース
図1
図2
図3
図4
図5
図6