(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-15
(45)【発行日】2025-04-23
(54)【発明の名称】スキー板又はスノーボードで滑走するバーン構造
(51)【国際特許分類】
A63C 19/10 20060101AFI20250416BHJP
【FI】
A63C19/10 D
(21)【出願番号】P 2024209014
(22)【出願日】2024-11-29
【審査請求日】2024-11-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515122653
【氏名又は名称】ジャイロテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120226
【氏名又は名称】西村 知浩
(72)【発明者】
【氏名】武藤 敬介
(72)【発明者】
【氏名】小向 裕道
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第206052497(CN,U)
【文献】中国実用新案第215505421(CN,U)
【文献】特開2011-030674(JP,A)
【文献】特表2006-505724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63C 1/10 - 19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に設置する基礎部材と、前記基礎部材に着脱自在に設けら
れスキー板又
はスノーボードを支持可能な支持部材と、を有し、前記基礎部材は、隣接する前記基礎部材と係合可能な係合部材を有し、複数の前記基礎部材が係合することでバーンを形成する、スキー板又はスノーボードで滑走するバーン構造であって、
前記基礎部材は、当該基礎部材の側面に形成された開口端と、前記基礎部材の平面に形成されたスリットと、前記開口端及び前記スリットと連通するようにして形成された挿通孔と、を有し、
前記支持部材は、前記開口端から前記挿通孔に挿通されて、前記基礎部材に組み付けられ、
前記支持部材が前記基礎部材に組み付けられた状態で、前記支持部材の一部が前記基礎部材の側面方向から延在して隣接する前記基礎部材との離間距離を埋める、スキー板又はスノーボードで滑走するバーン構造。
【請求項2】
前記支持部材は、本体部と、前記本体部から起立して設けられたブラシ部と、を有し、
前記支持部材は、前記本体部が前記開口端から前記挿通孔に挿通して前記基礎部材に組み付けられる際に前記ブラシ部が前記スリットを挿通する、請求項1に記載のスキー板又はスノーボードで滑走するバーン構造。
【請求項3】
前記ブラシ部は、長さが異なる複数の突出片で構成されている、請求項2に記載のスキー板又はスノーボードで滑走するバーン構造。
【請求項4】
前記突出片のうち長さの長い突出片は大型突出片であり、長さの短い突出片は小型突出片であり、前記大型突出片は、前記小型突出片に対して傾斜して又は所定の曲率で湾曲している、請求項3に記載のスキー板又はスノーボードで滑走するバーン構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばスキー場の滑走エリアに敷かれてバーンの少なくとも一部を形成する、スキー板又はスノーボードで滑走するバーン構造、及びバーン形成部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、春及び夏のスキー場では、滑走エリアに雪が積もっていないため、滑走エリアにバーンを人工的に作り、スキー又はスノーボードの練習場として利用されていた。
【0003】
バーンとは、本明細書において、ゲレンデの斜面又はコースのことを意味する。
【0004】
ここで、滑走エリアのバーンを人工的に作る方法として、例えば、複数枚の敷設部材がスキー場の地面に敷かれてバーンが人工的に形成されている。敷設部材は、例えば、スキー場の地面に敷くベース部材と、ベース部材から上側に向けて延在した突起部材と、で構成されている。プレーヤーがスキー板又はスノーボードで突起部材の先端部上を滑走することにより、スキー又はスノーボードの技量向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-6734号公報
【文献】特開昭57-99974号公報
【文献】実用新案登録第3015655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、敷設部材のベース部材と突起部材が一体不可分に構成されているため、突起部材が摩耗して交換する場合でも、常にベース部材と共に敷設部材全部を新しいものに交換する必要があり、メンテナンス作業を含む設備維持コストが高くなっていた。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するために、メンテナンス作業が低コストかつ容易になり、スキー板又はスノーボードで滑走するバーンの設備維持コストを削減できる、スキー板又はスノーボードで滑走するバーン構造、及びスキー板又はスノーボードで滑走するバーンの少なくとも一部を形成するバーン形成部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、スキー板又はスノーボードで滑走するバーン構造又はバーン形成部材であって、地面に設置する基礎部材と、前記基礎部材に着脱自在に設けられ、前記スキー板又は前記スノーボードを支持可能な支持部材と、を有する。
【0009】
前記基礎部材は、隣接する前記基礎部材と係合可能な係合部材を有し、複数の前記基礎部材が係合することでバーンを形成することが好ましい。
【0010】
前記基礎部材は、当該基礎部材の側面に形成された開口端と、前記基礎部材の平面に形成されたスリットと、前記開口端及び前記スリットと連通するようにして形成された挿通孔と、を有することが好ましい。
【0011】
前記支持部材は、前記開口端から前記挿通孔に挿通されて、前記基礎部材に組み付けられることが好ましい。
【0012】
前記支持部材は、本体部と、前記本体部から起立して設けられたブラシ部と、を有し、前記支持部材は、前記本体部が前記開口端から前記挿通孔に挿通して前記基礎部材に組み付けられる際に前記ブラシ部が前記スリットを挿通することが好ましい。
【0013】
前記支持部材が前記基礎部材に組み付けられた状態で、前記支持部材の一部が前記基礎部材の側面方向から延在して隣接する前記基礎部材との離間距離を埋めることが好ましい。
【0014】
前記ブラシ部は、長さが異なる複数の突出片で構成されていることが好ましい。
【0015】
前記突出片のうち長さの長い突出片は大型突出片であり、長さの短い突出片は小型突出片であり、前記大型突出片は、前記小型突出片に対して傾斜して又は所定の曲率をもって湾曲して構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、メンテナンス作業が低コストかつ容易になり、スキー板又はスノーボードのバーンの設備維持コストを削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るスキー板又はスノーボードで滑走するバーン構造の一部を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るスキー板又はスノーボードで滑走するバーン構造の一部を示す斜視図である。
【
図3】右図は、本発明の第1実施形態に係るバーン形成部材を構成する支持部材の長手方向を示した側面図であり、左図は、その側面から見た図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係るバーン形成部材を構成する支持部材の長手方向に対して直交する方向を示した側面図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係るバーン形成部材の支持部材が基礎部材に組み付けられた状態の斜視図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係るバーン形成部材を構成する基礎部材の平面図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係るバーン形成部材を構成する基礎部材の側面図である。
【
図8】本発明の第1実施形態に係るバーン形成部材を構成する支持部材の変形例であり、支持部材の長手方向を示した右側面図である。
【
図9】本発明の第1実施形態に係るバーン形成部材を構成する支持部材の変形例であり、支持部材の長手方向を示した左側面図である。
【
図10】本発明の第1実施形態に係るバーン形成部材を構成する支持部材の変形例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の第1実施形態に係るスキー板又はスノーボードで滑走するバーン構造、及びスキー板又はスノーボードで滑走するバーンの少なくとも一部を構成するバーン形成部材について、図面を参照して説明する。
【0019】
バーンとは、ゲレンデの斜面又はコースのことを意味する。バーン構造とは、バーンの構成(断面構造を含む)である。バーン形成部材とは、バーンの少なくとも一部の領域を構成する人工的に作られたピース部材である。本実施形態では、人工的に作られたバーンの構造及びバーン形成部材について説明する。
【0020】
スキー板又はスノーボードのバーン構造、及びバーン形成部材は、例えばスキー場の滑走エリアに敷かれてバーンの少なくとも一部を形成するものである。
【0021】
図1及び
図2に示すように、スキー板又はスノーボードのバーンを形成するバーン形成部材10は、例えば、スキー場の地面に設置する基礎部材12と、基礎部材12に着脱自在に設けられ、スキー板又はスノーボードを支持可能な支持部材14と、を有している。
【0022】
基礎部材12は、隣接する基礎部材12との間で係合可能な係合部材16を有しており、複数の基礎部材12同士の係合(「連結」ともいう。以下同じ。)が連続することにより、所定の面積のバーンを形成することができる。また、複数の基礎部材12同士の係合により、平地だけでなく、所定の勾配を有する傾斜面なども自在に形成することができる。
【0023】
図5に示すように、基礎部材12は、当該基礎部材12の側面に形成された開口端18と、基礎部材12の平面に形成されたスリット20と、基礎部材12の内部であって開口端18及びスリット20のそれぞれに連通するようにして、例えば平面方向に沿って形成された挿通孔22と、を有している。
【0024】
図3及び
図4に示すように、支持部材14は、例えば、本体部24と、本体部24から起立して設けられたブラシ部26と、を有している。支持部材14は、本体部24が基礎部材12の開口端18から挿通孔22に挿通して基礎部材12に組み付けられる際にブラシ部26がスリット20に進入して挿通する。換言すれば、スリット20によりブラシ部26が外部に逃がされる構造になる。
【0025】
なお、支持部材14は、花留めのような剣山状に形成されているため、「突状部材」ともいう。
【0026】
図3乃至
図5に示すように、支持部材14は、基礎部材12の開口端18から挿通孔22に挿通されることにより、基礎部材12に組み付けられる。ここで、
図1及び
図5に示すように、支持部材14が基礎部材12に組み付けられた状態で、支持部材14の一部が基礎部材12の側面方向から所定の距離(寸法)だけ延在して露出する。
【0027】
複数の基礎部材12同士が係合する状態では、隣接する2つの基礎部材12の間に所定の隙間が形成される。支持部材14が基礎部材12に組み付けられた状態では、支持部材14の一部が基礎部材12の側面方向から所定の距離だけ延在して隣接する基礎部材12との間に形成された所定の隙間を塞ぐように構成されている。隣接する基礎部材12同士の所定の隙間を支持部材14の一部で埋めることにより、スキー板又はスノーボードの滑走面(「ソール面」ともいう。以下同じ。)と支持部材14との接触面積が増えるため、スキー又はスノーボードの滑走効率及び安全性が向上する。
【0028】
なお、スキー板又はスノーボードの滑走面とは、使用時に雪に接触している面を意味し、いわゆる「ソール面」と称されている。
【0029】
以上のように、複数のバーン形成部材10同士が連結することにより、スキー板又はスノーボードのバーンを形成することができる。特に積雪がない季節(夏など)では、スキー場の地面に複数のバーン形成部材10を敷くことにより所定の面積を有する滑走エリアが完成する。
【0030】
次に、スキー板又はスノーボードで滑走するバーン構造、及びバーン形成部材の構成について詳細に説明する。
【0031】
スキー板又はスノーボードのバーンは、複数のバーン形成部材10が連結することにより形成されている。当該バーンの滑走構造は、例えばバーン形成部材10の断面構造で構成されている。
【0032】
(バーン形成部材を構成する基礎部材の構成)
図5及び
図6に示すように、例えばスキー場の地面に設置する基礎部材12は、平面視において略方形状の筐体部28(枠体)を備えている。筐体部28は、平面側及び側面側に開口するように形成された複数のスリット20を有している。スリット20は、支持部材14が基礎部材12に収容される際に、支持部材14のブラシ部26が進入して挿通する。スリット20は、支持部材14のブラシ部26を外部に逃がす機能を有している。
【0033】
また、筐体部28の内部は、スリット20に連通するように形成された挿通孔22を有している。挿通孔22は、筐体部28の側面側に形成された開口端18と連通している。挿通孔22は、支持部材14の本体部24を収容して保持する機能を有している。
【0034】
図5に示すように、筐体部28は、挿通孔22の一部を区画形成する段部30を備えている。段部30は、例えば、下面部30Aと、下面部30Aと連続する側面部30Bと、側面部30Bと連続する上面部30Cと、で構成されている。段部30は、少なくとも下面部30Aを備えている構成であればよく、特に構成が限定されるものではない。特に段部30の下面部30Aは、支持部材14の本体部24を下方から支持する機能を有している。
【0035】
図1、
図2、
図6及び
図7に示すように、筐体部28の側面は、係合部材16を備えている。係合部材16は、隣接する基礎部材12と係合する機能を有している。係合部材16は、水平に延びる水平片16Aと、水平片16Aの先端から垂直に起立した係合片16Bと、で構成されている。当該係合片16Bが、隣接する基礎部材12に係合して基礎部材12同士が連結される。このように複数の基礎部材12が連結されることにより、スキー場におけるスキー板又はスノーボードのバーンの少なくとも一部が形成される。これにより、スキー場におけるスキー又はスノーボードの練習場を形成することができる。
【0036】
なお、基礎部材12は、樹脂、金属などで構成することができるが、プラスチックなどの樹脂や複合材料(CFRP等)で形成されることにより軽量化と高強度化を同時に両立することができる。
【0037】
(バーン形成部材を構成する支持部材の構成)
図3乃至
図5に示すように、支持部材14は、本体部24と、本体部24から起立して設けられたブラシ部26と、を有している。本体部24は、平板状に形成されたベース部32で構成されている。ブラシ部26は、長さが異なる複数の突出片34で構成されている。突出片34は、例えば、長さの長い大型突出片34Aと、長さの短い小型突出片34Bと、で構成されている。
【0038】
なお、支持部材14は、樹脂、金属などで構成することができるが、プラスチックなどの樹脂や複合材料(CFRP等)で形成されることにより軽量化と高強度化を同時に両立することができる。
【0039】
大型突出片34Aと小型突出片34Bは、所定の間隔をあけて起立して設けられている。
図3及び
図4に示すように、大型突出片34Aと小型突出片34Bは、球状の肉部が延在方向に沿って連続して形成されている。これにより、大型突出片34Aと小型突出片34Bの剛性を高めることができ、耐久性を向上することができる。
【0040】
図8乃至
図10に示すように、大型突出片34Aと小型突出片34Bは、柱状(棒状)の肉片の先端にドーム状の肉部を連結させた構成でもよい。これにより、スキー板又はスノーボードとの接触部位は、スキー板又はスノーボードからの圧力に対してドーム状の肉部で構成して剛性を高めることができると同時に、柱状の肉部でスキー板又はスノーボードからの圧力を受けて曲げ変形を促進し、当該圧力を最適に逃がすことができる。さらに、大型突出片34Aと小型突出片34Bを曲げ変形させることにより弾性力を保有させ、スキー板又はスノーボードに対して最適な反作用力を作用させることができる。この結果、スキー板又はスノーボードの滑走性能が著しく向上する。
【0041】
ここで、
図4及び
図9に示すように、大型突出片34Aは、小型突出片34Bに対して傾斜して又は所定の曲率をもって湾曲して構成されていることが好ましい。また、小型突出片34Bは鉛直方向に沿って真っ直ぐに延びていることが好ましい。これにより、スキー板又はスノーボードから受けた圧力に対する反作用力(弾性力)をスキー板又はスノーボードに作用させることができる。特に大型突出片34Aは、根元から先端までにわたり、所定の曲率で曲げ変形した状態を維持することにより、大型突出片34Aの剛性(弾性力)を高め、その弾性力を活かして、スキー板又はスノーボードから受けた圧力に対して最適な反作用力をスキー板又はスノーボードに作用させることができる。この結果、スキー板又はスノーボードで滑走がし易いバーンを形成することができる。
【0042】
図1、
図2及び
図5に示すように、支持部材14は、ベース部32が基礎部材12の開口端18から挿通孔22に進入し、挿通されることにより、基礎部材に組み付けられる。その際、支持部材14のブラシ部26がスリット20を挿通して基礎部材12の外部に逃がされて、支持部材14が基礎部材12に収容される。
【0043】
ここで、ベース部32の下面が基礎部材12の段部30を構成する下面部30Aに支持されながら、ベース部32が挿通孔22に収容されていく。このとき、ベース部32の側面が段部30の側面部30Bと僅かなクリアランスを維持して相互に対向した状態になる。さらに、ベース部32の上面が段部30の上面部30Cと僅かなクリアランスを維持して相互に対向した状態になる。これにより、支持部材14が基礎部材12に組み付けられた状態で、支持部材14が基礎部材12に対して僅かな遊びを有して位置決めされる。
【0044】
なお、ベース部32の側面と段部30の側面部30Bとの間のクリアランス、及びベース部32の上面と段部30の上面部30Cとの間のクリアランスが設けられていない構成(相互に面接触している構成)でもよい。この場合、支持部材14が基礎部材12に組み付けられた状態で、支持部材14が基礎部材12に対して強固に位置決めされる構造になる。
【0045】
支持部材14が基礎部材12に組み付けられる際には、支持部材14の突出片34が基礎部材12のスリット20から外部に向かって延在した状態になる。この状態を維持しながら、支持部材14のベース部32が基礎部材12の挿通孔22に進入していき、支持部材14が基礎部材12の内部に完全に収容されると、支持部材14の複数の突出片34が基礎部材12のスリット20から外部に露出した状態になる。
【0046】
ここで、
図1及び
図5に示すように、支持部材14のベース部32が基礎部材12の挿通孔22に進入していき、支持部材14が基礎部材12の内部に完全に収容された状態では、支持部材14の長手方向に沿った一部が基礎部材12の挿通孔22に収容し切れず、基礎部材12の側面側から所定の長さの分だけ延在して外部に露出した状態になる。このように、本実施形態では、敢えて、支持部材14の長手方向に沿った一部が基礎部材12の側面側から所定の長さの分だけ延在して外部に露出するように設定されている。
【0047】
このとき、支持部材14が組み付けられた基礎部材12とこれに隣接する基礎部材12との間には所定のスペース(隙間)が形成されており、所定の離間距離が形成されている。このため、基礎部材12の側面側から延在した支持部材14の長手方向に沿った一部がスペース(隙間)を埋めて隣接する基礎部材12同士の離間距離を塞ぐように機能する。
【0048】
これにより、複数の基礎部材12を連結した構成でも、隣接する基礎部材12同士のスペース(隙間)に支持部材12のブラシ部26を位置させることにより、人工的に形成された平滑なバーンを生成することができる。このため、バーンに凸凹が生じることを防止できる。また、隣接する基礎部材12同士の間で支持部材14が位置決めされるため、スキー板又はスノーボードが支持部材14上を滑走する際に、支持部材14がスキー板又はスノーボードから受ける大きな圧力を受けても、支持部材14が隣接する基礎部材12に当接することで移動が阻止される。これにより、支持部材14が基礎部材12に対して位置ずれすることを防止できる。
【0049】
この結果、スキー又はスノーボードの滑走エリアとして、上質な練習場を形成することができる。
【0050】
次に、本発明の第1実施形態に係るスキー板又はスノーボードで滑走するバーン構造、及びバーン形成部材の作用について説明する。
【0051】
図1乃至
図5に示すように、スキー板又はスノーボードとの接触又は自然損耗等により、例えば支持部材14の突出片34(大型突出片34A及び小型突出片34B)が摩耗又は破損した場合、基礎部材12をスキー場の地面に敷いた状態で支持部材14だけを基礎部材12の側面側から引き抜くことができるため、支持部材14を基礎部材12から容易に取り外すことができる。
【0052】
詳細には、支持部材14を基礎部材12の側面側から引き抜くと、支持部材14の突出片34が基礎部材12のスリット20の内部を移動していき、また、支持部材14のベース部32が基礎部材12の挿通孔22の内部を移動しながら、基礎部材12に収容されていた支持部材14が基礎部材12から引き出される。これにより、基礎部材12をスキー場の地面に敷いたままの状態で、破損等した支持部材14を基礎部材12から取り外し、改めて、新しい支持部材14を基礎部材12に対して同様の手順で収容することができる。これにより、支持部材14の交換作業が格段に容易になる。また、基礎部材12を地面に敷いた状態で再利用することができるため、設備維持コストを削減できる。
【0053】
この結果、バーンのメンテナンス作業が低コストかつ容易になり、スキー板又はスノーボードのバーンの設備維持コストを削減することができる。
【0054】
なお、上記各実施例は、本発明の技術的思想を具現した一例に過ぎないものである。本発明は、当然ながらこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を利用した全ての態様を含むものである。
【符号の説明】
【0055】
10 バーン形成部材
12 基礎部材
14 支持部材
16 係合部材
16A 水平片(係合部材)
16B 係合片(係合部材)
18 開口端
20 スリット
22 挿通孔
24 本体部
26 ブラシ部
28 筐体部
30 段部
30A 下面部(段部)
30B 側面(段部)
30C 上面部(段部)
32 ベース部
34 突出片
34A 大型突出片(突出片)
34B 小型突出片(突出片)
【要約】
【課題】交換作業が低コストでかつ容易になる、スキー場のバーン構造及びバーン形成部材を提供する。
【解決手段】スキー板又はスノーボードで滑走するバーン構造であって、バーン形成部材10が、地面に設置する基礎部材12と、基礎部材12に着脱自在に設けられ、スキー板又はスノーボードを支持可能な支持部材14と、を有し、基礎部材12は、隣接する基礎部材12と係合可能な係合部材16を有し、複数の基礎部材12が係合することでバーンを形成し、支持部材14は、基礎部材12の開口端18から挿通孔22に挿通されて基礎部材12に組み付けられる。
【選択図】
図5