IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • -デジタル名刺管理システム 図1
  • -デジタル名刺管理システム 図2
  • -デジタル名刺管理システム 図3
  • -デジタル名刺管理システム 図4
  • -デジタル名刺管理システム 図5
  • -デジタル名刺管理システム 図6
  • -デジタル名刺管理システム 図7
  • -デジタル名刺管理システム 図8
  • -デジタル名刺管理システム 図9
  • -デジタル名刺管理システム 図10
  • -デジタル名刺管理システム 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-15
(45)【発行日】2025-04-23
(54)【発明の名称】デジタル名刺管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/10 20230101AFI20250416BHJP
【FI】
G06Q10/10
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2025029016
(22)【出願日】2025-02-26
(62)【分割の表示】P 2023195308の分割
【原出願日】2023-11-16
【審査請求日】2025-02-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523434683
【氏名又は名称】株式会社KATAOMOI
(74)【代理人】
【識別番号】110000464
【氏名又は名称】弁理士法人いしい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松浦 亮介
(72)【発明者】
【氏名】後藤 優斗
【審査官】野口 俊明
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-191980(JP,A)
【文献】特開2021-43970(JP,A)
【文献】特開2023-41575(JP,A)
【文献】特開2023-107560(JP,A)
【文献】特開2023-48946(JP,A)
【文献】特開2023-101735(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICタグ付きのデジタル名刺を提供する提供ユーザの提供ユーザ端末と、前記デジタル名刺を受領する受領ユーザの受領ユーザ端末とに対して、通信ネットワークを介して通信可能なNFT管理装置を備えているデジタル名刺管理システムであって、
前記ICタグには、個別タグ情報と前記提供ユーザの名刺データ情報とが記憶され、
前記NFT管理装置は、前記受領ユーザ端末が前記ICタグから読み出した個別タグ情報に基づき、前記デジタル名刺に関する権利を証明するNFTをブロックチェーン上で発行させ、
前記NFTには、1個のマスターNFTが含まれており、
前記マスターNFTが前記ブロックチェーン上における前記受領ユーザの個別アドレスに紐付けされて、前記受領ユーザ端末に対して前記提供ユーザの前記名刺データ情報の開示を許可する、
デジタル名刺管理システム。
【請求項2】
第1の前記受領ユーザと第2の前記受領ユーザとがともに前記提供ユーザの前記マスターNFTを保有している場合において、前記第1の受領ユーザと前記第2の受領ユーザとが自らのデジタル名刺を使って名刺交換したとき、
前記NFT管理装置は、前記第1の受領ユーザと前記第2の受領ユーザとが名刺交換したことを前記提供ユーザ端末に通知する、
請求項1に記載したデジタル名刺管理システム。
【請求項3】
前記NFTには、前記マスターNFTと、これにリンクされた複数個の一般NFTとが含まれており、
前記NFT管理装置は、前記受領ユーザが受領した前記デジタル名刺を読み取る読取ユーザの読取ユーザ端末が前記ICタグから読み出した個別タグ情報に基づき、前記一般NFTの1個を前記ブロックチェーン上で配布させ、
前記一般NFTの1個が前記ブロックチェーン上における前記読取ユーザの個別アドレスに紐付けされて、前記読取ユーザ端末に対して前記提供ユーザの前記名刺データ情報の開示を許可し、
前記一般NFTの配布に基づき、前記提供ユーザを前記受領ユーザが前記読取ユーザに紹介したことを前記提供ユーザ端末に通知する、
請求項1又は2に記載したデジタル名刺管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、デジタル名刺管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特にビジネス上で初対面の人に会う場合、自己紹介の一環として、互いに自身の名刺を交換することは、以前から慣例的に行われている。この種の名刺は一般に紙製であり、例えば氏名、所属、役職(肩書)、資格および連絡先といったビジネス関連の情報が印刷されている。
【0003】
従来の紙製名刺を用いて名刺交換をした場合、お互いのことは分かるものの、例えばお互いのビジネス上のつながり(例えば友人その他の関係者)までは把握できない。また、名刺交換した相手に、自身の関係者を紹介したり第三者を紹介してもらったりする可能性も極めて乏しいと解され、お互いのビジネス上のつながりを有効に活用しづらいという問題もあった。
【0004】
この点、ビジネス関連の情報(名刺データといってもよい。)を送受信可能なデジタル名刺が知られている。例えば特許文献1には、自身の名刺データと相手の名刺データとを近距離無線通信によって交換し、相手の名刺データをサーバ上で管理する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-105470号公報
【文献】特許第6973840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のデジタル名刺では、相手には名刺データのみ渡して名刺自体を渡さないことから、名刺交換の事実自体を忘れやすく、ビジネスの発展につながらない場合が往々にしてあるという点において、未だ改良の余地があった。
【0007】
さて近年は、デジタルデータ関連の権利を証明する手段として、NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)が広く普及しつつある。NFTは、例えばERC721規格(Ethereum Request for Comments 721)に従って発行される。NFTの保有履歴や取引履歴は、P2Pネットワーク上のブロックチェーンといった分散型台帳に記録される(例えば特許文献2等参照)。
【0008】
本願出願人は、デジタルデータ関連の権利を証明する手段であるNFTに着目して、NFTの技術を名刺に応用することを案出し、本願発明を完成させるに至ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明は、ICタグ付きのデジタル名刺を提供する提供ユーザの提供ユーザ端末と、前記デジタル名刺を受領する受領ユーザの受領ユーザ端末とに対して、通信ネットワークを介して通信可能なNFT管理装置を備えているデジタル名刺管理システムであって、前記ICタグには、個別タグ情報と前記提供ユーザの名刺データ情報とが記憶され、前記NFT管理装置は、前記受領ユーザ端末が前記ICタグから読み出した個別タグ情報に基づき、前記デジタル名刺に関する権利を証明するNFTをブロックチェーン上で発行させ、前記NFTには、1個のマスターNFTが含まれており、前記マスターNFTが前記ブロックチェーン上における前記受領ユーザの個別アドレスに紐付けされて、前記受領ユーザ端末に対して前記提供ユーザの前記名刺データ情報の開示を許可するというものである。
【0010】
本願発明のデジタル名刺管理システムにおいて、第1の前記受領ユーザと第2の前記受領ユーザとがともに前記提供ユーザの前記マスターNFTを保有している場合において、前記第1の受領ユーザと前記第2の受領ユーザとが自らのデジタル名刺を使って名刺交換したとき、前記NFT管理装置は、前記第1の受領ユーザと前記第2の受領ユーザとが名刺交換したことを前記提供ユーザ端末に通知するようにしてもよい。
【0011】
本願発明のデジタル名刺管理システムにおいて、前記NFTには、前記マスターNFTと、これにリンクされた複数個の一般NFTとが含まれており、前記NFT管理装置は、前記受領ユーザが受領した前記デジタル名刺を読み取る読取ユーザの読取ユーザ端末が前記ICタグから読み出した個別タグ情報に基づき、前記一般NFTの1個を前記ブロックチェーン上で配布させ、前記一般NFTの1個が前記ブロックチェーン上における前記読取ユーザの個別アドレスに紐付けされて、前記読取ユーザ端末に対して前記提供ユーザの前記名刺データ情報の開示を許可し、前記一般NFTの配布に基づき、前記提供ユーザを前記受領ユーザが前記読取ユーザに紹介したことを前記提供ユーザ端末に通知するようにしてもよい。
【0012】
本願発明のデジタル名刺管理システムにおいて、前記デジタル名刺の前記ICタグと前記各ユーザ端末との非接触通信時には、前記ICタグの有する発光部が点灯または点滅するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本願発明によれば、ビジネス関連の名刺データ情報を各ユーザ端末に提供可能なデジタル名刺でありながら、従来の名刺交換と同様に、デジタル名刺自体を相手に渡すことが可能であるから、一見して従来タイプの名刺のようであるにも拘らず、デジタルデータ提供機能を発揮できて相手への強い印象付けができるとともに、デジタル名刺が名刺交換相手の手元にあることで名刺交換の事実も印象に残りやすく、従来の名刺の利点とデジタル名刺の利点との両方を享受できる。
【0014】
また、提供ユーザの名刺データ情報は、デジタル名刺のICタグに記憶され、当該名刺データ情報の表示許可は、NFT管理装置から受領ユーザ端末または読取ユーザ端末に送信されるため、NFT管理装置側で名刺データ情報を保持・管理しなくてよく、自らの個人データを含む名刺データ情報を提供ユーザ自身がコントロールでき、プライバシーの強化やセキュリティリスクの低減を図れる。
【0015】
さらに、デジタル名刺のICタグに記憶された名刺データ情報を受領ユーザ端末で読み込むから、インターネット等の通信ネットワークの接続環境の優劣に影響されにくいというメリットもある。
【0016】
しかも、提供ユーザのデジタル名刺を使って、受領ユーザが提供ユーザを読取ユーザに紹介した場合、その事実を受領ユーザから教えてもらわなくても、自身のデジタル名刺を持つ人が誰にいつ紹介したのかをリアルタイムで的確に把握できる。このため、デジタル名刺を利用すれば、名刺交換した相手(自身のデジタル名刺を持つ人)の手を煩わせることなく、自身の関係者を紹介したり第三者を紹介してもらったりしやすくなり、お互いのビジネス上のつながりについて有効活用を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態におけるデジタル名刺管理システムの構成を示すブロック図である。
図2】デジタル名刺に実装されるRFタグの構成を示すブロック図である。
図3】NFT管理装置の構成を示すブロック図である。
図4】デジタル名刺管理システムCSにおけるNFTの発行態様の一例を示すシーケンス図である。
図5】提供ユーザと受領ユーザとの名刺交換時の態様を示す説明図である。
図6】受領ユーザ端末の画面説明図である。
図7】デジタル名刺管理システムCSにおけるNFTの配布態様の一例を示すシーケンス図である。
図8】受領ユーザが読取ユーザに提供ユーザを紹介する際の態様を示す説明図である。
図9】読取ユーザ端末の画面説明図である。
図10】提供ユーザが読取ユーザにデジタル名刺を読み取らせた際の態様を示す説明図である。
図11】提供ユーザと過去に名刺交換をした二人の受領ユーザ同士がデジタル名刺を使って名刺交換をした際のNFT管理装置の作動態様を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本願発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。図面には好ましい実施形態を示しているが、多くの異なる形態で実施することが可能であり、本願明細書に記載される実施形態に限定されるものではない。
【0019】
はじめに、図1等を参照しながら、実施形態に係るデジタル名刺管理システムCSの概要について説明する。図1は、デジタル名刺管理システムCSの構成を示すブロック図である。実施形態のデジタル名刺管理システムCS(以下、単にシステムCSと称する)は、ブロックチェーンBK上でデジタル名刺1のシリアル番号(個別タグ情報ITとも言える、詳細は後述)に対応するNFT100を発行し、後述する受領ユーザU4や読取ユーザU5等のユーザに当該NFT100を提供するものである。
【0020】
図1に示すように、デジタル名刺管理システムCSは、RFタグ10を実装したデジタル名刺1、名刺交換時にデジタル名刺1を提供する提供ユーザU3が使用する提供ユーザ端末3、名刺交換時にデジタル名刺1を受領する受領ユーザU4が使用する受領ユーザ端末4、受領ユーザU4の持つデジタル名刺1で提供ユーザU3を紹介してもらう読取ユーザU5が使用する読取ユーザ端末5、およびデジタル名刺管理システムCSのサービス事業者が運用するNFT管理装置6等を備えている。
【0021】
RFタグ10は、紙またはプラスチック製等の名刺に埋め込まれている。実施形態では、RFタグ10を埋め込んだ紙またはプラスチック製等の名刺をデジタル名刺1と称している。RFタグ10は、耐タンパー機能、暗号演算機能およびNFC(Near Field Communication)機能を有するIC(Integrated Circuit)タグである。RFタグ10には、個々のRFタグ10を識別する個別タグ情報ITや、提供ユーザU3の名刺データ情報IU3(提供ユーザ情報と言ってもよい)等が記憶されている。RFタグ10の個別タグ情報ITは、当該RFタグ10を実装したデジタル名刺1のシリアル番号を識別する情報として用いられる。
【0022】
各ユーザ端末3~5は、NFC機能を有する端末(例えばスマートフォン、タブレットまたはパーソナルコンピュータ等)であり、デジタル名刺1内のRFタグ10との間で非接触通信を実行可能に構成されている。提供ユーザ端末3は、デジタル名刺1内のRFタグ10に、個別タグ情報ITや提供ユーザ情報IU3(名刺データ情報)を書き込むことが可能である。受領ユーザ端末4や読取ユーザ端末5は、デジタル名刺1内のRFタグ10から、個別タグ情報ITや提供ユーザ情報IU3等の必要な情報を読み取ることが可能である。
【0023】
提供ユーザ情報IU3(名刺データ情報)は、提供ユーザU3の個人データを含んでいる。提供ユーザU3の個人データとしては、例えば名前、所属する企業・部門等の所属、役職(肩書)、資格、連絡先等のビジネスに関する情報が挙げられる。連絡先としては、所属先の電話番号、携帯電話番号、FAX番号、電子メールアドレスおよびSNS(Social Network Service)アカウント等が含まれる。
【0024】
各ユーザ端末3~5は、通信ネットワークNWを介してNFT管理装置6と通信接続可能に構成されていて、NFT管理装置6との間で各種情報をやり取りすることが可能である。なお、通信ネットワークNWは、例えばインターネット、移動体通信ネットワークおよび基地局等によって構成されるが、通信プロトコルの種類に制限はないし、ネットワークの種類や規模にも制限はない。
【0025】
NFT管理装置6は、一または複数のコンピュータにて構成されていて、通信ネットワークNW上で例えばウェブサーバとして機能している。また、NFT管理装置6は、通信ネットワークNWを介してブロックチェーンBKに接続可能になっている。実施形態のNFT管理装置6は、各ユーザ端末3~5からの取引要求をブロックチェーンBKに伝送する処理を行い、個々のデジタル名刺1のシリアル番号を識別する個別タグ情報ITに対応付け(紐付け)されるNFT100を管理している。
【0026】
なお、複数のシリアル番号を有する同一のデジタル名刺1であっても、当該デジタル名刺1ごとに個別タグ情報ITが異なるため、各個別タグ情報ITに紐付けされるNFT100それぞれは、当然に異なるものになる。また、NFT管理装置6は、ブロックチェーンBKを構成するノードとして機能するようにしてもよい。
【0027】
ブロックチェーンBK(分散型台帳)は、通信ネットワークNWに接続された複数のコンピュータ関連機器(ノード)によって構成されるP2Pネットワークをベースとして、例えばイーサリアムやポリゴン等にて提供される分散型アプリケーションおよびスマートコントラクトによって構築されている。実施形態のブロックチェーンBKは、イーサリアムに従ってNFTを処理するスマートコントラクト型のものである。
【0028】
NFT100は、デジタル名刺1の保有権といった各種権利を証明するのに用いられるものであり、例えばERC721規格に従って、ブロックチェーンBKにおける特定のコントラクトアドレスから発行される。NFT100には、コントラクトアドレスおよび識別用のトークンIDが対応付け(紐付け)されている。ブロックチェーンBKには、NFT100の保有者および取引履歴が記録される。なお、ブロックチェーンBKとしては、イーサリアムやポリゴンといったバブリックブロックチェーンを適用してもよいし、それ以外のプライベートブロックチェーンを適用してもよい。
【0029】
図2は、デジタル名刺1に実装されるRFタグ10の構成を示すブロック図である。図2に示すように、RFタグ10は、アンテナコイル11、I/O回路12、RAM13、ROM14、NVM15(Nonvolatile Memory)およびCPU16等を備えている。
【0030】
アンテナコイル11は、各ユーザ端末3~5が発信したRF信号(命令を含む)を有する電波を受信したり、I/O回路12から出力されたRF信号(応答を含む)を有する電波を発信したりするものである。I/O回路12は、アンテナコイル11からのRF信号を復調して当該復調した信号をCPU16に出力したり、CPU16からの信号を変調して当該変調したRF信号をアンテナコイル11に出力したりするものである。
【0031】
実施形態のRFタグ10は、ISO14443タイプBに準拠したカード型デバイスまたはタグ型デバイスである。アンテナコイル11には、複数の発光態様で発光可能な発光部17(例えばLED等)が接続されている。発光部17(LED)に対する電力供給は、電磁誘導によって、デジタル名刺1のRFタグ10と非接触通信する受領ユーザ端末4や読取ユーザ端末5からアンテナコイル11を通じて行われる。デジタル名刺1には、電池や外部電源等を備えていないものの、デジタル名刺1のRFタグ10と受領ユーザ端末4や読取ユーザ端末5との間で非接触通信をすると、通信中の間または所定時間、発光部17(LED)が点灯もしくは点滅する。
【0032】
RAM13には、ROM14やNVM15から読み出されたプログラムや各種データが一時的に記憶される。ROM14やNVM15には、プログラムや各種データが記憶されている。NVM15としては、例えばフラッシュメモリやEEPROM等が挙げられる。
【0033】
NVM15には、個別タグ情報ITが例えばRFタグ10の製造段階で予め保存される。既述のとおり、個別タグ情報ITは、RFタグ10を埋め込んだデジタル名刺1のシリアル番号を識別する情報として用いられる。RFタグ10には、個別タグ情報ITにて識別されるデジタル名刺1専用の名刺データ情報IU3(ウェブページ、詳細は後述)が格納されている。なお、NFT管理装置6には、RFタグ10に格納された名刺データ情報IU3にアクセスするためのURL(以下、名刺表示用URLと称する)が予め保存される。
【0034】
CPU16は、ROM14またはNVM15に記憶されたプログラムに基づき、各ユーザ端末3~5から発信されてアンテナコイル11およびI/O回路12経由で入力された読み出し命令または書き込み命令に応じて、NVM15に対する情報の読み出しや書き込み、もしくは演算処理を実行するものである。NVM15に対する読み出し命令は、NDEF(NFC Data Exchange Format)読み出し命令であるとよい。RFタグ10からNDEF形式にて読み出される設定にしておけば、受領ユーザ端末4や読取ユーザ端末5に専用アプリケーションを搭載していなくても、例えばRFタグ10から読み込んだ提供ユーザ情報IU3(名刺データ情報)を、受領ユーザ端末4や読取ユーザ端末5に表示させることが可能になる。
【0035】
図3は、NFT管理装置6の構成を示すブロック図である。図3に示すように、NFT管理装置6は、通信部61、記憶部62および情報処理部63等を備えている。通信部61は、通信ネットワークNWに通信接続する機能を有している。記憶部62は、例えばハードディスクドライブ等からなっており、オペレーティングシステムやNFT管理プログラム等が記憶されている。記憶部62には、ユーザ情報データベース64およびNFT情報データベース65等が構築されている。なお、ユーザ情報データベース64およびNFT情報データベース65は、データベースサーバ(図示省略)に備わる構成であっても差し支えない。
【0036】
ユーザ情報データベース64は、デジタル名刺管理システムCSの利用会員としてのアカウントが発行された各ユーザU3~U5の各種情報を登録するデータベースである。ユーザ情報データベース64には、識別用のユーザID、パスワード、メールアドレス、住所、電話番号、ブロックチェーンBKで用いられる公開鍵と秘密鍵の鍵ペア、およびブロックチェーンBK上の個別アドレス等がユーザU3~U5ごとに対応付けられて登録される。
【0037】
ここで、公開鍵と秘密鍵の鍵ペアは、例えばアカウント発行の際に、NFT管理装置6の発行要求に応じてブロックチェーンBKにおいてユーザU3~U5ごとに個別に発行される。個別アドレスは、公開鍵に基づき所定のアルゴリズムに従って生成される。個別アドレスには、ブロックチェーンBKにおいてNFT100を対応付けることが可能になっている。
【0038】
NFT情報データベース65は、ブロックチェーンBKにおいて発行(ミント)されたNFT100の各種情報を登録するデータベースである。NFT情報データベース65には、NFT100のコントラクトアドレス、NFT100のトークンID、NFT100を保有するユーザU3~U5の個別アドレス(NFT100に紐付けされる個別アドレス)、個別タグ情報IT、名刺表示用URL、および取引情報(ない場合もある)がNFT100毎に対応付けられて登録される。
【0039】
ここで、名刺表示用URLは、RFタグ10を格納した名刺データ情報IU3(提供ユーザ情報、ウェブページ)のアドレスであり、例えばドメイン、パス(ディレクトリ)および提供ユーザ情報IU3(名刺データ情報)から生成されたURLパラメータ(ホスト名を含んでも可)によって表されるものである。名刺データ情報IU3(提供ユーザ情報、ウェブページ)は、例えばNFT100の各種情報を記述したHTML文書やXHTML文書といった構造化文書ファイル等から構成される。
【0040】
情報処理部63は、RAM、ROMおよびCPU(図示省略)等を備えており、記憶部62に記憶されたNFT管理プログラムに従って、例えばNFT発行要求の受信手段、NFT発行手段、NFT管理手段、書き込み命令送信手段、配布要求受信手段、およびNFT配布手段等として機能し、各種処理を実行するものである。
【0041】
例えば名刺交換して受領ユーザU4が提供ユーザU3からデジタル名刺1を受領し、当該デジタル名刺1(RFタグ10)の個別タグ情報ITに紐付けされたNFT100を発行する場合、情報処理部63は、RFタグ10から受領ユーザ端末4で読み込んだNFT発行要求(個別タグ情報ITおよび提供ユーザ情報IU3を含む)を、通信ネットワークNWを介して受領ユーザ端末4から受信する。
【0042】
そして、情報処理部63は、受信したNFT発行要求に含まれる個別タグ情報ITに基づき、デジタル名刺1の各種権利を証明するNFT100をブロックチェーンBK上で発行(ミント)させる。実施形態においては、個別タグ情報IT(デジタル名刺1のシリアル番号)ごとに、1個のマスターNFT101と複数個の一般NFT102とがブロックチェーンBK上で発行される。
【0043】
ここで、マスターNFT101は、任意の個別タグ情報ITに対応するもののうち最上位のものを意味しており、一般NFT102は、マスターNFT101にリンクされた下位のものを意味している。本願明細書においてNFT100の用語は、マスターNFT101と一般NFT102とをまとめた総称として用いている。
【0044】
そして、情報処理部63は、発行されたNFT100に対して、個別タグ情報ITおよび名刺表示用URLを対応付けて管理する。例えば発行されたNFT100のコントラクトアドレスおよびトークンID等に、個別タグ情報ITおよび名刺表示用URLが対応付け(紐付け)され、NFT情報データベース65に登録されて管理される。
【0045】
このとき、デジタル名刺1の保有権を証明するマスターNFT101は、受領ユーザU4の個別アドレスに紐付けされ、受領ユーザU4がマスターNFT101の保有者である旨がブロックチェーンBKに記録される。次いで、情報処理部63は、名刺表示用URLを受領ユーザ端末4に書き込ませる命令を、通信ネットワークNWを介して受領ユーザ端末4に送信する。その結果、名刺表示用URLが受領ユーザ端末4に書き込まれる。
【0046】
受領ユーザU4の持つデジタル名刺1に読取ユーザU5が読取ユーザ端末5をかざす等して、デジタル名刺1のRFタグ10と読取ユーザ端末5との間で非接触通信を行った場合、情報処理部63は、RFタグ10から読取ユーザ端末5で読み込んだNFT配布要求(個別タグ情報ITおよび提供ユーザ情報IU3を含む)を、通信ネットワークNWを介して読取ユーザ端末5から受信する。
【0047】
このとき、受領ユーザU4はマスターNFT101の保有者であるため、ブロックチェーンBK上で一般NFT102が読取ユーザU5に配布される。すなわち、デジタル名刺1の過去の読取履歴を証明する一般NFT102は、読取ユーザU5の個別アドレスに紐付けされ、読取ユーザU5が一般NFT102の保有者の一人である旨がブロックチェーンBKに記録される。次いで、情報処理部63は、名刺表示用URLを読取ユーザ端末5に書き込ませる命令を、通信ネットワークNWを介して読取ユーザ端末5に送信する。その結果、名刺表示用URLが読取ユーザ端末5に書き込まれる。
【0048】
なお、提供ユーザU3の持つデジタル名刺1に読取ユーザU5が読取ユーザ端末5をかざす等して、デジタル名刺1のRFタグ10と読取ユーザ端末5との間で非接触通信を行った場合、個別タグ情報ITに対応したNFT100は未発行であるため、情報処理部63は、NFT配布要求を受信しないまたは受信をキャンセルする。ただし、読取ユーザ端末5には、RFタグ10から読み込んだ名刺データ情報IU3(提供ユーザ情報)が直接的に(名刺表示用URLを読み込むことなしに)表示される(図10参照)。
【0049】
次に、実施形態に係るデジタル名刺管理システムCSの動作について、図4図11を参照しながら説明する。ここで、各ユーザU3~U5はそれぞれのユーザ端末3~5を用いてブロックチェーンBKの利用登録を行っていて、各ユーザ端末3~5には予め、NFT100を保管・管理可能なアプリケーションであるウォレットが導入されているものとする。
【0050】
はじめに、図4に示すように、提供ユーザU3からの指示に基づき、提供ユーザ端末3が個別タグ情報ITおよび提供ユーザ情報IU3を含む書き込み命令を非接触通信にて各デジタル名刺1のRFタグ10に送信すると(ステップS01)、RFタグ10は、提供ユーザ端末3の書き込み命令に応じて、個別タグ情報ITおよび提供ユーザ情報IU3をNVM15に書き込み(ステップS02)、正常終了を示す応答を提供ユーザ端末3に送信する。
【0051】
こうして、一連のRFタグ10(デジタル名刺1)には、個別タグ情報ITおよび提供ユーザ情報IU3が保存(記録)される。なお、提供ユーザ情報IU3は各RFタグ10において共通であるが、個別タグ情報はRFタグ10ごとに異なる。
【0052】
提供ユーザU3と受領ユーザU4とが名刺交換をするにおいて、受領ユーザU4が受領ユーザ端末4をデジタル名刺1にかざすと(近づけると)、受領ユーザ端末4の電磁界によってRFタグ10が起動し、受領ユーザ端末4とRFタグ10との非接触通信が開始される(図5参照)。そうすると、受領ユーザ端末4が既述したNDEF読み出し命令を非接触通信にてRFタグ10に送信する(ステップS03)。実施形態では、非接触通信中の間または所定時間、RFタグ10の発光部17(LED)が点灯もしくは点滅する。つまり、デジタル名刺1自体が発光する。
【0053】
それから、RFタグ10が受領ユーザ端末4のNDEF読み出し命令を受信すると、当該NDEF読み出し命令に応じて、NVM15から個別タグ情報ITおよび提供ユーザ情報IU3を読み出し(ステップS04)、当該個別タグ情報IT等を含む応答を受領ユーザ端末4に送信する(ステップS05)。RFタグ10の応答を受信した受領ユーザ端末4には、NFT100発行を促す操作ボタン20が表示される(図6参照)。操作ボタン20は、例えばグラフィカルユーザインターフェースとしてのボタンまたはアイコンである。操作ボタン20の押下操作をすると(ステップS06:YES)、受領ユーザ端末4は、個別タグ情報ITを含むNFT発行要求を、通信ネットワークNW経由でNFT管理装置6に送信する(ステップS07)。なお、操作ボタン20の押下操作は、具体的にはタップまたはクリックによって実現される。
【0054】
受領ユーザ端末4のNFT発行要求を受信したNFT管理装置6は、当該NFT発行要求に応じて、個別タグ情報ITにて識別される専用の名刺表示用URLを生成する(ステップS08)。次いで、NFT管理装置6は、個別タグ情報IT(または名刺表示用URL)および受領ユーザU4の個別アドレスを含むNFT発行要求をブロックチェーンBKに送信する(ステップS09)。
【0055】
NFT管理装置6によるNFT発行要求をブロックチェーンBKが受信すると、ブロックチェーンBKにおける特定のコントラクトアドレスから、個別タグ情報ITと紐付けされたNFT100が発行(ミント)される(ステップS10)。発行されたNFT100(1個のマスターNFT101と複数個の一般NFT102と)が受領ユーザU4の個別アドレスに紐付けられることによって、受領ユーザU4がNFT100の保有者である旨がブロックチェーンBKに記録される。次いで、NFT100のコントラクトアドレス、トークンID、および受領ユーザU4の個別アドレスを含むNFT発行完了通知が、ブロックチェーンBKからNFT管理装置6に送信される(ステップS11)。
【0056】
なお、NFT発行要求において、RFタグ10の個別タグ情報ITをNFT100のトークンIDとして指定してもよいし、個別タグ情報ITから所定アルゴリズムにて生成されたデータ列をトークンIDとして指定してもよいし、ブロックチェーンBKにおける特定のコントラクトアドレスにおいて一意のトークンIDを発行するようにしてもよい。
【0057】
次いで、ブロックチェーンBKのNFT発行完了通知を受信したNFT管理装置6は、発行済のNFT100に関する各種情報を登録する(ステップS12)。例えば発行済のNFT100のコントラクトアドレス、トークンID、受領ユーザU4の個別アドレス、個別タグ情報ITおよび名刺表示用URLを対応付け(紐付け)されてNFT情報データベース65に登録される。
【0058】
次いで、NFT管理装置6は、名刺表示用URLを受領ユーザ端末4に書き込ませる書き込み命令を、通信ネットワークNWを介して受領ユーザ端末4に送信する(ステップS13)。次いで、NFT管理装置6の書き込み命令を受信した受領ユーザ端末4は、当該書き込み命令に応じて、名刺表示用URLを受領ユーザ端末4に書き込み(ステップS14)、正常終了を示す応答をNFT管理装置6に送信する。そして、受領ユーザ端末4では、RFタグ10から読み込んだ名刺データ情報IU3(提供ユーザ情報)の表示が許可されて表示される(ステップS15)。
【0059】
受領ユーザU4は名刺交換時に提供ユーザU3のデジタル名刺1を受領するため、受領ユーザU4の保有するNFT100は、デジタル名刺1の保有権を証明するマスターNFT101になる。受領ユーザU4は、受領ユーザ端末4のウォレットにてNFT100を管理し、必要に応じて閲覧等できる。ちなみに、名刺表示用URLが記憶された受領ユーザ端末4では、デジタル名刺1(RFタグ10)がなくても、名刺データ情報IU3(提供ユーザ情報)を表示させることが可能である。
【0060】
実施形態において、各ユーザ端末3~5に導入済のウォレットには、各ユーザU3~U5が登録しているSNSアカウントや電子メールアドレスが、例えばWeb3.0技術(Web3Auth等)を利用して対応付け(紐付け)されている。そこで、NFT管理装置6は、各ユーザU3,U4のウォレットとSNSアカウント等との対応関係を用いて、デジタル名刺1(RFタグ10)の個別タグ情報ITと紐付けされたNFT100(マスターNFT101)を受領ユーザU4が保有している旨、換言するとデジタル名刺1を用いて名刺交換を行った旨を、SNSまたは電子メール等にて提供ユーザ端末3に通知する(ステップS16)。
【0061】
なお、SNSとしては、例えばエックス(旧ツイッター)、フェイスブック、ライン、ユーチューブ、ティックトック、ウィチャット、インスタグラムまたはワッツアップ等を含むが、これらに限定されるものではない。
【0062】
上記の構成によると、ビジネス関連の名刺データ情報IU3をユーザ端末3~5に提供可能なデジタル名刺1でありながら、従来の名刺交換と同様に、デジタル名刺1自体を相手に渡すことが可能であるから、一見して従来タイプの名刺のようであるにも拘らず、デジタルデータ提供機能を発揮できて相手への強い印象付けができるとともに、デジタル名刺1が名刺交換相手の手元にあることで名刺交換の事実も印象に残りやすく、従来の名刺の利点とデジタル名刺1の利点との両方を享受できる。実施形態では、デジタル名刺1のRFタグ10と受領ユーザ端末4との非接触通信時に、RFタグ10の発光部17(LED)が点灯または点滅するので、名刺交換相手である受領ユーザU4に特に強い印象を与えられる。
【0063】
また、提供ユーザU3の名刺データ情報IU3(提供ユーザ情報)は、デジタル名刺1のRFタグ10に記憶され、当該名刺データ情報IU3の表示許可は、NFT管理装置6から受領ユーザ端末4に送信されるため、NFT管理装置6側で名刺データ情報IU3を保持・管理しなくてよく、自らの個人データを含む名刺データ情報IU3を提供ユーザU3自身がコントロールでき、プライバシーの強化やセキュリティリスクの低減を図れる。
【0064】
さらに、デジタル名刺1のRFタグ10に記憶された名刺データ情報IU3を受領ユーザ端末4で読み込むから、インターネット等の通信ネットワークNWの接続環境の優劣に影響されにくいというメリットもある。
【0065】
次いで、図7および図8に示すように、受領ユーザU4の持つデジタル名刺1で、受領ユーザU4が提供ユーザU3を読取ユーザU5に紹介するにおいて、読取ユーザU5が読取ユーザ端末5をデジタル名刺1にかざすと(近づけると)、読取ユーザ端末5の電磁界によってRFタグ10が起動し、読取ユーザ端末5とRFタグ10との非接触通信が開始される。そうすると、読取ユーザ端末5がNDEF読み出し命令を非接触通信にてRFタグ10に送信する(ステップS17)。この場合も、非接触通信中の間または所定時間、RFタグ10の発光部17(LED)が点灯もしくは点滅する。つまり、デジタル名刺1自体が発光する。
【0066】
それから、RFタグ10が読取ユーザ端末5のNDEF読み出し命令を受信すると、当該NDEF読み出し命令に応じて、NVM15から個別タグ情報ITおよび提供ユーザ情報IU3を読み出し(ステップS18)、当該個別タグ情報IT等を含む応答を読取ユーザ端末5に送信する(ステップS19)。
【0067】
RFタグ10の応答を受信した読取ユーザ端末5には、NFT100の受領を促す操作ボタン21が表示される(図9参照)。操作ボタン21も、例えばグラフィカルユーザインターフェースとしてのボタンまたはアイコンを採用してよい。操作ボタン21の押下操作をすると(ステップS20:YES)、受領ユーザU4の持つデジタル名刺1(RFタグ10)の個別タグ情報ITに紐付けられたNFT100は既に発行済であるため、読取ユーザ端末5は、個別タグ情報ITを含むNFT配布要求を、通信ネットワークNW経由でNFT管理装置6に送信する(ステップS21)。なお、操作ボタン21の押下操作も、具体的にはタップまたはクリックによって実現される。
【0068】
次いで、読取ユーザ端末5のNFT配布要求を受信したNFT管理装置6は、個別タグ情報IT(または名刺表示用URL)および読取ユーザU5の個別アドレスを含むNFT配布要求をブロックチェーンBKに送信する(ステップS22)。NFT管理装置6によるNFT配布要求をブロックチェーンBKが受信すると、ブロックチェーンBKにおける特定のコントラクトアドレスから、個別タグ情報ITと紐付けされた複数個の一般NFT102の一つが配布される(ステップS23)。配布される一般NFT102が読取ユーザU5の個別アドレスに紐付けられ、読取ユーザU5が一般NFT102を有する旨がブロックチェーンBKに記録される。次いで、一般NFT102のコントラクトアドレス、トークンIDおよび読取ユーザU5の個別アドレスを含むNFT配布完了通知が、ブロックチェーンBKからNFT管理装置6に送信される(ステップS24)。
【0069】
次いで、ブロックチェーンBKのNFT配布完了通知を受信したNFT管理装置6は、発行済の一般NFT102に関する各種情報を更新する(ステップS25)。例えば発行済の一般NFT102のコントラクトアドレス、トークンID、読取ユーザU5の個別アドレス、個別タグ情報ITおよび名刺表示用URLが対応付け(紐付け)されてNFT情報データベース65に登録される。
【0070】
次いで、NFT管理装置6は、名刺表示用URLを読取ユーザ端末5に書き込ませる書き込み命令を、通信ネットワークNWを介して読取ユーザ端末5に送信する(ステップS26)。次いで、NFT管理装置6の書き込み命令を受信した読取ユーザ端末5は、当該書き込み命令に応じて、名刺表示用URLを読取ユーザ端末5に書き込み(ステップS27)、正常終了を示す応答をNFT管理装置6に送信する。そして、読取ユーザ端末5では、RFタグ10から読み込んだ名刺データ情報IU3(提供ユーザ情報)の表示が許可されて表示される(ステップS28)。
【0071】
読取ユーザU5に配布されるNFT100は、デジタル名刺1の過去の読取履歴を証明する一般NFT102になる。読取ユーザU5は、読取ユーザ端末5のウォレットにて一般NFT102を管理し、必要に応じて閲覧等することができる。名刺表示用URLが記憶された読取ユーザ端末5においても、デジタル名刺1(RFタグ10)なしで、名刺データ情報IU3(提供ユーザ情報)を表示させることが可能である。
【0072】
次いで、読取ユーザ端末5は、デジタル名刺1(RFタグ10)の個別タグ情報ITと紐付けされた一般NFT102を読取ユーザU5が有している旨、換言すると、受領ユーザU4の持つデジタル名刺1を読み取って提供ユーザU3を紹介された旨を、SNSまたは電子メール等にて提供ユーザ端末3に通知する(ステップS29)。
【0073】
上記の構成によると、受領ユーザU4の持つデジタル名刺1を使って、受領ユーザU4が提供ユーザU3を読取ユーザU5に紹介した場合、その事実を受領ユーザU4から教えてもらわなくても、自身のデジタル名刺1を持つ人(受領ユーザU4)が誰(読取ユーザU5)にいつ紹介したのかをリアルタイムで的確に把握できる。このため、デジタル名刺1を利用すれば、名刺交換した相手(自身のデジタル名刺1を持つ人(受領ユーザU4))の手を煩わせることなく、自身の関係者を紹介したり第三者を紹介してもらったりしやすくなり、お互いのビジネス上のつながりについて有効活用を図れるのである。実施形態では、デジタル名刺1のRFタグ10と読取ユーザ端末5との非接触通信時に、RFタグ10の発光部17(LED)が点灯または点滅するので、デジタル名刺1を読取操作した読取ユーザ5に強い印象を与えられる。
【0074】
なお、ステップS15において、マスターNFT101を保有する受領ユーザU4の受領ユーザ端末4では、RFタグ10から読み込んだ名刺データ情報IU3(提供ユーザ情報)が表示されるが、当該提供ユーザ情報IU3は、提供ユーザU3に関する例えば人物写真、住所、学歴や職歴等の略歴、趣味および私生活の情報といったプライベート情報を含めて開示してもよい。これに対して、ステップS28において、一般NFT102を保有する読取ユーザU5の読取ユーザ端末5でも、RFタグ10から読み込んだ提供ユーザ情報IU3が表示されるが、当該提供ユーザ情報IU3は、提供ユーザU3についてビジネスに関するパブリック情報のみを開示するのが好ましい。
【0075】
このように構成すると、例えばプライベート情報を含む提供ユーザ情報IU3を見た受領ユーザU4と提供ユーザU3との間で、共通の話題等が弾みやすくなるなど、コミュニケーションを取りやすく、デジタル名刺1を受け取った受領ユーザU4と提供ユーザU3との関係性を深めるのに効果的である。デジタル名刺1を受け取った受領ユーザU4でなければ、マスターNFT101を取得できないので、読取ユーザU5がプライベート情報を含む提供ユーザ情報IU3を見ることはなく、プライバシー確保の点でも有効である。
【0076】
また、提供ユーザU3は、提供ユーザ端末3を用いて、NFT管理装置6のNFT情報データベース65に登録された発行済の一般NFT102に関する各種情報を修正し、例えば一般NFT102の中でも、プラチナ、ゴールド、シルバーおよびブロンズといった順位付けを行うことも可能である。この場合、提供ユーザU3は、一般NFT102を保有する読取ユーザU5であっても、その順位付けに応じて、プライベート情報を含む提供ユーザ情報IU3を読取ユーザ端末5に開示したりできる。開示の程度は、順位付けに応じて設定可能である(例えば一般NFT102のプラチナタイプであれば、マスターNFT101と同格の開示内容にしたり、ゴールド、シルバーと順位が下がるに連れて、プライベート情報の開示範囲を狭くしたりできる)。
【0077】
さて、実施形態ではさらに、提供ユーザU3と過去に名刺交換をしたことのある二人の受領ユーザU4′,U4″同士がデジタル名刺1′を使って名刺交換をした場合、デジタル名刺1′(RFタグ10′)の個別タグ情報IT′と紐付けされたNFT100′(マスターNFT101′)を受領ユーザU4′が保有している旨、換言するとデジタル名刺1′を用いて受領ユーザU4′と受領ユーザU4″とが名刺交換を行った旨を、SNSまたは電子メール等にて提供ユーザ端末3に通知するように構成されている。
【0078】
ここで、説明の便宜上、二人の受領ユーザU4′,U4″を第1受領ユーザU4′、第2受領ユーザU4′と称し、第1受領ユーザU4′がデジタル名刺1′を第2受領ユーザU4″に提供したものとする。また、第1受領ユーザに関連する構成要素には既述の符号に対して「′」を付し、第2受領ユーザに関連する構成要素には既述の符号に対して「″」を付すものとする。
【0079】
第1受領ユーザU4′と第2受領ユーザU4″とが名刺交換をした際のデジタル名刺管理システムCSの動作は、おおむね図4を用いて説明したとおりである。そして、デジタル名刺1′の提供が完了すると(ステップS30:YES)、NFT管理装置6は、第1受領ユーザU4′と第2受領ユーザU4″とがブロックチェーンBK上でデジタル名刺1(RFタグ10)の個別タグ情報ITと紐付けされたNFT100(マスターNFT101)を保有しているか否か、すなわち、提供ユーザU3から過去にデジタル名刺1を受領したか否かを判別する(ステップS31、図11参照)。
【0080】
第1受領ユーザU4′と第2受領ユーザU4″とが提供ユーザU3と既に名刺交換済であれば、両名とも各受領ユーザU4′,U4″に、ブロックチェーンBK上でデジタル名刺1(RFタグ10)の個別タグ情報ITと紐付けされたNFT100(マスターNFT101)を保有しているから(ステップS31:YES)、NFT管理装置6は、各ユーザ3~5のウォレットとSNSアカウント等との対応関係を用いて、提供ユーザU3と過去にデジタル名刺を使って名刺交換した第1受領ユーザU4′と第2受領ユーザU4″とがデジタル名刺1′を使って名刺交換をした旨を、SNSまたは電子メール等にて提供ユーザ端末3に通知するのである(ステップS32)。
【0081】
このように構成すると、第1受領ユーザU4′と第2受領ユーザU4″とがデジタル名刺1′を使って名刺交換した場合、その事実を各受領ユーザU4′,U4″から教えてもらわなくても、自身のデジタル名刺1を持つ人(第1受領ユーザU4′と第2受領ユーザU4″)がお互いに知り合いになったことをリアルタイムで的確に把握できる。このため、共通の知人が増えてコミュニケーションを取りやすくなり、提供ユーザU3、第1受領ユーザU4′および第2受領ユーザU4″との関係性をより深めることが可能になる。従って、デジタル名刺1,1′をやり取りする人たちの間で、お互いの人脈ネットワークを相互に把握するのが極めて簡単であり、新たな人脈ネットワークの形成・拡大を従来と違って簡単かつ確実にでき、相互間でのビジネスの発展に貢献できるのである。
【0082】
本願発明における各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0083】
BK ブロックチェーン
CS デジタル名刺管理システム
IT 個別タグ情報
IU3 名刺データ情報(提供ユーザ情報)
NW 通信ネットワーク
U3 提供ユーザ
U4,U4′,U4″ 受領ユーザ
U5 読取ユーザ
1 デジタル名刺
3 提供ユーザ端末
4 受領ユーザ端末
5 読取ユーザ端末
6 NFT管理装置
10 RFタグ
11 アンテナコイル
15 NVM
17 発光部(LED)
20,21 操作ボタン
61 通信部
62 記憶部
63 情報処理部
64 ユーザ情報データベース
65 NFT情報データベース
100,100′ NFT
101,101′ マスターNFT
102 一般NFT
【要約】
【課題】デジタルデータ関連の権利を証明する手段であるNFTに着目して、NFTの技術を名刺に応用する。
【解決手段】ICタグ10には、個別タグ情報ITと提供ユーザU3の名刺データ情報IU3とが記憶される。NFT管理装置6は、受領ユーザ端末4がICタグ10から読み出した個別タグ情報ITに基づき、NFT100をブロックチェーンBK上で発行させる。NFT100には、1個のマスターNFT101が含まれる。マスターNFT101がブロックチェーンBK上における受領ユーザU4の個別アドレスに紐付けされて、受領ユーザ端末4に対して提供ユーザU3の名刺データ情報IU3の開示を許可する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11