(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-15
(45)【発行日】2025-04-23
(54)【発明の名称】出力の間に金属遮蔽を有するキャパシタ・ベースのシナプス・ネットワーク構造
(51)【国際特許分類】
G06N 3/065 20230101AFI20250416BHJP
G06G 7/60 20060101ALI20250416BHJP
G06G 7/184 20060101ALI20250416BHJP
【FI】
G06N3/065
G06G7/60
G06G7/184
(21)【出願番号】P 2023528599
(86)(22)【出願日】2021-11-02
(86)【国際出願番号】 CN2021128126
(87)【国際公開番号】W WO2022127411
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2024-04-11
(32)【優先日】2020-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ジャーン、チェン
(72)【発明者】
【氏名】ヤーン、ジエ
(72)【発明者】
【氏名】コーン、デクシン
(72)【発明者】
【氏名】山下 典洪
【審査官】宮司 卓佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-049887(JP,A)
【文献】特開2002-279393(JP,A)
【文献】特開2007-157772(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0148393(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 3/065
G06G 7/60
G06G 7/184
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の複数のシナプス・ネットワーク・キャパシタであって、それらのシナプス・ネットワーク・キャパシタが第1の出力端子を共有する、第1の複数のシナプス・ネットワーク・キャパシタと、
第2の複数のシナプス・ネットワーク・キャパシタであって、それらのシナプス・ネットワーク・キャパシタが第2の出力端子を共有する、第2の複数のシナプス・ネットワーク・キャパシタと、
前記第1の出力端子と前記第2の出力端子との間に配置された金属遮蔽と
を備えるニューラル・ネットワーク・デバイス。
【請求項2】
前記第1の出力端子と前記第2の出力端子との間に配置された前記金属遮蔽は、接地端子に接続される、請求項1に記載のニューラル・ネットワーク・デバイス。
【請求項3】
前記金属遮蔽は、前記金属遮蔽が前記第1の出力端子を前記第2の出力端子から容量的に切り離すように、前記第1の出力端子と前記第2の出力端子との間に配置される、請求項1に記載のニューラル・ネットワーク・デバイス。
【請求項4】
前記第1の複数のシナプス・ネットワーク・キャパシタにおける前記シナプス・ネットワーク・キャパシタの各々は、前記第1の複数のシナプス・ネットワーク・キャパシタの他のシナプス・ネットワーク・キャパシタの各々の入力端子から独立した入力端子を備える、請求項1に記載のニューラル・ネットワーク・デバイス。
【請求項5】
前記第2の複数のシナプス・ネットワーク・キャパシタにおける前記シナプス・ネットワーク・キャパシタの各々は、前記第2の複数のシナプス・ネットワーク・キャパシタの他のシナプス・ネットワーク・キャパシタの各々の入力端子から独立した入力端子を備える、請求項4に記載のニューラル・ネットワーク・デバイス。
【請求項6】
各々のシナプス・ネットワーク・キャパシタの前記入力端子は、前記ニューラル・ネットワーク・デバイスの所与のワード・ラインを介してアドレス指定可能であり、前記第1及び第2の複数のシナプス・ネットワーク・キャパシタの各々は、前記ニューラル・ネットワーク・デバイスの所与のビット・ラインを介してさらにアドレス指定可能である、請求項5に記載のニューラル・ネットワーク・デバイス。
【請求項7】
前記ニューラル・ネットワーク・デバイスは、人工知能システムの一部である、請求項1に記載のニューラル・ネットワーク・デバイス。
【請求項8】
第1の複数のシナプス・ネットワーク・キャパシタを形成することであって、それらのシナプス・ネットワーク・キャパシタが第1の出力端子を共有する、前記形成することと、
第2の複数のシナプス・ネットワーク・キャパシタを形成することであって、それらのシナプス・ネットワーク・キャパシタが第2の出力端子を共有する、前記形成することと、
前記第1の出力端子と前記第2の出力端子との間に金属遮蔽を形成することと
を含む方法。
【請求項9】
前記第1の出力端子と前記第2の出力端子との間に形成された前記金属遮蔽を接地端子に接続することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の出力端子と前記第2の出力端子との間に形成される前記金属遮蔽は、前記第1の出力端子を前記前記第2の出力端子から容量的に切り離す、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の複数のシナプス・ネットワーク・キャパシタにおける前記シナプス・ネットワーク・キャパシタの各々は、前記第1の複数のシナプス・ネットワーク・キャパシタの他のシナプス・ネットワーク・キャパシタの各々の入力端子から独立した入力端子を備える、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の複数のシナプス・ネットワーク・キャパシタにおける前記シナプス・ネットワーク・キャパシタの各々は、前記第2の複数のシナプス・ネットワーク・キャパシタの他のシナプス・ネットワーク・キャパシタの各々の入力端子から独立した入力端子を備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
各々のシ
ナプス・ネットワーク・キャパシタの前記入力端子を
、ニューラル・ネットワーク・デバイスの所与のワード・ラインを介してアドレス指定することと、前記第1及び第2の複数のシナプス・ネットワーク・キャパシタの各々を、前記ニューラル・ネットワーク・デバイスの所与のビット・ラインを介してさらにアドレス指定することとをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ニューラル・ネットワーク・デバイスは、人工知能システムの一部である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
シナプス・エレメントによって動作可能に結合されたニューロン・ノードの複数の層を有するニューラル・ネットワーク構造を含む少なくとも1つの処理デバイスを備え、
前記シナプス・エレメントは、少なくとも2組の複数のシナプス・エレメントで構成されており、
前記少なくとも2組の複数のシナプス・エレメントは、
第1の複数のシナプス・エレメントであって、それらのシナプス・エレメントが第1の出力端子を共有する、第1の複数のシナプス・エレメントと、
第2の複数のシナプス・エレメントであって、それらのシナプス・エレメントが第2の出力端子を共有する、第2の複数のシナプス・エレメントと、
前記第1の出力端子と前記第2の出力端子との間に配置された金属遮蔽と
を備える、
人工知能システム。
【請求項16】
前記第1の出力端子と前記第2の出力端子との間に配置された前記金属遮蔽は、接地端子に接続される、請求項15に記載の人工知能システム。
【請求項17】
前記金属遮蔽は、前記第1の出力端子を前記第2の出力端子から切り離すように、前記第1の出力端子と前記第2の出力端子との間に配置される、請求項15に記載の人工知能システム。
【請求項18】
前記第1の複数のシナプス・エレメントにおける前記シナプス・エレメントの各々は、前記第1の複数のシナプス・エレメントの他のシナプス・エレメントの各々の入力端子から独立した入力端子を備える、請求項15に記載の人工知能システム。
【請求項19】
前記第2の複数のシナプス・エレメントにおける前記シナプス・エレメントの各々は、前記第2の複数のシナプス・エレメントの他のシナプス・エレメントの各々の入力端子から独立した入力端子を備える、請求項18に記載の人工知能システム。
【請求項20】
各々のシナプス・エレメントの前記入力端子は、前記少なくとも1つの処理デバイスの所与のワード・ラインを介してアドレス指定可能であり、前記第1及び第2の複数のシナプス・エレメントの各々は、前記少なくとも1つの処理デバイスの所与のビット・ラインを介してさらにアドレス指定可能である、請求項19に記載の人工知能システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ディープ・ニューラル・ネットワーク(DNN)は、多数の層(例えば、入力層、複数の隠れ層又は中間層、及び出力層)からなる構造である人工ニューラル・ネットワーク(ANN)の一例であり、層は、異なる構成における接続(「シナプス」を表す)の相対的重要性に基づいて重み付けされたコネクタによって動作可能に結合されるネットワーク・ノード(「ニューロン」を表す)を含む。DNNは、多くの隠れ層又は中間層を有し(例えば、数十、数百、さらには数千のオーダーであり、そのため「ディープ」という用語である)、生物学的な人(又は動物)の脳の判断機能を模倣するように設計される。
【0002】
このように、DNNは、1つ又は複数のニューロモルフィック・デバイス若しくはニューラル・ネットワーク・デバイスに実装される機械学習又は深層学習アルゴリズムを含む人工知能システムを含むが、それに限定されない多くの技術分野において実施されている。ニューラル・ネットワーク・ベースの人工知能システムの用途の例は、限定されるものではないが、画像又は物体の認識を含む。画像又は物体の認識において、畳み込みニューラル・ネットワーク(CNN)と呼ばれるタイプのDNNが使用される(例えば、CNNは、1つ又は複数の画像分類を生成するために数学的畳み込み操作を行う)。
【0003】
DNN(CNN又は任意の他の形態のANN)を実装するために使用される基礎となるコンピューティング・ハードウェアは、限定されるものではないが、中央処理ユニット(CPU)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、標準的な相補型金属酸化物半導体(CMOS)論理に基づく特定用途向け集積回路(ASIC)を含むことができる。DNNのシナプスを実装するために、抵抗ベース(例えば、メモリスタ)のネットワークが一般的に使用されてきた。
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施形態は、出力の間に金属遮蔽を有するキャパシタ・ベースのシナプス・ネットワーク構造を提供する。
1つの例示的な実施形態において、ニューラル・ネットワーク・デバイスは、第1の複数のシナプス・ネットワーク・キャパシタであって、それらのシナプス・ネットワーク・キャパシタが第1の出力端子を共有する、第1の複数のシナプス・ネットワーク・キャパシタを備える。本ニューラル・ネットワーク・デバイスはさらに、第2の複数のスナプス・ネットワーク・キャパシタであって、それらのシナプス・ネットワーク・キャパシタが第2の出力端子を共有する、第2の複数のシナプス・ネットワーク・キャパシタを含む。さらに、本ニューラル・ネットワーク・デバイスは、第1の出力端子と第2の出力端子との間に配置された金属遮蔽を備える。
【0005】
さらに別の例示的な実施形態が、金属遮蔽された出力を有するキャパシタ・ベースのシナプス・ネットワークを持つニューラル・ネットワーク・デバイスを製造する方法、及び、金属遮蔽された出力を有するキャパシタ・ベースのシナプス・ネットワークを持つニューラル・ネットワーク・デバイスを伴う人工知能システムの形態で、それぞれ提供される
【0006】
本明細書で説明される実施形態のこれら及び他の特徴並びに利点は、添付の図面及び以下の詳細な説明から、より明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】1つ又は複数の例示的な実施形態を実装することができる、ニューラル・ネットワーク・コンピューティング環境のブロック図を示す。
【
図2】1つ又は複数の例示的な実施形態を実装することができる、ニューラル・ネットワーク・デバイスの回路図を示す。
【
図3】ポジティブ・シナプス・ネットワークを実装するために使用される単一出力のキャパシタ・ベースの構造の回路図を示す。
【
図4】ネガティブ・シナプス・ネットワークを実装するために使用される単一出力のキャパシタ・ベースの構造の回路図を示す。
【
図5】シナプス・ネットワークを実装するために使用される複数出力のキャパシタ・ベースの構造における結合容量問題の回路図を示す。
【
図6】出力の間に金属遮蔽を有し、例示的な一実施形態によるシナプス・ネットワークを実装するために使用される、複数出力のキャパシタ・ベースの構造の等角構造図を示す。
【
図7】出力の間に金属遮蔽を有し、例示的な一実施形態によるシナプス・ネットワークを実装するために使用される、複数出力のキャパシタ・ベースの構造の回路図を示す。
【
図8A】出力の間に金属遮蔽を有し、例示的な一実施形態によるシナプス・ネットワークを実装するために使用される、複数出力のキャパシタ・ベースの構造を製造する方法のフロー図を示す。
【
図8B】出力の間に金属遮蔽を有し、例示的な一実施形態によるシナプス・ネットワークを実装するために使用される、複数出力のキャパシタ・ベースの構造を製造する方法の別のフロー図を示す。
【
図8C】例示的な一実施形態による、金属遮蔽された出力を有するキャパシタ・ベースのシナプス・ネットワークを有する、1つ又は複数のニューラル・ネットワーク・デバイスを有する人工知能システムのブロック図を示す。
【
図9】例示的な一実施形態による、例示的なプロセッサ・システムのダイアグラムを示す。
【
図10】例示的な一実施形態による、クラウド・コンピューティング環境のダイアグラムを示す。
【
図11】例示的な一実施形態による、抽象化モデル層のダイアグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
背景部分において前述されたように、DNN(CNN又は任意のANN)を実装するために使用される基本コンピューティング・ハードウェは、限定されるものではないが、CPU、GPU、ASICなどを含むことができる。例えば、抵抗ランダム・アクセス・メモリ(ReRAM)又は相変化メモリ(PCM)デバイス(クロスポイント構造と呼ばれる)は、DNNに関連付けられるコンピューテーションを実行するために使用されており、抵抗/コンダクタンスは、シナプスを表すために使用される。ReRAMは、メモリスタと呼ばれる誘電体固体材料を横切る電気抵抗の変化を利用してデータを格納するタイプの不揮発性RAMである。PCMは、相変化材料の高導電性結晶相と低導電性非晶相との間の電気抵抗コントラストを利用してデータを格納するタイプの不揮発性RAMである。
【0009】
DNNにシナプスを実装するための上記の抵抗ベースの手法に加えて、シナプスを表現するためにキャパシタを使用できることが理解される。キャパシタ・ベースのシナプス・ネットワークは、抵抗ベースのシナプス・ネットワークと同様のニューロン接続機能を提供するが、静的な電力を消費しない。しかし、キャパシタ・ベースのシナプスによるニューラル・ネットワークの1つの欠点は、出力ノードが、不要な結合キャパシタンスを通して互いに相互作用する場合があることである。
【0010】
既存のキャパシタ・ベースのシナプス・ネットワークに関連する欠点、及び、例示的な実施形態がこれら及び他の欠点をどのように克服するかをさらに説明する前に、例示的な実施形態を実装することができるニューラル・ネットワーク・デバイスのセットを有する人工知能システムの一例を説明する。
【0011】
より具体的には、
図1は、1つ又は複数の例示的な実施形態を実装することができるニューラル・ネットワーク・デバイス102を含むニューラル・ネットワーク環境100を示す。図示されるように、ニューラル・ネットワーク・デバイス102は、ニューラル・ネットワーク104を含み、1つ又は複数の入力信号を受け取り、1つ又は複数の出力信号を生成する。
【0012】
単なる例に過ぎないが、画像又は物体認識アプリケーションでは、入力信号(単数又は複数)は、画像を含むことができ、ニューラル・ネットワーク・デバイスは、出力信号(単数又は複数)として1つ又は複数の画像分類などを生成するCNNを実装する。CNNは、シナプスを介して接続されるニューロンの畳み込み層を使用し、特徴が画像から抽出され、ネットワークを通して処理される。CNNの最終層は、入力画像に関連付けられる計算された分類を提供し、結果として、重み及び特徴検知器によって訓練されたニューラル・ネットワークを得る。訓練されたニューラル・ネットワークは、次に、目標画像に基づく実時間画像認識のために使用される。
【0013】
従って、
図1において、ニューラル・ネットワーク・デバイス102は、ニューラル・ネットワーク104を訓練し、次いで、訓練されたニューラル・ネットワーク104を画像又は物体認識のために使用するように構成される。簡単な例に過ぎないが、CNNは、自動車の画像を使用して訓練することができ、次に、訓練されたCNNに画像を適用して次の何れかの画像が自動車を含むどうか判断させることができる。
図1に示されるようなニューラル・ネットワーク・デバイスを使用する画像認識は、幾つかを挙げれば、工学、セキュリティ、及び医療を含むがそれらに限定されない様々な用途に使用することができる。複数のニューラル・ネットワーク・デバイス102を一緒に使用して、人工知能システムを形成することができる。さらに、幾つかの実施形態においては、単一のニューラル・ネットワーク・デバイス102が複数のニューラル・ネットワーク104を含むことができる。さらに、複数のニューラル・ネットワーク・デバイス102による幾つかの実施形態においては、1つ又は複数のニューラル・ネットワーク・デバイス102が単一のニューラル・ネットワーク104を有することができ、一方、1つ又は複数の他のニューラル・ネットワーク・デバイス102が複数のニューラル・ネットワーク104を有することができる。
【0014】
図2は、1つ又は複数の例示的な実施形態を実装することができるニューラル・ネットワーク・デバイス200の回路図を示す。ニューラル・ネットワーク・デバイス200は、
図1のニューラル・ネットワーク104を有するニューラル・ネットワーク・デバイス102の例示的な実装であることを認識されたい。例示的な実施形態の詳細な記述に関連するニューラル・ネットワーク・デバイス102及びニューラル・ネットワーク104の一部が
図2に示されていることを認識されたい。従って、ニューラル・ネットワーク・デバイス及びニューラル・ネットワークは、
図2には明示的に示されていない1つ又は複数の他の構成要素及びエレメントを有することができる。
【0015】
図示されるように、ニューラル・ネットワーク・デバイス200は、複数のワード・ライン210(WL1、WL2、WL3、WL4、…、WLN)及び複数のビット・ライン220(BL1、BL2、BL3、…、BLP)を備える。複数のワード・ライン210及び複数のビット・ライン220は、直接には接続されず、各々のクロス・ポイントにおいてそれらの間に接続されたシナプス・エレメントを有する(すなわち、ワード・ラインとビット・ラインとは、互いに近接するが物理的は接続しない)。シナプス・エレメントは、
図2において、シナプス・エレメント231、232、234、…、23Qのように表されている。各々のビット・ライン220はさらに、図示されるように接続された積分器240及び閾値検出器242を有する。複数のシナプス・エレメント231、232、234、…、23Q、積分器240及び閾値検出器242は、ひとまとまりとしてニューラル・ネットワーク部230(例えば、ニューラル・ネットワーク・デバイス102のニューラル・ネットワーク104の一部)を構成する。ニューラル・ネットワーク部230の各々は、1つ又は複数の入力信号に応答して、その静電容量を変えるように構成される。さらに、各々の個々のシナプス・エレメント231、232、234、…、23Qは、その対応するワード・ラインを介してアドレス指定可能であり、一方、各々のニューラル・ネットワーク部230を形成する複数のシナプス・デバイスは、その対応するビット・ラインを介してアドレス指定可能である。例示的な実施形態において、ニューラル・ネットワーク部230は、1つ又は複数の半導体デバイスを作成するための半導体製造技術を使用して実装される。「ワード・ライン」及び「ビット・ライン」などのメモリ・デバイス型用語が本明細書において例示的に使用されるが、これらの制御信号ラインは、各々、個々のシナプス・エレメントにアクセスするためにより一般的に使用されており、必ずしも、あらゆるニューロモルフィック実施形態におけるワード・ライン及びビット・ラインと見做される必要はない。
【0016】
図3は、ポジティブ・シナプス・ネットワークを実装するために使用される単一出力のキャパシタ・ベースの構造300の回路図を示す。より具体的には、単一出力のキャパシタ・ベースの構造300は、
図2のニューラル・ネットワーク部230内の複数のシナプス・エレメント231、232、233、234、…、23Qの一例である。図示されるように、単一出力のキャパシタ・ベースの構造300は、複数のキャパシタC
1、C
2、C
3、…、C
nを備え、それらのキャパシタの各々は、それぞれC
1、C
2、C
3、…、C
nについての入力電圧源V
1、V
2、V
3、…、V
nに結合された第1の端子と、単一の共通出力V
0に結合された第2の端子とを有する。入力V
1、V
2、V
3、…、V
nは、
図2におけるワード(アクセス)ラインWL1、WL2、WL3、…、WLNに対応し、出力V
Oは、
図2におけるビット(アクセス)ラインBL1、BL2、BL3、…、又はBLPの1つに対応することに留意されたい。各々のキャパシタC
1、C
2、C
3、…、C
nは、その静電容量がそれぞれの入力電圧V
1、V
2、V
3、…、V
nに基づく複数のレベルのうちの1つに調節可能であるように構成される。簡単のために、積分器240及び閾値検出器242は、
図3には示されていないことを認識されたい。しかし、積分器240は、各々のキャパシタC
1、C
2、C
3、…、C
nの静電容量レベルを示す信号を受け取り、それらから積分信号を生成することを理解されたい。次に、積分信号が、閾値検出器242で所与の閾値と比較される。より具体的には、全静電容量C
totは、次式によって定められ、
【数1】
したがって、電圧出力は、次式によって定められる。
【数2】
【0017】
V0は、全ての入力電圧の1次結合であることが明らかである。各々の入力電圧Viについてのシナプス値は、Ci/Ctotである。V0が所与の閾値と比較され、比較の結果に基づいて、ニューラル・ネットワーク部230によって判定が生成される。
【0018】
図4は、ネガティブ・シナプス・ネットワークを実装するために使用される単一出力のキャパシタ・ベースの構造400の回路図を示す。より具体的には、単一出力のキャパシタ・ベースの構造400は、
図2のニューラル・ネットワーク部230内の複数のシナプス・エレメント231、232、233、234、…、23Qの別の例である。図示されるように、単一出力のキャパシタ・ベースの構造400は、複数のキャパシタC
11、C
12、C
21、C
22、…、C
n1、C
n2を備え、それらのキャパシタの各々は、それぞれC
11、C
12、C
21、C
22、…、C
n1、C
n2についての入力電圧源V
1、-V
1、V
2、-V
2、…、V
n、-V
nに結合された第1の端子と、単一の共通出力V
0に結合された第2の端子とを有する。各々のキャパシタC
11、C
12、C
21、C
22、…、C
n1、C
n2は、その静電容量がそれぞれの入力電圧V
1、-V
1、V
2、-V
2、…、V
n、-V
nに基づく複数のレベルのうちの1つに調節可能であるように構成される。図を簡単にするために、積分器240及び閾値検出器242は、
図4には示されていないことを認識されたい。しかし、積分器240は、各々のキャパシタC
11、C
12、C
21、C
22、…、C
n1、C
n2の静電容量レベルを示す信号を受け取り、それらから積分信号を生成することを理解されたい。積分信号が、閾値検出器242で所与の閾値と比較される。より具体的には、上記の式(1)及び(2)と同様に、以下のように定められ、
【数3】
したがって、
【数4】
【0019】
Ci1<Ci2であれば、シナプスはネガティブであると考えられる。ここでも、V0が所与の閾値と比較され、比較の結果に基づいて、ニューラル・ネットワーク部230によって判定が生成される。
【0020】
図5は、シナプス・ネットワークを実装するために使用される複数出力のキャパシタ・ベースの構造500における結合容量の問題の回路図を示す。図示されるように、複数出力のキャパシタ・ベースの構造500は、第1の複数のキャパシタC
11、C
21、C
31、…、C
n1及び第2の複数のキャパシタC
12、C
22、C
32、…、C
n2を備える。第1の複数のキャパシタC
11、C
21、C
31、…、C
n1における各々のキャパシタは、それぞれ入力電圧源V
1、V
2、V
3、…、V
nに結合された第1の端子と、単一の共通出力V
olに結合された第2の端子とを有する。第2の複数のキャパシタC
12、C
22、C
32、…、C
n2の各々のキャパシタは、それぞれ入力電圧源V
1、V
2、V
3、…、V
nに結合された第1の端子と、単一の共通出力V
o2に結合された第2の端子とを有する。
図5における2組の複数のキャパシタの各々は、
図3に示された複数のキャパシタと同じであるが、各々の1組は、
図4に示される複数のキャパシタと同じように交互に構成することができる。重要な点は、電場によって引き起こされる寄生容量結合効果のために、別の信号に近接する1つの信号が、他の信号にノイズの形態の干渉を引き起こすことである。従って、
図5に示されるように、出力V
01は、出力V
02と干渉する可能性があり、逆の可能性もある。2つの出力の間の寄生容量結合効果は、結合容量C
xとして表される。C
xの存在のために、V
01及びV
02は互いに影響し、従って、上記の式(2)又は(4)の簡単な式によって定めることはできない。出力V
01とV
02との間のこの望ましくない結合容量は、積分(積分器240)及び閾値検出(閾値検出器242)段階においてエラーを引き起こす可能性があり、したがって、人工知能アルゴリズム全体において間違った判定につながる可能性があるという点で、ニューラル・ネットワークの問題を提起する。
【0021】
例示的な実施形態は、キャパシタ・ベースのシナプス・ネットワークに関連する上記及び他の欠点を、出力の間に金属遮蔽を有する構造を提供することによって克服する。
【0022】
図6は、例示的な一実施形態による、出力の間に金属遮蔽を有し、シナプス・ネットワークを実装するために使用される複数出力のキャパシタ・ベースの構造600の等角構造図を示す。より具体的には、図示されるように、複数出力のキャパシタ・ベースの構造600は、3組の複数のキャパシタ602-1、602-2及び602-3を含み、ここで各々の複数自体は、3つのキャパシタを含み、各々のキャパシタは、610として示される。各々のキャパシタ610(簡単のために、図の上右隅のキャパシタによって表される)は、第1の端子612及び第2の端子614を備え、2つの端子612及び614の間に誘電体材料616が配置される。各々のキャパシタ610の第1の端子612は、それぞれV
1、V
2、又はV
3の入力電圧に動作可能に結合される。各々のキャパシタ610の第2の端子614は、出力電圧、この場合にはV
o3に動作可能に結合される(すなわち、図示されるように、同じ複数のキャパシタ内のキャパシタは、同じ出力V
o1、V
o2又はV
o3に動作可能に結合される)。誘電体材料616は、高κ材料、例えば、限定されるものではないが、二酸化ハフニウム(HfO
2)、二酸化ジルコニウムなど、並びにそれらの組み合わせである。
【0023】
さらに、各々の複数のキャパシタ602は、それらに関連する金属遮蔽620を有する。例示的な実施形態において、金属遮蔽620は、限定されるものではないが、窒化チタン(TiN)、タングステン(W)、銅(Cu)など、並びにそれらの組み合わせなどの材料で構成される。例示的な実施形態において、金属遮蔽620の大きさは、キャパシタの寸法に応じて、数ナノメートルから数百ナノメートルまでの範囲とすることができる。図示されるように、金属遮蔽620は、図示される複数のキャパシタ602の各々の間に配置される。このように配置された金属遮蔽620は、所与の出力に対する隣接する出力からの干渉を防ぎ、例えば、V
o1及びV
o2は互いに容量的に切り離され、同時に、V
o2及びV
o3は、互いに容量的に切り離される。
図6に示される例示的な実施形態においては、金属遮蔽620は、接地されている。しかし、金属遮蔽620は、
図7の文脈において以下でさらに説明されるように、C
totを追加する。
【0024】
図7は、例示的な一実施形態による、出力の間に金属遮蔽を有し、シナプス・ネットワークを実装するために使用される複数出力のキャパシタ・ベースの構造700の回路図を示す。複数出力のキャパシタ・ベースの構造700は、
図5の複数出力のキャパシタ・ベースの構造500に類似しているが、複数のキャパシタ702-1と702-2との間に、
図6に示されるように金属遮蔽620が配置され、その結果、出力V
o1が別個の遮蔽容量C
x1を有し、同時に出力Vo
2が別個の遮蔽容量C
x2を有することが想定されていることが理解される。
【0025】
従って、複数のキャパシタ702-1に関する例として、C
totは次式のように定義され、
【数5】
したがって、
【数6】
となる。
【0026】
複数のキャパシタ702―2についてのCtot及びVo2は、それぞれ式(5)及び(6)に示されるのと同様に変化するが、Cx1ではなくCx2の追加を伴う。
【0027】
図8は、例示的な一実施形態による、出力の間に金属遮蔽を有し、シナプス・ネットワークを実装するために使用される複数出力のキャパシタ・ベースの構造を製造する方法800のフロー図を示す。方法800は、例えば、
図1における102のようなニューラル・ネットワーク・デバイスを製造する半導体製造プロセスの一部として行うことができることを認識されたい。しかし、代替的実施形態において、方法800は、方法のステップを実行するように構成された他の製造技術によって行うことができる。
【0028】
ステップ802は、同じ組の複数のキャパシタが別個の入力を有しながら共通の出力を共有する、少なくとも2組の複数のキャパシタを形成する(例えば、
図6又は
図7を参照されたい)。少なくとも2組の複数のキャパシタの半導体製造は、様々な方法で行うことができる。単なる例として、「メムキャパシタ、ニューロ・デバイス、及びニューラル・ネットワーク・デバイス」と題する2019年12月10日に発行された米国特許第10,505,108号に記載されているキャパシタ製造技術を、ステップ802における少なくとも2組の複数のキャパシタを製造するために適合させることができる。
【0029】
ステップ804は、本明細書で説明される少なくとも2組の複数のキャパシタにおける各対の出力の間に、金属遮蔽を形成する。
【0030】
少なくとも1つの半導体製造ベースの実施形態において、複数出力のキャパシタ・ベースの構造600(
図6の)に関連して、
図8Bは、複数のキャパシタ602の各対の出力の間に金属遮蔽を形成するための実行される方法810を示す。
【0031】
初めに、ステップ811において、キャパシタの出力端子金属線(V
o1、V
o2又はV
o3)が形成される。次に、ステップ812において、高κ誘電体材料616が形成され、パターン形成される。ステップ813において、第1の層間誘電体(ILD)層が形成され、化学機械平坦化(CMP)操作が適用される。次に、ステップ814において、第1のILD層にトレンチが形成され、金属を堆積させて遮蔽金属線が形成される。ステップ815において、第2のILD層が形成され、CMPが適用される。ステップ816において、ビア構造体が高κ誘電体材料616に達するまでエッチングされ、次いで、ビア構造体がメタライズされる。ステップ817において、キャパシタの入力金属線(V
1、V
2又はV
3)が形成される。
図8Bにおける製造プロセスは単なる1例であり、代替的な実施形態は、出力の間に金属遮蔽を有する複数出力のキャパシタ・ベースの構造を形成するために、付加的又は代替的な製造ステップ及び技術をステップの異なる順序で考慮することを認識されたい。
【0032】
図8Cは、例示的な一実施形態による、金属遮蔽された出力を有するキャパシタ・ベースのシナプス・ネットワークを有する、1つ又は複数のニューラル・ネットワーク・デバイスを有する人工知能システム820のブロック図を示す。1つ又は複数の例示的な実施形態において、金属遮蔽された出力を有するキャパシタ・ベースのシナプス・ネットワークは、
図8Aにおける方法800若しくは
図8Bにおける方法810又はその両方に従って製造することができる。
【0033】
図示されるように、人工知能システム820は、金属遮蔽された出力824を持つキャパシタ・ベースのシナプス・ネットワークを有する、1つ又は複数のニューラル・ネットワーク・デバイス822を含む。1つの例示的な実施形態において、人工知能システム820の、金属遮蔽された出力824を持つキャパシタ・ベースのシナプス・ネットワークを有する1つ又は複数のニューラル・ネットワーク・デバイス822は、1つ又は複数の特定用途向け集積回路(ASIC)によって実装される。ASICは、実行可能プログラム・コード(例えば、命令コード、コンピュータ・プログラム・コードなど)を用いてプログラムされた論理か、又は別の特定用途のために構成された論理(例えば、回路、プロセッサ、メモリなど)を備える、特定用途にカスタマイズされた集積回路(IC)チップ又はデバイスである。この例示的な場合において、特定用途は、人工知能システムの実装及び実行(例えば、機械学習アルゴリズム)であり、より具体的には、ニューラル・ネットワークの一部として使用されるシナプス・ネットワークの実装である。ASICは、システム・オン・チップ(SoC)とも呼ばれる。
【0034】
さらに、人工知能システム820及びその要素は、1つ又は複数のマルチ・コア中央処理ユニット(CPU)、1つ又は複数のグラフィックス処理ユニット(GPU)、及び、1つ又は複数のフィールド・プログラム可能ゲート・アレイ(FPGA)を含む技術のような代替回路/プロセッサ・ベースの技術において実現することができることを認識されたい。
【0035】
図1~
図8Cに示された技術は、さらに、本明細書で説明するように、別個のソフトウェア・モジュールを含むシステムを提供することを含み、別個のソフトウェア・モジュールの各々は、有形のコンピュータ可読の記録可能ストレージ媒体上で具体化される。全てのモジュール(又はそれらの任意のサブセット)は、同じ媒体上に存在することができ、又は各々が、例えば異なる媒体上に存在することができる。モジュールは、図に示される構成要素若しくは本明細書で説明される構成要素又はその両方の何れか又は全部を含むことができる。本発明の一実施形態において、モジュールは、例えば、ハードウェア・プロセッサ上で実行することができる。そして、方法ステップは、ハードウェア・プロセッサ上で実行する、上述のようなシステムの別個のソフトウェア・モジュールを使用して実行することができる。さらに、コンピュータ・プログラム製品は、別個のソフトウェア・モジュールを有するシステムの提供を含む、本明細書に記載の少なくとも1つの方法ステップを行うために実行されるように適合されたコードを有する有形のコンピュータ可読の記録可能ストレージ媒体を含むことができる。
【0036】
さらに、
図1~
図8Cに示された技術は、データ処理システムのコンピュータ可読ストレージ媒体に格納されたコンピュータ使用可能プログラム・コードを含むことができるコンピュータ・プログラム製品を介して実施することができ、コンピュータ使用可能プログラム・コードは、遠隔データ処理システムからネットワーク上でダウンロードされたものである。さらに、本発明の一実施形態において、コンピュータ・プログラム製品は、サーバ・データ処理システムのコンピュータ可読ストレージ媒体に格納されたコンピュータ使用可能プログラム・コードを含むことができ、コンピュータ使用可能プログラム・コードは、遠隔システムによるコンピュータ可読ストレージ媒体における使用のための遠隔データ処理システムに、ネットワーク上でダウンロードされる。
【0037】
本発明又はその要素の実施形態は、メモリと、そのメモリに結合されて例示的な方法ステップを実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサとを含む装置の形態で実装することができる。
【0038】
さらに、本発明の実施形態は、コンピュータ又はワークステーション上で実行するソフトウェアを使用することができる。
図9を参照すると、そのような実施は、例えば、プロセッサ902、メモリ904、並びに、例えば、ディスプレイ906及びキーボード908によって形成される入力/出力インターフェースを使用することができるであろう。用語「プロセッサ」は、本明細書で使用される場合、例えば、マルチ・コアCPU、GPU、FPGAを含む1つ、若しくは、1つ又は複数のASICのような処理回路の他の形態、又はそれらの組み合わせのような、任意の処理デバイスを含むことが意図されている。さらに、用語「プロセッサ」は、1つより多くの個々のプロセッサを指す場合がある。用語「メモリ」は、例えば、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)、ROM(読み出し専用メモリ)、固定メモリ・デバイス(例えば、ハードディスク)、取り外し可能メモリ・デバイス(例えば、ディスケット)、フラッシュ・メモリなどのような、プロセッサ(例えば、CPU、GPU、FPGA、ASICなど)に関係付けられるメモリを含むことが意図されている。さらに、用語「入力/出力インターフェース」は、本明細書で使用される場合、例えば、処理ユニットにデータを入力するための機構(例えば、マウス)、及び、処理ユニットに関係付けられる結果を与えるための機構(例えば、プリンタ)を含むことが意図されている。プロセッサ902、メモリ904、並びに、ディスプレイ906及びキーボード908のような入力/出力インターフェースは、例えば、データ処理ユニット912の一部としてのバス910を介して、相互接続することができる。例えばバス910を介する適切な相互接続は、コンピュータ・ネットワークとインターフェースするために提供され得る、ネットワーク・カードなどのネットワーク・インターフェース914に提供することができ、メディア918とインターフェースするために提供され得る、ディスケット又はCD-ROMドライブなどのメディア・インターフェース916に提供することができる。
【0039】
従って、本明細書で説明された、本発明の実施形態の方法を実行するための命令又はコードを含むコンピュータ・ソフトウェアは、関連するメモリ・デバイス(例えば、ROM、固定メモリ又は取り外し可能メモリ)に格納することができ、使用される準備が整ったとき、部分的に又は全体がロードされ(例えば、RAM内に)、CPUによって実施される。そのようなソフトウェアは、限定されるものではないが、ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含むことができる。
【0040】
プログラム・コードを格納する若しくは実行する又はその両方のために適したデータ処理システムは、システム・バス910を通じてメモリ要素904に直接又は間接に結合された少なくとも1つのプロセッサ902を含む。メモリ要素は、プログラム・コードの実際の実行中に使用されるローカル・メモリ、バルク・ストレージ、及び、実行中にバルク・ストレージからコードを引き出す必要がある回数を減らすために少なくとも幾つかのプログラム・コードの一時的ストレージをもたらすキャッシュ・メモリを含むことができる。
【0041】
入力/出力又はI/Oデバイス(限定されるものではないが、キーボード908、ディスプレイ906、ポインティング・デバイスなどを含む)は、システムに直接に(例えば、バス910を介して)又は介在するI/Oコントローラ(明瞭にするために省略された)を通して、結合することができる。
【0042】
ネットワーク・インターフェース914などのネットワーク・アダプタをさらにシステムに結合し、データ処理システムが他のデータ処理システム又は遠隔プリンタ若しくはストレージ・デバイスに、介在するプライベート・ネットワーク又はパブリック・ネットワークを通して結合することを可能にすることができる。モデム、ケーブル・モデム及びイーサネット・カードは、現在利用可能な幾つかのタイプのネットワーク・アダプタである。
【0043】
特許請求の範囲を含む本明細書で使用される場合、「サーバ」は、サーバ・プログラムを実行する物理的データ処理システム(例えば、
図9に示されるシステム912)を含む。そのような物理的サーバは、ディスプレイ及びキーボードを含んでも含まなくても良いことを理解されたい。
【0044】
本発明は、システム、方法若しくはコンピュータ・プログラム製品又はそれらの組み合わせを、いずれかの可能な技術的詳細レベルで統合したものとすることができる。コンピュータ・プログラム製品は、プロセッサに本発明の態様を実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令を有するコンピュータ可読ストレージ媒体(単数又は複数)を含むことができる。
【0045】
コンピュータ可読ストレージ媒体は、命令実行デバイスにより使用される命令を保持及び格納できる有形デバイスとすることができる。コンピュータ可読ストレージ媒体は、例えば、これらに限定されるものではないが、電子ストレージ・デバイス、磁気ストレージ・デバイス、光ストレージ・デバイス、電磁気ストレージ・デバイス、半導体ストレージ・デバイス、又は上記のいずれかの適切な組み合わせとすることができる。コンピュータ可読ストレージ媒体のより具体的な例の非網羅的なリストとして、以下のもの、すなわち、ポータブル・コンピュータ・ディスケット、ハードディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EPROM又はフラッシュ・メモリ)、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)、ポータブル・コンパクト・ディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、メモリ・スティック、フロッピー・ディスク、パンチカード若しくは命令がそこに記録された溝内の隆起構造のような機械的にエンコードされたデバイス、及び上記のいずれかの適切な組み合わせが挙げられる。本明細書で使用される場合、コンピュータ可読ストレージ媒体は、電波、又は他の自由に伝搬する電磁波、導波管若しくは他の伝送媒体を通じて伝搬する電磁波(例えば、光ファイバ・ケーブルを通る光パルス)、又はワイヤを通って送られる電気信号などの、一時的信号自体として解釈されない。
【0046】
本明細書で説明されるコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読ストレージ媒体からそれぞれのコンピューティング/処理デバイスに、又は、例えばインターネット、ローカル・エリア・ネットワーク、広域ネットワーク若しくは無線ネットワーク、又はそれらの組み合わせなどのネットワークを介して外部コンピュータ又は外部ストレージ・デバイスにダウンロードすることができる。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、無線伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイ・コンピュータ若しくはエッジ・サーバ、又はそれらの組み合わせを含むことができる。各コンピューティング/処理デバイスにおけるネットワーク・アダプタ・カード又はネットワーク・インターフェースは、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受け取り、コンピュータ可読プログラム命令を転送して、それぞれのコンピューティング/処理デバイス内のコンピュータ可読ストレージ媒体内に格納する。
【0047】
本発明の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路のための構成データ、又は、Smalltalk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、及び、「C」プログラミング言語若しくは類似のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含む1つ又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されるソース・コード又はオブジェクト・コードとすることができる。コンピュータ可読プログラム命令は、完全にユーザのコンピュータ上で実行される場合もあり、一部がユーザのコンピュータ上で、独立型ソフトウェア・パッケージとして実行される場合もあり、一部がユーザのコンピュータ上で実行され、一部が遠隔コンピュータ上で実行される場合もあり、又は完全に遠隔コンピュータ若しくはサーバ上で実行される場合もある。最後のシナリオにおいて、遠隔コンピュータは、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)若しくは広域ネットワーク(WAN)を含むいずれかのタイプのネットワークを通じてユーザのコンピュータに接続される場合もあり、又は外部コンピュータへの接続がなされる場合もある(例えば、インターネットサービスプロバイダを用いたインターネットを通じて)。幾つかの実施形態において、例えば、プログラム可能論理回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、又はプログラム可能論理アレイ(PLA)を含む電子回路は、本発明の態様を実施するために、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用することによってコンピュータ可読プログラム命令を実行して、電子回路を個別化することができる。
【0048】
本発明の態様は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)及びコンピュータ・プログラム製品のフローチャート図若しくはブロック図又はその両方を参照して説明される。フローチャート図若しくはブロック図又はその両方の各ブロック、並びにフローチャート図若しくはブロック図又はその両方におけるブロックの組み合わせは、コンピュータ可読プログラム命令によって実装できることが理解されるであろう。
【0049】
これらのコンピュータ可読プログラム命令を、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサに与えて機械を製造し、それにより、コンピュータ又は他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサによって実行される命令が、フローチャート若しくはブロック図又は両方の1つ又は複数のブロック内で指定された機能/動作を実施するための手段を作り出すようにすることができる。コンピュータ、プログラム可能データ処理装置若しくは他のデバイス又はそれらの組み合わせを特定の方式で機能させるように指示することができるこれらのコンピュータ・プログラム命令を、コンピュータ可読媒体内に格納することもでき、それにより、そのコンピュータ可読媒体内に格納された命令が、フローチャート若しくはブロック図又はその両方の1つ又は複数のブロックにおいて指定された機能/動作の態様を実施する命令を含む製品を含むようにすることもできる。
【0050】
コンピュータ可読プログラム命令を、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、又は他のデバイス上にロードして、一連の動作ステップをコンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、又は他のデバイス上で行わせてコンピュータ実施のプロセスを生産し、それにより、コンピュータ又は他のプログラム可能装置上で実行される命令が、フローチャート若しくはブロック図又は両方の1つ又は複数のブロックにおいて指定された機能/動作を実行するためのプロセスを提供するようにすることもできる。
【0051】
図面内のフローチャート及びブロック図は、本発明の様々な実施形態による、システム、方法、及びコンピュータ・プログラム製品の可能な実装の、アーキテクチャ、機能及び動作を示す。この点に関して、フローチャート内の各ブロックは、指定された論理機能を実装するための1つ又は複数の実行可能命令を含む、モジュール、セグメント、又はコードの一部を表すことができる。幾つかの代替的な実装において、ブロック内に示される機能は、図に示される順序とは異なる順序で生じることがある。例えば、連続して示される2つのブロックは、関与する機能に応じて、実際には実質的に同時に実行されることもあり、又はこれらのブロックはときとして逆順で実行されることもある。ブロック図若しくはフローチャート図又は両方の各ブロック、及びブロック図若しくはフローチャート図又はその両方におけるブロックの組み合わせは、指定された機能又は動作を実行する、又は専用のハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせを実行する、専用ハードウェア・ベースのシステムによって実装できることにも留意されたい。
【0052】
本明細書で説明される方法のいずれのステップも、コンピュータ可読ストレージ媒体上で具体化される別個のソフトウェア・モジュールを含むシステムを提供する付加的なステップを含むことができ、モジュールは、本明細書で詳述される構成要素の何れか又は全部を含むことができることに留意されたい。次に、方法ステップは、ハードウェア・プロセッサ902上で実行する、上述のようなシステムの別個のソフトウェア・モジュール若しくはサブ・モジュール又はその両方を使用して、実行することができる。さらに、コンピュータ・プログラム製品は、別個のソフトウェア・モジュールを有するシステムの提供を含む、本明細書で説明された少なくとも1つの方法ステップを行うように実行されるように適合されたコードを有する、コンピュータ可読ストレージ媒体を含むことができる。
【0053】
いずれの場合でも、本明細書で示される構成要素は、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)、機能回路、関連付けられたメモリを有する適切にプログラムされたデジタル・コンピュータなどの、ハードウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせの種々の形態で実装できることを理解されたい。本明細書で提供される本発明の教示が与えられれば、関連分野の当業者は、本発明の構成要素の他の実装を企図することが可能であろう。
【0054】
本開示はクラウド・コンピューティングに関する詳細な説明を含むが、本明細書に記載される教示の実装は、クラウド・コンピューティング環境に限定されないことを理解されたい。むしろ、本発明の実施形態は、現在知られている又は後に開発される任意の他のタイプのコンピューティング環境と共に実施することが可能である。
【0055】
クラウド・コンピューティングは、最小限の管理労力又はサービスのプロバイダとの対話で迅速にプロビジョニング及び解放することができる構成可能なコンピューティング・リソース(例えば、ネットワーク、ネットワーク帯域幅、サーバ、処理、メモリ、ストレージ、アプリケーション、仮想マシン、及びサービス)の共有プールへの、便利なオンデマンドのネットワーク・アクセスを可能にするためのサービス配信のモデルである。このクラウド・モデルは、少なくとも5つの特徴、少なくとも3つのサービス・モデル、及び少なくとも4つのデプロイメント・モデルを含むことができる。
【0056】
特徴は、以下の通りである。
【0057】
オンデマンド・セルフ・サービス:クラウド・コンシューマは、必要に応じて、サーバ時間及びネットワーク・ストレージ等のコンピューティング機能を、人間がサービスのプロバイダと対話する必要なく自動的に、一方的にプロビジョニングすることができる。
【0058】
広範なネットワーク・アクセス:機能は、ネットワーク上で利用可能であり、異種のシン又はシック・クライアント・プラットフォーム(例えば、携帯電話、ラップトップ、及びPDA)による使用を促進する標準的な機構を通じてアクセスされる。
【0059】
リソース・プール化:プロバイダのコンピューティング・リソースは、マルチテナントモデルを用いて複数のコンシューマにサービスを提供するためにプールされ、異なる物理及び仮想リソースが要求に応じて動的に割り当て及び再割り当てされる。コンシューマは、一般に、提供されるリソースの正確な位置についての制御又は知識を持たないという点で、位置とは独立しているといえるが、より抽象化レベルの高い位置(例えば、国、州、又はデータ・センタ)を特定できる場合がある。
【0060】
迅速な弾力性:機能を、迅速かつ弾力的に、場合によっては自動的に、プロビジョニングしてすばやくスケールアウトし、迅速に解放して素早くスケールインすることができる。コンシューマにとって、プロビジョニングに利用可能な機能は、多くの場合、無制限であるように見え、いつでもどんな量でも購入できる。
【0061】
計測されるサービス:クラウド・システムは、サービスのタイプ(例えば、ストレージ、処理、帯域幅、及びアクティブなユーザアカウント)に適した何らかの抽象化レベルでの計量機能を用いることによって、リソースの使用を自動的に制御及び最適化する。リソース使用を監視し、制御し、報告して、利用されるサービスのプロバイダとコンシューマの両方に対して透明性をもたらすことができる。
【0062】
サービス・モデルは、以下の通りである。
【0063】
Software as a Service(SaaS):コンシューマに提供される機能は、クラウド・インフラストラクチャ上で実行されるプロバイダのアプリケーションを使用することである。これらのアプリケーションは、ウェブブラウザ(例えば、ウェブベースの電子メール)などのシンクライアントインターフェースを通じて、種々のクライアントデバイスからアクセス可能である。コンシューマは、限定されたユーザ固有のアプリケーション構成設定を想定される例外として、ネットワーク、サーバ、オペレーティング・システム、ストレージ、又は個々のアプリケーション能力機能をも含めて、基礎をなすクラウド・インフラストラクチャを管理又は制御しない。
【0064】
Platform as a Service(PaaS):コンシューマに提供される機能は、プロバイダによってサポートされるプログラミング言語及びツールを用いて作成された、コンシューマが作成又は取得したアプリケーションを、クラウド・インフラストラクチャ上にデプロイすることである。コンシューマは、ネットワーク、サーバ、オペレーティング・システム、又はストレージを含む基礎をなすクラウド・インフラストラクチャを管理又は制御しないが、デプロイされたアプリケーション、及び場合によってはアプリケーションをホストする環境構成を制御する。
【0065】
Infrastructure as a Service(IaaS):コンシューマに提供される機能は、コンシューマが、オペレーティング・システム及びアプリケーションを含み得る任意のソフトウェアをデプロイして実行させることができる、処理、ストレージ、ネットワーク、及び他の基本的なコンピューティング・リソースをプロビジョニングすることである。コンシューマは、基礎をなすクラウド・インフラストラクチャを管理又は制御しないが、オペレーティング・システム、ストレージ、デプロイされたアプリケーションに対する制御、及び場合によってはネットワークコンポーネント(例えば、ホストのファイアウォール)選択に対する限定された制御を有する。
【0066】
デプロイメント・モデルは以下の通りである。
【0067】
プライベート・クラウド:クラウド・インフラストラクチャは、ある組織のためだけに運営される。これは、その組織又は第三者によって管理することができ、オンプレミス又はオフプレミスに存在することができる。
【0068】
コミュニティ・クラウド:クラウド・インフラストラクチャは、幾つかの組織によって共有され、共通の関心事項(例えば、ミッション、セキュリティ要件、ポリシー、及びコンプライアンス上の考慮事項)を有する特定のコミュニティをサポートする。これは、それらの組織又は第三者によって管理することができ、オンプレミス又はオフプレミスに存在することができる。
【0069】
パブリック・クラウド:クラウド・インフラストラクチャは、一般公衆又は大規模な業界グループによって利用可能であり、クラウド・サービスを販売する組織によって所有される。
【0070】
ハイブリッド・クラウド:クラウド・インフラストラクチャは、固有のエンティティのままであるが、データ及びアプリケーションのポータビリティを可能にする標準化技術又は専用技術(例えば、クラウド間の負荷平衡のためのクラウド・バースティング)によって互いに結び付けられた、2つ又はそれより多いクラウド(プライベート、コミュニティ、又はパブリック)の混成物である。
【0071】
クラウド・コンピューティング環境は、サービス指向であり、ステートレス性、低結合性、モジュール性、及びセマンティック相互運用性に焦点を置く。クラウド・コンピューティングの中心は、相互接続されたノードのネットワークを含むインフラストラクチャである。
【0072】
ここで
図10を参照すると、例示的なクラウド・コンピューティング環境1050が示される。図示のように、クラウド・コンピューティング環境1050は、例えば、携帯情報端末(PDA)若しくはセルラ電話1054A、デスクトップ・コンピュータ1054B、ラップトップ・コンピュータ1054C、若しくは自動車コンピュータ・システム1054N又はその組み合わせなどの、クラウド・コンシューマによって使用されるローカル・コンピューティング・デバイスが通信することができる、1つ又は複数のクラウド・コンピューティング・ノード1010を含む。ノード1010は、互いに通信することができる。ノード1010は、上述されるプライベート・クラウド、コミュニティ・クラウド、パブリック・クラウド、又はハイブリッド・クラウド、又はその組み合わせなどの、1つ又は複数のネットワークにおいて物理的に又は仮想的にグループ化することができる(図示せず)。このことは、クラウド・コンピューティング環境1050が、クラウド・コンシューマがローカル・コンピューティング・デバイス上にリソースを保持する必要のないInfrastructure as a Service、Platform as a Service若しくはSoftware as a Service又はその組み合わせを提供することを可能にする。
図10に示されるコンピューティング・デバイス1054A~Nのタイプは、単に例示的であることが意図され、コンピューティングノード10及びクラウド・コンピューティング環境1050は、任意のタイプのネットワーク若しくはネットワーク・アドレス指定可能な接続又はその両方を介して任意のタイプのコンピュータ化されたデバイスと通信することが可能である(例えば、ウェブブラウザを用いて)ことが理解される。
【0073】
ここで
図11を参照すると、クラウド・コンピューティング環境1050(
図10)によって提供される機能抽象化層のセットが示される。
図11に示される構成要素、層及び機能は単に例示であることを意図し、本発明の実施形態はそれらに限定されないことを予め理解されたい。図示されるように、以下の層及び対応する機能が提供される。
【0074】
ハードウェア及びソフトウェア層1160は、ハードウェア・コンポーネント及びソフトウェア・コンポーネントを含む。ハードウェア・コンポーネントの例として、メインフレーム1161、RISC(Reduced Instruction Set Computer(縮小命令セットコンピュータ))アーキテクチャベースのサーバ1162、サーバ1163、ブレード・サーバ1164、ストレージ・デバイス1165、並びにネットワーク及びネットワーキング・コンポーネント1166が含まれる。幾つかの実施形態において、ソフトウェア・コンポーネントは、ネットワーク・アプリケーションサーバ・ソフトウェア1167と、データベース・ソフトウェア1168とを含む。
【0075】
仮想化層1170は、抽象化層を提供し、この層により、仮想エンティティの以下の例、すなわち、仮想サーバ1171、仮想ストレージ1172、仮想プライベート・ネットワークを含む仮想ネットワーク1173、仮想アプリケーション及びオペレーティング・システム1174、並びに仮想クライアント1175を提供することができる。一例において、管理層1180は、以下で説明される機能を提供することができる。リソース・プロビジョニング1181が、クラウド・コンピューティング環境内でタスクを実行するために利用されるコンピューティング・リソース及び他のリソースの動的な調達を提供する。計量及び価格決定1182は、クラウド・コンピューティング環境内でリソースが利用されたときの費用追跡と、これらのリソースの消費に対する課金又は請求とを提供する。
【0076】
一例において、これらのリソースは、アプリケーション・ソフトウェア・ライセンスを含み得る。セキュリティは、クラウド・コンシューマ及びタスクについての識別検証、並びにデータ及び他のリソースに対する保護を提供する。ユーザ・ポータル1183は、コンシューマ及びシステム管理者に対して、クラウド・コンピューティング環境へのアクセスを提供する。サービス・レベル管理1184は、必要なサービス・レベルが満たされるように、クラウド・コンピューティング・リソースの割当て及び管理を提供する。サービス・レベル・アグリーメント(Service Level Agreement、SLA)の計画及び履行1185は、SLAに従って将来的な必要性が予測されるクラウド・コンピューティング・リソースの事前配置及び調達を提供する。
【0077】
作業負荷層1190は、クラウド・コンピューティング環境を利用することができる機能の例を提供する。この層から提供することができる作業負荷及び機能の例として、マッピング及びナビゲーション1191、ソフトウェア開発及びライフサイクル管理1192、仮想教室教育配信1193、データ分析処理1194、トランザクション処理1195、及び本発明の1つ又は複数の実施形態による、人工知能アルゴリズム処理1196が挙げられる。
【0078】
本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、本発明を限定することを意図したものではない。本明細書で用いられる場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈がそうでないことを明確に示していない限り、複数形も含むことを意図している。さらに、用語「含む(comprise)」若しくは「含んでいる(comprising)」又はその両方は、本明細書で用いられる場合、記載される特徴、整数、ステップ、動作、要素若しくは構成要素又はそれらの組み合わせの存在を明示するが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素若しくはグループ又はそれらの組み合わせの存在も又は追加も排除しないことが理解されるであろう。
【0079】
本発明の少なくとも1つの実施形態は、例えば、モデル復元論理の複雑な手動(例えば、特注の)開発に取って代わるフレームワーク(例えば、1つ又は複数のフレームワーク構成のセット)などの有益な効果を提供することができる。本明細書で例示として説明されるように、フレームワークは、故障検出コンポーネント及び関連したモデル復元パイプラインのセットで構成され、インスタンス化される。一旦インスタンス化されると、フレームワークは、入力としてログを用いて所与のライフサイクルにつながれ、新しいモデル・バージョンのための新しいモデル・アーチファクトを既存のライフサイクル・パイプラインに送る。1つ又は複数の例示的な実施形態において、フレームワークは、AI用途のエンド・ツー・エンド開発及びライフサイクル管理のためのフレームワーク及びプラットフォームである。
【0080】
本開示の種々の実施形態の説明は、例示の目的のために提示されたが、これらは、網羅的であること、又は開示した実施形態に限定することを意図するものではない。当業者には、説明される実施形態の範囲から逸脱することなく、多くの修正及び変形が明らかであろう。本明細書で用いられる用語は、実施形態の原理、実用性、又は市場に見られる技術に優る技術的改善を最もよく説明するため、又は、当業者が、本明細書に開示される実施形態を理解するのを可能にするために選択された。