(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-15
(45)【発行日】2025-04-23
(54)【発明の名称】ブームが枢動支持されたクレーンのための電動アセンブリ
(51)【国際特許分類】
B66C 23/687 20060101AFI20250416BHJP
【FI】
B66C23/687 B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020108385
(22)【出願日】2020-06-24
【審査請求日】2023-06-15
(32)【優先日】2019-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510051082
【氏名又は名称】マニタウォック クレイン カンパニーズ, エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】MANITOWOC CRANE COMPANIES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】スクーンメイカー, スティーヴン ジェイ.
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-036344(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103527557(CN,A)
【文献】国際公開第2019/159993(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0128735(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 23/687
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮ブームのためのピンアクチュエータアセンブリであって、
ベース、前記ベースに動作可能に連結された操作プレート、前記ベースに対する前記操作プレートの動きに応じて移動可能とされた1つ以上のシリンダーピン及び/又は1つ以上のセクションロックアーム、を有するロッキングヘッドと、
前記操作プレートに動作可能に連結されて前記操作プレートを前記ベースに対して移動させるようにされたアクチュエータであって、電動モータ及び駆動アームを有し、前記電動モータが、前記駆動アームを駆動アーム伸張位置と駆動アーム引込位置との間で駆動するようにされたアクチュエータと、
ハウジング、前記ハウジングに対して移動可能とされ前記アクチュエータに動作可能に連結されたロッド、前記ロッドと前記ハウジングとの間に連結された第1の付勢部材、及び前記ロッドと前記ハウジングとの間に連結された第2の付勢部材、を有する動作緩和部と、
を備え
、
駆動アーム中立位置から前記駆動アーム引込位置への前記駆動アームの動きによって第1の力が前記動作緩和部に加えられ、前記駆動アーム中立位置から前記駆動アーム伸張位置への前記駆動アームの動きによって第2の力が前記動作緩和部に加えられるようにされた、ピンアクチュエータアセンブリ。
【請求項2】
伸縮ブームのためのピンアクチュエータアセンブリであって、
ベース、前記ベースに動作可能に連結された操作プレート、前記ベースに対する前記操作プレートの動きに応じて移動可能とされた1つ以上のシリンダーピン及び/又は1つ以上のセクションロックアーム、を有するロッキングヘッドと、
前記操作プレートに動作可能に連結されて前記操作プレートを前記ベースに対して移動させるようにされたアクチュエータであって、電動モータ及び駆動アームを有し、前記電動モータが、前記駆動アームを駆動アーム伸張位置と駆動アーム引込位置との間で駆動するようにされたアクチュエータと、
ハウジング、前記ハウジングに対して移動可能とされ前記アクチュエータに動作可能に連結されたロッド、前記ロッドと前記ハウジングとの間に連結された第1の付勢部材、及び前記ロッドと前記ハウジングとの間に連結された第2の付勢部材、を有する動作緩和部と、
を備え、
前記操作プレートの動きが妨げられているときに、前記動作緩和部が前記駆動アームの動きを吸収して前記操作プレートに付勢力を加えるようにされた、ピンアクチュエータアセンブリ。
【請求項3】
前記1つ以上のシリンダーピンが、前記ベースに対する前記操作プレートの動きに応じてピン引込位置とピン伸張位置との間で移動可能とされ、
前記1つ以上のセクションロックアームが、前記ベースに対する前記操作プレートの動きに応じてロック位置とロック解除位置との間で移動可能とされた、請求項1
又は2に記載のピンアクチュエータアセンブリ。
【請求項4】
駆動アーム中立位置から前記駆動アーム引込位置への前記駆動アームの動きによって第1の力が前記動作緩和部に加えられ、前記駆動アーム中立位置から前記駆動アーム伸張位置への前記駆動アームの動きによって第2の力が前記動作緩和部に加えられるようにされた、請求項
2に記載のピンアクチュエータアセンブリ。
【請求項5】
前記第1の付勢部材が第1のスプリングであり、前記第2の付勢部材が第2のスプリングである、請求項
1又は4に記載のピンアクチュエータアセンブリ。
【請求項6】
前記第1の力が前記第2のスプリングの初張力を超えたときに、前記動作緩和部が、中立状態から、前記第2のスプリングが前記操作プレートに対して一方向にスプリング力を加える第1の負荷状態に動かされ、
前記第2の力が前記第1のスプリングの初張力を超えたときに、前記動作緩和部が、前記中立状態から、前記第1のスプリングが前記操作プレートに対して前記一方向とは反対の別方向にスプリング力を加える第2の負荷状態に動かされるようにされた、請求項
5に記載のピンアクチュエータアセンブリ。
【請求項7】
前記動作緩和部が前記中立状態から前記第1の負荷状態に動かされたときに、前記第1の力が前記第2のスプリングの前記スプリング力に抗して前記ロッドを移動させ、
前記動作緩和部が前記中立状態から前記第2の負荷状態に動かされたときに、前記第2の力が前記第1のスプリングの前記スプリング力に抗して前記ロッドを移動させるようにされた、請求項
6に記載のピンアクチュエータアセンブリ。
【請求項8】
クレーンのための伸縮ブームであって、
ベースセクションと、
当該ブームの長さを調整するように前記ベースセクションに対して移動可能とされた複数の伸縮セクションと、
前記ベースセクションの中に配置され、当該ブームの長さを調整するために前記複数の伸縮セクションのうちのある伸縮セクションを動かすように動作可能とされたブームアクチュエータと、
前記ブームアクチュエータに動作可能に接続されたピンアクチュエータアセンブリと、を備え、
前記ピンアクチュエータアセンブリが、
ベース、前記ベースに動作可能に連結された操作プレート、前記ベースに対する前記操作プレートの動きに応じて前記複数の伸縮セクションのうちのある伸縮セクションに選択的に係合するように移動可能とされた1つ以上のシリンダーピン及び/又は1つ以上のセクションロックアーム、を有するロッキングヘッドと、
前記操作プレートに動作可能に連結されて前記操作プレートを前記ベースに対して移動させるようにされたピンアクチュエータであって、電動モータ及び駆動アームを有し、前記電動モータが、前記駆動アームを駆動アーム伸張位置と駆動アーム引込位置との間で駆動するようにされたピンアクチュエータと、
ハウジング、前記ハウジングに対して移動可能とされ前記ピンアクチュエータに動作可能に連結されたロッド、前記ロッドと前記ハウジングとの間に連結された第1の付勢部材、及び前記ロッドと前記ハウジングとの間に連結された第2の付勢部材、を有する動作緩和部と、を備え
、
駆動アーム中立位置から前記駆動アーム引込位置への前記駆動アームの動きによって第1の力が前記動作緩和部に加えられ、前記駆動アーム中立位置から前記駆動アーム伸張位置への前記駆動アームの動きによって第2の力が前記動作緩和部に加えられるようにされた、伸縮ブーム。
【請求項9】
クレーンのための伸縮ブームであって、
ベースセクションと、
当該ブームの長さを調整するように前記ベースセクションに対して移動可能とされた複数の伸縮セクションと、
前記ベースセクションの中に配置され、当該ブームの長さを調整するために前記複数の伸縮セクションのうちのある伸縮セクションを動かすように動作可能とされたブームアクチュエータと、
前記ブームアクチュエータに動作可能に接続されたピンアクチュエータアセンブリと、を備え、
前記ピンアクチュエータアセンブリが、
ベース、前記ベースに動作可能に連結された操作プレート、前記ベースに対する前記操作プレートの動きに応じて前記複数の伸縮セクションのうちのある伸縮セクションに選択的に係合するように移動可能とされた1つ以上のシリンダーピン及び/又は1つ以上のセクションロックアーム、を有するロッキングヘッドと、
前記操作プレートに動作可能に連結されて前記操作プレートを前記ベースに対して移動させるようにされたピンアクチュエータであって、電動モータ及び駆動アームを有し、前記電動モータが、前記駆動アームを駆動アーム伸張位置と駆動アーム引込位置との間で駆動するようにされたピンアクチュエータと、
ハウジング、前記ハウジングに対して移動可能とされ前記ピンアクチュエータに動作可能に連結されたロッド、前記ロッドと前記ハウジングとの間に連結された第1の付勢部材、及び前記ロッドと前記ハウジングとの間に連結された第2の付勢部材、を有する動作緩和部と、を備え、
前記操作プレートの動きが妨げられているときに、前記動作緩和部が前記駆動アームの動きを吸収して前記操作プレートに付勢力を加えるようにされた、伸縮ブーム。
【請求項10】
前記1つ以上のシリンダーピンが、前記複数の伸縮セクションのうちのある伸縮セクションから外れたピン引込位置と前記複数の伸縮セクションのうちのある伸縮セクションに係合したピン伸張位置との間で移動可能とされ、
前記1つ以上のセクションロックアームが、セクションロックピンを前記複数の伸縮セクションのうちのある伸縮セクションに固定するロック位置と、前記セクションロックピンを前記複数の伸縮セクションのある伸縮セクションから固定解除するロック解除位置との間で移動可能とされた、請求項
8又は9に記載の伸縮ブーム。
【請求項11】
駆動アーム中立位置から前記駆動アーム引込位置への前記駆動アームの動きによって第1の力が前記動作緩和部に加えられ、前記駆動アーム中立位置から前記駆動アーム伸張位置への前記駆動アームの動きによって第2の力が前記動作緩和部に加えられるようにされた、請求項
9に記載の伸縮ブーム。
【請求項12】
前記第1の付勢部材が第1のスプリングであり、前記第2の付勢部材が第2のスプリングである、請求項
8又は11に記載の伸縮ブーム。
【請求項13】
前記第1の力が前記第2のスプリングの初張力を超えたときに、前記動作緩和部が、中立状態から、前記第2のスプリングが前記操作プレートに対して一方向にスプリング力を加える第1の負荷状態に動かされ、
前記第2の力が前記第1のスプリングの初張力を超えたときに、前記動作緩和部が、前記中立状態から、前記第1のスプリングが前記操作プレートに対して前記一方向とは反対の別方向にスプリング力を加える第2の負荷状態に動かされるようにされた、請求項
12に記載の伸縮ブーム。
【請求項14】
前記動作緩和部が前記中立状態から前記第1の負荷状態に動かされたときに、前記第1の力が前記第2のスプリングの前記スプリング力に抗して前記ロッドを移動させ、
前記動作緩和部が前記中立状態から前記第2の負荷状態に動かされたときに、前記第2の力が前記第1のスプリングの前記スプリング力に抗して前記ロッドを移動させるようにされた、請求項
13に記載の伸縮ブーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、ロッキングヘッドの少なくとも1つのピンを作動させるためのピンアクチュエータアセンブリを備えるクレーンの伸縮ブームに関する。
【背景技術】
【0002】
伸縮ブームを有するクレーンは、選択的にブームの伸縮セクションの部分に係合したりその部分から外れたりするようにされたシリンダーピン及びセクションピンを備える機械的なロッキングヘッドを含む。機械的なロッキングヘッドは、ブームの個々の伸縮セクションを伸張したり引込んだりするようにされたリニアブームアクチュエータ上に取り付けられている。そのために、シリンダーピンは、リニアブームアクチュエータの動きによって、伸縮セクションに係合して伸縮セクションを伸張したり引込んだりするように駆動するようにされている。反対に、シリンダーピンは、伸縮セクションから外れてブームセクションに対するリニアブームアクチュエータ及び機械的なロッキングヘッドの動きを可能とすることもできる。したがって、機械的なロッキングヘッドは、別の伸縮セクションを伸張したり引込んだりするために、その別の伸縮セクションに係合するように再配置される。
【0003】
機械的なロッキングヘッドのセクションピンは、ブームの伸縮セクション上でセクションロックに係合するようにされている。セクションピンは、セクションロックを、隣接するブームセクションに対する伸縮ブームセクションの伸縮動作が制限されるロック位置と、隣接するブームセクションに対する伸縮ブームセクションの伸縮動作が許容されるロック解除位置との間で動かすように動作可能である。したがって、シリンダーピンが伸縮セクションに係合され、セクションロックがロック解除位置に動かされた状態で、リニアブームアクチュエータは、伸張したり引込んだりする伸縮セクションの動きを引き起こすことができる。所望の位置に到達すると、機械的なロッキングヘッドのセクションピンは、セクションロックを作動させて隣接するブームセクションに対する伸縮セクションの伸縮動作を実質的に防止するように操作することが可能であり、シリンダーピンは伸縮セクションから外される。そのあと、機械的なロッキングヘッドは再配置される。
【0004】
既知のリニアブームアクチュエータは、伸縮するロッド-シリンダーアセンブリとして形成さている。機械的なロッキングヘッドのシリンダーピン及びセクションピンは、伸縮するロッド-シリンダーリニアブームアクチュエータのロッド内の油圧トロンボーンシリンダーによって油圧駆動される。しかしながら、ピンを作動させるための油圧トロンボーンシリンダーの動作は、同伴空気及び/又は低い温度によって悪影響を受ける虞がある。また、トロンボーンシリンダー内の圧力は、ピン引き抜き動作中にリニアブームアクチュエータのロッド又はシリンダーを逸らすかもしれず、これによりピンが動かなくなるかもしれない。その結果、動かなくなったピンを解放するためのブームピン止め操作が遅れるか又は延長されることになる。
【0005】
米国特許出願第2015/0128735号には、摺動接続部材によってロックボルトが入れられたり引き抜かれたりするロック穴をそれぞれ有する外側伸縮セクション及び内側伸縮セクションを備える伸縮システムにおけるロッキングシステムの摺動接続部材の駆動が開示されている。ロックボルトは、ロックボルトが線形動作に影響を与えるようにして摺動経路内に延びる係合部材によって移動可能であり、ブームセクションはボルト穴内へのロックボルトの挿入によって相互に接続され、摺動接続部材はリニア電動装置によって駆動される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電動アクチュエータを組み込んだ上述の既知のシステムであっても、シリンダー及び/又はセクションピンが、ピンの自由な動きが妨げられるように配置されうる。制御システムは、ピンが自由に動ける位置に到達したときにピンが要求通りに動かされるように、リニアブームアクチュエータ及び/又は電動アクチュエータを操作する。しかしながら、そのようなやり方は信頼性のないものであり、ピンの操作に不確実さが残される。例えば、ピンの動きが妨げられているときに制御システムによる電動アクチュエータの操作が繰り返し行われることによって、電動アクチュエータに損傷を与えたり早計な摩耗をもたらしたりすることがある。
【0007】
そのため、ロッキングヘッドのシリンダー及び/又はセクションピンの動きが妨げられているときに電動アクチュエータの動きを吸収するための動作緩和部が組み込まれた、伸縮ブームのためのピンアクチュエータアセンブリを設けることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一形態では、伸縮ブームのためのピンアクチュエータアセンブリは、ベース、ベースに動作可能に連結された操作プレート、ベースに対する操作プレートの動きに応じて移動可能とされた1つ以上のシリンダーピン及び/又は1つ以上のセクションロックアーム、を有するロッキングヘッドを含む。ピンアクチュエータアセンブリはまた、操作プレートに動作可能に連結されて操作プレートをベースに対して移動させるようにされたアクチュエータであって、電動モータ及び駆動アームを有するアクチュエータを含む。電動モータは駆動アームを駆動アーム伸張位置と駆動アーム引込位置との間で駆動する。ピンアクチュエータアセンブリはさらに、ハウジング、ハウジングに対して移動可能とされアクチュエータに動作可能に連結されたロッド、ロッドとハウジングとの間に連結された第1の付勢部材、及びロッドとハウジングとの間に連結された第2の付勢部材、を有する動作緩和部を含む。
【0009】
別の形態では、クレーンのための伸縮ブームは、ベースセクションと、当該ブームの長さを調整するようにベースセクションに対して移動可能とされた複数の伸縮セクションと、ベースセクションの中に配置され、ブームの長さを調整するために複数の伸縮セクションのうちのある伸縮セクションを動かすように動作可能とされたブームアクチュエータと、ブームアクチュエータに動作可能に接続されたピンアクチュエータアセンブリと、を含む。ピンアクチュエータアセンブリはまた、操作プレートに動作可能に連結されて操作プレートをベースに対して移動させるようにされたピンアクチュエータであって、電動モータ及び駆動アームを有するピンアクチュエータを含む。電動モータは駆動アームを駆動アーム伸張位置と駆動アーム引込位置との間で駆動する。ピンアクチュエータアセンブリはさらに、ハウジング、ハウジングに対して移動可能とされアクチュエータに動作可能に連結されたロッド、ロッドとハウジングとの間に連結された第1の付勢部材、及びロッドとハウジングとの間に連結された第2の付勢部材、を有する動作緩和部を含む。
【0010】
本発明のこれらの及び他の特徴及び効果は、添付の特許請求の範囲と併せて、後述する詳細な説明により明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態に係るピンアクチュエータアセンブリの第1の状態における斜視図である。
【0012】
【
図2】一実施形態に係るピンアクチュエータアセンブリの第2の状態における斜視図である。
【0013】
【
図3】一実施形態に係るピンアクチュエータアセンブリの第3の状態における斜視図である。
【0014】
【
図4】一実施形態に係る動作緩和部の側面図である。
【0015】
【0016】
【0017】
【
図7】一実施形態に係る動作緩和部の中立状態における側面断面図である。
【0018】
【
図8】一実施形態に係る動作緩和部の第1の負荷状態における側面断面図である。
【0019】
【
図9】一実施形態に係る動作緩和部の第2の負荷状態における側面断面図である。
【0020】
【
図10】一実施形態に係るピンアクチュエータアセンブリの第4の状態における斜視図である。
【0021】
【
図11】一実施形態に係るピンアクチュエータアセンブリの第5の状態における斜視図である。
【0022】
【
図12】一実施形態に係るピンアクチュエータアセンブリの第6の状態における斜視図である。
【0023】
【
図13】一実施形態に係るピンアクチュエータアセンブリの第7の状態における斜視図である。
【0024】
【
図14】一実施形態に係る伸縮ブームを有するクレーンの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本装置は様々な形態での実施の余地があるとはいえ、現時点での好ましい実施形態が図面に示されており以下ではその実施形態を説明してゆくが、ついては本開示は単に装置の例示と見なされるべきであって説明されている特定の実施形態に限定しようとするものではないことを理解されたい。
【0026】
本開示は、概して、例えばクレーン上にあるタイプの伸縮ブームにおけるブームアクチュエータのためのピンアクチュエータアセンブリに関する。ピンアクチュエータアセンブリは概して、ロッキングヘッド、電動アクチュエータ、及び動作緩和部を含む。
【0027】
ロッキングヘッドは、ベース、並びにブームアクチュエータ及び/又は伸縮ブームの長手軸線に沿って又はそれと平行にベースに対して移動可能な操作プレートを含む。操作プレートは1つ以上のシリンダーピン及び/又は1つ以上のセクションロックアームに動作可能に接続されて、操作プレートの動きによって1つ以上のシリンダーピン及び/又は1つ以上のセクションロックアームの動きが生じるようにされる。例えば、操作プレートは、第1のガイド壁及び/又は第2のガイド壁を含み、第1のガイド壁は第1のガイド壁とシリンダーピンとの間に相互接続されたシリンダーピンリンク部材と連動し、第2のガイド壁は第2のガイド壁とセクションロックアームとの間に相互接続されたセクションロックアームリンク部材と連動する。
【0028】
一例として、第1のガイド壁は、操作プレートの相対的な動きに応じたシリンダーピンの動きを生じさせない第1の部分、及び操作プレートの相対的な動きに応じたシリンダーピンの動きを生じさせる第2の部分を含む。同様に、第2のガイド壁は、操作プレートの相対的な動きに応じたセクションロックアームの動きを生じさせない第1の部分、及び操作プレートの相対的な動きに応じたセクションロックアームの動きを生じさせる第2の部分を含む。一実施形態においては、各ガイド壁の第1の部分は、概して操作プレートの動きの方向に、例えば長手軸線と平行に延びている。第2の部分は、長手方向成分及び横方向成分を有する方向に延びていて、各ガイド壁の第1の部分に対して斜めになるようにされている。一実施形態においては、シリンダーピンリンク部材は第1のガイド壁の第1の部分に係合され、一方でセクションピンアームリンク部材は第2のガイド壁の第2の部分に係合される。反対に、一実施形態においては、シリンダーピンリンク部材は第1のガイド壁の第2の部分に係合され、一方でセクションピンアームリンク部材は第2のガイド壁の第1の部分に係合される。そして、一実施形態においては、操作プレートの動きによって、シリンダーピン又はセクションロックアームの動きがもたらされる一方でシリンダーピンとセクションロックアームとのうちの他方はその場に保持される。
【0029】
電動アクチュエータは、操作プレートに動作可能に接続されている。電動アクチュエータの駆動アームは、ピンアクチュエータアセンブリの通常動作中に操作プレートのベースに対する対応する動きを引き起こすために、伸張されたり引込まれたりする。しかしながら、いくつかの例では、1つ以上のシリンダーピン及び/又は1つ以上のセクションロックアームの動きは抑止されるか又は妨げられ、その結果として駆動アームの動きに応じた操作プレートの意図した動きが抑止されるか又は妨げられる。
【0030】
動作緩和部は、電動アクチュエータ及び操作プレートに動作可能に接続されている。動作緩和部は、1つ以上のシリンダーピン及び/又は1つ以上のセクションロックアームが意図するように自由に動けるときには、実質的に動かない状態で動作する。しかしながら、1つ以上のシリンダーピンの動き及び/又は1つ以上のセクションロックアームの動きが抑制されて、それにより意図する操作プレートの動きが妨げられている場合には、動作緩和部は駆動アームの動きを吸収すなわち緩和することによって、1つ以上の負荷状態になるようにされている。例えば、操作プレートの動きが抑制されているときに、駆動アームは依然として意図されたように伸張しているか又は引込まれているかもしれない。しかしながら、駆動アームの動きは、操作プレートの動きを生じさせる代わりに、動作緩和部によって吸収される。
【0031】
いくつかの実施形態では、動作緩和部は、ハウジング内に配置されたロッド、及びロッドとハウジングとの間に相互接続された1つ以上のスプリングを含む。不動状態、例えば、ピンアクチュエータアセンブリの通常動作中においては、ロッドはハウジングに対して実質的に固定されたままとなる。しかしながら、操作プレートの動きが抑制された場合には、駆動アームの動きによってロッドがハウジングに対して動くか又はその逆に動き、ロッドがハウジングに対して引込位置または伸張位置にされ、それによりスプリングを圧縮して動作緩和部が負荷状態となる。
【0032】
負荷状態においては、動作緩和部は予荷重を操作プレートに加える。操作プレートの動きがもはや抑制されなくなると、動作緩和部から加えられた予荷重によって操作プレートは動かされ、それにより電動アクチュエータの動作に応じた意図する動きがなされる。したがって、1つ以上のシリンダーピン及び/又は1つ以上のセクションロックアームの意図した動きは、更なる駆動アームの動きや電動アクチュエータの動作なしで達成される。
【0033】
図1を参照してここに記載の実施形態に係るクレーンの伸縮ブームのためのピンアクチュエータアセンブリ10は、概して、ロッキングヘッド12、アクチュエータ14、及び動作緩和部16を備える。一実施形態においては、ロッキングヘッド12は、ベース18、ベース18に動作可能に連結された操作プレート20、ベース18に対する操作プレート20の動きに応じて移動可能な1つ以上のシリンダーピン22及び/又は1つ以上のセクションロックアーム28を含む。
【0034】
シリンダーピン22は伸張位置と引込位置との間で移動可能である。図面では1つのシリンダーピン22が描かれているが、第2のシリンダーピン(図示せず)がロッキングヘッド12の反対側の側面に配置されてシリンダーピン22と実質的に鏡像的に動作してもよいことが当業者には理解されよう。したがって、以下の記載における1つのシリンダーピンの参照は1対のシリンダーピン22に対して同様に適用できる。
【0035】
一実施形態においては、シリンダーピン22は、操作プレート20の第1のガイド壁26に係合したシリンダーピンリンク部材24によって、操作プレート20に動作可能に連結されている。第1のガイド壁26は、操作プレートの動き20によって、操作プレート20の伸張位置と引込位置との間の動きの方向に対して実質的に横断する方向に第1のリンク部材24が動かされるような形状とされている。第1のガイド壁26は、例えば、スロット穴もしくは溝の中に形成された壁、又は操作プレート20の表面から突出した壁とすることができる。操作プレート20の動きによって第1のガイド壁がシリンダーピンリンク部材24に力を加え、その力はシリンダーピン22に伝達され、それによりシリンダーピンの動きが生じる。シリンダーピンリンク部材24は、例えば、第1のガイド壁26に係合するように延びた突起を含む。
【0036】
1つ以上のセクションロックアーム28は、ロック位置(
図1)とロック解除位置(
図3)との間で動くようにされている。一実施形態においては、セクションロックアーム28は、操作プレート20の第2のガイド壁32(
図2)に係合されたセクションロックアームリンク部材30によって、操作プレート20に動作可能に連結されている。第2のガイド壁32は、操作プレート20の動きによってセクションロックアームリンク部材30が操作プレート20の動きの方向に対して実質的に横断する方向に動くような形状とされている。このセクションロックアームリンク部材30の横断方向への動きによって、後で更に説明するように、セクションロックアーム28が、例えば回転または枢動により、ロック位置とロック解除位置との間で動く。
【0037】
第2のセクションロックアーム28は、上述したのと同様に、分離したセクションロックアームリンク部材30及び第2のガイド壁32とともに、ロック位置とロック解除位置との間を動く。一実施形態においては、1つ以上のセクションロックアーム28は、伸縮ブームセクション上に配置されたそれぞれのセクションロックピン(図示しない)に動作可能に連結され、1つ以上のセクションロックアーム28の動きがセクションロックピンを動かして伸縮ブームセクションを隣接する伸縮ブームセクションに対してロック又はロック解除するようにされる。例えば、一実施形態においては、ロック位置からロック解除位置へのセクションロックアーム28の動きが、対応するセクションロックピンを引込んで、伸縮ブームセクションを隣接する伸縮ブームセクションからロック解除するようにされている。
【0038】
図1を参照して、アクチュエータ14はモータ34及び駆動アーム36を含む。一実施形態においては、モータは電動モータ34であり、駆動アーム36を伸張したり引込んだりするように動作可能となっている。一実施形態においては、アクチュエータ14は、駆動アーム36の動きがベース18に対する操作プレート20の動きを生じさせるように、操作プレート20に連結されている。
【0039】
動作緩和部16はアクチュエータ14に動作可能に連結されている。一実施形態においては、動作緩和部16は、アクチュエータ14が操作プレート20と動作緩和部16との間に配置されるように、駆動アーム36に連結されている。後に更に記載するように、アクチュエータ14が作動されたときに操作プレート20の動きが妨げられている状況では、動作緩和部16は、駆動アーム36の動きを吸収すなわち緩和するようにされており、1つ以上の負荷状態となって付勢力又は予荷重がアクチュエータ14を介して操作プレート20に加わるようにされている。しかしながら、
図1-3の例を参照して、操作プレート20の動きが実質的に妨げられておらず、操作プレート20がアクチュエータ14の作動に応じて自由に動けるときには、動作緩和部16は不動状態すなわち中立状態に実質的に維持される。
【0040】
図1-3には、アクチュエータ14の動作中に操作プレート20の動きが実質的に妨げられていないときのピンアクチュエータアセンブリ10の第1、第2、及び第3の状態の例がそれぞれ示されている。操作プレート20の動きは、シリンダーピン22及び/又はセクションロックアーム28がアクチュエータ14の動作に応じて自由に動けるときには、妨げられない。
図1を参照して、第1の状態では、アクチュエータ14及び操作プレート20はそれぞれ中立位置にあり、動作緩和部16はその中立状態にある。
図1に示すように、第1の状態では、シリンダーピンリンク部材24はシリンダーピン22がそのピン伸張位置となるように第1のガイド壁26に隣接して配置され、セクションロックアームリンク部材30はセクションロックアーム28がロック位置となるように第2のガイド壁32(
図2)に隣接して配置されている。
【0041】
図2を参照して、第2の状態では、アクチュエータ14は、駆動アーム36をモータ34によって引込むことによってその中立位置から引込位置に動くように操作されている。操作プレート20は、アクチュエータ14の引込位置への動きに応じて、その中立位置から引込位置に動かされる。動作緩和部16は不動の中立状態のままである。操作プレート20の中立位置から引込位置への動きによって、第1のガイド壁26がシリンダーピンリンク部材24に対して動かされてシリンダーピンリンク部材24が横断方向に動かされ、それによりシリンダーピン22がピン引込位置に引込まれる。反対に、操作プレート20の引込位置から中立位置への動きによって、シリンダーピン22はそのピン引込位置(
図2)からピン伸張位置(
図1)に動かされる。一実施形態においては、シリンダーピン22は、ピン伸張位置とピン引込位置との間で操作プレート20の動きの方向に対して実質的に横断する方向に動くようにされている。操作プレート20の中立位置から引込位置への動きに伴う第2のガイド壁32の動きによってセクションロックアームリンク部材30は横断方向に移動しないため、セクションロックアーム28はロック位置のままとなる。例えば、シリンダーピンリンク部材24は、操作プレート20の動きの方向に対する横方向成分を有する方向に延びる第1のガイド壁26の部分に係合し、セクションロックアームリンク部材30は、操作プレート20の動きの方向と実質的に同じ方向に延びる第2のガイド壁32の部分に係合する。
【0042】
図3を参照して、第3の状態では、アクチュエータ14は、駆動アーム36をモータ34によって伸張させることによってその中立位置から伸張位置に動くように操作されている。操作プレート20は、アクチュエータ14の伸張位置への動きに応じて、その中立位置から伸張位置に動かされる。動作緩和部16は不動の中立状態のままである。操作プレート20の中立位置から伸張位置への動きによって、第1のガイド壁26はシリンダーピンリンク部材24に対して動くが、シリンダーピンリンク部材24は横断方向に動かされない。したがって、シリンダーピン22はそのピン伸張位置のままである。しかしながら、操作プレート20の中立位置から伸張位置への動きによって、第2のガイド壁32はセクションロックアームリンク部材30に対して動かされてセクションロックアームリンク部材30を横断方向に移動させ、それによりセクションロックアーム28がロック位置(
図1)からロック解除位置(
図3)に動かされる。反対に、操作プレート20の伸張位置から中立位置への動きによって、セクションロックアーム28がロック解除位置からロック位置に動かされる。例えば、シリンダーピンリンク部材24は、操作プレート20の動きの方向と実質的に同じ方向に延びる第1のガイド壁26の部分に係合し、セクションロックアームリンク部材30は、操作プレート20の動きの方向に対する横方向成分を有する方向に延びる第2のガイド壁32の部分に係合する。
【0043】
したがって、アクチュエータ14は、間に中立位置を有するその引込位置と伸張位置との間で動くようにされている。操作プレート20も間に中立位置を有するその引込位置と伸張位置との間で動くようにされている。操作プレート20の動きが実質的に妨げられていない状態では、アクチュエータ14と操作プレート20の動きは互いに実質的に一致し、動作緩和部16は不動の中立状態のままとなる。一実施形態においては、アクチュエータ14と操作プレート20の動きは、概して、第1の方向D1(
図3)、及び第1の方向D1と反対の第2の方向D2(
図2)で互いに一致する。
【0044】
図4-6には、ここに記載の実施形態に係る動作緩和部16の、側面図、斜視図、及び端面図がそれぞれ示されている。
図7は、ここに記載の実施形態に係る、不動の中立状態にある動作緩和部16を示す断面図であり、
図8及び9は、ここに記載の実施形態に係る、それぞれ、第1の負荷状態と第2の負荷状態にある動作緩和部16の断面図である。
図4-9を参照して、動作緩和部16は概して、ロッド38、第1の付勢力すなわちスプリング力を加えるためのスプリング40のような第1の付勢部材、スリーブ42、第2の付勢力すなわちスプリング力を加えるためのスプリング44のような第2の付勢部材、及びハウジング46を含む。一実施形態においては、ロッド38は駆動アーム36に連結される。サイドプレート48は、ロッド38上に移動可能に配置されて、第1及び第2のスプリング40、44の第1の端部のための座部としての役割を果たす。保持プレート50は、ロッド38の自由端又はその近くに配置されて、第1のスプリング40の第2の端部のための座部としての役割を果たす。第2のスプリング44の第2の端部はハウジング46の一部に固定されている。
【0045】
一実施形態においては、第1及び第2のスプリング40、44はそれぞれ、初期の中立位置(
図7)と伸張した荷重位置(
図9の第1のスプリング40、
図8の第2のスプリング44)との間で可動となっている。一実施形態においては、第1のスプリング40は、第2のスプリング44の少なくとも一部の中に配置されている。さらに、一実施形態においては、スリーブ42はハウジング46内で移動可能であり、ロッド38は中立位置(
図7)と伸張位置(
図8)との間、及び中立位置と引込位置(
図9)との間で動くようにされている。
【0046】
一実施形態においては、第1のスプリング40及び第2のスプリング44は、加えられた荷重がそのスプリングの初張力を超えたときに伸張する引張バネとすることができる。第1のスプリング40の初張力は第2のスプリング44の初張力とは異なっていてもよい。例えば、後に更に記載されているように、いくつかの状況では、操作プレート20の動きが妨げられる。そのような状況は、例えば、シリンダーピン22、セクションロックピン、及び/又はセクションロックアーム28がブームセクションに対して適切に位置しておらず、ピン22、ロッキングピン、及び/又はロックアーム28の動きが妨げられているときに生じうる。別のそのような状況は、シリンダーピン22又はセクションロックピンの動きがブームセクションに係合しているが正しく位置合わせされていないときに生じ、シリンダーピン22、ロッキングピン、及び/又はセクションロックアーム28上に力が生じて動きを妨げる結果となる。以下の実施形態においては、セクションロックピンとセクションロックアーム28との間の動作可能な接続のために、セクションロックピンの動きが妨げられるとセクションロックアーム28の動きが妨げられ、またセクションロックアーム28が動くとセクションロックピンの動きが生じる。同様に、セクションロックピンが不適切に位置決めされるとセクションロックアーム28が不適切に位置決めされ、その逆もまた同様となる。
【0047】
そのような状況では,ここに記載の実施形態にしたがって、アクチュエータ14は、その時の位置から引込位置、中立位置、又は伸張位置のうちのいずれかの別の位置に動くように操作される。しかしながら、動きが妨げられた操作プレート20は、アクチュエータ14の動作中にその位置に固定されたままとなる。すなわち、操作プレート20はアクチュエータ14の動きに応じて動かない。アクチュエータ14の動きは、その動きに対して操作プレート20が保持されているときには、アクチュエータ14を介して動作緩和部16に加えられる反力を生じさせる。この反力は、例えば、第1の方向D1又は第2の方向D2の何れかの方向での力としてロッド38に加えられ、その力は第1のスプリング40又は第2のスプリング44の初張力を超える。したがって、第1又は第2のスプリング40、44は伸張され、ロッド38はその中立位置から伸張位置または引込位置に動かされる。
【0048】
さらに
図7を参照して、一実施形態にしたがって動作緩和部16が中立状態で示されている。中立状態では、ロッド38はその中立位置にあり、第1及び第2のスプリング40、44はそれぞれ、それらの初期の中立位置にある。一実施形態においては、第1及び第2のスプリング40、44は、それらの初期の中立位置において実質的に無負荷となっている。操作プレート20の動きが実質的に妨げられていないときには、第1、第2、及び第3の状態の例において上述したとおり、反力がスプリング40、44の初張力を概して超えていないか又は実質的に超えておらず、そのため動作緩和部16は中立状態のままである。
【0049】
図8を参照して、例えば、操作プレート20の動きが妨げられた状態でのアクチュエータ14の動きによって第1の力F1が第1の方向D1でロッド38に加えられたときに、動作緩和部16は第1の負荷状態となる。第1の力F1は第2のスプリング44の初張力を超え、これによりロッド38がその中立位置から伸張位置に動き、また第2のスプリング44がその初期の中立位置から伸張した荷重位置に動く。よって、ロッド38は、第2のスプリング44のスプリング力に抗して、その中立位置から伸張位置に動かされる。第1の負荷状態では、第2のスプリング44のスプリング力は、ロッド38及びアクチュエータ14を介して伝達されて操作プレート20に加えられ、操作プレート20の動きが妨げられなくなると、操作プレート20をアクチュエータ14の位置に対応した位置に移動させる。
【0050】
図9を参照して、例えば、操作プレート20の動きが妨げられた状態でのアクチュエータ14の動きによって第2の力F2が第2の方向D2でロッド38に加えられたときに、動作緩和部16は第2の負荷状態となる。第2の力F2は第1のスプリング40の初張力を超え、これによりロッド38がその中立位置から引込位置に動き、また第1のスプリング40がその初期の中立位置から引込まれた荷重位置に動く。すなわち、ロッド38は、第1のスプリング40のスプリング力に抗して、その中立位置から引込位置に動かされる。第2の負荷状態では、第1のスプリング40のスプリング力は、ロッド38及びアクチュエータ14を介して伝達されて操作プレート20に加えられ、操作プレート20の動きが妨げられなくなると、操作プレート20をアクチュエータ14の位置に対応した位置に移動させる。
【0051】
図10-13には、操作プレート20の動きが、例えばシリンダーピン22又はセクションロックアーム28の不適切な配置によって妨げられたときの、ピンアクチュエータアセンブリ10の第4、第5、及び第6の状態での例がそれぞれ示されている。
【0052】
図10を参照して、第4の状態では、アクチュエータ14は、駆動アーム36を引込むことによりその中立位置から引込位置に動くように操作されている。しかしながら、操作プレート20の動きが妨げられた状態では、操作プレート20は中立位置のままとなる。この例では、反力が操作プレート20によって生成され、その反力は第1の力F1を動作緩和部16に加えて動作緩和部16を例えば
図8に示された第1の負荷状態にする。動作緩和部16の第1の負荷状態では、第2のスプリング44がスプリング力をロッド38に加えてロッド38を中立位置に移動させるとともに、操作プレート20にも加えて操作プレート20をアクチュエータ14の位置に対応する引込位置に移動させる。よって、スプリング力はロッド38及び操作プレート20に第2の方向D2で加えられる。
【0053】
したがって、ピン22及び/又はセクションロックアーム28並びに操作プレート20の動きがもはや妨げられないようにロッキングヘッド12を配置または再配置したときに、操作プレート20は第2のスプリング44のスプリング力によって引込位置に動かされ、ロッド38は中立位置に動かされ、そして第2のスプリング44は初期の中立位置に戻る。すなわち、動作緩和部16は、操作プレート20の動きが妨げられなくなると、中立状態(
図7)となる。結果として、ピンアクチュエータアセンブリ10は、
図10に示す第4の状態から
図2に示す第2の状態に動かされる。
【0054】
図11を参照して、第5の状態では、アクチュエータ14は、駆動アーム36を伸張することによってその中立位置から伸張位置に動かされる。しかしながら、操作プレート20の動きが妨げられた状態では、操作プレート20は中立位置のままとなる。この例では、反力が操作プレート20によって生成され、その反力は第2の力F2を動作緩和部16に加えて動作緩和部16を例えば
図9に示された第2の負荷状態とする。したがって、第1のスプリング40は、その伸張した荷重位置に動かされてスプリング力を第1の方向D1で加えてロッド38を中立位置に移動させるとともに、操作プレート20を伸張位置に移動させる。よって、ピン22及び/又は28並びに操作プレート20の動きがもはや妨げられていないようにロッキングヘッド12が配置されたときには、操作プレート20が第1のスプリング40のスプリング力によって伸張位置に動かされ、動作緩和部16が中立状態(
図7)となる。すなわち、動作緩和部16によって、ピンアクチュエータアセンブリ10は
図11に示す第5の状態から
図3に示す第3の状態に動かされる。
【0055】
アクチュエータ14の動作に応じた操作プレート20の引込位置又は伸張位置のいずれかから中立位置への動きは、シリンダーピン22及び/又はセクションロックアーム28によって妨げられうる。例えば、
図12を参照して、第6の状態では、アクチュエータ14はその引込位置から中立位置に動かされる。しかしながら、操作プレート20の動きが妨げられた状態では、操作プレート20は引込位置のままとなる。この例では、反力が生成されて、その反力が第2の力F2を動作緩和部16に加えて動作緩和部16を第2の負荷状態(
図9)とする。したがって、第1のスプリング40はスプリング力を第1の方向D1で加えてロッド38及び操作プレート20をそれぞれの中立位置に移動させる。よって、操作プレート20の動きが妨げられなくなると、操作プレート20は第1のスプリング40のスプリング力によって中立位置へと動かされ、動作緩和部16は中立状態(
図7)に戻る。すなわち、動作緩和部16によって、ピンアクチュエータアセンブリ10は
図12に示す第6の状態から
図1に示す第1の状態に動かされる。
【0056】
図13を参照して、第7の状態では、アクチュエータ14はその伸張位置から中立位置に動かされる。しかしながら、操作プレート20の動きが妨げられた状態では、操作プレート20は伸張位置のままとなる。この例では、反力が生じて、その反力が第1の力F1を動作緩和部16に加えて動作緩和部16を第1の負荷状態(
図8)とする。したがって、第2のスプリング44はスプリング力を第2の方向D2で加えて、ロッド38及び操作プレート20をそれぞれの中立位置に移動させる。よって、操作プレート20の動きがもはや妨げられなくなると、操作プレート20が第2のスプリング44のスプリング力によって中立位置に動かされ、動作緩和部16が中立状態(
図7)となる。すなわち、動作緩和部16によって、ピンアクチュエータアセンブリ10が
図13に示す第7の状態から
図1に示す第1の状態に動かされる。
【0057】
上述の実施形態においては、例えば、シリンダーピン22又はセクションロックアーム28がブームの伸縮セクションに対して適切に配置されていない状況で操作プレートの対応する動きが妨げられているときには、動作緩和部16がアクチュエータ14の動きを緩和するようにされている。動作緩和部16は、第1又は第2のスプリング40、44によって、スプリング力を操作プレート20に加えて操作プレート20をアクチュエータ14の位置に対応する位置に移動させる。そのような操作プレート20の動きによってもシリンダーピン22及び/又はセクションロックアーム28の意図した動きが生じる。したがって、操作プレート20並びにシリンダーピン22及び/又はセクションロックアーム28はそれらの正しい位置、すなわち意図した位置に、アクチュエータ14の更なる操作なして動かされる。したがって、シリンダーピン22及び/又はセクションロックアーム28が操作プレート20の動きを妨げているかどうかに関係なく、アクチュエータ14は各ピン動作に対して一度だけ操作されるので、電動モータ34を含むアクチュエータ14の操作を少なくすることが可能となる。よって、動作緩和部16によって、駆動アーム36を含むアクチュエータ14の動きは、たとえ操作プレート20の動きが妨げられていたとしても行われ、これによりアクチュエータ14に対する抵抗を低減できるとともに、動作寿命を改善し、またメンテナンスや交換の時間及びコストを削減することが可能となる。
【0058】
図14は、ベースセクション112と、ベースセクション112に対して伸張したり引込まれたりするように移動可能な複数の伸縮セクション114とを有する伸縮ブーム110を備えるクレーンの斜視図である。伸縮ブーム110は、伸縮ロッド122及びシリンダー124を備えるリニアブームアクチュエータのようなブームアクチュエータ120を含む。
図1及び14を参照すると、一実施形態においては、ピンアクチュエータアセンブリ10はブームアクチュエータ120に取り付けられている。例えば、一実施形態においては、ロッキングヘッド12はシリンダー124の端部またはその近くに配置されており、動作緩和部16はシリンダー124の長さに沿って配置されている。クレーン100はまた、ブームアクチュエータ120に動作可能に接続されて、ブームアクチュエータ120の動きを制御して伸縮セクション114を伸張したり引込んだりするようにされた制御システム210を含む。制御システム210はまた、ピンアクチュエータアセンブリ10に動作可能に接続されて、例えば、アクチュエータ14の動作を制御する。一実施形態においては、制御システム210は、シリンダーピン22及び/又はセクションロックアーム28の動きが妨げられないようにするか又はそうなるまで、ブームアクチュエータ120を制御してロッキングヘッド12を配置または再配置する。制御システム210は、ブームアクチュエータ120及び/又はピンアクチュエータアセンブリ10の動作を制御するようにされたコンピュータを含む。
【0059】
何れの上述の実施形態からの様々な特徴も、ここに記載の他の実施形態において一緒に利用できることを理解されたい。
【0060】
ここに引用した全ての特許文献は、本開示の記載の中で明確に組み込まれているか否かに関わらず、引用によりここに組み込まれる。
【0061】
本開示における、単数形は単数および複数の両方を含むと解釈される。その逆に、複数アイテムとしての如何なる参照も、必要に応じて、単数を含む。加えて、「上方」「下方」のような方向を参照するための用語は、例示を目的としてのみ使用されており、本開示の主題を特定の方向に限定しないことを理解されたい。
【0062】
上記より数の修正や変更が、本開示の新規概念の真の精神及び範囲から離れることなく、なされうる。例示された特定の実施形態に関する如何なる限定も、意図されておらずまた示唆されない。本開示は、特許請求の範囲内にある全てのそのような変更を包含することを意図している。