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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-15
(45)【発行日】2025-04-23
(54)【発明の名称】両面粘着テープ
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/26 20180101AFI20250416BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20250416BHJP
   C09J 133/04 20060101ALI20250416BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20250416BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20250416BHJP
【FI】
C09J7/26
C09J7/38
C09J133/04
C09J11/06
B32B27/00 M
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020571861
(86)(22)【出願日】2020-11-26
(86)【国際出願番号】 JP2020043990
(87)【国際公開番号】W WO2021106997
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】P 2019213359
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】川本 友也
(72)【発明者】
【氏名】土居 智
(72)【発明者】
【氏名】原田 桃子
(72)【発明者】
【氏名】松井 由紀菜
(72)【発明者】
【氏名】前川 博亮
【審査官】澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/126135(WO,A1)
【文献】特開2018-154820(JP,A)
【文献】国際公開第2017/094723(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0264827(US,A1)
【文献】特表2017-506683(JP,A)
【文献】特開2016-023236(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
B32B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡体基材と、前記発泡体基材の両側に積層された粘着剤層とを有する両面粘着テープであって、
前記発泡体基材は、気泡体積分率が40体積%以上75体積%以下であり、せん断破断強度が200N/inch (0.310N/mm 以上500N/inch (0.775N/mm 以下であり、厚みが100μm以上であるポリウレタン発泡体である
ことを特徴とする両面粘着テープ。
【請求項2】
発泡体基材は、25%圧縮強度が0.015MPa以上0.08MPa以下であることを特徴とする請求項1記載の両面粘着テープ。
【請求項3】
発泡体基材は、気泡の長径分布の平均が55μm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の両面粘着テープ。
【請求項4】
発泡体基材は、気泡の長径分布の標準偏差が30μm以下であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の両面粘着テープ。
【請求項5】
発泡体基材は、気泡の扁平率が0.2以下であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の両面粘着テープ。
【請求項6】
発泡体基材は、気泡のアスペクト比が1.5以下であることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の両面粘着テープ。
【請求項7】
発泡体基材は、気泡の連泡率が95体積%以下であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の両面粘着テープ。
【請求項8】
発泡体基材は、厚みが1000μm以下であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の両面粘着テープ。
【請求項9】
粘着剤層は、アクリル共重合体及び粘着付与剤を含有するアクリル粘着剤からなり、ゲル分率が1重量%以上90重量%以下であり、
前記アクリル共重合体は、水酸基を含有し、重量平均分子量が30万以上200万以下、分子量分布(Mw/Mn)が1.05以上5.0以下であり、
前記粘着付与剤は、水酸基を含有するロジン系樹脂又は水酸基を含有するテルペン系樹脂であり、軟化温度が70℃以上170℃以下、水酸基価が25以上160以下である
ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の両面粘着テープ。
【請求項10】
更に、発泡体基材の少なくとも片側に樹脂シートを有し、前記樹脂シートの厚みが10μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の両面粘着テープ。
【請求項11】
発泡体基材の第1の面に積層された第1の樹脂シートと、発泡体基材の第2の面に積層された第2の樹脂シートとを有し、前記第1の樹脂シート及び前記第2の樹脂シートからなる群より選択される少なくとも一方は、熱可塑性樹脂から構成される樹脂シートであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10記載の両面粘着テープ。
【請求項12】
粘着剤層の厚みが20μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11記載の両面粘着テープ。
【請求項13】
両面粘着テープの厚みが100μm以上1200μm以下であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12記載の両面粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
粘着テープは、電子部品の固定用として広く用いられている。具体的には、例えば、テレビ、モニター等のディスプレイ装置において表面のカバーパネルを筐体に固定するために粘着テープが用いられている。このような粘着テープは、例えば額縁状等の形状で、表示画面の周辺に配置されるようにして用いられる。
【0003】
近年、デザインや機能性を追求した結果、テレビ、モニター等のディスプレイ装置は狭額縁化が進み、ベゼルレスなディスプレイ装置への期待も高まっている。従来のディスプレイ装置の製造では、カバーパネルをはめ込みやねじ止めによって筐体に固定することもあったが、狭額縁化の進んだディスプレイ装置でははめ込みやねじ止めが難しいため、粘着テープによる固定にますます需要が高まっており、粘着テープの薄型化及び細幅化も進んでいる。
【0004】
このようなディスプレイ装置において用いられ得る粘着テープとして、例えば、特許文献1及び2には、基材層の少なくとも片面にアクリル系粘着剤層が積層一体化されており、該基材層が特定の架橋度及び気泡のアスペクト比を有する架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートである衝撃吸収テープが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-242541号公報
【文献】特開2009-258274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、テレビ、モニター等のディスプレイ装置は大型化が進んでおり、カバーパネル、筐体等の被固定部材の重量も増加している。このため、粘着テープにはせん断方向に従来以上の非常に大きな荷重がかかり、粘着テープを薄型かつ細幅で用いる場合には特に、輸送時の落下等により衝撃が加わることで基材の層間破壊又は粘着テープの剥がれが発生する問題が生じている。
また、大型化に伴い、ディスプレイ装置には表示ムラも発生しやすくなっている。表示ムラを低減するためには、粘着テープ、特に粘着テープの基材には、応力を解放できる適度な柔軟性が必要とされる。更には、近年、電子部品は高価になる傾向にあるため、例えば部品固定の際に不具合が生じた場合等には、部品をリワークできることが求められている。部品をリワークする方法の1つとして、例えばカッター刃で粘着テープの発泡体基材を引裂き、層間破壊させて部品を取りはずす方法が用いられる。このような場合にも、基材が硬すぎず、適度な柔軟性を有することが求められる。
ここで、輸送時の落下等による衝撃に耐えるためには基材の強度を上げる必要がある一方で、表示ムラの低減及び引裂きやすさのためには基材の柔軟性を上げる必要がある。しかしながら、基材の強度と柔軟性とは相反する性質であるため、これらを両立することは難しい。
本発明は、耐落下衝撃性に優れ、ディスプレイ装置の表示ムラを低減することができ、被着体から剥がす際には発泡体基材を容易に引裂くことができる両面粘着テープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、発泡体基材と、上記発泡体基材の両側に積層された粘着剤層とを有する両面粘着テープであって、上記発泡体基材は、気泡体積分率が40体積%以上75体積%以下であり、せん断破断強度が200N/inch以上500N/inch以下である両面粘着テープである。
以下に本発明を詳述する。
【0008】
本発明者らは、発泡体基材と、該発泡体基材の両側に積層された粘着剤層とを有する両面粘着テープにおいて、X線CT(X-ray Computed Tomography;コンピュータ断層撮影法)装置及び画像解析ソフトウェアを用いて発泡体基材の気泡構造を分析し、気泡構造が両面粘着テープの性能に与える影響について検討した。その結果、本発明者らは、発泡体基材の気泡体積分率を特定範囲に調整し、更には発泡体基材のせん断破断強度を特定範囲に調整することで、発泡体基材の強度と柔軟性とをいずれも高めることができることを見出した。これにより、耐落下衝撃性に優れ、ディスプレイ装置の表示ムラを低減することができ、被着体から剥がす際には発泡体基材を容易に引裂くことができる両面粘着テープが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
本発明の両面粘着テープは、発泡体基材と、上記発泡体基材の両側に積層された粘着剤層とを有する。
上記発泡体基材は、適度な柔軟性を有するため、応力を解放することができる。上記発泡体基材を有することで、両面粘着テープの応力緩和性が向上する。
【0010】
上記発泡体基材は、気泡体積分率の下限が40体積%、上限が75体積%である。上記気泡体積分率を上記範囲に調整することで、上記発泡体基材の強度と柔軟性とをいずれも高め、同時に両立することができる。
上記気泡体積分率が40体積%以上であれば、上記発泡体基材が適度な柔軟性を有することができるため、ディスプレイ装置の表示ムラを低減することができ、両面粘着テープを被着体から剥がす際には容易に上記発泡体基材を引裂くことができる。上記気泡体積分率が75体積%以下であれば、上記発泡体基材の強度が低下しすぎることを抑制することができるため、両面粘着テープの耐落下衝撃性を向上させることができる。また、上記気泡体積分率が75体積%以下であれば、上記発泡体基材の防塵性及び防水性も確保されやすい。上記気泡体積分率の好ましい下限は42体積%、好ましい上限は70体積%であり、より好ましい下限は46体積%、より好ましい上限は67体積%であり、更に好ましい下限は48体積%、更に好ましい上限は63体積%であり、特に好ましい下限は50体積%、特に好ましい上限は60体積%である。
なお、気泡体積分率は、X線CT装置及び画像解析ソフトウェアを用い、下記式(1)により算出する。
気泡体積分率(体積%)=気泡体積/発泡体基材の体積×100 (1)
式(1)中、気泡体積とは、測定対象試料の発泡体基材に含まれる全ての気泡の体積の合計である。
【0011】
上記発泡体基材の気泡の長径分布の平均及び標準偏差は特に限定されないが、気泡の長径分布の平均の好ましい上限が55μm、気泡の長径分布の標準偏差の好ましい上限が30μmである。
上記長径分布の平均及び標準偏差を上記範囲に調整し、気泡の大きさ及び気泡の大きさのばらつきを一定レベル以下に抑えることで、上記発泡体基材の強度と柔軟性とをいずれも更に高めることができる。その結果、両面粘着テープの耐落下衝撃性を向上させることができ、また、ディスプレイ装置の表示ムラを低減するとともに両面粘着テープを被着体から剥がす際には上記発泡体基材を容易に引裂くことができる。
また、気泡が大きすぎたり気泡の大きさにばらつきがあったりすると、両面粘着テープを薄型かつ細幅で用いる場合には特に、上記発泡体基材において局所的に特に強度の低い箇所が存在することになり、輸送時の落下等により衝撃が加わることで、上記箇所を起点に上記発泡体基材の層間破壊又は両面粘着テープの剥がれが発生する。上記長径分布の平均及び標準偏差を上記範囲に調整し、気泡の大きさ及び気泡の大きさのばらつきを一定レベル以下に抑えることで、局所的に特に強度の低い箇所が存在することを抑制し、両面粘着テープの耐落下衝撃性を向上させることができる。
【0012】
上記長径分布の平均のより好ましい上限は53μm、更に好ましい上限は51μm、更により好ましい上限は49μmである。上記長径分布の平均の下限は特に限定されず、上記発泡体基材の気泡体積分率及び厚みにも依存して決定されるが、実質的な下限は10μmである。
上記長径分布の標準偏差のより好ましい上限は28μm、更に好ましい上限は27μm、更により好ましい上限は24μmである。上記長径分布の標準偏差の下限は特に限定されず、小さいほど気泡の大きさにばらつきがなくなるため好ましく、実質的な下限は5μmである。
なお、気泡の長径分布の平均及び標準偏差は、X線CT装置及び画像解析ソフトウェアを用い、気泡の長径分布を求め、得られた長径分布から平均及び標準偏差を算出する。
【0013】
上記発泡体基材の気泡の連泡率は特に限定されないが、上記発泡体基材がポリウレタン発泡体である場合、気泡の連泡率の好ましい上限は95体積%である。一般的に、ポリウレタン発泡体は連泡構造をとり、連泡率は100体積%に近い値となる。従って、上記発泡体基材がポリウレタン発泡体である場合、上記範囲の連泡率を有することは、ポリウレタン発泡体のなかでは比較的連泡率が低く、独立気泡が多いことを意味する。
上記連泡率を上記範囲に調整し、独立気泡を増やすことで、ポリウレタン発泡体の強度と柔軟性とをいずれも更に高めることができる。その結果、両面粘着テープの耐落下衝撃性を向上させることができ、また、ディスプレイ装置の表示ムラを低減するとともに両面粘着テープを被着体から剥がす際には上記発泡体基材を容易に引裂くことができる。
また、上記連泡率を上記範囲に調整し、独立気泡を増やすことで、上述したような局所的に特に強度の低い箇所が存在することを抑制し、両面粘着テープの耐落下衝撃性を向上させることができる。
【0014】
上記連泡率のより好ましい上限は93体積%、更に好ましい上限は91体積%である。上記連泡率の下限は特に限定されないが、ポリウレタン発泡体の連泡率の一般的な下限は90体積%である。
なお、気泡の連泡率は、X線CT装置及び画像解析ソフトウェアを用い、下記式(2)により算出する。
連泡率(体積%)=連通気泡体積/気泡体積×100 (2)
式(2)中、連通気泡体積とは、測定対象試料の発泡体基材に含まれる全ての連通した気泡の体積の合計であり、気泡体積とは、測定対象試料の発泡体基材に含まれる全ての気泡の体積の合計である。
【0015】
上記発泡体基材の気泡の扁平率は特に限定されないが、好ましい上限は0.2である。上記扁平率を上記範囲に調整することで、あらゆる角度からの落下に対する衝撃緩和をより均一にすることができ、両面粘着テープの耐落下衝撃性を向上させることができる。
【0016】
上記扁平率のより好ましい上限は0.18、更に好ましい上限は0.16、更により好ましい上限は0.14である。上記扁平率の下限は特に限定されず、0に近づくほど気泡が真球に近づき、あらゆる角度からの落下に対する衝撃緩和がより均一となるため好ましく、実質的な下限は0.05である。
【0017】
上記発泡体基材の気泡のアスペクト比は特に限定されないが、好ましい上限は1.5である。上記アスペクト比を上記範囲に調整することで、あらゆる角度からの落下に対する衝撃緩和をより均一にすることができ、両面粘着テープの耐落下衝撃性を向上させることができる。
【0018】
上記アスペクト比のより好ましい上限は1.1、更に好ましい上限は1.09、更により好ましい上限は1.07である。上記アスペクト比の下限は特に限定されず、1に近づくほど気泡が真円に近づき、あらゆる角度からの落下に対する衝撃緩和がより均一となるため好ましく、実質的な下限は1.01である。
なお、気泡のアスペクト比及び扁平率は、X線CT装置及び画像解析ソフトウェアを用い、下記式(3)及び(4)により算出する。
アスペクト比=x/y (3)
扁平率={(x+y)/2-z}/z (4)
(x=長径、y=中径、z=短径、x≧y≧z)
【0019】
上記X線CT装置及び上記画像解析ソフトウェアは特に限定されないが、上記X線CT装置及び上記画像解析ソフトウェアを用いた分析は、より詳細には、例えば、以下のようにして行われる。
発泡体基材を切断して得た測定サンプルの中心部を、X線CT装置(例えば、ヤマト科学社製、「TDM1000H-II(2K)」、解像度1.5μm/1ピクセル程度)により撮像し、長さ1.5mm、幅1.2mm、高さ0.3mmの直方体状3D画像を得る。得られた画像について、画像解析ソフトウェア(例えば、FEI社製、「Avizo9.2.0」)によりノイズ除去及び二値化を行い、発泡体基材の気泡構造を表す各数値(気泡体積分率、気泡の長径分布の平均及び標準偏差、気泡の連泡率、気泡のアスペクト比及び気泡の扁平率等)を求める。X線源としては、Moを用い、レンズ(L0270)を用いて、ビニング2、露光時間10秒、撮影枚数1200枚の条件で撮影を行う。
画像解析の際には、まずMedian Filter(Neighborhood値 26)機能によりノイズを除去する。その後、Interactive Thresholding機能で二値化を行う。閾値は256階調のうち90とする。二値化後の画像において、気泡が独立気泡か連泡であるかは、画素の連続部分の途切れの有無によって判断する。また、長径、中径、短径の算出にあたっては、まず気泡同士を接点で分割し、気泡の重心を求める。次いで、当該重心と同じ位置に重心を持ち、かつ、気泡に内接する直方体を設定し、直交する3辺の長さについて長い方からそれぞれ長径、中径、短径とする。なおこのとき、長径が10μm未満の気泡は除外する。
【0020】
上記発泡体基材の気泡構造を表す各数値(気泡体積分率、気泡の長径分布の平均及び標準偏差、気泡の連泡率、気泡のアスペクト比及び気泡の扁平率等)を上記範囲に調整する方法は特に限定されない。
例えば、上記発泡体基材がポリウレタン発泡体である場合、ウレタン樹脂組成物におけるポリイソシアネート及びポリオールの種類及び含有量、ウレタン樹脂組成物に空気、窒素等を混合する際の条件、ウレタン樹脂組成物を加熱硬化させる際の反応条件等を調整すればよい。なかでも、例えばウレタン樹脂組成物におけるポリイソシアネートの含有量を増やして樹脂の流動性を高める等によってウレタン化反応を緩やかに進めることにより、より均一な大きさの気泡を生成させて気泡構造を調整する方法が好ましい。
より具体的には、上記気泡体積分率は、ウレタン樹脂組成物におけるポリイソシアネート及びポリオールの種類及び含有量、並びに、発泡条件を変化させることで調整することができる。原料が同じ場合であっても、ウレタン樹脂組成物に空気、窒素等を混合する際の条件、ウレタン樹脂組成物を加熱硬化させる際の反応条件等を変化させることで調整することができる。また、上記気泡の長径分布の平均及び標準偏差は、ウレタン化反応を緩やかに進めることにより調整することで小さくすることができる。
【0021】
上記発泡体基材は、単層構造であっても多層構造であってもよい。
上記発泡体基材は特に限定されず、例えば、ポリウレタン発泡体、ポリオレフィン発泡体、アクリル発泡体等が挙げられる。なかでも、適度な柔軟性を有し、気泡構造を調整しやすいことから、ポリウレタン発泡体が好ましい。
【0022】
上記ポリウレタン発泡体として、例えば、ポリイソシアネート及びポリオールを含有するウレタン樹脂組成物からなるポリウレタン発泡体が挙げられる。このようなポリウレタン発泡体は、上記ウレタン樹脂組成物を加熱硬化させることにより製造することができる。
上記ポリイソシアネートは特に限定されず、一般的なポリウレタン発泡体に用いられる芳香族ポリイソシアネート又は脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。なかでも、1分子中にイソシアネート基を2つ有する芳香族ジイソシアネート又は脂肪族ジイソシアネートが好ましい。
【0023】
上記ポリイソシアネートが上記芳香族ジイソシアネート又は脂肪族ジイソシアネートであることにより、上記ポリウレタン発泡体の架橋度が上がりすぎず、ガラス転移点(Tg)が比較的低くなるため、伸びやすい発泡体となって強度と柔軟性とが高くなる。
上記芳香族ジイソシアネート又は脂肪族ジイソシアネートとして、具体的には例えば、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、m-キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水素添加MDI、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。なお、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートは、一般に「MDI」又は「2核体モノメリックMDI」とも呼ばれる。なかでも、柔軟性に優れるポリウレタン発泡体が得られやすいことから、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)が好ましい。これらの芳香族ジイソシアネート又は脂肪族ジイソシアネートは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0024】
上記ポリイソシアネートは、1分子中にイソシアネート基を3つ以上有していてもよい。このようなポリイソシアネートとして、例えば、ポリメリックMDI等が挙げられる。上記ポリイソシアネートとして、更に、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー等も挙げられる。これらのポリイソシアネートは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0025】
上記ポリオールは特に限定されず、一般的なポリウレタン発泡体に用いられるポリオールが挙げられる。具体的には例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール等が挙げられる。また、上記ポリオールとして、3官能ポリエーテルポリオール、グリセリン、トリメチロールプロパン等も挙げられる。これらのポリオールは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記ポリエーテルポリオールは特に限定されず、例えば、ポリプロピレングリコール(PPG)等が挙げられる。上記ポリエステルポリオールは特に限定されず、ポリオール成分と、酸成分とからなるポリエステルポリオールを用いることができる。
【0026】
上記ポリオールは、短鎖ジオールを含有することが好ましい。
上記ポリオールが上記短鎖ジオールを含有することにより、上記ポリウレタン発泡体の強度が高くなる。このため、より均一な大きさの気泡を生成させて気泡構造を調整するために例えば上記ウレタン樹脂組成物における上記ポリイソシアネートの含有量を増やして樹脂の流動性を高める等によってウレタン化反応を緩やかに進める場合にも、上記ポリウレタン発泡体の強度が低下しすぎることを抑制することができる。
上記短鎖ジオールとして、例えば、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサメチレンジオール、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。これらの短鎖ジオールは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、高強度のポリウレタン発泡体が得られやすいことから、1,5-ペンタンジオール又は1,6-ヘキサメチレンジオールが好ましい。また、上記連泡率を低くしやすいことから、ネオペンチルグリコールが好ましい。
【0027】
上記ポリオールの重量平均分子量は特に限定されないが、好ましい下限は500、好ましい上限は5000である。上記ポリオールの重量平均分子量が500以上であれば、上記ポリウレタン発泡体が適度な柔軟性を有することができる。上記ポリオールの重量平均分子量が5000以下であれば、上記ポリウレタン発泡体の強度が低下しすぎることを抑制することができる。上記ポリオールの重量平均分子量のより好ましい下限は700、より好ましい上限は2000であり、更に好ましい下限は800、更に好ましい上限は1500である。
なお、ポリオールの重量平均分子量は、例えば、試料のテトラヒドロフラン溶液を調製後、GPC装置(例えば、東ソー社製、製品名「HLC-8220」、カラム:TSKgelSurper HZM-N(4本))を用いて測定することができる。GPC測定では、測定条件として、例えば、40℃、流量0.5mL/minを採用することができる。
【0028】
上記ウレタン樹脂組成物における上記ポリイソシアネートのイソシアネートインデックスは特に限定されないが、好ましい下限は70、好ましい上限は120である。
イソシアネートインデックスとは、イソシアネートと活性水素含有化合物との反応におけるイソシアネート当量に関する指数である。イソシアネートインデックスが100未満の場合には水酸基等の反応基がイソシアネート基より過剰であり、イソシアネートインデックスが100を超える場合にはイソシアネート基が水酸基等の反応基より過剰であることを意味する。
上記イソシアネートインデックスが70以上であれば、上記ポリイソシアネートによる架橋が充分となり、気泡構造を調整しやすくなるため、上記ポリウレタン発泡体が適度な密度を有することができ、強度と柔軟性とが高くなる。上記イソシアネートインデックスが120以下であれば、上記ポリウレタン発泡体の架橋度が上がりすぎず、ガラス転移点(Tg)が比較的低くなるため、伸びやすい発泡体となって強度と柔軟性とが高くなる。
【0029】
上記ウレタン樹脂組成物における上記ポリイソシアネートの含有量は特に限定されないが、例えば上記ウレタン樹脂組成物における上記ポリイソシアネートの含有量を増やして樹脂の流動性を高める等によってウレタン化反応を緩やかに進めることにより、より均一な大きさの気泡を生成させて気泡構造を調整することが好ましい。
上記ポリイソシアネートの含有量は、上記ポリオール100重量%に対する好ましい下限が5重量%、好ましい上限が30重量%である。上記ポリイソシアネートの含有量が5重量%以上であれば、ウレタン化反応を緩やかに進めてより均一な大きさの気泡を生成させることができるため、気泡構造を調整しやすくなり、上記ポリウレタン発泡体の強度と柔軟性とが高くなる。上記ポリイソシアネートの含有量が30重量%以下であれば、上記ポリウレタン発泡体の架橋度が上がりすぎず、ガラス転移点(Tg)が比較的低くなるため、伸びやすい発泡体となって強度と柔軟性とが高くなる。上記ポリイソシアネートの含有量のより好ましい下限は15重量%、より好ましい上限は25重量%である。
【0030】
上記ウレタン樹脂組成物は、必要に応じて、触媒を含有してもよい。
上記触媒として、例えば、有機錫化合物、有機亜鉛化合物、有機ニッケル化合物、有機鉄化合物、金属触媒、3級アミン系触媒、有機酸塩等が挙げられる。なかでも、有機錫化合物が好ましい。これらの触媒は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記触媒の添加量は特に限定されないが、上記ポリオール100重量部に対する好ましい下限が0.05重量部、好ましい上限が5.0重量部、より好ましい上限は4.0重量部である。
【0031】
上記有機錫化合物として、例えば、スタナスオクトエート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート等が挙げられる。上記有機亜鉛化合物として、例えば、オクチル酸亜鉛等が挙げられる。上記有機ニッケル化合物として、例えば、ニッケルアセチルアセトエート、ニッケルジアセチルアセトエート等が挙げられる。上記有機鉄化合物として、例えば、鉄アセチルアセトエート等が挙げられる。上記金属触媒として、例えば、酢酸ナトリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属のアルコキシド、フェノキシド等が挙げられる。上記3級アミン系触媒として、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N-メチルモルホリンジメチルアミノメチルフェノール、イミダゾール、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン等が挙げられる。
【0032】
上記ウレタン樹脂組成物は、必要に応じて、発泡剤を含有してもよい。
上記発泡剤として、一般的なポリウレタン発泡体に用いられる発泡剤が挙げられる。具体的には例えば、水、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、炭酸ガス等が挙げられる。
上記発泡剤の添加量は特に限定されず、適宜の量とされるが、上記発泡剤が水である場合には、通常、上記ポリオール100重量部に対して0.1~3重量部程度である。
【0033】
上記ウレタン樹脂組成物は、必要に応じて、整泡剤を含有してもよい。
上記整泡剤として、例えば、ジメチルシロキサン、ポリエーテルジメチルシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のシリコーン系整泡剤が挙げられる。なかでも、ポリエーテルジメチルシロキサンが好ましい。ポリエーテルジメチルシロキサンのなかでも、ジメチルポリシロキサンとポリエーテルとのブロック共重合体がより好ましい。これらの整泡剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記整泡剤の添加量は特に限定されないが、上記ポリオール100重量部に対する好ましい下限は0.2重量部、好ましい上限は7重量部であり、より好ましい下限は0.4重量部、より好ましい上限は5重量部である。
【0034】
上記ウレタン樹脂組成物は、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、有機充填剤、無機充填剤、着色剤等のポリウレタン発泡体の製造において一般的に用いられる添加剤を含有してもよい。
【0035】
上記ポリウレタン発泡体を製造する方法として、例えば、空気、窒素等を機械的に混合し泡立てたウレタン樹脂組成物(液体)を離型ライナー又は樹脂フィルムの表面に塗布し、塗布したウレタン樹脂組成物を加熱硬化させることによって発泡体を製造する方法(メカニカルフロス法)等が挙げられる。また、上記ポリウレタン発泡体を形成するための原料に、上記ポリイソシアネートを反応させガスを発生させる方法(化学的発泡法)等が挙げられる。なかでも、メカニカルフロス法が好ましい。メカニカルフロス法により得られたポリウレタン発泡体は、化学的発泡法により得られたポリウレタン発泡体と比べて高密度となりやすく、かつ、気泡構造が微細で均一になりやすい。
【0036】
上記ポリオレフィン発泡体として、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブタジエン系樹脂等の樹脂からなる発泡体が挙げられる。なかでも、柔軟なポリオレフィン発泡体が得られやすいことから、ポリエチレン系樹脂が好ましい。
【0037】
上記発泡体基材は、せん断破断強度の下限が200N/inch、上限が500N/inchである。上記せん断破断強度が200N/inch以上であれば、上記発泡体基材の強度が充分に高くなり、両面粘着テープの耐落下衝撃性が向上する。上記せん断破断強度が500N/inch以下であれば、上記発泡体基材の柔軟性が低下しすぎることを抑制することができるため、ディスプレイ装置の表示ムラを低減することができ、両面粘着テープを被着体から剥がす際には容易に上記発泡体基材を引裂くことができる。上記せん断破断強度の好ましい下限は220N/inch、好ましい上限は470N/inchであり、より好ましい下限は240N/inch、より好ましい上限は450N/inchであり、更に好ましい下限は270N/inch、より好ましい上限は415N/inchである。
【0038】
なお、せん断破断強度は、以下の方法により測定できる。
図1に、せん断破断強度の測定方法を示す模式図を示す。まず、両面粘着テープのサイズ25mm×25mmの試験片18、及び、2枚のサイズ125mm×50mm、厚み2mmのSUS板19を図1に示すように積層する。この積層体を5kg、10秒の条件で重しを用いて圧着した後、24時間静置し、試験片18を介して2枚のSUS板19を貼り合わせた試験用サンプルを作製する。この試験用サンプルの一方のSUS板19を固定した後、23℃の条件下、他方のSUS板19の上方一方を、SUS板の積層方向と垂直な方向(図中、矢印方向)に12.7mm/minの条件で引っ張り、試験片18が破断するときに試験片18にかかる力(破断点強度)を測定する。なお、試験片18が破断するとは、発泡体基材が層間破壊することを意味する。
上記発泡体基材のせん断破断強度は、ウレタン樹脂組成物におけるポリイソシアネート及びポリオールの種類及び含有量を変化させることで調整することができる。原料が同じ場合であっても、気泡体積分率、気泡の長径分布の平均及び標準偏差等を適切な範囲に設定することで調整することができる。
【0039】
上記発泡体基材の25%圧縮強度は特に限定されないが、好ましい下限は0.015MPa、好ましい上限は0.08MPaである。上記25%圧縮強度が0.015MPa以上であれば、上記発泡体基材の強度が充分に高くなり、両面粘着テープの耐落下衝撃性が向上する。上記25%圧縮強度が0.08MPa以下であれば、上記発泡体基材の柔軟性が低下しすぎることを抑制することができるため、両面粘着テープを良好に圧着することができ、ディスプレイ装置の表示ムラを低減することができ、両面粘着テープを被着体から剥がす際には容易に上記発泡体基材を引裂くことができる。上記25%圧縮強度のより好ましい下限は0.02MPa、より好ましい上限は0.07MPaであり、更に好ましい下限は0.025MPa、更に好ましい上限は0.065MPaであり、更により好ましい下限は0.03MPa、更により好ましい上限は0.06MPaである。
なお、25%圧縮強度は、JIS K 6254:2010に準拠し測定することで求めることができる。
上記発泡体基材の25%圧縮強度は、ウレタン樹脂組成物におけるポリイソシアネート及びポリオールの種類及び含有量を変化させることで調整することができる。原料が同じ場合であっても、気泡体積分率、気泡の長径分布の平均及び標準偏差等を適切な範囲に設定することで調整することができる。
【0040】
上記発泡体基材のガラス転移点は特に限定されないが、好ましい下限は-30℃、好ましい上限は30℃である。上記発泡体基材のガラス転移点が-30℃以上であれば、上記発泡体基材が良好な低反発性を示し、応力を緩和することができる。上記発泡体基材のガラス転移点が30℃以下であれば、上記発泡体基材が適度な柔軟性を有することができ、また、伸びやすい発泡体となって強度と柔軟性とが高くなる。上記発泡体基材のガラス転移点のより好ましい下限は-25℃、より好ましい上限は20℃である。
なお、ガラス転移点は、粘弾性測定装置(例えば、レオメトリックス社製「Rheometrics Dynamic Analyze RDA-700)を使用して、測定温度-30~100℃、昇温速度3℃/min、周波数1Hzの条件下で求めることができる。
【0041】
上記発泡体基材の厚みは特に限定されないが、好ましい下限は100μm、好ましい上限は1000μmである。上記発泡体基材の厚みが100μm以上であれば、上記発泡体基材が適度な柔軟性を有することができる。上記発泡体基材の厚みが1000μm以下であれば、気泡の大きさのばらつきを抑えることができ、また、輸送時の落下等により衝撃が加わることで上記発泡体基材が伸びて破断することを抑えることができる。上記発泡体基材の厚みのより好ましい下限は150μm、より好ましい上限は950μmであり、更に好ましい下限は300μm、更に好ましい上限は750μmであり、更により好ましい下限は450μm、更により好ましい上限は700μmである。
なお、発泡体基材の厚みは、ダイヤル厚み計(例えば、Mitutoyo社製、「ABSデジマチックインジケーター」)を使用して測定できる。
【0042】
本発明の両面粘着テープは、更に、上記発泡体基材の少なくとも片側に樹脂シートを有していてもよい。上記樹脂シートを用いることで、取り扱い時に上記発泡体基材が伸びて破断することを抑止することができ、かつ、両面粘着テープにリワーク性を付与することができる。
上記樹脂シートは、上記発泡体基材の片側に積層されていてもよく、両側に積層されていてもよい。
上記樹脂シートを構成する樹脂は特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド、ポリエステル、ポリカーボネート等が挙げられる。なかでも、柔軟性に優れていることから、アクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂が好ましい。ポリエステル系樹脂のなかでは、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0043】
また、上記樹脂シートを構成する樹脂は、熱可塑性樹脂であってもよい。上記熱可塑性樹脂は特に限定されず、例えば、スチレン系(共)重合体、オレフィン系(共)重合体、塩化ビニル系(共)重合体、ポリエーテルエステル系トリブロック系(共)重合体、ポリエステル系(共)重合体、ウレタン系(共)重合体、アミド系(共)重合体、アクリル系(共)重合体等が挙げられる。なかでも、弾性体としての強度、伸び、柔軟性、自己粘着性を発揮することができ、優れたリワーク性を発揮しながら、樹脂シートと発泡体基材との密着性をより向上させることができる観点から、上記熱可塑性樹脂がアクリル系(共)重合体、スチレン系(共)重合体又はオレフィン系(共)重合体であることが好ましい。更に、アクリル系(共)重合体又はスチレン系(共)重合体であることがより好ましく、スチレン系(共)重合体であることが更に好ましい。
【0044】
上記樹脂シートを構成する樹脂が熱可塑性樹脂である場合、上記樹脂シートは、引張弾性率が200MPa以下であることが好ましい。引張弾性率が200MPa以下である柔軟な樹脂を用いることにより、両面粘着テープ全体の柔軟性を確保して、両面粘着テープをロール状に巻き取ることが容易となり、取り扱い性が格段に向上する。
なお、引張弾性率は、JIS K 7161に準ずる方法により測定することができる。具体的には例えば、例えば高分子計器社製の打ち抜き刃「引張1号型ダンベル状」等を用いて、樹脂シートをダンベル状に打ち抜いて試験片を作製する。得られた試験片の引張弾性率を、例えば島津製作所社製「オートグラフAGS-X」等を用いて、引張速度100mm/minで測定する。1~3%の歪み間の引張強度の傾きから引張弾性率を算出する。
【0045】
上記樹脂シートが上記発泡体基材の両側に積層されている場合、少なくとも一方の樹脂シートを構成する樹脂は、熱可塑性樹脂であることが好ましい。即ち、本発明の両面粘着テープは、熱可塑性樹脂から構成される樹脂シートを有することが好ましい。
本発明の両面粘着テープは、上記発泡体基材の第1の面に積層された第1の樹脂シートと、上記発泡体基材の第2の面に積層された第2の樹脂シートとを有し、上記第1の樹脂シート及び上記第2の樹脂シートからなる群より選択される少なくとも一方は、熱可塑性樹脂から構成される樹脂シートであることが好ましい。
【0046】
上記樹脂シートの厚みは特に限定されないが、好ましい下限は10μm、好ましい上限は100μmである。上記樹脂シートの厚みが10μm以上であれば、上記樹脂シートを引っ張った際にも上記樹脂シートが破断しにくくなる。上記樹脂シートの厚みが100μm以下であれば、被着体への追従性の低下を抑制することができる。上記樹脂シートの厚みのより好ましい下限は15μm、より好ましい上限は80μmであり、更に好ましい下限は20μm、更に好ましい上限は60μm、更により好ましい下限は25μm、更により好ましい上限は50μmである。
【0047】
上記樹脂シートは、着色されていてもよい。上記樹脂シートを着色することにより、両面粘着テープに遮光性を付与することができる。
上記樹脂シートを着色する方法は特に限定されず、例えば、上記樹脂シートを構成する樹脂にカーボンブラック、酸化チタン等の粒子又は微細な気泡を練り込む方法、上記樹脂シートの表面にインクを塗布する方法等が挙げられる。
【0048】
上記発泡体基材の両側に積層された粘着剤層は、同じ組成であってもよいし、それぞれ異なる組成であってもよい。
上記粘着剤層は特に限定されず、例えば、アクリル粘着剤、ゴム系粘着剤、ウレタン粘着剤、シリコーン系粘着剤等からなる粘着剤層が挙げられる。なかでも、粘着力の調節が容易であり、光、熱、水分等に対し比較的安定で、様々な被着体に適用可能であることから、アクリル共重合体及び粘着付与剤を含有するアクリル粘着剤からなる粘着剤層であることが好ましい。
【0049】
上記アクリル共重合体は、モノマー混合物を共重合して得られるものである。上記モノマー混合物を共重合して上記アクリル共重合体を得るには、上記モノマー混合物を、重合開始剤の存在下にてラジカル反応させればよい。上記モノマー混合物をラジカル反応させる方法、即ち、重合方法としては、従来公知の方法が用いられ、例えば、溶液重合(沸点重合又は定温重合)、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等が挙げられる。上記モノマー混合物をラジカル反応させる際の反応方式としては、例えば、リビングラジカル重合、フリーラジカル重合等が挙げられる。
【0050】
上記アクリル共重合体の数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(分子量分布、Mw/Mn)は特に限定されないが、好ましい下限は1.05、好ましい上限は5.0である。上記分子量分布(Mw/Mn)が上記範囲内であれば、低分子量成分等の含有量が少なくなるため、上記粘着剤層の凝集力が上がり、両面粘着テープの耐落下衝撃性が向上する。上記分子量分布(Mw/Mn)のより好ましい上限は3.0、更に好ましい上限は2.5、特に好ましい上限は2.3である。上記分子量分布(Mw/Mn)を上記範囲に調整するためには、重合開始剤、重合温度等の重合条件を調整すればよい。
なお、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)とは、GPC(Gel Permeation Chromatography:ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による標準ポリスチレン換算の分子量である。GPCでは、例えば、2690 Separations Model(Waters社製)等を使用できる。また、GPC装置(例えば、東ソー社製、製品名「HLC-8220」、カラム:TSKgelSurper HZM-N(4本))等も使用でき、溶媒としてテトラヒドロフランを用いることができ、測定条件として、例えば、40℃、流量0.5mL/minを採用することができる。
【0051】
上記アクリル共重合体の分子量分布(Mw/Mn)が2.5以下である場合、上記アクリル共重合体は、2-エチルヘキシルアクリレートに由来する構成単位を含有することが好ましい。
上記アクリル共重合体の分子量分布(Mw/Mn)が2.5以下である場合、上記2-エチルヘキシルアクリレートに由来する構成単位の含有量は特に限定されないが、好ましい下限は80重量%、好ましい上限は98重量%である。上記構成単位の含有量が80重量%以上であれば、上記アクリル共重合体のガラス転移点が下がり、上記粘着剤層の被着体に対する濡れ性が高くなり、両面粘着テープの耐落下衝撃性が向上する。上記構成単位の含有量が98重量%以下であれば、上記粘着剤層の凝集力が上がり、両面粘着テープの耐落下衝撃性が向上する。上記構成単位の含有量のより好ましい下限は90重量%、より好ましい上限は97重量%である。
【0052】
上記アクリル共重合体の分子量分布(Mw/Mn)が2.5以上である場合、上記アクリル共重合体は、炭素数4以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位を含有することが好ましい。
上記アクリル共重合体の分子量分布(Mw/Mn)が2.5以上である場合、上記炭素数4以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、特に限定されない。上記炭素数4以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、エチル(メタ)アクリレート及びn-ブチル(メタ)アクリレートが好ましく、これらのアクリレートがより好ましい。これらの炭素数4以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0053】
上記アクリル共重合体の分子量分布(Mw/Mn)が2.5以上である場合、上記炭素数4以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の含有量は特に限定されないが、好ましい下限は40重量%、好ましい上限は80重量%である。上記構成単位の含有量が40重量%以上であれば、上記粘着剤層の凝集力が上がり、両面粘着テープの耐落下衝撃性が向上する。上記構成単位の含有量が80重量%以下であれば、上記粘着剤層の被着体に対する濡れ性が低下しすぎることを抑制することができ、両面粘着テープの耐落下衝撃性が向上する。
【0054】
上記アクリル共重合体の分子量分布(Mw/Mn)が2.5以上である場合もまた、上記アクリル共重合体は、2-エチルヘキシルアクリレートに由来する構成単位を含有することが好ましい。
上記アクリル共重合体の分子量分布(Mw/Mn)が2.5以上である場合、上記2-エチルヘキシルアクリレートに由来する構成単位の含有量は特に限定されないが、好ましい下限は10重量%、好ましい上限は40重量%である。上記構成単位の含有量が10重量%以上であれば、上記粘着剤層の凝集力が上がり、両面粘着テープの耐落下衝撃性が向上する。上記構成単位の含有量が40重量%以下であれば、上記粘着剤層の凝集力が低下しすぎることを抑制することができ、両面粘着テープの耐落下衝撃性が向上する。
【0055】
上記アクリル共重合体は、必要に応じて上記2-エチルヘキシルアクリレートに由来する構成単位及び上記炭素数4以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位以外の共重合可能な他の重合性モノマーに由来する構成単位を含んでいてもよい。
上記共重合可能な他の重合性モノマーとして、例えば、炭素数13~18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、官能性モノマー等が挙げられる。
上記炭素数13~18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、例えば、メタクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。上記官能性モノマーとして、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、グリセリンジメタクリレート、(メタ)アクリル酸グリシジル、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。
これらの共重合可能な他の重合性モノマーは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、架橋剤と架橋構造を形成することで上記粘着剤層のゲル分率を調整しやすくなることから、水酸基やカルボキシル基のような極性官能基を有する官能性モノマーが好ましく、水酸基を有する官能性モノマーがより好ましい。即ち、上記アクリル共重合体は、水酸基を含有することが好ましい。
【0056】
上記アクリル共重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましい下限が30万、好ましい上限が200万である。上記重量平均分子量が30万以上であれば、上記粘着剤層が適度な硬さとなって凝集力が充分となり、粘着力が高くなる。上記重量平均分子量が200万以下であれば、上記粘着剤層の粘着力が充分となる。上記重量平均分子量のより好ましい下限は50万、より好ましい上限は140万である。上記重量平均分子量を上記範囲に調整するためには、重合開始剤、重合温度等の重合条件を調整すればよい。
【0057】
上記重合開始剤として、例えば、有機過酸化物、アゾ化合物等が挙げられる。
上記有機過酸化物として、例えば、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシピバレート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート等が挙げられる。
上記アゾ化合物は、ラジカル重合に一般的に用いられるものであれば特に限定されない。上記アゾ化合物として、例えば、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、1,1-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、1-[(1-シアノ-1-メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリアン酸)、ジメチル-2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、ジメチル-1,1’-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボキシレート)、2,2’-アゾビス{2-メチル-N-[1,1’-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’-アゾビス[N-(2-プロペニル)-2-メチルプロピオンアミド]、2,2’-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)、2,2’-アゾビス(N-シクロヘキシル-2-メチルプロピオンアミド)、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]四水和物、2,2’-アゾビス(1-イミノ-1-ピロリジノ-2-メチルプロパン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)等が挙げられる。
また、上記重合開始剤として、リビングラジカル重合を開始させる重合開始剤は特に限定されないが、有機テルル重合開始剤が好ましい。
これらの重合開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0058】
上記モノマー混合物をラジカル反応させる際には、分散安定剤を用いてもよい。上記分散安定剤として、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0059】
上記モノマー混合物をラジカル反応させる際に重合溶媒を用いる場合、該重合溶媒は特に限定されない。上記重合溶媒として、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、トルエン、キシレン等の非極性溶媒を用いることができる。また、上記重合溶媒として、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド等の高極性溶媒を用いることができる。これらの重合溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。重合温度は、重合速度の観点から0~110℃が好ましい。
【0060】
上記粘着付与剤として、例えば、ロジン系樹脂、ロジンエステル系樹脂、水添ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、クマロンインデン系樹脂、脂環族飽和炭化水素系樹脂、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5-C9共重合系石油樹脂等が挙げられる。これらの粘着付与剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、ロジン系樹脂又はテルペン系樹脂が好ましく、水酸基を含有するロジン系樹脂又は水酸基を含有するテルペン系樹脂がより好ましい。
【0061】
上記粘着付与剤は、軟化温度の好ましい下限が70℃、好ましい上限が170℃である。上記軟化温度が70℃以上であれば、上記粘着剤層が柔らかくなりすぎて両面粘着テープの耐落下衝撃性が低下することを抑制することができる。上記軟化温度が170℃以下であれば、上記粘着剤層の被着体に対する濡れ性が高くなり、両面粘着テープの耐落下衝撃性が向上する。上記軟化温度のより好ましい下限は120℃である。
なお、軟化温度とは、JIS K2207環球法により測定した軟化温度である。
【0062】
上記粘着付与剤は、水酸基価の好ましい下限が25、好ましい上限が160である。上記水酸基価が上記範囲内であることで、上記粘着剤層の被着体に対する濡れ性が高くなり、両面粘着テープの耐落下衝撃性が向上する。上記水酸基価のより好ましい下限は30、より好ましい上限は150である。
なお、水酸基価は、JIS K1557(無水フタル酸法)により測定できる
【0063】
上記粘着付与剤の含有量は特に限定されないが、上記アクリル共重合体100重量部に対する好ましい下限は10重量部、好ましい上限は60重量部である。上記粘着付与剤の含有量が10重量部以上であれば、上記粘着剤層の粘着力が高くなる。上記粘着付与剤の含有量が60重量部以下であれば、上記粘着剤層が硬くなりすぎて粘着力が低下することを抑制することができる。
【0064】
上記粘着剤層は、架橋剤が添加されることにより上記粘着剤層を構成する樹脂(例えば、上記アクリル共重合体、上記粘着付与剤等)の主鎖間に架橋構造が形成されていることが好ましい。上記架橋剤の種類及び量を調整することによって、上記粘着剤層のゲル分率を調整しやすくなる。
上記架橋剤は特に限定されず、例えば、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート型架橋剤等が挙げられる。なかでも、イソシアネート系架橋剤が好ましい。
上記架橋剤の添加量は、上記アクリル共重合体100重量部に対する好ましい下限が0.01重量部、好ましい上限が10重量部であり、より好ましい下限が0.1重量部、より好ましい上限が3重量部である。
【0065】
上記粘着剤層は、粘着力を向上させる目的で、シランカップリング剤を含有してもよい。上記シランカップリング剤は特に限定されず、例えば、エポキシシラン類、アクリルシラン類、メタクリルシラン類、アミノシラン類、イソシアネートシラン類等が挙げられる。
【0066】
上記粘着剤層は、遮光性を付与する目的で、着色材を含有してもよい。上記着色材は特に限定されず、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、酸化チタン等が挙げられる。なかでも、比較的安価で化学的に安定であることから、カーボンブラックが好ましい。
【0067】
上記粘着剤層のゲル分率は特に限定されないが、好ましい下限が1重量%、好ましい上限が90重量%である。上記ゲル分率が1重量%以上であれば、上記粘着剤層の凝集力が上がり、両面粘着テープの耐落下衝撃性が向上する。上記ゲル分率が90重量%以下であれば、上記粘着剤層の被着体に対する濡れ性が低下しすぎることを抑制することができ、両面粘着テープの耐落下衝撃性が向上する。上記ゲル分率のより好ましい下限は20重量%、より好ましい上限は70重量%であり、更に好ましい下限は30重量%、更に好ましい上限は50重量%である。
なお、粘着剤層のゲル分率は、以下の方法により測定できる。
両面粘着テープを50mm×100mmの平面長方形状に裁断して試験片を作製する。試験片を酢酸エチル中に23℃にて24時間浸漬した後、酢酸エチルから取り出して、110℃の条件下で1時間乾燥させる。乾燥後の試験片の重量を測定し、下記式(5)を用いてゲル分率を算出する。なお、試験片には、粘着剤層を保護するための離型フィルムは積層されていないものとする。
ゲル分率(重量%)=100×(W-W)/(W-W) (5)
(W:基材の重量、W:浸漬前の試験片の重量、W:浸漬、乾燥後の試験片の重量)
【0068】
上記粘着剤層の厚みは特に限定されないが、片側の粘着剤層の厚みの好ましい下限が20μm、好ましい上限が100μmである。上記粘着剤層の厚みが20μm以上であれば、上記粘着剤層の粘着力が充分となる。上記粘着剤層の厚みが100μm以下であれば、上記発泡体基材の応力緩和性が両面粘着テープ全体としての応力緩和性にも充分に寄与することができる。上記粘着剤層の厚みのより好ましい下限は25μm、より好ましい上限は80μmであり、更に好ましい下限は30μm、更に好ましい上限は70μmであり、更により好ましい下限は35μm、更により好ましい上限は65μmである。
なお、粘着剤層の厚みは、ダイヤル厚み計(例えば、Mitutoyo社製、「ABSデジマチックインジケーター」)を使用して測定できる。
【0069】
本発明の両面粘着テープの厚みは特に限定されないが、好ましい下限は100μm、好ましい上限は1200μmである。上記厚みが100μm以上であれば、両面粘着テープの粘着力が充分となり、また、応力緩和性も充分となる。上記厚みが1200μm以下であれば、両面粘着テープによる充分な接着及び固定を実現することができる。上記厚みのより好ましい下限は250μm、より好ましい上限は900μmであり、更に好ましい下限は350μm、更に好ましい上限は700μmであり、更により好ましい下限は400μm、更により好ましい上限は650μmである。
【0070】
本発明の両面粘着テープの構成は特に限定されず、上記発泡体基材の表面上に上記粘着剤層が積層されていてもよく、上記発泡体基材と上記粘着剤層との間に上記樹脂シートが積層されていてもよい。
【0071】
本発明の両面粘着テープの製造方法として、例えば、以下のような方法が挙げられる。
まず、アクリル共重合体、必要に応じて粘着付与剤、架橋剤等に溶剤を加えて粘着剤Aの溶液を作製して、この粘着剤Aの溶液を発泡体基材の表面に塗布し、溶液中の溶剤を完全に乾燥除去して粘着剤層Aを形成する。次に、形成された粘着剤層Aの上に離型フィルムをその離型処理面が粘着剤層Aに対向した状態に重ね合わせる。
次いで、上記離型フィルムとは別の離型フィルムを用意し、この離型フィルムの離型処理面に粘着剤Bの溶液を塗布し、溶液中の溶剤を完全に乾燥除去することにより、離型フィルムの表面に粘着剤層Bが形成された積層フィルムを作製する。得られた積層フィルムを粘着剤層Aが形成された発泡体基材の裏面に、粘着剤層Bが発泡体基材の裏面に対向した状態に重ね合わせて積層体を作製する。そして、上記積層体をゴムローラ等によって加圧する。これにより、発泡体基材の両側に粘着剤層を有し、かつ、粘着剤層の表面が離型フィルムで覆われた両面粘着テープを得ることができる。
【0072】
また、同様の要領で積層フィルムを2組作製し、これらの積層フィルムを発泡体基材の両側のそれぞれに、積層フィルムの粘着剤層を発泡体基材に対向させた状態に重ね合わせて積層体を作製し、この積層体をゴムローラ等によって加圧してもよい。これにより、発泡体基材の両側に粘着剤層を有し、かつ、粘着剤層の表面が離型フィルムで覆われた両面粘着テープを得ることができる。
【0073】
本発明の両面粘着テープの用途は特に限定されず、例えば、電子機器における部品固定に用いられる。上記電子機器は特に限定されず、例えば、テレビ、モニター、携帯電子機器、車載用電子機器等が挙げられる。
なかでも、本発明の両面粘着テープは、テレビ、モニター等のディスプレイ装置、特に比較的大型のディスプレイ装置における部品固定に好適に用いられ、具体的には、例えば、上記ディスプレイ装置において表面のカバーパネルを筐体に固定するために用いられる。本発明の両面粘着テープは、耐落下衝撃性に優れ、ディスプレイ装置の表示ムラを低減することができることから、比較的大型のディスプレイ装置において細幅の両面粘着テープにより部品を固定する場合であっても好適に用いられる。本発明の両面粘着テープは細幅であってよく、その幅は特に限定されないが、好ましい下限は1000μm、好ましい上限は10000μmであり、より好ましい下限は1500μm、より好ましい上限は5000μmである。これらの用途における本発明の両面粘着テープの形状は特に限定されないが、長方形、額縁状、円形、楕円形、ドーナツ型等が挙げられる。
また、本発明の両面粘着テープは、車輌用内装、家電(例えば、TV、エアコン、冷蔵庫等)の内外装等に用いられてもよい。
【発明の効果】
【0074】
本発明によれば、耐落下衝撃性に優れ、ディスプレイ装置の表示ムラを低減することができ、被着体から剥がす際には発泡体基材を容易に引裂くことができる両面粘着テープを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
図1】せん断破断強度の測定方法を示す模式図である。
図2】両面粘着テープの層間引裂き試験を示す模式図である。
図3】両面粘着テープのタンブル試験用サンプルを示す模式図である。
図4】両面粘着テープの面うねり試験を示す模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0076】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
【0077】
(ポリウレタン発泡体1-1(PU1-1)の製造)
ポリオールとして、ポリプロピレングリコール(PPG)(重量平均分子量1000)90重量部、1,5-ペンタンジオール10重量部を用いた。
ポリオールの合計100重量部にアミン触媒(ダブコLV33、三共エアープロダクト社製)を0.7重量部、整泡剤(SZ5740M、東レ・ダウコーニング社製)を1重量部添加し、攪拌した。そこへポリイソシアネート(2核体モノメリックMDI、東ソー社製)をイソシアネートインデックス85になるよう調整し投入した。その後、0.2g/cmになるように窒素ガスと混合攪拌し、微細な気泡が混入した溶液を得た。その溶液を厚み50μmのPETセパレーター(ニッパ製、V-2)上にアプリケーターを使用して所定の厚みに塗布し、発泡体原料を反応させ、ポリウレタン発泡体を得た。
ポリウレタン発泡体のせん断破断強度、25%圧縮強度、及び、厚みを測定した。
ポリウレタン発泡体を切断して得た測定サンプルの中心部を、X線CT装置(ヤマト科学社製、「TDM1000H-II(2K)」、解像度1.5μm/1ピクセル程度)により撮像し、長さ1.5mm、幅1.2mm、高さ0.3mmの直方体状3D画像を得た。得られた画像について、画像解析ソフトウェア(FEI社製、「Avizo9.2.0」)によりノイズ除去及び二値化を行い、気泡体積分率、気泡の長径分布の平均及び標準偏差、気泡の連泡率、気泡のアスペクト比及び気泡の扁平率を求めた。
【0078】
(ポリウレタン発泡体1-2(PU1-2)の製造)
以下の点以外はポリウレタン発泡体1-1(PU1-1)の製造と同様にして、ポリウレタン発泡体を得た。
[1]ポリオールとして、ポリプロピレングリコール(PPG)(重量平均分子量1000)90重量部、1,5-ペンタンジオール5重量部、1,6-ヘキサメチレンジオール5重量部を用いた。
[2]ポリイソシアネート(2核体モノメリックMDI、東ソー社製)をイソシアネートインデックス85になるよう調整し投入した。
【0079】
(ポリウレタン発泡体1-3(PU1-3)の製造)
以下の点以外はポリウレタン発泡体1-1(PU1-1)の製造と同様にして、ポリウレタン発泡体を得た。
[1]ポリオールとして、ポリプロピレングリコール(PPG)(重量平均分子量1000)90重量部、1,5-ペンタンジオール5重量部、ネオペンチルグリコール5重量部を用いた。
【0080】
(ポリウレタン発泡体2(PU2)の製造)
以下の点以外はポリウレタン発泡体1-1(PU1-1)の製造と同様にして、ポリウレタン発泡体を得た。
[1]ポリオールとして、ポリプロピレングリコール(PPG)(重量平均分子量1000)85重量部、1,6-ヘキサメチレンジオール3重量部、ネオペンチルグリコール3重量部、ε-カプロラクトン9重量部を用いた。
[2]ポリイソシアネート(ポリメリックMDI、東ソー社製)をイソシアネートインデックス90になるよう調整し投入した。
【0081】
(ポリウレタン発泡体3-1(PU3-1)の製造)
以下の点以外はポリウレタン発泡体1-1(PU1-1)の製造と同様にして、ポリウレタン発泡体を得た。
[1]ポリオールとして、ポリプロピレングリコール(PPG)(重量平均分子量1000)91重量部、ε-カプロラクトン9重量部を用いた。
[2]ポリイソシアネート(ポリメリックMDI、東ソー社製)をイソシアネートインデックス100になるよう調整し投入した。
[3]混合する窒素ガスを調整するとともに、微細な気泡が混入した溶液を厚み50μmのPETセパレーター(ニッパ製、V-2)上に塗布する際の厚みを変更した(薄くした)。
【0082】
(ポリウレタン発泡体3-2(PU3-2)の製造)
以下の点以外はポリウレタン発泡体1-1(PU1-1)の製造と同様にして、ポリウレタン発泡体を得た。
[1]ポリオールとして、ポリプロピレングリコール(PPG)(重量平均分子量1000)91重量部、ε-カプロラクトン9重量部を用いた。
[2]ポリイソシアネート(ポリメリックMDI、東ソー社製)をイソシアネートインデックス100になるよう調整し投入した。
【0083】
(ポリウレタン発泡体3-3(PU3-3)の製造)
以下の点以外はポリウレタン発泡体1-1(PU1-1)の製造と同様にして、ポリウレタン発泡体を得た。
[1]ポリオールとして、ポリプロピレングリコール(PPG)(重量平均分子量1000)91重量部、ε-カプロラクトン9重量部を用いた。
[2]ポリイソシアネート(ポリメリックMDI、東ソー社製)をイソシアネートインデックス100になるよう調整し投入した。
[3]混合する窒素ガスを調整するとともに、微細な気泡が混入した溶液を厚み50μmのPETセパレーター(ニッパ製、V-2)上に塗布する際の厚みを変更した(厚くした)。
【0084】
(ポリウレタン発泡体4(PU4)の製造)
以下の点以外はポリウレタン発泡体1-1(PU1-1)の製造と同様にして、ポリウレタン発泡体を得た。
[1]ポリオールとして、ポリプロピレングリコール(PPG)(重量平均分子量1000)90重量部、1,5-ペンタンジオール5重量部、1,6-ヘキサメチレンジオール5重量部を用いた。
[2]ポリイソシアネート(2核体モノメリックMDI、東ソー社製)をイソシアネートインデックス75になるよう調整し投入した。
【0085】
(ポリウレタン発泡体5(PU5)の製造)
以下の点以外はポリウレタン発泡体1-1(PU1-1)の製造と同様にして、ポリウレタン発泡体を得た。
[1]ポリオールとして、ポリプロピレングリコール(PPG)(重量平均分子量1000)90重量部、1,6-ヘキサメチレンジオール10重量部を用いた。
[2]ポリイソシアネート(2核体モノメリックMDI、東ソー社製)をイソシアネートインデックス95になるよう調整し投入した。
【0086】
(ポリウレタン発泡体6(PU6)の製造)
以下の点以外はポリウレタン発泡体1-1(PU1-1)の製造と同様にして、ポリウレタン発泡体を得た。
[1]ポリオールとして、ポリプロピレングリコール(PPG)(重量平均分子量1000)90重量部、1,5-ペンタンジオール10重量部を用いた。
[2]ポリイソシアネート(2核体モノメリックMDI、東ソー社製)をイソシアネートインデックス70になるよう調整し投入した。
【0087】
(ポリウレタン発泡体7(PU7)の製造)
以下の点以外はポリウレタン発泡体1-1(PU1-1)の製造と同様にして、ポリウレタン発泡体を得た。
[1]ポリオールとして、ポリプロピレングリコール(PPG)(重量平均分子量1000)91重量部、ε-カプロラクトン9重量部を用いた。
[2]ポリイソシアネート(ポリメリックMDI、東ソー社製)をイソシアネートインデックス110になるよう調整し投入した。
【0088】
(ポリウレタン発泡体8(PU8)の製造)
以下の点以外はポリウレタン発泡体3-1(PU3-1)の製造と同様にして、ポリウレタン発泡体を得た。
[1]ポリオールとして、ポリプロピレングリコール(PPG)(重量平均分子量1000)91重量部、ε-カプロラクトン9重量部を用いた。
[2]ポリイソシアネート(ポリメリックMDI、東ソー社製)をイソシアネートインデックス85になるよう調整し投入した。
【0089】
(ポリウレタン発泡体9(PU9)の製造)
以下の点以外はポリウレタン発泡体8(PU8)の製造と同様にして、ポリウレタン発泡体を得た。
[1]ポリイソシアネート(ポリメリックMDI、東ソー社製)をイソシアネートインデックス90になるよう調整し投入した。
【0090】
(ポリウレタン発泡体10(PU10)の製造)
以下の点以外はポリウレタン発泡体1-1(PU1-1)の製造と同様にして、ポリウレタン発泡体を得た。
[1]ポリイソシアネート(2核体モノメリックMDI、東ソー社製)をイソシアネートインデックス70になるよう調整し投入した。
[2]混合する窒素ガスを調整するとともに、微細な気泡が混入した溶液を厚み50μmのPETセパレーター(ニッパ製、V-2)上に塗布する際の厚みを変更した(厚くした)。
【0091】
(ポリウレタン発泡体11(PU11)の製造)
以下の点以外はポリウレタン発泡体1-1(PU1-1)の製造と同様にして、ポリウレタン発泡体を得た。
[1]ポリオールとして、ポリプロピレングリコール(PPG)(重量平均分子量1000)30重量部、ポリプロピレングリコール(PPG)(重量平均分子量3100)60重量部、1,5-ペンタンジオール10重量部を用いた。
[2]ポリイソシアネート(ポリメリックMDI、東ソー社製)をイソシアネートインデックス65になるよう調整し投入した。
[3]混合する窒素ガスを調整するとともに、微細な気泡が混入した溶液を厚み50μmのPETセパレーター(ニッパ製、V-2)上に塗布する際の厚みを変更した(厚くした)。
【0092】
(ポリウレタン発泡体12(PU12)の製造)
以下の点以外はポリウレタン発泡体1-1(PU1-1)の製造と同様にして、ポリウレタン発泡体を得た。
[1]ポリオールとして、ポリプロピレングリコール(PPG)(重量平均分子量1000)20重量部、ポリプロピレングリコール(PPG)(重量平均分子量3100)70重量部、1,5-ペンタンジオール10重量部を用いた。
[2]ポリイソシアネート(ポリメリックMDI、東ソー社製)をイソシアネートインデックス65になるよう調整し投入した。
[3]混合する窒素ガスを調整するとともに、微細な気泡が混入した溶液を厚み50μmのPETセパレーター(ニッパ製、V-2)上に塗布する際の厚みを変更した(厚くした)。
【0093】
(ポリエチレン発泡体1(PE1))
ポリエチレン発泡体として、XLIM#15003(積水化学工業社製)を用いた。
【0094】
(粘着剤Iの製造(ラジカル重合))
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器に酢酸エチル52重量部を入れて、窒素置換した後、反応器を加熱して還流を開始した。酢酸エチルが沸騰してから、30分後に重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.08重量部を投入した。ここにモノマー混合物(アクリル酸ブチル(BA)60重量部、アクリル酸2-エチルへキシル(2EHA)36.9重量部、アクリル酸(AAc)3重量部、及び、アクリル酸2-ヒドロキシエチル(2HEA)0.1重量部)を1時間30分かけて、均等かつ徐々に滴下し反応させた。滴下終了30分後にアゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を添加し、更に5時間重合反応させ、反応器内に酢酸エチルを加えて希釈しながら冷却することにより、アクリル共重合体含有溶液を得た。
【0095】
得られたアクリル共重合体の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。具体的には、得られたアクリル共重合体含有溶液をテトラヒドロフラン(THF)によって50倍希釈して得られた希釈液をフィルター(材質:ポリテトラフルオロエチレン、ポア径:0.2μm)で濾過した。得られた濾液をゲルパミエーションクロマトグラフ(Waters社製、2690 Separations Model)に供給して、サンプル流量1ミリリットル/min、カラム温度40℃の条件でGPC測定を行い、アクリル共重合体のポリスチレン換算分子量を測定して、重量平均分子量及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。重量平均分子量は100万、分子量分布(Mw/Mn)は2.6であった。カラムとしてはGPC KF-806L(昭和電工社製)を用い、検出器としては示差屈折計を用いた。
【0096】
得られたアクリル共重合体含有溶液の不揮発分100重量部に対して酢酸エチルを加えて攪拌し、架橋剤(イソシアネート系架橋剤、コロネートL-55E、東ソー社製)5重量部、粘着付与剤の合計30重量部を添加して攪拌し、不揮発分30重量%の粘着剤Iを得た。粘着付与剤としては、水添ロジン系樹脂(軟化点100℃、水酸基価40mgKOH/g)10重量部、ロジンエステル系樹脂(軟化点150℃、水酸基価40mgKOH/g)10重量部、テルペンフェノール系樹脂(軟化点150℃、水酸基価40mgKOH/g)10重量部を用いた。
【0097】
(実施例1~12、比較例1~5)
支持層1(樹脂シート)に粘着剤Iを塗布し、100℃で5分間乾燥させることにより、厚み20μmの粘着剤層1を形成した。この粘着剤層1に発泡体基材の片面を圧着させ、支持層1と発泡体基材とが粘着剤層1を介して積層された積層体を作製した。支持層1(樹脂シート)としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)(X30、東レ社製、厚み50μm)を用いた。次いで、発泡体基材のもう一方の面に支持層2(樹脂シート)を熱融着させ、支持層1、粘着剤層1、発泡体基材、支持層2がこの順に積層された積層体を作製した。支持層2(樹脂シート)としては、アクリル系樹脂(LA2250、クラレ社製、厚み50μm)又はウレタン系ブロック共重合体(TPU)からなるシート(1198ATR、BASF社製、厚み20μm)を用いた。
次いで、厚み150μmの離型紙を用意し、この離型紙の離型処理面に粘着剤Iを塗布し、100℃で5分間乾燥させることにより、厚み50μm、55μm又は60μmの粘着剤層2を形成した。この粘着剤層2を、発泡体基材に積層された支持層1(樹脂シート)の表面と貼り合わせた。次いで、同様の要領で、発泡体基材の反対の支持層2(樹脂シート)の表面にも、上記粘着剤層2と同じ構成の粘着剤層3を貼り合わせた。その後、40℃で48時間加熱することで養生を行った。これにより、離型紙で覆われた両面粘着テープを得た。
なお、支持層2(樹脂シート)の引張弾性率は、それぞれ10MPa、108MPaであった。
【0098】
得られた両面粘着テープを50mm×100mmの平面長方形状に裁断して試験片を作製し、試験片を酢酸エチル中に23℃にて24時間浸漬した後、酢酸エチルから取り出して、110℃の条件下で1時間乾燥させた。乾燥後の試験片の重量を測定し、下記式(5)を用いて粘着剤層のゲル分率を算出したところ、粘着剤層のゲル分率は42重量%であった。
ゲル分率(重量%)=100×(W-W)/(W-W) (5)
(W:基材の重量、W:浸漬前の試験片の重量、W:浸漬、乾燥後の試験片の重量)
【0099】
<評価>
実施例、比較例で得られた両面粘着テープについて以下の評価を行った。結果を表1~2に示した。
【0100】
(1)リワーク(層間引裂き試験)
図2に、両面粘着テープの層間引裂き試験を示す模式図を示す。図2(a)は正面図、図2(b)は側面図である。両面粘着テープのサイズ50mm×5mmの試験片2、及び、2枚のサイズ100mm×20mm、厚さ2mmのPC板1を図2に示すように積層した。この積層体を5kg、10秒の条件で重しを用いて圧着した後、24時間放置し、試験片2を介して2枚のPC板1を貼り合わせた引裂き試験用サンプルを作製した。この引裂き試験用サンプルの一方のPC板を固定した後、ステンレス製の針金3(0.3φ、TRUSCO社製「TYWS-03」)を試験片2の下から引っ掛け、図2の矢印方向に300mm/minの条件で引っ張った。試験片2の基材層間が針金3により引裂かれる際の試験力を測定した。試験力が10N/5mm未満であった場合を◎、10N/5mm以上15N/5mm未満であった場合を〇、15N/5mm以上であった場合を×と示した。
【0101】
(2)耐落下衝撃(タンブル試験)
図3に、両面粘着テープのタンブル試験用サンプルを示す模式図を示す。両面粘着テープの長辺23mm×短辺13.3mm、幅3.2mmの額縁状の試験片6を、サイズ55mm×65mm、厚さ10mm、重さ42gのPMMA板5とサイズ70mm×130mm、厚さ2mm、重さ137gのSUS板4とで挟み、図3に示すように積層した。この積層体を5kg、10秒の条件で重しを用いて圧着した後、24時間放置し、試験片6を介してPMMA板5とSUS板4とを貼り合わせたタンブル試験用サンプルを作製した。タンブル試験用サンプルをタンブル試験機(新栄電子計測器社製、TDR-1000A-SC01)に入れ、10回落下/minの頻度で様々な角度からの落下衝撃を繰り返し与えた。両面粘着テープが破断してタンブル試験用サンプルが分離するまでの落下回数を測定した。落下回数が30回以上であった場合を◎、10回以上30回未満であった場合を〇、10回未満であった場合を×と示した。
【0102】
(3)表示ムラ(面うねり試験)
図4に、両面粘着テープの面うねり試験を示す模式図を示す。図4(a)は上面図、図4(b)は断面図である。サイズ256mm×182mm、厚さ4mmのガラス板10の上に、幅15mm、厚さ50μmの片面黒色遮光テープ8を15mm間隔を空けて積層し段差を作った。同様にガラス板10の上に、幅15mm、厚さ100μmの片面黒色遮光テープ9を積層し段差を作った。これらの段差の上から、両面粘着テープの幅10mmの試験片7をガラス板10の4辺に積層した。試験片7の上にサイズ256mm×182mm、厚さ1mmのガラス板12を積層し、試験片7を介してガラス板10とガラス板12とを貼り合わせた。更にガラス板12の上に厚さ100μmの片面黒色遮光テープ13を積層し、面うねり試験用サンプルを得た。JIS B0601:2001に準拠して、面うねり試験用サンプルにおける210mm×105mmの測定領域11に対して、レーザー顕微鏡(キーエンス社製、VR-3000型)を用いて表面粗さの最大高さSzを測定した。最大高さSzが120μm未満であった場合を◎、120μm以上200μm未満であった場合を〇、200μm以上であった場合を×と示した。
【0103】
【表1】
【0104】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明によれば、耐落下衝撃性に優れ、ディスプレイ装置の表示ムラを低減することができ、被着体から剥がす際には発泡体基材を容易に引裂くことができる両面粘着テープを提供することができる。
【符号の説明】
【0106】
1 PC板
2 試験片(両面粘着テープ)
3 針金
4 SUS板
5 PMMA板
6 額縁状の試験片(両面粘着テープ)
7 試験片(両面粘着テープ)
8 片面黒色遮光テープ(幅15mm、厚さ50μm)
9 片面黒色遮光テープ(幅15mm、厚さ100μm)
10 ガラス板
11 測定領域
12 ガラス板
13 片面黒色遮光テープ
18 試験片(両面粘着テープ)
19 SUS板
図1
図2
図3
図4