(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-15
(45)【発行日】2025-04-23
(54)【発明の名称】電子機器、テザリング端末、通信システム、及び通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 12/08 20210101AFI20250416BHJP
H04W 36/14 20090101ALI20250416BHJP
H04W 48/20 20090101ALI20250416BHJP
H04W 76/30 20180101ALI20250416BHJP
H04W 76/10 20180101ALI20250416BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20250416BHJP
H04W 88/04 20090101ALI20250416BHJP
H04M 1/72448 20210101ALI20250416BHJP
H04M 1/00 20060101ALI20250416BHJP
【FI】
H04W12/08
H04W36/14
H04W48/20
H04W76/30
H04W76/10
H04W84/12
H04W88/04
H04M1/72448
H04M1/00 U
(21)【出願番号】P 2021093957
(22)【出願日】2021-06-04
【審査請求日】2024-03-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】長田 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】内藤 和真
【審査官】山中 実
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-143632(JP,A)
【文献】国際公開第2016/027545(WO,A1)
【文献】特開2015-103990(JP,A)
【文献】特開2011-166600(JP,A)
【文献】特開2017-011662(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 12/08
H04W 36/14
H04W 48/20
H04W 76/30
H04W 76/10
H04W 84/12
H04W 88/04
H04M 1/72448
H04M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに無線接続するための第一通信部と、
テザリング端末と無線接続するための第二通信部と、
前記ネットワークのアクセスポイントを接続先テーブルに登録する登録部と、
前記接続先テーブルに登録されている前記アクセスポイントとの無線接続を制御する通信制御部と、を備え、
前記通信制御部は、
前記接続先テーブルに前記ネットワークの第一のアクセスポイントが登録されている場合、前記第二通信部により前記テザリング端末を経由して前記第一のアクセスポイントに接続し、
前記接続先テーブルに前記第一のアクセスポイントとは異なる第二のアクセスポイントが登録されている場合、前記第一通信部により前記第二のアクセスポイントに接続し、
前記第二通信部によ
り前記テザリング端末を経由して前
記第一のアクセスポイントに接続しているときに、前
記第二のアクセスポイントを含む接続先情報が前記テザリング端末から受信された場合、
前記登録部は、前記接続先情報に含まれる前記第二のアクセスポイントを前記接続先テーブルに登録し、前記通信制御部は、前記第一通信部により前記第二のアクセスポイントに接続し
て前記第二通信部を切断
し、
前記接続先情報は、前記テザリング端末で検索された接続可能な前記第二のアクセスポイントのうち、前記テザリング端末においてユーザが接続許可を行った前記第二のアクセスポイントを含む、
電子機器。
【請求項2】
前記第二通信部により前記テザリング端末を経由して前記第一のアクセスポイントに接続しているときに、前記接続先情報が前記テザリング端末から受信されない場合、前記通信制御部は、前記テザリング端末を経由した前記第一のアクセスポイントへの接続を継続する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記通信制御部は、優先度が設定された複数の前記第二のアクセスポイントが前記接続先テーブルに登録されている場合、前記電子機器と現在無線接続できる前記第二のアクセスポイントのうちで前記優先度が最も高い対象ポイントを特定して接続する、
請求項
1に記載の電子機器。
【請求項4】
ネットワークに無線接続するための第一通信部と、
テザリング端末と無線接続するための第二通信部と、
前記第二通信部により、前記テザリング端末を経由して前記ネットワークの第一のアクセスポイントに接続しているときに、前記第一のアクセスポイントとは異なる第二のアクセスポイントを含む接続先情報が前記テザリング端末から受信された場合、前記第一通信部により前記第二のアクセスポイントに接続し、前記第二通信部を切断することが可能な通信制御部と、
前記ネットワークのアクセスポイントを接続先テーブルに登録する登録部と、
を備えた電子機器であって、
前記登録部は、前記接続先情報に含まれる前記第二のアクセスポイントを前記接続先テーブルに登録し、
前記通信制御部は、前記接続先テーブルに登録されている前記第二のアクセスポイントに接続し、
前記通信制御部は、優先度が設定された複数の前記第二のアクセスポイントが前記接続先テーブルに登録されている場合、前記電子機器と現在無線接続できる前記第二のアクセスポイントのうちで前記優先度が最も高い対象ポイントを特定して接続し、
前記通信制御部は、特定した前記対象ポイントに自動接続禁止が設定されている場合、前記第二通信部によって接続された前記テザリング端末に前記対象ポイントへの接続許可を問合せ、前記テザリング端末から前記接続許可を受けた場合に、前記対象ポイントに接続する、
電子機器。
【請求項5】
ネットワークに無線接続するための第一通信部と、
テザリング端末と無線接続するための第二通信部と、
前記第二通信部により、前記テザリング端末を経由して前記ネットワークの第一のアクセスポイントに接続しているときに、前記第一のアクセスポイントとは異なる第二のアクセスポイントを含む接続先情報が前記テザリング端末から受信された場合、前記第一通信部により前記第二のアクセスポイントに接続し、前記第二通信部を切断することが可能な通信制御部と、
前記ネットワークのアクセスポイントを接続先テーブルに登録する登録部と、
を備えた電子機器であって、
前記登録部は、前記接続先情報に含まれる前記第二のアクセスポイントを前記接続先テーブルに登録し、
前記通信制御部は、前記接続先テーブルに登録されている前記第二のアクセスポイントに接続し、
前記通信制御部は、優先度が設定された複数の前記第二のアクセスポイントが前記接続先テーブルに登録されている場合、前記電子機器と現在無線接続できる前記第二のアクセスポイントのうちで前記優先度が最も高い対象ポイントを特定して接続し、
前記通信制御部は、特定した前記対象ポイントが所定種別のアクセスポイントである場合、前記第二通信部によって接続された前記テザリング端末に前記対象ポイントへの接続許可を問合せ、前記テザリング端末から前記接続許可を受けた場合に、前記対象ポイントに接続する、
電子機器。
【請求項6】
前記通信制御部は、特定した前記対象ポイントに接続禁止が設定されている場合、前記対象ポイントに接続しない、
請求項3から5の何れかに記載の電子機器。
【請求項7】
前記接続先情報は、前記テザリング端末で検出された、前記テザリング端末が現在無線接続できる前記第二のアクセスポイントを含む、
請求項1から6の何れかに記載の電子機器。
【請求項8】
テザリング端末であって、
ネットワークに無線接続するためのネットワーク通信部と、
電子機器と無線接続するための機器通信部と、
前記機器通信部によって接続された前記電子機器を、前記ネットワーク通信部によって接続された前記ネットワーク
の第一のアクセスポイントに接続させるテザリングを実行するテザリング制御部と、
前記テザリング端末が接続可能であり且つ前記第一のアクセスポイントとは異なる第二のアクセスポイントを検索する検索部と、
前記電子機器が前記テザリングによって前記第一のアクセスポイントに接続しているときに、前記第二のアクセスポイントを含む接続先情報を前記電子機器に送信するかどうかを判断する判断部と、
前記判断部によって前記接続先情報を前記電子機器に送信すると判断されたときに、前記機器通信部によって接続された前記電子機器に
前記接続先情報を送信することが可能な情報送信部と、
を備え
、
前記判断部は、ユーザが前記テザリング端末において、前記検索部によって検索された前記第二のアクセスポイントの何れかについて接続許可を行った場合、前記接続先情報を前記電子機器に送信すると判断し、
前記接続先情報は、前記ユーザが接続許可を行った前記第二のアクセスポイントを含む、
テザリング端末。
【請求項9】
電子機器とテザリング端末とを含む通信システムであって、
前記電子機器は、ネットワークと前記テザリング端末とに無線接続することが可能であり、
且つ前記ネットワークのアクセスポイントを登録した接続先テーブルを備え、前記接続先テーブルに登録されている前記アクセスポイントに無線接続することが可能であり、
前記テザリング端末は、前記ネットワークと前記電子機器とに無線接続することが可能であり、
且つ前記テザリング端末に接続された前記電子機器を、前記ネットワークの第一のアクセスポイントに接続させるテザリングを実行することが可能であり、
前記電子機器は、
前記接続先テーブルに前記第一のアクセスポイントが登録されている場合、前記テザリング端末を経由して前記第一のアクセスポイントに接続し、
前記接続先テーブルに前記第一のアクセスポイントとは異なる第二のアクセスポイントが登録されている場合、前記第二のアクセスポイントに接続し、
前記電子機器が前記テザリングによって前記第一のアクセスポイントに接続しているときに、
前記テザリング端末は、ユーザが前記テザリング端末において検索された前記第二のアクセスポイントの何れかについて接続許可を行った場合、前記ユーザが接続許可を行った前記第二のアクセスポイントを含む接続先情報を前記電子機器に送信し、
前記電子機器は、前記接続先情報を前記テザリング端末から受信した場合、前記接続先情報に含まれる前記第二のアクセスポイントを前記接続先テーブルに登録し、前記第二のアクセスポイントに接続して前記テザリング端末から切断する、
通信システム。
【請求項10】
電子機器とテザリング端末とを含む通信システムで実行される通信方法であって、
前記電子機器は、ネットワークと前記テザリング端末とに無線接続することが可能であり、
且つ前記ネットワークのアクセスポイントを登録した接続先テーブルを備え、前記接続先テーブルに登録されている前記アクセスポイントに無線接続することが可能であり、
前記テザリング端末は、前記ネットワークと前記電子機器とに無線接続することが可能であり、
且つ前記テザリング端末に接続された前記電子機器を、前記ネットワークの第一のアクセスポイントに接続させるテザリングを実行することが可能であり、
前記接続先テーブルに前記第一のアクセスポイントが登録されている場合、前記電子機器が前記テザリング端末を経由して前記第一のアクセスポイントに接続することと、
前記接続先テーブルに前記第一のアクセスポイントとは異なる第二のアクセスポイントが登録されている場合、前記電子機器が前記第二のアクセスポイントに接続することと、
前記電子機器が前記テザリングによって前記第一のアクセスポイントに接続しているときに、
ユーザが前記テザリング端末において検索された前記第二のアクセスポイントの何れかについて接続許可を行った場合、前記テザリング端末が、前記ユーザが接続許可を行った前記第二のアクセスポイントを含む接続先情報を前記電子機器に送信することと、
前記電子機器が前記接続先情報を前記テザリング端末から受信した場合、前記接続先情報に含まれる前記第二のアクセスポイントを前記接続先テーブルに登録し、前記第二のアクセスポイントに接続して前記テザリング端末から切断することと、
を備えた通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信ネットワークに接続するための電子機器、テザリング端末、通信システム、及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テザリング端末を経由して無線通信ネットワークに接続する通信経路と、テザリング端末を経由しないで無線通信ネットワークに接続する通信経路とを、自動的に切り替える技術が知られている。例えば特許文献1は、携帯端末装置が自端末で接続可能な無線通信ネットワークの通信方式と、テザリング端末装置経由で接続可能な無線通信ネットワークの通信方式とを比較し、優先度の高い通信方式の無線通信ネットワークに接続するように制御することを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、上述の優先度が、各通信方式の通信速度を含むパラメータに基づいて決定される。例えば通信速度が条件を満たした通信方式は優先度が高いと特定されて、その通信方式の無線通信ネットワークに接続される。そのため、携帯端末装置が、ユーザの意図しない無線通信ネットワーク(例えば、セキュリティが脆弱なネットワーク)に自動的に接続されてしまうおそれがある。
【0005】
本開示の一態様は、ユーザの意図しない無線通信ネットワークに接続されることを抑制しつつ、複数の異なる通信方式の無線通信ネットワークに選択的に接続できる電子機器、テザリング端末、通信システム、及び通信方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る電子機器は、ネットワークに無線接続するための第一通信部と、テザリング端末と無線接続するための第二通信部と、前記第二通信部により、前記テザリング端末を経由して前記ネットワークの第一のアクセスポイントに接続しているときに、前記第一のアクセスポイントとは異なる第二のアクセスポイントを含む接続先情報が前記テザリング端末から受信された場合、前記第一通信部により前記第二のアクセスポイントに接続し、前記第二通信部を切断することが可能な通信制御部と、を備える。
【0007】
本開示の一態様に係るテザリング端末は、ネットワークに無線接続するためのネットワーク通信部と、電子機器と無線接続するための機器通信部と、前記機器通信部によって接続された前記電子機器を、前記ネットワーク通信部によって接続された前記ネットワークに接続させるテザリングを実行するテザリング制御部と、前記電子機器が前記テザリングによって前記ネットワークの第一のアクセスポイントに接続しているときに、前記第一のアクセスポイントとは異なる第二のアクセスポイントを含む接続先情報を、前記機器通信部によって接続された前記電子機器に送信することが可能な情報送信部と、を備える。
【0008】
本開示の一態様に係る通信システムは、電子機器とテザリング端末とを含む通信システムであって、前記電子機器は、ネットワークと前記テザリング端末とに無線接続することが可能であり、前記テザリング端末は、前記ネットワークと前記電子機器とに無線接続することが可能であり、前記電子機器が前記テザリング端末を経由して前記ネットワークの第一のアクセスポイントに接続しているときに、前記第一のアクセスポイントとは異なる第二のアクセスポイントを含む接続先情報を、前記テザリング端末から前記電子機器に送信する情報送信部と、前記接続先情報が前記テザリング端末から前記電子機器に受信された場合、前記電子機器を前記第二のアクセスポイントに接続させ、且つ前記電子機器を前記テザリング端末から切断する通信制御部と、を備える。
【0009】
本開示の一態様に係る通信方法は、電子機器とテザリング端末とを含む通信システムで実行される通信方法であって、前記電子機器は、ネットワークと前記テザリング端末とに無線接続することが可能であり、前記テザリング端末は、前記ネットワークと前記電子機器とに無線接続することが可能であり、前記電子機器が前記テザリング端末を経由して前記ネットワークの第一のアクセスポイントに接続しているときに、前記第一のアクセスポイントとは異なる第二のアクセスポイントを含む接続先情報を、前記テザリング端末から前記電子機器に送信することと、前記接続先情報が前記テザリング端末から前記電子機器に受信された場合、前記電子機器を前記第二のアクセスポイントに接続させ、且つ前記電子機器を前記テザリング端末から切断することと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】通信システムの全体構成の一例を示す図である。
【
図2】電子機器の電気的構成を示すブロック図である。
【
図3】テザリング端末の電気的構成を示すブロック図である。
【
図4】第一実施形態における接続先テーブルのデータ構成図である。
【
図5】第一実施形態の通信システムで実行される無線接続制御のフローチャートである。
【
図6】第一実施形態における接続先設定画面の具体例である。
【
図7A】第一実施形態における接続先テーブルのデータ構成図である。
【
図7B】第一実施形態における接続先テーブルのデータ構成図である。
【
図8A】通信システムの全体構成の一例を示す図である。
【
図8B】通信システムの全体構成の一例を示す図である。
【
図9】第二実施形態の通信システムで実行される無線接続制御のフローチャートである。
【
図10】第二実施形態における接続先テーブルのデータ構成図である。
【
図11】第二実施形態における接続先設定画面の具体例である。
【
図12】第二実施形態における接続先情報の変遷を説明するための図である。
【
図13】第二実施形態における接続先設定画面の具体例である。
【
図14】第二実施形態における接続先情報の変遷を説明するための図である。
【
図16A】変形例における接続先テーブルのデータ構成図である。
【
図16B】変形例における接続先テーブルのデータ構成図である。
【
図16C】変形例における接続先テーブルのデータ構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
[第一実施形態]
第一実施形態に係る通信システム100の構成を説明する。
図1は、通信システム100の全体構成の一例を示す図である。
図2は、電子機器110の電気的構成を示すブロック図である。
図3は、テザリング端末120の電気的構成を示すブロック図である。
図4は、第一実施形態における接続先テーブル210,310のデータ構成図である。
【0013】
図1に示すように、通信システム100は、電子機器110とテザリング端末120とを含む。電子機器110は、無線LAN通信161と機器間通信162とを実行可能な通信機器である。電子機器110は、無線LAN通信161によって、ルータ140をアクセスポイントとしてネットワーク130に接続可能である。また電子機器110は、機器間通信162によってテザリング端末120と接続できる。機器間通信162は、電子機器間を相互に接続可能な近距離無線通信162Aと、近距離無線通信162Aよりも通信距離が長い無線LAN通信162Bとを含む。
【0014】
テザリング端末120は、機器間通信162と移動体通信163とを実行可能であり、且つテザリング機能を備えた通信端末である。テザリング端末120は、移動体通信163によって移動体通信網150にアクセスし、ネットワーク130に接続可能である。テザリング端末120は、近距離無線通信162Aで電子機器110と接続し、電子機器110の設定変更等を遠隔で実行できる。また電子機器110は、無線LAN通信162Bでテザリング端末120と接続し、移動体通信163を行うテザリング端末120をアクセスポイントとして、ネットワーク130に接続可能である。
【0015】
本実施形態において、ネットワーク130は、例えばインターネット、WANなどである。無線LAN通信161、162Bは、Wi-fi(登録商標)であるが、他の無線LAN規格に準拠してもよい。近距離無線通信162Aは、Bluetooth(登録商標)であるが、電子機器間を相互に接続可能な他の近距離無線通信(例えばNFC)でもよい。移動体通信163は、例えば3G、LTE、WiMAX、4G、5Gなどである。
【0016】
図1及び
図2に示すように、本実施形態の電子機器110は、ユーザの首に掛けるように装着されるウエアラブルな音入出力機器である。電子機器110は、ユーザが携行可能な通信機器であればよく、例えば、スマートフォン、ヘッドセット、スマートウォッチなどでもよい。電子機器110は、スピーカ111、マイク112、第一通信部211、第二通信部212、制御部200等を備える。
【0017】
第一通信部211は、ネットワーク130に無線接続するための通信インタフェイスである。例えば第一通信部211は、無線LAN通信161を制御する集積回路が実装された基板ユニットである。
【0018】
第二通信部212は、テザリング端末120と無線接続するための通信インタフェイスである。例えば第二通信部212は、機器間通信162(近距離無線通信162A及び無線LAN通信162B)を制御する集積回路が実装された基板ユニットである。
【0019】
本実施形態の電子機器110は、一つのWi-fi基板ユニット及び一つのBluetooth基板ユニットを備える。一つのWi-fi基板ユニットが、無線LAN通信161の実行時に第一通信部211として機能し、無線LAN通信162Bの実行時に第二通信部212として機能する。一つのBluetooth基板ユニットが、近距離無線通信162Aの実行時に第二通信部212として機能する。
【0020】
制御部200は、CPU、メモリ等を含み、電子機器110の制御を司る。例えば、制御部200はSoC(System on Chip)で構成される。制御部200のCPUがメモリに記憶されたプログラムを実行することで、
図2に例示する各機能ブロックが実現される。これらの機能ブロックは、通信制御部201及び登録部202を含む。また制御部200のメモリには、接続先テーブル210が記憶されている。
【0021】
図4に示すように、本実施形態の接続先テーブル210には、ユーザがテザリング端末120を用いて接続を許可した一つのアクセスポイントと共に、そのアドレスや種別が登録される。例えばアクセスポイントの種別は、「プライベート」、「パブリック」、「テザリング」の何れかである。「プライベート」は、プライベートネットワーク(例えば家庭や会社のWi-fi)のアクセスポイントであることを示す。「パブリック」は、パブリックネットワーク(例えばフリーWi-fi)のアクセスポイントであることを示す。一般的にプライベートネットワークは、パブリックネットワークよりもセキュリティレベルが高い。「テザリング」は、アクセスポイントとして機能するテザリング端末120を示す。
【0022】
図4の例では、接続先テーブル210に登録されているアクセスポイント「MY HOME」は、ユーザの自宅に設置されたルータ140であるため、プライベートネットワークのアクセスポイントである。従って、このアクセスポイントの種別には、「プライベート」が設定されている。図示しないが、接続先テーブル210には、アクセスポイント「MY HOME」のアドレスも登録されている。
【0023】
通信制御部201は、第二通信部212により、テザリング端末120を経由してネットワーク130の第一のアクセスポイントに接続しているときに、第一のアクセスポイントとは異なる第二のアクセスポイントを含む接続先情報がテザリング端末120から受信された場合、第一通信部211により第二のアクセスポイントに接続し、第二通信部212(詳細には、無線LAN通信162B)を切断することが可能である。例えば、第一のアクセスポイントは、テザリング端末120が接続する移動体通信網150である。第二のアクセスポイントは、ネットワーク130に接続するルータ140である。
【0024】
登録部202は、ネットワーク130のアクセスポイントを接続先テーブル210に登録する。詳細には、登録部202は、接続先情報に含まれる第二のアクセスポイントを接続先テーブル210に登録する。通信制御部201は、接続先テーブル210に登録されている第二のアクセスポイントに接続する。これらの機能ブロックの具体的態様は、後述する。
【0025】
図1及び
図3に示すように、本実施形態のテザリング端末120は、スマートフォンである。テザリング端末120は、情報を入出力するためのユーザインタフェース機能と上述のテザリング機能とを備えた通信端末であればよく、例えばノートPC、タブレット端末、モバイルルータなどでもよい。
【0026】
テザリング端末120は、スピーカ121、マイク122、タッチパネルディスプレイ123、ネットワーク通信部311、機器通信部312、制御部300等を備える。タッチパネルディスプレイ123は、情報表示及び操作入力が可能なユーザインタフェースである。テザリング端末120は、タッチパネルディスプレイ123に代えて、ディスプレイのような表示部と、ボタンやキーのような操作部とを備えてもよい。
【0027】
ネットワーク通信部311は、移動体通信網150を介してネットワーク130に無線接続するための通信インタフェイスである。例えばネットワーク通信部311は、移動体通信163を制御する集積回路が実装された基板ユニットである。本実施形態のネットワーク通信部311は、LTE通信モジュールである。さらに、ネットワーク通信部311は、無線LAN通信(例えばWi-fi)を制御する集積回路も実装することで、移動体通信163及び無線LAN通信の両方を実行可能である。
【0028】
機器通信部312は、電子機器110と無線接続するための通信インタフェイスである。例えば機器通信部312は、機器間通信162(近距離無線通信162A及び無線LAN通信162B)を制御する集積回路が実装された基板ユニットである。本実施形態の機器通信部312は、Wi-fi/Bluetooth通信モジュールである。
【0029】
制御部300は、CPU、ROM、RAM等を含み、テザリング端末120の制御を司る。制御部300のCPUがメモリに記憶されたプログラムを実行することで、
図3に例示する各機能ブロックが実現される。これらの機能ブロックは、テザリング制御部301、情報送信部302、検索部303、判断部304を含む。また制御部300のメモリには、接続先テーブル310が記憶されている。
図4に示すように、本実施形態の接続先テーブル310は、後述するように接続先テーブル210と同期されることで、接続先テーブル210と同じアクセスポイントが登録される。
【0030】
テザリング制御部301は、機器通信部312によって接続された電子機器110を、ネットワーク通信部311によって接続されたネットワーク130に接続させるテザリングを実行する。情報送信部302は、電子機器110がテザリングによってネットワーク130の第一のアクセスポイントに接続しているときに、第一のアクセスポイントとは異なる第二のアクセスポイントを含む接続先情報を、機器通信部312によって接続された電子機器110に送信することが可能である。
【0031】
検索部303は、第二のアクセスポイントを検索する。判断部304は、第二のアクセスポイントの検索後に、第二のアクセスポイントを含む接続先情報を電子機器110に送信するかどうかを判断する。情報送信部302は、接続先情報を電子機器110に送信すると判断されたときに、接続先情報を電子機器110に送信する。これらの機能ブロックの具体的態様は、後述する。
【0032】
第一実施形態の通信システム100で実行される各種処理のうち、ネットワーク130への無線接続制御に関する処理を説明する。
図5は、第一実施形態の通信システム100で実行される無線接続制御のフローチャートである。
図6は、第一実施形態における接続先設定画面600の具体例である。
【0033】
以下の説明では、ユーザが予め実行した初期設定によって、電子機器110とテザリング端末120とが近距離無線通信162A(
図1参照)でペアリングされているものとする。ユーザが電子機器110のネットワーク接続を遠隔で操作するためのアプリケーションプログラムが、テザリング端末120に予めインストールされて起動状態にあるものとする。またテザリング端末120では、予めテザリング機能がオンに設定されているものとする。
【0034】
電子機器110の制御部200は、電子機器110の電源投入を契機として、
図5に示す処理を開始する。S501において通信制御部201は、接続先テーブル210に登録されているアクセスポイントを、対象ポイントとして特定する。対象ポイントは、電子機器110がネットワーク130に接続するために無線通信の対象となるアクセスポイントである。
【0035】
S503において通信制御部201は、対象ポイントの種別が「テザリング」であるかを判断する。対象ポイントの種別が「テザリング」でない場合、S505において通信制御部201は第一接続を実行する。第一接続では、第一通信部211が対象ポイント(
図1の例では、アクセスポイント「MY HOME」のルータ140)と無線LAN通信161を実行することで、電子機器110がネットワーク130に接続される。
【0036】
対象ポイントの種別が「テザリング」である場合、S507において通信制御部201は第二接続を実行する。第二接続では、第二通信部212が対象ポイント(即ち、テザリング端末120)と無線LAN通信162Bを実行し、テザリング端末120のテザリング制御部301が上述のテザリングを実行する。これにより電子機器110は、移動体通信163を行うテザリング端末120を介して、ネットワーク130に接続される。
【0037】
なお、S505及びS507において、例えば電子機器110が対象ポイントを検出できない場合や、認証エラー又はネットワークエラーが発生した場合には、第一接続又は第二接続を確立できないため、電子機器110はネットワーク130に接続できない。この場合、通信制御部201は、処理をS501に戻し、第一接続又は第二接続を確立できるまで待機する。このとき、電子機器110及びテザリング端末120の少なくとも一つは、所定の音声出力、ランプ点灯、画像表示等によってエラー報知してもよい。
【0038】
テザリング端末120の制御部300は、テザリング端末120の電源投入を契機として、
図5に示す処理を開始する。S521において検索部303は、電子機器110の接続先候補となるアクセスポイントを検索する。具体的には、検索部303は、ネットワーク通信部311によって、テザリング端末120が無線LAN通信で接続できる全てのアクセスポイントを、接続先候補のアクセスポイントとして検索する。さらに検索部303は、テザリング端末120のテザリング機能がオンである場合、テザリング端末120自身を接続先候補のアクセスポイントに含める。
【0039】
S523において判断部304は、接続先情報を電子機器110に送信するかを判断する。本例では、ユーザが先述のアプリケーションプログラムに所定指示を入力すると、接続先設定画面600(
図6参照)がタッチパネルディスプレイ123に表示され、S523の判断が行われる。S523において判断部304は、接続先設定画面600に対するユーザ操作に基づいて、S521で検索されたアクセスポイントの何れかに対する接続許可がなされたと判断した場合に、接続先情報を電子機器110に送信すると判断する。
【0040】
図6に例示する第一実施形態の接続先設定画面600は、ペアリング機器表示エリア601、現設定表示エリア602、アクセスポイント指定エリア603、決定ボタン604、キャンセルボタン605を含む。ペアリング機器表示エリア601は、ペアリング機器(本例では、電子機器110)の識別情報を示す領域である。
【0041】
現設定表示エリア602は、テザリング端末120の接続先テーブル310に現在設定されている情報を示す領域である。本例では、接続先テーブル310が電子機器110の接続先テーブル210と実質的に同期しているため、現設定表示エリア602に表示されている情報は、接続先テーブル210に現在設定されている情報と同じである。
【0042】
アクセスポイント指定エリア603は、ペアリング機器の接続先となるアクセスポイントを指定するための領域である。例えば、アクセスポイント指定エリア603には、S521で検索されたアクセスポイント(つまり、テザリング端末120が接続可能なアクセスポイント)のリストが、各アクセスポイントの種別及び電波強度と合わせて表示される。ユーザはタッチパネルディスプレイ123等を操作して、アクセスポイント指定エリア603に表示されたリストから一つのアクセスポイントを任意に選択することで、そのアクセスポイントに対するペアリング機器の無線接続を許可できる。
【0043】
図6のアクセスポイント指定エリア603では、選択されたアクセスポイントに対応するボタンが、非選択のアクセスポイントに対応するボタンと区別して表示されている。このようにアクセスポイントが選択された状態で、ユーザが決定ボタン604を押すと、S523において判断部304は接続先情報を電子機器110に送信すると判断する。この場合、S525において判断部304は、テザリング端末120の接続先テーブル310に、選択されたアクセスポイントを登録する。詳細には、接続先テーブル310に登録されている情報を、選択されたアクセスポイント及びその種別に更新する。
【0044】
S527において情報送信部302は、選択されたアクセスポイント及びその種別を含む接続先情報を、ペアリング機器である電子機器110に送信する。つまり接続先情報は、テザリング端末120で検出された、テザリング端末120が現在無線接続できる第二のアクセスポイントを含む。その後、接続先設定画面600が閉じられ、処理はS521に戻る。なお、ユーザがキャンセルボタン605を押すと、S523において判断部304は接続先情報を電子機器110に送信すると判断しない。そのため、接続先情報が送信されることなく、接続先設定画面600が閉じられ、処理はS521に戻る。
【0045】
電子機器110では、S509において登録部202が、テザリング端末120から接続先情報を受信したかを判断する。S509において接続先情報を受信したと判断された場合、S511において登録部202は受信した接続先情報に基づいて、電子機器110の接続先テーブル210にアクセスポイントを登録する。詳細には、接続先テーブル210に登録されている情報を、接続先情報に含まれるアクセスポイント及びその種別に更新する。電子機器110の接続先テーブル210は、テザリング端末120の接続先テーブル310と同期した状態となる。
【0046】
S511の実行後、又はS509において接続先情報を受信したと判断されない場合、処理はS501に戻る。S511で接続先テーブル210が更新された場合、新たに登録されたアクセスポイントを対象ポイントとして、先述したようにS501~S507の処理が実行されることで、電子機器110が接続するアクセスポイントが切り替えられる。
【0047】
以下では、
図5に示す処理に基づく具体的態様を説明する。
図7A,
図7Bは、第一実施形態における接続先テーブル210,310のデータ構成図である。
図8A,
図8Bは、通信システム100の全体構成の一例を示す図である。
【0048】
先述したように、
図1に示す例では、電子機器110を装着しているユーザは在宅しているため、電子機器110はアクセスポイント「MY HOME」の通信範囲内にある。電子機器110では、
図4に示す接続先テーブル210に基づいて、アクセスポイント「MY HOME」が対象ポイントとして特定される(S501)。電子機器110では、アクセスポイント「MY HOME」との第一接続が実行される(S505)。これにより電子機器110は、アクセスポイント「MY HOME」のルータ140と無線LAN通信161を行って、ネットワーク130に接続する。
【0049】
電子機器110を装着しているユーザが、予め電子機器110とペアリングしたテザリング端末120を携行して、自宅から外出したとする。
図8A,
図8Bに示す例では、外出したユーザの電子機器110が、アクセスポイント「MY HOME」の通信範囲外にあり、且つアクセスポイント「FREE SPOT A」の通信範囲内にある。この場合、電子機器110はアクセスポイント「MY HOME」と無線LAN通信161を実行できないため、ネットワーク130に接続できない。
【0050】
そこで、ユーザはテザリング端末120を使用して、電子機器110を他のアクセスポイントに接続させる。具体的には、ユーザは先述のアプリケーションプログラムを用いて、テザリング端末120に接続先設定画面600を表示させる。この場合、
図6に例示するように、ユーザの電子機器110である「Wearable Device 1」が、ペアリング機器表示エリア601に表示される。接続先テーブル210,310に設定されているアクセスポイント「MY HOME」が、現設定表示エリア602に表示されると共に、その接続状態として「未接続」が表示される。
【0051】
アクセスポイント指定エリア603には、S521で検索された接続先候補のアクセスポイントのリストが表示される。このリストでは、テザリング機能がオンに設定されているテザリング端末120がアクセスポイントとして表示されるのに加えて、テザリング端末120が無線LAN通信161で接続可能なアクセスポイントが表示される。
図6の例では、ユーザのテザリング端末120である「MY MOBILE」と、先述の「FREE SPOT A」とを含む複数のアクセスポイントが、アクセスポイント指定エリア603に選択可能に表示される。
【0052】
このように本実施形態では、テザリング端末120が検出したアクセスポイントを、テザリング端末120の近傍にある電子機器110が接続可能なアクセスポイントとみなして、アクセスポイント指定エリア603に表示する。これによりテザリング端末120は、電子機器110が接続可能なアクセスポイントを、電子機器110に問い合わせることなく、アクセスポイント指定エリア603に表示できる。
【0053】
例えばユーザはセキュリティ性の高い通信方式を希望する場合、アクセスポイント指定エリア603においてアクセスポイント「MY MOBILE」を選択して決定ボタン604を押す。この場合、アクセスポイント「MY MOBILE」を含む接続先情報が、テザリング端末120から電子機器110に送信される(S523:YES、S527)。
図7Aに示すように、アクセスポイント「MY MOBILE」が接続先テーブル210,310の両方に登録される(S525、S509:YES、S511)。
【0054】
そのため電子機器110では、
図7Aに示す接続先テーブル210に基づいて、高セキュリティのテザリングを行うアクセスポイント「MY MOBILE」が、対象ポイントとして特定される(S501)。電子機器110では、アクセスポイント「MY MOBILE」との第二接続が実行される(S507)。これにより、
図8Aに示すように電子機器110は、アクセスポイント「MY MOBILE」のテザリング端末120と無線LAN通信162Bを行って、移動体通信網150を介してネットワーク130に接続する。
【0055】
一方、ユーザは経済的に優れた通信方式を希望する場合、アクセスポイント指定エリア603においてアクセスポイント「FREE SPOT A」を選択して決定ボタン604を押す。この場合、アクセスポイント「FREE SPOT A」を含む接続先情報が、テザリング端末120から電子機器110に送信される(S523:YES、S527)。
図7Bに示すように、アクセスポイント「FREE SPOT A」が接続先テーブル210,310の両方に登録される(S525、S509:YES、S511)。
【0056】
そのため電子機器110では、
図7Bに示す接続先テーブル210に基づいて、無償で使用できるパブリックのアクセスポイント「FREE SPOT A」が、対象ポイントとして特定される(S501)。電子機器110では、アクセスポイント「FREE SPOT A」との第一接続が実行される(S505)。これにより、
図8Bに示すように電子機器110は、アクセスポイント「FREE SPOT A」のルータ140と無線LAN通信161を行って、ネットワーク130に接続する。
【0057】
ここで、電子機器110の通信制御部201は、接続先情報に基づく新たなアクセスポイントに切り替えて無線接続する場合、切替え前のアクセスポイントに基づく第一接続又は第二接続を中断して、切替え後のアクセスポイントに基づく第一接続又は第二接続を実行する。例えば、
図7Aに示す接続先テーブル210を記憶する電子機器110が、アクセスポイント「MY MOBILE」のテザリングでネットワーク130に接続しているときに、アクセスポイント「FREE SPOT A」を含む接続先情報を、テザリング端末120から受信したとする。この場合、電子機器110では、接続先テーブル210が
図7Bに示すように更新される。上記のテザリングが中断されて(つまり、第二通信部212を切断されて)、第一通信部211によってアクセスポイント「FREE SPOT A」と無線通信を行うことで、ネットワーク130に接続される。
【0058】
このように通信制御部201は、テザリング端末120を経由してネットワーク130の第一のアクセスポイントに接続しているときであっても、第二のアクセスポイントを含む接続先情報がテザリング端末120から受信された場合には、第一通信部211により第二のアクセスポイントに接続し、第二通信部212(詳細には、無線LAN通信162B)を切断することが可能である。
【0059】
また、電子機器110がテザリング接続中である場合、電子機器110はテザリング端末120から許可がない限り、新たなアクセスポイント(例えば、無線LANのアクセスポイント)に接続しない。例えば電子機器110は、接続先情報を受信した場合に、テザリング端末120から許可があったとみなし、新たなアクセスポイントに接続可能となる。この場合、電子機器110が接続するアクセスポイントは、テザリング端末120が主体となって設定される。
【0060】
一方、電子機器110がテザリング接続中でない場合(即ち、無線LANに接続している場合)、電子機器110は接続先テーブル210に基づいて、主体的に新たなアクセスポイント(例えば、無線LANのアクセスポイント)に接続できる。従って、電子機器110がテザリング接続しているか否かに応じて、アクセスポイントを設定する主体が好適に切り替えられるため、電子機器110が意図しないアクセスポイントに接続することが抑制される。
【0061】
以上説明したように、本開示の第一実施形態によれば、テザリング端末120においてユーザが指定したアクセスポイントを含む接続先情報が、テザリング端末120から電子機器110に受信される。電子機器110は、接続先情報が示すアクセスポイントに無線通信で接続する。これにより、電子機器110がユーザの意図しない無線通信ネットワークに接続されることを抑制しつつ、電子機器110が複数の異なる通信方式の無線通信ネットワークに選択的に接続できる。
【0062】
また、テザリング端末120で検出されたアクセスポイントのうちで、ユーザによって指定されたアクセスポイントを含む接続先情報が、電子機器110に送信される。つまり、接続先情報に含まれるアクセスポイントは、電子機器110の接続先として許可されたアクセスポイントである。従って電子機器110は、テザリング端末120で検出されたアクセスポイントのうち、ユーザ操作によってテザリング端末120で接続許可されたアクセスポイントに接続できる。
【0063】
[第二実施形態]
本開示の第二実施形態を説明する。以下では、第一実施形態と実質的に共通の機能を有する構成及び処理を共通の符号で参照して説明を省略し、第一実施形態と異なる点のみを説明する。
【0064】
第二実施形態の通信システム100は、第一実施形態と同様の構成(
図1~
図3参照)であるが、データの構成や処理の詳細が異なる。
図9は、第二実施形態の通信システム100で実行される無線接続制御のフローチャートである。
図10は、第二実施形態における接続先テーブル210,310のデータ構成図である。
図11は、第二実施形態における接続先設定画面600の具体例である。
【0065】
図10に示すように、本実施形態の接続先テーブル210には、ユーザがテザリング端末120を用いて接続を許可した複数のアクセスポイントを登録可能であり、各アクセスポイントの優先度、接続設定、アドレス、種別等が登録される。優先度は、各アクセスポイントが対象ポイントとして特定される優先度の高さを示す。接続設定は、対象ポイントとして特定されたアクセスポイントに対して、電子機器110を自動的に接続させるか否かを示す。また、電子機器110が接続中の対象ポイントには、「接続中」のフラグが設定される。
【0066】
図10の例では、一つのアクセスポイント「MY HOME」が、接続先テーブル210に登録されている。このアクセスポイント「MY HOME」には、最も高い優先度「1」が設定され、接続設定として「自動」が設定されると共に、第一実施形態と同様に、対応するアドレス及び種別が設定されている。第一実施形態と同様に、接続先テーブル310は接続先テーブル210と同期している。
【0067】
本実施形態では、接続先テーブル210,310に登録されるアクセスポイントの優先度は、アクセスポイントの種別に応じて自動的に設定される。例えば、種別が「プライベート」のアクセスポイントには、最も高い優先度が設定される。種別が「パブリック」のアクセスポイントには、「プライベート」よりも低い優先度が設定される。種別が「テザリング」のアクセスポイントには、「パブリック」よりも低い優先度が設定される。
【0068】
つまり、本実施形態の接続先テーブル210,310では、テザリング端末120で接続が許可された無線LAN通信161のアクセスポイントは、テザリングのアクセスポイントよりも高い優先度が設定される。なお、同一種別の複数アクセスポイントがある場合、所定のルール(例えば登録の早い順、アクセス回数の多い順、接続時間の長い順など)に応じて、各アクセスポイントの優先度が設定されればよい。
【0069】
第二実施形態の通信システム100で実行される各種処理のうち、ネットワーク130への無線接続制御に関する処理を説明する。電子機器110の制御部200は、電子機器110の電源投入を契機として、
図9に示す処理を開始する。S901において通信制御部201は、接続先テーブル210を参照して、優先度に基づき対象ポイントを特定する。詳細には、通信制御部201は、接続先テーブル210に登録されているアクセスポイントのうち、電子機器110と無線接続が可能な有効ポイントを特定する。さらに通信制御部201は、特定した有効ポイントのうちで最も優先度が高いものを、対象ポイントとして特定する。
【0070】
S903において通信制御部201は、接続先テーブル210を参照して、S901で特定された対象ポイントの種別が「自動」であるかを判断する。本例では、対象ポイントの種別が「手動」である場合、S905において通信制御部201は接続許可要求をテザリング端末120に送信する。接続許可要求は、電子機器110を対象ポイントに接続させるかを、テザリング端末120に問い合わせるコマンドである。
【0071】
その後、通信制御部201は、所定の待機時間、接続許可要求に対する応答コマンドを待ち受ける。S907において接続許可の応答コマンドを待機時間内に受信した場合、通信制御部201は処理をS503に移行する。通信制御部201は、S903において対象ポイントの種別が「自動」であると判断した場合も、処理をS503に移行する。以降のS503~S511は、第一実施形態と同様である。
【0072】
S907において、応答コマンドを受信することなく待機時間を経過した場合、又は接続拒否の応答コマンドを受信した場合、通信制御部201は処理をS901に戻す。S901において通信制御部201は、特定した有効ポイントのうちで次に優先度が高いものを対象ポイントとして特定し、上記と同様の処理(S903~S907)を実行する。
【0073】
なお、接続先テーブル210に有効ポイントがない場合、又は接続先テーブル210にある全ての有効ポイントについて接続許可を受信できなかった場合、通信制御部201は何れのアクセスポイントにも接続できない。この場合、通信制御部201は、所定時間の経過後にS901から処理をリトライしてもよいし、電子機器110及びテザリング端末120の少なくとも一つにおいてエラー報知してもよい。
【0074】
テザリング端末120の制御部300は、テザリング端末120の電源投入を契機として、
図9に示す処理を開始する。S921において制御部300は、電子機器110から接続許可要求を受信したかを判断する。S921において接続許可要求を受信した場合、S923において制御部300は、テザリング端末120におけるユーザ指示に応じて応答処理を行う。例えば、ユーザがテザリング端末120において接続許可を指示した場合、制御部300は接続許可の応答コマンドを電子機器110に送信する。
【0075】
S923の実行後、又はS921において接続許可要求を受信していない場合、制御部300は処理をS521に移行する。以降のS521~S527は、第一実施形態と同様であるが、S523において表示される接続先設定画面600が第一実施形態の態様(
図6参照)と異なる。
【0076】
図11に例示する第二実施形態の接続先設定画面600では、アクセスポイント指定エリア603において、S521で検索されたアクセスポイントのリストが、各アクセスポイントの接続許可、接続設定、種別及び電波強度と合わせて表示される。ユーザはタッチパネルディスプレイ123等を操作して、アクセスポイントの接続許可に「〇」又は「×」を設定できる。接続許可の「〇」は、ユーザによって接続が許可されたアクセスポイントを示す。接続許可の「×」は、ユーザによって接続が拒否されたアクセスポイントを示す。
【0077】
さらにユーザは、接続許可「〇」のアクセスポイントに対応付けて、その接続設定として「自動」又は「手動」を設定できる。接続設定の「自動」は、接続許可「〇」のアクセスポイントに対し、電子機器110を自動的に接続させることを示す。接続設定の「手動」は、接続許可「〇」のアクセスポイントに対し、電子機器110を自動的に接続させないことを示す。決定ボタン604が押されると、アクセスポイント指定エリア603に設定されたアクセスポイント等を含む接続先情報が、S527において電子機器110に送信され、S511,S525において各接続先テーブル210,310に登録される。
【0078】
以下では、
図9に示す処理に基づく具体的態様を説明する。
図12は、第二実施形態における接続先情報の変遷を説明するための図である。
図13は、第二実施形態における接続先設定画面600の具体例である。
図14は、第二実施形態における接続先情報の変遷を説明するための図である。
図15は、接続可否指示画面1500の具体例である。
【0079】
先述したように、
図1に示す例では、電子機器110を装着しているユーザは在宅しているため、電子機器110はアクセスポイント「MY HOME」の通信範囲内にある。電子機器110では、
図10に示す接続先テーブル210に基づいて、アクセスポイント「MY HOME」が対象ポイントとして特定される(S501)。アクセスポイント「MY HOME」の接続設定は「自動」であるため、電子機器110から接続許可要求が送信されることなく、アクセスポイント「MY HOME」との第一接続が実行される(S505)。これにより、
図1に示すように電子機器110は、自宅のルータ140を経由してネットワーク130に接続する。
【0080】
この状態において、ユーザがテザリング端末120に接続先設定画面600を表示させると、接続先設定画面600は
図11の態様で表示される。具体的には、ユーザの電子機器110である「Wearable Device 1」が、ペアリング機器表示エリア601に表示される。接続先テーブル210,310に設定されているアクセスポイント「MY HOME」が、現設定表示エリア602に表示されると共に、その接続状態として「接続中」が表示される。
【0081】
テザリング端末120はユーザの自宅にあるため、S521において検索されたアクセスポイント「MY HOME」と、テザリング端末120自体のアクセスポイント「MY MOBILE」とが、アクセスポイント指定エリア603に表示される。アクセスポイント「MY HOME」には、接続先テーブル210,310に設定されている通り、接続許可「〇」及び接続設定「自動」が対応付けて表示される。テザリング端末120はまだユーザによる接続許可がなされていないため、アクセスポイント「MY MOBILE」に接続許可「×」が対応付けて表示される。
【0082】
例えばユーザが、
図11に示すアクセスポイント指定エリア603において、
図12に示すように、アクセスポイント「MY MOBILE」に接続許可を「〇」に変更し、接続設定に「自動」を設定して、決定ボタン604を押したとする。この場合、S523において接続先情報を電子機器110に送信すると判断されて、アクセスポイント指定エリア603で設定された内容を含む接続先情報が、テザリング端末120から電子機器110に送信される(S527)。
図12に示すように、新たなアクセスポイント「MY MOBILE」が、接続先テーブル210,310に登録される(S511,S525)。
【0083】
その後、電子機器110を装着しているユーザが、テザリング端末120を携行して自宅から外出したとする。
図8A,
図8Bに示す例では、外出したユーザの電子機器110が、アクセスポイント「MY HOME」の通信範囲外にあり、且つアクセスポイント「FREE SPOT A」の通信範囲内にある。電子機器110はアクセスポイント「MY HOME」から切断されるため、ネットワーク130に接続できない。
【0084】
この場合、電子機器110では、接続先テーブル210(
図12参照)が参照されて、アクセスポイント「MY HOME」に次いで優先度が高いアクセスポイント「MY MOBILE」が、対象ポイントとして特定される(S901)。アクセスポイント「MY MOBILE」の接続設定は「自動」であるため、電子機器110は接続許可要求を送信することなく、アクセスポイント「MY MOBILE」との第二接続が実行される(S507)。これにより、
図8Aに示すように電子機器110は、テザリング端末120をアクセスポイントとして、移動体通信網150を経由してネットワーク130に接続する。
【0085】
この状態において、ユーザがテザリング端末120に接続先設定画面600を表示させると、接続先設定画面600は
図13の態様で表示される。具体的には、接続先テーブル210,310(
図12参照)に設定されているアクセスポイント「MY HOME」及び「MY MOBILE」が、現設定表示エリア602に表示されると共に、アクセスポイント「MY MOBILE」の接続状態として「接続中」が表示される。
【0086】
例えばテザリング端末120は、アクセスポイント「FREE SPOT A」及び「XYZ COMPANY」の通信範囲内にある。S521において検索されたこれらのアクセスポイント「FREE SPOT A」及び「XYZ COMPANY」と、テザリング端末120自体のアクセスポイント「MY MOBILE」とが、アクセスポイント指定エリア603に表示される。アクセスポイント「MY MOBILE」には、接続先テーブル210,310に設定されている通り、接続許可「〇」及び接続設定「自動」が対応付けて表示される。アクセスポイント「FREE SPOT A」及び「XYZ COMPANY」は、まだユーザによる接続許可がなされていないため、接続許可「×」が対応付けて表示される。
【0087】
例えばユーザが、
図13に示すアクセスポイント指定エリア603において、
図14に示すように、アクセスポイント「FREE SPOT A」に接続許可を「〇」に変更し、接続設定に「手動」を設定して、決定ボタン604を押したとする。この場合、S523において接続先情報を電子機器110に送信すると判断されて、アクセスポイント指定エリア603で設定された内容を含む接続先情報が、テザリング端末120から電子機器110に送信される(S527)。
図14に示すように、新たなアクセスポイント「FREE SPOT A」が、接続先テーブル210,310に登録される(S511,S525)。
【0088】
本例では、アクセスポイント「FREE SPOT A」の種別「パブリック」の優先度は、種別「プライベート」よりも低く、且つ種別「テザリング」よりも高い。従って、
図14に示す接続先テーブル210,310では、アクセスポイント「MY HOME」、「FREE SPOT A」、「MY MOBILE」の降順に、各アクセスポイントの優先度が自動設定される。
【0089】
図14に例示する接続先テーブル210では、新たに登録されたアクセスポイント「FREE SPOT A」の優先度「2」は、現在接続中のアクセスポイント「MY MOBILE」の優先度「3」よりも高い。この場合、電子機器110では、アクセスポイント「FREE SPOT A」が、アクセスポイント「MY MOBILE」に代わる新たな対象ポイントとして特定される(S901)。アクセスポイント「FREE SPOT A」の接続設定は「手動」であるため、接続許可要求が電子機器110からテザリング端末120に送信される(S905)。
【0090】
テザリング端末120が接続許可要求を受信した場合(S921:YES)、例えば接続可否指示画面1500がタッチパネルディスプレイ123に表示される。
図15に例示する接続可否指示画面1500では、接続許可要求の対象となるアクセスポイント「FREE SPOT A」が、その種別及び電波強度と共に表示される。
【0091】
ユーザが接続可否指示画面1500において「許可する」ボタンを押すと、テザリング端末120から電子機器110に接続許可の応答コマンドが送信される(S923)。これによりユーザは、アクセスポイント「FREE SPOT A」への接続を、電子機器110に対して許可できる。なお、ユーザが接続可否指示画面1500において「許可しない」ボタンを押すと、テザリング端末120から電子機器110に接続拒否の応答コマンドが送信される(S923)。これによりユーザは、アクセスポイント「FREE SPOT A」への接続を、電子機器110に対して拒否できる。
【0092】
電子機器110が接続許可を受信した場合(S907:YES)、接続許可されたアクセスポイントへの無線接続が実行される。本例では、テザリング端末120のアクセスポイント「MY MOBILE」との第二接続が切断されて、アクセスポイント「FREE SPOT A」との第一接続に切り替えられる(S505)。これにより、
図8Bに示すように電子機器110は、アクセスポイント「FREE SPOT A」のルータ140を経由して、ネットワーク130に接続する。
【0093】
このように通信制御部201は、第一実施形態と同様に、テザリング端末120を経由してネットワーク130の第一のアクセスポイントに接続しているときであっても、第二のアクセスポイントを含む接続先情報がテザリング端末120から受信された場合には、第一通信部211により第二のアクセスポイントに接続し、第二通信部212(詳細には、無線LAN通信162B)を切断することが可能である。
【0094】
また電子機器110がテザリング接続中である場合、電子機器110はテザリング端末120から許可がない限り、新たなアクセスポイントに接続しない。例えば電子機器110は、接続先情報を受信した場合や、接続先テーブル210に種別「自動」のアクセスポイントがある場合に、テザリング端末120から許可があったとみなし、新たなアクセスポイントに接続可能となる。一方、電子機器110がテザリング接続中でない場合(即ち、無線LANに接続している場合)、電子機器110は接続先テーブル210に基づいて、主体的に新たなアクセスポイント(例えば、無線LANのアクセスポイント)に接続できる。
【0095】
なお、
図14に示す例では、アクセスポイント「FREE SPOT A」の接続設定に「手動」が設定される場合を例示した。これに代えて、アクセスポイント「FREE SPOT A」の接続設定に「自動」が設定された場合には、電子機器110は接続許可要求を送信することなく、アクセスポイント「FREE SPOT A」との第一接続が実行される(S505)。これにより、電子機器110が接続するアクセスポイントが、テザリング端末120からアクセスポイント「FREE SPOT A」に自動的に切り替えられる。
【0096】
以上説明したように、本開示の第二実施形態によれば、テザリング端末120においてユーザが指定したアクセスポイントを含む接続先情報が、テザリング端末120から電子機器110に受信される。電子機器110は、接続先情報が示すアクセスポイントに無線通信で接続する。これにより、電子機器110がユーザの意図しない無線通信ネットワークに接続されることを抑制しつつ、電子機器110が複数の異なる通信方式の無線通信ネットワークに選択的に接続できる。
【0097】
また、テザリング端末120で検出されたアクセスポイントのうちで、ユーザによって許可されたアクセスポイントを含む接続先情報が、電子機器110に送信される。従って電子機器110は、テザリング端末120で検出されたアクセスポイントのうち、ユーザ操作によってテザリング端末120で接続許可されたアクセスポイントに接続できる。さらに電子機器110は、接続先テーブル210に基づいて、過去に接続した種別「自動」のアクセスポイントに自動的に接続できる。
【0098】
また、接続先テーブル210に複数のアクセスポイントが登録されている場合、電子機器110と現在無線接続できる有効ポイントのうちで最も優先度が高いものが対象ポイントとして特定され(S901)、その対象ポイントと接続可能である(S505、S507)。つまり通信制御部201は、優先度が設定された複数の第二のアクセスポイントが接続先テーブル210に登録されている場合、電子機器110と現在無線接続できる第二のアクセスポイントのうちで優先度が最も高い対象ポイントを特定して接続できる。
【0099】
また、S901で特定された対象ポイントの接続設定が「手動」である場合、接続許可要求がテザリング端末120に送信され(S905)、テザリング端末120から接続許可の応答コマンドを受信した場合に、対象ポイントに接続する(S505、S507)。つまり通信制御部201は、特定した対象ポイントに自動接続禁止が設定されている場合、第二通信部212によって接続されたテザリング端末120に対象ポイントへの接続許可を問合せ、テザリング端末120から接続許可を受けた場合に、対象ポイントに接続できる。
【0100】
なお、上記実施形態において、接続先情報に含まれるアクセスポイント(換言すると、接続先テーブル210,310に登録されるアクセスポイント)に、接続設定が関連付けられなくてもよい。この場合、通信制御部201は、S903において対象ポイントが所定種別(例えば、パブリック)のアクセスポイントであると判断した場合、S905において接続許可要求を送信してもよい。つまり通信制御部201は、特定した対象ポイントが所定種別のアクセスポイントである場合、第二通信部212によって接続されたテザリング端末120に対象ポイントへの接続許可を問合せ、テザリング端末120から接続許可を受けた場合に、対象ポイントに接続してもよい。
【0101】
また、ユーザがテザリング端末120において、S521で検索されたアクセスポイントのうちで接続禁止のアクセスポイントを指定してもよい。例えば、S527において、接続禁止が指定されたアクセスポイントを含む接続禁止情報が、電子機器110に送信される。電子機器110では、受信した接続禁止情報が示すアクセスポイントが、制御部200に記憶されている禁止テーブルに登録される。S901で特定された対象ポイントが禁止テーブルに登録されている場合、その対象ポイントへの接続を実行しない。つまり通信制御部201は、特定した対象ポイントに接続禁止が設定されている場合、対象ポイントに接続しなくてもよい。
【0102】
さらに上記実施形態において、例えばS903の処理を省略することで、S901で特定された対象ポイントの接続設定が「自動」であるか「手動」であるかに関係なく、S905において接続許可要求がテザリング端末120に送信されてもよい。この場合、テザリング端末120では、判断部304は接続先テーブル310を参照し、対象ポイントの接続設定が「手動」及び「自動」の何れであるかを判断し、その判断結果に応じた処理を実行してもよい。
【0103】
例えば、対象ポイントの接続設定が「自動」である場合、判断部304は自動的に接続許可の応答コマンドを電子機器110に送信する。この接続許可の応答コマンドは、電子機器110を対象ポイントに接続させるための接続先情報(つまり、対象ポイントを含む接続先情報)でもよい。このように判断部304は、テザリング端末120の接続先テーブル310を参照して、過去に接続設定「自動」が設定されたアクセスポイントであるかを判断し、その判断結果に応じて接続先情報を電子機器110に送信してもよい。なお、対象ポイントの接続設定が「手動」である場合、判断部304は上記実施形態と同様に、接続可否指示画面1500を表示してユーザ操作に応じた応答を行ってもよい。
【0104】
[備考]
本開示は上述した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、接続先テーブル210,310に登録されたアクセスポイントの優先度や接続設定は、各種条件に基づいて自動的に変更されてもよい。
図16A~
図16Cは、変形例における接続先テーブル210,310のデータ構成図である。
図16A~
図16Cに示すように、変形例における接続先テーブル210,310には、アクセスポイントに対応付けて、電子機器110がアクセスポイントに最後に接続した日時である最終アクセス日時が登録されている。
【0105】
本変形例では、セキュリティレベルが相対的に低い種別「パブリック」のアクセスポイントが、最終アクセス日時に基づいて所定条件が満たされたと判断された場合、以下のように優先度や接続設定が更新される。以下では、現在の日付が最終アクセス日時の示す日付から変化した場合、所定条件が満たされたと判断される場合を説明する。これに代えて、現在の日時が最終アクセス日時から規定時間(例えば12時間)経過した場合に、所定条件が満たされたと判断されてもよい。
【0106】
図16Aに示す接続先テーブル210では、種別「パブリック」のアクセスポイント「FREE SPOT A」の最終アクセス日時が示す日付は「2021/3/9」である。電子機器110は現在の日付が変わったときに、
図16Bに示すように、アクセスポイント「FREE SPOT A」の接続設定を「自動」から「手動」に更新する。テザリング端末120も、上記と同様に接続先テーブル310を更新すればよい。これにより、電子機器110が一定期間接続していない種別「パブリック」のアクセスポイントに、電子機器110が自動的に接続することを防止できる。
【0107】
他の態様として、電子機器110は現在の日付が変わったときに、
図16Cに示すように、アクセスポイント「FREE SPOT A」の優先度を下げる。具体的は、アクセスポイント「FREE SPOT A」の優先度を、種別「テザリング」のアクセスポイント「MY HOME」の優先度よりも低くする。テザリング端末120も、上記と同様に接続先テーブル310を更新すればよい。これにより電子機器110を、一定期間接続していない種別「パブリック」のアクセスポイントよりも、テザリング端末120に優先的に接続させることができる。
【0108】
上記以外の手法として、接続先テーブル210,310に登録されるアクセスポイントの優先度は、アクセスポイントの種別に関係なく、所定のルール(例えば登録の早い順、アクセス回数の多い順、接続時間の長い順など)に応じて設定されてもよい。「パブリック」のアクセスポイントのうち、そのアクセスポイントの接続中に他通信方式(テザリング等)のネットワーク接続が一回も発生しなかったものは、その優先度を上げてもよい。その他、接続先テーブル210,310に登録されるアクセスポイントの優先度は、ユーザがテザリング端末120を用いて手動で任意に設定又は変更してもよい。
【0109】
電子機器110やテザリング端末120の機能ブロックは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)及びFPGA(Field Programmable Gate Array)など、集積回路(ICチップ)などに形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0110】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態に夫々開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。更に、各実施形態に夫々開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0111】
100 通信システム、110 電子機器、120 テザリング端末、201 通信制御部、202 登録部、211 第一通信部、212 第二通信部、301 テザリング制御部、302 情報送信部、303 検索部、304 判断部、311 ネットワーク通信部、312 機器通信部