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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-15
(45)【発行日】2025-04-23
(54)【発明の名称】釣竿、及び、釣糸ガイドの着脱構造
(51)【国際特許分類】
   A01K 87/04 20060101AFI20250416BHJP
【FI】
A01K87/04 E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021176573
(22)【出願日】2021-10-28
(65)【公開番号】P2023066073
(43)【公開日】2023-05-15
【審査請求日】2023-10-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
(72)【発明者】
【氏名】牛之濱 幸佑
(72)【発明者】
【氏名】中畑 美徳
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108835057(CN,A)
【文献】実開平4-82961(JP,U)
【文献】特開2013-202004(JP,A)
【文献】特開平3-65130(JP,A)
【文献】特開2021-141887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 87/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣糸が挿通される釣糸ガイドのガイド脚を竿杆表面に対して着脱可能にするガイド着脱構造を備えた釣竿において、
前記ガイド着脱構造は、竿杆表面に対して固定され、前記釣糸ガイドのガイド脚を載置可能な凹所が形成された土台部品と、前記竿杆に対して摺動可能に配設され、前記土台部品を覆うように圧入される筒状の固定部品と、を有し、
前記釣糸ガイドのガイド脚は、前記土台部品の凹所に載置され、固定部品を摺動させて前記土台部品に圧入することで前記竿杆に固定され
前記土台部品の凹所、及び/又は、前記ガイド脚には、前記凹所にガイド脚を載置して前記固定部品を圧入した際、前記ガイド脚が軸方向に抜けないようにする抜け止め部が形成されていることを特徴とする釣竿。
【請求項2】
前記土台部品は、竿杆表面に対して着脱可能に固定されることを特徴とする請求項1に記載の釣竿。
【請求項3】
前記固定部品と土台部品は、螺合によって固定可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の釣竿。
【請求項4】
前記ガイド脚の肉厚をT、前記土台部品の凹所の深さをDとした場合、T≧Dに設定したことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の釣竿。
【請求項5】
前記固定部品の内面には、前記凹所に載置されるガイド脚の表面に当接する弾性部材が被着されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の釣竿。
【請求項6】
前記土台部品の表面には、前記固定部品の内面と密着するOリングが嵌合される円周溝が形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の釣竿。
【請求項7】
前記土台部品の凹所は、載置される前記ガイド脚を、竿杆表面に直接接触させるように形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の釣竿。
【請求項8】
釣糸が挿通される釣糸ガイドのガイド脚を釣竿の竿杆表面に対して着脱可能にするガイド着脱構造において、
前記ガイド着脱構造は、竿杆表面に対して固定可能であり、前記釣糸ガイドのガイド脚を載置可能な凹所が形成された土台部品と、前記竿杆に対して摺動可能であり、前記土台部品を覆うように圧入される筒状の固定部品と、を有し、
前記土台部品と固定部品は、前記釣糸ガイドのガイド脚を、前記土台部品の凹所に載置した状態で、前記固定部品を前記土台部品に圧入することで竿杆に固定状態に保持させ、
前記土台部品の凹所、及び/又は、前記ガイド脚には、前記凹所にガイド脚を載置して前記固定部品を圧入した際、前記ガイド脚が軸方向に抜けないようにする抜け止め部が形成されていることを特徴とするガイド着脱構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣糸ガイドを着脱可能にした釣竿、及び、釣糸ガイドの着脱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スピニングリールや両軸受けリール等、各種の魚釣用リールを装着できる釣竿が知られており、このような釣竿には、魚釣用リールから繰り出される釣糸を案内する釣糸ガイドが釣竿の長手方向に所定間隔をおいて取り付けられている。通常、釣糸ガイドは、釣糸が挿通するガイドリングと、竿杆の表面に固定するガイド脚を備えており、ガイド脚を竿杆の表面に糸止め等によって固定している。
【0003】
前記釣糸ガイドは、竿杆に対して着脱できないよう固定するのが一般的であるが、釣竿によっては、着脱できるように構成することがある。例えば、特許文献1には、竿杆に、ガイド脚を挿入する開口部が一端に設けられた管状差し込み部材を一体的に取り付け、ガイド脚を開口部に挿入した状態で、溶け易い糊などの固定部材を開口部の内部に充填するガイド着脱構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平3-65130号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した特許文献1に開示されたガイド着脱構造は、釣糸ガイドを取り付ける場合、ガイド脚を摘まんで管状差し込み部材の開口部に挿入するため、ガイド脚に力が掛かり過ぎてガイド脚が曲がったり、損傷する可能性がある。特に、釣糸ガイドを繊維強化樹脂製にして軽量、小型化を図ろうとすると、ガイド脚を開口部に挿入して固定部材(糊)を取り付ける際、或いは、釣糸ガイドを取り外す際(着脱操作時)に、曲がり、折れ等の損傷が生じ易くなる。
【0006】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、釣糸ガイドが着脱可能な着脱構造を備えた釣竿において、着脱時に釣糸ガイドが損傷することを防止した釣竿、及び、釣糸ガイドの着脱構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明は、釣糸が挿通される釣糸ガイドのガイド脚を竿杆表面に対して着脱可能にするガイド着脱構造を備えた釣竿において、前記ガイド着脱構造は、竿杆表面に対して固定され、釣糸ガイドのガイド脚を載置可能な凹所が形成された土台部品と、前記竿杆に対して摺動可能に配設され、前記土台部品を覆うように圧入される筒状の固定部品と、を有し、前記釣糸ガイドのガイド脚は、前記土台部品の凹所に載置され、固定部品を摺動させて前記土台部品に圧入することで前記竿杆に固定されることを特徴とする。
【0008】
上記した構成の釣竿によれば、竿杆表面に対して固定される土台部品の凹所に釣糸ガイドのガイド脚を載置し、この状態で筒状の固定部品を摺動させて土台部品を覆うように圧入することでガイド脚を固定状態にすることができる。すなわち、釣糸ガイドを固定する際、従来のように、ガイド脚を摘まんで開口部に圧入する等、ガイド脚に負荷を掛けることがないため、釣糸ガイドの着脱操作時に、ガイド脚が傷付いたり、曲がりや折れ等の損傷が生じることが防止される。
【0009】
また、本発明は、釣糸を案内する釣糸ガイドを釣竿の竿杆に固定する際に用いられるガイド着脱構造を提供する。このガイド着脱構造は、竿杆表面に対して固定可能であり、釣糸ガイドのガイド脚を載置可能な凹所が形成された土台部品と、前記竿杆に対して摺動可能であり、前記土台部品を覆うように圧入される筒状の固定部品と、を有し、前記土台部品と固定部品は、前記釣糸ガイドのガイド脚を、前記土台部品の凹所に載置した状態で、前記固定部品を前記土台部品に圧入することで竿杆に固定状態に保持させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、釣糸ガイドが着脱可能な着脱構造を備えた釣竿において、着脱時に釣糸ガイドが損傷することのない釣竿、及び、着脱時に釣糸ガイドが損傷することのない釣糸ガイドの着脱構造が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る釣竿の一実施形態を示す図であり、(a)は複数の竿杆の収納状態を示す部分断面図、(b)は収納状態の斜視図。
図2図1に示す釣竿の複数の竿杆の一部を振り出した状態(使用状態)を示す斜視図。
図3】ガイド着脱構造の部分を示した斜視図。
図4】ガイド着脱構造を示す図であり、(a)は軸方向に沿った断面図、(b)は図(a)のA-A線に沿った断面図、(c)はガイド脚部分の平面図、(d)がガイド脚部分の側面図。
図5】ガイド着脱構造の土台部品を示す図であり、(a)は平面図、(b)は軸方向に沿った断面図、(c)は図(b)のB-B線に沿った断面図。
図6】ガイド着脱構造の固定部品を示す図であり、(a)は平面図、(b)は軸方向に沿った断面図、(c)は図(b)のC-C線に沿った断面図。
図7】ガイド着脱構造の分解斜視図。
図8】(a)から(c)は、順に、ガイド着脱構造を利用して竿杆に釣糸ガイドを取り付ける工程を示す図。
図9】(a)から(c)は、順に、固定部品を土台部品に固定する工程を示す図。
図10】(a)から(e)は、それぞれ、釣糸ガイドのガイド脚に形成される抜け止め部の各種の変形例を示す平面図。
図11】(a)及び(b)は、それぞれ、釣糸ガイドのガイド脚に形成される抜け止め部の各種の変形例を示す側面図。
図12】ガイド着脱構造の固定部品の変形例を示す断面図。
図13】ガイド着脱構造に載置されるガイド脚の変形例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1及び図2は、本発明に係る釣竿の一実施形態を示す図であり、図1(a)は複数の竿杆の収納状態を示す部分断面図、図1(b)は収納状態の斜視図、図2は、図1に示す釣竿の複数の竿杆の一部を振り出した使用状態を示す斜視図である。
【0013】
図1及び図2に示す釣竿は、運搬時において、短い仕舞寸法にすることが可能な、いわゆるモバイルロッドを例示している。最近では、長尺竿の持ち運びが大変であること、長尺竿は運送会社の制限によって運搬できない、或いは、運送費が高騰している等の理由により、モバイルロッドが注目されるようになっている。本実施形態では、このようなモバイルロッドに釣糸ガイドの着脱構造を配設している。
【0014】
図に示す釣竿(モバイルロッド)1は、元竿杆3に、複数の竿杆5A,5B,5C,5D,5E……5Nを収容し、これを順次振り出して継合される振出式に構成されている。前記元竿杆3の内部に収納される竿杆の本数(継合本数)については任意であり、N本(竿杆5A~竿杆5N)の竿杆が順次大径の竿杆に収納され、最も小径の竿杆5Nが穂先竿杆となっている(図1(a)及び図2では、収納される竿杆の全てを図示していない)。
【0015】
前記元竿杆3及び複数の竿杆の先端には、釣糸を案内する釣糸ガイド8が装着されている(釣糸ガイド8Aはトップガイド)。なお、図1では、元竿杆3の先端は、後述するガイド着脱構造から釣糸ガイドを取り外した状態が示されており、図2では、元竿杆3の先端は、ガイド着脱構造に釣糸ガイドを取り付けた状態が示されている。
【0016】
前記元竿杆3の基端側には、リール脚載置部9aを有するリールシート9が配設されている。このリールシート9の後端側には、固定フード11が設けられ、前端側には、軸方向に移動する移動フード12が設けられている。
【0017】
前記固定フード11は、元竿杆3の基端部の外周面に固定されており、リール脚載置部9aに向けて開口する受入穴11aを備えている。また、移動フード12は、リール脚載置部9aに向けて開口する12aを備えている。前記移動フード12は、元竿杆3に設けられた雄螺子部3Aに対して螺合する雌螺子部が形成された操作部12Aを備えており、リール脚載置部9aにリール脚を載置して後方側を固定フード11の受入穴11aに嵌入し、操作部12Aを回転操作することで、リール脚は、移動フード12と固定フード11とで締め付け固定される。なお、前記操作部12Aと螺合する雄螺子部3Aは、元竿杆3の外周面に形成されているが、元竿杆3の外周面に管状のリールシートを外嵌し、そのリールシートの外周面に形成したものであっても良い。
【0018】
元竿杆3は、前記固定フード11の後端側が軸方向に突出しており、その突出部3aには雄螺子部3Bが形成されて下栓(尻栓)15が螺合するように取り付けられている。下栓15は、キャップ状に形成されており、後端部が開口(開口部15a)した円筒状に形成されている。また、前記元竿杆3の後端開口には、中下栓16が螺合構造又は圧入構造によって固定されており、元竿杆3の後端開口を閉塞している。
【0019】
この中下栓16には、後方に向けて、矩形で閉塞したリング状の装着部16aが一体形成されており、この装着部16aは、下栓(尻栓)15が元竿杆3の後端に螺合、固定された状態で後方に突出するように構成されている。
【0020】
前記元竿杆3に対しては、元竿杆内に収納された複数の竿杆の突出を防止する機能を果たす筒状のカバー部材20が軸方向に沿って着脱可能に装着されている。カバー部材20は、前記元竿杆3に回転可能に配設される操作部12Aに対して圧入、固定できるように構成されており、軸方向に沿って元竿杆3(操作部12A)から取り外し、図2に示すように、元竿杆3の後端部に装着することで、実釣時に握持、保持される、いわゆるグリップとしての機能を兼ね備えている。すなわち、本実施形態の釣竿1は、カバー部材20を元竿杆3の前方側に被せる(図1参照)ことで、各竿杆の先端部分に取り付けられる釣糸ガイドを保護する。また、実際の使用時では、カバー部材20を取り外し、元竿杆3の後端に取り付けることで(図2参照)、仕舞寸法を短くしながら、使用時では長い振出式の釣竿にすることが可能となっている。
【0021】
前記カバー部材20の先端部には、雌螺子部20Aが形成されており、この雌螺子部には、蓋体21が螺合されるようになっている。
実際の使用時には、カバー部材20を元竿杆3(操作部12A)から軸方向に取り出すと共に、蓋体21をカバー部材20の先端から取り外す。また、下栓15を元竿杆から取り外し、この状態で、カバー部材20の雌螺子部20Aを元竿杆3の雄螺子部3Bに螺合する。これにより、カバー部材20が固定フード11から後方に延びるグリップとなり、軸方向長さを長くして使用することができる。
【0022】
グリップ状態となるカバー部材20の後端は開口するものの、この部分に、取り外した下栓15を圧入し、下栓の環状段部15bにカバー部材20の後端縁(開口端)20aを当て付けることで、その開口を閉塞することができる。また、取り外した蓋体21は、その雄螺子部を下栓15の雌螺子部に螺合することで下栓15と一体化することができ、下栓15の開口部15aを閉塞する。
【0023】
本実施形態の釣竿1は、スピニングリール及び両軸受リールの両タイプのリールが装着できる構成となっており、スピニングリールは、リールシート9及び釣糸ガイド8が下方側に向く状態で装着され、両軸受リールは、リールシート9及び釣糸ガイド8が上方側に向く状態で装着される。
【0024】
前記各竿杆の先端には、釣糸ガイドの着脱構造(以下、ガイド着脱構造)30が設けられており、釣糸ガイド8は、このガイド着脱構造30によって各竿杆に対して着脱可能となっている。
【0025】
ここで、図3から図7を参照して、本実施形態のガイド着脱構造30の構成について説明する。
上記した釣糸ガイド8は、釣糸が挿通されるガイドリング8aと、元竿杆(竿杆)3の表面に取り付けられるガイド脚8bとを備えた構成となっており、ガイド脚8bは、装着される竿杆の軸方向に延出するよう形成されている。この場合、ガイド脚8bとガイドリング8aとの間は、連結部8cによって連結されており、ガイド脚8b、ガイドリング8a、連結部8cは、例えば、アルミ等の軽量金属や繊維強化樹脂材等によって一体形成されている。なお、ガイドリング8aの部分には、釣糸の摺動抵抗を減らすように、必要に応じてセラミックス等で形成されたリング部材8dが圧入されている。
【0026】
前記ガイド着脱構造30は、竿杆表面(図では、竿杆は元竿杆3とされている)に対して固定され、釣糸ガイド8のガイド脚8bを載置可能な凹所41が形成された土台部品40と、前記竿杆3に対して摺動可能に配設され、土台部品40を覆うように圧入される筒状の固定部品50と、を有する。
【0027】
土台部品40は、金属、樹脂、木材、硬質ゴム等によって一体形成されており、竿杆表面に対して接着等によって固定される。この場合、土台部品は、竿杆に対して固定状態になれば良く、ネジ止め、固定糸を巻き付けて樹脂で固める、テープ部材を巻き付ける等、各種の固定手段を用いることができる。或いは、土台部品は、竿杆表面に対して着脱可能に固定される構成であっても良い。このように、土台部品を着脱可能にすることで、釣糸ガイド8のガイド脚8bの形状に応じて適切な土台部品に交換することも可能となる。
【0028】
また、土台部品40に形成される凹所41は、そこに装着される釣糸ガイドのガイド脚8bの形状に対応して加工され、ガイド脚8bを凹所内に載置して、ガタ付き等が生じないような形状であれば良い。そして、ガイド脚8bを凹所41に載置した状態で、前記固定部品50を摺動させ、土台部品40に固定部品50を被着(軸方向に摺動して圧入するように被着)することで、釣糸ガイド8を元竿杆3に固定することができる。
【0029】
前記凹所41は、図4に示すように、ガイド脚8bが竿杆表面に直接、接触するように形成されていることが好ましい。このような構成にすることで、魚の当たりが釣糸ガイドを介して竿杆に伝わり易くなり、魚信感度の向上が図れるとともに、ガイド脚が直接、竿杆表面に接触することでガイド高さを抑えることができる。勿論、凹所41は、底部を備え、載置されるガイド脚裏面と竿杆表面との間に底部が介在するような構成であっても良い。また、凹所41を形成するための上端縁については、面取り(テーパ)41aを形成しておくことが好ましく、これにより、ガイド脚8bを上方から凹所41内に設置(載置)し易くすることができる。
【0030】
前記固定部品50は、金属、樹脂、木材、硬質ゴム等によって筒状(軸方向両側が開口する円筒状)に形成されている。また、それ以外にも、カーボン繊維が含まれた樹脂を3Dプリンタで形成することも可能であり、このようなカーボン繊維が含まれた素材を3Dプリンタによって形成すれば、従来の射出成形や型成形とは異なって、表面にカーボン繊維が多数突出した凹凸形状が発現されることから、挿入されるガイド脚8bとの間の摩擦力が向上して実釣時に釣糸ガイド8が外れ難くすることが可能となる。
このような固定部品50は、元竿杆3の外径よりも大径に形成されており、元竿杆3に沿って軸方向に摺動可能に配設される。また、その表面に凹凸部(ローレット等)51を形成しておくことで、摺動操作、及び、回転操作を行い易くすることができる。
【0031】
上記したように、土台部品40の凹所41にガイド脚8bを載置し、この状態で固定部品50を、軸方向に摺動させて土台部品40に圧入することで両者は一体化される(釣糸ガイド8は、固定部品50によって固定された状態となる)。この場合、土台部品40に対して固定部品50を軸方向に圧入することで、ガイド脚8bは固定される(土台部品40の後端側の外周面に形成された雄螺子部45と、固定部品50の後端側の内周面に形成された雌螺子部55は螺合しない)。ただし、ガイド脚8bを載置して、固定部品50を土台部品40に圧入した後、両者を螺合によって固定可能にしても良い。すなわち、土台部品40の後端側に雄螺子部45を形成し、固定部品50の後端側に雌螺子部55を形成することで、固定部品50を土台部品40に圧入し、その後、固定部品を回転することで両者を固定状態にすることができる。
【0032】
以上のように、両者の螺合部については、釣糸ガイド8の固定時において、固定部品50を土台部品40に圧入し、この状態を固定するものとして設けるような構成であっても良いし、釣糸ガイド8を装着しないときに、固定部品50を土台部品40に一体化させるものとして設ける構成であっても良い。このように両者を螺合で固定するように構成すると、竿杆を収納する際、或いは、持ち運ぶ際に部品同士が動かないことから、傷などが付き難くなる。なお、ガイド脚8bを土台部品の凹所41に載置して、固定部品50によって固定する際、ガイド脚8bの後端と土台部品40とは、図4(a)に示すように、多少離間していても良いし、当て付いていても良い。
【0033】
また、前記土台部品40の表面には、固定部品50の内面と密着するOリング60が嵌合される円周溝46を形成しておくことが好ましい。
このような円周溝46にOリング60を嵌入した状態で固定部品50を圧入すると、両者の間の摩擦力が高まって固定部品50を土台部品40から抜け難く(緩み止め)できると共に、寸法誤差等によって生じるガタ付を吸収することが可能となる。また、上記したような螺合部を設けた構成では、仕舞時の螺子同士の固着を防止することが可能となる。
【0034】
前記土台部品40の凹所41、及び、そこに載置される釣糸ガイド8のガイド脚8bについては、以下のように構成することが好ましい。
【0035】
図4(b)に示すように、前記ガイド脚8bの肉厚をT、土台部品40の凹所41の深さをDとした場合、T≧Dに設定することが好ましい。このように、ガイド脚8bの肉厚を凹所41の深さ以上に形成することで、固定部品50を圧入した際、固定部品の内面でガイド脚8bを押さえ付けることができ、釣糸ガイド8を外れ難くすることができる。
なお、土台部品40が固い材質であれば、凹所41の形状は、ガイド脚8bの形状よりも多少大きくして、載置操作がし易いように構成することが好ましいが、土台部品40が柔軟な材質であれば、凹所41の形状は、ガイド脚8bの形状よりも多少小さくして、固定部品を圧入気味にすることが好ましい。
【0036】
また、図4(b)に示すように、ガイド脚8bの断面形状が矩形形状であると、元竿杆3の表面とガイド脚8bとの間、及び、固定部品50の内面とガイド脚8bとの間に隙間が生じるが、このような隙間が生じないように、ガイド脚8bの断面形状を元竿杆3の湾曲に合わせて略円弧形状に形成しておくことが好ましい。
【0037】
前記土台部品40の凹所41、及び/又は、ガイド脚8bには、凹所41にガイド脚8bを載置して固定部品50を圧入した際、ガイド脚8bが軸方向に抜けないようにする抜け止め部を形成しておくことが好ましい。
本実施形態の抜け止め部は、図4(c)(d)に示すように、ガイド脚8bの幅方向両側に、切欠状の窪み8eを形成すると共に、図5(a)に示すように、凹所41の幅方向の両内壁に、窪み8eと嵌合する突起41cを形成することで構成されている。
【0038】
このような抜け止め部を形成することで、釣糸ガイド8が軸方向に抜け難くなり、実釣時に釣糸ガイド8が脱落することを防止することができる。
【0039】
次に、図8及び図9を参照して、上記したガイド着脱構造30の使用態様について説明する。
図8(a)に示すように、釣糸ガイド8のガイド脚8bを、元竿杆3に固定されている土台部品40の凹所41に載置する。この場合、凹所41の形状とガイド脚8bの形状は略一致しているため、釣糸ガイド8が脱落等することはない。
この状態で、図8(b)(c)に示すように、固定部材50を摺動させて土台部品40に圧入することで、釣糸ガイドの固定操作が完了する。
【0040】
上記したように、釣糸ガイド8を固定する際、凹所41にガイド脚8bを載置するだけであり、従来のように、ガイド脚8bや連結部8cを摘まんで圧入操作等をすることがないため、ガイド脚8bや連結部8cに負荷を掛けることはなく、釣糸ガイドの着脱操作時に、ガイド脚が傷付いたり、曲がりや折れ等の損傷が生じることが防止される。また、高さが異なる釣糸ガイド8を複数種類、準備しておくことで、例えば、スピニングリールからベイトリールに交換しても、適切な高さ、サイズの釣糸ガイドに容易に変更することが可能となり、1つの釣竿で対応することが可能となる。
【0041】
また、釣糸ガイド8を使用しない場合、図9(a)~(c)に示すように、固定部材50を土台部品40にスライドさせ、両者に形成された螺合部で固定部品50を締め付けることで、固定部品50は土台部品40に固定されるため、実釣時や持ち運び時等、傷を付き難くすることができる。
【0042】
本発明は、上記した実施形態に限定されることはなく、種々、変形することが可能である。
図10(a)~(e)は、それぞれガイド脚8bの変形例を示した平面図(図面の右側が抜ける方向)である。上記したように、ガイド脚8bに窪み8eを形成することで、釣糸ガイドの抜け止め部を構成したが、このような抜け止め部の構成については種々、変形することが可能である。例えば、(a)に示すように、先端側に向けて拡幅するようにテーパ8fを形成しても良い。また、(b)に示すように、窪み8eは、両側面の一方の側面に形成したものであっても良い。また、(c)(d)に示すように、窪み8eを形成する位置や形成個数については適宜変形することが可能である。また、(e)に示すように、ガイド脚8bの表面を粗面化したり、摩擦部材を被着する等、高摩擦部8gを形成しても良い。
【0043】
図11(a)(b)は、それぞれガイド脚8bの変形例を示した側面図(図面の右側が抜ける方向)である。例えば、(a)に示すように、先端側に厚肉部8hを形成しても良いし、(b)に示すように、先端に向けて次第に厚肉化するよう上面にテーパ8iを形成しても良い。
【0044】
以上のように、ガイド脚8bは、土台部品40の凹所41に載置するだけであるため、その形状を適宜変形することで、固定部材50を被着した際、抜け難くすることが可能である。また、ガイド脚8bの形状に応じて、土台部品40の凹所41の形状も適宜変形することが可能である。
【0045】
図12は、固定部品50の変形例を示す図である。
この変形例では、ガイド脚8bの肉厚をT、土台部品40の凹所41の深さをDとした場合、T<Dに設定している。このような構成では、ガイド脚8bが外れ易くなるため、固定部品50の内面に、凹所41に載置されたガイド脚8bの表面に当接するように弾性部材65を被着している。
このような構成であっても、釣糸ガイド8の抜けを防止できると共に、釣糸ガイドのガタ付きや緩み等を防止することが可能である。
【0046】
図13は、ガイド着脱構造に載置されるガイド脚の変形例を示す断面図である。
上記した実施形態のように、ガイド脚8bの裏面が平面に形成されていると、元竿杆3の表面とガイド脚の裏面が1点当たりとなって、ガイドを固定した際にガイドが安定しない可能性がある。そこで、図13に示すように、ガイド脚8bの裏面に凹部8hを形成することで、元竿杆3の表面とガイド脚の裏面が2点当たり(当接部を8h´で示す)となり、釣糸ガイドを固定した際に、安定し易くすることが可能となる。
このような凹部については、その形状や形成位置は任意であり、竿杆の表面との間で複数点で接触する構成であれば、適宜、変形することが可能である。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施の形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
上記した実施形態において、釣糸ガイド8の抜け止めは、柔軟部材を圧入するなど、適宜、変形することが可能である。また、釣糸ガイド8のガイド脚は、複数形成されていても良い。更に、上記したガイド着脱構造30は、1つの竿杆に複数個所、設けられていても良く、モバイルロッド以外の各種の釣竿に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 釣竿
3 元竿杆(竿杆)
8 釣糸ガイド
8a ガイドリング
8b ガイド脚
30 ガイド着脱構造
40 土台部品
41 凹所
50 固定部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13