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特許7667768電解銅箔及び電極とそれを用いたリチウムイオン電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-15
(45)【発行日】2025-04-23
(54)【発明の名称】電解銅箔及び電極とそれを用いたリチウムイオン電池
(51)【国際特許分類】
   C25D 1/04 20060101AFI20250416BHJP
【FI】
C25D1/04 311
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022163206
(22)【出願日】2022-10-11
(65)【公開番号】P2024004433
(43)【公開日】2024-01-16
【審査請求日】2024-07-04
(31)【優先権主張番号】111124124
(32)【優先日】2022-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(31)【優先権主張番号】111132287
(32)【優先日】2022-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(31)【優先権主張番号】202210740012.2
(32)【優先日】2022-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202211033468.1
(32)【優先日】2022-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591057290
【氏名又は名称】長春石油化學股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】呉致中
(72)【発明者】
【氏名】頼耀生
(72)【発明者】
【氏名】周瑞昌
【審査官】萩原 周治
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0088614(KR,A)
【文献】国際公開第2018/207786(WO,A1)
【文献】特表2022-517051(JP,A)
【文献】特開2017-079208(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109112616(CN,A)
【文献】特開2020-180366(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0042198(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面と、前記第1の面の反対側の第2の面とを備える電解銅箔であって、
前記第1の面及び前記第2の面は、斜入射X線回折によって分析され、前記第1の面及び前記第2の面はそれぞれ、Iによって示される(111)面の特性ピークの強度、Iによって示される(200)面の特性ピークの強度、Iによって示される(220)面の特性ピークの強度、Wによって示される(111)面の特性ピークの半値全幅、及びWによって示される(200)面の特性ピークの半値全幅を有し、
前記第1の面及び前記第2の面はそれぞれ、0.83以上の比率(I+I)/(I+I+I)、及び0.80°以下の値(W+W)を有することを特徴とする、電解銅箔。
【請求項2】
前記電解銅箔は、230MPaを超える降伏強度を有することを特徴とする、請求項1に記載の電解銅箔。
【請求項3】
前記第1の面及び前記第2の面はそれぞれ、0.84以上、1.00以下の比率(I+I)/(I+I+I)を有することを特徴とする、請求項1に記載の電解銅箔。
【請求項4】
前記第1の面及び前記第2の面はそれぞれ、0.25°以上、0.75°以下の値(W+W)を有することを特徴とする、請求項1に記載の電解銅箔。
【請求項5】
前記電解銅箔は、231MPa以上、300MPa以下の降伏強度を有することを特徴とする、請求項1に記載の電解銅箔。
【請求項6】
前記第1の面は、0.20μm以上、0.55μm以下の二乗平均平方根高さ(Sq)を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の電解銅箔。
【請求項7】
前記第2の面は、0.20μm以上、0.55μm以下の二乗平均平方根高さ(Sq)を有することを特徴とする、請求項6に記載の電解銅箔。
【請求項8】
前記電解銅箔の前記第1の面のSqと前記第2の面のSqとの絶対差は、0.15μm未満であることを特徴とする、請求項7に記載の電解銅箔。
【請求項9】
請求項1から5のいずれか一項に記載の電解銅箔を備えるリチウムイオン電池の電極。
【請求項10】
請求項9に記載の電極を備えるリチウムイオン電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解銅箔に関し、特に、リチウムイオン電池のための電解銅箔、電解銅箔を備える電極、及びリチウムイオン電池に関する。
【背景技術】
【0002】
銅箔は、良好な導電率を有し、銀等の貴金属と比較して価格が低めである。銅箔は、基幹産業で広く利用されており、先端技術産業で重要な出発材料となっている。例えば、銅箔は、リチウムイオン電池の電極材料として使用でき、リチウムイオン電池は、可搬電子デバイス(PED)、電気自動車(EV)、及びエネルギー貯蔵システム(ESS)の分野で広く利用される。
【0003】
銅箔が電極材料としてリチウムイオン電池内で働く際、リチウムイオン電池中の電解液は、銅箔に対して腐食性である。動作時間が増大するにつれて、銅箔は、長期間の動作のために電解液によって腐食される。このことにより、リチウムイオン電池のサイクル寿命を短縮し、リチウムイオン電池の信頼性を低減し、安全性に関する問題を生じさせる。
【0004】
このことに鑑みて、上述の問題を軽減又は低減できることを期待して、銅箔に対して実施するための耐食処理が現在試みられている。一般的な耐食処理は、カバー層による保護、又は腐食抑制剤による保護に分類できる。カバー層による保護は、銅箔の表面上に耐食材料層を被覆するか、又は銅箔上に高耐食性金属層を電着することによって実施される。しかし、銅箔と、耐食材料層又は高耐食性金属層のいずれかとの間の結合強度を考慮すべきである。上述のカバー層が銅箔から分離すると、銅箔は直ちに腐食する。一方、腐食抑制剤による保護は、容量がより少なく、効果が良好であるという利点を有するが、後続の利用において、高さの制限をもたらす。したがって、腐食抑制剤によって保護される銅箔は、高温下での長期の動作に適しておらず、閉鎖循環システム内でしか使用できない。
【0005】
したがって、リチウムイオン電池の安全性を改善するため、銅箔に対する耐食性を改善する他の様式を積極的に探すことが依然として待たれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6379207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術の欠点に鑑みて、本開示の目的の1つは、優れた耐食性を有する、改善された銅箔を提供することである。詳細には、改善された銅箔は、電解液による腐食に効果的に耐え得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するため、本開示は、第1の面と、第1の面の反対側の第2の面とを備える電解銅箔を提供する。第1の面及び第2の面は、斜入射X線回折(GIXRD)によって分析され、第1の面及び第2の面はそれぞれ、Iによって示される(111)面の特性ピークの強度、Iによって示される(200)面の特性ピークの強度、Iによって示される(220)面の特性ピークの強度、Wによって示される(111)面の特性ピークの半値全幅(FWHM)、及びWによって示される(200)面の特性ピークのFWHMを有する。第1の面及び第2の面はそれぞれ、0.83以上の比率(I+I)/(I+I+I)、及び0.80°以下の値(W+W)を有する。
【0009】
第1の面及び第2の面がそれぞれ0.83以上の比率(I+I)/(I+I+I)及び0.80°以下の値(W+W)を有するように、第1の面及び第2の面のそれぞれのIによって示される(111)面の特性ピークの強度、Iによって示される(200)面の特性ピークの強度、Iによって示される(220)面の特性ピークの強度、Wによって示される(111)面の特性ピークの半値全幅(FWHM)、及びWによって示される(200)面の特性ピークのFWHMを制御することによって、電解液に対する電解銅箔の耐食性を改善することが可能であり、これにより、リチウムイオン電池の安全性を改善する。
【0010】
更に、電解銅箔の降伏強度は、230メガパスカル(MPa)を超え得る。好ましくは、電解銅箔の降伏強度は、231MPa以上、300MPa以下とし得る。より好ましくは、電解銅箔の降伏強度は、231MPa以上、270MPa以下とし得る。本開示の電解銅箔の降伏強度が230MPaを超えるように更に制御されると、電解銅箔を備えるリチウムイオン電池は、優れたサイクル寿命を有し得る。
【0011】
好ましくは、第1の面及び第2の面はそれぞれ、0.84以上、1.00以下の比率(I+I)/(I+I+I)を有し得る。より好ましくは、第1の面及び第2の面はそれぞれ、0.84以上、0.95以下の比率(I+I)/(I+I+I)を有し得る。一実施形態では、第1の面は、0.85以上、0.95以下の比率(I+I)/(I+I+I)を有し、第2の面は、0.84以上、0.92以下の比率(I+I)/(I+I+I)を有し得る。(111)面及び(200)面の特性ピークの強度比を制御することによって、電解銅箔は、改善された耐食性を有し得る。
【0012】
好ましくは、第1の面及び第2の面はそれぞれ、0.25以上、0.75以下の値(W+W)を有し得る。より好ましくは、第1の面及び第2の面はそれぞれ、0.28以上、0.74以下の値(W+W)を有し得る。一実施形態では、第1の面は、0.28以上、0.74以下の値(W+W)を有し、第2の面は、0.43以上、0.65以下の値(W+W)を有し得る。
【0013】
一実施形態では、電解銅箔の第1の面は、0.20μm以上、0.55μm以下の二乗平均平方根高さ(Sq)を有し得る。0.20μmから0.55μmまでの範囲内で電解銅箔の第1の面のSqを制御することによって、電解銅箔上に被覆される活性材料の被覆の質を改善し得る。このことにより、電解銅箔をリチウムイオン電池の電極材料として適したものにし、電解銅箔を備えるリチウムイオン電池は、高度の能力の利点を有し得る。別の実施形態では、電解銅箔の第1の面及び第2の面はそれぞれ、0.20μm以上、0.55μm以下の二乗平均平方根高さ(Sq)を有し得る。更に別の実施形態では、電解銅箔の第1の面は、0.20以上、0.55以下のSqを有し、電解銅箔の第2の面は、0.25以上、0.50以下のSqを有し得る。
【0014】
一実施形態では、電解質銅箔の第1の面のSqと第2の面のSqとの間の絶対差は、0.15μm未満とし得る。別の実施形態では、電解質銅箔の第1の面のSqと第2の面のSqとの間の絶対差は、0.145μm未満とし得る。
【0015】
一実施形態では、電解銅箔の厚さは、4マイクロメートル(μm)から20μmとし得る。別の実施形態では、電解銅箔の厚さは、6μmから20μmとし得る。
【0016】
本開示は、上述の電解銅箔を備えるリチウムイオン電池の電極も提供する。
【0017】
更に、本開示は、上述の電極を備えるリチウムイオン電池を提供する。
【0018】
本開示によれば、電解銅箔は、リチウムイオン電池の陰極及びリチウムイオン電池の陽極として適用可能である。上述の電解銅箔は、電流収集器に適用可能である。電解銅箔の表面の片面又は両面は、リチウムイオン電池の電極を調製するため、活性材料の少なくとも1つの層で被覆できる。
【0019】
本開示によれば、活性材料は、陽極活性材料及び陰極活性材料に分類できる。陰極活性材料内に含有される陰極活性物質は、炭素含有物質、ケイ素含有物質、炭化ケイ素複合物、金属、酸化金属、金属合金、又はポリマーとすることができ、炭素含有物質又はケイ素含有物質が好ましいが、これらに限定されない。具体的には、炭素含有物質は、限定はしないが、中間相グラファイト粉体(MGP)、非黒鉛化炭素、コークス、グラファイト、ガラス状カーボン、炭素繊維、活性炭、カーボン・ブラック、又は高分子か焼物質とし得る。コークスは、ピッチ・コークス、ニードル・コークス又は石油コークス等を含み得る。高分子か焼物質は、炭酸化のための適切な温度でフェノール-ホルムアルデヒド樹脂又はフラン樹脂をか焼することによって得ることができる。ケイ素含有物質は、リチウムイオンとの合金を生成する優れた能力、及びリチウムイオンをリチウム合金から抽出する優れた能力を有し得る。ケイ素含有物質をリチウムイオン二次電池に利用する場合、高いエネルギー密度の二次電池を達成できる。ケイ素含有物質は、コバルト(Co)、鉄(Fe)、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、クロム(Cr)、ルテニウム(Ru)、モリブデン(Mo)、又は合金を生成するそれらの組合せと組み合わせ得る。金属又は金属合金の元素は、Co、Fe、Sn、Ni、Cu、Mn、Zn、In、Ag、Ti、Ge、Bi、Sb、Cr、Ru、及びMoからなる群から選択できるが、これらに限定されない。上述の酸化金属の例は、限定はしないが、酸化第二鉄、四三酸化鉄、二酸化ルテニウム、二酸化モリブデン及び三酸化モリブデンとし得る。上述のポリマーの例は、限定はしないが、ポリアセチレン及びポリピロールを含み得る。
【0020】
一実施形態では、様々なニーズに応じて、補助添加剤を活性材料に添加し得る。上述の補助添加剤は、限定はしないが、接着剤及び/又は弱酸性試薬とし得る。好ましくは、接着剤は、限定はしないが、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、又はポリアクリレートであり、弱酸性試薬は、限定はしないが、しゅう酸、クエン酸、乳酸、酢酸又はギ酸とし得る。
【0021】
本開示によれば、陽極活性物質に応じて、リチウムイオン電池は、LiCoO電池LiNiO電池、LiMn電池、LiCoXNI1-X電池、又はLiFePO電池等に分類できるが、これらに限定されない。
【0022】
本開示によれば、電解液は、溶媒、電解質、又は適当な場合に常に添加される添加剤を含み得る。電解液の溶媒は、非水溶性溶媒、例えば、炭酸エチレン(EC)若しくは炭酸プロピレン(PC)等の環状炭酸エステル、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸ジエチル(DEC)若しくは炭酸エチルメチル(EMC)等の線状炭酸エステル、又はスルトンを含み得るが、これらに限定されない。上述の溶媒は、単独で使用しても、2つ以上の溶媒の組合せで使用してもよい。電解質は、ヘキサフルオロリン酸リチウム、過塩素酸リチウム、テトラフルオロほう酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ビス(しゅう酸)ほう酸リチウム、又はビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)リチウムを含み得るが、これらに限定されない。
【0023】
いくつかの実施形態では、電解液は、リチウムイオン電池において、限定はしないが、結晶電解質、ガラス状電解質、ガラス-セラミック電解質、ポリマー電解質等の固体電解質によって置換し得る。具体的には、結晶電解質は、リチウム超イオン伝導体(LISICON)若しくは硫銀ゲルマニウム鉱等の硫化固体電解質、又はガーネット型電解質、ペロブスカイト型電解質、NASICON型電解質等の酸化物固体電解質とし得るが、これらに限定されない。ガラス状電解質は、酸化物ガラス電解質又は硫化物ガラス電解質とし得るが、これらに限定されない。ガラス-セラミック電解質は、酸化物ガラス-セラミック電解質又は硫化物ガラス-セラミック電解質とし得るが、これらに限定されない。ポリマー電解質は、酸化ポリエチレンベース(PEO-ベース)の電解質及び酸化ポリプロピレンベース(PPO-ベース)の電解質等の純固体ポリマー電解質、又はポリアクリロニトリルベース(PAN-ベース)の電解質、ポリ(メタクリル酸メチル)ベース(PMMA-ベース)の電解質、ポリ(塩化ビニル)ベース(PVC-ベース)の電解質、若しくはポリ(フッ化ビニリデン)ベース(PVDF-ベース)の電解質等のゲルポリマー電解質とし得るが、これらに限定されない。
【0024】
本開示によれば、上述のリチウムイオン電池は、隔離体を通じて積層した陰極と陽極とを備える積層リチウムイオン電池とし得るか、又はらせん状に巻かれ、一緒に積層された連続的な電極と隔離体とを備えるらせん巻きリチウムイオン電池とし得るが、これらに限定されない。様々な製品に応じて、本開示のリチウムイオン電池は、パーソナル・ノートブック・コンピュータ、携帯電話、電気自動車及びエネルギー貯蔵システムのための円筒形二次電池、正方形二次電池、パウチ型二次電池、又はコイン型二次電池として利用できるが、これらに限定されない。
【0025】
別段に規定されない限り、本明細書に示されるパラメータ、条件、値又は数値範囲は、用語「約」によって表現されることが理解できる。用語「約」は、述べられた値の±5%範囲内として表現できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施例1から12及び比較例1から5の電解銅箔を調製する概略図である。
図2】実施例1から12及び比較例1から5の電解銅箔の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本開示の電解銅箔、電極及びリチウムイオン電池の実施形態を例示するため、いくつかの実施形態を説明し、いくつかの比較例を比較のために提供する。当業者は、以下の実施例及び比較例から、本発明の利点及び効果を容易に了解できる。本明細書で提案する記述は、例示のためだけの好ましい例にすぎず、本開示の範囲を限定する意図ではないことを理解されたい。当業者は、通常の知識に従って本開示を実践又は適用するため、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正形態及び変形形態を行い得る。
【0028】
図1に示すように、電解銅箔を生成する生成装置は、電着機器10と、変色防止処理機器20と、一連の案内ローラとを備える。電着機器10は、陰極ドラム11と、不溶性陽極12と、銅電解液13と、供給管14とを備える。陰極ドラム11は、回転可能チタン陰極ドラムである。不溶性陽極12は、陰極ドラム11の下に設定されたIrO被覆チタン板であり、陰極ドラム11の下半分を実質的に取り囲む。不溶性陽極12は、陰極ドラム11に面する陽極面121を有する。陰極ドラム11及び不溶性陽極12は、供給管14を通して導入される銅電解液13を収容するように互いに離間する。変色防止処理機器20は、変色防止処理槽21と、変色防止処理槽21内に配設された2セットの陽極板211a及び211bとを備える。一連の案内ローラは、第1の案内ローラ31と、第2の案内ローラ32と、第3の案内ローラ33と、第4の案内ローラ34と、第5の案内ローラ35と、第6の案内ローラ36とを備える。上述の案内ローラは、電着によって調製された生銅箔を、変色防止処理のために変色防止処理機器20に搬送でき、次に、エアナイフ40により、変色防止処理された生銅箔の表面から余分な変色防止物質を除去する。この後、変色防止処理された生銅箔は、中波赤外線処理機器50によって更に焼鈍され、最後に、電解銅箔60は、第6の案内ローラ36上で巻き取られる。
【0029】
本開示の電解銅箔の調製に関し、電着のパラメータは、様々なニーズに応じて修正できる。一実施形態では、電着で使用される銅電解液は、硫酸銅、硫酸、塩化物イオン、3-メルカプト-1-プロパンスルホン酸ナトリウム(MPS)、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween20)を含み得るが、これらに限定されない。上記実施形態では、硫酸銅の濃度は、1リットル当たり200グラム(g/L)から400g/L、硫酸の濃度は、80g/Lから150g/L、塩化物イオンの濃度は、20ppmから60ppm、MPSの濃度は、20ppmから30ppm、Tween20の濃度は、20ppmから60ppmとし得る。電着ステップでは、銅電解液の温度は、40℃から50℃とし、電流密度は、1平方デシメートル当たり40アンペア(A/dm)から50A/dmとし得る。
【0030】
本開示によれば、電解銅箔の特性は、銅電解液の組成物、及び電着ステップ内の関連パラメータによって修正できる。例えば、電解銅箔の結晶粒の形態、降伏強度及び二乗平均平方根高さは、限定はしないが、銅電解液のTween20の量、及び電着機器の不溶性陽極の陽極面の粗さ(Rz)によって修正できる。
【0031】
本開示の電解銅箔の調製に関し、変色防止処理は、様々なニーズに応じて採用できる。採用される変色防止溶液は、限定はしないが、クロム変色防止溶液、ニッケル変色防止溶液、亜鉛変色防止溶液、スズ変色防止溶液等とし得る。一実施形態では、変色防止溶液は、クロム酸の濃度を1.5g/Lから5.0g/Lとし得るクロム変色防止溶液とし得る。変色防止処理の電流密度は、0.5A/dmtから6.0A/dmに設定でき、クロム変色防止溶液の温度は、20℃から40℃とし、変色防止処理の期間は、2秒(sec)から4秒(sec)とし得るが、これらに限定されない。
【0032】
本開示の電解銅箔の調製に関し、中波赤外線処理は、様々なニーズに応じて採用できる。図1に示すように、エアナイフ40により、変色防止処理された生銅箔の表面上の余分な変色防止物質を除去した後、変色防止処理された生銅箔は、中波赤外線処理機器50によって更に焼鈍でき、次に、電解銅箔60は、第6の案内ローラ36上で巻き取られる。一実施形態では、中波赤外線焼鈍処理は、電解銅箔の片面又は両面に施し得る。中波赤外線焼鈍に関し、ランプ・フィラメントの温度は、1500℃から1800℃までの範囲であり、最大波長は、1.4マイクロメートル(μm)から1.8μmであり、中波赤外線処理機器と電解銅箔との間の距離は、30ミリメートル(mm)から60mmであり、焼鈍時間は、5秒(sec)から15秒(sec)とし得る。電解銅箔の結晶粒の形態、降伏強度及び二乗平均平方根高さは、限定はしないが、焼鈍時間によって修正できる。
【0033】
電解銅箔
【0034】
実施例1から12:電解銅箔
実施例1から12の電解銅箔は、図1の製造装置により、同様の電着ステップ、変色防止処理ステップ及び中波赤外線焼鈍ステップによって生成した。実施例1から12の電解銅箔の生成方法は、以下に記載のとおりであった。
【0035】
最初に、電着ステップ内で使用される銅電解液13を調製した。電着ステップの間、陰極ドラム11を固定軸上で一定速度で回転させ、陰極ドラム11と不溶性陽極12との間に電流を印加し、銅電解液13の銅イオンを陰極ドラム11の表面上に電着させ、生銅箔を形成した。次に、生銅箔を陰極ドラム11から剥離させ、第1の案内ローラ31に案内した。
【0036】
ここで、銅電解液13の組成及び電着ステップのパラメータは、以下に記載のとおりであった:
I.銅電解液13の組成:
硫酸銅(CuSO・5HO):約320g/L、
硫酸:約110g/L、
塩化物イオン(Cl):約25ppm、
3-メルカプト-1-プロパンスルホン酸ナトリウム(MPS、HOPAXから購入):約20ppm、及び
Tween20:表1に示す濃度。
II.電着ステップのパラメータ:
銅電解液13の温度:約50℃、
陽極面のRz:表1に示すとおり、及び
電流密度:約50A/dm
【0037】
陽極面の上記Rzは、JIS B0601-1994によって規定される最大高さを対象とする。陽極面のRzを測定する機器及びパラメータは、以下に記載のとおりであった:
I.測定機器:
小型表面粗さ測定機(接触モード)SJ-410、株式会社ミツトヨから購入。
II.測定パラメータ:
針先端半径:2μm、
針先端角度:60°、
カットオフ長さ(λc):0.8mm、及び
評価長さ:4mm。
【0038】
この後、生銅箔を第1の案内ローラ31及び第2の案内ローラ32によって変色防止処理機器20に搬送し、クロム変色防止処理溶液を充填した変色防止処理処理槽21に生銅箔を浸漬した。次に、生銅箔の2つの反対面は、第3の案内ローラ33の搬送を通じて2セットの陽極板211a及び211bによって変色防止処理を受け、生銅箔の2つの反対面上に第1の変色防止層及び第2の変色防止層が電着されるようにした。
【0039】
ここで、クロム変色防止溶液の組成及び変色防止処理のパラメータは、以下に記載のとおりである:
I.クロム変色防止溶液の組成:
クロム酸(CrO):約1.5g/L、
II.変色防止処理のパラメータ:
溶液の温度:25℃、
電流密度:約0.5A/dm、及び
処理時間:約2秒。
【0040】
変色防止処理が終了した後、変色防止処理された銅箔を第4の案内ローラ34に案内した。エアナイフ40によって、余分な変色防止物質を表面から除去し、変色防止処理された銅箔を乾燥させた。次に、上述の変色防止処理された銅箔を第5の案内ローラ35によって、中波赤外線処理機器50の方に搬送し、変色防止処理された銅箔の2つの面を焼鈍し、最後に、電解銅箔60が得られ、第6の案内ローラ36上で巻き取った。
【0041】
ここで、焼鈍処理の条件は、以下に記載のとおりである:
I.中波赤外線処理機器50のパラメータ:
ランプ管の直径:23×11mm/34×14mm、
ランプ・フィラメントの温度、1600±10℃;
最大波長:1.4μmから1.8μm、
最大電力:1平方メートル当たり120キロワット(kW/m)、及び
最大線形電力密度:1センチメートル当たり80ワット(W/cm)。
II.焼鈍処理のパラメータ:
ランプ管と焼鈍される電解銅箔との間の距離45mm、
出力:95%、及び
焼鈍時間:表1に示すとおり。
【0042】
上述の方法により、実施例1から8、11及び12の約6μmの厚さの電解銅箔、実施例9の約4μmの厚さの電解銅箔、並びに実施例10の約20μmの厚さの電解銅箔が得られた。実施例1から12の間の差は、電解銅箔の厚さ、銅電解液中のTween20の濃度、電着ステップにおける陽極面の粗さ、及び焼鈍時間であった。図2に示すように、各実施例の電解銅箔60は、銅層61(変色防止処理で処理されていない生銅箔に対応する)と、第1の変色防止層62と、第2の変色防止層63とを備える。銅層61は、電着側611と、電着側611の反対側のドラム側612とを備える。電着の間、電着側611は、不溶性陽極に面する生銅箔の表面であり、ドラム側612は、陰極ドラムと接触する生銅箔の表面であった。第1の変色防止層62は、銅層61の電着側611上に形成され、第1の変色防止層62は、最も外側に第1の面621を有する。第2の変色防止層63は、銅層61のドラム側612上に形成され、第2の変色防止層63は、最も外側に第2の面631を有する。第1の面621及び第2の面631は、電解銅箔60の2つの最も外側の面であり、互いに相対する。
【0043】
比較例1から5:電解銅箔
比較例1から5の電解銅箔は、実施例1から12を比較するために提供した。比較例1から5の電解銅箔を調製する方法は、電解銅箔の厚さ、銅電解液中のTween20の濃度、電着ステップにおける陽極面のRz、及び焼鈍時間を除き、実施例1から12の方法と同様であった。パラメータは、全て表1に列挙した。更に、比較例1から5の電解銅箔は、図2に示すものと同様の構造を有し、電解銅箔の全ては、6μmの厚さを有する。
【0044】
表1:実施例1から12(E1からE12)及び比較例1から5(C1からC5)の電解銅箔の厚さ、並びにE1からE12及びC1からC5の調製における銅電解液中のTween20の濃度、陽極面のRz、及び焼鈍時間
【0045】
【表1】
【0046】
試験例1:斜入射X線回折(GIXRD)
X線回折計を使用して、試験サンプルとして、実施例1から12及び比較例1から5の電解銅箔を測定し、斜入射X線回折実験を実施した。この実験において、各試験サンプルの第1の面及び第2の面のIによって示される(111)面の特性ピークの強度、Iによって示される(200)面の特性ピークの強度、Iによって示される(220)面の特性ピークの強度、Wによって示される(111)面の特性ピークのFWHM、及びWによって示される(200)面の特性ピークのFWHMが得られた。
【0047】
計算後、実施例1から12及び比較例の電解銅箔のそれぞれの第1の面の比率(I+I)/(I+I+I)、第1の面の値(W+W)、第2の面の比率(I+I)/(I+I+I)、及び第2の面の値(W+W)を得た。結果を以下の表2及び表3に列挙する。
【0048】
ここで、斜入射X線回折実験の機器及びパラメータは、以下に記載のとおりである:
I.測定機器:
X線回折計:Bruker D8ADVANCE Eco.
II.測定パラメータ:
入射角:0.8°。
【0049】
試験例2:降伏強度
試験サンプルとして、実施例1から12及び比較例1から5の電解銅箔をIPC-TM-650 2.4.4.18によって分析し、X軸がひずみ(ε)であり、Y軸が応力(σ)である応力-ひずみ曲線を得た。Y軸に対する平行線は、0.5%のひずみで描かれ、降伏強度は、応力-ひずみ曲線と線との交差点に対応する応力によって決定された。結果を表3に列挙する。
【0050】
ここで、電解銅箔の降伏強度を測定する機器及びパラメータは、以下に記載のとおりである:
I.測定機器:
AG-I万能試験機、株式会社島津製作所から購入
II.測定パラメータ:
サンプルのサイズ:100mm(長さ)×12.7mm(幅)、
チャック距離:50mm、及び
クロスヘッド速度:50mm/min。
【0051】
試験例3:二乗平均平方根高さ(Sq)
実施例1から12及び比較例1から5の電解銅箔を試験サンプルとして使用した。各試験サンプルの第1の面及び第2の面の二乗平均平方根高さ(Sq)を以下の条件により測定し、ISO25178-2:2012によって規定した。結果を表3に列挙する。
【0052】
ここで、電解銅箔のSqを測定する機器及びパラメータは、以下に記載のとおりである:
I.測定機器:
レーザー走査共焦点顕微鏡:LEXT OLS5000-SAF、オリンパス株式会社から購入、及び
対物レンズ:MPLAPON-100xLEXT。
II.測定条件:
光源の波長:405nm、
対物レンズの倍率:100倍、
光学ズーム:1.0倍、
観測面積:129μm×129μm;
解像度:1024画素×1024画素、
モード:自動傾斜除去、
フィルタ:フィルタなし、
温度:24±3℃、及び
相対湿度:63±3%。
【0053】
試験例4:耐食性
試験サンプルとして、実施例1から12及び比較例1から5の上述の電解銅箔をそれぞれ10cm×10cmの試験片に切断した。試験片をリチウムイオン電池の60℃のリチウム電解液に24時間浸漬し、次に、溶液から取り出し、60℃のオーブンに入れ、試験片上の溶液を除去した。試験片の外観を目視で観察し、変色が生じたかどうかを評価した。リチウム電解液は、1:1の容積比を有する炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)との混合溶媒中にヘキサフルオロリン酸リチウムの溶質を溶解した1モル濃度(M)の溶液であった。電解銅箔が電解液に対して乏しい耐食性を有することを示す、部分的な変色が試験片上に観察された場合、「×」と分類した。対照的に、電解銅箔が電解液に対して良好な耐食性を有することを示す、変色が試験片全体のどの部分にも生じなかった場合、「O」と分類した。評価結果を表2及び表3に列挙する。
【0054】
電極
【0055】
実施例1Aから12A及び比較例1Aから5A:陰極
実施例1から12及び比較例1から5の電解銅箔の第1の面及び第2の面はそれぞれ、リチウムイオン電池の陰極になる陰極活性物質を含む陰極スラリーで被覆した。詳細には、陰極は、以下のステップによって製造できた。
【0056】
最初に、陰極スラリーを調製した。陰極スラリーの組成は、以下に記載のとおりである:
中間相グラファイト粉体(MGP):93.9重量部、陰極活性物質として働く、
導電性カーボン・ブラック(Super P):1重量部、導電性添加剤として働く、
ポリフッ化ビニリデン(PVDF6020):5重量部、溶媒結合剤として働く、
シュウ酸:0.1重量部、及び
N-メチルピロリドン(NMP):60重量部。
【0057】
次に、電解銅箔のそれぞれの第1の面及び第2の面上に、各面に対して200μmの被覆厚さで陰極スラリーを被覆し、次に、160℃のオーブンで乾燥させ、プレス加工機によってプレス加工し、実施例1Aから12A及び比較例1Aから5Aの陰極を得た。
【0058】
ここで、陰極を生成する被覆条件及びプレス加工条件は、以下に記載のとおりである:
I.被覆条件:
被覆速度:5メートル/分(m/min)、及び
被覆厚さ:各面で約200μm。
II.プレス加工条件:
プレス加工速度:1m/min、
プレス加工圧力:1平方インチ当たり3000ポンド(psi)、
プレス加工機のローラのサイズ:250mm(外径、φ)×250mm(幅)、
ローラの硬度:62から65HRC、及び
ローラの材料:高炭素クロム軸受鋼(SUJ2)。
【0059】
試験例5:被覆の質
実施例1Aから12A及び比較例1Aから5Aの陰極を試験サンプルとして使用し、陰極の調製において電解銅箔を活性材料で被覆した際に活性材料が良好な被覆の質を呈するかどうかを評価した。各試験サンプルを2つの表面に対して目視で観察し、各試験サンプルの表面上にひだ又はしわが形成されたかどうかを決定した。ひだ又はしわが試験サンプルのいずれかの表面上で観察された場合、試験サンプルが乏しい被覆の質を呈することを示す「△」と分類した。各試験サンプルの2つの表面上にひだもしわも観察されなかった場合、試験サンプルが期待された被覆の質を呈することを示す「O」と分類した。結果を表3に列挙する。
【0060】
リチウムイオン電池
【0061】
実施例1Bから12B及び比較例1Bから5B:リチウムイオン電池
実施例1Bから12B及び比較例1Bから5Bのリチウムイオン電池はそれぞれ、実施例1Aから12A及び比較例1Aから5Aの陰極と、同じ陽極とを組み合わせることによって調製した。説明の参考までに、上述の陰極の使用によりリチウムイオン電池を調製する工程は、以下で説明するとおりであった。
【0062】
最初に、陽極スラリーを調製した。陽極スラリーの組成は、以下に記載のとおりであった:
LiCoO:89重量部、陽極物質として働く、
フレーク状グラファイト(KS6):5重量部、導電性添加剤として働く、
導電性カーボン・ブラック(Super P):1重量部、導電性添加剤として働く、
ポリフッ化ビニリデン(PVDF1300):5重量部、溶媒結合剤として働く、
N-メチルピロリドン(NMP):195重量部。
【0063】
次に、陽極スラリーをアルミニウム箔の2つの表面上に被覆した。溶媒を蒸発させた後、陽極、及び実施例及び比較例から得た陰極のそれぞれを特定のサイズに切断し、次に、微孔性隔離体(モデル:Celgard 2400、Celgard Co.,Ltd.製造)を間に挟んで陽極及び陰極を交互に積層させ、次に、電解液を充填したプレス加工モールド(モデル:LBC322-01H、Shenzhen Capchem Technology Co.,Ltd.から購入)内に置き、封止して積層リチウムイオン電池を形成した。積層リチウムイオン電池は、41mm×34mm×53mmのサイズであった。
【0064】
試験例6:能力
実施例1Bから12B及び比較例1Bから5Bのリチウムイオン電池を試験サンプルとして使用した。以下の試験条件を用いて、リチウムイオン電池のそれぞれの5つのサイクルの能力を記録し、互いに比較した。結果を表3に列挙する。
【0065】
ここで、各充電-放電サイクルの試験条件は、以下に記載のとおりである:
充電モード:一定の電流定数電圧(CCCV)、
放電モード:一定電流(CC)、
充電電圧:4.2ボルト(V)、
充電電流:0.2C、
放電電圧:2.8V、
放電電流:0.2C、及び
試験温度:約55℃。
【0066】
実験結果の検討
上述の試験例1から6の結果を表2及び表3で要約する。
【0067】
表2に示すように、GIXRDによって分析された実施例1から12の電解銅箔の第1の面及び第2の面はそれぞれ、0.83を超える比率(I+I)/(I+I+I)、及び0.80°未満の値(W+W)を有したので、これらの電解銅箔は、リチウムイオン電池内の電解液による腐食に効果的に耐えることができた。即ち、これらの電解銅箔は、電解液に対して良好な耐食性を有した。
【0068】
表2:実施例1から12(E1からE12)及び比較例1から5(C1からC5)の電解銅箔の第1の面及び第2の面の(I+I)/(I+I+I)並びに第1の面及び第2の面の(W+W)、並びに電解液に対する電解銅箔の耐食性の評価結果
【0069】
【表2】
【0070】
反対に、比較例1から5の電解銅箔の場合、各電解銅箔の第1の面及び第2の面は、0.83以上の比率(I+I)/(I+I+I)及び0.80°以下の値(W+W)を同時に有さなかったので、この電解銅箔は、必要な電解液に対する耐食性を有することができなかった。比較例1から5の電解銅箔は、リチウムイオン電池への用途に貢献しなかった。
【0071】
比較例1から5の結果に対する更なる調査から、比較例1及び4の電解銅箔は、第1の面が0.83未満の比率(I+I)/(I+I+I)及び0.80°を超える値(W+W)を有したので、良好な耐食性を呈することができなかった。第1の面に対して0.83以上の比率(I+I)/(I+I+I)を有する比較例2の電解銅箔は、第1の面が0.80°を超える値(W+W)を有したので、良好な耐食性を呈することができなかった。それぞれが0.80°以下の値(W+W)を有する比較例3及び5の電解銅箔は、第1の面が0.83未満の比率(I+I)/(I+I+I)を有したので、良好な耐食性を呈することができなかった。適切な比率(I+I)/(I+I+I)及び適切な値(W+W)の両方を有する電解銅箔の第1の面及び第2の面が、電解液に対する良好な耐食性を有する電解銅箔を保証できることがわかる。
【0072】
更に、電解銅箔に対するGIXRD分析とSqとを組み合わせた結果から、他の実験的な有意性を得ることができる。表3に示すように、実施例1から10の電解銅箔のそれぞれの第1の面は、第1の面及び第2の面が0.83以上の比率(I+I)/(I+I+I)及び0.80°以下の値(W+W)の両方を有するという条件で、適切なSq(0.20μmから0.55μm)を更に有した。この結果、これらの電解銅箔は、電解液に対する良好な耐食性を有するだけでなく、活性材料で被覆した後に良好な被覆の質も呈した。したがって、実施例1Bから10Bの調製したリチウムイオン電池は、高い能力の特性を有した。より詳細には、実施例1Bから10Bのリチウムイオン電池はそれぞれ、第5の充電-放電サイクルで300mAh/gを超える能力を有した。
【0073】
表3:E1からE12及びC1からC5の電解銅箔のそれぞれに対する第1の面及び第2の面の(I+I)/(I+I+I)、第1の面及び第2の面の(W+W)、第1の面及び第2の面のSq、第1の面と第2の面との間のSqの絶対差(AD)、降伏強度(σ)、耐食性、並びに被覆の質、並びに第5の充電-放電サイクルにおけるリチウムイオン電池の能力
【0074】
【表3】

【0075】
対照的に、実施例11及び12並びに比較例3及び4の電解銅箔は、活性材料で被覆した後、第1の面が適切な範囲内のSqを有さないので、良好な被覆の質を有し得なかった。更に、実施例11B及び12B並びに比較例3B及び4Bの調製したリチウムイオン電池は、第5の充電-放電サイクルにおいて、実施例1Bから10Bのリチウムイオン電池の能力よりもかなり低い300mAh/g未満の能力を有した。このことは、これらが、高い能力が要求される最終製品にあまり適用できないことを示す。
【0076】
結論として、第1の面及び第2の面のそれぞれの(111)面の特性ピークの強度(I)、(200)面の特性ピークの強度(I)、(220)面の特性ピークの強度(I)、並びに(111)面の特性ピークのFWHM(W)、(200)面の特性ピークのFWHM(W)を制御することによって、電解液に対する電解銅箔の耐食性を改善するのに有益であり、これにより、リチウムイオン電池の安全性を改善する。
【0077】
更に、電解銅箔の第1の面のSqは、様々なニーズに基づき、活性材料で被覆した後に電解銅箔が良好な被覆の質をもつように更に制御でき、リチウムイオン電池は、向上した能力を更に有し得る。
【0078】
本開示の多数の特性及び利点を、本開示の構造及び特徴の詳細と共に上記の説明で示してきたが、本開示は例示にすぎない。本開示の原理の範囲において、添付の特許請求の範囲が表現される用語の広範な一般的な意味によって示される全範囲まで、細部、特に、部品の材料、形状、サイズ、構成の点で変更を行い得る。
図1
図2