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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-15
(45)【発行日】2025-04-23
(54)【発明の名称】歯科対象物用の固定システム
(51)【国際特許分類】
   A61C 5/80 20170101AFI20250416BHJP
【FI】
A61C5/80
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023535789
(86)(22)【出願日】2021-11-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(86)【国際出願番号】 EP2021082142
(87)【国際公開番号】W WO2022128313
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2024-03-26
(31)【優先権主張番号】20214681.7
(32)【優先日】2020-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596032878
【氏名又は名称】イボクラール ビバデント アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100064012
【弁理士】
【氏名又は名称】浜田 治雄
(72)【発明者】
【氏名】センティ,テレーサ スジャータ マリア
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,フランク
(72)【発明者】
【氏名】シュルケ,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】グロッセ-ホーンブリンク,アレクサンダー
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0089813(US,A1)
【文献】米国特許第04813869(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0029324(US,A1)
【文献】特表2003-527356(JP,A)
【文献】特開昭56-132946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 5/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯間空間(103)を介して貫設するための横断接続部材(101)と歯間空間(103)の側方で前記横断接続部材(101)を歯(107-1,107-2)に対して支持するための支持要素(105)を備えてなる歯科対象物用の固定システム(100)を有する歯科センサ
【請求項2】
横断接続部材(101)が鋸歯輪郭(109)あるいはナットをねじ付けるためのスレッドを備えてなる請求項1に記載の固定システム(100)を有する歯科センサ
【請求項3】
支持要素(105)が横断接続部材(101)の鋸歯輪郭(109)に嵌合するための嵌合手段(111)を備えてなる請求項2に記載の固定システム(100)を有する歯科センサ
【請求項4】
横断接続部材(101)と支持要素(105)の間に旋回ベアリング(125)が配置される請求項1に記載の固定システム(100)を有する歯科センサ
【請求項5】
支持要素(105)が楔形状を有してなる請求項1ないし4のいずれか1項に記載の固定システム(100)を有する歯科センサ
【請求項6】
横断接続部材(101)が引張弾性を有するか、および/または横断接続部材(101)がリボン形状あるいは棒形状である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の固定システム(100)を有する歯科センサ
【請求項7】
横断接続部材(101)および/または支持要素(105)が多孔質に形成される請求項1ないし6のいずれか1項に記載の固定システム(100)を有する歯科センサ
【請求項8】
横断接続部材(101)、歯科用センサ(119)、および/またはセンサケーシングが1本あるいは複数本の流路を備えてなる請求項1ないし7のいずれか1項に記載の固定システム(100)を有する歯科センサ
【請求項9】
横断接続部材(101)が歯(107-1,107-2,107-3)に対して支持するための追加的な支持要素(105-1,105-2)を備えてなる請求項1ないし8のいずれか1項に記載の固定システム(100)を有する歯科センサ
【請求項10】
横断接続部材(101)および/または支持要素(105-1,105-2)が歯科対象物を差し付けるための差込機構(117)を備えてなる請求項1ないし9のいずれか1項に記載の固定システム(100)を有する歯科センサ
【請求項11】
支持要素(105)が横断接続部材(101)を挿入するための開口(113)を備えてなる請求項1ないし10のいずれか1項に記載の固定システム(100)を有する歯科センサ
【請求項12】
開口縁部(129)に対して支持するための支持端部(115)を横断接続部材(101)が備えてなる請求項11に記載の固定システム(100)を有する歯科センサ
【請求項13】
支持端部(115)を開口(113)内に挿入するための円錐状の部位(121)を横断接続部材(101)が備えてなる請求項12に記載の固定システム(100)を有する歯科センサ
【請求項14】
横断接続部材(101)を開口内に糸通しするための糸通し部位(123)を横断接続部材(101)が備えてなる請求項1ないし13のいずれか1項に記載の固定システム(100)を有する歯科センサ
【請求項15】
横断接続部材(101)の引張によって支持要素が歯間空間(103)内に移動するような程度で支持要素(105)が弾力的である請求項1ないし14のいずれか1項に記載の固定システム(100)を有する歯科センサ
【請求項16】
歯間空間(103)を介して横断接続部材(101)を貫設するステップと
歯間空間(103)の側方で歯(107-1,107-2)に対して支持するための支持要素(105)によって前記横断接続部材(101)を支持するステップ
を有してなる歯科センサの固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、歯科対象物用の固定システムならびに歯科対象物の固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日の口腔内における固定可能性は、機械式の締め付けあるいは粘着による化学方式によって達成される。既知の締め付け方法には、例えば1本あるいは複数の歯の周りに延設されたクランプ、歯列弓の一部あるいは全部を包含する歯科用アライナ、または1本あるいは複数の歯の周りに延設された臼歯バンドが含まれる。異物同士の粘着は、接着剤またはセメントを使用して達成される。その他の可逆性の固定可能性は、粘着性クリームの使用である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の目的は、簡便かつ迅速に固定することを可能にする、歯科対象物用の固定システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記の課題は、独立請求項の対象によって解決される。技術的に好適な実施形態が、従属請求項、発明の詳細な説明、および添付図面の対象である。
【0005】
第1の態様によれば、歯間空間を介して貫設するための横断接続部材と;歯間空間の側方で前記横断接続部材を歯に対して支持するための支持要素とを備えてなる、歯科対象物用の固定システムによって前記の技術的な課題が解決される。この固定システムによって、歯質を損傷させることなく口腔内の歯科対象物の固定が可能になる。加えて、固定が容易に可逆性になる。この固定システムの支援によって、歯科対象物を安全で暫定的、または恒久的にも固定することができる。
【0006】
この固定システムの技術的に好適な実施形態によれば、横断接続部材が鋸歯輪郭あるいはナットをねじ付けるためのスレッドを備える。それによって例えば、横断接続部材を多様な長さで支持要素と連結し得るという技術的な利点が達成される。
【0007】
この固定システムの技術的に好適な別の実施形態によれば、支持要素が横断接続部材の鋸歯輪郭に嵌合するための嵌合手段を備える。追加的な支持要素を横断接続部材に固定的に結合することができる。それによって例えば、支持要素を可変的かつ迅速に横断接続部材に固定し得るという技術的な利点が達成される。
【0008】
この固定システムの技術的に好適な別の実施形態によれば、横断接続部材と支持要素の間に旋回ベアリングが配置される。それによって例えば、横断接続部材と支持要素が脱落不可能に相互に結合されるという技術的な利点が達成される。
【0009】
この固定システムの技術的に好適な別の実施形態によれば、支持要素が楔形状を有する。それによって例えば、歯に対する締め付け効果が向上するという技術的な利点が達成される。
【0010】
この固定システムの技術的に好適な別の実施形態によれば、横断接続部材が引張弾性を有するか、および/または横断接続部材がリボン形状あるいは棒形状である。それによって例えば、支持要素に継続的に力を作用させ、横断接続部材を良好に歯間空間に挿入し得るという技術的な利点が達成される。
【0011】
この固定システムの技術的に好適な別の実施形態によれば、横断接続部材および/または支持要素が多孔質に形成される。それによって例えば、唾液流が極僅かにしか制限されず、歯科用センサに対して誘導され得るという技術的な利点が達成される。
【0012】
この固定システムの技術的に好適な別の実施形態によれば、横断接続部材、歯科用センサ、および/またはセンサケーシングが1本あるいは複数本の流路を備える。それによっても例えば、唾液流が極僅かにしか制限されず、歯科用センサに対して誘導され得るという技術的な利点が達成される。
【0013】
この固定システムの技術的に好適な別の実施形態によれば、横断接続部材が歯に対して支持するための追加的な支持要素を備える。それによって例えば、柔軟な固定性能が得られるという技術的な利点が達成される。
【0014】
この固定システムの技術的に好適な別の実施形態によれば、横断接続部材および/または支持要素が歯科対象物を差し付けるための差込機構を備える。差込機構は、突立した結合手段によって形成することができる。それによって例えば、異なった歯科対象物を固定システム上に取り付けることができるという技術的な利点が達成される。
【0015】
この固定システムの技術的に好適な別の実施形態によれば、支持要素が横断接続部材を挿入するための開口を備える。それによって例えば、個々の支持要素と横断接続部材との間の迅速な結合が実行されるという技術的な利点が達成される。
【0016】
この固定システムの技術的に好適な別の実施形態によれば、開口縁部に対して支持するための支持端部を横断接続部材が備える。それによって例えば、横断接続部材が支持要素上の所定の位置に強固かつ安定的に固定され得るという技術的な利点が達成される。
【0017】
この固定システムの技術的に好適な別の実施形態によれば、支持端部を開口内に挿入するための円錐状の部位を横断接続部材が備える。それによって例えば、溝への挿入と固定が簡便になるという技術的な利点が達成される。
【0018】
この固定システムの技術的に好適な別の実施形態によれば、横断接続部材を開口内に糸通しするための糸通し部位を横断接続部材が備える。それによって例えば、固定システムの組立が容易になるという技術的な利点が達成される。
【0019】
この固定システムの技術的に好適な別の実施形態によれば、横断接続部材の引張によって支持要素が歯間空間内に移動するような程度で前記支持要素が弾力的である。それによって例えば、より強力な固定システムの接着が実現するという技術的な利点が達成される。
【0020】
第2の態様によれば、歯間空間を介して横断接続部材を貫設するステップと;歯間空間の側方で歯に対して支持するための支持要素によって前記横断接続部材を支持するステップを有してなる、歯科対象物の固定方法によって技術的な課題が解決される。それによって、第1の態様に係る固定システムと同様な技術的な利点が達成される。
【0021】
次に、本発明の実施例につき、添付図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】歯科対象物用の固定システムを示した概略説明図である。
図2】歯科対象物用の固定システムを歯科用センサと組み合わせて示した概略説明図である。
図3】歯科用センサと組み合わせて示した別の歯科対象物用の固定システムの概略説明図である。
図4】別の歯科対象物用の固定システムの概略説明図である。
図5】貫通口を有する別の歯科対象物用の固定システムを示した概略説明図である。
図6】歯科用センサと組み合わせて示した別の歯科対象物用の固定システムの概略説明図である。
図7】別の歯科対象物用の固定システムを示した拡大図である。
図8】歯科対象物の固定方法のブロック線図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1には、歯科対象物用の固定システム100が概略的に示されている。固定システム100は、歯間空間103を介して貫設するための横断接続部材101と、歯間空間103の側方で横断接続部材101を歯107-1,107-2に対して支持するための2個の支持要素105-1および105-2を備える。
【0024】
支持要素105としては、舌側および口蓋側で歯107-1および107-2の対向面上の保護材として機能する板部材が使用される。内側および外側の板部材の結合が、歯間空間103内において横断接続部材101としての樹脂あるいはシリコン製の丸型の棒材によって実行される。横断接続部材101が両方の支持要素105-1および105-2間の引張を作用させ、それによって固定システムが歯107-1および107-2上に保持される。横断接続部材101と支持要素105-1および105-2は、例えば適宜な樹脂材料から形成することができる。
【0025】
棒形状の横断接続部材101は、長手方向において鋸歯輪郭109を有する。横断接続部材101は、定義された直径を有する穴を介して支持要素105内に誘導され、その穴が歯間に配置されていて横断接続部材101の鋸歯輪郭109に嵌合する嵌合手段111を備える。嵌合手段111は開口113内に配置することができ、その開口内に横断接続部材101が挿入される。
【0026】
その方式によって結束バンドに似た嵌合機構が形成され、そのため引張によって固定システム100を迅速かつ確実に固定することができる。横断接続部材101の余剰な材料は、切断あるいは切削される。固定システム100は、センサケーシングの確実な固定を保証する。
【0027】
しかしながら、棒形状の横断接続部材101が鋸歯輪郭109に代えてナットをねじ付けるためのスレッドを備えることも可能である。その場合、ナットを使用して支持要素105を横断接続部材101あるいは歯科対象物に固定することができる。スレッドを有する横断接続部材101が支持要素105-1あるいは105-2内の開口113を介して挿入され、その後スレッド上にねじ付けられるナットによって固定される。
【0028】
図2には、歯科対象物としての歯科用センサ119のための固定システム100が概略的に示されている。歯科対象物は、口内(口腔内)に配置すべき任意の立体的対象物とされる。固定システム100が2個の柔軟で弾力的な支持要素105-1および105-2を備え、その支持要素が中央に嵌合手段111を備えた開口113を有する。その方式によって、結束バンドのような形式の差し付け可能な嵌合を具現化することができ、その場合に横断接続部材101がヘッドを備えない結束バンドを構成する。
【0029】
支持要素105-1および105-2は、横断接続部材101の引張によって支持要素を歯間空間103内に移動させ得る程度に弾力的である。それによって締付け作用が発生して固定システム100の固定を向上させる。
【0030】
歯科用センサ119が例えばケーシングを備え、そのケーシングを光硬化性のレール材料を有する担持体上に適合させる。それによって、担持体の生理学特性へのケーシングの適合が短時間で達成される。ケーシングは、取得されたスキャンデータに基づいて該当する口内状況に適合させることができる。
【0031】
歯科用センサ119は、横断接続部材101の鋸歯輪郭109内に嵌合するための嵌合手段111を有する管路131を備える。管路131を有する歯科用センサ119を突立している横断接続部材101上に押し付けると、横断接続部材101の鋸歯輪郭109上に自動的に嵌合する。また、歯科用センサ119の精密な固定によって夜間にわたる装着が可能になる。
【0032】
固定システム100は、ケーシングならびに電子回路を有する歯科用センサ119を口内で歯に固定する可能性を提供する。ケーシングはスプリント材からプレス成形することができる。
【0033】
図3には、歯科用センサ119と組み合わされた歯科対象物用の別の固定システム100が概略的に示されている。シリコン棒材から形成された横断接続部材101が、保定装置によって歯107-1および107-2に固定される。そのため、可動式の支持要素105が90°回転可能な旋回ベアリング125を使用して横断接続部材101上に取り付けられる。その位置で、歯間空間103を介して固定システム100を摺動することができる。横断接続部材101と支持要素105の間の旋回ベアリング125は、横断接続部材101あるいは支持要素105上に配置されたリング部材によって形成することができる。
【0034】
その後支持要素105がT字状態に旋回し、従って横断接続部材101を歯107-1および107-2に対して支持することができる。それによってセンサ119が歯の上に保持される。その場合に、歯科用センサ119を予め嵌合手段上で横断接続部材101に取り付け、非破壊式に再び取り外し可能にすることもできる。
【0035】
その場合、横断接続部材101を引張弾性にすることができ、従って引張力の作用に際して回転可能に支持された支持要素105が旋回し得るような方式で横断接続部材が延伸される。勿論、横断接続部材101は追加的に支持要素105の長さの半分を含むような長さを有することもでき、それによって旋回ベアリングの機構が機能して支持要素105を旋回させ得るようにされる。旋回後の余剰な長さは、歯科用センサ119あるいは旋回ベアリング125内に配置された摺動可能な嵌合手段111を使用して除去することができる。そのため、鋸歯輪郭109を有する横断接続部材101を、歯科用センサ119の表面の一側部上に強固に固定することができる。
【0036】
図4には、別の歯科対象物用の固定システム100が概略的に示されている。この実施形態において、横断接続部材101が歯間空間103内に延設された弾力的なベルトによって形成される。
【0037】
支持要素105-1および105-2として、弾力的なベルト上に2個の弾力的な楔が形成される。支持要素105-1および105-2は、横断接続部材101と一体的に形成される。第1の楔は2本の歯107-1と107-2の間に設置され、ベルトが歯107-2の周りに延設され、第2の楔は歯107-2と107-3の間に固定される。ベルトと楔の引張によって固定システム100が固定される。加えて、歯107-2上における追加的な接着を促進する粗目の表面を設けることができる。
【0038】
図5には、貫通口133と流路135を有する歯科対象物用の別の固定システム100が概略的に示されている。貫通口133は横断接続部材101内に配置され、歯科用センサ119が歯107上の測定を間接的に実行することが可能になる。
【0039】
貫通口133を通気するため、また唾液等の液体を排出するため、横断接続部材中の適宜なV字型あるいはU字型の溝によって形成された流路135が横断接続部材101の表面内に設けられる。流路135は、水平、対角線状、あるいは垂直に延在することができる。流路135は、歯科用センサ内および/または歯科用センサのケーシング内に設けることもできる。
【0040】
例えば、一側部から貫通口133に進入して空気を供給する垂直な流路135を設けることができる。2本の対角線状の流路135が貫通口133から別の側部に向かって側方に液体を排出する。勿論、複数の管路135が平行に延在し、一側部から貫通口133に進入して別の側部上で貫通口から退出することも可能である。さらに、複数の管路135を平行および対角線状に設け、それらが貫通口133の領域で交差するようにすることもできる。
【0041】
さらに、横断接続部材101と両方の支持要素105-1および105-2が差込機構117を備え、その上に歯科対象物あるいは歯科用センサ119を差し付け可能である。差込機構117は、突出する嵌合手段の形式で横断接続部材101および/または両方の支持要素105-1および105-2上に一体式に形成される。差込機構117によって嵌合機能を達成することができる。それによって差込機構117上に同時に複数のセンサユニットを取り付けることができる。
【0042】
図6には、歯科用センサ119と組み合わせた歯科対象物用の別の固定システム100が概略的に示されている。楔形状の支持要素105-1および105-2を有するベルト形状の横断接続部材101が差込機構117を備える。差込機構117が歯科用センサ119のための結合要素を形成し、例えば押しボタン用のノブを形成する。差込機構117は、歯科用センサ119を差し付け、挿入、あるいはその他の方式で固定し得るように機能する。
【0043】
個々の要素の表面を、歯107-1および107-2に接触する面上で粗目に形成し、それによってより良好に接着して平滑な表面上で滑らないようにすることができる。
【0044】
図7には、別の歯科対象物用の固定システムの拡大図が示されている。横断接続部材101がシリコン棒材によって形成され、それが歯間空間103内に押し込まれてそこで固定される。シリコン棒材は伸張可能かつ引張弾性とすることができ、従ってシリコン棒材が伸張することによって細くなる。それによってシリコン棒材を、例えばデンタルフロスのように容易に歯間空間103内に挿入することができる。
【0045】
円筒形のシリコン棒材が周回状の突出した支持端部115を備え、その支持端部が開口113内に押し込まれ、開口113の開口縁部129が支持端部に対して支持される。その位置において横断接続部材101が支持要素105上に固定される。横断接続部材101を容易に開口113内に押し込むことができるようにするために、横断接続部材が円錐状の部位121を有し、それを介して開口縁部129が支持端部115上に摺動する。
【0046】
横断接続部材101は、円錐状の部位121の前方に、横断接続部材101を開口113内に糸通しするための突出した糸通し部位123を備える。糸通し部位123は十分な長さを有していて、横断接続部材101の固定後に切り詰めによって調整することができる。加えて、横断接続部材101が側方に突出するヘッド部127を備え、そのヘッド部によって引張力を支持要素105に伝導することができる。
【0047】
この方式によって保定ダウエルの原理の固定システム100を実現することができ、繊細なあるいはボリュームのある歯107-1,107-2および107-3のいずれにおいても迅速かつ簡便な固定が可能になる。目的に合わせて固定力を調節することができるため、固定システム100によって歯質の損傷が防止される。
【0048】
さらに、横断接続部材101の弾力的なシリコン棒材が過負荷に対する防護を提供する。固定システム100の誤飲あるいは誤吸引のリスクを排除することができる。加えて、柔軟なシリコン棒材によって隠れた領域の簡便な洗浄が可能になる。
【0049】
図8には、歯科対象物を固定する方法のブロック線図が示されている。ステップS101において、横断接続部材101が歯間空間103を介して挿通される。ステップS102において、歯間空間103の側方で歯107-1,107-2に対して支持するために支持要素105によって横断接続部材101が支持される。
【0050】
本発明の個々の実施形態に関連して説明および図示した全ての特徴を、多様な組み合わせで本発明の対象とすることができ、それによって同時に有効な利点が達成される。
【0051】
全ての方法ステップは、各方法ステップを実行するために適した装置を使用して実行することができる。対象である特徴によって実行される全ての機能は、この方法における方法ステップとすることができる。
【0052】
本発明の保護範囲は添付の特許請求の範囲によって定義され、説明中に記述されたあるいは図示された特徴によって限定されるものではない。
【符号の説明】
【0053】
100 固定システム
101 横断接続部材
103 歯間空間
105 支持要素
107 歯
109 鋸歯輪郭
111 嵌合手段
113 開口
115 支持端部
117 差込機構
119 歯科用センサ
121 円錐状の部位
123 糸通し部位
125 旋回ベアリング
127 ヘッド部
129 開口縁部
131 流路
133 貫通口
135 流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8