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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-16
(45)【発行日】2025-04-24
(54)【発明の名称】動力システムのための可変挙動制御機構
(51)【国際特許分類】
   B60R 22/38 20060101AFI20250417BHJP
【FI】
B60R22/38
【請求項の数】 23
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023165976
(22)【出願日】2023-09-27
(62)【分割の表示】P 2022039274の分割
【原出願日】2016-12-16
(65)【公開番号】P2023182662
(43)【公開日】2023-12-26
【審査請求日】2023-10-24
(31)【優先権主張番号】715391
(32)【優先日】2015-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NZ
(73)【特許権者】
【識別番号】525008907
【氏名又は名称】シュアワークス ユーエスエー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SureWerx USA Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ディール, アンドリュー カール
(72)【発明者】
【氏名】スコット, ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ウッズ, ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】フロスト, リンカーン
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-031008(JP,A)
【文献】特開2000-197712(JP,A)
【文献】特開2009-280107(JP,A)
【文献】実開昭58-101657(JP,U)
【文献】米国特許第05848758(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 35/00
B60R 22/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力システムにおいて可変挙動制御機構を制御する方法であって、前記方法が、
機構を用意するステップであって、前記機構が、
力が加えられると回転または線形運動するように構成された一次システムであって、移動部材と、前記移動部材にリンクされた少なくとも1つの別部材と、を備え、前記少なくとも1つの別部材が、ある時間または瞬間にわたる前記一次システムの少なくとも2つの運動特性を検知する運動特性センサとして機能する、一次システムと、
二次システムと、を備え、
検知される前記少なくとも2つの運動特性の閾値未満の場合に、作動が引き起こされず、前記一次システムと前記二次システムが互い運動学的に依存しないままであり、検知される運動特性の前記閾値以上である場合に、前記少なくとも1つの別部材が、移動して前記一次システムと前記二次システムとの直接的な係合を生じさせることにより、前記一次システムと前記二次システムとの運動学的に依存しない運動を減速または停止させる、ステップと、
記一システムに原動力を提供するステップであって、前記少なくとも2つの運動特性の前記閾値に達すると、前記一次システムと前記二次システムが係合させられる、ステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記少なくとも2つの運動特性が、変位、力の大きさおよび/または方向、速度、加速度、減速度、移動方向、ジャーク、およびそれらの組み合わせから絶対的または相対的指標として選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記運動特性センサが、機械式センサ、流体式センサ、熱センサ、磁気センサ、電気式センサ、電子式センサ、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記移動部材にリンクされた前記少なくとも1つの別部材が、歯止め、ロッカ、カムシステム、ラッチ、ディスク、キャリア、キャリッジ、スプール、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記二次システムが、カムプレート、ラッチプレート、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記移動部材がキャリッジまたはロータである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記移動部材が軸を備え、前記少なくとも1つの別部材が慣性リングおよび歯止めを備え、前記慣性リングおよび前記歯止めが、前記軸にリンクされるとともに前記軸を中心に回転し、前記軸に力が加えられると、前記一次システムが運動学的関係に従って運動し、前記慣性リングが前記一次システムの加速度を検知し、前記歯止めが前記一次システムの速度を検知し、
前記二次システムがラッチ部材を備え、
前記一次システムの加速度および速度の閾値未満である場合に、作動が引き起こされず、前記一次システムと前記二次システムが運動学的に依存しないままであり、
前記一次システムの加速度および速度の閾値以上である場合に、作動が引き起こされ、作動が、前記一次システムの前記歯止めと前記二次システムの前記ラッチ部材との係合であり、前記一次システムと前記二次システムが係合し、運動学的に依存するようになる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記一次システムが、前記一次システムの速度を検知する歯止めと、前記一次システムの加速度を検知する慣性質量体と、を備え、前記歯止めと前記慣性質量体が共に回転可能ディスクに取り付けられ、前記歯止めと前記慣性質量体が第1の付勢要素によって一体に保持され、前記回転可能ディスクが中心軸線を中心に回転可能であり、使用中に、前記回転可能ディスクに力が加えられると、前記一次システムが運動学的関係に従って運動し、前記回転可能ディスクが回転すると、前記第1の付勢要素に抗して作用する向心力が前記歯止めに作用し、
前記一次システムが、前記回転可能ディスクと前記慣性質量体との間に配置された第2の付勢要素をさらに備え、前記第2の付勢要素が、検知される前記運動特性を重み付けるとともに作動に影響を及ぼすように作用し、前記回転可能ディスクの回転加速時に、前記慣性質量体が、前記第2の付勢要素に抗して作用し、前記回転可能ディスクに対して回転しながら、前記第1の付勢要素を前記歯止めの枢動軸線に近づけることにより、制限トルクを抑制し、前記歯止めが前記第1の付勢要素に打ち勝つ回転速度を低下させ、
前記二次システムが、前記一次システムに対して運動学的に依存しておらず、前記一次システムの少なくとも一部を取り囲み、前記二次システムがラッチ部材を備え、
前記一次システムの加速度および速度の閾値未満である場合に、作動が引き起こされず、前記一次システムと前記二次システムが依存しないままであり、
前記一次システムの加速度および速度の閾値以上である場合に、作動が引き起こされ、作動が、前記一次システムの前記歯止めと前記二次システムの前記ラッチ部材との係合であり、前記一次システムと前記二次システムが係合し、運動学的に依存するようになる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記機構が、線状体のスプールにリンクされ、前記閾値以上の速度で前記線状体が延長される場合に、機構の作動により、前記線状体の延長速度に対する遅れ力が加えられる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記機構が、速度制御または線状体の繰出制御を調整する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記運動特性センサが第1の運動特性センサであり、前記一次システムが、前記第1のセンサから離れた物体または人に配置された第2の運動特性センサをさらに備え、前記第2の運動特性センサが、離れた前記物体または前記人の2つの運動特性を測定し、
前記第2の運動特性センサが間接的な運動特性センサであり、
前記第1および第2の運動特性センサの両方による検知される前記運動特性の閾値未満である場合に、作動が引き起こされず、前記一次システムと前記二次システムが互いに運動学的に依存しないままであり、
前記第1および第2の運動特性センサの両方による検知される前記運動特性の閾値以上である場合に、前記少なくとも1つの別部材が、移動して前記一次システムと前記二次システムとの直接的な係合を生じさせ、前記システム間の運動学的に依存しない運動を減速または停止させる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記一次システムが、軸に取り付けられたロータをさらに備え、前記軸に力が加えられると前記ロータが回転し、
前記別部材が第1の運動特性センサを備え、前記第1の運動特性センサが、直接的な運動特性センサであり、前記ロータにリンクされるとともに前記ロータに配置され、前記第1の運動特性センサが前記ロータと共に移動し、前記第1の運動特性センサが前記軸の加速度変化を測定し、
前記別部材が、前記ロータにリンクされるとともに遠心力によって前記ロータから枢動する歯止めをさらに備え、前記歯止めの枢動点が前記ロータの前記軸からオフセットし、前記歯止めが、前記軸の速度変化を測定する第2の直接的な運動特性センサとして機能し、
前記機構が、検知される前記第1および第2の直接的な運動特性を受ける電子式コントローラである間接的な運動特性センサをさらに備え、前記コントローラが閾値変更装置を変化させ、前記閾値変更装置が、遠心力による前記ロータから外側への歯止めの回転に抗する付勢力を提供する、前記ロータ上のソレノイドであり、
前記二次システムが前記一次システムに対して運動学的に依存しておらず、前記二次システムが前記一次システムの少なくとも一部の周りに配置され、
検知される前記運動特性の閾値未満である場合に、作動が引き起こされず、前記一次システムと前記二次システムが依存しないままであり、
検知される前記運動特性の閾値以上である場合に、作動が引き起こされ、作動が、作動を生じさせる前記歯止めの直接的な作用としての前記一次システムと前記二次システムとの係合であり、前記一次システムと前記二次システムが係合し、運動学的に依存するようになる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記一次システムがキャリッジおよび歯止めを備え、前記歯止めが、前記歯止めの軸線を中心に回転可能に前記キャリッジにリンクされ、前記歯止めが第1の速度センサであり、前記歯止めが常磁性であり、
前記機構が、
前記歯止めに配置された力センサ、および前記歯止めと前記キャリッジとの間にリンクされた付勢部材と、
前記キャリッジおよび前記歯止めに隣接した磁場と、
前記一次システムに対して運動学的に依存しない二次システムと、をさらに備え、
加えられた力によって前記キャリッジが線形的に移動するとき、検知される速度および力の閾値未満である場合に、作動が引き起こされず、前記一次システムと前記二次システムが依存しないままであり、
検知される前記速度および力の閾値であって、前記付勢によって提供される閾値以上である場合に、前記歯止めが前記磁場を通って移動すると、前記歯止めの運動に渦流ドラグ力が加えられ、作動が引き起こされ、作動が、作動を生じさせる前記歯止めの直接的な作用としての前記一次システムの前記歯止めと前記二次システムとの係合であり、前記一次システムと前記二次システムが前記歯止めによって係合し、運動学的に依存するようになる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記一次システムが、力が加えられると回転するロータと、前記一次システムの運動特性を測定する、前記ロータに配置されるとともに前記ロータと共に移動する直接的な運動特性センサと、検知される前記運動特性の少なくとも1つを前記一次システムから受ける、前記一次システム上に直接的に存在しない電子式コントローラと、を備え、
前記機構が、前記一次システムに対して運動学的に依存しておらず前記コントローラにリンクされた二次システムをさらに備え、前記二次システムが、前記一次システムの移動速度に抵抗するか、または停止させるように構成されたモータの形態であり、
回転および一次システムの移動を生じさせる力が前記ロータに加えられると、前記コントローラが、前記センサによる検知される前記運動特性を、既知の運動特性の測定値および/またはプロファイルのデータベースと比較し、検知される前記運動特性が閾値に達したか、超えたか、かつ/または設定された閾値レベルに達したかを判定し、
前記センサによる検知される前記運動特性の閾値未満である場合に、作動が引き起こされず、前記一次システムと前記二次システムが依存しないままであり、
検知される前記運動特性の閾値以上である場合に、作動が引き起こされ、作動が、前記一次システムの移動速度に抵抗するか、または停止させるように前記コントローラによって前記モータを作動させることであり、前記一次システムと前記二次システムが、運動学的に依存して移動するようになる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記一次システムが、線形移動部材、歯止めおよび慣性質量体を備え、前記歯止めおよび前記慣性質量体が前記線形移動部材に取り付けられ、前記歯止めが第1の付勢要素を介して前記慣性質量体にリンクされ、前記一次システムが、前記線形移動部材に力が加えられると運動学的関係に従って運動するように構成され、前記線形移動部材が移動すると、前記第1の付勢要素に抗して作用するドラグ力が前記歯止めに作用し、
前記一次システムが、前記線形移動部材と前記慣性質量体との間に配置された第2の付勢要素をさらに備え、前記第2の付勢要素が、検知される前記運動特性を重み付けるとともに作動に影響を及ぼすように作用し、前記線形移動部材の線形加速時に、前記慣性質量体が、前記第2の付勢要素に抗して作用し、前記線形移動部材に対して移動しながら、前記第1の付勢要素を前記歯止めの枢動軸線に近づけることにより、制限トルクを抑制し、前記歯止めが前記第1の付勢要素に打ち勝つドラグ力を低下させ、
前記二次システムが、前記一次システムに対して運動学的に依存しておらず、前記一次システムを取り囲み、前記二次システムがラッチ部材を備え、
前記一次システムの加速度および速度の閾値未満である場合に、作動が引き起こされず、前記一次システムと前記二次システムが依存しないままであり、
前記一次システムの加速度および速度の閾値以上である場合に、作動が引き起こされ、作動が、前記一次システムの前記歯止めと前記二次システムの前記ラッチ部材との係合であり、前記一次システムと前記二次システムが係合し、運動学的に依存するようになる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記線形移動部材がキャリッジである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
検知される少なくとも1つの運動特性が、作動を生じさせる前記閾値を変更するために別の運動特性よりも大きく重み付けられる、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記機構が自動ビレイシステム内の構成要素である、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記機構が自動巻取式命綱装置内の構成要素である、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記機構が避難用降下装置および火災避難装置内の構成要素である、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記機構が制動装置内の構成要素である、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つの別部材が単一の別部材である、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも1つの別部材が少なくとも2つの別部材である、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、ニュージーランド特許出願第715391号明細書から優先権を得ており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書に説明するのは、動力システムのための可変挙動制御機構である。より具体的には、様々な運動特性に敏感な機構であって、複数の運動特性を測定する手段を備え、システムは、機構の動きの動態に応答して、何らかの形の動きまたは動きの防止を完了するように作動され、作動は、複数の運動特性に対する感度の結果としてのみ生じる、機構が説明される。
【背景技術】
【0003】
上記で留意したように、本開示は、システムの運動の動態の特性に応答して作動が変化する動力システムのための機構に関する。
【0004】
知られている技術システムでは、動的な運動に関する単一の特性指標を、作動点(例えば、位置、速度、加速度、またはジャーク)を決定するための入力として使用する。これらのシステムは、測定された測定基準の単一の閾値の入力特性に基づいてシステムの作動を提供する。この種の機構の例は、車両に使用されるシートベルトになり得る。シートベルト機構は、ラインの伸張および収縮を可能にするが、突然の加速が起こると、ラッチが停止機構に係合し、ライン伸張は停止する。この例では、測定された単一の運動特性は、加速度である。システム運動の他の側面は、停止機構の作動を制御するために測定されず、または使用されない。このタイプのシステムは明らかに有効であるが、例えば、ユーザがシートベルトを嵌めて、ベルトをあまりにも急速に引っ張る場合に望ましくない作動を例えば生じやすいため、完全にはほど遠いものである。
【0005】
多くの状況および用途では、運動の動態に基づいてシステムの作動を変化させることが望ましい(そして有益である)。運動の力学は、時間に対する運動特性の変動を考慮して決定される。
【0006】
定義上、単一の特性指標に基づいて作動閾値を設定するシステムは、その単一の特性指標自体によって設定される閾値に基づいて作動を決定することはできない。
【0007】
しかしながら、特性指標の変化が決定されたか、または時間基準に対する運動の特徴的な挙動が考慮されるか、または代替の特性指標が考慮され、この指標または評価が、作動を決定するために測定された単一の特性によって、またはこの特性に沿って何らかの形で使用される場合、所望のシステム作動応答を達成することができる。作動は、例えば、1つまたは複数の運動特性指標によって変化される閾値であってもよく、または固定された作動閾値を決定するために複数の特性指標を使用するものであってもよい。言い換えれば、より広い範囲の運動特性が測定された場合、恐らく単一の運動特性が測定される場合よりは、最終的な機構は誤った作動を生じにくく、必要なときに作動しやすく、場合によってはより早く作動しやすい。
【0008】
本明細書に説明する機構の目的は、動力システムのための代替的な可変挙動制御機構を提供すること、または少なくとも公衆に選択肢を提供することとすることができる。
【0009】
制御機構および使用方法のさらなる態様および利点は、単なる例示として与えられる、確実にする説明から明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0010】
本明細書に説明するのは、様々な運動特性による可変挙動制御機構であって、複数の運動特性を参照する手段を備え、機構は、閾値に到達したときに運動特性に応答して何らかの形の制御または制御の防止を完了するように作動し、作動は、複数の運動特性の結果としてのみ生じる、可変挙動制御機構である。説明する機構は、単純な車両のシートベルトのような当分野の単一の運動特性測定システムよりも比較的複雑であり、その結果、例えば、望ましくない作動を最小限に抑えるか、または防止するために使用され、それによって機能性および用途を増大させながら、作動が必要とされる場合により正確に動作することができる。
【0011】
第1の態様では、動力システムにおける可変挙動制御機構であって、機構は、
少なくとも1つの一次システムを備え、一次システムは、一次システムに変化が加えられたときに運動学的関係に従って運動するように構成されており、一次システムは、
(a)運動学的関係に従う少なくとも1つの一次システムの少なくとも2つの運動特性を測定する少なくとも1つのセンサ、または
(b)少なくとも2つのセンサであって、これらのセンサは各々、運動学的関係に従う少なくとも1つの一次システムの少なくとも1つの運動特性を測定する、少なくとも2つのセンサを有し、
感知された運動特性の組合せが閾値に達したとき、少なくとも1つの一次システムと少なくとも1つの二次システムとの間において作動状態(機能有効化)を生じさせる、可変挙動制御機構が提供される。
【0012】
第2の態様では、動力システムにおける可変挙動制御機構であって、機構は、
少なくとも1つの一次システムを備え、一次システムは、一次システムに変化が加えられたときに運動学的関係に従って運動するように構成されており、一次システムは、
(a)運動学的関係に従う少なくとも1つの一次システムの少なくとも2つの運動特性を測定する少なくとも1つのセンサ、または
(b)少なくとも2つのセンサであって、これらのセンサは各々、運動学的関係に従う少なくとも1つの一次システムの少なくとも1つの運動特性を測定する、少なくとも2つのセンサを有し、
感知された少なくとも1つの運動特性が閾値に達したとき、少なくとも1つの一次システムと少なくとも1つの二次システムとの間において作動状態(機能有効化)を生じさせ、閾値は、少なくとも1つの別の運動特性指標に基づいて決定される、可変挙動制御機構が提供される。
【0013】
第3の態様では、動力システムにおける可変挙動制御機構であって、機構は、
少なくとも1つの一次システムを備え、一次システムは、一次システムに変化が加えられたときに運動学的関係に従って運動するように構成されており、一次システムは、
(a)運動学的関係に従う少なくとも1つの一次システムの少なくとも2つの運動特性を測定する少なくとも1つのセンサ、または
(b)少なくとも2つのセンサであって、これらのセンサは各々、運動学的関係に従う少なくとも1つの一次システムの少なくとも1つの運動特性を測定する、少なくとも2つのセンサを有し、
条件の組が少なくとも2つ以上の運動特性によって満たされたとき、少なくとも1つの一次システムと少なくとも1つの二次システムとの間において作動状態(機能有効化)を生じさせる、可変挙動制御機構が提供される。
【0014】
第4の態様では、動力システムにおける可変挙動制御機構を制御する方法であって、
(a)上記に実質的に説明した機構を用意するステップと、
(b)少なくとも1つの一次システムに原動力を提供するステップと、
(c)少なくとも2つの運動特性を参照するステップとによるものであり、
(d)基準運動特性に基づいて閾値に到達したとき、少なくとも1つの一次システムと少なくとも1つの二次システムとの間において作動状態(機能有効化)を生じさせる、方法が提供される。
【0015】
上記の利点は、以下の1つまたは複数を含み得る:
運動タイプ間の差別化-運動の「識別特性」に基づいて様々な運動タイプを区別するように機構を調整することができる。例えば、自由落下物は、9.81m/sの一定の加速度および線形に増加する速度を受けるが、歩行者は変化する加速度および速度を有する。両方の運動は等しい速度または加速度に到達し得るが、装置はそれぞれの状況に対して異なる応答を有することができる。
短い落下距離/迷惑なロックオフ発生の低下-SRLで装置が使用される場合、加速および速度の正しい組合せでシステムをすばやく作動させるように調整し、それによって短い落下距離を得ることができる。これは自由落下事象において生じる。しかし、この装置は、これらの事象における加速度および速度の様々な組合せを差別化することによって、通常の動作事象中の誤った作動(迷惑なロックオフ)を最小限に抑え続ける。
調整可能性-運動の実際の値と相対的な値(速度および加速度を含む)に対する装置の感度を制御することが可能になり得る。同様に、運動の効果(例えば、速度および加速度)がどのように組み合わされるかに合わせて、装置の感度を制御することも可能になり得る。さらに、この効果を使用して、装置内の二次システムが作動されまたは係合される装置の閾値を制御することが可能になり得る。
機能の向上-装置の調整可能性に基づいて、装置が特定の用途で使用される場合、特に装置が作動してはならない入力運動の「識別特性」が、作動が必要とされる場合のものに近い場合、装置の機能性を高めることが可能である。理解されるように、装置は、運動特性、運動特性の組合せ、および特性の相対的な閾値の様々なものから感知し、作動する能力を有するため、二次機能を有効にする必要性を決定するための装置の精度は、大きく改良される。
作動時間の短縮および迷惑なロックオフの発生の低下-自己収縮式ライフライン(SRL)用途で装置を使用すると、装置の作動時間を改善することができ、その結果、潜在的な迷惑なロックオフ事象を維持しながら、または低減しながら落下距離を短くすることができる。同様に、シートベルト用途では、装置は、実際の事故または衝突中の作動時間および精度を改善しながら、ベルトがユーザによって引き出されたときにロック機構の偶発的な作動回数を低減することによって、製品の可用性を高めることができる。
開示する機構は、より豊富な特性指標によってシステムの運動を特徴付けることによって、上記で留意したような方法で知られている技術システムの欠点を克服することができる。機構の作動は、別の(または組合せの)特性指標による1つの特性運動指標の閾値の変動に基づいて決定されてもよい。あるいは、作動のための閾値は、時間基準に関して考慮される1つまたは複数の特性指標値のプロファイルによって決定されてもよい。これは、機械的に、電気的に/電子的に、またはその両方の組合せによって達成され得る。運動の特性は、ある時点に瞬間的に、またはある時間帯にわたって決定され得る。
機構の動態をさらに調整するために、機構と共にプロセッサおよび/またはアルゴリズムをさらに利用して、より大きな機構の汎用性を提供することができる。
【0016】
可変挙動制御機構および使用方法のさらなる態様は、単なる例として与えられる以下の説明から、添付図面を参照して明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】作動機構の1つの様式化された実施形態を示す。
図2】第1および第2の運動特性の経時的に可能なプロファイルを示すグラフである。
図3】機構の動作プロセスを示す流れ図である。
図4】作動機構の代替の実施形態を示す図である。
図5】第1および第2の運動特性の経時的に可能なプロファイルを示すグラフである。
図6】作動機構の1つの様式化された実施形態を示す。
図7】ある瞬間において測定された、第1および第2の運動特性の第1のセンサによって感知された可能なプロファイルを示すグラフである。
図8】別の実施形態による、経時的に測定された第1および第2の運動特性の第1のセンサによって感知された可能なプロファイルを示す図である。
図9】上記の別の実施形態の動作の流れ図である。
図10】上記の別の実施形態の動作の代替の流れ図である。
図11】作動機構の別の代替の実施形態を示す図である。
図12】上記の別の実施形態の動作の流れ図である。
図13】さらに別の実施形態の動作の流れ図である。
図14】上記の別の実施形態による、経時的に測定された、第1および第2の運動特性の第1のセンサによって感知された可能なプロファイルを示す図である。
図15】1つの運動特性が別の運動特性において感知するための作動閾値に影響を及ぼしたときに作動が生じる回転式機構の実施形態を示す図である。
図16】上記の回転式機構の実施形態に基づく、運動特性の感知された組合せに対する第1のグラフ化されたプロファイルを示す図である。
図17】上記の回転式機構の実施形態に基づく、運動特性の感知された組合せに対する第2のグラフ化されたプロファイルを示す図である。
図18】上記の回転式機構の実施形態に基づく、運動特性の感知された組合せに対する第3のグラフ化されたプロファイルを示す図である。
図19】外部コントローラ/プロセッサと共に一次システム上に配置され、それに直接作用する複数のセンサを使用する機構の別の実施形態を示す図である。
図20】一次システムおよび二次システムが結合され、二次システムがモータである回転式の実施形態の別の実施形態を示す図であり、システムの作動は、モータが運動に対する抵抗をもたらすようにコントローラおよび/またはプロセッサによって制御されるときにシステムの作動が生じる。
図21】作動機構の代替の線形実施形態を示す図である。
図22】作動機構の別の代替の回転式実施形態を示す図である。
図23】作動機構の別の代替の線形の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
上記で留意したように、本明細書に説明するのは、様々な運動特性による可変挙動制御機構であって、複数の運動特性を参照する手段を備え、機構は、閾値に到達したときに運動特性に応答して何らかの形の制御または制御の防止を完了するように作動し、作動は、複数の運動特性の結果としてのみ生じる、可変挙動制御機構である。説明する機構は、車両のシートベルトのような従来の単一の運動特性測定システムよりも比較的複雑であり、その結果、例えば望ましくない作動を最小限に抑えるか、または防止するために使用され、それによって機能性および用途を増大させながら、作動が必要とされる場合により正確に動作することができる。
【0019】
本明細書の目的では、「約」または「およそ」という用語およびその文法的変形は、基準の数量、レベル、程度、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量、または長さに対して30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1%の大きさだけ変動する、数量、レベル、程度、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量、または長さを意味する。
【0020】
「略」という用語またはその文法的変形は、少なくとも約50%、例えば75%、85%、95%または98%を指す。
【0021】
「備える(comprise)」という用語およびその文法的変形は、包括的な意味を有するものとする。すなわち、直接参照する列挙された構成要素だけでなく、他の特定されていない構成要素または要素を含むことを意味すると解釈される。
【0022】
「部材」という用語は、一緒になって示された機能を達成する1つの部品もしくは要素または複数の部品または要素を指すことができる。
【0023】
「センサ」という用語またはその文法的変形は、個々の感知要素、感知要素の組合せ、感知システム、感知要素および測定システム、信号処理および操作システムのいずれかまたはそれらの組合せを指し、これは、組み合わされたまたは分離された、単一のシステムまたはシステムの組合せであってもよい。さらに、「センサ」という用語またはその文法的変形は、いずれも少なくとも1つの運動特性を参照し、次に何らかの挙動をそれ自体が受けるか(能動的)または別の機構上に何らかの挙動を作用する(受動的)もの、またはその複数のものを指し、この挙動は、起動事象を引き起こすか、または招く。要約すると、少なくとも1つのセンサは、構成要素の動態および静的状態によって課せられた適用された条件に応答することができ、これらの条件は、その後、これらに直接的または間接的に応答してセンサを動作させて作動事象を達成する。
【0024】
「閾値」という用語またはその文法的変形は、作動作用が生じる点に等しい値、またはこの点に等しい、一組の運動特性から決定された事象として決定される値を指す。
【0025】
「可変挙動」という用語またはその文法的変形は、複数の入力に基づいてその応答を変化させる機構を指し、複数の入力は、単一の入力機構より多くの数の可能性があり、予測可能かつ所定の応答を与える。具体的には、可変挙動は、他の運動特性の影響による1つの運動特性に対する変動であってもよい。
【0026】
「測定」という用語またはその文法的変形は、少なくとも1つの機構運動特性のサイズ、量、または程度を確認することを指す。
【0027】
「信号」という用語またはその文法的変形は、表示、警告、もしくはコマンド、または値、例えば電圧、電流、力、バイナリ、機構構成の反応、または可能な将来の予測された位置を提供する少なくとも1つの運動特性を指す。
【0028】
第1の態様では、動力システムにおける可変挙動制御機構であって、機構は、
少なくとも1つの一次システムを備え、一次システムは、一次システムに変化が加えられたときに運動学的関係に従って運動するように構成されており、一次システムは、
(a)運動学的関係に従う少なくとも1つの一次システムの少なくとも2つの運動特性を測定する少なくとも1つのセンサ、または
(b)少なくとも2つのセンサであって、これらのセンサは各々、運動学的関係に従う少なくとも1つの一次システムの少なくとも1つの運動特性を測定する、少なくとも2つのセンサを有し、
感知された運動特性の組合せが閾値に達したとき、少なくとも1つの一次システムと少なくとも1つの二次システムとの間において作動を生じさせる、可変挙動制御機構が提供される。
【0029】
上記から理解され得るように、本発明者らは、閾値に対して絶対的および相対的直接測定値を有し、したがって単独でおよび組み合わせて作動に直接影響を与える、運動特性によって作動が生じる機構の設計を特定した。
【0030】
1つの実施形態では、閾値に到達したときに上記で留意した作動が生じることができ、これは、2つ以上の運動特性指標が所定の閾値に到達したときであり、各々の運動特性には、直接的な重み付けがなされる。
【0031】
代替の実施形態では、閾値に到達したときに作動が生じることができ、少なくとも1つの運動特性指標には、固定された閾値に対して測定された場合の少なくとも1つの別の運動特性よりも相対的に高い閾値重み付けがなされる。
【0032】
第2の態様では、動力システムにおける可変挙動制御機構であって、機構は、
少なくとも1つの一次システムを備え、一次システムは、一次システムに変化が加えられたときに運動学的関係に従って運動するように構成されており、一次システムは、
(a)運動学的関係に従う少なくとも1つの一次システムの少なくとも2つの運動特性を測定する少なくとも1つのセンサ、または
(b)少なくとも2つのセンサであって、これらのセンサは各々、運動学的関係に従う少なくとも1つの一次システムの少なくとも1つの運動特性を運動学的関係に従って測定する、少なくとも2つのセンサを有し、
感知された少なくとも1つの運動特性が閾値に達したとき、少なくとも1つの一次システムと少なくとも1つの二次システムとの間において作動状態を生じさせ、閾値は、少なくとも1つの別の運動特性指標に基づいて決定される、可変挙動制御機構が提供される。
【0033】
上記から理解され得るように、本発明者らは、この態様において、1つまたは複数の運動特性の感知が、他の1つの運動特性が感知し促進する作動閾値に影響を及ぼす機構を特定した。すなわち、この機構は、運動特性の重み付けられた組合せが選択された閾値を超えているときには作動するが、他のすべての時間では、作動されず、または係合解除されたままである手段を提供する。
【0034】
第3の態様では、動力システムにおける可変挙動制御機構であって、機構は、
少なくとも1つの一次システムを備え、一次システムは、一次システムに変化が加えられたときに運動学的関係に従って運動するように構成されており、一次システムは、
(a)運動学的関係に従う少なくとも1つの一次システムの少なくとも2つの運動特性を測定する少なくとも1つのセンサ、または
(b)少なくとも2つのセンサであって、これらのセンサは各々、運動学的関係に従う少なくとも1つの一次システムの少なくとも1つの運動特性を測定する、少なくとも2つのセンサを有し、
条件の組が少なくとも2つ以上の運動特性によって満たされたとき、少なくとも1つの一次システムと少なくとも1つの二次システムとの間において作動状態を生じさせる、可変挙動制御機構が提供される。
【0035】
上記の態様の両方に共通の別の実施形態では、機構は、機構またはその一部に配置された、少なくとも1つの運動特性を感知する少なくとも1つのセンサを備えて構成される場合に、直接的感知および作動を利用することができ、閾値に達したとき、少なくとも1つのセンサは、機構、システム、またはその一部分上に直接作動を引き起こす。
【0036】
少なくとも1つのセンサは、機構またはその一部と共に移動することもできる。
【0037】
上記の実施形態の代わりに、機構は間接感知を利用してもよい。間接または遠隔感知のみが使用されてもよい。あるいは、間接的な感知および直接的な感知の組合せが使用されてもよい。例えば、機構は、機構から遠隔に配置された少なくとも1つのセンサを備えて構成されてもよく、場合によっては、一次システムに直接配置された別のセンサを備えていてもいなくてもよく、閾値に達したとき、二次システムによって作動が生じる。理解され得るように、2つのセンサが使用される実施形態では、1つは一次システムに直接的であり、別のものは間接的であり、各センサは少なくとも1つの運動特性を感知することができる。対照的に、単一の間接センサのみが使用される実施形態では、間接センサは、少なくとも2つの運動特性を感知する。また、上記で留意したように、各々が少なくとも1つの運動特性を感知する2つの間接または遠隔センサがあってもよい。複数の間接センサが使用される場合、センサは異なる遠隔の対象物上にあってもよい。
【0038】
別の実施形態では、閾値に到達したときに作動が生じることができ、閾値は、単一の瞬間に決定された運動特性から導き出される。
【0039】
上記の代替的な実施形態では、閾値に到達したときに作動が生じることができ、閾値は、確立された、感知された少なくとも2つの運動特性のプロファイルに基づいて決定される。理解され得るように、単一の運動特性の参照は、本質的には、特に運動特性が単一の瞬間ではなくある時間帯にわたって測定される場合、別の運動特性を取り込むか、またはこれにも参照が必要になることがあり、別の本質的な運動特性は、運動特性が経時的に変化する時間および方法である。本明細書では単一の運動特性の参照には、厳密な解釈を与えてはならず、運動特性は別の運動特性として時間を使用してもよいことを理解されたい。
【0040】
上記の実施形態から理解され得るように、作動は、運動特性の識別特性が選択された閾値を超えたときに生じることができ、他のすべての時間では作動されないままである。運動特性の識別特性は、単一の瞬間における運動特性の属性の固有の組合せであってもよい。あるいは、運動特性の識別特性は、ある時間帯にわたって決定された運動特性の属性の固有の組合せであってもよい。
【0041】
上記で留意したように、作動は、測定された閾値に達したことに基づいて生じることができる。作動は、超過作用により、または減少作用によるものでよい。例えば、閾値に到達し、作動が生じることは、測定された運動特性の少なくとも1つが所望の閾値を超えた場合にのみ生じることができる。あるいは、閾値に到達し、作動が生じることは、測定された運動特性の少なくとも1つが所望の閾値を下回った場合にのみ発生することができる。別の言い方をすれば、「作動」という用語は、実行される作用を作動するだけでなく、作用を作動停止させることも含み、作動または作動停止は、一次システムと二次システムとの間の関係の変化または変更である。
【0042】
1つの実施形態では、例えばジャークおよび速度の閾値またはジャーク対速度(または他の関係)の比を超えたことにより、作動をトリガする測定された高い速度と組み合わせた突然のジャーク作用に応答して作動が生じる。反対に、異なる機構では、入力の反対の組が閾値の到達をトリガすることができ、すなわちジャーク運動特性は停止し、および/または速度は低下し(またはこれらの2つの運動特性間の関係が何らかの方法で低下する)、閾値は指標の低下によって生じるものである。理解されるべきであるが、増大または低下作用のいずれかが閾値の到達をトリガすることができ、作動の発生および一方の作用または他方の作用を参照することは、限定的であると見なされてはならない。
【0043】
少なくとも2つの運動特性は、変位、力の程度および/または方向、速度、加速度、減速度、移動方向、ジャーク、時間基準、およびそれらの組合せから絶対的または相対的指標として選択することができる。
【0044】
少なくとも2つの運動特性は、代替的に、または上記と組み合わせて、変位、力の程度および/または方向、速度、加速度、減速度、移動方向、ジャーク、およびこれらの組合せの修正信号から絶対的または相対的指標として選択されてもよい。
【0045】
一例として、一次システムが歯止めまたは慣性ディスクであり、歯止めまたは慣性ディスクの運動が減衰された場合、歯止めまたは慣性ディスクからの信号は、「修正」され、したがって減衰が修正手段である。同様に、電子信号を処理し、修正し、オフセットし、乗算するなどを行うことができるため、機械的実施形態への参照は、限定的であると見なされてはならない。
【0046】
1つの実施形態では、運動の特性は、変位または時間に対する変位の任意の差違である。時間に対する変位の第1、第2、第3、第4、第5および第6の差違は、それぞれ、速度、加速度、ジャーク、スナップ(またはジャウンス)、クラックおよびポップである。これらの運動特性は、方向および大きさがそれらを定義することを意味する物理的なベクトル量である。これらの運動特性の大部分は、時間に対する別の量の変化率であるが、これらはある瞬間に測定することができ、またはある時間帯にわたって評価することもできる。
【0047】
2つ以上の運動特性を様々な方法で組み合わせて、閾値または一組の条件を定義することができる。入力運動特性を評価して、閾値が超過したか、または条件が満たされたかを決定することができる。
【0048】
閾値を超えた場合の例は、測定された速度と加速度の合計がxより大きい場合、測定された速度がxより大きい場合とすることができ、xはその時点での加速度に反比例する。条件が満たされる場合の例は、測定された速度がxを超え、測定された加速度がyを超える場合、加速度がxより大きい場合、または変位がyよりも小さい場合とすることができる。
【0049】
測定された運動特性値または指標は、例えば一定速度などの経時的に変化しない範囲とすることができるか、または例えば加速度の緩やかな増大または低下などの時間の経時的にゆっくりと変化することができるか、または例えば突然の変位などの突然の変化を受けてもよいことに留意されたい。これらの測定された運動特性の各々1つは、機構全体(または少なくとも一次システム)の運動学の一部のみを提供することができ、故に、なぜ閾値を複数の運動特性に基づかせるかが、重要であり、または少なくとも有用になり得る。例えば、機構は、自己収縮式ライフライン(SRL)のような落下安全装置であってもよく、測定された運動特性は、ライン加速度と共にスプールからのラインの変位であってもよい。落下中、ユーザが落下前にすでに動き出していた場合には、ライン加速度は徐々に生じるか、または存在しない場合もあり、加速度の変化率のみが測定される場合、加速度のセンサは変化の発生を見ず、または感知しないので、落下にもかかわらずラインの繰り出しは普通に継続し得る。スプールからのライン変位と組み合わせてまたはこれに関連して加速度の速度が感知される場合、機構は、ライン繰り出しの速度が閾値を超えていることを「見る」ことができ、この閾値は、落下シナリオに等しく、ラインの繰り出しの停止または低速化をその結果生じさせる作動が、二次システム作動によって開始され、二次システムは、この場合制動機構である。
【0050】
作動は、少なくとも1つの一次システムと少なくとも1つの二次システムまたはその一部との間に少なくとも部分的な係合を引き起こし得る。係合は完全係合であってもよい。作動は、その代わりに係合解除によるものでよい。本明細書では簡略化のために係合という用語を参照するが、係合という用語が参照される場合に係合解除の反対と読み取ってもよく、係合の参照は、留意されるすべての場合において限定的と見なされてはならないことを理解されたい。
【0051】
少なくとも部分的な係合は、直接的であってもよい。例えば、直接的は、二次システムの要素または複数の要素に直接接触および/または嵌合する一次システムの要素または複数の要素を指すことができる。少なくとも部分的な係合はその代わりに間接的であってもよい。この場合、係合は、二次システムとさらに係合する追加の部材または複数の部材を作動させる一次システムの1つまたは複数の要素間であってもよい。いずれの場合でも、直接的または間接的な係合方法の使用にかかわらず、一次システムと二次システムまたはその一部との間の係合の最終結果は、共通している。
【0052】
少なくとも部分的な係合の結果、少なくとも1つの一次システムと少なくとも1つの二次システムとの間に同期運動が生じ得る。両方のシステムは、例えば、いったん係合すると、システム間の独立した運動無しに一緒に回転する回転機構内にあってもよい。
【0053】
少なくとも部分的な係合により、少なくとも1つの二次システムは、少なくとも1つの一次システムの変化(一例では、動き)に抵抗することができる。あるいは、係合により、少なくとも1つの一次システムが、少なくとも1つの二次システムの変化にさらに抵抗することもできる。
【0054】
少なくとも部分的な係合は、少なくとも1つの一次システムおよび少なくとも1つの二次システムの運動を停止させることができる。
【0055】
少なくとも部分的な係合の結果、二次システムとの相互作用に変化が生じることができる。
【0056】
少なくとも部分的な係合の結果、二次システムの特性に対する変更/修正/変化が生じることができる。
【0057】
少なくとも1つのセンサは、少なくとも1つの機械式センサ、少なくとも1つの流体センサ、少なくとも1つの熱センサ、少なくとも1つの磁気センサ、少なくとも1つの電気センサ、少なくとも1つの電子センサ、およびそれらの組合せから選択されてもよい。
【0058】
本明細書で説明するセンサは、組み合わせて、それらの挙動が特定の入力条件(運動挙動など)に敏感であり、任意選択により、感知された(運動)挙動に対する反復可能な応答を提供するように構成された別個の要素または要素のシステムであってもよい。留意された応答は、外部システムまたは要素に信号出力を提供することができ、または関連するシステムまたは(センサ自体の一部ではない)要素の動作条件を変更または影響を及ぼすように作用することができる。
【0059】
上記で留意されたように、センサは、運動特性を単に感知し、この感知された情報を別の要素に送る非作用受動要素またはその複数の要素であってもよい。その代わりに、センサは、作動/係合手段または機構を感知し、作動/係合手段または機構である能動的な装置であってもよい。両方の形態のセンサ(能動的および受動的)の組合せを使用することができ、受動センサまたは能動センサへの参照は限定的であると見なされてはならない。能動的作動/係合システムの1つの例は、例えば、回転式システム(同時に一次システムである)の歯止めであってもよく、この場合歯止めは、速度に敏感/感知するものであり、閾値に到達したときに回転システムから離れた軸線の周りを回転し、歯止めはその後二次システムにラッチする。感知のための構成要素の機能は、構成要素が一次システムの他の態様において機能を提供する能力を制限しないことをさらに理解されたい。
【0060】
説明する機構の1つの利点は、一次システム動態を変化させるようにセンサ動態を調整することができることである。一例として、センサが速度を感知する歯止めである場合、センサの感度は、歯止めを変化させることによって、例えば歯止めの形状を変化させることによって、歯止めの重心を変化させることによって、歯止めの枢動点の場所を変化させることによって、および歯止めの移動を制限する付勢を有することなどによって調整され得る。
【0061】
1つの実施形態では、少なくとも1つの一次システムは、キャリッジまたはロータを備えることができ、少なくとも1つの感知部材は、キャリッジまたはロータにリンクされ得る。キャリッジまたはロータにリンクされた少なくとも1つの感知部材は、例えば、歯止め、ロッカ、カムシステム、ラッチ、ディスク、キャリア、キャリッジ、スプール、およびそれらの組合せから選択することができる。このリストは、様々な他の感知部材が使用され得るので、限定として見なされてはならない。
【0062】
上記で留意したように、一次システムおよびセンサは、組み合わされた要素であってもよい。1つの例では、組み合わせられた機械式センサ/一次システムは、これに限定されるものではないが、質量体、付勢要素、レバー、カム、および/または磁気抗力要素を含む要素からなることができる。例えば、加速度センサは、抵抗力が変位によって予測可能に変化する付勢要素によって加速度の方向に拘束された質量体の形態を取ることができる。付勢装置に沿って付勢要素の自由端に運動加速度をかける作用の結果、付勢要素によって自由質量体に十分な力が加えられて自由質量体を外部加速度と同じ速度で加速するまで、付勢要素に変化が生じる。質量体はその質量および適用される力に比例して加速するので、付勢要素の変化は、異なる加速度値に合わせて変化し得る。このようにして、外部加速度は、質量体および付勢装置の相互作用によって感知され、加速度のレベルは、付勢要素の変化のレベルによって決定され得る。
【0063】
別の例では、回転速度は、半径方向の運動自由度を有する回転要素上の質量体によって機械的手段を通して感知されてもよい。回転中、質量体は、回転速度の2乗に比例して半径方向に加速する傾向を示す。上記の例と同様の特性の付勢装置によって質量体を制限して、付勢の半径方向の変化を参照して回転速度を決定することができる。
【0064】
少なくとも1つのセンサは、システムの作動において利用されかつ有効な感知された運動に比例した個別の出力を提供する必要はない。代わりに、少なくとも1つのセンサは、作動挙動を提供するためにそれ自体の要素に作用することができ、または作動挙動に影響を及ぼす他のシステムの制約および/または変数と相互作用することができる。
【0065】
別のセンサは、スイッチ、発電機、および電気ソレノイドなどの電気要素の使用であってもよい。必須ではないが、これらは、少なくとも1つのセンサまたは複数のセンサを形成するために機械的要素と組み合わせられてもよい。電気速度センサの一例は、その電圧出力が回転速度に比例する発電機である。別の例では、電気的ソレノイドは、上記の機械的な例で詳述したような、付勢装置に取り付けられた磁石質量体と組み合わせられてもよい。ソレノイドコイル内の磁石の運動の結果、速度に比例した電圧が生じることができる。磁石質量体の移動は加速度の変化に伴って生じるので、加速度の変化率の結果、ソレノイドコイルに対する磁石の速度が生じる。したがって、結果として生じる電圧は、加速度の変化率、すなわちジャーク運動特性に比例する。
【0066】
少なくとも1つのセンサは、測定される運動特性に関連するセンサ出力を提供するように構成された電子構成要素および別個の感知要素を備えることができる。そのようなセンサは、受動要素を利用してもよく、あるいはセンサ出力または応答を定義する際にプロセッサおよび/またはアルゴリズムを使用してもよい。あるいは、電子センサは、外部入力用の出力信号を、プロセッサおよび/またはアルゴリズムに引き続いて作動を決定するために提供することができる。
【0067】
少なくとも1つの二次システムは、一次システムまたはその一部が係合する機械的機構であってもよい。少なくとも1つの二次システムは、例えば、カムプレートまたはラッチプレート、およびそれらの組合せのような停止部であってもよい。このリストは、他の様々な機械的二次システム構成が使用され得るので、限定的であると見なされてはならない。
【0068】
少なくとも1つの二次システムは、代替的に、伝達機構、モータ、ソレノイド、およびそれらの組合せを含む電気または電子機構であってもよい。このリストは、他の様々な電気的および電子的な二次的システム構成が使用され得るので、限定的であると見なされてはならない。この実施形態では、少なくとも1つの二次システムは、一次システムに直接結合されたモータまたはブレーキであってもよく、作動すると、モータまたはブレーキは、次いで、一次システムの移動に対する抵抗をもたらす。
【0069】
1つの例では、上記で留意したモータは、例えば二次システムであってもよく、その場合、これは、作動前に一次システムに結合することができ、その作動により、モータまたはブレーキは給電されて運動に抵抗するか、またはこれを停止させる。
【0070】
第4の態様では、動力システムにおける可変挙動制御機構を制御する方法であって、
(a)上記に実質的に説明した機構を用意するステップと、
(b)少なくとも1つの一次システムに原動力を提供するステップと、
(c)少なくとも2つの運動特性を参照するステップとによるものであり、
(d)基準運動特性に基づいて閾値に到達したとき、少なくとも1つの一次システムと少なくとも1つの二次システムとの間において作動状態を生じさせる、方法が提供される。
【0071】
少なくとも1つの一次部材は、速度に敏感な少なくとも1つの部材と、加速度に敏感な少なくとも1つの部材と、少なくとも2つの部材が装着されているキャリアとを含むことができる。
【0072】
少なくとも1つの加速度感知性部材は、キャリアに対する少なくとも1つの加速度感知性部材の特性を変更する感知手段を有する。感知手段は、例えば、力センサであってもよい。
【0073】
少なくとも1つの加速度感知部材の相対的特性は、存在する加速度に比例することができる。
【0074】
少なくとも1つの速度感知部材の特性は、速度が閾値を通過したときに変化することができ、したがって少なくとも1つの二次システムに係合するか、またはこれを作動する。少なくとも1つの速度感知性部材が変化する閾値は、少なくとも1つの加速度感知性部材の特性によって変更されてもよい。
【0075】
加速度センサの特性は、少なくとも1つの付勢要素によって制御することができ、少なくとも1つの付勢要素は、さらに、少なくとも1つの加速度感知部材と少なくとも1つの速度感知部材との間の少なくとも1つの第2の付勢要素を変更することができる。1つまたは複数の付勢要素は、ばねまたは複数のばねであってもよい。
【0076】
あるいは、単一の一次部材が、キャリアに装着されてもよく、速度および加速度の両方に敏感であってもよい。
【0077】
単一の一次部材は、速度および加速度によってこれに作用する力が組み合わされるように構成されてもよく、このとき、組み合わされた力は、所定の閾値を超えたときにキャリアに対する単一の一次部材の特性を変更し、したがって少なくとも1つの二次システムを作動させるか、またはこれと係合する。
【0078】
上記で留意した速度感知は、上記で留意したものを超える様々な方法で達成され得る。例えば、速度作動システムは、ランプ上を移動するロッカの動態を使用することができ、この動態は、速度閾値を上回るとロッカをラッチ位置に移動させる。ラッチ位置の移動に対するロッカ抵抗は、システム上の加速度に応答してロッカ上の付勢を変化させることによって修正することができる。
【0079】
上記の例における作動は、少なくとも部分的には速度に関連し、キャリアはロッカであり、速度は、ランプ上を移動するロッカの動態を用いて感知され、動態は、速度閾値を上回るとロッカを作動位置に移動させる。
【0080】
作動により、ロッカは一次および二次システムと一緒に係合し、および/または存在する場合には少なくとも1つの追加のラッチ部材と係合する。
【0081】
ラッチされた位置移動に対するロッカ抵抗は、機構またはその一部上での加速に応答してロッカの付勢を変化させることによって修正される。
【0082】
本明細書に説明する機構の最終的な実施形態は、変更されてもよい。例えば、自動ビレイ装置(オートビレイ)または自己収縮式ライフライン(SRL)の実施形態は、これらの機構を使用することができる。SRLの実施形態では、ラインがSRL装置から伸張し収縮することができ、ラインがSRL装置から閾値を超える速度で伸張するとき、この機構は係合して、ライン延長速度に遅れ力をかける。説明する装置は、以下の速度制御または負荷制御を含む非限定的な例として、広範囲の他の用途に使用され得るので、SRLおよびオートビレイの用途は、制限として見なされてはならない:、
回転タービン内のロータ;
運動器具、例えばローイングマシン、エピサイクリックトレーナ、ウェイトトレーニング機器;
ローラコースタおよび他の娯楽用乗り物;
エレベータおよびエスカレータシステム;
避難用降下装置および避難装置;
コンベヤシステム;
工場生産設備の回転式ドライブ;
コンベヤベルトなどの材料処理装置またはシュート内の制動装置;
路側安全システム、例えばエネルギー吸収装置をシステム内に接続してエネルギー吸収装置、例えば路側障壁または路側障壁終端を介してエネルギーの散逸によって衝突減衰を提供することができるシステム;
車両のシートベルト;
ジップライン:
トロリーおよびキャリッジの制動機構;
輸送用途におけるバンプストップ
クレーン用途におけるバンプストップ;
機械式駆動装置のトルクまたは力制限装置;
風力タービンの構造過負荷保護;
構造物、建物および橋梁における荷重制限およびエネルギー散逸。
【0083】
上記の利点は、以下の1つまたは複数を含み得る:
運動タイプ間の差別化-運動の「識別特性」に基づいて様々な運動タイプを区別するように機構を調整することができる。例えば、自由落下物は、9.81m/sの一定の加速度および線形に増加する速度を受けるが、歩行者は変化する加速度および速度を有する。両方の運動は等しい速度または加速度に到達し得るが、装置はそれぞれの状況に対して異なる応答を有することができる。
短い落下距離/迷惑なロックオフ発生の低下-SRLで装置が使用される場合、加速および速度の正しい組合せでシステムをすばやく作動させるように調整し、それによって短い落下距離を得ることができる。これは自由落下事象において生じる。しかし、この装置は、これらの事象における加速度および速度の様々な組合せを差別化することによって、通常の動作事象中の誤った作動(迷惑なロックオフ)を最小限に抑え続ける。
調整可能性-運動の実際の値と相対的な値(速度および加速度を含む)に対する装置の感度を制御することが可能になり得る。同様に、運動の効果(例えば、速度および加速度)がどのように組み合わされるかに合わせて、装置の感度を制御することも可能になり得る。さらに、この効果を使用して、装置内の二次システムが作動されまたは係合される装置の閾値を制御することが可能になり得る。
機能の向上-装置の調整可能性に基づいて、装置が特定の用途で使用される場合、特に装置が起動してはならない入力運動の「識別特性」が、作動が必要とされる場合のものに近い場合、装置の機能性を高めることが可能である。理解されるように、装置は、運動特性、運動特性の組合せ、および特性の相対的な閾値の様々なものから感知し、作動する能力を有するため、二次機能を有効にする必要性を決定するための装置の精度は、大きく改良される。
作動時間の短縮および迷惑なロックオフの発生の低下-自己収縮式ライフライン(SRL)用途で装置を使用すると、装置の作動時間を改善することができ、その結果、潜在的な迷惑なロックオフ事象を維持しながら、または低減しながら落下距離を短くすることができる。同様に、シートベルト用途では、装置は、実際の事故または衝突中の作動時間および精度を改善しながら、ベルトがユーザによって引き出されたときにロック機構の偶発的な作動回数を低減することによって、製品の可用性を高めることができる。
開示する機構は、より豊富な特性指標によってシステムの運動を特徴付けることによって、上記で留意したような方法で知られている技術システムの欠点を克服することができる。機構の作動は、別の(または組合せの)特性指標による1つの特性運動指標の閾値の変動に基づいて決定されてもよい。あるいは、作動のための閾値は、時間基準に関して考慮される1つまたは複数の特性指標値のプロファイルによって決定されてもよい。これは、機械的に、電気的に/電子的に、またはその両方の組合せによって達成され得る。運動の特性は、ある時点に瞬間的に、またはある時間帯にわたって決定され得る。
機構の動態をさらに調整するために、機構と共にプロセッサおよび/またはアルゴリズムをさらに利用して、より大きな機構の汎用性を提供することができる。
【0084】
上記で説明した実施形態は、本出願の明細書で個別にまたは集合的に参照されるかまたは示される部品、要素および特徴、ならびに任意の2つ以上の前記部品、要素または特徴の任意のまたはすべての組合せであると広く言及することもできる。
【0085】
さらに、特定の整数が本明細書に記載されており、実施形態が関連する技術分野における知られている等価物を有する場合、そのような知られている等価物は、個別に記載されているように本明細書に組み込まれるものと見なされる。
【0086】
実際の動作例
上記で説明した制御機構および使用方法を、次に特定の例を参照して説明する。
【0087】
例1
上記で説明した詳細な説明で述べたように、1つの作動感知機構は、一次システム上で少なくとも2つの運動特性を感知することができる。
【0088】
この実施形態は、図1を参照して以下により詳細に説明され、この図は、一次システム1と、二次システム2と、一次システム1の運動Mを引き起こす、一次システム1に加えられた方向Fの力とを有する様式化された機構を示す。センサ3は、2つの運動特性を測定する一次システム1上に配置されてもよい。
【0089】
上側グラフの図2は、x軸上の時間tにわたって測定された第1の運動特性MC1の可能なプロファイルP1を示し、第1の運動特性指標MC1、例えば変位、力の程度および/または方向、加速度、ジャーク、速度などはy軸上にある。図2の下側のグラフは、同じ時間帯にわたって測定された第2の運動特性MC2の可能なプロファイルP2を示し、時間はx軸上にあり、第2の運動特性MC2指標はy軸上にある。
【0090】
図3は、外力が加えられて始動し、一次システムの運動を引き起こし、次に2つのまたは運動特性を感知して開始し、運動特性が閾値に到達したかどうかを試験する判定ステップを行い、到達していなければ感知ステップを繰り返し、到達した場合、作動が二次システムによって生じる、動作プロセスを示す流れ図である。
【0091】
この例では、例えば、二次システムによって作動を引き起こすセンサの直接的作用によって、例えば一次および二次システム係合を引き起こすことによって、作動が生じ得ることに留意されたい。
【0092】
例2
上記の詳細な説明で留意したように、1つの作動感知機構は、少なくとも2つの運動特性を感知することができ、1つの運動特性は、一次システム上に直接的であり、別のものは、一次システムの遠隔地点にある。
【0093】
この実施形態は、一次システム1、二次システム2、および一次システム1の運動Mを引き起こす、一次システム1に加えられる方向Fの力を有する様式化された機構を示す、図4を参照して以下により詳細に説明される。第1のセンサ3は、一次システム1上に配置されてもよく、2つの運動特性MC1、MC2を測定することができ、一方で一次システム1およびセンサ3の遠位に配置された第2のセンサ4は、別の対象物5、例えば一次システム1の遠くに取り付けられた人または体重に配置されてもよく、第2のセンサ4は、人または体重5の2つの運動特性MC3、MC4を測定することができる。
【0094】
左側のグラフの図5は、経時的に測定された、第1および第2の運動特性MC1、MC2の第1のセンサによって感知された可能なプロファイルP1、P2を示す(時間tはx軸上にあり、運動特性指標MC1、MC2、例えば変位、力の程度および/または方向、加速度、ジャーク、速度などはy軸上にある)。右側の図5は、同じ時間帯にわたって測定された、第2の感知された運動特性MC3、MC4の可能なプロファイルP3、P4を示し、時間tはここでもx軸上にあり、運動特性指標はy軸上にある。
【0095】
図3に示す流れ図は、このシステムに適用されるが、このシステムは、異なるセンサ構成を使用し、4つの運動特性MC1、MC2、MC3、MC4を測定する。
【0096】
この例では、作動は、直接的な感知3と間接的な感知4との組合せによって生じ、二次システム2によって作動を引き起こすことができ、作動は、作動を引き起こす第1のセンサ3の直接動作によるものであることに留意されたい。
【0097】
例3
上述の詳細な説明で留意したように、別の作動感知機構が、瞬間に少なくとも2つの運動特性を感知し、作動をその瞬間に感知された特性に基づかせることができる。
【0098】
この実施形態は、図6に再び示す図1の機構を再度参照して、以下により詳細に説明される。
【0099】
グラフの図7は、経時的に測定された、第1および第2の運動特性MC1、MC2の第1のセンサ3によって感知された可能なプロファイルP1、P2を示す(時間tはx軸上にあり、運動特性指標は、y軸上にある(例えば変位、力の程度および/または方向、加速度、ジャーク、速度など))。運動特性MC1、MC2は、破線AAによって示される単一の瞬間tにおいて測定されてもよく、この時間tは、例えば、特定の所定の瞬間に等しいか、またはこの瞬間は、センサ3が感知するいくつかの瞬間の1つである。
【0100】
図3に示す流れ図は、このシステムにも適用されるが、このシステムは、単一の瞬間tまたは複数の瞬間tで特性MC1、MC2を測定することに基づいてセンサ3のタイミングtを使用する。
【0101】
直接的な感知3が図1に示されているが、例2の直接的な感知機構3および間接的な感知機構4には、瞬間tにおける同じ感知原理が適用されてもよいことに留意されたい。
【0102】
例4
例3は、瞬間における測定を示している。対照的に、この機構は、ある時間帯にわたって2つ以上の運動特性を感知し、作動を、運動または機構の挙動の識別特性のような、経時的なシステムの挙動に基づかせることができる。
【0103】
同じ機構を使用すると、図1に示すようになり、図8に示す結果として生じるグラフは、経時的に測定された、第1および第2の運動特性MC1、MC2の第1のセンサ3によって感知された可能なプロファイルP1、P2を示す(時間tはx軸上にあり、運動特性指標はy軸上にある)。運動特性MC1、MC2は、陰影で示された選択された時間帯tにわたって測定されてもよく、この時間帯tは、例えば特定の所定の時間帯に等しいか、またはセンサ3が感知するいくつかの時間帯tの1つである。
【0104】
この機構では、流れ図は図9に示すようにわずかに異なり得る。外力を加えるステップとそれに続く一次システムの移動も同じままである。感知の次のステップは、時間帯tにわたって生じる。閾値判定ステップは、このとき、時間帯tで感知された運動特性を、識別特性の運動特性プロファイルまたは一組の運動プロファイルのライブラリと比較するものの1つである。感知された時間帯特性がライブラリの「通常の」動作特性と合致する場合、測定は別の時間帯にわたって再開することができる。留意された時間帯にわたる運動特性が、プロファイルのライブラリによって決定される「正常な」範囲外にある場合、作動が生じ得る。
【0105】
このプロセスはまた、図10に示す流れ図に従うことができ、ここでは、時間帯の感知された特性情報を収集することと、閾値決定ステップとの間で、収集されたデータを変更するために感知された時間帯情報にアルゴリズムを適用することができる。例えば、収集された時間帯データは、増幅されてもよく、一方の特性を他方の特性より重み付けするなどを行うことができる。アルゴリズムが適用されると、図10のプロセスに従って閾値決定が完了する。
【0106】
例5
この例では、作動が、付勢ばねによって設定される閾値に対して作動するために直接的に連動して作用する少なくとも2つの測定された運動特性に基づく実施形態が、説明される。
【0107】
図11は、上記の作動プロセス潜在的機構を示す。図示する機構20は、軸21の周りを回転する一次システムを有する軸21を有することができ、一次システムは、慣性リング22および歯止め23を備える。二次システム24は、一次システムを取り囲むラッチ部材25である。1つの特性(加速度)は、別の運動特性(速度)で感知するための作動の閾値に影響を与え、ここでは歯止め23は速度センサとして作用し、慣性リング22は加速度センサとして作用する。例えば、軸21に力が加えられると、慣性リング22が回転し、速度および運動特性が閾値に到達するか、またはこれを超えたとき、この場合は1つまたは複数の運動特性(速度および加速度)がばね付勢26に打ち勝つのに十分な大きさに到達するか、またはこれを超えたとき、慣性リング22は加速度に応答し、歯止め23は速度に応答し、これにより、一次システムは軸21に対して移動し、慣性リング22および歯止め23は、外側の二次システム24のラッチ部材25と係合する。図示する実施形態では、距離「d」は遠心力のモーメントアームである。理解され得るように、運動特性速度および加速度の両方が歯止め23に直接作用し、組み合わせて作用する。
【0108】
この機構の作動プロセスは、図12の流れ図でさらに説明される。感知された各運動特性(例えば、速度および加速度)は、等しい重み付けで一緒に加算され、所与の閾値(例えば、ばね付勢)に対して閾値決定が行われる。閾値に到達していない場合、さらなる感知が行われ、作動が行われる場合、機構が作動する。
【0109】
例6
例5に説明する加重重み付けまたは均一重み付けの代替として、異なる特性に互いに対して変化させた重み付けをなして異なる作動閾値に達することができる。
【0110】
実施例1および図1の基本機構を使用し、図13の流れ図を参照して、機構は2つの異なるセンサを介して2つの運動特性を測定することができる。測定された第1の運動特性は閾値限界を提供し、測定された第2の運動特性は、第1の運動特性と比較され、作動は、第2の運動特性が第1の運動特性閾値に達したときにのみ生じる。この機構を使用して、閾値は、運動特性のすべての組の固定指標ではなく、変化することができる。図14に示すグラフは、この機構をさらに示し、ここでは第1の運動特性測定MC1プロファイルP1は、右側のグラフに示すように経時的に変化する。左側のグラフは、第1の運動特性MC1プロファイルP1を重ね合わせた(点線)経時的な第2の運動特性MC2プロファイルP2の測定された挙動を示す。作動は、例えば、第2の測定された運動特性MC2が第1の測定された運動特性を達成する時点BBでのみ生じ得る。
【0111】
例7
この実施例では、上記の例7の機構のより実用的な方法が示され、ここでは、1つの運動特性、例えば加速度が、別の運動特性、例えば速度上において感知するための作動の閾値に影響を及ぼすとき、結果として作動が生じる。
【0112】
図15に示すように、作動機構は、回転ディスク51に装着された歯止め50を備えることができ、歯止めは、歯止め50と、これもまた回転ディスク51に装着された慣性質量体53との間の付勢要素52(磁石、ばねなど)によって保持される。ディスク51が回転しているとき、付勢要素52に抗して作用する向心力が歯止め50に存在する。回転ディスク51と慣性質量体53との間には別の付勢要素54が存在する。ディスク51が回転式に加速すると、慣性質量体53は付勢要素54に抗して作用し、ディスク51に対して回転し、歯止め50を移動させ、付勢要素52を歯止め50の枢動軸線55に近づけ、それによって拘束トルクを低減し、歯止め50が付勢要素52に打ち勝つ回転速度を低下させる。ディスク51が一定速度で回転しているとき、またはわずかな加速しか受けていないとき、歯止め50と慣性質量体53との間の付勢要素52は、歯止め50の枢動軸線55から遠ざかったままであるので、より高い拘束トルクをもたらし、歯止め50が付勢要素52に打ち勝つにはより大きな回転速度を必要とする。歯止め50が付勢要素52に打ち勝つと、二次停止または制動システム56が係合される(作動)。
【0113】
上記の機構の結果として生じる可能なプロファイルは、速度と加速度が運動特性であると仮定すると、次に従って観察できる:
図16では、高加速度および低速の組合せが生じたときに閾値Tに到達し、プロファイルは湾曲した経路によって変化する;
図17では、高加速度および低速の組合せが生じたときに閾値Tに到達し、プロファイルは、線形ステップ方式で変化する;
図18では、高加速度および高速の組合せが生じたときに閾値Tに到達し、プロファイルは、比較的線形に変化する。
【0114】
理解されるべきであるように、正確なプロファイルはシステムの動態に依存する。
【0115】
例8
この例では、より実用的な方法が説明され、間接センサと共に一次システム上に配置され、直接的に作用する複数のセンサを使用する機構を示し、センサの組合せは、いずれも機械式センサおよび電子式センサである。
【0116】
図19は、留意した実施形態を示している。この機構は、軸31に装着されたロータ30を備える一次システムを有する。ロータ30は、軸31に力が加えられると回転する。軸31の遠位のロータ30には、軸31の加速度の変化を感知するために使用され得る運動センサ32が配置されている。ロータ30もまた、遠心力によってロータ30から枢動する歯止め33を有することができ、歯止め33の枢動点34は、ロータ30の軸31からずれている。歯止め33は、速度センサであってもよい。第3のセンサ35が使用されてもよく、この例では、運動センサ32の感知された運動特性(加速度)を受信するときに図に示す感知された運動特性の少なくとも1つを受信する電子コントローラ35である。コントローラ35は、次に、閾値可変装置36を、この場合はロータ30上のソレノイド36を変化させ、これによって遠心力Fによりロータ30に対して外方向に回転する歯止め33に対して付勢力を与える。明確にするために図示されていないが、一次システムの少なくとも一部の周りに二次システムが存在する。閾値に到達するかまたは超えると、歯止め33は、枢動点34の周りをロータ30の軸31の回転軸線から離れるように回転し、歯止め33は、二次システムまたはその一部と係合する。
【0117】
例9
図20は、機構の線形の実施形態を示す。
【0118】
この実施形態における一次システムは、歯止め41が軸線42の回りに回転可能にリンクされるキャリッジ40であってもよい。歯止め41は常磁性体であってもよく、一次システムがキャリッジ40の運動Mによって図21の斜線領域で示される磁場43を通って移動するとき、歯止め41に渦電流ドラグ力が加えられて歯止め41の枢動軸線42周りの回転運動を促す。二次システム44は、回転が生じるときに歯止め41と係合することができる。歯止め41は、速度に敏感な第1のセンサであってもよく、第2のセンサ運動特性である歯止め41上に力センサ45が配置されてもよい。歯止め41とキャリッジ40との間にばね46を配置することができ、ばねは、閾値を提供するように作用し、これは、感知された運動特性が、閾値が克服され、歯止め41が二次システム44によって作動し得る所定のレベルに到達するときだけである。
【0119】
例10
図21は、ロータ50に力Fを加えたときに回転する回転ロータ50を有する一次システムを使用する別の実施形態を示す。ロータ50は、センサ51(分かりやすくするために1つのみ示されている)を有することができ、感知された運動特性は、プロセッサまたはマイクロプロセッサなどのコントローラ52によって受信され、測定される。コントローラ52は、図21に概略的に示すように、一次システム50、51またはその一部に直接存在する必要はない。コントローラ52は、感知された運動特性を知られている運動特性測定値および/またはプロファイルのデータベースと比較し、感知された運動特性が閾値に到達したか、またはこれを超えたかどうかを判定する。あるいは、コントローラは、運動特性値を設定された閾値レベルと比較することができる。作動時に、コントローラ52は、一次システム(ロータ50およびセンサ51)の回転速度に抵抗するか、またはこれを停止させるモータ53(二次システム)を動作させる。
【0120】
実施例11
図22は、別の回転式の実施形態を示し、作動機構は、付勢要素62によって保持された回転ディスク61に装着された歯止め60を有する。歯止め60は、付勢要素62に対していずれも作用する、回転速度による向心力および加速による慣性力の影響を受ける。歯止め60は、速度および加速度の組合せが所定の閾値に到達したときに、ディスク61に対して移動し、したがって二次の停止または制動システム63と係合する。
【0121】
例12
図23は、キャリッジ71に装着された歯止め70を備える作動機構の代替の線形実施形態を示し、歯止め70は、慣性質量体73に連結された付勢要素72によって保持されている。慣性質量体73は、キャリッジ71に連結された付勢要素74を有する。速度に比例する抗力が付勢要素72に抗して歯止め70に作用し、加速時に慣性質量体73はキャリッジ71に対して、付勢要素74に抗して移動し、それによって付勢要素74を歯止め70の枢動軸線75により近づけ、拘束トルク、したがって歯止め70が解放される速度を低減する。キャリッジ71の速度が一定であるか、または小さな加速度にさらされたとき、歯止め付勢要素72は歯止め70の枢動軸線75から遠ざかったままであるので、より大きな拘束トルクをもたらし、歯止め70が付勢要素74に打ち勝つにはより大きな速度を必要とする。速度および加速度の組合せが所定の閾値に達したとき、歯止め70は、解放され、歯止め70を隣接するラッチ点77に係合させることによって二次の停止または制動システム76によって作動する。
【0122】
可変挙動制御機構の態様および使用方法は、単なる例として説明されており、本明細書の特許請求の範囲から逸脱することなく、改変および追加が可能になり得ることを理解されたい。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23