IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 深▲せん▼▲飛▼▲驤▼科技股▲ふん▼有限公司の特許一覧

<>
  • 特許-LDO電源回路及び電力増幅器 図1
  • 特許-LDO電源回路及び電力増幅器 図2
  • 特許-LDO電源回路及び電力増幅器 図3
  • 特許-LDO電源回路及び電力増幅器 図4
  • 特許-LDO電源回路及び電力増幅器 図5
  • 特許-LDO電源回路及び電力増幅器 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-16
(45)【発行日】2025-04-24
(54)【発明の名称】LDO電源回路及び電力増幅器
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/56 20060101AFI20250417BHJP
   H03F 3/24 20060101ALI20250417BHJP
【FI】
G05F1/56 310L
H03F3/24
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023536506
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-02
(86)【国際出願番号】 CN2022084440
(87)【国際公開番号】W WO2023123721
(87)【国際公開日】2023-07-06
【審査請求日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】202111683179.1
(32)【優先日】2021-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521079271
【氏名又は名称】深▲せん▼▲飛▼▲驤▼科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】周 永峰
(72)【発明者】
【氏名】郭 嘉▲帥▼
【審査官】上野 力
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-048681(JP,A)
【文献】国際公開第2019/161655(WO,A1)
【文献】特開2019-185732(JP,A)
【文献】特開2008-152433(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0021099(US,A1)
【文献】特開2007-201698(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/56
H03F 3/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LDO電源回路であって、
負極入力端子が制御電圧に接続することに用いられ、正極入力端子が前記LDO電源回路の入力端子とし、出力端子が第1トランジスタのゲートに接続される演算増幅器と、
ソースが電源電圧に接続することに用いられ、ドレインが前記LDO電源回路の出力端子とする前記第1トランジスタと、
前記第1トランジスタのドレインと前記演算増幅器の正極入力端子との間に接続され、互いに並列接続された第1分岐路及び第2分岐路を備え、前記第1分岐路は第1帰還係数を形成し、前記第2分岐路は第2帰還係数を形成し、前記第1帰還係数と前記第2帰還係数は異なる抵抗帰還ネットワークと、を備え、
前記抵抗帰還ネットワークは、
第1端が前記第1トランジスタのドレインに接続され、第2端が前記演算増幅器の正極入力端子に接続される第1抵抗と、
第1端が前記第1抵抗の第2端に接続され、第2端が接地する第2抵抗と、
第1端が前記第1抵抗の第2端に接続され、第2端が第2トランジスタのドレインに接続される第3抵抗と、
ゲートが前記制御電圧に接続することに用いられ、ソースが接地する前記第2トランジスタと、を備え、
前記第1抵抗と前記第2抵抗は共同で前記第1分岐路を形成し、前記第1抵抗、前記第3抵抗及び前記第2トランジスタは、共同で前記第2分岐路を形成することを特徴とするLDO電源回路。
【請求項2】
前記第1トランジスタはPMOSトランジスタであり、前記第2トランジスタはNMOSトランジスタであることを特徴とする請求項1に記載のLDO電源回路。
【請求項3】
第1端が前記第1トランジスタのドレインに接続され、第2端が接地する電圧安定化コンデンサをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のLDO電源回路。
【請求項4】
バイアス回路と、順次接続された入力ポート、入力整合回路、電力増幅ユニット、出力整合回路及び出力ポートと、を備え、前記バイアス回路の出力端子が前記電力増幅ユニットの入力端子に接続される電力増幅器であって、
請求項1~3のいずれか1項に記載のLDO電源回路をさらに備え、前記LDO電源回路の入力端子が前記電力増幅ユニットの入力端子に接続され、前記LDO電源回路の出力端子が前記バイアス回路の入力端子に接続されることにより、前記電力増幅ユニットに対する電流帰還制御を形成することを特徴とする電力増幅器。
【請求項5】
第1端が前記電源電圧に接続され、第2端が前記電力増幅ユニットの出力端子に接続されるチョークインダクタをさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の電力増幅器。
【請求項6】
バイアス回路と、順次接続された入力ポート、入力整合回路、電力増幅ユニット、出力整合回路及び出力ポートと、を備え、前記バイアス回路の出力端子が前記電力増幅ユニットの入力端子に接続され、前記バイアス回路の入力端子が前記電源電圧に接続される電力増幅器であって、請求項1~3のいずれか1項に記載のLDO電源回路をさらに備え、前記LDO電源回路の出力端子が前記電力増幅ユニットの出力端子に接続されることにより、前記電力増幅ユニットに対する電圧帰還制御を形成することを特徴とする電力増幅器。
【請求項7】
チョークインダクタをさらに備え、前記LDO電源回路の出力端子が前記チョークインダクタに直列接続されて前記電力増幅ユニットの出力端子に接続されることを特徴とする請求項6に記載の電力増幅器。
【請求項8】
前記電力増幅ユニットは1つのN型電力増幅トライオードで形成されることを特徴とする請求項4~7のいずれか1項に記載の電力増幅器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信の技術分野に関し、特にLDO電源回路及び電力増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、電力増幅器の電力制御方法は電流制御と電圧制御に分けられる。
【0003】
電流制御技術はベース制御技術とも呼ばれ、閉ループ制御であり、電力増幅器出力段の電流を検出し、この電流を低ドロップアウトリニアレギュレータ(LDO:low dropout regulator)電源回路の帰還端に供給し、制御電圧Vrampと電圧合成を行った後に、電力増幅器のバイアス電流を調整することにより電力制御を実現するものである。
【0004】
電圧制御技術はコレクタ制御技術とも呼ばれ、制御電圧VrampはLDO電圧を制御し、LDO電源回路は電源を電力増幅器に供給する。
【0005】
関連技術において、制御電圧Vrampが制御する場合の電力増幅器にとって、電圧制御法であれ電流制御法であれ、制御電圧Vrampの立ち上がり傾き及び立ち下がり傾きはスイッチングスペクトルに大きく影響し、制御電圧Vrampの傾きをうまく制御しなければ、スイッチングスペクトルを得ることができない。
【0006】
そのため、上記問題を解決する新たなLDO電源回路及び電力増幅器を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上の関連技術の欠点に対し、本発明はスイッチングスペクトル性能に優れるLDO電源回路及び電力増幅器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記技術的課題を解決するために、第1態様によれば、本発明の実施例は、
負極入力端子が制御電圧に接続することに用いられ、正極入力端子が前記LDO電源回路の入力端子とし、出力端子が第1トランジスタのゲートに接続される演算増幅器と、
ソースが電源電圧に接続することに用いられ、ドレインが前記LDO電源回路の出力端子とする前記第1トランジスタと、
前記第1トランジスタのドレインと前記演算増幅器の正極入力端子との間に接続され、互いに並列接続された第1分岐路及び第2分岐路を備え、前記第1分岐路は第1帰還係数を形成し、前記第2分岐路は第2帰還係数を形成し、前記第1帰還係数と前記第2帰還係数は異なる抵抗帰還ネットワークと、を備えるLDO電源回路を提供する。
【0009】
好ましくは、前記抵抗帰還ネットワークは、
第1端が前記第1トランジスタのドレインに接続され、第2端が前記演算増幅器の正極入力端子に接続される第1抵抗と、
第1端が前記第1抵抗の第2端に接続され、第2端が接地する第2抵抗と、
第1端が前記第1抵抗の第2端に接続され、第2端が第2トランジスタのドレインに接続される第3抵抗と、
ゲートが前記制御電圧に接続することに用いられ、ソースが接地する前記第2トランジスタと、を備え、
前記第1抵抗と前記第2抵抗は共同で前記第1分岐路を形成し、前記第1抵抗、前記第3抵抗及び前記第2トランジスタは、共同で前記第2分岐路を形成する。
【0010】
好ましくは、前記第1トランジスタはPMOSトランジスタであり、前記第2トランジスタはNMOSトランジスタである。
【0011】
好ましくは、前記LDO電源回路は、第1端が前記第1トランジスタのドレインに接続され、第2端が接地する電圧安定化コンデンサをさらに備える。
【0012】
第2態様によれば、本発明の実施例は、バイアス回路と、順次接続された入力ポート、入力整合回路、電力増幅ユニット、出力整合回路及び出力ポートと、を備え、前記バイアス回路の出力端子が前記電力増幅ユニットの入力端子に接続される電力増幅器であって、本発明に係る上記LDO電源回路をさらに備え、前記LDO電源回路の入力端子が前記電力増幅ユニットの入力端子に接続され、前記LDO電源回路の出力端子が前記バイアス回路の入力端子に接続されることにより、前記電力増幅ユニットに対する電流帰還制御を形成する電力増幅器をさらに提供する。
【0013】
好ましくは、前前記電力増幅器は、第1端が前記電源電圧に接続され、第2端が前記電力増幅ユニットの出力端子に接続されるチョークインダクタをさらに備える。
【0014】
第3態様によれば、本発明の実施例は、バイアス回路と、順次接続された入力ポート、入力整合回路、電力増幅ユニット、出力整合回路及び出力ポートと、を備え、前記バイアス回路の出力端子が前記電力増幅ユニットの入力端子に接続され、前記バイアス回路の入力端子が前記電源電圧に接続される電力増幅器であって、本発明に係る上記LDO電源回路をさらに備え、前記LDO電源回路の出力端子が前記電力増幅ユニットの出力端子に接続されることにより、前記電力増幅ユニットに対する電圧帰還制御を形成する電力増幅器をさらに提供する。
【0015】
好ましくは、前記電力増幅器はチョークインダクタをさらに備え、前記LDO電源回路の出力端子が前記チョークインダクタに直列接続されて前記電力増幅ユニットの出力端子に接続される。
【0016】
好ましくは、前記電力増幅ユニットは複数のNMOSを並列接続してなる。
【0017】
好ましくは、前記電力増幅ユニットは1つのN型電力増幅トライオードで形成される。
【発明の効果】
【0018】
従来技術に比べ、本発明のLDO電源回路及び電力増幅器では、LDO電源回路において抵抗帰還ネットワークを前記第1トランジスタのドレインと前記演算増幅器の正極入力端子との間に接続し、前記抵抗帰還ネットワークは互いに並列に接続された第1分岐路及び第2分岐路を備え、前記第1分岐路は第1帰還係数を形成し、前記第2分岐路は第2帰還係数を形成し、前記第1帰還係数と前記第2帰還係数は異なり、2種の異なる帰還係数を組み合わせる方式を採用することにより、LDO電源回路の出力電圧VLDOの立ち上がり傾きをさらに改善し、これにより該LDO電源回路を用いた電力増幅器のスイッチングスペクトル性能が効果的に向上する。
【0019】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。本発明の上記又は他の態様の内容は、以下の図面を参照して詳細に説明することにより、より明確で理解しやすいものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施例に係るLDO電源回路の回路図である。
図2】本発明の実施例1に係る電力増幅器の一例の回路図である。
図3】本発明の実施例1に係る電力増幅器の別の回路図である。
図4】本発明の実施例1に係る電力増幅器の電力出力シミュレーション図である。
図5】本発明の実施例2に係る電力増幅器の一例の回路図である。
図6】本発明の実施例2に係る電力増幅器の別の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳細に説明する。
【0022】
明細書に開示された実施形態/実施例は本発明の特定の具体的な実施形態であり、本発明の構想を説明するためのものであり、いずれも説明的かつ例示的なものであり、本発明の実施形態及び本発明の範囲を制限するものではない。明細書に記載されている実施例を除き、当業者であれば、本願の特許請求の範囲及び明細書に開示された内容に基づいて自明な他の技術的解決手段を採用することもでき、これらの技術的解決手段には、本明細書に記載された実施例の如何なる自明な置換及び修正を行う技術的解決手段を採用することも含まれ、いずれも本発明の特許範囲内に含まれる。
【0023】
以下の各実施例の説明は、添付の図面を参照して本発明の実施可能な特定の実施例を例示することに用いられる。本発明に言及される方向用語、例えば上、下、前、後、左、右、内、外、側面等は、図面を参照する方向に過ぎない。そのため、使用される方向用語は本発明を説明及び理解するためのものであり、本発明を限定するものではない。
【0024】
図1は、本発明の実施例に係るLDO電源回路の回路図である。本発明は、演算増幅器OPと、第1トランジスタP1と、抵抗帰還ネットワーク10とを備えるLDO電源回路100を提供する。
【0025】
前記演算増幅器OPは、負極入力端子が制御電圧Vrampに接続することに用いられ、正極入力端子が前記LDO電源回路100の入力端子とし、出力端子が前記第1トランジスタP1のゲートに接続される。
【0026】
前記第1トランジスタP1は、ソースが電源電圧VBATに接続することに用いられ、ドレインが前記LDO電源回路100の出力端子とし、出力電圧VLDOを生成することに用いられる。
【0027】
前記抵抗帰還ネットワーク10は、前記第1トランジスタP1のドレインと前記演算増幅器OPの正極入力端子との間に接続される。前記抵抗帰還ネットワーク10は、互いに並列接続された第1分岐路101及び第2分岐路102を備え、前記第1分岐路101は第1帰還係数を形成し、前記第2分岐路102は第2帰還係数を形成し、前記第1帰還係数と前記第2帰還係数は異なる。このように、上記回路構造の設計により、2種の異なる帰還係数を組み合わせる方式を採用し、LDO電源回路100の出力電圧VLDOの立ち上がり傾きをさらに改善し、これにより該LDO電源回路100を用いた電力増幅器のスイッチングスペクトル性能が効果的に向上する。
【0028】
具体的には、本実施形態では、前記抵抗帰還ネットワーク10は、第1抵抗R4と、第2抵抗R5と、第3抵抗R6と、第2トランジスタN0とを備える。
【0029】
前記第1抵抗R4は、第1端が前記第1トランジスタP1のドレインに接続され、第2端が前記演算増幅器OPの正極入力端子に接続される。
【0030】
前記第2抵抗R5は、第1端が前記第1抵抗R4の第2端に接続され、第2端が接地する。
【0031】
前記第3抵抗R6は、第1端が前記第1抵抗R4の第2端に接続され、第2端が前記第2トランジスタN0のドレインに接続される。
【0032】
前記第2トランジスタN0は、ゲートが前記制御電圧Vrampに接続することに用いられ、ソースが接地する。
【0033】
前記第1抵抗R4と前記第2抵抗R5は共同で前記第1分岐路101を形成し、すなわち前記第1抵抗R4と前記第2抵抗R5は第1帰還係数を形成する。前記第1抵抗R4、前記第3抵抗R6及び前記第2トランジスタN0は共同で前記第2分岐路102を形成し、すなわち前記第1抵抗R4、前記第3抵抗R6及び前記第2トランジスタN0は共同で第2帰還係数を形成する。
【0034】
本実施形態では、前記第1トランジスタP1はPMOSトランジスタであり、前記第2トランジスタN0はNMOSトランジスタである。
【0035】
より好ましくは、前記LDO電源回路100は電圧安定化コンデンサC3をさらに備え、前記電圧安定化コンデンサC3は、第1端が前記第1トランジスタP1のドレインに接続され、第2端が接地し、前記LDO電源回路100の出力端子から発生した出力電圧VLDOの電圧安定化コンデンサとする。
【0036】
以下に、いくつかの上記LDO電源回路100を用いた電力増幅器の実施例を提供して詳細に説明する。
【実施例1】
【0037】
図2は、本発明の実施例1に係る電力増幅器の回路図1である。本発明の電力増幅器200は、バイアス回路201と、順次接続された入力ポートRF_IN、入力整合回路202、電力増幅ユニット203、出力整合回路204及び出力ポートRF_OUTと、本発明に係る上記LDO電源回路100とを備える。もちろん、入力ポートRF_INと入力整合回路202との間に直列接続された駆動段増幅ユニット205をさらに含んでもよい。
【0038】
前記バイアス回路201の出力端子が前記電力増幅ユニット203の入力端子に接続される。前記LDO電源回路100の入力端子が前記電力増幅ユニット203の入力端子に接続され、前記LDO電源回路100の出力端子が前記バイアス回路201の入力端子に接続されることにより、前記電力増幅ユニット203に対する電流帰還制御を形成する。
【0039】
具体的には、本実施形態では、入力整合回路202は第2コンデンサC4である。
【0040】
電力増幅ユニット203は、複数のNMOSを並列接続してなり、具体的には、順次接続された第3トランジスタN2、第4トランジスタN3及び第5トランジスタN4を備える。第3トランジスタN2は、ゲートが電力増幅ユニット203の入力端子とし、ソースが接地し、ドレインが第4トランジスタN3のソースに接続され、第4トランジスタN3は、ゲートが第1定電圧源VG3に接続され、ドレインが第5トランジスタN4のソースに接続され、第5トランジスタN4は、ゲートが第2定電圧源VG4に接続され、ドレインが電力増幅ユニット203の出力端子とする。
【0041】
駆動段増幅ユニット205は、順次接続された第1駆動増幅器AMP1及び第2駆動増幅器APM2である。
【0042】
より好ましくは、前記電力増幅器200はチョークインダクタL1をさらに備え、前記チョークインダクタL1は、第1端が前記電源電圧VBATに接続され、第2端が前記電力増幅ユニット203の出力端子に接続される。
【0043】
制御電圧Vrampの電圧が低い場合、LDO電源回路100の出力電圧VLDOと制御電圧Vrampの比例関係は以下のとおりである。
【数1】
式中、Ifbが前記LDO電源回路100の出力端子から出力される帰還電流であり、
制御電圧Vrampの電圧が第2トランジスタN0をオンにできるほど上昇すると、出力電圧VLDOの帰還率は以下のとおりである。
【数2】
【0044】
一般には、R>R+Rを選択し、ここで、Rは第2トランジスタN0の自体の抵抗であり、以上の式は以下のように簡略化されてもよい。
【数3】
【0045】
制御電圧Vrampの電圧が非常に高く上昇し、1V以上である場合、第2トランジスタN0の抵抗が非常に小さくなり、Rnを無視でき、出力電圧VLDOの帰還率が以下のとおりである。
【数4】

抵抗R>R+R>Rを選択すると、制御電圧Vrampが上昇するに伴い、出力電圧VLDOの割合も高くなる。スイッチングスペクトル最適化の原理は、制御電圧Vrampの電圧が低い場合、内部回路は電圧が低い状態であり、この場合、良好なスイッチングスペクトル性能を得るのに出力電圧VLDOの電圧値及び傾きが小さくなければならないことである。
【0046】
当然のことながら、本実施形態では、電力増幅器の電力増幅ユニットは1つのN型電力増幅トライオードQ2で形成されてもよい。図3は、本発明の実施例1に係る電力増幅器の回路図2である。図3に示される電力増幅器は、図2に示される電力増幅器とほぼ同じであり、上記電力増幅ユニットの構造が異なる以外、その原理は同じであり、ここでは説明を省略する。
【0047】
図4は、本発明の電力増幅器の電力出力シミュレーションの図である。シミュレーションにより、従来技術において単一の帰還システムのみを使用し、すなわち第2トランジスタN0及び第3抵抗R6の回路を使用しない場合にその電力出力波形は波形1の曲線に示され、出力電圧VLDOの電圧が最高で1.6Vに達することが分かった。
【0048】
本実施例における新しい電力増幅器は、2種の帰還係数の組み合わせを採用するものであり、第2トランジスタ及び第3抵抗R6を使用した回路よりも後にも、電力出力波形として、波形2の曲線に示すように、出力電圧VLDOの波形が最高で2.2Vになる。出力電圧VLDOが高いほど、電力増幅器はより高い電力出力を提供できることを意味する。
【0049】
また、制御電圧Vrampが低い場合に、波形1と波形2はほぼ重なり合い、同じ傾きに達する。そのため、制御電圧Vrampが低い場合に波形2は緩やかな立ち上がり曲線であり、スイッチングスペクトルが保証され、制御電圧Vrampの電圧が高い場合に、出力電圧VLDOの出力をより高くすることができ、さらに電力増幅器の出力電力を保証する。
【0050】
そのため、従来技術に比べて、本発明では、2種の帰還係数の組み合わせを採用し、すなわち第2トランジスタN0と第3抵抗R6の分岐路を追加することにより、スイッチングスペクトルを保証しながら、より高い出力電力を得る。
【実施例2】
【0051】
図5は、本発明の実施例2に係る電力増幅器の回路図1である。本実施例において、前記電力増幅器の回路構成は実施例1と基本的に同じであり、相違点はLDO電源回路100の制御方式にあり、すなわち電力増幅器に接続される接続方式が異なり、具体的には、以下のとおりである。
【0052】
電力増幅器400は、バイアス回路401と、順次接続された入力ポートRF_IN、入力整合回路402、電力増幅ユニット403、出力整合回路404及び出力ポートRF_OUTと、本発明に係る上記LDO電源回路100とを備える。もちろん、入力ポートRF_INと入力整合回路402との間に直列接続される駆動段増幅ユニット405をさらに含んでもよい。
【0053】
前記バイアス回路401は、出力端子が前記電力増幅ユニット403の入力端子に接続され、入力端子が前記電源電圧VBATに接続される。前記LDO電源回路100の出力端子が前記電力増幅ユニット403の出力端子に接続されることにより、前記電力増幅ユニット403に対する電圧帰還制御を形成する。
【0054】
本実施形態では、前記電力増幅器400はチョークインダクタL1をさらに備え、前記LDO電源回路100の出力端子が前記チョークインダクタL1に直列接続されて前記電力増幅ユニット403の出力端子に接続される。
【0055】
スイッチングスペクトル最適化の原理は以下のとおりである。制御電圧Vrampの電圧が低い場合に、内部回路状態は電圧が低い状態であり、この場合、良好なスイッチングスペクトル性能を得るには出力電圧VLDOの電圧値及び傾きが小さくなければならない。制御電圧Vrampの電圧が高い場合に、電源を電力増幅器400に供給するために、出力電圧VLDOも高くする必要があり、このようにして電力増幅器400は必要な出力電力に達することができ、制御電圧Vrampの電圧が高い場合にも、低いLDO帰還率を採用すれば、出力電圧VLDOが低くなり、電力増幅器400の出力電力が低くなり、要件を満たさない。本実施形態では、高、中、低比率のLDOは、電力増幅器の出力電力及びスイッチングスペクトルを満たすことができる。
【0056】
上記区別以外、他のところは実施形態1と同様であり、ここでは説明を省略する。
【0057】
当然のことながら、本実施形態では、電力増幅器400の電力増幅ユニット403は1つのN型電力増幅トライオードQ2で形成されもよい。図6は、本発明の実施例2に係る電力増幅器の回路図2である。図6に示される電力増幅器は、図7に示される電力増幅器と基本的に同じであり、上記電力増幅ユニットの構造が異なる以外、その原理は同じであり、ここでは説明を省略する。
【0058】
従来技術に比べ、本発明のLDO電源回路及び電力増幅器では、LDO電源回路において抵抗帰還ネットワークを前記第1トランジスタのドレインと前記演算増幅器の正極入力端子との間に接続し、前記抵抗帰還ネットワークは、互いに並列に接続された第1分岐路及び第2分岐路を備え、前記第1分岐路は第1帰還係数を形成し、前記第2分岐路は第2帰還係数を形成し、前記第1帰還係数と前記第2帰還係数は異なり、2種の異なる帰還係数の組み合わせ方式を採用することにより、LDO電源回路の出力電圧VLDOの立ち上がり傾きをさらに改善し、これにより該LDO電源回路を用いた電力増幅器のスイッチングスペクトル性能が効果的に向上する。
【0059】
なお、以上の図面を参照して説明した各実施例は本発明を説明するためのものにすぎず、本発明の範囲を限定するものではなく、当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに本発明の修正又は同等置換は、いずれも本発明の範囲内に含まれることを理解すべきである。また、文脈に特に言及しない限り、単数形で出現する語は複数形も含み、逆も同様である。また、特に断らない限り、いずれかの実施例の全部又は一部を他のいずれかの実施例の全部又は一部と組み合わせて使用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6