(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-16
(45)【発行日】2025-04-24
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/105 20230101AFI20250417BHJP
G06Q 10/0635 20230101ALI20250417BHJP
G06Q 10/0639 20230101ALI20250417BHJP
【FI】
G06Q10/105
G06Q10/0635
G06Q10/0639
(21)【出願番号】P 2024179991
(22)【出願日】2024-10-15
【審査請求日】2024-11-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510143664
【氏名又は名称】トリノ・ガーデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002055
【氏名又は名称】弁理士法人iRify国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中谷 一郎
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2024/024116(WO,A1)
【文献】特開2021-105809(JP,A)
【文献】特開2023-026060(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第117371577(CN,A)
【文献】特開2024-089450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
従業員の離職の抑止を支援する情報処理装置であって、
訓練データセット
と、リスク分類に対応する提案データとを少なくとも記憶する記憶装置と、
訓練データセットを受付け、前記訓練データセットを訓練対象学習モデルに入力し、前記訓練対象学習モデルから処理結果を取得し、前記訓練データセットに含まれる正解ラベルと前記処理結果との比較により前記訓練対象学習モデルを訓練し、訓練済学習モデルを前記記憶装置に記憶する訓練装置と、
推論対象データを取得し、前記訓練済学習モデルにより推論を実行し、状況分類を出力する推論装置と、
前記状況分類に基づいて、前記記憶装置より前記状況分類に対応する提案データを特定し出力する特定装置と、を有し、
前記訓練データセットは、勤怠データと正解ラベルのペアと、組織風土診断データと正解ラベルのペアと、行動解析データと正解ラベルのペアとの少なくともいずれかを有しており、前記訓練済学習モデルは、従業員の離職に係るリスク分類を推論するためのものであり、
前記勤怠データは、希望シフト日数、確定シフト日数、初出勤日、勤務経過日数、一定期間以上シフト提出がなされていない従業員と最終出勤日を含み、
前記組織風土診断データは、アンケート回答データを集計、解析したものであり、
前記行動解析データは、新人従業員への声掛け回数及びタイミング、従業員の各エリアの滞在時間、従業員の視線方向の比率などを含み、
前記提案データには、管理者へのコメントデータ、従業員へのコメントデータ、及び対象となる授業印の注視すべき行動に係る動画データを含む
情報処理装置。
【請求項2】
従業員の離職の抑止を支援する情報処理方法であって、
記憶装置に訓練データセット
と、リスク分類に対応する提案データとを少なくとも記憶
し、
訓練装置が、前記訓練データセットを受付け、前記訓練データセットを訓練対象学習モデルに入力し、前記訓練対象学習モデルから処理結果を取得し、前記訓練データセットに含まれる正解ラベルと前記処理結果との比較により前記訓練対象学習モデルを訓練し、訓練済学習モデルを前記記憶装置に記憶し、
推論装置が、推論対象データを取得し、前記訓練済学習モデルにより推論を実行し、状況分類を出力する推論装置と、
特定装置が、前記状況分類に基づいて、前記記憶装置より前記状況分類に対応する提案データを特定し出力する特定装置と、
前記訓練データセットは、勤怠データと正解ラベルのペアと、組織風土診断データと正解ラベルのペアと、行動解析データと正解ラベルのペアとの少なくともいずれかを有しており、前記訓練済学習モデルは、従業員の離職に係るリスク分類を推論するためのものであり、
前記勤怠データは、希望シフト日数、確定シフト日数、初出勤日、勤務経過日数、一定期間以上シフト提出がなされていない従業員と最終出勤日を含み、
前記組織風土診断データは、アンケート回答データを集計、解析したものであり、
前記行動解析データは、新人従業員への声掛け回数及びタイミング、従業員の各エリアの滞在時間、従業員の視線方向の比率などを含み、
前記提案データには、管理者へのコメントデータ、従業員へのコメントデータ、及び対象となる授業印の注視すべき行動に係る動画データを含む
情報処理方法。
【請求項3】
従業員の離職の抑止を支援する情報処理装置により実行されるプログラムであって、
コンピュータを、
訓練データセット
と、リスク分類に対応する提案データとを少なくとも記憶する記憶装置と、
前記訓練データセットを受付け、前記訓練データセットを訓練対象学習モデルに入力し、前記訓練対象学習モデルから処理結果を取得し、前記訓練データセットに含まれる正解ラベルと前記処理結果との比較により前記訓練対象学習モデルを訓練し、訓練済学習モデルを前記記憶装置に記憶する訓練装置と、
推論対象データを取得し、前記訓練済学習モデルにより推論を実行し、状況分類を出力する推論装置と、
前記状況分類に基づいて、前記記憶装置より前記状況分類に対応する提案データを特定し出力する特定装置として機能させ、
前記訓練データセットは、勤怠データと正解ラベルのペアと、組織風土診断データと正解ラベルのペアと、行動解析データと正解ラベルのペアとの少なくともいずれかを有しており、前記訓練済学習モデルは、従業員の離職に係るリスク分類を推論するためのものであり、
前記勤怠データは、希望シフト日数、確定シフト日数、初出勤日、勤務経過日数、一定期間以上シフト提出がなされていない従業員と最終出勤日を含み、
前記組織風土診断データは、アンケート回答データを集計、解析したものであり、
前記行動解析データは、新人従業員への声掛け回数及びタイミング、従業員の各エリアの滞在時間、従業員の視線方向の比率などを含み、
前記提案データには、管理者へのコメントデータ、従業員へのコメントデータ、及び対象となる授業印の注視すべき行動に係る動画データを含む
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従業員の離職を防止するために、社内の意識・行動の変容を推進するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、従業員の離脱を抑止するための種々の技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、複数の従業員のストレスチェックデータと勤怠データを読み出し、ストレスチェックデータ及び勤怠データに応じて人材リスクを評価し、管理者に対して提示する人材リスク管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、管理者の意識だけに頼らないアプローチとして、行動を伴走し、習慣化するためフィードバックを続ける仕組みについては、何ら開示されていない。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、行動を伴走し習慣化することで、従業員の離職を防止するための社内の意識・行動の変容を推進する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様に係る情報処理装置では、従業員の離職の抑止を支援する情報処理装置であって、訓練データセットと、リスク分類に対応する提案データとを少なくとも記憶する記憶装置と、訓練データセットを受付け、前記訓練データセットを訓練対象学習モデルに入力し、前記訓練対象学習モデルから処理結果を取得し、前記訓練データセットに含まれる正解ラベルと前記処理結果との比較により前記訓練対象学習モデルを訓練し、訓練済学習モデルを前記記憶装置に記憶する訓練装置と、推論対象データを取得し、前記訓練済学習モデルにより推論を実行し、状況分類を出力する推論装置と、前記状況分類に基づいて、前記記憶装置より前記状況分類に対応する提案データを特定し出力する特定装置と、を有し、前記訓練データセットは、勤怠データと正解ラベルのペアと、組織風土診断データと正解ラベルのペアと、行動解析データと正解ラベルのペアとの少なくともいずれかを有しており、前記訓練済学習モデルは、従業員の離職に係るリスク分類を推論するためのものであり、前記勤怠データは、希望シフト日数、確定シフト日数、初出勤日、勤務経過日数、一定期間以上シフト提出がなされていない従業員と最終出勤日を含み、前記組織風土診断データは、アンケート回答データを集計、解析したものであり、前記行動解析データは、新人従業員への声掛け回数及びタイミング、従業員の各エリアの滞在時間、従業員の視線方向の比率などを含み、前記提案データには、管理者へのコメントデータ、従業員へのコメントデータ、及び対象となる授業印の注視すべき行動に係る動画データを含む。
【0009】
本発明の第2の態様に係る情報処理方法では、従業員の離職の抑止を支援する情報処理方法であって、記憶装置に訓練データセットと、リスク分類に対応する提案データとを少なくとも記憶し、訓練装置が、前記訓練データセットを受付け、前記訓練データセットを訓練対象学習モデルに入力し、前記訓練対象学習モデルから処理結果を取得し、前記訓練データセットに含まれる正解ラベルと前記処理結果との比較により前記訓練対象学習モデルを訓練し、訓練済学習モデルを前記記憶装置に記憶し、推論装置が、推論対象データを取得し、前記訓練済学習モデルにより推論を実行し、状況分類を出力する推論装置と、特定装置が、前記状況分類に基づいて、前記記憶装置より前記状況分類に対応する提案データを特定し出力する特定装置と、前記訓練データセットは、勤怠データと正解ラベルのペアと、組織風土診断データと正解ラベルのペアと、行動解析データと正解ラベルのペアとの少なくともいずれかを有しており、前記訓練済学習モデルは、従業員の離職に係るリスク分類を推論するためのものであり、前記勤怠データは、希望シフト日数、確定シフト日数、初出勤日、勤務経過日数、一定期間以上シフト提出がなされていない従業員と最終出勤日を含み、前記組織風土診断データは、アンケート回答データを集計、解析したものであり、前記行動解析データは、新人従業員への声掛け回数及びタイミング、従業員の各エリアの滞在時間、従業員の視線方向の比率などを含み、前記提案データには、管理者へのコメントデータ、従業員へのコメントデータ、及び対象となる授業印の注視すべき行動に係る動画データを含む。
【0011】
本発明の第3の態様に係るプログラムでは、従業員の離職の抑止を支援する情報処理装置により実行されるプログラムであって、コンピュータを、訓練データセットと、リスク分類に対応する提案データとを少なくとも記憶する記憶装置と、前記訓練データセットを受付け、前記訓練データセットを訓練対象学習モデルに入力し、前記訓練対象学習モデルから処理結果を取得し、前記訓練データセットに含まれる正解ラベルと前記処理結果との比較により前記訓練対象学習モデルを訓練し、訓練済学習モデルを前記記憶装置に記憶する訓練装置と、推論対象データを取得し、前記訓練済学習モデルにより推論を実行し、状況分類を出力する推論装置と、前記状況分類に基づいて、前記記憶装置より前記状況分類に対応する提案データを特定し出力する特定装置として機能させ、前記訓練データセットは、勤怠データと正解ラベルのペアと、組織風土診断データと正解ラベルのペアと、行動解析データと正解ラベルのペアとの少なくともいずれかを有しており、前記訓練済学習モデルは、従業員の離職に係るリスク分類を推論するためのものであり、前記勤怠データは、希望シフト日数、確定シフト日数、初出勤日、勤務経過日数、一定期間以上シフト提出がなされていない従業員と最終出勤日を含み、前記組織風土診断データは、アンケート回答データを集計、解析したものであり、前記行動解析データは、新人従業員への声掛け回数及びタイミング、従業員の各エリアの滞在時間、従業員の視線方向の比率などを含み、前記提案データには、管理者へのコメントデータ、従業員へのコメントデータ、及び対象となる授業印の注視すべき行動に係る動画データを含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、行動を伴走し習慣化することで、従業員の離職を防止するための社内の意識・行動の変容を推進する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る情報処理装置の構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る情報処理装置の訓練装置等による処理を示す概念図である。
【
図3】
図4は、本発明の実施形態に係る情報処理装置の推論装置等による処理を示す概念図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る情報処理装置による訓練処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る情報処理装置による推論・特定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、アンケートの集計結果を示す図である。
【
図7】
図7は、従業員等の端末装置における提案画面の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本装置による段階的な効果を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態について説明する。
【0016】
図1には、本発明の実施形態に係る情報処理装置の構成を示し説明する。
【0017】
同図に示されるように、情報処理装置1は、演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)2と、ROM(Read Only Memory)3と、RAM(Random Access Memory)4と、入出力装置5と、通信インタフェース(I/F)6と、記憶装置7とを備えている。記憶装置7は、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等で構成されてよい。そして、記憶装置7には、訓練データセット21、推論対象データ22、提案データ23、訓練対象学習モデル24、訓練済学習モデル25、学習プログラム26、推論・特定プログラム27などが記憶されている。
【0018】
CPU2は、訓練段階では、記憶装置7の学習プログラム26を読み出し、RAM4に展開し、実行することで、訓練装置として機能する。訓練データセッ21トは、訓練データと正解ラベルとのペアの集合であり、訓練データとしては、勤怠データ、組織風土診断データ、行動解析データなどが含まれる。訓練装置は、訓練データセット21に基づいて訓練対象学習モデル24を訓練し、訓練済学習モデル25を記憶部7に記憶する。
【0019】
また、CPU2は、推論・特定段階では、記憶装置7の推論・特定プログラム27を読み出し、RAM4に展開し、実行することで、推論装置、特定装置として機能する。推論装置は、推論対象データ22を受け付け、訓練済学習モデル25により推論を実行し、状況分類としての状況IDを特定装置に出力する。ここで、状況IDとは、離職防止に配慮して対応すべき従業員の置かれている状況をカテゴライズした識別番号である。推論対象データ22には、勤怠データ、組織風土診断データ、行動解析データなどが含まれる。特定装置は、状況IDに基づいて、記憶装置7より当該状況IDに対応する提案データを読み出し、出力する。提案データとしては、管理者へのコメントデータ、従業員へのコメントデータ、対象となる従業員の注視すべき行動に係る動画データなどが含まれるが、これには限定されない。特定された提案データは、入出力装置5を介して不図示の表示装置に表示され、あるいは、通信I/F6を介して管理者の端末装置に電子メールやSNSなどで送信される。
【0020】
図2には、本発明の実施形態に係る情報処理装置の訓練装置による訓練処理を更に詳細に説明する。
【0021】
同図に示されるように、CPU2は、訓練段階では、記憶装置7の学習プログラム26を読み出し、RAM4に展開し、実行することで、訓練装置11として機能する。訓練装置11は、訓練対象学習モデル24を訓練データセット21により訓練する。訓練データセット21は、訓練データと正解ラベルとのペアの集合であり、訓練データとしては、勤怠データ、組織風土診断データ、行動解析データなどが含まれている。正解ラベルとは、当該訓練データに対する状況IDであってよい。
【0022】
より詳細には、勤怠データには、以下の少なくとも一部が含まれる。
・希望シフト日数(アルバイトが店長に提出する出勤可能日もしくは希望日)
・確定シフト日数(希望シフトに対して確定したシフトの日数・時間の増減データ)
・希望シフト提出日(希望シフトを締め切りの何日前に提出されたか)
・新規採用従業員の初出勤日
・新規採用従業員の勤務経過日数
・新規採用従業員の勤務した延べ時間
・新規採用従業員の前回勤務からの経過日数
・最終出勤からの経過日数
・一定期間以上シフト提出がなされていない従業員とその者の最終出勤日
・一定期間以上勤務がなされていない従業員とその者の最終出勤日
・在籍者人数
・各店舗・各拠点の在籍者の平均在籍期間
・従業員の入社から離職までの日数
【0023】
アンケート回答データとは、店舗に在籍している全従業員(社員・アルバイト・パート)の組織風土アンケートの回答全データを意味するが、訓練データには、当該アンケート回答データを集計、解析した組織風土診断データを用いる。この組織風土診断データは、
図6に示されるように、仕事の価値、成長意欲、同一の危機感、共通の価値観、仕事の地震、評価への納得、上司への尊敬、及び同僚への感謝を-5~+5の10段階で数値化したものであってよい。
【0024】
行動解析データとは、解析装置14によりカメラ等の計測データを解析した結果、得られるデータであり、以下の少なくも一部が含まれる。
・先輩従業員の新人従業員への声掛け回数、声掛けタイミング
・従業員の各エリアの滞在時間
・新人従業員の視線方向の比率(手元から店内全体への視線回数の変化)
・新人従業員の滞在エリア・行動範囲の変化(店内のエリアの狭域から広域への変化)
・朝礼の実施有無、開始時刻、完了時刻
・朝礼の参加者の視線
・朝礼参加者の発話割合
・従業員の作業内容(回数・時間)
・従業員の特定動作の発生回数(作業の手を止め、悩む/探す/考える動作)
・(サービス業の場合)お客様の待ち人数、待ち時間、滞在者数、滞在時間
・(サービス業の場合)お客様から呼ばれてから従業員が気づくまでの所要時間人数、待ち時間、滞在者数、滞在時間
・(サービス業の場合)お客様が来店されてから初期対応までの経過時間
・(サービス業の場合)お客様から注文頂いてから商品提供まで要した経過時間
・(サービス業の場合)お客様のお会計開始から完了までに要した所要時間
【0025】
すなわち、CPU2は、解析装置14としても機能し、入出力装置5や通信I/F6を介して取得した録画データなどを解析装置14により解析することで、前述したような行動解析データを得るようになっている。
【0026】
訓練装置11は、例えば、訓練データセット7に基づいて訓練対象学習モデル24で処理を実行し、処理結果と正解ラベルとの間の誤差等に基づいて、訓練対象学習モデル24を訓練する。そして、訓練済学習モデル25を記憶装置7に記憶する。
【0027】
このように、訓練装置11は、訓練対象学習モデル24を、勤怠データと正解ラベルのペアと、組織風土診断データと正解ラベルのペアと、行動解析データと正解ラベルのペアと、の少なくともいずれかを含む訓練データセットに基づいて訓練する。
【0028】
図3には、本発明の実施形態に係る情報処理装置の推論装置による推論処理、特定装置による特定処理を更に詳細に説明する。
【0029】
同図に示されるように、情報処理装置1は、入出力装置5や通信I/F6を介して、推論対象データ22の入力を受け付け、記憶装置7に記憶している。推論対象データ22のうち、行動解析データについては、カメラ計測データを解析装置14で解析した結果得られ、記憶装置7に記憶している。CPU2は、推論・特定段階では、記憶装置7の推論・特定プログラム27を読み出し、RAM4に展開し、実行することで、推論装置12、特定装置13として機能する。
【0030】
推論装置12は、推論対象データ22を受け付け、訓練済学習モデル25により推論を実行し、状況IDを特定装置13に出力する。訓練済学習モデル25は、訓練対象学習モデル24は、勤怠データと正解ラベルのペアと、組織風土診断データと正解ラベルのペアと、組織風土診断データと正解ラベルのペアと、の少なくともいずれかを含む訓練データセットに基づいて訓練を行ったものである。
【0031】
特定装置13は、この状況IDに基づいて、記憶装置7より当該状況IDに対応する提案データを読み出し、出力する。この提案データとしては管理者へのコメントデータ、従業員へのコメントデータ、対象となる従業員の注視すべき行動に係る動画データなどが含まれる。すなわち、記憶装置7では、状況IDと、管理者へのコメントデータ、従業員へのコメントデータ、動画データなどを対応付けて記憶しているので、状況IDに該当する提案データを正確に読み出すことが可能となっている。
【0032】
特定された提案データは、入出力装置5を介して不図示の表示装置に表示され、あるいは、通信I/F6を介して管理者の端末装置に電子メールやSNSなどで送信される。管理者等の端末装置での提案データに基づく表示例は、例えば
図7(a)、
図7(b)などに示される通りである。配信内容は、新人にフィードバックすべきコメント、新人の前回からの変化(カメラ計測内容)、具体的な褒めるシチュエーション(動画)、経過週ごとに気を付けるべきこと、及び教育担当の推奨事例(カメラ計測内容)などである。
【0033】
以下、
図4のフローチャートを参照して、本発明の実施形態に係る情報処理装置による訓練処理の処理の流れを説明する。
【0034】
CPU2は、記憶装置7の学習プログラム26を読み出し、RAM4に展開し、実行することで、訓練装置11として機能する。訓練データセッ21トは、訓練データと正解ラベルとのペアの集合であり、訓練データとしては、勤怠データ、組織風土診断データ、行動解析データなどが含まれている。訓練装置11は、訓練データセット21を取得し(S1)、当該訓練データセット21に基づいて訓練対象学習モデル24を訓練し(S2)、訓練済学習モデル25を記憶部7に登録する(S3)。
【0035】
次に、
図5のフローチャートを参照して、本発明の実施形態に係る情報処理装置による推論・特定処理の処理の流れを説明する。
【0036】
CPU2は、推論・特定段階では、記憶装置7の推論・特定プログラム27を読み出し、RAM4に展開し、実行することで、推論装置12、特定装置13として機能する。推論装置12は、推論対象データ22を取得し(S11)、訓練済学習モデル25により推論を実行し、状況IDを特定装置に出力する(S12)。特定装置13は、この状況IDに基づいて、記憶装置7より当該状況IDに対応する提案データを特定し(S13)、読み出した提案データを出力する(S14)。この提案データとしては管理者へのコメント、従業員へのコメントデータ、対象となる従業員の注視すべき行動に係る動画データなどが含まれてよい。特定された提案データは、入出力装置5を介して不図示の表示装置に表示され、あるいは、通信I/F6を介して管理者の端末装置に電子メールやSNSなどで送信されてよい。
【0037】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る情報処理装置等によれば、新人社員の離職につながる、マインドの低下に陥りやすいタイミングを事前に検知し、受け入れ側の社員と教育担当のアルバイト従業員などに適切な指導などに係る情報を配信することができるので、従業員の離職を未然に防止することが可能となる。
【0038】
すなわち、本発明の実施形態に係る情報処理装置等によれば、例えば、
図7に示されるように、対象となる従業員が、マズローの欲求段階にそって、「生活の維持/会社としての信頼」、「身の安全」、「チームに馴染む/仕事を覚える」、「周囲からの承認」の段階を上がるように、指導者(管理者)がコミュニケーションをとれるように、適切なタイミングで適切な情報を提供し、行動変容などを促すことが可能となっている。
【0039】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなくその趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良・変更が可能であることは勿論である。
【0040】
例えば、従業員に対して実施するアンケートは、前述したものに限らず、種々のスタイルのものを採用することが可能である。
【符号の説明】
【0041】
1…情報処理装置、2…CPU、3…ROM、4…RAM、5…入出力装置、6…通信I/F、7…記憶装置、11…訓練装置、12…推論装置、13…特定装置、14…解析装置。
【要約】
【課題】行動を伴走し習慣化することで、従業員の離職を防止するための社内の意識・行動の変容を推進する技術を提供する。
【解決手段】本発明は、従業員の離職を抑止する情報処理装置であって、訓練データセットを記憶する記憶装置7と、訓練データセットを受付け、訓練データセットを訓練対象学習モデルに入力し、訓練対象学習モデルから処理結果を取得し、訓練データセットに含まれる正解ラベルと処理結果との比較により訓練対象学習モデルを訓練し、訓練済学習モデルを記憶装置に記憶する訓練装置11とを有し、訓練データセットは、勤怠データと正解ラベルのペアと、組織風土診断データと正解ラベルのペアと、行動解析データと正解ラベルのペアとの少なくともいずれかを有する情報処理装置である。
【選択図】
図1