(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-16
(45)【発行日】2025-04-24
(54)【発明の名称】混合装置
(51)【国際特許分類】
B01F 35/88 20220101AFI20250417BHJP
C05F 11/06 20060101ALI20250417BHJP
B01F 23/64 20220101ALI20250417BHJP
B01F 35/222 20220101ALI20250417BHJP
B01F 27/1145 20220101ALI20250417BHJP
B01F 27/191 20220101ALI20250417BHJP
B01F 27/724 20220101ALI20250417BHJP
B65G 65/40 20060101ALN20250417BHJP
B01F 101/32 20220101ALN20250417BHJP
B01F 101/18 20220101ALN20250417BHJP
【FI】
B01F35/88
C05F11/06
B01F23/64
B01F35/222
B01F27/1145
B01F27/191
B01F27/724
B65G65/40 B
B01F101:32
B01F101:18
(21)【出願番号】P 2022191257
(22)【出願日】2022-11-30
【審査請求日】2023-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】591196625
【氏名又は名称】株式会社晃伸製機
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】角谷 博規
(72)【発明者】
【氏名】角谷 一範
【審査官】小久保 勝伊
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 35/88
C05F 11/06
B01F 23/64
B01F 35/222
B01F 27/1145
B01F 27/191
B01F 27/724
B65G 65/40
B01F 101/32
B01F 101/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が所定の含有割合に調整された複数の必要成分を含む原料混合物を得るために、各々が前記必要成分を少なくとも1つ含む複数の原料同士を、所定の配合割合で混ぜ合わせる混合装置であって、
各々が、割り当てられた各原料を貯留する複数の貯留部と、
各貯留部から排出された各原料からなる複数の前記原料を1つにまとめて収容する第1収容部を有する統合装置と、
各貯留部から排出された各原料を前記第1収容部へ搬送する複数の搬送装置と、
前記第1収容部から排出された各原料からなる複数の前記原料を収容する第2収容部、及び前記第2収容部内に設けられ前記第2収容部内の複数の前記原料を攪拌して、前記原料混合物を得る攪拌部を有する攪拌装置と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、複数の前記搬送装置
について、各貯留部から排出された各原料同士が、前記配合割合で、前記第1収容部に供給されるように、それぞれ所定の搬送速度に設定
する混合装置。
【請求項2】
複数の前記貯留部は、割り当てられた前記原料について、前記配合割合に応じた分量を貯留し、
複数の前記搬送装置同士は、それぞれ対応する前記原料の搬送を同時に開始すると共に、前記原料の搬送を同時に停止する
ように、前記制御部によって制御される請求項1に記載の混合装置。
【請求項3】
複数の前記搬送装置における各搬送速度は、単位時間当たりの搬送量同士の割合が、前記配合割合となるように
前記制御部によって設定される請求項2に記載の混合装置。
【請求項4】
複数の前記搬送装置のうち、少なくとも2つ以上の前記搬送装置が、上流側の各貯留部から下流側の前記第1収容部に向かって途中で1つに合流する複合搬送装置をなし、
前記複合搬送装置は、
各々が各貯留部に1つずつ割り当てられると共に、各々が独立して上流側の各貯留部から下流側に向かって、対応する原料を搬送する複数の上流側搬送装置と、
複数の前記上流側搬送装置により搬送される複数の前記原料をまとめて収容する合流収容部、及び前記合流収容部と前記第1収容部との間を繋ぎつつ、前記合流収容部に収容された複数の前記原料を、前記第1収容部へ搬送する搬送本体部を含む下流側搬送装置とを有する請求項1又は請求項2に記載の混合装置。
【請求項5】
複数の前記上流側搬送装置は、複数の前記原料同士が、前記配合割合で、前記合流収容部に進入するように、それぞれ所定の搬送速度に
前記制御部によって設定される請求項4に記載の混合装置。
【請求項6】
前記原料混合物は、有機肥料と、化成肥料との混合物からなる複合肥料である請求項1又は請求項2に記載の混合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有機肥料(例えば、醗酵鶏糞、醗酵豚糞)と、化成肥料との混合物からなる複合肥料は、肥料に関する法規制の都合で、畜産農家が行うことが難しかった。そのため、この種の複合肥料の製造は、専ら、大手の肥料メーカーにより、大規模な設備を用いて行われていた。
【0003】
しかしながら、近年、上記法規制の改正が行われたことにより、畜産農家による複合肥料の製造・販売が可能となった。そのため、畜産農家では、有機肥料と化成肥料との混合割合を自由に設定しながら、複合肥料が製造されている。なお、製造された複合肥料は、例えば、畜産農家の近辺の耕種農家に販売されている。
【0004】
耕種農家のような小口向けの場合、複合肥料は、小ロットで製造する必要がある。しかも、複合肥料中の配合成分(例えば、窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)等)の種類や割合は、栽培する農作物の種類や、畑の土壌の残存成分の状態等に応じて、適宜、調整する必要がある。
【0005】
なお、従来の混合装置としては、例えば、特許文献1に示されるものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、配合成分の種類や割合の異なる、数多くの種類の複合肥料等を製造するために、原料同士の混合を、高効率、かつ高精度で行うことが求められている。
【0008】
本発明の目的は、複数の原料同士の混合を、高効率、かつ高精度で行うことが可能な混合装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
<1> 各々が所定の含有割合に調整された複数の必要成分を含む原料混合物を得るために、各々が前記必要成分を少なくとも1つ含む複数の原料同士を、所定の配合割合で混ぜ合わせる混合装置であって、各々が、割り当てられた各原料を貯留する複数の貯留部と、各貯留部から排出された各原料からなる複数の前記原料を1つにまとめて収容する第1収容部を有する統合装置と、各貯留部から排出された各原料を前記第1収容部へ搬送する複数の搬送装置と、前記第1収容部から排出された各原料からなる複数の前記原料を収容する第2収容部、及び前記第2収容部内に設けられ前記第2収容部内の複数の前記原料を攪拌して、前記原料混合物を得る攪拌部を有する攪拌装置とを備え、複数の前記搬送装置は、各貯留部から排出された各原料同士が、前記配合割合で、前記第1収容部に供給されるように、それぞれ所定の搬送速度に設定される混合装置。
【0010】
<2> 複数の前記貯留部は、割り当てられた前記原料について、前記配合割合に応じた分量を貯留し、複数の前記搬送装置同士は、それぞれ対応する前記原料の搬送を同時に開始すると共に、前記原料の搬送を同時に停止する前記<1>に記載の混合装置。
【0011】
<3> 複数の前記搬送装置における各搬送速度は、単位時間当たりの搬送量同士の割合が、前記配合割合となるように設定される前記<2>に記載の混合装置。
【0012】
<4> 複数の前記搬送装置のうち、少なくとも2つ以上の前記搬送装置が、上流側の各貯留部から下流側の前記第1収容部に向かって途中で1つに合流する複合搬送装置をなし、前記複合搬送装置は、各々が各貯留部に1つずつ割り当てられると共に、各々が独立して上流側の各貯留部から下流側に向かって、対応する原料を搬送する複数の上流側搬送装置と、複数の前記上流側搬送装置により搬送される複数の前記原料をまとめて収容する合流収容部、及び前記合流収容部と前記第1収容部との間を繋ぎつつ、前記合流収容部に収容された複数の前記原料を、前記第1収容部へ搬送する搬送本体部を含む下流側搬送装置とを有する前記<1>又は<2>に記載の混合装置。
【0013】
<5> 複数の前記上流側搬送装置は、複数の前記原料同士が、前記配合割合で、前記合流収容部に進入するように、それぞれ所定の搬送速度に設定される前記<4>に記載の混合装置。
【0014】
<6> 前記原料混合物は、有機肥料と、化成肥料との混合物からなる複合肥料である前記<1>又は<2>に記載の混合装置。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の原料同士の混合を、高効率、かつ高精度で行うことが可能な混合装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図4】トマト栽培用の複合肥料を製造する場合に、複数の原料同士の配合割合を決定するために必要な情報を示す表
【
図5】複合肥料を製造する際の各種原料の使用量を示す表
【
図6】混合装置を使用した複合肥料の製造工程を示すフロー
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態1に係る混合装置1を、
図1~
図6を参照しつつ説明する。
図1は、実施形態1に係る混合装置1の斜視図であり、
図2は、実施形態1に係る混合装置1の上面図であり、
図3は、混合装置1が備える攪拌装置5の上面図である。混合装置1は、原料である有機肥料と、原料である化成肥料とを混ぜ合わせて、複合肥料を製造する装置である。本実施形態の場合、後述するように、化成肥料として複数のものが使用される。
【0018】
本実施形態の混合装置1は、複数の貯留部2、統合装置3、複数の搬送装置4、攪拌装置5、制御盤(不図示)等を備えている。
【0019】
制御盤は、混合装置1の各構成の動作を制御する制御部を備える。制御部は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、記憶部等を備えて構成される。制御部のCPUは、記憶部に記憶されているプログラムを読み出して、RAMのワークエリアに展開し、展開したプログラムにしたがって、各種処理を実行する。記憶部は、CPUが適宜、実行するプログラムや、各種処理に必要なデータ等を記憶する。記憶部は、メモリやハードディスクドライブ等の物理ドライブによって構成される。また、制御盤は、利用者(作業者)からの指示を受け付ける入力部や、各種情報を表示する表示部等を備えている。
【0020】
有機肥料は、動植物由来の肥料である。有機肥料としては、例えば、鶏糞(醗酵鶏糞)、牛糞(醗酵牛糞)等の畜糞(発酵糞)、骨粉、魚粉、米糠、草木灰、油粕、堆肥等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、有機肥料は、粒状、ペレット状等の搬送可能な形状に調製されている。
【0021】
化成肥料は、肥料三要素である窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)の何れかの要素を少なくとも1つ含む、化学的方法により製造される肥料である。このような化成肥料としては、例えば、窒素肥料、リン酸肥料、カリ肥料等が挙げられる。化成肥料は、粒状、ペレット状等の搬送可能な形状に調製されている。なお、他の実施形態においては、必要に応じて、窒素、リン、カリウム以外の元素を含むものを、化成肥料として用いてもよい。
【0022】
窒素肥料は、主成分として窒素(N)を含む肥料である。窒素肥料としては、例えば、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、尿素、石灰窒素、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム等が挙げられる。リン酸肥料は、主成分としてリンを含む肥料である。リン酸肥料としては、例えば、過リン酸石灰、重過リン酸石灰、熔性リン肥、焼成リン肥等が挙げられる。カリ肥料は、主成分としてカリウムを含む肥料である。カリ肥料としては、例えば、塩化カリ、硫酸カリ、ケイ酸カリウム肥料等が挙げられる。
【0023】
本実施形態の混合装置1は、醗酵鶏糞(有機肥料)、尿素(化成肥料)、過リン酸石灰(化成肥料)、及び塩化カリ(化成肥料)の4種類の原料同士を、所定の配合割合で、混合可能な装置として構成されている。ここでは、トマト栽培用の複合肥料を製造する場合を例に挙げつつ、混合装置1の各構成等を説明する。
【0024】
図4は、トマト栽培用の複合肥料を製造する場合に、複数の原料同士の配合割合を決定するために必要な情報を示す表(以下、「表1」と称する。)である。表1には、トマトを、植栽面積1000m
2で年間収量8トンを見込んで栽培する場合に、その栽培に必要な各種成分(必要成分)の量(必要量)[kg]と、トマト栽培に使用する予定地(畑)の土壌中に残存している各種成分(土壌残存成分)の量(残存量)[kg]と、その土壌中で不足している各種成分(不足成分)の量(不足量)[kg]が示されている。表1には、各種の成分として、窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)が示されている。
【0025】
トマト栽培に必要な各種成分の情報(表1中の必要成分)は、「作物の種類」、「植栽面積」、「年間予定収量」等の諸条件に基づいて、予め設定されている。例えば、制御盤が備える記憶部に、予め「作物の種類」、「植栽面積」、「年間予定収量」等に基づいた情報(テーブル等)が記憶される。利用者は、制御盤が備える入力部(例えば、タッチパネル機能付きの表示パネル)を操作して、「作物の種類」、「植栽面積」、「年間予定収量」等の条件を指定すると、その条件に対応した各種成分の量(必要量)が、制御部によって、自動的に算出される。
【0026】
トマト栽培に使用する予定地(畑)の土壌残存成分に関する情報(表1中の土壌残存成分)は、混合装置1を使用する前に、予め、公知の手法を用いて取得される。この土壌残存成分に関する情報(必要成分の残存量等)は、混合装置1で複合肥料を調製する前に、予め、前記記憶部に記憶されている。
【0027】
なお、制御盤が備える制御部は、トマト栽培に必要な各種成分の量(必要量)と、トマト栽培に使用する予定地の土壌残存成分の量(必要成分の残存量)とに基づいて、前記予定地の土壌中で不足している各種成分量(必要成分の不足量)を算出する。表1中において、この算出結果が「不足成分(kg)」の欄に記載されている。この算出結果や、表1中に示される各種の情報は、例えば、制御盤が備える表示部(例えば、入力装置として使用した、タッチパネル機能付きの示パネル)に表示される。
【0028】
本実施形態の場合、表1に示されるように、前記予定地の土壌は、窒素(N)が19.2kg不足し、リン(P)が4.2kg不足し、カリウム(K)が31.1kg不足した状態となっている。なお、カルシウム、マグネシウム、亜鉛については、前記予定地の土壌中に十分に含まれている。
【0029】
複合肥料は、土壌中で不足している各種の必要成分(窒素、リン、カリウム)を、有機肥料や化成肥料に含まれている必要成分よって補うことを目的としたものである。本実施形態の混合装置1により、有機肥料(鶏糞)及び化成肥料(尿素等)を互いに混ぜ合わせることで、各々が所定の含有割合に調整された複数の必要成分を含む複合肥料(原料混合物の一例)が得られる。
【0030】
図5は、複合肥料を製造する際の各種原料の使用量を示す表(以下、「表2」と称する。)である。本実施形態の場合、
図4(表1)に示される不足成分の情報(不足した必要成分の不足量)に基づいて、目的とする複合肥料の製造に必要な、鶏糞、尿素、過リン酸石灰、塩化カリの各使用量が自動的に計算される。この計算は、制御盤が備える制御部により行われる。計算により求められた各原料の使用量が、
図5(表2)に示される。
【0031】
表2に示されるように、有機肥料として、鶏糞(発酵鶏糞)96.00kgが使用され、化成肥料として、尿素36.50kg、及び塩化カリ46.20kgがそれぞれ使用される。
【0032】
鶏糞は、粒状であり、窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)の供給源として使用される。鶏糞96.00kg中には、窒素(N)が2.49kg、リン(P)が4.23kg、カリウム(K)が3.43kg含まれている。鶏糞中の窒素、リン、カリウムの含有量(例えば、鶏糞1kg当たりの窒素、リン、カリウムの各含有量)の情報は、複合肥料の製造前に、予め行った成分分析試験の結果等より得られる。鶏糞中の各成分の各含有量の情報は、前記記憶部に予め記憶されている。
【0033】
尿素は、粒状であり、窒素(N)の供給源として使用される。尿素36.50kg中には、表2に示されるように、窒素が16.79kg含まれている。塩化カリは、粒状であり、カリウム(K)の供給源として利用される。塩化カリ46.20kg中には、表2に示されるように、カリウムが27.72kg含まれている。
【0034】
本実施形態の場合、過リン酸石灰は、リン(P)の供給源として使用されない。過リン酸石灰を使用しなくても、鶏糞中に含まれるリンのみで、不足した土壌中のリンを補うことができる。
【0035】
なお、化学肥料からなる原料中の各成分の含有量(例えば、尿素1kg当たりの窒素の含有量、塩化カリ1kg当たりのカリウムの含有量、過リン酸石灰1kg当たりのリンの含有量)の情報は、複合肥料の製造前に、予め行った成分分析試験や文献値等から求められる。これらの情報は、前記記憶部に予め記憶されている。
【0036】
本実施形態の混合装置1は、4つの貯留部2を備えている。各貯留部2は、所謂ホッパーからなり、それぞれ上方に開口した容器状をなしている。これら4つの貯留部2は、鶏糞を貯留するための第1貯留部21と、尿素を貯留するための第2貯留部22と、過リン酸石灰を貯留するための第3貯留部23と、塩化カリを貯留するための第4貯留部24とからなる。このように4種類の原料(鶏糞、尿素、過リン酸石灰、塩化カリ)が、それぞれ対応する貯留部2に割り当てられている。本実施形態の場合、有機肥料用の第1貯留部21は、その他の貯留部2(化成肥料用の貯留部2)よりも大型であり、原料を多く貯留できる。化成肥料用である第2貯留部22、第3貯留部23、第4貯留部24は、互いに同じ大きさに設定されている。なお、各貯留部2の底側には、各搬送装置4に対して、原料を供給するための供給口200が設けられている。貯留部2を上面視した際、供給口200からは、搬送装置4が備えるスクリューコンベアの一部が露出した状態となっている。そして、搬送装置4が稼働すると、貯留部2内の原料が供給口200から下方に排出されて搬送装置4に供給される。なお、
図1において、第4貯留部24は、断面構造が示されている。
【0037】
各貯留部2の下側には、貯留部2自体の重さ(質量)と、貯留部2内に貯留された原料(貯留物)の重さ(質量)との総量(質量)を計量する計量部(不図示)がそれぞれ設置されている。各計量部は、例えば、ロードセルからなり、各計量部の計量結果は、適宜、制御盤に送信される。ここで、例えば、貯留部2内に原料が貯留されていない状態の計量結果をM0と表し、貯留部2内に原料が貯留されている状態の計量結果をM1と表した場合において、貯留部2内の原料の重さ(質量)は、M1-M0として把握できる。また、各計量部により、搬送開始後において、各貯留部2内に貯留された原料の減量分を把握することができる。このように計量部を利用することで、貯留部2内の原料の重さ(質量)を適宜、把握できる。
【0038】
上述したトマト栽培用の複合肥料を製造する場合、鶏糞、尿素、塩化カリの3種類の原料同士を、所定の配合割合で混ぜ合わせることになる。なお、過リン酸石灰は、原料として使用されないため、前記複合肥料の製造時に、過リン酸石灰用の第3貯留部23は、使用されない。
【0039】
本実施形態の混合装置1を使用した前記複合肥料の製造において、鶏糞、尿素、塩化カリの配合割合は、質量比で、鶏糞:尿素:塩化カリ=96.00:36.50:46.20に設定される。また、各原料の比重から、前記配合割合を、体積比に換算してもよい。
【0040】
前記複合肥料の製造を開始する際、第1貯留部21には、96.00gの鶏糞が貯留され、第2貯留部22には、36.50kgの尿素が貯留され、第4貯留部24には、46.20kgの塩化カリが貯留される。
【0041】
統合装置3は、第1収容部31、計量部32、第1開閉部33、統合シューター34を備えている。第1収容部31は、各貯留部2からそれぞれ排出されて搬送された各原料(鶏糞、尿素、塩化カリ)を1つにまとめて収容する容器状の装置である。計量部32は、第1収容部31内に設けられると共に、第1収容部31内に収容された原料の総量を計量する機器である。計量部32は、例えば、ロードセルからなり、計量部32の計量結果は、適宜、制御盤に送信される。第1開閉部33は、所謂、開閉式のシャッターであり、第1収容部31に設けられている。第1開閉部33は、第1収容部31内で原料を収容可能な閉状態と、第1収容部31内の原料を外部へ排出させる開状態とに切り替え可能である。第1開閉部33の切り替え制御は、制御盤が備える制御部により行われる。統合シューター34は、複数の搬送装置4から供給される各原料を、第1収容部31内で1つにまとめて収容するために、各原料を1つにまとめつつ案内する装置である。統合シューター34は、複数の搬送装置4の下流側と第1収容部31との間に配置され、かつ各搬送装置4の下流側を1つにまとめた状態で、第1収容部31と接続する構造となっている。
【0042】
混合装置1は、大別すると、4つの搬送装置4を備えている。これらの搬送装置4は、第1貯留部21に割り当てられた第1搬送装置41と、第2貯留部22に割り当てられた第2搬送装置42と、第3貯留部23に割り当てられた第3搬送装置43と、第4貯留部24に割り当てられた第4搬送装置44とからなる。
【0043】
これら4つの搬送装置4のうち、第1搬送装置41は、鶏糞を貯留する第1貯留部21と、第1収容部31との間を1本の通路で繋ぐ構成となっている。第1搬送装置41は、第1貯留部21に接続し、かつ第1貯留部21から供給された原料(鶏糞)を下流側へ搬送する上流側第1搬送装置411と、上流側第1搬送装置411と第1収容部31との間に配置され、かつ上流側第1搬送装置411から搬送されてきた原料(鶏糞)を、更に下流側の第1収容部31へ搬送する下流側第1搬送装置412とからなる。
【0044】
上流側第1搬送装置411は、第1貯留部21の下部に設けられた搬出用のベルトコンベア411aを備える。上流側第1搬送装置411のベルトコンベア411aは、インバータにより回転数が制御されたモータにより駆動し、第1貯留部21から供給される原料(鶏糞)を搬送する。このような上流側第1搬送装置411におけるベルトコンベア411aの搬出速度は、適宜、調整可能である。
【0045】
下流側第1搬送装置412は、主として、エンドレスチェーン又はエンドレスベルトからなるエンドレス部材に複数のバケットが連続的に取り付けられているバケットコンベアによって構成される。エンドレス部材は、インバータにより回転数が制御されたモータにより、循環移動するように駆動する。エンドレス部材の移動速度は、適宜、調整可能である。
【0046】
下流側第1搬送装置412は、概ね上下方向に延びた立設部412aと、立設部412aの上部から側方へ、下るように傾斜しつつ延びた筒状の通路からなる延設部412bとからなる。立設部412aの下部側は、上流側第1搬送装置411と接続しており、上流側第1搬送装置411から搬送されてきた原料(鶏糞)が、立設部412a内に設置されたバケットコンベアのバケットに供給される。そして、エンドレス部材が駆動することで、原料を収容したバケットが立設部412aの下部側から上部側へ移動(上昇)する。そして、原料を収容したバケットが、立設部412aの上部に到達すると、前記バケットが傾くことで、前記バケット内の原料が、延設部412b側へ排出される。排出された原料(鶏糞)は、延設部412b内を滑りながら、統合装置3が備える統合シューター34に向かって移動する。その後、前記原料(鶏糞)は、統合シューター34を通過して、第1収容部31に供給される。このように下流側第1搬送装置412において、バケットに収容された原料(鶏糞)が、第1収容部31へ搬送される。
【0047】
また、4つの搬送装置4のうち、第2搬送装置42、第3搬送装置43及び第4搬送装置44の3つの搬送装置4は、上流側の各貯留部2から下流側の第1収容部31に向かって途中で1つに合流する通路をなした複合搬送装置45を構成している。複合搬送装置45は、複数(3つ)の上流側搬送装置421,431,441と、1つの下流側搬送装置452とを有する。
【0048】
上流側搬送装置421は、第2貯留部22の下部に設けられた搬出用のスクリューコンベア421aを備える。上流側搬送装置421のスクリューコンベア421aは、インバータにより回転数が制御されたモータにより駆動する。このような上流側搬送装置421におけるスクリューコンベア421aの搬出速度は、適宜、調整可能である。
【0049】
上流側搬送装置431は、第3貯留部23の下部に設けられた搬出用のスクリューコンベア431aを備える。上流側搬送装置431のスクリューコンベア431aは、インバータにより回転数が制御されたモータにより駆動する。このような上流側搬送装置431におけるスクリューコンベア431aの搬出速度は、適宜、調整可能である。
【0050】
上流側搬送装置441は、第4貯留部24の下部に設けられた搬出用のスクリューコンベア441aを備える。上流側搬送装置441のスクリューコンベア441aは、インバータにより回転数が制御されたモータ441bにより駆動する。このような上流側搬送装置441におけるスクリューコンベア441aの搬出速度は、適宜、調整可能である。
【0051】
このような上流側搬送装置421,431,441は、それぞれ各貯留部2に1つずつ割り当てられると共に、各々が独立して上流側の各貯留部2から下流側に向かって、対応する原料を搬送する。
【0052】
下流側搬送装置452は、エンドレスチェーン又はエンドレスベルトからなるエンドレス部材に複数のバケットが連続的に取り付けられているバケットコンベアによって構成される。エンドレス部材は、インバータにより回転数が制御されたモータにより、循環移動するように駆動する。このような下流側搬送装置452は、合流収容部450と、搬送本体部452とを有する。合流収容部450は、バケットコンベア用の投入口(投入ホッパー)であり、上方に開口した形状をなしている。このような合流収容部450は、複数の上流側搬送装置421,431,441により供給される複数の原料をまとめて収容する。
【0053】
搬送本体部452は、合流収容部450と第1収容部31との間を繋ぎつつ、合流収容部450に収容された複数(複数種)の原料を、第1収容部31へ搬送する。このような搬送本体部452は、概ね上下方向に延びた立設部452aと、立設部452aの上部から側方へ、下るように傾斜しつつ延びた筒状の通路からなる延設部452bとからなる。合流収容部450は、立設部452aの下部側に設けられている。合流収容部450の上方には、各上流側搬送装置421,431,441における下流側の端部が配置されており、各上流側搬送装置421,431,441により搬送された各原料は、合流収容部450内へ落下する形で投入される。そして、合流収容部450内に投入された各原料は、立設部452a内に設置されたバケットコンベアのバケットに供給される。そして、エンドレス部材が駆動することで、原料を収容したバケットが立設部452aの下部側から上部側へ移動(上昇)する。そして、原料を収容したバケットが、立設部452aの上部に到達すると、前記バケットが傾くことで、前記バケット内の原料が、延設部452b側へ排出される。排出された原料(尿素、塩化カリ)は、延設部452b内を滑りながら、統合装置3が備える統合シューター34に向かって移動する。その後、前記原料(尿素、塩化カリ)は、統合シューター34を通過して、第1収容部31に供給される。このように下流側搬送装置452において、合流収容部450を介してバケットに収容された原料(尿素、塩化カリ)が、第1収容部31へ搬送される。
【0054】
このような搬送装置4は、後述するように、第1開閉部33が閉状態であり、かつ計量部32の計量結果が許容値(例えば、500kg)以下の場合に、各貯留部2からそれぞれ搬送される各原料同士が、前記配合割合で、第1収容部31に供給されるように、それぞれ所定の搬送速度に設定される。
【0055】
各貯留部2(21,22,23,24)は、それぞれ割り当てられた原料について、前記配合割合に応じた分量を貯留する。
【0056】
化成肥料に対応した上流側搬送装置421,431,441については、複数の原料同士が、前記配合割合で、合流収容部450に供給されるように、それぞれ所定の搬送速度に設定される。なお、各上流側搬送装置421,431,441は、互いに搬送速度が同じであれば、単位時間当たりに、同じ分量(体積)の原料を搬送することができる。
【0057】
各上流側搬送装置421,431,441同士は、それぞれ対応する原料の搬送を同時に開始すると共に、前記原料の搬送を同時に停止するように、各上流側搬送装置421,431,441の各搬送速度が設定される。つまり、各上流側搬送装置421,431,441の各搬送速度は、単位時間当たりの搬送量同士の割合が、前記配合割合となるように設定される。なお、各上流側搬送装置421,431,441における各原料の搬送が開始されると、各貯留部2内の原料の排出が開始される。また、各上流側搬送装置421,431,441が各原料を合流収容部450に供給し終えると、各上流側搬送装置421,431,441における各原料の搬送が停止される。
【0058】
各上流側搬送装置421,431,441の各搬送速度は、例えば、対応する貯留部2(22,23,24)に予め貯留される各原料の分量と、各原料の比重とに基づいて、単位時間当たりの搬送量(体積/秒)同士の割合が、前記配合割合となるように設定されてもよい。なお、各スクリューコンベア421a,431a,441aの各モータの周波数を適宜、設定することで、各上流側搬送装置421,431,441の各搬送速度を調整することができる。
【0059】
また、例えば、各上流側搬送装置421,431,441の各搬送速度を、同一に設定した上で、予め定められた各上流側搬送装置421,431,441の全体の稼働時間t(例えば、110秒)内において、その稼働時間tよりも短い所定の時間Δt(例えば、10秒)内に、稼働した各上流側搬送装置421,431,441によって、各貯留部2(22,23,24)から排出されて搬送された各原料の減量分を把握し、その減量分から、各上流側搬送装置421,431,441の単位時間当たりの搬送量(体積/秒)を把握することができる。そして、各上流側搬送装置421,431,441における単位時間当たりの搬送量(体積/秒)同士の割合が、前記配合割合となるように、各上流側搬送装置421,431,441の各搬送速度が、適宜、調整されてもよい。
【0060】
有機肥料に対応した上流側第1搬送装置411の搬送速度は、化成肥料に対応した上流側搬送装置421,431,441との間において、それぞれ対応する原料の搬送を同時に開始すると共に、前記原料の搬送を同時に停止するように設定される。なお、上流側第1搬送装置411のベルトコンベアの搬送距離と、化成肥料に対応した各上流側搬送装置421,431,441の各スクリューコンベア421a,431a,441aの搬送距離とは、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0061】
本実施形態の場合、上流側第1搬送装置411のベルトコンベアの搬送速度と、下流側第1搬送装置412のバケットコンベアの搬送速度は、同じに設定される。また、有機肥料を搬送する下流側第1搬送装置412のバケットコンベアの搬送速度と、化成肥料を搬送する下流側搬送装置452のバケットコンベアの搬送速度とも、同じに設定される。本実施形態の場合、下流側第1搬送装置412のバケットコンベアの搬送距離と、下流側搬送装置452のバケットコンベアの搬送距離とは、同じである。
【0062】
本実施形態の場合、有機肥料用の第1貯留部21から排出された原料(鶏糞)が、上流側第1搬送装置411及び下流側第1搬送装置412により搬送されて、第1収容部31に到達するまでの時間と、化成肥料用の各貯留部2(22,23,24)から排出された原料(尿素、塩化カリ)が、複合搬送装置45及び下流側搬送装置452により搬送されて、第1収容部31に到達するまでの時間とは、同じ(例えば、110秒)になるように設定される。
【0063】
攪拌装置5は、
図3等に示されるように、第1収容部31内から排出された原料を収容する第2収容部(混合槽)51、第2収容部51内に設けられ、その第2収容部51内の原料を攪拌して混ぜ合わせることで複合肥料(原料混合物)を得る攪拌部52とを備える。攪拌装置5は、
図1等に示されるように、統合装置3の下方に配置されている。攪拌装置5の第2収容部51は、上方に開放した箱型の容器である。第2収容部51は、第1開閉部33が開状態の際に、第1収容部31から第1開閉部33を介して排出されて落下する原料を、受ける形で収容する。攪拌部52は、モータ53の出力により回転する回転軸52aと、その回転軸52aに固定され、回転軸52aと共に回転する回転翼52bを備えており、第2収容部51内に収容された原料を、回転翼52bにより適宜、攪拌する。これにより、第2収容部51内の原料同士が、互いに均一に混ぜ合わせられる。
【0064】
なお、攪拌装置5の第2収容部51の底側には、互いに平行に並んだ2本の搬出用スクリューコンベア54が設置されている。搬出用スクリューコンベア54を所定の方向に回転(正転)させると、第2収容部51内の原料混合物が、搬出用スクリューコンベア54により搬送されて第2収容部51の外部(搬出ベルトコンベア側)へ排出される。なお、攪拌装置5の第2収容部51内において、攪拌部52により、原料同士を混ぜ合わせる際は、搬出用スクリューコンベア54のトラフに入った混合物が、再度、第2収容部51へ押し出されるように、搬出用スクリューコンベア54を逆転させている。このようにして、攪拌装置5による攪拌の精度を高めている。
【0065】
続いて、混合装置1を使用して、上述したトマト栽培用の複合肥料が製造される工程を、
図6等を参照しつつ説明する。
図6は、混合装置1を使用した複合肥料の製造工程を示すフローである。
図6のステップS1に示されるように、先ず、土壌中の必要成分の不足量の算出が行われる。土壌中の必要成分の不足量は、トマト栽培に必要な各種の必要成分の量(必要量)から、トマト栽培に使用する予定地の土壌に残存する各種の必要成分の量(残存量)を差し引くことで求められる。
【0066】
次いで、ステップS2に示されるように、複合肥料の製造に必要な各原料の使用量が決定される。各原料の使用量は、ステップS1で得られた算出結果に基づいて、制御部が決定する。
【0067】
次いで、ステップS3に示されるように、各原料の使用量の情報に基づいて、鶏糞と、尿素と、塩化カリとの配合割合が決定される。
【0068】
そして、ステップS4に示されるように、各搬送装置4の搬送速度が決定される。制御部は、第1搬送装置41について、前記配合割合に応じて、上流側第1搬送装置411のベルトコンベアの搬送速度と、下流側第1搬送装置412のバケットコンベアの搬送速度とをそれぞれ決定する。また、制御部は、複合搬送装置45(つまり、第2搬送装置42及び第4搬送装置44)について、前記配合割合に応じて、上流側搬送装置421のスクリューコンベアの搬送速度と、上流側搬送装置441のスクリューコンベアの搬送速度と、下流側搬送装置452のバケットコンベアの搬送速度とをそれぞれ決定する。
【0069】
次いで、ステップS5に示されるように、各貯留部2(第1貯留部21、第2貯留部22、第4貯留部24)に、対応する各原料を投入する。これにより、各貯留部2は、それぞれ対応する原料について、前記配合割合に応じた分量を貯留する。
【0070】
その後、ステップS6に示されるように、各搬送装置4が、上記のように決定された所定の搬送速度で、各原料を第1収容部31まで搬送する。利用者が制御盤の入力部を操作することにより、複数の搬送装置4は、それぞれ対応する原料の搬送を同時に開始する。
【0071】
例えば、有機肥料用の第1貯留部21に接続する第1搬送装置41(上流側第1搬送装置411)のベルトコンベアには、第1貯留部21が貯留する原料(鶏糞)が、所定量ずつ供給される。そのため、第1搬送装置41の搬送速度を適宜、設定することにより、第1搬送装置41の上流側第1搬送装置4における単位時間当たりの搬送量を、調整することができる。
【0072】
そして、第1搬送装置41における下流側第1搬送装置412(バケットコンベア)には、上流側第1搬送装置411から、原料(鶏糞)が、所定量ずつ供給される。下流側第1搬送装置412(バケットコンベア)の搬送速度を適宜、設定することにより、第1搬送装置41の下流側第1搬送装置412における単位時間当たりの搬送量を、調整することができる。
【0073】
また、化成肥料用の各貯留部2に接続する各搬送装置4(上流側搬送装置421等)のスクリューコンベアには、それぞれ各貯留部2が貯留する原料が、所定量ずつ供給される。そのため、各上流側搬送装置421等の搬送速度を適宜、設定することにより、各上流側搬送装置421等における単位時間当たりの搬送量を、調整することができる。なお、化成肥料用の各貯留部2に設けられた各搬送装置4の長さ(上流側搬送装置421等の長さ)は、互いに同じである。
【0074】
そして、下流側搬送装置452(バケットコンベア)には、上流側搬送装置421,441から、原料(尿素、塩化カリ)が、前記配合割合に応じて、所定量ずつ供給される。下流側搬送装置452(バケットコンベア)の搬送速度を適宜、設定することにより、下流側搬送装置452における単位時間当たりの搬送量を、調整することができる。
【0075】
有機肥料用の搬送装置4である下流側第1搬送装置412より搬送される原料(鶏糞)と、化成肥料用の搬送装置4(複合搬送装置45)である下流側搬送装置452より搬送される複数の原料(尿素と塩化カリ)とが、前記配合割合で、統合シューター34を介して、第1収容部31に供給されるように、下流側第1搬送装置412の搬送速度と、下流側搬送装置452の搬送速度とがそれぞれ所定の値に設定される。
【0076】
このように、有機肥料である鶏糞と、化成肥料である尿素と、化成肥料である塩化カリとを、前記配合割合で、統合装置3の第1収容部31に供給すると、各原料が、互いに前記配合割合の関係を保った分量ずつ、第1収容部31内に順次、堆積しつつ収容されることになる。そのため、第1収容部31内では、それらの原料の一部が偏った状態(集まった状態)で収容されることが防止される。つまり、それらの原料は、最終的に攪拌装置5で攪拌される前に、第1収容部31内において、既にある程度、均一に混ざり合った状態となっている。
【0077】
次いで、ステップS7に示されるように、各搬送装置4による各原料の搬送が停止される。なお、本実施形態の場合、各搬送装置4は、第1収容部31に対して、それぞれ対応する原料の搬送(供給)を同時に終了する。本実施形態の場合、各搬送装置4において、それぞれ対応する原料のすべてを第1収容部31へ搬送し終えた際に、それぞれ対応する原料の搬送が同時に停止される(各搬送装置4の搬送動作が停止される)。
【0078】
なお、混合装置1において、複数の搬送装置4は、計量部32の計量結果が許容値(例えば、500kg)を超えた際にも、それぞれ対応する原料の搬送を停止するように構成されている。統合装置3の第1収容部31内の原料が、攪拌装置5側に排出され、かつ第1開閉部33が閉状態となった場合に、それらの搬送装置4は、対応する原料の搬送が再開可能な状態となる。
【0079】
その後、ステップS8に示されるように、第1収容部31に収容された原料を攪拌装置5の第2収容部51側へ排出する。制御部は、各搬送装置4による搬送(搬送動作)が停止し、かつ攪拌装置5の第2収容部51内に許容量以上の原料が収容されていないことを検知すると、第1開閉部33を閉状態から開状態に切り替えて、第1収容部31内の原料を、第1開閉部33を介して、下方に配置された第2収容部51側へ落下させる。
【0080】
そして、ステップS9に示されるように、攪拌装置5において、第2収容部51内の複数種の原料同士が、所定時間の間、攪拌部52により攪拌されることで、互いに均一に混合される。
【0081】
攪拌装置5により原料同士が十分に混合された後、ステップS10に示されるように、第2収容部51内の原料混合物(複合肥料)が、搬出用スクリューコンベア54を利用して、排出ベルトコンベア6側へ排出される。このようにして、第2収容部51内の原料混合物(複合肥料)が、排出ベルトコンベア6上に供給される。
【0082】
その後、ステップS11に示されるように、排出ベルトコンベア6により原料混合物(複合肥料)が搬出される。
【0083】
以上のようにして、混合装置1を使用して、トマト栽培用の複合肥料を製造することができる。
【0084】
以上のように、本実施形態の混合装置1では、複数の原料同士が攪拌装置5に供給される前に、予め統合装置3の第1収容部31内で、既にある程度、所定の配合割合で、均一に混ざり合った状態となっている。そのため、本実施形態の混合装置1は、複数の原料同士の混合を、高効率、かつ高精度で行うことができる。このような混合装置1は、配合成分の種類や割合の異なる、数多くの種類の原料混合物(複合肥料)を、小ロットであっても、高効率、かつ高精度で行うことができる。
【0085】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0086】
(1)上記実施形態では、有機肥料と化成肥料とを混合装置により混合して複合肥料を製造する場合を例示したが、本発明はこれに限られず、他の実施形態においては、複数種の有機肥料同士のみを、所定の配合割合で混合して目的とする原料混合物を得てもよいし、複数種の化成肥料同士のみを、所定の配合割合で混合して目的とする原料混合物を得てもよい。
【0087】
(2)他の実施形態においては、複数種の飼料や添加物等を、所定の配合割合で混合して、家畜の飼料を製造するために、混合装置を用いてもよいし、肥料や飼料以外の原料混合物を製造するために混合装置を用いてもよい。
【0088】
(3)上記実施形態では、各搬送装置としては、ベルトコンベア、スクリューコンベア、バケットコンベアが使用されていたが、本発明の目的を損なわない限り、他の公知の搬送手段が使用されてもよい。
【0089】
(4)混合装置を連続稼働させるために、上流側第1搬送装置411や、上流側搬送装置421,431,441を適宜、稼働させて、下流側第1搬送装置412や下流側搬送装置452に、各原料が供給できる状態に、予め設定してもよい。この場合、上流側搬送装置421,431,441の各終端まで、各原料が到達するように、各スクリューコンベア421a,431a,441aを手動で操作してもよいし、所定時間の間、各スクリューコンベア421a,431a,441aを自動で稼働させてもよい。このように1バッチ目を、手動等で操作した場合であっても、2バッチ目からは、連続稼働させることができる。
【符号の説明】
【0090】
1…混合装置、2…貯留部、21…第1貯留部、22…第2貯留部、23…第3貯留部、24…第4貯留部、3…統合装置、31…第1収容部、32…計量部、33…第1開閉部、34…統合シューター、4…搬送装置、41…第1搬送装置、42…第2搬送装置、43…第3搬送装置、44…第4搬送装置、45…複合搬送装置、5…攪拌装置、51…第2収容部、52…攪拌部、54…搬出用スクリューコンベア、6…搬出ベルトコンベア