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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-16
(45)【発行日】2025-04-24
(54)【発明の名称】液体噴射装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/02 20060101AFI20250417BHJP
【FI】
F04B49/02 311
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023559302
(86)(22)【出願日】2021-11-11
(86)【国際出願番号】 JP2021041537
(87)【国際公開番号】W WO2023084687
(87)【国際公開日】2023-05-19
【審査請求日】2024-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000117009
【氏名又は名称】旭サナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中森 健太
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 正宜
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-164995(JP,A)
【文献】特開平08-215646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴射するノズルと、
前記ノズルに接続されていて前記液体を加圧して前記ノズルに供給するポンプと、
前記ノズルと前記ポンプとの間に設けられて開閉されることで前記液体の流通を制御するバルブと、
前記バルブの開閉を制御するバルブ制御部であって、少なくとも前記バルブを閉止する場合に信号を出力するバルブ制御部と、
前記ポンプの駆動を制御するポンプ制御部であって、前記信号に基づいて前記液体への加圧度合いを緩めるよう前記ポンプの駆動を制御するポンプ制御部と、
前記ポンプを駆動する電動モータと、
前記電動モータを回転駆動するインバータと、を備えており、
前記ポンプは、前記電動モータの回転状態に応じて前記液体を加圧するプランジャを少なくとも有しており、
前記ポンプ制御部は、前記インバータの駆動周波数を調整することで前記電動モータの回転状態を制御し、
前記バルブ制御部は、前記信号に基づいて前記ポンプ制御部により前記インバータの駆動周波数が調整され始めるタイミングよりも後に前記バルブを閉止し、
前記ノズル及び前記バルブは、複数ずつ備えられており、
前記バルブ制御部は、前記バルブを閉止するタイミングと、前記ポンプ制御部により前記インバータの駆動周波数が調整され始めるタイミングと、の間の時間差を、前記バルブの閉止に伴って前記液体の噴射が停止される前記ノズルの数が多くなるほど、大きくする液体噴射装置。
【請求項2】
前記バルブ制御部は、前記信号に基づいて前記インバータの駆動周波数が調整されるのに伴って低下する前記液体の圧力が0になる前のタイミングで前記バルブを閉止する請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項3】
液体を噴射するノズルと、
前記ノズルに接続されていて前記液体を加圧して前記ノズルに供給するポンプと、
前記ノズルと前記ポンプとの間に設けられて開閉されることで前記液体の流通を制御するバルブと、
前記バルブの開閉を制御するバルブ制御部であって、少なくとも前記バルブを閉止する場合に信号を出力するバルブ制御部と、
前記ポンプの駆動を制御するポンプ制御部であって、前記信号に基づいて前記液体への加圧度合いを緩めるよう前記ポンプの駆動を制御するポンプ制御部と、
前記ポンプを駆動する電動モータと、
前記電動モータを回転駆動するインバータと、を備えており、
前記ポンプは、前記電動モータの回転状態に応じて前記液体を加圧するプランジャを少なくとも有しており、
前記ポンプ制御部は、前記インバータの駆動周波数を調整することで前記電動モータの回転状態を制御し、
前記バルブ制御部は、前記信号に基づいて前記ポンプ制御部により前記インバータの駆動周波数が調整され始めるタイミングよりも後に前記バルブを閉止し、
前記バルブ制御部は、前記ポンプ制御部により前記駆動周波数が調整され始めてから、前記駆動周波数、前記電動モータの単位時間当たりの回転数、または経過時間が、閾値に達すると前記バルブを閉止しており、
前記バルブ、前記電動モータ及び前記インバータの少なくともいずれか1つの動作に係る動作条件に基づいて前記閾値を演算する演算部を備える液体噴射装置。
【請求項4】
前記バルブ制御部は、前記ポンプ制御部により前記駆動周波数が調整され始めてから、前記駆動周波数または前記回転数が前記閾値に達すると前記バルブを閉止する請求項3記載の液体噴射装置。
【請求項5】
前記ノズル及び前記バルブは、複数ずつ備えられており、
前記演算部は、前記バルブ制御部により閉止される前記バルブの数に基づいて前記閾値を演算し、前記バルブ制御部により閉止される前記バルブの数が多くなるほど、前記駆動周波数または前記回転数に係る前記閾値を小さくし、前記経過時間に係る前記閾値を大きくする請求項3または請求項4記載の液体噴射装置。
【請求項6】
前記演算部は、前記ポンプ制御部により前記駆動周波数が調整され終えた後での、前記ポンプから前記ノズルへと供給される前記液体の単位時間当たりの流量である第1流量を演算し、前記ポンプ制御部により前記駆動周波数が調整されるのに伴って変化する前記流量である第2流量が、前記第1流量と一致するタイミングでの前記駆動周波数、前記回転数または前記経過時間の値を、前記閾値として演算する請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の液体噴射装置。
【請求項7】
前記演算部は、前記第2流量が、前記第1流量と一致するタイミングでの前記経過時間の値を、前記閾値として演算し、演算された前記経過時間の前記閾値と、前記ポンプ制御部により前記駆動周波数が調整されるのに伴って変化する単位時間当たりの前記回転数である回転数変化率と、に基づいて、前記回転数の前記閾値を演算する請求項6記載の液体噴射装置。
【請求項8】
前記ポンプ制御部により前記駆動周波数が調整される始める前での前記回転数の初期値に応じて異なる複数の前記回転数変化率を、前記回転数の前記初期値に紐付ける形で、複数記憶するメモリ部を備えており、
前記演算部は、前記回転数の前記初期値に基づいて、前記メモリ部に記憶された複数の前記回転数変化率の中から特定の前記回転数変化率を抽出し、抽出した前記回転数変化率に基づいて、前記回転数の前記閾値を演算する請求項7記載の液体噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポンプ装置の種々の密閉空間内に生じ得る圧力上昇を補償するためのシステムとして下記特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載のポンプシステムは、チャンバの容量を調整してチャンバ内の圧力上昇を補償するようにポンプ装置のポンプ手段を動作させることによって、ポンプ装置のチャンバ内の圧力上昇を補償することを可能としている。より具体的には、一実施形態において、分配チャンバ内の流体に対する不要な圧力上昇を補償するために、ピストンを戻すように分配モータを逆回転して、分配チャンバ内のあらゆる圧力上昇を補償することを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-154337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1に記載されたポンプシステムは、半導体ウェハにフォトレジスト化学薬品をコーティングするのに用いられる場合に生じる課題(負の圧力スパイクに伴う化学薬品のガス化や気泡形成の促進や正の圧力スパイクに伴うポリマーの架橋の発生)を解決すべくなされたものである。その一方で、ポンプによって加圧した液体をノズルから噴射することで洗浄などを行う液体噴射装置において、ノズルへの液体の供給をバルブの開閉によって制御する場合には、バルブの閉止に伴って液体の圧力が急激に上昇し、液体の供給路などへの負荷が過大になる、という問題があった。上記した特許文献1に記載された技術ではそのような問題を解消するのが困難であった。
【0005】
本願明細書に記載の技術は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、液体の圧力上昇を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本願明細書に記載の技術に関わる液体噴射装置は、液体を噴射するノズルと、前記ノズルに接続されていて前記液体を加圧して前記ノズルに供給するポンプと、前記ノズルと前記ポンプとの間に設けられて開閉されることで前記液体の流通を制御するバルブと、前記バルブの開閉を制御するバルブ制御部であって、少なくとも前記バルブを閉止する場合に信号を出力するバルブ制御部と、前記ポンプの駆動を制御するポンプ制御部であって、前記信号に基づいて前記液体への加圧度合いを緩めるよう前記ポンプの駆動を制御するポンプ制御部と、を備える。
【0007】
(2)また、上記液体噴射装置は、上記(1)に加え、前記ポンプを駆動する電動モータと、前記電動モータを回転駆動するインバータと、を備えており、前記ポンプは、前記電動モータの回転状態に応じて前記液体を加圧するプランジャを少なくとも有しており、前記ポンプ制御部は、前記インバータの駆動周波数を調整することで前記電動モータの回転状態を制御してもよい。
【0008】
(3)また、上記液体噴射装置は、上記(2)に加え、前記バルブ制御部は、前記信号に基づいて前記ポンプ制御部により前記インバータの駆動周波数が調整され始めるタイミングよりも後に前記バルブを閉止してもよい。
【0009】
(4)また、上記液体噴射装置は、上記(3)に加え、前記バルブ制御部は、前記信号に基づいて前記ポンプ制御部により前記インバータの駆動周波数が調整され終えるタイミングよりも前に前記バルブを閉止してもよい。
【0010】
(5)また、上記液体噴射装置は、上記(4)に加え、前記バルブ制御部は、前記信号に基づいて前記ポンプ制御部により前記インバータの駆動周波数が調整され始めるタイミングから前記バルブを閉止するタイミングまでの時間が、前記バルブを閉止するタイミングから前記ポンプ制御部により前記インバータの駆動周波数が調整され終えるタイミングまでの時間よりも長くなるよう前記バルブを閉止してもよい。
【0011】
(6)また、上記液体噴射装置は、上記(3)から上記(5)のいずれかに加え、前記ノズル及び前記バルブは、複数ずつ備えられており、前記バルブ制御部は、前記バルブを閉止するタイミングと、前記ポンプ制御部により前記インバータの駆動周波数が調整され始めるタイミングと、の間の時間差を、前記バルブの閉止に伴って前記液体の噴射が停止される前記ノズルの数が多くなるほど、大きくしてもよい。
【0012】
(7)また、上記液体噴射装置は、上記(3)から上記(6)のいずれかに加え、前記バルブ制御部は、前記信号に基づいて前記インバータの駆動周波数が調整されるのに伴って低下する前記液体の圧力が0になる前のタイミングで前記バルブを閉止してもよい。
【0013】
(8)また、上記液体噴射装置は、上記(3)から上記(7)のいずれかに加え、前記バルブ制御部は、前記ポンプ制御部により前記駆動周波数が調整され始めてから、前記駆動周波数、前記電動モータの単位時間当たりの回転数、または経過時間が、閾値に達すると前記バルブを閉止しており、前記バルブ、前記電動モータ及び前記インバータの少なくともいずれか1つの動作に係る動作条件に基づいて前記閾値を演算する演算部を備える。
【0014】
(9)また、上記液体噴射装置は、上記(8)に加え、前記バルブ制御部は、前記ポンプ制御部により前記駆動周波数が調整され始めてから、前記駆動周波数または前記回転数が前記閾値に達すると前記バルブを閉止する。
【0015】
(10)また、上記液体噴射装置は、上記(8)または上記(9)に加え、前記ノズル及び前記バルブは、複数ずつ備えられており、前記演算部は、前記バルブ制御部により閉止される前記バルブの数に基づいて前記閾値を演算し、前記バルブ制御部により閉止される前記バルブの数が多くなるほど、前記駆動周波数または前記回転数に係る前記閾値を小さくし、前記経過時間に係る前記閾値を大きくする。
【0016】
(11)また、上記液体噴射装置は、上記(8)から上記(10)のいずれかに加え、前記演算部は、前記ポンプ制御部により前記駆動周波数が調整され終えた後での、前記ポンプから前記ノズルへと供給される前記液体の単位時間当たりの流量である第1流量を演算し、前記ポンプ制御部により前記駆動周波数が調整されるのに伴って変化する前記流量である第2流量が、前記第1流量と一致するタイミングでの前記駆動周波数、前記回転数または前記経過時間の値を、前記閾値として演算する。
【0017】
(12)また、上記液体噴射装置は、上記(11)に加え、前記演算部は、前記第2流量が、前記第1流量と一致するタイミングでの前記経過時間の値を、前記閾値として演算し、演算された前記経過時間の前記閾値と、前記ポンプ制御部により前記駆動周波数が調整されるのに伴って変化する単位時間当たりの前記回転数である回転数変化率と、に基づいて、前記回転数の前記閾値を演算する。
【0018】
(13)また、上記液体噴射装置は、上記(12)に加え、前記ポンプ制御部により前記駆動周波数が調整される始める前での前記回転数の初期値に応じて異なる複数の前記回転数変化率を、前記回転数の前記初期値に紐付ける形で、複数記憶するメモリ部を備えており、前記演算部は、前記回転数の前記初期値に基づいて、前記メモリ部に記憶された複数の前記回転数変化率の中から特定の前記回転数変化率を抽出し、抽出した前記回転数変化率に基づいて、前記回転数の前記閾値を演算する。
【発明の効果】
【0019】
本願明細書に記載の技術によれば、液体の圧力上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態1に係る洗浄装置における洗浄液の供給経路に関する構成を示す図
図2】洗浄装置に備わるポンプ及びバルブの電気的構成を示すブロック図
図3】インバータの駆動周波数及び個別洗浄液供給路における洗浄液の流量に関する経時変化を表すグラフ
図4】個別洗浄液供給路における洗浄液の圧力に関する経時変化を表すグラフ
図5】実施形態2に係る洗浄装置に備わるポンプ及びバルブの電気的構成を示すブロック図
図6】洗浄液の圧力に関する経時変化を表し、バルブを閉止するタイミングを5通りとしたシミュレーション結果を示すグラフ
図7図6のシミュレーションにおいて経過時間を1.8secとした場合での、洗浄液の圧力、洗浄液の流量、電動モータの回転数、及びインバータの駆動周波数、に関する経時変化を表すグラフ
図8】電動モータの回転数に関する経時変化を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0021】
<実施形態1>
実施形態1を図1から図4によって説明する。本実施形態では、液体として洗浄液を噴射して洗浄対象物の洗浄を行う洗浄装置(液体噴射装置)10を例示する。
【0022】
図1は、洗浄装置10における洗浄液の供給経路に関する構成を示す図である。本実施形態に係る洗浄装置10は、図1に示すように、半導体ウェハを研磨する研磨装置PDに組み合わせて用いられるものであり、洗浄対象物が半導体ウェハを研磨する研磨パッドPAとされる。本実施形態に係る洗浄装置10が組み合わせられる研磨装置PDに備わる研磨パッドPAは、研磨対象の半導体ウェハを上下から挟み込む形で一対が配されるとともに、それぞれが半導体ウェハ側とは反対側に配される定盤(プラテン)によって高速回転可能な形で支持されている。従って、この研磨装置PDを用いることで、半導体ウェハの表裏両面を同時に研磨することができる。上記のように一対で1組の研磨パッドPAとこれらを支持する一対の定盤などが、研磨装置PDにおいて半導体ウェハを研磨する研磨部POを構成している。この研磨装置PDは、2つの半導体ウェハを一括して研磨処理できるよう、2つの研磨部POを備える。
【0023】
このような構成の研磨装置PDに組み合わせられる洗浄装置10は、図1に示すように、研磨パッドPAを高圧洗浄するための洗浄液を噴射するノズル11Aを複数有するノズルヘッド11と、洗浄液の供給源から供給される洗浄液を加圧してノズル11Aに供給するポンプ12と、洗浄液の供給源からポンプ12などを経由してノズルヘッド11に至るまで配管される洗浄液供給路13と、洗浄液供給路13の途中に配されるフィルタ14と、洗浄液供給路13の途中に配される圧力センサ15と、洗浄液供給路13の途中に配される分岐部16と、洗浄液供給路13の途中に配されるバルブ17と、を少なくとも備える。このうちのノズルヘッド11は、研磨装置PDに備わる2つの研磨部POに対して一対ずつ、合計4つが設置されている。詳しくは、ノズルヘッド11は、各研磨部POに備わる4つの研磨パッドPAに個別に対応するよう4つが備えられており、それぞれが各研磨パッドPAに対して定盤側とは反対側に対向するよう配されている。各ノズルヘッド11は、洗浄液を噴射するノズル11Aを複数(例えば6つ)ずつ有している。ノズル11Aは、ノズルヘッド11において複数が一列にほぼ等間隔となるよう並んで配されている。ノズルヘッド11は、搬送アームによって研磨パッドPAに対してその板面に沿って搬送されつつ各ノズル11Aから洗浄液を研磨パッドPAに向けて噴射するものとされる。なお、洗浄液としては、例えば超純水や純水などを用いることができる。
【0024】
ポンプ12は、図1に示すように、インバータ・モータ駆動方式であり、後述するインバータ19により駆動される電動モータ18の回転状態に応じて洗浄液を加圧するプランジャ12Aなどを含む。つまり、本実施形態に係るポンプ12は、容積式ポンプの一種である電動プランジャポンプである。具体的には、このポンプ12は、3つのプランジャ12Aを有する3連プランジャタイプであり、各プランジャ12Aが、電動モータ18からカップリング及びクランクなどを介して伝達される動力に基づいて往復運動することで、内部に洗浄液が存在する加圧部に容積変化を生じさせて洗浄液を加圧することができる。このようなインバータ・モータ駆動方式のポンプ12によれば、加圧される洗浄液の流量を、例えば8.5L/min~17L/minの範囲程度とすることができ、洗浄液の流量が約6L/min以下とされるエア駆動方式のポンプに比べると、洗浄液の大流量化を図る上で好適となっている。また、インバータ・モータ駆動方式のポンプ12によれば、加圧される洗浄液の圧力を、例えば4MPa~15MPaの範囲程度とすることができる。
【0025】
洗浄液供給路13は、加圧された洗浄液の流通に十分に耐え得る高圧ホースなどからなる。洗浄液供給路13は、図1に示すように、洗浄液の供給源からノズルヘッド11に至るまでの間に継手などで構成される分岐部16によって分岐されており、洗浄液の供給源から分岐部16に至るまで配管される共通洗浄液供給路13Aと、分岐部16から各ノズルヘッド11に至るまで配管される複数の個別洗浄液供給路13Bと、を含む。共通洗浄液供給路13Aは、全てのノズルヘッド11に供給される洗浄液が共通して流通されるものである。共通洗浄液供給路13Aの途中には、上記したポンプ12が設けられ、それ以外にもフィルタ14や圧力センサ15などが設けられている。フィルタ14は、洗浄液に含まれるコンタミネーションを濾過してノズル11Aの目詰まりを防止する役割を果たす。圧力センサ15は、フィルタ14の入口と出口の差圧を計測することができ、フィルタ14における圧力損失を出力することができる。なお、フィルタ14や圧力センサ15は、次述する個別洗浄液供給路13Bの途中に設けられていても構わない。個別洗浄液供給路13Bは、ノズルヘッド11の設置数と同数(4つ)が備えられており、各ノズルヘッド11に供給される洗浄液が個別に流通されるものである。各個別洗浄液供給路13Bの途中には、バルブ17がそれぞれ設けられている。バルブ17は、ノズルヘッド11及び個別洗浄液供給路13Bの各設置数と同数(4つ)が設けられており、個別洗浄液供給路13Bを開閉して洗浄液の流通を制御することができる。バルブ17は、例えば電磁弁により構成されており、後述するバルブ制御部21によって開閉状態が電気的に制御されるようになっている。本実施形態では、バルブ17として、常時閉止状態に保たれるスプリングリターン形のものを例示する。供給源から供給される洗浄液は、共通洗浄液供給路13Aを流通する途中でポンプ12によって加圧されるとともにフィルタ14によりフィルタリングされてから分岐部16を介して各個別洗浄液供給路13Bに分配される。そして、洗浄液は、各バルブ17に開放状態のものが含まれていればその開放状態のバルブ17が設けられた個別洗浄液供給路13Bでの流通が許容されてノズルヘッド11に到達し、そのノズルヘッド11に備わるノズル11Aから噴射されるようになっている。なお、閉止状態とされるバルブ17が含まれる場合は、閉止状態のバルブ17が設けられた個別洗浄液供給路13Bでは洗浄液が流通せず、洗浄液が流通しない個別洗浄液供給路13Bに設けられたノズルヘッド11の各ノズル11Aからは洗浄液が噴射することがない。
【0026】
ポンプ12及びバルブ17に関する電気的な構成について図2を参照しつつ説明する。図2は、洗浄装置10に備わるポンプ12及びバルブ17の電気的構成を示すブロック図である。洗浄装置10は、図2に示すように、インバータ・モータ駆動方式とされるポンプ12を駆動する電動モータ18と、電動モータ18を回転駆動するインバータ19と、インバータ19の駆動周波数を調整するポンプ制御部20と、バルブ17の開閉を制御するバルブ制御部21と、を少なくとも備える。電動モータ18は、インバータ19により供給される交流電流に基づいて回転駆動されるものであり、その回転力が、カップリング及びクランクなどを介してプランジャ12Aの往復運動の動力として用いられるようになっている。インバータ19は、交流電源から供給される交流電流を、所定の周波数の交流電流に変換して電動モータ18に供給することで、電動モータ18を所定の回転速度で回転駆動するものである。インバータ19は、電動モータ18に供給する交流電流の周波数を任意に変更することができ、それにより電動モータ18の回転速度を調整することができる。なお、インバータ19は、電動モータ18に供給する交流電流の周波数に加えて電圧についても任意に変更することが可能である。ポンプ制御部20は、インバータ19に信号を出力することで、インバータ19の駆動周波数を調整し、それにより電動モータ18の回転状態(回転速度)を制御することができる。ポンプ制御部20は、圧力センサ15や次述するバルブ制御部21などから出力される信号に基づいてインバータ19の駆動を制御するための信号を出力するものとされる。
【0027】
バルブ制御部21は、図2に示すように、研磨装置PDから出力されるスプレイ信号(信号)に基づいて複数のバルブ17の開閉を制御するものである。詳しくは、洗浄装置10による高圧洗浄を開始・停止するタイミングは、研磨装置PDの運転状態に適合している必要があり、そのため研磨装置PDは、洗浄装置10に対して高圧洗浄を開始・停止させるためのスプレイ信号を出力している。バルブ制御部21は、研磨装置PDからスプレイ信号が出力されると、4つのバルブ17を適宜に開閉し、それにより4つのノズルヘッド11の中から特定のノズルヘッド11のノズル11Aから選択的に洗浄液を噴射させて残りのノズルヘッド11のノズル11Aにおいては洗浄液の噴射を停止させたり、全てのノズルヘッド11のノズル11Aから洗浄液を噴射させたり、全てのノズルヘッド11のノズル11Aにおいて洗浄液の噴射を停止させたりすることができる。本実施形態では、バルブ17が常時閉止されるタイプのものであることから、バルブ制御部21は、閉止された状態のバルブ17を開放する際に開信号の出力し、開放された状態のバルブ17を閉止する際には開信号の出力を停止することで、バルブ17の開閉を制御する。なお、以下では4つのバルブ17を区別する場合には、一方の研磨部POに対応して設置される一対のノズルヘッド11に配管される個別洗浄液供給路13Bに設けられるものを第1バルブ17α及び第2バルブ17βとし、他方の研磨部POに対応して設置される一対のノズルヘッド11に配管される個別洗浄液供給路13Bに設けられるものを第3バルブ17γ及び第4バルブ17σとする。
【0028】
ここで、仮にポンプがエア駆動方式であれば、内部に圧縮エアが存在するエアシリンダと、内部に洗浄液が存在するマテリアルシリンダと、一端側がエアシリンダに他端側がマテリアルシリンダにそれぞれ接続されていて進退されるピストンロッドと、を有する構成であることから、洗浄液に付与される圧力は、圧縮エアのエア圧に、ピストンロッドにおけるエアシリンダ側のピストン径と、マテリアルシリンダ側のピストン径と、の比率を乗じて算出される静止圧となる。従って、バルブ制御部によって開放していたバルブを閉止した場合でも、洗浄液の圧力が上記した静止圧以上に上昇する事態が回避されるようになっている。これに対し、本実施形態のようなインバータ・モータ駆動方式のポンプ12においては、電動モータ18の回転に伴って往復運動するプランジャ12Aによって洗浄液が加圧される構成であるため、プランジャ12Aの動作中にバルブ制御部21によって開放していたバルブ17が閉止されると、洗浄液の圧力が急激に上昇してしまい洗浄液供給路13の耐圧を超えるおそれがある。
【0029】
その点、本実施形態に係る洗浄装置10に備わるバルブ制御部21は、図2に示すように、少なくともバルブ17を閉止するのに伴って信号を出力するのに対して、ポンプ制御部20は、バルブ制御部21から出力される信号に基づいて洗浄液への加圧度合いを緩めるようポンプ12の駆動を制御するようにしている。詳しくは、バルブ制御部21は、バルブ17の開閉に伴って信号を出力することが可能であり、特にバルブ17を閉止する場合(開放されるバルブ17の数が減少して閉止されるバルブ17の数が増加する場合)には、ポンプ制御部20に対して信号として周波数切替信号(周波数減少信号)を出力するものとされる。そして、ポンプ制御部20は、バルブ制御部21から出力される信号に基づいてインバータ19の駆動周波数を調整することで電動モータ18の回転状態を制御しており、特にバルブ制御部21から周波数切替信号が出力された場合には、その周波数切替信号に基づいてインバータ19の駆動周波数を減少させ、それに伴って電動モータ18の回転速度が低下されるとともにプランジャ12Aを介して洗浄液に付与される圧力が低下されるようになっている。このようにすれば、プランジャ12Aの動作中にバルブ17を閉止した場合であっても、バルブ17の閉止に伴って生じ得る洗浄液の圧力の急上昇を抑制することができ、洗浄液供給路13の耐圧を超えるような事態が生じ難くなる。
【0030】
続いて、ポンプ制御部20及びバルブ制御部21によるポンプ12及びバルブ17に係る制御の詳しいタイミングについて図3及び図4を参照しつつ説明する。具体的には、研磨装置PDに備わる2つの研磨部POにおいて4つの研磨パッドPAを洗浄している状態から、いずれか片方の研磨部POにおいては2つの研磨パッドPAの洗浄を継続して行うものの、もう片方の研磨部POにおいては2つの研磨パッドPAの洗浄を終了する場合を想定して、ポンプ制御部20及びバルブ制御部21によってポンプ12及びバルブ17を制御する場合を説明する。図3は、インバータ19の駆動周波数及び個別洗浄液供給路13Bにおける洗浄液の流量(1つのノズル11A当たりの洗浄液の流量)に関する経時変化を表すグラフである。図3に示される実線のグラフが、個別洗浄液供給路13Bにおける洗浄液の流量に関する経時変化を表すのに対し、図3に示される一点鎖線のグラフが、インバータ19の駆動周波数に関する経時変化を表す。図4は、個別洗浄液供給路13Bにおける洗浄液の圧力(ノズル11Aから噴射される洗浄液の噴射圧力)に関する経時変化を表すグラフである。図3及び図4における横軸は、いずれも研磨装置PDからスプレイ信号が出力されてからの経過時間(単位は「sec」)を示しており、1目盛が1secに相当する。図3における左側の縦軸は、インバータ19の駆動周波数(単位は「Hz」)を、図3における右側の縦軸は、洗浄液の流量(単位は「L/min」)を、それぞれ示す。図4の縦軸は、洗浄液の圧力(単位は「MPa」)を示す。
【0031】
まず、図3及び図4の各横軸における時点T(駆動周波数の切り替え開始時点)において、研磨装置PDからスプレイ信号が出力される。このスプレイ信号は、バルブ制御部21に、開放状態とされる4つのバルブ17のうち、2つのバルブ17(例えば、第1バルブ17α及び第2バルブ17βと、第3バルブ17γ及び第4バルブ17σと、のうちの一方)については開放状態に保つものの、残りの2つのバルブ17(例えば、第1バルブ17α及び第2バルブ17βと、第3バルブ17γ及び第4バルブ17σと、のうちの他方)については閉止させるためのものである。すると、バルブ制御部21は、バルブ17の閉止を実行する前に、上記したスプレイ信号に基づいてポンプ制御部20に向けて周波数切替信号(周波数調整信号)を出力する。ポンプ制御部20は、バルブ制御部21から出力された周波数切替信号に基づいてインバータ19の駆動周波数の切り替え(調整)を開始する。具体的には、ポンプ制御部20は、切り替え前の状態(4つのバルブ17が開放された状態)では約72Hzとされるインバータ19の駆動周波数を、周波数切替信号に基づいて約36Hz、つまり切り替え前の約半分となるよう切り替える。切り替え前後におけるインバータ19の駆動周波数の比率は、切り替え前後における開放状態のバルブ17の数の比率と一致している。インバータ19の駆動周波数の切り替えを瞬時に行うことは困難であり、切り替えには所定の時間を要する。具体的には、時点Tにおいてポンプ制御部20によりインバータ19の駆動周波数の切り替えが開始されると、駆動周波数は、図3に示すように、時間の経過に伴って連続的に漸次減少するよう変化し、所定の時間(例えば、約3sec)が経過した時点T(駆動周波数の切り替え終了時点)に至ると、目的の値(約36Hz)となる。このように、インバータ19の駆動周波数が減少するのに伴い、電動モータ18の回転速度が低下されるとともにプランジャ12Aを介して洗浄液に付与される圧力が低下されることになる。
【0032】
そして、バルブ制御部21は、図3及び図4に示すように、上記した時点Tと時点Tとの間の時点T(バルブ閉止時点)において、4つのバルブ17のうちの2つのバルブ17を閉止している。つまり、バルブ制御部21は、周波数切替信号に基づいてポンプ制御部20によりインバータ19の駆動周波数が調整され始めるタイミングである時点Tよりも後のタイミングで且つ周波数切替信号に基づいてポンプ制御部20によりインバータ19の駆動周波数が調整され終えるタイミングである時点Tよりも前のタイミングでバルブ17を閉止する。ここで、仮に時点Tにおいてバルブ制御部によりバルブ17を閉止した場合には、未だインバータ19の駆動周波数が殆ど減少していないため、同駆動周波数が十分に減少するまでの間の短い時間ではあるものの、バルブ17の閉止に伴って洗浄液の圧力が急激に上昇するおそれがある。その点、上記したように時点Tよりも後にバルブ制御部21によりバルブ17が閉止されるので、インバータ19の駆動周波数の切り替えにある程度の時間がかかっても、バルブ17が閉止される時点Tでは、インバータ19の駆動周波数が十分に減少されている。従って、バルブ17の閉止に伴う洗浄液の圧力の急激な上昇(オーバーシュート)が生じ難くなっている。具体的には、洗浄液の圧力は、図4に示すように、バルブ17が閉止されるのに伴って上昇しても最大でも15MPa程度に抑制されており、許容し得る洗浄液の圧力に係る上限値である20MPaに到達することがない。また、仮に時点Tでバルブ制御部によりバルブ17を閉止した場合には、インバータ19の駆動周波数が減少されるに伴う洗浄液の圧力低下が過度になってしまって開放状態のバルブ17に接続されたノズル11Aからの洗浄液の噴射圧力が著しく低下するおそれがあり、またバルブ17を閉止するのに伴って各ノズル11Aからの洗浄液の噴射状態を切り替えるのに要する時間がかかり過ぎてしまうきらいがある。それに比べて、上記したように時点Tよりも前にバルブ制御部21によりバルブ17が閉止されるので、インバータ19の駆動周波数を減少させるに伴う洗浄液の圧力低下が過度になるのが抑制されて開放状態のバルブ17に接続されたノズル11Aからの洗浄液の噴射圧力を十分に保つことができ、またバルブ17を閉止するのに伴って各ノズル11Aからの洗浄液の噴射状態を切り替えるのに要する時間が短縮化される。特に、バルブ制御部21によりバルブ17が閉止されるタイミングは、図4に示すように、インバータ19の駆動周波数が減少するのに伴って低下する洗浄液の圧力が0になる前(具体的には、6MPaよりも大きい値)とされているので、洗浄液の圧力が0になった場合に行われる洗浄装置10の緊急停止を回避することができ、その上でバルブ17の閉止に伴う洗浄液の圧力の急激な上昇を生じ難くすることができる。
【0033】
また、バルブ制御部21は、図3及び図4に示すように、周波数切替信号に基づいてポンプ制御部20によりインバータ19の駆動周波数の切り替えが開始されるタイミングである時点Tからバルブ17を閉止するタイミングである時点Tまでの時間が、バルブ17を閉止するタイミングである時点Tからポンプ制御部20によりインバータ19の駆動周波数の切り替えが終了し、洗浄液の圧力が変動し終えるタイミングである時点Tまでの時間よりも長くなるよう、バルブ17を閉止している。具体的には、上記した時点Tから時点Tに至るまでの時間が約2secとされるのに対し、時点Tから時点Tに至るまでの時間が約1secとされている。従って、時点Tから時点Tに至るまでの時間(約2sec)が、時点Tから時点Tに至る(インバータ19の駆動周波数の切り替えを開始してから終了し、洗浄液の圧力が変動し終える)までの時間(約3sec)に占める割合(約66.7%)が十分に大きくなっており、それによりバルブ17の閉止に伴う洗浄液の圧力の急激な上昇がより生じ難くなる。上記した割合が大きくなるほど、バルブ17の閉止に伴う洗浄液の圧力の急激な上昇がより好適に抑制される傾向にある。以上により、バルブ17の閉止に伴って上昇する洗浄液の圧力に係る最大瞬間圧力(ピーク圧力)が約15MPa程度に抑制される。これにより、バルブ17の閉止に伴って上昇する洗浄液の圧力に係る最大瞬間圧力が、製品に応じて異なる各仕様に依る規定の圧力値以内に調整されるようになっている。一方で、時点Tから時点Tに至るまでの時間(約1sec)が、時点Tから時点Tに至るまでの時間(約3sec)に占める割合(約33.3%)が十分に小さくなっており、それによりバルブ17の閉止に伴って各ノズル11Aからの洗浄液の噴射状態を切り替えるのに要する時間がより短縮化される。以上のように、バルブ17の閉止に伴って上昇する洗浄液の圧力に係る最大瞬間圧力を、製品に応じて異なる各仕様に依る規定の圧力値以内にするには、時点Tから時点Tに至るまでの時間や時点Tから時点Tに至るまでの時間を適切に制御するのが有効である。
【0034】
これまでの説明では、バルブ制御部21が、切り替え前に開放状態とされる4つのバルブ17の中から2つのバルブ17を閉止する場合について例示したが、切り替え前に開放状態とされるバルブ17の数と、閉止されるバルブ17の数と、については適宜に変更することが可能である。例えば、切り替え前に開放状態とされるバルブ17の数が4つとされていて、バルブ制御部21によって全てのバルブ17を閉止するようにしてもよい。このように4つのバルブ17を閉止する場合は、バルブ制御部21は、バルブ17を閉止するタイミングと、ポンプ制御部20によりインバータ19の駆動周波数の切り替えが開始されるタイミングと、の間の時間差が、2つのバルブ17を閉止する場合における時間差(約2sec)よりも大きくなるようにするのが下記の観点から好ましい。すなわち、閉止されるバルブ17の数が多くなって洗浄液の噴射が停止されるノズル11Aの数が多くなると、バルブ17の閉止に起因する洗浄液の圧力がより急激に上昇し易くなる傾向にある。これに対し、閉止されるバルブ17の数が多くなるほど、バルブ17を閉止するタイミングと、ポンプ制御部20によりインバータ19の駆動周波数の切り替えが開始されるタイミングと、の間の時間差を大きくすれば、インバータ19の駆動周波数の切り替えに十分な時間をかけることができてバルブ17の閉止に起因する圧力の急激な上昇をより好適に抑制することができるのである。なお、バルブ制御部21によって閉止されるバルブ17の数が3つの場合には、上記した時間差を、閉止されるバルブ17の数が4つの場合よりも小さくし且つ閉止されるバルブ17の数が2つの場合よりも大きくすればよい。また、バルブ制御部21によって閉止されるバルブ17の数が1つの場合には、上記した時間差を、閉止されるバルブ17の数が2つの場合よりも小さくすればよい。
【0035】
以上説明したように本実施形態の洗浄装置(液体噴射装置)10は、洗浄液(液体)を噴射するノズル11Aと、ノズル11Aに接続されていて洗浄液を加圧してノズル11Aに供給するポンプ12と、ノズル11Aとポンプ12との間に設けられて開閉されることで洗浄液の流通を制御するバルブ17と、バルブ17の開閉を制御するバルブ制御部21であって、少なくともバルブ17を閉止する場合に周波数切替信号(信号)を出力制御するバルブ制御部21と、ポンプ12の駆動を制御するポンプ制御部20であって、周波数切替信号に基づいて洗浄液への加圧度合いを緩めるようポンプ12の駆動を制御するポンプ制御部20と、を備える。
【0036】
このようにすれば、ポンプ制御部20によって駆動が制御されるポンプ12により加圧された洗浄液がノズル11Aから噴射される。ノズル11Aとポンプ12との間に設けられるバルブ17は、バルブ制御部21によって開閉が制御され、それに伴って洗浄液の流通が制御される。そして、バルブ制御部21は、少なくともバルブ17を閉止するのに伴って周波数切替信号を出力するのに対し、ポンプ制御部20は、バルブ制御部21からバルブ17を閉止するのに伴って出力される周波数切替信号に基づいて洗浄液への加圧度合いを緩めるようポンプ12を駆動する。これにより、バルブ17の閉止に伴って生じ得る洗浄液の圧力の急上昇を抑制することができる。
【0037】
また、ポンプ12を駆動する電動モータ18と、電動モータ18を回転駆動するインバータ19と、を備えており、ポンプ12は、電動モータ18の回転状態に応じて洗浄液を加圧するプランジャ12Aを少なくとも有しており、ポンプ制御部20は、インバータ19の駆動周波数を調整することで電動モータ18の回転状態を制御する。このようにすれば、ポンプ制御部20によってインバータ19の駆動周波数を調整することで、電動モータ18の回転状態が制御され、電動モータ18の回転状態に応じてプランジャ12Aによる洗浄液の加圧度合いが制御される。このようなインバータ・モータ駆動方式のポンプ12は、例えばエア駆動方式のポンプ12を用いる場合に比べると、ノズル11Aに供給する洗浄液の大流量化を図る上で好適となる。その反面、インバータ・モータ駆動方式のポンプ12においては、バルブ17を閉止したときに洗浄液の圧力が急激に上昇しがちとなるものの、ポンプ制御部20は、バルブ制御部21からバルブ17を閉止するのに伴って出力される周波数切替信号に基づいてインバータ19の駆動周波数を減少させることで電動モータ18の回転速度を低下させる。これにより、ポンプ12のプランジャ12Aによる洗浄液への加圧度合いを緩められるので、洗浄液の圧力の急激な上昇を抑制することができる。
【0038】
また、バルブ制御部21は、周波数切替信号に基づいてポンプ制御部20によりインバータ19の駆動周波数が調整され始めるタイミングよりも後にバルブ17を閉止する。上記のようなインバータ・モータ駆動方式のポンプ12においては、ポンプ制御部20によるインバータ19の駆動周波数の調整にある程度の時間がかかるため、仮にポンプ制御部20によりインバータ19の駆動周波数が調整され始めるタイミングでバルブ制御部によりバルブ17を閉止した場合には、短時間ではあるものの洗浄液の圧力が急激に上昇するおそれがある。その点、上記のように周波数切替信号に基づいてポンプ制御部20によりインバータ19の駆動周波数が調整され始めるタイミングよりも後にバルブ制御部21によりバルブ17を閉止することで、インバータ19の駆動周波数の調整にある程度の時間がかかっても、バルブ17の閉止に伴う洗浄液の圧力の急激な上昇が生じ難くなる。
【0039】
また、バルブ制御部21は、周波数切替信号に基づいてポンプ制御部20によりインバータ19の駆動周波数が調整され終えるタイミングよりも前にバルブ17を閉止する。このようにすれば、仮にポンプ制御部20によりインバータ19の駆動周波数が調整され終えるタイミングでバルブ制御部によりバルブ17を閉止した場合に比べると、インバータ19の駆動周波数を減少させるに伴う洗浄液の圧力低下が過度になるのが抑制されるとともに、バルブ17の閉止に伴うノズル11Aからの洗浄液の噴射状態の切り替えに要する時間が短縮化される。
【0040】
また、バルブ制御部21は、周波数切替信号に基づいてポンプ制御部20によりインバータ19の駆動周波数が調整され始めるタイミングからバルブ17を閉止するタイミングまでの時間が、バルブ17を閉止するタイミングからポンプ制御部20によりインバータ19の駆動周波数が調整され終えるタイミングまでの時間よりも長くなるようバルブ17を閉止する。このようにすれば、周波数切替信号に基づいてポンプ制御部20によりインバータ19の駆動周波数が調整され始めてからバルブ17が閉止されるまでの時間が、インバータ19の駆動周波数の調整に要する時間に占める割合が十分に大きいので、バルブ17の閉止に伴う洗浄液の圧力の急激な上昇がより生じ難くなる。これにより、バルブ17の閉止に伴って上昇する洗浄液の圧力に係る最大瞬間圧力が、製品に応じて異なる各仕様に依る規定の圧力値以内に調整されるようになっている。また、バルブ17が閉止されてからポンプ制御部20によりインバータ19の駆動周波数が調整され終えて洗浄液の圧力が変動し終えるまでの時間が、インバータ19の駆動周波数の調整に要する時間に占める割合が十分に小さいので、バルブ17の閉止に伴うノズル11Aからの洗浄液の噴射状態の切り替えに要する時間がより短縮化される。
【0041】
また、ノズル11A及びバルブ17は、複数ずつ備えられており、バルブ制御部21は、バルブ17を閉止するタイミングと、ポンプ制御部20によりインバータ19の駆動周波数が調整され始めるタイミングと、の間の時間差を、バルブ17の閉止に伴って洗浄液の噴射が停止されるノズル11Aの数が多くなるほど、大きくする。バルブ17の閉止に伴って洗浄液の噴射が停止されるノズル11Aの数が多い場合と、バルブ17の閉止に伴って洗浄液の噴射が停止されるノズル11Aの数が少ない場合と、を比べると、前者の方が後者よりもバルブ17の閉止に起因する洗浄液の圧力がより急激に上昇し易くなる傾向にある。その点、バルブ制御部21は、バルブ17を閉止するタイミングと、ポンプ制御部20によりインバータ19の駆動周波数が調整され始めるタイミングと、の間の時間差を、バルブ17の閉止に伴って洗浄液の噴射が停止されるノズル11Aの数に応じて変化させていて、洗浄液の噴射が停止されるノズル11Aの数が多くなるほど上記した時間差を大きくしているので、インバータ19の駆動周波数の調整に十分な時間をかけることができてバルブ17の閉止に起因する圧力の急激な上昇をより好適に抑制することができる。
【0042】
また、バルブ制御部21は、周波数切替信号に基づいてインバータ19の駆動周波数が調整されるのに伴って低下する洗浄液の圧力が0になる前のタイミングでバルブ17を閉止する。洗浄液の圧力が0になると当該洗浄装置10が緊急停止するおそれがある。その点、上記したようにバルブ制御部21は、周波数切替信号に基づいてインバータ19の駆動周波数が調整されるのに伴って低下する洗浄液の圧力が0になる前のタイミングでバルブ17を閉止するようにしているから、当該洗浄装置10の緊急停止を回避しつつ、バルブ17の閉止に伴う洗浄液の圧力の急激な上昇を生じ難くすることができる。
【0043】
<実施形態2>
実施形態2を図5から図8によって説明する。この実施形態2では、バルブ制御部121によるバルブ117に係る制御などを変更した場合を示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0044】
本実施形態に係る洗浄装置110は、図5に示すように、バルブ制御部121により参照されるデータが記憶されたメモリ部22を備える。メモリ部22に記憶されたデータに関しては、後に詳しく説明する。バルブ制御部121には、インバータ119の駆動周波数がフィードバックされるとともに、電動モータ118の回転数がフィードバックされるようになっている。電動モータ118の回転数は、回転計によって計測してもよいが、バルブ制御部121により自動計算してもよい。さらには、バルブ制御部121には、ポンプ112からノズル11Aに至る経路である洗浄液供給路13(図1を参照)に存在する洗浄液の圧力(水圧)が、圧力センサ115によりフィードバックされるようになっている。
【0045】
バルブ制御部121は、メモリ部22のデータ、インバータ119の駆動周波数、電動モータ118の回転数、及び洗浄液の圧力を適宜に利用してバルブ117に係る制御を行う。つまり、バルブ制御部121は、開放していたバルブ117を閉止する場合、メモリ部22のデータ、インバータ119の駆動周波数、電動モータ118の回転数、及び洗浄液の圧力のうちの少なくとも1つに基づいて、バルブ117を閉止するタイミングを決定している。具体的には、バルブ制御部121は、ポンプ制御部120によりインバータ119の駆動周波数が調整され始めてから、駆動周波数、電動モータ118の単位時間当たりの回転数、または経過時間が、閾値に達するとバルブ117を閉止する。バルブ制御部121は、ポンプ制御部120により駆動周波数が調整され始めてから、経過時間が閾値に達するとバルブ117を閉止してもよいが、駆動周波数または回転数が閾値に達するとバルブ117を閉止してもよい。そして、洗浄装置110は、バルブ117、電動モータ118及びインバータ119の少なくともいずれか1つの動作に係る動作条件に基づいて、閾値を演算する演算部23を備える。演算部23は、バルブ制御部121により閉止されるバルブ117の数に基づいて閾値を演算し、バルブ制御部121により閉止されるバルブ117の数が多くなるほど、駆動周波数または回転数に係る閾値を小さくし、経過時間に係る閾値を大きくしてもよい。
【0046】
上記した演算部23に閾値の演算をどのように行わせるか、を検討するため、バルブ117を閉止するタイミングに関するシミュレーションを行った。当該シミュレーションについて図6を参照して説明する。図6は、洗浄液の圧力に関する経時変化を表すグラフであり、バルブ117を閉止するタイミングを5通りとしたシミュレーション結果を示す。当該シミュレーションでは、駆動周波数の切り替えが開始される時点Tから、バルブ117を閉止するまでの経過時間をそれぞれ、1.6sec、1.8sec、2sec、2.6sec、3secの5通りとした。図6の横軸は、時間(単位は「sec」)を示し、1目盛が1secに相当する。図6の横軸には、駆動周波数の切り替えが開始される時点Tと、駆動周波数の切り替えが終了した時点Tと、が示されている。図6の縦軸は、洗浄液の圧力(単位は「MPa」)を示し、1目盛が0.5MPaに相当する。なお、当該シミュレーションでは、4つのバルブ117を開放した状態から、2つのバルブ117を閉止し、残りの2つのバルブ117を開放状態に保つようにした。また、インバータ119の駆動周波数は、時点Tでは64Hzとされ、そこから32.3Hzへと変化させている。また、洗浄液の単位時間当たりの総流量(1つのバルブ117あたりの流量に、開放されたバルブ117の数を乗算した流量の合計)は、4つのバルブ117が開放されている時点Tにおいて18L/minとされ、2つのバルブ117が開放されている時点Tにおいて9L/minとされる。つまり、開放された1つのバルブ117を通してノズル11Aに供給される洗浄液の単位時間当たりの流量(1つのバルブ117当たりの流量)は、4.5L/minとされる。また、洗浄液の圧力については、基準値である10MPaに保たれるようにしている。
【0047】
シミュレーションの結果について説明する。図6によれば、駆動周波数の切り替えが開始されてからバルブ117を閉止するまでの経過時間を1.6secとした場合は、バルブ117を閉止するのに伴って洗浄液の圧力が一時的に基準値である10MPaを超えて11MPaに達した。つまり、経過時間が1.6secでは、バルブ117の閉止に起因する洗浄液の圧力の急激な上昇(オーバーシュート)が生じることが分かった。一方、経過時間を1.8sec、2sec、2.6sec、3secとした場合は、いずれも洗浄液の圧力が一時的に10MPaを超えること(オーバーシュート)が避けられた。この中では、経過時間が最も短い1.8secとした場合が下記の観点から好ましい。すなわち、経過時間を1.8secとすれば、インバータ119の駆動周波数を減少させるのに伴う洗浄液の圧力低下が最も抑制されるとともに、バルブ117を閉止するのに伴って各ノズル11Aからの洗浄液の噴射状態を切り替えるのに要する時間が最も短縮化される。なお、経過時間を1.8secよりも短くすると、洗浄液の圧力のオーバーシュートが発生することが懸念される。
【0048】
上記したシミュレーションの結果によれば、駆動周波数の切り替えが開始されてからバルブ117を閉止するまでの経過時間を1.8secとするのが、洗浄液の圧力低下を抑制し、洗浄液の噴射状態を切り替えるのに要する時間を短縮化する上では、最も好ましいことが分かった。しかしながら、洗浄装置110の使用条件によっては、経過時間が1.8secであっても、洗浄液の圧力のオーバーシュートが発生するおそれがある。上記した「洗浄装置110の使用条件」には、例えば、切り替え直前におけるインバータ119の駆動周波数や電動モータ118の回転数の数値、ポンプ112及び電動モータ118の能力(例えば、仕様上許容される最大駆動周波数や最大回転数など)、1つのノズルヘッド11に備わるノズル11Aの数などが含まれる。そこで、洗浄装置110の使用条件によらず、洗浄液の圧力のオーバーシュートが発生するのを回避できる汎用的な条件について下記のように考察した。すなわち、洗浄液の圧力のオーバーシュートは、バルブ117が閉止された時点での、ポンプ112からノズル11Aに至る経路に存在する洗浄液の流量が、駆動周波数の切り替えが終了した時点Tでの、ポンプ112からノズル11Aに至る経路に存在する洗浄液の流量よりも多い場合に発生すると考えられる。
【0049】
続いて、洗浄液の総流量及び圧力に関する検証を行った。当該検証では、洗浄液の総流量及び圧力を、電動モータ118の回転数に基づいて計算した。その結果を図7に示す。図7は、上記したシミュレーションにおいて経過時間を1.8secとした場合での、洗浄液の圧力、洗浄液の総流量、電動モータ118の回転数、及びインバータ119の駆動周波数、に関する経時変化を表すグラフである。図7の横軸は、時間(単位は「sec」)を示し、1目盛が1secに相当する。図7の横軸には、駆動周波数の切り替えが開始される時点Tと、バルブ117が閉止される時点Tと、駆動周波数の切り替えが終了した時点Tと、が示されている。図7の縦軸は、洗浄液の圧力(単位は「MPa」)、単位時間当たりの洗浄液の総流量(単位は「L/min」)、電動モータ118の回転数(単位は「rps」)、及びインバータ119の駆動周波数を示す。図7の縦軸において、1目盛が、1MPa、1L/min、及び1rpsに相当する。図7には、洗浄液の圧力に関しては、回転計による計測値(実測値)と、電動モータ118の回転数に基づいて計算された計算値(予測値)と、がそれぞれ実線にて示されている。洗浄液の圧力の計算値は、バルブ117を閉めなかった場合の数値であり、電動モータ118の回転数等に基づいて計算されている。
【0050】
具体的には、ある時点(元)の洗浄液の流量と圧力をそれぞれ「L」、「P」とし、ある時点よりも後の時点の洗浄液の流量と圧力をそれぞれ「L」、「P」としたとき、下記の数式(1)が得られる。なお、流量L及び圧力Pは、実測または計算により得られた既知の数値であるのに対し、流量L及び圧力Pは、計算により得られる予測値である。一方、ある時点よりも後の時点の電動モータ118の回転数を「r」とし、ポンプ112の能力に応じた固有係数を「C」としたとき、下記の数式(2)が得られる。ポンプ112の固有係数Cは、インバータ119の駆動周波数を、洗浄液の流量で除した比率である。また、ポンプ112の固有係数Cは、電動モータ118の回転数を、洗浄液の流量で除した上で、10で除した比率であるとも言える。数式(2)の流量Lに数式(1)の右辺を代入して変形することで、下記の数式(3)が得られる。数式(3)を用いることで、ある時点よりも後の時点の圧力P、つまり圧力の予測値を計算することができる。なお、本実施形態に係るポンプ112の固有係数Cの具体的な数値は、例えば3.51とされるが、当該数値はポンプ112の能力に応じて異なる。また、図7に示される洗浄液の総流量は、電動モータ118の回転数に基づいて計算された計算値(予測値)である。図7において、洗浄液の総流量に係る実線で示されるデータは、経過時間が1.8secのタイミングでバルブ117を閉止した場合を示し、洗浄液の総流量に係る二点鎖線で示されるデータは、バルブ117を閉止しなかった場合を示す。
【0051】
【数1】
【0052】
[数2] r=L・10・C (2)
【0053】
[数3] P=(r/10・C・L・10 (3)
【0054】
図7の結果について説明する。図7によれば、洗浄液の総流量は、インバータ119の駆動周波数及び電動モータ118の回転数よりも高い変化率でもって下降(変化)することが分かった。つまり、インバータ119の駆動周波数の切り替えが終了する時点(駆動周波数が目標の数値に達する時点)Tよりも前に、洗浄液の総流量は、切り替え後の目標の数値(9L/min)に達することが分かった。一方、洗浄液の圧力の計算値は、計測値よりも高い変化率でもって下降(変化)することが分かった(時点Tから時点Tまでの期間の圧力を参照)。また、洗浄液の圧力の計算値は、インバータ119の駆動周波数及び電動モータ118の回転数よりも高い変化率でもって下降することも分かった。
【0055】
以上の検証結果に基づき、本実施形態に係る演算部23は、ポンプ制御部120により駆動周波数が調整され終えた後(時点T以降)での、ポンプ112からノズル11Aへと供給される洗浄液の単位時間当たりの流量である第1流量を演算し、ポンプ制御部120により駆動周波数が調整されるのに伴って変化する流量である第2流量が、第1流量と一致するタイミングでの駆動周波数、回転数または経過時間の値を、閾値として演算する。演算部23により演算される第1流量は、ポンプ制御部120により駆動周波数が調整されるのに伴って変化する流量の目標値(図7での検証では9L/min)であると言える。ここで、洗浄液の流量及び圧力の変化率は、前段落に記載の検証結果の通り、インバータ119の駆動周波数及び電動モータ118の回転数の変化率よりも高い(図7を参照)。そこで、演算部23は、目標値である第1流量を演算した上で、ポンプ制御部120により駆動周波数が調整されるのに伴って変化する流量である第2流量が、第1流量と一致するタイミングでの駆動周波数、回転数または経過時間の値を、閾値として演算している。このように演算された閾値に基づいてバルブ制御部120がバルブ117を閉止すれば、バルブ117が閉止されたタイミングでの第2流量が、第1流量よりも多くなる事態が避けられる確実性が高くなる。これにより、バルブ117の閉止に伴って生じ得る洗浄液の圧力のオーバーシュートが抑制される確実性が高くなる。
【0056】
その上で、演算部23は、上記した第2流量が、第1流量と一致するタイミングでの経過時間の値を、閾値として演算し、演算された経過時間の閾値と、ポンプ制御部120により駆動周波数が調整されるのに伴って変化する単位時間(1sec)当たりの電動モータ118の回転数である回転数変化率と、に基づいて、回転数の閾値を演算する。ここで、設定された圧力を「P」とし、切り替え前に開放するバルブの数を「n」とし、切り替え後に開放するバルブ117の数を「m」とし、洗浄液の圧力の単位時間(1sec)当たりの変化率(圧力変化率)を「a」とし、切り替え前の洗浄液の流量を「L」とし、ポンプ制御部120により駆動周波数が調整され始めた時点Tからの経過時間の閾値を「t」としたとき、下記の数式(4)が得られる。数式(4)を変形することで数式(5)を得ることができ、数式(5)により経過時間の閾値tを求めることができる。なお、圧力変化率aは、図7に示される圧力の計算値に係るグラフの傾きであり、電動モータ118の回転数等に基づいて計算される。具体的には、圧力変化率aは、ある時点の洗浄液の圧力から、ある時点から単位時間(1sec)後の時点の洗浄液の圧力を、差し引くことで求められる。なお、ある時点から単位時間(1sec)後の時点の洗浄液の圧力は、上記した数式(3)の左辺のPに相当する。従って、数式(3)の右辺において、ある時点の洗浄液の流量L、ある時点から単位時間(1sec)後の時点の電動モータ118の回転数r及びポンプ112の固有係数Cの各数値を代入することで、ある時点から単位時間(1sec)後の時点の洗浄液の圧力を求めることができる。
【0057】
【数4】
【0058】
[数5] t=(10m-P・n)/a・n (5)
【0059】
上記した数式(5)に含まれる「m」、「n」、「a」、「P」のそれぞれに該当する数値を代入することで、演算部23は、経過時間の閾値tを演算することができる。図7に示される条件(切り替え前に開放するバルブの数nが「4」、切り替え後に開放するバルブの数mが「2」、圧力変化率aが「-3.3MPa/sec」、設定された圧力Pが「10MPa」)に基づいて、数式(5)を用いて演算される経過時間の閾値tは、2.2secであった。従って、数式(5)を用いて演算される経過時間の閾値tは、図6に示されるシミュレーションの結果において、洗浄液の圧力のオーバーシュートが避けられた複数の経過時間の中で経過時間が最も短い1.8secよりもやや長い値となった。経過時間の閾値tは、洗浄装置110の使用条件によらず、洗浄液の圧力のオーバーシュートが発生するのを回避できる汎用的な条件である、と言える。
【0060】
演算部23は、ポンプ制御部120により駆動周波数が調整される前での電動モータ118の回転数の値、つまり回転数の初期値r1から、経過時間の閾値tに、回転数の変化率(回転数変化率)bを乗算した値を差し引くことで、回転数の閾値r2を演算することができる。つまり、回転数の閾値r2は、下記の数式(6)に基づいて演算される。図7に示される条件(回転数の初期値r1が「11rps」、回転数変化率bが「-1.96rps/sec」)に基づいて、数式(6)を用いて演算される回転数の閾値r2は、6.688rps(401.28rpm)であった。なお、回転数である「1rpm」は、駆動周波数である「10Hz」に相当することから、下記の数式(6)に基づいて回転数の閾値r2が演算されれば、駆動周波数の閾値を演算することも可能である。
【0061】
[数6] r2=r1-t・b (6)
【0062】
続いて、電動モータ118の回転数の変化率である回転数変化率bに関する検証を行った。その結果を図8に示す。図8は、電動モータ118の回転数に関する経時変化を示すグラフである。図8の横軸が時間(単位は「sec」)を示し、1目盛が1secに相当する。図8の横軸には、駆動周波数の切り替えが開始される時点Tが示されている。図8の縦軸が回転数(単位は「rps」)を示す。図8には、ポンプ制御部120により駆動周波数が調整される前での電動モータ118の回転数(元の回転数)が4通り示されている。
【0063】
図8によれば、駆動周波数が調整され始めた時点Tの前の回転数の値、つまり回転数の初期値r1が高いほど、回転数変化率bが大きな値になる傾向が分かる。具体的には、回転数の初期値r1が10rps(600rpm)付近の場合は、回転数変化率bが-1.96rps/sec(-117.6rpm/sec)である。回転数の初期値r1が5~6.67rps(300~400rpm)付近の場合は、回転数変化率bが-1.77rps/sec(-106.2rpm/sec)である。回転数の初期値r1が3.33~5rps(200~300rpm)付近の場合は、回転数変化率bが-1.66rps/sec(-99.6rpm/sec)である。回転数の初期値r1が3.33rps(200rpm)以下の場合は、回転数変化率bが-1.41rps/sec(-84.6rpm/sec)である。
【0064】
以上の検討に基づき、本実施形態に係るメモリ部22には、回転数の初期値r1に応じて異なる複数の回転数変化率bが、回転数の初期値r1に紐付けられた形で記憶されている。そして、演算部23は、回転数の初期値r1に基づいて、メモリ部22に記憶された複数の回転数変化率bの中から特定の回転数変化率bを抽出し、抽出した回転数変化率bに基づいて、回転数の閾値r2を演算する。具体的には、演算部23は、回転計により計測された回転数またはバルブ制御部121により自動計算された回転数の初期値r1を取得すると、メモリ部22を参照し、複数の回転数変化率bの中から、取得した回転数の初期値r1に紐付けられた回転数変化率bを抽出する。演算部23は、抽出した回転数変化率bを、上記した数式(6)に代入することで、回転数の閾値r2を演算することができる。このようにして回転数の閾値r2を演算することで、回転数の閾値r2に係る正確性が高くなる。このような高い正確性の回転数の閾値r2に基づいてバルブ制御部121によりバルブ117が閉止されるようになっているので、バルブ117を閉止するのに伴う圧力の急上昇を好適に抑制することができる。
【0065】
以上説明したように本実施形態の洗浄装置110は、バルブ制御部121は、ポンプ制御部120により駆動周波数が調整され始めてから、駆動周波数、電動モータ118の単位時間当たりの回転数、または経過時間が、閾値に達するとバルブ117を閉止しており、バルブ117、電動モータ118及びインバータ119の少なくともいずれか1つの動作に係る動作条件に基づいて閾値を演算する演算部23を備える。このようにすれば、ポンプ制御部120によりインバータ119の駆動周波数が調整され始めてから、インバータ119の駆動周波数、電動モータ118の単位時間当たりの回転数、または経過時間が、上記した動作条件に基づいて演算部23により演算された閾値に達すると、バルブ制御部121はバルブ117を閉止する。演算部23は、バルブ117、電動モータ118及びインバータ119の少なくともいずれか1つの動作に係る動作条件に基づいて閾値を演算している。従って、当該洗浄装置110の使い方が様々であっても、バルブ制御部121によってバルブ117が閉止されるタイミングが常に適正化されてバルブ117を閉止するのに伴う圧力の急上昇が好適に抑制される。これにより、高い汎用性が得られる。
【0066】
また、バルブ制御部121は、ポンプ制御部120により駆動周波数が調整され始めてから、駆動周波数または回転数が閾値に達するとバルブ117を閉止する。このようにすれば、仮にポンプ制御部121により駆動周波数が調整され始めてからの経過時間に基づいてバルブ117を閉止する場合に比べると、インバータ119または電動モータ118の動作に基づいてバルブ117を閉止しているので、バルブ117を閉止するのに伴う圧力の急上昇が抑制される確実性がより高くなる。
【0067】
また、ノズル11A及びバルブ117は、複数ずつ備えられており、演算部23は、バルブ制御部121により閉止されるバルブ117の数に基づいて閾値を演算し、バルブ制御部121により閉止されるバルブ117の数が多くなるほど、駆動周波数または回転数に係る閾値を小さくし、経過時間に係る閾値を大きくする。ノズル11A及びバルブ117が複数ずつ備えられる場合には、バルブ制御部121により閉止されるバルブ117の数が多くなるほど、バルブ117の閉止に起因する洗浄液の圧力が急激に上昇し易くなる傾向にある。これに対し、バルブ制御部121により閉止されるバルブ117の数が多くなるほど、駆動周波数または回転数に係る閾値を小さくし、経過時間に係る閾値を大きくなるよう演算部23による演算が行われれば、演算された閾値に基づいてバルブ制御部121によりバルブ117が閉止されるまでに、洗浄液の圧力が十分に低下した状態となる。これにより、バルブ制御部121により閉止されるバルブ117の数が多い場合でも、バルブ117の閉止に起因する圧力の急激な上昇をより好適に抑制することができる。
【0068】
また、演算部23は、ポンプ制御部120により駆動周波数が調整され終えた後での、ポンプ112からノズル11Aへと供給される洗浄液の単位時間当たりの流量である第1流量を演算し、ポンプ制御部120により駆動周波数が調整されるのに伴って変化する流量である第2流量が、第1流量と一致するタイミングでの駆動周波数、回転数または経過時間の値を、閾値として演算する。上記した第1流量は、ポンプ制御部120により駆動周波数が調整されるのに伴って変化する流量の目標値であると言える。ここで、洗浄液の流量及び圧力の変化率は、インバータ119の駆動周波数及び電動モータ118の回転数の変化率よりも高いことが経験上見出された。そこで、演算部23は、目標値である第1流量を演算した上で、ポンプ制御部120により駆動周波数が調整されるのに伴って変化する流量である第2流量が、第1流量と一致するタイミングでの駆動周波数、回転数または経過時間の値を、閾値として演算している。このように演算された閾値に基づいてバルブ制御部121がバルブ117を閉止すれば、バルブ117が閉止されたタイミングでの第2流量が第1流量よりも多くなる事態が避けられる確実性が高くなる。これにより、バルブ117の閉止に伴って生じ得る洗浄液の圧力の急上昇が抑制される確実性が高くなる。
【0069】
また、演算部23は、第2流量が、第1流量と一致するタイミングでの経過時間の値を、閾値tとして演算し、演算された経過時間の閾値tと、ポンプ制御部120により駆動周波数が調整されるのに伴って変化する単位時間当たりの回転数である回転数変化率bと、に基づいて、回転数の閾値r2を演算する。上記した経過時間の閾値tは、例えば、ポンプ制御部120により駆動周波数が調整される前に開放されたバルブの数と、ポンプ制御部120により駆動周波数が調整される前に開放されるバルブ117の数と、ポンプ制御部120により駆動周波数が調整されるのに伴って変化する単位時間当たりの洗浄液の圧力である圧力変化率aと、に基づいて演算部23により演算される。演算部23は、ポンプ制御部120により駆動周波数が調整される前での電動モータ118の回転数から、経過時間の閾値tに回転数変化率bを乗算した値を差し引くことで、回転数の閾値r2を演算することができる。なお、回転数の閾値r2が分かれば、駆動周波数の閾値を演算することも可能である。
【0070】
また、ポンプ制御部120により駆動周波数が調整される始める前での回転数の初期値r1に応じて異なる複数の回転数変化率bを、回転数の初期値r1に紐付ける形で、複数記憶するメモリ部22を備えており、演算部23は、回転数の前記初期値r1に基づいて、メモリ部22に記憶された複数の回転数変化率bの中から特定の回転数変化率bを抽出し、抽出した回転数変化率bに基づいて、回転数の閾値r2を演算する。インバータ119の駆動周波数が調整されるのに伴って変化する回転数に係る回転数変化率bは、インバータ119の駆動周波数が調整され始める前での回転数の初期値r1によって異なっており、回転数の初期値r1が大きいほど回転数変化率bも大きくなる傾向にある。そこで、回転数の閾値r2を演算するに際し、演算部23は、メモリ部22に記憶された複数の回転数変化率bの中から回転数の初期値r1に紐付けられた回転数変化率bを抽出するようにしている。演算部23は、抽出された回転数変化率bに基づいて回転数の閾値r2を演算するので、回転数の閾値r2に係る正確性が高くなる。このような高い正確性の回転数の閾値r2に基づいてバルブ制御部121によりバルブ117が閉止されるようになっているので、バルブ117を閉止するのに伴う圧力の急上昇を好適に抑制することができる。
【0071】
<他の実施形態>
本明細書が開示する技術は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0072】
(1)インバータ19,119の駆動周波数を切り替える前において閉止していたバルブ17,117を開放させて閉止状態のバルブ17,117の数が減少する場合(開放状態のバルブ17,117の数が増加する場合)において、バルブ制御部21,121が信号を出力し、その信号に基づいてポンプ制御部20,120が洗浄液への加圧度合いを高めるようポンプ12,112の駆動を制御しても構わない。洗浄液への加圧度合いを高めるには、ポンプ制御部20,120によってインバータ19,119の駆動周波数を増加させるようにすればよい。
【0073】
(2)バルブ制御部21,121は、バルブ17,117を閉止するタイミングと、ポンプ制御部20,120によりインバータ19,119の駆動周波数の切り替えが開始されるタイミング(洗浄液に対する加圧度合いを緩め始めるタイミング)と、の間の時間差を、閉止されるバルブ17,117の数が4つの場合と3つの場合とで同じにするとともに、閉止されるバルブ17,117の数が2つの場合と1つの場合とで同じとし且つ4つの場合と3つの場合とに比べると小さくすることも可能である。
【0074】
(3)バルブ制御部21,121は、バルブ17,117を閉止するタイミングと、ポンプ制御部20,120によりインバータ19,119の駆動周波数の切り替えが開始されるタイミングと、の間の時間差を、閉止されるバルブ17,117の数(バルブ17,117の閉止に伴って洗浄液の噴射が停止されるノズル11Aの数)によらず一定とすることも可能である。
【0075】
(4)バルブ制御部21,121は、ポンプ制御部20,120によりインバータ19,119の駆動周波数の切り替えが開始されるタイミングからバルブ17,117を閉止するタイミングまでの時間と、バルブ17,117を閉止するタイミングからポンプ制御部20,120によりインバータ19,119の駆動周波数の切り替えが終了されるタイミングまでの時間と、の関係を同じとすることもでき、また前者が後者よりも短くすることも可能である。
【0076】
(5)バルブ制御部21,121は、ポンプ制御部20,120によりインバータ19,119の駆動周波数の切り替えが開始されるタイミングと、バルブ17,117を閉止するタイミングと、を同じにすることも可能である。また、バルブ制御部21,121は、バルブ17,117を閉止するタイミングを、ポンプ制御部20,120によりインバータ19,119の駆動周波数の切り替えが開始されるタイミングよりも前にすることも可能である。
【0077】
(6)バルブ制御部21,121は、ポンプ制御部20,120によりインバータ19,119の駆動周波数の切り替えが終了されるタイミングと、バルブ17,117を閉止するタイミングと、を同じにすることも可能である。また、バルブ制御部21,121は、バルブ17,117を閉止するタイミングを、ポンプ制御部20,120によりインバータ19,119の駆動周波数の切り替えが終了されるタイミングよりも後にすることも可能である。
【0078】
(7)個別洗浄液供給路13Bの数とバルブ17,117の数とが一致してなくてもよい。例えば、共通洗浄液供給路13Aと複数の個別洗浄液供給路13Bとが分岐される部分にバルブ17,117を設置し、複数の個別洗浄液供給路13Bに対する洗浄液の供給の是非を1つのバルブ17,117の開閉によって制御することも可能である。その場合は、バルブ17,117の数が個別洗浄液供給路13Bの数よりも少なくなる。
【0079】
(8)ノズルヘッド11におけるノズル11Aの具体的な配置や設置数は適宜に変更可能である。
【0080】
(9)インバータ・モータ駆動方式のポンプ12,112におけるプランジャ12Aの数は、2つ以下または4つ以上でも構わない。
【0081】
(10)ポンプ12,112は、インバータ・モータ駆動方式以外の駆動方式(例えばエア駆動方式など)であっても構わない。
【0082】
(11)洗浄装置10,110における洗浄液の圧力や流量に係る具体的な数値は、適宜に変更可能である。
【0083】
(12)洗浄装置10,110は、研磨部POを1つまたは3つ以上備える研磨装置PDに組み合わせて用いることも可能である。研磨部POが1つで研磨パッドPAが2つの場合は、洗浄装置10,110におけるノズルヘッド11の数は2つとなる。研磨部POが3つ以上で研磨パッドPAが6つ以上の場合は、洗浄装置10,110におけるノズルヘッド11の数は6つ以上となる。
【0084】
(13)洗浄装置10,110は、1つの研磨部POが1つの研磨パッドPAを備える研磨装置PDに組み合わせて用いることも可能であり、その場合は、1つの研磨部POに対応して設置されるノズルヘッド11の数も1つとなる。この場合、研磨装置PDは、研磨部POにおいて研磨パッドPAによって半導体ウェハの片面を研磨することになる。
【0085】
(14)上記(12),(13)以外にも、ノズルヘッド11の設置数は適宜に変更可能である
【0086】
(15)洗浄装置10,110による洗浄対象物は、研磨パッドPA以外にも、半導体ウェハなどであっても構わない。
【0087】
(16)洗浄装置10,110は、研磨装置PD以外の装置に組み合わせてもよく、また単独で使用することも可能である。
【0088】
(17)洗浄装置10,110以外の液体噴射装置であっても構わない。その場合は、洗浄液以外の液体をノズル11Aから噴射することになる。
【0089】
(18)バルブ17,117として、常時開放されるタイプのものを用いることも可能である。その場合、バルブ制御部21,121は、開放された状態のバルブ17,117を閉止する際に閉信号の出力し、閉止された状態のバルブ17,117を開放する際には閉信号の出力を停止することで、バルブ17,117の開閉を制御する。
【0090】
(19)実施形態2での説明以外にも、洗浄装置110に備わるバルブ117の設置数を4つ以外の数値に変更可能である。同様に、閉止する前に開放していたバルブ117の数を4つ以外に変更可能である。同様に、閉止するバルブ117の数を2つ以外に変更可能である。
【0091】
(20)実施形態2での説明以外にも、演算部23に閾値を演算させるため、バルブ制御部121にフィードバックするのは、インバータ119の駆動周波数、電動モータ118の回転数、及び洗浄液の圧力のうちのいずれか1つまたは2つでもよい。
【0092】
(21)実施形態2に記載した演算部23により演算される経過時間の閾値tの具体的な数値は、条件(切り替え前に開放するバルブの数n、切り替え後に開放するバルブの数m、圧力変化率a、設定された圧力P)に応じて2.2sec以外にもなり得る。
【0093】
(22)実施形態2に記載した演算部23により演算される回転数の閾値r2の具体的な数値は、条件(回転数の初期値r1、回転数変化率b)に応じて6.688rps(401.28rpm)以外にもなり得る。
【符号の説明】
【0094】
10,110…洗浄装置(液体噴射装置)、11A…ノズル、12,112…ポンプ、12A…プランジャ、17,117…バルブ、18,118…電動モータ、19,119…インバータ、20,120…ポンプ制御部、21,121…バルブ制御部、22…メモリ部、23…演算部、b…回転数変化率、r1…初期値、r2…回転数の閾値、t…経過時間の閾値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8