(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-16
(45)【発行日】2025-04-24
(54)【発明の名称】運動支援システム
(51)【国際特許分類】
A63B 71/06 20060101AFI20250417BHJP
G06Q 10/109 20230101ALI20250417BHJP
A63B 69/00 20060101ALI20250417BHJP
【FI】
A63B71/06 J
G06Q10/109
A63B69/00 C
A63B71/06 T
(21)【出願番号】P 2024179348
(22)【出願日】2024-10-11
【審査請求日】2024-10-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523025366
【氏名又は名称】ウェルカオス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121658
【氏名又は名称】高橋 昌義
(72)【発明者】
【氏名】金山 基浩
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-154589(JP,A)
【文献】特開2019-205820(JP,A)
【文献】特開2007-181528(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113952678(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2022-0026453(KR,A)
【文献】特開2020-99514(JP,A)
【文献】特開2018-51334(JP,A)
【文献】特開2006-255028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 71/06
A63B 69/00
G06Q 10/109
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有酸素運動用トレーニングマシン及びレジスタンス運動用トレーニングマシンを備えたスタジオ内に設置され、タッチ入力及び音声入力の少なくともいずれかによって入力可能な入力装置を備えたコンピュータを有する運動支援システムであって、
前記コンピュータは、運動支援プログラムを記録した記録媒体を備えており、
前記運動支援プログラムは、コンピュータに、対話データを記録するステップ、対話データに基づき目標運動量データを記録するステップ、を実行させるためのものであ
り、
前記対話データには、目的データ、年齢データ、性別データ、体重データ、運動種類データ、気分データ、及び、安静時心拍数データが含まれ、
前記運動種類データには、有酸素運動であるかレジスタンス運動であるかを区分けする情報を含む運動区分データが含まれており、
前記目標運動量データには、目標有酸素運動量データ及び目標レジスタンス運動量データが含まれ、
前記運動区分データが前記有酸素運動であることの情報を含む場合、前記目標有酸素運動量データには、目標心拍数域データが含まれ、
前記運動区分データが前記レジスタンス運動であることの情報を含む場合、前記目標レジスタンス運動量データには、目標運動強度データ、目標運動レップ数データ及び目標運動セット数データの少なくともいずれかが含まれ、
前記気分データは、ユーザーの気分に応じて前記目標運動量データの値を増やすか否かの情報を含むものであり、前記気分データが前記目標運動量データの値を増やす情報を含む場合、前記目標運動量データは気分データに応じて増加する運動支援システム。
【請求項2】
前記コンピュータは、
運動開始を指示するステップ、
運動終了を指示するステップ、
前記運動開始と前記運動終了の間に実施した運動の結果の情報を含む運動実施データを記録するステップ、
前記運動実施データに基づき前記目標運動量データを修正して記録するステップ、も実行させるためのものでもある請求項1記載の運動支援システム。
【請求項3】
前記コンピュータに、
あらかじめ記録した運動機器使用方法データに基づき表示装置に運動機器使用方法を表示させるステップ、も実行させるためのものでもある請求項1記載の運動支援システム。
【請求項4】
照明装置と、
スピーカー装置と、を備えており、
前記照明装置及び前記スピーカー装置は、前記コンピュータに接続されており、
前記コンピュータは、
音楽データに基づき、前記スピーカー装置から音楽を流すとともに、前記音楽に合わせて前記照明装置の明るさを制御するステップ、も実行させるためのものでもある請求項
2記載の運動支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運動支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
家事や仕事の自動化、交通手段の発達により一般的な成人(以下単に「成人」という)の身体活動量は低下してきており、食生活の変化とともに、メタボリックシンドロームやロコモティブシンドローム等の生活習慣病が増加してきているといわれている。また、高寿命化によって生じる認知症等も近年問題化となっている。すなわちこれら生活習慣病や認知症等の予防や重症化を予防することは健康寿命を延伸させるためには非常に重要である。
【0003】
この予防には運動が非常に重要であるといわれている。成人の身体活動は、総死亡率、心血管疾患死亡率、高血圧の発症、部位特異固有がんの発症、2型糖尿病の発症、メンタルヘルス(不安および抑うつの症状の軽減)の改善、認知的健康、および睡眠などの健康アウトカムに利益があり、肥満も改善される可能性がある。そのため、成人は定期的な運動を行うことが推奨されている。
【0004】
また、近年の健康志向の高まりを背景に、いわゆるフィットネスジム等の数は増加傾向にあり、これとともにユーザー数も増加傾向にある。例えばフィットネスジム等及びその設備については、例えば下記非特許文献1に記載がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】https://concierge.diet/personal/training―gym/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、身体活動や運動の健康に対する効果についての知識は国民の間に普及しつつあるものの、運動を実際に行っている者の割合は少なく、フィットネスジム参加率は2022年時点で約3.7%程度に過ぎないといった課題がある。
【0007】
また、フィットネスジムでは、例えばトレッドミル、リカンベントバイク、チェストプレス、レッグエクステンション等のトレーニングマシンを置いてあるのが一般的である。
【0008】
しかしながら、上記トレーニングマシンは、運動を行う場合においてその成人(ユーザー)の体形や体力、その運動の目的等によってその種目もその強度もセット回数等も異なる。そのような場合は運動による十分な効果を得ることができない恐れがある。
【0009】
これに関し、ユーザーの運動に対して相談にのり適切な運動を支援するためのトレーナーが存在するが、その品質は均一ではなく対応に課題がある。
【0010】
またユーザーにおいては、運動に関して、モチベーション、恥ずかしさ、煩わしさといった心理的な壁、身体機能や知識・準備の不足、経済条件といった実行の壁といった二つの大きな壁が存在する。
【0011】
そこで、本発明は上記課題に鑑み、ユーザーの運動に関する壁を軽減し、適切な運動を継続するために有用な運動支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決する本発明の一観点に係る運動支援システムは、タッチ入力及び音声入力の少なくともいずれかによって入力可能な入力装置を備えたコンピュータを有する運動支援システムであって、コンピュータは、運動支援プログラムを記録した記録媒体を備えており、運動支援プログラムは、コンピュータに、対話データを記録するステップ、対話データに基づき目標運動量データを記録するステップ、を実行させるためのものである。
【0013】
また、本観点において、限定されるわけではないが、対話データには、目的データ、年齢データ、性別データ、体重データ、運動種類データ、気分データ、及び、安静時心拍数データの少なくともいずれかが含まれることが好ましい。
【0014】
また、本観点において、限定されるわけではないが、目標運動量データには、目標有酸素運動量データ及び目標レジスタンス運動量データの少なくともいずれかが含まれることが好ましい。
【0015】
また、本観点において、限定されるわけではないが、目標有酸素運動量データには、目標心拍数域データが含まれることが好ましい。
【0016】
また、本観点において、限定されるわけではないが、目標レジスタンス運動量データには、目標運動強度データ、目標運動レップ数データ及び目標運動セット数データが含まれることが好ましい。
【0017】
また、本観点において、限定されるわけではないが、コンピュータは、運動実施データを記録するステップ、運動実施データに基づき目標運動量データを修正して記録するステップ、も実行させるためのものでもあることが好ましい。
【0018】
また、本観点において、限定されるわけではないが、コンピュータに、あらかじめ記録した運動機器使用方法データに基づき表示装置に運動機器使用方法を表示させるステップ、も実行させるためのものでもあることが好ましい。
【0019】
また、本観点において、限定されるわけではないが、照明装置と、スピーカー装置と、を備えており、照明装置及びスピーカー装置は、コンピュータに接続されており、コンピュータは、音楽データに基づき、スピーカー装置から音楽を流すとともに、音楽に合わせて照明装置の明るさや色調を制御するステップ、も実行させるためのものでもあることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
以上、本発明によって、ユーザーの運動に関する壁を軽減し、適切な運動を継続するために有用な運動支援システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態に係る運動支援システムにおけるスタジオのイメージを示す図である。
【
図2】実施形態に係る運動支援システムにおける接続関係の概略を示す図である。
【
図3】実施形態に係る運動支援システムにおけるスタジオ内の機器の接続関係の概略を示す図である。
【
図4】実施形態に係る運動支援システムの入力時における表示装置の画面の例を示す図である。
【
図5】実施形態に係る運動支援システムの入力時における表示装置の画面の例を示す図である。
【
図6】実施形態に係る運動支援システムの入力時における表示装置の画面の例を示す図である。
【
図7】実施形態に係る運動支援システムの入力時における表示装置の画面の例を示す図である。
【
図8】実施形態に係る運動支援システムの入力時における表示装置の画面の例を示す図である。
【
図9】実施形態に係る運動支援システムの入力時における表示装置の画面の例を示す図である。
【
図10】実施形態に係る運動支援システムの入力時における表示装置の画面の例を示す図である。
【
図11】実施形態に係る運動支援システムの入力時における表示装置の画面の例を示す図である。
【
図12】実施形態に係る運動支援システムの入力時における表示装置の画面の例を示す図である。
【
図13】実施形態に係る運動支援システムの入力時における表示装置の画面の例を示す図である。
【
図14】実施形態に係る運動支援システムの入力時における表示装置の画面の例を示す図である。
【
図15】実施形態に係る運動支援システムの入力時における表示装置の画面の例を示す図である。
【
図16】実施形態に係る運動支援システムの入力時における表示装置の画面の例を示す図である。
【
図17】実施形態に係る運動支援システムの入力時における表示装置の画面の例を示す図である。
【
図18】実施形態に係る運動支援システムの入力時における表示装置の画面の例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態における具体的な例示にのみ限定されるわけではない。
【0023】
図1は、本実施形態に係る運動支援システム(以下「本システム」という。)Sを備えるスタジオ(以下「本スタジオ」という。)の室内イメージを示す。本スタジオは複数のトレーニングマシンTと、照明装置L、スピーカー装置M、これらに接続されたコンピュータ1を備えており、このコンピュータ1によってさまざまな処理が開始される。また、本システムSでは、ユーザーの心拍数を測定するための心拍数測定装置Hを備えており、上記装置と同様コンピュータ1に接続されている。
【0024】
また、本システムSは、タッチ入力及び音声入力の少なくともいずれかによって入力可能な入力装置を備えたコンピュータ1を有するものであって、コンピュータ1は、運動支援プログラムを記録した記録媒体を備えており、運動支援プログラムは、コンピュータ1に(S1)対話データを記録するステップ、(S2)対話データに基づき目標運動量データを記録するステップ、を実行させるためのものである。また、本システムSでは、(S3)運動実施データを記録するステップ、(S4)運動実施データに基づき目標運動量データを修正して記録するステップ、を実行する。これらの具体的な内容については改めて詳述する。
【0025】
本スタジオにおいては、複数のトレーニングマシンTを備えており、ユーザーにそのときの気分や調子などに合わせて適切なトレーニングマシンの使用、その運動強度を含めた運動量等を提案する。トレーニングマシンとしては、限定されるわけではないが、例えば、トレッドミル、リカンベントバイク、クロストレーナー、アブドミナルクランチ、ロータリートーソ、バックエクステンション、チェストプレス、ラットプルダウン、レッグカール、レッグエクステンション、アダクション、及びアブダクション等を例示することができるがこれに限定されない。
【0026】
また、本スタジオにおいて、スピーカー装置Mは、音を出力、具体的にはスタジオ内に音楽を流すことができるものである。この音楽は、スピーカー装置Mをコンピュータ1に接続してそのコンピュータ1内に記録された音楽データに基づくものであってもよく、また、ユーザーあるいはスタジオ運営者自身が保有するスマートフォン等と接続され、その内部記録媒体に記録された音楽データに基づき音楽の再生が可能ないわゆるスマートスピーカー装置であってもよい。
【0027】
また、本スタジオにおいて、照明装置Lは、スタジオ内を照らすことができるものであり、特に限定されるわけではないが、その明るさや色調を調整することができるものであることが好ましく、より好ましくはコンピュータ1に接続され、その明るさや色調をコンピュータ1によって調整可能なものであることが好ましい。また、この明るさや色調の調整については、上記のスピーカー装置Mによって流される音楽に応じて調整可能であることも好ましい。
【0028】
なお、本システムSにおいて用いられるコンピュータ1は、上記の各ステップを実行することができる限りにおいて限定されるわけではないが、例えば一般的なコンピュータの構成要素である中央演算装置(CPU)、ハードディスクやフラッシュメモリ等の不揮発性の記録媒体、メモリ等の揮発性の記録媒体、これらを接続するバス、キーボード、マウス、マイク等の入力装置、モニタ等の表示装置等を含むことが好ましいがこれに限定されない。
【0029】
上記コンピュータは、いわゆるノートパソコンやデスクトップパソコンであってもよいが、近年普及が進んでいる携帯情報端末、具体的にはいわゆるスマートフォンやタブレット端末であってもよい。一般的な携帯情報端末は、一つのカバーの中に上記CPUや表示装置等の部品を収納して一体化させたものとなっており、しかも表示装置上にセンサを配置しいわゆるタッチパネルとしておくことで入力装置としても機能させることができ、非常に取り扱いやすいものとなっており好ましい。また、本システムSでは、マイクの音声入力装置を一体として備えさせることも可能である。また携帯情報端末の場合、当該携帯情報端末において本方法を実行するプログラムをいわゆるアプリとして記録、表示させておき、このアプリを起動することで容易に本方法を実行することができる。
【0030】
また、本システムSは、インターネット等の電気通信を介して実現することが可能である。具体的には、複数のコンピュータを電気通信を介して接続し、本方法のステップをこれら異なるコンピュータにより実行させることが可能である。この場合におけるコンピュータ1の接続関係に関するイメージ図を
図2に示しておく。本図では、例えば、複数のスタジオにそれぞれコンピュータ1が備えられている一方、これらの情報を統合するためのサーバーVが遠隔の場所に設けられ、これらコンピュータ1、サーバーVが電気通信回線いわゆるインターネットNにより接続されていることで、情報を統合的に管理することが可能となる。ただし、本システムSは、上記の通り、電気通信回線によって接続されていなくとも、一つのスタジオ内の機器を接続させるだけで十分に実行可能である。この場合における機器の接続関係について
図3に示しておく。
【0031】
次に、運動支援プログラム(以下「本プログラム」という。)によって実行される各ステップについて説明する。
【0032】
まず、本システムSでは、本プログラムの実行により、(S1)対話データを記録するステップが実現される。ここで「対話データ」とは、ユーザーが目標運動強度データを設定するために必要な情報を含むデータであり、具体的にはユーザーが複数の選択肢を選択又は自由に入力することによって作成されるデータであるが、あたかもコンピュータとユーザーとが対話して設定するように見えるため、本明細書では対話データと表現する。
【0033】
また、本ステップにおける対話データには、目的データ、年齢データ、性別データ、体重データ、身長データ、運動種類データ、気分データ、及び、安静時心拍数データの少なくともいずれかが含まれることが好ましい。これらデータが含まれることにより、ユーザーにとって好ましい目標運動量を提案することが可能となる。
【0034】
ここで、「年齢データ」とは、ユーザーの年齢に関する情報を含むデータである。本データは省略可能ではあるが、年齢を入力することで、その年齢にあった運動を提供することが可能となる。年齢は、その時点の正確な年齢を入力させることとしてもよいが、例えば10代、20代、30代、40代等といった大まかな区分でも構わない。本データは、上記の通り、タッチ入力及び音声入力の少なくともいずれかによって入力可能な入力装置によって入力されるが、その前に、表示装置によってその入力が促される。一例として
図4に、本入力時における表示装置の画面の例を示しておく。
【0035】
またここで、「性別データ」とは、ユーザーの性別に関する情報を含むデータである。本データは省略可能ではあるが、性別を入力することによって、性別によって適切な運動量が異なる場合があるため性別データを入力させることでより適切な運動の提案が可能となる。本データは、上記の通り、タッチ入力及び音声入力の少なくともいずれかによって入力可能な入力装置によって入力されるが、その前に、表示装置によってその入力が促される。なお、この入力時における表示装置の画面について例えば
図5に示しておく。
【0036】
またここで、「体重データ」とは、ユーザーの体重に関する情報を含むデータである。本データも省略可能であるが、ダイエット等体重を減らすために適切な運動強度等を計算するためには非常に重要なデータである。本データは、上記の通り、タッチ入力及び音声入力の少なくともいずれかによって入力可能な入力装置によって入力されるが、その前に、表示装置によってその入力が促される。なお、この入力時における表示装置の画面について例えば
図6に示しておく。
【0037】
またここで、「身長データ」とは、ユーザーの身長に関する情報を含むデータである。本データも省略可能であるが、体重データ等と組み合わせることでBMI(Body Mass Index)といった肥満度を計測することが可能となり、ダイエット等体重を減らすために適切な運動強度等を計算するためには、非常に重要なデータとなりうる。本データは、上記の通り、タッチ入力及び音声入力の少なくともいずれかによって入力可能な入力装置によって入力されるが、その前に、表示装置によってその入力が促される。なお、この入力時における表示装置の画面について例えば
図7に示しておく。
【0038】
また、上記に加え、「個人識別データ」を含ませてもよい。ここで「個人識別データ」とは、ユーザーを特定するために必要な情報を含むデータをいう。個人識別データを含ませることで、ユーザーの体重データ等を随時記録し、または、運動履歴に関する情報を含む運動履歴データなどを記録することで、ユーザーそれぞれに対して適切な運動提案を行うことができるようになる。本データは、上記の通り、タッチ入力及び音声入力の少なくともいずれかによって入力可能な入力装置によって入力されるが、その前に、表示装置によってその入力が促される。
【0039】
また、対話データには、上記の通り「目的データ」が含まれる。「目的データ」とは、運動の目的に関する情報を含むデータである。本データは、上記の通り、タッチ入力及び音声入力の少なくともいずれかによって入力可能な入力装置によって入力されるが、その前に、表示装置によってその入力が促される。目的データは、ユーザーが自由にテキストを入力することで作成してもよいが、複数の選択肢を設定してそのいずれかを選択させることとしてもよい。なお、この入力時における表示装置の画面について例えば
図8に示しておく。なお、本図においては目的を「体脂肪を減らしたい」、「引き締まったカラダを目指したい」、「筋肉を増やしたい」の選択肢とした場合の例を示す。
【0040】
ここで、「運動種類データ」とは、運動の種類に関する情報を含むデータである。運動の種類は様々な運動器具によって実現可能であり、この運動種類データを特定することでどの運動を行うのかを特定することが可能となる。例えば運動種類には、トレッドミル、リカンベントバイク、チェストプレス、ショルダープレス、レッグプレス、ラットプルダウン、レッグエクステンション、レッグカール等を例示することができるがこれに限定されない。また、運動種類データは、一つのみの記録であってもよいが、複数記録することとしてもよい。
【0041】
図9は、
図8において、ユーザーが「体脂肪を減らしたい」を選択した場合に、表示装置に表示される画面の一例を、
図10は、
図8において、ユーザーが「引き締まったカラダを目指したい」を選択した場合に、表示装置に表示される画面の一例を、
図11は、
図8において、ユーザーが「筋肉を増やしたい」を選択した場合に、表示装置に表示される画面の一例を、それぞれ示す。これらの図のそれぞれに示された運動の種類のいずれかを選択することで、これが「運動種類データ」として記録される。
【0042】
また、運動種類データには、有酸素運動及びレジスタンス運動の少なくともいずれであるのかといった情報を含む運動区分データを含ませることが好ましい。一般に運動は有酸素運動かレジスタンス運動かに区分けすることができる。そのため、この区分情報を含むデータを含ませることでより効率的な運動提案が可能となる。
【0043】
またここで、「気分データ」とは、ユーザーの気分に関する情報を含むデータである。本データも省略可能であるが、ユーザーの気分は体調によっても反映されるものであり、通常より調子が良い場合は運動量を増やすことができる一方、通常時においては特に運動量を増やす必要がない。気分データを用いることでこれらを区別し、適切な運動量を提案することができるようになる。本データは、上記の通り、タッチ入力及び音声入力の少なくともいずれかによって入力可能な入力装置によって入力されるが、その前に、表示装置によってその入力が促される。なお、この入力時における表示装置の画面について例えば
図12に示しておく。本図では、その日の気分について「今日はがんばれそう」と「今日はほどほどにしよう」の二つを示した例である。
【0044】
またここで、「安静時心拍数データ」とは、ユーザーが安静にしている状態における心拍数に関する情報を含むデータである。安静時心拍数データは、心拍数測定装置Hによって取得可能である。なおこの場合、表示装置にその数値を表示させることが好ましい。
図13にこの指示画面の例について示す。なお、安静時心拍数データは、コンピュータ1に心拍数測定装置Hを接続して自動的にその値を取得、入手することとしてもよいが、コンピュータ1に接続されていない場合であってもよい。その場合、直接その結果をユーザーに入力させることとすることが好ましい。この場合の画面のイメージ図を
図14に示しておく。安静時心拍数データを入力させることで、例えば有酸素運動を行った際の目標心拍数データを設定することで適切な運動強度等を提案することが可能となる。
【0045】
また、本システムSでは、上記対話データに基づき、目標となる運動量データを記録することが可能となる。すなわち上記の通り本プログラムの実行により、(S2)対話データに基づき目標運動量データを記録するステップが実現される。ここで「目標運動量データ」とは、目標となる運動量の情報、具体的には、ユーザーが行う運動の強度やそのレップ数、およびセット数等に関する情報を含むデータ(それぞれ「運動強度データ」、「運動レップ数データ」、「運動セット数データ」をいう)をいう。このように対話データを設定することで、目標運動量を設定することが可能となる。
図15に、運動種類データとしてラットプルダウン、ショルダープレス、レッグプレス、トレッドミルを選択し、表示画面に表示した場合の例を示しておく。ここで、「運動強度データ」とは、運動の強度に関する情報を含むデータであって、例えば、有酸素運動である場合はその目標心拍数に関する情報を含むデータ(目標心拍数データ)であることが好ましく、例えばレジスタンス運動である場合はその重量に関する情報を含むデータ(重量データ)等であることが好ましい。なお、運動レップ数データ等については下記において改めて説明する。
【0046】
また、本図で示すように、本ステップにおいて、運動区分データが有酸素運動データである場合には、その目標運動量データには目標心拍数域データが含まれることが好ましい。目標心拍数を設定することで、具体的に運動量の評価が可能となる。なお、この場合において、目標心拍数は運動強度データといえる。また、この場合において、目標心拍数を維持する時間に関する情報を含むデータ(心拍数維持時間データ)を含ませることも好ましい。すなわち、目標心拍数とその心拍数維持時間を考慮することで目標の運動量を設定することが可能となる。
【0047】
また、本図で示すように、本ステップにおいて、運動区分データがレジスタンス運動強度データである場合には、目標重量データ、目標運動レップ数データ及び目標運動セット数データが含まれることが好ましい。「目標重量データ」とは、レジスタンス運動において必要となる重量の情報を含むデータであって、上記の運動強度データに含まれうる。目標運動レップ数データは、セット内で運動を繰り返す数(レップ数)の情報を含むデータであり、例えば、重量10kgのバーベルを10回持ち上げる運動を1単位とする場合の「10回」に関する情報が目標運動レップ数データといえる。また、目標運動セット数データは、上述の1単位を何回繰り返すのかといった単位(セット)反復回数(セット数)に関する情報であり、例えば、重量10kgのバーベルを10回持ち上げる運動を3セット行う場合の「3セット」に関する情報が目標運動セット数データといえる。運動レップ数の内容及びそのセット回数を具体的に設定することで、目標の運動量を達成することができる。
【0048】
また、本システムSでは、運動を実施した後のデータを入力させる。具体的には、上記の通り本プログラムの実行により(S3)運動実施データを記録するステップが実現される。ここで「運動実施データ」とは、運動を実施した際におけるその結果の情報を含むデータである。例えば、
図16に、チェストプレスを運動種類として選択した場合に、実際に実現できた回数を入力させる例を示す。これにより、後述のようにフィードバックが可能となるといった利点がある。なお、この運動実施データを記録するステップは、1回であってもよいが複数回入力させることとしてもよい。また、運動のセット毎に入力させることとしてもよい。
【0049】
また、本システムSでは、さらに、(S3)運動実施データを記録するステップにおいて、(S3-1)運動開始を指示するステップ、(S3-2)運動終了を入力するステップ、を備えていることが好ましい。また、少なくとも(S3-1)運動開始を指示するステップから(S3-2)運動終了を入力するステップの間に、(S3-3)音楽データに基づき、スピーカー装置から音楽を流すとともに、音楽に合わせて照明装置の明るさや色調を制御するステップ、も実行させることが好ましい。ユーザーが運動を行っている際に音楽と照明を連動させることで、ユーザーにおいてその運動効率、没入感を高めることが可能となるといった利点がある。もちろん、本ステップは、運動開始から終了の間だけでなく、ユーザーがスタジオに入った時から音楽に合わせて照明を調整することとしてもよい。
【0050】
また、本システムSでは、本プログラムの実行により、(S4)運動実施データに基づき目標運動量データを修正して記録するステップが実現されることが好ましい。運動強度データをユーザーに記録させることで、実際に設定した目標運動強度データが適正であったか否かを判定することが可能であり、もし設定した目標運動強度データに達していなかった場合は目標値を下げる必要がある。具体的には、運動強度データに含まれる運動強度を小さくする(例えば重量を少なくする)か、運動レップ数データのセット内容を軽くする(回数を減らす)、および、セット回数自体を減らす(セット回数を減らす)ことの少なくともいずれかが好ましいがこれに限定されない。これにより、ユーザーにとってより適正な運動量に修正することが可能となる。なおこのステップは、運動実施データを入力するステップを複数行う場合に、その回毎に行ってもよいが、最初の入力時のみに行うようにしてもよい。
【0051】
またこの場合において、ユーザーの感覚データを記録することも好ましい。この場合における表示画面に表示される入力画面の例を
図17に示す。本図で示すように、上記の運動実施データに加え、この感覚データを考慮することで、目標運動強度データの再設定を効率的に行うことができるといった利点がある。本図の例では、「余裕であと10回できそう」、「頑張ればあと10回できそう」、「あと10回は無理そう」、「10回できなかった」の例を示しており、仮に「10回できなかった」が選択された場合、目標運動強度データを修正することが可能となる。また逆に「余裕であと10回できそう」が選択された場合は、例えば重量を増やす方向に目標運動強度データを修正することが可能となり、「頑張れば後10回できそう」であれば、その回数をそのまま維持することが可能である。この場合の画面の一例を
図18に示しておく。
【0052】
また、本システムSでは、コンピュータに、(S0)あらかじめ記録した運動機器使用方法データに基づき表示装置に運動機器使用方法を表示させておくことも好ましい。これにより、本システムSを実施するスタジオ内にトレーナー等の専門スタッフがいない場合でも運動機器の使用法をわかりやすく説明することができるといった効果がある。
【0053】
以上、本システムSによって、ユーザーの運動に関する壁を軽減し、適切な運動を継続するために有用な運動支援システムを提供することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、運動支援システムとして産業上の利用可能性がある。
【符号の説明】
【0055】
S…運動支援システム
T…トレーニングマシン
L…照明装置
M…スピーカー装置
H…心拍数測定装置
1…コンピュータ
【要約】
【課題】ユーザーの運動に関する壁を軽減し、適切な運動を継続するために有用な運動支援システムを提供する。
【解決手段】
本発明の一観点に係る運動支援システムSは、タッチ入力及び音声入力の少なくともいずれかによって入力可能な入力装置を備えたコンピュータ1を有する運動支援システムであって、コンピュータは、運動支援プログラムを記録した記録媒体を備えており、運動支援プログラムは、コンピュータに、対話データを記録するステップ、対話データに基づき目標運動量データを記録するステップ、を実行させる。
【選択図】
図2