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特許7668091ピペッティングされる液体の投与を光学的に監視するための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-16
(45)【発行日】2025-04-24
(54)【発明の名称】ピペッティングされる液体の投与を光学的に監視するための装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/10 20060101AFI20250417BHJP
【FI】
G01N35/10 D
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020101334
(22)【出願日】2020-06-11
(65)【公開番号】P2020201265
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2023-05-24
(31)【優先権主張番号】19179863.6
(32)【優先日】2019-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510259921
【氏名又は名称】シーメンス ヘルスケア ダイアグノスティクス プロダクツ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク・アンドレアス・ダウム
(72)【発明者】
【氏名】トシュテン・ミヒェルス
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-149853(JP,A)
【文献】米国特許第05601980(US,A)
【文献】特開2005-345345(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0151840(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0184809(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00 - 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動分析ユニットにピペッティングされる液体の投与を、光学的に監視するための装置(1)であって、
該液体をピペッティングするためのピペッティングニードルを備える投与デバイス(2)と、
該ピペッティングニードルに付着した液滴(4)を照明するための照明デバイス(3)と、
液滴(4)の画像を取得するための光学系のセットを備えたカメラ(5)と、
液滴(4)の画像の自動分析によって液滴(4)を特徴付け、検出された液滴の液滴量が計画された投与量に等しくないことに応答して、追加の投与を決定するための補正値として検出された液滴の液滴量を使用するための評価デバイス(6)と
を備える、装置(1)。
【請求項2】
照明デバイス(3)がリング照明(7)を備える、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
リング照明(7)が、カメラ(5)の上および/または前記光学系の上に配置されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
照明デバイス(3)がミラー(8)を備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
照明デバイス(3)がビームスプリッタ(9)を備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
照明デバイス(3)が、少なくとも1つの光源(10)を備える、請求項1~5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
自動分析ユニットにピペッティングされる液体の投与を、液滴(4)の画像を取得することによって光学的に監視する方法であって、以下の工程を備える方法:
・投与デバイス(2)を使用してピペッティングにより液体を投与する、
・投与が完了した後に、ピペッティングニードルに付着している液滴(4)を照明するために、照明デバイス(3)を使用する、
・光学系のセットおよびカメラ(5)を用いて、液滴(4)の画像を取得する、
・評価デバイス(6)および液滴(4)の画像の自動分析によって、液滴(4)を特徴付ける
・検出された液滴の液滴量が計画された投与量に等しくないことに応答して、追加の投与を決定するための補正値として検出された液滴の液滴量を使用する
【請求項8】
前記の液滴(4)の特徴付けが、液滴(4)の輪郭の決定を備える、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記の液滴(4)の特徴付けが、液滴(4)の体積の決定を備える、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記の液滴(4)の体積の決定が、液滴(4)の対称性に関する少なくとも1つの仮定を備え、少なくとも1つの回転軸における液滴(4)の対称性が仮定される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記の液滴(4)の特徴付けにより、液滴(4)中の液体量が非接触方式で検出される、請求項7~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記の検出された液滴(4)中の液体量が、液体の投与が正確に行われたかどうかを決定するために使用される、および/または投与の質が評価デバイス(6)によって決定される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記決定が、機械学習によって実行される、および/または機械学習システムの使用を備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記の液滴(4)の画像が、請求項1~6のいずれか1項に記載の装置(1)によって取得される、および/または方法全体が請求項1~6のいずれか1項に記載の装置(1)によって実行される、請求項7~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1~6のいずれか1項に記載の装置(1)を備える、および/または請求項7~14のいずれか1項に記載の方法を実行できるように構成され、自動キュベットグリッパーおよび/または自動ピペッターを有する、自動分析ユニット。
【請求項16】
請求項1~6のいずれか1項に記載の装置(1)の、および/または請求項7~14のいずれか1項に記載の方法の、自動分析ユニットにおける使用であって、
該自動分析ユニットは、自動キュベットグリッパーおよび/または自動ピペッターを備える、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析ユニットにピペッティングされる液体の投与量を光学的に監視するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
体液サンプルや他の生体サンプルの生理学的パラメータを決定するための多数の試験および分析方法が、今や体外診断システムとしても知られる自動分析ユニットで大量に自動的に実行されるようになった。
【0003】
最新の分析ユニットは、1つのサンプルで幅広い反応の検出と分析を実行できる。多数の検査を自動で実行するために、様々なデバイスが、グリッパ機能付き搬送アーム、コンベヤーベルトまたは回転搬送ホイールなどの、空間搬送測定セル、反応容器、試薬容器用に、ならびにピペット装置などの液体搬送用デバイス用に望まれている。
これらのデバイスは、適切なソフトウェアを使用して、所望の分析の作業工程をほぼ自動的に計画および処理できる制御ユニットを備えている。
【0004】
このような自動分析ユニットで使用される分析手法の多くは、光学的手法に基づいている。これらの方法は、検体、すなわちサンプルで検出または決定される物質の定性的および定量的試験を可能にする。
検体の濃度や活性などの臨床的に関連するパラメータの決定は、多くの場合に、サンプルの一部を1つまたは複数のテスト試薬と反応容器内で混合することによって実行され、反応容器は測定セルであってよく、プロセスは、例えば、アッセイに光学的または他の物理的特性に測定可能な変化を引き起こす生化学反応または特異的結合反応を開始するものであってもよい。
【0005】
例えば、体液の検査に使用される自動分析ユニットでは、例えば、ピペッティングニードルを備えたピペッティングデバイスを使用して、必要な試薬を測定用キュベットに入れる。
測定用キュベットは、ロボットステーションの一部であるロボットアームを使用して、自動分析ユニット内のキュベットグリッパーで自動的に異なる位置に移動する。測定後、使用された測定用キュベットは、廃棄物シュートを通して廃棄物容器に処分の為に運ばれる。
【0006】
自動分析ユニットでは、プロセスは非常に少量の輸送された液体を含むことがよくある。これは、例えば、電動式の移動可能なピペットによって行われ、ピペットはモーター駆動ポンプによって操作される。
ポンプは、液体の供給中に規定の過圧を生成し、流体の収集中に規定の負圧を生成する。
ピペットには非圧縮系流体が充填されており、ポンプで指定された圧力条件または圧力変化がピペットの先端で最小限の損失で再現されることを確実とし、したがって高レベルのピペッティング精度が確保される。
【0007】
体外サンプルの自動分析のための診断アナライザーなどの医療機器では、ピペットによる液体の投与と液滴のピペット操作の誤差によって測定が低精度になり、正しくない測定結果になる可能性がある。液滴ディスペンスにおけるそのような誤差は、例えば、投与ユニットでの誤った投与によって引き起こされる。
【0008】
自動分析装置での監視とその後の検証は、これまでは通常、ピペッターによって投与される液体のディスペンス中に、またはピペッティングニードルがピペッティングされている液体に浸されている時に、投与ユニットの誤作動などによる充填レベルの偏差を検出するために、容量測定を用いてピペッティングされた液体の量を決定することによって行われていた。あるいは、圧力測定が、ピペットによって投与される液体のピペッティング中に行われていた。
【0009】
例えば、ピペッターを介して容器内の傾斜した壁に、試薬を、非常に少量の液体を最適にピペット操作するようなピペッティング時には、流体の分離が制御されず、流体の一部または全部がピペッティングニードルに付着して、適切にディスペンスされないことが時々生じるかもしれない。
この場合は、容量測定や圧力測定でさえも、アースが無いせいで対極がないことから、成し遂げることが困難である。液体は、傾斜した壁を流れ落ち、それ故、もはやピペットと接触しなくなる。
【0010】
したがって、単一投与操作において、変更された充填レベルを後で確認することが以前では不可能であり、それ故に投与ユニットの正しい機能を確認することが以前では不可能であった。
【0011】
したがって、従来技術の装置は、自動分析ユニットにおけるピペッティングされた液体の投与の確実な監視を常に可能にするわけではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の目的は、自動分析ユニットに対して、ピペッティングされた流体の投与を監視するための改良された装置および改良された方法を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】自動分析ユニットにピペッッティングされる液体の投与を光学的に監視するための装置の、異なる有利な実施形態の構造を概略的に示している。
図2】自動分析ユニットにピペッッティングされる液体の投与を光学的に監視するための装置の、異なる有利な実施形態の構造を概略的に示している。
図3】自動分析ユニットにピペッッティングされる液体の投与を光学的に監視するための装置の、異なる有利な実施形態の構造を概略的に示している。
図4】自動分析ユニットにピペッッティングされる液体の投与を光学的に監視するための装置の、異なる有利な実施形態の構造を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この目的は、以下に記載される目的および方法による本発明に従って達成される。
【0015】
自動分析装置にピペッティングされる液体の投与量を監視するためのに良された装置は、視覚的にカメラを使用して投与プロセスを監視し、ピペッティングニードルに付着した液滴の画像を評価して、それに応じて液滴を特徴付けることによって達成し得ることが見出されていた。
投与自体は、通常、関連するポンプシステムのピストンの駆動モーターの適切に自動化された監視機器によって監視される。
しかしながら、これは、例えば、ピペッティングされる液体の全体積が、例えば反応容器に実際にディスペンスされいたかどうか、および投与が正しく行われたかどうか、またはかなりの量の液体の残留物が、例えばピペッティングニードルの先端に付着したままであるかどうかを示すためには使用できない。
光学的監視には、投与プロセスを高精度で監視できるという利点がある。監視は非接触であり、投与プロセスに依存しない。これは、例えば容量レベル測定でピペッティングニードルが液体から出たときのラメラ分離が原因で発生する干渉変動や低精度さが回避されるようにするためである。
単一量の液体がディスペンスされ、例えば周囲の媒体が液体でないために容量測定が不可能である投与プロセスにおいて、本発明による装置は、実行された実際の投与プロセスの正確な監視を初めて可能にする。
同様の利点は、液体が傾斜した壁にディスペンスされ、液滴が壁を滑り落ちるような投与プロセスの監視に対して得られる。
【0016】
本発明の課題は、特に、自動分析ユニットにピペッティングされる液体の投与を光学的に監視するための装置であり、この装置は、液体をピペッティングするためのピペッティングニードルを備える投与デバイスと、ピペッティングニードルに付着している液滴を照明するための照明デバイスと、液滴の画像を取得する光学系のセットを備えたカメラ、および液滴の画像の自動分析により液滴を特徴付けるための評価デバイスとを備える。
【0017】
好ましくは、評価デバイスは、1つまたは複数のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)および/またはコンピュータを備え、コンピュータは、好ましくは、画像処理のための1つまたは複数のグラフィックカードを備える。
【0018】
カメラは、好ましくは、コンピュータおよび/またはFPGAおよび/またはマイクロコントローラまたは他の適切なデータ処理機械に接続される。
【0019】
好ましくは、本発明による装置は、液滴の画像を取得するためのカメラに、および/または液滴を特徴付けるための評価デバイスに、トリガー信号を送信することができるトリガーデバイスを備える。好ましくは、連続的または疑似連続的な画像の記録または評価が、トリガー信号によって開始することができる。
【0020】
好ましくは、トリガーデバイスは、光バリア、例えばフォーク型光バリアおよび/または距離センサーを備え、距離センサーは、好ましくは飛行測定および/または三角測量によって距離を決定する。好ましくは、距離センサーは、超音波距離センサー、誘導距離センサーおよび/または可変光束に基づく距離センサーであることができる。
【0021】
トリガー信号は、好ましくは、装置の一部の動きに応答してトリガーデバイスによって開始され得る。装置は、例えば、キュベットおよび/またはピペッティングニードルであることができる。装置は、好ましくは自動分析ユニットの一部である。
【0022】
別の好ましい実施形態では、例えば別のデバイスの動きを順に制御するデバイスを介して、トリガー信号を生成することもできる。
【0023】
トリガーデバイスは、好ましくは、例えば操作を、好ましくはスイッチング操作をトリガーするための、電子部品および/または光学部品を備える。
【0024】
好ましいデザインでは、照明デバイスはリング照明を備える。
【0025】
別の好ましいデザインでは、リング照明は、カメラおよび/または光学系に配置される。
【0026】
別の好ましいデザインでは、照明デバイスは鏡を備える。好ましくは、鏡は、カメラの光学系を使用しながら、鏡を介して液滴が撮像され得るように配置される。
【0027】
別の好ましいデザインでは、照明デバイスは、ビームスプリッタを備える。好ましくは、ビームスプリッタは、カメラの光学系を使用しながら、ビームスプリッタを介して液滴が撮像され得るように配置される。
液滴の照明は、ビームスプリッタを使用する照明デバイスによって有利に結合される。
【0028】
別の好ましいデザインでは、照明デバイスは、少なくとも1つの光源、好ましくは2つ以上の光源、特に好ましくは3つの光源を備える。
【0029】
本発明のさらなる課題は、自動分析装置にピペッティングされる液体の投与を、液滴の画像取得によって光学的に監視するための方法であり、好ましくは本発明による装置を使用して、ピペッティングされる液体の投与を光学的に監視するための方法であり、以下の工程を備える方法である:
・投与デバイスを使用してピペッティングによって液体を投与する、
・投与が完了した後、ピペッティングニードルに付着している液滴を照明する為に、照明デバイスを使用する、
・光学系およびカメラを使用して液滴の画像を取得する、
・評価デバイスと液滴の画像の自動分析によって液滴を特徴評価する。
【0030】
好ましくは、液滴の画像の取得は、トリガーデバイスからのトリガー信号によって開始される。トリガー信号はトリガーデバイスによってカメラに送信される。あるいは、トリガー信号とは無関係に、連続的に取得を実行することもできる。
【0031】
好ましくは、評価デバイスによる液滴の特徴付けは、トリガーデバイスからのトリガー信号により開始される。トリガー信号はトリガーデバイスにより評価デバイスに送信される。あるいは、トリガー信号とは無関係に、継続的に液滴の特徴評価を実行することもできる。
【0032】
好ましくは、連続的または疑似連続的な画像の記録または評価は、トリガー信号によって開始することができる。画像の記録および/または評価は、さらなるトリガー信号が対応する終了をトリガーするまで、または所定の時間が経過するまで実行されることが好ましい。
【0033】
トリガー信号は、好ましくは、装置の一部の動きに応答してトリガーデバイスによって開始される。装置は、例えば、キュベットおよび/またはピペッティングニードルであることができる。装置は、好ましくは自動分析ユニットの一部である。
【0034】
別の好ましい実施形態では、トリガー信号は、別のデバイスの動きを順に制御するデバイスを介して生成される。
【0035】
この方法の好ましい実施態様では、液滴の特徴付けは、液滴の輪郭の決定を備える。
【0036】
この方法のさらに好ましい実施態様では、液滴の特徴付けは、液滴の体積の決定を備える。
【0037】
この方法のさらに好ましい実施態様では、液滴の体積の決定は、液滴の対称性に関する少なくとも1つの仮定を備える。液滴は、好ましくは、少なくとも1つの回転軸において対称であると仮定される。
【0038】
この方法のさらに好ましい実施態様では、液滴の特徴付けは、液滴中の液体の量の非接触検出を備える。
好ましくは、液滴中の検出された液体の量はまた、液体の投与が正しく行われたかどうか、および/または投与の質が決定されたかどうかを決定するために用いられ、これは好ましくは評価デバイスによって実行される。
例えば、もしも、検出された液体の体積が、絶対的な制限または例えばピペットされる液体の量に依存する事前規定の変動の限界を超える場合には、液体投与は進行しておらず、そうでなければ、それは正しく進行している。
投与が適切な方法で行われなかった場合には、投与プロセスの適切な特徴付けが有利に自動的に行われ、例えばモニターまたは紙のプリントアウト上の対応する表示を介して研究室の職員に伝えられる。あるいは、例えば、対応する測定プロセスを自動的に中止し、そして再開することもできる。
【0039】
あるいは、検出された液滴の液体量は、補正値として有利に使用され、実施された実際の投与は、計画された投与量から検出された液滴内の液体量を差し引くことによって決定される。
次に、任意選択で、適切な追加の投与を有利に実施することができ、これにより、失われた量の液体が追加される。これには、不正確な測定が回避され、および/またはそのように識別できるという利点がある。
【0040】
その方法の好適な履行において、液体投与が正しく行われたかどうかの、および/または投薬の質の決定は、機械学習によって行われる、および/または機械学習システムの使用を備える。
【0041】
好ましい実施形態においては、ピペッティングニードルに付着している液滴の体積は、最初に対応する量の液体を秤量し、次に、複数の液滴の画像データを使用して、それを比較することによって決定される。
画像データは、液滴の画像を備える。較正は、したがって、事前に行われることが好ましい。
これに続いて、機械学習を使用して適切な品質を液体の投与に割り当てることが好ましい。
【0042】
好ましくは、本発明による方法は、本発明による装置によって、部分的または完全に実施される。
これは、好ましくは、本発明による装置を使用して液滴の画像を取得することを含む。
本発明の別の課題は、ピペッティングされる液体の投与を光学的に監視するための本発明による前述の装置を備え、かつ/または本発明による方法を実行できるように構成されている、分析ユニットである。
分析ユニットはまた、有利に、自動キュベットグリッパーおよび/または自動ピペッターを備える。
【0043】
本発明のさらなる課題は、自動分析ユニットにおいてピペッティングされる液体の投与を光学的に監視するための本発明による装置の使用であり、自動分析ユニットは、好ましくは自動キュベットグリッパーおよび/または自動ピペッターを備える。
本発明の目的において、「サンプル」は、検出される物質(分析対象物)を含むと推定される材料を意味する。
【0044】
特に、「サンプル」という用語は、血液、血漿、血清、痰、滲出液、気管支肺胞洗浄液、リンパ液、滑液、精液、膣粘液、糞便、尿、CSFなどの人間または動物の体液だけでなく、例えば、光度分析用の、好ましくは比濁分析用の均質化または細胞溶解による、適切に準備された組織または細胞培養サンプルも包含する。
加えて、例えば、植物起源の液体または組織、法医学サンプル、上下水道サンプル、食料品、医薬品もサンプルとして機能してもよく、分析前に適切に前処理が必要とされてもよい。
【0045】
定量テストは、サンプル中の分析対象物の量、濃度、または活性を測定する。
「定量試験」という用語には、サンプル中の分析対象物の概算の量、濃度、あるいは活性を測定することのみできる、または相対的な量、濃度、あるいは活性を示すためにのみ使用できる、半定量的方法も含まれる。
定性テストは、サンプル中の分析対象物の有無の検出である、またはサンプル中の分析対象物の量、濃度、あるいは活性が、1つまたは複数の特定の閾値を超えている、または下回っていることの表明である。
【0046】
例えば、測定用キュベットは、ガラス、プラスチック、または金属製の、キュベットまたは反応容器である。測定用キュベットは、光学的に透明な材料から有利に製造され、光学分析法を使用する場合に特に有利であることができる。
【0047】
「測定用キュベット」および「キュベット」という用語は互換的に使用され、同じ物を指す。
【0048】
「分析ユニット」と「アナライザー」という用語は、ここでは互換的に使用され、同じ物を指す。
【0049】
一つの液滴は、例えば、液体の膜の形態、球根の形状に類似した形状、または液体の球状の飛沫として存在することができる液体量である。
液体量は、好ましくは、極めて少量の液体を含み、例えば1~100マイクロリットルの範囲、好ましくは5~10マイクロリットルの範囲にすることができる。
【0050】
カメラは、好ましくは、1つの電荷結合素子(CCD)チップまたは複数のCCDチップを備えたデジタル記録デバイスを備える。
デジタル記録デバイスは、特に好ましくは、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)技術に基づいている、および/またはCMOSチップを備えている。カメラは、好ましくはデジタル記録デバイスであってもよい。
【実施例
【0051】
次に、本発明の例を、図面を参照してさらに詳細に説明する。
【0052】
図において、図1、2、3および4は、自動分析ユニットにピペッッティングされる液体の投与を光学的に監視するための装置の、異なる有利な実施形態の構造を概略的に示している。
【0053】
同等の部品には、全ての図で同じ参照符号が付けられている。
【0054】
図1図4による装置(1)は、詳細には示されていないが、サンプルの広範囲な分析を実行するように設計された分析ユニットに内蔵されている。
目的を達成するために、自動分析ユニットは、複数のピペッティングデバイスおよび輸送デバイスと、図示はされていないが、分析の自動評価のための制御ユニットに加えて、液滴(4)の画像の自動評価による、投与デバイス(2)に付着する液滴(4)の特徴付けの為の評価デバイス(6)とを備えている。
各装置(1)は、自動分析ユニットにピペッティングされる液体の投与を光学的に監視するように設計されている。
【0055】
図1に示される装置(1)の実施形態では、液滴(4)は、投与デバイス(2)によってピペッティングされる。
液滴(4)はピペッティングニードルの先端に付着している。液滴(4)の下には、光学系セットを備えたカメラ(5)が配置されている。液滴は、照明デバイス(3)によって、下からある角度で直接照明され、照明デバイス(3)は光源(10)を備えている。
【0056】
図2に示される装置(1)の実施形態では、液滴(4)は、投与デバイス(2)によってピペッティングされる。液滴(4)はピペッティングニードルの先端に付着している。液滴(4)の高さで、光学系システムを備えたカメラ(5)は1方の側に配置されている。液滴は、照明デバイス(3)によって側面から照明され、照明デバイス(3)はリング照明(7)としてデザインされている。リング照明(7)はカメラ(5)の光学系の上に配置されている。
【0057】
図3に示す装置(1)の実施形態では、液滴(4)は、投与デバイス(2)によってピペッティングされる。液滴(4)は、ピペッティングニードルの先端に位置している。液滴(4)の高さのわずか下方に、光学系のセットを備えたカメラ(5)が1方の側に配置されている。液滴は、照明デバイス(3)によって側面から照明され、照明デバイス(3)は、カメラ(5)の光学系上に配置されたリング照明(7)と、2つの他の光源(10)とを備えている。
リング照明(7)と他の2つの光源(10)の両方が液滴(10)を直接照明する。
さらに、光学ミラー(8)は、カメラ(5)の光軸に対してある角度で液滴(4)の下に配置されている。
カメラ(5)の光学系による液滴の画像化は、ミラー(8)を介して実行される。
【0058】
図4に示される装置(1)の実施形態では、液滴(4)は、投与デバイス(2)によってピペッティングされる。液滴(4)はピペッティングニードルの先端に付着している。液滴(4)の高さで、光学系システムを備えたカメラ(5)が、1方の側に配置されている。ビームスプリッター(9)が液滴(4)とカメラ(5)との間に配置されている。ビームスプリッター(9)の上には、照明デバイス(3)が設けられており、照明デバイス(3)は光源(10)を備えている。
光源から出た光は、ビームスプリッター(9)によって偏向され、カメラ(5)の光学軸に沿って液滴(4)に当たり、照明する。
液滴(4)は、カメラの光学系を使用して、ビームスプリッター(9)を介して画像化される。
【0059】
参照符号のリスト
1 装置
2 投与デバイス
3 照明デバイス
4 液滴
5 カメラ
6 評価デバイス
7 リング照明
8 ミラー
9 ビームスプリッター
10 光源
図1
図2
図3
図4