(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-16
(45)【発行日】2025-04-24
(54)【発明の名称】医用画像診断装置及びX線CT装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20250417BHJP
A61B 6/04 20060101ALI20250417BHJP
【FI】
A61B6/03 530Z
A61B6/04 531Z
(21)【出願番号】P 2021088192
(22)【出願日】2021-05-26
【審査請求日】2024-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大石 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】後藤 崇博
【審査官】佐藤 賢斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-029844(JP,A)
【文献】特開2015-229096(JP,A)
【文献】特開2004-223027(JP,A)
【文献】特開2005-160929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を撮影する撮影部と、
前記被検体を保持する保持部と、
前記被検体を第1の撮影体位及び第2の撮影体位で撮影できるように前記保持部の姿勢を変更する姿勢変更部と、
前記保持部に設けられ、前記姿勢変更部による前記保持部の姿勢変更の前後において、前記被検体の第1の基準部位に対する相対位置が同等となる位置に配置される第1ランドマークと、
前記第1の撮影体位における前記被検体の撮影範囲を決定する決定部と、
前記第1の撮影体位における前記撮影範囲と、前記保持部の姿勢変更前後における前記第1ランドマークの位置の変位量とに基づいて、前記第2の撮影体位における撮影範囲を特定する特定部と、
を備え
、
前記第1の撮影体位又は前記第2の撮影体位の何れか一方が立位であり、
前記第1ランドマークは、前記第1の撮影体位又は前記第2の撮影体位が立位である場合に、前記第1の基準部位としての前記被検体の足底部を支持する足場として設けられる、
医用画像診断装置。
【請求項2】
被検体を撮影する撮影部と、
前記被検体を保持する保持部と、
前記被検体を第1の撮影体位及び第2の撮影体位で撮影できるように前記保持部の姿勢を変更する姿勢変更部と、
前記保持部に設けられ、前記姿勢変更部による前記保持部の姿勢変更の前後において、前記被検体の第1の基準部位に対する相対位置が同等となる位置に配置される第1ランドマークと、
前記保持部に設けられ、前記第1ランドマークが配置される前記第1の基準部位とは異なる前記被検体の第2の基準部位に配置される第2ランドマークと、
前記第1の撮影体位における前記被検体の撮影範囲を決定する決定部と、
前記第1の撮影体位における前記撮影範囲と、前記保持部の姿勢変更前後における前記第1ランドマークの位置の変位量とに基づいて、前記第2の撮影体位における撮影範囲を特定する特定部と、
を備え、
前記特定部は、前記保持部の姿勢変更前後における、前記第1ランドマーク及び前記第2ランドマークの配置位置と、前記第1ランドマークと前記第2ランドマークとの間隔の変位量とに基づいて、前第2の撮影体位における撮影範囲を特定する、
医用画像診断装置。
【請求項3】
前記第1ランドマークは、前記第1の基準部位としての前記被検体の体軸方向の端部位置に設けられる、
請求項
2に記載の医用画像診断装置。
【請求項4】
前記第1ランドマークは、前記第1の基準部位としての前記被検体の足底部に接する位置に設けられる、
請求項
3に記載の医用画像診断装置。
【請求項5】
前記第1の撮影体位又は前記第2の撮影体位の何れか一方が立位であり、
前記第1ランドマークは、前記第1の撮影体位又は前記第2の撮影体位が立位である場合に、前記第1の基準部位としての前記被検体の足底部を支持する足場として設けられる、
請求項
4に記載の医用画像診断装置。
【請求項6】
前記第1ランドマークは、前記第1の撮影体位又は前記第2の撮影体位が立位である場合に、前記第1の基準部位としての前記被検体の足底部を支持する足場を取付可能な取付部を備える、
請求項
4に記載の医用画像診断装置。
【請求項7】
前記第1ランドマークは、前記第1の基準部位としての前記被検体の頭頂部に接する位置に設けられる、
請求項2
又は3に記載の医用画像診断装置。
【請求項8】
前記被検体の体軸方向での前記第1ランドマークの位置の変位量を測定する測定部を更に備え、
前記特定部は、前記第1の撮影体位での撮影範囲を前記測定部が測定した前記変位量分だけ前記体軸方向に移動させた位置を、前記第2の撮影体位での撮影範囲として特定する、
請求項1乃至
7の何れか1項に記載の医用画像診断装置。
【請求項9】
前記第1ランドマークは、第1の撮影体位である仰臥位又は立位において、前記第1の基準部位としての前記被検体の頭頂部に接する位置に配置され、
前記第2ランドマークは、前記第1の撮影体位において、前記第2の基準部位としての前記被検体の足底部に接する位置に配置され、前記第2の撮影体位である座位において、前記被検体の腰部又は臀部に配置される、
請求項
2に記載の医用画像診断装置。
【請求項10】
前記第2ランドマークは、前記第2の撮影体位において前記被検体が着座する座板として設けられる、
請求項9に記載の医用画像診断装置。
【請求項11】
前記第2ランドマークは、前記第2の撮影体位において前記被検体が着座する座板を取付可能な取付部を備える、
請求項9に記載の医用画像診断装置。
【請求項12】
被検体を撮影する撮影部と、
前記被検体を保持する保持部と、
前記被検体を第1の撮影体位及び第2の撮影体位で撮影できるように前記保持部の姿勢を変更する姿勢変更部と、
前記保持部に設けられ、前記姿勢変更部による前記保持部の姿勢変更の前後において、前記被検体の第1の基準部位に対する相対位置が同等となる位置に配置される第1ランドマークと、
前記第1の撮影体位における前記被検体の撮影範囲を決定する決定部と、
前記第1の撮影体位における前記撮影範囲と、前記保持部の姿勢変更前後における前記第1ランドマークの位置の変位量とに基づいて、前記第2の撮影体位における撮影範囲を特定する特定部と、
を備え
、
前記第1の撮影体位又は前記第2の撮影体位の何れか一方が立位であり、
前記第1ランドマークは、前記第1の撮影体位又は前記第2の撮影体位が立位である場合に、前記第1の基準部位としての前記被検体の足底部を支持する足場として設けられる、
X線CT装置。
【請求項13】
被検体を撮影する撮影部と、
前記被検体を保持する保持部と、
前記被検体を第1の撮影体位及び第2の撮影体位で撮影できるように前記保持部の姿勢を変更する姿勢変更部と、
前記保持部に設けられ、前記姿勢変更部による前記保持部の姿勢変更の前後において、前記被検体の第1の基準部位に対する相対位置が同等となる位置に配置される第1ランドマークと、
前記保持部に設けられ、前記第1ランドマークが配置される前記第1の基準部位とは異なる前記被検体の第2の基準部位に配置される第2ランドマークと、
前記第1の撮影体位における前記被検体の撮影範囲を決定する決定部と、
前記第1の撮影体位における前記撮影範囲と、前記保持部の姿勢変更前後における前記第1ランドマークの位置の変位量とに基づいて、前記第2の撮影体位における撮影範囲を特定する特定部と、
を備え、
前記特定部は、前記保持部の姿勢変更前後における、前記第1ランドマーク及び前記第2ランドマークの配置位置と、前記第1ランドマークと前記第2ランドマークとの間隔の変位量とに基づいて、前第2の撮影体位における撮影範囲を特定する、
X線CT装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用画像診断装置及びX線CT装置に関する。
【0002】
従来、立位や臥位など撮影体位を変えながら撮影を行うことが可能なX線コンピュータ断層(Computed Tomography)撮影装置(以下、「X線CT装置」と呼ぶ。)が知られている。
【0003】
ところで、撮影体位を変えることにより、寝台と被検体との位置関係が変わる可能性がある。このような場合は、撮影範囲を決めるための位置決め画像をそれぞれの撮影体位で撮影することとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、撮影体位を変えながら撮影を行う際の撮影範囲の位置決めを効率的に行うことである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る医用画像診断装置は、撮影部と、保持部と、姿勢変更部と、第1ランドマークと、決定部と、特定部と、を備える。撮影部は、被検体を撮影する。保持部は、被検体を保持する。姿勢変更部は、被検体を第1の撮影体位及び第2の撮影体位で撮影できるように保持部の姿勢を変更する。第1ランドマークは、保持部に設けられ、姿勢変更部による保持部の姿勢変更の前後において、被検体の第1の基準部位に対する相対位置が同等となる位置に配置される。決定部は、第1の撮影体位における撮影範囲を決定する。特定部は、第1の撮影体位における撮影範囲と、保持部の姿勢変更前後における第1ランドマークの位置の変位量とに基づいて、第2の撮影体位における撮影範囲を特定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る仰臥位撮影時の寝台装置の一例を示す説明図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る立位撮影時の寝台装置の一例を示す説明図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る立位における撮影範囲の特定処理の一例を示す説明図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係る仰臥位撮影時の寝台装置の一例を示す説明図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態に係る座位撮影時の寝台装置の一例を示す説明図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る座位における撮影範囲の特定処理の一例を示す説明図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、実施形態に係る医用画像診断装置について説明する。説明を具体的にするために、実施形態に係る装置として、医用画像診断装置がX線CT装置である場合を例として説明する。また、以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作を行うものとして、重複する説明を適宜省略する。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るX線CT装置1の構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、X線CT装置1は、架台装置10と寝台装置30とコンソール装置40とを有する。
【0010】
なお、本実施形態では、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸の長手方向をZ軸方向、Z軸方向に直交し、かつ回転中心から回転フレーム13を支持する支柱に向かう方向をX軸、当該Z軸及びX軸と直交する方向をY軸とそれぞれ定義するものとする。
【0011】
架台装置10は、診断に用いられる医用画像を撮影するための撮影系19を有する。撮影系19は、例えば、X線管11、X線検出器12、ウェッジ16、及びコリメータ17で構成される。すなわち、架台装置10は、被検体PにX線を照射し、被検体Pを透過したX線の検出データから投影データを収集する撮影系19を有する装置である。したがって、架台装置10の撮影系19は、撮影部の一例であると言える。
【0012】
また、架台装置10は、被検体Pを収容するための開口部を有する。被検体Pが載置された天板33は、寝台装置30が設けられる側を入り口として開口部へ収容される。なお、この例では、被検体Pは、足底部側を開口部に向けて撮影を行うが、被検体Pは、頭頂部側を開口部に向けて撮影を行ってもよい。
【0013】
架台装置10は、X線管11と、ウェッジ16と、コリメータ17と、X線検出器12と、X線高電圧装置14と、DAS(Data Acquisition System)18と、回転フレーム13と、制御装置15と、寝台装置30とを有する。
【0014】
X線管11は、X線高電圧装置14からの高電圧の印加により、陰極(フィラメント)から陽極(ターゲット)に向けて熱電子を照射する真空管である。例えば、X線管11には回転する陽極に熱電子を照射することでX線を発生させる回転陽極型のX線管がある。
【0015】
ウェッジ16は、X線管11から照射されたX線のX線量を調節するためのフィルタである。具体的には、ウェッジ16は、X線管11から被検体Pへ照射されるX線が、予め定められた分布になるように、X線管11から照射されたX線を透過して減衰するフィルタである。
【0016】
ウェッジ16は、例えばウェッジフィルタ(wedge filter)またはボウタイフィルタ(bow-tie filter)であり、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウムを加工したフィルタである。
【0017】
コリメータ17は、ウェッジ16を透過したX線の照射範囲を絞り込むための鉛板等であり、複数の鉛板等の組み合わせによってスリットを形成する。なお、コリメータ17は、X線絞りと呼ばれる場合もある。
【0018】
X線検出器12は、X線管11から照射され、被検体Pを通過したX線を検出し、当該X線量に対応した電気信号をデータ収集装置(DAS18)へと出力する。X線検出器12は、例えば、X線管11の焦点を中心として1つの円弧に沿ってチャネル方向に複数のX線検出素子が配列された複数のX線検出素子列を有する。
【0019】
X線検出器12は、例えば、X線管11の焦点を中心として一つの円弧に沿ってチャネル方向に複数のX線検出素子が配列された複数のX線検出素子列を有する。X線検出器12は、例えば、チャネル方向に複数のX線検出素子が配列されたX線検出素子列がスライス方向(体軸方向、列方向とも呼ばれる)に複数配列された構造を有する。
【0020】
また、X線検出器12は、例えば、グリッドと、シンチレータアレイと、光センサアレイとを有する間接変換型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有し、シンチレータは入射X線量に応じた光子量の光を出力するシンチレータ結晶を有する。グリッドは、シンチレータアレイのX線入射側の面に配置され、散乱X線を吸収する機能を有するX線遮蔽版を有する。
【0021】
光センサアレイは、シンチレータからの光量に応じた電気信号に変換する機能を有し、例えば、光電子増倍管(PMT)等の光センサを有する。なお、X線検出器12は、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。
【0022】
X線高電圧装置14は、変圧器(トランス)及び整流器などの電気回路を有し、X線管11に印加する高電圧を発生する機能を有する高電圧発生装置と、X線管11が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。
【0023】
なお、X線高電圧装置14は、回転フレーム13に設けられてもよいし、架台装置10の固定フレーム(図示しない)側に設けられても構わない。なお、固定フレームは、回転フレーム13を回転可能に支持するフレームである。
【0024】
DAS18は、X線検出器12の各X線検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を行う増幅器と、電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器とを有し、検出データを生成する。DAS18が生成した検出データは、コンソール装置40へと転送される。
【0025】
回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを対向支持し、制御装置15によってX線管11とX線検出器12とを回転させる円環状のフレームである。なお、回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12に加えて、X線高電圧装置14やDAS18を更に支持する。
【0026】
回転フレーム13は架台装置10の非回転部分(例えば固定フレーム。
図1での図示は省略している)により回転可能に支持される。回転機構は例えば回転駆動力を生ずるモータと、当該回転駆動力を回転フレーム13に伝達して回転させるベアリングとを含む。モータは例えば当該非回転部分に設けられ、ベアリングは回転フレーム13及び当該モータと物理的に接続され、モータの回転力に応じて回転フレーム13が回転する。
【0027】
回転フレーム13と非回転部分にはそれぞれ、非接触方式または接触方式の通信回路が設けられ、これにより回転フレーム13に支持されるユニットと当該非回転部分あるいは架台装置10の外部装置との通信が行われる。
【0028】
例えば、非接触の通信方式として光通信を採用する場合、DAS18が生成した検出データは、回転フレーム13に設けられた発光ダイオード(LED)を有する送信機から光通信によって架台装置10の非回転部分に設けられた、フォトダイオードを有する受信機に送信され、さらに送信器により当該非回転部分からコンソール装置40へと転送される。
【0029】
なお、通信方式としては、この他に容量結合式や電波方式などの非接触型のデータ伝送の他、スリップリングと電極ブラシを使った接触型のデータ伝送方式を採用しても構わない。
【0030】
制御装置15は、CPU等を有する処理回路と、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構とを有する。制御装置15は、コンソール装置40若しくは架台装置10に取り付けられた、後述する入力インターフェース43からの入力信号を受けて、架台装置10及び寝台装置30の動作制御を行う機能を有する。
【0031】
例えば、制御装置15は、入力信号を受けて回転フレーム13を回転させる制御や、架台装置10をチルトさせる制御、及び寝台装置30及び天板33を動作させる制御を行う。なお、架台装置10をチルトさせる制御は、架台装置10に取り付けられた入力インターフェースによって入力される傾斜角度(チルト角度)情報により、制御装置15がX軸方向に平行な軸を中心に回転フレーム13を回転させることによって実現される。
【0032】
なお、制御装置15は架台装置10に設けられてもよいし、コンソール装置40に設けられても構わない。
【0033】
寝台装置30は、スキャン対象の被検体Pを載置、移動させる装置であり、基台31と、寝台駆動装置32と、天板33と、支持フレーム34とを備える。基台31は、支持フレーム34を鉛直方向(
図1のY軸方向)に移動可能に支持する筐体である。寝台駆動装置32は、被検体Pが載置された天板33をその長軸方向(
図1のZ軸方向)に移動させるモータあるいはアクチュエータである。
【0034】
支持フレーム34の上面に設けられた天板33は、仰臥位において被検体Pが載置される板である。仰臥位における被検体Pの載置は、被検体Pの保持と言い換えることもできる。また、天板33は、立位において被検体Pを保持する。天板33は、保持部の一例である。なお、寝台駆動装置32は、天板33に加え、支持フレーム34を天板33の長軸方向に移動してもよい。
【0035】
寝台駆動装置32は、制御装置15からの制御信号に従って、基台31を上下方向に移動させる。また、寝台駆動装置32は、制御装置15からの制御信号に従って、天板33を長軸方向(
図1のZ軸方向)に移動させる。
【0036】
さらに、寝台駆動装置32は、被検体Pを仰臥位及び立位で撮影できるように天板33の姿勢(天板33が被検体Pを保持する角度)を変更する。寝台駆動装置32は、姿勢変更部の一例である。仰臥位は、第1の撮影体位の一例である。なお、第2の撮影体位は第1の撮影体位以外の撮影体位のことである。つまり、立位は、第2の撮影体位の一例である。
【0037】
図2は、第1実施形態に係る仰臥位撮影時の寝台装置20の一例を示す説明図である。なお、
図2の例では、被検体Pは、天板33の長軸方向において、架台装置10が設けられる側に頭頂部側を向けて天板33に載置されている。天板33は、位置合わせを支援するための構造物(以下、ランドマークともいう)L1を備える。
【0038】
ランドマークL1は、例えば、天板33に取り付けられる。また、ランドマークL1は、天板33に沿って移動可能である。これにより、ランドマークL1は、被検体Pの姿勢の変位(以下、体位変化ともいう)に伴い、天板33上における位置を変位させることができる。本実施形態におけるランドマークL1は、第1ランドマークの一例である。
【0039】
ここで、被検体Pの体位変化とは、例えば、天板33と被検体Pとの相対的な位置関係が変化することをいう。また、例えば、仰臥位と立位で生じる被検体Pの僅かな身長の変化等も被検体Pの体位変化に含まれるものとする。
【0040】
なお、天板33に対するランドマークL1の取り付け方法は特に問わず、種々の方法を採用することができる。例えば、天板33は、X軸方向において、被検体Pが載置される部分を挟んで対向する1対のガイドレールを備える構成としてもよい。この場合、ランドマークL1は、ガイドレールに滑動自在に支持されるスライダを備えており、当該スライダを介して天板33に取り付けられる。
【0041】
また、ランドマークL1は、被検体Pの位置に併せてスライダが滑動することによって、
図2のZ軸方向に移動する。なお、ランドマークL1は、モータやアクチュエータによって自動で移動させてもよいし、操作者が手動で移動させてもよい。
【0042】
寝台駆動装置32は、基台31を矢印の方向に回転移動させることにより、天板33及び支持フレーム34の長軸方向をY軸方向とすることで、
図3に示すように、撮影体位を仰臥位~立位に変位させる。
【0043】
図3は、第1実施形態に係る立位撮影時の寝台装置20の一例を示す説明図である。寝台駆動装置32が撮影体位を立位に変位させると、被検体Pの移動に併せてランドマークL1が下方(被検体Pの体軸方向の足底部側)に移動する。例えば、ランドマークL1がモータにより自動で移動する場合、ランドマークL1は、被検体Pの体位変化に合わせてモータが駆動することで下方に移動する。
【0044】
この場合、ランドマークL1は、予め定めた距離を移動してもよい。被検体Pの体型により移動距離を変更してもよい。
【0045】
なお、ランドマークL1を手動で移動する場合は、医師や技師等の医療スタッフが被検体Pの姿勢の変化に合わせてランドマークL1を下方に移動させる。また、仰臥位から立位に変位させる場合には、被検体Pの体重を利用してランドマークL1を下方に移動させてもよい。
【0046】
ランドマークL1は、仰臥位において、被検体Pの足底部に接する位置に配置される。この場合、仰臥位において、ランドマークL1が、被検体Pの足底部に接する位置に配置されたか否かは、ランドマークL1に設けた接触センサ等により検知してもよい。
【0047】
また、ランドマークL1は、撮影体位が仰臥位から立位に変位しても、仰臥位の時と同様に被検体Pの足底部に接する位置に配置される。つまり、被検体Pの足底部とランドマークL1との相対的な位置関係は、仰臥位と立位とで同等である。ここで、ランドマークL1が配置された被検体Pの足底部は、天板33に対する被検体Pの保持位置を特定する際の基準部位(第1の基準部位)となる。
【0048】
具体的には、本実施形態では、天板33上でのランドマークL1の配置位置に基づき、仰臥位及び立位の両撮影体位における被検体Pの保持位置のずれ量を検出する。例えば、
図3の構成では、天板33上での被検体Pの足底部の位置を基準に、両撮影体位における被検体Pの保持位置のずれ量を導出する。
【0049】
これにより、仰臥位で行った位置決め撮影に基づいて決定した被検体Pの撮影範囲と、仰臥位から立位に変位した際のランドマークL1の位置の移動量とに基づいて、立位における被検体Pの撮影範囲を特定することができる。撮影範囲を特定する処理については後述する。
【0050】
なお、本実施形態では、ランドマークL1は、被検体Pの足底部に接する位置に配置されるが、ランドマークL1は、被検体Pの頭頂部に接する位置等に配置されてもよい。要するに、ランドマークL1は、被検体Pの体軸方向の端部に位置するように配置されていればよい。
【0051】
なお、ランドマークL1が、被検体Pの体軸方向の端部(頭頂部、足底部等)に接する位置に配置され、かつ、モータやアクチュエータによって自動で移動される場合、システム制御機能45aは、ランドマークL1が被検体Pの体軸方向の端部に接したらモータを停止し、ランドマークL1が被検体Pの体軸方向の端部から離れたらモータを駆動するよう制御する。
【0052】
この場合、ランドマークL1と被検体Pの体軸方向の端部とが接したこと及び離れたことは、ランドマークL1に設けた接触センサ等により検知してもよい。例えば、接触センサは、物体の接触を検知した場合、ランドマークL1と被検体Pの体軸方向の端部とが接したことを検知する。一方、接触センサは、接触センサが物体の接触を検知できなくなった場合、ランドマークL1と被検体Pの体軸方向の端部とが離れたことを検知する。
【0053】
なお、例えば、寝台装置30に保持される被検体Pの全体を撮影できるカメラを設け、当該カメラが撮影した画像を解析することでランドマークL1と被検体Pの体軸方向の端部とが接したこと及び離れたことを検知してもよい。
【0054】
また、本実施形態において、ランドマークL1は、被検体Pの足場として機能する。これにより、仰臥位から立位に撮影体位が変位する際に、被検体Pが天板33から滑り落ちてしまうことを防止することができる。
【0055】
コンソール装置40は、操作者によるX線CT装置1の操作を受け付けるとともに、架台装置10によって収集されたX線検出データからX線CT画像データを再構成する装置である。コンソール装置40は、メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インターフェース43と、処理回路45とを備える。
【0056】
メモリ41は、例えばRAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスクなどにより実現される。メモリ41は、例えば投影データや再構成画像データを記憶する。また、メモリ41は、撮影プロトコルを記憶する。
【0057】
ここで、撮影プロトコルとは、撮影系19を制御して被検体Pを撮影し画像を取得するための手順等を規定したものである。撮影プロトコルは、例えば、撮影部位、撮影条件、撮影範囲、再構成条件、架台装置10(撮影系19)の動作、寝台装置30の動作等のパラメータ群である。
【0058】
また、メモリ41は、後述するシステム制御機能45a、前処理機能45b、再構成処理機能45c、画像処理機能45d、スキャン制御機能45e、決定機能45f、測定機能45g、及び特定機能45hを実現するための専用プログラムを格納する。
【0059】
ディスプレイ42は、操作者が参照するモニタであり、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路45によって生成された医用画像(CT画像)や、操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。例えば、ディスプレイ42は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。
【0060】
入力インターフェース43は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路45に出力する。例えば、入力インターフェース43は、投影データを収集する際の収集条件や、CT画像を再構成する際の再構成条件、CT画像から後処理画像を生成する際の画像処理条件等を操作者から受け付ける。
【0061】
また、例えば、入力インターフェース43は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック等により実現される。また、入力インターフェース43は、架台装置10に設けられてもよい。また、入力インターフェース43は、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
【0062】
処理回路45は、X線CT装置1全体の動作を制御する。処理回路45は、例えば、システム制御機能45a、前処理機能45b、再構成処理機能45c、画像処理機能45d、スキャン制御機能45e、決定機能45f、測定機能45g、及び特定機能45hを有する。
【0063】
実施形態では、構成要素であるシステム制御機能45a、前処理機能45b、再構成処理機能45c、画像処理機能45d、スキャン制御機能45e、決定機能45f、測定機能45g、及び特定機能45hにて行われる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ41へ記憶されている。処理回路45はプログラムをメモリ41から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。
【0064】
換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路45は、
図1の処理回路45内に示された各機能を有することになる。
【0065】
なお、
図1においては単一の処理回路45にて、システム制御機能45a、前処理機能45b、再構成処理機能45c、画像処理機能45d、スキャン制御機能45e、決定機能45f、測定機能45g、及び特定機能45hにて行われる処理機能が実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路45を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
【0066】
換言すると、上述のそれぞれの機能がプログラムとして構成され、1つの処理回路が各プログラムを実行する場合であってもよいし、特定の機能が専用の独立したプログラム実行回路に実装される場合であってもよい。
【0067】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical processing unit)或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD),及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。
【0068】
プロセッサはメモリ41に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、メモリ41にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0069】
システム制御機能45aは、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、処理回路45の各種機能を制御する。例えば、システム制御機能45aは、入力インターフェース43を介し、ログインのためのユーザ情報(例えばユーザID等)、被検体情報等の入力を受け付ける。また、システム制御機能45aは、入力インターフェース43を介し、撮影プロトコルの入力を受け付ける。
【0070】
また、システム制御機能45aは、位置決め撮影、本撮影、撮影体位の変位等に関する制御を行う。
【0071】
前処理機能45bは、DAS18から出力された検出データに対して対数変換処理やオフセット処理、チャネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正などの前処理を施したデータを生成する。なお、前処理前のデータ(検出データ)および前処理後のデータを総称して投影データと称する場合もある。
【0072】
再構成処理機能45cは、前処理機能45bにより生成された投影データに対して、再構成条件に従ってフィルタ補正逆投影法や逐次近似再構成法等を用いた再構成処理を行ってCT画像データを生成する。
【0073】
画像処理機能45dは、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、再構成処理機能45cによって生成されたCT画像データを公知の方法により、任意断面の断層像データや3次元画像データに変換する。なお、3次元画像データの生成は再構成処理機能45cが直接行なっても構わない。
【0074】
スキャン制御機能45eは、スキャン範囲、撮影条件等を決定するための被検体Pの2次元の位置決め画像データを取得する。スキャン制御機能45eによる位置決め画像データを取得する処理は、位置決め撮影の一例である。なお、位置決め画像データはスキャノ画像データやスカウト画像データと呼ばれる場合もある。
【0075】
位置決め画像データの取得方法について説明する。X線管11の位置を所定の回転角度に固定し、寝台装置30の天板33を長軸方向(仰臥位におけるZ軸方向)に移動させながらX線管11よりX線を被検体Pに照射する。このようにして取得された検出データから被検体Pの2次元の位置決め画像データを取得する。
【0076】
なお、位置決め画像データの取得方法は、上記のように所定の回転角度に固定し、寝台装置30の天板33を仰臥位におけるZ軸方向に移動させて撮影を行う方式に限らない。例えば、スキャン制御機能45eは、位置決め画像データの取得に際し、ヘリカルスキャン或いはノンヘリカルスキャンによって被検体に対する全周分の投影データを収集する。
【0077】
ここで、スキャン制御機能45eは、被検体の胸部全体、腹部全体、上半身全体、全身などの広範囲に対して本撮影よりも低線量でヘリカルスキャン或いはノンヘリカルスキャンを実行する。ノンヘリカルスキャンとしては、例えば、天板33の位置を一定間隔で移動させた都度天板33が停止した状態でスキャンを行うステップアンドシュート方式が実行される。
【0078】
このように、スキャン制御機能45eが被検体に対する全周分の検出データを収集することで、再構成処理機能45cが、3次元のX線CT画像データ(ボリュームデータ)を再構成することができ、再構成したボリュームデータに基づいて、任意の方向に応じた2次元の位置決め画像データを生成してもよい。また、位置決め画像データは、前述のボリュームデータを用いることで、3次元の位置決め画像データとして扱うことも可能である。
【0079】
決定機能45fは、撮影範囲を決定する。具体的には、決定機能45fは、スキャン制御機能45eが取得した位置決め画像データ等に基づいて、撮影範囲を決定する。本実施形態では、位置決め撮影は、仰臥位で行うものとするが、立位で位置決め撮影を行ってもよい。
【0080】
ところで、例えば、仰臥位で撮影した位置決め画像データに基づいて、立位での撮影範囲を決定すると、撮影体位の変位により、天板33と被検体Pとの相対位置関係が変化し、所望の被検体Pの部位を撮影できなくなる可能性がある。
【0081】
これは、天板33と撮影範囲との相対位置関係は、撮影体位が変位しても変化しないのに対し、天板33と被検体Pとの相対位置関係は変化し得るため、仰臥位と立位とでは撮影される被検体Pの位置が異なってしまう場合があるためである。
【0082】
そこで、本実施形態に係るX線CT装置1は、ランドマークL1の移動量を測定し、当該移動量に基づいて、立位での撮影範囲を特定するための構成を備える。以下、係る構成について説明する。
【0083】
測定機能45gは、撮影体位の変位に伴うランドマークL1の移動量を測定する。具体的には、測定機能45gは、仰臥位におけるランドマークL1の位置と、立位におけるランドマークL1の位置とに基づいて、ランドマークL1の移動量を測定する。
【0084】
例えば、測定機能45gは、ランドマークL1がモータにより自動で移動する場合、モータの回転数を測定し、モータの回転数と、モータが1回転することによりランドマークL1が移動する距離とからランドマークL1の移動距離を移動量として測定する。また、例えば、測定機能45gは、医療スタッフがメジャー等を用いて手動で測定したランドマークL1の移動距離の入力を受付けてもよい。
【0085】
特定機能45hは、仰臥位における撮影範囲と、天板33の姿勢変更前後におけるランドマークL1の位置の変位量とに基づいて、立位における撮影範囲を特定する。
【0086】
具体的には、特定機能45hは、被検体Pの体軸方向でのランドマークL1の位置の変位量を算出し、仰臥位での撮影範囲を体軸方向に変位量分移動させた位置を、立位での撮影範囲として特定する。より具体的には、特定機能45hは、決定機能45fが決定した撮影範囲を、測定機能45gで測定されたランドマークL1の移動量分、ランドマークL1の移動方向に移動させた位置を立位における撮影範囲として特定する。
【0087】
図4は、第1実施形態に係る立位における撮影範囲の特定処理の一例について説明する説明図である。例えば、撮影体位を仰臥位から立位に変位させ、被検体Pの体位変化に伴い、ランドマークL1が、点線位置から実線の位置に移動した場合を考える。
【0088】
なお、以下の説明において、被検体Pの体軸方向は、仰臥位におけるZ軸方向、立位におけるY軸方向であるものとする。また、ランドマークL1の移動方向は、被検体Pの頭頂部側へ移動するか、被検体Pの足底部側へ移動するかで表すものとする。
【0089】
この場合、まず、測定機能45gは、図中に矢印dで表した距離をランドマークL1の移動量として測定する。次に、特定機能45hは、仰臥位におけるランドマークL1の座標と立位におけるランドマークL1の座標とからランドマークL1の移動方向が、足底部側であることを特定する。なお、ランドマークL1の座標は、例えば、X線CT装置1の起動時における天板33の中心点を基準として、ランドマークL1の位置を表すものである。
【0090】
そして、特定機能45hは、決定機能45fが決定した撮影範囲を、測定機能45gが測定した移動量である矢印dの距離分、被検体Pの体軸方向の足底部側に移動させた位置を立位における撮影範囲として特定する。
【0091】
そして、システム制御機能45aは、特定機能45hが特定した撮影範囲を立位で撮影する。これにより、天板33と被検体Pとの相対位置関係の変化に合わせて、天板33と撮影範囲との相対位置関係が変化することになる。したがって、仰臥位と立位とで撮影される被検体Pの位置が略同等となり、立位での位置決め撮影を省略しても所望の被検体Pの部位を撮影することができる。
【0092】
次に、第1実施形態に係るX線CT装置1が実行する処理について説明する。
図5は、第1実施形態に係るX線CT装置1が実行する処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図5は、ランドマークL1が、システム制御機能45aの制御により自動で移動する場合の処理の一例である。
【0093】
まず、システム制御機能45aは、撮影系19を制御し、仰臥位において被検体Pの位置決め撮影を行う(ステップS1)。スキャン制御機能45eは、ステップS1でシステム制御機能45aにより撮影された位置決め画像データを取得する(ステップS2)。
【0094】
決定機能45fは、撮影プロトコル、及びステップS2でスキャン制御機能45eにより取得された位置決め画像データ等に基づいて、被検体Pの仰臥位における撮影範囲を決定する(ステップS3)。システム制御機能45aは、撮影系19を制御し、ステップS3で決定機能45fが決定した撮影範囲に従い、仰臥位において被検体Pの本撮影を行う(ステップS4)。
【0095】
続いて、システム制御機能45aは、寝台駆動装置32を制御し、被検体Pの撮影体位を仰臥位から立位に変位させる(ステップS5)。このとき、システム制御機能45aは、被検体Pの体位変化に応じて、ランドマークL1を移動させる。測定機能45gは、被検体Pの体位変化に伴うランドマークL1の移動量を測定する(ステップS6)。
【0096】
特定機能45hは、決定機能45fが決定した仰臥位における撮影範囲と、測定機能45gが測定したランドマークL1の移動量と、に基づいて、立位における被検体Pの撮影範囲を特定する(ステップS7)。システム制御機能45aは、撮影系19を制御し、ステップS6で特定機能45hが特定した撮影範囲に従い、立位において被検体Pの本撮影を行い、本処理を終了する(ステップS8)。
【0097】
以上に述べた第1実施形態に係るX線CT装置1によれば、姿勢変更部としての寝台駆動装置32は、被検体Pを仰臥位及び立位で撮影できるように天板33の姿勢を変更する。第1ランドマークとしてのランドマークL1は、天板33に設けられ、寝台駆動装置32による天板33の姿勢変更の前後において、被検体Pの足底部に対する相対位置が同等となる位置に配置される。決定部としての決定機能45fは、仰臥位における被検体Pの撮影範囲を決定する。特定部としての特定機能45hは、仰臥位における被検体Pの撮影範囲と、天板33の姿勢変更前後におけるランドマークL1の位置の変位量とに基づいて、立位における被検体Pの撮影範囲を特定する。
【0098】
これにより、本実施形態のX線CT装置1では、撮影体位を仰臥位から立位に変位させたことによって、被検体Pと寝台装置20(天板33)との相対的な位置関係が変化してしまったような場合でも、仰臥位で決定した撮影範囲に対応する立位における撮影範囲を特定することができる。したがって、立位に変位させたときに、位置決め撮影を行う必要がなくなる。
【0099】
つまり、本実施形態に係るX線CT装置1によれば、撮影体位を変えながら撮影を行う際の撮影範囲の位置決めを効率的に行うことができる。
【0100】
また、撮影体位を立位に変位させた場合の位置決め撮影を省略することができるため、被検体Pの被曝量を低減させることが可能である。
【0101】
また、被検体Pの体軸方向における端部位置は、撮影体位が仰臥位から立位に変位しても、天板33との相対的位置関係が変化しない。このため、当該位置にランドマークL1を配置することにより、寝台駆動装置32による天板33の姿勢変更の前後において、当該位置に対する相対位置を同等とすることができる。
【0102】
なお、上記の第1実施形態は、立位で位置決め撮影を行い、立位から仰臥位に撮影体位を変位させる場合にも適用が可能である。
【0103】
(第2実施形態)
第2実施形態は第1実施形態を基にできたものであり、第1実施形態との相違点は、第2実施形態において、X線CT装置1は、複数のランドマークを有することにある。以下、主に第2実施形態と第1実施形態との相違点を説明すると共に、重複する説明を適宜省略する。
【0104】
図6は、第2実施形態に係る仰臥位撮影時の寝台装置20の一例を示す説明図である。第2実施形態に係るX線CT装置1の寝台装置20の天板33は、ランドマークL1とランドマークL2とを備える。
【0105】
ランドマークL2は、ランドマークL1と同様に、例えば、天板33に設けられる。ランドマークL2は、天板33に沿って移動可能である。また、ランドマークL2は、寝台駆動装置32による天板33の姿勢変更の前後において、被検体Pの頭頂部に対する相対位置が同等となる位置に配置される。本実施形態において、ランドマークL2は、第1ランドマークの一例である。また、被検体Pの頭頂部は、第1の基準部位の一例である。
【0106】
ランドマークL2は、被検体Pの体軸方向の端部に位置するように設けられる。例えば、ランドマークL2は、
図6に示すように、被検体Pの頭頂部に接する位置に配置される。
【0107】
ランドマークL1は、天板33に設けられる。ランドマークL1は、天板33に沿って移動可能である。ランドマークL1は、ランドマークL2が配置される第1の基準部位とは異なる被検体Pの第2の基準部位に配置される。なお、ランドマークL1は、第2実施形態では、足場ではなく、撮影体位が座位である場合における椅子(座板)として機能するように構成されている。本実施形態において、座位は第2の撮影体位の一例である。また、ランドマークL1は、第2ランドマークの一例である。
【0108】
例えば、ランドマークL1は、
図6に示すように、仰臥位では、被検体Pの足底部に接する位置に配置され、座位では、被検体Pの臀部に接する位置に配置される。この場合、被検体Pの足底部及び臀部は、第2の基準部位の一例である。
【0109】
ここで、
図7は、第2実施形態に係る座位撮影時の寝台装置20の一例を示す説明図である。例えば、撮影体位が仰臥位から座位に変位した場合、
図7に示すように、ランドマークL2は、被検体Pの頭頂部に接する位置に、ランドマークL1が被検体Pの臀部に接する位置に存在するよう夫々移動する。
【0110】
なお、ランドマークL1及びL2は、モータやアクチュエータによって自動で移動させてもよいし、操作者が手動で移動させてもよい。
【0111】
例えば、ランドマークL1及びL2がモータにより自動で移動する場合、ランドマークL2は、被検体Pの体位変化に合わせてモータが駆動することで下方に移動する。このとき、システム制御機能45aは、ランドマークL2が被検体Pの頭頂部に接したらモータを停止し、ランドマークL2が被検体Pの頭頂部から離れたらモータを駆動するよう制御する。
【0112】
ランドマークL1は、モータの駆動により、予め定めた距離を上方向又は下方向へ移動する。移動距離や移動方向は、被検体Pの体型等によって、被検体Pが着座しやすい位置にランドマークL1が位置するように変化させてもよい。
【0113】
なお、ランドマークL1とランドマークL2のうち、一方(例えばランドマークL1)を固定とし、他方(例えばランドマークL2)を移動させてもよい。
【0114】
ランドマークL1及びランドマークL2は、被検体Pの姿勢変化により生じる、ランドマークL1の位置の変位量に与える影響を補正するために用いられる。具体的には、仰臥位においては、足底部に接する位置に配置されるランドマークL1が、座位においては、臀部に接する位置に配置されるため、例えば、ランドマークL1と足底部との相対的な位置関係が仰臥位と座位では変位する。
【0115】
このため、測定されたランドマークL1の位置の変位量には、ランドマークL1と足底部との相対的な位置関係の変位量が含まれることになる。そこで、本実施形態に係るX線CT装置1は、測定されたランドマークL1の位置の変位量を、姿勢変化の前後におけるランドマークL2とランドマークL1との間隔を用いることにより補正する。補正処理の内容については後述する。
【0116】
以下、第2実施形態に係るX線CT装置1が有する機能について説明する。第2実施形態に係るX線CT装置1が有する機能は、第1実施形態と同様であるが、測定機能45gと特定機能45hが実行する処理が第1実施形態とは相違する。
【0117】
測定機能45gは、撮影体位の変位に伴うランドマークL1の移動量だけなく、撮影体位の変位前後におけるランドマークL1とランドマークL2との間の距離を測定する。
【0118】
具体的には、測定機能45gは、まず、仰臥位においてランドマークL1の座標とランドマークL2の座標とから、ランドマークL1とランドマークL2との間の被検体Pの体軸方向における距離を測定する。そして、測定機能45gは、同様に座位においてランドマークL1とランドマークL2との間の被検体Pの体軸方向における距離を測定する。
【0119】
特定機能45hは、被検体Pの姿勢変更前後における、ランドマークL2とランドマークL1との間隔の変化から、ランドマークL2の位置の変位量を算出する。
【0120】
具体的には、特定機能45hは、まず、仰臥位におけるランドマークL1とランドマークL2との間の距離と、座位におけるランドマークL1とランドマークL2との間の距離との差分を算出する。次いで、特定機能45hは、算出した差分でランドマークL1の移動量及び移動方向を補正する。
【0121】
例えば、最初に仰臥位で位置決め撮影を行う場合、算出した差分の距離分、被検体Pの足底部側にランドマークL1の移動量を補正する。この場合、足底部側にランドマークL1の移動量を補正する理由は、被検体Pの姿勢が仰臥位から座位に変化すると、足を曲げたことにより、被検体Pの体軸方向の長さが短くなるからである。
【0122】
なお、足を曲げたことにより、被検体Pの体軸方向の長さが短くなるとは、ランドマークL1が、被検体Pの頭頂部側に、被検体Pの体軸方向の長さの変動分、相対的に移動したとも考えることができる。また、被検体Pの体軸方向の長さの変動は、仰臥位におけるランドマークL1とランドマークL2との間の距離と、座位におけるランドマークL1とランドマークL2との間の距離との差分と考えることができる。
【0123】
したがって、測定したランドマークL1の移動量には、被検体Pの頭頂部側に、算出した差分の距離分に移動した移動量が含まれていると考えることができる。つまり、測定したランドマークL1の移動量から被検体Pの頭頂部側に、算出した差分の距離分に移動した移動量を減算することで、実際のランドマークL1の移動量を得ることができると考えられる。
【0124】
そして、測定したランドマークL1の移動量から被検体Pの頭頂部側に、算出した差分の距離分に移動した移動量を減算することは、算出した差分の距離分、被検体Pの足底部側にランドマークL1の移動量を補正することと同義である。
【0125】
また、例えば、最初に座位で位置決め撮影を行う場合は、算出した差分の距離分、被検体Pの頭頂部側にランドマークL1の移動量を補正する。この場合の頭頂部側にランドマークL1の移動量を補正する理由については、最初に仰臥位で位置決め撮影を行う場合と長さや向きが反対になるだけであるため、詳しい説明は省略する。
【0126】
図8は、第2実施形態に係る座位における撮影範囲の特定処理の一例について説明する説明図である。例えば、撮影体位を仰臥位から座位に変位させた場合、ランドマークL2は、被検体Pの位置の変化に伴い、点線位置から実線の位置に移動する。なお、この例では、ランドマークL1を固定としている。したがって、仰臥位から座位への体位変化において、ランドマークL1の移動量は0となる。
【0127】
この場合、上述した第1の実施形態のように、ランドマークL1の配置位置の移動量に基づいて座位における撮影位置を特定すると、ランドマークL1の移動量が0であるため、仰臥位での撮影範囲を座位でも使用することになる。
【0128】
しかしながら、座位では被検体Pが足を曲げたことにより、被検体Pの体軸方向の長さが変動しているため、この変動分を加味(補正)して撮影範囲を特定する必要がある。例えば、撮影対象が胸部の場合、仰臥位から座位に変化させたことによりランドマークL1から胸部までの距離が変化しているため、胸部を撮影することができない可能性がある。
【0129】
そこで、測定機能45gは、まず、仰臥位において、ランドマークL1とランドマークL2との各配置位置を検出し、ランドマークL1とランドマークL2との間の被検体Pの体軸方向における距離を測定する。この距離は、
図8において、矢印h1で表される。
【0130】
次に、測定機能45gは、座位において、ランドマークL1とランドマークL2との間の被検体Pの体軸方向における距離を測定する。この距離は、座位における被検体Pの体軸方向の長さに対応し、
図8において、矢印h2で表される。特定機能45hは、矢印h1で表される距離と矢印h2で表される距離の差分を算出する。この差分は、被検体Pが足を曲げたことによる被検体Pの体軸方向の長さの変化量に対応し、矢印h3で表される。
【0131】
特定機能45hは、この例では仰臥位で位置決め撮影を行うため、矢印h3の距離分、被検体Pの足底部側にランドマークL1の移動量を補正する。そして、特定機能45hは、決定機能45fが決定した撮影範囲を、補正したランドマークL1の移動量である矢印h3の距離分、被検体Pの足底部側に移動させた位置を座位における撮影範囲として特定する。
【0132】
これにより、ランドマークL1の移動量が、被検体Pの体軸方向の長さの変動量で補正されるため、仰臥位で撮影した場合の被検体Pの撮影範囲と、特定機能45hが特定した被検体Pの撮影範囲とが略一致することになる。
【0133】
なお、特定機能45hは、第1実施形態と同様の手法で体位変化後の撮影範囲を特定した後、体位変化前後でのランドマークL1とランドマークL2との間の距離の差分で撮影範囲の位置を補正してもよい。また、ランドマークL1が移動可能な構成の場合には、撮影体位の変化におけるランドマークL1の移動量を加味して補正することで、上記と同様の効果を奏することができる。
【0134】
また、特定機能45hは、ランドマークL2の移動量にのみ基づき、第1実施形態と同様の手法で撮影範囲を特定してもよい。この場合、特定機能45hは、決定機能45fが決定した撮影範囲を、測定機能45gで測定されたランドマークL2の移動量分、ランドマークL2の移動方向に移動させた位置を座位における撮影範囲として特定する。
【0135】
次に、第2実施形態に係るX線CT装置1が実行する処理について説明する。
図9は、第2実施形態に係るX線CT装置1が実行する処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図9は、ランドマークL1及びランドマークL2が、システム制御機能45aの制御により自動で移動する場合の処理の一例である。
【0136】
まず、測定機能45gは、撮影体位が仰臥位である場合のランドマークL1とランドマークL2との間の距離を測定する(ステップS11)。システム制御機能45aは、撮影系19を制御し、仰臥位において被検体Pの位置決め撮影を行う(ステップS12)。
【0137】
スキャン制御機能45eは、ステップS12でシステム制御機能45aにより撮影された位置決め画像データを取得する(ステップS13)決定機能45fは、撮影プロトコル、及びステップS13でスキャン制御機能45eにより取得された位置決め画像データ等に基づいて、被検体Pの仰臥位における撮影範囲を決定する(ステップS14)。
【0138】
システム制御機能45aは、撮影系19を制御し、ステップS14で決定機能45fが決定した撮影範囲に従い、仰臥位において被検体Pの本撮影を行う(ステップS15)。続いて、システム制御機能45aは、寝台駆動装置32を制御し、被検体Pの撮影体位を仰臥位から座位に変位させる(ステップS16)。このとき、システム制御機能45aは、被検体Pの体位変化に応じて、ランドマークL1及びL2を移動させる。
【0139】
測定機能45gは、被検体Pの体位変化に伴うランドマークL1の移動量を測定する(ステップS17)。測定機能45gは、撮影体位が座位である場合のランドマークL1とランドマークL2との間の距離を測定する(ステップS18)。
【0140】
特定機能45hは、決定機能45fが決定した仰臥位における撮影範囲と、測定機能45gが測定したランドマークL1の移動量と、ステップS11で測定したランドマーク間の距離とステップS17で測定したランドマーク間の距離との差分とに基づいて、座位における撮影範囲を特定する(ステップS19)。
【0141】
システム制御機能45aは、撮影系19を制御し、ステップS18で特定機能45hが特定した撮影範囲に従い、座位において被検体Pの本撮影を行い、本処理を終了する(ステップS20)。
【0142】
以上に述べた第2実施形態に係るX線CT装置1によれば、ランドマークL2は、寝台駆動装置32による天板33の姿勢変更の前後において、被検体Pの頭頂部に対する相対位置が同等となる位置に配置される。第2ランドマークとしてのランドマークL1は、天板33に設けられ、被検体Pの足底部に接する位置に配置される。
【0143】
これにより、例えば、撮影体位を仰臥位から座位に変化させたことにより生じる被検体Pの体軸方向の長さの変動分を加味して撮影範囲を特定することができる。
【0144】
したがって、例えば、撮影体位を仰臥位から座位に変化させたときのように、ランドマークL1と足底部との相対的な位置関係が変化してしまうような場合でも、撮影体位を変える度に位置決め撮影を行う必要がなくなる。つまり、第2実施形態に係るX線CT装置1によれば、撮影体位を変えながら撮影を行う際の撮影範囲の位置決めを効率的に行うことができる。
【0145】
なお、上記の第2実施形態は、立位で位置決め撮影を行い、立位から座位に撮影体位を変位させる場合にも適用が可能である。また、上記の第2実施形態は、座位で位置決め撮影を行い、座位から立位に撮影体位を変位させる場合にも適用が可能である。また、上記の第2実施形態は、仰臥位で位置決め撮影を行い、仰臥位から立位に撮影体位を変位させる場合にも適用が可能である。また、上記の第2実施形態は、立位で位置決め撮影を行い、立位から仰臥位に撮影体位を変位させる場合にも適用が可能である。
【0146】
なお、上述した実施形態は、各装置が有する構成又は機能の一部を変更することで、適宜に変形して実施することも可能である。そこで、以下では、上述した実施形態に係るいくつかの変形例を他の実施形態として説明する。なお、以下では、上述した実施形態と異なる点を主に説明することとし、既に説明した内容と共通する点については詳細な説明を省略する。また、以下で説明する変形例は、個別に実施されてもよいし、適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0147】
(変形例1)
上述の第1実施形態及び第2実施形態においては、医用画像診断装置は、X線CT装置である場合を例として説明したが、これに限定されるものではない。医用画像診断装置は、例えば、X線診断装置、アンギオ-CTシステム等のモダリティであってもよい。また、撮影体位毎に異なるモダリティを用いる構成であってもよい。
【0148】
(変形例2)
上述の第1実施形態では、撮影体位が立位の場合に、ランドマークL1が被検体Pの足場になる形態について説明した。しかし、ランドマークL1は、足場そのものになるのではなく、足場を取付可能な取付部を備える構成としてもよい。この場合、足場は、ランドマークL1の取付部に着脱自在である。
【0149】
足場が着脱自由であることにより、必要が無いときには足場を取り外したり、被検体Pの体格等に併せて足場を変更したりすることができる。
【0150】
(変形例3)
上述の第2実施形態では、撮影体位が座位の場合に、ランドマークL1が被検体Pの座る椅子になる形態について説明した。しかし、ランドマークL1は、椅子そのものになるのではなく、椅子を取付可能な取付部を備える構成としてもよい。この場合、椅子は、ランドマークL1の取付部に着脱自在である。
【0151】
椅子が着脱自由であることにより、必要が無いときには椅子を取り外したり、被検体Pの体格等に併せて椅子を変更したりすることができる。
【0152】
(変形例4)
上述の第1実施形態及び第2実施形態では、ランドマーク自体が移動する形態について説明した。しかし、ランドマークは移動しなくてもよい。例えば、寝台装置20の天板33の固定位置にランドマークが設けられていてもよい。また、例えば、天板33以外の固定位置にランドマークを設けてもよい。
【0153】
ランドマークを固定位置とする場合、例えば、複数箇所あるランドマークの設置候補位置の中から選択してランドマークを設置できるように構成する。具体的には、天板33の複数箇所にランドマークを取付け可能な取付部を設け、操作者が選択した任意の位置にランドマークを設置できるよう構成してもよい。
【0154】
本変形例では、例えば、医療スタッフが仰臥位における被検体Pの頭頂部に合わせた位置にランドマークを設置する。その後、医療スタッフは、撮影体位を立位に変位させる。このとき、ランドマークと被検体Pの頭頂部の位置とが合っていない場合、医療スタッフは、立位における被検体Pの頭頂部に合わせた位置にランドマークを設置し直す。
【0155】
また、本変形例では、複数のランドマークを任意の離散的な位置に着脱可能に構成してもよい。この場合、例えば、医療スタッフが仰臥位における被検体Pの頭頂部に合わせた位置に第1ランドマークを設置し、足底部に合わせた位置に第2ランドマークを設置する。その後、医療スタッフは、撮影体位を座位に変位させる。
【0156】
このとき、第1ランドマークと被検体Pの頭頂部の位置とが合っていない場合、医療スタッフは、座位における被検体Pの頭頂部に合わせた位置に第1ランドマークを設置し直す。また、医療スタッフは、仰臥位において、被検体Pの足底部に合わせた位置に設置した第2ランドマークを、座位における被検体Pの腰部又は臀部に合わせた位置に設置し直す。
【0157】
なお、ランドマークが設けられている位置の検出方法は任意の方法が使用できる。例えば、取付部にランドマークが取り付けられた場合にだけ微弱な電流が流れるように構成した回路を設け、電流が流れている取付部の位置をランドマークが設けられている位置として検出する。
【0158】
これにより、場面に併せてランドマークの設置位置を選択することができる。つまり、本変形例によれば、撮影体位の変位前後共に患者の邪魔にならない位置をランドマークの設置位置として選択すること等が可能になる。
【0159】
なお、本変形例に係るランドマークの形態は、足場や椅子として機能する形態ではなく、被検体Pが手で掴めるような形態であってもよい。
【0160】
以上説明した少なくとも実施形態および変形例等によれば、撮影体位を変えながら撮影を行う際の撮影範囲の位置決めを効率的に行うことができる。
【0161】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0162】
1 X線CT装置
10 架台装置
11 X線管
12 X線検出器
13 回転フレーム
14 X線高電圧装置
15 制御装置
16 ウェッジ
17 コリメータ
18 DAS(Data Acquisition System)
19 撮影系
30 寝台装置
31 基台
32 寝台駆動装置
33 天板
34 支持フレーム
40 コンソール装置
41 メモリ
42 ディスプレイ
43 入力インターフェース
45 処理回路
45a システム制御機能
45b 前処理機能
45c 再構成処理機能
45d 画像処理機能
45e スキャン制御機能
45f 決定機能
45g 測定機能
45h 特定機能
L1,L2 ランドマーク