(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-16
(45)【発行日】2025-04-24
(54)【発明の名称】車両データ転送システム
(51)【国際特許分類】
H04B 10/114 20130101AFI20250417BHJP
A63G 7/00 20060101ALI20250417BHJP
【FI】
H04B10/114
A63G7/00
(21)【出願番号】P 2021531820
(86)(22)【出願日】2019-12-03
(86)【国際出願番号】 US2019064247
(87)【国際公開番号】W WO2020117812
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-12-02
(32)【優先日】2018-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511077292
【氏名又は名称】ユニバーサル シティ スタジオズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】グリーン トレイシー
(72)【発明者】
【氏名】フィッツパトリック ショーン
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-036791(JP,A)
【文献】特開平04-243331(JP,A)
【文献】特開2017-077859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/114
A63G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械可読命令を含む有形の非一時的機械可読媒体であって、前記機械可読命令は、短距離自由空間光(FSO)送信機の1又は2以上のプロセッサによって実行されたときに、
FSO受信機に関連する位置情報を識別することと、
前記位置情報に基づいて、前記FSO受信機の位置に適用可能な1又は2以上の動的伝送パラメータを識別することと、
前記1又は2以上の動的伝送パラメータを使用して前記FSO受信機に対して直接FSO伝送を行うことと、
を前記短距離FSO送信機に行わせ、前記FSO伝送は、見通し線に沿って前記FSO受信機に送信される光ビームを含み、前記光ビームは車両に関連する電子データを表
し、
前記機械可読媒体は、前記1又は2以上のプロセッサによって実行されたときに、
前記1又は2以上の動的伝送パラメータのうちの1つとして、前記FSO伝送に適用すべき複数の減衰フィルタのうちの特定の1つ又は2つ以上を識別すること、
を前記短距離FSO送信機に行わせる命令を含む、機械可読媒体。
【請求項2】
前記1又は2以上のプロセッサによって実行されたときに、
前記1又は2以上の動的伝送パラメータのうちの1つとして、伝送源電力レベルを識別すること、
を前記短距離FSO送信機に行わせる命令を含む、請求項
1に記載の機械可読媒体。
【請求項3】
機械可読命令を含む有形の非一時的機械可読媒体であって、前記機械可読命令は、短距離自由空間光(FSO)送信機の1又は2以上のプロセッサによって実行されたときに、
FSO受信機に関連する位置情報を識別することと、
前記位置情報に基づいて、前記FSO受信機の位置に適用可能な1又は2以上の動的伝送パラメータを識別することと、
前記1又は2以上の動的伝送パラメータを使用して前記FSO受信機に対して直接FSO伝送を行うことと、
を前記短距離FSO送信機に行わせ、前記FSO伝送は、見通し線に沿って前記FSO受信機に送信される光ビームを含み、前記光ビームは電子データを表し、
前記機械可読媒体は、前記1又は2以上のプロセッサによって実行されたときに、
前記位置情報として前記短距離FSO送信機と前記FSO受信機との間の距離を識別することと、
前記短距離FSO送信機と前記FSO受信機との間の距離に基づいて前記1又は2以上の動的伝送パラメータを識別することと、
を前記短距離FSO送信機に行わせる命令を含み、
前記機械可読媒体は、前記1又は2以上のプロセッサによって実行されたときに、
前記1又は2以上の動的伝送パラメータのうちの1つとして、前記FSO伝送に適用すべき複数の減衰フィルタのうちの特定の1つ又は2つ以上を識別すること、
を前記短距離FSO送信機に行わせる命令を含む、機械可読媒体。
【請求項4】
機械可読命令を含む有形の非一時的機械可読媒体であって、前記機械可読命令は、短距離自由空間光(FSO)送信機の1又は2以上のプロセッサによって実行されたときに、
FSO受信機に関連する位置情報を識別することと、
前記位置情報に基づいて、前記FSO受信機の位置に適用可能な1又は2以上の動的伝送パラメータを識別することと、
前記1又は2以上の動的伝送パラメータを使用して前記FSO受信機に対して直接FSO伝送を行うことと、
を前記短距離FSO送信機に行わせ、前記FSO伝送は、見通し線に沿って前記FSO受信機に送信される光ビームを含み、前記光ビームは電子データを表し、
前記機械可読媒体は、前記1又は2以上のプロセッサによって実行されたときに、
前記位置情報として、前記FSO受信機の向きを識別することと、
前記FSO受信機の向きに基づいて前記1又は2以上の動的伝送パラメータを識別することと、
を前記短距離FSO送信機に行わせる命令を含む、機械可読媒体。
【請求項5】
機械可読命令を含む有形の非一時的機械可読媒体であって、前記機械可読命令は、短距離自由空間光(FSO)送信機の1又は2以上のプロセッサによって実行されたときに、
FSO受信機に関連する位置情報を識別することと、
前記位置情報に基づいて、前記FSO受信機の位置に適用可能な1又は2以上の動的伝送パラメータを識別することと、
前記1又は2以上の動的伝送パラメータを使用して前記FSO受信機に対して直接FSO伝送を行うことと、
を前記短距離FSO送信機に行わせ、前記FSO伝送は、見通し線に沿って前記FSO受信機に送信される光ビームを含み、前記光ビームは電子データを表し、
前記機械可読媒体は、前記1又は2以上のプロセッサによって実行されたときに、
前記FSO受信機が取り付けられた車両から、前記車両の向きを受け取ることと、
前記車両の向きに基づいて前記FSO受信機の向きを識別することと、
を前記短距離FSO送信機に行わせる命令を含む、機械可読媒体。
【請求項6】
機械可読命令を含む有形の非一時的機械可読媒体であって、前記機械可読命令は、短距離自由空間光(FSO)送信機の1又は2以上のプロセッサによって実行されたときに、
FSO受信機に関連する位置情報を識別することと、
前記位置情報に基づいて、前記FSO受信機の位置に適用可能な1又は2以上の動的伝送パラメータを識別することと、
前記1又は2以上の動的伝送パラメータを使用して前記FSO受信機に対して直接FSO伝送を行うことと、
を前記短距離FSO送信機に行わせ、前記FSO伝送は、見通し線に沿って前記FSO受信機に送信される光ビームを含み、前記光ビームは電子データを表し、
前記機械可読媒体は、前記1又は2以上のプロセッサによって実行されたときに、
前記FSO受信機が取り付けられた車両の向きを識別することと、
前記車両の向きに基づいて前記FSO受信機の向きを識別することと、
を前記短距離FSO送信機に行わせる命令を含む、機械可読媒体。
【請求項7】
機械可読命令を含む有形の非一時的機械可読媒体であって、前記機械可読命令は、短距離自由空間光(FSO)送信機の1又は2以上のプロセッサによって実行されたときに、
FSO受信機に関連する位置情報を識別することと、
前記位置情報に基づいて、前記FSO受信機の位置に適用可能な1又は2以上の動的伝送パラメータを識別することと、
前記1又は2以上の動的伝送パラメータを使用して前記FSO受信機に対して直接FSO伝送を行うことと、
を前記短距離FSO送信機に行わせ、前記FSO伝送は、見通し線に沿って前記FSO受信機に送信される光ビームを含み、前記光ビームは電子データを表し、
前記機械可読媒体は、前記1又は2以上のプロセッサによって実行されたときに、
前記FSO受信機が取り付けられた車両の向きを受け取ることと、
前記車両の向きに基づいて前記FSO受信機の向きを識別することと、
を前記短距離FSO送信機に行わせる命令を含む、機械可読媒体。
【請求項8】
前記1又は2以上のプロセッサによって実行されたときに、
複数の利用可能なFSO受信機のうちの、前記FSO伝送を提供するためのターゲットとすべき、前記FSO受信機を含む特定のFSO受信機のインジケーションを受け取ることと、
前記インジケーションに基づいて前記FSO受信機を選択することと、
を前記短距離FSO送信機に行わせる命令を含む、請求項
7に記載の機械可読媒体。
【請求項9】
機械可読命令を含む有形の非一時的機械可読媒体であって、前記機械可読命令は、短距離自由空間光(FSO)送信機の1又は2以上のプロセッサによって実行されたときに、
FSO受信機に関連する位置情報を識別することと、
前記位置情報に基づいて、前記FSO受信機の位置に適用可能な1又は2以上の動的伝送パラメータを識別することと、
前記1又は2以上の動的伝送パラメータを使用して前記FSO受信機に対して直接FSO伝送を行うことと、
を前記短距離FSO送信機に行わせ、前記FSO伝送は、見通し線に沿って前記FSO受信機に送信される光ビームを含み、前記光ビームは電子データを表し、
前記電子データは車両に提供され、
前記車両は、娯楽用乗り物の乗り物車両を含み、
前記電子データは、
前記乗り物車両の基本輸送システムから独立した前記乗り物車両の客室内の動きを作動させるためのコマンドデータ、
前記乗り物車両からの照明、オーディオ、ビデオ若しくは同様のものの提示を容易にするためのコマンドデータ、若しくは、
双方向的特徴の提供を容易にするためのコマンドデータ、又は、
これらのいずれかの組み合わせ、
を含む、機械可読媒体。
【請求項10】
機械可読命令を含む有形の非一時的機械可読媒体であって、前記機械可読命令は、短距離自由空間光(FSO)送信機の1又は2以上のプロセッサによって実行されたときに、
FSO受信機に関連する位置情報を識別することと、
前記位置情報に基づいて、前記FSO受信機の位置に適用可能な1又は2以上の動的伝送パラメータを識別することと、
前記1又は2以上の動的伝送パラメータを使用して前記FSO受信機に対して直接FSO伝送を行うことと、
を前記短距離FSO送信機に行わせ、前記FSO伝送は、見通し線に沿って前記FSO受信機に送信される光ビームを含み、前記光ビームは電子データを表し、
前記電子データは車両に提供され、
前記車両は自動車を含み、
前記電子データは、
前記自動車へのファームウェアアップデート、若しくは、
前記自動車への全地球測位システムマップアップデート、又は、
これらのいずれかの組み合わせ、
を含む、機械可読媒体。
【請求項11】
機械可読命令を含む有形の非一時的機械可読媒体であって、前記機械可読命令は、短距離自由空間光(FSO)送信機の1又は2以上のプロセッサによって実行されたときに、
FSO受信機に関連する位置情報を識別することと、
前記位置情報に基づいて、前記FSO受信機の位置に適用可能な1又は2以上の動的伝送パラメータを識別することと、
前記1又は2以上の動的伝送パラメータを使用して前記FSO受信機に対して直接FSO伝送を行うことと、
を前記短距離FSO送信機に行わせ、前記FSO伝送は、見通し線に沿って前記FSO受信機に送信される光ビームを含み、前記光ビームは電子データを表し、
前記電子データは車両に提供され、
前記電子データは、
前記車両の動作を調整するためのコマンドデータ、
前記車両の輸送機能を調整するためのコマンドデータ、又は、
これらのいずれかの組み合わせ、
を含む、機械可読媒体。
【請求項12】
前記1又は2以上のプロセッサによって実行されたときに、
前記1又は2以上の動的伝送パラメータのうちの1つとして、前記FSO伝送に適用すべき特定のビームステアリングを識別すること、
を前記短距離FSO送信機に行わせる命令を含む、請求項1
~11のいずれか一項に記載の機械可読媒体。
【請求項13】
動的短距離自由空間光(FSO)送信機であって、
前記動的短距離FSO送信機とターゲットFSO受信機との間の距離範囲を識別するように構成された範囲検出回路と、
前記距離範囲に基づいて1又は2以上の伝送パラメータを調整するように構成された伝送調整回路と、
前記ターゲットFSO受信機に送信すべき
車両に関連するデータを識別し、
前記1又は2以上の伝送パラメータに従って、前記
車両に関連するデータを表すFSO伝送を生成して見通し線に沿って前記ターゲットFSO受信機に直接送信する、
ように構成された伝送生成回路と、
を含み、前記FSO伝送は、電子データを表す光ビームを含み、
前記伝送調整回路は、前記FSO伝送が前記データの品質表示を提供するのに十分な強度でありながら前記ターゲットFSO受信機を飽和させないように、前記距離範囲に基づいて減衰フィルタを選択して前記伝送生成回路に適用するように構成された減衰フィルタ調整回路を含む、
動的短距離FSO送信機。
【請求項14】
前記伝送調整回路は、前記FSO伝送が前記データの品質表示を提供するのに十分な強度でありながら前記ターゲットFSO受信機を飽和させないように、前記伝送生成回路に供給される電力の量を前記距離範囲に基づいて調整するように構成された電力調整回路を含む、
請求項
13に記載の動的短距離FSO送信機。
【請求項15】
動的短距離自由空間光(FSO)送信機であって、
前記動的短距離FSO送信機とターゲットFSO受信機との間の距離範囲を識別するように構成された範囲検出回路と、
前記距離範囲に基づいて1又は2以上の伝送パラメータを調整するように構成された伝送調整回路と、
前記ターゲットFSO受信機に送信すべきデータを識別し、
前記1又は2以上の伝送パラメータに従って、前記データを表すFSO伝送を生成して見通し線に沿って前記ターゲットFSO受信機に直接送信する、
ように構成された伝送生成回路と、
を含み、前記FSO伝送は、電子データを表す光ビームを含み、
前記伝送調整回路は、前記FSO伝送の向きを調整するように構成されたビームステアリング回路を含む、
動的短距離FSO送信機。
【請求項16】
前記ビームステアリング回路は、前記向きをもたらす複数のFSO伝送源のうちの1つ又は2つ以上を選択するように構成される、
請求項
15に記載の動的短距離FSO送信機。
【請求項17】
動的短距離FSO受信機であって、
それぞれが異なる方向に向けられて短距離FSO送信機からの自由空間光(FSO)伝送を複数の向きから見通し線に沿って直接受け取ることを可能にする複数のセンサであって、前記FSO伝送は、車両に関連する電子データを表す光ビームを含む、複数のセンサと、
制御システムであって、
前記制御システムは、前記短距離FSO送信機から前記データを含む前記FSO伝送を受け取るように構成され、前記FSO伝送は前記動的短距離FSO受信機に関連する位置情報に基づき、
前記制御システムは、前記FSO伝送によって表されるデータを識別して、前記動的短距離FSO受信機に通信的に結合される有形の非一時的機械可読媒体に記憶するように構成される、
制御システムと、
を含む、動的短距離FSO受信機。
【請求項18】
前記複数のセンサは、ベースによって支持された統合受信装置に形成される、請求項
17に記載の動的短距離FSO受信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2018年12月6日に出願された「車両データ転送システム(VEHICLE DATA TRANSFER SYSTEM)」という名称の米国仮特許出願第62/776,013号の利益を主張するものであり、この文献はその全体が全ての目的で引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本開示は、一般にデータ転送に関し、具体的には、動的短距離自由空間光伝送システムを介して車両への高帯域幅短距離データ伝送を提供するシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、車両は、人々及び/又は品物を輸送するために使用される物体である。車両がますます高機能になるにつれ、ますます増える車両の機能を支援するために複雑なデータ依存性が存在し得るようになる。例えば、1つのタイプの車両は、車線変更又は与えられた目的地までの完全自動運転などのいくつかの運転機能を自己統制できる自律/部分的自律走行車とすることができる。理解できるように、自律機能はデータに大きく依存し、その動作を容易にするために最新の運転規則及び/又は道路状況の提供に依拠することができる。
【0004】
別の例では、遊園地スタイルの乗り物が、例えば軌道によって定められた乗り物経路に沿って乗客を運ぶ乗り物車両(ride vehicles)を含むことができる。乗り物車両は、乗り物のコース全体を通じて、乗り物車両の基本輸送システム(underlying transport system)から独立した乗り物車両の客室(cabin)内の動きを作動させることなどの様々な効果を実行する任務を負うことができる。さらに、乗り物車両は、照明、オーディオ又はビデオなどの提示をトリガする任務を負うこともでき、及び/又は電子ゲームなどの相互作用機能を提供することなどの他の動作の任務を負うこともできる。理解できるように、これらの乗り物車両の機能は、乗り物車両に提供される電子データに大きく依拠することができる。
【0005】
残念ながら、車両のデータ依存機能が増加するにつれ、車両が依存するデータの量も増加し得るようになる。さらに、これらの車両にデータを提供するための従来の機構は多大な手間と時間を必要とする。例えば、配線接続(例えば、ユニバーサルシリアスバス(USB)又はその他の物理的接続)及び/又は機械可読媒体(USBドライブ、デジタルビデオディスク(DVD)など)に依拠するシステムでは、データ転送に複雑なロボットの介入及び/又は人間の介入が必要となる場合があり、このことが極めて厄介となり得る。さらに、短距離を介してデータを送信するために使用される従来の無線技術(例えば、Wi-Fi、Bluetoothなど)は、車両の増加するデータ負荷要件にとって十分な帯域幅に欠けていることがある。
【発明の概要】
【0006】
以下、当初の特許請求の範囲の主題と同一範囲のいくつかの実施形態を要約する。これらの実施形態は、特許請求する主題の範囲を限定するものではなく、むしろ本主題の可能な形態の概要を示すものにすぎない。実際には、本主題は、以下に示す実施形態と類似し得る又は異なり得る様々な形態を含むことができる。
【0007】
乗り物車両への高帯域幅短距離データ伝送を容易にするために、動的短距離自由空間光(free-space optical)(FSO)通信システムを提供する。動的短距離(dynamic short range)FSO通信システムは、短距離範囲(例えば、0~50メートル)内に存在する動的に移動するターゲットにおいて使用されるように特別に設計される。動的短距離FSO通信システムは、特別に設計された送信機及び/又は受信機を使用して高帯域幅通信を容易にしながら、多少予測し難い車両の動きに役立つことができる複数の見通し線整列オプション(line of sight alignment options)を可能にすることができる。
【0008】
ある実施形態では、有形の非一時的機械可読媒体が機械可読命令を含み、この機械可読命令が、短距離自由空間光(FSO)送信機の1又は2以上のプロセッサによって実行された時に、FSO受信機に関連する位置情報を短距離FSO送信機に識別させる。送信機は、位置データに基づいて、FSO受信機の位置に適用可能な1又は2以上の動的伝送パラメータ(dynamic transmission parameters)を識別し、実装された1又は2以上の動的伝送パラメータを使用してFSO伝送(FSO transmission)を行うことができる。
【0009】
別の実施形態では、動的短距離自由範囲光(FSO)送信機が、短距離FSO送信機とターゲットFSO受信機との間の距離範囲を識別する範囲検出回路を含む。送信機の伝送調整回路が、距離範囲に基づいて1又は2以上の伝送パラメータを調整する。伝送生成回路が、ターゲットFSO受信機に送信すべきデータを識別し、1又は2以上の伝送パラメータに従って、データを表すFSO伝送を生成して送信する。
【0010】
さらに別の実施形態では、動的短距離FSO受信機が、それぞれが異なる方向に向けられて(oriented)短距離FSO送信機からの自由空間光(FSO)伝送を複数の向き(orientation)から受け取ることを可能にする複数のセンサを含む。受信機は、短距離FSO送信機からのFSO伝送を受け取り、FSO伝送によって表されるデータを識別して、記動的短距離FSO受信機に通信可能に結合された有形の非一時的機械可読媒体に記憶する制御システムをさらに含む。
【0011】
全体を通じて同じ部分を同じ符号によって示す添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を読めば、本開示のこれらの及びその他の特徴、態様及び利点がより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の実施形態による、自由空間光(FSO)受信機の様々な位置に基づいて様々な伝送を行っている動的短距離FSOシステムを示す概略図である。
【
図2】本開示の実施形態による、
図1の短距離FSOシステムを使用する乗り物システムの概略図である。
【
図3A】本開示の実施形態による、動的短距離FSOデータ伝送に役立つ短距離FSO受信機構成を示す概略図である。
【
図3B】本開示の実施形態による、動的短距離FSOデータ伝送に役立つ短距離FSO受信機構成を示す概略図である。
【
図4】本開示の実施形態による、短距離FSOシステムを使用する自動車システムを示す概略図である。
【
図5】本開示の実施形態による、
図4の自動車のうちの1つのヘッドユニットの概略図である。
【
図6】本開示の実施形態による、動的短距離FSO送信機を介した動的データ伝送プロセスを示すフローチャートである。
【
図7】本開示の実施形態による、動的短距離FSO送信機の動的電力調整プロセスを示すフローチャートである。
【
図8】本開示の実施形態による、動的短距離FSO送信機の動的減衰プロセスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の1又は2以上の特定の実施形態について説明する。これらの実施形態を簡潔に説明するために、本明細書では実施の特徴を全て説明していない場合もある。あらゆる工学又は設計プロジェクトにおいて見られるようなあらゆるこのような実施の開発においては、実施によって異なり得るシステム関連及びビジネス関連の制約の順守などの開発者の個別の目的を達成するために、数多くの実施固有の決定を行わなければならないと理解されたい。さらに、このような開発努力は複雑かつ時間の掛かるものとなり得るが、本開示の恩恵を受ける当業者にとっては設計、製作及び製造という日常的な取り組みであると理解されたい。
【0014】
以下の説明は、一般に乗り物車両を確保して収容できるキャリッジの動きを駆動する複数の閉ループ又は開ループ滑車システムを含むことができる遊園地スタイルの乗り物の文脈で行うが、本明細書に開示する実施形態は、このような娯楽の文脈に限定されるものではないと理解されたい。実際に、このような娯楽用途における実施例及び説明の提供は、実際の実装及び用途の例を提供することによって説明を容易にするためのものである。従って、本明細書に開示する実施形態は、いくつかの例を挙げれば、輸送システム(例えば、列車システム、建物及び床面接続システム)、エレベータシステム、及び/又はその他の工業用、商業用及び/又はレクレーション用人間輸送システムなどの他の用途においても役立つことができると理解されたい。
【0015】
上記の内容を念頭に置き、本実施形態は、短距離自由空間光(FSO)通信を介して車両に電子データを送信するシステム及び方法を含む。本明細書では、開示する実施形態のいくつかの特徴のみを図示し説明するが、当業者には多くの修正及び変更が思い浮かぶであろう。従って、添付の特許請求の範囲は、本開示の実際の趣旨に該当する全てのこのような修正及び変更を含むものであると理解されたい。
【0016】
最初に動的短距離FSOシステムのコンポーネントの概観を参照すると、
図1は、本開示の実施形態による、自由空間光(FSO)受信機の様々な位置に基づいて様々な伝送を行っている動的短距離FSOシステム100を示す概略図である。動的短距離FSOシステム100は、システム100の受信機104に見通し線を介して光を提供することによってデータを送信する送信機102を含む。図示のように、受信機104は(例えば、位置106から位置108に)動的に位置を変更することができる。例えば、図示のように、受信機104は、送信機102から相対的に短い距離の位置106から相対的に長い距離の位置108に移動する。
【0017】
短距離FSO伝送では、伝送距離が重要な要因である。受信機104は、送信機102に近すぎると、光を電子データ伝送として解釈不能にする光の過飽和を受けることがある。これとは逆に、受信機104は、送信機102から遠すぎると、光を電子データ伝送として解釈できるほど十分な光を受け取らないことがある。従って、送信機102は、内包する範囲検出回路110及び伝送調整回路112を使用してこれらの問題を緩和することができる。
【0018】
範囲検出回路110は、電子データ伝送からのターゲット(例えば、受信機104)の範囲を検出することができる。例えば、範囲検出回路110は、送信機102の伝送システム114(例えば、発光体)と受信機104との間の距離及び/又は位置の変化を検出するカメラ及び/又はその他の回路を含むことができる。例えば、範囲検出回路110は、受信機104が存在する位置106及び/又は位置108を検出することができる。伝送システム114からの範囲及び/又は位置偏差を計算して、伝送調整回路112での使用のために提供することができる。伝送調整回路112は、範囲検出回路110によって識別された決定範囲に基づいて、伝送システム114によって提供された伝送の特性を調整することができる。例えば、特性は、伝送システム114への電力供給、伝送システム114から出力される光の大きさ、放射光の光ビーム位置などを含むことができる。この実施形態では、位置108における受信機108の方が位置106よりも相対的に離れた距離に存在する。従って、位置108では受信機108が離れた距離に存在するため、伝送システム114がさらなる強度の光を提供することができる。いくつかの実施形態では、伝送システム114に入力される電力量を増加させることによってこれを行うことができる。他の実施形態では、伝送システム114に供給される電力から独立して光強度を制御することができる。
【0019】
これに加えて及び/又はこれに代えて、伝送ビーム位置を動的に変更することもできる。例えば、この実施形態では、受信機104が位置108に存在する場合、この位置は位置104の北側である。伝送システム114は、受信機104の位置に基づいて伝送ビーム116を向けることができる。従って、受信機は、受信機104が位置108に存在する時には光ビーム116を北に向けることができる。これとは逆に、伝送システムは、受信機104が位置106に存在する時には伝送ビームを南に向けることができる。伝送特性は、伝送中に調整することができる。すなわち、伝送ビーム116の提供中に受信機104が移動した場合、伝送調整回路112は、受信機104の移動中に伝送ビーム116を動的に調整することができる。
【0020】
次に具体的な実施形態を参照すると、
図2は、本開示の実施形態による、
図1の短距離FSOシステム100を使用する乗り物システム200の概略図である。図示のように、動的短距離FSO送信機102が構造物202に取り付けられる。送信機102は、FSO通信を介して乗り物車両204A及び204Bに乗り物車両データを送信する任務を負う。乗り物車両204A及び204Bの各々は、乗り物車両204A及び204Bの移動を容易にする輸送システム206を含む。乗り物車両204A及び204Bは、乗り物中に乗り物参加者(ride participate)が収容される客室208も含む。いくつかの実施形態では、客室208が、イベントのトリガ時に客室効果作動装置210を介して客室の動きなどの乗り物特徴を提供することができる。例えば、地震の乗り物特徴時には、客室効果作動装置210が客室を振動又は移動させることができる。客室効果作動装置210のプログラミング(例えば、条件)は、送信機102からビーム伝送116を介して送信データを受け取る動的短距離FSO受信機104によって受け取ることができる。例えば、客室効果作動装置210をプログラムするために使用されるデータは、受信機104に光ビーム伝送116を提供することによって送信機102から乗り物車両206A及び206Bに提供することができる。受信機104は、ビーム伝送116を受け取り、ビーム伝送116によって表される電子データを決定することができる。電子データは、乗り物車両204A及び204Bの制御システム214に記憶して、制御システム214が電子データを自己インストールすることを可能にすることができる。自己インストールされた電子データは、客室を動かすことなどの客室効果作動装置210の特徴を作動させるための特定の条件を定めることができる。いくつかの実施形態では、送信機102が、客室効果作動装置210に基づいて実行される特定の乗り物車両204A及び204B及び/又は客室208の動きを認識することができる。このような実施形態では、送信機が、これらの既知の変化に基づいて伝送特性を調整することができる。例えば、送信機102は、一定期間に客室208が5度左に傾斜することによって、対応する受信機104の動きが生じる可能性があると認識することができる。従って、送信機102は、客室の動きについての事前知識に基づいて、客室208の動きを考慮するように積極的にビームステアリング(beam steering)を行うことができる。
【0021】
乗り物車両204A及び204Bには、他のデータを提供することもできる。いくつかの実施形態では、乗り物車両204A及び204B内に双方向的特徴212(例えば、ビデオゲーム機/ディスプレイ)が配置される。双方向的特徴212のプログラミングは、送信機102が提供することもできる。例えば、双方向的特徴212がビデオゲーム機/ディスプレイである場合には、送信機102を介してビデオゲームデータ及び/又はビデオゲームコード自体を乗り物車両204A及び204Bに提供することができる。
【0022】
FSO通信は高帯域幅(例えば、1~10ギガビット/秒)であるため、乗り物車両データの伝送は、従来の無線通信技術を介して比較的迅速に完了することができる。しかしながら、上述したように、FSO通信は送信機102と受信機104との間の整列した見通し線経路に依拠するので、送信機は、本明細書で説明したように乗り物車両204A及び204Bの様々な位置を考慮するように伝送を調整することができる。送信機102は、伝送を調整することによって、乗り物車両の位置の分散(例えば、位置106対位置108)にもかかわらず良質なFSO伝送を促すことができる。
【0023】
図3Aに、本開示の実施形態による、動的短距離FSOデータ伝送に役立つ短距離FSO受信機104の第1の構成300を示す。受信機104は、
図2の乗り物車両204A及び204Bなどの車両に取り付けることができる。
図3Aの実施形態では、個々のセンサ302A、302B、302C、302D及び302Eがソフトウェア制御システム304にそれぞれ通信可能に結合される。センサ302A、302B、302C、302D及び302Eの各々は、その時々に動的に向きを変化させることができる車両に役立つことができる様々な異なる向きで送信機102が受信機104に接触することを可能にする異なる向きを含む。センサ302A、302B、302C及び302Dは、送信機102からセンサ302A、302B、302C及び302Dへの十分な伝送ビーム116の接触を提供する角度で向けられる。センサ302Eは、送信機102が受信機104の頭上にある時に使用されるように向けられる。受信機104では、あらゆる数のセンサを使用することができる。例えば、伝送範囲内に存在している間に限られた数の向き(例えば、前向き、横向き、上向き、又は後向き方向)にあると予想される車両では、これよりも少ない数のセンサを使用することができる。このようなシナリオでは、送信機102からの伝送を受け取る可能性が高いセンサのみが受信機104内に存在することができ、他のセンサは構成300から除外することができる。
【0024】
図3Bには、本開示の実施形態による、動的短距離FSOデータ伝送に役立つ短距離FSO受信機104の第2の構成350を示す。この実施形態では、センサ352A、352B、352C、352D及び352Eが全て結合し、共通受信機104の一部である。共通受信機104は、全ての所望の向きから送信機102に見える車両の部分に配置することができる。
図3Aの受信機104と同様に、センサ352A、352B、352C、352D及び352Eの各々は、その時々に動的に向きを変化させることができる車両に役立つことができる様々な異なる向きで送信機102が受信機104に接触することを可能にする異なる向きを含む。センサ352A、352B、352C及び352Dは、送信機102からセンサ352A、352B、352C及び352Dへの十分な伝送ビーム116の接触を提供する角度で向けられる。センサ352Eは、送信機102が受信機104の頭上にある時に使用されるように向けられる。受信機104では、あらゆる数のセンサを使用することができる。例えば、伝送範囲内に存在している間に限られた数の向き(例えば、前向き、横向き、上向き、又は後向き方向)にあると予想される車両では、これよりも少ない数のセンサを使用することができる。このようなシナリオでは、送信機102からの伝送を受け取る可能性が高いセンサのみが受信機104内に存在することができ、他のセンサは構成300から除外することができる。
図3Bに示すように、
図3Aのセンサとは異なり、センサ352A、352B、352C、352D及び352Eの各々は共通センサ装置354の一部である。いくつかの例では、
図3Aの実施形態で行われるように個々のセンサを配置するよりも共通センサ装置354を配置する方が容易な場合もある。
【0025】
上述したように、動的短距離FSO伝送は、動的に移動するターゲットにデータを送信するために使用することができる。さらなる説明のために、
図4は、本開示の実施形態による、短距離FSO送信機402を使用して自動車404A、404B及び404Cにデータを送信する自動車システム400を示す概略図である。図示のように、動的短距離FSO送信機402は、送信機がそれぞれの自動車404A、404B及び404Cの動的短距離FSO受信機408A、408B及び408Cとの見通し線接触を有することを可能にするベース406上に配置される。図示のように、自動車404Aは後向きであり、すなわち自動車404Aは指定場所(例えば、駐車場)にバックで進入している。動的短距離FSO送信機402及び/又は受信機408Aの位置に起因して、送信機402は受信機408Aとの見通し線を維持することができ、従ってデータ伝送410Aを行うことができる。自動車404Bは前向きであり、すなわち指定場所(例えば、駐車場)に正面から引き込まれている。さらに、受信機408Bは、自動車404Bの前部に位置する。従って、送信機402は、受信機408Bに伝送データ410Bを提供することができる。
図3A及び
図3Bに関して上述したように、いくつかの例では、受信機が複数のセンサを利用することができる。例えば、車両404Cは、前向きセンサ412及び後向きセンサ414を使用する受信機408Cを有する。このような例では、送信機402が、受信機408Cによって使用される一連のセンサから最も好適なセンサを識別することができる。例えば、最も好適なセンサは、送信機402に最も近いセンサ、相対的に最も広くて妨害のない表面積を有するセンサなどとすることができる。この実施形態では、2つのセンサ412及び414のうち、送信機402に最も近く、送信機402から見える表面積が最も広いという両方の理由でセンサ412が選択されている。従って、送信機は、受信機408Cのセンサ412に伝送データ410Cを提供することができる。
【0026】
送信機402は、伝送ビームを機械的に又は別様に調整することができる。例えば、送信機402内のモータがビーム源をターゲットセンサ/受信機の方に向けることができる。いくつかの実施形態では、複数のビーム源が存在することができる。複数のビーム源は、異なるように配置し、及び/又は(例えば、異なる角度で)異なるように向けることができる。送信機402は、複数のビーム源のうちの、ターゲットセンサ/受信機の方に向けられるビームを生成するのに最も適した1又は2以上のビーム源を選択することができる。ターゲット受信機は、車両センサ/受信機を認識する、送信機402の光学認識回路416(例えば、プロセッサ及びカメラ)によって識別することができる。これに加えて及び/又はこれに代えて、送信機402は、1又は2以上の車両(例えば、自動車408C)に通信可能に結合されて、ターゲットセンサ/受信機を選択するのに役立つ情報を1又は2以上の車両から受け取ることができるコントローラ418を含むこともできる。例えば、自動車408Cは、Bluetooth又はWi-Fiなどの無線通信技術を介してコントローラ418に通信可能に結合することができる。自動車408Cは、この通信可能な結合を通じて自動車408Cの位置、向きなどの情報を提供して、送信機402が短距離FSO通信のためのセンサ412を選択することを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、自動車408Cが、短距離FSO通信のために送信機402がセンサ412をターゲットとすべきであることを識別するインジケーション(indication)を単純に送信機402に提供することができる。
【0027】
次に、動的短距離FOS通信によって送信されるデータの説明に進むと、
図5は、本開示の実施形態による、
図4の自動車のうちの1つのヘッドユニット進行(head unit progression)500の概略図である。上述したように、短距離FSO通信は、多くの異なるタイプのデータを転送することができる。例えば、1つの実施形態では、車両のコンピュータシステムにソフトウェアアップデートを適用できるように、車両に車両ソフトウェアアップデート(例えば、ファームウェア、全地球測位システムマップなど)を転送することができる。ヘッドユニット進行500の第1段階502には、
図4の送信機402との間にFSOリンクが確立されたことを示す通知504を示す。通知504は、FSOリンクが新たなソフトウェアのダウンロードを支援している旨のインジケーションも提供する。第2段階506では、ソフトウェアアップデートがダウンロードされて適用された後に、ソフトウェアがアップデートされたことを示す新たな通知508が提示される。
【0028】
図6は、本開示の実施形態による、動的短距離FSO送信機を介した動的データ伝送プロセス600を示すフローチャートである。上述したように、FOS受信機/センサの位置を特定する(ブロック602)。これは、
図4に関して上述したような光学認識回路及び/又はコントローラを使用して行うことができる。例えば、光学認識回路は、カメラ及びプロセッサを使用して、ターゲットとする受信機を認識することができる。受信機は特別な識別特徴を含むことができ、これが受信機の識別を比較的容易にする。例えば、受信機は高反射性とすることができ、及び/又は光学認識回路が見分けることができる色で着色することができる。さらに、いくつかの実施形態では、コントローラが、ターゲット受信機の選択に役立つデータを提供するデータを(例えば、車両自体から)受け取ることができる。例えば、車両は、ターゲットとすべき特定の受信機/センサの位置の明確なインジケーションをコントローラに提供することができる。
【0029】
ターゲット受信機/センサが識別されると、受信機の位置に適用可能な伝送パラメータを識別する(ブロック604)。例えば、送信機と受信機との間の範囲によっては伝送修正(transmission alteration)が有益となり得る。上述したように、伝送ビームが強すぎる場合には、受信機が過度に強力なビームによって飽和してしまうことがある。対照的に、伝送ビームが弱すぎる場合には、受信機がビームによって表される結果的なデータを取得するためにビームを解釈するのが困難になることがある。伝送ビームを調整するには、伝送源電力調整及び/又は特定の伝送フィルタを適用することができる。これらの調整は、特定の位置/範囲に合わせて伝送ビームを校正することができる。例えば、伝送源電力(transmission source power)を抑えると、伝送ビームを低下させることができる。
図7は、本開示の実施形態による、動的短距離FSO送信機の動的電力調整プロセス700を示すフローチャートである。上述したように、送信機と受信機との間の範囲/距離を識別する(ブロック702)。識別された範囲/距離に基づいて、電力調整選択を決定する(ブロック704)。例えば、範囲/距離に基づいてデータテーブルにインデックスを付けることができる。データテーブル内の追加データは、対応する範囲/距離に使用すべき特定の伝送源電力設定を示すことができる。電力調整選択が決定されると、識別された電力調整を使用して伝送を行うことができる(ブロック706)。
【0030】
再び
図6を参照すると、いくつかの実施形態では、特定された位置の受信機が伝送ビームによって飽和しないようにフィルタが伝送ビームの一部を減衰させることができる。これに加えて及び/又はこれに代えて、伝送ビームステアリングを調整して、ビームを受信機に到達するように(例えば、特定の角度で)向けることもできる。
図8は、本開示の実施形態による、動的短距離FSO送信機の動的減衰プロセス800を示すフローチャートである。上述したように、送信機と受信機との間の範囲/距離を識別する(ブロック802)。識別された範囲/距離に基づいて、減衰調整選択を決定する(ブロック804)。例えば、範囲/距離に基づいてデータテーブルにインデックスを付けることができる。データテーブル内の追加データは、複数の利用可能なフィルタのうちの対応する範囲/距離に使用すべき特定のフィルタを示すことができる。減衰調整選択が決定されると、識別された減衰調整を使用して伝送を行うことができる(ブロック806)。
【0031】
伝送パラメータが識別されると、送信機は、識別されたパラメータに基づいて伝送を生成/修正することができる(ブロック606)。例えば、送信機は、送信機に対する受信機の位置に適した識別された大きさにソース電力を調整することができる。いくつかの実施形態では、減衰フィルタを選択し、伝送源に適用して、伝送ビームの強度を変更することができる。さらに、上述したように、複数のソースのうちの正しい向きを有する1つを選択することによって、及び/又は伝送ビーム源及び/又は伝送ビーム自体の機械的作動を介して伝送ビームステアリングを適用することができる。
【0032】
識別されたパラメータが送信機に設定されると、短距離FSO伝送を介して送信機から受信機にデータを提供することができる(ブロック608)。例えば、送信機(又は他のコンポーネント)は、データを表す光ビームを生成し、この光ビームを受信機に提供することができる。
【0033】
理解できるように、本技術は、静止位置を維持しない受信機への短距離データ伝送に幅広い利益を提供する。専門的なFSO伝送システム及び/又は受信機システムを設けることにより、車両などの非定常装置に高品質かつ高帯域幅のデータ伝送を提供することができる。受信機の特性に基づいて伝送設定を調整することにより、データ伝送中に体験される伝送エラーをはるかに少なくすることができる。伝送ストリームが特定の受信機に合わせてカスタマイズされ、受信機自体が受信を容易にする。
【0034】
本明細書に示して特許請求する技術は、本技術分野を確実に改善する、従って抽象的なもの、無形のもの又は純粋に理論的なものではない実際的性質の有形物及び具体例を参照し、これらに適用される。さらに、本明細書の最後に添付するいずれかの請求項が、「...[機能]を[実行]する手段」又は「...[機能]を[実行]するステップ」として指定されている1又は2以上の要素を含む場合、このような要素は米国特許法112条(f)に従って解釈すべきである。一方で、他のいずれかの形で指定された要素を含むあらゆる請求項については、このような要素を米国特許法112条(f)に従って解釈すべきではない。
【符号の説明】
【0035】
100 動的短距離FSOシステム
102 動的短距離FSO送信機
104 FSO受信機
106 位置
108 位置
110 範囲検出回路
112 伝送調整回路
114 伝送システム
116 伝送ビーム