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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-16
(45)【発行日】2025-04-24
(54)【発明の名称】二酸化炭素を変換するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/02 20060101AFI20250417BHJP
   C01B 32/40 20170101ALI20250417BHJP
【FI】
C01B3/02 Z ZAB
C01B32/40
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022519390
(86)(22)【出願日】2020-09-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-24
(86)【国際出願番号】 US2020053118
(87)【国際公開番号】W WO2021062384
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2023-09-21
(31)【優先権主張番号】62/906,969
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522118573
【氏名又は名称】オキシ ロー カーボン ベンチャーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レパスキー,ジョン エム
(72)【発明者】
【氏名】ゼラー,ザ サード,ロバート エル
【審査官】磯部 香
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-525832(JP,A)
【文献】特開平07-069615(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101624186(CN,A)
【文献】特表2008-533287(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0280135(US,A1)
【文献】特開2008-208148(JP,A)
【文献】米国特許第03723344(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0313886(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 3/02
C01B 32/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンガスを生産するためのプロセスであって、
(i)初期反応器内で二酸化炭素の少なくとも一部を水素と反応させて、一酸化炭素、水、未反応の二酸化炭素、および未反応の水素を含む初期生成物流を生産するステップと、
(ii)前記初期反応器の下流にある反応器内で前記未反応の二酸化炭素および前記未反応の水素の少なくとも一部を反応させ、それによって一酸化炭素、水、未反応の二酸化炭素、および未反応の水素を含む生成物流を生産するステップと
を含
前記初期生成物流が、前記初期反応器を出るとき温度T1を有し、前記生成物流が、前記下流にある反応器を出るとき温度T2を有し、T2>T1であり、T1が、300~1000℃であり、T2が、500~1200℃であり、
前記初期反応器が断熱反応器であり、前記下流にある反応器が非断熱の燃焼管型反応器である、
プロセス。
【請求項2】
前記二酸化炭素および前記水素が、前記初期反応器内の反応物の少なくとも50mol%を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記下流にある反応器が直列の最終反応器であり、前記最終反応器により生産される生成物流が最終生成物流であり、前記プロセスが、前記初期反応器と前記最終反応器の間に位置する1つまたは複数の反応器内で前記初期生成物流内の未反応の二酸化炭素および未反応の水素を反応させるステップをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
(i)前記最終反応器内で前記未反応の二酸化炭素および前記未反応の水素の少なくとも一部を反応させる前記ステップの前に前記初期生成物流から前記水の少なくとも一部を除去するステップ、または(ii)前記初期反応器と前記最終反応器の間に位置する1つまたは複数の反応器内で未反応の二酸化炭素および未反応の水素を反応させる前記ステップの前に中間生成物流から前記水の少なくとも一部を除去するステップをさらに含む、請求項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記プロセスは、熱を前記最終反応器に導入するステップをさらに含み
前記熱を前記最終反応器に導入するステップは、二酸化炭素を発生させ、かつ二酸化炭素を含む排出流を生産し
前記プロセスは、前記排出流中に含まれる前記二酸化炭素の少なくとも一部を捕捉して二酸化炭素を含む捕捉流を生成するステップ
前記捕捉流中に含まれる前記二酸化炭素の少なくとも一部を、一酸化炭素への変換のために、前記最終反応器に、または前記最終反応器の上流にあるステップに導入するステップをさらに含む、請求項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記最終生成物流の少なくとも一部を炭化水素、アルコールのうちの少なくとも1つに変換するステップをさらに含む、請求項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記二酸化炭素の少なくとも一部を水素と反応させる前記ステップが、過剰な熱を含む排出流を生産し
前記プロセスは、(i)初期反応器中で前記二酸化炭素の少なくとも一部を水素と反応させる前記ステップの前に、二酸化炭素含有フィード流および前記二酸化炭素含有フィード流と水素流が合わせられた混合反応物流のうちの少なくとも1つに前記過剰な熱を伝達するステップをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
熱を前記最終反応器に導入する前記ステップが、熱を炭素フリー熱源から導入するステップを含み、
前記炭素フリー熱源が、電力、原子力、風力、ソーラーパワー、水力、水素の燃焼、および炭素フリー燃料の燃焼のうちの少なくとも1つを含む、請求項に記載のプロセス。
【請求項9】
大気空気から二酸化炭素を捕捉して、二酸化炭素を含む直接空気捕捉流を生成するステップと、
二酸化炭素を含む前記直接空気捕捉流の少なくとも一部を前記初期反応器に導入するステップをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
シンガスを生産するためのプロセスであって、
(i)二酸化炭素を含む反応物流を供給するステップと、
(ii)水素を含む反応物流を供給するステップと、
(iii)二酸化炭素を含む前記反応物流を、水素を含む前記反応物流と合わせて、混合反応物流を生成するステップと、
(iv)前記混合反応物流を加熱して、加熱混合反応物流を生成するステップと、
(v)前記加熱混合反応物流を、逆水性ガスシフト触媒を含む断熱反応器に導入するステップと、
(vi)前記断熱反応器内で前記水素および前記二酸化炭素を反応させ、それによって一酸化炭素、水、水素、および二酸化炭素を含む初期生成物流を生成するステップと、
(vii)前記断熱反応器から前記初期生成物流を除去するステップであって、前記初期生成物流は、前記断熱反応器を出るときに温度T1を有する、ステップと、
(viii)前記初期生成物流から前記初期生成物流中の前記水の少なくとも一部を除去して、水が少ない初期生成物流を生成するステップと、
(ix)前記初期生成物流を、逆水性ガスシフト触媒を含む非断熱の燃焼管型反応器に導入するステップであって、前記燃焼管型反応器は、生産された二酸化炭素および過剰な熱を含む排出流を生産する、ステップと、
(x)前記燃焼管型反応器内で前記初期生成物流を温度T3まで加熱し、それによって前記初期生成物流内の前記二酸化炭素および前記水素を反応させて、最終生成物流を生成するステップであって、T3はT1以上である、ステップと、
(xi)前記過剰な熱の少なくとも一部を、前記混合反応物流を加熱して加熱混合反応物流を生成する前記ステップに送るステップと、
(xii)前記生産された二酸化炭素の少なくとも一部を、前記断熱反応器または前記燃焼管型反応器に送るステップと
を含む、プロセス。
【請求項11】
シンガスを生産するためのプロセスであって、
(i)二酸化炭素を含む反応物流を供給するステップと、
(ii)水素を含む反応物流を供給するステップと、
(iii)二酸化炭素を含む前記反応物流を、水素を含む前記反応物流と合わせて、混合反応物流を生成するステップと、
(iv)前記混合反応物流を加熱して、加熱混合反応物流を生成するステップと、
(v)前記加熱混合反応物流を、逆水性ガスシフト触媒を含む初期断熱反応器に導入するステップと、
(vi)前記初期断熱反応器内で前記水素および前記二酸化炭素を反応させ、それによって一酸化炭素、水、水素、および二酸化炭素を含む初期生成物流を生成するステップと、
(vii)前記初期断熱反応器から前記初期生成物流を除去するステップであって、前記初期生成物流は、前記初期断熱反応器を出るときに温度T1を有する、ステップと、
(viii)前記初期生成物流から前記初期生成物流中の前記水の少なくとも一部を除去して、水が少ない初期生成物流を生成するステップと、
(ix)前記水が少ない初期生成物流を加熱して、水が少ない加熱初期生成物流を生成するステップと、
(x)前記水が少ない加熱初期生成物流を、逆水性ガスシフト触媒を含む下流断熱反応器に導入するステップと、
(xi)前記下流断熱反応器内で前記水素および前記二酸化炭素を反応させ、それによって一酸化炭素、水、水素、および二酸化炭素を含む中間生成物流を生成するステップと、
(xii)前記下流断熱反応器から前記中間生成物流を除去するステップであって、前記中間生成物流は、前記下流断熱反応器を出るときに温度T2を有する、ステップと、
(xiii)前記中間生成物流中の前記水の少なくとも一部を除去して、水が少ない中間生成物流を生成するステップと、
xiv)前記水が少ない中間生成物流、逆水性ガスシフト触媒を含む非断熱の燃焼管型反応器に導入するステップであって、前記燃焼管型反応器は、生産された二酸化炭素および過剰な熱を含む排出流を生産する、ステップと、
xv)前記燃焼管型反応器内で前記水が少ない中間生成物流を温度T3まで加熱し、それによって前記水が少ない中間生成物流内の前記二酸化炭素および前記水素を反応させて、最終生成物流を生成するステップであって、T3はT2以上でありかつT3はT1以上である、ステップと、
xvi)前記過剰な熱の少なくとも一部を、前記混合反応物流を加熱して加熱混合反応物流を生成する前記ステップに、または前記水が少ない初期生成物流を加熱して、水が少ない加熱初期生成物流を生成する前記ステップに送るステップと、
xvii)前記生産された二酸化炭素の少なくとも一部を、前記初期断熱反応器、前記下流断熱反応器、または前記燃焼管型反応器に送るステップと
を含む、プロセス。
【請求項12】
(i)逆水性ガスシフト触媒を含む初期RWGS反応器であって、水素と二酸化炭素との反応を容易にするように適合され、一酸化炭素、水、水素、および二酸化炭素を含む初期生成物流を生成する、初期RWGS反応器と、
(ii)前記初期RWGS反応器の下流にある、前記初期生成物流から水を除去するための水除去ユニットと
iii)前記初期RWGS反応器の下流にあり、かつ前記初期RWGS反応器に対して直列かつ最後に置かれた最終RWGS反応器であって、水性ガスシフト触媒を含み、水素と二酸化炭素との反応を容易にするように適合され、一酸化炭素、水、水素、および二酸化炭素を含む最終生成物流を生成する、最終RWGS反応器と
を備え、
前記初期RWGS反応器は断熱反応器であり、前記最終RWGS反応器は非断熱の燃焼管型反応器である、
RWGSシステム。
【請求項13】
前記最終RWGS反応器と熱連通している加熱源をさらに備え、前記加熱源が、1つまたは複数の上流加熱源と熱連通している排出導管を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
二酸化炭素捕捉ユニットをさらに備え、前記二酸化炭素捕捉ユニットは、前記排出導管と流体連通しており、かつ前記加熱源を出る排出ガスから二酸化炭素を除去するように適合されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記初期RWGS反応器に対して直列に置かれ、かつ前記初期RWGS反応器の下流にある1つまたは複数の中間RWGS反応器をさらに備え、前記中間RWGS反応器はそれぞれ水性ガスシフト触媒を含み、前記中間RWGS反応器は、水素と二酸化炭素との反応を容易にするように適合され、中間生成物流を生成するとともに、最終的に一酸化炭素、水、水素、および二酸化炭素を含む最終中間生成物流を生成し、前記中間生成物流及び前記最終中間生成物流から水を除去するための水除去ユニットを備える、請求項12のシステム
【請求項16】
前記水が少ない中間生成物流を温度T2’まで加熱するステップと、次いで下流にある逆水性ガスシフト触媒を含む断熱反応器に導入するステップと、前記水が少ない中間生成物を前記燃焼管型反応器に導入する前に、前記水が少ない中間生成物流内の前記二酸化炭素及び前記水素を反応させるステップと
を含む、請求項11のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、雰囲気から直接捕捉された二酸化炭素合成ガスへ変換するためのプロセスを提供し、これは、工業的に有用なレベルでの有機分子の生産に有用であり得る。
【背景技術】
【0002】
合成ガスはシンガスとも呼ばれ、水素および一酸化炭素の混合物を、任意選択で二酸化炭素、窒素、メタン、および水などの追加の残余成分と共に含む。シンガスは、炭化水素およびアルコールなどの有機化合物を生産する反応物フィードとしてのその使用を含むいくつかの用途を有する。
【0003】
シンガスの合成には、二酸化炭素からの生産を含めていくつかの方法が使用されてきた。これらのプロセスは、逆水性ガスシフト(RWGS)反応を通じて二酸化炭素を一酸化炭素に変換することを含む。RWGS反応は可逆的であり、触媒の存在下で二酸化炭素(CO)を水素(H)と反応させて一酸化炭素(CO)および水(HO)を生産することを含む。次いで、生産された一酸化炭素を追加の水素と合わせてシンガスを生産することができ、水素を除去することができ、または過剰なHを使用してRWGS反応を行って、生成物流から水を除去しながらシンガスを直接生産することができる。
【0004】
RWGS反応は、基本的に平衡まで操作され得る可逆反応である。CO変換の程度は、フィードガス組成、使用される触媒、圧力、およびRWGS反応が起こる温度を含むいくつかの要因に依存する。より高い反応温度は一般に、より高いCO変換率につながる。例えば、おおよそ約55%変換率をおよそ540℃において達成することができ、一方、約80%変換率をおよそ950℃において達成することができる。
【0005】
RWGS反応の効率を改善する努力は、宇宙旅行などの地球外用途において技術的に重要であった。ほとんどの地球外用途における限られた資源を考えると、エネルギーだけでなく反応物の節約は、用途の有用性に決定的である。例えば、Whitlowら、Operation,Modeling and Analysis of the Reverse Water Gas Shift Process、AIP Conference Proceedings 654、1116(2003)は、水が生産流から引き抜かれ、反応物として電気分解ステップに送られて、それによって酸素および水素を生産する反応法を提案している。さらに、未反応の二酸化炭素および水素は、再循環されてRWGS反応器に戻って、二酸化炭素反応物フィード流のほぼ完全な変換を保証する。
【0006】
大気二酸化炭素のレベルに対する環境上の懸念は、二酸化炭素を消費し、それによって、潜在的に大気二酸化炭素のレベルを低減したいという欲求を生じた。例えば、米国特許出願公開第2007/0244208号は、液体燃料への二酸化炭素の変換を提案している。このプロセスによれば、水素を電気分解により水から発生させることができ、二酸化炭素を工業プロセスから捕捉することができる。二酸化炭素および水素は、RWGS反応において反応して、一酸化炭素または他の炭化水素前駆体を生産する。RWGS反応は、100%平衡変換率まで再循環モードで行うことができること、または代わりに反応は、水の除去により推進することができることが示唆される。プロセス全体における他のプロセスステップからの熱を使用して、RWGS反応を推進することができることも示唆される。再循環または水除去が、任意選択で熱統合と共に提案されるが、好ましい実施形態は、凝縮を使用して、生成物流から二酸化炭素を除去し、それをRWGS反応に戻す。
【0007】
操作が地球上で操作されるのかそれとも地球外で操作されるのかに関わらず、RWGS反応器に戻る、生成物流からの生成物の再循環は、いくつかの複雑さおよび欠点を生み出す。例えば、再循環システムは、圧縮機(これは、信頼性がなく、かつメンテナンスを必要とする可能性のある回転設備を導入する)を必要とし、それによって、工業的規模の操作内のその効率的な使用を妨げる。圧縮機は電力も必要とし、これは、発電に関連する望ましくない非効率性および潜在的なCOまたはその他の排出を生じ得る。さらに、先行技術において提案されたプロセスは、二酸化炭素の消費よりもむしろ節約、または原料、または燃料の生成に焦点を合わせている。正味のCO除去は、今やこれまで以上に望ましいものであり、重要な技術的課題を提示しており、これは先行技術が取り組んでいない問題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許出願公開第2007/0244208号
【文献】米国特許出願公開第2017/0197829号
【文献】米国特許出願公開第2015/0080482号
【文献】米国特許出願公開第2010/0105962号
【文献】米国特許出願公開第2003/0113244号
【文献】米国特許出願公開第2007/0142482号
【文献】米国特許出願公開第2017/0354925号
【文献】米国特許出願公開第2014/0271379号
【文献】米国特許出願公開第2019/0344217号
【文献】米国特許出願公開第2019/0359894号
【文献】米国特許出願公開第2019/0336909号
【非特許文献】
【0009】
【文献】Whitlowら、Operation,Modeling and Analysis of the Reverse Water Gas Shift Process、AIP Conference Proceedings 654、1116(2003)
【文献】Keithら、A process for Capturing CO2 from the Atmosphere、Joule(2018)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
二酸化炭素の大規模な消費が依然として望まれるため、大気二酸化炭素レベルに影響し得るレベルで二酸化炭素の消費を達成する効率的な工業的規模のプロセスの継続的な開発が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の1つまたは複数の実施形態は、シンガスを生産するためのプロセスであって、(i)初期反応器内で二酸化炭素の少なくとも一部を水素と反応させて、一酸化炭素、水、未反応の二酸化炭素、および未反応の水素を含む初期生成物流を生産するステップと、(ii)第1の反応器の下流にある反応器内で未反応の二酸化炭素および未反応の水素の少なくとも一部を反応させ、それによって一酸化炭素、水、未反応の二酸化炭素、および未反応の水素を含む生成物流を生産するステップとを含む、プロセスを提供する。
【0012】
本発明の他の実施形態は、シンガスを生産するためのプロセスであって、(i)二酸化炭素を含む反応物流を供給するステップと、(ii)水素を含む反応物流を供給するステップと、(iii)二酸化炭素を含む反応物流を、水素を含む反応物流と合わせて、混合反応物流を生成するステップと、(iv)混合反応物流を加熱して、加熱混合反応物流を生成するステップと、(v)加熱混合反応物流を、逆水性ガスシフト触媒を含む断熱反応器に導入するステップと、(vi)断熱反応器内で水素および二酸化炭素を反応させ、それによって一酸化炭素、水、水素、および二酸化炭素を含む初期生成物流を生成するステップと、(vii)断熱反応器から初期生成物流を除去するステップであって、前記初期生成物流は、断熱反応器を出るときに温度T1を有する、ステップと、(viii)初期生成物流から初期生成物流中の水の少なくとも一部を除去して、水が少ない初期生成物流を生成するステップと、(ix)初期生成物流を、逆水性ガスシフト触媒を含む燃焼管型反応器に導入するステップであって、前記燃焼管型反応器は、生産された二酸化炭素および過剰な熱を含む排出流を生産する、ステップと、(x)燃焼管型反応器内で生成物流を温度T3まで加熱し、それによって初期生成物流内の二酸化炭素および水素を反応させて、最終生成物流を生成するステップであって、T3はT1以上である、ステップと、(xi)過剰な熱の少なくとも一部を、混合反応物流を加熱して加熱混合反応物流を生成する前記ステップに送るステップと、(xii)生産された二酸化炭素の少なくとも一部を、前記断熱反応器または前記燃焼管型反応器に送るステップとを含む、プロセスを提供する。
【0013】
本発明のさらなる他の実施形態は、シンガスを生産するためのプロセスであって、(i)二酸化炭素を含む反応物流を供給するステップと、(ii)水素を含む反応物流を供給するステップと、(iii)二酸化炭素を含む反応物流を、水素を含む反応物流と合わせて、混合反応物流を生成するステップと、(iv)混合反応物流を加熱して、加熱混合反応物流を生成するステップと、(v)加熱混合反応物流を、逆水性ガスシフト触媒を含む初期断熱反応器に導入するステップと、(vi)初期断熱反応器内で水素および二酸化炭素を反応させ、それによって一酸化炭素、水、水素、および二酸化炭素を含む初期生成物流を生成するステップと、(vii)初期断熱反応器から初期生成物流を除去するステップであって、前記初期生成物流は、初期断熱反応器を出るときに温度T1を有する、ステップと、(viii)初期生成物流から初期生成物流中の水の少なくとも一部を除去して、水が少ない初期生成物流を生成するステップと、(ix)水が少ない初期生成物流を加熱して、水が少ない加熱初期生成物流を生成するステップと、(x)水が少ない加熱初期生成物流を、逆水性ガスシフト触媒を含む下流断熱反応器に導入するステップと、(xi)下流断熱反応器内で水素および二酸化炭素を反応させ、それによって一酸化炭素、水、水素、および二酸化炭素を含む中間生成物流を生成するステップと、(xii)下流断熱反応器から中間生成物流を除去するステップであって、前記中間生成物流は、下流断熱反応器を出るときに温度T2を有する、ステップと、(xiii)中間生成物流中の水の少なくとも一部を除去して、水が少ない中間生成物流を生成するステップと、(xiv)任意選択で、水が少ない中間生成物流を加熱して、温度T2’で、水が少ない加熱中間生成物流を生成するステップと、(xv)任意選択で、水が少ない加熱中間生成物流を、逆水性ガスシフト触媒を含む下流断熱反応器に導入し、水が少ない加熱中間生成物流中の二酸化炭素および水素を反応させ、それによって最終的に最終中間生成物流を生成するステップと、(xvi)中間生成物流または最終中間生成物流を、逆水性ガスシフト触媒を含む燃焼管型反応器に導入するステップであって、前記燃焼管型反応器は、生産された二酸化炭素および過剰な熱を含む排出流を生産する、ステップと、(xvii)燃焼管型反応器内で中間または最終中間生成物流を温度T3まで加熱し、それによって中間生成物流または最終中間生成物流内の二酸化炭素および水素を反応させて、最終生成物流を生成するステップであって、T3はT2以上でありかつT3はT1以上である、ステップと、(xviii)過剰な熱の少なくとも一部を、混合反応物流を加熱して加熱混合反応物流を生成する前記ステップに、または初期生成物流を加熱して加熱初期生成物流を生成する前記ステップに送るステップと、(xix)生産された二酸化炭素の少なくとも一部を、前記断熱反応器、前記下流断熱反応器、または前記燃焼管型反応器に送るステップとを含む、プロセスを提供する。
【0014】
本発明のさらに他の実施形態は、(i)逆水性ガスシフト触媒を含む初期RWGS反応器であって、一酸化炭素、水、水素、および二酸化炭素を含む初期生成物流を生成する水素と二酸化炭素との反応を容易にするように適合された、初期RWGS反応器と、(ii)前記初期RWGS反応器の下流にある、初期生成物流から水を除去するための水除去ユニットと、(iii)前記初期RWGS反応器の下流にある、直列に置かれた、任意選択の1つまたは複数の中間RWGS反応器であって、それぞれ水性ガスシフト触媒を含み、中間生成物流を生成して最終的に一酸化炭素、水、水素、および二酸化炭素を含む最終中間生成物流を生成する水素と二酸化炭素との反応を容易にするように適合された、中間RWGS反応器と、(iv)任意選択の、中間生成物流および最終中間生成物流から水を除去するための水除去ユニットと、(v)前記初期RWGS反応器および前記任意選択の1つまたは複数の中間RWGS反応器の下流にあり、かつそれらに対して直列に置かれた最終RWGS反応器であって、水性ガスシフト触媒を含み、一酸化炭素、水、水素、および二酸化炭素を含む最終生成物流を生成する水素と二酸化炭素との反応を容易にするように適合された、最終RWGS反応器とを備えるRWGSシステムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態による2ステップRWGSプロセスの概略図である。
【0016】
図2】本発明の実施形態による多ステップRWGSプロセスの概略図である。
【0017】
図3】本明細書に記載の比較例1による一段階RWGS反応を使用する一例のプロセスの概略図である。
【0018】
図4】本明細書に記載の比較例2による一段階RWGS反応を使用する一例のプロセスの概略図である。
【0019】
図5】温度に対する一段階RWGS反応のグラフプロットである。
【0020】
図6】本明細書に記載の実施例3による2段階RWGS反応を使用する一例のプロセスの概略図である。
【0021】
図7】本明細書に記載の実施例4、5および6による2段階RWGS反応を使用する一例のプロセスの概略図である。
【0022】
図8】本明細書に記載の実施例7および8による3段階RWGS反応を使用する一例のプロセスの概略図である。
【0023】
図9】本明細書に記載の実施例9による3段階RWGS反応を使用する一例のプロセスの概略図である。
【0024】
図10】実施例に関する水除去(異なる曲線)およびRWGS反応器段階の数に応じたCO変換率グラフプロットである。
【0025】
図11】実施例に関する水除去(異なる曲線)およびRWGS反応器段階の数に応じたCO天然ガスだき排出/変換されたCOグラフプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態は、反応効率の全体的なバランスを維持しながら高い変換率で二酸化炭素が一酸化炭素に変換される工業的に重要なプロセスの発見に少なくとも部分的に基づいている。このプロセスは、熱統合および水除去の両方を任意選択で含む多段階反応スキーム内で逆水性ガスシフト(RWGS)反応を利用して、総合的なプロセス効率を達成する。さらに、反応条件は、総合的な反応効率を達成するように各段階において調整される。したがって、先行技術は、未反応の二酸化炭素を再循環してRWGS反応器に戻して、二酸化炭素の完全な変換を推進することを提案している一方で、本発明は、工業的に重要なレベルで望ましい効率を達成する。さらに、反応ステップ間の構成要素の熱統合および/または分離と組み合わせると、さらなる総合効率を実現することができる。
【0027】
プロセス概要
2ステップ実施形態
本発明によるプロセスは、図1を参照して説明することができ、これは、初期RWGS反応ステップ22(これは、第1のRWGS反応ステップ22と呼ばれることもある)と、その後に直列に続く最終RWGS反応ステップ32を含む逆水性ガスシフト(RWGS)プロセス11を示す。二酸化炭素(CO)流21および水素(H)流2が合わせられて、混合反応物流25を生成することができ、これは、次いで、加熱ステップ24において(例えば熱交換器内で)加熱される。次いで、加熱混合反応物流27が、第1の加熱ステップ24から第1のRWGS反応ステップ22に送られ、ここで、COおよびHが、触媒の存在下で(例えば断熱反応器内で)反応して、一酸化炭素(CO)および水(HO)を生産する。
【0028】
熱は、1つまたは複数の熱源から加熱ステップ24に供給されてよい。例えば、熱29が、専用の熱源26から供給されてよい。代わりに、または専用の熱源26に加えて、下流プロセスステップからの熱が、加熱ステップ24により受け取られてよい。例えば、図1に示され、かつ本明細書において以下でより詳細に説明されるように、最終RWGS反応ステップ32からの排出流31内の過剰な熱を加熱ステップ24に送ることができる。熱源26においてなど熱の発生において二酸化炭素が生産される任意選択の実施形態において、生産された二酸化炭素を、それを一酸化炭素に少なくとも部分的に変換することができる第1のRWGS反応ステップ22に送り返すことができる。例えば、生産された二酸化炭素を含む流れ35を、二酸化炭素フィード流21、混合流25と合わせるか、または反応ステップ22に直接導入することができる。代わりに、生産された二酸化炭素は、最終RWGS反応ステップ32に、またはRWGS反応を介した一酸化炭素への変換のためのプロセス中の中間点に送られてよい。
【0029】
COおよびHO生成物は、任意の未反応の反応物と共に、第1のRWGS反応ステップ22から生成物流33として第2のRWGS反応ステップ32に送られる。1つまたは複数の実施形態において、生成物流33は、最終RWGS反応ステップ32の前に水除去ステップ38内で水除去を経てよく、それによって水除去ステップ38は、水が少ない生成物流33’を生産する。次いで、水が少ない生成物流33’は、最終RWGS反応ステップ32に導入されてよい。
【0030】
熱39が、熱源36から最終RWGS反応ステップ32に供給されてよく、これは、反応ステップ32により消費されない熱(すなわち過剰な熱)と、任意選択で、生産された二酸化炭素とを含む排出流31を生産する。上述のように、RWGS反応ステップ32からの過剰な熱は、図1に示されるように排出流31を介して、加熱ステップ24など、上流ステップに供給されてよい。図示されていないが、排出流31内の過剰な熱を使用して、生成物流33、33’を最終RWGS反応ステップ32に入る前に予熱してよい。熱源26と同じく、排出流31内の生産された二酸化炭素を上流RWGS反応(例えば第1のRWGS反応ステップ22)に送り返すことができる。例えば、排出流31からの、生産された二酸化炭素を含む流れ45を、二酸化炭素フィード流21、混合物25と合わせるか、または反応ステップ22に直接供給することができる。
【0031】
図1は、反応ステップ32に直接加えられる熱39と共に最終RWGS反応ステップ32を示すが、他の実施形態において、最終RWGS反応ステップは、反応器に入る前に加熱が行われる反応ステップ22に関して示される配列と同様の配列を含んでよいことが理解されるであろう。また、流れの予熱または反応ステップ中の反応物流の直接加熱は、選ばれる反応器のタイプ(例えば断熱反応器または非断熱反応器)に依存し得ることを当業者は理解するであろう。
【0032】
生成物流33(または水が少ない流れ33’)内のCOおよびHは、最終RWGS反応ステップ32内で反応して、COおよびHOを生産し、これらは、任意の未反応の反応物と共に、最終生成物流43として最終RWGS反応ステップ32を出る。最終生成物流43は、例えば分離ステップ46内の、1つまたは複数の分離を経てよい。例えば、分離ステップ46は、水流51を介して水を除去してよい。水除去に加えて、またはその代わりに、最終生成物流内の水素の少なくとも一部を除去して(例えば膜によって)、水素リッチな流れ53を生成することができる。同じく、水および/もしくは水素の分離に加えて、またはその代わりに、二酸化炭素を任意選択で分離して、二酸化炭素リッチな流れ55を生産することができ、かつ/または一酸化炭素を任意選択で分離して、一酸化炭素リッチな流れ57を生産することができる。
【0033】
1つまたは複数の実施形態において、最終生成物流43はシンガス流である。分離および/または精製を生成物流43上で実施して、改変シンガス流61を生産することができることを当業者は理解する。例えば、成分を回収することができ(例えば、HO、H、CO、および/またはCOの回収)、精製を行うことができ、かつ/または成分の比を操作して、改変シンガス流61を生産することができる。1つまたは複数の実施形態において、例えば二酸化炭素リッチな流れ55を生成する分離ステップ後の、流れ43中に含まれる二酸化炭素を上流RWGS反応ステップに送り返して、二酸化炭素の少なくとも一部を一酸化炭素に変換することができる。例えば、二酸化炭素リッチな流れ55を二酸化炭素フィード流21と合わせることができる。代わりに、二酸化炭素リッチな流れは、最終RWGS反応ステップ32に、またはRWGS反応を介して二酸化炭素を一酸化炭素に変換するためのプロセス中の中間点に送り返されてよい。図1は、単一のステップとして分離ステップ46を示すが、所望の分離および/または精製を達成するために複数の分離ステップが存在してよいことが理解されるであろう。
【0034】
多ステッププロセス
1つまたは複数の実施形態において、本発明のプロセスは、3つ以上の反応ステップを含む。1つまたは複数の実施形態において、最終ステップは、先行する反応ステップよりも高い温度で操作される。最終RWGS反応ステップに先行する反応ステップ(これらは、初期RWGS反応ステップおよび任意の中間RWGS反応ステップを含む)は、同じ温度でそれぞれ実施されてよい。他の実施形態において、中間RWGS反応ステップのうちの1つまたは複数が、初期RWGSステップを超える温度で実施される。特定の実施形態において、各中間RWGS反応ステップは、先行するステップよりも高い温度で実施される。さらなる他の実施形態において、多ステッププロセスの各ステップは、温度に対してランダムに操作される。1つまたは複数の実施形態において、水が、その後の反応ステップに送られる前にRWGS反応ステップのうちの1つまたは複数を出る生成物流から除去される。
【0035】
例示的な多段階プロセスは、図2を参照して説明することができ、これは、初期RWGS反応ステップ122、中間RWGS反応ステップ132、および最終RWGS反応ステップ152を含む3ステップ反応プロセス111を示す。図示されていないが、プロセス111は、1超、他の実施形態において3超、他の実施形態において10超、他の実施形態において20超、他の実施形態において100超の中間RWGS反応ステップを含んでよい。これらまたは他の実施形態において、プロセス111は、100未満、他の実施形態において30未満、他の実施形態において10未満の中間RWGS反応ステップを含んでよい。1つまたは複数の実施形態において、本発明のプロセスは、約1~約100、他の実施形態において約2~約30、他の実施形態において約3~約10の中間RWGS反応ステップを含んでよい。
【0036】
図2を再び参照して、CO流121およびH流123は、混合反応物流125へと合わせられ、加熱ステップ124において加熱されて、加熱流127を生成し、初期RWGS反応ステップ122に送られ、ここで、COおよびHの少なくとも一部は、触媒の存在下でCOおよびHOに変換されて、生成物流133を生成する。図1の実施形態と同じく、加熱ステップ124および反応ステップ122は、使用される反応器のタイプに応じて単一のステップへと合わせられてよい。また、1つまたは複数の実施形態において、混合反応物流125(ならびに上記の反応物流25)は直接調達することができ、したがってCO流121およびH流123は、任意選択で存在しなくてよいことが理解されるであろう。
【0037】
加熱ステップ124は、1つまたは複数の熱源から熱を受け取ってよい。例えば、熱129が、専用の熱源126から生産されてよい。代わりに、または専用の熱源126に加えて、下流プロセスステップからの熱が、加熱ステップ124により受け取られてよい。例えば、図1に示されるように、排出流131内の過剰な熱が、最終RWGS反応ステップ152から受け取られる。別の例(図示せず)において、排熱が、中間RWGS反応ステップ(例えばステップ132)または中間加熱源から受け取られてよい。熱源126においてなど熱の発生において二酸化炭素が生産される実施形態において、生産された二酸化炭素135を、それを一酸化炭素に少なくとも部分的に変換することができる第1のRWGS反応ステップ122に送り返すことができる。例えば、生産された二酸化炭素を、二酸化炭素フィード流121、混合流125と合わせるか、または反応ステップ122に直接導入することができる。代わりに、生産された二酸化炭素は、最終RWGS反応ステップ152に、またはRWGS反応を介した一酸化炭素への変換のためのプロセス中の中間点に送られてよい。
【0038】
1つまたは複数の実施形態において、初期RWGS反応ステップ122からの生成物流133は、任意選択の水除去ステップ138に任意選択で送られて、水が少ない生成物流133’を生産することができ、これは、次いで、中間加熱ステップ134に送られて、加熱流137を生成する。熱139が、1つまたは複数の熱源から加熱ステップ136に供給されてよい。例えば、熱139は、専用の熱源136から供給されてよい。代わりに、または専用の熱源136に加えて、熱が、他のプロセスステップから送られてよい。例えば、図2に示され、かつ本明細書において以下でより詳細に説明されるように、最終RWGS反応ステップ152からの排出流131内の過剰な熱を加熱ステップ134に送ることができる。熱源136においてなど熱の発生において二酸化炭素が生産される実施形態において、生産された二酸化炭素141を、それを一酸化炭素に少なくとも部分的に変換することができる第1のRWGS反応ステップ122に送り返すことができる。例えば、生産された二酸化炭素を、二酸化炭素フィード流121、混合流125と合わせるか、または反応ステップ122に直接導入することができる。代わりに、生産された二酸化炭素は、最終RWGS反応ステップ152に、またはRWGS反応を介した一酸化炭素への変換のためのプロセス中の中間点に送られてよい。反応ステップ122および加熱ステップ124と同じく、加熱ステップ134および反応ステップ132は、使用される反応器のタイプに応じて単一のステップへと合わせられてよい。
【0039】
加熱流137は、加熱ステップ134から中間RWGS反応ステップ132に送られ、ここで、加熱流137内のCOおよびHの少なくとも一部は、COおよびHOに変換されて、中間生成物流143を生成する。中間RWGS反応ステップ132を出る中間生成物流143は、1つまたは複数の追加の中間RWGS反応ステップ(図示せず)に任意選択で送ることができる。1つまたは複数の実施形態において、これらの1つまたは複数の中間RWGS反応ステップは直列に置かれる。プロセス流が、1つまたは複数の中間RWGS反応ステップを通じて下流に進むとき、プロセス流は、その後の中間RWGS反応ステップに入る前に1つまたは複数の水除去ステップ(図示せず)を経てよい。また、使用される反応器のタイプに応じて、1つまたは複数の中間RWGS反応ステップは、反応ステップに入る前に流れを予熱するステップを含んでよく、または流れは、中間RWGS反応ステップ中に同時に加熱されてよい。
【0040】
最終的に、1つまたは複数の中間RWGS反応ステップからの中間生成物流(例えば流れ143)は、最終RWGS反応ステップ152に送られる。最終RWGS反応ステップ152の前に、流れ143は、任意選択の水除去ステップ148を経て、水が減少した生成物流143’を生成してよい。最終RWGS反応ステップは、熱源156から熱159を受け取り、排出流131を生産してよく、これは、過剰な熱および/または生産された二酸化炭素を含んでよい。例えば、最終RWGS反応ステップ152からの排出流131内の過剰な熱を加熱ステップ124および/または134などの上流プロセスステップに送ることができる。また、排出流131内の過剰な熱を、先行する反応ステップのいずれかに送ることができ、または排出流131内の過剰な熱を使用して、上流の流れのいずれかを予熱することができる。熱源156においてなど熱159の発生において二酸化炭素が生産される場合、生産された二酸化炭素145を、それを一酸化炭素に少なくとも部分的に変換することができるRWGS反応ステップのいずれかに送ることができる。例えば、生産された二酸化炭素を、二酸化炭素フィード流121、混合流125と合わせるか、または反応ステップのうちの1つに直接導入することができる。代わりに、生産された二酸化炭素は、最終RWGS反応ステップ152に、またはRWGS反応を介した一酸化炭素への変換のためのプロセス中の中間点に送られてよい。
【0041】
最終RWGS反応ステップ152内で、生成物流143内のCOおよびHが反応して、COおよびHOをさらに生産し、これらは、任意の未反応の反応物と共に、最終生成物流153として最終RWGS反応ステップ152を出る。最終生成物流153は、例えば分離ステップ166内の、1つまたは複数の分離を経てよい。例えば、分離ステップ166は、水流161を介して水を除去してよい。水除去に加えて、またはその代わりに、最終生成物流153内の水素の少なくとも一部を除去して、水素リッチな流れ163を生成することができる。同じく、水および/もしくは水素の分離に加えて、またはその代わりに、二酸化炭素を任意選択で分離して、二酸化炭素リッチな流れ165、および/または一酸化炭素リッチな流れ167を生産することができる。
【0042】
1つまたは複数の実施形態において、最終生成物流153はシンガス流である。分離および/または精製を生成物流153上で実施して、改変シンガス流171を生産することができることを当業者は理解する。例えば、成分を回収することができ(例えばCO、CO、H、および/またはHOの回収)、精製を行うことができ、かつ/または成分の比を操作して、改変シンガス流171を生産することができる。1つまたは複数の実施形態において、例えば二酸化炭素リッチな流れ165を生成する分離ステップ後の、流れ153内に含まれる二酸化炭素を上流RWGS反応ステップに送り返して、二酸化炭素の少なくとも一部を一酸化炭素に変換することができる。例えば、二酸化炭素リッチな流れ165を二酸化炭素フィード流121と合わせることができる。代わりに、二酸化炭素リッチな流れ165は、最終RWGS反応ステップ152に、またはRWGS反応を介して二酸化炭素を一酸化炭素に変換するためのプロセス中の中間点に送り返されてよい。図2は、単一のステップとして分離ステップ166を示すが、所望の分離および/または精製を達成するために複数の分離ステップが存在してよいことが理解されるであろう。
【0043】
反応物流
1つまたは複数の実施形態において、本発明のプロセスは、初期RWGS反応ステップに適切な供給速度の二酸化炭素および水素を供給して、初期RWGS反応ステップ内で1モルの二酸化炭素に対して少なくとも1モルの水素を供給するステップを含む。これらまたは他の実施形態において、過剰な水素が、初期RWGS反応ステップに供給される。例えば、初期RWGS反応ステップに1:1超、他の実施形態において1.5:1超、他の実施形態において2.5:1超、他の実施形態において5:1超の水素対二酸化炭素のモル比を与えるように水素および二酸化炭素のフィードを設定することができる。1つまたは複数の実施形態において、水素および二酸化炭素フィードは、初期RWGS反応ステップに約1:1~約10:1、他の実施形態において約1.3:1~約5:1、他の実施形態において約1.5:1~約4:1、他の実施形態において約2.5:1~約3.5:1の水素対二酸化炭素のモル比を与える。
【0044】
1つまたは複数の実施形態において、初期RWGS反応ステップに注ぎ込む(または二酸化炭素および水素が合わせられる任意の予備混合ステップに注ぎ込む)二酸化炭素反応物流(例えば流れ21、121)は、50mol%超、他の実施形態において85mol%超、他の実施形態において90mol%超、他の実施形態において95mol%超、他の実施形態において98mol%超、他の実施形態において99mol%超の二酸化炭素を含む。1つまたは複数の実施形態において、初期RWGS反応ステップに供給される(または水素反応物流と合わせられる)二酸化炭素反応物流は、約50mol%~約100mol%、他の実施形態において約75mol%~約99.9mol%、他の実施形態において約99mol%~約100mol%の二酸化炭素を含む。
【0045】
1つまたは複数の実施形態において、初期RWGS反応ステップに注ぎ込む(または二酸化炭素および水素が合わせられる任意の予備混合ステップに注ぎ込む)水素反応物流(例えば流れ23、123)は、50mol%超、75mol%超、他の実施形態において85mol%超、他の実施形態において90mol%超、他の実施形態において95mol%超、他の実施形態において98mol%超、他の実施形態において99mol%超の水素を含む。1つまたは複数の実施形態において、初期RWGS反応ステップに供給される(または二酸化炭素流と合わせられる)水素反応物流は、約50~約100mol%、他の実施形態において約75~約99.9mol%、他の実施形態において約99mol%~約100mol%の水素を含む。
【0046】
1つまたは複数の実施形態において、初期RWGS反応ステップ22、122に導入される反応物流(これは、混合流25、125、ならびに加熱流27、127を含んでよい)(すなわち初期反応ステップ内で反応させる反応物)は、少なくとも50mol%、他の実施形態において少なくとも75mol%、他の実施形態において少なくとも90mol%、他の実施形態において少なくとも95mol%の合わせられた二酸化炭素および水素を含む。これらまたは他の実施形態において、初期RWGS反応ステップ22、122に導入される反応物流は、メタンを実質的に含まず、これは、さもなければ本発明の実施に顕著な影響を与えるであろう量以下を含む。1つまたは複数の実施形態において、初期RWGS反応ステップ22、122に導入される反応物流は、メタンを含まない。1つまたは複数の実施形態において、初期RWGS反応ステップ22、122に導入される反応物流は、20mol%未満、他の実施形態において10mol%未満、他の実施形態において5mol%未満、他の実施形態において2mol%未満、他の実施形態において1mol%未満のメタンを含む。
【0047】
同様に、RWGS反応内のメタンの生産を最小限にすることが望ましい。例えば、生産される生成物流は、20mol%未満、他の実施形態において10mol%未満、他の実施形態において5mol%未満、他の実施形態において2mol%未満、他の実施形態において1mol%未満のメタンを含んでよい。1つまたは複数の実施形態において、生成物流は、メタンを実質的に含まず、他の実施形態において生成物流は、メタンを含まない。
【0048】
RWGSプロセス条件
1つまたは複数の実施形態において、第1の加熱ステップ24、124は、350℃超、他の実施形態において450℃超、他の実施形態において500℃超、他の実施形態において525℃超の温度を有する加熱混合反応物流27、127(これは、第1のRWGS反応ステップ22、122に入る流れの熱になる)を生産する。これらまたは他の実施形態において、第1の加熱ステップ24、124は、700℃未満、他の実施形態において650℃未満、他の実施形態において600℃未満の温度を有する加熱混合反応物流27、127を生産する。1つまたは複数の実施形態において、第1の加熱ステップ24、124は、約450~約700℃、他の実施形態において約500~約650℃、他の実施形態において約525~約600℃の温度を有する加熱混合反応物流27、127を生産する。同様に、中間反応物流の予熱を含む任意の下流中間反応ステップが、同様の温度まで加熱されてよい。
【0049】
1つまたは複数の実施形態において、初期RWGS反応ステップ(22、122)は断熱的に行われる。これらまたは他の実施形態において、初期RWGSおよび中間RWGS反応ステップ(132)のうちの1つまたは複数は断熱的に行われる。特定の実施形態において、第1のRWGS(22、122)および中間RWGS(132)反応ステップのそれぞれは断熱的に行われる。これらまたは他の実施形態において、最終RWGSステップ(32、152)は断熱的に行われる。
【0050】
本明細書において、RWGS反応ステップのいずれかが起こる温度は、反応ステップを出てすぐの生成物流の温度(例えば反応ステップが起こる反応器の出口温度)によって定量化されるか、または特徴付けられる。
【0051】
1つまたは複数の実施形態において、初期反応ステップ22、122は、300℃超、他の実施形態において450℃超、他の実施形態において500℃超、他の実施形態において525℃超の温度で起こる。これらまたは他の実施形態において、初期反応ステップ22、122は、1000℃未満、他の実施形態において800℃未満、他の実施形態において650℃未満、他の実施形態において600℃未満の温度で起こる。1つまたは複数の実施形態において、初期反応ステップ22、122は、約400~約1200℃、他の実施形態において約300~約1000℃、他の実施形態において約450~約800℃、他の実施形態において約500~約750℃、他の実施形態において約525~約600℃の温度で起こる。
【0052】
1つまたは複数の実施形態において、最終RWGS反応ステップ32、152は、500℃超、他の実施形態において800℃超、他の実施形態において850℃超、他の実施形態において900℃超の温度で起こる。これらまたは他の実施形態において、最終RWGS反応ステップ32、152は、1200℃未満、他の実施形態において1100℃未満、他の実施形態において1000℃未満の温度で起こる。1つまたは複数の実施形態において、最終反応ステップ32、152は、約500~約1200℃、他の実施形態において約800~約1200℃、他の実施形態において約850~約1100℃、他の実施形態において約900~約1000℃の温度で起こる。
【0053】
1つまたは複数の実施形態において、任意選択の水除去ステップ38(ならびに138、148)は、生成物流33内の10%超、他の実施形態において25%超、他の実施形態において50%超の水を除去する。これらまたは他の実施形態において、水除去ステップ38は、生成物流33内の100%未満、他の実施形態において90%未満、他の実施形態において70%未満の水を除去する。1つまたは複数の実施形態において、水除去ステップ38は、生成物流33、133、143内の約10~約100%、他の実施形態において約25~約90%、他の実施形態において約50~約90%の水を除去する。
【0054】
その任意の個々のステップを含むRWGSプロセスは、大気圧から約550psi、さらには1000psi以上を含む広範囲の圧力にわたって行われてよい。典型的な反応器圧力は、下流の使用に適合するように、または圧縮を最小限にするように選ばれ得る。1つまたは複数の実施形態において、RWGSプロセスは、約400~約600psiの圧力で操作される。
【0055】
加熱デバイス
断熱的に行われるRWGSステップにおいて、これに限定されないが熱交換器などの適切な設備を使用して、加熱ステップ24、124、134においてなど、反応物流を予熱することができる。
【0056】
当業者は、過度の計算または実験をせずに、所望のプロセス条件に基づいて加熱デバイス(例えば熱交換器)に適切な設計構成および材料設備要件を容易に決定することができる。例えば、反応ステップの所望の温度が、加熱デバイス、またはその部分を構成するために使用することができる材料を決定し得る。
【0057】
RWGS反応への熱エネルギー
断熱反応ステップにおいて反応物流に送られる熱、または非断熱反応ステップにおいて反応ステップに直接送られる熱は、様々な加熱源から得ることができる。例えば、熱は、天然ガスなど、化石燃料の燃焼により供給することができる。あるいは、熱は、電気エネルギーにより供給することができる。例えば、電気エネルギーは、任意選択でCO捕捉を伴う、原子力、風力、ソーラーパワー、水力、および燃料の燃焼などの様々な源に由来し得る。代わりに、熱は、炭素フリー燃料、例えば水素の燃焼により供給することができ、これは、二酸化炭素を発生させることなくエネルギーを生産することができる。
【0058】
上記で示したように、熱エネルギーをRWGS反応ステップに供給するために使用される1つまたは複数の熱源(例えば熱源126、136、156)が、熱の発生において二酸化炭素を発生させる場合、発生する二酸化炭素を任意選択で捕捉し、反応物としてRWGSプロセスに送り返す(例えば二酸化炭素流21、121に送り返す)ことができる。1つまたは複数の実施形態において、本発明のRWGS反応ステップのための熱の発生(例えば天然ガスなどの燃料の燃焼)において生産される二酸化炭素の少なくとも20%、他の実施形態において少なくとも50%、他の実施形態において少なくとも70%、他の実施形態において少なくとも85%、他の実施形態において少なくとも90%が捕捉され、反応物としてプロセスに戻される。
【0059】
RWGS反応器
本発明のRWGS反応ステップは、反応に熱を効率的に伝達する能力を提供しながら触媒の存在下で反応が起こるのを可能にする容器中で実施することができる。例えば、反応は固定層反応器(これは、充填層反応器と呼ばれることもある)内で行われてよい。RWGS反応が断熱的に行われる場合、反応器は、任意選択で断熱された充填層容器またはタンクを含んでよい。RWGS反応が非断熱的に行われる場合、反応器は、加熱充填層反応器、例えば燃焼管型充填層反応器、放射加熱充填層反応器、電気加熱充填層反応器、マイクロ波加熱充填層反応器、および対流加熱充填層反応器を含んでよい。
【0060】
当業者は、過度の計算または実験をせずに、所望のプロセス条件に基づいて反応器に適切な設計構成および材料設備要件を容易に決定することができる。例えば、反応ステップの所望の温度が、反応容器、またはその部分(例えば反応管)を構成するために使用することができる材料を決定し得る。例えば、低温RWGS反応が望まれるとき(例えば約800℃未満の温度での反応)は、反応器部品は、最高約800℃の温度に耐えることができるステンレス鋼または他の金属もしくは合金で構成することができる。一方、高温RWGS反応が望まれるとき(例えば約800℃超の反応)は、反応器部品は、最高約1200℃の温度に耐えることができる、ニッケル合金など、高グレードの金属または合金で構成することができる。
【0061】
総合的なプロセス設計は有利に、RWGS反応を推進するのに必要な反応熱(すなわちΔHr)の一部をより低エネルギーのシステム(すなわち第1の低温反応ステップ)から供給することを可能にし、これは、有利により高い温度で機能し、それによってさらなるCO変換を推進する高温RWGS反応ステップ内の反応に伝達されなければならないエネルギーの量を低減する。したがって、高温で高温RWGS反応ステップを操作することにより、変換反応全体のすべての熱伝達要件を実現する高温RWGS反応ステップに依存することなく、プロセス全体のCO変換を、より低い温度で達成されるレベルを越えて推進することができる。その結果、高温RWGS反応ステップの特性をより小さい負荷、特に熱伝達負荷に対応するように有利に調整することができ、これは、総合効率を特に資本コスト要件の点で実現する。例えば、低温RWGS反応ステップは、高温RWGS反応ステップの極めて高い温度に耐える必要はない材料で構成される容器中で実施することができる。さらに、ただ1つのRWGS反応ステップがプロセスに関与する場合よりも高温熱伝達要件が低いことを考えれば、高温RWGS反応ステップのための反応器設計の規模を縮小することができる。
【0062】
触媒
上記で示したように、高温(例えば約800℃超)および低温(例えば約350~約800℃)RWGS反応の両方が触媒的に推進される。しかし、本発明の実施は、触媒が逆水性ガスシフト反応を促進するか、またはさもなければ容易にする限り、特定の触媒系に限定されない。したがって、逆水性ガスシフト触媒を参照することができる。当業者は、反応条件、特に任意の所与のRWGS反応のための反応条件が、選択される触媒系に影響し得ることを理解し、当業者は、過度の実験または計算をせずに適切な触媒を容易に選択することができるであろう。
【0063】
1つまたは複数の実施形態において、固定層触媒系が使用される。当業者が理解するように、この系は、適切な担体材料上に配置された触媒材料を含む。有用な担体材料は、当技術分野において一般に既知であり、反応器(例えば管反応器)中に適切に充填することができる材料を含む。
【0064】
有用な触媒には高温シフト触媒が含まれ、これは、当技術分野において一般に既知であり、逆シフト反応が起こるより高い温度(例えば一般に400℃超)において有用である。例示的な高温逆水性ガスシフト触媒は組成的に、酸化鉄、酸化クロム、および任意選択で酸化マグネシウムを含む。別の例は、任意選択で、酸化物に加えて、またはその代わりにカーボネートまたはオキシカーボネートを含み、かつ任意選択で白金を一緒に含む、マンガンならびにセシウムおよび/またはランタン系列金属の酸化物に基づく触媒である。
【0065】
他の高温シフト触媒には、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2017/0197829号、第2015/0080482号、第2010/0105962号、第2003/0113244号、および第2007/0142482号に開示されたものが含まれる。
【0066】
水除去法
上記で示したように、本発明の実施は、生成物流からの水の除去のための1つまたは複数のステップを含んでよい。いくつかの技法を使用することができる。例えば、生成物流からの水の凝縮は、生成物流からの熱の除去を含む凝縮法によって達成することができる。
【0067】
他の実施形態において、水が、生成物流から著しい量の熱エネルギーを除去することなく除去される。例えば、1つまたは複数の実施形態において、水が、膜分離により除去される。これらの膜システムは、膜前後の圧力損失、水除去に影響する透過スイープガスの使用、および/または温度調節を必要とすることがあることを当業者は理解する。他の実施形態において、吸着法が使用されてよい。例えば、固体収着剤、金属酸化物構造体(MOF)、およびゼオライト様イミダゾレート構造体(ZIF)が使用されてよい。これらの吸収剤系は、温度調節および/または圧力調節を必要とすることがあることを当業者は理解するであろう。
【0068】
1つまたは複数の実施形態において、水は、水蒸気改質反応を介したメタンとの反応(これは、水蒸気メタン改質(SMR)と呼ばれることもある)により除去される。
【0069】
二酸化炭素源
1つまたは複数の実施形態において、二酸化炭素は、様々な点源から得ることができる。1つまたは複数の実施形態において、二酸化炭素流は、燃焼操作および様々な工業的操作などの様々な点源に位置し得る二酸化炭素捕捉プロセスに由来し得る。燃焼プロセスには、石炭またはガス発電所、乗り物の操作、および焼却または廃棄物処理が含まれるが、これらに限定されない。工業的操作には、アルミニウム製錬、アンモニア生産、水素生産、精製、セメント生産、鉄製錬、フェロアロイ生産、鋼生産、石灰生産、およびガラス生産が含まれるが、これらに限定されない。二酸化炭素捕捉技術には、吸収、吸着、膜分離、および深冷分離が含まれ得るが、これらに限定されない。例えば、二酸化炭素は、アミンに基づく技術を使用して吸収することができる。
【0070】
他の実施形態において、二酸化炭素を大気空気から捕捉することができる(すなわち特定の点源においてではない)。この技法には直接空気捕捉(DAC)が含まれ得、これは、周囲空気から直接二酸化炭素を捕捉する。有用な技法には、アミンまたは苛性溶液を使用する液体溶媒吸収が含まれる。他の技法には、アニオン交換ポリマー樹脂、金属有機構造体、吸着、および膜分離が含まれる。
【0071】
特定の実施形態において、水酸化カリウム溶液を使用するDACが、二酸化炭素流を供給するために使用される。例えば、有用なDACプロセスが、Keithら、A process for Capturing CO2 from the Atmosphere、Joule(2018)に記載されている。同様のプロセスが、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2017/0354925号、第2014/0271379号、第2019/0344217号、第2019/0359894号、第2019/0336909号にも記載されている。
【0072】
本発明の逆水性ガスシフト(RWGS)反応プロセスは、魅力的な正味の二酸化炭素消費を達成するように設計することができるため、本発明のプロセスは、直接空気捕捉法と有利に組み合わせて、それによって、総合的に工業的に有用な二酸化炭素消費レベルを実現することができる。
【0073】
水素源
1つまたは複数の実施形態において、水素流は、水が電気分解を経て、水素および酸素を生産する電気分解プロセスにより供給されてよい。電気分解プロセスのための電気の必要量は、地熱源、ソーラーパワー、風力エネルギー、水力、原子力、廃棄物の燃焼、海洋温度差もしくは運動学的発電などの代替および再生可能エネルギー源から、またはオフピーク電力網供給から供給されてよい。
【0074】
他の実施形態において、水素流は、改質により、例えば天然ガスの水蒸気改質および天然ガスの自己熱改質により供給されてよい。
【0075】
他の実施形態において、水素流は、別のプロセスからのオフガスまたは廃ガスから、例えば水素化処理プロセス、水素化分解プロセス、または水素を使用もしくは生産する他の工業プロセスから供給されてよい。
【0076】
生成物流の使用
1つまたは複数の実施形態において、本発明の実施により生産される一酸化炭素は、様々な燃料および化学薬品を生産するためのビルディングブロックとして使用することができる。
【0077】
1つまたは複数の実施形態において、本発明の実施により生産される生成物流は、一酸化炭素および水素の混合物を含み、これは、合成ガスまたはシンガスと呼ばれることがある。例えば、一酸化炭素対水素のモル比は、約0.5:1~約5:1以上、他の実施形態において約1:1~約3:1、他の実施形態において約1.5:1~約2.5:1でよい。当業者が理解するであろうように、本発明のプロセス中への二酸化炭素に対する水素の供給速度、ならびに構成されたプロセス(例えば段階の数)、操作条件(例えば段階の温度、水除去)、および生シンガス流の合成後操作は、一酸化炭素対水素の所望のモル比を有する生成物流を供給するように調整することができる。
【0078】
1つまたは複数の実施形態において、本発明のプロセスにより生産される生成物流は、フィッシャー-トロプシュプロセスに供して、ディーゼル油、ガソリン、ナフサ、ワックス、LPG、またはメタンなどの炭化水素を生産することができるシンガス流である。
【0079】
他の実施形態において、本発明のプロセスにより生産される生成物流は、メタノールの生産(すなわちメタノール合成)または他のアルコール合成において使用されるシンガス流である。
【0080】
本発明のプロセスを実施するためのシステム(このシステムは一般に、RWGS反応器間に位置する任意選択の加熱および水除去ユニットと共に、直列に置かれたRWGS反応器を含む)は、過度の実験または計算をせずに当業者により構成することができる。それに関連して、当業者は、パイプまたは他の導管など、適切な設備を容易に選択して、互いに流体連通している(例えば様々な反応器間で材料を移動させる、またはシステム内である種の材料を再循環させる)、システムの1つもしくは複数の要素を配置し、かつ/または互いに熱連通している(例えば様々なプロセスステップ間で熱を伝達する)、システムの1つもしくは複数の要素を配置することができるであろう。当業者は、本発明の実施にしたがって様々な流れを容易に加熱および冷却し、それらの適切な測定を行うこともできるであろう。
【0081】
本発明の実施を示すために、以下の実施例がシミュレートされた。しかし、実施例は、本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではない。特許請求の範囲が、本発明を定義するのに役立つ。
【実施例
【0082】
Aspen Technology Inc.製プロセスシミュレータAspen Plus(商標)を使用して実施例をシミュレートした。実施例および結果の概要表は、表10ならびに図9および10に記載されている。
【0083】
以下の特定のプロセスの特徴およびパラメータは、すべてのシミュレーションに共通していた:(1)RWGS反応器システムへの混合プロセスフィードは、H/CO比3:1、100°F、および415psiaの生成物シンガスを生産するような圧力(異なる実施例を通じて異なる圧力損失を考慮)の1500lbmol/時間のCOおよび4500lbmol/時間のHからなっていた;(2)COは、例えば、工業的な点源排出から捕捉、周囲空気から直接(例えば直接空気捕捉、すなわち「DAC」技術を使用して捕捉、パイプライン、トラック、鉄道、船または他の手段を介して調達することができた;(3)Hは、例えば、水の電気分解、水蒸気メタン改質、部分酸化、熱分解、精製操作を介して生産、パイプライン、トラック、鉄道、船、または他の手段を介して調達することができた(4)生成物シンガスは、415psiaおよび100°Fで生産する(冷却後);(5)これらの実施例では、熱を、周囲空気による天然ガスの燃焼によりプロセスに供給する(例えば、フィードを予熱し、熱を供給して、吸熱RWGS反応を推進するため);(6)前記天然ガスは、以下の組成を有する:94.0%メタン、3.5%エタン、1.5%プロパン、0.5%窒素、および0.5%二酸化炭素(モル%単位の組成);(7)熱を供給する代替手段(シミュレートせず)が可能であり、例えば、電気加熱、水素燃料、石炭、油、炭化水素燃料、他の燃料、酸素燃焼を含んでよい;()CO捕捉は、任意選択で燃焼煙道ガスから含まれてよく、捕捉COは、任意選択でRWGS反応器へのフィードとして使用されてよい;()RWGS反応器は、RWGS反応がすべてのRWGS反応器の出口において平衡に非常に近づくように設計および操作される。
比較例1]
【0084】
1742°F(950℃)における一段階RWGS反応
この実施例の一段階RWGSプロセスは、図3に示されている。混合H+COフィードを1000°F(538℃)まで予熱し、燃焼管型RWGS反応器(設計が周知である、水蒸気およびメタンから水素を生産するための水蒸気-メタン改質装置に設計において類似)に供給する。燃焼管型RWGS反応器中の高価な高ニッケル合金管の操作温度を代表する高い出口温度1742°F(950℃)でRWGS反応器を操作する。RWGSを介したCO変換率は80%である。生成物シンガスは、乾燥基準で、2.75:1のH:CO比で94%のH+COを含む。291lbmol/時間の天然ガス燃料の燃焼は、煙道ガス中に含まれる310lbmol/時間のCOを生じる。追加の熱および物質収支データは、表1に記載されている。
【表1】
比較例2]
【0085】
1000°F(538℃)における一段階RWGS
この実施例の一段階RWGSプロセスは、図4に示されている。混合H+COフィードを1000°F(538℃)まで予熱し、燃焼加熱器型RWGS反応器(設計が周知である、典型的な精製燃焼加熱器に設計において類似)に供給する。燃焼加熱器型RWGS反応器中の低コストステンレス鋼管の操作温度を代表する低い出口温度1000°F(538℃)でRWGS反応器を操作し、代替の低温RWGSプロセス構成(図示せず)は、廃熱回収(例えば専用の燃焼なし)および/または断熱反応器(例えば充填層)を含んでよい。この一段階RWGSを介したCO変換率は54%である。生成物シンガスは、乾燥基準で、4.58:1のH:CO比で87%のH+COを含む。166lbmol/時間の天然ガス燃料の燃焼は、煙道ガス中に含まれる177lbmol/時間のCOを生じる。追加の熱および物質収支データは、表2に記載されている。
【表2】
【0086】
比較例1および2からのデータは、80%のCO変換率を示す1742°Fにおける比較例1対、54%のCO変換率を示す1000°Fにおける比較例2、の比較により示されるように、同様の操作条件下の所与のフィード(この場合1500lbmol/時間のCOおよび4500lbmol/時間のH)に対する一段階RWGSプロセスを通じたRWGS反応を介したCO変換率が、RWGS反応器出口温度の強い関数であることを示す。
【0087】
範囲400°F~2400°FにわたるRWGS反応器出口温度で操作される一段階RWGSプロセスの追加のシミュレーション結果は、表3および図5に示されている。
【表3】
[実施例3]
【0088】
冷却および凝縮を介したウォーターノックアウトを伴う1742°Fおよび1742°Fにおける二段階RWGS
この実施例の二段階RWGSプロセスは、図6に示されている。混合H+COフィードを1000°Fまで予熱し、第1の段階の燃焼管型RWGS反応器に供給し、ここで、RWGS反応器を高い出口温度1742°F(950℃)で操作する。シンガスを100°Fまで冷却し、第1のRWGS反応器段階中のRWGS反応により生成される水(第1のRWGS反応器段階のシンガス流出物中に存在する)の多くを凝縮および除去する(99.2%除去)。シンガスを1000°Fまで再び再加熱し、第2の段階の燃焼管型RWGS反応器に供給し、ここで、RWGS反応器を高い出口温度1742°F(950℃)で再び操作する。第1および第2の段階のRWGS反応器の流出物におけるRWGSを介した総合CO変換率は、(それぞれ)80%および95%である。生成物シンガスは、乾燥基準で、2.16:1のH:CO比で98%のH+COを含む。
【0089】
実施例3の二段階RWGS生成物シンガスは、比較例1および2の一段階RWGS生成物シンガスに比べて改善され、より高いCO変換率、より高いH+CO含有量(目標合成反応物)、および2に近いH:CO比(フィッシャー-トロプシュ合成、メタノール合成、および他の合成反応の典型的な目標H:CO比)を有する。第1の段階中の291lbmol/時間の天然ガス燃料の燃焼は、第1の段階からの煙道ガス中に含まれる310lbmol/時間のCOを生じる。第2の段階中の183lbmol/時間の天然ガス燃料の燃焼は、第2の段階からの煙道ガス中に含まれる195lbmol/時間のCOを生じる。追加の熱および物質収支データは、表4に記載されている。
【0090】
二段階が、異なるように設計される(冶金および/または構成材料を含む)か、または異なる操作条件で操作されるとき、二(または多)段階のRWGS反応器プロセスのさらなる実用的価値が認識される。広範囲の異なる設計および操作条件が可能である。段階の異なる設計(および/または構成材料を含む)、水除去を含む、熱統合を含む、異なるRWGS反応器出口温度での段階の操作、および/または組合せが、以下の追加の実施例に示すように特に興味深い。
【表4】
[実施例4]
【0091】
熱統合を含み、段階間水除去を含まない、1000°Fおよび1742°Fにおける二段階RWGS
この実施例の二段階RWGSプロセスは、図7に示されている。混合H+COフィードを1249°Fまで予熱し、断熱RWGS反応器(例えば充填触媒層)に供給する。RWGS反応の平衡に非常に近づくように十分なRWGS触媒を供給し、反応したガスは、1000°Fの第1の段階のRWGS反応器を出る。代替の設計(図示せず)は、同様の(または改善された)CO変換率を達成するために対流加熱RWGS反応器を使用した可能性がある。第1の段階のRWGS反応器流出ガスを第2の段階の燃焼管型RWGS反応器に供給する。第2の段階のRWGS反応器を高い出口温度1742°F(950℃)で操作する。段階間水除去なしで、総合CO変換率の結果は、それぞれ54%および80%で、比較例2および1の直列組合せと同様である。比較例1と同様、291lbmol/時間の天然ガス燃料の燃焼は、煙道ガス中に含まれる310lbmol/時間のCOを生じる。追加の熱および物質収支データは、表5に記載されている。
【0092】
この実施例5のCO変換率は、比較例1のものと同様であるが、この実施例5の顕著な利益(比較例1に比べて)は、その低温操作および充填層反応器設計に関連する第1のRWGS段階のより低コストの設備設計および冶金(または構成材料)にある。より少ない変換が第2の段階中に起こり、高価な高ニッケル合金管を含む費用のかかる燃焼管型RWGS反応器のサイズは著しく小さくなる(比較例1に比べて)。
【表5】
[実施例5]
【0093】
熱統合と、高温膜を使用する50%段階間水除去とを含む、1000°Fおよび1742°Fにおける二段階RWGS
この実施例の二段階RWGSプロセスは、図7に示されている。この実施例5は、先の実施例4と同様である。ただし、第1のRWGS反応器段階中のRWGS反応により生成される水(シンガス流出物第1のRWGS反応器段階中に存在する)の50%を、高温膜システムを使用して除去することを除く。第1および第2の段階のRWGS反応器の流出物におけるRWGSを介した総合CO2変換率は、(それぞれ)54%および84%である。生成物シンガスは、乾燥基準で、2.55:1のH:CO比で95%のH+COを含む。285lbmol/時間の天然ガス燃料の燃焼は、煙道ガス中に含まれる304lbmol/時間のCO2を生じる。追加の熱および物質収支データは、表6に記載されている。
【0094】
より低コストの設備設計の利益(実施例4において上記で論じた)は、この実施例5にもあてはまる。さらに実施例4に比べて、CO変換率は80%から84%に増加し、有益な低減が、熱伝達負荷(結果としてより小さい設備になる)、燃料燃焼、および煙道ガス中に含まれるCOにおいて認められる。比較例1および2の一段階RGWS設計に比べて、コストおよび性能の両方が改善される。
【表6】
[実施例6]
【0095】
熱統合され、かつ高温吸着剤を使用する90%段階間水除去を含む、1000°Fおよび1742°Fにおける二段階RWGS
この実施例の二段階RWGSプロセスは、図7に示されている。この実施例6は、先の実施例5と同様である。ただし、第1のRWGS反応器段階中のRWGS反応により生成される水(第1のRWGS反応器段階中のシンガス流出物に存在する)の90%を、高温吸着剤システムを使用して除去することを除く。第1および第2の段階のRWGS反応器の流出物におけるRWGSを介した総合CO2変換率は、(それぞれ)54%および88%である。生成物シンガスは、乾燥基準で、2.39:1のH:CO比で96%のH+COを含む。280lbmol/時間の天然ガス燃料の燃焼は、煙道ガス中に含まれる299lbmol/時間のCOを生じる。追加の熱および物質収支データは、表7に記載されている。
【0096】
より低コストの設備設計の利益(実施例4において上記で論じた)は、この実施例6にもあてはまる。実施例5に比べて、CO変換率は84%から88%に増加し、有益な低減が、熱伝達負荷(結果としてより小さい設備になる)、燃料燃焼、および煙道ガス中に含まれるCOにおいて認められる。比較例1および2の一段階RGWS設計に比べて、コストおよび性能の両方が改善される。
【表7】
[実施例7]
【0097】
熱統合と、高温吸着剤を使用する50%段階間水除去とを含む、1000°F、1000°F、および1742°Fにおける三段階RWGS
この実施例の三段階RWGSプロセスは、図8に示されている。混合H+COフィードを1249°Fまで予熱し、断熱RWGS反応器(例えば充填触媒層)に供給する。RWGS反応の平衡に非常に近づくように十分なRWGS触媒を供給し、反応したガスは、1000°Fの第1の段階のRWGS反応器を出る。第1のRWGS反応器段階中のRWGS反応により生成される水(シンガス流出物第1のRWGS反応器段階中に存在する)の50%が、高温吸着剤システムを使用して除去される。水が少ない第1の段階のRWGS反応器流出ガスを1047°Fまで再加熱し、第2の段階の断熱RWGS反応器に供給し、やはり、RWGS反応の平衡に非常に近づくように十分なRWGS触媒を供給し、反応したガスは、1000°Fの第2の段階のRWGS反応器を出る。シンガス流出物第2のRWGS反応器段階中に存在する水の50%が、高温吸着剤システムを使用して除去される。水が少ない第2の段階のRWGS反応器流出ガスを第3の段階の燃焼管型RWGS反応器に供給する。第3の段階のRWGS反応器を高い出口温度1742°F(950℃)で操作する。第1、第2、および第3の段階のRWGS反応器の流出物におけるRWGSを介した総合CO変換率は、(それぞれ)54%、63%、および88%である。生成物シンガスは、乾燥基準で、2.42:1のH:CO比で96%のH+COを含む。281lbmol/時間の天然ガス燃料の燃焼は、煙道ガス中に含まれる300lbmol/時間のCOを生じる。追加の熱および物質収支データは、表8に記載されている。
【0098】
より低コストの設備設計の利益(実施例4において上記で論じた)は、この実施例7にもあてはまる。二段階の実施例5に比べて、CO変換率は84%から88%に増加し、有益な低減が、熱伝達負荷(結果としてより小さい設備になる)、燃料燃焼、および煙道ガス中に含まれるCOにおいて認められる。比較例1および2の一段階RGWS設計に比べて、コストおよび性能の両方が改善される。
【0099】
追加の段階(例えば4つ、5つ、100以上)が可能である。大規模なシステムに適用可能でありながら高度に統合された多段階システムの利益は、効率的な、かつ/または先進の製造および組立技術(例えば3D印刷、エッチング、繰返し部品、工場製造)が、例えば製造コストを最小にするために使用され得る小規模のシステムにおいて特に有利である。
【表8】
[実施例8]
【0100】
熱統合と、高温膜を使用する90%段階間水除去とを含む、1000°F、1000°F、および1742°Fにおける三段階RWGS
この実施例の三段階RWGSプロセスは、図8に示されている。この実施例8は、先の実施例7と同様である。ただし、シンガス流出物第1および第2のRWGS反応器段階中に存在する水(RWGS反応により生成された)の90%を、高温膜システムを使用して除去することを除く。第1、第2、および第3の段階のRWGS反応器の流出物における総合CO変換率は、(それぞれ)54%、71%、および93%である。生成物シンガスは、乾燥基準で、2.24:1のH:CO比で98%のH+COを含む。277lbmol/時間の天然ガス燃料の燃焼は、煙道ガス中に含まれる295lbmol/時間のCOを生じる。追加の熱および物質収支データは、表9に記載されている。
【0101】
より低コストの設備設計の利益(実施例4において上記で論じた)は、この実施例8にもあてはまる。三段階の実施例7に比べて、CO変換率は88%から93%に増加し、有益な低減が、熱伝達負荷(結果としてより小さい設備になる)、燃料燃焼、および煙道ガス中に含まれるCOにおいて認められる。二段階の実施例6に比べて、CO変換率は88%から93%に増加し、有益な低減が、熱伝達負荷(結果としてより小さい設備になる)、燃料燃焼、および煙道ガス中に含まれるCOにおいて認められる。比較例1および2の一段階RGWS設計に比べて、コストおよび性能の両方が改善される。
【表9】
[実施例9]
【0102】
熱統合と、高温膜を使用する90%段階間水除去と、煙道ガスからの90% CO2捕捉と、生成物シンガスH2/CO比=2.0を達成するためのH2フィード調節とを含む、1000°F、1000°F、および1742°Fにおける三段階RWGS
この実施例の三段階RWGSプロセスは、図9に示されている。この実施例9は、先の実施例8と同様である。ただし、CO捕捉系(例えばアミン系または他のCO捕捉系)が煙道ガスに加えられることを除く。煙道ガス中に含まれるCOの90%が、煙道ガスから捕捉され、圧縮され(図示せず)、RWGS反応器システムへの新鮮なCOフィードとブレンドされる。生成物シンガス中で指定の目標H:CO比(これは、この実施例9において2.0である)を達成するために、RWGS反応器システムへのHフィードを調節する。第1、第2、および第3の段階のRWGS反応器の流出物における総合CO変換率は、(それぞれ)42%、63%、および90%である。生成物シンガスは、乾燥基準で、2.00:1のH:CO比で97%のH+COを含む。317lbmol/時間の天然ガス燃料の燃焼は、CO捕捉系の前に煙道ガス中に含まれる338lbmol/時間のCOおよびCO捕捉系の後に煙道ガス中に含まれる34lbmol/時間のCOを生じる。追加の熱および物質収支データは、表10に記載されている。
【0103】
実施例8に比べて、CO捕捉系の後に煙道ガス中に含まれるCOは、295lbmol/時間から34lbmol/時間に著しく減少し、生成物シンガス中の含まれるCO+Hは、4500lbmol/時間から4955lbmol/時間に名目上10%増加し、2.0の目標H:CO比が生成物シンガス中で達成される。この実施例により例示されるように、Hフィード流、COフィード流、CO捕捉および/または再循環流、ならびにRWGS反応器システムにおける他の操作パラメータ(例えば温度、圧力、水除去)の調節を使用して、生成物シンガスの生産速度、生成物シンガスのH:CO比、および生成物シンガス中のH+COのモル百分率を含め、生成物シンガスの生産および品質を制御することができる。RWGS反応器システムへの(例えばRWGSプロセス中のフィードへの、または中間点への)生成物シンガスの一部の再循環、成分の除去および/もしくは添加(例えば生成物シンガスからの)、ならびに/または当技術分野において既知の他の精製方法も使用して、生成物シンガスに影響を与えてよい。
【表10】
【0104】
実施例シミュレーションの概要が表10に示されている。水除去(異なる曲線)およびRWGS反応器段階の数に応じたCO変換率(図10)およびCO天然ガスだき排出/変換されたCO図11)のプロットが図10および図11に示されている。実施例は明らかに、特に水除去がin situで熱統合と共に実施されるときの、段階間水除去を含む多段階のRWGS反応器の利益を示す。CO排出は、他の加熱手段(例えば電気、H燃焼、廃熱統合など)により、かつ/または煙道ガスからのCO捕捉によりさらに低減および/または回避することができる。
【0105】
本発明の範囲および趣旨から逸脱しない様々な修正および改変は当業者に明らかになるであろう。本発明は、本明細書に記載の例示的な実施形態に正当に限定されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11