(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-16
(45)【発行日】2025-04-24
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/03 20230101AFI20250417BHJP
【FI】
G06Q40/03
(21)【出願番号】P 2023137033
(22)【出願日】2023-08-25
【審査請求日】2023-12-11
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513056101
【氏名又は名称】フリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 智洋
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 駿
【審査官】渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-39240(JP,A)
【文献】国際公開第2013/014987(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第112801781(CN,A)
【文献】特開2021-26401(JP,A)
【文献】特開2019-185595(JP,A)
【文献】吉田拓史,”アントグループの企業分析”,[online],株式会社アクシオンテクノロジーズ,2020年10月30日,インターネット:<URL:https://www.axion.zone/antgroup-analysis/>,特に、「2.3融資」、「6機械学習」の欄, [検索日2024.3.11]
【文献】kuroitu,”勾配ブースティング決定木ってなんぞや”,[online],2022年06月19日,インターネット:<URL:https://qiita.com/kuroitu/items/57425380546f7b9ed91c>,特に、「勾配ブースティング決定木とは」の欄, [検索日2024.3.11]
【文献】”LightGBM 徹底入門 ? LightGBMの使い方や仕組み、XGBoostとの違いについて”,[online],株式会社ロンバード,2021年06月27日,インターネット:<URL:https://www.codexa.net/lightgbm-beginner/>,特に、「LightGBMとは」の欄, [検索日2024.3.11]
【文献】masahiro onda,”機械学習で使われる評価関数まとめ”,[online],2020年06月23日,インターネット:<URL:https://qiita.com/monda00/items/a2ee8e0da51953c24da8>,特に、「二値分類」の欄, [検索日2024.3.11]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、記憶部とを備えるコンピュータによって実行されるプログラムであって、
前記記憶部には、ユーザの口座情報が、あらかじめ登録されており、
前記プログラムは、前記プロセッサに、
前記ユーザから、クレジットカードへの申込を受け付けるステップと、
前記クレジットカードへの申込に対する処理として、
前記ユーザの口座情報を取得するステップと、
前記取得した前記口座情報から、前記ユーザの現預金残高及び入出金の情報を取得するステップと、
前記取得した前記現預金残高及び入出金の情報から、前記クレジットカードの発行に係る与信審査を行うステップと、
前記行った与信審査の結果を出力するステップと、を実行させ、
前記与信審査を行うステップにおいて、
前記現預金残高及び入出金の情報
を入力とし、前記クレジットカードの限度額を出力とする、勾配ブースティング木(Gradient Boosting Decision Tree)
を用いた機械学習モデルである判定モデルに、前記取得した前記現預金残高及び入出金の情報を入力し、この判定モデルの出力である前記クレジットカードの限度額を用いて前記クレジットカードの限度額を決定するステップ
を実行させる、プログラム。
【請求項2】
プロセッサと、記憶部とを備えるコンピュータによって実行されるプログラムであって、
前記記憶部には、ユーザの口座情報が、あらかじめ登録されており、
前記プログラムは、前記プロセッサに、
前記ユーザから、クレジットカードへの申込を受け付けるステップと、
前記クレジットカードへの申込に対する処理として、
前記ユーザの口座情報を取得するステップと、
前記取得した前記口座情報から、前記ユーザの現預金残高及び入出金の情報を取得するステップと、
前記取得した前記現預金残高及び入出金の情報から、前記クレジットカードの発行に係る与信審査を行うステップと、
前記行った与信審査の結果を出力するステップと、を実行させ、
前記与信審査を行うステップにおいて、
前記現預金残高及び入出金の情報
を入力とし、前記クレジットカードの限度額を出力とする判定モデルであって、予め定めた前記現預金残高の基準値及び前記入出金の基準値に応じて複数の判定モデルを予め用意しておき、前記取得した前記現預金残高及び入出金の情報に基づいて、予め定めた前記現預金残高の基準値に応じて複数の判定モデルのうち少なくとも一つの前記判定モデル
を選択し、選択した前記判定モデルに、前記取得した前記現預金残高及び入出金の情報を入力し、この判定モデルの出力である前記クレジットカードの限度額を用いて演算を行って、前記クレジットカードの限度額を決定するステップ
を実行させる、プログラム。
【請求項3】
前記限度額を決定するステップにおいて、予め設定された定性条件を用いて前記限度額を決定する、請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
前記限度額を決定するステップにおいて、勾配ブースティング木により演算を行う際に、複数の機械学習モデルを組み合わせて前記限度額を決定する、請求項1に記載のプログラム。
【請求項5】
前記限度額を決定するステップにおいて、勾配ブースティング木により演算を行う際に、勾配降下法(Gradient)、アンサンブル学習(Boosting)、決定木(Decision Tree)の3つの手法を組み合わせて前記限度額を決定する、請求項1に記載のプログラム。
【請求項6】
前記限度額を決定するステップにおいて、前記判定モデルとしてLightGBM(Light Gradient Boosting Machine)を用いて前記限度額を決定する、請求項2に記載のプログラム。
【請求項7】
前記限度額を決定するステップにおいて、前記判定モデルの評価関数として対数損失(Logarithmic Loss)を用いて前記限度額を決定する、請求項2に記載のプログラム。
【請求項8】
前記プログラムは、前記プロセッサに、さらに、
前記クレジットカードを発行した後における、所定の期間ごとの処理として、
前記ユーザの現預金残高の情報を取得するステップと、
前記取得した前記現預金残高の情報から、前記クレジットカードの限度額の再設定を行うステップと、
を実行させる、請求項1または2に記載のプログラム。
【請求項9】
制御部と、記憶部とを備える情報処理装置であって、
前記記憶部には、ユーザの口座情報が、あらかじめ登録されており、
前記制御部が、
前記ユーザから、クレジットカードへの申込を受け付けるステップと、
前記クレジットカードへの申込に対する処理として、
前記ユーザの口座情報を取得するステップと、
前記取得した前記口座情報から、前記ユーザの現預金残高及び入出金の情報を取得するステップと、
前記取得した前記現預金残高及び入出金の情報から、前記クレジットカードの発行に係る与信審査を行うステップと、
前記行った与信審査の結果を出力するステップと、を実行させ、
前記与信審査を行うステップにおいて、
前記現預金残高及び入出金の情報
を入力とし、前記クレジットカードの限度額を出力とする、勾配ブースティング木(Gradient Boosting Decision Tree)
を用いた機械学習モデルである判定モデルに、前記取得した前記現預金残高及び入出金の情報を入力し、この判定モデルの出力である前記クレジットカードの限度額を用いて前記クレジットカードの限度額を決定するステップ
を実行する、情報処理装置。
【請求項10】
制御部と、記憶部とを備える情報処理装置であって、
前記記憶部には、ユーザの口座情報が、あらかじめ登録されており、
前記制御部が、
前記ユーザから、クレジットカードへの申込を受け付けるステップと、
前記クレジットカードへの申込に対する処理として、
前記ユーザの口座情報を取得するステップと、
前記取得した前記口座情報から、前記ユーザの現預金残高及び入出金の情報を取得するステップと、
前記取得した前記現預金残高及び入出金の情報から、前記クレジットカードの発行に係る与信審査を行うステップと、
前記行った与信審査の結果を出力するステップと、を実行させ、
前記与信審査を行うステップにおいて、
前記現預金残高及び入出金の情報
を入力とし、前記クレジットカードの限度額を出力とする判定モデルであって、予め定めた前記現預金残高の基準値及び前記入出金の基準値に応じて複数の判定モデルを予め用意しておき、前記取得した前記現預金残高及び入出金の情報に基づいて、予め定めた前記現預金残高の基準値に応じて複数の判定モデルのうち少なくとも一つの前記判定モデル
を選択し、選択した前記判定モデルに、前記取得した前記現預金残高及び入出金の情報を入力し、この判定モデルの出力である前記クレジットカードの限度額を用いて演算を行って、前記クレジットカードの限度額を決定するステップ
を実行する、情報処理装置。
【請求項11】
プロセッサと、記憶部とを備えるコンピュータによって実行される方法であって、
前記記憶部には、ユーザの口座情報が、あらかじめ登録されており、
前記方法は、前記プロセッサが、
前記ユーザから、クレジットカードへの申込を受け付けるステップと、
前記クレジットカードへの申込に対する処理として、
前記ユーザの口座情報を取得するステップと、
前記取得した前記口座情報から、前記ユーザの現預金残高及び入出金の情報を取得するステップと、
前記取得した前記現預金残高及び入出金の情報から、前記クレジットカードの発行に係る与信審査を行うステップと、
前記行った与信審査の結果を出力するステップと、を実行させ、
前記与信審査を行うステップにおいて、
前記現預金残高及び入出金の情報
を入力とし、前記クレジットカードの限度額を出力とする、勾配ブースティング木(Gradient Boosting Decision Tree)
を用いた機械学習モデルである判定モデルに、前記取得した前記現預金残高及び入出金の情報を入力し、この判定モデルの出力である前記クレジットカードの限度額を用いて前記クレジットカードの限度額を決定するステップ
を実行する、方法。
【請求項12】
プロセッサと、記憶部とを備えるコンピュータによって実行される方法であって、
前記記憶部には、ユーザの口座情報が、あらかじめ登録されており、
前記方法は、前記プロセッサが、
前記ユーザから、クレジットカードへの申込を受け付けるステップと、
前記クレジットカードへの申込に対する処理として、
前記ユーザの口座情報を取得するステップと、
前記取得した前記口座情報から、前記ユーザの現預金残高及び入出金の情報を取得するステップと、
前記取得した前記現預金残高及び入出金の情報から、前記クレジットカードの発行に係る与信審査を行うステップと、
前記行った与信審査の結果を出力するステップと、を実行させ、
前記与信審査を行うステップにおいて、
前記現預金残高及び入出金の情報
を入力とし、前記クレジットカードの限度額を出力とする判定モデルであって、予め定めた前記現預金残高の基準値及び前記入出金の基準値に応じて複数の判定モデルを予め用意しておき、前記取得した前記現預金残高及び入出金の情報に基づいて、予め定めた前記現預金残高の基準値に応じて複数の判定モデルのうち少なくとも一つの前記判定モデル
を選択し、選択した前記判定モデルに、前記取得した前記現預金残高及び入出金の情報を入力し、この判定モデルの出力である前記クレジットカードの限度額を用いて演算を行って、前記クレジットカードの限度額を決定するステップ
を実行する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プログラム、情報処理装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの決算状況等に基づいて、クレジットカードの審査を行うシステムが知られている。
【0003】
特許文献1には、ユーザの財務状況および希望極度額に基づいて法人カードの極度額を算出するシステムについての技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術は、すでにカード発行済のユーザ(法人)に対して、ユーザの財務状況および希望極度額に基づいて極度額の算出を行う技術が記載されている。しかし、特許文献1の技術では、例えば法人であるユーザが創業期のように売上実績等に乏しいユーザであると、このユーザに対する適切な評価が困難であり、結果、法人カードの極度額が低く抑えられてしまう可能性がある。
【0006】
そこで、本開示では、クレジットカード発行管理のためのシステムにおいて、売上実績等に乏しいユーザに対しても適切な評価を行い、クレジットカードの発行管理をすることを可能にする技術について説明する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態によると、プロセッサと、記憶部とを備えるコンピュータによって実行されるプログラムであって、記憶部には、ユーザの口座情報が、あらかじめ登録されており、プログラムは、プロセッサに、ユーザから、クレジットカードへの申込を受け付けるステップと、クレジットカードへの申込に対する処理として、ユーザの口座情報を取得するステップと、取得した口座情報から、ユーザの現預金残高及び入出金の情報を取得するステップと、取得した現預金残高及び入出金の情報から、クレジットカードの発行に係る与信審査を行うステップと、行った与信審査の結果を出力するステップと、を実行させ、与信審査を行うステップにおいて、取得した現預金残高及び入出金の情報に基づいて、勾配ブースティング木(Gradient Boosting Decision Tree)により演算を行って、クレジットカードの限度額を決定するステップを実行させる、プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、クレジットカード発行管理のためのシステムにおいて、売上実績等に乏しいユーザに対しても適切な評価を行い、クレジットカードの発行管理をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】クレジットカード発行管理システム1の全体の構成を示す図である。
【
図2】実施の形態1のクレジットカード発行管理システム1を構成する端末装置10の機能的な構成を示すブロック図である。
【
図3】実施の形態1のクレジットカード発行管理システム1を構成するサーバ20の機能的な構成を示す図である。
【
図4】サーバ20が記憶するユーザ情報データベース2022のデータ構造の例を示す図である。
【
図5】サーバ20が記憶する口座情報データベース2023のデータ構造の例を示す図である。
【
図6】実施の形態1のクレジットカード発行管理システム1による与信審査のための処理を行う流れの一例を示すフローチャートである。
【
図7】クレジットカード発行管理システム1における与信審査の結果をユーザに提示する際の画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の記載および図面は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施する事が可能である。特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。
【0011】
なお、実施例を説明する図において、同一の機能を有する箇所には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0012】
図面において示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【0013】
以下の説明では、「テーブル」、「リスト」、「キュー」等の表現にて各種情報を説明することがあるが、各種情報は、これら以外のデータ構造で表現されていてもよい。データ構造に依存しないことを示すために「XXテーブル」、「XXリスト」等を「XX情報」と呼ぶことがある。識別情報について説明する際に、「識別情報」、「識別子」、「名」、「ID」、「番号」等の表現を用いるが、これらについてはお互いに置換が可能である。
【0014】
また、以下の説明において、各テーブルの構成は一例であり、1つのテーブルは、2以上のテーブルに分割されてもよいし、2以上のテーブルの全部又は一部が1つのテーブルであってもよい。
【0015】
同一あるいは同様な機能を有する構成要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。ただし、これらの複数の構成要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
【0016】
また、以下の説明では、プログラムを実行して行う処理を説明する場合があるが、プログラムは、プロセッサ(例えばCPU、GPU)によって実行されることで、定められた処理を、適宜に記憶資源(例えばメモリ)および/またはインターフェースデバイス(例えば通信ポート)等を用いながら行うため、処理の主体がプロセッサとされてもよい。同様に、プログラムを実行して行う処理の主体が、プロセッサを有するコントローラ、装置、システム、計算機、ノードであってもよい。プログラムを実行して行う処理の主体は、演算部であれば良く、特定の処理を行う専用回路(例えばFPGAやASIC)を含んでいてもよい。
【0017】
また、以下の説明において、「プロセッサ(部)」は、1以上のプロセッサである。少なくとも1つのプロセッサは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサであるが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサでもよい。少なくとも1つのプロセッサは、シングルコアでもよいしマルチコアでもよい。
【0018】
また、少なくとも1つのプロセッサは、処理の一部又は全部を行うハードウェア回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサでもよい。
【0019】
また、以下の説明において、「メモリ部」は、1以上のメモリであり、典型的には主記憶デバイスでよい。メモリ部における少なくとも1つのメモリは、揮発性メモリであってもよいし不揮発性メモリであってもよい。
【0020】
プログラムは、プログラムソースから計算機のような装置にインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布サーバまたは計算機が読み取り可能な記憶メディアであってもよい。プログラムソースがプログラム配布サーバの場合、プログラム配布サーバはプロセッサと配布対象のプログラムを記憶する記憶資源を含み、プログラム配布サーバのプロセッサが配布対象のプログラムを他の計算機に配布してもよい。また、以下の説明において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0021】
本開示において、記憶デバイスは、1台のHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の1台のストレージドライブ、複数台のストレージドライブを含むRAID装置、及び複数のRAID装置を含む。また、ドライブがHDDである場合には、例えば、SAS(Serial Attached SCSI) HDDを含んでもよく、NL-SAS(ニアラインSAS) HDDを含んでもよい。
【0022】
また、以下の説明において、種々の対象の識別情報として、識別番号が使用されるが、識別番号以外の種類の識別情報(例えば、英字や符号を含んだ識別子)が採用されてもよい。
【0023】
また、以下の説明において、同種の要素を区別しないで説明する場合には、参照符号(又は、参照符号のうちの共通符号)を使用し、同種の要素を区別して説明する場合は、要素の識別番号(又は参照符号)を使用することがある。
【0024】
また、以下の説明において、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。全ての構成が相互に接続されていてもよい。
【0025】
<概要>
以下、本開示に係るクレジットカード発行管理システムについて説明する。このクレジットカード発行管理システムは、ユーザに対して、与信審査等をオンライン上で行い、クレジットカードの発行管理をするためのサービスを提供するためのシステムである。昨今、クレジットカードの発行に係る与信審査等をオンライン上で行うことが浸透してきており、ユーザの所有する端末、金融機関に設置されている端末等から必要事項を入力されることによりユーザの与信審査を実行する。
【0026】
一般的に、クレジットカードは、個人使用の目的で発行される場合(個人用)と、(名義人が法人であるかどうかにかかわらず)事業での使用の目的で発行される場合(事業用)がある。事業用のクレジットカードを発行する場合、法人の代表者に対して与信する場合と、法人自体に与信する場合とがある。
【0027】
代表者に対して与信する場合、個人所有のクレジットカードと同様なので、カードの発行自体は比較的容易に可能である(与信審査のハードルが低い)が、与信額が(事業用としては)少ないことが多い。
【0028】
また、法人自体に与信する場合、法人自体の審査にコストが掛かり、また、創業期はクレヒス(クレジットヒストリー:クレジットカードやローンの利用履歴のことであり、クレジットカード会社や消費者金融会社、銀行といった金融業者が加盟している信用情報機関に情報が記録され、その内容は加盟企業に共有されている)も売上の実績もないので企業自体を評価できないため、与信できない、または与信できたとしても(事業用としては)限度額が少ないことが多い。
【0029】
本開示では、売上実績等のない企業自体の財務指標、会計課金情報、事業状態等を評価してその企業自体を評価し、クレジットカード発行を行い、クレジットカードの利用状況に応じたモニタリングにより都度審査、与信を行い、クレジットカードの利用限度額をコントロールするシステムを提供する。
【0030】
そこで、本開示に係るクレジットカード発行管理システムでは、プロセッサと、記憶部とを備えるコンピュータによって実行されるプログラムであって、記憶部には、ユーザの口座情報が、あらかじめ登録されており、プログラムは、プロセッサに、ユーザから、クレジットカードへの申込を受け付けるステップと、クレジットカードへの申込に対する処理として、ユーザの口座情報を取得するステップと、取得した口座情報から、ユーザの現預金残高及び入出金の情報を取得するステップと、取得した現預金残高及び入出金の情報から、クレジットカードの発行に係る与信審査を行うステップと、行った与信審査の結果を出力するステップと、を実行させ、与信審査を行うステップにおいて、取得した現預金残高及び入出金の情報に基づいて、勾配ブースティング木(Gradient Boosting Decision Tree)により演算を行って、クレジットカードの限度額を決定するステップを実行させる、プログラムを提供する。
【0031】
<第1の実施の形態>
以下、クレジットカード発行管理システム1について説明する。以下の説明では、例えば、端末装置10がサーバ20へアクセスすることにより、サーバ20が、端末装置10で画面を生成するための情報を応答する。端末装置10は、サーバ20から受信した情報に基づいて画面を生成し表示する。
【0032】
<1 クレジットカード発行管理システム1の全体構成>
図1は、クレジットカード発行管理システム(以下、単に「システム」と称することがある)1の全体の構成を示す図である。
図1に示すように、クレジットカード発行管理システム1は、複数の端末装置(
図1では、端末装置10A及び端末装置10Bを示している。以下、総称して「端末装置10」ということもある)と、サーバ20とを含む。端末装置10とサーバ20とは、ネットワーク80を介して相互に通信可能に接続されている。ネットワーク80は、有線または無線ネットワークにより構成される。
【0033】
端末装置10は、各ユーザが操作する装置である。ここで、ユーザとは、端末装置10を使用してクレジットカード発行管理システム1の機能である口座情報の入力等を行う者であり、例えば法人(企業)の経営者等をいう。端末装置10は、据え置き型のPC(Personal Computer)、ラップトップPC等により実現される。この他、端末装置10は、例えば移動体通信システムに対応したタブレットや、スマートフォン等の携帯端末であるとしてもよい。
【0034】
端末装置10は、ネットワーク80を介してサーバ20と通信可能に接続される。端末装置10は、4G、5G、LTE(Long Term Evolution)等の通信規格に対応した無線基地局81、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11等の無線LAN(Local Area Network)規格に対応した無線LANルータ82等の通信機器と通信することにより、ネットワーク80に接続される。
図1に端末装置10Bとして示すように、端末装置10は、通信IF(Interface)12と、入力装置13と、出力装置14と、メモリ15と、記憶部16と、プロセッサ19とを備える。
【0035】
通信IF12は、端末装置10が外部の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。入力装置13は、ユーザからの入力操作を受け付けるための入力装置(例えば、キーボードや、タッチパネル、タッチパッド、マウス等のポインティングデバイス等)である。出力装置14は、ユーザに対し情報を提示するための出力装置(ディスプレイ、スピーカ等)である。メモリ15は、プログラム、及び、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。記憶部16は、データを保存するための記憶装置であり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)である。プロセッサ19は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路等により構成される。
【0036】
サーバ20は、クレジットカード発行管理に係る一連の処理を管理する装置である。サーバ20は、記憶部にユーザの情報、ユーザの口座情報等を登録させており、記憶部に登録されている各種情報から、ユーザの財務状況を取得する。サーバ20は、取得したユーザの財務状況から、ユーザの与信審査を行い、ユーザが利用可能なクレジットカードの限度額を設定するための処理を行う。サーバ20は、ユーザが初めてクレジットカードの申し込みをした時だけでなく、ユーザのクレジットカードを発行後、所定の期間ごとにユーザの財務状況を確認し、与信審査を再度行うことで、限度額の再設定を行ってもよい。
【0037】
サーバ20は、ネットワーク80に接続されたコンピュータである。サーバ20は、通信IF22と、入出力IF23と、メモリ25と、ストレージ26と、プロセッサ29とを備える。
【0038】
通信IF22は、サーバ20が外部の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。入出力IF23は、ユーザからの入力操作を受け付けるための入力装置、及び、ユーザに対し情報を提示するための出力装置とのインタフェースとして機能する。メモリ25は、プログラム、及び、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。ストレージ26は、データを保存するための記憶装置であり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)である。プロセッサ29は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路等により構成される。
【0039】
<1.1 端末装置10の構成>
図2は、実施の形態1のクレジットカード発行管理システム1を構成する端末装置10の機能的な構成を示すブロック図である。
図2に示すように、端末装置10は、複数のアンテナ(アンテナ111、アンテナ112)と、各アンテナに対応する無線通信部(第1無線通信部121、第2無線通信部122)と、操作受付部130(キーボード1301及びマウス1302を含む)と、音声処理部140と、マイク141と、スピーカ142と、ディスプレイ150と、記憶部170と、制御部180とを含む。端末装置10は、
図2では特に図示していない機能及び構成(例えば、電力を保持するためのバッテリー、バッテリーから各回路への電力の供給を制御する電力供給回路等)も有している。
図2に示すように、端末装置10に含まれる各ブロックは、バス等により電気的に接続される。
【0040】
アンテナ111は、端末装置10が発する信号を電波として放射する。また、アンテナ111は、空間から電波を受信して受信信号を第1無線通信部121へ与える。
【0041】
アンテナ112は、端末装置10が発する信号を電波として放射する。また、アンテナ112は、空間から電波を受信して受信信号を第2無線通信部122へ与える。
【0042】
第1無線通信部121は、端末装置10が他の無線機器と通信するため、アンテナ111を介して信号を送受信するための変復調処理等を行う。第2無線通信部122は、端末装置10が他の無線機器と通信するため、アンテナ112を介して信号を送受信するための変復調処理等を行う。第1無線通信部121と第2無線通信部122とは、チューナー、RSSI(Received Signal Strength Indicator)算出回路、CRC(Cyclic Redundancy Check)算出回路、高周波回路等を含む通信モジュールである。第1無線通信部121と第2無線通信部122とは、端末装置10が送受信する無線信号の変復調や周波数変換を行い、受信信号を制御部180へ与える。
【0043】
操作受付部130は、ユーザの入力操作を受け付けるための機構を有する。具体的には、操作受付部130は、キーボード1301と、マウス1302とを含む。なお、操作受付部130は、例えば静電容量方式のタッチパネルを用いることによって、タッチパネルに対するユーザの接触位置を検出する、タッチスクリーンとして構成してもよい。
【0044】
キーボード1301は、端末装置10のユーザの入力操作を受け付ける。キーボード1301は、文字入力を行う装置であり、入力された文字情報を入力信号として制御部180へ出力する。
【0045】
マウス1302は、端末装置10のユーザの入力操作を受け付ける。マウス1302は、ディスプレイ150に表示されている表示物を選択等するためのポインティングデバイスであり、画面上で選択された位置情報と、ボタン押下されていることを示す情報とを入力信号として制御部180へ出力する。
【0046】
音声処理部140は、音声信号の変復調を行う。音声処理部140は、マイク141から与えられる信号を変調して、変調後の信号を制御部180へ与える。また、音声処理部140は、音声信号をスピーカ142へ与える。音声処理部140は、例えば音声処理用のプロセッサによって実現される。マイク141は、音声入力を受け付けて、当該音声入力に対応する音声信号を音声処理部140へ与える。スピーカ142は、音声処理部140から与えられる音声信号を音声に変換して当該音声を端末装置10の外部へ出力する。
【0047】
ディスプレイ150は、制御部180の制御に応じて、画像、動画、テキストなどのデータを表示する。ディスプレイ132は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)、または有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイによって実現される。
【0048】
記憶部170は、例えばフラッシュメモリ等により構成され、端末装置10が使用するデータ及びプログラムを記憶する。ある局面において、記憶部170は、ユーザ情報1701を記憶する。
【0049】
ユーザ情報1701は、端末装置10を使用してクレジットカード発行管理システム1の機能である口座情報の入力等を行うユーザの情報である。ユーザ情報としては、ユーザを識別する情報(ユーザID)、ユーザの名称、ユーザの年齢、ユーザの性別、ユーザが所属している企業、当該企業における役職、ユーザの口座情報を連携している金融機関の情報等が含まれる。
【0050】
制御部180は、記憶部170に記憶されるプログラムを読み込んで、プログラムに含まれる命令を実行することにより、端末装置10の動作を制御する。制御部180は、例えば予め端末装置10にインストールされているアプリケーションである。制御部180は、プログラムに従って動作することにより、入力操作受付部1801と、送受信部1802と、データ処理部1803と、報知制御部1804としての機能を発揮する。
【0051】
入力操作受付部1801は、キーボード1301等の入力装置に対するユーザの入力操作を受け付ける処理を行う。
【0052】
送受信部1802は、端末装置10が、サーバ20等の外部の装置と、通信プロトコルに従ってデータを送受信するための処理を行う。
【0053】
データ処理部1803は、端末装置10が入力を受け付けたデータに対し、プログラムに従って演算を行い、演算結果をメモリ等に出力する処理を行う。
【0054】
報知制御部1804は、ユーザに対し情報を提示する処理を行う。報知制御部1804は、表示画像をディスプレイ150に表示させる処理、音声をスピーカ142に出力させる処理等を行う。
【0055】
<1.2 サーバ20の機能的な構成>
図3は、実施の形態1のクレジットカード発行管理システム1を構成するサーバ20の機能的な構成を示す図である。
図3に示すように、サーバ20は、通信部201と、記憶部202と、制御部203としての機能を発揮する。
【0056】
通信部201は、サーバ20が外部の装置と通信するための処理を行う。
【0057】
記憶部202は、サーバ20が使用するデータ及びプログラムを記憶する。記憶部202は、ユーザ情報データベース2022と、口座情報データベース2023と、教師データ2024と、学習モデル2025等を記憶する。
【0058】
ユーザ情報データベース2022は、クレジットカード発行管理システム1において、口座情報等の入力を行うユーザに関する各種情報として、例えば、下記の情報を保持するためのデータベースである。詳細は後述する。
・ユーザが個人である場合、ユーザの氏名、勤務先等の情報
・ユーザが法人である場合、法人の名称、代表者氏名等の情報
【0059】
口座情報データベース2023は、クレジットカード発行管理システム1において、各ユーザの口座情報について、予め記憶部202に登録されている各種情報、または、ユーザにより入力されたユーザの銀行口座に関する各種情報を保持するためのデータベースである。ここで、口座情報を取得するユーザは、法人でもよいし、個人であってもよい。詳細は後述する。
【0060】
ある局面において、サーバ20は、連携する会計サービス等を提供するソフトウェア、アプリケーション、プログラム等からユーザの口座に関連する情報を取得し、口座情報データベース2023に保持してもよい。このとき、連携するソフトウェア、アプリケーション、プログラム等は、システム1とは異なる外部のシステムに備えられているものでもよいし、システム1の内部に備えられているものでよい。あるいは、他の局面において、サーバ20は、システム1にネットワーク80を介して接続された金融機関サーバ30から、ユーザの口座に関連する情報の少なくとも一部、例えば、現預金残高、入出金情報を取得し、口座情報データベース2023に保持してもよい。
【0061】
教師データ2024は、ユーザの現預金残高及び入出金の情報と、このユーザに対する与信審査の結果である、ユーザに対して発行したクレジットカードの限度額とのペアからなるデータである。教師データ2024は、後述する与信審査実行モジュール2036の与信審査結果から取得してもよいし、他の手法により取得してもよい。教師データ2024は、本実施形態のシステム1の運用に先立って、サーバ20の記憶部202に格納される。
【0062】
学習モデル2025は、上述した教師データ2025に基づき、図略のモデル学習プログラムに従って機械学習モデルに機械学習を行わせることにより得られる。この学習モデル2025に対して、ユーザの現預金残高及び入出金の情報を入力すると、このユーザに対して発行するクレジットカードの限度額が出力される。
【0063】
本実施形態に係る学習モデル2025は、例えば、複数の関数が合成されたパラメータ付き合成関数である。パラメータ付き合成関数は、複数の調整可能な関数、及びパラメータの組合せにより定義される。本実施形態に係る予測モデルは、上記の要請を満たす如何なるパラメータ付き合成関数であってもよいが、多層のネットワークモデル(以下、多層化ネットワークと呼ぶ)であるとする。多層化ネットワークを用いる予測モデルは、入力層と、出力層と、入力層と出力層との間に設けられる少なくとも1層の中間層あるいは隠れ層とを有する。予測モデルは、人工知能ソフトウェアの一部であるプログラムモジュールとしての使用が想定される。
【0064】
本実施形態に係る多層化ネットワークとしては、例えば、深層学習(Deep Learning)の対象となる多層ニューラルネットワークである深層ニューラルネットワーク(Deep Neural Network:DNN)が用いられ得る。DNNとしては、例えば、画像を対象とする畳み込みニューラルネットワーク(Convolution Neural Network:CNN)を用いてもよい。
【0065】
また、上記はあくまで予測モデルの例示であり、予測モデルとしては、他の構成を備えてもよい。
【0066】
ある局面において、記憶部202には複数の学習モデル2025が格納されている。学習モデル2025の詳細については後述する。
【0067】
制御部203は、サーバ20のプロセッサが、記憶部202に格納されたアプリケーションプログラム2021に従って処理を行うことにより、各種モジュールとして受信制御モジュール2031、送信制御モジュール2032、ユーザ情報取得モジュール2033、クレジットカード申し込み受付モジュール2034、口座情報取得モジュール2035、与信審査実行モジュール2036、限度額設定モジュール2037、学習モデル生成モジュール2038に示す機能を発揮する。
【0068】
受信制御モジュール2031は、サーバ20が外部の装置から通信プロトコルに従って信号を受信する処理を制御する。
【0069】
送信制御モジュール2032は、サーバ20が外部の装置に対し通信プロトコルに従って信号を送信する処理を制御する。
【0070】
ユーザ情報取得モジュール2033は、クレジットカード発行管理システム1を使用するユーザ(例えば、法人)から、ユーザに関する各種情報を取得する処理を制御する。ユーザに関する各種情報とは、ユーザの氏名、年齢、性別、勤務先、役職、連携している金融機関の名称等の情報を含む。ユーザ情報取得モジュール2033は、ユーザに関する各種情報のうち、連携している金融機関の名称等の情報を、金融機関サーバ30から取得してもよい。ユーザ情報取得モジュール2033は、取得したユーザに関する情報を、ユーザ情報データベース2021へ格納する、
【0071】
クレジットカード申し込み受付モジュール2034は、クレジットカード発行管理システム1を使用するユーザから、クレジットカードの申し込みに関する情報を受け付ける処理を制御する。ここで、ユーザが申し込むクレジットカードは、個人事業主を含む個人向けに発行されるクレジットカードでも良いし、法人向けクレジットカードでも良い。
【0072】
口座情報取得モジュール2035は、クレジットカード発行管理システム1を使用するユーザから、ユーザの口座に関する情報を取得する処理を制御する。具体的には、口座情報取得モジュール2035は、クレジットカード申し込み受付モジュール2034がユーザからクレジットカードの申し込みを受け付けると、予め記憶部に記憶している当該ユーザの口座情報を取得する。例えば、口座情報取得モジュール2035は、ユーザの口座情報として、下記の情報を取得する。
・所定期間におけるユーザの入出金の履歴
・所定期間におけるユーザの口座残高の推移
・ユーザの入出金の入金元・出金先
【0073】
ある局面において、サーバ20は、予め記憶部に記憶しているユーザの口座情報ではなく、連携する会計サービス等を提供するソフトウェア、アプリケーション、プログラム、さらには金融機関サーバ30等からユーザの口座に関連する情報を取得してもよい。
【0074】
与信審査実行モジュール2036は、クレジットカード発行管理システム1を使用するユーザの与信審査を実行する処理を制御する。具体的には、与信審査実行モジュール2036は、口座情報取得モジュール2035が取得したユーザの口座情報に基づいて、所定の指標に基づき、ユーザの与信審査を実行する。所定の指標とは、例えば、ユーザの口座情報の現預金残高及び入出金の情報であり、サーバ20は、与信審査を行う直前の、ユーザの口座情報における現預金残高及び入出金の情報に基づいて与信審査を実行してもよい。
【0075】
ある局面において、与信審査実行モジュール2036は、連携する外部の与信情報提供システムから情報提供を受け、当該情報を参照することで与信審査を実行してもよい。
【0076】
与信審査実行モジュール2036は、与信審査の結果を記憶部202に記憶してもよい。このとき、与信審査の結果は、例えば、下記を含む。
・決定された与信区分(Aランク、Bランク等の区分を定義し、区分毎に限度額が設定されている)
・クレジットカードの発行の許可
・クレジットカードの発行の拒否
【0077】
限度額設定モジュール2037は、与信審査実行モジュール2036から受け付けたユーザの与信審査の結果に基づいて、ユーザのクレジットカードにおける限度額を設定する処理を制御する。具体的には、限度額設定モジュール2037は、ユーザの口座情報における、限度額設定動作時の現預金残高及び入出金の情報に基づき、所定の与信区分を決定し、当該与信区分ごとに定められている比率を与信審査実行モジュール2036において算出した基準残高に掛け合わせて、クレジットカードの限度額を設定する。ある局面において、限度額設定モジュール2037は、与信審査の結果、クレジットカードの発行が拒否される場合には、当該クレジットカードの限度額を0円として設定してもよい。
【0078】
ある局面において、与信審査実行モジュール2036及び限度額設定モジュール2037は、記憶部202に格納された学習モデル2025を利用してユーザの与信審査を実行し、クレジットカードの限度額を設定してもよい。具体的には、サーバ20は、勾配ブースティング決定木(Gradient Boosting Decision Tree:GBDT)を用いた機械学習モデルに基づく学習モデル2025を利用することにより、ユーザの与信審査及び限度額設定を実行してもよい。
【0079】
勾配ブースティング決定木とは、「勾配降下法(Gradient)」と「アンサンブル学習(Boosting)」、「決定木(Decision Tree)」の3つの手法が組み合わされた機械学習の手法である。好ましくは、これら、「勾配降下法(Gradient)」と「アンサンブル学習(Boosting)」、「決定木(Decision Tree)」の3つの手法のそれぞれに適した学習モデル2025が記憶部202に格納されており、予め定めた定性条件に基づいて、与信審査実行モジュール2036及び限度額設定モジュール2037は、いずれかの学習モデル2025、またはその組み合わせを選択し、選択した学習モデル2025に基づいて与信審査及び限度額設定処理を行ってもよい。
【0080】
また、他の局面において、与信審査実行モジュール2036及び限度額設定モジュール2037は、ユーザの現預金残高及び入出金の基準値を設定し、この基準値に基づいて複数の判定モデルを用いて限度額設定の演算を行う。一例として、基準残高が100万円~1000万円の場合、及び、1000万円以上の場合において、それぞれ判定モデルを用意しておき、基準残高に応じて判定モデルを選択して与信審査及び限度額設定処理を行う。
【0081】
この際、与信審査実行モジュール2036及び限度額設定モジュール2037は、LightGBM(Light Gradient Boosting Machine)を用いて、与信審査及び限度額設定処理を行う。LightGBMは機械学習における分析アルゴリズムであり、与えられたデータから目的となる変数を表現する、「教師あり学習」と呼ばれる分野のデータ分析方法の一つである。従って、記憶部202に格納された学習モデル2025は、LightGBMに基づく学習モデル2025であることが好ましい。
【0082】
さらに、与信審査実行モジュール2036及び限度額設定モジュール2037は、記憶部202に格納された学習モデル2025の評価関数として、Logloss(Logarithmic Loss:対数損失)を用いることができる。対数損失とは、二値分類や多クラス分類のタスク(問題)に対する評価指標の一つで、機械学習モデルによる予測が正解にどれくらい近いかを表す値である。
【0083】
ある局面において、口座情報取得モジュール2035は、クレジットカードを発行後、所定の期間ごとにユーザの口座情報を取得する処理を実行してもよい。与信審査実行モジュール2036は、口座情報取得モジュール2035が取得したユーザの口座情報に基づいて、ユーザの与信審査を再度実行してもよい。このとき、与信審査実行モジュール2036は、ユーザのクレジットカードの使用状況を参照し、与信審査を行ってもよい。ユーザのクレジットカードの使用状況に含まれる情報は、例えば、下記を含む。
・一定期間内のクレジットカードの利用額
・ユーザの銀行口座残高
・一定期間内のユーザの銀行口座残高の推移
・一定期間内のユーザのキャッシング利用額
【0084】
限度額設定モジュール2037は、与信審査実行モジュール2036が行った与信審査の結果に基づき、ユーザのクレジットカードの限度額の再設定を行ってもよい。所定の期間としては、ユーザの口座情報が変化するたびでもよいし、ユーザ、または連携する金融機関が指定する任意の期間でもよい。
【0085】
ある局面において、サーバ20は、与信審査を再度行った結果、基準残高が所定の閾値以下になった場合、ユーザがクレジットカードを利用することを停止させる処理を実行してもよい。
【0086】
これにより、クレジットカードを発行する金融機関は、ユーザに対し適切にクレジットカードを使用させることができる。
【0087】
学習モデル生成モジュール2038は、記憶部202に格納された教師データ2024を用いて学習モデル2025を生成し、生成した学習モデル2025を記憶部に格納する。学習モデル生成モジュール2038による学習モデル2025の生成手法については、既に説明した学習モデル2025の内容に基づいて教師データ2024から学習モデル2025を生成する手法であり、手法自体は周知の手法であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0088】
<2 データ構造>
図4は、サーバ20が記憶するユーザ情報データベース2022のデータ構造の例を示す図である。
【0089】
図4に示すように、ユーザ情報データベース2022のレコードのそれぞれは、項目「ユーザID」と、項目「個人/法人」と、項目「氏名・名称」と、項目「代表者氏名」と、項目「年齢」と、項目「性別」と、項目「勤務先」と、項目「事業内容」と、項目「役職」と、項目「口座種別」と、項目「口座連携先」と、項目「備考」等を含む。
【0090】
項目「ユーザID」は、クレジットカード発行管理システム1にて管理するユーザそれぞれを識別する情報である。
【0091】
項目「個人/法人」は、クレジットカード発行管理システム1にて管理するユーザが個人(一般)か法人(個人事業主を含む)かを識別する情報である。
【0092】
項目「氏名・名称」は、クレジットカード発行管理システム1にて管理するユーザの氏名・名称(法人名等)を示す情報である。このとき、ユーザが個人である場合は、当該項目は「氏名」の情報として保持され、ユーザが法人そのものである場合は、当該項目は「名称」の情報として保持されてよい。
【0093】
項目「代表者氏名」は、ユーザが法人であった場合の、法人の代表者氏名を識別する情報である。
【0094】
項目「年齢」は、クレジットカード発行管理システム1にて管理するユーザが個人であった場合の、ユーザの年齢を示す情報である。
【0095】
項目「性別」は、クレジットカード発行管理システム1にて管理するユーザが個人であった場合の、ユーザの性別を示す情報である。
【0096】
項目「勤務先」は、クレジットカード発行管理システム1にて管理するユーザが個人であった場合の、ユーザの勤務先を示す情報である。ある局面において、サーバ20は、当該勤務先の情報に基づいて、ユーザの与信審査を実行してもよい。例えば、サーバ20は、当該勤務先が、反社会的な企業に属している、当該企業に利益供与している、等の情報を取得した場合に、当該ユーザにクレジットカードを発行しない等の処理を実行してもよい。
【0097】
項目「事業内容」は、クレジットカード発行管理システム1にて管理するユーザが個人である場合はユーザの勤務先の事業内容、当該ユーザが法人である場合はユーザの事業内容を識別する情報を示す。
【0098】
項目「役職」は、クレジットカード発行管理システム1にて管理するユーザが個人であった場合の、ユーザの役職を示す情報である。具体的には、当該項目は、ユーザの役職として、例えば、下記を含む。
・一般社員(役職なし)
・主任
・係長
・グループ長
【0099】
項目「口座種別」は、ユーザが開設している口座が一般口座であるか、法人口座であるかを識別する情報である。
【0100】
項目「口座連携先」は、クレジットカード発行管理システム1にて管理するユーザが当該システムと口座情報を連携させている金融機関を示す情報である。口座連携先は、例えば、下記の情報を含む。
・金融機関の名称
・金融機関の支店名
・金融機関の口座種別
【0101】
ある局面において、サーバ20は、各金融機関が提供しているアプリケーション等と連携することで、当該情報を取得することとしてもよい。
【0102】
これにより、クレジットカードを発行する金融機関は、財務状況が条件に合致していても、公序良俗に反するユーザにクレジットカードを発行することを防ぐことができる。
【0103】
項目「備考」は、クレジットカード発行管理システム1にて管理するユーザに関して、特記事項などがある場合に保持される情報である。
ユーザ情報データベース2021は、この他にも、例えば、下記の情報を保持していてもよい。
・ユーザの年収/年商
・設立年(ユーザが法人の場合)
・従業員数(ユーザが法人の場合)
ある局面において、サーバ20は、上記に示したユーザの各種情報に基づいて、クレジットカードの発行に係る与信審査を行ってもよい。
【0104】
図5は、サーバ20が記憶する口座情報データベース2023のデータ構造の例を示す図である。
【0105】
図5に示すように、口座情報データベース2023のレコードのそれぞれは、項目「ユーザID」と、項目「日付」と、項目「アクション」と、項目「詳細」と、項目「金額」と、項目「残高」と、項目「備考」等を含む。
【0106】
項目「ユーザID」は、クレジットカード発行管理システム1にて管理する、口座情報と紐づけられるユーザそれぞれを識別する情報である。
【0107】
項目「日付」は、クレジットカード発行管理システム1にて管理するユーザの銀行口座において、所定のアクションが起こった日付を示す情報である。具体的には、当該項目は、ユーザの銀行口座において、入金、出金等のアクションが生じた日付の情報を示す。
【0108】
項目「分類」は、クレジットカード発行管理システム1にて管理するユーザの銀行口座において生じたアクションの分類を示す情報である。例えば、項目「分類」は、下記の情報を含む。
・入金
・出金
【0109】
項目「詳細」は、クレジットカード発行管理システム1にて管理するユーザの銀行口座において生じたアクションの詳細を示す情報である。具体的には、アクションの詳細情報として、例えば、下記を含む。
・入金元、出金先企業の名称
・入金、出金の分類(振り込み、引き落とし、返済等)
ある局面において、サーバ20は、当該詳細情報に基づいて、ユーザの与信審査を実行してもよい。
【0110】
項目「金額」は、クレジットカード発行管理システム1にて管理するユーザの銀行口座において生じたアクションで入金、出金された金額を示す情報である。
【0111】
項目「残高」は、クレジットカード発行管理システム1にて管理するユーザの銀行口座において、アクションが生じた後の銀行口座の預金残高を示す情報である。サーバ20は、与信審査を行う直前の、ユーザの口座情報における残高推移をもとにした統計値に基づいて基準残高を算出し、算出した基準残高に基づいて与信審査を実行してもよい。
【0112】
項目「備考」は、クレジットカード発行管理システム1にて管理するユーザの銀行口座の情報において、特記事項などがある場合に保持される情報である。
【0113】
<3 動作>
以下、
図6を参照しながら、第1の実施の形態におけるクレジットカード発行管理システム1による一連の処理について説明する。
【0114】
図6は、実施の形態1のクレジットカード発行管理システム1による与信審査のための処理を行う流れの一例を示すフローチャートである。
【0115】
後述するステップS651の前処理として、ステップS650において、サーバ20の制御部203は、記憶部202に、ユーザの口座情報をあらかじめ登録する。具体的には、サーバ20の制御部203を構成する口座情報取得モジュール2035は、クレジットカード発行管理システム1を使用するユーザから、ユーザの銀行口座に関する情報等を取得する処理を制御する。ここで、ユーザの銀行口座に関する情報は、例えば、下記を含む。
・金融機関の名称
・金融機関の支店名
・金融機関の口座種別
・ユーザの入出金の履歴(入出金の情報の一部を為す)
・ユーザの口座残高(つまり現預金残高)
・ユーザの入出金の入金元・出金先(入出金の情報の一部を為す)
【0116】
ここで、制御部203は、ユーザの銀行口座に関する各種情報を、連携する会計サービス等を提供するソフトウェア、アプリケーション、プログラム等、または、各金融機関が提供している金融機関サーバ30、アプリケーション等から取得してもよい。
【0117】
ステップS601において、端末装置10の制御部180は、ユーザから、クレジットカードへの申込を受け付ける。具体的には、例えば、制御部180は、ディスプレイ150等にクレジットカード申し込みのための画面を表示し、ユーザからの入力操作を受け付けることで、当該申し込みを受け付ける。ある局面において、制御部180は、クレジットカードの申し込みを受け付ける際に、ユーザから銀行口座の情報等を受け付けてもよい。
【0118】
ステップS651において、サーバ20の制御部203は、ユーザの口座情報を取得する。具体的には、サーバ20の制御部203を構成する口座情報取得モジュール2035は、記憶部202に登録されているユーザの銀行口座に関する情報から、与信審査に必要な情報を取得する。例えば、口座情報取得モジュール2035は、ユーザの口座情報として、下記の情報を取得する。
・所定期間におけるユーザの入出金の履歴
・所定期間におけるユーザの口座残高の推移
・ユーザの入出金の入金元・出金先
【0119】
ある局面において、サーバ20は、予め記憶部に記憶しているユーザの口座情報ではなく、連携する会計サービス等を提供するソフトウェア、アプリケーション、プログラム等からユーザの口座に関連する情報を取得してもよい。
【0120】
ステップS652において、サーバ20の制御部203は、取得した口座情報から、クレジットカードの発行に係る与信審査を行う。具体的には、サーバ20の制御部203を構成する与信審査実行モジュール2036は、口座情報取得モジュール2035から受け付けたユーザの口座情報に基づいて、所定の指標に基づき、ユーザの与信審査を実行する。所定の指標とは、例えば、ユーザの口座情報の基準残高であり、サーバ20は、与信審査を行う直前の、ユーザの口座情報における残高推移をもとにした統計値に基づいて基準残高を算出し、算出した基準残高に基づいて与信審査を実行してもよい。
【0121】
ある局面において、サーバ20は、記憶部202に格納された学習モデル2025を利用してユーザの与信審査を実行してもよい。具体的には、サーバ20は、勾配ブースティング決定木(Gradient Boosting Decision Tree:GBDT)を用いた機械学習モデルに基づく学習モデル2025を利用することにより、ユーザの与信審査を実行してもよい。
【0122】
これにより、クレジットカードを発行する金融機関、法人等は、適切にユーザの与信審査を行うことができる。
【0123】
ステップS653において、サーバ20の制御部203は、行った与信審査の結果に基づき、クレジットカードの限度額設定を行う。具体的には、サーバ20の制御部203を構成する与信審査実行モジュール2036は、限度額設定モジュール2037は、ユーザの口座情報における、過去の現預金残高の安定性を表す指標に基づき、所定の与信区分を決定し、当該与信区分ごとに定められている比率を与信審査実行モジュール2036において算出した基準残高に掛け合わせて、クレジットカードの限度額を設定する。また、サーバ20は、勾配ブースティング決定木(Gradient Boosting Decision Tree:GBDT)を用いた機械学習モデルに基づく学習モデル2025を利用することにより、ユーザの限度額設定を実行してもよい。また、他の局面において、サーバ20は、ユーザの現預金残高及び入出金の基準値を設定し、この基準値に基づいて複数の判定モデルを用いて限度額設定の演算を行ってもよい。
【0124】
これにより、クレジットカードを発行する金融機関は、適切にユーザの限度額を設定することができる。より詳細には、本実施形態のクレジットカード発行管理システム1によれば、売上実績等のない企業自体の財務指標、会計課金情報、事業状態等を評価してその企業自体を評価し、クレジットカード発行を行い、クレジットカードの利用状況に応じたモニタリングにより都度審査、与信を行い、クレジットカードの利用限度額をコントロールすることができる。
【0125】
ステップS602において、端末装置10の制御部180は、与信審査の結果、限度額の設定値等をディスプレイ150に表示する等によりユーザに提示する。
【0126】
ある局面において、口座情報取得モジュール2035は、クレジットカードを発行後、所定の期間ごとにユーザの口座情報を取得する処理を実行してもよい。以下、クレジットカードを発行後、所定の期間ごとにユーザの口座情報を取得し、与信審査を実行する処理について例示する。所定の期間としては、ユーザの口座情報が変化するたびでもよいし、ユーザ、または連携する金融機関が指定する任意の期間でもよい。
【0127】
ステップS654において、サーバ20の制御部203は、ユーザの口座情報から、金融機関における口座の残高情報を取得する。
【0128】
ステップS655において、サーバ20の制御部203は、取得した残高情報から、クレジットカードの利用可否や限度額に対する与信の再審査を行う。
【0129】
ステップS656において、サーバ20の制御部203は、行った与信の再審査の結果に基づき、クレジットカードの限度額の再設定をする。
【0130】
ある局面において、サーバ20は、与信審査を再度行った結果、基準残高が所定の閾値以下になった場合、ユーザがクレジットカードを利用することを停止させる処理を実行してもよい。
【0131】
また、ある局面において、限度額の再設定に伴い、ユーザのクレジットカードの利用額が再設定された限度額を既に超過していた場合には、実質的にユーザに対してクレジットカードの利用停止のための処理を実行してもよい。
【0132】
ステップS603において、端末装置10の制御部180は、与信審査の結果、限度額の設定値等をディスプレイ150に表示する等によりユーザに提示する。
【0133】
ある局面において、端末装置10はユーザの事業に係る資金需要に対する情報提供を行うための、クレジットカードへの申込手段を備えていてもよい。端末装置10の制御部180は、ユーザから、クレジットカードへの申込手段が操作されることに伴い、クレジットカードへの申込を受け付けることとしてもよい。
【0134】
このとき、記憶部170には、ユーザの会計情報があらかじめ登録されていてもよく、ユーザの会計情報に基づき、ユーザの事業に係る資金需要を判定し、クレジットカードへの申込手段をユーザに提示してもよい。
【0135】
また、ある局面において、サーバ20は、クレジットカードの利用に係る制御を行うための利用制御手段を備えていてもよい。サーバ20の制御部203は、ユーザから、利用制御手段が操作されることに伴い、クレジットカードの利用の申請を受け付け、当該申請に対して、クレジットカードの限度額の範囲内で、クレジットカードの利用を許可する通知を行ってもよい。例えば、法人カードであるクレジットカードを特定の従業者等が特定の目的(出張等)で使用する場合、その範囲内でのみクレジットカードの利用を許可するような場合が挙げられる。
【0136】
これにより、クレジットカードを発行する金融機関、法人等は、ユーザに対し適切にクレジットカードを使用させることができる。
また、利用制御手段を備えることで、法人であるユーザは、クレジットカードの利用可否のコントロールが可能になり、オーソリ電文受信によるリアルタイムな明細管理(会計システムとの連携)が可能になる。
【0137】
上記、端末装置10とサーバ20とで各種信号をやりとりする態様で説明したが、本開示における処理はこれに限られない。例えば、上記説明した処理は、全て端末装置10の制御部180により処理されてもよい。
【0138】
これにより、ユーザは、各自の所有する端末で一貫してクレジットカード発行に係る与信審査等を行うことができる。
【0139】
<4 画面例>
以下、
図7を参照しながら、クレジットカード発行管理システム1の画面例について説明する。
【0140】
図7は、クレジットカード発行管理システム1における与信審査の結果をユーザに提示する際の画面例を示す図である。
【0141】
図7に示すように、端末装置10のディスプレイ150には、ユーザ残高推移701と、審査結果表示部702とが表示されている。
ユーザ残高推移701において、端末装置10の制御部180は、クレジットカード発行管理システムにおける、ユーザの銀行口座の残高の推移を表示する。具体的には、制御部180は、ユーザ残高推移701において、ユーザの銀行口座の残高を、所定の態様で表示する。所定の態様は、例えば、以下を含む。
・グラフ(棒・折れ線等)形式
・表・リスト形式
【0142】
これにより、ユーザは、自身の銀行口座残高の推移を視覚的に把握することができる。
【0143】
審査結果表示部702において、端末装置10の制御部180は、ユーザの与信審査、限度額設定の結果を表示する。この時、制御部180は、審査結果表示部702に、下記の情報を表示してもよい。
・審査結果(クレジットカード発行の可否)
・クレジットカードの種別(一般、ゴールド、プラチナ等)
・クレジットカードの限度額
・クレジットカードの申し込みボタン
・その他、ユーザが利用可能なサービスを参照するためのボタン(ローンの申し込み、資金の借り入れ等)
【0144】
制御部180は、ユーザからクレジットカードの申し込みボタンを押下する操作を受け付けると、クレジットカード発行のための手続き指示を、金融機関に送信してもよい。
【0145】
これにより、ユーザは、自身の財務状況に基づいたクレジットカードを発行することができる。
【0146】
ある局面において、サーバ20は、当該画面をクレジットカードを発行する金融機関のユーザにも表示してもよい。これにより、金融機関のユーザは、ユーザの財務状況に基づいて、適切にクレジットカードを発行することができる。
【0147】
また、売上実績等のない、登記して間もない法人のユーザであっても、本システムを利用することで、財務指標、会計情報、事業状態等を評価することで企業自体を評価することができ、当該評価に基づいたクレジットカードの発行をすることができる。
【0148】
<小括>
以上のように、本実施形態によると、サーバ20は、記憶部202に、ユーザの銀行口座に関する情報をあらかじめ登録する。サーバ20は、ユーザからクレジットカードの申し込みを受け付けると、記憶部202に登録されている銀行口座に関する情報から、与信審査に必要な各種情報を取得する。サーバ20は、取得した各種情報から、ユーザの財務状況について与信審査を実行する。サーバ20は、与信審査の結果に基づいて、クレジットカードの限度額を設定する。端末装置10は、与信審査の結果等をユーザに提示する。クレジットカードの発行後、サーバ20は、所定の期間ごとに、ユーザの口座情報を再度取得し、与信審査、および限度額の設定を再度実行する。
【0149】
これにより、ユーザは適切にクレジットカードを発行され、使用することが可能となる。
【0150】
特に、本実施形態のクレジットカード発行管理システム1によれば、サーバ20は、ユーザの現預金残高及び入出金の情報から与信審査を行い、また、限度額を設定しているので、売上実績等のない企業自体の財務指標、会計課金情報、事業状態等を評価してその企業自体を評価し、クレジットカード発行を行い、クレジットカードの利用状況に応じたモニタリングにより都度審査、与信を行い、クレジットカードの利用限度額をコントロールすることができる。
【0151】
以上、開示に係る実施形態について説明したが、これらはその他の様々な形態で実施することが可能であり、種々の省略、置換及び変更を行なって実施することができる。これらの実施形態及び変形例ならびに省略、置換及び変更を行なったものは、特許請求の範囲の技術的範囲とその均等の範囲に含まれる。
【0152】
<付記>
以上の各実施形態で説明した事項を、以下に付記する。
【0153】
(付記1)
プロセッサ(29)と、記憶部(202)とを備えるコンピュータによって実行されるプログラム(2021)であって、記憶部(202)には、ユーザの口座情報が、あらかじめ登録されており、プログラム(2021)は、プロセッサ(29)に、ユーザから、クレジットカードへの申込を受け付けるステップ(S601)と、クレジットカードへの申込に対する処理として、ユーザの口座情報を取得するステップ(S651)と、取得した口座情報から、ユーザの現預金残高及び入出金の情報を取得するステップ(S651)と、取得した現預金残高及び入出金の情報から、クレジットカードの発行に係る与信審査を行うステップ(S652)と、行った与信審査の結果を出力するステップ(S602)と、を実行させ、与信審査を行うステップ(S652)において、取得した現預金残高及び入出金の情報に基づいて、勾配ブースティング木(Gradient Boosting Decision Tree)により演算を行って、クレジットカードの限度額を決定するステップ(S653)を実行させる、プログラム(2021)。
(付記2)
プロセッサ(29)と、記憶部(202)とを備えるコンピュータによって実行されるプログラム(2021)であって、記憶部(202)には、ユーザの口座情報が、あらかじめ登録されており、プログラム(2021)は、プロセッサ(29)に、ユーザから、クレジットカードへの申込を受け付けるステップ(S601)と、クレジットカードへの申込に対する処理として、ユーザの口座情報を取得するステップ(S651)と、取得した口座情報から、ユーザの現預金残高及び入出金の情報を取得するステップ(S651)と、取得した現預金残高及び入出金の情報から、クレジットカードの発行に係る与信審査を行うステップ(S652)と、行った与信審査の結果を出力するステップ(S602)と、を実行させ、与信審査を行うステップ(S652)において、取得した現預金残高及び入出金の情報に基づいて、予め定めた現預金残高の基準値に応じて複数の判定モデルのうち少なくとも一つの判定モデルを用いて演算を行って、クレジットカードの限度額を決定するステップ(S653)を実行させる、プログラム(2021)。
(付記3)
限度額を決定するステップ(S653)において、予め設定された定性条件を用いて限度額を決定する、付記1に記載のプログラム(2021)。
(付記4)
限度額を決定するステップ(S653)において、勾配ブースティング木により演算を行う際に、複数の機械学習モデル(2025)を組み合わせて限度額を決定する、付記1に記載のプログラム(2021)。
(付記5)
限度額を決定するステップ(S653)において、勾配ブースティング木により演算を行う際に、勾配降下法(Gradient)、アンサンブル学習(Boosting)、決定木(Decision Tree)の3つの手法を組み合わせて限度額を決定する、付記1に記載のプログラム(2021)。
(付記6)
限度額を決定するステップ(S653)において、判定モデルとしてLightGBM(Light Gradient Boosting Machine)を用いて限度額を決定する、付記2に記載のプログラム(2021)。
(付記7)
限度額を決定するステップ(S653)において、判定モデルの評価関数として対数損失(Logarithmic Loss)を用いて限度額を決定する、付記2に記載のプログラム(2021)。
(付記8)
プログラム(2021)は、プロセッサ(29)に、さらに、クレジットカードを発行した後における、所定の期間ごとの処理として、ユーザの現預金残高の情報を取得するステップ(S654)と、取得した現預金残高の情報から、クレジットカードの限度額の再設定を行うステップ(S656)と、を実行させる、付記1または2に記載のプログラム(2021)。
(付記9)
制御部(203)と、記憶部(202)とを備える情報処理装置(20)であって、記憶部(202)には、ユーザの口座情報が、あらかじめ登録されており、制御部(203)が、ユーザから、クレジットカードへの申込を受け付けるステップ(S601)と、クレジットカードへの申込に対する処理として、ユーザの口座情報を取得するステップ(S651)と、取得した口座情報から、ユーザの現預金残高及び入出金の情報を取得するステップ(S651)と、取得した現預金残高及び入出金の情報から、クレジットカードの発行に係る与信審査を行うステップ(S652)と、行った与信審査の結果を出力するステップ(S602)と、を実行させ、与信審査を行うステップ(S652)において、取得した現預金残高及び入出金の情報に基づいて、勾配ブースティング木(Gradient Boosting Decision Tree)により演算を行って、クレジットカードの限度額を決定するステップ(S653)を実行する、情報処理装置(20)。
(付記10)
制御部(203)と、記憶部(202)とを備える情報処理装置(20)であって、記憶部(202)には、ユーザの口座情報が、あらかじめ登録されており、制御部(203)が、ユーザから、クレジットカードへの申込を受け付けるステップ(S601)と、クレジットカードへの申込に対する処理として、ユーザの口座情報を取得するステップ(S651)と、取得した口座情報から、ユーザの現預金残高及び入出金の情報を取得するステップ(S651)と、取得した現預金残高及び入出金の情報から、クレジットカードの発行に係る与信審査を行うステップ(S652)と、行った与信審査の結果を出力するステップ(S602)と、を実行させ、与信審査を行うステップ(S652)において、取得した現預金残高及び入出金の情報に基づいて、予め定めた現預金残高の基準値に応じて複数の判定モデルのうち少なくとも一つの判定モデルを用いて演算を行って、クレジットカードの限度額を決定するステップ(S653)を実行する、情報処理装置(20)。
(付記11)
プロセッサ(29)と、記憶部(202)とを備えるコンピュータ(20)によって実行される方法であって、記憶部(202)には、ユーザの口座情報が、あらかじめ登録されており、方法は、プロセッサ(29)が、ユーザから、クレジットカードへの申込を受け付けるステップ(S601)と、クレジットカードへの申込に対する処理として、ユーザの口座情報を取得するステップ(S651)と、取得した口座情報から、ユーザの現預金残高及び入出金の情報を取得するステップ(S651)と、取得した現預金残高及び入出金の情報から、クレジットカードの発行に係る与信審査を行うステップ(S652)と、行った与信審査の結果を出力するステップ(S602)と、を実行させ、与信審査を行うステップ(S652)において、取得した現預金残高及び入出金の情報に基づいて、勾配ブースティング木(Gradient Boosting Decision Tree)により演算を行って、クレジットカードの限度額を決定するステップ(S653)を実行する、方法。
(付記12)
プロセッサ(29)と、記憶部(202)とを備えるコンピュータ(20)によって実行される方法であって、記憶部(202)には、ユーザの口座情報が、あらかじめ登録されており、方法は、プロセッサ(29)が、ユーザから、クレジットカードへの申込を受け付けるステップ(S601)と、クレジットカードへの申込に対する処理として、ユーザの口座情報を取得するステップ(S651)と、取得した口座情報から、ユーザの現預金残高及び入出金の情報を取得するステップ(S651)と、取得した現預金残高及び入出金の情報から、クレジットカードの発行に係る与信審査を行うステップ(S652)と、行った与信審査の結果を出力するステップ(S602)と、を実行させ、与信審査を行うステップ(S652)において、取得した現預金残高及び入出金の情報に基づいて、予め定めた現預金残高の基準値に応じて複数の判定モデルのうち少なくとも一つの判定モデルを用いて演算を行って、クレジットカードの限度額を決定するステップ(S653)を実行する、方法。
【符号の説明】
【0154】
10 端末装置、20 サーバ、80 ネットワーク、130 操作受付部、170 記憶部、1701 ユーザ情報、180 制御部、1801 入力操作受付部、1802 送受信部、1803 データ処理部、1804 報知制御部、22 通信IF、23 入出力IF、25 メモリ、26 ストレージ、29 プロセッサ、201 通信部、202 記憶部、2021 アプリケーションプログラム、2022 ユーザ情報データベース、2023 口座情報データベース、2024 教師データ、2025 学習モデル、203 制御部、2031 受信制御モジュール、2032 送信制御モジュール、2033 ユーザ情報取得モジュール、2034 クレジットカード申し込み受付モジュール、2035 口座情報取得モジュール、2036 与信審査実行モジュール、2037 限度額設定モジュール、2038 学習モデル生成モジュール。